JP4071428B2 - 色素増感型太陽電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素を吸着させた酸化物半導体電極を具備する色素増感型太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色素を吸着させた酸化物半導体を電極に用いる太陽電池は一般に色素増感型太陽電池と呼ばれ、特許第2664194号、特開平6−163966号公報、特開平9−259943号公報などに開示されている。
【0003】
図2(a)、(b)に基づいて、従来の色素増感型太陽電池100の概略構造について説明する。図2(a)は色素増感型太陽電池100の構造を模式的に示す概略断面図、図2(b)は色素増感型太陽電池100を構成する後述する酸化物半導体電極を拡大して示す図である。
【0004】
図2(a)に示すように、従来の色素増感型太陽電池100は、カソード電極101とアノード電極102とを側壁109を介して所定間隔で対向配置させることにより形成された太陽電池セル103と、この太陽電池セル103の内部に封入された電解質104とから構成されている。
【0005】
カソード電極101は導電性ガラスなどからなり、アノード電極102は導電性ガラスなどからなる導電性を有する基板108と、基板108の電解質104側表面に形成された酸化物半導体電極106とからなっている。アノード電極102を構成する酸化物半導体電極106は、図2(b)に示すように、表面に色素105が吸着された酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)107が多数堆積された多孔質層からなっている。なお、酸化物半導体電極106において、酸化物半導体微粒子107間の隙間が孔となっている。
【0006】
色素増感型太陽電池100において、色素105は可視光により励起される構造になっており、色素105が可視光により励起されて発生した電子が酸化物半導体微粒子107内に移動し、酸化物半導体微粒子107内に移動した電子を外部回路に取り出すことにより発電することが可能な構造になっている。
【0007】
酸化物半導体微粒子107としては、一般にアナターゼ型の酸化チタン(TiO2)微粒子が用いられているが、種々の酸化物半導体微粒子を用いることができる。特に、酸化物半導体微粒子107として、酸化錫(SnO2)微粒子、アンチモンを含有した酸化錫(SnO2)微粒子のうち少なくとも1種を用いることが以下の理由により望ましい。また、酸化物半導体微粒子107として、酸化錫(SnO2)微粒子、アンチモンを含有した酸化錫(SnO2)微粒子のうち少なくとも1種により表面を被覆された酸化亜鉛(ZnO)微粒子を用いても良い。
【0008】
すなわち、可視光の吸収率の低い材料(可視光の透過率の高い、透明性を有する材料)である酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子からなる酸化物半導体微粒子107を用いることにより、酸化物半導体微粒子107に吸収される光量を減少させることができるので、色素105における光の吸収率を向上させることができる。また、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子は酸化チタン微粒子に比較して導電性に優れるため、酸化物半導体微粒子107内に移動した電子を効率よく電池外部に取り出すことができるとともに、酸化物半導体微粒子107と導電性を有する基板108との密着性が良いという利点も有している。
【0009】
また、酸化物半導体微粒子107として、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により表面を被覆された酸化亜鉛微粒子を用いる場合も、酸化錫微粒子あるいはアンチモンを含有した酸化錫微粒子を用いた場合と同様の利点を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構造を有する従来の色素増感型太陽電池においては、酸化物半導体電極を構成する酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)内に移動した電子が、電解質内に移動して電解質と反応することにより、開放電圧が低下し、エネルギー変換効率が低下するという恐れがある。
【0011】
また、酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)として、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種、あるいはこれらのうち1種により表面を被覆された酸化亜鉛微粒子を用いる場合、上述したように、酸化チタン微粒子を用いる場合に比較して、色素における光吸収率を向上させることができるとともに、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子は導電性を有するため、酸化物半導体微粒子内に移動した電子を効率良く電池外部に取り出すことができ、酸化物半導体微粒子と導電性を有する基板との密着性が良いという利点を有している。
【0012】
しかしながら、酸化錫あるいはアンチモンを含有した酸化錫の伝導帯ポテンシャルが酸化チタンに比較して低いため、酸化物半導体微粒子表面の伝導帯ポテンシャルと電解質の酸化還元電位との電位差が小さくなり、開放電圧が低下して、エネルギー変換効率が低下するという恐れがあり、酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)として、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種、あるいはこれらのうちの少なくとも1種により表面を被覆された酸化亜鉛微粒子を用いる利点を十分に発揮することができていないのが現状である。
【0013】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、酸化物半導体電極を構成する酸化物半導体電極材(酸化物半導体微粒子)内に移動した電子が電解質内に移動して電解質と反応することにより、開放電圧が低下し、エネルギー変換効率が低下することを防止することができる色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、少なくとも表面が、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫などの伝導帯ポテンシャルが低い材質からなる酸化物半導体電極材(酸化物半導体微粒子)を用いる場合においても、開放電圧が低下することを防止し、エネルギー変換効率を向上することができる、色素増感型太陽電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の色素増感型太陽電池は、酸化物半導体電極材に色素を吸着させてなる酸化物半導体電極と対向電極とを電解質を介して対向配置してなる色素増感型太陽電池において、前記酸化物半導体電極材の少なくとも一部が、該酸化物半導体電極材の表面より高い伝導帯ポテンシャルを有しかつ膜厚が1nm〜5nmの金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆され、前記金属酸化物膜あるいは前記金属酸化物微粒子は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする。
【0016】
本発明者は、このように、酸化物半導体電極材の少なくとも一部を、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなる金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆させることにより、色素が可視光によって励起されて発生した電子が酸化物半導体電極材内に移動した後、酸化物半導体電極材内に移動した電子が、酸化物半導体電極材を被覆する金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子の存在によって酸化物半導体電極材表面から電解質内に移動することを防止し、電解質と反応することを防止することができることを見出した。
【0017】
さらに、本発明によれば、酸化物半導体電極材内に移動した電子が電解質と反応することを防止することができるので、電池外部に取り出される電子の確率を高くすることができ、開放電圧が低下することを防止し、エネルギー変換効率を向上することができる色素増感型太陽電池を提供することができることを見出した。
【0018】
さらに、本発明者は、酸化物半導体電極材と金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子との伝導帯ポテンシャルの関係に着目し、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種からなる、伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体電極材を用いる場合、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面を被覆された酸化亜鉛微粒子など、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種と酸化亜鉛との混合物からなり、表面の伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体電極材を用いる場合においても、開放電圧が低下することを防止し、エネルギー変換効率を向上することができることを見出した。
【0019】
より詳細には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムは、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫よりも高い伝導帯ポテンシャルを有している。例えば、酸化錫の伝導帯ポテンシャルは約0.4Vであるのに対し、酸化ジルコニウムの伝導帯ポテンシャルは約−1.3Vであり、酸化ジルコニウムは酸化錫より高い伝導帯ポテンシャルを有している。
【0020】
したがって、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種からなる、伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体電極材を用いる場合、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面を被覆された酸化亜鉛微粒子など、表面の伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体電極材を用いる場合においても、酸化物半導体電極材の少なくとも一部を、酸化物半導体電極材の表面よりも高い伝導帯ポテンシャルを有する上記材質からなる金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆させることにより、酸化物半導体電極材表面の伝導帯ポテンシャルを高くすることができ、その結果、酸化物半導体電極材表面の伝導帯ポテンシャルと電解質の酸化還元電位との電位差を大きくすることができるので、開放電圧を高くすることができ、エネルギー変換効率を向上することができることを見出した。
【0021】
さらに、上述したように、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面を被覆された酸化亜鉛微粒子など、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種と酸化亜鉛との混合物からなる酸化物半導体電極材を用いる場合には、色素における光吸収率を向上させることができるとともに、酸化物半導体微粒子内に移動した電子を効率良く電池外部に取り出すことができ、酸化物半導体電極材と基板との密着性を向上することができる、より性能の良い色素増感型太陽電池を提供することができる。
【0022】
また、本発明の色素増感型太陽電池において、酸化物半導体電極材を酸化物半導体微粒子により構成し、酸化物半導体微粒子からなる酸化物半導体電極材を多数堆積させて酸化物半導体電極を構成することが望ましく、このような構成とすることにより、酸化物半導体電極の比表面積を大きくすることができるので、単位面積当たりの発電量を増加させることができる。
【0023】
また、本発明の色素増感型太陽電池は、酸化物半導体電極材の表面と色素との間に、金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子を具備するものであることが望ましい。このように、酸化物半導体電極材の表面と色素との間に、金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子を設ける構成とすることにより、金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子の存在によって、色素に到達する光量が減少することを防止することができる。
【0024】
以上の本発明の色素増感型太陽電池は、以下の本発明の色素増感型太陽電池の製造方法により製造することができる。
すなわち、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、前記酸化物半導体電極材に、金属アルコキシド溶液、金属の無機化合物溶液、金属錯体溶液のうち少なくとも1種を接触させることにより、前記金属酸化物膜あるいは前記金属酸化物微粒子を形成することを特徴とする。なお、金属の無機化合物としては、金属のハロゲン化物が好ましく、その中でも特に塩化物が好ましく、金属錯体としてはβジケトン錯体が好ましい。
【0025】
このように、金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子を形成する際に、金属アルコキシド溶液、金属の無機化合物溶液、金属錯体溶液のうち少なくとも1種を用いることにより、上記材質の金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子を容易に形成することができるので、本発明の色素増感型太陽電池を、特殊な設備を必要とせずコスト的にも安価に製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
[色素増感型太陽電池の構造]
図1(a)、(b)に基づいて、本発明に係る実施形態の色素増感型太陽電池1の概略構造について説明する。図1(a)は色素増感型太陽電池1の構造を模式的に示す概略断面図、図1(b)は色素増感型太陽電池1を構成する後述する酸化物半導体電極を拡大して示す図である。
【0027】
図1(a)に示すように、本実施形態の色素増感型太陽電池1は、カソード電極(対向電極)10とアノード電極20とを、側壁15を介して所定間隔で対向配置させることにより形成された太陽電池セル30と、この太陽電池セル30の内部に封入された電解質31とから構成されている。
【0028】
カソード電極10は導電性を有する材料からなり、酸化錫(SnO2)などの導電性ガラスやガラス基板上にPt電極、C電極等の触媒活性の高い電極を設けたものが好適に用いられる。側壁15は、絶縁性および光透過性を有する材料からなり、例えばエポキシ樹脂、フッ素含有樹脂等から構成されている。電解質31としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、テトラプロピルアンモニウムヨージド等を炭酸エチレン又は炭酸プロピレンとアセトニトリル混合液に溶解させた電解質溶液等が好適に用いられる。
【0029】
アノード電極20は、酸化錫(SnO2)等の導電性ガラスなどからなる導電性及び光透過性を有する基板21と、基板21の電解質31側表面に形成された酸化物半導体電極22とからなっている。
アノード電極20を構成する酸化物半導体電極22は、酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27が多数堆積された多孔質層からなっており、酸化物半導体電極22を構成する各酸化物半導体微粒子27が、金属酸化物膜26によって被覆され、さらに、金属酸化物膜26を形成した酸化物半導体微粒子27の表面には色素25が吸着されている。色素25としては、例えばルテニウムのビピリジン系錯体が優れた増感効果を発揮するが、その他のメロシアニン系等の有機色素などでも増感効果を得ることができる。なお、酸化物半導体電極22において、酸化物半導体微粒子27間の隙間が孔となっている。
【0030】
色素増感型太陽電池1において、色素25は可視光により励起される構造となっており、色素25が可視光により励起されて発生した電子が酸化物半導体微粒子27内に移動し、酸化物半導体微粒子27内に移動した電子を外部回路に取り出すことにより発電することが可能な構造になっている。
【0031】
酸化物半導体微粒子27としては、例えば酸化チタン(TiO2)微粒子、酸化亜鉛(ZnO)微粒子、酸化ニオブ(Nb2O5)微粒子、酸化インジウム(In2O3)微粒子、酸化錫(SnO2)微粒子など、一般に知られている酸化物半導体微粒子を1種若しくは複数種用いることができるが、可視光の吸収率が高く、導電性の高い酸化錫(SnO2)微粒子、アンチモンを含有した酸化錫(SnO2)微粒子のうち少なくとも1種、あるいはこれらのうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛(ZnO)微粒子を用いることが望ましい。
【0032】
このように、酸化物半導体微粒子27として、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち1種、あるいはこれらのうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を用いることにより、色素25における光吸収率を向上させることができるとともに、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子が導電性に優れるため、酸化物半導体微粒子27内に移動した電子を効率よく電池外部に取り出すことができ、酸化物半導体微粒子27と導電性を有する基板21との密着性を向上することができる。
【0033】
また、酸化物半導体微粒子27としては粒径の小さいものが好ましく、酸化物半導体微粒子27の粒径が小さいほど酸化物半導体電極22の比表面積を大きくすることができるので、色素増感型太陽電池1の単位面積当たりの発電量を増加させることができる。具体的には、酸化物半導体微粒子27の粒径は5〜50nm、より好ましくは10〜20nmであることが望ましい。
【0034】
また、酸化物半導体電極22に入射した光を散乱させ、光路長を長くする光閉じ込め効果により光を有効利用するために、10%〜50%の酸化物半導体微粒子27を、100〜1000nmの比較的大きな粒径を有するもので構成してもよい。
【0035】
また、本実施形態において、酸化物半導体微粒子27を被覆する金属酸化物膜26は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなっている。これらの金属酸化物のうち、酸化物半導体微粒子27表面より高い伝導帯ポテンシャルを有する材質を選択することが望ましく、上記の中でも特に、伝導帯ポテンシャルの高い酸化ジルコニウムが好ましい。
【0036】
なお、酸化物半導体微粒子27が酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種からなる場合には、金属酸化物膜26を構成する上記材質はいずれも、酸化物半導体微粒子27より高い伝導帯ポテンシャルを有するものとなっている。
また、酸化物半導体微粒子27として、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を用いる場合についても同様に、金属酸化物膜26を構成する上記材質はいずれも、酸化物半導体微粒子27表面を構成する酸化錫微粒子あるいはアンチモンを含有した酸化錫微粒子よりも高い伝導帯ポテンシャルを有するものとなっている。
【0037】
金属酸化物膜26の膜厚は10nm以下、より好ましくは1nm〜5nmであることが望ましい。このように、薄い金属酸化物膜26を形成することにより、可視光によって励起された色素25から発生した電子の酸化物半導体微粒子27内への移動が金属酸化物膜26によって阻害されることを防止することができる。
【0038】
以上、本実施形態では、各酸化物半導体微粒子27の全表面において、金属酸化物膜26と色素25とが順次積層形成されたものについてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部が金属酸化物膜26によって被覆されていれば良く、また、色素25についても同様に、酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部に吸着されていればよい。本実施形態において、「酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部」とは、「少なくとも一部の酸化物半導体微粒子27の、少なくとも一部の表面」を意味している。また、金属酸化物膜26と色素25との位置関係は特に限定されるものではない。
【0039】
したがって、例えば、酸化物半導体微粒子27の表面において、部分的にのみ金属酸化物膜26を形成し、金属酸化物膜26が形成されない箇所に色素25を吸着させる構成としても良いし、酸化物半導体微粒子27の表面において、部分的にのみ金属酸化物膜26を形成し、金属酸化物膜26が形成された酸化物半導体微粒子27の全表面を覆うように色素25を吸着させる構成としても良いし、あるいは酸化物半導体微粒子27の表面の全面に金属酸化物膜26を形成し、その表面に部分的にのみ色素25を吸着させる構成としても良い。
ただし、酸化物半導体微粒子27表面において、金属酸化物膜26による被覆面積が大きい程、後述する本発明の効果を得ることができる。また、酸化物半導体微粒子27表面において、色素25の吸着面積が大きい程、色素25による増感効果を得ることができる。
【0040】
また、酸化物半導体微粒子27表面において、金属酸化物膜26と色素25とが重なって形成される部分が存在する場合には、酸化物半導体微粒子27の表面と色素25との間に、金属酸化物膜26を配置させることが望ましい。このように、酸化物半導体微粒子27の表面と色素25との間に、金属酸化物膜26を設ける構成とすることにより、金属酸化物膜26の存在によって、色素25に到達する光量が減少することを防止することができる。
【0041】
以上、本実施形態においては、酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部を金属酸化物膜26で被覆する場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部を金属酸化物膜26で被覆する代わりに、金属酸化物膜26と同じ材質からなり、同じ膜厚を有する金属酸化物微粒子で被覆する構成としてもよい。
【0042】
[色素増感型太陽電池の製造方法]
次に、上記構造の色素増感型太陽電池1の製造方法について説明する。
はじめにアノード電極20の製造方法について説明する。
まず、酸化物半導体微粒子27、溶剤、バインダー等を含有する酸化物半導体ペーストを調製する。溶剤としては200〜350℃程度の高い沸点を有するものを用いることが望ましく、例えば1−p−メンテン−8−オール、エトキシエトキシエタノール等を好適に用いることができる。また、バインダーとしては、作製する酸化物半導体ペーストの粘度を増加させる効果を有し、沸点が500℃以下のものを用いることが望ましく、セルロース系バインダーや、ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。また、バインダーの添加量は酸化物半導体ペーストの5〜10重量%が好ましい。
【0043】
次いで、調製した酸化物半導体ペーストを基板21上に塗布する。塗布方法としてはスクリーン印刷法が好ましく、その他にフレキソ印刷法、グラビア印刷法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、スピンコーター法、ディップコーター法等を用いることができる。基板21上に塗布する酸化物半導体ペーストの膜厚は5〜15μm程度、より好ましくは10μm程度とする。その後、基板21上に塗布した酸化物半導体ペーストを、必要に応じて乾燥させた後、空気中、600℃以下の温度で焼成することにより、酸化物半導体微粒子27が多数堆積された多孔質層が形成される。
【0044】
次いで、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、マンガン、銅、ゲルマニウム、ガリウム、ジルコニウムのうち1種又は複数種の金属のアルコキシド、あるいは上記金属のハロゲン化物などの無機化合物、あるいは上記金属の錯体などの分散液または溶液を調整し、これらの分散液又は溶液のうち1種、あるいは複数種を混合したものを上記で作製した多孔質層に接触させる。作製した分散液又は溶液を多孔質層に接触させる方法としては、具体的には、作製した分散液又は溶液に多孔質層を浸漬させる、作製した分散液又は溶液を多孔質層に塗布する等を意味している。また、金属ハロゲン化物としては塩化物が好ましく、金属錯体としてはβジケトン錯体が好ましい。
【0045】
作製した分散液又は溶液を接触させた多孔質層を必要に応じて乾燥させた後、空気中、600℃以下の温度で焼成することにより、多孔質層を構成する酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部を金属酸化物膜26又は金属酸化物微粒子により被覆する。
【0046】
このように、金属酸化物膜26又は金属酸化物微粒子を形成する際に、金属アルコキシド、ハロゲン化物などの金属の無機化合物、金属錯体などの分散液または溶液のうち少なくとも1種を用いることにより、上記材質の金属酸化物膜26又は金属酸化物微粒子を容易に形成することができ、特殊な設備を必要とせずコスト的にも安価に形成することができる。
【0047】
最後に、金属酸化物膜26又は金属酸化物微粒子を形成した多孔質層を、色素25を所定の溶剤に溶解させた色素溶液中に浸漬させ、色素25を吸着させることによって、酸化物半導体電極22が形成され、基板21と酸化物半導体電極22とからなるアノード電極20を製造することができる。
【0048】
以上のアノード電極20の製造方法においては、基板21上に、酸化物半導体微粒子27、溶剤、バインダー等を含有する酸化物半導体ペーストを塗布、焼成して酸化物半導体微粒子が多数堆積された多孔質層を形成した後、この多孔質層に金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子の被覆をなし得る材料の分散液又は溶液を接触させて、焼成することにより金属酸化物膜26あるいは金属酸化物微粒子を形成し、さらに色素25を吸着させることにより酸化物半導体電極22を形成する方法について説明した。
【0049】
しかしながら、アノード電極20の製造方法はこの方法に限定されるものではない。以下に、その他のアノード電極20の製造方法の例について簡単に説明する。
あらかじめ酸化物半導体微粒子27表面を金属酸化物膜26で被覆したものと溶剤、バインダーを含有する酸化物半導体ペースト、あるいは、酸化物半導体微粒子27、金属酸化物微粒子、溶剤、バインダーを含有する酸化物半導体ペースト、あるいは酸化物半導体微粒子27、金属酸化物膜26を形成し得る材料の溶液又は金属酸化物微粒子、溶剤、バインダーを含有する酸化物半導体ペーストを調整し、作製した酸化物半導体ペーストを基板21上に塗布し、焼成した後、色素25を吸着させることによってもアノード電極20を製造することができる。
【0050】
次に、以上のようにして製造されたアノード電極20から色素増感型太陽電池1を製造する方法について簡単に説明する。
アノード電極20の酸化物半導体電極22側に、例えば10〜100μm程度の間隔をあけて側壁15を介してカソード電極10を対向配置させるともに貼着し、太陽電池セル30を組み立てた後、太陽電池セル30の内部に電解質31を封入することにより色素増感型太陽電池1が製造される。
【0051】
本実施形態の色素増感型太陽電池によれば、酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27の少なくとも一部を、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなる金属酸化物膜26あるいは金属酸化物微粒子で被覆させる構造としたので、色素25が可視光によって励起されて発生した電子が酸化物半導体微粒子27内に移動した後、酸化物半導体微粒子27内に移動した電子が、酸化物半導体微粒子27を被覆する金属酸化物膜26あるいは金属酸化物微粒子の存在によって酸化物半導体微粒子27表面から電解質31内に移動することを防止し、電解質と反応することを防止することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の色素増感型太陽電池によれば、酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27内に移動した電子が電界質内に移動して電解質31と反応することを防止することができるので、電池外部に取り出される電子の確率を高くすることができ、開放電圧が低下することを防止し、エネルギー変換効率を向上することができる。
【0053】
また、本実施形態の色素増感型太陽電池によれば、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種からなる、伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体微粒子27、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子からなる、表面の伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体微粒子27を用いる場合においても、開放電圧が低下することを防止することができ、エネルギー変換効率を向上することができる。
【0054】
より詳細には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムは、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫よりも高い伝導帯ポテンシャルを有している。例えば、酸化錫の伝導帯ポテンシャルは約0.4Vであるのに対し、酸化ジルコニウムの伝導帯ポテンシャルは約−1.3Vであり、酸化ジルコニウムは酸化錫より高い伝導帯ポテンシャルを有している。
【0055】
したがって、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種からなる、伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子からなる、表面の伝導帯ポテンシャルが低い酸化物半導体微粒子27を用いる場合においても、酸化物半導体微粒子27の少なくとも一部を、酸化物半導体微粒子27表面よりも高い伝導帯ポテンシャルを有する上記材質からなる金属酸化物膜26あるいは金属酸化物微粒子で被覆させることにより、酸化物半導体微粒子27表面の伝導帯ポテンシャルを高くすることができ、その結果、酸化物半導体微粒子27表面の伝導帯ポテンシャルと電解質31の酸化還元電位との電位差を大きくすることができるので、開放電圧を高くすることができ、エネルギー変換効率を向上することができる。
【0056】
さらに、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種、あるいは酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子からなる酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27を用いた場合には、色素25における光吸収率を向上させることができるとともに、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子の導電性が高いため、酸化物半導体微粒子27内に移動した電子を効率よく電池外部に取り出すことができ、酸化物半導体微粒子27と基板21との密着性を向上することができる、より性能の良い色素増感型太陽電池を提供することができる。
【0057】
なお、本実施形態の色素増感型太陽電池では、酸化物半導体電極22を、金属酸化物膜26又は金属酸化物微粒子を被覆させ、色素を吸着させた酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)27を堆積させた多孔質層から構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、物理的・化学的蒸着法などの方法により、基板21上に緻密な酸化物半導体膜(酸化物半導体電極材)を形成し、この表面の少なくとも一部を金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆し、さらにその表面に色素を吸着させる構成としてもよい。
【0058】
ただし、本実施形態のように、酸化物半導体電極22を多孔質層により構成する場合には、酸化物半導体電極22を緻密な膜により構成する場合に比較して、酸化物半導体電極22の比表面積を大きくすることができるので、単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0059】
【実施例】
以下に、本発明に係る実施例及び従来例について説明する。
「実施例1〜4、従来例1」
[色素増感型太陽電池の作製]
酸化物半導体微粒子として、住友大阪セメント社製、粒径10〜20nmのSnO2微粒子を用い、SnO2微粒子30重量%と1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名)、関東化学社製)65重量%とエチルセルロース(関東化学社性)5重量%とを3本ロール(EXAKT社製)にて混練し、SnO2ペーストを作製した。
【0060】
基板として表面抵抗が10Ω/□の導電性ガラスを用い、この基板上に上記で作製したSnO2ペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布し、その後、空気中、500℃で60分間焼成を行うことにより、基板上に多孔質SnO2層を形成した。形成された多孔質SnO2層の膜厚は8μmであった。
【0061】
多孔質SnO2層を形成した後、実施例1〜4においては以下に詳細に述べるように、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面を金属酸化物膜で被覆した。これに対して、従来例1においては多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面の金属酸化物膜による被覆を行わなかった。
【0062】
従来例1では多孔質SnO2層を形成した後、実施例1〜4では、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子表面をそれぞれ異なる金属酸化物膜で被覆した後、増感色素(シス−ジ(チオシアネート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II))のエタノール溶液に24時間浸漬させ、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子表面に色素を吸着させることにより酸化物半導体電極を形成した。
【0063】
以上のようにして基板上に酸化物半導体電極を形成したものをアノード電極とし、これと、ガラス基板上にPt電極を設けて作製したカソード電極とを、エポキシ樹脂からなる側壁を介して対向配置させるとともに貼着し、太陽電池セルを作製した。最後に、太陽電池セル内に、電解質として、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ターシャリーブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解質溶液を封入して色素増感型太陽電池を作製した。
【0064】
実施例1〜4、従来例1において、用いた酸化物半導体微粒子の種類、及び形成した金属酸化物膜の種類を表1に示す。
【表1】
【0065】
ここで、実施例1〜4における金属酸化物膜の形成方法及び形成された金属酸化物膜の膜厚について説明する。
(実施例1)
実施例1では、多孔質SnO2層を形成した後、ジルコニウムテトライソプロポキシド(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、550℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化ジルコニウムからなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0066】
(実施例2)
実施例2では、多孔質SnO2層を形成した後、マグネシウムエトキシド(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、550℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化マグネシウムからなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0067】
(実施例3)
実施例3では、多孔質SnO2層を形成した後、塩化銅(I)(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、600℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化銅からなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0068】
(実施例4)
実施例4では、多孔質SnO2層を形成した後、塩化ニッケル(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、600℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化ニッケルからなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0069】
[色素増感型太陽電池の性能評価]
得られた各色素増感型太陽電池について、ソラーシミュレーター(WACOM社製)を用いて100mW/cm2の疑似太陽光を照射し、太陽電池測定装置(東陽テクニカ製)により短絡電流、開放電圧、光電変換効率を測定した。
【0070】
[結果]
得られた各色素増感型太陽電池の性能評価を行った結果を表2に示す。
【表2】
【0071】
表1、表2に示すように、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子を金属酸化物膜で被覆しなかった従来例1に比較して、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子を酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化ニッケルのいずれかからなる金属酸化物膜で被覆した実施例1〜4では開放電圧、光電変換効率を向上させることができた。
【0072】
酸化ニッケルからなる金属酸化物膜を形成した実施例4では従来例1の光電変換効率に対して約30%増の光電変換効率を得ることができ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化銅からなる金属酸化物膜を形成した実施例1〜3では従来例1の光電変換効率に対して約70〜75%増の光電変換効率を得ることができた。
【0073】
「実施例5、6、従来例2」
[色素増感型太陽電池の作製及び性能評価]
酸化物半導体微粒子として、キシダ化学社製、粒径100nmのSnO2微粒子を用い、実施例1〜4、従来例1と同様に、基板上に多孔質SnO2層を形成した。形成された多孔質SnO2層の膜厚は10μmであった。
多孔質SnO2層を形成した後、実施例5、6においては以下に詳細に述べるように、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面を金属酸化物膜で被覆した。これに対して、従来例2においては多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面の金属酸化物膜による被覆を行わなかった。
【0074】
従来例2では多孔質SnO2層を形成した後、実施例5、6では多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面をそれぞれ異なる金属酸化物膜で被覆した後、実施例1〜4、従来例1と同じ条件で色素増感型太陽電池を作製し、得られた各色素増感型太陽電池の性能評価を行った。
【0075】
実施例5、6、従来例2において、用いた酸化物半導体微粒子の種類、及び形成した金属酸化物膜の種類を表3に示す。
【表3】
【0076】
ここで、実施例5、6における金属酸化物膜の形成方法及び形成された金属酸化物膜の膜厚について説明する。
(実施例5)
実施例5では、多孔質SnO2層を形成した後、塩化クロム(III)(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、300℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化クロムからなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0077】
(実施例6)
実施例6では、多孔質SnO2層を形成した後、塩化ゲルマニウム(IV)(関東化学社製)の4重量%エタノール溶液中に24時間浸漬させ、エタノールで洗浄した後、空気中、300℃で60分間焼成を行うことにより、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子)表面に酸化ゲルマニウムからなる金属酸化物膜を形成した。形成された金属酸化物膜の膜厚は約2nmであった。
【0078】
[結果]
得られた各色素増感型太陽電池の性能評価を行った結果を表4に示す。
【表4】
【0079】
表3、表4に示すように、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子を金属酸化物膜で被覆しなかった従来例2に比較して、多孔質SnO2層を構成する各酸化物半導体微粒子を酸化クロム、酸化ゲルマニウムのいずれかからなる金属酸化物膜で被覆した実施例5、6では開放電圧、光電変換効率を向上させることができた。金属酸化物膜として酸化ゲルマニウムを形成した実施例6では従来例2の光電変換効率に対して約45%増の光電変換効率を得ることができ、金属酸化物膜として酸化クロムを形成した実施例5では従来例2の光電変換効率に対して倍以上の光電変換効率を得ることができた。
【0080】
「実施例7、従来例3」
[色素増感型太陽電池の作製及び性能評価]
酸化物半導体微粒子として、住友大阪セメント社製、粒径10〜20nmのSnO2微粒子と、和光純薬社製、粒径100〜5000nmのZnO微粒子を用い、SnO2微粒子18重量%とZnO微粒子12重量%と1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名)、関東化学社製)65重量%とエチルセルロース(関東化学社製)5重量%とを3本ロール(EXAKT社製)にて混練し、SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子を含有するSnO2・ZnO混合ペーストを作製した。
【0081】
基板として表面抵抗が10Ω/□の導電性ガラスを用い、この基板上に上記で作製したSnO2・ZnO混合ペーストをスクリーン印刷機を用いて塗布し、その後、空気中、500℃で60分間焼成を行うことにより、基板上に、SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子が多数堆積された構造の多孔質SnO2・ZnO混合層を形成した。形成された多孔質SnO2・ZnO混合層の膜厚は6μmであった。
【0082】
多孔質SnO2・ZnO混合層を形成した後、実施例7では、実施例1と同じ条件で、多孔質SnO2・ZnO混合層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子)の表面を酸化ジルコニウムからなる金属酸化物膜で被覆し、これに対して、従来例3では多孔質SnO2・ZnO混合層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子)表面の金属酸化物膜による被覆を行わなかった。
【0083】
従来例3では多孔質SnO2・ZnO混合層を形成した後、実施例7では、多孔質SnO2・ZnO混合層を構成する各酸化物半導体微粒子(SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子)表面を金属酸化物膜で被覆した後、実施例1〜6、従来例1、2と同じ条件で色素増感型太陽電池を作製し、得られた各色素増感型太陽電池の性能評価を行った。
【0084】
実施例7、従来例3において、用いた酸化物半導体微粒子の種類、形成した金属酸化物膜の種類を表5に示す。
【表5】
【0085】
[結果]
得られた各色素増感型太陽電池の性能評価を行った結果を表6に示す。
【表6】
【0086】
表5、表6に示すように、多孔質SnO2・ZnO混合層を構成する各酸化物半導体微粒子を金属酸化物膜で被覆しなかった従来例3に比較して、多孔質SnO2・ZnO混合層を構成する各酸化物半導体微粒子を酸化ジルコニウムからなる金属酸化物膜で被覆した実施例7では開放電圧、光電変換効率を向上させることができ、実施例7では従来例3の光電変換効率に対して約16%増の光電変換効率を得ることができた。このように、酸化物半導体微粒子として、SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子を用いる場合においても本発明は有効であることが判明した。
【0087】
また、本発明者は酸化物半導体微粒子としてアンチモンを含有したSnO2微粒子を用いる場合においても本発明が有効であることを確認している。また、多孔質SnO2層、アンチモンを含有した多孔質SnO2層、SnO2微粒子により表面を被覆されたZnO微粒子が多数堆積された構造の多孔質SnO2・ZnO混合層のうちいずれかからなる多孔質層を形成し、多孔質層を構成する各酸化物半導体微粒子を、酸化アルミニウム、酸化マンガン、酸化ガリウムのうちいずれかからなる金属酸化物膜で被覆する場合においても、実施例1〜7と同様の結果を得ることができることを確認している。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸化物半導体電極材の少なくとも一部を、この酸化物半導体電極材の表面より高い伝導帯ポテンシャルを有しかつ膜厚が1nm〜5nmの金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆し、この金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子を、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなる構成としたので、酸化物半導体電極材内に移動した電子が電解質と反応して開放電圧を低下させることを防止し、エネルギー変換効率を向上することができる色素増感型太陽電池を提供することができる。
【0089】
また、本発明によれば、少なくとも表面が、酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫などの伝導帯ポテンシャルが低い材質からなる酸化物半導体電極材を用いる場合においても、開放電圧を低下させることを防止し、エネルギー変換効率を向上することができる色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)、(b)は、本発明に係る実施形態の色素増感型太陽電池の構造を示す図である。
【図2】 図2(a)、(b)は、従来の色素増感型太陽電池の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 色素増感型太陽電池
10 カソード電極(対向電極)
20 アノード電極
21 基板
22 酸化物半導体電極
25 色素
26 金属酸化物膜
27 酸化物半導体微粒子(酸化物半導体電極材)
31 電解質
15 側壁
30 太陽電池セル
Claims (6)
- 酸化物半導体電極材に色素を吸着させてなる酸化物半導体電極と対向電極とを電解質を介して対向配置してなる色素増感型太陽電池において、
前記酸化物半導体電極材の少なくとも一部が、該酸化物半導体電極材の表面より高い伝導帯ポテンシャルを有しかつ膜厚が1nm〜5nmの金属酸化物膜あるいは金属酸化物微粒子で被覆され、
前記金属酸化物膜あるいは前記金属酸化物微粒子は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化銅、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 前記酸化物半導体電極材が酸化錫、アンチモンを含有した酸化錫のうち少なくとも1種、あるいはこれらのうち少なくとも1種と酸化亜鉛からなることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記酸化物半導体電極材が酸化物半導体微粒子からなるとともに、前記酸化物半導体電極が前記酸化物半導体電極材を多数堆積させた多孔質層からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記酸化物半導体電極材が、酸化錫微粒子、アンチモンを含有した酸化錫微粒子のうち少なくとも1種により、少なくとも一部の表面が被覆された酸化亜鉛微粒子からなることを特徴とする請求項3に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記酸化物半導体電極材の表面と前記色素との間に、前記金属酸化物膜あるいは前記金属酸化物微粒子を具備することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
- 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記酸化物半導体電極材に、金属アルコキシド溶液、金属の無機化合物溶液、金属錯体溶液のうち少なくとも1種を接触させることにより、前記金属酸化物膜あるいは前記金属酸化物微粒子を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
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