JP2004327226A - 電極基板および光電変換素子 - Google Patents

電極基板および光電変換素子 Download PDF

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卓也 川島
Hiroshi Matsui
浩志 松井
Kenichi Okada
顕一 岡田
Tetsuya Ezure
哲也 江連
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
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Abstract

【課題】光電変換素子の電解質層または電荷移送層と、透明導電層や金属配線層との直接接触による短絡を回避すると共に、光電変換素子の出力特性の低下をも抑制できる電極基板および光電変換素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る電極基板は、基材10の片面上に透明導電層11と金属配線層12を順に積層して配した電極基板1であり、金属配線層12が内層13と外層14からなる二層以上の構造をなしていることを特徴としている。外層14としては自己組織化膜が用いられる。この自己組織化膜は、内層13との結合部位をなす末端の官能基に硫黄(S)元素を含むことを特徴としている。内層13としては、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)またはニッケル(Ni)の少なくとも一つの元素を含有しているものが好適に用いられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感太陽電池などの光電変換素子に用いられる電極基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発されたものであり、光電変換効率が高く、製造コストが安い等の利点をもち、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている(例えば、特許文献1、非特許文献1など参照)。
【0003】
図6は、従来の(a)光電変換素子、および(b)電極基板の一例を示す模式的な断面図であり、光電変換素子が色素増感太陽電池の場合を示すものである。この色素増感太陽電池は、電極基板101上に、酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子からなり、光増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜102を有する作用極103と、この作用極103に対向して設けられた対極104とを備えている。そして、これらの作用極103と対極104との間には、電解液が充填されることにより電解質層105が形成されている。
【0004】
前記電極基板101は、一般に、ガラス板などの基材110の上に、スズ添加酸化インジウム(ITO)やフッ素添加酸化スズ(FTO)などからなる透明導電層111を形成したものである。また、酸化物半導体多孔膜102からの集電効率を向上するため、透明導電層111の上に、金、白金、銀などからなる格子状の金属配線層112を設けることもある。
【0005】
さらに、金属配線層112や透明導電層111の表面は、金属配線層112の腐食、電解質層105の短絡や漏れ電流(逆電子移動)等による出力低下などの不都合を抑制するため、ITO、FTO、酸化チタン、酸化亜鉛などの酸化物半導体からなる遮蔽層113により被覆されている。
【0006】
また、電解質層105に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送層106を用いることがある。
このような色素増感太陽電池においては、基材110側から太陽光などの光が入射すると、作用極103と対極104との間に起電力が生じるようになっている。
【0007】
一般に、このような色素増感太陽電池においては、増感色素の担持表面積を増大させるため、酸化物半導体多孔膜102は多孔質となっている。すると、酸化物半導体と微粒子と間の間隙に電解質層105の電解液が浸透して、電極基板101の透明導電層111に接触することになる。これにより、短絡や漏れ電流(逆電子移動)などの電力の損失を生じ、色素増感太陽電池の出力低下を招くおそれがある。
【0008】
また、透明導電層111の上に金属配線層112が形成されている場合、金属から電解液への電子移動速度が速いため、漏れ電流量も多くなる。また、電解質層105に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送層106を設けた場合にも、該電荷移送層106と透明導電層111または金属配線層112が接触した場合、漏れ電流は著しいものとなり、出力低下は致命的となる。
【0009】
この問題に対処するため、透明導電層111や金属配線層112の表面を、例えば酸化チタンなどの酸化物半導体からなる遮蔽層(不図示)により被覆し、短絡の防止を図ることが検討されている。しかし、FTOなどの透明導電層111の表面は比較的粗く、この上に遮蔽層(不図示)を間隙なく形成することは難しく、未被覆部(不図示)が生じる恐れがある。
【0010】
また、遮蔽層を形成する方法がスパッタ法などの乾式法の場合、金属配線層112の周辺に急激な段差や影部が存在すると、遮蔽層が形成されない未被覆部が生じやすい。また、スピンコート法などを用いた湿式法においても、遮蔽層の原料となる塗布液のはじきや、塗布後のクラック発生等による未被覆部が生じることがある。この対策として、被覆不良を抑制するため遮蔽層の被覆厚を厚くすると、透明導電層111と電解質層115または電荷移送層116との間の電子移動を阻害し、却って光電変換効率を低下させるおそれがある。
【0011】
【特許文献1】
特開平01−220380号公報
【非特許文献1】
ミカエル・グレーツェル(M.Graetzel)ら、ネイチャー(Nature)誌、(英国)、1991年、第737号、p.353
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、光電変換素子の電解質層または電荷移送層と、透明導電層や金属配線層との直接接触による短絡を回避すると共に、光電変換素子の出力特性の低下をも抑制できる電極基板および光電変換素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電極基板は、基材の片面上に透明導電層と金属配線層を順に積層して配した電極基板であり、前記金属配線層が内層と外層からなる二層以上の構造をなしていることを特徴としている。
【0014】
かかる構成の電極基板によれば、金属配線層を内層と外層からなる二層以上の構造とすることで、金属配線層内を機能分離させることが可能となる。
内層には導電性を持たせることにより、光電変換素子の出力特性の低下を抑制させる。一方、外層には絶縁性を持たせることにより、光電変換素子の電解質層または電荷移送層と、透明導電層や金属配線層などの導電層との直接接触による短絡を回避させる。
【0015】
このような外層としては、自己組織化膜が好ましい。自己組織化膜であれば、極めて薄い原子オーダーで遮蔽機能を発揮することができ、かつ、内層の表層部にのみムラ無く被着させるが可能である。
【0016】
この自己組織化膜は、前述した内層との結合部位をなす末端の官能基に硫黄(S)元素を含むものが望ましい。この構成によれば、末端の官能基をなすS元素が選択的に、内層の表層部に付着することにより、著しく薄い厚さではあるが均一な厚さをもって、内層の表層部を被覆できる。
【0017】
つまり、外層として配した自己組織化膜は、従来の問題、すなわち前述した被覆厚の大きな遮蔽層13を用いた際の問題を解消する。したがって、外層をなす自己組織化膜は、透明導電層11と電解質層5または電荷移送層6との間の電子移動を阻害することがないので、外層が酸化物半導体多孔膜から透明導電層への電子移動を阻害するおそれが低減される。その結果、自己組織化膜は、光電変換素子の出力効率を一層向上させるので、良好な光電変換効率をもたらす。
【0018】
前記内層としては、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)またはアルミニウム(Al)の少なくとも一つの元素を含有していることが好ましい。この構成によれば、末端の官能基に硫黄(S)元素を含み外層をなす自己組織化膜は、このS元素が内層との結合部位として働き、内層を安定して被覆することができる。
【0019】
さらに、前記透明導電層は遮蔽層で被覆されていることが好ましい。これにより、透明導電層と電解質層または電荷移送層との直接接触による短絡を回避することができる。その際、遮蔽層としては、単層の他に、2層以上の多層構造を採用しても構わない。例えば、このような遮蔽層としては、透光性および酸化物半導体多孔膜との親和性が高いことから、酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、上述の電極基板を用いた光電変換素子を提供する。
例えば、上述の電極基板の上に、色素担持された酸化物半導体多孔膜を形成して作用極となし、この作用極に対向して対極を配置し、前記作用極と対極との間に、酸化還元対を含む電解質層を設けることにより、色素増感太陽電池とすることができる。
【0021】
また、上記色素増感太陽電池においては、前記酸化還元対を含む電解質層に代えて、p型半導体を主要素とする電荷移送層を設けるようにすることもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係る電極基板及びこれを用いた光電変換素子のそれぞれ一例を示す模式的な図であり、(a)は光電変換素子の断面図を、(b)は電極基板の断面図を表している。
【0023】
図1(b)に示すように、本発明に係る電極基板1は、基材10の片面上に透明導電層11と金属配線層12を順に積層して配した電極基板であり、金属配線層12が内層13と外層14からなる二層構造をなしていることを特徴としている。
【0024】
上記の電極基板1は、図1(a)に示すような光電変換素子用の基板として好適に用いられる。図1(a)は、この電極基板1を光電変換素子の一例である色素増感太陽電池に適用した場合であり、上記構成からなる電極基板1の表面上には、増感色素が担時された酸化物半導体多孔膜2が形成されており、電極基板1と酸化物半導体多孔膜2とにより、光電変換素子の作用極3が構成される。
【0025】
本実施の形態の光電変換素子が従来のものと異なる点は、図1(b)に示すように、電極基板1が、基材10上に、透明導電層11と、この透明導電層11上に形成された金属配線層12とを備え、この金属配線層12を内層13と外層14からなる二層構造としたことである。このように、金属配線層12を内層13と、この内層13の表面を外層14で被覆した二層構造とすることによって、金属配線層12内を機能分離させることが可能となる。
【0026】
特に、内層13には導電性を持たせることにより、光電変換素子の出力特性の低下を抑制させることができる。一方、外層14には絶縁性を持たせることにより、光電変換素子の電解質層または電荷移送層として機能する酸化物半導体多孔膜2と、導電層として機能する金属配線層12の内層13との直接接触による短絡を回避させる。
【0027】
基材10の材料としては、用途上、光透過性の高いものが好ましく、ガラスの他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明プラスチックシート、酸化チタン、アルミナなどのセラミックスの研磨板などを用いることができる。
【0028】
透明導電層11は、基材10上に、金属配線層12の形成領域より広い領域に亘って形成されており、その材料としては特に限定されるものではないが、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸化物が挙げられる。
【0029】
透明導電層11を形成する方法としては、透明導電層11の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。そして、光透過性と導電性を考慮して、通常0.001μm〜10μm程度の膜厚に形成される。
【0030】
金属配線層12を構成する内層13は、例えば金、銀、白金、ニッケル、アルミニウム、チタンなどの金属を、図2に示すように格子状、縞状、櫛型などのパターンにより、配線として形成したものである。電極基板1の光透過性を著しく損ねないためには、各配線の幅を1000μm以下と細くすることが好ましい。金属配線層12の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0031】
内層13を形成する方法としては、例えば、導電粒子となる金属粉とガラス微粒子などの結合剤を配合してペースト状にし、これをスクリーン印刷法、メタルマスク法、インクジェット法などの印刷法を用いて所定のパターンを形成するように塗膜し、加熱して焼成によって導電粒子を融着させる方法が挙げられる。焼成温度としては、例えば、基材10がガラスである場合には600℃以下、より好ましくは550℃以下とすることが好ましい。この他、スパッタ法、蒸着法、メッキ法などの形成方法を用いることもできる。
【0032】
導電性の観点から、内層13の体積抵抗率は、10−5Ω・cm以下であることが好ましい。内層13の表面は滑らかであることが好ましいが、多少の起伏や凹凸等の存在は差し支えない。
【0033】
外層14は、自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayers:SAMs)から構成される。自己組織化単分子膜の性質は、そのアルキル鎖長や末端の官能基、主鎖の親水性などにより変化させることができ、多彩な機能を固体表面に導入できることで知られている。
【0034】
本願では、この自己組織化単分子膜からなる外層14を上述した内層13を被覆するように設ける。その際、内層13の表面との結合部位として、末端の官能基に硫黄(S)元素を含むものが好適に用いられる。この構成によれば、図3に示すように、末端の官能基をなすS元素が選択的に、内層の表層部に付着することにより、著しく薄い厚さではあるが均一な厚さをもって、内層の表層部を被覆できる。
【0035】
つまり、外層14として配した自己組織化膜は、従来の問題、すなわち前述した被覆厚の大きな遮蔽層を用いた際の問題を解消する。したがって、本発明に係る外層14をなす自己組織化膜は、透明導電層11と電解質層5または電荷移送層6との間の電子移動を阻害することがない。したがって、外層14が酸化物半導体多孔膜2から透明導電層11への電子移動を阻害するおそれが大幅に低減される。ゆえに、外層14をなす自己組織化膜は、光電変換素子の出力効率を著しく改善するので、光電変換効率の大幅な向上をもたらす。
【0036】
上記末端の官能基に硫黄(S)元素を含むものとしては、例えば、チオール基(−SH)やジスルフィド基(−SS−)、スルフィド基(−S−)を有するものが挙げられ、具体的にはCH(CHSH、HO(CHSH、HN(CHSH、HOOC(CHSH、 CH(CHSS(CHCH、HO(CHSS(CHOH、 HN(CHSS(CHNH、HOOC(CHSS(CHCOOH、 CH(CHS(CHCH、HO(CHS(CHOH、HN(CHS(CHNH 、HOOC(CHS(CHCOOH、などが例示される。ここで、nは任意の数である。
【0037】
外層14を形成する方法としては、例えば、エタノールなどの溶媒とチオール基を有する物質(以下、チオール類と呼ぶ)とを混ぜ合わせた混合液に、透明導電層11と内層13を設けた基材10を所定の時間浸漬させた後、エタノールや純水を用いて洗浄し、次いで必要に応じて窒素雰囲気下で乾燥することにより、内層13の表面上にのみ、自己組織化単分子膜からなる外層14を形成する方法が挙げられる。
【0038】
また、図4に示すように、透明導電層11は遮蔽層15で被覆された形態としても構わない。遮蔽層15が無ければ、図1に示すように、透明導電層11の表面部のうち金属配線層12が載置されていない領域は、電解質層5または電荷移送層6と接触した状態にある。この領域を被覆するように、図4に示す遮蔽層15を設けることにより、透明導電層11と電解質層5または電荷移送層6との直接接触による短絡を回避することができる。その際、遮蔽層15としては、単層の他に、2層以上の多層構造を採用しても構わない。例えば、このような遮蔽層15としては、透光性および酸化物半導体多孔膜との親和性が高いことから、酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0039】
さらに、図5に示すように、遮蔽層16が透明導電層11と金属配線層12の全ての表面を被覆するように配置しても構わない。この構成によれば、上述した短絡の防止効果をより一層向上させることができるので望ましい。
【0040】
遮蔽層15、16は、樹脂、セラミックス、ガラス等の絶縁材料を1種類または複数種類用い、1層または複数層、透明導電層11や金属配線層12が形成された領域の上に重ねて成膜することにより、形成することができる。遮蔽層15、16が形成される領域は、光の入射や透明導電層11への電荷移動をさほど阻害しない程度であれば、その膜厚に特に限定はない。
【0041】
遮蔽層15、16の形成方法としては、必ずしも限定されるものではないが、ガラスフリットに適宜の増粘剤、結合剤、分散剤、溶剤などを配合してなるガラスペーストを用いて、スクリーン印刷法、メタルマスク法、インクジェット法などの印刷法により、金属配線層12のパターンに重なるように塗膜し、加熱して焼成する方法は、パターン形成の容易性、コスト面などの観点から好適である。焼成温度としては、600℃以下、より好ましくは550℃以下とすることが好ましい。このような温度で焼成可能なガラスとしては、非晶質もしくは結晶性ガラス系として、酸化鉛系、ホウ酸鉛系、ホウ酸鉛ビスマス系といった市販の含鉛系ハンダガラスのほか、非鉛系ハンダガラス等を用いることができる。絶縁層14の層数は1層としても複数層としてもよく、複数層とする場合は、1種類のガラスペーストを2回以上成膜してもよいし、または、溶融温度が異なる2種類以上のガラスペーストを用いてもよい。
【0042】
上述のようにして作製された電極基板1の表面上には、増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜2が形成されており、電極基板1と酸化物半導体多孔膜2とにより、光電変換素子の作用極3が構成される。
【0043】
酸化物半導体多孔膜2は、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)などの1種または2種以上を複合させた平均粒径1〜1000nmの酸化物半導体微粒子からなり、厚さが0.5〜50μm程度の多孔質の薄膜である。
【0044】
酸化物半導体多孔膜2を形成するためには、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布により塗布するほか、コロイド溶液中に電極基板1を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を電極基板1上に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
【0045】
酸化物半導体多孔膜2に担持される増感色素は、特に制限されるものではなく、例えば、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などから、用途や酸化物半導体多孔膜の材料に応じて適宜選択して用いることができる。
【0046】
電解質層5を形成するための電解液としては、酸化還元対を含む有機溶媒や室温溶融塩などを用いることができる。前記有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが例示される。また、室温溶融塩としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオンなどからなる塩類が例示される。
【0047】
前記電解液に含有される酸化還元対としては、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ることができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。
この電解液には、必要に応じてtert−ブチルピリジンなどの添加物を添加することができる。また、適当なゲル化剤によりゲル化させて流動性を抑制したものを用いてもよい。
【0048】
また、電解質層5に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送層6を用いることもできる。前記p型半導体としては、例えば、ヨウ化銅、チオシアン化銅などの一価銅化合物を好適に用いることができる。電荷移送層6の形成方法は特に制限されず、公知の方法を適用することができるが、例えば、キャスティング法、スパッタ法、蒸着法などが例示される。また、この電荷移送層6には、層形成の必要に応じて添加物を含んでいてもよい。
【0049】
対極4としては、例えば、ガラスなどの非導電性材料からなる基板上に、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体からなる薄膜を形成したもの、あるいは、基板上に、金、白金、炭素系材料などの導電性材料を蒸着、塗布などすることにより電極を形成したものを用いることができる。また、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体の薄膜上に白金、カーボンなどの層を形成したものとすることもできる。
【0050】
このような対極4を作製する方法としては、例えば、塩化白金酸の塗布後に熱処理することにより、白金層を形成する方法が挙げられる。または、蒸着法やスパッタ法によって電極を基板上に形成してもよい。
また、電解質層5に代えて電荷移送層6を用いた場合は、該電荷移送層6上に、対極4の電極となる導電性材料を直接スパッタや塗布などの方法により層形成する方法を用いることもできる。
【0051】
本実施の形態の電極基板1によれば、透明導電層11と金属配線層12とが接触していて、電気的に接続されているので、酸化物半導体多孔膜2からの電子を、透明導電層11により集電し、さらに、金属配線層12を介して集電効率を高めることができる。また、金属配線層12を導電性を有する内層13と自己組織化膜からなる外層14の二層構成としたことにより、内層13が電解質層5の溶液などから確実に遮蔽され、その腐食や漏れ電流を効果的に抑制することができる。従って、導電特性に優れる電極基板1とすることができるので、本実施の形態の電極基板を用いて、光電変換素子の作用極を構成することにより、金属配線層12と電解質層5との接触を防止し、腐食や、漏れ電流による出力の低下を抑制し、光電変換効率の高い光電変換素子を製造することができる。
【0052】
【実施例】
以下では、上述した本発明に係る電極基板1を用いて作製した色素増感太陽電池の具体例について述べる。
電極基板1として、FTOからなる透明導電層11が片面に設けられたガラスからなる基材10(セントラル硝子社製)を用いた。この透明導電層11は、膜厚が1000nmであり、9.0Ω/□のシート抵抗と9.0×10−4Ω・mの比抵抗を示すものである。また、その透明度は、波長500nmの光に対しては77%、波長600nmの光に対しては78%であった。
【0053】
FTOからなる透明導電層11上に、金属配線層12の内層13として、アディティブめっき法により金回路を形成した。金回路は、基板表面上に格子状に形成され、回路幅50μm、膜厚5μmとした。
【0054】
次いで、上記のように透明導電層11上に金配線からなる内層13を設けた基材10を用い、以下に示す手順により色素増感太陽電池を作製した。
(1)まず、上記構成からなる基材10上に、酸化物半導体多孔質膜2を形成した。この酸化物半導体多孔質膜2の形成は、粒径約25nmの酸化チタン微粒子をアセチルニトリルに分散してペーストとし、これを透明導電層11上に金配線からなる内層13を設けた基材10を被覆するように、バーコード法により厚さ10μmに塗布した。
(2)塗布後、アセチルニトリルが揮発するまで室温で放置する乾燥処理を施した。
(3)次いで、450℃で1時間、加熱焼成を施した。
(4)焼成後、酸化物半導体多孔質膜2を設けた基材10を、CH(CHSH(デカンチオール)0.1mol/lとエタノールからなる溶液に、24時間浸漬した。
(5)さらに、ルテニウムビピリジン錯体(N3色素)のエタノール溶液中に16時間浸漬して色素担持させ作用極3を作製した。
(6)対極4としては、白金膜をスパッタで設けたFTO電極基板を用意した。
(7)対極4と作用極3は、50μm厚の熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートをスペーサとして介在させた状態で対向させ、樹脂シートの溶融熱により両電極を固定した。
(8)上記固定をする際に、電解質の注液口を設け、この注液口を通して対極4と作用極3の隙間に、ヨウ素/ヨウ化物の電解液を充填して電解質層5とし、本実施例に係る色素増感太陽電池Aを作製した。
【0055】
上記構成からなる太陽電池Aについて、人工太陽光(AM1.5)を照射し、電流・電圧特性を測定し、その発電効率(η)を求めた。その結果、本実施例に係る色素増感太陽電池Aは、発電効率ηが3.3%であることが確認された。
【0056】
比較のため、自己組織化単分子膜(SAMs)からなる外層14を設けず、金配線からなる内層13のみを金属配線層12とし、他の構成は上述した太陽電池Aと同一とした色素増感太陽電池Bを作製した。そして、同様に、色素増感太陽電池Bについても発電効率ηを求めたところ、色素増感太陽電池Bの発電効率ηは0.23%であった。
【0057】
さらに比較のため、金属配線層12を設けず、基材10のFTOからなる透明導電層11上に、直ちに酸化物半導体多孔質膜2を設ける構成とし、他の構成は上述した太陽電池Aと同一とした色素増感太陽電池Cを作製した。そして、同様に、色素増感太陽電池Cについても発電効率ηを求めたところ、色素増感太陽電池Cの発電効率ηは0.11%であった。
【0058】
上記の結果より、本願発明に係る金属配線層12を内層13と外層14からなる二層構造とした電極基板1を用いた光電変換素子Aは、この二層構造を持たない構成とした光電変換素子Bや光電変換素子Cに比べて、桁違いに大きな発電効率ηとなることが明らかとなった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る金属配線層12を内層13と外層14からなる二層以上の構造とした電極基板1は、光電変換素子の電解質層5または電荷移送層6と、透明導電層11や金属配線層などの導電層すなわち内層12との直接接触による短絡を回避すると共に、光電変換素子の出力特性の低下をも抑制できるので、光電変換素子の特性を大幅に改善することに寄与する。
【0060】
このような電極基板を光電変換素子に用いた場合には、酸化物半導体多孔膜を通ってくる電子を、透明導電層を介して集電し、さらに金属配線層により集電効率を向上することができる。このため、該電極基板の抵抗を低下させるとともに、金属配線層の腐食等による品質の劣化、漏れ電流等による出力の低下などの不都合を抑制することができるので、例えば、自己組織化膜からなる外層14を設けない場合に比べて、例えば、100mm角級の大面積セルにおいても、光電変換効率を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る(a)光電変換素子、および(b)電極基板の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】金属配線層の概略形状の一例を示す部分平面図である。
【図3】Auからなる内層と自己組織化膜からなる外層の二層構造をなす金属配線層の模式的な断面図である。
【図4】本発明に係る電極基板の第二の実施形態を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明に係る電極基板の第三の実施形態を示す模式的な断面図である。
【図6】従来の(a)光電変換素子、および(b)電極基板の一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 電極基板、2 酸化物半導体多孔膜、3 作用極、4 対極、5 電解質層、6 電荷移送層、10 基材、11 透明導電層、12 金属配線層、13内層、14 外層(自己組織化膜)、15 遮蔽層。

Claims (8)

  1. 基材の片面上に透明導電層と金属配線層を順に積層して配した電極基板であり、前記金属配線層が内層と外層からなる二層以上の構造をなしていることを特徴とする電極基板。
  2. 前記外層は、自己組織化膜であることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
  3. 前記自己組織化膜は、前記内層との結合部位をなす末端の官能基に硫黄(S)元素を含むことを特徴とする請求項2に記載の電極基板。
  4. 前記内層は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)またはアルミニウム(Al)の少なくとも一つの元素を含有していることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
  5. 前記透明導電層は、遮蔽層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の電極基板。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極基板を有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極基板の上に色素担持された酸化物半導体多孔膜を備える作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、
    前記作用極と対極との間に、酸化還元対を含む電解質層が設けられていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極基板の上に色素担持された酸化物半導体多孔膜を備える作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを具備し、
    前記作用極と対極との間に、p型半導体を主要素とする電荷移送層が設けられていることを特徴とする色素増感太陽電池。
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