明 細 書
活性光線硬化型インクジェットインク、それを用いた画像形成方法及びィ ンクジェット記録装置
技術分野
[0001] 本発明は、様々な記録材料に、様々な印字環境下においても、高精細な画像を安 定に再現できる活性光線硬化型インクジェットインクとそれを用いた画像形成方法及 びインクジエツト記録装置に関する。
背景技術
[0002] 近年、インクジェット記録方式は簡便,安価に画像を作製出来るため、写真、各種 印刷、マーキング、カラーフィルタ一等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用され てきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出 射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛 躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となつ ている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全 てが揃って初めて達成されて ヽる。
[0003] し力しながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限される こと、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体ヘイ ンクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形 のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体とした インクを用いるソルベント系インクジヱット方式や、記録後紫外線 (UV)光により架橋 させる UVインクジェット方式などである。
[0004] 中でも、 UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低 臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注 目されつつあり、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されて (例えば、特許文献 1、 2参照。)いる。
[0005] し力しながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によつ て、吐出が安定しな力つたり着弾後のドット径が大きく変化してしまい、様々な記録材
料に対して、高精細な画像を形成することは不可能であった。
[0006] 特に、紫外線硬化型インクジェット用インクにおいて、カチオン重合性ィ匕合物を用 いたインクは、酸素阻害作用をうけることがないが、分子レベルの水分 (湿度)の影響 を受けやすい (例えば、特許文献 3〜5参照。)といった問題がある。
[0007] 従来、変性シリコーンオイルを含有する活性光線硬化型インクジェットインクは知ら れている(例えば、特許文献 6参照。)が、いずれもインクの表面張力を著大きく低下 させる変性シリコーンオイルが用いられており、様々な印字環境下で吐出安定と高精 細な画像形成を両立できるものではな力 た。
特許文献 1:特開平 6— 200204号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特許文献 2 :特表 2000— 504778号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特許文献 3:特開 2001— 220526号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特許文献 4:特開 2002— 188025号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特許文献 5 :特開 2002— 317139号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特許文献 6:特開 2003— 147233号公報 (特許請求の範囲、実施例)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な印字環境下 においても、吐出安定性が良ぐ文字品質に優れ、色混じりの発生がなぐ高精細な 画像を非常に安定に記録することができる活性光線硬化型インクジェットインクと、そ れを用いた画像形成方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0009] 本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
[0010] (1)
光開始剤、光重合性化合物、分散剤及び変性シリコーンオイルを含有する活性光線 硬化型インクジェットインクにぉ 、て、前記変性シリコーンオイルを含まな 、状態の前 記インクジェットインクに対して変性シリコーンオイルを 0. 1質量%添加した時、 25°C における表面張力の減少が 0〜3mNZmであることを特徴とする活性光線硬化型ィ ンクジェットインク。
[0011] (2)
25°Cにおける表面張力が 30〜45mNZmであることを特徴とする(1)に記載の活性 光線硬化型インクジェットインク。
[0012] (3)
前記変性シリコーンオイルの含有量が 0. 01〜1. 0質量%であることを特徴とする(1 )または(2)に記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[0013] (4)
光重合性ィ匕合物として、少なくとも 1種のォキシラン基を有する化合物を含有すること を特徴とする(1)〜(3)の 、ずれか〖こ記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[0014] (5)
光重合性ィ匕合物として、少なくとも 1種のォキセタン環を有する化合物を 30〜95質 量%、少なくとも 1種のォキシラン基を有する化合物を 5〜70質量%、少なくとも 1種 のビュルエーテルィ匕合物 0〜40質量0 /0とを含有することを特徴とする(1)〜 (4)の ヽ ずれかに記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[0015] (6)
25°Cにおける粘度が 7〜50mPa'sであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに 記載の活性光線硬化型インクジェットインク。
[0016] (7)
顔料を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の活性光線硬化型ィ ンクジェットインク。
[0017] (8)
インクジェット記録ヘッドより、 (1)〜(7)のいずれかに記載の活性光線硬化型インク ジェットインクを記録材料上に噴射し、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であ つて、該活性光線硬化型インクが着弾した後、 0. 001〜2. 0秒の間に活性光線を照 射することを特徴とする画像形成方法。
[0018] (9)
インクジェット記録ヘッドより、 (1)〜(7)のいずれかに記載の活性光線硬化型インク ジェットインクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法で
あって、該活性光線硬化型インクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総イン ク膜厚が、 2〜20 mであることを特徴とする画像形成方法。
[0019] (10)
インクジェット記録ヘッドより、 (1)〜(7)のいずれかに記載の活性光線硬化型インク ジェットインクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法で あって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量力 2〜15pl であることを特徴とする画像形成方法。
[0020] (11)
インクジェット記録ヘッドより、 (1)〜(7)のいずれかに記載の活性光線硬化型インク ジェットインクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法で あって、ラインヘッド方式の記録ヘッドより噴射して画像を形成することを特徴とする 画像形成方法。
[0021] (12)
インクジェット記録ヘッドより、 (1)〜(7)のいずれかに記載の活性光線硬化型インク ジェットインクを、ベック平滑度 40〜80秒で、 10点平均粗さ Rzが 10〜20 /ζ πιである 非コート紙記録材料上に噴射して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
[0022] (13)
(8)〜(12)のいずれかに記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置 であって、活性光線硬化型インクジェットインク及び記録ヘッドを 35〜 100°Cに加熱 した後、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]本発明のインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。
[図 2]本発明のインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である
符号の説明
[0024] 1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
31 インク吐出口
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 照射光源
P 記録材料
発明を実施するための最良の形態
[0025] 本発明を更に詳しく説明する。本発明者は、活性光線硬化型インクジェットインク( 単にインクともいう)において、 0. 1質量%含有した時の 25°Cにおける表面張力の減 少が 0〜3mNZmである変性シリコーンオイルを含有せしめることにより、飛躍的に 吐出安定性および硬化性が改良され、硬化環境 (温度、湿度)によらず良好な吐出 安定性'硬化性が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
[0026] 従来変性シリコーンオイルを含有する活性光線硬化型インクジヱットインクは知られ て!、るが、 、ずれもインクの表張を著大きく低下させる変性シリコーンオイルが用いら れており、様々な印字環境下で吐出安定と高精細な画像形成を両立できるものでは なかった。本発明の構成にすることによりはじめて、安定な吐出性が得られ、かつ、ィ ンクが記録材料上に着弾した後のドット径の制御が容易となる。
[0027] 特に、光重合性ィ匕合物としてォキシラン基を含有する化合物を用いる場合、吐出安 定性がより良好となり、更に、光重合性ィ匕合物として、ォキセタン環を有する化合物を 30〜95質量%、ォキシラン基を有する化合物を 5〜70質量%、ビニルエーテルィ匕 合物 0〜40質量%とを含有するとことで、吐出安定性が更に向上しドット径の制御も より容易となる。
[0028] 本発明に用いられる変性シリコーンオイルについて説明する。本発明で用いる変性 シリコーンオイルは、インク中にインク組成物 100質量%に対して 0. 1質量%含有せ しめた時の 25°Cにおけるインクの表面張力の減少が 0〜3mNZmである。 3mNZ mより大きいと、吐出安定性とドット径の制御が両立できない。
[0029] 具体例としては、旭電化工業社製 SDX— 1843 (ポリエーテル変性シリコーン)、ジ
ーィー東芝シリコーン社製 XF42— 334 (アルキルァラルキル変性シリコーンオイル) が有り、例えば、これらを一般的なエポキシィ匕合物 (ダイセルィ匕学工業社製セロキサ イド 2021Pなど)やォキセタン化合物 (東亞合成社製 OXT— 221など) 100質量% に対して 0. 1質量%含有させた場合の表面張力の減少は 0. 5mNZm未満である。
[0030] 変性シリコーンオイルの添カ卩量としては、インク組成物 100質量0 /0に対して 0. 01〜 1. 0質量%が好ましぐ 0. 01質量%未満では効果力 S小さぐ 1. 0質量%を超えると 吐出が逆に不安定となる場合が有る。
[0031] また、本発明においては、硬化性及び吐出安定性の向上のために、光重合性化合 物として少なくとも 1種のォキシラン基を有する化合物を含有することが好ましい。
[0032] 光重合性ィ匕合物としては各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用出来る。例 えば、特開平 6— 9714号、特開 2001— 31892、特開 2001— 40068、特開 2001 - 55507,特開 2001— 310938、特開 2001— 310937、特開 2001— 220526に 例示されているエポキシィ匕合物、ビュルエーテルィ匕合物、ォキセタンィ匕合物などが 挙げられる。
[0033] エポキシ化合物には、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族ェ ポキシド等が挙げられる。
[0034] 芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも 1個の芳香族核を有する多価フ ェノール或いはそのアルキレンオキサイド付カ卩体とェピクロルヒドリンとの反応によつ て製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフエノール A或いはそ のアルキレンオキサイド付カ卩体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添カ卩ビスフエノ ール A或!、はそのアルキレンオキサイド付カ卩体のジ又はポリグリシジルエーテル、並 びにノボラック型エポキシ榭脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、 エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
[0035] 脂環式エポキシドとしては、少なくとも 1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等 のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でェポ キシィ匕することによって得られる、シクロへキセンオキサイド又はシクロペンテンォキサ イド含有化合物が好ましい。
[0036] 脂肪族エポキシドの好まし 、ものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアル
キレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例として は、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジル エーテル又は 1, 6—へキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコ ールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付カ卩体のジ 又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリェチ レングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付カ卩体のジグリシジルエーテル、ポリ プロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付カ卩体のジグリシジルエーテ ル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアル キレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられ る。
[0037] これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式ェ ポキシドが好ましぐ特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシド の 1種を単独で使用してもよいが、 2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
[0038] また、本発明にお 、ては AMES及び感作性などの安全性の観点から、ォキシラン 基をゆうするエポキシィ匕合物としては、エポキシィ匕脂肪酸エステル、エポキシィ匕脂肪 酸グリセライドの少なくとも一方であることが特に好ましい。
[0039] エポキシィ匕脂肪酸エステル、エポキシィ匕脂肪酸グリセライドは、脂肪酸エステル、脂 肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。 エポキシィ匕脂肪酸エステルとしては、ォレイン酸エステルをエポキシィ匕して製造され たもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸プチル、エポキシステア リン酸ォクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に、大 豆油、アマ-油、ヒマシ油等をエポキシィ匕して製造されたもので、エポキシィ匕大豆油 、エポキシィ匕アマ二油、エポキシィ匕ヒマシ油等が用いられる。
[0040] また、本発明においては、更なる硬化性及び吐出安定性の向上のために、光重合 性ィ匕合物として、ォキセタン環を有する化合物を 30〜95質量%、ォキシラン基を有 する化合物を 5〜70質量%、ビニルエーテルィ匕合物 0〜40質量%とを含有すること が好ましい。
[0041] 本発明で用いることのできるォキセタン化合物としては、特開 2001— 220526号、
同 2001— 310937号に紹介されているような公知のあらゆるォキセタン化合物を使 用できる。
[0042] 本発明で用いることのできるビュルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコ 一ルジビ二ノレエーテル、ジエチレングリコールジビニノレエーテル、トリエチレングリコ ールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコ ールジビュルエーテル、ブタンジオールジビュルエーテル、へキサンジオールジビニ ノレエーテノレ、シクロへキサンジメタノーノレジビニノレエーテノレ、トリメチローノレプロパント リビュルエーテル等のジ又はトリビュルエーテル化合物、ェチルビ-ルエーテル、 n ーブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ォクタデシルビニルエーテル 、シクロへキシノレビニノレエーテノレ、ヒドロキシブチノレビニノレエーテノレ、 2—ェチノレへキ シルビニルエーテル、シクロへキサンジメタノールモノビニルエーテル、 n—プロピル ビニノレエーテノレ、イソプロピノレビニノレエーテノレ、イソプロぺニノレエーテノレ一 Ο—プロピ レンカーボネート、ドデシルビ-ルエーテル、ジエチレングリコールモノビュルエーテ ル、ォクタデシルビ-ルエーテル等のモノビュルエーテル化合物等が挙げられる。
[0043] これらのビニルエーテルィ匕合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、 ジ又はトリビニルエーテルィ匕合物が好ましぐ特にジビュルエーテルィ匕合物が好まし い。本発明では、上記ビニルエーテルィ匕合物の 1種を単独で使用してもよいが、 2種 以上を適宜組み合わせて使用してもょ 、。
[0044] また、本発明にお ヽては、ラジカル重合性ィ匕合物も用いることができる。ラジカル重 合性化合物としては、公知のあらゆる (メタ)アタリレートモノマー及びまたはオリゴマ 一を用いることができる。
[0045] 例えば、イソアミルアタリレート、ステアリルアタリレート、ラウリルアタリレート、ォクチ ルアタリレート、デシルアタリレート、イソミルスチルアタリレート、イソステアリルアタリレ ート、 2—ェチルへキシルージグリコールアタリレート、 2—ヒドロキシブチルアタリレー ト、 2—アタリロイ口キシェチルへキサヒドロフタル酸、ブトキシェチルアタリレート、エト キシジエチレングリコールアタリレート、メトキシジエチレングリコールアタリレート、メト キシポリエチレングリコールアタリレート、メトキシプロピレングリコールアタリレート、フ エノキシェチルアタリレート、テトラヒドロフルフリルアタリレート、イソボル-ルァクリレー
ト、 2—ヒドロキシェチルアタリレート、 2—ヒドロキシプロピルアタリレート、 2—ヒドロキ シ一 3 フエノキシプロピルアタリレート、 2—アタリロイ口キシェチルコハク酸、 2 ァク リロイ口キシェチルフタル酸、 2—アタリロイロキシェチル 2—ヒドロキシェチル フタ ル酸、ラタトン変性可とう性アタリレート、 tーブチルシクロへキシルアタリレート等の単 官能モノマー、トリエチレングリコールジアタリレート、テトラエチレングリコールジアタリ レート、ポリエチレングリコールジアタリレート、トリプロピレングリコールジアタリレート、 ポリプロピレングリコールジアタリレート、 1, 4 ブタンジオールジアタリレート、 1, 6— へキサンジオールジアタリレート、 1, 9ーノナンジオールジアタリレート、ネオペンチル グリコールジアタリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアタリレート、ビスフエノー ル Aの EO付力卩物ジアタリレート、ビスフエノール Aの PO付力卩物ジアタリレート、ヒドロ キシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアタリレート、ポリテトラメチレングリコールジ アタリレート等の 2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアタリレート、 EO変性トリメ チロールプロパントリアタリレート、ペンタエリスリトールトリアタリレート、ペンタエリスリト ールテトラアタリレート、ジペンタエリスリトールへキサアタリレート、ジトリメチロールプ 口パンテトラアタリレート、グリセリンプロポキシトリアタリレート、力プロラタトン変性トリメ チロールプロパントリアタリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアタリレート、カプ 口ラタタム変性ジペンタエリスリトールへキサアタリレート等の三官能以上の多官能モ ノマーが挙げられる。
[0046] 本発明の活性光線硬化型インクには、公知のあらゆる光開始剤を用いることができ る。光開始剤としては、光酸発生剤及び光ラジカル発生剤を挙げることができる。
[0047] 光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光力チオン重合に利用 される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有 機材料」、ぶんしん出版(1993年)、 187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合 物の例を以下に挙げる。
[0048] 第 1に、ジァゾユウム、アンモ-ゥム、ョードニゥム、スノレホニゥム、ホスホ-ゥムなど の芳香族ォ -ゥム化合物の B (C F )―、 PF―、 AsF―、 SbF―、 CF SO—塩を挙げるこ
6 5 4 6 6 6 3 3
とがでさる。
[0049] 本発明で用いることのできるォ-ゥム化合物の具体的な例を、以下に示す。
[0050] [化 1]
[0051] 第 2に、スルホン酸を発生するスルホンィ匕物を挙げることができ、その具体的な化合 物を、以下に例示する。
[0052] [化 2]
[0053] 第 3に、光を当てることによりハロゲンィ匕水素を発生するハロゲンィ匕物も用いることが でき、以下にその具体的な化合物を例示する。
[0055] 第 4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
[0056] [化 4]
Fe(CO)
3 PF
6"
[0057] また、本発明で用いられる光ラジカル発生剤としては、ァリールアルキルケトン、ォ キシムケトン、チォ安息香酸 S—フエ-ル、チタノセン、芳香族ケトン、チォキサントン 、ベンジルとキノン誘導体、ケトクマリン類などの従来公知の光ラジカル発生剤が使用 出来る。「UV'EB硬化技術の応用と巿場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修 Ζラド テック研究会編集)に詳しい。中でもァシルフォスフィンォキシドゃァシルホスフォナ ートは、感度が高ぐ開始剤の光開裂により吸収が減少するため、インクジェット方式 のように 1色当たり 5〜12 /ζ πιの厚みを持つインク画像での内部硬化に特に有効で ある。具体的には、ビス(2, 4, 6 トリメチルベンゾィル)一フエ-ルフォスフィンォキ サイド、ビス(2, 6 ジメトキシベンゾィル)一2, 4, 4 トリメチル一ペンチルフォスフィ ンオキサイドなどが好まし 、。
[0058] また、安全性を考慮した選択では、 1ーヒドロキシーシクロへキシルーフエ-ルーケト ン、 2 メチル 1 [4 (メチルチオ)フエ-ル] 2 モリフォリノプロパン 1 オン、 ビス(2, 6 ジメトキシベンゾィル)ー 2, 4, 4 トリメチルーペンチルフォスフィンォキ サイド、 2—ヒドロキシ 2—メチル 1—フエ-ル -プロパン一 1―オン(ダロキュア( 登録商標) 1173)が好適に用いられる。好ましい添加量は、インク組成物全体の 1〜 6質量%、好ましくは 2〜5質量%である。
[0059] 本発明の活性光線硬化型インクは、上述の活性光線硬化型組成物と共に、各種公 知の染料及び Ζまたは顔料を含有しているが、好ましくは顔料を含有する。
[0060] 本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
[0061] C. I Pigment Yellow— 1、 3、 12、 13、 14、 17、 81、 83、 87、 95、 109、 42、 1 38
C. I Pigment Orange— 16、 36、 38、
C. I Pigment Red— 5、 22、 38、 48 : 1、 48 : 2、 48 :4、 49 : 1、 53 : 1、 57 : 1、 6 3 : 1、 144、 146、 185、 101、
C. I Pigment Violet— 19、 23、
C. I Pigment Blue— 15 : 1、 15 : 3、 15 :4、 18、 60、 27、 29、
C. I Pigment Green— 7、 36、
C. I Pigment White— 6、 18、 21、
C. I Pigment Black— 7、
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上 げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷において は、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性 、記録材料のカール'しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
[0062] 上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、 アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿 式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う 際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いる ことが好ましぐ高分子分散剤としては Avecia社の Solsperseシリーズや、味の素フ ァインテクノ社の PBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じた シナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料 10 0質量部に対し、 1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重 合性ィ匕合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾 直後に反応 '硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残つ てしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤の VOCの問題が生じる。よって、分散媒 体は溶剤では無く重合性ィ匕合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択するこ とが分散適性上好ましい。
[0063] 顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を 0. 08〜0. 5 μ mとすることが好ましぐ最 大粒径は 0. 3〜: LO /z m、好ましくは 0. 3〜3 mとなるよう、顔料、分散剤、分散媒 体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズ ルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持する ことができる。
[0064] 本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の 1質量%乃至 10 質量%であることが好まし!/、。
[0065] 本発明の活性光線硬化型インクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いる ことができる。例えば、界面活性剤、レべリング添加剤、マット剤、膜物性を調整する ためのポリエステル系榭脂、ポリウレタン系榭脂、ビュル系榭脂、アクリル系榭脂、ゴ
ム系榭脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、 公知のあらゆる塩基性ィ匕合物を用いることができる力 代表的なものとして、塩基性 アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、ァミンなどの塩基性有機化 合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジ カル ·カチオンのハイブリッド型硬ィ匕インクとすることも可能である。
[0066] 本発明のインクにおいては、 25°Cにおける粘度が 7〜50mPa' sであること力 硬化 環境 (温度,湿度)に関係なく吐出が安定し、良好な硬化性を得るために好ましい。
[0067] 本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの 他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを 用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、 PETフィルム、 OPSフ イルム、 OPPフィルム、 ONyフィルム、 PVCフィルム、 PEフィルム、 TACフィルムを挙 げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル榭脂、 A BS、ポリアセタール、 PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも 適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、 PETフィ ルム、 OPSフィルム、 OPPフィルム、 ONyフィルム、 PVCフィルムへ画像を开成する 場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応 時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいば力りでなぐインク膜が 基材の収縮に追従し難い。
[0068] これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によ つてインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来力も問題となっていた。本発 明の構成では、表面エネルギーの低い OPPフィルム、 OPSフィルムや表面エネルギ 一の比較的大き 、PETまでを含む、表面エネルギーが 35〜60mNZmの広範囲の 記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
[0069] 非コート紙のベック平滑度は、 JIS P 8119に記載されている方法で測定する。ベ ック平滑度は、有効面積 10cm2の平面板を 9. 8NZcm2の圧力で被測定面に押しつ けたとき、ほぼ 49kPaの圧力差の下で 10mlの空気が流れる秒数をもって表される。 つまり、秒数が大きい程マット度が小さいことを表す。また、 JIS P 8119より精度よく ベック平滑度を測定するには、空気マイクロメーター型試験器を用いることが好ましく
、特に、 J. TAPPI紙パルプ試験法 No. 5記載の王研式平滑度測定法を用いること で簡便に再現性の良好なベック平滑度が得られる(山本等、紙パ技協誌、 20 [2]、 1 7〜24 (1966) )。非コート紙のベック平滑度は、 40〜80秒が用いられる力 50〜8 0秒がさらに好ましい。
[0070] 非コート紙の表面粗さ Rzは、非接触 3次元表面解析装置 (WYKOttRSTZPLU
S)を用いて、 368 mX 238 mの面積の Rzを測定した。
[0071] なお、 Rzの定義は下記の JIS表面粗さ(B0601)によった。なお測定は場所をかえ て 10回行ない、平均値を求めた。 JIS表面粗さ(B0601):十点平均粗さ (Rz) 十点平均粗さ (Rz)とは、断面曲線力も基準長さだけ抜き取った部分において、平 均線に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高か ら 5番目までの山頂の標高の平均値と最深から 5番目までの谷底の標高の平均値と の差の値をマイクロメートル( m)で表したものをいう。本発明においては、 10〜20
/z mが用いられるが、 13〜18 /ζ πιがより好ましい。
[0072] 本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製 効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使 用する方が有利である。
[0073] 次に、本発明の画像形成方法について説明する。
[0074] 本発明の画像形成方法においては、上記のインクをインクジェット記録方式により 記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化 させる方法が好ましい。
[0075] (インク着弾後の総インク膜厚)
本発明では、記録材料上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総ィ ンク膜厚が 2〜20 mであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型 インクジェット記録では、総インク膜厚が 20 mを越えているのが現状である力 記 録材料が薄 、プラスチック材料であることが多 、軟包装印刷分野では、前述した記 録材料のカール ·皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし ·質感が変わってしまうと V、う問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくな 、。
[0076] 尚、ここで「総インク膜厚」とは記録材料に描画されたインクの膜厚の最大値を意味
し、単色でも、それ以外の 2色重ね(2次色)、 3色重ね、 4色重ね(白インクベース)の インクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同 様である。
[0077] (インクの吐出条件)
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを 35〜100°Cに加熱し、吐出す ることが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度 変動幅が大きぐ粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与 え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必 要である。インク温度の制御幅としては、設定温度 ±5°C、好ましくは設定温度 ±2°C 、更に好ましくは設定温度 ± 1°Cである。
[0078] また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が 2〜15plであることが好ましい。
[0079] 本来、高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要である 力 この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなる。本発明によ れば、インクの液滴量が 2〜15plのような小液滴量で吐出を行っても吐出安定性は 向上し、高精細画像が安定して形成出来る。
[0080] (インク着弾後の光照射条件)
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後 0. 001秒〜 2. 0秒の間に活性光線が照射されることが好ましぐより好ましくは 0. 001 秒〜 1. 0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ 早いことが特に重要となる。
[0081] 活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭 60— 132767号に開示 されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッド と光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更 に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第 6, 145, 979号 では、照射方法として、光ファイバ一を用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドュ ニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ UV光を照射する方法が開示されている。 本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る
[0082] また、活性光線を照射を 2段階に分け、まずインク着弾後 0. 001〜2. 0秒の間に 前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する 方法も好ましい態様の 1つである。活性光線の照射を 2段階に分けることで、よりイン ク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
[0083] 従来、 UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のため に、光源の総消費電力が lkW'hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であ つた。し力しながら、これらの光源を用いると、特に、シュリンクラベルなどへの印字で は、記録材料の収縮があまりにも大きぐ実質上使用出来ないのが現状であった。
[0084] 本発明では、 254nmの波長領域に最高照度をもつ活性光線を用いることが好まし ぐ総消費電力が lkW'hr以上の光源を用いても、高精細な画像を形成出来、且つ 、記録材料の収縮も実用上許容レベル内に収められる。
[0085] 本発明においては、更に活性光線を照射する光源の総消費電力が lkW'hr未満 であることが好ましい。総消費電力が lkW'hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷 陰極管、 LEDなどがある力 これらに限定されない。
[0086] 次いで、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説 明する。
[0087] 以下、本発明の記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面 の記録装置はあくまでも本発明の記録装置の一態様であり、本発明の記録装置はこ の図面に限定されない。
[0088] 図 1は本発明の記録装置の要部の構成を示す正面図である。記録装置 1は、ヘッド キャリッジ 2、記録ヘッド 3、照射手段 4、プラテン部 5等を備えて構成される。この記録 装置 1は、記録材料 Pの下にプラテン部 5が設置されている。プラテン部 5は、紫外線 を吸収する機能を有しており、記録材料 Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。 その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
[0089] 記録材料 Pは、ガイド部材 6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図 1に おける手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキヤリツ ジ 2を図 1における Y方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ 2に保持され た記録ヘッド 3の走査を行なう。
[0090] ヘッドキャリッジ 2は記録材料 Pの上側に設置され、記録材料 P上の画像印刷に用 いる色の数に応じて後述する記録ヘッド 3を複数個、吐出口を下側に配置して収納 する。ヘッドキャリッジ 2は、図 1における Y方向に往復自在な形態で記録装置 1本体 に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図 1における Y方向に往復 移動する。
[0091] 尚、図 1ではヘッドキャリッジ 2がホワイト(W)、イェロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン( C)、ブラック (K)、ライトイェロー (Ly)、ライトマゼンタ (Lm)、ライトシアン (Lc)、ライト ブラック(Lk)、ホワイト (W)の記録ヘッド 3を収納するものとして描図を行なって!/、る 1S 実施の際にはヘッドキャリッジ 2に収納される記録ヘッド 3の色数は適宜決められ るものである。
[0092] 記録ヘッド 3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型イン ク(例えば UV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動 により、吐出ロカも記録材料 Pに向けて吐出する。記録ヘッド 3により吐出される UV インクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を 受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応に よって硬化する性質を有する。
[0093] 記録ヘッド 3は記録材料 Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図 1における Y 方向に記録材料 Pの他端まで移動するという走査の間に、記録材料 Pにおける一定 の領域 (着弾可能領域)に対して UVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域 にインク滴を着弾させる。
[0094] 上記走査を適宜回数行ない、 1領域の着弾可能領域に向けて UVインクの吐出を 行なった後、搬送手段で記録材料 Pを図 1における手前力 奥方向に適宜移動させ 、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド 3により上記着弾可能 領域に対し、図 1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対して UVインクの 吐出を行なう。
[0095] 上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド 3から UVインクを吐出することにより、記録材料 P上に UVインク滴の集合体力 なる画像 が形成される。
[0096] 照射手段 4は特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫 外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここ で、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルノヽライドランプ、エキシマーレーザー、 紫外線レーザー、冷陰極管、ブラックライト、 LED (light emitting diode)等が適 用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、水銀ランプもしくはブラックラ イトが好ましい。特に波長 254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、冷陰極管、 熱陰極管及び殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行なえ、好ましい。ブラック ライトを照射手段 4の放射線源に用いることで、 UVインクを硬化するための照射手段 4を安価に作製することができる。
[0097] 照射手段 4は、記録ヘッド 3がヘッド走査手段の駆動による 1回の走査によって UV インクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置 (UVインクジェットプリンタ) 1で設 定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
[0098] 照射手段 4はヘッドキャリッジ 2の両脇に、記録材料 Pに対してほぼ平行に、固定し て設置される。
[0099] 前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド 3全体を遮 光することはもちろんであるが、加えて照射手段 4と記録材料 Pの距離 hiより、記録 ヘッド 3のインク吐出部 31と記録材料 Pとの距離 h2を小さくしたり(hi >h2)、記録へ ッド 3と照射手段 4との距離 dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録へ ッド 3と照射手段 4の間を蛇腹構造 7にすると更に好ましい。
[0100] ここで、照射手段 4で照射される紫外線の波長は、照射手段 4に備えられた紫外線 ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
[0101] 本発明のインクは、非常に吐出安定性が優れており、ラインヘッドタイプの記録装 置を用いて画像形成する場合に、特に有効である。
[0102] 図 2は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
[0103] 図 2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキヤ リッジ 2に、各色の記録ヘッド 3を、記録材料 Pの全幅をカバーするようにして、複数個 、固定配置されている。
[0104] 一方、ヘッドキャリッジ 2の下流側には、同じく記録材料 Pの全幅をカバーするように
して、照射手段 4が設けられている。
[0105] このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ 2及び照射手段 4は固定され、記録材料 Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
実施例
[0106] 以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれ らの例に限定されるものではない。
[0107] 《活性光線硬化型インクジェットインク(単にインクとも ヽぅ)の調製》
表 1、表 2記載のインク組成で下記のようにインクを作製した。
[0108] 表 1、表 2に示す種類、量の光重合性ィ匕合物及び分散剤をステンレスビーカーに入 れ、 65°Cホットプレート上で加熱しながら 1時間撹拌混合し溶解させる。
[0109] これに、表 1、表 2に示す種類.量の pigmentを入れて、直径 lmmのジルコ-アビ ーズ 200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて 2時間分散処理した後
、ジルコユアビーズを取り除き、表に示す光開始剤、増感剤を加えて撹拌混合した。
[0110] これをプリンター目詰まり防止のため 0. 8 μ mメンブランフィルターで濾過してインク を得た。
[0111] 粘度は、 Physica社製 MCR (Modular Compact Rheometer) 300を用いて測 定した、 25°C、せん断速度 1000 (lZs)の値である。
[0112] 表面張力は、協和界面化学社製表面張力計 (A3型)にて白金プレートを用いて測 定した値である。
[0113] [表 1]
ULSlO/SOOZd£/13d ZZ 996.Z0/900Z OAV
置〔〕
〔〕0114
[0116] 《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図 1に記載の構成力もなるインクジェット記録 装置に、上記調製した各インクセットを 1〜3を装填し、表 3に記載の巾 600mm、長さ 500mの長尺の各記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は 、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエ ゾヘッドからなり、前室タンク力もヘッド部分まで断熱して 50°Cの加温を行った。ピエ ゾヘッドは、 2〜15plのマルチサイズドットを 720 X 720dpiの解像度で吐出できるよ う駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、キャリッジ両脇のランプユニットに より瞬時 (着弾後 2秒未満)に硬化される。記録後、トータルインク膜厚を測定したとこ ろ、 2. 3〜 13 mの範囲であった。本発明でいう dpiとは、 2. 54cm当たりのドット数 を表す。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、 10°C、 20%RHの 環境下、 25°C、 50%RHの環境下及び 28°C、 80%RHの環境下でそれぞれ行い、 lm、 10m、 100mの時点でそれぞれ下記評価を行った。
[0117] また、全く同様に図 2に記載のラインヘッド記録方式のインクジェット記録装置を用 い、インクセット 4〜6を用いて、プラテン部をヒートプレートで 40°Cに加熱した状態で 画像を形成した。
[0118] なお、表 3に記載の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
[0119] ュポ FGS (ュポ社製、商品名 )
PE polyethylene terephthalate
〔〕0120 pyy pv〇:olvinl chloride
[0121] 《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像につ!ヽて、下記の各評価を行った。
[0122] (文字品質)
Y、 M、 C、 K各色インクを用いて、 目標濃度で 6ポイント MS明朝体文字を印字し、 文字のガサツキをルーペで拡大評価し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った
[0123] ◎:ガサツキなし
〇:僅かにガサツキが見える
△:ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
X:ガサツキがひどぐ文字がかすれていて使えないレベル。
[0124] (色混じり(滲み、皺))
720dpiで、 Y、 M、 C、 K各色 1ドットが隣り合うように印字し、隣り合う各色ドットをル 一べで拡大し、滲み具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
[0125] ◎:隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
〇:隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれている力 ギリギリ使える レべノレ
X:隣り合うドットが滲んで混じりあっており、また、重なり部に皺の発生があり、使え な 、レべノレ
以上により得られた各評価結果を、表 4に示す。
[0126] [表 4]
試料
1 m 10 m 100 m 1 m 10 m 100 m 1 m 10 m 100 m 備考
No .
※^ ※ •1 ¾ 1 ※! 5Κ 1
1 〇 o △ Δ X X 〇 〇 X X X X 〇 〇 X X X X 比較
2 〇 o △ 〇 △ △ O 〇 厶 Δ X X 〇 〇 Δ △ X X 比較
3 〇 〇 厶 Δ X X 〇 〇 厶 Δ X X 〇 〇 X X X X 比較
4 〇 〇 △ △ X X 〇 o X X X X ο ο X X X X 比較
5 △ Δ X X X X 厶 厶 X X X X X X X X X X 比較
6 〇 厶 〇 Δ 〇 Δ 〇 Δ 0 △ 〇 厶 Ο △ ο Δ 〇 △本発明
7 〇 〇 〇 〇 O 〇 〇 〇 〇 Ο 〇 〇 Ο 〇 Ο 〇 ο ο 本発明
8 〇 〇 〇 〇 O O 〇 O O Ο 〇 Ο Ο 〇 Ο 〇 〇 〇 本発明
9 〇 〇 △ 〇 △ Δ 〇 〇 厶 Ο Δ Δ 〇 〇 Δ Ο △ Δ 本発明
10 〇 〇 o 〇 厶 Δ 〇 O Δ Δ Δ 厶 〇 〇 △ Δ Δ Δ 本発明
1 1 〇 o ◎ O 〇 〇 ◎ 〇 © 〇 〇 ο ◎ Ο ◎ 〇 〇 本発明
12 〇 ◎ 〇 © 〇 ◎ o ◎ Ο ◎ 〇 © 〇 ◎ 〇 ◎ Ο 本発明
13 ® ◎ ◎ 〇 O ◎ © ◎ 〇 © 〇 ◎ ◎ ◎ 〇 ◎ Ο 本発明
14 © ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ © ◎ ◎ © ◎ ◎ © © © 本発明
15 © ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ © © ◎ © ◎ ο 〇 〇 Ο Ο Ο 本発明
16 O 〇 △ Δ X X 〇 o Δ Δ X X 〇 〇 X X X X 比較
17 o 〇 o O △ Δ 〇 o Δ 〇 X X 〇 〇 X X X X 比較
18 o 〇 o 〇 X X 〇 〇 Δ Δ X X 〇 〇 X X X X 比較
19 〇 o Δ △ X X 〇 〇 △ Δ X X ο 〇 X X X X 比較
20 △ △ X X X X △ 厶 X X X X X X X X X X 比較
2! o 〇 O O O O 〇 〇 Ο 〇 〇 〇 Δ Δ Δ Δ Δ Δ 本発明
22 〇 〇 O 〇 〇 O 〇 〇 〇 〇 ο 〇 Ο Ο 〇 Ο 〇 Ο 本発明
23 o 〇 O 〇 〇 O 〇 o 〇 〇 Ο 〇 〇 Ο 〇 Ο 〇 〇 本発明
24 o 〇 〇 O 〇 O o o Ο Ο Ο 〇 △ △ △ △ △ 厶 本発明
25 o 〇 〇 O 〇 〇 o 〇 ο 〇 △ Δ Δ Δ 厶 Δ Δ 厶 本発明
26 o ◎ 〇 © 〇 © o 〇 〇 〇 〇 〇 〇 Ο 〇 〇 〇 〇 本発明
27 ◎ 〇 ◎ 〇 ◎ 〇 ◎ 〇 ◎ 〇 ◎ ο 〇 Ο 〇 Ο 〇 〇 本発明
28 〇 ◎ 〇 ◎ 〇 ◎ o ◎ ο ◎ Ο ◎ 〇 Ο 〇 〇 〇 Ο 本発明
29 ◎ ◎ ® © ◎ © © ◎ ® © 〇 Ο 〇 〇 〇 〇 本発明
30 ◎ ◎ © © ® ◎ ◎ ® ◎ 〇 〇 〇 Ο 〇 〇 Ο 〇 本発明
※! :文字品質 ※?:色混じり(にじみ、 皺)
[0127] 本発明の構成は、非常に安定に高精細な画像を形成することができる。
産業上の利用可能性
[0128] 本発明により、様々な印字環境下においても、吐出安定性が良ぐ文字品質に優 れ、色混じりの発生がなぐ高精細な画像を非常に安定に記録することができる活性 光線硬化型インクジェットインクと、それを用いた画像形成方法及びインクジェット記 録装置を提供することができた。