JP2014071951A - 光電変換素子用電極及びこれを用いた光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換素子に対して優れた耐久性を付与できる光電変換素子用電極及びこれを用いた光電変換素子を提供すること。
【解決手段】光電変換素子に用いられる光電変換素子用電極10であって、導電性基板15と、導電性基板15の上に設けられる酸化物半導体層13と、導電性基板15上に設けられる配線部16とを有し、配線部16が、導電性基板15上に設けられる金属配線17と、金属配線17を覆う配線保護層18とを有し、金属配線17の一部が、配線保護層18で覆われていない露出部17aとなっており、その露出部17aが、第1硫黄含有化合物19で被覆され、第1硫黄含有化合物19は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す光電変換素子用電極10。
【選択図】図2
【解決手段】光電変換素子に用いられる光電変換素子用電極10であって、導電性基板15と、導電性基板15の上に設けられる酸化物半導体層13と、導電性基板15上に設けられる配線部16とを有し、配線部16が、導電性基板15上に設けられる金属配線17と、金属配線17を覆う配線保護層18とを有し、金属配線17の一部が、配線保護層18で覆われていない露出部17aとなっており、その露出部17aが、第1硫黄含有化合物19で被覆され、第1硫黄含有化合物19は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す光電変換素子用電極10。
【選択図】図2
Description
本発明は、光電変換素子用電極及びこれを用いた光電変換素子に関する。
光電変換素子として、例えば色素増感太陽電池が知られている。
色素増感太陽電池は一般に、作用極と、対極と、作用極と対極とを連結する封止部と、作用極、対極及び封止部によって囲まれるセル空間内に充填される電解質とを備えている。作用極の一例として、透明導電性基板と、透明導電性基板の上に設けられる酸化物半導体層と、酸化物半導体層の近傍に設けられる金属配線とを有する構造が挙げられる。ここで、金属配線は、電解質による腐食を防止するため、配線保護層で被覆されるのが一般的である(例えば下記特許文献1参照)。
しかし、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池は、以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池においては、金属配線が電解質により腐食される場合があった。このため、上記色素増感太陽電池は、耐久性の点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光電変換素子に対して優れた耐久性を付与できる光電変換素子用電極及びこれを用いた光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題が生じる原因について検討した。まず上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池においては、金属配線が配線保護層で覆われており、しかも配線保護層は緻密に形成されている。このため、金属配線が電解質によって腐食されにくくなっていると考えられる。しかし、作用極と対極との間の距離(極間距離)を小さくして発電性能を高めるためには、配線保護層を薄くする必要があるところ、配線保護層が薄くなるとピンホール等の欠陥が発生しやすくなる。その結果、電解質が配線保護層に形成されたピンホールに入り込んで金属配線と接触し金属配線を腐食する結果、色素増感太陽電池の耐久性が低下するのではないかと本発明者らは考えた。そこで、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち本発明は、光電変換素子に用いられる光電変換素子用電極であって、導電性基板と、前記導電性基板の上に設けられる酸化物半導体層と、前記導電性基板上に設けられる配線部とを有し、前記配線部が、前記導電性基板上に設けられる金属配線と、前記金属配線を覆う配線保護層とを有し、前記金属配線の一部が、前記配線保護層で覆われていない露出部となっており、その露出部が硫黄含有化合物で被覆され、前記硫黄含有化合物が、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す光電変換素子用電極である。
この光電変換素子用電極は、金属配線と、金属配線を覆って電解質から保護する配線保護層と、電解質とを有する光電変換素子の電極として用いられる場合に有用である。すなわち、金属配線の一部が、配線保護層で覆われていない露出部となっていても、その露出部が上記硫黄含有化合物で被覆されている。このため、電解質と金属配線との接触を十分に抑制することができる。ここで、電解質は通常、金属配線を腐食させる腐食性物質を含んでいる。従って、本発明の光電変換素子用電極によれば、電解質による金属配線の腐食を十分に抑制することができ、光電変換素子に優れた耐久性を付与することができる。
また本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質とを備え、前記第1電極が、上述した光電変換素子用電極で構成されている光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、金属配線の一部が、配線保護層で覆われていない露出部となっていても、その露出部が上記硫黄含有化合物で被覆されている。このため、電解質と金属配線との接触を十分に抑制することができる。ここで、電解質は通常、金属配線を腐食させる腐食性物質を含んでいる。従って、本発明の光電変換素子によれば、電解質による金属配線の腐食を十分に抑制することができ、その結果、優れた耐久性を有することが可能となる。
上記光電変換素子においては、前記電解質が第2硫黄含有化合物を含有し、前記第2硫黄含有化合物が、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表すことが好ましい。
光電変換素子を取り巻く温度、圧力、湿度等は時々刻々と変化する。このため、配線保護層に過大な応力が加わって亀裂等の欠陥が生じる可能性がある。ここで、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、−S−S−基を有する化合物からなる第2硫黄含有化合物は、金属配線の表面にSAM(Self-assembled monolayer)を形成するので、金属配線に吸着しやすい。このため、電解質と金属配線との接触を十分に抑制することができる。従って、本発明の光電変換素子によれば、配線保護層に万一亀裂等の欠陥が生じても、金属配線の腐食がより十分に抑制され、その結果、より優れた耐久性を有することが可能となる。
本発明の光電変換素子は、前記電解質が上記第2硫黄含有化合物に加えて、ハロゲン化物イオン及びポリハロゲン化物イオンからなる酸化還元対をさらに含む場合に有用である。
これは、酸化還元対中のポリハロゲン化物イオンは特に金属配線を腐食させやすいところ、本発明の光電変換素子によれば、配線保護層に亀裂等の欠陥が生じても、上記第2硫黄含有化合物により金属配線とポリハロゲン化物イオンとの接触を十分に抑制することができるためである。
上記光電変換素子において、前記硫黄含有化合物及び前記第2硫黄含有化合物の少なくとも一方が、分子内に前記ポリハロゲン化物イオンと同極性の電荷を有する官能基をさらに含むことが好ましい。
この場合、電解質中のポリハロゲン化物イオンが金属配線の露出部に接近しようとしても、上記硫黄含有化合物に含まれる官能基とポリハロゲン化物イオンとが同極性であるため、両者の間に電気的反発力が働き、ポリハロゲン化物イオンを金属配線の露出部から遠ざけることができる。このため、上記光電変換素子によれば、金属配線の腐食をより十分に抑制することができ、その結果、より優れた耐久性を有することが可能となる。
あるいは、光電変換素子を取り巻く温度、圧力、湿度等が変化して配線保護層に万一亀裂等の欠陥が生じる場合でも、上記第2硫黄含有化合物は、酸化還元対のうち金属配線に対して高い腐食性を有する電解質中のポリハロゲン化物イオンよりも金属配線に吸着しやすい。このため、酸化還元対と金属配線との接触をより十分に抑制することができる。従って、本発明の光電変換素子によれば、配線保護層に万一亀裂等の欠陥が生じても、金属配線の腐食が十分に抑制され、その結果、優れた耐久性を有することが可能となる。
また本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質とを備える光電変換素子の製造方法であって、前記第1電極を形成する第1電極形成工程を含み、前記第1電極形成工程が、導電性基板と、前記導電性基板上に設けられる配線部とを有する構造体であって、前記配線部が、前記導電性基板上に設けられる金属配線と、前記金属配線を覆う配線保護層とを有し、前記金属配線の一部が、前記配線保護層で覆われていない露出部となっている構造体のうちの前記露出部を前記硫黄含有化合物で被覆する工程を含み、前記硫黄含有化合物は、−SX基、−S−S−基及び−S−基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を分子内に有する化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す光電変換素子の製造方法である。
この製造方法によれば、第1電極形成工程において、上記構造体のうちの金属配線の露出部が上記硫黄含有化合物で被覆される。このため、得られる光電変換素子においては、電解質と金属配線との接触が十分に抑制される。ここで、電解質は通常、金属配線を腐食させる腐食性物質を含んでいる。従って、本発明に係る光電変換素子の製造方法によれば、電解質による金属配線の腐食を十分に抑制することができ、優れた耐久性を有することが可能な光電変換素子を製造することができる。
本発明によれば、光電変換素子に対して優れた耐久性を付与できる光電変換素子用電極及びこれを用いた光電変換素子が提供される。
以下、本発明の実施形態について図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す断面図、図2は、図1の光電変換素子の配線部を概略的に示す部分断面図、図3は、図1の電解質を示す部分断面図である。
図1に示す光電変換素子は色素増感太陽電池100であり、色素増感太陽電池100は、作用極10と、作用極10に対向する対極20と、作用極10及び対極20を連結する環状の封止部30と、作用極10及び対極20との間に配置される電解質40とを備えている。
対極20は、対極基板21と、対極基板21の作用極10側に設けられて電解質の還元に寄与する触媒層22とを備えている。
作用極10は、透明基板11及び透明基板11の上に設けられる透明導電膜12からなる透明導電性基板15と、封止部30の内側であって透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる多孔質酸化物半導体層13と、透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる配線部16とを有している。多孔質酸化物半導体層13には光増感色素が担持されている。配線部16は、透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる金属配線17と、金属配線17を覆って電解質40から保護する配線保護層18とを有している。図2に示すように、配線保護層18にはピンホール等の欠陥Hが形成されており、金属配線17の一部が、配線保護層18で覆われていない露出部17aとなっている。そして、その露出部17aが第1硫黄含有化合物19で被覆されている。ここで、第1硫黄含有化合物19は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成されている。ここで、Xは一価の陽イオンを表す。
また、図3に示すように、電解質40は、ハロゲン化物イオン及びポリハロゲン化物イオンからなる酸化還元対41と、第2硫黄含有化合物42と、有機溶媒43とを含む。ここで、第2硫黄含有化合物42も、−SX基、−S−S−基及び−S−基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を分子内に有する化合物で構成されている。ここで、Xは一価の陽イオンを表す。なお、図3においては、説明の便宜上、ハロゲン化物イオンとポリハロゲン化物イオンをまとめて酸化還元対41として表示しているが、実際には、ハロゲン化物イオンとポリハロゲン化物イオンは、電解質40中でまとめて酸化還元対41として存在しておらず、それぞれ別々に存在している。
上述した色素増感太陽電池100によれば、金属配線17の一部が、配線保護層18で覆われていない露出部17aとなっているものの、その露出部17aが、上記第1硫黄含有化合物19で覆われている。このため、電解質40と金属配線17との接触を十分に抑制することができる。ここで、電解質40は、金属配線17を腐食させる腐食性物質であるポリハロゲン化物イオンを含んでいる。従って、色素増感太陽電池100によれば、電解質40中のポリハロゲン化物イオンによる金属配線17の腐食を十分に抑制することができ、その結果、優れた耐久性を有することが可能となる。
また色素増感太陽電池100を取り巻く温度、圧力、湿度等は時々刻々と変化する。このため、当初配線保護層18に亀裂等の欠陥が生じていなくても、配線保護層18に過大な応力が加わって亀裂等の欠陥が事後的に生じる可能性がある。ここで、第2硫黄含有化合物42は、金属配線17の表面にSAM(Self-assembled monolayer)を形成するので、金属配線17に対して高い腐食性を有する電解質40中のポリハロゲン化物イオンよりも金属配線17に吸着しやすい。このため、酸化還元対41のうちのポリハロゲン化物イオンと金属配線17との接触を十分に抑制することができる。従って、色素増感太陽電池100によれば、配線保護層18に万一亀裂等の欠陥が生じても、金属配線17の腐食が十分に抑制され、その結果、優れた耐久性を有することが可能となる。
次に、作用極10、対極20、封止部30、電解質40及び光増感色素について詳細に説明する。
<作用極>
作用極10は、上述したように、透明基板11と、透明導電膜12と、多孔質酸化物半導体層13と、配線部16とを有している。
作用極10は、上述したように、透明基板11と、透明導電膜12と、多孔質酸化物半導体層13と、配線部16とを有している。
(透明基板)
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜10000μmの範囲にすればよい。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜10000μmの範囲にすればよい。
(透明導電膜)
透明導電膜12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。中でも、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
透明導電膜12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。中でも、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
(多孔質酸化物半導体層)
多孔質酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO5)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In3O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タリウム(Ta2O5)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)又はこれらの2種以上で構成される。多孔質酸化物半導体層13の厚さは通常、0.5〜50μmである。
多孔質酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO5)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In3O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タリウム(Ta2O5)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)又はこれらの2種以上で構成される。多孔質酸化物半導体層13の厚さは通常、0.5〜50μmである。
(金属配線)
金属配線17は、透明導電膜12よりも低い抵抗を有する材料からなる。このような材料として、例えば金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン及びカーボンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、金属配線17を構成する材料としては、金、銀又は銅が好ましく用いられる。金属配線17の厚さは通常、1〜100μmである。
金属配線17は、透明導電膜12よりも低い抵抗を有する材料からなる。このような材料として、例えば金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン及びカーボンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、金属配線17を構成する材料としては、金、銀又は銅が好ましく用いられる。金属配線17の厚さは通常、1〜100μmである。
(配線保護層)
配線保護層18は絶縁材料で構成される。絶縁材料は、金属配線17を電解質40から保護することが可能なものであればいかなるものでもよい。絶縁材料としては、例えば、低融点ガラスフリット又はこれを含有するペースト状組成物の塗膜を焼成して得られるものが挙げられる。低融点ガラスフリットとしては、例えばホウ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス及びリン酸亜鉛系ガラスなどのガラス成分が挙げられる。配線保護層18の厚さは通常、1〜100μmである。また、配線保護層は単層であっても複数層であっても構わない。
配線保護層18は絶縁材料で構成される。絶縁材料は、金属配線17を電解質40から保護することが可能なものであればいかなるものでもよい。絶縁材料としては、例えば、低融点ガラスフリット又はこれを含有するペースト状組成物の塗膜を焼成して得られるものが挙げられる。低融点ガラスフリットとしては、例えばホウ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス及びリン酸亜鉛系ガラスなどのガラス成分が挙げられる。配線保護層18の厚さは通常、1〜100μmである。また、配線保護層は単層であっても複数層であっても構わない。
(第1硫黄含有化合物)
第1硫黄含有化合物19は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。ここで、Xは一価の陽イオンを表す。
第1硫黄含有化合物19は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。ここで、Xは一価の陽イオンを表す。
−SX基を有する化合物は、下記式(1)で表すことができる。
式(1)中、R1は特に制限されないが、R1としては、例えば置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換若しくは無置換のオリゴエチレングリコール基などが挙げられる。
mは、R1に結合する−SX基の数を表す。mは特に限定されないが、通常は1〜3程度のものを用いることができる。また複素環基、アルキル基、オリゴエチレングリコール基の置換基としては、例えばハロゲン基およびカルボキシル基などが挙げられる。
Xは一価の陽イオンであればよい。Xとしては、例えば水素イオン、一価の無機カチオンおよび一価の有機カチオンなどが挙げられる。一価の無機カチオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。一価の有機カチオンとしては、例えばアンモニウムイオン、四級化イミダゾリウムイオンなどが挙げられる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物、2−メルカプトピリミジンなどのピリミジン系化合物、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール系化合物、およびトリチオシアヌリック酸(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
−S−基を有する化合物としては、上記式(1)で表される化合物における−SX基の少なくとも一部において電離によりX+が脱離したものが挙げられる。
−S−S−基を有する化合物としては、例えば上記式(1)においてmが2以上である化合物を重合してなる重合体、および、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
式(2)中、R2およびR3は特に制限されるものではなく、R2およびR3としては、R1と同様の基を選ぶことができる。
上記重合体は、上記式(1)においてmが3以上である化合物を重合してなる重合体であることが好ましい。この場合、第1硫黄含有化合物19は、より緻密な状態を実現することが可能となり、金属配線17の露出部17aと電解質40中のポリハロゲン化物イオンとの接触をより十分に抑制することができる。
上記のような重合体としては、例えばトリチオシアヌリック酸(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール)を重合してなる重合体などが挙げられる。
式(2)で表される化合物としては、例えば2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール系化合物の二量体などが挙げられる。
第1硫黄含有化合物19は、分子内にポリハロゲン化物イオンと同極性の電荷を有する官能基を含むとさらに好ましい。すなわち、第1硫黄含有化合物19は、負電荷を有する官能基を含むとさらに好ましい。
この場合、配線保護層18に亀裂等の欠陥が生じ、その亀裂等の欠陥にポリハロゲン化物イオンが金属配線17の露出部17aに近づこうとしても、ポリハロゲン化物イオンと第1硫黄含有化合物19との間に電気的反発力が働き、ポリハロゲン化物イオンを金属配線17から遠ざけることができる。このため、金属配線17の腐食がより十分に抑制され、その結果、色素増感太陽電池100は、より優れた耐久性を有することが可能となる。
負電荷を有する官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基及びホスホリル基などが挙げられる。第1硫黄含有化合物19は、これらを1種類単独で含んでもよいし、2種以上の組合せを含んでいてもよい。
これらの負電荷を有する官能基は、例えば式(1)における置換複素環基、置換アルキル基などの置換基として導入することができる。
<対極>
対極20は、上述したように、対極基板21と触媒層22とを備えている。
対極20は、上述したように、対極基板21と触媒層22とを備えている。
対極基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、ステンレス、アルミニウム等の耐食性の金属材料や、上述した透明基板11にITO、FTO等の導電性酸化物からなる膜を形成したもので構成される。対極基板21の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズなどに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.01〜10mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。
<封止部>
封止部30としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などを含む各種変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
封止部30としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などを含む各種変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
<電解質>
電解質40は通常、電解液で構成され、この電解液は、酸化還元対41と、第2硫黄含有化合物42と、有機溶媒43とを含んでいる。
電解質40は通常、電解液で構成され、この電解液は、酸化還元対41と、第2硫黄含有化合物42と、有機溶媒43とを含んでいる。
有機溶媒43としては、例えばアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。
酸化還元対41は、ハロゲン化物イオンとポリハロゲン化物イオンとからなる。酸化還元対41としては、例えばヨウ化物イオン及びポリヨウ化物イオンからなる対のほか、臭素イオン及びポリ臭化物イオンからなる対などが挙げられる。
第2硫黄含有化合物42は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であればよい。ここで、Xは一価の陽イオンを表す。
上記第2硫黄含有化合物42としては、第1硫黄含有化合物19と同様のものを用いることができる。第2硫黄含有化合物42は、第1硫黄含有化合物19と同一でも異なるものでもよい。
第2硫黄含有化合物42の分子サイズは、特に制限されるものではないが、酸化還元対41に含まれるポリハロゲン化物イオンの分子サイズ以下であることが好ましい。
この場合、配線保護層18に亀裂等の欠陥が生じた場合に、その亀裂等の欠陥が、ポリハロゲン化物イオンが侵入できる程度の大きさであっても、第2硫黄含有化合物42はその亀裂等の欠陥に入り込むことができ、金属配線17に容易に吸着することができる。このため、第2硫黄含有化合物42の分子サイズが、ポリハロゲン化物イオンの分子サイズを超える場合に比べて、金属配線17とポリヨウ化物イオンとの接触をより十分に抑制することができる。例えば、トリヨウ化物イオンの長手方向の分子サイズは約6Å程度と見積もられている。
また第2硫黄含有化合物42は、分子内にポリハロゲン化物イオンと同極性の電荷を有する官能基をさらに含むことが好ましい。すなわち、第2硫黄含有化合物42は、負電荷を有する官能基をさらに含むことが好ましい。
この場合、配線保護層18に亀裂等の欠陥が生じ、その亀裂等の欠陥に第2硫黄含有化合物42が入り込んで金属配線17に吸着した後、ポリハロゲン化物イオンが金属配線17に近づこうとしても、上記第2硫黄含有化合物42に含まれる官能基とポリハロゲン化物イオンとが同極性であるため、両者の間に電気的反発力が働き、ポリハロゲン化物イオンを金属配線17から遠ざけることができる。このため、電解質40によれば、金属配線17の腐食をより十分に抑制することができ、その結果、色素増感太陽電池100に対してより優れた耐久性を付与することができる。
上記負電荷を有する官能基としては、第1硫黄含有化合物19と同様、例えばカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基及びホスホリル基などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの負電荷を有する官能基は、第1硫黄含有化合物19と同様、例えば式(1)における置換複素環基の置換基として導入することができる。
電解質40中の第2硫黄含有化合物42の濃度は、特に限定されないが、通常は1〜500mMである。
なお、電解質40は、有機溶媒43に代えて、イオン液体を用いてよい。また電解質40は、有機溶媒43に代えて、イオン液体と有機溶媒43との混合物を用いてもよい。また、これらの溶媒が酸化還元対41を形成するためのソースを兼ねても構わない。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩、アンモニウム塩、ピロリジニウム塩等の既知のヨウ化物塩、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド塩、テトラシアノホウ酸塩等であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドなどが好適に用いられる。また、電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I2、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。また、電解質40はポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの高分子からなる有機系ゲル化剤やSiO2、TiO2、カーボンナノチューブなどの無機ナノ粒子などによりゲル化されていても構わない。
<光増感色素>
光増感色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子として含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素が挙げられる。中でも、ターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体が好ましい。この場合、色素増感太陽電池100の光電変換特性をより向上させることができる。
光増感色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子として含むルテニウム錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素が挙げられる。中でも、ターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体が好ましい。この場合、色素増感太陽電池100の光電変換特性をより向上させることができる。
次に、上記色素増感太陽電池100の製造方法について説明する。但し、以下の製造方法は一例であって、手順などはこれに限定されるものではない。
<第1電極形成工程>
まず1つの透明基板11の上に、透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15を用意する。
まず1つの透明基板11の上に、透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15を用意する。
透明導電膜12の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電膜12の上に金属配線17を形成する。金属配線17は、例えば、導電材を含むペーストを透明導電膜12上に塗布し、乾燥させた後、焼成することによって得ることができる。金属配線17は、他にも、めっき、スパッタ、溶接などによっても形成することができ、特に手法を限定されることなく形成することができる。
次に、透明導電膜12の上の領域であって、金属配線17に囲まれる領域に、多孔質酸化物半導体層13を形成する。多孔質酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを塗布した後、焼成して形成する。
酸化物半導体層形成用ペーストは、一般に上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの塗布方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、インクジェットプリント法、ロールコート法、スピンコート法、スプレー塗布法、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は酸化物半導体粒子や基材の材質などにより異なるが、ガラス基板を用いる場合には通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子、添加物、溶媒の材質などにより異なるが、通常は0.5〜5時間である。
次に、金属配線17上に以下のようにして配線保護層18を形成する。
配線保護層18の形成法についても特に限定されるものはないが、一例として絶縁ペーストによるものについて説明する。まず配線保護層18を形成するための絶縁材料を含む絶縁ペーストを準備する。続いて、この絶縁ペーストを、例えばスクリーン印刷法やディスペンスなどの手法により金属配線17を被覆するように塗布する。その後、上記絶縁材料を加熱処理する。このとき、配線部16の配線保護層18にはピンホール等の欠陥Hが形成される。ピンホール等の欠陥Hは、絶縁ペーストの塗布回数を少なくすることにより形成することができる。例えば塗布回数を1回程度とすればよい。こうして、金属配線17を配線保護層18で被覆して配線部16が得られ、構造体が得られる。このとき、配線保護層18にピンホール等の欠陥Hが形成されることにより、金属配線17の一部が露出されて露出部17aとなる。
次に、構造体のうち金属配線17の露出部17aを第1硫黄含有化合物19と接触させる。露出部17aを第1硫黄含有化合物19と接触させる方法としては、例えば構造体を、第1硫黄含有化合物19を含む溶液中に浸漬させる方法や、構造体の配線保護層18の表面に上記溶液を塗布する方法、第1硫黄含有化合物19を含む蒸気中に構造体を配置する方法などが挙げられる。
なお、第1硫黄含有化合物19が、−S−S−基を有する化合物であって、上記式(1)においてmが2以上である化合物の重合体である場合には、例えば上記式(1)においてmが2以上である化合物を含む溶液中に構造体を浸漬させた後、溶液に電位を付与して上記化合物を重合させる方法(電解重合法)によって、上記重合体を得ることができる。
こうして作用極10が得られる。
次に、作用極10の多孔質酸化物半導体層13の表面に、上述した光増感色素を吸着させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その光増感色素を多孔質酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な光増感色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を多孔質酸化物半導体層13に吸着させればよい。
次に、多孔質酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。このとき、電解質40は、酸化還元対41と第2硫黄含有化合物42とを溶媒中に溶解させることにより得ることができる。電解質40は、例えば作用極10上に塗布することにより配置することが可能である。
<第2電極形成工程>
次に、対極20を用意する。対極20は、対極基板21の上に触媒層22を形成することにより得ることができる。触媒層22の形成方法としては、スパッタ法、スクリーン印刷法、又は、蒸着法などが用いられる。
次に、対極20を用意する。対極20は、対極基板21の上に触媒層22を形成することにより得ることができる。触媒層22の形成方法としては、スパッタ法、スクリーン印刷法、又は、蒸着法などが用いられる。
<貼合工程>
次に、上記のようにして得られた対極20を、作用極10と対極20との間に電解質40を配置するように重ね合わせた後、封止部形成体を介して作用極10と対極20とを貼り合わせる。こうして作用極10と対極20との間に封止部30が形成される。
次に、上記のようにして得られた対極20を、作用極10と対極20との間に電解質40を配置するように重ね合わせた後、封止部形成体を介して作用極10と対極20とを貼り合わせる。こうして作用極10と対極20との間に封止部30が形成される。
以上のようにして色素増感太陽電池100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、透明導電性基板15の透明導電膜12上に多孔質酸化物半導体層13が設けられ、こちら側から受光する構造となっているが、多孔質酸化物半導体層13が形成される基材に不透明な材料(例えば金属基板)を用い、対極20を形成する基材に透明な材料を用いて対極側から受光する構造をとっても構わず、さらに、両面から受光する構造としても構わない。
また上記実施形態では、電解質40中に第2硫黄含有化合物42が含まれているが、第2硫黄含有化合物42は、電解質40中に必ずしも含まれていなくてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
はじめに、以下のようにして作用極を作製した。まず20cm×20cm×4mmのFTO膜付きガラス基板を準備した。続いて、FTO膜付きガラス基板のうちFTO膜側の表面上に、金属配線形成用の銀ペーストを、スクリーン印刷法によって格子状に印刷し、130℃で乾燥させた。このとき、銀ペーストとしては、焼成後の体積抵抗率が約3×10−6Ωcmのものを用いた。具体的には、銀ペーストは、主に、銀粒子と、バインダ材となるガラスフリットと、増粘剤および溶剤とで構成した。そして、乾燥後の塗膜を、500℃で1時間焼結することにより金属配線を形成した。
はじめに、以下のようにして作用極を作製した。まず20cm×20cm×4mmのFTO膜付きガラス基板を準備した。続いて、FTO膜付きガラス基板のうちFTO膜側の表面上に、金属配線形成用の銀ペーストを、スクリーン印刷法によって格子状に印刷し、130℃で乾燥させた。このとき、銀ペーストとしては、焼成後の体積抵抗率が約3×10−6Ωcmのものを用いた。具体的には、銀ペーストは、主に、銀粒子と、バインダ材となるガラスフリットと、増粘剤および溶剤とで構成した。そして、乾燥後の塗膜を、500℃で1時間焼結することにより金属配線を形成した。
次に、FTO膜付きガラス基板のうちFTO膜の表面上であって、金属配線で囲まれる領域に、スクリーン印刷法によって平均粒径約20nmの酸化チタンを含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを塗布し、乾燥した。その後、この塗膜を500℃で焼成することにより、FTO膜付きガラス基板上に、多孔質酸化物半導体層を形成した。こうして作用極を作製した。
次に、低融点ガラスフリットを主成分として含む絶縁ペーストを準備し、この絶縁ペーストを、スクリーン印刷法によって金属配線を被覆するように塗布した。次いで、この絶縁ペーストを乾燥した後、480℃で1時間焼成することにより、厚さ約15μm(金属配線中央部)の配線保護層を形成した。こうして配線部を有する構造体を得た。この構造体の断面をSEMにて観察したところ、配線保護層にピンホールが形成され、金属配線の一部が露出して露出部となっていることが確認された。
次に、この構造体を、2−メルカプトベンゾチアゾールを4mMの濃度で含む溶液中に24時間浸漬させることにより金属配線の露出部を処理した。
次に、上記のようにして得た作用極を、光増感色素としてのルテニウムビピリジン錯体であるN719色素をアセトニトリルとt−ブタノールの混合溶媒中に溶解してなる色素溶液中に一昼夜浸漬して作用極に光増感色素を担持させた。
次いで、3−メトキシプロピオニトリルからなる溶媒中に、ヨウ素、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムヨウ化物塩、グアニジンチオシアネート、N−メチルベンズイミダゾールを溶解してなる電解質を調製した。そして、この電解質を、水平に配置した上記作用極の上に多孔質酸化物半導体層及び配線部を覆うように配置した。
次に、対極を用意した。対極は作用局と同程度の大きさであって、厚さ40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ8nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。
そして、作製した作用極および対極を、両極間に電解質を配置した状態で封止部形成体を介して対向配置し、封止部形成体を加熱融着することでセルを封止した。封止作業は、試料を減圧環境下に置いた状態で実施した。こうして色素増感太陽電池を得た。
(実施例2)
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、2−メルカプトピリミジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、2−メルカプトピリミジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
(実施例3)
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールを用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
(実施例4)
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、トリチオシアヌリック酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
金属配線の露出部を処理する際、構造体を浸漬させる溶液中の硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、トリチオシアヌリック酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
(実施例5)
金属配線の露出部を浸漬溶液中で処理する際、構造体を作用極とし、ポテンシオスタットを用いて電気化学的にトリチオシアヌリック酸を重合(電解重合)させたこと以外は実施例4と同様にして色素増感太陽電池を得た。
金属配線の露出部を浸漬溶液中で処理する際、構造体を作用極とし、ポテンシオスタットを用いて電気化学的にトリチオシアヌリック酸を重合(電解重合)させたこと以外は実施例4と同様にして色素増感太陽電池を得た。
(実施例6)
電解質を調製する際に、溶媒中にさらに硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールを溶解させたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
電解質を調製する際に、溶媒中にさらに硫黄含有化合物として、2−メルカプトベンゾチアゾールを溶解させたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
(比較例1)
金属配線の露出部を処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
金属配線の露出部を処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
<耐久性評価>
実施例1〜6及び比較例1で得られた色素増感太陽電池について、光電変換効率(η0)を測定した。続いて、色素増感太陽電池について、60℃の環境下で300h放置した後の光電変換効率(η)を測定した。そして、下記式:光電変換効率の低下率(%)=(η−η0)/η0×100
に基づき、光電変換効率の低下率を算出した。これを耐久性の指標とした。結果を表1に示す。
実施例1〜6及び比較例1で得られた色素増感太陽電池について、光電変換効率(η0)を測定した。続いて、色素増感太陽電池について、60℃の環境下で300h放置した後の光電変換効率(η)を測定した。そして、下記式:光電変換効率の低下率(%)=(η−η0)/η0×100
に基づき、光電変換効率の低下率を算出した。これを耐久性の指標とした。結果を表1に示す。
表1に示す結果より、実施例1〜6の色素増感太陽電池は、比較例1の色素増感太陽電池に比べて、光電変換効率の低下率が低いことが分かった。
10…作用極(第1電極)
13…多孔質酸化物半導体層
15…透明導電性基板(導電性基板)
16…配線部
17…金属配線
18…配線保護層
19…第1硫黄含有化合物
20…対極(第2電極)
40…電解質
41…酸化還元対
42…第2硫黄含有化合物
100…色素増感太陽電池(光電変換素子)
13…多孔質酸化物半導体層
15…透明導電性基板(導電性基板)
16…配線部
17…金属配線
18…配線保護層
19…第1硫黄含有化合物
20…対極(第2電極)
40…電解質
41…酸化還元対
42…第2硫黄含有化合物
100…色素増感太陽電池(光電変換素子)
Claims (6)
- 光電変換素子に用いられる光電変換素子用電極であって、
導電性基板と、
前記導電性基板の上に設けられる酸化物半導体層と、
前記導電性基板上に設けられる配線部とを有し、
前記配線部が、
前記導電性基板上に設けられる金属配線と、
前記金属配線を覆う配線保護層とを有し、
前記金属配線の一部が、前記配線保護層で覆われていない露出部となっており、その露出部が硫黄含有化合物で被覆され、前記硫黄含有化合物が、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す光電変換素子用電極。 - 第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質とを備え、
前記第1電極が、請求項1に記載の光電変換素子用電極で構成されている光電変換素子。 - 前記電解質が、前記電解質が第2硫黄含有化合物を含有し、前記第2硫黄含有化合物が、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す請求項2に記載の光電変換素子。
- 前記電解質が、ハロゲン化物イオン及びポリハロゲン化物イオンからなる酸化還元対をさらに含む、請求項2又は3に記載の光電変換素子。
- 前記硫黄含有化合物及び前記第2硫黄含有化合物の少なくとも一方が、分子内に前記ポリハロゲン化物イオンと同極性の電荷を有する官能基をさらに含む、請求項4に記載の光電変換素子。
- 第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられる電解質とを備える光電変換素子の製造方法であって、
前記第1電極を形成する第1電極形成工程を含み、
前記第1電極形成工程が、導電性基板と、前記導電性基板上に設けられる配線部とを有する構造体であって、前記配線部が、前記導電性基板上に設けられる金属配線と、前記金属配線を覆う配線保護層とを有し、前記金属配線の一部が、前記配線保護層で覆われていない露出部となっている構造体のうちの前記露出部を前記硫黄含有化合物で被覆する被覆工程を含み、
前記硫黄含有化合物は、−SX基を有する化合物、−S−基を有する化合物、及び−S−S−基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で構成され、Xは一価の陽イオンを表す、光電変換素子の製造方法。
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