JP5398205B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Description
色素増感型太陽電池の基本構成は、透明基材に設けた透明導電膜からなる透明電極(光電極)と、電解質層と、発色剤層(増感色素)と、金属酸化物半導体層と、前記光電極に対向して基材に設けた対極とからなる(例えば特許文献1参照)。
(1)光電極を受光側とし、受光した外部光を、透明基材に透明導電膜と金属酸化物半導体層を順に積層してなる光電極の金属酸化物半導体層に到達させ、発生する起電力を光電極の透明導電膜で集電する、透明光電極方式(例えば、特許文献2〜4参照)。この透明光電極方式の場合、対極は透明性を有しないのが一般的である。
(2)対極を受光側とし、受光した外部光を、透明基材に透明導電膜と白金蒸着膜などの触媒層を積層してなる対極、及び電解液を透過させて、光電極の金属酸化物半導体層にまで到達させ、発生する起電力を光電極の透明導電膜で集電する、透明対極方式(例えば、特許文献5〜7参照)。この透明対極方式の場合、光電極は透明性を有しないのが一般的である。
透明基材の上に積層した金属酸化物半導体層からの起電力は、光電極の透明基材に設けた透明導電膜にて集電される。
透明導電膜は、透明基材の上に加熱蒸着やスパッタ法などにより金属酸化物半導体層を薄く積層したものであり、金属等の良導体に比べて比抵抗が大きいことから、セルの面積が広い場合は、透明導電膜の表面抵抗率をなるべく低くすることが求められる。
光電極における表面抵抗率を低くするには透明導電膜の厚みをなるべく厚くするのが望ましいが、金属酸化物半導体層の膜厚みを厚くすると光透過率が低下するので、透明導電膜の厚みは、光透過率と表面抵抗率との兼ね合いにより制約される。
特許文献3には、基材の上に設けた面電極(透明導電膜)と、面電極に接するように太さの異なる線電極からなる集電体(集電電極)とを設け、面電極全体の導電性を向上させた光電極が示されている。しかし、集電体は、インクジェット法を用いて形成するとしているが、実施例には、第1の線状体の幅(平均)を1mm、間隔を5cmとし、第2の線状体の幅(平均)を0.1mm、間隔を1cmとし、第3の線状体の幅(平均)を0.03mm、間隔を2.5mmとした集電体を形成し、その上にITOを低温スパッタリングして形成したと記載されているように、優れた光透過性を得ることは困難であった。
有孔集電電極は、細線状の電極材を縦横に組み合わせた網目状の構造を有するものとし、実施例では、厚さ5μmで目の細かさが200メッシュの網目状のPt集電電極、厚み30μmの格子状Pt集電電極などが用いられている。腐食性の電解液に直接に接触する集電電極には、耐食性を有するPtなどの貴金属を使用することは避けられず、安価に製造することができないという問題があった。
実施例では、金属メッシュは、線径15μm、メッシュ数105のタングステンメッシュの上にスパッタリングにより30nmのPt薄膜を形成することが示されている。
腐食性の電解液に直接に接触する集電電極には、耐食性を有するタングステンを用いているが、タングステンは硬いため細線をメッシュ状に織り込むことが困難であって、さらに、そのメッシュの上にスパッタリングによりPt薄膜を形成する方法を用いたのでは、安価に製造することができないという問題があった。
しかし、上記(2)の透明対極方式の色素増感型太陽電池では、さらに対極の光透過性を改善すると共に、安価に製造することが求められている。
また、前記導電性薄膜からなる細線メッシュパターンの導電性薄膜の上に積層した金属メッキ層の最外層に、電解液に対する耐食性を有する貴金属メッキ層を形成することが好ましい。
また、本発明によれば、従来の透明導電膜やタングステンメッシュの上に白金蒸着膜を積層した積層膜からなる対極に代えて、透明基材の片面に形成された導電性薄膜からなる細線メッシュパターンの上に金属メッキ層が積層された金属メッシュパターンからなり、且つ、前記透明基材と前記金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び前記金属メッシュパターンの表面に触媒層として導電性高分子層を形成した対極とすることで、安価な対極を提供することが可能である。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池用の対極の、金属メッシュパターンを例示する部分拡大平面図であり、図2は、図1におけるA−A矢視図であって、本発明の色素増感型太陽電池用の対極の第1形態例を示す部分断面図である。図3は、図1におけるA−A矢視図であって、本発明の色素増感型太陽電池用の対極の第2形態例を示す部分断面図である。
図4は、従来技術による色素増感型太陽電池用の対極を示す部分断面図である。
中でも、フレキシブル性を有する透明樹脂フィルムは、色素増感型太陽電池の取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。
透明基材1,11に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記透明樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
なお、必要に応じて、透明基材1,11の外面(図2,図3の下面)に、耐候性を付与するための紫外性吸収剤層、ハードコート層、反射防止層などを形成させるための各種樹脂をコートしてもよい。
なお、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン2,12は、対極を安価に製造するため、電解液に対する耐食性は有していないが、高い電気導電性を有する、例えば銀、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの比較的に安価な汎用性の金属を使用することができる。
また、図3に示すように導電性薄膜からなる細線メッシュパターン12が、膜厚みtが薄くてそれだけでは許容される導電性を確保できない場合には、貴金属メッキ層14の厚みを削減して製造費用を抑えるために、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン12の上に、導電性を高めるための例えば銅メッキ層や、ニッケルメッキ層などの金属メッキ層13を形成し、更に金属メッキ層13の最外層には、電解液に対して耐食性を有する貴金属メッキ層14を積層することが好ましい。
電子を失ってできた増感色素カチオンは、レドックス性電解質により還元されて元に戻り、レドックス性電解質溶液中に生成したホール種は対極に達し、還元されて元に戻る。
対極10、20の導電性薄膜からなる細線メッシュパターン2,12は、電解質層を経由して金属酸化物半導体層に電子を循環させるために、太陽電池外部の電気回路を経た電子を電解質層に移動させる役割を有している。
色素増感型太陽電池として高い光電変換率を得るためには、対極10,20を通して入射される外部光Lの利用を増すことができ、電解質への電子の移動を容易とするために、対極10,20の全光線透過率はなるべく高く、かつ、表面抵抗率はなるべく低いことが望ましい。対極の全光線透過率は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましい。また、対極の表面抵抗率は、50Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
また、細線メッシュパターン2,12の材質に、電解質に対して耐食性を有しない金属が用いられた場合には、少なくとも金属メッキ層の最外層には、耐食性を有する貴金属メッキ層を積層し、貴金属メッキ層からなる耐食性の保護層を有する金属メッシュパターンとして形成する。
また、印刷によるパターン化によれば、透明基材1,11の上に、インクジェット方式による印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの公知の方法にて導電ペーストを印刷して配線パターンを形成し、さらに、必要に応じて加熱焼成して導電ペーストに含有されるバインダーを除去することにより、対極の細線メッシュパターン2,12の導電性を高めてもよい。
導電性ペーストの材料としては、金、銀、銅、白金、ニッケルなどの電気伝導度の高い金属微粉末を混入させたものが用いられる。
また、銀写真法によるパターン化によれば、透明基材1,11の上に、銀写真法による露光・現像により現像銀の配線パターンを形成し、さらに必要に応じてその上に無電解メッキまたは電解メッキを施して、導電性の配線パターンを形成してもよい。
また、対極の細線メッシュパターン2,12の配線のピッチ間隔P(図1参照)は、通常50〜1000μmであり、好ましくは50〜500μmである。対極の細線メッシュパターン2,12の線幅Wおよびピッチ間隔Pについては、線幅Wを広くし、ピッチ間隔Pを狭くするほど光起電力を集電し易くなる。しかし、集電電極の占める面積割合が大きくなる(開口率が低下する)と、入射光Lが遮られて発電効率が低下するので、発電効率を最適化できるように、対極の細線メッシュパターン2,12の線幅Wおよびピッチ間隔Pの最適値が決められる。
導電性高分子としては、PEDOT/PSS系樹脂、又はPEDOT/TsO系樹脂が挙げられる。導電性高分子層5,15は、これらの導電性高分子を用いて形成された薄膜層である。
なお、対極は、透明基材の片面に形成された導電性薄膜からなる細線メッシュパターンの上に金属メッキ層が積層された金属メッシュパターンを有し、且つ、前記透明基材と前記金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び前記金属メッシュパターンの表面には、導電性高分子層が積層されている。
また、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)とを含有する溶液を用いて成膜したPEDOT/PSS系樹脂を用いることもできる。
また、導電性高分子の成膜材料として、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、トルエンスルフォネート(TsO)とを含有する溶液を用いて成膜したPEDOT/TsO系樹脂を用いることもできる。
また、導電性高分子層5,15は、金属メッシュパターン6,16の周囲の透明基材1,11の上にも積層される。
この金属酸化物半導体層の膜厚としては、一般的には10nm以上であり、100nm〜20μmが好ましい。
増感色素となる金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミンや、公知のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛等の錯体を用いることができる。
また、増感色素となる有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。
まず、透明基材1の上に、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン2,2が形成された対極基板を用意する(図1,2を参照)。
導電性薄膜からなる細線メッシュパターン2,2の上に、電解メッキ法にて耐食性の貴金属メッキ層4,4を積層し、貴金属メッキ層の積層された金属メッシュパターン6を形成する。
次に、この貴金属メッキ層4,4の積層された金属メッシュパターン6に、アプリケーターを用いて導電性高分子を含有する溶液を塗布し、加熱処理して触媒層となる導電性高分子層5の被膜を形成する。
例えば、導電性高分子層5は、図2および図3において、対極の透明基材と金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び金属メッシュパターンの表面に配設されているが、色素増感型太陽電池の光透過性が低下しない範囲において、金属メッシュパターンにより形成された凹部を透明樹脂で埋めた上に、外部光Lの入射する受光面を覆うように配設してもよい。
・光透過率の測定方法:JIS−K−7105、「プラスチックの光学的特性試験方法」による。
・表面抵抗率の測定方法:JIS−K−7194、「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法の測定方法」による。
・光透過率の測定機器:日本電色工業(株)製、型式;NDH2000
・表面抵抗率の測定機器:三菱化学(株)製、型式;MCP−T610
次に示す手順により、図1及び図3に示した色素増感型太陽電池用の対極を作製し、実施例1とした。
透明基材11として、厚みが100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルムを用いた。金属薄膜からなる細線メッシュパターン12は、線幅Wが15μm、細線メッシュパターンのピッチ間隔Pが80μmであって、縦方向の長さ寸法が100mm、横方向の長さ寸法が100mmの細線メッシュパターンを、導電性銀ペーストを用いてスクリーン印刷による印刷方法にて作製した。
次に、導電性銀ペーストから作製した細線メッシュパターンを約180℃にて焼成し、導電性の銀薄膜からなる細線メッシュパターン12を形成した。
次に、導電性の銀薄膜からなる細線メッシュパターン12の上に、電解メッキ法にてニッケルのメッキ層13、ルテニウムのメッキ層14の順にそれぞれ4μm、1μmの厚みでメッキし、金属メッキ積層体からなる金属メッシュパターン16を得た。
次に、透明基材と前記金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び前記金属メッシュパターンの表面には、乾燥硬化した高分子導電膜が形成されるように、導電性高分子としてPEDOT/PSS(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水分散液を、スクリーン印刷の方法にて塗布した後、加熱処理を行い乾燥させて、触媒層となる導電性高分子層15が金属メッシュパターン16の上に形成された対極20を実施例1とした。
次に示す手順により、図1及び図3に示した色素増感型太陽電池用の対極を作製し、実施例2とした。
透明基材11として、厚みが100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルムを用いた。金属薄膜からなる細線メッシュパターン12は、線幅Wが15μm、細線メッシュパターンのピッチ間隔Pが80μmであって、縦方向の長さ寸法が100mm、横方向の長さ寸法が100mmの細線メッシュパターンを、写真銀法により導電性の現像銀からなる細線メッシュパターンを作製した。
次に、写真銀法により形成した導電性の現像銀からなる細線メッシュパターン12の上に、電解メッキ法にてニッケルメッキ層13を6μmの厚みで積層した後、さらにその上に電解メッキ法にてルテニウムのメッキ層14を約1μmの厚みで積層して、金属メッキ積層体からなる金属メッシュパターン16を得た。
次に、透明基材と前記金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び前記金属メッシュパターンの表面には、乾燥硬化した高分子導電膜が積層されるように、導電性高分子としてPEDOT/PSS(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト)の水・アルコール分散液を、スクリーン印刷の方法にて塗布した後、加熱処理を行い乾燥させて、触媒層となる導電性高分子層15が金属メッシュパターン16の上に形成された対極20を実施例2とした。
実施例1において、導電性高分子層を積層する代わりに、白金蒸着膜をスパッタにて積層して触媒層を形成した以外は、同様の方法にて対極を作製し、比較例1とした。
実施例1,2及び比較例1で作製した対極を用いて、それぞれの光透過率、表面抵抗率を測定した結果を、表1に示す。
導電性高分子からなる触媒層を用いた実施例1,2と、白金蒸着膜からなる触媒層を用いた比較例1とを対比すると、対極の表面抵抗率は、本発明も従来技術も遜色ない。しかし光透過率の点においては、実施例1,2の対極は優れた光透過率を示すのに対して、比較例1の白金対極は、光を透過しないという点で劣っている。また希少金属であるインジウムや白金をまったく使用しないという点においても、従来技術の白金蒸着膜や白金薄膜からなる対極部材に比べて本発明による対極が優れていることが分かる。
また、本発明では、従来技術のように受光面の全面に白金の蒸着膜を形成する場合に比べて、安価な対極を提供することが可能である。
また、透明導電膜を使用しないで安価に作製することが可能である不透明な、例えば金属箔を用いた光電極と一対となる対極であって、優れた光透過性を有する対極として有効に活用できる。
また、透明導電膜を使用した透視性を有する光電極と、本発明による優れた光透過性を有する対極とを用いた色素増感型太陽電池を作製すれば、シースルー性に富み、意匠性に優れているものとなり、特に窓に貼る場合などに有効に活用できる。
Claims (3)
- 基材の片面に、導電体層と色素を含有させた金属酸化物半導体層とが、この順に積層された光電極と、前記光電極と対をなす対極との間に、電解質を保持してなる色素増感型太陽電池であって、
前記導電体層が不透明な金属箔からなり、
前記対極は、透明基材の片面に形成された導電性薄膜からなる細線メッシュパターンの上に金属メッキ層が積層された金属メッシュパターンを有し、且つ、前記透明基材と前記金属メッシュパターンとにより形成された凹部及び前記金属メッシュパターンの表面には、PEDOT/PSS系樹脂、又はPEDOT/TsO系樹脂からなる導電性高分子層が積層されてなることを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 前記導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子,カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記導電性薄膜からなる細線メッシュパターンは、線幅が10〜60μm、ピッチ間隔が50〜500μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
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TWI426617B (zh) | 染料敏化太陽能電池及其製作方法 |
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