JP4203554B2 - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光電変換素子及びその製造方法に関し、特に、色素により増感された酸化物半導体層を用いた光電変換素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色素を吸着させた酸化物半導体を電極に用いる光電変換素子を使用した電池は、一般に色素増感型太陽電池と称されている(例えば、Nature 第353巻、第737〜740頁、1991年、米国特許4927721号、特許第2664194号、特開平6−163966号公報、特開平9−259943号公報等参照)。
この色素増感型太陽電池は、P−N接合型の半導体素子を用いた太陽電池と比較すると、材料としてTiOに代表される安価な酸化物半導体微粒子を使用すること、資源枯渇が危惧されているシリコン等の材料を用いないこと、ドクターブレード法やスクリーン印刷法等の簡易な製膜法によって太陽電池素子を形成できること等の特徴を有することから、低価格化が可能な太陽電池として注目されている。
【0003】
図7は従来の光電変換素子の一例を示す断面図であり、この光電変換素子(以下、単に太陽電池と称することもある)は、アノード電極(透明電極)1とカソード電極(対向電極)2とが後述する光電極層12以上の厚みのスペーサ間隔をおいて対向配置され、これらアノード電極1とカソード電極2と側壁3によりセル4が構成され、このセル4内に電解質5が封入されている。
アノード電極1は、導電性及び光透過性を有するガラス基板11と、このガラス基板11のセル側の面に形成された光電極層12とにより構成されている。
【0004】
光電極層12は、図8に示すように、多孔質の酸化物半導体層13の表面に増感色素14が吸着されたもので、多孔質の酸化物半導体層13は、例えば、酸化物半導体微粒子を溶媒等と混合して酸化物半導体ペーストとし、この酸化物半導体ペーストをガラス基板11上に塗布した後、焼成することによって作製することができる。また、金属膜の陽極酸化によって作製された多孔質膜も使用可能である。
多孔質の酸化物半導体層13は、一般的には光半導体であるアナターゼ型の酸化チタン(TiO)が使用されるが、そのほかのn型半導体であっても、電子伝導性を有しかつ伝導帯におけるエネルギーレベルの位置が色素から電子が注入され得る位置にあるものであれば使用可能である。このn型半導体としては、例えば、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)等が挙げられる。
【0005】
この光電変換素子では、アノード電極1側から太陽光Lが入射すると、この太陽光Lのうちの可視光により多孔質の酸化物半導体層13に吸着されている増感色素14が励起され、この励起により発生した電子が多孔質の酸化物半導体層13に注入され、この注入された電子がガラス基板11を介して外部に取り出されることにより発電が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の光電変換素子では、多孔質の酸化物半導体層13を構成する材料として、酸化チタン以外の単純酸化物半導体、例えば、酸化スズ、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウム等の単純酸化物半導体を用いた場合の光電変換効率は、酸化チタンを用いた場合の半分程度になってしまうという問題点があった。
【0007】
この原因は、それぞれの半導体で異なるが、例えば、酸化ニオブやチタン酸ストロンチウムでは、伝導帯におけるエネルギーレベルの位置が色素のLUMO(最低非占有軌道)の位置に対して十分なエネルギーギャップを有しないために、増感色素14からの電子注入が生じなかったり、あるいは電子注入がされ難いものであったり等の問題が生じ、したがって、光電流が大幅に低下し、結果として、酸化チタンに比べて光電変換効率が低下することとなる。
また、酸化スズでは、伝導帯におけるエネルギーレベルの位置が低いために、光開放電圧が低くなることと、多孔質の酸化物半導体層13と電解質5との間の電子移動が酸化チタンの場合に比べて起こり易く、増感色素14から注入された多孔質の酸化物半導体層13中の電子が電解質5との再結合により失われ易いために光開放電圧が得られず、その結果、酸化チタンに比べて光電変換効率が低下することとなる。
【0008】
一方、酸化チタンを用いた場合においても、理論的に可能な光開放電圧よりも低い光開放電圧しか得られていないという問題点があった。
これは、酸化チタンについても、増感色素14から注入された多孔質の酸化物半導体層13中の電子が電解質5との再結合によって失われ易いという電子再結合の問題が存在するためと考えられる。
【0009】
そこで、光開放電圧を高めるために、複数の材料からなる複合体多孔質層を作製し、この複合体多孔質層に増感色素を吸着させたものを光電極層として使用する試みもなされている。例えば、酸化亜鉛(ZnO)と酸化スズ(SnO)から複合体多孔質層を形成する方法が検討されている。
この複合体多孔質層は、酸化亜鉛微粒子及び酸化スズ微粒子を溶媒中で混合したゾルを、スプレー等を用いてガラス基板11上に塗布し、その後焼成することにより得られる。
【0010】
しかしながら、この複合体多孔質層は、スプレー等を用いてガラス基板11上に塗布し焼成して得られるものであるから、本質的に、作製される光電極層も単に複数の物質が不規則に混合した状態であり、一方の材料が多孔質層を形成し、他方の材料がそれを被覆する構成にはなっていない。したがって、酸化亜鉛、酸化スズそれぞれの単純酸化物のみから形成される光電極層よりも高い光電変換効率が得られるものの、光電変換効率は期待した程向上してはいない。
【0011】
また、上記の酸化チタンや酸化亜鉛及び酸化スズからなる複合体多孔質層、あるいはその他の光半導体電極を用いて光電変換素子を構成した場合においても、例えば、0.7V以上の光解放電圧を得るためには、増感色素を吸着させた後にターシャリーブチルピリジン、ビニルピリジン、アンモニア等の塩基性物質またはそれらを溶媒に溶解させた溶液に浸漬するか、もしくは電解質にターシャリーブチルピリジン、ビニルピリジン、アンモニア等の塩基性物質を添加することが必要である。
【0012】
このように、光半導体電極の塩基性物質またはそれらの物質を溶媒に溶解させた溶液への浸漬若しくは電解質への塩基性物質の添加を行えば、光電極層の伝導体のエネルギーレベルの位置をネガティブにすることで、光電極層表面に吸着することにより増感色素から光電極層に注入された電子と電解液の再結合を阻害し、その結果、高い光開放電圧が得られるが、塩基性溶液への浸漬もしくは添加は、製造プロセスの増加となり、製造コストを押し上げる要因になるという問題点があった。
また、塩基性溶液は、揮発性のため処理条件のわずかな変化に影響されて処理の再現性が乏しく、期待する効果が得られないことが問題である。一方、電解液にターシャリーブチルピリジン、ビニルピリジン、アンモニア等の塩基性物質を添加することは電解液の粘度上昇と伝導度低下をもたらし、結果として得られる光短絡電流が低下する。
光電変換効率は、光解放電圧、光短絡電流、形状因子により決定されるために、光短絡電流が低下すれば、光電変換効率の向上の効果が得られないことになる。
また、これらのうちピリジン系物質は毒性を有するので、環境保護の観点からはこのような物質を使用しないことが求められる。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、色素増感型の光電変換素子の光解放電圧を高めることにより、高い光電変換効率を得ることが可能な光電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置した光電変換素子について、鋭意検討を重ねた結果、多孔質の酸化物半導体層を、透明性かつ導電性を有する基板上に形成された電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層と、この多孔質の表面を被覆しかつ該多孔質と同一物質の微粒子あるいは薄膜からなる第1の被覆層と、この被覆層の表面を被覆しかつ該被覆層と異なる物質により構成され、しかも導電性、半導性あるいは絶縁性を有する微粒子または薄膜により構成される第2の被覆層とにより構成することにより、解決できることを見いだした。
【0015】
すなわち、本発明の光電変換素子は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、この酸化物半導体層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子において、前記酸化物半導体層の表面には、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層が形成され、この第1の被覆層の上には、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層が形成され、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素が吸着されてなることを特徴とする。
【0016】
この光電変換素子では、色素から酸化物半導体層に注入された電子は、速やかに透明電極に到達し、かつ、この電子と電解質との再結合が妨げられる。これにより、光解放電圧が高まる。
すなわち、酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成することにより、酸化物半導体層の粒界や結晶化が不十分であった部分の結晶性が向上し、電子伝導性が向上する。これにより、色素から酸化物半導体層に注入された電子が速やかに透明電極に到達し、電解質との間で電子が再結合する確率が減少する。
【0017】
また、第1の被覆層上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成することにより、酸化物半導体層を覆っている第1の被覆層と第2の被覆層との界面に電位障壁を形成し、かつ、電子伝導を担う酸化物半導体層及び第1の被覆層と電解質との物理的距離が増大し、電子が再結合する確率が減少する。
この第2の被覆層を構成する物質の伝導帯のエネルギーレベルは、酸化物半導体層及び第1の被覆層を構成する物質の伝導帯のエネルギーレベルに対して、低くても高くてもかまわないが、第2の被覆層の伝導帯のエネルギーレベルは酸化物半導体層及び第1の被覆層の伝導帯のエネルギーレベルより高い方が好ましい。
【0018】
前記酸化物半導体層を構成する物質は、チタン、亜鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タングステン、タンタル、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、ジルコニウムの群から選択される少なくとも1種の酸化物であることが好ましい。前記第2の被覆層を構成する物質は、半導体、金属のカルコゲナイド、ペロブスカイト構造を有する化合物、の群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。ここで、金属のカルコゲナイドとは、金属の酸化物、硫化物、テルル化物等のカルコゲナイドのことである。
【0019】
本発明の光電変換素子の製造方法は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、前記酸化物半導体層が形成された透明電極を、前記第1の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記酸化物半導体層上に前記第1の被覆層を形成することを特徴とする。
【0020】
この製造方法では、前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極を、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することが好ましい。
【0021】
本発明の光電変換素子の他の製造方法は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極を、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする。
【0022】
本発明の光電変換素子のまた他の製造方法は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、前記酸化物半導体層が形成された透明電極と第2の電極とを、前記第1の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これら電極間に電圧を引加し、前記酸化物半導体層上に前記第1の被覆層を形成することを特徴とする。
【0023】
この製造方法では、前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極と第2の電極とを、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これらの電極間に電圧を引加し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することが好ましい。
【0024】
本発明の光電変換素子のさらに他の製造方法は、透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極と第2の電極とを、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これらの電極間に電圧を引加し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の光電変換素子及びその製造方法の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の光電変換素子を示す断面図、図2は、この光電変換素子の要部であるアノード電極(透明電極)の光電極層を示す断面図であり、これらの図において、図7及び図8と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0026】
この光電変換素子(以下、単に太陽電池と称することもある)は、アノード電極(透明電極)21と、導電性のガラス基板からなるカソード電極(対向電極)2とが、後述する光電極層22以上の厚みのスペーサ間隔、例えば数μm〜数mmの間隔をおいて対向配置され、これらアノード電極21とカソード電極2と側壁3とにより形成される空間部がセル23とされ、このセル23内に電解質5が封入されている。
【0027】
カソード電極2は、導電性を有する材料からなるもので、酸化スズ(SnO)、酸化スズ含有酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)等の導電膜が表面に形成されたガラス基板、または、チタン(Ti)やアルミニウム(Al)等の金属板やポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)等の樹脂板上に、金属、酸化錫(SnO)、ITO等の導電膜が形成された導電性基板、あるいは、ガラス、金属、樹脂等からなる基板上に、白金(Pt)、カーボン(C)等の電解液に対する電子授受の触媒活性の高い物質からなる電極を設けた導電性基板が好適に用いられる。
【0028】
側壁3は、絶縁性を有する材料からなるもので、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂等から構成されている。
電解質5としては、I(ヨウ素)、LiI(ヨウ化リチウム)、ジメチルプロピルイミダゾリウムヨージド等をアセトニトリルに溶解させた電解質溶液が好適に用いられる。また、溶液の揮発を考慮すると、電解質5としては、固体化された電解質がより好ましい。
【0029】
アノード電極21は、電解質5側の表面に導電性及び光透過性を有する膜が形成された透明基板11と、この透明基板11の導電性を有する面に形成された光電極層22とにより構成されている。
光電極層22は、図2に示すように、電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層31と、この酸化物半導体層31の表面に形成され該酸化物半導体層31を構成する物質と同一の物質からなる膜状の被覆層(第1の被覆層)32と、この膜状の被覆層32の表面に形成され前記酸化物半導体層31を構成する物質と異なる物質からなる粒子状の被覆層(第2の被覆層)33と、これら酸化物半導体層31及び被覆層32、33の少なくとも一部の表面に吸着された増感色素(図示略)とにより構成されている。
【0030】
図3は本実施形態の光電極層の第1の変形例を示す断面図であり、この光電極層41は、電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層31と、この酸化物半導体層31の表面に形成され該酸化物半導体層31を構成する物質と同一の物質からなる粒子状の被覆層(第1の被覆層)42と、この粒子状の被覆層42の表面に形成され前記酸化物半導体層31を構成する物質と異なる物質からなる膜状の被覆層(第2の被覆層)43と、これら酸化物半導体層31及び被覆層42、43の表面に吸着された増感色素(図示略)とにより構成されている。
【0031】
図4は本実施形態の光電極層の第2の変形例を示す断面図であり、この光電極層51は、電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層31と、この酸化物半導体層31の表面に形成され該酸化物半導体層31を構成する物質と同一の物質からなる膜状の被覆層(第1の被覆層)52と、この膜状の被覆層52の表面に形成され前記酸化物半導体層31を構成する物質と異なる物質からなる膜状の被覆層(第2の被覆層)53と、これら酸化物半導体層31及び被覆層52、53の表面に吸着された増感色素(図示略)とにより構成されている。
【0032】
図5は本実施形態の光電極層の第3の変形例を示す断面図であり、この光電極層61は、電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層31と、この酸化物半導体層31の表面に形成され該酸化物半導体層31を構成する物質と同一の物質からなる粒子状の被覆層(第1の被覆層)62と、この粒子状の被覆層62の表面に形成され前記酸化物半導体層31を構成する物質と異なる物質からなる粒子状の被覆層(第2の被覆層)63と、これら酸化物半導体層31及び被覆層62、63の表面に吸着された増感色素(図示略)とにより構成されている。
【0033】
なお、上記の光電極層22、41、51、61においては、膜状の被覆層とは、粒子が互いに接続して連なることで膜状となったものを指し、粒子状の被覆層とは、膜が一部不連続に形成されたもの、もしくは島状に形成されたものを指し、両者に大きな相違はない。
【0034】
透明基板11は、透明性を有するガラス、PET等の基板上に、酸化スズ(SnO)、酸化スズ含有酸化インジウム(ITO)、フッ素含有酸化スズ(FTO:fluorine Tin Oxide)等の導電性及び透明性を有する膜が形成されたものが好適に使用される。
【0035】
透明性及び導電性については特に限定するものではないが、実質的に、太陽光のうち所定の範囲の波長の光に対して透明であることが必要であり、例えば、400〜900nmの波長範囲において、光全体の透過率は50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのが特に好ましい。また、この導電性及び透明性を有する膜の表面抵抗(面積抵抗ともいう)は、低い程良い。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
なお、表面抵抗を下げるために、上記の膜の上、若しくは透明性を有する基板の上に、金属バス配線を形成してもよい。
【0036】
増感色素は、外部から照射された光を吸収し、この光により励起された電子を電子伝導性を有する多孔質の酸化物半導体層31に注入するもので、増感色素としては、太陽光のうち所定の範囲の波長の光、例えば400〜900nmの波長の範囲の光を吸収し、多孔質の酸化物半導体層31に電子を注入する能力があれば特に種類は限定されないが、例えば、ルテニウムのビピリジン系錯体、メロシアニン系等の有機色素等が好適に使用される。
【0037】
多孔質の酸化物半導体層31を構成する物質としては、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)の群から選択される少なくとも1種の酸化物であることが好ましく、これらの金属のうち1種の金属からなる金属酸化物であっても、これらの金属のうち2種以上の金属を含む酸化物、あるいは、上記の金属酸化物を2種以上含む複合酸化物であってもよい。
また、これらの金属酸化物の替わりに、これらの金属酸化物に他の成分を微量ドープした異元素添加金属酸化物を用いてもよい。
【0038】
この酸化物半導体層31の多孔度については特に限定されるものではないが、多孔度が高いほど吸着する増感色素の量が増大し易いために、ある一定の値以上の多孔度が必要とされる。この必要とされる多孔度は、増感色素の吸収係数、単位実表面積当たりの色素吸着量、多孔質層の層厚、多孔質層の電子伝導性等によって限定され、実質的には、見かけの表面積の100〜5000倍の実表面積、より好ましくは500〜3000倍の実表面積を有することが必要となる。
【0039】
第1の被覆層である被覆層32、42、52、62を構成する物質は、酸化物半導体層31を構成する物質と同一の物質である。
また、第2の被覆層である被覆層33、43、53、63を構成する物質は、酸化物半導体層31を構成する物質と異なる物質からなるもので、半導体、金属のカルコゲナイド、ペロブスカイト構造を有する化合物、の群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0040】
半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体で半導体となる物質が挙げられ、また、化合物半導体としては、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等が挙げられ、III−V族化合物半導体としては、例えば、GaAs、GaAlAs、GaAsP、GaAlAsP等が挙げられる。また、金属のカルコゲナイドとしては、例えば、金属の酸化物、硫化物、セレン化物、またはそれらの複合物等が挙げられ、この金属としては、例えば、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ケイ素(Si)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、銅(Cu)等が挙げられる。
【0041】
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウムバリウム(SrBa1−xTiO)、チタン酸バリウムランタン(BaLa1−xTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸ナトリウム(NaTiO)、チタン酸ビスマス(BiTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)等が挙げられる。また、これらの化合物に微量元素をドープして使用することもできる。
中でも、特にZnの酸化物、Baの酸化物、Inの酸化物、Srの酸化物、Zrの酸化物、Alの酸化物、Mgの酸化物が好ましい。
【0042】
酸化物半導体層31が酸化チタン(TiO)の場合は、第2の被覆層として、Zn、Ba、In、Sr、Al、Zr、Nb、Taの酸化物が好ましい。また、酸化物半導体層31が酸化亜鉛(ZnO)の場合は、第2の被覆層として、Ba、In、Sr、Al、Zr、Nb、Ta、Tiの酸化物が好ましい。また、酸化物半導体層31が酸化スズ(SnO)の場合は、第2の被覆層として、Ti、Cu、Zr、Bi、Ta、Nb、Y、Alの酸化物が好ましい。
【0043】
上記の被覆層32、42、52、62及び被覆層33、43、53、63を作製する方法としては、溶液浸漬法や電気的析出法を用いることができる。
溶液浸漬法は、多孔質の酸化物半導体層31が形成された透明基板11を、処理液に浸漬(塗布することを含む)し、この酸化物半導体層31の表面に前記処理液を物理的・化学的に吸着させる。処理液としては、目的とする被覆層を構成する物質の前駆体である、アルコキシド、無機化合物、錯体等を溶媒に溶解させたものを使用することができる。
【0044】
また、この酸化物半導体層31の表面への吸着には、この酸化物半導体層31の表面の水酸基と処理液中の前駆体の官能基間での加水分解や重縮合を使用することもでき、静電相互作用による吸着を利用することもできる。
処理液への浸漬(塗布することを含む)後、必要に応じて洗浄し乾燥させた後、空気中600℃以下の温度で焼成することにより、多孔質の酸化物半導体層31の表面に、第1の被覆層である被覆層32(42、52、62)を形成することができる。
【0045】
この溶液浸漬法は、上記の第1の被覆層を形成する場合の他、第2の被覆層を形成する場合に用いてもよく、第1及び第2の被覆層共に形成する場合に用いてもよい。
第1及び第2の被覆層共に形成する場合、第1の被覆層となる処理液への浸漬(または塗布)後、空気中あるいは酸素雰囲気中にて焼成し、次いで、第2の被覆層となる処理液への浸漬(または塗布)後、この第2の被覆層が酸化物であれば空気中あるいは酸素雰囲気中にて焼成し、この第2の被覆層が酸化物以外の物質、例えば窒化物であれば不活性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中にて焼成することにより、第1の被覆層、第2の被覆層を順次形成することができる。
なお、第1及び第2の被覆層共に酸化物である場合、第1の被覆層となる処理液への浸漬(または塗布)後、第2の被覆層となる処理液へ浸漬(または塗布)し、その後、空気中あるいは酸素雰囲気中にて焼成してもよい。
【0046】
一方、電気的析出法(以下、電析法とも称する)は、金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩の溶液に、1対あるいはそれ以上の電極を浸漬し、これらの電極間に電圧を引加することにより、溶液中の無機酸塩等を還元し、一方の電極上に堆積させる手法である。
この電気的析出法によれば、スパッタリングや蒸着法に比べ高価な真空装置、高純度のターゲットや蒸着源が不要であるから、成膜の際の製造コストを飛躍的に削減することができる。
【0047】
この電気的析出法の応用として、金属酸化物や金属硫化物等の金属カルコゲナイドを作製する方法も開発されている。例えば、特開平7−23775号公報、Masanobu Izaki, Takashi Omi : Journal of the Electrochemical Society, Vol.143, No.3 pp.L53-L55 (1996), "Electrolyte optimization for cathodic growth of zinc oxide films" 等では、酸化亜鉛電析の電析浴として硝酸亜鉛の水溶液が使用できることを示している。
これは、硝酸亜鉛の水溶液中に、基板、対極及び参照電極を浸漬し、基板と対極間に基板側が負の電位になるように電界をかけることにより、下記の反応式により酸化亜鉛が析出する作用を利用したものである。
NO +HO+2e→NO +2OH
Zn2++2OH→Zn(OH)
Zn(OH)→ZnO+H
【0048】
また、太陽電池の電極用途としての酸化亜鉛膜の作製方法として、電気的析出法を応用したものが提案されている(例えば、特開2002−184476等参照)。
【0049】
本実施形態における微粒子、薄膜の複合構造を作製する方法として、電気的析出法を用いる場合は、電析の1方の電極として、多孔質の酸化物半導体層31が形成された透明基板11(透明電極)を使用し、この透明基板11と第2の電極とを、第1の被覆層を構成する元素を含む溶液、例えば、金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩の溶液に浸漬し、これらの電極間に電圧を引加することにより、多孔質の酸化物半導体層31の表面のみに異種・同種物質の微粒子や薄膜を形成させる。
【0050】
図6は、本実施形態の光電変換素子の製造方法に用いられる電気的析出装置を示す概略構成図であり、ここでは、多孔質の酸化チタン層上に酸化亜鉛を電気的に析出する場合を例に採り説明する。
図において、符号71は電析浴(第1の被覆層を構成する元素を含む溶液)、72は電析浴71を貯留する電析槽、73は電析浴71に浸漬される基体(電極)である。ここでは、基体73として、例えば、多孔質の酸化物半導体層31が形成された導電性を有する透明基板11を用いる。
【0051】
また、74は電析浴71に浸漬されかつ基体73に対して対向配置される対向電極、75は基体73の電位を制御する場合に用いられ下方が電析浴71に浸漬された電位参照極、76は基体73、対向電極74及び電位参照極75各々に接続された電位電圧調整器、77は電析浴71を加熱するヒータ、78はヒータ77の温度を調節する温度調節器、79は撹拌羽根、80は攪拌機、81は光照射装置である。
【0052】
対向電極74としては、チタン(Ti)、白金(Pt)、ステンレススチール(例えば、SUS316等)、グラファイト、カーボン(無定型炭素)等の電析浴71に不溶性の電極材料が、メンテナンス性の観点から好ましく使用できる。また、電析浴71中の金属イオン濃度とpHを保つために電析する金属と同じ金属を用いることもできる。
【0053】
なお、基体73と対向電極74の2つの電極でも電析は可能であるが、基体73の電位を制御する必要がある場合は、電位参照極75を用いて制御することができる。
また、電気的析出法は、第1の被覆層を形成する場合、第2の被覆層を形成する場合の双方に適用することができる。第1及び第2の被覆層共に形成する場合に用いてもよく、一方の被覆層を溶液浸漬法により形成してもよい。
【0054】
電析浴71中の硝酸亜鉛濃度としては、1×10−3mol/L〜2mol/Lの濃度が実施可能であるが、析出物の均一性と析出速度から2×10−3mol/L〜2×10−2mol/Lが好ましい。また、電析浴71のpHは、電析処理中の副生成物を再溶解させるために2以下であることが好ましい。また、析出物の均一性、平滑性を向上させるために、電析浴71中に界面活性剤を添加することもできる。また、電析浴71はヒータ77により40℃〜95℃の間の一定の温度に保持することができる。また、電析浴71内の局所的な濃度分布を無くし全体を均一な溶液とするために、この電析浴71を攪拌羽根79により撹拌することが好ましい。
【0055】
この電析の際に、光照射装置81を用いて、電析槽72の外方から多孔質の酸化物半導体層31に光を照射することにより、この多孔質の酸化物半導体層31を光励起状態に保ちつつ電気的析出処理をすることもできる。この際の光としては、多孔質の酸化物半導体層31を構成する材料のエネルギーギャップに相当する波長の光よりも短波長(高エネルギー)の光を使用することができる。
光照射することにより、多孔質の酸化物半導体層31の電位分布を均一化し、この多孔質の酸化物半導体層31の表面上での電気的析出を均一化することが可能である。
【0056】
この電気的析出法により被覆処理を行った後には、基体73に乾燥処理を施し、この基体73の表面に吸着した電析浴71の溶媒を揮発させることが好ましい。
また、この基体73に、酸素、窒素、アルゴン、硫黄等の雰囲気中、または硫化水素雰囲気中、あるいは真空中にて、600℃以下の熱処理を施すアニール処理を施すことができる。これにより、析出物を酸化物あるいは硫化物とすることができる。また、硝酸亜鉛水溶液のカソード電析のように、直接、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物が形成されるような場合でも、結晶性を向上させるためにアニール処理を行うことが好ましい。なお、電析によって十分な結晶性を得られた場合はこの限りではない。
【0057】
以上説明した様に、上記の被覆層32、42、52、62及び被覆層33、43、53、63を作製する方法としては、溶液浸漬法、電気的析出法の双方共、用いることができ、本発明の効果を得ることができる。
溶液浸漬法においては、多孔質の酸化物半導体層31、または被覆層32、42、52、62、もしくは被覆層33、43、53、63の表面以外の部分において前駆体の析出や加水分解が生じる可能性があり、析出の後の洗浄によっても残査が残る可能性がある。
【0058】
この残査に由来する物質は、たとえ吸着した増感色素から電子が注入されたとしても、その電子は、多孔質の酸化物半導体層31、または被覆層32、42、52、62、もしくは被覆層33、43、53、63を通じて外部に取り出されることはない。
しかも、この残査に由来する物質に吸着された増感色素は、外部から照射された光を吸収してしまい、結果として、有効利用される光の量を減少させることとなる。
【0059】
これに対して、電気的析出法では、析出に必要な電荷が多孔質の酸化物半導体層31、または被覆層32、42、52、62、もしくは被覆層33、43、53、63の表面から供給され、その場で反応が生じるために、多孔質の酸化物半導体層31、または被覆層32、42、52、62、もしくは被覆層33、43、53、63の表面でのみ、目的とする物質及びその前駆体が生成する。
以上の理由から、電気的析出法を用いるのがより好ましいことであるが、溶液浸漬法を用いて被覆層32、42、52、62、もしくは被覆層33、43、53、63を作製しても、本発明の効果を得ることができる。
【0060】
以上のように、溶液浸漬法または電気的析出法により形成した第2の被覆層である被覆層33、43、53、63の微粒子層の厚さ、あるいは膜の厚さは、10nm以下が好ましく、より好ましくは0.1nm〜5nmである。
このような被覆層33、43、53、63を形成することにより、可視光によって励起された色素から発生した電子が多孔質の酸化物半導体層31または被覆層32、42、52、62へ移動するのを阻害されるのを、防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、多孔質の酸化物半導体層31の全表面において、微粒子または薄膜からなる被覆層32(42、52、62)に、微粒子または薄膜からなる被覆層33(43、53、63)と増感色素を順次積層した構成についてのみ説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、多孔質の酸化物半導体層31の少なくとも一部が、被覆層32(42、52、62)あるいは被覆層33(43、53、63)により被覆されていれば良い。
また、増感色素についても同様、多孔質の酸化物半導体層31の少なくとも一部に吸着されていればよい。
【0062】
したがって、例えば、多孔質の酸化物半導体層31の表面において、部分的にのみ被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)を形成し、これら被覆層32(42、52、62)及び被覆層33(43、53、63)が形成されない箇所に増感色素を吸着させる構成としても良い。
また、多孔質の酸化物半導体層31の表面において、部分的にのみ被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)を形成し、これら被覆層32(42、52、62)及び被覆層33(43、53、63)が形成された多孔質の酸化物半導体層31の全表面を覆うように色素を吸着させる構成としても良い。
【0063】
あるいは、多孔質の酸化物半導体層31の表面の全面に、被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)を形成し、これら被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)の表面に部分的にのみ増感色素を吸着させる構成としても良い。
ただし、多孔質の酸化物半導体層31の表面において、被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)による被覆面積が大きい程、本発明の効果を得ることができる。また、酸化物半導体微粒子からなる被覆層53の表面においては、増感色素の吸着面積が大きい程、この増感色素による増感効果を得ることができる。
【0064】
また、多孔質の酸化物半導体層31の表面において、被覆層32(42、52、62)または被覆層33(43、53、63)と、増感色素とが重なって形成される部分が存在する場合には、多孔質の酸化物半導体層31の表面と増感色素との間に、被覆層32(42、52、62)および/または被覆層33(43、53、63)を配置させることが望ましい。このように、多孔質の酸化物半導体層31の表面と増感色素との間に、被覆層32(42、52、62)および/または被覆層33(43、53、63)を設ける構成とすることにより、この被覆層32(42、52、62)および/または被覆層33(43、53、63)の存在によって、増感色素に到達する光量が減少するのを防止することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
多孔質の酸化物半導体層31の材料としてTiO超微粒子(自己調製、アナタース型、粒径10〜15nm)を用い、このTiO超微粒子30重量%を含むTiOペーストを調製した。ここでは、TiO超微粒子30重量%、1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)65重量%、エチルセルロース(関東化学社製)5重量%となるように、それぞれを秤採り、これらを3本ロール(EXAKT社製)を用いて混練した。
【0067】
次いで、透明導電性のガラス基板として、表面にSnO膜が形成されたガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗:10Ω/□)を用い、このガラス基板のSnO膜上に、上記で得たTiOペーストを、スクリーン印刷機を用いて5mm角の形状に塗布した。次いで、このガラス基板を、電気炉を用いて、大気流動下にて、500℃で60分間、焼成を行い、TiOペースト中の溶剤及び樹脂成分を分解・除去した。この焼成により、TiOペーストは厚みが12μmのTiO多孔質膜となった。
【0068】
次いで、このTiO多孔質膜に、50mmol/Lの濃度のTiCl水溶液を50μL/cm滴下し、次いで、70℃の飽和水蒸気の雰囲気下に30分間保持し、その後、純水で洗浄し、さらに、電気炉を用いて、大気雰囲気下にて450℃で30分間、焼成を行い、TiO多孔質膜上に第1の被覆層であるTiO被覆層を形成した。
さらに、溶液浸漬法により、このTiO被覆層上に第2の被覆層を形成した。この処理は、このTiO被覆層が形成されたガラス基板を、20mmol/Lの濃度の亜鉛アセチルアセトナートエタノール溶液に、室温(25℃)で1時間、浸漬し、その後、エタノールで洗浄し、さらに、電気炉を用いて、大気雰囲気下にて450℃で30分間、焼成を行い、TiO被覆層上に第2の被覆層であるZnO被覆層を形成した。
【0069】
このようにして作製された、TiO被覆層及びZnO被覆層の2重被覆層構造を有するTiO多孔質膜付き透明導電性ガラス基板を、増感色素(シス−ジ(チオシアネート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II))が0.5mmol/L濃度のエタノール溶液に、24時間浸漬することにより増感色素を吸着させ、光電極層を形成した。
【0070】
このようにして得られた、導電性及び透明性を有する透明基板11上に光電極層22が形成されたものをアノード電極21とし、また、導電性及び透明性を有する透明基板11上にPtを塗設したものをカソード電極2とし、これら電極21、2を導電性を有する側を内側として対向配置し、エポキシ樹脂により側壁3を形成した。なお、アノード電極21とカソード電極2との間隔を25μmとした。これらアノード電極21、カソード電極2および側壁3により形成された空間部に、電解質溶液としてI、LiI、ジメチルプロピルイミダゾリウムヨージドをアセトニトリルに溶解させた電解質溶液を注入することにより光電変換素子セル構造を形成し、実施例1の光電変換素子とした。
【0071】
(実施例2)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製し、このTiO多孔質膜上にTiO被覆層を形成し、さらに溶液浸漬法により、このTiO被覆層上に、第2の被覆層として酸化インジウム(In)被覆層を形成した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、実施例2の光電変換素子を作製した。
なお、溶液浸漬法によるIn被覆層の形成は、上記のTiO被覆層が形成されたガラス基板を、濃度が20mmol/Lのインジウムアセチルアセトナートエタノール溶液に、室温(25℃)で1時間浸漬し、その後エタノールで洗浄し、電気炉を用いて、大気雰囲気下、450℃で30分間、焼成を行うことによって行った。
【0072】
(実施例3)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製し、このTiO多孔質膜上にTiO被覆層を形成し、さらに溶液浸漬法により、このTiO被覆層上に、第2の被覆層として酸化バリウム(BaO)被覆層を形成した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、実施例3の光電変換素子を作製した。
なお、溶液浸漬法によるBaO被覆層の形成は、上記のTiO被覆層が形成されたガラス基板を、濃度が20mmol/Lのバリウムイソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液に、室温(25℃)で1時間浸漬し、その後、エタノールで洗浄し、電気炉を用いて、大気雰囲気下、450℃で30分間、焼成を行うことによって行った。
【0073】
(実施例4)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製し、このTiO多孔質膜上にTiO被覆層を形成し、さらに電気的析出法により、このTiO被覆層上に、第2の被覆層として酸化亜鉛(ZnO)被覆層を形成した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、実施例4の光電変換素子を作製した。
【0074】
なお、電気的析出法によるZnO被覆層の形成は、濃度が20mmol/Lの硝酸亜鉛水溶液(pHを2.0に調整)を電析浴71とし、この電析浴71の温度(浴温)が70℃の条件で処理を行った。対向電極74には亜鉛板を、電位参照極75にはAg/AgCl(sat.)を、それぞれ使用し、電位参照極75を用いてTiO多孔質膜の電位を−0.9Vに調整しながら電解還元を行った。ここでは、TiO多孔質膜−対向電極74間に流れる総電荷量を20mC/cmとした。その後、純水及びエタノールで洗浄し、電気炉を用いて、大気雰囲気下、450℃で30分間、焼成を行った。
【0075】
(比較例1)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、比較例1の光電変換素子を作製した。
【0076】
(比較例2)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製し、このTiO多孔質膜上にTiO被覆層を形成した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、比較例2の光電変換素子を作製した。
【0077】
(比較例3)
実施例1と同様に、TiO多孔質膜付きガラス基板を作製し、このTiO多孔質膜上に、溶液浸漬法によりZnO被覆層を形成した。
その後、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、比較例3の光電変換素子を作製した。
なお、溶液浸漬法によるZnO被覆層の形成は、上記のTiO多孔質膜が形成されたガラス基板を、濃度が20mmol/Lの亜鉛アセチルアセトナートエタノール溶液に、室温(25℃)で1時間浸漬し、その後、エタノールで洗浄し、電気炉を用いて、大気雰囲気下、450℃で30分間、焼成を行うことによって行った。
【0078】
(比較例4)
実施例1にて用いたTiO超微粒子(アナタース型、粒径10〜15nm)と、亜鉛アセチルアセトナート(Znacac)とから、TiO−Znacacペーストを調整し、これを印刷、焼成することにより、TiO超微粒子とZnO微粒子の混合多孔質層を得た。
上記のペーストの調整は、TiO超微粒子30重量%、亜鉛アセチルアセトナート5重量%、1−p−メンテン−8−オール(α−テルピネオール(商品名):関東化学社製)60重量%、エチルセルロース(関東化学社製)5重量%となるように、それぞれを秤採り、これらを3本ロール(EXAKT社製)を用いて混練した。
【0079】
その後、透明導電性のガラス基板として、表面にSnO膜が形成されたガラス基板(日本板硝子社製、表面抵抗:10Ω/□)を用い、このガラス基板のSnO膜上に、上記で得たTiO−Znacacペーストを、スクリーン印刷機を用いて5mm角の形状に塗布した。次いで、このガラス基板を、電気炉を用いて、大気流動下にて、500℃で60分間、焼成を行い、TiO−Znacacペースト中の溶剤及び樹脂成分を分解・除去した。このとき、亜鉛アセチルアセトナート(Znacac)は、熱分解により、粒径が1〜5nm程度の結晶化した酸化亜鉛(ZnO)へと変化していた。
【0080】
また、TiO超微粒子とZnO微粒子の混合多孔質層が形成されていることは、電子顕微鏡により確認された。このときのTiO超微粒子とZnO微粒子の混合多孔質層の厚みは13μmであった。
このようにして作製されたTiO−ZnO多孔質膜付き透明導電性ガラス基板に、実施例1と同様に、増感色素の吸着、光電変換素子セル構造の形成を順次行い、比較例4の光電変換素子を作製した。
【0081】
(評価)
上記により得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の光電変換素子各々について、光短絡電流(mA/cm)、光開放電圧(V)、形状因子(f.f.)、光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率(光電変換効率)(%)を測定し、評価を行った。
ここでは、上記の実施例1〜4及び比較例1〜4の各光電変換素子について、太陽電池セル評価用のソーラーシミュレーター(山下電装社製 YSS150A)を用い、エアマス1.5、入射光強度が100mW/cmの疑似太陽光を、そのアノード電極側から照射した。
【0082】
この照射の間に、電流電圧測定装置(ケースレー社製:ソースメジャーユニット2400型)を用いて、光電変換素子のアノード電極−カソード電極間の電位を走査し、この光電変換素子の出力する光電流を測定することにより、この光電変換素子の光電流−電圧特性を測定した。
この測定結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
Figure 0004203554
【0084】
この測定結果によれば、実施例1〜4の光電変換素子では、光短絡電流が12〜15mA/cm、光開放電圧が0.71〜0.81V、形状因子が0.70〜0.74、光電変換効率が6.9〜7.8%と、従来のものに比べて大きく改善されていることが明らかとなった。
これに対して、比較例1、2の光電変換素子では、実施例1〜4と比べて、光短絡電流が13〜16mA/cmと遜色ないものの、光開放電圧が0.63〜0.65V、形状因子が0.64〜0.66、光電変換効率が5.5〜6.7%と大きく低下していた。
【0085】
また、比較例3の光電変換素子では、実施例1〜4と比べて、光開放電圧が0.77Vと遜色ないものの、光短絡電流が3mA/cm、形状因子が0.50、光電変換効率が1.0と大きく低下していた。
また、比較例4の光電変換素子では、実施例1〜4と比べて、光開放電圧が0.77V、形状因子が0.72と遜色ないものの、光短絡電流が9mA/cm、光電変換効率が4.8%と大きく低下していた。
【0086】
【発明の効果】
本発明の光電変換素子によれば、透明電極に形成された酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成したので、色素から酸化物半導体層に注入された電子を速やかに透明電極に到達させるとともに、この電子と電解質との再結合を阻止することができ、光解放電圧を高めることができる。したがって、高い光電変換効率を得ることができる。
【0087】
本発明の光電変換素子の製造方法によれば、透明電極に形成された酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を、溶液浸漬法または電気的析出法を適用することにより形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を、溶液浸漬法または電気的析出法を適用することにより形成するので、簡単な工程で、しかも容易に、第1の被覆層及び第2の被覆層を順次形成することができる。
したがって、高い光電変換効率を得ることができる光電変換素子を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の光電変換素子を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態の光電変換素子のアノード電極の光電極層を示す断面図である。
【図3】 本発明の一実施形態の光電極層の第1の変形例を示す断面図である。
【図4】 本発明の一実施形態の光電極層の第2の変形例を示す断面図である。
【図5】 本発明の一実施形態の光電極層の第3の変形例を示す断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態の光電変換素子の製造方法に用いられる電気的析出装置を示す概略構成図である。
【図7】 従来の光電変換素子の一例を示す断面図である。
【図8】 従来の光電変換素子のアノード電極の光電極層を示す断面図である。
【符号の説明】
2 カソード電極(対向電極)
3 側壁
5 電解質
11 透明基板
21 アノード電極(透明電極)
22 光電極層
31 多孔質の酸化物半導体層
32 膜状の被覆層(第1の被覆層)
33 粒子状の被覆層(第2の被覆層)
41 光電極層
42 粒子状の被覆層(第1の被覆層)
43 膜状の被覆層(第2の被覆層)
51 光電極層
52 膜状の被覆層(第1の被覆層)
53 膜状の被覆層(第2の被覆層)
61 光電極層
62 粒子状の被覆層(第1の被覆層)
63 粒子状の被覆層(第2の被覆層)
71 電析浴(第1の被覆層を構成する元素を含む溶液)
73 基体(電極)
74 対向電極
75 電位参照極
81 光照射装置

Claims (9)

  1. 透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、この酸化物半導体層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子において、
    前記酸化物半導体層の表面には、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層が形成され、この第1の被覆層の上には、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層が形成され、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素が吸着されてなることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記酸化物半導体層を構成する物質は、チタン、亜鉛、ニオブ、インジウム、スズ、タングステン、タンタル、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、ジルコニウムの群から選択される少なくとも1種の酸化物であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
  3. 前記第2の被覆層を構成する物質は、半導体、金属のカルコゲナイド、ペロブスカイト構造を有する化合物、の群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の光電変換素子。
  4. 透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、
    前記酸化物半導体層が形成された透明電極を、前記第1の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記酸化物半導体層上に前記第1の被覆層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  5. 前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極を、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする請求項4記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、
    前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極を、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、この溶液から取り出した前記透明電極を加熱し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  7. 透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、
    前記酸化物半導体層が形成された透明電極と第2の電極とを、前記第1の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これら電極間に電圧を引加し、前記酸化物半導体層上に前記第1の被覆層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  8. 前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極と第2の電極とを、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これらの電極間に電圧を引加し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする請求項7記載の光電変換素子の製造方法。
  9. 透明電極と対向電極とを電解質を介して対向配置し、前記透明電極の前記電解質側の少なくとも一部に酸化物半導体層を形成し、前記酸化物半導体層の表面に、この酸化物半導体層を構成する物質と同一の物質からなる第1の被覆層を形成し、この第1の被覆層の上に、前記酸化物半導体層を構成する物質と異なる物質からなる第2の被覆層を形成し、さらに、これらの層の少なくとも一部に色素を吸着させてなる光電変換素子の製造方法であって、
    前記酸化物半導体層及び前記第1の被覆層が順次形成された透明電極と第2の電極とを、前記第2の被覆層を構成する元素を含む溶液に浸漬し、次いで、これらの電極間に電圧を引加し、前記第1の被覆層上に前記第2の被覆層を形成することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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