明 細 書 骨 ·関節疾患感受性遺伝子およびその用途 技術分野
本発明は、 変形性関節症などの骨 '関節疾患 (bone and joint diseases) に 関連する遺伝子および該疾患と相関する該遺伝子内の多型の同定、 並びにそれら に基づく骨 .関節疾患の予防 ·治療、 該疾患に対する遺伝的感受性の診断などに 関する。 背景技術
糖尿病■高血圧などの生活習慣病をはじめとする頻度の高いありふれた疾患 (いわゆる common disease ; CD) は、 浸透率 (penetrance; ある遺伝子に変異を 有する個体がある疾患を発症する割合) の低い複数の疾患関連遺伝子の変異と、 運動 ·栄養などの複数の環境因子との相互作用により発症に至る多因子性疾患で あると考えられている。 CDの疾患関連遺伝子の変異は頻度の高い遺伝子多型 (common variant ; CV) であり、 健常者にも存在するが、 患者における保有率が 有意に高いものであるとの仮説 (Common Disease-Common Variant (CD - CV) hypothesis) が提唱されている。 有名な一例としては、 アポリポ蛋白 E遺伝子 ε 4における一塩基多型 (Single Nucleotide Polymorphism; SNP) がァルツハイ マー病の発症と相関することが知られている。
わが国では、 2000年度から、 ミレニアム 'ゲノム 'プロジェク トの一環とし て、 ヒ トゲノムの遺伝子領域にある約 20万個の S Pを同定し (それらは JSNPデー タベースとして http:〃 snp. ims. U- tokyo. ac. jp/上で公開されている)、 これら の SNPについて代表的な CDとの相関を解析することにより、 CDに対する感受性 (易罹患性) を規定する遺伝子群を同定しょうとする研究が進められており、 既 に心筋梗塞や関節リゥマチのなり易さに関連する遺伝子が発見されている (非
特許文献 1, 2)。
骨 -関節の生活習慣病は、 直接命に影響を及ぼすことは少ないが、 痛みや歩行 障害などのために日常生活動作 (ADL) に支障をきたすことから、 高齢者の Q0L を損なう最大の原因となっている。 また、 これらの疾患は加齢とともに発症頻度 が急増し且つ慢性に経過することから、 国民医療経済にも重大な負担を課すこと となり、 高齢化社会においては社会全体で克服すべき重要な課題である。 世界保 健機関 (WHO) も 21世紀の最初の 10年を "骨と関節の 10年 (the Bone and Joint Decade ; BJD) " と位置付けて骨■関節疾患の制圧に乗り出している。
変形性関節症 (osteoarthritis ; OA) は慢性の関節炎を伴う骨 ·関節疾患で、 軟骨の退行変性により軟骨の破壊と骨や軟骨の増殖性変化をきたす病気である。 その患者数は日本だけでも 500万〜 700万人にのぼり、 60歳以上では、 80%以上が 膝 -肘,股関節や脊椎に変形性関節症の症状を呈すると言われている、 代表的な common diseaseである。 現在のところ、 0Aの根本的な治療手段はなく、 非ステ ロイド性消炎鎮痛剤やヒアルロン酸、 ステロイド剤の投与など、 痛みを抑制する 対症療法が中心となっている。 進行した場合、 関節鏡視下手術■骨切り術 ·人工 関節置換などの手術適応となるが、 人工関節には寿命があるため 55歳位までは この手術を避けることが望ましいと考えられている。 従って、 関節の退行性変化 を抑制する治療方法の開発が望まれている。 上記の CD- CV仮説に基づいて 0Aに対 する感受性を規定する遺伝子を同定することは、 OAの根本的な治療方法を開発 する上で有用な情報を提供するものと期待される。 '
0A感受性遺伝子の探索は、 当初、 骨軟骨異形成症に分類される種々の疾患に おける変異遺伝子 (例: II型コラーゲンをコードする Co al遺伝子) や骨密度 を制御するタンパク質 (例: ビタミン Dレセプター) をコードする遺伝子等の、 疾患との関連性が予期され得る限られた候補遺伝子を対象とした相関解析 (random association) により行われていたが、 これらの結果は概して否定的で あった。 そこで、 前もって候捕遺伝子を予測せずにゲノム全域での多型解析によ り体系的に遺伝子マッピングを行う手法 (ゲノムワイドスクリーニング) が用
いられるようになった。
欧米では、 オックスフォード大学の J. Loughl inらのグループをはじめとして、 いくつかのグループからゲノムワイド連鎖解析による OA感受性遺伝子座のマッ ビングに関する報告がなされている (例えば、 非特許文献 3を参照)。 例えば、 Loughlinらは、 2, 4, 6, 11および 16番染色体上に OA感受性遺伝子座が存在する こと、 2番染色体上に位置するインターロイキン -1 (IL-1) 遺伝子クラスターお ょぴインターロイキン- 4レセプター (IL-4R) α鎖遺伝子内における頻度の高い 多型 (CV) 力 それぞれ膝関節 OAおよび股関節 OAと相関することを報告してい る (非特許文献 4, 5)。 一方で、 6番染色体上の OA感受性領域内に存在する C0L9A1遺伝子 (関節軟骨の基質タンパク質 IX型コラーゲンをコードする) およ び BMP5遺伝子 (骨形成タンパク質 (BMP) 遺伝子ファミリーに属する) は、 それ らの機能から 0Aとの関連が予測されたが、 これらの遺伝子内には 0Aと相関する SNPは見出されなかった。
CALM1遺伝子はカルモジュリン (CaM) と呼ばれる細胞内カルシウム結合タン パク質をコードし、 軟骨細胞を含む種々の組織でュビキタスに発現している。 細 胞内カルシウム濃度の上昇が軟骨細胞分化を促進することが知られている (非 特許文献 6)。 主要な軟骨基質の 1つであるァグリカンをコードする遺伝子の発現 は力学的刺激によつて上昇するが、 この発現は CaM阻害剤の存在下で抑制される ことが報告されている (非特許文献 7)。 これらの知見に基づいて、 CaMがカルシ ニューリンゃ CaM依存性キナーゼ IIを介してァグリカン遺伝子の転写を活性化す るとのモデルが提唱されている。 また、 CaMが軟骨細胞分化のマスター遺伝子で ある S0X9にコードされるタンパク質に結合してその核内移行を制御するとの報 告もある (非特許文献 8)。
ァスポジンは Small Leucine - rich Repeat Proteoglycan (SLRP) ファミリー に属するタンパク質であり、 細胞外基質タンパク質の 1つである。 その生理機能 は不明であるが、 0A軟骨で高発現していることが報告されている (非特許文献 9)。 ァスポリンは、 SLRPファミリーに属する他のプロテオダリカンとは異なり、
N末端側に特徴的なァスパラギン酸の繰り返し (D-リピート) 多型を有する。 ァスポリンと同じ SLRPファミリ一に属するデコリン, バイダリカンおよびフ イブ口モジュリンは、 軟骨分化の重要な調節因子として知られる TGF- と相互 作用することが報告されている (非特許文献 10)。
しかしながら、 CALM1遺伝子やァスポリン遺伝子における異常が OAの発症もし くは進行に関連しているとの報告は皆無である。
[非特許文献 1] Ozaki et al. , Nat. Genet. , 32: 650-4 (2002)
[非特許文献 2] Tokuhiro et al. , Nat. Genet. , 35: 341-8 (2003)
[非特許文献3] J. Loughlin, Curr. Opin. Pharmacol. , 3: 295-9 (2003)
[非特許文献 4] Loughlin et al. , Arthritis Rheum. , 46: 1519-27 (2002) [非特許文献 5] Forster et al. , Hum. Genet. , 114: 391 - 5 (2004)
[非特許文献 6] Valhmu and Raia, Biochem. J. , 361: 689-96 (2002)
[非特許文献 7] Tomita et al. , J. Biol. Chera. , 277 : 42214-8 (2002)
[非特許文献 8] Argentaro et al. , J. Biol. Chem. , 278: 33839-47 (2003) [非特許文献 9] Lorenzo et al. , J. Biol. Chem. , 276: 12201-11 (2001) [非特許文献 10] Burton-Wurster et al. , Osteoarthr. Cartil. , 11: 167-76 (2003) 発明の開示
本発明の目的は、 変形性関節症をはじめとする骨 ·関節疾患の発症■進行に関 与する遺伝子を同定し、 その機能を解明することにより、 当該疾患の新規且つ根 本的な予防 ·治療手段を提供することである。 また、 本発明の別の目的は、 骨 - 関節疾患に対する遺伝的感受性の簡便且つ高確度な診断方法を提供することであ る。
本発明者らは、 上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、 本発明を完成 するに至った。 すなわち、 本発明は、
[1] 下記 (a)〜(c) のいずれかの物質を含有してなる骨 ·関節疾患の予防,治
療剤;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩
(b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質またはその部分ぺプチドをコ一ドする塩基配列を含む核 酸
(c) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは 活性を促進する化合物またはその塩
[2] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代 Hi性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [1] 記載の剤;
[3] 哺乳動物における、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実 質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはそ の塩の発現もしくは活性を増強することを含む、 該哺乳動物における骨 ·関節疾 患の予防 ·治療方法;
[4] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代窗 ί性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [3] 記載の方法;
[5] 骨 ·関節疾患予防 '治療剤の製造のための下記 (a)〜(c) のいずれかの物 質の使用;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩
(b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質またはその部分ぺプチドをコ一ドする塩基配列を含む核 酸
(c) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ
酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは 活性を促進する化合物またはその塩
[6] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [5] 記載の使用; '
[7] 下記 (a)〜(c) のいずれかの物質を含有してなる骨 ·関節疾患の予防 -治 療剤;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一 部を含む核酸
(b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対する中和抗 体
(c) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは 活性を抑制する化合物またはその塩
[8] 骨 ·関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [7] 記載の剤;
[9] 哺乳動物における、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実 質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはそ の塩の発現もしくは活性を低減することを含む、 該哺乳動物における骨■関節疾 患の予防 ·治療方法;
[10] 骨 ·関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [9] 記載の方法;
[11] 骨 ·関節疾患予防 ·治療剤の製造のための下記 (a)〜(c) のいずれかの物 質の使用;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ
酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一 部を含む核酸
(b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対する中和抗 体
(c) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩の発現もしくは 活性を抑制する化合物またはその塩
[12] 骨 ·関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [11] 記載の使用;
[13] 下記 (a) または (b) の物質を含有してなる骨 ·関節疾患の診断剤;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対する抗体
(b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸
[14] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [13] 記載の剤;
[ 15] 被験動物における、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは 実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたは その塩の発現変動を調べることを含む、 骨 ·関節疾患の診断方法;
[16] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [15] 記載の方法; [ 17] 骨 ·関節疾患の診断剤の製造のための下記 (a) または (b) の物質の使 用;
(a) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ
酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対する抗体 (b) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸
[18] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [17] 記載の使用; [19] 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ ノ酸配列を含むタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を用いること を特徴とする骨 ·関節疾患の予防 ·治療剤のスクリーニング方法;
[20] 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ ノ酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸、 あ るいは該タンパク質もしくは該部分べプチドまたはその塩に対する抗体を用いる ことを特徴とする骨 ·関節疾患の予防 ·治療剤のスクリーニング方法;
[21] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記. [ 19] または [20] 記 載の方法;
[22] 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該 塩基はチミンである) を含む該塩基配列の部分配列であって、 約 15塩基以上の 連続した塩基配列を含む核酸;
[23] 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基番号 85, 1576, 2445およ び 6641で示される塩基がそれぞれチミン、 シトシン、 グァニンおよびチミンで あるハプロタイプの塩基配列を含む核酸;
[24] 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基番号 85, 1576, 2445およ び 6641で示される塩基からなる群より選択される 1以上の塩基における多型を検 出することを含む、 骨■関節疾患に対する遺伝的感受性の診断方法;
[25] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、
滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨 B重瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [24] 記載の方法; [26] 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該 塩基はチミンである) およびそれに隣接する塩基からなる塩基配列を含む核酸 を含有してなる骨 ·関節疾患の予防 ·治療剤;
[27] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポ ッによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [26] 記載の剤;
[28] 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該 塩基はチミンである) およびそれに隣接する塩基からなる塩基配列を含む核酸 を哺乳動物に投与することを含む、 該哺乳動物における骨■関節疾患の予防 ·治 療方法;
[29] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [28] 記載の方法;
[30] 骨 ·関節疾患の予防■治療剤の製造のための、 配列番号: 5で表される塩 基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該塩基はチミンである) およびそ れに隣接する塩基からなる塩基配列を含む核酸の使用;
[31] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [30] 記載の使用;
[32] 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該 塩基はチミンである) およびそれに隣接する塩基からなる塩基配列を含む核酸 と、 該塩基配列に選択的に結合する転写調節因子とを用いることを特徴とする 骨■関節疾患の予防 ·治療剤のスクリ一二ング方法;
[33] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍
および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [32] 記載の方法;
[34] 下記 (a)〜(c) のいずれかの物質を含有してなる骨 .関節疾患の予防 ·治 療剤;
(a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分べプチドまたはその塩
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番咅 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質またはそ の部分べプチドをコ一ドする塩基配列を含む核酸
(c) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは活性を促進する化合物またはその 塩
[35] 骨,関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [34] 記載の剤;
[36] 哺乳動物における、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1 〜347で示されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩の発現もしくは活性を増強 することを含む、 該哺乳動物における骨 ·関節疾患の予防 ·治療方法;
[37] 骨■関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [36] 記載の方法;
[38] 骨 ·関節疾患予防 ·治療剤の製造のための下記 ( 〜(c) のいずれかの物 質の使用;
(a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分ペプチドまたはその塩 '
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ
ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質またはそ の部分ぺプチドをコ一ドする塩基配列を含む核酸
(c) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分べプチドまたはその塩の発現もしくは活性を促進する化合物またはその 塩
[39] 骨 ·関節疾患が、 先天性骨系統疾患、 骨軟骨腫、 骨腫瘍および軟骨腫瘍か らなる群より選択される上記 [38] 記載の使用;
[40] 下記 (a)〜( のいずれかの物質を含有してなる骨 ·関節疾患の予防 -治 療剤;
(a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分ぺプチドまたはその塩に対する中和抗体
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列に相捕的な塩基配列またはその一 部を含む核酸
(c) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしく はその部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは活性を抑制する化合物またはそ の塩
[41] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [40] 記載の剤;
[42] 哺乳動物における、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含むタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩の発現もしくは活性を低 減することを含む、 該哺乳動物における骨 ·関節疾患の予防 ·治療方法;
[43] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [42] 記載の方法;
[44] 骨 '関節疾患予.防 '治療剤の製造のための下記 (a)〜(c) のいずれかの物 質の物質の使用;
(a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分べプチドまたはその塩に対する中和抗体
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一 部を含む核酸
(c) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質もしく はその部分ぺプチドまたはその塩の発現もしくは活性を抑制する化合物またはそ の塩
[45] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害および先天性骨系統疾患からな る群より選択される上記 [44] 記載の使用;
[46] 下記 (a) または (b) の物質を含有してなる骨 ·関節疾患の診断剤; (a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸酉己列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分べプチドまたはその塩に対する抗体
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸
[47] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [46] 記載の剤;
[48] 被験動物における、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1 〜347で示されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 むタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩の発現変動を調べることを 含む、 骨 ·関節疾患の診断方法;
[49] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [48] 記載の方法;
[50] 骨,関節疾患の診断剤の製造のための下記 (a) または (b) の物質の使 用;
(a) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミ ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしくは その部分ぺプチドまたはその塩に対する抗体
(b) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸
[51] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [50] 記載の使用;
[52] 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含むタンパク質もしく はその部分ぺプチドまたはその塩を用いることを特徴とする骨 ·関節疾患の予 防 ·治療剤のスクリーニング方法;
[53] 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミ ノ酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部を含む核酸、 あ るいは該タンパク質もしくは該部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を用いる ことを特徴とする骨 ·関節疾患の予防 ·治療剤のスクリーニング方法;
[54] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍
および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [52] または [53] 記 載の方法;
[55] 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中 N末端側に存在するァスパラギン 酸の繰り返し残基数における多型を検出することを含む、 骨 ·関節疾患に対する 遺伝的感受性の診断方法;
[56] 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基番号 85, 1576, 2445およ び 6641で示される塩基からなる群より選択される 1以上の塩基における多型を 検出することをさらに含む、 上記 [55] 記載の方法; および
[57] 骨 ·関節疾患が、 骨粗鬆症、 変形性関節症、 慢性関節リゥマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障害、 骨軟骨腫、 骨腫瘍、 軟骨腫瘍 および先天性骨系統疾患からなる群より選択される上記 [55] または [56] 記 載の方法;
などを提供する。
カルモジユリンは軟骨基質遺伝子の発現を増加させ、 軟骨前駆細胞から軟骨細 胞への分化を促進する機能を有することにより、 骨 '関節疾患、 特に軟骨基質の 変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患に対して予防 ·治 療効果を奏する。 また、 ァスポリンは軟骨基質遺伝子の発現を低下させ、 軟骨前 駆細胞から軟骨細胞への分化を抑制する機能を有するので、 ァスポリンの発現も しくは活性を阻害することにより上記骨 ·関節疾患の予防 ·治療効果が得られう る。 さらに、 CALM1遺伝子およびァスポリン遺伝子における多型が骨 ·関節疾患 と相関することから、 該多型は骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性の簡便な判定 に利用することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 IVS3- 293CXTを中心とした連鎖不平衡領域の解析結果を示す。 グラフ の縦軸は連鎖不平衡定数 D' を、 横軸は第 14番染色体上の IVS3- 293C〉T付近の相 対位置 (左がセントロメァ側、 右がテロメァ側) をそれぞれ示す。 また、 下の
模式図は、 グラフの横軸と対応し、 遺伝子およびュニジーンの存在位置を示す。 矢印は遺伝子の転写方向を示す。 IVS3- 293C〉Tと完全連鎖 (D' =1) する SNPは CALM 1遺伝子領域に集中している。
図 2は、 CALM1遺伝子のエタソン-ィントロン構造および SNPの存在位置 (a)、 並びにコモンハプロタイプ構造おょぴそれらの股関節 OA患者、 非 OA患者におけ る頻度 (b) を示す。 図 2a中、 ボックスはェクソン (白抜きは非翻訳領域、 黒塗 りはコード領域) を、 線はイントロンを示し、 ATGおよび Stopはそれぞれ開始お よび終止コドンを示す。 下の縦棒は既知の JSNP (*はマイナーアレル頻度力 10% 以上であることを示し、 5, 側よりそれぞれ CALM— 1〜CALM_11の SNP IDが付され ている (図 2b) ) を、 矢印は実施例 1において発見された新規 JSNPの位置をそれ ぞれ示す。 IVS3- 293 Tは CALM— 9に相当する。
図 3は、 軟骨細胞における CALM1の発現解析結果を示す。 NHAC- knは正常ヒト膝 関節軟骨細胞 NHAC-knから、 OA軟骨 1~4は人工膝関節置換術時に膝関節 OA患者よ り切除した関節軟骨から、 それぞれ抽出した総 RNAを铸型とする RT - PCR增幅産物 をァガロースゲル電気泳動で分離し、 ェチジゥムプロマイドで染色したものであ る。
図 4は、 -16 Tの転写活性に及ぼす影響を示すルシフェラーゼァッセィの結果 を示す。 図 4aは、 図 4bの最上段のコンス トラク ト (転写開始点の上流 1231 bpお よび 5 ' 非翻訳領域 202 bpを含む) を導入した 0UMS- 27細胞におけるルシフェラ ーゼ活性の、 - 16Cアレルと- 16Tアレルでの比較を示す (**: pく 0. 01)。 図 4bは、 長さの異なる CALM1遺伝子の発現調節領域を含む 4種のコンストラクトを導入し た Huh- 7細胞におけるルシフェラーゼ活性の、 -16Cアレルと- 1OTアレルでの比較 を示す (*: pく 0. 05, **: pく 0. 01)。 模式図中、 TATAは TATAボックスを、 5, UTR は 5 ' 非翻訳領域を、 Lucはルシフェラーゼコード領域をそれぞれ示す。 活性比 は- 16Cァレルの活性を 100%とした相対活性で示している。
図 5は、 -16 Tおよびその周辺の CALM1遺伝子配列に結合する核内因子の存在 を示すゲルシフ トアツセィの結果を示す。 これらの核内因子は、 - 16Cアレルよ
りも- 1OTァレルに強く結合する (矢尻)。
図 6は、 ATDC5細胞の軟骨細胞分化に及ぼすカルモジュリン阻害剤 W- 7の影響を 示す。 図 6a, bおよび cは、 それぞれ II型コラーゲン遺伝子、 ァグリカン遺伝子 および X型コラーゲン遺伝子の発現量の経時変化を示す。 縦軸は 0日目を基準 (=1) とした相対発現量を、 横軸はインスリン添加後の日数をそれぞれ示す。 (-〇-) インスリン非添加; (-鼴-) インスリン添加; (-▲ -) インスリンおよび W- 7添加。
図 7は、 ィオノマイシン刺激後の軟骨基質遺伝子の発現上昇反応におけるカル モジュリンの関与を示す。 図 7aおよび bは、 それぞれ Π型コラーゲン遺伝子およ ぴァダリカン遺伝子の発現量の変化度 (ィオノマイシン非添加時の発現量を 1と した相対値) を示す。
図 8は、 オリゴヌクレオチドマイクロアレイ解析による正常おょぴ OA関節軟骨 におけるァスポリンの発現量を比較した結果を示す。 縦軸は標準化したシグナル 強度を示す。
図 9は、 第 9番染色体上のァスポリン遺伝子およびその周辺遺伝子領域の地図 (図 9a上段) およびァスポリン遺伝子内の一塩基多型 (SNP) 地図 (図 9a下段)、 並びにァスポリン遺伝子おょぴその周辺遺伝子領域における連鎖不平衡地図 (図 9b) である。 図 9a上段において、 ボックスは遺伝子領域、 線は非遺伝子領域 を示し、 はァスポリン遺伝子を示す。 図 9a下段において、 ボックスはエタ ソンを、 線はイントロンを示し、 C>T等は一塩基置換を、 T/delは一塩基欠失を 示す。 D repeatはァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し配列を示す。 図 9b中、 D' は連鎖不平衡定数を示す。
図 10は、 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型における D14アレル 保有者頻度と日本人膝関節 OAの重症度との相関を調べた結果を示す。 図 10aは北 大分類、 図 10bは Kellgrenスコアの各スコアの患者における D14アレル保有者頻 度 (%) をそれぞれ示す。
図 11は、 ヒ トァスポリ ン D13および D14安定発現 ATDC5細胞株における TGF - J3
(TGF- β 1 (図 lla), TGF- β 2 (図 l ib) および TGF- j3 3 (図 11c) ) 刺激によるァグ リ力ン遺伝子発現量 (χ10_3コピー/ g総 RNA) を測定した結果を示す。
図 12は、 ヒ トァスポリン D13および D14安定発現 ATDC5細胞株における TGF - β (TGF- β 1 (図 12a), TGF - 2 (図 12b) および TGF - ]3 3 (図 12c) ) 刺激による II型 コラーゲン遺伝子発現量 (xlO—5コピー// x g総 RNA) を測定した結果を示す。
図 13は、 ヒ トァスポリン D13および D14安定発現 ATDC5細胞株における TGF - ]3 (TGF- J3 1 (図 13a) , TGF- β 2 (図 13b) および TGF- /3 3 (図 13c) ) 刺激によるヒ ト ァスポリン遺伝子発現量 (xlO— 5コピー/ μ g総 RNA) を測定した結果を示す。
図 14は、 ヒ トァスポリン一過性発現 ATDC5細胞株における TGF- 1刺激による ァグリカン (a), II型コラーゲン (b) およぴヒトァスポリン (c) 遺伝子発現 量 (単位: xlO— 4コピー/ ; u g総 RNA (a) ; xlO—6コピー/ g総 RNA (bおよび c) ) を測 定した結果を示す。 白抜きのバーは TGF- Ι非刺激を、 黒塗りのパーは TGF - ;3 1 刺激を示す。
図 15は、 ヒトァスポリン安定努現 ATDC5細胞株の軟骨分化培養過程におけるァ グリカン (図 15a), II型コラーゲン (図 15b) およびヒトァスポリン (図 15c) 遺伝子発現量 (単位: χΚΓ4コピー/ 総 RNA (図 15aおよび図 15c) ; xl(T6コピー/ μ gliRNA (図 15b) ) を測定した結果を示す。 各グラフ中、 白抜きバーは Mock、 ハッチ入りパーは D13、 黒塗りバーは D をそれぞれ示し、 グラフ横軸の数字は 分化誘導後の日数を示す。
図 16は、 ヒ トァスポリン D13とヒ トァスポリン D14との間で、 TGF - ]3 1刺激時の ァグリカン (図 16a) および II型コラーゲン (図 1 ) 遺伝子発現の抑制活性を 比較した結果を示す。 縦軸は、 単位ァスポリン mRNA量あたりの遺伝子発現抑制 率(TGF- β 1刺激時のァグリ力ンまたは II型コラーゲン遺伝子発現量/ TGF- β 1非 刺激時のァグリカンまたは II型コラーゲン遺伝子発現量)を示す。
図 17は、 ヒ トァスポリンと TGF - 1との結合試験の結果を示す。 Sタグ付きヒ トァスポリン成熟体を無細胞合成し、 TGF- j3 1と混合した後、 S-プロテインァガ ロースレジンを用いてァフィ二ティー精製し、 SDS- PAGEにかけた後、 ァスポリ
ン (上パネル), TGF- β 1 (下パネル) をそれぞれ検出した。
図 18は、 大腸菌組換え型マウスァスポリンの部分精製品を SDS- PAGEにかけた 後、 クマシ一染色によりタンパク質を検出した結果 (a) および S -プロテイン- HRPを用いたウェスタンプロッティングにより Sタグ付きマウスァスポリンを検 出した結果 (b) を示す。 矢印はァスポリンに相当するバンドを示す。
図 19は、 マウスァスポリンと TGF- /3 1との結合試験の結果を示す。 図 19aは、 ビォチン化デコリンと TGF- との結合阻害を指標とした結合試験の結果を示し、 図 19bは、 Sタグ付きマウスァスポリンと TGF- β 1との結合を、 S -プロテイン- HRP を用いて検出した結果を示す。 各図の縦軸は、 ビォチン化デコリン (図 19a) ま たは Sタグ付きマウスァスポリン (図 19b) の TGF- |3 1固相への結合量を、 最大結 合量に対する ¾で示している。
図 20は、 N末に HAタグを付与したヒトァスポリンを一過性に発現させた C0S7細 胞株の培養上清 (右パネル) および細胞抽出画分 (左パネル) に発現したァス ポリンを、 抗 HA抗体を用いてウェスタンプロッティングで検出した結果を示す。 図 21は、 ァスポリンと I型および II型コラーゲンとの結合試験の結果を示す (パネル a;)。 Sタグ付きヒ トァスポリン成熟体を無細胞合成し (リジン残基がビ ォチン化されている)、 コラーゲンと混合した後、 SDS- PAGEにかけ、 ストレプト アビジン- HRPを用いて検出した。 パネノレ bは、 ポジティブコントロールとしての デコリンおよびネガティブコント口 ルとしてのバイグリカンと、 I型および II 型コラーゲンとの結合試験の結果を示す。
図 22は、 各種軟骨系細胞株における TGF- /3 1によるァスポリン遺伝子発現の誘 導能を調べた結果を示す。 縦軸は遺伝子発現量 ( 10—5コピー/ // §総!¾^) を示 し、 白抜きのバーは TGF- ΐ非刺激を、 黒塗りのバーは TGF- ]3 1刺激を示す。
図 23は、 ヒ ト膝関節 OA軟骨組織およぴヒ ト軟骨系細胞株における TGF- βアイ ソフォームの遺伝子発現量を比較した結果を示す。 図 23aはリアルタイム PCRで ヒ ト膝関節 OA軟骨組織、 図 23bはリアルタイム PCRでヒ ト軟骨系細胞株、 図 23cは マイクロアレイで正常および OA関節軟骨組織における TGF- β 1 (黒塗りバー),
TGF- β 2 (ハッチ入りバー) および TGF- ]3 3 (白抜きバー) 遺伝子の発現量 (単 位: xlO— 4コピー/ ; i g総 RNA (図 23a) ; xlO— 6コピー/ / z g総 RNA (図 23b); 標準化し たシグナル強度 (図 23c) ) を比較した結果をそれぞれ示す。
図 24は、 分化培地で培養開始後 21日目のヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株 をアルシアンブルー染色した結果を示す。 図 24aは実際の染色像を示し、 図 24b は細胞を 6M グァ-ジン塩酸で処理した抽出液の吸光度 (0D630) を示す。
図 25は、 大腸菌で発現させた組換え型マウスァスポリン精製物の、 SDS- PAGE 後のクマシーブリリアントブルー染色の結果を示す。 レーン 1は分子量マーカー、 レーン 2は精製組換え型マウスァスポリンを示す。
図 26は、 精製組換え型マウスァスポリンと TGF- Ιとの結合試験の結果を示す。 沈殿物中の S-タグ付きマウスァスポリンは S-プロテインを、 TGF- 1は抗 TGF - jS 1抗体を、 それぞれ用いたウェスタンプロッティングにより検出した。
図 27は、 ATDC5細胞における TGF- /3 1刺激によるァグリカン遺伝子 (図 27a) お よび II型コラーゲン遺伝子 (図 27b) の発現上昇に及ぼす精製組換え型マウスァ スポリンの抑制作用を示す。 図 27aにおいて、 縦軸は GAPDH遺伝子で補正したァ ダリカン遺伝子発現量 (xl0)、 横軸は添加した精製マウスァスポリン濃度 ( g/ral) を示す。 図 27bにおいて、 縦軸は GAPDH遺伝子で補正した II型コラーゲン 遺伝子発現量 (xl02)、 横軸は添加した精製マウスァスポリン濃度 (/z g/ml) を 示す。 各図において、 白抜きバーは TGF- j3 1非刺激、 黒塗りバーは TGF- 1刺激 をそれぞれ示す。
図 28は、 マイクロプレートアツセィ法を用いたマウスァスポリンと TGF- /3と の結合試験の結果を示す。 縦軸は、 TGF- ]3を固相化したプレート (TGF- 1 (+) ) または TGF- j8を固相化していないプレート (TGF- ]3 1 (- ) ) へのピオチン化ァス ポリンの結合量を 0D405 nmで示す。 横軸は、 溶液中へのビォチン化ァスポリン (上段) およびァスポリン (下段) の添加濃度 (mg/ml) を示す。
図 29は、 正常ヒ ト膝関節軟骨細胞 (NHAC) における精製組換え型マウスァス ポリンの TGF- ]3刺激 II型コラーゲン (a) およびァグリカン (b) 遺伝子発現抑
制作用を調べた結果を示す。 縦軸は遺伝子発現量 (単位: xlO_5コピー/ 総 RNA)、 横軸はマウスァスポリン濃度 (/i g/ml) を示す。 白抜きのバーは TGF- ]3 1 非刺激を、 黒塗りのバーは TGF- β 1刺激を示す。
図 30は、 ATDC5細胞における精製組換え型マウスァスポリンの TGF- ]3刺激 Smad2リン酸化抑制作用を調べた結果を示す。 図中、 aはリン酸化 Smad2を、 bは Stnad2をそれぞれ示す。
図 31は、 リアルタイム PCR法により正常 (非 OA) および OA関節軟骨におけるァ スポリン mRNA発現量を比較した結果を示す (*: pく 0. 01 (Student 5 s t- test) )。 縦軸は GAPDH遺伝子で補正したァスポリン遺伝子発現量 (xlO) を示す。
図 32は、 ATDC5細胞株における TGF- J3 1刺激 II型コラーゲン遺伝子発現に及ぼ すヒ トァスポリン D16および D17の一過性発現の効果を調べた結果を示す (*: pく 0. 05, **: pく 0. 01 (Student' s t- test) )。 縦軸は II型コラーゲン遺伝子の発 現量 ( 10-6コピー/;^総1^八) を示す。
図 33は、 各種細胞株 (HuH7 (a) , ATDC5 (b) および NHAC (c) ) 培養上清にお ける組換え型ヒ トァスポリンの発現を調べた結果を示す。 各パネルは抗 HA抗体 によるプロットを示す。
図 34は、 組換え型マウスァスポリンの ATDC5細胞増殖抑制作用を調べた結果を 示す。 図 34aは、 ァスポリ ンの細胞増殖抑制作用の濃度依存性を示す (*: pく 0. 05, **: p<0. 01 (Student ' s t- test) )。 (-〇-) ァスポリン非添加; (-△- ) 1. 9 μ g/ml; (一口—) 3. 75 μ g/ral; (一書—) 7. 5 μ g/ral; (一▲一) 15 μ g/ral; (-画-) 30 μ g/ral 0 図 34b中、 左グラフはァスポリン非添加時、 右グラフはァス ポリン添加 (10 g/ml) 時における、 bFGFの細胞増殖抑制作用を示す。 (-〇-). bFGF非添加; (-參-) 1 ng/ml ; (-▲- ) 2 ng/ral; (-騙-) 4 ng/ml; (-♦-) 8 ng/ral ; (- X -) 16 ng/ml。 各グラフにおいて、 縦軸は細胞増殖を 0D550 nmで示 し、 横軸はァスポリンまたは bFGF添カ卩後の日数を示す。
図 35は、 ATDC5細胞における bFGF刺激ブロモデォキシゥリジン (BrdU) 取り込 みに及ぼすマウスァスポリ ンの作用を調べた結果を示す (**: pく 0. 01
(Student ' s t_test) )。 縦軸は、 BrdUの取り込み量を、 ァスポリンおよび bFGF 非添加時における値を 1としたときの相対値として示す。
図 36は、 マイク口プレートアツセィ法を用いたマウスァスポリンと bFGFとの 結合試験の結果を示す。 縦軸は、 bFGFを固相化したプレート (bFGF (+) ) または bFGFを固相化していないプレート (bFGF (-)) へのピオチン化ァスポリンの結合 量を OD405 nmで示す。 白抜きのバーは bFGF非添加を、 黒塗りのバーは bFGF添加 を示す。
図 37は、 ウェスタンプロッティングによる抗ァスポリン抗体のヒト (a) およ びマウスァスポリン (b) との反応性を調べた結果を示す。 図中、 aは HAタグ付 きヒトァスポリン (D13または D14) を発現する HuH7細胞の培養上清濃縮液を、 b は精製組換え型マウスァスポリン (10または 100 ng) をそれぞれ SDS- PAGEにか け、 3種の抗体 (抗マウスァスポリン抗体 (2229- B01) (上パネル), 抗ヒトァス ポリンペプチド抗体 (2210- B02) (中パネル), 抗ヒ トァスポリンペプチド抗体 (2211-B02) (下パネル)) との反応性を調べた。
図 38は、 ヒトァスポリン (D13または D14) 安定発現 ATDC5細胞株の培養上清中 におけるァスポリンタンパク質の発現を調べた結果を示す。 抗マウスァスポリン 抗体 (2229- B01) による免疫沈降物を、 ビォチン化抗ヒ トァスポリ ン抗体 (2210-B02) 抗体を用いてウェスタンプロッティングにより検出した。
図 39は、 NHAC細胞における TGF- ]3 1の分化作用に対するァスポリンの抑制作用 を示す。 図中、 aは TGF- ]3 1無添加で 7日間培養後、 bは TGF- ]3 1を添加して 7日間 培養後、 cは TGF- β 1およびァスポリンを添加して 7日間培養後の NHAC細胞の顕微 鏡像をそれぞれ示す。
図 40は、 NHAC細胞における TGF_ ]3 1刺激による Smad2リン酸化に対するァスポ リンの抑制作用を示す。 P- Smad2はリン酸化 Smad2に相当するバンドを示す。
図 41は、 NHAC細胞における 1刺激による Smad3特異的遺伝子転写に対す るァスポリンの抑制作用を示す (*: pく 0. 05)。 縦軸は、 ルシフェラーゼ活性を、 Smad3/4結合配列を含まなぃルシフェラーゼ遺伝子を導入した細胞におけるァス
ポリンおよび TGF- j8 1非添加時の活性を 1とした相対値で示す。 白抜きのバーは TGF- β 1非添加を、 黒塗りのバーは TGF- β 1添加を示す。
図 42は、 NHAC細胞培養上清中における内在性ァスポリンの発現を示す。 抗マ ウスァスポリン抗体 (222 - B01) による免疫沈降物を、 ピオチン化抗ヒトァス ポリン抗体 (2210- Β02) 抗体を用いてウェスタンブロッテイングにより検出し た。
図 43は、 NHAC細胞における内在性ァスポリンの細胞外局在を示す。 aおよび b は抗マウスァスポリン抗体(2229- B01) による免疫染色像を、 cおよび dは細胞内 マーカーである SmacKを検出するための抗 Sraad2抗体による免疫染色像をそれぞ れ示す。 aおよび cは界面活性剤による浸透化処理をしていない細胞、 bおよび d は該処理を施した細胞である。
図 44は、 NHAC細胞におけるァスポリンと TGF- 1の co- localizationを示す。 a 〜(!はビォチン化 TGF- β 1を添加した細胞、 e〜hはビォチン化 TGF- β 1を添加して いない細胞における染色像である。 aおよび eはァスポリンと核の二重染色像を、 bおよび fは TGF- )3 1の染色像を、 cおよび gはァスポリンの染色像を、 dおよび hは TGF- 0 1とァスポリンの二重染色像をそれぞれ示す。
図 45は、 ヒ ト OA患者膝関節軟骨組織におけるァスポリンと TGF - i3 1の co - localizationを示す。 a〜cはァスポリン、 dおよび eは TGF- i3 1についての免疫染 色像である。 aおよび dは病変部、 bおよび eは非病変部の組織をそれぞれ示す。 矢頭はァスポリンと TGF - /3 1の染色が一致する部分を示す。 尚、 cにおいて、 青 く染色されている部分が病変部、 赤く染色されている部分が非病変部に相当する。 図 46は、 NHAC細胞における TGF- Ιによるァスポリン遺伝子の一過性発現誘導 を示す。 各グラフにおいて、 縦軸は GAPDH遺伝子で補正したァスポリン遺伝子発 現量 (xl0)、 横軸は TGF- ΐ添加後の時間 (a) または日数 (b) を示す。 (-〇 -) TGF- ΐ非添加; (-·-) TGF- β 1 (10 ng/ral) 添加。
図 47は、 NHAC細胞における TGF- 1によるァスポリン (図 47a) , TGF- 1 (図 47b) , II型コラーゲン (図 47c) およびァグリカン (図47 d) 遺伝子の発現誘導
に及ぼす SB431542の効果を示す (*: pく 0. 05)。 各グラフにおいて、 縦軸は GAPDH 遺伝子で補正した各遺伝子発現量 (単位: xlO (図 47aおよび b) ; xlO3 (図 47 C); xlO2 (図 47d) ) を示し、 横軸上段の数字は SB431542の添加濃度 M)、 下段の数 字は TGF- ΐの添加濃度 (ng/ml) をそれぞれ示す。
図 48は、 NHAC細胞における TGF- 0 1によるァスポリン遺伝子の発現誘導に及ぼ すシクロへキシミ ド (CHX) の効果を示す。 縦軸は、 GAPDH遺伝子で捕正したァ スポリン遺伝子発現量 (xlO) を示し、 横軸の 「時刻」 は、 TGF- 3 1添加時を基 準 (時刻 0) としたときの CHX添加時刻 (時) を示す。
図 49は、 NHAC細胞における TGF- β 1刺激によるァスポリン (a) および TGF- β 1 (b) 遺伝子発現に対するァスポリンの抑制作用を示す。 各グラフにおいて、 縦 軸は GAPDH遺伝子で補正した各遺伝子発現量 (単位: xlO) を、 横軸はァスポリ ン添加濃度 (ju g/ml) をそれぞれ示す。 白抜きのバーは TGF- ]3 1非刺激を、 黒塗 りのバーは TGF- ]3 1刺激を示す。
図 50は、 NHAC細胞におけるァスポリン (a) , II型コラーゲン (b), ァグリカ ン (c) および TGF- ]3 1 (d) 遺伝子発現に対するァスポリン特異的 siRNAの調節 作用を示す (*: pく 0. 05, ** : pく 0. 01)。 各グラフにおいて、 縦軸は GAPDH遺伝子 で補正した各遺伝子発現量 (単位: xlO3 (a) ; xlO4 (b) ; xlO2 (cおよび d) ) を 示す。
図 51は、 NHAC細胞の TGF- jS 1に依存した増殖に及ぼすァスポリンの効果を示す (*: pく 0. 05, ** : pく 0. 01)。 縦軸は 0D550 nraを示し、 横軸上段の数字は TGF- ]3 1 の添加濃度 (ng/ml)、 下段の数字はァスポリンの添加濃度 (/x g/ml) をそれぞ れ示す。
図 52は、 自然発症 0A病態モルモッ トモデルにおける関節軟骨でのァスポリン 遺伝子発現の加齢変化を示す (*: pく 0. 05 (Welch' s test) ) 0 縦軸は、 GAPDH遺 伝子で補正したァスポリン遺伝子発現量 (xlO—2) を示し、 横軸は月齢を示す。 図 53は、 自然発症 0A病態モルモッ トモデルにおける血清中ァスポリン濃度の 加齢変化を示す (*: pく 0. 05, **: p<0. 01 (Dunnett' s test) )。 縦軸は血清中
ァスポリン濃度 (ng/ml) を示し、 横軸は月齢を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明で用 、られる配列番号: 2で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質 的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質 (以下、 「カルモジュリン」 または 「CaM」 と称する場合がある) は、 ヒ トもしくは他の温血動物 (例えば、 サル, ゥシ, ゥマ, ブタ, ヒッジ, ャギ, ゥサギ, マウス, ラット, モノレモット, ハ ムスター, ニヮトリなど) の細胞 [例えば、 肝細胞, 脾細胞, 神経細胞, ダリ ァ細胞, 睥 J3細胞, 骨髄細胞, メサンギゥム細胞, ランゲルハンス細胞, 表皮 細胞, 上皮細胞, 杯細胞, 内皮細胞, 平滑筋細胞, 線維芽細胞, 線維細胞, 筋 細胞, 脂肪細胞, 免疫細胞 (例: マクロファージ, T細胞, B細胞, ナチュラル キラー細胞, 肥満細胞, 好中球, 好塩基球, 好酸球, 単球), 巨核球, 滑膜細胞, 軟骨細胞, 骨細胞, 骨芽細胞, 破骨細胞, 乳腺細胞, 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞, 幹細胞もしくは癌細胞など] またはそれらの細 胞が存在するあらゆる組織もしくは器官 [例えば、 脳, 脳の各部位 (例: 嗅球, 扁桃核, 大脳基底球, 海馬, 視床, 視床下部, 大脳皮質, 延髄, 小脳), 脊髄, 下垂体, 胃, 縢臓, 腎臓, 肝臓, 生殖腺, 甲状腺, 胆嚢, 骨髄, 副腎, 皮膚, 筋肉, 肺, 消化管 (例: 大腸, 小腸), 血管, 心臓, 胸腺, 脾臓, 顎下腺, 末梢 血, 前立腺, 睾丸, 卵巣, 胎盤, 子宮, 骨, 関節, 脂肪組織 (例: 褐色脂肪組 織, 白色脂肪組織), 骨格筋など] に由来するタンパク質であってもよく、 また、 後述のように、 化学的に、 もしくは無細胞タンパク質合成系を用いて生化学的に 合成されたタンパク質であってもよい。 あるいは、 上記アミノ酸配列をコードす る塩基配列を含む核酸を導入された形質転換体から産生される組換えタンパク質 であってもよい。
配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、 配 列番号: 2で表されるアミノ酸配列と約 50%以上、 好ましくは約 60%以上、 さらに 好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 特に好ましくは約 90°/。以上、
最も好ましくは約 95%以上の相同性を有するアミノ.酸配列であって、 該アミノ酸 配列を含むタンパク質が配列番号: 2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質 と実質的に同質の活性を有するような配列をいう。 ここで 「相同性」 とは、 当該 技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて 2つのアミノ酸配列をァラ インさせた場合の、 最適なアラインメント (好ましくは、 該アルゴリズムは最 適なァラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギヤップの導入を考慮 し得るものである) における、 オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同 一アミノ酸および類似アミノ酸残基の割合 (%) を意味する。 「類似アミノ酸」 とは物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味し、 例えば、 芳香族ァミノ 酸 (Phe, Trp, Tyr)、 脂肪族アミノ酸 (Ala, Leu, He, Val)、 極性アミノ酸 (Gin, Asn)、 塩基性アミノ酸 (Lys, Arg, His) , 酸性アミノ酸 (Glu, Asp) , 水 酸基を含むアミノ酸 (Ser, Thr)、 側鎖の小さいアミノ酸 (Gly,. Ala, Ser, Thr, Met) などの同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。 このような類似 アミノ酸による置換はタンパク質の表現型に変化をもたらさない (即ち、 保存 的アミノ酸置換である) ことが予測される。 保存的アミノ酸置換の具体例は当 該技術分野で周知であり、 種々の文献に記載されている (例えば、 Bowie et al., Science, 247: 1306-1310 (1990) を参照)。
アミノ酸配列の相同性を決定するためのアルゴリズムとしては、 例えば、 Karl in et al. , Proc. Natl. Acad. Sci, USA, 90: 5873-5877 (1993) に記載 のアルゴリズム [該ァルゴリズムは NBLASTおよび XBLASTプログラム (version 2. 0) に aみ込まれている (Altschul et al. , Nucleic Acids Res. , 25: 3389- 3402 (1997) )〕、 Needleman et al. , J. Mol. Biol. , ^: 444-453 (1970) に記 載のアルゴリズム [該アルゴリズムは GCGソフトウエアパッケージ中の GAPプロ グラムに組み込まれている]、 Myers and Miller, CABIOS, 4: 11-17 (1988) に 記載のァルゴリズム [該ァルゴリズムは CGC配列ァラインメントソフトウェアパ ッケージの一部である ALIGNプログラム (version 2. 0) に組み込まれている]、 Pearson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988) に記
載のァノレゴリズム [該アルゴリズムは GCGソフトウエアパッケージ中の FASTAプ ログラムに組み込まれている] 等が挙げられるが、 それらに限定されない。
実質的に同質の活^~生としては、 例えば、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化促 進活性、 具体的には、 軟骨細胞の分化マーカー [例: II型コラーゲン遺伝子 (Col2al) , ァグリカン遺伝子 (Agcl) 等] の発現増強活性などが挙げられる。 「実質的に同質」 とは、 それらの性質が定性的に (例: 生理学的に、 または薬 理学的に) 同質であることを意味する。 したがって、 上記の活性の程度といつ た量的要素については同等であることが好ましいが、 異なっていてもよい (例 えば、 約 0. 01〜約 100倍、 好ましくは約 0. 1〜約 10倍、 より好ましくは約 0. 5〜約 2倍)。
カルモジュリン (CaM) の活性の測定は、 自体公知の方法に準じて行うことが できる。 例えば、 後記実施例において詳述するように、 軟骨細胞分化モデルにお ける上記マーカー遺伝子の発現量を測定することにより行うことができる。
また、 本発明で用いられるカルモジュリンとしては、 例えば、 (1) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 好 ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が欠失したァミノ 酸配列、 (2) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましく は、 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミ ノ酸が付加したアミノ酸配列、 (3) 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列に 1ま たは 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 好ま'しくは 1〜10個程度、 さらに好ま しくは 1〜5個) のアミノ酸が揷入されたアミノ酸配列、 (4) 配列番号: 2で表さ れるアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 好ましくは 1~10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され たァミノ酸配列、 または(5) それらを組み合わせたァミノ酸配列を含むタンパ ク質であって、 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的 に同質の活性を有するタンパク質も含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が揷入、 欠失または置換されている場合、 その挿入、
欠失または置換の位置は、 当該タンパク質の活性を損なわない限り、 特に限定さ れない。
本明細書においてアミノ酸配列により特定されるタンパク質は、 ペプチド標記 の慣例に従って、 左端が N末端 (ァミノ末端)、 右端が C末端 (カルボキシル末 端) である。 配列番号: 2で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質をはじめと する、 本努明で用いられるカルモジュリンは、 C末端がカルボキシル基 (- C00H) : カルボキシレート (- C0(T), アミ ド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れ であってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル, ェチル, n-プロピル, イソプロピル, n-プチルなどの ( 6アルキル基、 例えば、 シクロペンチル, シク 口へキシルなどの _8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル, α -ナフチルなどの _12ァリール基、 例えば、 ベンジル, フエネチルなどのフエニル -Cwアルキル基 もしくはひ-ナフチルメチルなどの α -ナフチル- —2アルキル基などの —14ァラル キル基、 ビバ口ィルォキシメチル基などが用いられる。
本発明で用いられるタンパク質が C末端以外に力ルポキシル基 (またはカルボ キシレート) を有している場合、 カルボキシル基がアミ ド化またはエステル化 されているものも本努明で用いられるタンパク質に含まれる。 この場合のエステ ルとしては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるタンパク質には、 N末端のアミノ酸残基 (例: メ チォニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基, ァセチル基などの _6アルカノィルなどの C 6ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で切断 されて生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子内 のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば、 - 0H, - SH, アミノ基, イミダゾール基, インドール基, グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基, ァ セチル基などの _6アル力ノィル基などの ( 6ァシル基など) で保護されているも の、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども 含まれる。
本発明で用いられるタンパク質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 2で表 されるア ミノ酸配列からなるヒ トカルモジュ リ ン (GenBank登録番号: NP_008819) などがあげられる。
本発明で用いられるカルモジュリンの部分ペプチドは、 配列番号: 2で表され るァミノ酸配列の部分ァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列 を含むぺプチドであって、 前記した本発明で用いられるカルモジュリンと実質的 に同質の活 I1生を有するものであればいずれのものでもよい。 ここで 「実質的に同 質の活性」 とは上記と同義である。 また、 「実質的に同質の活性」 の測定は、 上 記と同様にして行うことができる。
具体的には、 該部分べプチドとしては、 本発明で用いられるカルモジュリンの 構成アミノ酸配列のうち少なくとも 50個以上、 好ましくは 70個以上、 より好ま しくは 100個以上のアミノ酸配列からなるペプチドなどが用いられる。 また、 本 発明で用いられるカルモジュリンの部分ペプチドは、 (1) そのアミノ酸配列中 の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のァ ミノ酸が欠失し、 または、 (2) そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましく は、 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) の アミノ酸が付加し、 または、 (3) そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好まし くは、 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が挿入され、 または、 (4) そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜10個程度、 より好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が他のアミノ 酸で置換されていてもよく、 あるいは(5) それらが組み合わされていてもよい。 本発明で用いられるカルモジュリンの部分べプチドは、 C末端がカルボキシル 基 (- C00H), カルボキシレート (_C00—), アミド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであってもよい。 ここでエステルにおける Rとしては、 カルモジュ リンについて上記したと同様のものが挙げられる。 また、 該部分ペプチドが C末 端以外に力ルポキシル基 (またはカルボキシレート) を有している場合、 該カ ルポキシル基がァミド化またはエステル化されているものも本発明で用いられる
カルモジュリンの部分ペプチドに含まれる。 この場合のエステルとしては、 C末 端のエステルと同様のものが例示される。 さらに、 該部分ペプチドには、 カルモ ジュリンの場合と同様に、 N末端のアミノ酸残基 (例: メチォニン残基) のアミ ノ基が保護基で保護されているもの、 N末端側が生体内で切断され生成したダル タミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基 が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ぺプ チドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明で用いられるカルモジュリンまたはその部分べプチドの塩としては、 生 理学的に許容される酸 (例: 無機酸, 有機酸) や塩基 (例: アルカリ金属塩) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 こ の様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸, リン酸, 臭化水素酸, 硫 酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸, ギ酸, プロピオ.ン酸, フマル酸, マレイン酸, コハク酸, 酒石酸, クェン酸, リンゴ酸, 蓚酸, 安息香酸, メタ ンスルホン酸, ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明で用いられるカルモジュリンまたはその塩は、 前述したヒトゃ他の温血 動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によつて調製するこ とができる。 具体的には、 該動物の組織または細胞をホモジナイズした後、 酸な どで抽出を行い、 該抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトダラ フィ一などのクロマトグラフィ一を組み合わせることにより精製単離することが できる。
本発明で用いられるカルモジュリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩 (以下、 「カルモジュリン類」 と包括的に略記する場合がある) は、 公知のぺプ チド合成法に従って製造することもできる。
ペプチド合成法は、 例えば、 固相合成法, 液相合成法のいずれであってもよ い。 本発明のタン^^ク質を構成し得る部分ぺプチドもしくはアミノ酸と残余部分 とを縮合し、 生成物が保護基を含む場合は保護基を脱離することにより、 目的と するタンパク質を製造することができる。 ここで、 縮合や保護基の脱離は、 自体
公知の方法、 例えば、 以下の (1) および (2) に記載された方法に従って行わ れる。
(1) M. Bodanszky and M. A. Ondetti, Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966)
(2) Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, NewYork (1965) 本発明のカルモジュリン類の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用 いることができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂, ヒ ドロキシメチル樹脂, ベンズヒ ドリルァミン樹脂, アミノメチル樹脂, 4-ベン ジルォキシべンジルアルコール樹脂, 4 -メチルべンズヒ ドリルアミン樹脂, PAM 樹脂, 4 -ヒ ドロキシメチルメチルフエニルァセ トアミ ドメチル樹脂, ポリアク リルアミ ド樹脂, 4- (2, ,4, -ジメ トキシフエニノレ-ヒ ドロキシメチル)フエノキ シ樹脂, 4- (2, , 4' -ジメ トキシフエニル- Fmocアミノエチル)フエノキシ樹脂な どを挙げることができる。 このような樹脂を用い、 α -アミノ基と側鎖官能基を 適当に保護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質等の配列通りに、 自体公知の 各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質ま たは部分ぺプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中 で分子内ジスルブイド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もしくは部分べ プチドまたはそれらのアミ ド体を取得する。
上記した保護ァミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができる力 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジィ ミド類としては、 DCC, Ν, Ν' -ジイソプロピル力^/ポジイミ ド, Ν-ェチノレ- Ν, - (3 -ジメチルァミノプロリル)カルボジイミ ドなどが用いられる。 これらによる 活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 HOBt, HOOBt) とともに保護アミノ酸 を直接樹脂に添加するか、 あるいは、 対称酸無水物または HOBtエステルもしく は HOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行った後に、 樹脂に 添加することができる。 .
保護ァミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質
縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N, N-ジメチノレホルムアミ ド, N,N -ジメチルァセトアミ ド, N -メチルピロリ ドン などの酸アミ ド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 トリフルォロエタノールな'どのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスル ホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなどのエーテル類、 ァセトニトリル, プロピオ二トリルなどの二トリル類、 酢酸メチル, 酢酸ェチ ルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応温度 はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択 され、 通常、 約 - 20°C〜50°Cの範囲から適宜選択される。 活性化されたアミノ酸 誘導体は、 通常、 1. 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒ ドリン反応を用いたテス トの結果、 縮合が不十分な場合には、 保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰 り返すことにより、 十分な縮合を行うことができる。 反応を繰り返しても十分な 縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用いて未反 応ァミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響を与えないようにす ることができる。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、 並びにその保護基 の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは、 公知の基または公知の手段から 適宜選択しうる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z, Boc, t-ペンチルォキシカル ポニル, イソポルニルォキシカルボニル, 4-メ トキシベンジルォキシカルボ二 ノレ, C1 - Z, Br- Z, ァダマンチノレオキシカノレポ二ノレ, トリフノレオロアセチノレ, フ タロイル, ホルミル, 2 -二トロフエニルスルフエニル, ジフエニルホスフイノ チオイル, Fmocなどが用いられる。
力ルポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル, ェチル, プロピノレ, ブチノレ, t -プチノレ, シクロペンチノレ, シクロへキシノレ, シクロヘプ チル, シクロオタチル, 2-ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状ァ ルキルエステル化)、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル, 4 -二
トロべンジノレエステノレ, 4-メ トキシベンジノレエステノレ, 4-クロ口べンジノレエス テル, ベンズヒドリルエステル化)、 フエナシルエステル化、 ベンジノレオキシカ ルポニルヒドラジド化、 t-ブトキシカルボュルヒドラジド化、 トリチルヒドラ ジド化などによつて保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低 級 (cv6) アルカノィル基, ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカ ルポニル基, エトキシカルボエル基などの炭酸から誘導される基などが用いら れる。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基, テトラヒ ドロビラ-ル基, t-ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 Bzl, Cl2-Bzl, 2 - ニトロベンジル, Br- Z, t -ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 例えば、 Tos, 4 -メ トキシ- 2, 3, 6-トリメチルベンゼンスルホニル, DNP, ベンジルォキシメチル, Bum, Boc: Trt, Fmocなどが用いられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 Pd-黒あるいは Pd-炭素などの 触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素, メタン スルホン酸, トリフルォロメタンスルホン酸, トリフルォロ酢酸あるいはこれ らの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン, トリェチルァ ミン, ピぺリジン, ピぺラジンなどによる塩基処理、 また、 液体アンモニア中 ナトリウムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に 約- 20°C〜40°Cの^度で行われるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール, フエノーノレ, チオアニソーノレ, メタクレゾ一ノレ, パラクレゾーノレ, ジメチノレス ノレフイ ド, 1, 4 -ブタンジチォ一ノレ, 1, 2-エタンジチォーノレなどのようなカチォ ン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用 いられる 2, 4 -ジニトロフエニル基はチォフエノール処理により除去され、 トリ プトファンのィンドール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1, 2-エタ
ンジチオール, 1, 4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外 に、 希水酸化ナトリウム溶液, 希アンモニアなどによるアルカリ処理によって も除去される。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物, アジド, 活性エステル [アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール, 2,4, 5-トリクロ口フエノール, 2, 4—ジニトロフエノール, シァノメチルアルコ ール, パラニトロフエノール, ΗΟΝΒ, N-ヒ ドロキシスクシミ ド, N-ヒ ドロキシ フタルイミ ド, HOBt) とのエステル] などが用いられる。 原料のァミノ基の活 性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いられる。
タンパク質または部分ぺプチドのァミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 'カルボキシル末端アミノ酸のひ-カルボキシル基をアミ ド化して保護した 後、 アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該 ぺプチド鎖の N末端の α -ァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分 ぺプチドと C末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部 分ペプチドとを製造し、 これらのタンパク質またはペプチドを上記したような混 合溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合によ り得られた保護タンパク質またはべプチドを精製した後、 上記方法によりすべて の保護基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ることができる。 こ の粗タンパク質またはぺプチドは既知の各 ¾精製手段を駆使して精製し、 主要画 分を凍結乾燥することで所望のタンパク質またはペプチドのアミド体を得ること ができる。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシル末 端アミノ酸の α -カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合してアミノ酸エス テルとした後、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタン パク質またはべプチドのエステル体を得ることができる。
本発明で用いられるカルモジユリンの部分ペプチドまたはその塩は、 上述もし くは後述のいずれかの方法により得られるカルモジュリンまたはその塩を、 適当
なぺプチダーゼで切断することによつても製造することができる。
このようにして得られた本発明のカルモジュリン類は、 公知の精製法により精 製単離することができる。 ここで、 精製法としては、 例えば、 溶媒抽出, 蒸留, カラムクロマトグラフィー, 液体クロマトグラフィー, 再結晶, これらの組み 合わせなどが挙げられる。
上記方法で得られるタンパク質または部分ぺプチドが遊離体である場合には、 該遊離体を公知の方法あるいはそれに準じる方法によつて適当な塩に変換するこ とができるし、 逆にタンパク質が塩として得られた場合には、 該塩を公知の方法 あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。 本発明のカルモジュリン類は、 カルモジュリンまたはその部分ぺプチドをコ一 ドする核酸を含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養してカルモジュリン 類を生成せしめ、 .得られる培養物からカルモジュリン類を分離 ·精製することに よって製造することもできる。
カルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸としては、 前述した 本発明で用いられるカルモジュリンのアミノ酸配列もしくはその部分アミノ酸配 列をコードする塩基配列を含むものであればいかなるものでもよい。 該核酸は、 DNAであっても RNAであってもよく、 あるいは DM/RNAキメラであってもよいが、 好ましくは DNAが挙げられる。 また、 該核酸は二本鎖であっても、 一本鎖であつ てもよい。 二本鎖の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA: RNAのハイブリツ ドでもよい。
カルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAは、 ゲノム DNA、 ヒ トもしくは他の温血動物 (例えば、 サル, ゥシ, ゥマ, ブタ, ヒッジ, ャギ, ゥサギ, マウス, ラッ ト, モノレモッ ト, ハムスター, エワトリなど) の細月包 [例えば、 肝細胞, 脾細胞, 神経細胞, グリア細胞, 膝 0細胞, 骨髄細胞, メサ ンギゥム細胞, ランゲルハンス細胞, 表皮細胞, 上皮細胞, 杯細胞, 内皮細胞, 平滑筋細胞, 線維芽細胞, 線維細胞, 筋細胞, 脂肪細胞, 免疫細胞 (例: マク 口ファージ, T細胞, B細胞, ナチュラルキラー細胞, 肥満細胞, 好中球, 好塩
基球, 好酸球, 単球) , 巨核球, 滑膜細胞, 軟骨細胞, 骨細胞, 骨芽細胞, 破 骨細胞, 乳腺細胞, 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくは癌細胞など] またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織もし くは器官 [例えば、 脳, 脳の各部位 (例: 嗅球, 扁桃核, 大脳基底球, 海馬, 視床, 視床下部, 大脳皮質, 延髄, 小脳), 脊髄, 下垂体, 胃, 勝臓, 腎臓, 肝 臓, 生殖腺, 甲状腺, 胆嚢, 骨髄, 副腎, 皮膚, 筋肉, 肺, 消化管 (例: 大腸, 小腸), 血管, 心臓, 胸腺, 脾臓, 顎下腺, 末梢血, 前立腺, 睾丸, 卵巣, 胎盤, 子宮, 骨, 関節, 脂肪組織 (例: 褐色脂肪組織, 白色脂肪組織), 骨格筋など] 由来の cDNA、 合成 DNAなどが挙げられる。 カルモジュリンまたはその部分べプチ ドをコ一ドするゲノム DNAおよび cDNAは、 上記した細胞 ·組織より調製したゲノ ム DNA画分および全 RNAもしくは mRNA画分をそれぞれ铸型と して用い、 Polymerase Chain Reaction (以下、 「PCR法」 と略称する) および Reverse Transcriptase- PCR (以下、 「RT-PCR法」 と略称する) によって直接増幅するこ ともできる。 あるいは、 カルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードするゲ ノム DNAおよび cDNAは、 上記した細胞 ·組織より調製したゲノム DNAおよび全 RNA もしくは mRNAの断片を適当なベクター中に挿入して調製されるゲノム DNAライプ ラリ一および cDNAライブラリ一から、 コロニーもしくはプラークハイブリダィ ゼーション法または PCR法などにより、 それぞれクローニングすることもできる。 ライプラリーに使用するベクターは、 パクテリオファージ, プラスミ ド, コス ミド, ファージミドなどいずれであってもよい。
カルモジュリンをコードする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 1で表される 塩基配列を含む DNA、 あるいは配列番号: 1で表される塩基配列とハイス トリン ジェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を含み、 前記した配列番号: 2 に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的に同質の活性 (例えば、 軟 骨細胞分化促進活性など) を有するタンパク質もしくはペプチドをコードする DNAなどが挙げられる。
配列番号: 1で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリ
ダイズできる D皿としては、 例えば、 配列番号: 1で表される塩基配列と約 60%以 上, 好ましくは約 70%以上, さらに好ましくは約 80%以上, 特に好ましくは約 90% 以上の相同性を有する塩基配列を含む DNAなどが用いられる。
本明細書における塩基配列の相同性は、 相同性計算アルゴリズム NCBI BLAST (Nations丄 Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool) を用い、 以下の条件 (期待値 =10 ; ギャップを許す; フィルタリ ング =0N; マッチスコア =1 ; ミスマッチスコア =-3) にて計算することができる。 塩基配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、 上記したァミ ノ酸配列の相同性計算アルゴリズムが同様に好ましく例示される。
ハイプリダイゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例え ば、 Molecular Cloning, 2版 (J. Sarabrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行うことができる。 また、 市販 のライブラリーを使用する場合、 ハイプリダイゼーシヨンは、 添付の使用説明書 に記載の方法に従って行うことができる。 ハイプリダイゼーシヨンは、 好ましく は、 ハイストリンジェントな条件に従って行うことができる。
ハイストリンジェントな条件としては、 例えば、 ナトリウム塩濃度が約 19〜 約 40 mM、 好ましくは約 19〜約 20 raMで、 温度が約 50〜約 70°C、 好ましくは約 60 〜約 65°Cの条件等が挙げられる。 特に、 ナトリウム塩濃度が約 19 mMで温度が約 65°Cの場合が好ましい。 当業者は、 ハイブリダィゼーシヨン溶液の塩濃度、 ハ イブリダゼーシヨン反応の温度、 プローブ濃度、 プロープの長さ、 ミスマッチの 数、 ハイプリダイゼーシヨン反応の時間、 洗浄液の塩濃度、 洗浄の温度等を適宜 変更することにより、 所望のストリンジェンシ一に容易に調節することができる。 カルモジュリンをコードする DNAは、 好ましくは配列番号: 1で表される塩基 配列を含むヒ ト CALM1 cDNA (GenBank登録番号: 删_006888) もしくはそのァレ ル変異体または他の温血動物 (例えば、 マウス, ラッ ト, モルモッ ト, ハムス ター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プタ, ゥシ, ゥマ, トリ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジーなど) におけるそのォ ソログ (ortholog) 等である。
カルモジュリンの部分べプチドをコードする DNAは、 配列番号: 2で表される ァミノ酸配列の一部と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする塩 基配列を含むものであればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 上 記した細胞■組織由来の cDNA、 合成 DNAのいずれでもよい。
具体的には、 該部分ぺプチドをコードする DNAとしては、 例えば、
(1) 配列番号: 1で表される塩基配列を含む DMの部分塩基配列、 または
(2) 配列番号: 1で表される塩基配列を含む DNAとハイトリンジェントな条件下 でハイブリダイズする塩基配列を有し、 且つ該 DNAにコードされるァミノ酸配列 を含むタンパク質と実質的に同質の活性 (例: 軟骨細胞分化促進活性など) を 有するぺプチドをコードする DNAなどが用いられる。
配列番号: 1で表される塩基配列を含む DNAとハイストリンジェントな条件下 でハイプリダイズできる DNAとしては、 例えば、 該塩基配列中の対応する部分と 約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 特に好ましくは 約 90%以上の相同性を有する塩基配列を含む DNAなどが用いられる。
カルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAは、 該タンパク質ま たはべプチドをコ一ドする塩基配列の一部分を含む合成 DNAプライマーを用いて PCR法によって増幅するか、 または適当な発現ベクターに組み込んだ DNAを、 力 ルモジュリンの一部あるいは全領域をコードする DNA断片もしくは合成 DNAを標 識したものとハイブリダィゼーシヨンさせることによってクローニングすること ができる。 ハイプリダィゼーシヨンは、 例えば、 Molecular Cloning, 第 2版 (前述) に記載の方法などに従って行うことができる。 また、 市販のライブラリ 一を使用する場合、 ハイプリダイゼーシヨンは、 該ライブラリーに添付された使 用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
DNAの塩基配列は、 公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (宝酒 造 (株)), Mutan™- K (宝酒造 (株)) 等を用いて、 ODA- LAPCR法、 Gapped duplex 法、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従つて変換す ることができる。
クローン化された DNAは、 目的によりそのまま、 または所望により制限酵素で 消化するか、 リンカ一を付加した後に、 使用することができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コ ドンとしての TM, TGAまだは TAGを有していてもよい。 これらの翻訳開始コドン や翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNAアダプターを用いて付加することができる。 上記のカルモジュリンまたはその部分べプチドをコ一ドする DMを含む発現べ クタ一で宿主を形質転換し、 得られる形質転換体を培養することによって、 該タ ンパク質またはぺプチドを製造することができる。
カルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAを含む発現ベクター は、 例えば、 カルモジュリンをコードする DNAから目的とする DNA断片を切り出 し、 該 DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することに より製造することができる。
発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミ ド (例: pBR322, pBR325, pUC12, pUC13)、 枯草菌由来のプラスミド (例: pUB110, pTP5, PC194)、 酵母由 来プラスミド (例: pSH19, PSH15)、 λファージなどのバタテリオファージ、 レ トロウィルス, ワクシニアウィルス, バキュロウィルスなどの動物ウィルス、 pAl-11, pXTl, pRc/CMV, pRc/RSV, pcDNAI/Neoなどが用いられる。
プロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモー ターであればいかなるものでもよい。
例えば、 宿主が動物細胞である場合、 SR o;プロモーター, SV40プロモーター, LTRプロモーター, CMV (サイ トメガロウイノレス) プロモーター, HSV- tkプロモ 一ターなどが用いられる。 なかでも、 CMVVプロモーター, SR aプロモーターな どが好ましい。
宿主がェシエリヒア属菌である場合、 trpプロモーター, lacプロモーター, recAプロモーター, A PLプロモーター, lppプロモーター, T7プロモーターなど が好ましい。
宿主がバチルス属菌である場合、 SP01プロモーター, SP02プロモーター,
penPプロモーターなどが好ましい。
宿主が酵母である場合、 PH05プロモーター, PGKプロモーター, PGKプロモー ター, ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合、 ポリヘドリンプロモーター, P10プロモーターな どが好ましい。
発現ベクターとしては、 上記の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシン グシグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 SV40oriと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることができる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 /rと略称す る場合がある) 遺伝子 [メソ トレキセート (MTX) 耐性]、 アンピシリン耐性遺 伝子 (以下、 ^ダと略称する場合がある)、 ネオマイシン耐性遺伝子 (以下、 ^( と略称する場合がある、 G418耐性) 等が挙げられる。 特に、 伝子欠損 チャイニーズハムスター細胞を用い、 o½/Ht伝子を選択マーカーとして使用す る場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によつて選択することもできる。 また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列をコードする塩基配列 (シ グナルコドン) を、 カルモジュリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする DNAの 5, 末端側に付加してもよい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合、 PhoA 'シグ ナル配列, OrapA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合、 α -ァ ミラーゼ ·シグナル配列, サブチリシン■シグナル配列などが、 宿主が酵母で ある場合、 MF o; · シグナル配列, SUC2 · シグナル配列などが、 宿主が動物細胞 である場合、 インシュリン 'シグナル配列, α -インターフェロン 'シグナル配 列, 抗体分子■シグナル配列などがそれぞれ用いられる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌, バチルス属菌, 酵母, 昆虫細胞, 昆虫, 動物細胞などが用いられる。
ェシエリ ヒア属菌としては、 例えば、 Escherichia coli K12 · DH1 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60: 160 (1968) ] , JM103 {Nucleic Acids Res. , 9: 309 (1981), JA221 [/. Mol. Biol. , 120: 517 (1978) ] , HB101 [J. Mol.
Biol. , 41: 459 (1969) ] , C600 [Genetics, 39: 440 (1954) ] などが用いられ る。
バチルス属菌としては、 例えば、 Bacillus subtil is UA [Gene, 24: 255 (1983) ], 207-21 [/. Biochem. , 95: 87 (1984) ] などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 Saccharomyces cerevisiae 2, AH22R一, NA87— 11A, DKD-5D, 20B-12 ; Schizosaccharomyces pombe NCYC1913, NCYC2036 ; Pichia pastoris KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが AcNPVの場合、 夜盗蛾の幼虫由来株化 細胞 {Spodoptera frugiperda cell ; Sf細胞), Trichoplusia の中月 由来の MG1細胞, Trichoplusia ?の卵由来の High Five™細胞, Mamestra brassicae 来の細胞, Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。 ウィルス力 SBmNPVの 場合、 昆虫細胞としては、 蚕由来株化細胞 iBonibyx mori 細胞; BmN細胞) な どが用いられる。 該 Sf細胞としては、 例えば、 Sf9細胞 (ATCC CRL1711) , Sf21 細胞 (以上、 Vaughn, J. L. et al. , In Vivo, 13: 213-217 (1977) ) などが用 いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる [Maeda et al. , Nature, 315: 592 (1985) ]。
動物細胞としては、 例えば、 サル由来の COS- 7, Vero細胞、 チャイニーズハム スター由来の CH0, dhfr遺伝子欠損 CHO (CHO {dhf ) ) 細胞、 マウス由来の L, ΑΐΤ-20, ミエローマ細胞、 ラット由来の GH3細胞、 ヒ ト由来の FL, HEK293, HepG2, HeLa細胞などが用いられる。
形質転換は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することができる。 ェシエリ ヒア属菌は、 例えば、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69: 2110 (1972) や Gene, 17: 107 (1982) などに記載の方法に従って形質転換すること ができる。
バチルス属菌は、 例えば、 Mol. Gen. Genet. , 168: 111 (1979) などに記載 の方法に従って形質転換することができる。
酵母は、 例えば、 Meth. Enzymol. , 194: 182-187 (1991) , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75: 1929 (1978) などに記載の方法に従って形質転換することがで さる。
昆虫細胞および昆虫は、 例えば、 Biotechnology (Ν· Y. ) , 6: 47-55 (1988) などに記載の方法に従って形質転換することができる。
動物細胞は、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロトコール, 263 - 267 (1995) (秀潤社発行), Virology, 52: 456 (1973) に記載の方法に従って形 質転換することができる。
形質転換体の培養は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することが できる。
例えば、 宿主がェシエリヒア属菌またはバチルス属菌である形質転換体を培養 する場合、 培養に使用される培地としては液体培地が好ましい。 また、 培地は、 形質転換体の生育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物などを含有することが好まし い。 ここで、 炭素源としては、 例えば、 グルコース, デキス トリン, 可溶性澱 粉, ショ糖などが、 窒素源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類, 硝酸塩類, コーンスチープ ' リカー, ペプトン, カゼイン, 肉エキス, 大豆粕, バレイシ ョ抽出液などの無機または有機物質が、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシゥ ム, リン酸二水素ナトリウム, 塩化マグネシウムなどがそれぞれ挙げられる。 また、 培地には、 酵母エキス, ビタミン類, 生長促進因子などを添加してもよ い。 培地の pHは、 好ましくは約 5〜8である。
宿主がェシェリヒア属菌である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例 えば、 グルコース, カザミノ酸を含む M9培地 [Miller, J. Exp. ol. Genet., 431-433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972] カ好まし ヽ。 必、要 により、 プロモーターを効率よく働かせるために、 例えば、 3 0 -インドリルァ クリル酸のような薬剤を培地に添加してもよい。
宿主がェシエリヒア属菌である形質転換体の培養は、 通常約 15〜43°Cで、 約 3 〜24時間行われる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、 通常約 30〜40°Cで、 約 6〜24 時間行われる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が酵母である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 Burkholder最小培地 [Bostian, K. L. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4505 (1980) ] や 0. 5°/。カザミノ酸を含有する SD培地 [Bitter, G. A. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 5330 (1984) ] などが挙げられる。 培地の pH は、 好ましくは約 5〜8である。 培養は、 通常約 20°C〜35°Cで、 約 24~72時間行 われる。 必要に応じて、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば Grace' s Insect Medium [Grace, T. C. C., Nature, 195: 788 (1962) ] に非働化した 10%ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地 の pHは、 好ましくは約 6. 2〜6. 4である。 培養は、 通常約 27°Cで、 約 3〜5日間行 われる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 約 5〜20°/。の胎仔ゥシ血清を含む MEM培地 [Scj'e/jc 122: 501 (1952) ] , DMEM培地 [ Virology, 8: 396 (1959) ] , RPMI 1640培地 [ Am. Med. Assoc. , 199: 519 (1967) ] , 199培地 LProc. Soc. Biol. Med" 73: 1 (1950) ] などが用いられる。 培地の pHは、 好ましくは約 6〜8である。 培養は、 通常約 30°C〜40°Cで、 約 15〜 60時間行われる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内または細胞外にカルモジュリン類を生 成させることができる。
前記形質転換体を培養して得られる培養物から、 カルモジュリン類を自体公知 の方法に従って分離精製することができる。
例えば、 カルモジュリン類を培養菌体あるいは細胞から抽出する場合、 培養物 力 ら公知の方法で集めた菌体あるいは細胞を適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リ ゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壌した後、 遠心分離やろ過により可溶性タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いら
れる。 該緩衝液は、 尿素や塩酸グァェジンなどのタンパク質変性剤や、 トリ トン X- 100™などの界面活性剤を含んでいてもよい。
このようにして得られた可溶性画分中に含まれるカルモジュリン類の単離精製 は、 自体公知の方法に従って行うことができる。 このような方法としては、 塩析 や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、 透析法, 限外ろ過法, ゲルろ過法, および S D S -ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を 利用する方法、 イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、 逆相高 速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法 などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。 これらの方法は、 適宜 laみ 合わせることもできる。
かくして得られるカルモジュリンまたはその部分べプチドが遊離体である場合 には、 自体公知の方法ある ヽはそれに準じる方法によつて該遊離体を塩に変換す ることができ、 該タンパク質またはペプチドが塩として得られた場合には、 自体 公知の方法あるいはそれに準じる方法により該塩を遊離体または他の塩に変換す ることができる。
なお、 形質転換体が産生するカルモジュリン類を、 精製前または精製後に適当 なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリぺ プチドを部分的に除去することもできる。 該タンパク質修飾酵素としては、 例え ば、 トリプシン, キモトリブシン, アルギニルエンドぺプチダーゼ, プロティ ンキナーゼ, ダリコシダーゼなどが用いられる。
かくして得られるカルモジュリン類の存在は、 特異的な抗体を用いたェンザィ ムィムノアッセィやウェスタンプロッティングなどにより確認することができる。 さらに、 カルモジュリンまたはその部分ぺプチドは、 それをコードする DNAに 対応する RNAを铸型として、 ゥサギ網状赤血球ライセート, コムギ胚芽ライセー ト, 大腸菌ライセートなどからなる無細胞タンパク質翻訳系を用いてィンビト 口翻訳することによつても合成することができる。 あるいは、 さらに RNAポリメ
ラーゼを含む無細胞転写/翻訳系を用いて、 カルモジュリンまたはその部分ぺプ チドをコードする DNAを錄型としても合成することができる。 無細胞タンパク質 (転写/) 翻訳系は市販のものを用いることもできるし、 それ自体既知の方法、 具体的には、 大腸菌抽出液は Pratt J. M. et al. , " Transcription and Tranlation" , Haraes B. D. and Higgins S. J. eds. , IRL Press, Oxford 丄 79 - 209 (1984) に記載の方法等に準じて調製することもできる。 市販の細胞ライセ ートとしては、 大腸菌由来のものは E. coli S30 extract system (Promega社製) や RTS 500 Rapid Tranlation System (Roche社製) 等が挙げられ、 ゥサギ網状 赤血球由来のものは Rabbit Reticulocyte Lysate System (Promega社製) 等、 さらにコムギ胚芽由来のものは PR0TEI0S™ (T0Y0B0社製) 等が挙げられる。 この うちコムギ胚芽ライセートを用いたものが好適である。 コムギ胚芽ライセートの 作製法としては、 例えば Johnston F. B. et al. , Nature, 179 160-161 (1957) あるいは Erickson Α. Η. et al. , Meth. Enzymol. , 96 38-50 (1996) 等に記載 の方法を用いることができる。
タンパク質合成のためのシステムまたは装置としては、 バッチ法 [Pratt, J. M. et al. (1984) 前述] や、 アミノ酸、 エネルギー源等を連続的に反応系に 供給する連続式無細胞タンパク質合成システム [Spirin A. S. et al. , Science, 242 1162-1164 (1988) ]、 透析法 (Kigawa et al. , 第 21回日本分子生物学会, WID6) 、 あ るいは重層法 (PR0TEI0S™ Wheat germ cel l-free protein synthesis core kit取扱説明書: T0Y0B0社製) 等が挙げられる。 さらには、 合 成反応系に、 铸型の RM、 アミノ酸、 エネルギー源等を必要時に供給し、 合成物 や分解物を必要時に排出する方法 (特開 2000-333673) 等を用いることができる。
「配列番号: 2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部」 、 あるいは 「該 塩基配列と相補的な塩基配列またはその一部」 を含む核酸とは、 前述のカルモジ ュリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸だけではなく、 コドンの読み枠 の合わない部分塩基配列をも含む意味で用いられる。 該核酸は DNAであっても
RNAであってもよく、 あるいは DNA/RNAキメラであってもよい。 好ましくは DNAが 挙げられる。 また、 該核酸は二本鎖であっても、 一本鎖であってもよい。 二本鎖 の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA: RNAのハイプリッドでもよレ、。
目的核酸の標的領域と相補的な塩基配列を含む核酸、 即ち、 目的核酸とハイブ リダィズすることができる核酸は、 該目的核酸に対して 「アンチセンス」 である ということができる。 一方、 目的核酸の標的領域と相同性を有する塩基配列を含 む核酸は、 該目的核酸に対して 「センス」 であるということができる。 ここで 「相同性を有する」 または 「相補的である」 とは、 塩基配列間で約 70%以上、 好 ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の同 一性または相補性を有することをいう。
カルモジュリンをコ一ドする塩基配列と相捕的な塩基配列またはその一部を含 む核酸 (以下、 「アンチセンス CALM1J ともいう) は、 クローン化した、 あるい は決定されたカルモジュリンをコ一ドする核酸の塩基配列情報に基づき設計し、 合成しうる。 そうした核酸は、 カルモジュリンをコードする遺伝子の複製または 発現を阻害することができる。 即ち、 アンチセンス CALM1は、 カルモジュリンを コードする遺伝子から転写される R Aとハイブリダィズすることができ、 mRNAの 合成 (プロセッシング) または機能 (タンパク質への翻訳) を阻害することが できる。
アンチセンス CALM1の標的領域は、 アンチセンス核酸がハイブリダィズするこ とにより、 結果としてカルモジュリンタンパク質への翻訳が阻害されるものであ ればその長さに特に制限はなく、 該タンパク質をコードする mRNAの全配列であ つても部分配列であってもよく、 短いもので約 15塩基程度、 長いもので mRNAま たは初期転写産物の全配列が挙げられる。 合成の容易さや抗原性の問題を考慮す れば、 約 15〜約 30塩基からなるオリゴヌクレオチドが好ましいがそれに限定さ れない。 具体的には、 例えば、 カルモジュリンをコードする核酸の 5 ' 端へアビ ンループ, 5, 端 6-ベースペア ' リ ピート, 5, 端非翻訳領域, 翻訳開始コドン, タンパク質コード領域, 翻訳終止コドン, 3 ' 端非翻訳領域, 3, 端パリンドロ
ーム領域および 3, 端ヘアピンループが標的領域として選択しうるが、 カルモジ ユリンをコ一ドする遺伝子内の如何なる領域も標的として選択しうる。 例えば、 該遺伝子のィントロン部分を標的領域とすることもまた好ましい。
さらに、 アンチセンス CALM1は、 カルモジュリンをコードする mRNAもしくは初 期転写産物とハイブリダィズしてタンパク質への翻訳を阻害するだけでなく、 二 本鎖 DMであるカルモジュリンをコードする遺伝子と結合して三重鎖 (トリプレ ッタス) を形成し、 RNAの転写を阻害し得るものであってもよい。
アンチセンス核酸は、 2-デォキシ- D-リポースを含有しているデォキシリボヌ クレオチド、 D-リポースを含有しているリボヌクレオチド、 プリンまたはピリ ミジン塩基の N-グリコシドであるその他のタイプのヌクレオチド、 あるいは非 ヌクレオチド骨格を含むその他のポリマー (例えば、 市販のタンパク質核酸お よび合成配列特異的な核酸ポリマー) または特殊な結合を含むその他のポリマ 一 (但し、 該ポリマーは DNAや RNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩 基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含む) などが挙げられる。 それ らは、 2本鎖 DNA, 1本鎖 DNA, 2本鎖 RNA, 1本鎖 RNA, さらに DNA: RNAハイブリッド であることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌク レオチド)、 さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた 標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然 のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネート, ホスホトリエステル, ホス ホルアミデート, 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合または硫 黄含有結合 (例えば、 ホスホロチォエート, ホスホロジチォエートなど) を持 つもの、 例えばタンパク質 (ヌクレアーゼ, ヌクレアーゼ 'インヒビター, ト キシン, 抗体, シグナルペプチド, ポリ- L-リジンなど) や糖 (例えば、 モノサ ッカライドなど) などの側鎖基を有しているもの、 インターカレント化合物 (例えば、 アタリジン, プソラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例えば、 金属, 放射活性をもつ金属, ホウ素, 酸化性の金属など) を含有するもの、 ァ
ルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの (例えば、 Q!ァノマー 型の核酸など) であってもよレ、。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおょぴピリミジン塩基を含むのみでなく、 修飾され たその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいてもよい。 こうした修飾物 は、 メチル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化されたプリンぉよびピリ ミジン、 あるいはその他の複素環を含むものであってよい。 修飾されたヌクレオ チドおよび修飾されたヌクレオチドはまた、 糖部分が修飾されていてよく、 例え ば、 1個以上の水酸基がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されていたり、 ある いはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
好ましくは、 アンチセンス核酸は、 修飾されていてもよい RNAまたは DNAであ る。 修飾された核酸 (RNA, DNA) の具体例としては、 核酸の硫黄誘導体ゃチォ ホスフエ一ト誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミドゃオリゴヌクレオシドアミ ドの分 こ抵抗 1·生のものが挙げられるが、 それに限定されるものではない。 アン チセンス CALM1は次のような方針で好ましく設計されうる。 すなわち、 細胞内で のアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性を より高める、 標的とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、 そし て、 もし毒性があるなら、 アンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。 こ うした修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば、 J. Kawakarai et al. , Pharm Tech Japan, Vol. 8, 247 (1992), 同 Vol. 8, 395 (1992) ; S. T. Crooke et al. ed. , Ant i sense Research and Applications, CRC Press (1993) などに開示されている。
アンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結合を含有 していてもよく、 リボソーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与された り、 遺伝子治療において適用されたり、 付加された形態で与えられることができ うる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を中和 するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との相互作用を高め たり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド, コレ
ステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂 質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステリルクロ口ホル メート, コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3 ' 端あるいは 5' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付 着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3' 端あるいは 5' 端に 特異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレアーゼ、 RNaseなどのヌク レアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こうしたキャップ用の 基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレングリコールなどのグリコ ールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それに 限定されるものではない。
カルモジュリンをコードする raRMもしくは初期転写産物を、 コード領域の内 部 (初期転写産物の場合はイントロン部分を含む) で特異的に切断し得るリボ ザィムもまた、 アンチセンス CALM1に包含され得る。 「リポザィム」 とは核酸を 切断する酵素活性を有する RNAをいうが、 最近では当該酵素活性部位の塩基配列 を含むオリゴ DNAも、 同様に核酸切断活性を有することが明らかになっているの で、 本明細書では、 配列特異的な核酸切断活性を有する限り、 DNAをも包含する 概念として用いるものとする。 リボザィムとして最も汎用性の高いものとしては、 ウイロイドゃウィルソィド等の感染性 RNAに見られるセルフスプライシング RNA があり、 ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。 ハンマーヘッド型は 約 40塩基程度で酵素活性を発揮し、 ハンマーヘッド構造をとる部分に隣接する 両端の数塩基ずつ (合わせて約 10塩基程度) を mRNAの所望の切断部位と相補的 な配列にすることにより、 標的 mRNAのみを特異的に切断することが可能である。 このタイプのリボザィムは、 RNAのみを基質とするので、 ゲノム DNAを攻撃する ことがないというさらなる利点を有する。 カルモジュリン raRNAが自身で二本鎖 構造をとる場合には、 R皿へリカーゼと特異的に結合し得るウィルス核酸由来の RNAモチーフを連結したハイプリッドリボザィムを用いることにより、 標的配列 を一本鎖にすることができる [尸 roc, Natl. Acad. Sci. USA, (10) : 5572 -
5577 (2001) ]。 さらに、 リボザィムを、 それをコードする DNAを含む発現べクタ 一の形態で使用する場合には、 転写産物の細胞質への移行を促進するために、 tRNAを改変した配列をさらに連結したハイブリツドリポザィムとすることもで きる _Nucleic Acids Res., 29(13): 2780—2788 (2001) ]。
カルモジュリンをコ一ドする mRNAもしくは初期転写産物のコード領域内の部 分配列 (初期転写産物の場合はイントロン部分を含む) に相補的な塩基配列を 含む二本鎖オリゴ R A (siRNA) もまた、 アンチセンス CALM1に包含され得る。 短 い二本鎖 RNAを細胞内に導入するとその RNAの一方の鎖に相捕的な mRNAが分解さ れる、 いわゆる RNA干渉 (RNAi) と呼ばれる現象は、 以前から線虫、 昆虫、 植物 等で知られていたが、 この現象が哺乳動物細胞でも起こることが確認されて以来 [Nature, 411 (6836): 494-498 (2001) ]、 リボザィムの代替技術として広く利用 されている。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリポザィムは、 カルモジュリ ンをコードする cDNA配列もしくはゲノム DNA配列情報に基づいて mRNAもしくは初 期転写産物の標的領域を決定し、 市販の DNA/RNA自動合成機 (アプライド ·バイ ォシステムズ社, ベックマン社等) を用いて、 これに相補的な配列を合成する ことにより調製することができる。 RNAi活性を有する siRNAは、 センス鎖おょぴ アンチセンス鎖を DNA/RNA自動合成機でそれぞれ合成し、 適当なアニーリング緩 衝液中で、 例えば、 約 90〜約 95°Cで約 1分程度変性させた後、 約 30〜約 70°Cで約 1〜約 8時間アニーリングさせることにより調製することができる。 また、 相捕 的なオリゴヌクレオチド鎖を交互にオーバーラップするように合成して、 これら をアニーリングさせた後リガーゼでライゲーシヨンすることにより、 より長い二 本鎖ポリヌクレオチドを調製することもできる。
アンチセンス CALM1の遺伝子発現阻害活性は、 カルモジュリンをコードする核 酸を含む形質転換体、 生体内や生体外のカルモジュリンをコードする遺伝子発現 系またはカルモジユリンの生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。 本発明はまた、 カルモジュリンもしくはその部分べプチドまたはその塩に対す
る抗体 (以下、 「抗 CaM抗体」 と略記する場合がある) を提供する。 抗 CaM抗体 は、 カルモジュリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対して特異的親和 性を有するものであれば、 モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体で あってもよレ、。 該抗体は、 カルモジュリンもしくはその部分ペプチドまたはその 塩を抗原として用い、 自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造するこ とができる。
[モノクローナル抗体の作製]
(a) モノクローナル抗体産生細胞の作製
カルモジュリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩 (カルモジュリン類) を、 哺乳動物に対して、 投与により抗体産生が可能な部位に、 それ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与する。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フ ロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュパントを投与してもよい。 投与 は通常 2〜6週毎に 1回ずつ、 計 2〜10回程度行われる。 用いられる哺乳動物とし ては、 例えば、 サル, ゥサギ, ィヌ, モルモッ ト, マウス, ラット, ヒッジ, ャギ等が挙げられるが、 マウスおょぴラットが好ましく用いられる。
例えば、 抗原で免疫された哺乳動物、 例えばマウスから抗体価の認められた個 体を選択し、 最終免疫の 2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、 それらに含 まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリドーマを調製することができる。 抗血清中の抗 体価の測定は、 例えば、 後記の標識化カルモジュリンと抗血清とを反応させた後、 抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行うことができる。 融合操作 は、 既知の方法、 例えば、 ケーラーとミルスタインの方法 iNature, 256 495 (1975) ] に従い実施することができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエ チレングリコール (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS - 1, P3U1, SP2/0, AP - 1などの哺乳動物の骨 髄腫細胞が挙げられるが、 P3U1が好ましく用いられる。 用いられる抗体産生細
胞 (脾細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は、 1 : 1〜20 : 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG1000〜PEG6000) が 10〜80%程度の濃度で添加され、 20〜 40°C、 好ましくは 30〜37°Cで 1〜10分間インキュベートすることにより効率よく 細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイプリ ドーマは、 例えば、 抗原を直接あるいは担体 とともに吸着させた固相 (例: マイクロプレート) にハイプリ ドーマ培養上清 を添加し、 次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロプリン抗体 (細胞 融合に用いられる細胞がマウスの場合、 抗マウス免疫グロプリン抗体が用いられ る) またはプロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する 方法、 抗免疫グロブリン抗体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリ ド 一マ培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したカルモジュリンを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などにより、 スクリ一二ング することができる。
モノクローナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行 うことができる。 モノクローナル抗体の選別は、 通常 HAT (ヒポキサンチン, ァ ミノプテリン, チミジン) を添加した動物細胞用培地で行うことができる。 モ ノクローナル抗体の選別および育種用培地は、 ハイプリ ドーマが生育できるもの ならばどのような培地を用いてもよい。 このような培地としては、 例えば、 1〜 20%、 好ましくは 10〜20°/。の胎仔ゥシ血清を含む RPMI 1640培地、 1〜10°/。の胎仔ゥ シ血清を含む GIT培地 (和光純薬工業 (株)) あるいはハイプリ ドーマ培養用無血 清培地 (SFM- 101, 日水製薬 (株)) などを用いることができる。 培養温度は、 通 常 20〜40°C、 好ましくは約 37°Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好まし くは 1週間〜 2週間である。培養は、 通常 5%炭酸ガス下で行うことができる。 ハイ プリ ドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測 定できる。
このようにして得られたモノクローナル抗体は、 自体公知の方法、 例えば、 免 疫グロブリンの分離精製法 [例: 塩析法, アルコール沈殿法, 等電点沈殿法,
電気泳動法, イオン交換体 (例: DEAE) による吸脱着法, 超遠心法, ゲルろ過 法, 抗原結合固相あるいはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸着剤 により抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法] に従つ て分離精製することができる。
[ポリクローナル抗体の作製]
カルモジュリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対するポリクローナ ル抗体は、 自体公知の方法に従って製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (カルモジュリン類) 自体、 あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体を 作製し、 上記のモノクローナル抗体の製造法と同様にして温血動物に免疫を行い、 該免疫動物から抗 CaM抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行うことにより 製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキヤリァータンパク質との複 合体に関し、 キヤリァータンパク質の種類およびキヤリァ一とハプテンとの混合 比は、 キヤリァ一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率よくできれ ば、 どのようなものをどのような比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清 アルプミンゃゥシサイログロプリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1に対 し、 約 0. 1〜20、 好ましくは約 1〜5の割合で力プリングさせる方法が用いられる。 また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤、 例えばグルタ ルアルデヒ ドやカルポジイミ ド, マレイミ ド活性エステル, チオール基, ジチ オビリジル基を含む活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜10回程度行われる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、 腹水、 母乳 など、 鳥類の場合は血液、 卵などから採取することができる。
抗血清中のポリク口ーナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナ ル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行うことができ る。
カルモジュリンの部分ぺプチドまたはその塩を抗原として用いる場合、 その力 ルモジュリン上の位置は特に限定されないが、 例えば、 各種温血動物間でよく保 存された領域の部分ァミノ酸配列を含むポリぺプチドもしくはオリゴぺプチドま たはその塩が挙げられる。
上記した(i) カルモジュリン類、 (ii) カルモジュリンまたはその部分べプチ ドをコードする核酸 (好ましくは、 DNA)、 (ii i) 抗 CaM抗体、 (iv) アンチセン ス CALM1は、 例えば以下の用途を有する。
後記実施例において示される通り、 カルモジュリンをコードする CALM1遺伝子 は変形性関節症 (OA) 軟骨で発現が上昇し、 また、 軟骨細胞分化モデルである ATDC5細胞の軟骨細胞への分化 (分化マーカー遺伝子の発現) はカルモジュリン 阻害剤の存在下で抑制される。 これらの事実は、 カルモジュリンの発現または活 性を調節 (促進または阻害) し得る物質が、 骨 ·関節疾患、 特に軟骨基質の変 性 ·産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化異常が関連する疾患の予 防-治療に有効であることを示すものである。 ここで 「関連する疾患」 とは、 そ れに起因するか、 あるいは結果としてそのような状態を生じる疾患をいう。 (1) 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患 の予防 ·治療剤
上記のように、 カルモジュリンは軟骨基質遺伝子の発現を増加させ、 軟骨前駆 細胞から軟骨細胞への分化を促進する機能を有するので、 生体内においてカルモ ジュリンまたはそれをコードする核酸 (例: 遺伝子, niRNA等) に異常があった り、 これを欠損している場合、 あるいはその発現量が異常に減少している場合、 さらには、 他の何らかの要因で軟骨基質の変性 '消失が起こり、 またその産生能 が低下している場合、 あるいは軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化が抑制されて いる場合に、 a) カルモジュリンもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (カル
モジュリン類) を患者に投与してカルモジュリンの量を補充したり、 b) (i) 力 ルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAを患者に投与して標的細 胞内で発現させることによって、 あるいは(ii) 単離した標的細胞にカルモジュ リンまたはその部分ペプチドをコードする DNAを導入し発現させた後に、 該細胞 を該患者に移植することなどによって、 患者の体内におけるカルモジュリンの量 を増加させ、 軟骨基質遺伝子の発現および/または軟骨前駆細胞から軟骨細胞へ の分化を誘導し、 軟骨基質の変性や消失を基盤とする疾患を予防 ·治療すること ができる。
したがって、 a) カルモジュリン類、 または b) カルモジュリンまたはその部 分ペプチドをコードする核酸を、 上記のような疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形 性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによ る関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾 患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨 端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨 無形成症等)] など、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 0A, 膝関節 OA) の予 防 ·治療剤として使用することができる。
カルモジュリン類を上記予 ·治療剤として使用する場合は、 常套手段に従つ て製剤化することができる。
—方、 カルモジュリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸を上記予防 · 治療剤として使用する場合は、 該核酸を単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウィルスベクター、 アデノウィルスァソシエーテツドウィルスベクターな どの適当なベクターに揷入した後、 常套手段に従って製剤化することができる。 該核酸は、 そのままで、 あるいは摂取促進のための補助剤とともに、 遺伝子銃や ハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することができる。 例えば、 a) カルモジュリン類、 あるいは b) カルモジュリンまたはその部分 ペプチドをコードする核酸は、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル剤、 ェ リキシル剤、 マイクロカプセノレ剤などとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ
以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射剤の形 で非経口的に使用できる。 例えば、 a) カルモジュリン類、 あるいは b) カルモ ジュリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸を、 生理学的に認められる公 知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤などとともに、 一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製 造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な 容量が得られるようにするものである。
錠剤、 力プセノレ剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン, コーンスターチ, トラガント, アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セ ルロースのような賦形剤、 コーンスターチ, ゼラチン, アルギン酸などのよう な膨化剤、 ステアリン酸マグネシゥムのような潤滑剤、 ショ糖, 乳糖またはサ ッカリンのような甘味剤、 ペパーミント, ァカモノ油またはチェリーのような 香味剤などが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記タイプ の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無 菌組成物は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油, 椰子油などのよ うな天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って 処方することができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水, ブド ゥ糖やその他の補助薬を含む等張液 (例えば、 D-ソルビトール, D-マンュトー ル, 塩化ナトリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アル コール (例: エタノール), ポリアルコール (例: プロピレンダリコール, ポ リエチレングリコール), 非イオン性界面活性剤 (例: ポリソルベート 80™, HC0-50) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油, 大豆油な どが用いられ、 溶解捕助剤である安息香酸ベンジル, ベンジルアルコールなど と併用してもよい。
また、 上記予防 '治療剤は、 例 ば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液, 酢 酸ナトリウム緩衝液)、 無痛化剤(例えば、 塩化ベンザルコニゥム, 塩酸プロ力 インなど), 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン, ポリエチレングリコールな
ど)、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール, フエノールなど)、 酸化防止剤な どと配合してもよい。 調製された注射液は通常、 適当なアンプルに充填される。 このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
カルモジュリン類の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによ り差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 変形性関節症患者 (60 kg として) においては、 一日につき約 0. 1 ~ 100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 よ り好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量 は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤 の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日に つき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1 〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに 換算した量を投与することができる。
カルモジュリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸の投与量は、 投与対 象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般 的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1 〜100 mg, 好ましくは約 1. 0〜50 mg より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非 経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方 法などによっても異なるが、 例えば注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症 患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは 約 0. 1 -20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合で ある。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。 (2) 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能の異常亢進が関連する疾患の予防 ·治 療剤
上記のように、 カルモジュリンは軟骨基質遺伝子の発現を増加させ、 軟骨前駆
細胞から軟骨細胞への分化を促進する機能を有するので、 生体内においてカルモ ジュリ ンまたはそれをコードする核酸 (例: 遺伝子, raRNA等) に異常がある (高活性変異体の出現) 場合、 あるいはその発現量が異常に増加している場合、 さらには他の何らかの要因で軟骨の過形成が起こり、 また軟骨基質の産生能が異 常亢進している場合、 あるいは軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化が異常亢進し ている場合に、 a) 抗 CaM抗体を患者に投与してカルモジュリンを不活性化 (中 和) したり、 b) (i) アンチセンス CALM1を患者に投与して標的細胞内に導入す る (および発現させる) ことによって、 あるいは(ii) 単離した標的細胞にアン チセンス CALM1を導入し発現させた後に、 該細胞を該患者に移植することなどに よって、 患者の体内におけるカルモジュリンの量を減少させ、 軟骨基質遺伝子の 発現および/または軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化を抑制し、 軟骨基質の過 剰などを基盤とする疾患を予防■治療することができる。
したがって、 a) 抗 CaM抗体、 または b) アンチセンス CALM1を、 上記のような 疾患、 例えば先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群など)], 骨軟骨 腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患の予防 ·治療剤として用いることができる。 抗 CaM抗体を上記予防■治療剤として使用する場合、 前記したカルモジュリン 類を含有する医薬と同様にして製剤化することができる。 また、 アンチセンス CALM1を上記予防 ·治療剤として使用する場合、 前記したカルモジュリンまたは その部分ぺプチドをコ一ドする核酸を含有する医薬と同様にして製剤化すること ができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
抗 CaM抗体の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差異 はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) に
おいては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましく は約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の形では、 通 常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投 与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与 することができる。
アンチセンス CALM1の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに より差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgと して) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より 好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の 形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1~20 tng程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg 程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した 量を投与することができる。
(3) 骨■関節疾患の予防 ·治療物質のスクリ一ユング
上記のように、 カルモジュリンの活性を調節 (促進または阻害) し得る物質 は、 骨 '関節疾患、 特に軟骨基質の変性 '産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨細 胞への分化異常が関連する疾患の予防 '治療に有効である。 従って、 本発明は、 カルモジュリン類を用いてその活性の変動を測定することによる、 骨 ·関節疾患 の予防■治療物質のスクリーニング方法を提供する。
より具体的には、 本発明は、
(a) 軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質 (例: II型コラーゲン, ァグリカン 等) を産生する能力を有する細胞を、 カルモジュリン類の存在下、 またはカル モジュリン類および被験物質の存在下に培養し、 両条件下におけるカルモジュリ ン類の活性を比較することを特徴とする、 骨 ·関節疾患の予防 ·治療物質のスク
リーニング方法を提供する。
上記スクリ一ユング方法において、 カルモジュリン類は、 前述のいずれかの方 法により単離 ·精製されたものを添カ卩してもよいし、 あるいは、 軟骨基質を産生 する能力を有する細胞が、 カルモジュリン類を産生する能力を同時に有していて もよい。 カルモジュリンまたはその塩および軟骨基質を産生する能力を有する細 胞としては、 生来それらを発現しているヒ トもしくは他の温血動物細胞またはそ れを含む生体試料 (例: 関節液, 関節軟骨等) であれば特に制限はないが、 物 理的または化学的刺激に応じてカルモジュリンの発現および/または活性化が誘 導されるものが好ましく、 例えば、 ATDC5細胞等が挙げられるが、 これに限定さ れない。 非ヒト動物由来の細胞、 組織等の場合は、 それらを生体から単離して培 養してもよいし、 あるいは生体に被験物質を投与し、 一定時間経過後にそれら生 体試料を単離してもよい。 上記の遺伝子工学的手法により、 軟骨基質遺伝子を産 生する能力を有する細胞にカルモジュリンまたはその部分ペプチドをコードする 核酸を導入して得られる各種の形質転換体を用いることもできる。
被験物質としては、 例えばタンパク質, ペプチド, 非ペプチド性化合物, 合 成化合物, 発酵生産物, 細胞抽出液, 植物抽出液, 動物組織抽出液などが挙げ られ、 これらの物質は新規なものであってもよいし、 公知のものであってもよい。 カルモジュリン類の活性の測定は、 軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質遺伝 子の発現量を測定することにより行うことができる。 例えば、 一定期間 (例え ば、 5~25日程度) 培養した細胞から常法により総 KMを抽出して、 定量的 RT - PCRやノーザンハイプリダイゼーシヨンにより軟骨基質遺伝子 [例: II型コラー ゲン遺伝子 (Col2al) , ァグリカン遺伝子 (Agcl) 等] の発現量を定量する。 あ るいは、 細胞から総タンパク質を抽出し、 後述のカルモジュリン類の定量と同様 の方法により、 抗 II型コラーゲン抗体, 抗ァグリカン抗体等を用いてこれらの 軟骨基質を定量することによつても行うことができる。
上記 (a) のスクリーニング法において、 Col2alや Agcl等の軟骨基質遺伝子の 発現を増大させた被験物質を 「カルモジュリン活性促進物質」 、 それらの発現を
低下させた被験物質を 「カルモジュリン活性阻害物質」 としてそれぞれ選択する ことができる。 カルモジュリン活性促進物質は、 軟骨基質の変性 ·消失■産生能 低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患 [例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患,変形性関節 症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊 椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等))な ど]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 OA, 膝関節 OA) の予防 ·治療剤として 使用することができる。
一方、 カルモジュリン活性阻害物質は、 軟骨基質の産生能■軟骨細胞分化能の 異常亢進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の亢 進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフッ チ症候群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予防 ·治療剤として用い ることができる。
カルモジュリン活性促進もしくは阻害物質を上記予防 ·治療剤として使用する 場合は、 前記したカルモジュリン類と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物(例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブタ ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど)に対して投与するこ とができる。
カルモジュリン活性促進物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方 法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患 者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜 50 rag、 より好ましくは約 1. 0~20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例 えば注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) において は、 一日につき約 0. 01〜30 trig程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好まし
くは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg 当たりに換算した量を投与することができる。
カルモジュリン活性阻害物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方 法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg, より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回 投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば 注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日 にっき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1 ~20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たり に換算した量を投与することができる。
上述のように、 カルモジュリンの発現を調節 (促進または阻害) する物質も また、 骨,関節疾患、 特に軟骨基質の変性 ·産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨 細胞への分化異常が関連する疾患の予防,治療に有効である。 従って、 本発明は、 カルモジュリン類を産生する能力を有する細胞におけるカルモジュリン類の発現 を、 被験物質の存在下と非存在下で比較することを特徴とする、 骨 ·関節疾患の 予防 ·治療物質のスクリ一二ング方法を提供する。
カルモジュリンの発現量は、 カルモジュリンをコ一ドする核酸とハイストリン ジェントな条件下でハイブリダィズし得る核酸 (即ち、 前記したカルモジユリ ンをコードする塩基配列またはその一部を含む核酸 (以下、 「センス CALM1」 と もいう) またはカルモジュリンをコードする塩基配列に相補的な塩基配列また はその一部 (アンチセンス CALM1) ) を用いてその mRNAを検出することにより、 転写レベルで測定することもできる。 あるいは、 該発現量は、 前記した抗 CaM抗 体を用いてタンパク質 (ペプチド) を検出することにより、 翻訳レベルで測定 することもできる。
従って、 より具体的には、 本発明は、
(b) カルモジュリン類を産生する能力を有する細胞を被験物質の存在下および
非存在下に培養し、 両条件下におけるカルモジユリン類をコードする raRNAの量 を、 センスもしくはアンチセンス CALM1を用いて測定、 比較することを特徴とす る、 骨 ·関節疾患の予防 ·治療物質のスクリーニング方法、 および
(c) カルモジュリン類を産生する能力を有する細胞を被験物質の存在下および 非存在下に培養し、 両条件下におけるカルモジュリン類のタンパク質 (ぺプチ ド) 量を、 抗 CaM抗体を用いて測定、 比較することを特徴とする、 骨 ·関節疾患 の予防 ·治療物質のスクリーニング方法を提供する。
上記 (b) および (c) のスクリーニング方法において、 カルモジュリン類を 産生する能力を有する細胞としては、 上記 (a) のスクリーニング方法において 用いられるのと同様のものが好ましく用いられる。
例えば、 カルモジュリン類の mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量の測定 は、 具体的には以下のようにして行うことができる。
(i) 正常あるいは疾患モデル非ヒト温血動物 (例えば、 マウス, ラット, ゥサ ギ, ヒッジ, ブタ, ゥシ, ネコ, ィヌ, サル, トリなど) に対して、 薬剤ある いは物理的刺激などを与える一定時間前 (30分前〜 24時間前、 好ましくは 30分 前〜 12時間前、 より好ましくは 1時間前〜 6時間前) .もしくは一定時間後 (30分 後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2日後、 より好ましくは 1時間後〜 24時間後)、 または薬剤あるいは物理的刺激と同時に被験物質を投与し、 投与から一定時間が 経過した後、 関節液、 関節軟骨などを採取する。 得られた生体試料に含まれる細 胞において発現した CALM1の mRNAは、 例えば、 通常の方法により細胞等から mRNA を抽出し、 例えば、 RT - PCRなどの手法を用いることにより定量することができ、 あるいは自体公知のノ^"ザンブロット解析により定量することもできる。 一方、 カルモジュリンタンパク質量は、 ウェスタンプロット解析や以下に詳述する各種 ィムノアツセィ法を用いて定量することができる。
(ii) カルモジュリンまたはその部分べプチドをコ一ドする核酸を導入した形質 転換体を上記の方法に従って作製し、 該形質転換体を常法に従って培養する際に 被験物質を培地中に添加し、 一定時間培養後、 該形質転換体に含まれるカルモジ
ュリン類の mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量を定量、 解析することによ り行うことができる。
被験物質としては、 ペプチド, タンパク質, 非ペプチド性化合物, 合成化合 物, 発酵生産物などが挙げられ、 これら物質は新規な物質であってもよいし、 公知の物質であってもよい。
上記 (c) のスクリーニング方法におけるカルモジュリン類の量の測定は、 具 体的には、 例えば、
(i) 抗 CaM抗体と、 試料液および標識化されたカルモジュリン類とを競合的に反 応させ、 該抗体に結合した標識化されたカルモジュリン類を検出することにより 試料液中のカルモジュリン類を定量する方法や、
(ii) 試料液と、 担体上に不溶化した抗 CaM抗体および標識化された別の抗 CaM抗 体とを、 同時あるいは連続的に反応させた後、 不溶化担体上の標識剤の量 (活 性) を測定することにより、 試料液中のカルモジュリン類を定量する方法等が 挙げられる。
上記 (ii) の定量法においては、 2種の抗体はカルモジュリン類の異なる部分 を認識するものであることが望ましい。 例えば、 一方の抗体がカルモジュリン類 の N端部を認識する抗体であれば、 他方の抗体としてカルモジュリン類の C端部 と反応するものを用いることができる。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元 素, 酵素, 蛍光物質, 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 [125I] , [131I] , [3H], [14C]などが用いられる。 上記酵素としては、 安定 で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 ガラクトシダーゼ, β -ダルコ シダーゼ, アルカリフォスファターゼ, パーォキシダーゼ, リンゴ酸脱水素酵 素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミン, フルォ レツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物質としては、 例えば、 ル ミノール, ルミノール誘導体, ルシフェリン, ルシゲニンなどが用いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビォチン-(ストレブト)アビジン
系を用いることもできる。
試料液としては、 カルモジュリン類が細胞内に局在する場合は、 細胞を適当な 緩衝液に懸濁した後、 超音波処理または凍結融解などによつて細胞を破壌して得 られる細胞破碎液が、 カルモジュリン類が細胞外に分泌される場合には、 細胞培 養上清がそれぞれ用いられる。 必要に応じて、 破碎液ゃ培養上清からカルモジュ リン類を分離'精製した後に定量を行ってもよい。 また、 標識剤の検出が可能で ある限り、 無傷細胞を試料として用いてもよい。
抗 CaM抗体を用いるカルモジュリン類の定量法は、 特に制限されるべきもので はなく、 試料液中の抗原量に対応した、 抗体、 抗原もしくは抗体-抗原複合体の 量を化学的または物理的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を 用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、 いずれの測定法を用いて もよい。 例えば、 ネフロメトリー、 競合法、 ィムノメ トリック法およびサンドィ ツチ法が好適に用いられる。 感度、 特異性の点で、 例えば、 後述するサンドイツ チ法を用いるのが好ましい。
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常 タンパク質あるいは酵素等を不溶化 ·固定化するのに用いられる化学結合を用い てもよい。 担体としては、 ァガロース, デキス トラン, セルロースなどの不溶 性多糖類、 ポリスチレン, ポリアクリルアミド, シリコーン等の合成樹脂、 あ るいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した抗 CaM抗体に試料液を反応させ (1次反 応)、 さらに標識化した別の抗 CaM抗体を反応させた (2次反応) 後、 不溶化担体 上の標識剤の量もしくは活性を測定することにより、 試料液中のカルモジュリン 類を定量することができる。 1次反応と 2次反応は、 逆の順序で行っても、 また、 同時に行ってもよいし、 時間をずらして行ってもよい。 標識化剤および不溶化の 方法は、 前記のそれらに準じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫 測定法において、 固相化抗体あるいは標識化抗体に用いられる抗体は、 必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を向上させる等の目的で 2種類以上の抗体の
混合物を用いてもよい。
抗 CaM抗体は、 サンドイッチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィムノ メトリック法あるいはネフロメ トリーなどにも用いることができる。
競合法では、 試料液中のカルモジュリン類と標識したカルモジュリン類とを抗 体に対して競合的に反応させた後、 未反応の標識抗原 (F) と、 抗体と結合した 標識抗原 (B) とを分離し (B/F分離)、 B, Fいずれかの標識量を測定することに より、 試料液中のカルモジュリン類を定量する。 本反応法には、 抗体として可溶 性抗体を用い、 ポリエチレングリコールや前記抗体 (1次抗体) に対する 2次抗 体などを用いて B/F分離を行う液相法、 および、 1次抗体として固相化抗体を用 いるか (直接法)、 あるいは 1次抗体は可溶性のものを用い、 2次抗体として固相 化抗体を用いる固相化法 (間接法) とが用いられる。
ィムノメ トリック法では、 試料液中のカルモジュリン類と固相化したカルモジ ュリン類とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後、 固相と液相を分離 する力、 あるいは試料液中のカルモジュリン類と過剰量の標識化抗体とを反応さ せ、 次に固相化したカルモジュリン類を加えて未反応の標識化抗体を固相に結合 させた後、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識量を測定し、 試料 液中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメ トリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ た不溶性の沈降物の量を測定する。 試料液中のカルモジュリン類の量がわずかで あり、 少量の沈降物しか得られない場合にも、 レーザーの散乱を利用するレーザ 一ネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件、 操作法に、 当業者の通常の技術的配慮を加えて、 カルモジュリン類の測定系を構 築すればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを 参照することができる。
例 ば、 Meth. Enzymol. , Vol. 70 : (Immunochemical Techniques (Part
A) ), 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B) ), 同書 Vol. 74 (IramunochemicalTechniques (Part C) ) , 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D : Selected Immunoassays) ) , 同 書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods) ) , |P]書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I : Hybridoraa Technology and Monoclonal Antibodies) ) (以上、 Academic Press発行) などを参照することができる。
以上のようにして、 抗 CaM抗体を用いることによって、 細胞におけるカルモジ ュリン類の生産量を感度よく定量することができる。
上記 (b) および (c) のスクリーニング法において、 カルモジュリン類の発 現量 (mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量) を増加させた物質をカルモジ ュリン発現促進物質、 発現量を減少させた物質をカルモジュリン発現阻害物質と してそれぞれ選択することができる。 カルモジュリン発現促進物質は、 軟骨基質 の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患 [例えば、 骨 粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の低下してい る骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)) など]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 0A, 膝関節 0A) の予防 ·治療剤として使用することができる。
一方、 カルモジュリン発現阻害物質は、 軟骨基質の産生能■軟骨細胞分化能の 異常亢進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の亢 進している骨系統疾患 (例:多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ 症候群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予防 ·治療剤として用いる ことができる。
カルモジュリン発現促進もしくは阻害物質を上記予防 ·治療剤として使用する 場合は、 前記したカルモジュリン類の場合と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
カルモジュリン発現促進物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方 法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患 者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜 50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例 えば注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) において は、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好まし くは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg 当たりに換算した量を投与することができる。
カルモジュリン発現阻害物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方 法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1 mg〜100mg、 好ましくは約 1. 0〜 50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 ragである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例 えば注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは 約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当た りに換算した量を投与することができる。
(4) 遺伝子診断剤
カルモジュリンをコ一ドする塩基配列またはその一部を含む核酸 (以下、 「センス CALM1 J ともいう)、 あるいは該塩基配列と相補的な塩基配列またはそ の一部を含む核酸 (アンチセンス CALM1) は、 プローブ等として使用することに より、 ヒ トまたは他の温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサ
ギ, ヒッジ, ャギ, ブタ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, ト リなど) におけるカルモジュリンをコードする DNAまたは mRNAの異常 (遺伝子異 常) を検出することができるので、 例えば、 該 DNAの損傷もしくは突然変異や mRNAのスプライシング異常あるいは発現低下、 あるいは該 DNAの増幅や mRNAの発 現上昇などの遺伝子診断剤として有用である。 カルモジュリンをコードする塩基 配列の一部を含む核酸は、 プローブとして必要な長さ (例えば、 約 15塩基以上) を有する限り特に制限されず、 また、 カルモジュリンの部分ペプチドをコードし ている必要もない。
センスもしくはアンチセンス CALM1を用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自 体公知のノーザンハイプリダイゼーシヨン、 定量的 RT- PCR、 PCR- SSCP法、 ァレ ル特異的 PCR、 PCR- SS0P法、 DGGE法、 RNaseプロテクション法、 PCR- RFLP法など により実施することができる。
上記のように、 カルモジュリンは軟骨基質遺伝子の発現を増加させ、 軟骨前駆 細胞から軟骨細胞への分化を促進する機能を有するので、 軟骨基質の変性■消 失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患に対して抑制的に作用する。 そのため、 そのような疾患に罹患しているか、 あるいは捋来罹患するリスクが高 い状態にあれば、 CALM1遺伝子の発現が正常な状態に比して上昇していると考え られる。 従って、 例えば、 被験温血動物の細胞から抽出した RNA画分についての ノーザンハイブリダイゼーションゃ定量的 RT-PCRの結果、 CALM1遺伝子の発現上 昇が検出された場合は、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低 下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関 節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性 骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨 幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に罹患して いるか、 あるいは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、 ノーザンハイブリダイゼーションゃ定量的 RT- PCRにより CALM1遺伝子の
発現低下が検出された場合は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能の異常亢進が 関連する疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している 骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群 等)] , 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に罹患しているか、 あるいは捋 来罹患する可能性が高いと診断することができる。
前記した抗 CaM抗体は、 ヒトまたは他の温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブタ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サノレ, チンパンジー, トリなど) におけるカルモジュリンまたはその塩の量を測定す ることができるので、 例えば、 該タンパク質の発現低下または発現上昇などの遺 伝子診断剤として有用である。
抗 CaM抗体を用いる上記の遺伝子診断は、 前記した抗 CaM抗体を用いるカルモ ジュリン発現調節 (促進もしくは阻害) 物質のスクリーニング方法 ((c) のス クリーニング方法) において、 カルモジュリン類を産生する能力を有する細胞 として、 被験温血動物から採取した生体試料 (例: 関節液, 生検など) を用い てィムノアツセィを実施することにより行うことができる。
ィムノアツセィの結果、 該試料中のカルモジュリンまたはその塩の増加が検出 された場合は、 軟骨基質の変性 ·消失,産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連 する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑 膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に罹患しているか、 あるい は将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、 ィムノアツセィの結果、 該試料中のカルモジュリンまたはその塩の減少 が検出された場合は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能の異常亢進が関連する 疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾 患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群等)], 骨軟
骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に罹患しているか、 あるいは将来罹患する 可能性が高いと診断することができる。
後記実施例により示される通り、 カルモジュリンをコードする CALM1遺伝子の 転写開始点と TATA配列との間 (転写開始点の上流 16番目の塩基; 配列番号: 5で 表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基に相当する) に SNP (OT) の存 在が新たに見出され、 このうち Tアレルは、 股関節 OA患者群で頻度の高い OA感受 性ァレルである。 CALM1遺伝子には 14個の SNPが JSNPデータベースに既に登録さ れているが、 これらのうちマイ^ "一アレル頻度力 10%以上の 11個の SNPを用いて ハプロタイプ構造を推定した結果、 3つのコモンハプロタイプ (全ハプロタイプ 頻度の約 90%を網羅する) が同定され (図 2b参照)、 ハプロタイプ Bのみが股関節 OAと相関を示した。 ハプロタイプ Bは股関節 OAと高い相関を示す 3つの SNP (図 2b ; SNP ID : CALM1一 1, CALM1— 5, CALM1_9 ; 配列番号: 5で表される塩基配列中 塩基番号 1576, 2445および 6641にそれぞれ相当する) を含むが、 本発明者らが 見出した新規 SNP (_16C〉Tと記述する場合がある) の Tアレル (-16T) はこれら の SNPと完全連鎖の状態にあり、 - 16Tもまたハプロタイプ Bに含まれることが明 らかとなつた。
従って、 本発明はまた、
(1) 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示される塩基 (但し、 該塩 基はチミンである) を含む該塩基配列の部分配列であって約 15塩基以上の連続 した塩基配列を含む核酸、 および
(2) 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基番号 85, 1576, 2445および 6641で示される塩基が、 それぞれチミン, シトシン, グァニンおよびチミンで あるハプロタイプの塩基配列を含む核酸を提供する。
これらの核酸は、 後述する骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性の診断方法にお いて、 該疾患感受性多型 (ハプロタイプ) を検出するためのプローブ等として 用いることができる。 上記 (1) の核酸は、 好ましくは約 500塩基以下、 より好 ましくは 200塩基以下の連続した塩基配列を含むものであり、 そのような核酸は、
配列番号: 5で表される塩基配列情報に基づいて、 DNA/RNA自動合成機を用いて 合成することができる。 また、 上記 (2) の核酸は、 当該ハプロタイプ構造を有 する CALM1遺伝子を保有する動物 (好ましくはヒト) の細胞 ·組織から単離した ゲノム DNAより、 配列番号: 5で表される塩基配列の全部または一部を含む核酸 をプローブ等として用いることにより単離することができる。
後記実施例において示される通り、 本発明の新規 SNP (-160T) は CALM1遺伝 子の転写活性に影響を及ぼし、 Tアレル (- 16T) では転写活性が低下している。 従って、 上記したカルモジュリンの機能を考慮すると、 Tアレルは変形性関節症 だけでなく、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連す る疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜 炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟 骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に対しても感受性を示すこ とが示唆される。 一方、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能の異常亢進が関連す る疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統 疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群等)], 骨 軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に対しては保護的であり得る。
したがって、 本発明はまた、 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基 番号 85, 1576, 2445および 6641で示される塩基からなる群より選択される 1以上 の塩基における多型を検出することを含む、 骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性 の診断方法を提供する。 塩基番号 1576, 2445および 6641で示される塩基は、 塩 基番号 85で示される本発明の新規 SNPと完全連鎖の状態にあるので、 これらの塩 基のいずれかにおける多型を検出することにより、 骨 ·関節疾患感受性のハプロ タイプ (上記ハプロタイプ B) を保有しているか否かを高確度に判定することが 可能である。
上記の各塩基における多型の検出方法としては、 公知の S N P検出方法のいず
れも使用することができる。 該検出方法としては、 例えば、 被験動物の細胞から 抽出したゲノム DNAを試料とし、 上記(1)の核酸をプローブとして用い、 例えば Wallaceら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80, 278-282 (1983) )の方法に従って、 ストリンジエンシーを正確にコントロールしながらハイブリダィゼーシヨンを行 い、 プローブと完全相補的な配列のみを検出する方法や、 上記 (1) の核酸およ び上記 (1) の核酸において塩基番号 85で示される塩基がシトシンである核酸の 一方を標識し、 他方を未標識としたミックスプローブを用い、 変性温度から徐々 に反応温度を低下させながらハイプリダイゼーシヨンを行い、 一方のプローブと 完全相補的な配列を先にハイブリダィズさせ、 ミスマッチを含むプローブとの交 差反応を防ぐ方法などが挙げられる。
また、 多型の検出は、 例えば、 特開 2004- 000115に記載された種々の方法、 例 えば、 RFLP法、 PCR-SSCP法、 AS0ハイブリダィゼーシヨン、 ダイレクトシ一タエ ンス法、 ARMS法、 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、 RNaseA切断法、 化学切断法、 D0L法、 TaqMan PCR法、 インベーダー法、 MALDI- T0F/MS法、 TDI法、 モレキユラ 一■ ビーコン法 ダイナミック 'ァレルスぺシフイツク ■ハイブリダイゼーショ ン法、 ノ、。ドロック ·プローブ法、 UCAN法、 DNAチップまたは DNAマイクロアレイ を用いた核酸ハイプリダイゼーション法、 および ECA法などにより実施すること ができる。
多型を調べた結果、 配列番号: 5で表される塩基配列において、
塩基番号 85で示される塩基がチミン、
塩基番号 1576で示される塩基がシトシン、
塩基番号 2445で示される塩基がグァニン、 または
塩基番号 6641で示される塩基がチミンである場合、 軟骨基質の変性 ·消失 ·'産 生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関 節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関 節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 -変 形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形
成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成 症等)] などの疾患に対して感受性であると判定する。 2以上の多型を調べた結 果、 上記 3つのコモンハプロタイプに属さないマイナーハプロタイプであると判 定された場合には、 塩基番号 85で示される塩基の結果が優先される。
後記実施例において示される通り、 本発明の新規 SNPにおいて、 Tアレル (- 16T) により選択的に結合する核内因子が存在し、 該因子が転写抑制因子として 作用していることが示唆される。 従って、 配列番号: 5で表される塩基配列中塩 基番号 85で示される塩基 (伹し、 該塩基はチミンである) およびそれに隣接す る塩基からなる塩基配列を含む核酸は、 デコイ核酸として機能することにより、 CALM1遺伝子の転写調節領域への該核内因子の結合を阻害して、 CALM1遺伝子の 転写活性を増大させることができ、 そのため、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低 下、 軟骨細胞分化能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節 症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊 椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等) ] な どの疾患の予防■治療剤として用いることができる。
ここで 「隣接する塩基」 は、 - 16Tの 5' 上流側おょぴ 3' 下流側のいずれであ つてもよく、 その両方であってもよい。 -16Tおよびそれに隣接する塩基からな る塩基配列は、 好ましくは約 5〜約 30塩基、 より詳細には- 16Tとその 5' 上流側 0 〜20塩基およぴ 16Tの 3' 下流側 0〜20塩基とからなる全長約 5〜約 30塩基からな る塩基配列である。
上記デコイ核酸を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 前記したカルモジ ュリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸の場合と同様にして製剤化する ことができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ
タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
上記デコイ核酸の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより 差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgと して) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より 好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は 投与対象、 対彖臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の 形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につ き約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜 10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換 算した量を投与することができる。
上記のように、 本発明の新規 SNPにおいて、 Tアレル (- 16T) により選択的に 結合する核内因子が存在し、 該因子が転写抑制因子として作用していることが示 唆されるので、 該因子の- 16Tおよびその周辺領域への結合を調節 (促進もしく は阻害) する物質は、 骨 ·関節疾患、 特に軟骨基質の変性 ·産生異常や、 軟骨 前駆細胞から軟骨細胞への分化異常が関連する疾患の予防 ·治療に有効である。 従って、 本発明はまた、 配列番号: 5で表される塩基配列中塩基番号 85で示さ れる塩基 (但し、 該塩基はチミンである) およびそれに隣接する塩基からなる 塩基配列を含む核酸と、 該塩基配列に選択的に結合する転写調節因子とを用いる ことを特徴とする骨 ·関節疾患の予防 ·治療剤のスクリーニング方法を提供する。 例えば、
1) 被験物質の存在下における該核酸と該転写調節因子の結合調節を検出する方 法、 および
2) 該核酸を含むプロモーターの制御下にある遺伝子を含む動物細胞における、 被験物質の存在下および非存在下での該遺伝子の発現を比較する方法などが挙げ られる。
該核酸と該転写調節因子との結合を指標とする場合、 例えば、 標識 (例: 32P,
ジゴキシゲニン等) した該核酸と該転写調節因子 (例えば、 ヒ トまたは他の温 血動物細胞由来の核抽出液の状態で提供され得る。 あるいは、 該核酸を用いて該 抽出液からァフィユティー精製して用いることもできる) とを被験物質の存在 下でインキュベートした後、 該反応液を非変性ゲル電気泳動に付し、 核酸-転写 調節因子複合体に相当するバンドのシグナル強度の増減を検出することにより行 うことができる。
被験物質としては、 例えばペプチド, タンパク質, 非ペプチド性化合物, 合 成化合物, 発酵生産物, 細胞抽出液, 植物抽出液, 動物組織抽出液などが挙げ られる。
該核酸を含むプロモーターの制御下にある遺伝子の発現を指標とする場合、 プ 口モーターとしては、 動物細胞内で機能し得るいかなるプロモーターも使用する ことができ、 例えば、 SRひプロモーター, SV40プロモーター, LTRプロモーター, CMV (サイトメガロウィルス) プロモーター, HSV-tkプロモーターなどが用いら れる。 本発明の DNAは、 自体公知の遺伝子工学的手法を用いて該プロモーター内 の適当な位置に揷入することができる。 あるいは、 - 16Tを含む CALM1遺伝子プロ モーターを使用してもよい。
該核酸を含むプロモーターの制御下にある遺伝子は、 その発現量を容易に測定 し得るものであれば特に制限されないが、 好ましくはルシフェラーゼ, GFP, ァ ルカリホスファターゼ, ペルォキシダーゼ, -ガラクトシダーゼなどのレポ一 ター遺伝子が挙げられる。 また、 -16Tを含む CALM1遺伝子をそのまま使用するこ ともできる。 この場合、 該 CALM1遺伝子を生来有する動物 (好ましくはヒト) 由 来の細胞もしくは組織を、 「該核酸を含むプロモーターの制御下にある遺伝子を 含む動物細胞」 として使用することができる。 該核酸を含むプロモーターの制御 下にある遺伝子としてレポーター遺伝子を用いる場合は、 該核酸を含む上記プロ モーターの下流にレポ一タ一遺伝子を自体公知の遺伝子工学的手法を用いて連結 したものを、 適当な導入ベクター、 例えば、 大腸菌由来のプラスミ ド (例: PBR322, pBR325, pUC12, pUC13)、 枯草菌由来のプラスミド (例: pUBl lO, pTP5,
PC194)、 酵母由来プラスミド (例: pSH19, pSH15)、 λファージなどのバタテリ オファージ等のベクター中に挿入し、 宿主動物細胞に導入することができる。 該 導入ベクターは、 所望により他のェンハンサー、 ポリ Α付加シグナル、 選択マー カー、 SV40複製オリジン (以下、 SV40oriと略称する場合がある) などを含有し ていてもよい。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子 [メソトレキセート (MTX) 耐性]、 アンピシリン耐性遺伝子、 ネオマイシン耐性 遺伝子 (G418耐性) 等が挙げられる。
動物細胞は、 該転写調節因子を発現し得る細胞であれば特に制限はなく、 例え ば、 Huh- 7細胞などを用いることもできるが、 これに限定されない。 該動物細胞 は、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロトコール, 263- 267 (1995年) (秀潤社発行)、 Virology, 52· 456 (1973) に記載の方法に従って形質転換する ことができる。
被験物質としては、 例えばペプチド, タンパク質, 非ペプチド性化合物, 合 成化合物, 発酵生産物, 細胞抽出液, 植物抽出液, 動物組織抽出液などが挙げ られる。
被験物質の存在下および非存在下に、 適当な培地 (例: 最小必須培地, ダル べッコ改変ィーグノレ培地, ハム培地, F12培地, RPMI1640培地, ウィリアム E培 地等) 中で一定時間細胞を培養した後、 該核酸を含むプロモーターの制御下に ある遺伝子の発現を両条件下で比較する。 CALM1遺伝子の発現は、 上記抗 CaM抗 体を用いた ELISAなどのィムノアツセィ法や、 RT- PCR法により検出 '定量するこ とができる。
あるいは、 上記の方法に用いられ得る動物細胞を用い、 該転写調節因子の細胞 内局在性を、 例えば、 該動物細胞における該因子の細胞質から核への移行の度合 いを被験物質の存在下および非存在下で比較することによつても、 骨 ·関節疾患 の予防'治療物質をスクリーニングすることができる。 より具体的には、 例えば、 該転写調節因子に対する蛍光標識した抗体で該細胞を免疫染色することにより、 該因子の細胞質から核への移行をモニタリングすることができる。 あるいは、 該
転写調節因子を GFPなどの蛍光タンパク質との融合タンパク質として発現し得る 形質転換体を用いることにより、 直接的に該因子の細胞質から核への移行をモニ タリングすることもできる (列えば、 Biochem. Biophys. Res. Commun. , 278
659-664 (2000) を参照)。
上記のスクリーニング法において、 該核酸と該転写調節因子の結合を阻害した 被験物質は、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下が関連す る疾患 [例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜 炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟 骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症,
Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)) など]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 0A, 膝関節 OA) の予防 ·治療剤として使用することができる。
一方、 該核酸と該転写調節因子の結合を促進した被験物質は、 軟骨基質の産生 能 ·軟骨細胞分化能の異常亢進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予 防 ·治療剤として用いることができる。
上記の結合促進もしくは阻害物質を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 前記したカルモジュリン類の場合と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトや他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
上記の結合阻害物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに より差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与
量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射 剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日 にっき約 0. 01〜30 rag程度、 好ましくは約 0. 1〜20 tng程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たり に換算した量を投与することができる。
上記の結合促進物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに より差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgと して) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より 好ましくは約 1. 0~20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の 形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg 程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した 量を投与することができる。
本発明で用いられる配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜 347で示されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む タンパク質 (以下、 「ァスポリン」 または 「ASPN」 と称する場合がある) は、 ヒトもしくは他の温血動物 (例えば、 サル, ゥシ, ゥマ, ブタ, ヒッジ, ャギ, ゥサギ, マウス, ラット, モルモッ ト, ハムスター, ニヮトリなど) の細胞 [例えば、 肝細胞, 脾細胞, 神経細胞, グリア細胞, 膝 /3細胞, 骨髄細胞, メサ ンギゥム細胞, ランゲルハンス細胞, 表皮細胞, 上皮細胞, 杯細胞, 内皮細胞, 平滑筋細胞, 線維芽細胞, 線維細胞, 筋細胞, 脂肪細胞, 免疫細胞 (例: マク 口ファージ, T細胞, B細胞, ナチュラルキラー細胞, 肥満細胞, 好中球, 好塩 基球, 好酸球, 単球), 巨核球, 滑膜細胞, 軟骨細胞, 骨細胞, 骨芽細胞, 破骨 細胞, 乳腺細胞, 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹 細胞もしくは癌細胞など] またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織もしく は器官 [例えば、 脳, 脳の各部位 (例: 嗅球, 扁桃核, 大脳基底球, 海馬, 視
床, 視床下部, 大脳皮質, 延髄, 小脳), 脊髄, 下垂体, 胃, 膝臓, 腎臓, 肝臓, 生殖腺, 甲状腺, 胆嚢, 骨髄, 副腎, 皮膚, 筋肉, 肺, 消化管 (例: 大腸, 小 腸), 血管, 心臓, 胸腺, 脾臓, 顎下腺, 末梢血, 前立腺, 睾丸, 卵巣, 胎盤, 子宮, 骨, 関節, 脂肪組織 (例: 褐色脂肪組織, 白色脂肪組織), 骨格筋など] に由来するタンパク質であってもよく、 また、 後述のように、 化学的もしくは無 細胞タンパク質合成系を用いて生化学的に合成されたタンパク質であってもよい。 あるいは、 上記アミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸を導入された形質 転換体から産生される糸且換えタンパク質であってもよい。
配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるァミノ 酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配 列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列と約 50%以上、 好ましくは約 60%以上、 さらに好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 特に好まし くは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列であ つて、 該アミノ酸配列を含むタンパク質が、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配 列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的に 同質の活性を有するような配列をいう。 ここで 「相同性」 とは、 当該技術分野に おいて公知の数学的アルゴリズムを用いて 2つのアミノ酸配列をァラインさせた 場合の、 最適なアラインメント (好ましくは、 該アルゴリズムは最適なァライ ンメントのために配列の一方もしくは両方へのギヤップの導入を考慮し得るもの である) における、 オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸 および類似アミノ酸残基の割合 (%) を意味する。 「類似アミノ酸」 とは物理化 学的性質において類似したアミノ酸を意味し、 例えば、 芳香族アミノ酸 (Phe, Trp, Tyr)、 脂肪族アミノ酸 (Ala, Leu, lie, Val) s 極性アミノ酸 (Gin, Asn)、 塩基性アミノ酸 (Lys, Arg, His) , 酸性アミノ酸 (Glu, Asp)、 水酸基を含むァ ミノ酸 (Ser, Thr)、 側鎖の小さいアミノ酸 (Gly, Ala, Ser, Thr, Met) など の同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。 このような類似アミノ酸に よる置換はタンパク質の表現型に変化をもたらさない (即ち、 保存的アミノ酸
置換である) ことが予測される。 保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術分野 で周知であり、 種々の文献に記載されている (例えば、 Bowie et al. , Science, 247: 1306-1310 (1990) を参照)。
アミノ酸配列の相同性を決定するためのアルゴリズムとしては、 例えば、 Karl in et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993) に記載 のァルゴリズム [該ァルゴリズムは NBLASTおよび XBLASTプログラム (version 2. 0) に組み込まれている (Altschul et al. , Nucleic Acids Res. , 25: 3389 - 3402 (1997) ) ]、 Needleman et al., J. Mol. Biol. , 48: 444-453 (1970) に 記載のアルゴリズム [該アルゴリズムは GCGソフトウエアパッケージ中の GAPプ ログラムに組み込まれている]、 Myers and Mi ller, CABIOS, 4: 11-17 (1988) に記載のアルゴリズム [該アルゴリズムは CGC配列ァラインメントソフトウェア パッケージの一部である ALIGNプログラム (version 2. 0) に,袓み込まれている]、 Pearson et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988) に記 載のアルゴリズム [該アルゴリズムは GCGソフトウエアパッケージ中の FASTAプ ログラムに組み込まれている] 等が挙げられるが、 それらに限定されない。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化抑 制活性、 具体的には、 軟骨細胞の分化マーカー [例: I I型コラーゲン遺伝子 (Col2al) , ァグリカン遺伝子 (Agcl) 等] の発現阻害活性などが挙げられる。 また、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖抑制活性等も好ましい。 「実質 的に同質」 とは、 それらの性質が定性的に (例: 生理学的に、 または薬理学的 に) 同質であることを意味する。 したがって、 上記の活性の程度といった量的 要素については同等であることが好ましいが、 異なっていてもよい (例えば、 約 0. 01〜約 100倍、 好ましくは約 0. 1〜約 10倍、 より好ましくは約 0. 5〜約 2倍)。 ァスポリン (ASPN) の活性の測定は自体公知の方法に準じて行うことができ る。 例えば、 後記実施例において詳述するように、 軟骨細胞分化モデルにおける TGF- 刺激時の上記マーカー遺伝子の発現量を測定することにより行うことが できる。 また、 後記実施例において詳述するように、 ATDC細胞株に対する増殖
抑制活性を MTTァッセィ等により測定することによつても行うことができる。
また、 本発明で用いられるァスポリンとしては、 例えば、 (1) 配列番号: 4で 表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列のうち 1ま たは 2個以上 (好ましくは、' 1〜50個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ま しくは 1〜5個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 (2) 配列番号: 4で表され るアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列に 1または 2個以 上 (好ましくは、 1〜50個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜 5個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (3) 配列番号: 4で表されるァミノ 酸配列中ァミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ま しくは、 1〜50個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さら【こ好ましくは 1〜5個) の アミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、 (4) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列 中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列のうち 1または 2個以上 (好まし くは、 1〜50個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のァ ミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (5) それらを組み合 わせたアミノ酸配列を含むタンパク質であって、 配列番号: 4で表されるァミノ 酸配列中アミノ酸番号 1〜 347で示されるァミノ酸配列を含むタンパク質と実質 的に同質の活性を有するタンパク質も含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が揷入、 欠失または置換されている場合、 その揷入、 欠失または置換の位置は、 当該タンパク質の活性を損なわない限り、 特に限定さ れない。
本明細書においてァミノ酸配列により特定されるタンパク質は、 ぺプチド標記 の慣例に従って、 左端が N末端 (ァミノ末端)、 右端が C末端 (カルボキシル末 端) である。 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示さ れるアミノ酸配列を含むタンパク質をはじめとする、 本発明で用いられるァスポ リンは、 C末端が力ルポキシル基 (- C00H)、 カルボキシレート (-C0(T)、 アミド (-C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル, ェチル, n -プロピル,
イソプロピル, n-ブチルなどの アルキル基、 例えば、 シクロペンチル, シク 口へキシルなどの C3_8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル, α -ナフチルなどの じ6-12ァリール基、 例えば、 ベンジル, フエネチルなどのフエニル- _2アルキル基 もしくはひ -ナフチルメチルなどの α -ナフチル- アルキル基などの ( 7_14ァラル キル基、 ピパロィルォキシメチル基などが用いられる。
本発明で用いられるタンパク質が C末端以外にカルボキシル基 (またはカルボ キシレート) を有している場合、 カルボキシル基がアミ ド化またはエステル化 されているものも本発明で用いられるタンパク質に含まれる。 この場合のエステ ルとしては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるタンパク質には、 N末端のアミノ酸残基 (例: メ チォユン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基, ァセチル基などの -6アルカノィルなどの C 6ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で切断 されて生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子内 のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば、 - OH, -SH, アミノ基, イミダゾール基, インドール基, グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基, ァ セチル基などの _6アル力ノィル基などの _6ァシル基など) で保護されているも の、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども 含まれる。
本発明で用いられるタンパク質の具体例としては、 例えば、 配列番号: 4で表 されるアミノ酸配列を含むヒ トァスポリン (GenBank登録番号: ΑΑΚ3δ161) の成 熟体 (アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列を含む) などがあげられる。 本発明で用いられるァスポリンの部分ペプチドは、 配列番号: 4で表されるァ ミノ酸配列中アミノ酸番号 1 ~347で示されるアミノ酸配列の部分アミノ酸配列 と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含むぺプチドであって、 前記した 本発明で用いられるァスポリンと実質的に同質の活性を有するものであれば、 い ずれのものでもよい。 ここで 「実質的に同質の活性」 とは上記と同義である。 ま た、 「実質的に同質の活性」 の測定は、 上記と同様にして行うことができる。
具体的には、 該部分ペプチドとしては、 本発明で用いられるァスポリンの構成 ァミノ酸配列のうち少なくとも 100個以上、 好ましくは 200個以上、 より好まし くは 300個以上のァミノ酸配列を含むぺプチドなどが用いられる。
また、 本発明で用いられるァスポリンの部分ペプチドは、 (1) そのアミノ酸 配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜10個 程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が欠失し、 または、 (2) そのアミ ノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜50個程度、 より好ましくは 1〜10 個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が付加し、 または、 (3) そのァ ミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜50個程度、 より好ましくは 1〜 10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が揷入され、 または、 (4) そ のアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましく は 1〜: 10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換さ れていてもよく、 あるいは (5) それらが組み合わされていてもよい。
本発明で用いられるァスポリンの部分ペプチドは、 C末端がカルボキシル基 (-C00H) , カルボキシレート (_C0(T)、 アミ ド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであってもよい。 ここでエステルにおける Rとしては、 ァスポリン について上記したと同様のものが挙げられる。 また、 該部分ペプチドが C末端以 外にカルボキシル基 (またはカルボキシレート) を有している場合、 該カルボ キシル基がァミド化またはエステル化されているものも本発明で用いられるァス ポリンの部分ペプチドに含まれる。 この場合のエステルとしては、 C末端のエス テルと同様のものが例示される。 さらに、 該部分ペプチドには、 ァスポリンの場 合と同様に、 N末端のアミノ酸残基 (例: メチォニン残基) のァミノ基が保護基 で保護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残基がピ 口グルタミン酸化したもの、 分子内のァミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基 で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合 ペプチドなども含まれる。
本発明で用いられるァスポリンまたはその部分ペプチドの塩としては、 生理学
的に許容される酸 (例: 無機酸, 有機酸) や塩基 (例: アルカリ金属塩) など との塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様 な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸, リン酸, 臭化水素酸, 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸, ギ酸, プロピオン酸, フマル酸, マ レイン酸, コハク酸, 酒石酸, クェン酸, リンゴ酸, 蓚酸, 安息香酸, メタン スルホン酸, ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明で用いられるァスポリンまたはその塩は、 前述したヒトゃ他の温血動物 の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によつて調製することが できる。 具体的には、 該動物の組織または細胞をホモジナイズした後、 酸などで 抽出を行い、 該抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィ 一などのクロマトダラフィ一を組み合わせることにより精製単離することができ る。
本発明で用いられるァスポリンもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (以 下、 「ァスポリン類」 と包括的に略記する場合がある) は、 公知のペプチド合 成法に従って製造することもできる。
ペプチド合成法は、 例えば、 固相合成法、 液相合成法のいずれであってもよい。 本発明のタンパク質を構成し得る部分べプチドもしくはァミノ酸と残余部分とを 縮合し、 生成物が保護基を含む場合は保護基を脱離することにより目的とするタ ンパク質を製造するこ ができる。 ここで、 縮合や保護基の脱離は、 自体公知の 方法、 例えば、 以下の (1) および (2) に記載された方法に従って行われる。
(1) M. Bodanszky amd M. A. Onaetti, Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966)
(2) Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, Ne York (1965) 本発明のァスポリン類の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いる ことができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂, ヒ ドロ キシメチル樹脂, ベンズヒ ドリルァミン樹脂, アミノメチル樹脂, 4-ベンジル ォキシベンジルアルコール樹脂, 4-メチルベンズヒ ドリルァミン樹脂, PAM樹脂,
4-ヒ ドロキシメチルメチルフエ二ルァセトアミ ドメチル樹脂, ポリアクリルァ ミ ド樹脂, 4_ (2, ,4, -ジメ トキシフエ二ル-ヒ ドロキシメチル)フエノキシ樹脂, 4- (2, ,4, -ジメ トキシフエ二ル- Fraocアミノエチル)フエノキシ樹脂などを挙げ ることができる。 このような樹脂を用い、 a -アミノ基と側鎖官能基を適当に保 護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質等の配列通りに、 自体公知の各種縮合 方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質または部分 ぺプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中で分子内 ジスルフィド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もしくは部分ペプチドま たはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジィ ミド類としては、 DCC, Ν, Ν' -ジイソプロピルカルポジイミド, Ν-ェチル - Ν, - (3 -ジメチルァミノプロリル)カルポジイミ ドなどが用いられる。 これらによる 活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 HOBt, HOOBt) とともに保護アミノ酸 を直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水物または HOBtエステルあるいは HOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行った後に樹脂に添加 することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質 縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N,N -ジメチルホルムアミド, Ν, Ν-ジメチルァセトアミド, Ν-メチルピロリ ドン などの酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスル ホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなどのエーテル類、 ァセトニトリル, プロピオ二トリルなどのュトリル類、 酢酸メチル, 酢酸ェチ ルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応温度 はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択 され、 通常約- 20°C~50°Cの範囲から適宜選択される。 活性化されたアミノ酸誘
導体は通常 1. 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリン反応を用いたテストの結 果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すこ とにより十分な縮合を行うことができる。 反応を繰り返しても十分な縮合が得ら れないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸 をァセチル化することによって、 後の反応に影響を与えないようにすることがで さる。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護並びに保護基、 およびその保護基 の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適 宜選択しうる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z, Boc, t-ペンチルォキシカル ボニル, イソポルニルォキシカルボニル, 4 -メ トキシベンジルォキシカルボ二 ル, Cl-Z, Br-Z, ァダマンチルォキシカルボニル, トリフルォロアセチル, フ タロイノレ, ホノレミノレ, 2-ニ トロフエニノレスノレフエニノレ, ジフエニノレホスフイノ チオイル, Fmocなどが用いられる。
カノレポキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル, ェチル, プロピノレ, プチノレ, t -プチノレ, シクロペンチノレ, シクロへキシノレ, シクロヘプ チル, シクロォクチル, 2-ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状ァ ルキルエスチル化)、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル, 4-二 トロべンジノレエステノレ, 4 -メ トキシべンジノレエステノレ, 4-クロ口べンジノレエス テノレ, ベンズヒ ドリノレエステノレ化)、 フエナシノレエステノレ化、 ペンジノレオキシカ ルボニルヒドラジド化、 t-プトキシカルボニルヒドラジド化、 トリチルヒドラ ジド化などによつて保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低 級 (Cw) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカ ルポニル基, エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いら れる。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基, テトラヒ
ドロビラニル基, t -ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては例えば、 Bzl, Cl2 - Bzl, 2 -二 トロベンジル, Br_Z, t -ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイ ミダゾールの保護基としては、 例えば、 Tos, 4-メ トキシ- 2, 3, 6-トリメチルベンゼンスルホニル, DNP, ベンジルォキシメチル, Bum, Boc: Trt, Fraocなどが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、 例えば、 Pd-黒あるいは Pd-炭素などの触 媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素, メタンス ルホン酸, トリフルォロメタンスルホン酸, トリフルォロ酢酸あるいはこれら の混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン, トリェチルアミ ン, ピぺリジン, ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモユア中ナト リウムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約- 20°C〜40°Cの温度で行われるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール, フ エノーノレ, チオアニソーノレ, メタクレゾ一ノレ, パラクレゾーノレ, ジメチゾレスノレ フイド, 1, 4 -ブタンジチオール, 1, 2-エタンジチオールなどのようなカチオン 捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用い られる 2, 4 -ジニトロフエニル基はチォフエノール処理により除去され、 トリプ トフアンのインドール保護基として用いられるホルミル基は、 上記の 1, 2-エタ ンジチオール, 1, 4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外 に、 希水酸化ナトリウム溶液, 希アンモニアなどによるアルカリ処理によって も除去される。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステル [アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール, 2, 4, 5-トリクロ口フエノール, 2, 4 -ジニトロフエノール, シァノメチルァノレコ ール, ノヽ。ラニトロフエノール, HONB, N-ヒ ドロキシスクシミ ド, N-ヒ ドロキシ フタルイミ ド, HOBt) とのエステル] などが用いられる。 原料のァミノ基の活 性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いられる。
タンパク質または部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 カルボキシル末端アミノ酸の α -カルボキシル基をアミ ド化して保護した 後、 アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該 ぺプチド鎖の Ν末端のひ -ァ'ミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分 ペプチドと C末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部 分ペプチドとを製造し、 これらのタンパク質またはペプチドを上記したような混 合溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合によ り得られた保護タンパク質またはペプチドを精製した後、 上記方法によりすベて の保護基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ることができる。 こ の粗タンパク質またはペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要画 分を凍結乾燥することで所望のタンパク質またはべプチドのァミド体を得ること ができる。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシノレ末 端アミノ酸の a -カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステ ノレとした後、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタンパ ク質またはべプチドのエステル体を得ることができる。
本発明で用いられるァスポリンの部分ぺプチドまたはその塩は、 上述もしくは 後述のいずれかの方法により得られるァスポリンまたはその塩を、 適当なぺプチ ダーゼで切断することによつても製造することができる。
このようにして得られた本発明のァスポリン類は、 公知の精製法により精製単 離することができる。 ここで、 精製法としては、 例えば、 溶媒抽出、 蒸留、 カラ ムクロマトグラフィー、 液体クロマトグラフィー、 再結晶、 これらの組み合わせ などが挙げられる。
上 ¾方法で得られるタンパク質または部分ペプチドが遊離体である場合には、 該遊離体を公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換するこ とができるし、 逆にタンパク質または部分ペプチドが塩として得られた場合には、 該塩を公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換
することができる。
本発明のァスポリン類は、 ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする核 酸を含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養してァスポリン類を生成せし め、 得られる培養物からァスポリン類を分離■精製することによつて製造するこ ともできる。
ァスポリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸としては、 前述した本発 明で用いられるァスポリンのアミノ酸配列もしくはその部分アミノ酸配列をコー ドする塩基配列を含むものであればいかなるものでもよい。 該核酸は、 DNAであ つても RNAであってもよく、 あるいは DNA/RNAキメラであってもよいが、 好まし くは DNAが挙げられる。 また、 該核酸は二本鎖であっても、 一本鎖であってもよ · い。 二本鎖の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA : RNAのハイブリッドでも よい。
ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAは、 ゲノム DNA、 ヒ トも しくは他の温血動物 (例えば、 サル, ゥシ, ゥマ, プタ, ヒッジ, ャギ, ゥサ ギ, マウス, ラット, モルモッ ト, ハムスター, ニヮトリなど) の細胞 [例え ば、 肝細胞, 脾細胞, 神経細胞, グリア細胞, 腌 ]3細胞, 骨髄細胞, メサンギ ゥム細胞, ランゲルハンス細胞, 表皮細胞, 上皮細胞, 杯細胞, 内皮細胞, 平 滑筋細胞, 線維芽細胞, 線維細胞, 筋細胞, 脂肪細胞, 免疫細胞 (例: マクロ ファージ, T細胞, B細胞, ナチュラルキラー細胞, 肥満細胞, 好中球, 好塩基 球, 好酸球, 単球), 巨核球, 滑膜細胞, 軟骨細胞, 骨細胞, 骨芽細胞, 破骨細 胞, 乳腺細胞, 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細 胞もしくは癌細胞など] またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織もしくは 器官 [例えば、 脳, 脳の各部位 (例: 嗅球, 扁桃核, 大脳基底球, 海馬, 視床, 視床下部, 大脳皮質, 延髄, 小脳), 脊髄, 下垂体, 胃, 睦臓, 腎臓, 肝臓, 生 殖腺, 甲状腺, 胆嚢, 骨髄, 副腎, 皮膚, 筋肉, 肺, 消化管 (例: 大腸, 小腸), 血管, 心臓, 胸腺, 脾臓, 顎下腺, 末梢血, 前立腺, 睾丸, 卵巣, 胎盤, 子宮, 骨, 関節, 脂肪組織 (例: 褐色脂肪組織, 白色脂肪組織), 骨格筋など] 由来の
cDNA、 合成 DNAなどが挙げられる。 ァスポリンまたはその部分ペプチドをコード するゲノム DNAおよび cDNAは、 上記した細胞 ·組織より調製したゲノム DNA画分 および全 RNAもしくは mRNA画分をそれぞれ錡型として用い、 PCR法および RT- PCR 法によって直接増幅することもできる。 あるいは、 ァスポリンまたはその部分べ プチドをコ一ドするゲノム DNAおよび cDNAは、 上記した細胞 ·組織より調製した ゲノム DNAおよび全 RNAもしくは mRNAの断片を適当なべクタ一中に揷入して調製 されるゲノム DNAライブラリーおょぴ cDNAライブラリ一から、 コロニーもしくは プラークハイプリダイゼーシヨン法または PCR法などにより、 それぞれクロー二 ングすることもできる。 ライブラリーに使用するベクターは、 パクテリオファー ジ、 プラスミド、 コスミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。
ァスポリンをコードする DNAとしては、 例えば、 配列番号: 3で表される塩基 配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列を含む DNA、 あるいは配列番号: 3 で表される塩基配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列とハイストリンジ ェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を含有し、 前記した配列番号: 4 に示されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列を含む タンパク質と実質的に同質の活性 (例えば、 軟骨細胞分化阻害活性など) を有 するタンパク質もしくはぺプチドをコードする DNAなどが挙げられる。
配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列と ハイストリンジェントな条件下でハイプリダイズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列と約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 さらに好ましくは約 80%以上、 特に好ましくは 約 90%以上の相同性を有する塩基配列を含む DNAなどが用いられる。
本明細書における塩基配列の相同性は、 相同性計算アルゴリズム NCBI BLAST (National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool) を用い、 以下の条件 (期待値 =10 ; ギャップを許す; フィルタリ ング =0N; マッチスコア =1 ; ミスマッチスコア =-3) にて計算することができる。 塩基配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、 上記したァミノ
酸配列の相同性計算アルゴリズムが同様に好ましく例示される。
ハイブリダィゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例え は、 Molecular Cloning第 2版 (J. barabrook et al. , Cola Spring Harり or Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行うことができる。 また、 市販 のライブラリーを使用する場合、 ハイブリダィゼーシヨンは、 添付の使用説明書 に記載の方法に従って行うことができる。 ハイブリダィゼーシヨンは、 好ましく は、 ハイストリンジェントな条件に従って行うことができる。
ハイストリンジェントな条件としては、 例えば、 ナトリウム塩濃度が約 19〜 約 40 mM、 好ましくは約 19〜約 20 mMで、 温度が約 50〜約 70°C、 好ましくは約 60 〜約 65°Cの条件等が挙げられる。 特に、 ナトリウム塩濃度が約 19 raMで温度が約 65°Cの場合が好ましい。 当業者は、 ハイブリダィゼーシヨン溶液の塩濃度、 ノ、 イブリダゼーシヨン反応の温度、 プローブ濃度、 プローブの長さ、 ミスマッチの 数、 ハイブリダィゼーシヨン反応の時間、 洗浄液の塩濃度、 洗浄の温度等を適宜 変更することにより、 所望のストリンジェンシ一に容易に調節することができる。 ァスポリンをコードする DNAは、 好ましくは配列番号: 3で表される塩基配列 を含むヒ トァスポリン cDNA (GenBank登録番号: AF316824) もしくはそのァレ ノレ変異体または他の温血動物 (例えば、 マウス, ラッ ト, モノレモッ ト, ハムス ター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プタ, ゥシ, ゥマ, トリ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジーなど) におけるそのオルソログ (ortholog) 等である。
ァスポリンの部分ペプチドをコードする DNAは、 配列番号: 4で表されるアミ ノ酸配列中アミノ酸番号 1〜347で示されるアミノ酸配列の一部と同一もしくは 実質的に同一のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むものであればいかなる ものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 上記した細胞 '組織由来の cDNA、 合成 DNAのいずれでもよい。
具体的には、 該部分ぺプチドをコ一ドする DNAとしては、 例えば、
(1) 配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列 を含む DNAの部分塩基配列、 または
(2) 配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 115〜1155で示される塩基配列 を含む DNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有 し、 且つ該 DNAにコードされるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的に同質の 活性 (例: 軟骨細胞分化阻害活性など) を有するペプチドをコードする DNAなど が用いられる。
配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 115〜 1155で示される塩基配列を 含む DNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダィズできる、 部分べプチ ドをコードする DNAとしては、 例えば、 該塩基配列中の対応する部分塩基配列と 約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、 特に好ましくは 約 90%以上の相同性を有する塩基配列を含む DNAなどが用いられる。
ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAは、 該タンパク質または ぺプチドをコ一ドする塩基配列の一部分を含む合成 DNAプライマーを用いて PCR 法によって増幅するか、 または適当な発現ベクターに組み込んだ DNAを、 ァスポ リンの一部あるいは全領域をコードする DNA断片もしくは合成 DNAを標識したも のとハイプリダイゼーションさせることによってクローニングすることができる。 ハイプリダイゼーシヨンは、 例えば、 Molecular Cloning (前述) に記載 の方法などに従って行うことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場 合、 ハイプリダイゼーシヨンは、 該ライブラリーに添付された使用説明書に記載 の方法に従って行うことができる。
DNAの塩基配列は、 公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (宝酒 造 (株))、 Mutan™- K (宝酒造 (株)) 等を用いて、 ODA- LAPCR法、 Gapped duplex法、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って変換するこ とができる。
クローン化された DNAは、 目的によりそのまま、 または所望により制限酵素で 消化するか、 リンカ一を付加した後に、 使用することができる。 該 DNAはその 5' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コ ドンとしての TM、 TGAまたは TAGを有していてもよい。 これらの翻訳開始コドン
や翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNAアダプターを用いて付加することができる。 上記のァスポリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする DNAを含む発現べクタ 一で宿主を形質転換し、 得られる形質転換体を培養することによって、 該タンパ ク質またはべプチドを製造することができる。
ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAを含む発現ベクターは、 例えば、 ァスポリンをコードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 該 DNA 断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造す ることができる。
発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミ ド (例: pBR322, pBR325, pUC12, pUC13)、 枯草菌由来のプラスミド (例: pUB110, pTP5, PC194)、 酵母由 来プラスミ ド (例: pSH19, pSH15)、 λファージなどのバクテリオファージ、 レ トロウイ/レス, ワクシニアゥイノレス, バキュロウイノレスなどの動物ゥイノレス、 pAl-11, pXTl, pRc/CMV, pRc/RSV, pcDNAI/Neoなどが用いられる。
プロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモー ターであればいかなるものでもよい。
例えば、 宿主が動物細胞である場合、 SR aプロモーター, SV40プロモーター, LTRプロモーター, CMV (サイ トメガロウィルス) プロモーター, HSV- tkプロモ 一ターなどが用いられる。 なかでも、 CMVプロモーター, SR o;プロモーターなど が好ましい。
宿主がェシエリヒア属菌である場合、 trpプロモーター, lacプロモーター, recAプロモーター, PLプロモーター, lppプロモーター, T7プロモーターなど が好ましい。
宿主がバチルス属菌である場合、 SP01プロモーター, SP02プロモータ , penPプロモーターなどが好ましい。
宿主が酵母である場合、 PH05プロモーター, PGKプロモーター, GAPプロモー ター, ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合、 ポリヘドリンプロモーター, P10プロモーターな
どが好ましい。
発現ベクターとしては、 上記の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシン グシグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (SV40ori) などを含有しているものを用いることができる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒ ドロ葉酸還元酵素 hfi 遺伝子 [メソトレキセート (MTX) 耐性]、 アン ピシリン耐性遺伝子 (Awp 、 ネオマイシン耐性遺伝子 、Ne(f, G418耐性) 等が 挙げられる。 特に、 o½ _r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用い、 dhfr 遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培 地によって選択することもできる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル (もしくはプレブ口) 配列をコ 一ドする塩基配列を、 ァスポリンまたはその部分ぺプチドをコードする DNAの 5' 末端側に付加 [またはネイティブなシグナルコドン (例: 配列番号: 3で表 される塩基配列中塩基番号 19〜60で示される塩基配列) もしくはプレブ口コド ン (例: 配列番号: 3で表される塩基配列中塩基番号 19〜114で示される塩基配 列) と置換] してもよい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合、 PhoA ·シグナ ル配列, OmpA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合、 α -アミ ラーゼ■シグナル配列, サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母であ る場合、 MF a ·シグナル (プレブ口) 配列, SUC2 ·シグナル配列などが、 宿主 が動物細胞である場合、 インシュリン 'シグナル (プレブ口) 配列, ひ-インタ 一フエロン . シグナル配列, 抗体分子 · シグナル配列などがそれぞれ用いられ る。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌, バチルス属菌, 酵母, 昆虫細胞, 昆虫, 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌としては、 例えば、 Escherichia coli K12 · DH1 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60: 160 (1968) ], JM103 [Nucleic Acids Res. , 9: 309 (1981) ], JA221 [/. Mol. Biol. , 120: 517 (1978) ] , HB101 [/. Mol. Biol. , 41: 459 (1969) ], C600 [Genetics, 39: 440 (1954) ] などが用いられ
る。
バチルス属菌としては、 例えば、 Bacillus subtilis A [Gene, 24: 255 (1983) ], 207-21 [J. Biochem. , 95: 87 (1984) ] などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 arawダ ces cerevisiae AH22, ΑΗ22Γ, NA87-11A, DKD-5D, 20B_12、 Schizosaccharomyces pombe NCYC1913, NCYC2036、 Pichia pastoris KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが AcNPVの場合、 夜盗蛾の幼虫由来株化 細胞 Spodoptera frugiperda cell ; Sf細胞)、 Trichoplusia /?の中腸由来の MG1細胞、 Trichoplusia /^の卵由来の High Five™細月包、 Mamestra brassicae^ 来の細胞、 Estigmena aorea由来の細胞などが用いられる。 ウィルス力 SBm PVの 場合、 昆虫細胞としては、 蚕由来株化細胞 0¾¾ ^ダ Tffor N細胞; Bm 細胞) な どが用いられる。 該 Sf細胞としては、 例えば、 Sf9細胞 (ATCC CRL1711)、 Sf21 細胞 (以上、 Vaughn, J. L. et al. , In Vivo, 13: 213-217 (1977) )などが用い られる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる [Maeda et al. , Nature, 315: 592 (1985) ]。
動物細胞としては、 例えば、 サル由来の COS- 7, Vero細胞、 チャイニーズハム スター由来の CH0, dhfr遺伝子欠損 CH0 (CH0 (dhfr ) ) 細胞、 マウス由来の L, AtT-20, ミエローマ細胞、 ラット由来の GH3細胞、 ヒ ト由来の FL, HEK293, HepG2, HeLa細胞などが用いられる。
形質転換は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することができる。 ェシエリ ヒア属菌は、 例えば、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69: 2110 (1972) や Gene, 17: 107 (1982) などに記載の方法に従って形質転換すること ができる。
バチルス属菌は、 例えば、 Mol. Gen. Genet. , 168: 111 (1979) などに記載 の方法に従って形質転換することができる。
酵母は、 例えば、 Meth. Enzymol. , 194: 182-187 (1991) , Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 75: 1929 (1978) などに記載の方法に従って形質転換することがで さる。
昆虫細胞および昆虫は、 例えば、 Bio technology (Ν. Υ· ) , 6: 47-55 (1988) などに記載の方法に従って形質転換することができる。
動物細胞は、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロトコール, 263 - 267 (1995) (秀潤社発行), Virology, 52· 456 (1973) に記載の方法に従って形 質転換することができる。
形質転換体の培養は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することが できる。
例えば、 宿主がェシエリヒア属菌またはバチルス属菌である形質転換体を培養 する場合、 培養に使用される培地としては液体培地が好ましい。 また、 培地は、 形質転換体の生育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物などを含有することが好まし い。 ここで、 炭素源としては、 例えば、 グルコース, デキストリン, 可溶性澱 粉, ショ糖などが、 窒素源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類, 硝酸塩類, コーンスチープ ' リカー, ペプトン, カゼイン, 肉エキス, 大豆粕, バレイシ ョ抽出液などの無機または有機物質が、 無機物としては、 例えば、 塩化カルシゥ ム, リン酸二水素ナトリウム, 塩化マグネシウムなどがそれぞれ挙げられる。 また、 培地には、 酵母エキス, ビタミン類, 生長促進因子などを添加してもよ い。 培地の pHは、 好ましくは約 5〜8である。
宿主がェシェリヒア属菌である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例 えば、 グルコース, カザミノ酸を含む M9培地 [Mil ler, J. Exp. Mol. Genet. , 431-433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972] が好ましい。 必要 により、 プロモーターを効率よく働かせるために、 例えば、 3 ;3 -インドリルァ クリル酸のような薬剤を培地に添加してもよい。
宿主がェシエリヒア属菌である形質転換体の培養は、 通常約 15〜43°Cで、 約 3 〜24時間行われる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、 通常約 30〜40°Cで、 約 6〜24
時間行われる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が酵母である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 Burkholder最小培地 [Bostian, K. L. et al. , Proc. Na tl. Acad. Sci. USA, 77: 4505 ( 1980) ] や 0. 5%カザミノ酸を含有する SD培地 [Bitter, G. A. et al., Proc. Na tl. Acad. Sci. USA, 81: 5330 (1984) ] などが挙げられる。 培地の pH は、 好ましくは約 5〜8である。 培養は、 通常約 20°C〜35°Cで、 約 24〜72時間行 われる。 必要に応じて、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば Grace' s Insect Medium [Grace, T. C. C. , Na ture, 195: 788 (1962) ] に非働化した 10%ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地 の PHは、 好ましくは約 6. 2〜6. 4である。 培養は、 通常約 27°Cで、 約 3〜5日間行 われる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 約
5〜20%の胎仔ゥシ血清を含む MEM培地 122: 501 ( 1952) ], DMEM培地 [ Virology, 8: 396 ( 1959) ] , RPMI 1640培地 Am. Med. Assoc. , 199: 519
(1967) ] , 199培地 [JPTOC. Soc. Biol. Med. , 73: 1 ( 1950) ] などが用いられる。 培地の pHは、 好ましくは約 6〜8である。 培養は、 通常約 30°C ~40°Cで、 約 15〜
60時間行われる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内または細胞外にァスポリン類を生成さ せることができる。
前記形質転換体を培養して得られる培養物から、 ァスポリン類を自体公知の方 法に従つて分離精製することができる。
例えば、 ァスポリン類を培養菌体あるいは細胞から抽出する場合、 培養物から 公知の方法で集めた菌体あるいは細胞を適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リゾチ ームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊した後、 遠心 分離やろ過により可溶性タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。 該緩衝液は、 尿素や塩酸グァ-ジンなどのタンパク質変性剤や、 トリ トン X-
100™などの界面活性剤を含んでいてもよい。
このようにして得られた可溶性画分中に含まれるァスポリン類の単離精製は、 自体公知の方法に従って行うことができる。 このような方法としては、 塩析ゃ溶 媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、 透析法, 限外ろ過法, ゲルろ過法, お よび S D S -ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利 用する方法、 イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァ フィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速 液体ク口マトグラフィ一などの疎水性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法な どの等電点の差を利用する方法などが用いられる。 これらの方法は、 適宜組み合 わせることもできる。
かくして得られるァスポリンまたはその部分ペプチドが遊離体である場合には、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によつて該遊離体を塩に変換すること ができ、 該タンパク質またはペプチドが塩として得られた場合には、 自体公知の 方法あるいはそれに準じる方法により該塩を遊離体または他の塩に変換すること ができる。
なお、 形質転換体が産生するァスポリン類を、 精製前または精製後に適当なタ ンパク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリぺプチ ドを部分的に除去することもできる。 該タンパク質修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン, キモトリブシン, アルギニルエンドべプチダーゼ, プロテインキ ナーゼ, グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして得られるァスポリン類の存在は、 特異的な抗体を用いたェンザィムィ ムノアツセィゃウェスタンプロッティングなどにより確認することができる。 さらに、 ァスポリンまたはその部分ペプチドは、 それをコードする DNAに対応 する RNAを铸型として、 ゥサギ網状赤血球ライセート、 コムギ胚芽ライセート、 大腸菌ライセートなどからなる無細胞タンパク質翻訳系を用いてインビトロ翻訳 することによつても合成することができる。 あるいは、 さらに RNAポリメラーゼ を含む無細胞転写/翻訳系を用いて、 ァスポリンまたはその部分ペプチドをコー
ドする DNAを鎵型としても合成することができる。 無細胞タンパク質 (転写/) 翻訳系は市販のものを用いることもできるし、 それ自体既知の方法、 具体的には、 大腸菌抽出液は、 Pratt J. M. et al. , " Transcription and Tranlation " , Hames B. D. and Higgins S. J. eds, IRL Press, Oxford 179—209 (1984) に記 載の方法等に準じて調製することもできる。 市販の細胞ライセートとしては、 大 腸菌由来のものは E. col i S30 extract system (Promega社製) や RTS 500 Rapid Tranlation System (Roche社製) 等が挙げられ、 ゥサギ網状赤血球由来のもの は Rabbit Reticulocyte Lysate System (Promega社製) 等、 さらにコムギ胚芽 由来のものは PR0TEI0S™ (T0Y0B0社製) 等が挙げられる。 このうちコムギ胚芽ラ イセートを用いたものが好適である。 コムギ胚芽ライセートの作製法としては、 例えば Johnston F. B. et al., Nature, 179: 160-161 (1957) あるいは Erickson A. H. et al. , Meth. Enzymol. , 96: 38-50 (1996) 等に記載の方法を 用いることができる。
タンパク質合成のためのシステムまたは装置としては、 バッチ法 (Pratt, J. M. et al. (1984) 前述) や、 アミノ酸、 エネルギー源等を連続的に反応系に 供給する連続式無細胞タンパク質合成システム (Spirin A. S. et al., Science, 242: 1162-1164 (1988) )、 透析法 (Kigawa et al. , 第 21回 本分子生物学会, WID6) 、 あ るいは重層法 (PR0TEI0S™ Wheat germ cell-free protein synthesis core kit取扱説明書: T0Y0B0社製) 等が挙げられる。 さらには、 合 成反応系に、 錄型の RNA、 アミノ酸、 エネルギー源等を必要時に供給し、 合成物 や分解物を必要時に排出する方法 (特開 2000-333673) 等を用いることができる。
「配列番号: 4で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ 酸配列を含むタンパク質をコードする塩基配列またはその一部」 、 あるいは 「該 塩基配列と相補的な塩基配列またはその一部」 を含む核酸とは、 前述の (成熟) ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸だけではなく、 プレプロ配 列を含む前駆ァスポリンポリぺプチドまたはその部分べプチドをコ一ドする核酸、 さらにはコドンの読み枠の合わない部分塩基配列をも含む意味で用いられる。 該
核酸は DNAであっても RNAであってもよく、 あるいは DNA/RNAキメラであってもよ い。 好ましくは DNAが挙げられる。 また、 該核酸は二本鎖であっても、 一本鎖で あってもよい。 二本鎖の場合は、 二本鎖 DNA、 二本鎖 RNAまたは DNA : RNAのハイプ リツドでもよい。
目的核酸の標的領域と相補的な塩基配列を含む核酸、 即ち、 目的核酸とハイプ リダィズすることができる核酸は、 該目的核酸に対して 「アンチセンス」 である ということができる。 一方、 目的核酸の標的領域と相同性を有する塩基配列を含 む核酸は、 該目的核酸に対して 「センス」 であるということができる。 ここで 「相同性を有する」 または 「相補的である」 とは、 塩基配列間で約 70%以上、 好 ましくは約 80%以上、 より好ましくは約 90%以上、 最も好ましくは約 95%以上の同 一性または相補性を有することをいう。
ァスポリンをコードする塩基配列と相補的な塩基配列またはその一部を含む核 酸 (以下、 「アンチセンス ASPN」 ともいう) は、 クローン化した、 あるいは決 定されたァスポリンをコードする核酸の塩基配列情報に基づき設計し、 合成しう る。 そうした核酸は、 ァスポリンをコードする遺伝子の複製または発現を阻害す ることができる。 即ち、 アンチセンス ASPNは、 ァスポリンをコードする遺伝子 から転写される RNAとハイブリダィズすることができ、 mRNAの合成 (プロセッシ ング) または機能 (タンパク質への翻訳) を阻害することができる。
アンチセンス ASPNの標的領域は、 アンチセンス核酸がハイブリダイズするこ とにより、 結果としてァスポリンタンパク質への翻訳が阻害されるものであれば その長さに特に制限はなく、 該タンパク質をコードする mRNAの全配列であって も部分配列であってもよく、 短いもので約 15塩基程度、 長いもので mRNAまたは 初期転写産物の全配列が挙げられる。 合成の容易さや抗原性の問題を考慮すれば、 約 15〜約 30塩基からなるオリゴヌクレオチドが好ましいがそれに限定されない。 具体的には、 例えば、 ァスポリンをコードする核酸の5, 端ヘアピンループ, 5, 端 6-ベースペア ' リ ピート, 5, 端非翻訳領域, 翻訳開始コドン, タンパク 質コード領域, 翻訳終止コ ドン, 3' 端非翻訳領域, 3' 端パリンドローム領域,
および 3, 端ヘアピンループが標的領域として選択しうるが、 ァスポリンをコー ドする遺伝子内の如何なる領域も標的として選択しうる。 例えば、 該遺伝子のィ ントロン部分を標的領域とすることもまた好ましい。
さらに、 アンチセンス ASPNは、 ァスポリンをコードする raRNAもしくは初期転 写産物とハイブリダィズしてタンパク質への翻訳を阻害するだけでなく、 ニ本鎮 DNAであるァスポリンをコ一ドする遺伝子と結合して三重鎖 (トリプレックス) を形成し、 RNAの転写を阻害し得るものであってもよい。
アンチセンス核酸は、 2-デォキシ- D-リボースを含有しているデォキシリボヌ クレオチド、 D-リポースを含有しているリボヌクレオチド、 プリンまたはピリ ミジン塩基の N-グリコシドであるその他のタイプのヌクレオチド、 あるいは非 ヌクレオチド骨格を含むその他のポリマー (例えば、 市販のタンパク質核酸お よび合成配列特異的な核酸ポリマー) または特殊な結合を含むその他のポリマ 一 (但し、 該ポリマーは DNAや RNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩 基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含む) などが挙げられる。 それ らは、 2本鎖 DNA, 1本鎖 DNA, 2本鎖 RNA, 1本鎖 RNA, さらに DNA : RNAハイブリッド であることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌク レオチド)、 さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた 標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然 のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネート, ホスホトリエステル, ホス ホルアミデート, 力ルバメートなど) を持つもの、 電荷を有する結合または硫 黄含有結合 (例えば、 ホスホロチォエート, ホスホロジチォエートなど) を持 つもの、 例えばタンパク質 (ヌクレアーゼ, ヌクレアーゼ 'インヒビター, ト キシン, 抗体, シグナルペプチド, ポリ- L -リジンなど) や糖 (例えば、 モノサ ッカライドなど). などの側鎖基を有しているもの、 インターカレント化合物 (例えば、 アタリジン, プソラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例えば、 金属, 放射活性をもつ金属, ホウ素, 酸化性の金属など) を含有するもの、 ァ
ルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの (例えば、 αァノマー 型の核酸など) であってもよい。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン塩基を含むのみでなく、 修飾され たその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいてもよい。 こうした修飾物 は、 メチル化されたプリンおよびピリミジン、 アシノレ化されたプリンおよびピリ ミジン、 あるいはその他の複素環を含むものであってよい。 修飾されたヌクレオ チドおよび修飾されたヌクレオチドはまた、 糖部分が修飾されていてよく、 例え ば、 1個以上の水酸基がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されていたり、 ある いはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
好ましくは、 アンチセンス核酸は、 修飾されていてもよい RNAまたは DNAであ る。 修飾された核酸 (RNA, DNA) の具体例としては、 核酸の硫黄誘導体ゃチォ ホスフエ一ト誘導体、 そしてポリヌクレオシドアミ ドゃオリゴヌクレオシドアミ ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、 それに限定されるものではない。 アン チセンス ASPNは次のような方針で好ましく設計されうる。 すなわち、 細胞内で のアンチセンス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性を より高める、 標的とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、 そし て、 もし毒性があるなら、 アンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。 こ うした修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば、 J. Kawakami et al. , Pharm Tech Japan, Vol. 8, 247 (1992), 同 Vol. 8, 395 (1992) ; S. T. Crooke et al. ed., Ant i sense Research and Applications, CRC Press (1993) などに開示されている。
アンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結合を含有 していてもよく、 リボソーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与された り、 遺伝子治療において適用されたり、 付加された形態で与えられることができ うる。 こうして付加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を中和 するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との相互作用を高め たり、 核酸の取込みを増大せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド, コレ
ステロールなど) といった疎水性のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂 質としては、 コレステロールやその誘導体 (例えば、 コレステリルクロ口ホル メート, コール酸など) が挙げられる。 こうしたものは、 核酸の 3 ' 端あるいは 5' 端に付着させることが き、 塩基、 糖、 分子内ヌクレオシド結合を介して付 着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3' 端あるいは 5' 端に 特異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレアーゼ、 RNaseなどのヌク レアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こうしたキャップ用の 基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレンダリコールなどのグリコ ールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、 それに 限定されるものではない。
ァスポリ ンをコードする mRNAもしくは初期転写産物を、 コード領域の内部 (初期転写産物の場合はィントロン部分を含む) で特異的に切断し得るリポザィ ムもまた、 アンチセンス ASPNに包含され得る。 「リポザィム」 とは核酸を切断 する酵素活性を有する RNAをいうが、 最近では、 当該酵素活性部位の塩基配列を 含むオリゴ DNAも同様に核酸切断活性を有することが明らかになっているので、 本明細書では、 配列特異的な核酸切断活性を有する限り、 DNAをも包含する概念 として用いるものとする。 リボザィムとして最も汎用性の高いものとしては、 ゥ ィロイドゃウィルソィド等の感染性 RNAに見られるセルフスプライシング RNAが あり、 ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。 ハンマーヘッド型は約 40塩基程度で酵素活性を発揮し、 ハンマーヘッド構造をとる部分に隣接する両 端の数塩基ずつ (合わせて約 10塩基程度) を raRNAの所 の切断部位と相補的な 配列にすることにより、 標的 mRNAのみを特異的に切断することが可能である。 このタイプのリポザィムは、 RNAのみを基質とするので、 ゲノム DNAを攻撃する ことがないというさらなる利点を有する。 ァスポリン mRNAが自身で二本鎖構造 をとる場合には、 RNAヘリカーゼと特異的に結合し得るウィルス核酸由来の RNA モチーフを連結したハイプリッドリポザィムを用いることにより、 標的配列を一 本鎖にすることができる [Z^roc. Natl. Acad. Sci. USA, (10) : 5572-5577
(2001) ]。 さらに、 リボザィムを、 それをコードする DNAを含む発現ベクターの 形態で使用する場合には、 転写産物の細胞質への移行を促進するために、 tRNA を改変した配列をさらに連結したハイブリツドリポザィムとすることもできる [Nucleic Acids Res. , 29(13): 2780—2788 (2001) ]。
ァスポリンをコードする mRNAもしくは初期転写産物のコード領域内の部分配 列 (初期転写産物の場合はイントロン部分を含む) に相補的な塩基配列を含む 二本鎖オリゴ RNA (siRNA) もまた、 アンチセンス ASPNに包含され得る。 短い二 本鎖 RNAを細胞内に導入するとその RNAの一方の鎖に相補的な mRNAが分解される、 いわゆる RNA干渉 (RNAi) と呼ばれる現象は、 以前から線虫、 昆虫、 植物等で知 られていたが、 この現象が哺乳動物細胞でも起こることが確認されて以来 [Nature, 411 (6836) 494-498 (2001) ]、 リポザィムの代替技術として広く利用 されている。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリポザィムは、 ァスポリンを コードする cDNA配列もしくはゲノム DNA配列情報に基づいて mRNAもしくは初期転 写産物の標的領域を決定し、 市販の DNA/RNA自動合成機 (アプライド .バイオシ ステムズ社, ベックマン社等) を用いて、 これに相捕的な配列を合成すること により調製することができる。 RNAi活性を有する siRNAは、 センス鎖およびアン チセンス鎖を DNA/RNA自動合成機でそれぞれ合成し、 適当なアニーリング緩衝液 中で、 例えば、 約 90〜約 95°Cで約 1分程度変性させた後、 約 30〜約 70°Cで約 1〜 約 8時間アニーリングさせることにより調製することができる。 また、 相補的な オリゴヌクレオチド鎖を交互にオーバーラップするように合成して、 これらをァ ニーリングさせた後リガーゼでライゲーションすることにより、 より長い二本鎖 ポリヌクレオチドを調製することもできる。
アンチセンス ASPNの遺伝子発現阻害活性は、 ァスポリンをコードする核酸を 含む形質転換体、 生体内や生体外のァスポリンをコードする遺伝子発現系または ァスポリンの生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。
本発明はまた、 ァスポリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対する抗
体 (以下、 「抗 ASPN抗体」 と略記する場合がある) を提供する。 抗 ASPN抗体は、 ァスポリンもしくはその部分べプチドまたはその塩に対して特異的親和性を有す るものであれば、 モノクローナノレ抗体であってもポリクローナノレ抗体であっても よい。 該抗体は、 ァスポリンもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (ァスポ リン類) を抗原として用い、 自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製 造することができる。
[モノクローナル抗体の作製]
(a) モノクローナル抗体産生細胞の作製
ァスポリンもしくはその部分ペプチドまたはその塩を、 哺乳動物に対して、 投 与により抗体産生が可能な部位に、 それ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与 する。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不 完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投与は通常 2〜6週毎に 1回ずつ、 計 2〜10回程度行われる。 用いられる哺乳動物としては、 例えば、 サル, ゥサギ, ィヌ, モルモッ ト, マウス, ラット, ヒッジ, ャギ等が挙げられるが、 マウス およぴラットが好ましく用いられる。
例えば、 抗原で免疫された哺乳動物、 例えばマウスから抗体価の認められた個 体を選択し、 最終免疫の 2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、 それらに含 まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリ ドーマを調製することができる。 抗血清中の抗 体価の測定は、 例えば、 後記の標識化ァスポリンと抗血清とを反応させた後、 抗 体に結合した標識剤の活性を測定することにより行うことができる。 融合操作は、 既知の方法、 例えば、 ケーラーとミルスタインの方法 Nature, 256· 495 (1975) ] に従い実施することができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリ チレングリコール (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS - 1, P3U1, SP2/0, AP - 1などの哺乳動物の骨 髄腫細胞が挙げられるが、 P3U1が好ましく用いられる。 用いられる抗体産生細
胞( 臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は、 1 : 1〜20: 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG1000〜PEG6000) が 10〜80°/。程度の濃度で添加され、 20〜 40°C、 好ましくは 30〜37°Cで 1〜10分間インキュベートすることにより効率よく 細胞融合を実施できる。
モノクローナノレ抗体産生ハイプリ ドーマは、 例えば、 抗原を直接あるいは担体 とともに吸着させた固相 (例: マイクロプレート) にハイプリ ドーマ培養上清 を添加し、 次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体 (細胞 融合に用いられる細胞がマウスの場合、 抗マウス免疫グロプリン抗体が用いられ る) またはプロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する 方法、 抗免疫グロブリン抗体またはプロテイン Aを吸着させた固相にハイプリ ド 一マ培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したァスポリンを加え、 固 相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などにより、 スクリ一ユングす ることができる。
モノクローナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行 うことができる。 モノクローナル抗体の選別は、 通常 HAT (ヒポキサンチン, ァ ミノプテリン, チミジン) を添加した動物細胞用培地で行うことができる。 モ ノクローナル抗体の選別おょぴ育種用培地は、 ハイブリ ドーマが生育できるもの ならばどのような培地を用いてもよい。 このような培地としては、 例えば、 1〜 20%、 好ましくは 10〜20%の胎仔ゥシ血清を含む RPMI 1640培地、 1〜10%の胎仔ゥ シ血清を含む GIT培地 (和光純薬工業 (株)) あるいはハイプリ ドーマ培養用無血 清培地 (SFM- 101, 日水製薬 (株)) などを用いることができる。 培養温度は、 通 常 20〜40°C、 好ましくは約 37°Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週間、 好まし くは 1週間〜 2週間である。 培養は、 通常 5%炭酸ガス下で行うことができる。 ハ イブリドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして 測定できる。
このようにして得られたモノクローナル抗体は、 自体公知の方法、 例えば、 免 疫グロブリンの分離精製法 [例: 塩析法, アルコール沈殿法, 等電点沈殿法,
電気泳動法, イオン交換体 (例: DEAE) による吸脱着法, 超遠心法, ゲルろ過 法, 抗原結合固相あるいはプロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸着剤 により抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法] に従つ て分離精製することができる。
[ポリクローナル抗体の作製]
ァスポリンもしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対するポリクローナル抗 体は、 自体公知の方法に従って製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (ァ スポリン類) 自体、 あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体を作製し、 上記のモノクローナル抗体の製造法と同様にして温血動物に免疫を行い、 該免疫 動物から抗 ASPN抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行うことにより製造 することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複 合体に関し、 キヤリァータンパク質の種類およびキヤリァ一とハプテンとの混合 比は、 キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれ ば、 どのようなものをどのような比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清 アルブミンゃゥシサイログロプリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1に対 し、 約 0. 1〜20、 好ましくは約 1〜5の割合で力プリングさせる方法が用いられる。 また、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤、 例えばグルタ ルアルデヒ ドやカルポジイミ ド, マレイミ ド活性エステル, チオール基, ジチ オビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 プロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜10回程度行われる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、 腹水、 母乳 など、 鳥類の場合は血液、 卵などから採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナ ル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行うことができ る。
ァスポリンの部分ペプチドまたはその塩を抗原として用いる場合、 そのァスポ リン上の位置は特に限定されないが、 例えば、 各種温血動物間でよく保存された 領域の部分アミノ酸配列を含むポリぺプチドもしくはオリゴぺプチドまたはその 塩が挙げられる。
上記した(i) ァスポリン類、 (ii) ァスポリンまたはその部分ペプチドをコー ドする核酸 (好ましくは、 DNA)、 (iii) 抗 ASPN抗体、 (iv)アンチセンス ASPNは、 例えば以下の用途を有する。
後記実施例において示される通り、 ァスポリン遺伝子は変形性関節症 (OA) 軟骨で発現が上昇し、 また、 ァスポリンは、 デコリンなどの他の SLRPファミリ 一に属するプロテオダリカンと競合的に軟骨細胞分化の key regulatorである TGF- ]3に結合し、 TGF- J3による軟骨細胞分化 (分化マーカー遺伝子の発現) の 誘導を阻害する。 更に、 ァスポリンは TGF- ]3特異的なシグナルを抑制し、 軟骨 細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖を阻害等する。 これらの事実は、 ァスポリ ンの発現または活性を調節 (促進または阻害) し得る物質が、 骨■関節疾患、 特に軟骨基質の変性■産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化異常、 あ るいは軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖異常が関連する疾患の予防 -治 療に有効であることを示すものである。 ここで 「関連する疾患」 とは、 それに起 因するか、 あるいは結果としてそのような状態を生じる疾患をいう。
(1) 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能 ·軟骨細胞増殖の異常亢進が関連する 疾患の予防 ·治療剤
上記のように、 ァスポリンは軟骨基質遺伝子の発現を低下させ、 軟骨前駆細胞 から軟骨細胞への分化を抑制する機能を有し、 また軟骨細胞 (または軟骨前駆 細胞) の増殖を抑制する機能を有するので、 生体内においてァスポリンまたは それをコードする核酸 (例: 遺伝子, mRNA等) に異常があったり、 これを欠損
している場合、 あるいはその発現量が異常に減少している場合、 さらには、 他の 何らかの要因で軟骨の過形成が起こり、 また軟骨基質の産生能が異常亢進してい る場合、 あるいは軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化が異常亢進している場合、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖が異常亢進している場合に、 a) ァスポ リンもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (ァスポリン類) を患者に投与し てァスポリンの量を補充したり、 b) (i) ァスポリンまたはその部分ペプチドを コードする DMを患者に投与して標的細胞内で発現させることによって、 あるい は (ii) 単離した標的細胞にァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする DNAを導入し発現させた後に、 該細胞を該患者に移植することなどによって、 患 者の体内におけるァスポリンの量を増加させ、 軟骨基質遺伝子の発現および/ま たは軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化および/または軟骨細胞 (または軟骨前 駆細胞) 増殖の異常亢進を抑制し、 軟骨基質の過剰などを基盤とする疾患を予 防 ·治療することができる。
したがって、 a) ァスポリン類、 または b) ァスポリンまたはその部分べプチ ドをコードする核酸を、 上記のような疾患、 例えば先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエ一 ル病, マフツチ症候群等)], 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患の予防 - 治療剤として用いることができる。
.ァスポリン類を上記予防 ·治療剤として使用する場合は、 常套手段に従って製 剤化することができる。
一方、 ァスポリンまたはその部分べプチドをコ一ドする核酸を上記予防 ·治療 剤として使用する場合は、 該核酸を単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデ ノウィルスベクター、 アデノウィルスァソシエーテツドウィルスベクターなどの 適当なベクターに挿入した後、 常套手段に従って製剤化することができる。 該核 酸は、 そのままで、 あるいは摂取促進のための捕助剤とともに、 遺伝子銃やハイ ドロゲルカテーテルのようなカテーテルによつて投与することができる。
例えば、 a) ァスポリン類、 あるいは b)ァスポリンまたはその部分ペプチド
をコードする核酸は、 必要に応じて糖衣を施した錠剤、 カプセル剤、 エリキシル 剤、 マイクロカプセル剤などとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ以外の薬 学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口 的に使用できる。 例えば、 a) ァスポリン類、 あるいは b)ァスポリンまたはそ の部分ペプチドをコードする核酸を、 生理学的に認められる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤などとともに、 一般に認められた製 剤実施に要求される単位用量形態で混和することによつて製造することができる。 これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるように する
錠剤、 カプセノレ剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン, コーンスターチ, トラガント, アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セ ルロースのような賦形剤、 コーンスターチ, ゼラチン, アルギン酸などのよう な膨化剤、 ステアリン酸マグネシゥムのような潤滑剤、 ショ糖, 乳糖またはサ ッカリンのような甘味剤、 ペパーミント, ァカモノ油またはチェリーのような 香味剤などが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記タイプ の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無 菌組成物は注射用水のようなべヒクル中の活性物質、 胡麻油, 椰子油などのよ うな天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って 処方することができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水, ブド ゥ糖やその他の補助薬を含む等張液 (例えば、 D-ソルビトール, D-マンュトー ル, 塩化ナトリウムなど) などが用いられ、 適当な溶解捕助剤、 例えば、 アル コール (例: エタノール)、 ポリアルコール (例: プロピレングリコール, ポリ エチレングリコール)、 非イオン性界面活性剤 (例: ポリソルベート 80™, HC0- 50) などと併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油, 大豆油などが 用いられ、 溶解補助剤である安息香酸ベンジル, ベンジルアルコールなどと併 用してもよい。
また、 上記予防 ·治療剤は、 例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液, 酢
酸ナトリ'ゥム緩衝液)、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム, 塩酸プロ力 ィンなど)、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン, ポリエチレングリコールな ど)、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール, フエノールなど)、 酸化防止剤な どと配合してもよい。 調製'された注射液は通常、 適当なアンプルに充填される。 このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトや他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
ァスポリン類の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差 異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好まし くは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対 象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 rag程度を投 与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与 することができる。
ァスポリンまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1~ 100 rag、 好ましくは約 1. 0〜50 rag、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投 与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによ つても異なるが、 例えば注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgと して) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程 度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物 の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2) 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖
能低下が関連する疾患の予防 ·治療剤
上記のように、 ァスポリンは軟骨基質遺伝子の発現を低下させ、 軟骨前駆細胞 から軟骨細胞への分化を抑制する機能を有し、 また軟骨細胞 (または軟骨前駆 細胞) の増殖を抑制する機能を有するので、 生体内においてァスポリンまたは それをコードする核酸 (例: 遺伝子, mRNA等) に異常がある (高活性変異体の 出現) 場合、 あるいはその発現量が異常に増加している場合、 さらには、 他の 何らかの要因で軟骨基質の変性■消失が起こり、 またその産生能が低下している 場合、 あるいは軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化が抑制されている場合、 軟骨 細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖が抑制されている場合に、 a) 抗 ASPN抗体を 患者に投与してァスポリンを不活性化 (中和) したり、 !)) (i) アンチセンス ASPNを患者に投与して標的細胞内に導入する (および発現させる) ことによつ て、 あるいは (ii) 単離した標的細胞にアンチセンス ASPNを導入し発現させた 後に、 該細胞を該患者に移植することなどによって、 患者の体内におけるァスポ リンの量を減少させ、 軟骨基質遺伝子の発現および/または軟骨前駆細胞から軟 骨細胞への分化および/または軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖を促進し、 軟骨基質の変性や消失を基盤とする疾患を予防 ·治療することができる。
したがって、 a) 抗 ASPN抗体、 または b) アンチセンス ASPNを、 上記のような 疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形 成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] など、 好ましくは変形関節症 (例: 股 関節 0A, 膝関節 OA)の予防■治療剤として使用することができる。
抗 ASPN抗体を上記予防■治療剤として使用する場合、 前記したァスポリン類 を含有する医薬と同様にして製剤化することができる。 また、 アンチセンス ASPNを上記予防■治療剤として使用する場合、 前記したァスポリンまたはその 部分ぺプチドをコ一ドする核酸を含有する医薬と同様にして製剤化することがで
さる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトや他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
抗 ASPN抗体の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差 異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとし て) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 tng、 より好 ましくは約 1. 0〜20 ragである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投 与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の形 では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき 約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算し た量を投与することができる。
アンチセンス ASPNの投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などに より差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 rag, より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与 量は投与対象、 対象 U蔵器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば、 注 射剤の形では通常例えば、 変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日 にっき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たり に換算した量を投与することができる。
(3) ァスポリンと bFGFとの併用剤
また、 後述の実施例にて詳述するように、 ァスポリンは bFGFに結合すること により bFGFの作用を増強じ、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化誘導条件下で の bFGFの軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) 増殖抑制効果や、 分化非誘導条件下
での bFGFの軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) 増殖促進効果を増強する。
したがって、 a) ァスポリン類、 または b) ァスポリンまたはその部分べプチ ドをコードする核酸と、 c) bFGFもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (bFGF 類)、 または d) bFGFまたほその部分ペプチドをコードする核酸とを適量配合し て、 あるいは適量併用して使用することにより、 骨,関節疾患の予防 ·治療剤と することができる。
即ち、 本発明は以下の (I) および (Π) を組み合わせてなる、 骨 ·関節疾患 の予防 ·治療剤を提供する。
(I) a) ァスポリン類、 または b) ァスポリンまたはその部分ペプチドをコード する核酸、 および
(II) c) bFGF類、 または d) bFGFまたはその部分ペプチドをコードする核酸 ここで、 「bFGF」 は、 ヒ トその他の温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハ ムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブタ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チ ンパンジー, トリなど) の bFGFと同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含むタンパク質を意味する。 「実質的に同一のアミノ酸配列」 、 「部分べプチ ド」 の定義は、 ァスポリンにおける定義と同様である。
ァスポリンは bFGFの作用を増強し、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化誘導 条件下での bFGFの軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) 増殖抑制効果を増強する。 従って、 一態様において、 上述の (I) および (Π) を組み合わせてなる、 骨 ' 関節疾患の予防 ·治療剤は、 軟骨基質遺伝子の発現および/または軟骨前駆細胞 力 ら軟骨細胞への分化および/または軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) 増殖の異 常亢進を抑制し、 軟骨基質の過剰などを基盤とする疾患、 例えば先天性骨系統疾 患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥 大, オリエール病, マフツチ症候群等)], 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの 疾患の予防■治療剤として用いることができる。
また、 ァスポリンは bFGFの作用を増強し、 特に軟骨前駆細胞から軟骨細胞へ の分化の非誘導条件において、 bFGFの軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) 増殖促
進効果を増強する。 従って、 別の態様において、 上述の (I) および (Π) を組 み合わせてなる、 骨 ·関節疾患の予防■治療剤は、 軟骨基質遺伝子の発現および /または軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化および/または軟骨細胞 (または軟 骨前駆細胞) の増殖を促進し、 軟骨基質の変性や消失を基盤とする疾患、 例え ば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関 節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下 している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無 形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler 症候群, 偽性軟骨無形成症等) ] などの疾患の予防 ·治療剤として用いることが できる。
上述の (I) と (I I) との併用に際しては、 (I) と (I I) の投与時期は限定さ れず、 (I) と (Π) とを、 投与対象に対し、 同時に投与してもよいし、 時間差 をおいて投与してもよい。 (I) および (Π) の投与量は、 本発明の併用剤にお いて用いられた際に上述の疾患の予防■治療を達成し得る範囲で特に限定されず、 投与対象、 投与ルート、 疾患、 組み合わせ等により適宜選択することができる。 上述の (I) と (Π) の投与形態は、 特に限定されず、 投与時に、 (I) と (I I) とが組み合わされていればよい。 このような投与形態としては、 例えば、
(1) 上述の (I) と (II) とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、
(2) 上述の (I) と (I I) とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与 経路での同時投与、 (3) 上述の (I) と (Π) とを別々に製剤化して得られる 2 種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、 (4) 上述の (I) と (I I) とを別々に製剤化して得られる 2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、 (5) 上述の (I) と (I I) とを別々に製剤化して得られる 2種の製剤の異なる投与経 路での時間差をおいての投与 (例えば、 (Ι)→(Π) の順序での投与、 あるいは 逆の順序での投与) 等が挙げられる。 以下、 これらの投与形態をまとめて、 本 発明の併用剤と略記する。
本発明の併用剤は、 上記 (1) の予防■治療剤と同様に、 薬理学的に許容され
る担体と混合して、 常套手段に従つて製剤化することができる。
本発明の併用剤において、 bFGFまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸を 使用する場合は、 該核酸を単独あるいはレトロウイルスベクター、 アデノウィル スベクター、 アデノウイルスァソシエーテッドウィルスベクターなどの適当なベ クタ一に挿入した後、 常套手段に従って製剤化することができる。 該核酸は、 そ のままで、 あるいは摂取促進のための補助剤とともに、 遺伝子銃やハイド口ゲル カテーテルのようなカテーテルによって投与することができる。
上述の (I) と (Π) とを同時に製剤化して単一の製剤として使用する場合、 本発明の併用剤における (I) の含有量は、 製剤の形態や、 (I) として含まれる ものがァスポリン類か、 ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸な のかによって相違するが、 通常、 製剤全体に対して約 0. 1〜99. 9重量%、 好まし くは約 1〜99重量。/。、 さらに好ましくは約 10〜90重量%程度である。
また、 本発明の併用剤における上述の (Π) の含有量は、 製剤の形態や、 (II) として含まれるもの力 bFGF類か、 bFGFまたはその部分ペプチドをコードす る核酸なのかによって相違するが、 通常、 製剤全体に対して約 0. 1〜99. 9重量。ん 好ましくは約 1〜99重量。/。、 さらに好ましくは約 10〜90重量。/。程度である。
本発明の併用剤において、 上述の (I) および (Π) 以外の成分の含有量は、 製剤の形態によって相違するが、 通常、 製剤全体に対して約 0. 2〜99. 8重量。 /0、 好ましくは約 2〜98重量。/。、 好ましくは約 20〜90重量 %程度である。
本発明の併用剤における上述の (I) と (II) との配合比は、 投与対象、 投与 ルート、 疾患等により適宜選択することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
本発明の併用剤の投与量は、 上述の (I) および (Π) の種類、 投与ルート、 症状、 患者の年令等によっても異なり、 適宜選択することが出来る。
本発明の併用剤における (I) の投与量は、 上記 (1) の予防,治療剤と同様 である。
本発明の併用剤における bFGFの投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与 方法などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mgs より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回 投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば 注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日 にっき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たり に換算した量を投与することができる。
本発明の併用剤における bFGFまたはその部分ぺプチドをコ一ドする核酸の投 与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより差異はあるが、 経口投 与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日に つき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgで ある。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨 腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましく は約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合 である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換算した量を投与することができる。 上述の (I) および (II) をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量で よい。
上述の (I) と (Π) をそれぞれ別々に製剤化して併用投与するに際しては、 上述の (I) を含有する医薬組成物と上述の (II) を含有する医薬組成物とを同 時期に投与してもよいが、 (II) を含有する医薬組成物を先に投与した後、 (I) を含有する医薬組成物を投与してもよいし、 (I) を含有する医薬組成物を先に 投与し、 その後で (II) を含有する医薬組成物を投与してもよい。 時間差をお
いて投与する場合、 時間差は投与する有効成分、 剤形、 投与方法により異なるが、 例えば、 (Π) を含有する医薬組成物を先に投与する場合、 (Π) を含有する医 薬組成物を投与した後 1分〜 3日以内、 好ましくは 10分〜 1日以内、 より好ましく は 15分〜 1時間以内に (I) 'を含有する医薬組成物を投与する方法が挙げられる。 (I) を含有する医薬組成物を先に投与する場合、 (I) を含有する医薬組成物を 投与した後、 1分〜 1日以内、 好ましくは 10分〜 6時間以内、 より好ましくは 15分 から 1時間以内に (II) を含有する医薬組成物を投与する方法が挙げられる。
(4) 骨■関節疾患の予防 ·治療物質のスクリ一二ング
上記のように、 ァスポリンの活性を調節 (促進または阻害) し得る物質は、 骨 ·関節疾患、 特に軟骨基質の変性 ·産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞へ の分化異常、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖異常が関連する疾患の予 防 ·治療に有効である。 従って、 本発明は、 ァスポリン類を用いてその活性の変 動を測定することによる、 骨 ·関節疾患の予防 ·治療物質のスクリーニング方法 を提供する。
より具体的には、 本発明は、
(a) 軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質 (例: II型コラーゲン, ァグリカン 等) を産生する能力を有する細胞を、 ァスポリン類の存在下、 またはァスポリ ン類および被験物質の存在下に培養し、 両条件下におけるァスポリン類の活性を 比較することを特徴とする、 骨 ·関節疾患の予防 ·治療物質のスクリ一二ング方 法を提供する。
上記スクリーニング方法において、 ァスポリン類は、 前述のいずれかの方法に より単離.精製されたものを添加してもよいし、 あるいは、 軟骨基質を産生する 能力を有する細胞が、 ァスポリン類を産生する能力を同時に有していてもよい。 ァスポリンまたはその塩および軟骨基質を産生する能力を有する細胞としては、 生来それらを発現しているヒトもしくは他の温血動物細胞またはそれを含む生体 試料 (例: 関節液, 関節軟骨等) であれば特に制限はないが、 物理的または化 学的刺激に応じてァスポリンの発現およひ 7または活性化が誘導されるものが好
ましい。 非ヒト動物由来の細胞、 組織等の場合は、 それらを生体から単離して培 養してもよいし、 あるいは生体に被験物質を投与し、 一定時間経過後にそれら生 体試料を単離してもよい。 上記の遺伝子工学的手法により、 軟骨基質遺伝子を産 生する能力を有する細胞にァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸 を導入して得られる各種の形質転換体を用いることもできる。
被験物質としては、 例えばタンパク質, ペプチド, 非ペプチド性化合物, 合 成化合物, 発酵生産物, 細胞抽出液, 植物抽出液, 動物組織抽出液などが挙げ られ、 これらの物質は新規なものであってもよいし、 公知のものであってもよい。 ァスポリン類の活性の測定は、 軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質遺伝子の 発現量を測定することにより行うことができる。 例えば、 一定期間 (例えば、 5 〜25日程度) 培養した細胞から常法により総 RNAを抽出して、 定量的 RT-PCRゃノ ーザンハイプリダイゼーシヨンにより軟骨基質遺伝子 [例: II型コラーゲン遺 伝子 (Col2al) , ァグリカン遺伝子 (Agcl) 等] の発現量を定量する。 あるいは、 細胞から総タンパク質を抽出し、 後述のァスポリン類の定量と同様の方法により、 抗 II型コラーゲン抗体、 抗ァダリカン抗体等を用いてこれらの軟骨基質を定量 することによつても行うことができる。
上記 (a) のスクリーニング法において、 Col2alや Agcl等の軟骨基質遺伝子の 発現を低下させた被験物質を 「ァスポリン活性促進物質」 、 それらの発現を増大 させた被験物質を 「ァスポリン活性阻害物質」 としてそれぞれ選択することがで きる。 ァスポリン活性促進物質は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能 ·軟骨細 胞増殖能の異常亢進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟 骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール 病, マフツチ症候群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予防 ·治療剤 として用いることができる。
一方、 ァスポリン活性阻害物質は、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨 細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患 [例えば、 骨粗鬆症, 変 形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツに
よる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾 患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨 端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨 無形成症等)) など]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 0A, 膝関節 OA) の予 防 ·治療剤として使用することができる。
ァスポリン活性促進もしくは阻害物質を上記予防■治療剤として使用する場合 は、 前記したァスポリン類と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒ トや他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
ァスポリン活性促進物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与 量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射 剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につ き約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1〜 10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換 算した量を投与することができる。
ァスポリン活性阻害物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg, より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回 投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば 注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 —日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは
約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当た りに換算した量を投与することができる。
上述のように、 ァスポリンの発現を調節 (促進または阻害) する物質もまた、 骨 -関節疾患、 特に軟骨基貧の変性 ·産生異常や、 軟骨前駆細胞から軟骨細胞へ の分化異常、 軟骨細胞増殖異常が関連する疾患の予防 ·治療に有効である。 従つ て、 本発明は、 ァスポリン類を産生する能力を有する細胞におけるァスポリン類 の発現を、 被験物質の存在下と非存在下で比較することを特徴とする、 骨,関節 疾患の予防 ·治療物質のスクリ一ユング方法を提供する。
ァスポリンの発現量は、 ァスポリンをコードする核酸とハイストリンジェント な条件下でハイプリダイズし得る核酸 (即ち、 前記したァスポリンをコードす る塩基配列またはその一部を含む核酸 (以下、 「センス ASPN」 ともいう)) また はァスポリンをコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一部 (アン チセンス ASPN) を用いてその mRNAを検出することにより、 転写レベルで測定す ることもできる。 あるいは、 該発現量は、 前記した抗 ASPN抗体を用いてタンパ ク質 (ペプチド) を検出することにより、 翻訳レベルで測定することもできる。 従って、 より具体的には、 本発明は、
(b) ァスポリン類を産生する能力を有する細胞を被験物質の存在下および非存 在下に培養し、 両条件下におけるァスポリン類をコードする raRNAの量を、 セン スもしくはアンチセンス ASPNを用いて測定、 比較することを特徴とする、 骨 - 関節疾患の予防 ·治療物質のスクリ一ユング方法、 および
(c) ァスポリン類を産生する能力を有する細胞を被験物質の存在下および非存 在下に培養し、 両条件下におけるァスポリン類のタンパク質 (ペプチド) 量を、 抗 ASPN抗体を用いて測定、 比較することを特徴とする、 骨 ·関節疾患の予防- 治療物質のスクリ一二ング方法を提供する。
上記 (b) および (c) のスクリーニング方法において、 ァスポリン類を産生 する能力を有する細胞としては、 上記 (a) のスクリーエング方法において用い られるのと同様のものが好ましく用いられる。
例えば、 ァスポリン類の mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量の測定は、 具体的には以下のようにして行うことができる。
(i) 正常あるいは疾患モデル非ヒト温血動物 (例えば、 マウス, ラット, ゥサ ギ, ヒッジ, ブタ, ゥシ, ネコ, ィヌ, サル, トリなど) に対して、 薬剤ある いは物理的刺激などを与える一定時間前 (30分前〜 24時間前、 好ましくは 30分 前〜 12時間前、 より好ましくは 1時間前〜 6時間前) もしくは一定時間後 (30分 後〜 3日後、 好ましくは 1時間後〜 2 S後、 より好ましくは 1時間後〜 24時間後)、 または薬剤あるいは物理的刺激と同時に被験物質を投与し、 投与から一定時間が 経過した後、 関節液、 関節軟骨などを採取する。 得られた生体試料に含まれる細 胞において発現したァスポリンの mRNAは、 例えば、 通常の方法により細胞等か ら mRNAを抽出し、 例えば、 RT-PCRなどの手法を用いることにより定量すること ができ、 あるいは自体公知のノーザンプロット解析により定量することもできる。 一方、 ァスポリンタンパク質量は、 ウェスタンプロット解析や以下に詳述する各 種ィムノアツセィ法を用いて定量することができる。
(ii) ァスポリンまたはその部分ペプチドをコードする核酸を導入した形質転換 体を上記の方法に従って作製し、 該形質転換体を常法に従って培養する際に被験 物質を培地中に添加し、 一定時間培養後、 該形質転換体に含まれるァスポリン類 の mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量を定量、 解析することにより行うこ とができる。
被験物質としては、 ペプチド, タンパク質, 非ペプチド性化合物, 合成化合 物, 発酵生産物などが挙げられ、 これら物質は新規な物質であってもよいし、 公知の物質であってもよい。
上記 (c) のスクリーニング方法におけるァスポリン類の量の測定は、 具体的 には、 例えば、
(i) 抗 ASPN抗体と、 試料液および標識化されたァスポリン類とを競合的に反応 させ、 該抗体に結合した標識化されたァスポリン類を検出することにより試料液 中のァスポリン類を定量する方法や、
(ii) 試料液と、 担体上に不溶化した抗 ASPN抗体および標識化された別の抗 ASPN 抗体とを、 同時あるいは連続的に反応させた後、 不溶化担体上の標識剤の量 (活性) を測定することにより、 試料液中のァスポリン類を定量する方法等が挙 げられる。
上記 (ii) の定量法においては、 2種の抗体はァスポリン類の異なる部分を認 識するものであることが望ましい。 例えば、 一方の抗体がァスポリン類の N端部 を認識する抗体であれば、 他方の抗体としてァスポリン類の C端部と反応するも のを用いることができる。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元 素, 酵素, 蛍光物質, 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 [1251] , [1311] , [¾], [14c] などが用いられる。 上記酵素としては、 安 定で比活性の大きなものが好ましく、 例えば、 ]3 -ガラクトシダーゼ, ]3 -グル コシダーゼ, アルカリフォスファターゼ, パーォキシダーゼ, リンゴ酸脱水素 酵素などが用いられる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミン, フル ォレツセンイソチオシァネートなどが用いられる。 発光物質としては、 例えば、 ルミノール, ルミノール誘導体, ルシフェリン, ノレシゲニンなどが用いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識剤との結合にピオチン -(ストレブト)アビジン 系を用いることもできる。 '
試料液としては、 ァスポリン類が細胞内に局在する場合は、 細胞を適当な緩衝 液に懸濁した後、 超音波処理または凍結融解などによつて細胞を破壌して得られ る細胞破碎液が、 ァスポリン類が細胞外に分泌される場合には、 細胞培養上清が それぞれ用いられる。 必要に応じて、 破碎液ゃ培養上清からァスポリン類を分 離-精製した後に定量を行ってもよい。 また、 標識剤の検出が可能である限り、 無傷細胞を試料として用いてもよい。
抗 ASPN抗体を用いるァスポリン類の定量法は、 特に制限されるべきものでは なく、 試料液中の抗原量に対応した、 抗体、 抗原もしくは抗体-抗原複合体の量 を化学的または物理的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用
いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、 いずれの測定法を用いても よい。 例えば、 ネフロメ トリー、 競合法、 ィムノメ トリック法およびサンドイツ チ法が好適に用いられる。 感度、 特異性の点で、 例えば、 後述するサンドイッチ 法を用いるのが好ましい。 '
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常 タンパク質あるいは酵素等を不溶化 ·固定化するのに用いられる化学結合を用い てもよい。 担体としては、 ァガロース, デキス トラン, セルロースなどの不溶 性多糖類、 ポリスチレン, ポリアクリルアミド, シリコーン等の合成樹脂、 あ るいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した抗 ASPN抗体に試料液を反応させ (1次反 応)、 さらに標識化した別の抗 ASPN抗体を反応させた (2次反応) 後、 不溶化担 体上の標識剤の量もしくは活性を測定することにより、 試料液中のァスポリン類 を定量することができる。 1次反応と 2次反応は逆の順序で行っても、 また、 同 時に行ってもよいし、 時間をずらして行ってもよい。 標識化剤および不溶化の方 法は前記のそれらに準じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定 法において、 固相化抗体あるいは標識化抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類 である必要はなく、 測定感度を向上させる等の目的で 2種類以上の抗体の混合物 を用いてもよい。
抗 ASPN抗体は、 サンドイッチ法以外の測定システム、 例えば、 競合法、 ィム ノメトリック法あるいはネフロメトリーなどにも用いることができる。
競合法では、 試料液中のァスポリン類と標識したァスポリン類とを抗体に対し て競合的に反応させた後、 未反応の標識抗原 (F) と、 抗体と結合した標識抗原 (B) とを分離し (B/F分離)、 B, Fいずれかの標識量を測定することにより、 試 料液中のァスポリン類を定量する。 本反応法には、 抗体として可溶性抗体を用い、 ポリエチレングリコールや前記抗体 (1次抗体) に対する 2次抗体などを用いて B/F分離を行う液相法、 および 1次抗体として固相化抗体を用いるか (直接法)、 あるいは 1次抗体は可溶性のものを用い、 2次抗体として固相化抗体を用いる固
相化法 (間接法) とが用いられる。
ィムノメ トリック法では、 試料液中のァスポリン類と固相化したァスポリン類 とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後、 固相と液相を分離するか、 あるいは試料液中のァスポリン類と過剰量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相 化したァスポリン類を加えて未反応の標識化抗体を固相に結合させた後、 固相と 液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識量を測定し試料液中の抗原量を定量 する。
また、 ネフロメ トリーでは、 ゲノレ内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じ た不溶性の沈降物の量を測定する。 試料液中のァスポリン類の量がわずかであり、 少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフ口 メトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特 別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件、 操作法に、 当業者の通常の技術的配慮を加えて、 ァスポリン類の測定系を構築す ればよい。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを参照 することができる。
例えは、 Meth. Enzymol. , Vol. 70 : (Immunochemical Techniques (Part A) ) , 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B) ), 同書 Vol. 74 (imraunochemicalTechniques (Part C) ), 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D : Selected Immunoassays) ) , 同 書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods) ) , 同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies) ) (以上、 Academic Press発行) などを参照することができる。
以上のようにして、 抗 ASPN抗体を用いることによって、 細胞におけるァスポ リン類の生産量を感度よく定量することができる。
上記 (b) および (c) のスクリーニング法において、 ァスポリン類の発現量
(mRNA量またはタンパク質 (ペプチド) 量) を増加させた物質をァスポリン発現 促進物質、 発現量を減少させた物質をァスポリン発現阻害物質としてそれぞれ選 択することができる。 ァスポリン発現促進物質は、 軟骨基質の産生能■軟骨細胞 分化能 ·軟骨細胞増殖能の異常亢進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾 患 (例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥 大, オリエール病, マフツチ症候群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予防■治療剤として用いることができる。
一方、 ァスポリン発現阻害物質は、 軟骨基質の変性,消失 ·産生能低下、 軟骨 細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患 [例えば、 骨粗鬆 , 変 形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツに よる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾 患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨 端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨 無形成症等)) など]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 OA, 膝関節 OA) の予 防■治療剤として使用することができる。
ァスポリン発現促進もしくは阻害物質を上記予防 ·治療剤として使用する場合 は、 前記したァスポリン類の場合と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
ァスポリン発現促進物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与 量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射 剤の形では、 通常、 例えば、 骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日に
つき約 0. 01〜30 rag程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは約 0. 1 〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに 換算した量を投与することができる。
ァスポリン発現阻害物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 rag、 好ましくは約 1. 0〜50 rag, より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回 投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば 注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 01 ~30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 rag程度、 より好ましくは 約 0. 1~ 10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当た りに換算した量を投与することができる。
また、 本発明は、
(d) 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) を、 ァスポリン類の存在下、 またはァス ポリン類および被験物質の存在下に培養し、 両条件下における細胞増殖を比較す ることを特徴とする、 骨 ·関節疾患の予防■治療物質のスクリーニング方法を提 供する。
上記スクリーニング方法において、 ァスポリン類は、 前述のいずれかの方法に より単離 ·精製されたものを添加してもよいし、 あるいは、 軟骨細胞 (または 軟骨前駆細胞) 力 ァスポリン類を産生する能力を同時に有していてもよい。 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) としては、 ヒ トもしくは他の温血動物細胞ま たはそれを含む生体試料 (例: 関節液, 関節軟骨等) であれば特に制限はない 1 物理的または化学的刺激に応じてァスポリンの発現および/または活性^^が 誘導されるものが好ましい。 非ヒト動物由来の細胞、 組織等の場合は、 それらを 生体から単離して培養してもよいし、 あるいは生体に被験物質を投与し、 一定時 間経過後にそれら生体試料を単離してもよい。 上記の遺伝子工学的手法により、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) にァスポリンまたはその部分ペプチドをコー
ドする核酸を導入して得られる各種の形質転換体を用いることもできる。
被験物質としては、 例えばタンパク質, ペプチド, 非ペプチド性化合物, 合 成化合物, 発酵生産物, 細胞抽出液, 植物抽出液, 動物組織抽出液などが挙げ られ、 これらの物質は新規なものであってもよいし、 公知のものであってもよい。 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖は常法に従い測定することができる。 例えば、 一定期間 (例えば、 1〜25日程度) 細胞を培養した後に、 目視による細 胞数計測、 MTTアツセィ、 BrdUの取り込み、 -チミジンの取り込み等により、 細 胞増殖を測定する。
軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の培養を、 インシュリン等の添加により軟 骨細胞分化誘導条件下で行うことも、 また好ましい。
ァスポリン類は、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖を抑制する活性を 有するので、 上記 (d) のスクリーニング法において、 軟骨細胞 (または軟骨前 駆細胞) の増殖低下をより増強させた被験物質を 「ァスポリン活性促進物質」 、 該細胞増殖低下を減弱させた被験物質、 または細胞増殖を増大させた被験物質を 「ァスポリン活性阻害物質」 としてそれぞれ選択することができる。 ァスポリン 活性促進物質は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能■軟骨細胞増殖能の異常亢 進が関連する疾患 [例えば、 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の亢進して いる骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候 群等)), 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍など] の予防 ·治療剤として用いること ができる。
一方、 ァスポリン活性阻害物質は、 軟骨基質の変性 .消失 .産生能低下、 軟骨 細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患 [例えば、 骨粗鬆症, 変 形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツに よる関節障害, 先天性骨系統疾患 (例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾 患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨 端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨 無形成症等)) など]、 好ましくは変形関節症 (例: 股関節 0A, 膝関節 OA) の予
防 ·治療剤として使用することができる。
ァスポリン活性促進もしくは阻害物質を上記予防 ·治療剤として使用する場合 は、 前記したァスポリン類と同様にして製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトゃ他の 温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, ブ タ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) に対して投与 することができる。
ァスポリン活性促進物質の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg、 より好ましくは約 1. 0〜20 mgである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回投与 量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば注射 剤の形では、 通常、 例えば骨軟骨腫患者 (60 kgとして) においては、 一日につ き約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 tng程度、 より好ましくは約 0. 1〜 10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当たりに換 算した量を投与することができる。
ァスポリン活性阻害物質の投与量も、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法な どにより差異はあるが、 経口投与の場合、 一般的に、 例えば変形性関節症患者 (60 kgとして) においては、 一日につき約 0. 1〜100 mg、 好ましくは約 1. 0〜50 mg より好ましくは約 1. 0〜20 riigである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回 投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば 注射剤の形では、 通常、 例えば変形性関節症患者 (SO kgとして) においては、 一日につき約 0. 01〜30 mg程度、 好ましくは約 0. 1〜20 mg程度、 より好ましくは 約 0. 1〜10 mg程度を投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 kg当た りに換算した量を投与することができる。
(5) 遺伝子診断剤
ァスポリンをコードする塩基配列またはその一部を含む核酸 (以下、 「セン
ス ASPN」 ともいう)、 あるいは該塩基配列と相補的な塩基配列またはその一部を 含む核酸 (アンチセンス ASPN) は、 プローブ等として使用することにより、 ヒ トまたは他の温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッ ジ, ャギ, ブタ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サル, チンパンジー, トリなど) におけるァスポリンをコードする DNAまたは mRNAの異常 (遺伝子異常) を検出す ることができるので、 例えば、 該 DNAの損傷もしくは突然変異や mRNAのスプライ シング異常あるレヽは発現低下、 あるいは該 DNAの増幅や tnRNAの発現上昇などの遺 伝子診断剤として有用である。 ァスポリンをコードする塩基配列の一部を含む核 酸は、 プローブとして必要な長さ (例えば、 約 15塩基以上) を有する限り特に 制限されず、 また、 ァスポリンの部分ペプチドをコードしている必要もない。 センスもしくはアンチセンス ASPNを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自 体公知のノーザンハイブリダィゼーシヨン、 定量的 RT- PCR、 PCR-SSCP法、 ァレ ル特異的 PCR、 PCR- SS0P法、 DGGE法、 RNaseプロテクション法、 PCR-RFLP法など により実施することができる。
上記のように、 ァスポリンは軟骨基質遺伝子の発現を低下させ、 軟骨前駆細胞 から軟骨細胞への分化を抑制し、 軟骨細胞 (または軟骨前駆細胞) の増殖を抑 制する機能を有することから、 軟骨基質の変' 14■消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分 化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患の発症 ·進行に関与する。 そのた め、 そのような疾患に罹患しているか、 あるいは将来罹患するリスクが高い状態 にあれば、 ァスポリン遺伝子の発現が正常な状態に比して上昇していると考えら れる。 従って、 例えば、 被験温血動物の細胞から抽出した RNA画分についてのノ ーザンハイプリダイゼーションゃ定量的 RT- PCRの結果、 ァスポリン遺伝子の発 現上昇が検出された場合は、 軟骨基質の変性,消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化 能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節 症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節 障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患■変形 性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成
症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症 等)] などの疾患に罹患しているか、 あるいは将来罹患する可能性が高いと診断 することができる。
一方、 ノーザンハイブリダィゼーションゃ定量的 RT- PCRによりァスポリン遺 伝子の発現低下が検出された場合は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能 ·軟骨 細胞増殖能の異常亢進が関連する疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエ一 ル病, マフツチ症候群等) ], 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に罹患し ているか、 あるいは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
前記した抗 ASPN抗体は、 ヒ トまたは他の温血動物 (例えば、 ラット, マウス, ハムスター, ゥサギ, ヒッジ, ャギ, プタ, ゥシ, ゥマ, ネコ, ィヌ, サノレ, チンパンジー, トリなど) におけるァスポリンまたはその塩の量を測定するこ とができるので、 例えば、 該タンパク質の発現低下または発現上昇などの遺伝子 診断剤として有用である。
抗 ASPN抗体を用いる上記の遺伝子診断は、 前記した抗 ASPN抗体を用いるァス ポリン発現調節 (促進もしくは阻害) 物質のスクリーニング方法 ((c) のスク リーユング方法) において、 ァスポリン類を産生する能力を有する細胞として、 被験温血動物から採取した生体試料 (例: 関節液, 生検など) を用いてィムノ アツセィを実施することにより行うことができる。
ィムノアツセィの結果、 該試料中のァスポリンまたはその塩の増加が検出され た場合は、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下、 軟骨細胞 増殖低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマ チ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統 疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する 先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成 症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に罹 患している力、 あるいは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、 ィムノアツセィの結果、 該試料中のァスポリンまたはその塩の減少が検 出された場合は、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能 ·軟骨細胞増殖能の異常亢 進が関連する疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進して いる骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候 群等)] , 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に罹患しているか、 あるいは 将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
後記実施例において示される通り、 ァスポリンの N末端側に存在するァスパラ ギン酸の繰り返し (以下、 「D-リピート」 ともいう) における多型が、 股関節 OAおよび膝関節 OAと相関する。 即ち、 14個のァスパラギン酸の繰り返しを有す るアレル (D14アレル) の保有者頻度は OA患者群において有意に高く、 13個のァ スパラギン酸の繰り返しを有するアレル (D13アレル) は OA患者群において有意 に低い (その他の繰り返し多型では 0A患者群と対照群とで有意な差はみられな い)。 従って、 D14アレルは 0A感受性アレルであり、 D13アレルは 0A保護性 (難罹 患性) アレルであるといえる。
実際、 ァスポリンの D -リピートにおける多型は、 TGF- /3による軟骨基質遺伝 子発現誘導に対する影響に差異を生じる。 即ち、 D14アレルは D13アレルに比べ て TGF - βの上記作用をより強く阻害する。
上記したァスポリンの機能を考慮すると、 D14アレルは変形性関節症だけでな く、 軟骨基質の変性 ·消失 ·産生能低下、 軟骨細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能 低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによる関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性関節症を合併する先天性 骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨 幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に対しても 感受性を示すことが示唆される。 一方、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化能 ·軟 骨細胞増殖能の異常亢進が関連する疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエ一
ル病, マフツチ症候群等)] , 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患に対して は、 D14アレルはむしろ保護的であり得る。
これに対し、 D13アレルは、 軟骨基質の変性 ·消失■産生能低下、 軟骨細胞分 化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症、 変形性関節 症、 慢性関節リウマチ、 関節炎、 滑膜炎、 代謝性関節症、 スポーツによる関節障 害、 先天性骨系銃疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾患 ·変形性 関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨無形成症等)] などの疾患に対しては保護的であり、 他方、 軟骨基質の産生能 ·軟骨細胞分化 能 ·軟骨細胞増殖能の異常亢進が関連する疾患、 例えば、 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の亢進している骨系統疾患 (例: 多発性外骨腫, 片側肥大, オリエール病, マフツチ症候群等)], 骨軟骨腫, 骨腫瘍, 軟骨腫瘍などの疾患 に対しては、 むしろ感受性であり得る。
したがって、 本発明はまた、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中 N末端側 に存在するァスパラギン酸の繰り返し残基数における多型を検出することを含む、 骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性の診断方法を提供する。
上記多型の検出方法としては、 公知の検出方法のいずれも使用することができ る。 例えば、 被験動物の細胞から抽出したゲノム DNAを試料とし、 ァスポリン遺 伝子の D-リピートをコードする領域の塩基配列を含む核酸をプローブ等として 用いて、 例えば、 特開 2004- 000115に記載された種々の方法 [例: RFLP法、 PCR- SSCP法、 AS0ハイブリダィゼーシヨン、 ダイレクトシークェンス法、 ARMS法、 変 性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、 RNaseA切断法、 化学切断法、 D0L法、 TaqMan PCR 法、 インベーダー法、 MALDI- T0F/MS法、 TDI法、 モレキュラー ' ビーコン法、 ダ イナミック 'ァレ^/スぺシフイツク ·ハイプリダイゼーション法、 ノヽ。ドロック ■ プローブ法、 UCAN法、 DNAチップまたは DNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブ リダイゼーション法およぴ ECA法など] を行うことにより実施することができる。 その結果、 D14アレルを保有する場合、 軟骨基質の変性,消失■産生能低下、
軟骨細胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツ による関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統 疾患,変形性関節症を合併'する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性 骨端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟 骨無形成症等)] などの疾患に対して感受性であると判定することができ、 D13 アレルを保有する場合、 上記の疾患に対して保護的であると判定することができ る。
後記実施例 9に示される通り、 上記 CALM1遺伝子における骨 ·関節疾患感受性 アレルと、 ASPN遺伝子における D14アレルの両方を保有する場合、 それらの一方 を保有する場合に比べて、 骨■関節疾患の発症リスクが相乗的に増大する。 この ことは、 CALM1と ASPNが協奏的に骨 ·関節疾患の発症に関与することを示唆して いる。 従って、 本発明はまた、 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基 番号 85, 1576, 2445および 6641で示される塩基からなる群より選択される 1以上 の塩基における多型と、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中 N末端側に存在 するァスパラギン酸の繰り返し残基数における多型とを検出することを含む、 骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性の診断方法を提供する。
上記多型の検出方法としては、 各遺伝子の多型の検出に関して例示したものが 同様に使用され得る。
その結果、 配列番号: 5で表される塩基配列において、 塩基番号 85で示される 塩基がチミン、 塩基番号 1576で示される塩基がシトシン、 塩基番号 2445で示さ れる塩基がグァニン、 または塩基番号 6641で示される'塩基がチミンであり、 且 つ配列番号: 4で表されるァミノ酸配列中 N末端側に存在するァスパラギン酸の 繰り返し残基数が 14である場合、 軟骨基質の変性■消失■産生能低下、 軟骨細 胞分化能低下、 軟骨細胞増殖能低下が関連する疾患、 例えば、 骨粗鬆症, 変形 性関節症, 慢性関節リウマチ, 関節炎, 滑膜炎, 代謝性関節症, スポーツによ る関節障害, 先天性骨系統疾患 [例えば、 軟骨形成の低下している骨系統疾
患 ·変形性関節症を合併する先天性骨系統疾患 (例: 軟骨無形成症, 多発性骨 端異形成症, 脊椎骨端異形成症, 骨幹端異形成症, Stickler症候群, 偽性軟骨 無形成症等)] などの疾患に対する感受性がより高いと判定することができる。 本明細書において、 塩 Sやアミノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC- IUB Commission on Biochemical Nomenclature 【こよ 略号ある ヽ fま当 δ亥分野 !■こお ίナ る慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関し光学異 性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
DNA : デォキシリボ核酸
cDNA : 相補的デォキシリボ核酸
A : アデニン
T : チミン
G : グァニン
C : シトシン
RNA : リポ核酸
mRNA : メッセンジャーリボ核酸
dATP : デォキシアデノシン三リン酸
dTTP : デォキシチミジン三リン酸
dGTP : デォキシグアノシン三リン酸
dCTP : デォキシシチジン三リン酸
ATP : アデノシン三リン酸
EDTA : エチレンジァミン四酢酸
SDS : ドデシル硫酸ナトリウム
Gly : グリシン
Ala : ァラニン
Val : ノ リン
Leu : ロイシン
lie : ィソロイシン
Ser : セリン
Thr : スレ才ニン
Cys : システィン
Met : メチォニン
Glu : グノレタミン酸
Asp : ァスパラギン酸
し ys : リジン
Arg : アルギニン
. His : ヒスチジン
Phe : フエニノレアラニン
Tyr : チロシン
Trp : トリブトファン
Pro : プロリン
Asn : ァスパラギン
Gin : グノレタミン
pGlu : ピログノレタミン酸
Sec : セレノシスティン (selenocysteine) また、 本明細書中で繁用される置換基、 保護基およ- する。
Me : メチル基
Et : ェチノレ基
Bu : プチル基
Ph : フエ二ノレ基
TC : チアゾリジン- 4 (R) -カルボキサミ ド基
Tos : p—トノレエンスノレフォニノレ
CHO : ホノレミノレ
Bzl : ベンジノレ
PQ : 2, 6 -ジクロロべンジノレ
Bom : ベンジノレ才キシメチノレ
Z : ペンジノレオキシカノレポ二ノレ
CI - Z : 2-クロ口べンジルォキシカルポニル
Br - Z : 2 -ブロモベンジルォキシカルボニル
Boc : t -ブトキシカルボニル
DNP : ジニト口フエ二ノレ
Trt : トリチル
Bum : t -ブトキシメチノレ
Fmoc : N - 9 -フルォレニルメ トキシカルボニル
HOBt : 1 -ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt : 3, 4-ジヒ ドロ- 3 -ヒドロキシ- 4_ォキソ -1, 2, 3_ベンゾトリアジン
HONB : 1-ヒドロキシ- 5-ノルボルネン- 2, 3-ジカルポキシイミ ド
DCC : Ν, Ν' -ジシクロへキシルカルポジイミ ド
本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
[配列番号: 1]
ヒ ト CALM1 cDNAの塩基配列を示す。
[配列番号: 2]
CALM1遺伝子にコードされるヒ トカルモジユリンタンパク質のアミノ酸配列を 示す。
[配列番号: 3]
ヒ トァスポリン cDNA (D13) の塩基配列を示す。
[配列番号: 4]
ヒ トァスポリンタンパク質 (D13) のアミノ酸配列を示す。
[配列番号: 5]
ヒ ト CALM1遺伝子の塩基配列を示す [マイナーアレル頻度が 10%以上の 12の SNP 部位 (塩基番号: 85, 1576, 2011, 2190, 2276, 2445, 2543, 3074, 5170, 6641
9233, 10526) は、 「塩基配列またはアミノ酸配列を含む明細書等の作成のため のガイドライン」 (平成 14年 7月) の付属書 2、 表 1に示される択一的記号により 表記している]。
以下に実施例を挙げて本 ¾明をより具体的に説明するが、 これらは単なる例示 であって本発明を何ら限定するものではない。 実施例 1 大規模相関解析
対象は全て日本人である。 相関解析は、 日本人の S Pデータベースである JSNP データベース (http : //snp. ims. u-tokyo. ac. jp/) 力 らランダムに選出した 81, 398個の SNPについて行った。 第一に、 スクリーニングとして股関節 OA患者群 94人および対照群 658人から抽出したゲノム DNAに対して、 Ohnishi et al. (/. Hum. Genet. , 46: 471 (2001) ) の方法に従い、 インベーダー法によってジエノ タイピングを行い、 ズ2検定もしくはフィッシャーの正確な検定を行った。 これ らの検定で P値が 0. 01を下回った 2, 219個の SNPについて、 前述の検体と重複しな い股関節 0A患者群 335人および対照群 375人についてジエノタイピングを行い、 同様の検定を行った。 その結果、 14番染色体上 (14q24- q31) の CALM1 IVS3- 2930T (図 2b, 左表中の SNP ID : CALM1_9、 並びに配列番号: 1の塩基番号 6641 に相当) が股関節 0Aとの高い相関を示した (表 1)。
39
/(個体数)遣伝型%子 T対 CTGG T+
ズォ比ッ m
親
続いて、 この領域における股関節 OA感受性遺伝子を同定するため、 IVS3- 293C〉Tと連鎖不平衡にある領域の決定を行った。 この SNPを中心とした 400 - kbの 領域に存在するマイナーァレル頻度 10%以上の JSNPを、 股関節 OA患者 335人につ いてィンベーダ一法もしくは TaqMan法によってジエノタイビングを行い、 Yamada et al. (Am. J. Hum. Genet" 68: 674 (2001) ) の方法に従って、 IVS3- 293C〉Tとの連鎖不平衡定数 D, を計算した。 その結果、 IVS
3 - 293C〉Tと高い
連鎖 (D' = 1) を示す S Pは、 CALM1および Hs. 407640内に限局していた (図 1)。 実施例 2 ハプロタイプ解析
CALM 1には 14個の JSNPが に登録されている。 CALM1における股関節 OA感受性 アレルを同定するため、 股関節 OA患者 16名のゲノム DNAを用いて CALM1遺伝子の 5' -フランキング領域、 ェクソン、 およびェクソン-イントロン接合部に対して ABI3700キヤビラリ一シークェンサ一 (Applied BioSystetns) によるダイレクト シークェンスを行い、 新規 SNPの探索を行った。 その結果、 JSNPデータベースに 登録されている CALM1の 14個の SNP (図 2a, 縦棒) 以外に、 CALM1の 5, -フランキ ング領域、 ェクソン 1、 イントロン 1およぴェクソン 7に、 それぞれ 1つずつ新規 SNPを検出した (図 2a, 矢印)。 CALM1に存在するマイナーアレル頻度が 10%以上 の 11個の SNP (図 2a, アスタリスク) のジエノタイプデータを用いて、 アレルキ ンソフトウェアによってハプロタイプ構造を推定した。 その結果、 この領域には 全ハプロタイプ頻度の約 90%を網羅する 3つのコモンハプロタイプが存在するこ とが推定された (図 2b, ハプロタイプ A-C)。 そのうちハプロタイプ Bは、 X 2検定 の結果、 股関節 OAと相関を示した (図 2b, 右表)。 ハプロタイプ Bには、 股関節 0Aと高い相関を示す SNPが 3つ存在している (IVS1+12710A, IVS1- 692G〉Cおよび マーカー SNPである IVS3_293C〉T、 それぞれ図 2b, 左表中の SNP ID : CALM1— 1, 5 および 9に相当)。 この 3つの SNPは互いに完全連鎖の関係にあり、 マーカー SNPと 全く同様に股関節 0Aと高い相関を示した。 新規に検出した 4つの SNPに対して、 股関節 0A患者を用いてダイレク トシークェンスによるジエノタイピングを行つ たところ、 - 16C〉Tはハプロタイプ B上の 3つの SNPと完全連鎖の関係にあった。 こ のことは、 - 16C〉Tもこれら 3つの SNPと全く同様に、 股関節 0Aの感受性多型であ ることを示す。 実施例 3 軟骨細胞における CALM1発現解析
正常ヒ ト膝関節軟骨細胞 (NHAC_kn, Takara) は、 アルジネートビーズ中に包
埋し、 添付の分化培地 (CDM) で 2週間培養したものを使用した。 OA関節軟骨は、 人工膝関節置換術を行う患者 (n= 4) から、 インフォームド · コンセントを得 て取得した。 総 RNAの抽出は IS0GEN (二ツボンジーン) を用いて行い、 cDNAは Multi Scribe Reverse Transcriptase (Appl i ed Biosystems を用 ヽて 500 ng の総 RNAから合成した。 得られた cDNAを铸型とし、 表 4に記載のヒ ト CALM1遺伝子 増幅用プライマーを用いて PCRを行った。 PCR反応は、 最終容量 20 μ [逆転写 反応液 1 μ 1, 10x Ex Taq buffer (Takara) 2 μ 1, 2. 5 mM dNTP混合液 1. 6 μ 1, Ex Taq (Takara) 0. 1 μ I, 10 μ Μ フォワードプライマー 0. 4 μ 1, 10 μ Μ リバースプライマー 0. 4 μ 1, 核酸分解酵素 14. 5 1] の系で行った。 PCR増幅産物は、 2% ァガロースゲルにて分離し、 ェチジゥムブ口マイドにて検 出した。 その結果、 培養ヒ ト膝関節軟骨細胞および OA膝関節軟骨で CALM1が発現 していることを確認した (図 3)。 実施例 4 ルシフェラーゼレポーターアツセィ
- 16C〉Tの CALM1転写活性に与える影響を、 ルシフェラーゼレポーターアツセィ によって評価した。 CALM1の - 16Cもしくは- 16Tアレルを有するゲノム DNAを錡型 として、 CALM1のプロモーター領域および 5, -非翻訳領域 (nt -1231 to +202) を表 2に示すプライマーセットを用いて PCRにて増幅し、 ルシフェラーゼレポー タ ベクターである pGL3- basic (Promega) の Nhel- Xhol部位に、 5, -3 ' の方向 性を保持したまま組み込むことによって、 CALM1遺伝子の発現調節領域をルシフ エラーゼ遺伝子の前に結合したレポーターコンストラクトを、 - 16Tアレルおよ び Cァレルについて作成した。
これらのコンストラク トを、 10%胎仔ゥシ血清 (FBS) および抗生物質 (100 U/ral ペニシリン Gと 100 μ g/ral ス トレプトマイシン) を含む Dulbecco ' s Modified Eagle ' s Medium (DMEM, Sigma) で培養した軟骨様細胞 0UMS-27細胞
にトランスフエクシヨンした。 トランスフエクシヨンは、 以下の手順で行った。 トランスフエクションの前ョ、 0UMS- 27細胞を 5xl0
4個/ゥエルとなるように 24マ ノレチウエノレブレートに播種した。 翌日、 Fugene_6 (Roche Diagnostics) を用い て、 1ウエノレあたり、 レポーターコンストラクト 200 ng、 およびトランスフエク ション効率を補正する内部標準としての
PRL- TK (Proraega) 4 ngをトランスフエ クシヨンした。 トランスフエクシヨンから 24時間後、 細胞を可溶化し、 ピツカ ジーン ·デュアル ·シーパンジーシステム (東洋インキ) を用いてルシフェラ ーゼ活性を測定した。 その結果、 Tアレルにおけるルシフェラーゼ活性は、 Cァ レルの約 2分の 1であった (図 4a)。 全く同様のアツセィを Huh- 7細胞 (胎児肝癌 由来) について行ったところ、 Tアレルにおけるルシフェラーゼ活性は、 Cァレ ルの約 2分の 1であった (図 4b, 最上段)。
次に、 2アレル間の転写活性の差を引き起こすのに十分な領域を絞り込むため、 同様の方法で、 _16C〉Tを含むが、 長さの異なる 3つのレポーターコンストラタト を表 3に示すプライマーを用いて作成した (図 4b, 左模式図の 2, 3および 4段目)。 これらのコンストラク トを Huh-7細胞にトランスフエクシヨンし、 Tアレルおよ び Cアレルのルシフェラーゼ活性を測定した。 その結果、 いずれのコンス トラタ トにおいても、 Tアレルにおけるルシフェラーゼ活性は、 Cアレルの約 2分の 1で あった (図 4b)。 この結果は、 2アレル間における転写活性の差を引き起こすに は、 - 16C>T周辺の領域 (61 bp, nt. -53 to +8) で十分であることを示唆する。 実施例 5 ゲルシフトアツセィ
ルシフェラーゼレポーターアツセィの結果、 Tアレルと Cァレル間の転写活性 の差を生じるには、 そのアレル周辺の配列で十分であることが分かった。 このこ とから、 この配列に結合し、 転写活性の差を引き起こす核内タンパク質の存在が 示唆される。 そこで、 本発明者らは、 この仮説を検証するため、 - lec rを含む
CALM1遺伝子調節領域の部分配列からなる DNAと、 Huh- 7細胞の核抽出物とを用い てゲルシフ トアツセィを行った。 Huh- 7細胞の核抽出タンパク質は、 Andrews et
al. {Nucleic Acids Res. , 19 2499 (1991) ) の方法に従って調製した。 オリ ゴヌクレオチドのァニーリングと DIGラベリングは、 DIGゲルシフ トキッ ト (Roche Diagnoヨ) 1謹 1謹1V1V1V 1謹0V 0901V1V0謹 00卜 0st謹謹謹园ics) を用いて行った。 使用したオリゴヌクレオチドの配列を
(livjsooooil卜 vvvlv 02
表 3に記す。 )l ( j0909990931VlVlVVlV09V1000109090V9V90ει
(01νϊ}ν91ν1ν190009091090939νΕ301寸 91νν1ν90
DIGラベルしたプローブを、 Huh- 7細胞核抽出物と混合して 20分間室温でイン キュベーシヨンし、 DNA-タンパク質複合体を形成させた。 形成した DNA-タンパ ク質複合体は、 0. 5% Tris-ホウ酸- EDTAバッファ一中で、 6% ポリアクリルアミ ドゲルによつて分離した。 DIGラベルしたプローブと非標識プローブの競合実験 に際しては、 ラベルしたプローブと核抽出物の混合に先立って、 ラベルしたプロ
ーブの 125倍量の非標識プローブを添加した。 泳動後、 DNA-タンパク質複合体を ニトロセルロース膜に転写し、 UVによって架橋した後、 化学発光検出システム (Roche Diagnostics社) で標識プローブ由来のシグナルを検出した。
その結果、 -16Tまたは- 16Cを含む配列からなる DNAと Huh - 7細胞核抽出物とを 混合したレーンにおいて、 複数のバンドが確認された (図 5)。 このことは、 - 16C〉T周辺配列と直接結合する核内因子が存在することを示唆する。 これらのバ ンドは Cアレルよりも Tアレルにおいてシグナル強度が高いことから、 これらの 核内因子は、 Tアレルに比較的強固に結合することが示唆された (図 5, 矢尻)。 レポーターァッセィの結果では、 Tァレルは転写活性の低下を引き起こすァレル である。 従って、 Tアレルに強固に結合する核内因子は、 CALM1の転写に対して サブレッサーとして働いている可能性を示唆する。 実施例 6 軟骨細胞分化実験
胚性腫瘍由来クローン化細胞株 ATDC5は、 インスリンの存在下で、 軟骨細胞の 初期分化から終末分化に至る全ての分化段階を再現可能な ? W ro軟骨細胞分 化モデルである。 本発明者らは、 軟骨細胞分化におけるカルモジュリン (CaM) の役割を解析するため、 ATDC5を CaM阻害剤である W- 7の存在下で培養し、 軟骨細 胞の分化マーカーである II型コラーゲン遺伝子 (Col2al)、 ァグリカン遺伝子 (Agcl) および X型コラーゲン遺伝子 (Col lOal) の発現量を定量した。 通常培養 には、 5% FBSおよび抗生物質 (100 U/ml ペニシリン Gと 100 ^ g/mlス トレプト マイシン) を含む DMEM/F12 (Gibco) を用いた。 分化実験は以下の手順で行った。 細胞を 3xl04 cells/ゥエルとなるように 12 マルチウエルプレートに播種した。 細胞がコンフルェントに達した後、 培養培地を分化培地 (5% FBS, 抗生物質, 10 μ g/ml ゥシインスリン, 10 g/tnl ヒ ト トランスフェリンおよび 3xl(T8 M 亜セレン酸ナトリウムを含む DMEM/F12) に置換した。 また、 CaM阻害群の分化培 地には、 CaM阻害剤である W- 7 (20 μ Μ、 和光) を添加した。 培地交換は 1日おき に行い、 分化培地への交換日から数えて、 最長で 22日間培養した。 ATDC5細胞か
らの総 RNA抽出は、 IS0GENを用いて行った。 抽出した総 RNA 500 ngに対して、 Mult i Scribe Reverse Transcriptaseを用いて逆転写を行い、 cDNAを合成した。 定量的 real-time PCRは、 ABI PRISM 7700 (Appl ied Biosystems) を用いて行つ た。 PCR反応は、 最終容量 20 μ 1 [逆転写反応液 1 μ 1, Quant iTectSYBR Green PCR (QIAGEN) 10 μ ΐ, 10 μ Μ フォワードプライマー 0. 6 μ 1, 10 μ Μ リバ一 スプライマー 0. 6 μ ΐ, 核酸分解酵素除去水 6. 8 μ ΐ] の系で行った。 反応プ ログラムは [94°C 15分, (94°C 15秒, 60°C 15秒, 72°C 30秒) x40 サイクル] とした。 各サンプルにおける標的遺伝子のコピー数は、 系列希釈したコピー数既 知の標的遺伝子 DNAを用いて作成した検量線から算出した。 各遺伝子の発現量は、 Gapdhの発現量を指標として算出した総 RNA量で補正した。 各標的遺伝子に対す るプライマーの配列を表 4に記す。
インスリン存在下で培養した ATDC5では、 インスリン非存在下条件と比較して、 軟骨細胞の主要な基質遺伝子である Col2alおよび Agclの発現量が、 インスリン 添力 B後 6日目から上昇し、 それぞれ、 14日目、 18日目に最大となった (図 6a, b)。
これらの遺伝子の発現上昇は、 W - 7の存在下で約 2分の 1まで抑制された。 一方、 肥大軟骨細胞のマーカーである Col lOalの発現量は、 22日目まで上昇しつづけ、 W-7の添加によってさらに上昇した (図 6c;)。 これらの結果から、 CaMは軟骨細胞 分化過程において、 Col2alや Agclの発現上昇に関わるシグナルを仲介している ことが示唆された。 また、 CaMは軟骨細胞での Col lOalの発現を抑制すること、 即ち軟骨細胞の肥大化を抑制することが示唆された。 実施例 7 軟骨前駆細胞株 RCJ3. 1C5. 18を用いたィオノマイシン刺激実験
RCJ3. 1C5. 18細胞は、 軟骨前駆細胞としての形質を有し、 細胞内カルシウム濃 度を上昇させる試薬であるィオノマイシン刺激によって、 I I型コラーゲン遺伝 子およびァグリカン遺伝子の発現が上昇する細胞である。 本発明者らは、 この反 応における CaMの関与を、 CaM阻害剤である W- 7を用いて解析した。 通常培養には 10% FBSおよび抗生物質 (100 U/ral ペニシリン Gと 100 μ g/ral ス トレプトマイ シン) を含む DMEM (Sigma) を用いた。 刺激実験は以下の手順で行った。 細胞を lxlO5 cel ls/ゥエルとなるように 12 マルチウエルプレートに播種した。 細胞が コンフルェントに達した後、 実験条件に応じた濃度のィオノマイシン (0または 2 μ ) および W- 7 (0〜10 μ Μ) を含む培地に置換した。 培地置換から 24時間後 に IS0GENを用いて RNAを回収した。 抽出した総 RNA 500 ngに対して、 MultiScribe Reverse Transcriptase ¾·用レヽて 転写を T† ヽ、 cD Aを合成した。 定量的 real- time PCRは、 ABI PRISM 7700 (Appl ied Biosysteras) を用いて行つ た。 PCR反応は、 最終容量 20 μ 1 [逆転写反応液 1 μ 1, QuantiTect SYBR Green PCR (QIAGEN) 10 μ 1, 10 μ Μ フォワードプライマー 0. 6 μ 1, 10 μ リバースプライマー 0. 6 μ 1, 核酸分解酵素除去水 6. 8 1] の系で行った。 反応プログラムは [94°C 15分, (94°C 15秒, 60°C 15秒, 72°C 30秒) x 40 サ イタル] とした。 各サンプルにおける標的遺伝子のコピー数は、 系列希釈した コピー数既知の標的遺伝子 DNAを用いて作成した検量線から算出した。 各遺伝子 の発現量は、 GAPDHの発現量を指標として算出した総 RNA量で補正した。 標的遺
伝子に対するプライマ一の配列は表 5に記す。
プバプドイリ遺イ標的伝ラスラ子ヮマフマォー一一ーー
,0V11090i)9099VV9 CD 00
丄9丄 CM
21Clラッao
11 99VV000910110101V9丄丄l;) V9E)E)E)VVE)i)V;)V;)VE)V
17トラッ
C
ィオノマイシンの添加によつて発現上昇した II型コラ一ゲン遺伝子およびァ
ダリカン遺伝子は、 W-7の存在下で用量依存的に抑制された (図 7aおよび b)。 こ のことは、 軟骨前駆細胞におけるカルシウムシグナルは、 CaMを介して軟骨基質 遺伝子の発現を誘導することを示唆する。 実施例 8 RNAディファレンスプロット法を用いた、 /2 w oにおけるアレル間の CALM1発現量比較
-16CXTの CALM1転写調節に対する作用を 'raで評価するため、 _16C〉Tのへ テロ接合体から採取した軟骨細胞における CALM1の発現量を、 RNAディファレン スプロット法 [ Hum. Genet. 49 635 - 641 (2004) ] を用いて各アレルごとに 定量、 比較した。 方法を以下に示す。 表 6に示す蛍光標識したプライマーを用い て、 - 16CXTのへテロ接合体から採取した軟骨細胞由来の cDNAおよびゲノム DNAを 鑤型として、 PCRを行った。 プライマーは CALM1のェクソン 1内に存在する +114G〉Aを含む領域を増幅するように設計した。 使用したサンプルにおける- 16 - +114のハプロタイプは C-Gおよび T- Aであることを当該領域のクローニングによ り確認した。 PCR産物をフオルムアミドで変性した後、 SF5200オートシークェン サー (日立) にて電気泳動を行った。 各アレルのシグナル強度は Al lele Links (日立) を用いて解析した。 この実験は、 PCRを独立に 9回行った。 各アレルの発 現量は、 cDNAを鐯型とした場合の値を、 ゲノム DNAを錡型とした場合の値で捕正 した。
丄ύ ϋ Kι ιl
§99.109J9EU (W謹 99VV9) 9V9V0Sε3ο
その結果、 +114Aに対する +114G (それぞれ- 16Tと- 16Cに対応) の発現比は 1. 09 (99%信頼区間: 1. 04-1. 15) であった。 このことは、 - 16T由来の CALM1発現 量は - 16C由来の CALM1発現量よりも低いことを意味する。
実施例 9 CALM1と ASPNの組み合わせ解析
ァスポリン遺伝子 (ASPN) は、 後記実施例に示される通り、 変形性股関節症 および変形性膝関節症と高い相関を示す。 我々は、 CALM1と ASPNが共同して変形 性股関節症の発症リスクを高めるかについて検討した。 方法を以下に示す。 変形 性股関節症 323人および対照 374人を、 CALM1 IVS3- 293C〉Tと ASPNのァスパラギン 酸繰り返し多型の組み合わせによって 2 X 3表に分配した (表 7)。 その 2 X 3表 に基づき、 非疾患感受性ァレルのホモ接合体の組み合わせに対するォッズ比を計 算した。 CALM1および ASPNの疾患感受性ァレルはそれぞれ Tおよび D14である。
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ォッズ比は、 CALM1の疾患感受性ァレルのホモ接合体と ASPNの D14ァレルの組 み合わせで最も高い値を示した。 このことは CALM1と ASPNが共同して変形性股関 節症の発症リスクを高める可能性を示唆する。
実施例 10 オリゴヌクレオチドマイクロアレイ解析による正常おょぴ OA関節軟 骨におけるァスポリンの発現量の比較
ァスポリンの発現解析は約 6万種類のターゲット配列に対するオリゴヌクレオ チドプローブから構成されるマイクロアレイセッ ト (GeneChip U95および U133, Affyraetrix) を用いて行った。 ビォチン化 cRNAの調製とアレイハイブリダィゼ ーショ ンなとの一連の傑作は Affymetrix GeneChip expression analysis manualに準じて行った。 OA軟骨および正常関節軟骨の RNAは、 武田薬品工業(株) の社内倫理委員会の承認の下に Direct Cl inical Access社より購入した。 まず Total RNA 5-10 μ gを铸型と し、 T7— poly T primerと Superscript I I (Invitrogen) を用いて first strand cDNAを合成した。 次に、 . DM po丄 ymerase 丄 (Invitrogenノ と l igase (Invitrogen) ¾:用レヽ飞 second strand cDNAを合成した。 得られた二本鎖 cDNAを用いてビォチン化 UTPと CTP (Enzo Diagnostics) の存在 in vitro transcription (Ambion) ¾r TTつた。 Tris (pH 8. 1) , 100 mM 酢酸カリゥム, 30mM 酢酸マグネシウムを含むバッファ一中、 94°Cで 30分間インキュベートすることによりピオチン化 cRNAを断片化し、 ァレ ィハイプリダイゼーションを行った。 洗浄および染色は専用の Fluidics Station (Affymetrix) を用いて行った。 シグナルは専用の Confocal Scanner (MolecularDynamics) を用いて検出した。 アレイハイブリダィゼーシヨンシグ ナノレは GeneChip analysis softwareによって resence と半 (J定 eれ 7こ全: ®1S 子のシグナル値の中央値を 1として標準化した。 上記の方法により、 膝関節 0A患 者由来関節軟骨 (n=5)、 股関節 OA患者由来軟骨 (n=5)、 正常膝関節軟骨 (n=3)、 および正常股関節軟骨 (n=3) より抽出した total RNAから作製したビォチン化 cRNAを用いてァスポリンのマイクロアレイ解析を行った結果、 膝関節 0Aと股関 節 0Aの両方において各々の関節由来正常軟骨と比べてァスポリン mRNA発現量が 有意に増加していることがわかった (p<0. 01, 図 8)。 すなわち、 ァスポリンが ヒト 0A関節軟骨で発現量が上昇する遺伝子であることが明らかとなった。
実施例 11 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型のタイピング 日本人一般集団、 および三重県宮川村コホート (cohort) 集団を用いて、 変 形性関節症の相関解析を行った。 日本人一般集団は、 膝関節 OA患者 393人、 股関 節 OA患者 593人、 および非 OA患者 (対照) 374人により構成された。 三重県宫川 村コホートは、 膝関節 OA患者 137人、 非 OA患者 (対照) 234人により構成された。 これらの患者より得た末梢血より調製した DNAサンプルを用いて、 ァスポリン N 末にあるァスパラギン酸繰り返し多型 (塩基配列: GAT) の繰り返し数のタイピ ングを以下の方法により行った。 繰り返し多型の領域をはさむ蛍光プライマーぺ ァ (Appl ied Biosystems)、 すなわち 6- FAMラベル化センス鎖プライマー (ATTCCTGGCTTTGTGCTCTG; 配列番号: 31) およびティルドアンチセンス鎖プライ マー (TGGCTTCTTGGCTCTCTTGT ; 配列番号: 32) を各々 3 pmol, lO X ExTaqバッフ ァー 1. 5 μ 1, 2. 5 raMデォキシリボヌクレオチド溶液 1. 2 μ 1, ジメチルスル ホキシド (DMS0) 1. 5 μ ΐ, ExTaq (宝酒造) 0. 3 μ ΐ, 2. 5 ng/ μ 1 DNA溶液 1. 5 μ ΐを含む混合液 15 // 1を調製し、 Gene Amp PGR System 9700 (Appl ied Biosystems) を用いて、 94°Cで 8分置いた後、 94°Cで 30秒、 60°Cで 30秒、 72°Cで 30秒を 1サイクルとして 35サイクル各反応を繰り返し、 さらに 72°Cで 7分間反応 させるというプログラムで PCRを行った。 反応終了後、 105 1の蒸留水を加え、 ボルテックスミキサーで 1秒 x3回混合した。 1 ralの Hi-Diホルムアミ ド (Appl ied Biosystems) あたり 40 μ 1の GENESCAN- 500 [R0X] (Appl ied Biosystems) を添 加し、 ポルテックスミキサーで混合した後、 Optical 96-Wel l Reaction Plate (Appl ied Biosystems) に 10 μ 1/wel lずつ分注した。 その中に、 蒸留水で希釈 した PCR反応液を 1. 5 μ ΐ/wellずつ加え、 95°Cで 5分間加熱した後、 氷中 5分以上 静置した。 このようにして調製した反応液を ABIPRISM 3700 DNA Analyzerを用 いてキヤピラリー電気泳動を行った後、 GeneScan Analysis 3. 5 (Appl ied Biosystems) および Genotyper 3. 7 (Appl ied Biosystems) を用いて D (GAT) の繰り返し数のタイピングを行った。 その結果、 繰り返し数は D10から D19まで 観察され、 D14だけが、 すべての 0A患者サンプルにおいて、 一般集団およぴコホ
曰本人膝関節 OAおよび股関節 OA患者におけるァスポリンァスパラギン酸繰リ返し多型のァレル頻度
集団 アレル D10 D11 D12 D13 D14 D15 D16 D17 D18 D19 Total
コホート膝関節 OA 数 0 0 36 163 30 14 15 15 1 0 274
(N=137) 頻度 (%) 0 0 13.1 59.5 10.9 5.1 5.5 5.5 0.36 0 100
コホート非 OA 数 0 0 63 314 22 22 31 16 0 0 468
(N=234) 頻度 (%) 0 0 13.5 67.1 4.7 4.7 6.6 3.4 0 0 100
一般集団膝関節 OA 数 1 0 121 459 61 34 84 26 0 0 786
(N=393) 頻度 ( ) 0.13 0 15.4 58.4 7.8 4.3 10.7 3.3 0 0 100
一般集団股関節 OA 数 0 1 185 731 94 37 104 34 0 0 1186
(N=593) 頻度 (%) 0 0.08 15.6 61.6 7.9 3.1 8.8 2.9 0 0 100
一般集団非 OA 数 0 1 104 479 36 34 57 35 1 1 748
(N=374) 頻度 (%) 0 0.13 13.9 64 4.8 4.5 7.6 4.7 0.13 0.13 100
。 ^φ^¾¾f¾14τ¾-、 D13T,
#i濂 ¾¾^ M:sj¾0A (¾¾ ^^^¾\¾8St D13 OA.1
実施例 12 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型と日本人における 膝関節 OAとの相関解析
実施例 11で得られた結杲に基づき、 ケース-コントロール相関解析を以下のよ うにして行った。 すなわち、 日本人一般集団膝関節 OA患者 (n=393) をケース、 非 OA患者 (n=374) をコントロールとし、 両集団における D14アレルの頻度の差 および D14アレル保有者 (ヘテロまたはホモ) 頻度の差を χ二乗法により検定し た。 その際、 D14に対する比較の対象は、 D14以外のすべてのアレルを用いた。 その結果、 日本人一般集団膝関節 OAで D14ァレルの頻度および D14ァレル保有者 頻度が非 OAと比べて有意に高いことがわかった (表 9)。
Tis
者 (n=137) をケース、 非 OA患者 (n=234) をコントロールとし、 両集団におけ る D14アレルの頻度の差、 および D14アレル保有者 (ヘテロまたはホモ) 頻度の 差を; C二乗法により検定した。 その際、 D14に対する比較の対象は、 D14以外の すべてのアレルを用いた。 'その結果、 膝関節 OAで D14アレルの頻度および D14ァ レル保有者頻度が非 OAと比べて有意に高いことがわかった (表 6)。 以上の結果 から、 独立した 2つの集団でァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型が 日本人膝関節 OAと有意に相関することが明らかとなった。
さらに、 上記の一般集団とコホートとを併せたときのケース-コントロール相 関解析を以下のようにして行った。 すなわち、 日本人膝関節 OA患者 (n=530) を ケース、 非 OA患者 (n=608) をコントロールとし、 両集団における D14アレルの 頻度の差、 および D14アレル保有者 (ヘテロまたはホモ) 頻度の差を; c二乗法に より検定した。 その際、 D14に対する比較の対象は、 D14以外のすべてのアレル を用いた。 その結果、 一般集団とコホートを併せることにより D14アレルの頻度 および D14アレル保有者頻度がより有意に高くなることがわかった (表 9)。
また、 疾患アレルである D14との比較の対象を保護アレルである D13として上 記と同様に一般集団、 コホート、 一般集団 +コホートの場合においてケース -コ ントロール相関解析を行ったところ、 いずれの集団を用いた場合も D14以外のす ベてのアレルを比較の対象とした場合よりも、 ケース-コントロール間での D14 アレル頻度の差の有意差がより顕著になることがわかった (表 9)。 したがって、 ァスポリン D14とァスポリン D13との間に膝関節 0Aになりやすい (なりにくい) 体質を作り得るような何らかの機能的な差があることが示唆された。 実施例 13 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型と日本人における 股関節 0Aとの相関解析
実施例 11で得られた結果に基づき、 ケース-コントロール相関解析を以下のよ うにして行った。 すなわち、 日本人一般集団股関節 0A患者 (n=593) をケース、 非 0A患者 (n=374) をコントロールとし、 両集団における D14アレルの頻度の差、
および D14アレル保有者 (ヘテロまたはホモ) 頻度の差を%二乗法により検定し た。 その結果、 日本人一般集団股関節 OAで D14アレルの頻度および D14アレル保 有者頻度が非 OAと比べて有意に高いことがわかった (表 9)。 以上の結果から、 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型がョ本人における股関節 OAと 有意に相関することが明らかとなった。
次に、 疾患アレルである D14との比較の対象を保護アレルである D13としたと きの、 両集団における D14アレルの頻度の差を; c二乗法により検定した。 その結 果、 D14以外のすべてのアレルを比較の対象とした場合よりも、 ケース-コント 口ール間での DMァレル頻度の差の有意差がより顕著になることがわかった (表 9)。 したがって、 ァスポリン D14とァスポリン D13との間に股関節 OAになりやす い (なりにくい) 体質を作り得るような何らかの機能的な差があることが示唆 された。 実施例 14 ァスポリン遺伝子の連鎖不平衡解析
理研内部で保有している全 8疾患 (股関節 0A, 膝関節 OA, 心筋梗塞, 糖尿病性 腎症/網膜症, 肥満, 慢性関節リウマチ, 喘息, 慢性肝疾患) 患者 DNAサンプル より得られた SNPタイピングデータを用いて、 以下の方法により連鎖不平衡マッ ビングを行った。 すなわち、 ァスポリン遺伝子およびその周辺遺伝子を含む約 500 kbの領域内より、 マイナーアレル頻度が 20%以上である 15個の SNPを選択し, 連鎖不平衡定数!)'を用いて連鎖不平衡マップを作製した。 その結果、 ァスポリ ン遺伝子は一つの連鎖不平衡ブロック内に完全に含まれていることがわかった (図 9a, b)。 以上の結果から、 ァスポリン遺伝子内でァスパラギン酸繰り返し多 型を上回る有意な相関を示す多型がないことを示すためには、 ァスポリン遺伝子 全体から多型を探す必要があることがわかった。 実施例 15 ァスポリン遺伝子内の一塩基多型 (S P) と三重県宫川村コホートサ ンプル中の膝関節 0Aとの相関解析
日本人一般集団膝関節 OAおよび宫川村コホートの中で D14をホモまたはへテ口 で保有する人から調製した DNAサンプルを用いて、 ァスポリン遺伝子の 5'上流 5 kb, 全 exon, 3,下流領域, 並びに exon-intron junctionについてシークェンス を行い、 多型探索を行った。 その過程で見つかった中で比較的高頻度に認められ た 7つの多型 (6 SNPsと 1欠失; 図 9a, 下段) を選び、 宫川村コホートサンプル を用いて genotypingを行った。 相関解析の結果,有意な相関を示すものはなかつ た (表 10)。
実施例 16 ァスポリン遺伝子のァスパラギン酸繰り返し多型における D14アレル 保有者頻度と日本人膝関節 OAの重症度との相関
実施例 11で得られた結果に基づき、 膝関節 OAの重症度と D14アレル保有者頻度 との関係を日本人一般集団膝関節 OAおよぴコホートについて調べた。 その結果、 両集団とも疾患の重症度が高いほど D14保有者頻度が高い傾向が認められた (図 10)。 したがって、 遺伝子型 (genotype) と表現型 (phenotype) とが相関する ことがわかった。 実施例 17. ヒ トァスポリン D13および D14安定発現 ATDC5細胞株の取得
ヒ トァスポリンをマウス軟骨幹細胞株である ATDC5細胞に安定発現させるため のプラスミド DNAを以下のようにして調製した。 まず、 以下に記す方法により、 ヒ トァスポリン D13および D14の全長 cDNAを取得した。 K0D_plus (東洋紡) を用 い、 添付プロトコールに記載された方法に従って反応液を調製した。 プライマー は 25 μ ΐの反応液当り、 開始コドンと制限酵素 Xho Iサイトを含むセンス鎖ブラ イマ一とァスポリンの終止コドンと制限酵素 BaraH Iサイトを含むアンチセンス 鎖プライマーを各々 7. 5 pmolずつを使用し、 铸型として、 ァスポリンのァスパ ラギン酸繰り返し多型の D13ァレルと D14ァレルをへテロで保有する 0A患者の膝 関節軟骨から抽出した total RNAより調製した cDNA溶液を 1 μ ΐ (total RNAとし て 10 ng) 使用 した。 反応は、 Gene Amp PCR System 9700 (Applied Biosystems) を用いて、 94°Cで 2分置いた後、 94°Cで 15秒、 55°Cで 30秒、 68°Cで 1. 5分を 1サイクルとして 35サイクル各反応を繰り返し、 さらに 72°Cで 7分間反 応させるというプログラムで PCR反応を行った。 増幅された DNA断片を QIAquick PCR Purification Kit (キアゲン) を用いて精製した後、 制限酵素 Xho Iと BamH Iで処理を行った。 この反応液についてァガロースゲル電気泳動を行い、 ァスポ リ ンの全長サイズ (1. 1 kb付近) に相当するパンドを切り出して、 QIAquick Gel Extraction Kit (キアゲン) を用いて精製した。 この DNA断片をあらかじめ Xho Iと BamH Iで消化してリニア化した PcDNA3. 1 (- )ベクター (インビトロゲン) と Ligation high (東洋紡) を用いて連結させた。 このプラスミ ド DNAを大腸菌 コンビテントセル JM109 (宝酒造) に形質転換し、 アンピシリンを含む LB寒天培
地にまいた。 出現したコロニーよりプラスミ ド DNAを抽出し、 揷入 DNA断片の塩 基配列を確認した。 正しい塩基配列を持つ挿入 DNA断片を含むクローンを D13と D14についてそれぞれ選択し、 該クローンよりァスポリン D13全長 cDNAを含むプ ラスミ ド DNA (pcDNA3. 1-ASP13) およびァスポリン D14全長 cDNAを含むプラスミ ド DNA (pcDNA3. 1-ASP14) を取得した。
pcDNA3. 1- ASP13および pcDNA3. 1- ASP14を FuGENE- 6 (Roche) を用いて添付プロ トコール記載の方法にしたがって、 ATDC5細胞株に導入した。 培地 1-1 (5% FBS, ペニシリン (lOOU/ml) , ス トレプトマイシン (100 μ g/ral) , ITS (シグマ) お よび 500 / g/ml G418 (プロメガ) を含む DMEM/F12培地 (インビトロゲン)) 中 で、 生き残った細胞から限界希釈法によりヒ トァスポリン D13および D14安定発 現 ATDC5細胞株クローンを取得した。 実施例 18 ヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株における TGF- ]3ァイソフォーム (TGF- j3 s : TGF- β 1, β 2 および j8 3) 刺激ァグリカンおよび II型コラーゲン遺 伝子発現抑制作用
ヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株における TGF- β s刺激によるァグリカン および 11型コラーゲン遺伝子発現の定量は以下の方法で行つた。 実施例 17で作 製したヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株を培地 1-1で培養し、 コンフルェン トに達した時点で FBSを 0. 2%にした培地 1-1に交換し、 12時間前培養した。 次に、 TGF- j3 s (いずれも 10 ng/ral) を加え、 さらに 24時間培養した後、 Isogen (ニッ ポンジーン) を用いて total RNAを抽出した。 Total RNAの精製は SV Total RNA Isolation System (プロメガ) を用いて、 キット添付のプロトコールに準じて 行った。 cDNA It TaqMan Reverse Transcription Reagents (ABI) を用いて random primerを铸型にして合成した。 Real-time PCRは QuantiTectSYBR Green PCR Kit (QIAGEN) を用いて反応を行い、 ABI PRISM 7700を用いて検出、 定量し た。 このような方法で、 ヒトァスポリン D13および D14安定発現 ATDC5細胞株にお ける TGF- β s刺激によるァグリカンおよび 11型コラーゲン遺伝子発現量を測定し
た結果、 両方の株において raockと比べて TGF- j3 1刺激によるァグリカンおよび II 型コラーゲン遺伝子発現量の上昇が抑制された (図 11, 図 12)。 これらの株では ヒトァスポリン遺伝子が確かに高発現していることを確認した (図 13)。 これら の結果より、 ァスポリンは ATDC5細胞において TGF_ ]3 1刺激による軟骨マーカー 遺伝子発現上昇を抑制する作用を有することがわかった。 実施例 19 ヒ トァスポリン一過性発現 ATDC5細胞株における TGF- β 1刺激ァグリ 力ンおよび II型コラーゲン遺伝子発現抑制作用
ATDC5細胞を 0. 5xl05 cells/wellで 12- well プレートに蒔き、 培地 1-2 (5% FBS, ITS (シグマ), ペニシリン (100 U/ml) およびス トレプトマイシン (100 μ g/ral) を含む DMEM/F12培地) 中で培養した。 その 24時間後に FuGENE - 6 (Roche) を用いて pcDNA3. 1-ASP13および PcDNA3. 1 - ASP14を導入させ、 24時間培 養した。 次に、 FBSを 0. 2%にした培地 1-2に交換して 12時間培養した後、 TGF- j3 1 (10 ng/ml) を加え、 さらに 18時間培養した後、 実施例 18と同様にして total RNA抽出、 精製、 cDNA合成、 および Real- time PCRを行った。 その結果、 ァスポ リン D13および D14を一過性に発現させた ATDC5細胞において mockと比べて、 TGF- 1刺激時におけるァグリカンおよび II型コラーゲン遺伝子発現量の上昇が抑制 された (図 14)。 これより、 ァスポリンは ATDC5細胞において安定発現株と一過 性発現株の両方で TGF- 1刺激による軟骨マーカー遺伝子発現上昇を抑制する作 用を有することがわかった。 実施例 20 ヒートァスポリン安定発現 ATDC5細胞株の軟骨分化培養過程における軟 骨初期分化マーカー遺伝子発現抑制作用
実施例 17で作製したヒ トァスポリ ン安定発現 ATDC5細胞株を 0. 3xl05 cells/wellで 12-wellプレートに蒔き、 培地 1-1で 5, 9, 15および 21日間培養し た後、 実施例 18と同様にして total RNA抽出、 精製、 cDNA合成、 および realtime PCRを行った。 その結果、 mockでは培養 9曰目にァグリカンおよび II型コラ
一ゲン遺伝子発現上昇がピークに達したが、 ヒ トァスポリン D13および D14発現 株ではこれらの軟骨分化マーカーの発現上昇がみられなかった (図 15)。 これら の結果より、 ァスポリンは ATDC5細胞における軟骨細胞の分化を抑制する作用を 有することがわかった。 実施例 21 ヒ トァスポリン D13およぴヒ トァスポリン D14を一過性に発現させた ATDC5細胞株における TGF- β 1刺激によるァグリカンぉよび Π型コラーゲン遺伝 子発現の抑制活性の比較
実施例 19の結果を基に、 ァスポリン D13と D14の、 TGF- /3 1刺激時の軟骨分化マ 一力一遺伝子発現抑制作用の強さを、 以下の方法により評価した。 まず、 Mock において TGF- ]3 1刺激により上昇したァグリカン遺伝子発現量を (AM)、 そのと きの Π型コラーゲン遺伝子発現量を (CM) とする。 次に、 ァスポリン D13の強制 発現により抑制された TGF- β 1刺激時のァグリ力ン遺伝子発現量を (A13)、 その ときの II型コラーゲン遺伝子発現量を (C13) とする。 同様に、 ァスポリン D14 の強制発現により抑制された TGF- J3 1刺激時のァグリカン遺伝子発現量を (Α14)、 そのときの II型コラーゲン遺伝子発現量を (C14) とする。 このとき、 ァスポリ ン D13発現株における TGF- ]3 1刺激時のァグリカン遺伝子発現抑制率は (Α13) / (ΑΜ)、 II型コラーゲン遺伝子発現抑制率は (C13) / (CM) と表せる。 同様 に、 ァスポリン D14発現株における TGF- ]3 1刺激時のァグリカン遺伝子発現抑制 率は (A14) / (AM)、 II型コラーゲン遺伝子発現抑制率は (C14) / (CM) と表せる。 さらに、 これらを TGF - ]3 1刺激時のヒトァスポリン mRNA量で割って補正すること により、 ヒ トァスポリン mRNA量当りのァグリカンおよび II型コラーゲン遺伝子 発現抑制率を算出した。 ァスポリン D13と D14におけるこれらの値の平均値の差 を Student' s t- testにより有意差検定を行った。 その結果、 ァスポリン D14は D13よりも TGF- ]3 1刺激時のァグリカンおよび II型コラーゲン遺伝子発現抑制作 用が有意に強いことがわかった (図 16)。 以上の結果から、 ァスポリン D13と D14 とは機能的な差があることが明らかとなった。 ァスポリン D14は D13よりも軟骨
分化抑制作用が強いことから、 D14を持つ人の方が持たない人よりも軟骨が生得 的に脆弱であり、 そのことが OAになりやすい体質をつくる原因となっているの かもしれない。 実施例 22 プルダウンアツセィ法を用いたヒ トァスポリンと TGF- ]3との結合試 験
以下に記す方法により、 ヒ トァスポリン成熟体の全長 cDNAを取得した。 K0D- plus (東洋'紡) を用いて、 添付プロトコールに記載された方法に従って反応液 を調製した。 プライマーは 25 μ ΐの反応液当り、 ヒ トァスポリン成熟体の Ν末端 と Κρη Iサイトを含むセンス鎖プライマーとァスポリンの終止コドンと制限酵素 Xho Iサイトを含むアンチセンス鎖プライマーを各々 7. 5 pmolずつを使用し、 铸 型として実施例 17で作製した pcDNA3. 1-ASP13および pcDNA3. 1 - ASP14を 1 μ 1使用 した。 反応は、 Gene Amp PCR System 9700 (Applied Biosystems) を用いて、 94°Cで 2分置いた後、 94°Cで 15秒、 55°Cで 30秒、 68°Cで 1. 5分を 1サイクルとして 20サイクル各反応を繰り返し、 さらに 72°Cで 7分間反応させるというプログラム で PCR反応を行った。 この DNA断片を QIAquick PCR Purification Kit (キアゲ ン) を用いて精製した後、 制限酵素 Kpn I+Xho I処理を行った。 この反応液につ いてァガロースゲル電気泳動を行い、 ヒ トァスポリン成熟体の全長サイズ (1 kb付近) に相当するバンドを切り出して、 QIA quick Gel Extraction Kit (キ ァゲン) を用いて精製した。 この DNA断片をあらかじめ Kpn Iと Xho Iで消化して リニア化した pET29b (+)ベクター (Novagen) と Ligation high (東洋紡) を用い てインフレームになるように連結させた。 このプラス.ミド DNAを大腸菌コンビテ ントセル JM109 (宝酒造) に形質転換し、 カナマイシンを含む LB寒天培地にまい た。 出現したコロニーよりプラスミ ド DNAを抽出し、 揷入 DNA断片の塩基配列を 確認した。 正しい塩基配列を持つ揷入 DNA断片を含むクローンを選択し、 該クロ ーンょりヒトァスポリン成熟体の全長 cDNAを含むプラスミ ド DNA (pET29b-ASP13 および pET29b- ASP14) を取得した。
このようにして作製した pET29b- ASP13および PET29b- ASP14を鑤型として、 S- タ グ付 き ヒ ト ァ ス ポ リ ン D13 お よ び D14 を TNT Quick Coupled Transcription/Translation Systems (プロ メ ス ) を用いて Transcend™ Biotin - Lysyl - tRNAの存在下で反応を行うことにより調製した。 S-タグ付きヒ ト ァスポリン D13および D14を含む反応液 (10 μ 1) と TGF- ]3 1 (0. 1 μ g) を、 バ ッファー A (50 mM Tris (pH 7. 5) , 150 mM NaCl, 1% Triton X- 100, Complete protease inhibitor cocktail tablets (Roche) ) 中、 4°Cで 1時間混合した後、 S -プロテインァガロース (Novagen, 12. 5 μ 1) を加え、 さらに室温で 30分間ィ ンキュペートした。 沈澱させたレジンをバッファー Αで 5回洗浄した後、 還元条 件下で SDS- PAGEを行った。 沈殿物中の S-タグ付きヒ トァスポリンはストレプト アビジン - HRP (R&D Systems) を、 TGF- β 1はビォチン化抗 TGF- j3 1抗体 (Genzyme) を用いたウェスタンプロッティングにより検出した。 以上の方法に より、 ヒ トァスポリンと TGF - との結合を調べた結果、 S-タグ付きヒトァスポ リン D13および D14を含む沈殿物中には TGF- ]3 1のバンドが検出された (図 17)。 以上の結果より、 S-タグ付きヒ トァスポリン D13および D14は、 TGF- ]3 1と i/? ' roで結合することがわかった。 実施例 23 大腸菌組換え型マウスァスポリンの部分精製
以下に記す方法により、 マウスァスポリン成熟体の全長 cDNAを取得した。 KOD-plus (東洋紡) を用いて、 添付プロトコールに記載された方法に従って反 応液を調製した。 プライマーは 25 Ai lの反応液当り、 マウスァスポリン成熟体 の N末端と BamH Iサイトを含むセンス鎖プライマーとァスポリンの終止コドンと 制限酵素 Hind IIIサイトを含むアンチセンス鎖プライマーを各々 7. 5 pmolずつ を使用し、 铸型としてマウス ATDC5細胞株から抽出した total RNAより調製した cDNA溶液を 1 μ ΐ (total RNAとして 10 ng) 使用した。 反応は、 Gene Amp PCR System 9700 (Applied Biosystems) を用いて、 94°Cで 2分置いた後、 94°Cで 15 秒、 55°Cで 30秒、 68°Cで 1. 5分を 1サイクルとして 35サイクル各反応を繰り返し,
さらに 72°Cで 7分間反応させるというプログラムで PCR反応を行つた。 増幅され た DNA断片を QIAquick PCR Purification Kit (キアゲン) を用いて精製した後 制限酵素 BamH I+Hind II I処理を行った。 この反応液についてァガロースゲル電 気泳動を行い、 マウスァスポリン成熟体の全長サイズ (1 kb付近) に相当する パンドを切り出して、 QIA quick Gel Extraction Kit (キアゲン) を用いて精 製した。 この DNA断片をあらかじめ BaraH Iと Hind IIIで消化してリニア化した pET29b (+)ベクター (Novagen) と Ligation high (東洋紡) を用いてインフレ一 ムになるように連結させた。 このプラスミ ド DNAで大腸菌コンビテントセル JM109 (宝酒造) を形質転換し、 カナマイシンを含む LB寒天培地にまいた。 出現 したコロニーよりプラスミ ド DNAを抽出し、 揷入 DNA断片の塩基配列を確認した ( 正しい塩基配列を持つ揷入 DNA断片を含むクローンを選択し、 該クローンよりマ ウスァスポリン成熟体の全長 cDNAを含むプラスミ ド DNA (pET29b-MASP) を取得 した。 この pET29b- MASPで、 さらに、 大腸菌 £ coli Rosetta (DE3) pLysS株を 形質転換し、 カナマイシンを含む LB寒天培地上で生育した大腸菌株 ( . coli Rosetta (DE3) pLysS/pET29b-MASP) を取得した。
この大腸菌株 (E. coli Rosetta (DE3) pLysS/pET29b-MASP) を用いて、 カナ マイシンを含む LB培地中、 37°Cで 0D600値が 0. 5になるまで培養した後、 終濃度 1 mMになるようにイソプロピル- β -D-チォガラタトピラノシド (IPTG) を添加し て、 さらに 30°Cで 6時間培養した。 培養終了後、 培養液を遠心分離して集菌し、 その菌体を BugBuster Reagent (Novagen; に懸満し、 Benzonase (Novagen) 処 理を室温で 20分間行った。 この反応液を 10, 000 rpraで 20分間、 4°Cで遠心分離し た後の上清を可溶性画分と した。 タンパク量は Protein Assay Reagent (BioRad) を用いて測定した。 この可溶性画分のバッファー交換を行うため、 パ ッファー S (4 M グァニジン塩酸, 50 mM マレイン酸ナトリウムバッファー (pH 6. 0) , 0. 05% CHAPS, 10 mM EDTA) に置換した。 次に、 このタンパク溶液を Amicon Ultra- 4 10, 000MWC0を用いて濃縮 した後、 AKTAExplorer 100 (Amersham) に取り付けた Superose 12カラム (Amersham) を用いたグル濾過を
バッファー S中で行うことにより分画した。 S-プロテイン - HRPを用いたゥエスタ ンプロッティングにより Sタグ付きマウスァスポリンの溶出位置を確認し、 Sタ グ付きマウスァスポリンを含むフラクションを再度 AraiconUltra- 4 10, OOOMWCO を用いて濃縮した後、 再度ゲル濾過を行った。 この操作をもう一度繰り返して得 られたフラクショ ン 透析により Complete protease inhibitor cocktail tablets (Roche) を含む PBSに交換した。 このようにして得られたタンパク溶液 を Fr. 18- 21とした。 このフラクションについて SDS-PAGEを行い、 クマシ一染色 でタンパクのバンドを検出したところ、 Sタグ付きマウスァスポリンの分子量に 相当するバンド以外にまだ数本のバンドが検出された (図 18a)。 また、 このフ ラタション中に Sタグ付きマウスァスポリンが含まれることは S-プロテイン- HRP を用いたウェスタンプロッティングにより確認した (図 18b)。 このようにして 得られた Fr. 18 - 21を Sタグ付きマウスァスポリンの部分精製品として、 以下の結 合実験に使用した。 実施例 24 マイクロプレートアツセィ法を用いたマウスァスポリンと TGF- ]3と の結合試験
マイクロプレートアツセィ法を用いたマウスァスポリンと TGF- /3との結合試 験をピオチン化デコリンと TGF- ]3との結合阻害度を指標として以下のようにし て行った。 Nunc社 Maxisorp 96- well マイク口プレートに 0. 05 M 炭酸ナトリウ ムバッファー (PH 9. 6) で調製した 1 /i g/ml TGF- 1溶液を 100 / 1/wellずつ 分注し、 4°Cでー晚コーティングした。 TGF - 3 - coated wellを 200 μ 1/wellの結 合バッファー (50 mM Tris (pH 7. 4) , 150 mM NaCl, 2% BSA, 0. 05% T een20) 中、 37°Cで3時間ブロッキングした。 wellを 400 μ 1/wellの結合バッファーで 1 回洗浄した後、 well当り全量が 100 μ ΐになるように結合バッファーで調製した ピオチン化デコリンと非ラベル化タンパクを添加し、 37°Cで 6時間インキュベー トした。 wellを 400 μ I/wellの結合バッファーで 3回洗浄した後、 結合バッファ 一で 200倍希釈したストレプトアビジン -HRP (R&D System) を 100 μ ΐ/wellずつ
加え、 室温で 20分間インキュベートした。 wellを 400 μ 1/wellの結合バッファー で 3回洗浄した後、 TMB PeroxidaseSubstrate Kit (BIO-RAD) 添付の発色試薬を 100 x l/wellずつ加え、 37°Cで 15分間インキュベートした。 1 M リン酸を直接 100 μ 1/wellずつ添加して反応を停止させ、 Ultramark Microplate Imaging System (BIO-RAD) を用いて 415 nm (対照: 750 nm) の吸光度を測定した。 S-タ グ付きマウスァスポリンの TGF - ]3 1固相との結合評価は、 標識体として S-プロテ イン- HRPを用い、 ゥエルの洗浄と標識体の希釈を TBST (20 mM Tris (pH 8) , 0. 15 M NaCl, 0. 05% Triton X- 100) で行った以外は上記と同様にして行った。 トロンビン消化は 4 の Fr. 18- 21を含む 100 μ 1の反応系にビォチン化トロン ビン 0. 5 Uを添加し、 室温でー晚反応させることにより行った後、 ストレプト アビジンァガロース (50% スラリー) を 20 /z l加え、 室温で 30分間撹拌した後遠 心することにより、 ピオチン化トロンビンを除去した。 このときの上清を結合実 験に用いた。
その結果、 Fr. 18- 21にはタンパク量依存的にビォチン化デコリンの TGF- jS 1と の結合を阻害する活性が認められた (図 19a)。 すなわち Fr. 18- 21には TGF- ]3 1中 のデコリン結合部位と同じ場所に特異的に結合するタンパクが含まれることがわ かった。 次に、 この活性が S-タグ付きマウスァスポリンによるものであるかど うかを調べるために、 結合アツセィの際の検出を、 ストレプトアビジン -HRPを 用いて行った。 その結果、 S-タグ付きマウスァスポリンの結合が認められた (図 19b)。 さらに、 この結合は、 トロンビン消化により消失したことから、 Fr. 18- 21中に認められたデコリン- TGF- ]3 1結合阻害活性が S-タグ付きマウスァ スポリン中のァスポリン部分と TGF - 1との結合を介するものであることがわか つた (図 19b)。 実施例 25 ヒ トァスポリンを一過性に発現させた C0S7細胞株における培養上清 中および細胞抽出画分におけるァスポリンタンパクの検出
細胞におけるヒトァスポリンタンパクの発現を確認する目的で、 ァスポリン成
熟体の N末に HAタグを付与した HAタグ付きァスポリンを発現させるためのプラス ミド DNAを以下のようにして調製した。 まず、 実施例 22で作製した PET29b- ASP13 および PET29b-ASP14を制限酵素 Kpn Iと Xho Iで消化し、 この反応液をァガロー スゲル電気泳動し、 予想サイズに相当するバンドを切り出して、 QIA quick Gel Extraction Kit (キアゲン) を用いて精製した。 これらの DNA断片と HAタグカー トリッジ (Hind IIIを 5'末端に、 Kpn Iを 3'末端に含むように作製したもの) を あらかじめ Hind IIIと Xho Iで消化してリニア化した pSecTag2Aベクター (イン ビトロゲン) と Ligation high (東洋紡) を用いて連結させた。 このプラスミ ド DNAで大腸菌コンビテントセル JM109 (宝酒造) を形質転換し、 アンピシリンを 含む LB寒天培地にまいた。 出現したコロニーよりプラスミド DNAを抽出し、 挿入 DNA断片の塩基配列を確認した。 正しい塩基配列を持つ挿入 DNA断片を含むク口 ーンを D13と D14についてそれぞれ選択し、 該クローンより HAタグ付きァスポリ ン成熟体 D13を含むプラスミ ド DNA (pSecTag2A- HA-ASP13) および HAタグ付きァ スポリン成熟体 D14を含むプラスミ ド DNA (pSecTag2A-HA-ASP14) を取得した。 このようにして取得したプラスミドを以下の実験に使用した。
C0S7細胞を 0. 5xl05 cells/wellで 12-well プレートに蒔き、 10°/。 FBS, ぺニシ リン (100 U/ral) およびストレプトマイシン (100 μ g/ml) を含む DMEM培地中 で培養した。 24時間後に FuGENE- 6 (Roche) を用いて PSecTag2A- HA- ASP13および PSecTag2A- HA- ASP14を導入させ、 24時間培養した。 培地を無血清の DMEMに交換 し、 さらに 24時間培養を継続した。 上清を回収し、 AmiconUltra_4 10, 000MWCO を用いて 100倍に濃縮した。 細胞抽出液は、 細胞に M- PER Mammalian Protein Extraction Reagent (PIERCE) を 50 μ ΐ/well加え、 ピペッティングすることに より調製した。 このようにして得られたサンプルを用いて HA-HRPを用いたゥェ スタンプロッテイングを行った結果、 ヒ トァスポリン成熟体の分子量に相当する 位置にバンドが検出された (図 20)。 以上の結果から、 ヒ トァスポリンは C0S7細 胞においてタンパクとして培養上清および細胞抽出液中に発現することがわかつ た。
実施例 26 ァスポリンとコラーゲンとの結合試験
ァスポリンとコラーゲンとの結合試験を以下に示す方法により行った。 コラー ゲンは、 酸可溶性 II型コラーゲン溶液 (K0KEN, 3 mg/ml) および酸可溶性 I型コ ラーゲン溶液 (I-C: 新田ゼラチン, 3 rag/ml) を用いた。 酸可溶性コラーゲン溶 液 (3 mg/ml) 5 μ 1、 実施例 13に示す方法により調製した S -タグ付きヒ トァス ポリン反応液を 5 μ 1、 および 90 // 1の PBSを含む反応液を調製し、 37°Cで 5時間 インキュベートした。 この反応液を遠心分離 (10, 000 rpm, 5分間, 4°C) した 後、 沈澱を PBSで 3回洗浄した。 洗浄した沈澱を 20 μ ΐのサンプルバッファー (2 -メルカプトエタノールを 1 /i l含む) に溶解した後、 SDS-PAGEを行い、 スト レプトアビジン- HRPを用いてウェスタンブロッティングを行った。 その結果、 S -タグ付きヒトァスポリン D13および D14は II型コラーゲンと I型コラーゲンの両 方と結合した (図 21a)。 ポジティブコントロールとして用いたデコリンは II型 コラーゲンと I型コラーゲンの両方と結合し、 ネガティブコントロールであるバ イグリカンはいずれのコラーゲンとも結合しなかった (図 21b)。 以上の結果か ら、 ヒトァスポリンは I I型コラーゲンと I型コラーゲンの両方と結合することが わかった。 実施例 27 各種軟骨系細胞株における TGF- ]3 1によるァスポリン遺伝子発現の誘 導
各種軟骨系細胞株について TGF- ]3 1によるァスポリン遺伝子発現の誘導能を以 下の方法により調べた。 0UMS- 27は 10% FBSを含む DMEMで、 CS- 0KBは 10% FBSを含 む RPMI 1640で、 正常ヒ ト膝関節軟骨細胞 (NHAC- kn, P7, monolayer, Clonetics) は Chondrocyte Growth Medium (CGM, Clonetics) を用レヽて培養し た。 ATDC5は実施例 13に記載した培地 1-2を用いて培養した。 軟骨系細胞株にお ける誘導実験は、 上記の培地中で細胞がコンフルェントに達するまで培養した後、 0. 2% FBSを含む培地に交換して 12時間培養し、 TGF- ]3 1 (10 ng/ml) を加えてさ
らに 24時間培養した。 RNAの抽出、 cDNA合成、 リアルタイム PCRは実施例 12に記 載した方法で行った。 その結果、 NHAC- knおよび 0UMS-27で TGF- β 1刺激による有 意なァスポリン遺伝子発現の上昇がみられた (図 22)。 一方、 軟骨幹細胞である ATDC5では、 ァスポリンの発現は TGF- β 1刺激によりやや抑制傾向が認められた (図 22)。 これらの結果から、 NHAC - knおよび 0UMS-27で TGF- ]3 1刺激によりァスポ リン遺伝子の発現が誘導されることがわかった。 実施例 28 ヒト膝関節 OA軟骨組織およびヒ ト軟骨系細胞株における TGF- J3 1、 β 2および β 3遺伝子発現量の比較
ヒト膝関節 OA軟骨組織 (2例) およびヒト軟骨系細胞株 (正常ヒト膝関節軟骨 細胞: NHAC- kn, OUMS- 27および CS0KB) における TGF- i3 1、 i3 2および j3 3遺伝子 の発現量をリアルタイム PCRで調べた。 また、 膝関節 OA ( 1例)、 股関節 0A (5例)、 正常膝関節 (1例) および正常股関節 (1例) について、 実施例 1に記載の方法で オリゴヌクレオチドマイクロアレイ解析による TGF- ]3 1、 j3 2および j3 3遺伝子の 発 ¾量を調べた。 その結果、 調べたすべての関節軟骨組織では TGF_ j3 1〉TGF - ]3 3XTGF- 2の順に発現量が多く、 調べたすべての軟骨系細胞において TGF - ]3 1〉丁0?- |8 2 6?- ]3 3の順に発現量が多かった (図 23)。 すなわち、 正常軟骨、 0Α 軟骨および軟骨系細胞のいずれにおいても、 TGF- /3 1が最も多く発現しているこ とがわかった。 実施例 29 ヒトァスポリン安定発現 CH0- K1細胞株の取得
ヒ トァスポリン安定発現 CH0- K1細胞株は、 上記実施例 11で調製したプラスミ ド DNAを用いて以下の方法により取得した。 すなわち、 pcDNA3. 1- ASP13および pcDNA3. 1- ASP14を、 FuGENE- 6 (Roche) を用い、 添付のプロトコールに記載の方 法に従って、 CH0- K1細胞株に導入した。 培地 2-1 (10% FBS, ペニシリン (100 U/ml) , ス トレプトマイシン (100 μ g/ml) および 500 μ g/ml G418 (プロメガ) を含む Ham' s_F12培地 (インビトロゲン))中で、 生き残った細胞から限界希釈法
によりヒ トァスポリン D13および D14安定発現 CH0-K1細胞株クローンを取得した。 実施例 30 ヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株における細胞外プロテオグリカ ン蓄積低下作用
実施例 17で作製したヒ トァスポリン安定発現 ATDC5細胞株を実施例 20に記載し. た方法で培養を行い、 培養開始後 21日目の細胞を用いてアルシアンブルー染色 を以下のようにして行った。 まず、 培地を吸引して除き、 冷 PBSで細胞表面を 3 回洗浄した後、 メタノール固定を 4°Cで 2分間行った。 メタノールを吸引で除去 し、 蒸留水で細胞を 1回リ ンスした後、 0. 1% アルシアンブルー 8GX (Sigma) /3 酢酸溶液を用いて 4°Cで 2日間細胞を染色した。 染色液を除去し、 蒸留水で 3回洗 浄した後、 顕微鏡下で観察し、 写真撮影を行った。 その後、 細胞を 6 M グァニ ジン塩酸水溶液で処理することにより染色されたプロテオグリカンを抽出した後、 630 nmの吸光度を測定した。 その結果、 アルシアンプル一による染色度は mock〉D13>D14の順に有意に強かった (図 24a, b)。 以上の結果から、 ァスポリン は ATDC5細胞におけるプロテオダリカン蓄積量を低下させる作用を持つことが明 らかとなつた。 実施例 31 大腸菌組換え型マウスァスポリンの精製
実施例 23に記載した方法で取得した大腸菌株 ( . coli Rosetta (DE3) pLysS/pET29b-MASP) を用いてカナマイシンを含む LB培地中、 37°Cで 0D600値が 0. 5になるまで培養した後、 終濃度 1 raMになるようにイソプロピル _ ]3 - D-チォガ ラタトピラノシド (IPTG) を添加し、 さらに 37°Cで 2時間培養した。 培養終了後、 培養液を遠心分離して集菌し、 その菌体を BugBuster Reagent (Novagen) に懸 濁し、 Benzonase (Novagen) 処理を室温で 20分間行った。 この反応液を 10, 000 rpmで 20分間、 4°Cで遠心分離した後の沈殿物を、 蒸留水で 10倍希釈した BugBuster Reagentを用いてさらに 3回洗浄したものを不溶性画分とした。 この 不溶性画分を Protein Refolding Kit (Novagen) を用いてキット添付のプロト
コールに準じて可溶ィヒおよび透析を行った。 さらに、 この透析後のタンパク溶液 を AKTAExplorer 100 (Amersham) に取り付けた Superose 12カラム (Araersham) を用いたゲル濾過により分離した。 以上の操作で調製したタンパク溶液を用いて SDS- PAGEを行い、 クマシプリリアントブルー染色を行った結果、 組換え型マゥ スァスポリンの分子量に相当する単一のバンドが得られた (図 25)。 よって、 上 記の方法により大腸菌で発現させた組換え型マウスァスポリンを精製できること がわかった。 実施例 32 精製組換え型マウスァスポリンの TGF- β 1結合活性
実施例 31に記載した方法で精製した組換え型マウスァスポリンを用いて実施 例 22に記載した方法 (プルダウンアツセィ法) により TGF- /3 1との結合能を調べ た結果、 精製マウスァスポリンの沈殿物中に TGF- /3 1が検出されることを確認し た (図 26)。 以上の結果より、 精製マウスァスポリンが TGF- ]3 1と i/2 ί/Όで結 合することがわかった。 実施例 33 精製組換え型マウスァスポリンの ATDC5細胞における TGF- β 1刺激ァ グリカンおよび II型コラーゲン遺伝子発現抑制活性
ATDC5細胞を 1 X 105 cells/wellで 12iell プレートに蒔き、 培地 1-2 (5% FBS, ITS (シグマ), ペニシリ ン (100 U/ml) およびス トレプトマイシン (100 μ g/ml) を含む DMEM/F12培地) 中で 2日間培養した。 細胞に FBSを 0. 2%にした培地 1-2で希釈した精製マウスァスポリンを添加し、 さらに 12時間培養した後、 TGF- m (10 ng/ml)を加え、 さらに 18時間培養した後、 実施例 18と同様にして total RNA抽出、 精製、 cDNA合成、 および real- time PCRを行った。 このとき、 ァグリ カンおよび II型コラーゲン遺伝子発現量はグリセルアルデヒド 3リン酸デヒドロ ゲナーゼ (GAPDH) 遺伝子発現量で補正した。 その結果、 精製マウスァスポリン の添加量に依存して TGF- ]3 1刺激ァグリカンおょぴ II型コラーゲン遺伝子発現を 抑制する活性が認められた (図 27)。 これより、 精製マウスァスポリンが ATDC5
細胞において TGF- ]3 1刺激による軟骨マーカー遺伝子の発現上昇を抑制する活性 を有することがわかった。 実施例 34 マイクロプレートアツセィ法を用いた精製組換え型マウスァスポリ ンと TGF - ]3との結合試験
実施例 24に記載した方法を一部改変して以下のようにして行った。 Nunc社 Maxisorp 96- ell マイクロプレートに 0. 05M 炭酸ナトリウムバッファー (pH 9. 6) で調製した 1 ^ g/ml TGF- 1溶液を 100 μ 1/wellずつ分注し、 4°C, ー晚 コーティングした。 TGF- i3でコーティングした wellを、 200 μ ΐ/wellのブロッ クエース中で 37°C, 3時間ブロッキングした。 次に well当り total volumeが 100 μ ΐになるようにブロックエースで希釈したマウスァスポリンとビォチン化マウ スァスポリンを添加し、 4°Cでー晚インキュベートした。 wellを 400 i l/wellの TBSTで 3回洗浄した後、 TBSTで 1000倍希釈したストレプトァビジン-ァノレ力リフ ォスファターゼ (Novagen) を 100 μ ΐ/wellずつ加え、 室温で 1時間インキュべ ートした。 wellを 400 1/wellの TBSTで 5回洗浄した後、 アルカリフォスファタ 一ゼ基質キット (BIO- RAD) を用いて発色させ、 Ultramark Microplate Imaging System (BIO- RAD) を用いて 405 nraの吸光度を測定した。 以上の方法でアツセィ を行うことにより、 精製マウスァスポリンが TGF - β 1と濃度依存的にかつ特異的 に結合することがわかった (図 28)。 実施例 35 精製組換え型マウスァスポリンの正常ヒ ト膝関節軟骨細胞 (NHAC) における TGF- β刺激 II型コラーゲンおよびァグリ力ン遺伝子発現抑制作用
Cambrex社より購入した NHACをキット添付の増殖培地 (Chondrocyte growth medium, CGM) で 10 cmシャーレで培養した後、 0. 05% Trypsin/EDTAで細胞をは がし、 12-well plateに 105 cells/wellになるようにまいた翌日に、 培地を DMEM/F12+0. 2°/。 FBSに交換し、 その 5時間後にァスポリンを添加した。 さらに 12 時間培養した後、 TGF- /3 1 (40 ng/ml) を添加し、 48時間培養した後の細胞から
実施例 12に記載した方法に従って、 total RNAの調製、 cDNA合成、 real- time PCRを行った。 その結果、 マウスァスポリンは NHACにおける TGF- j3 1刺激による II型コラーゲンおよぴァグリ力ン遺伝子の発現を濃度依存的に抑制した (図 29)。 したがって、 ァスポリンは正常ヒト膝関節軟骨細胞において軟骨特異的マトリツ タスの発現を低下させる作用を持つことがわかった。 実施例 36 精製組換え型マウスァスポリンの ATDC5細胞における TGF- )3特異的シ グナル抑制作用
ATDC5を 12- well plateに蒔き、 実施例 19に記載した培地 1-2を用いてコンフル ェントになるまで培養した後、 FBSを 0. 2%にした同じ培地に交換し、 4時間後に ァスポリンを添加した。 さらに 12時間後に TGF - 0 1 (10 ng/ml) を添加し、 その 5分後に M-PER試薬 (PIERCE) で細胞を溶解した。 この細胞抽出液を用いて SDS - PAGEを行い、 Cell Signaling社抗体製品に添付されたプロトコールに従ってゥ エスタンプロッティングを行った。 リン酸化 Smad2および Smad2タンパク質の検 出のための一次抗体は Phospho- Smad2 antibody (Cell Signaling) および Rabbit anti- Sraad2 (Zymed Laboratories) をそれぞれ用いた。 二次抗体は抗ゥ サギ IgG- HRP (Cell Signaling) を用いた。 その結果、 マウスァスポリンは TGF- β ΐ (10 ng/ral) 刺激による Smad2リン酸化を濃度依存的に抑制した (図 30)。 こ れより、 ァスポリンは TGF- 特異的シグナルを抑制する作用を示すことがわか つた。 実施例 37 リアルタイム PCR法による正常おょぴ 0A関節軟骨におけるァスポリン mRNA発現量の比較
0A関節軟骨は膝関節 0A患者 (n=8) の膝より採取した。 非 0A関節軟骨は大腿骨 頸部骨折 (feraoralneck fractures, FNF) 患者 (n=9) の大腿骨頭より採取した。 これらの FNF患者には関節疾患の発症歴およびレントゲン所見上での 0Aの徴候は 認められなかった。 採取した軟骨組織はただちに液体窒素で凍結させた後、 -
80°Cで保管した。 次いで、 凍結組織を CRYO- PRESS (マイクロテック ·ニチオン) を用いて粉砕し、 ただちに Isogen (二ツボンジーン) を加えて混合し、 4°Cで 2 日間 shakingすることにより、 RNAを抽出した。 抽出後は実施例 15に記載した方 法に従って、 total RNAの調製、 cDNA合成、 リアルタイム PCRを行った。 その結 果、 OA関節軟骨では非 OA関節軟骨と比べて約 20倍ァスポリン mRNA量が高かった (図31)。 したがって、 ァスポリンが 0A関節軟骨で著しく発現上昇する疾患感受 性遺伝子であることがわかった。 実施例 38 ATDC5細胞株における TGF- j3 1刺激 II型コラーゲン遺伝子発現に及ぼ すヒトァスポリン D16および D17の一過性発現の効果
実施例 21に記載した方法に基づき、 D-リピート数が 16 (D16) および 17 (D17) であるァスポリンの一過性発現による TGF- 1刺激 C0L2A1発現抑制作用を D14と 比較した。 その結果、 D16と D17の活性は有意に D14よりも弱かった (図 32)。 こ れより、 ァスポリンの活性は D14にユニークであり、 D -リピートの長さに依存し ないことが分かった。 実施例 39 各種細胞株培養上清における組換え型ヒトァスポリンの発現
実施例 25に記載した方法に基づき、 HAタグ付きァスポリン D13および D14成熟 体発現ベクターを各種細胞株に導入したときの培養上清における発現をゥエスタ ンブロッテイングで調べた。 その結果、 ヒ ト肝臓癌細胞株 HuH- 7、 マウス軟骨前 駆細胞株 ATDC5、 および正常ヒ ト膝関節軟骨細胞 (NHAC, Cambrex社) において HAタグ付きァスポリンのバンドを確認した (図 33)。 以上の結果から、 この方法 によりヒ トァスポリンを非軟骨系、 軟骨系を問わず、 種々の細胞の培養上清中に 発現させることができることがわかった。 実施例 40 組換え型マウスァスポリンの ATDC5細胞増殖抑制作用
ATDC5を 0. 4 X 105 cells/wellずつ 12iell plateに蒔き、 実施例 19に記載した
培地 1-2を用いて 24時間培養した後、 ァスポリンと bFGFを添加し、 経時的に MTT アツセィを以下のようにして行った。 すなわち、 培地を吸引により除去し、 1 mg/mlになるように DMEM/F12に溶かした MTT試薬 (D0JIND0) を 1 ral/wellずつ添 加し、 C02インキュベータ一中で 1時間インキュベートした。 上清を吸引により除 去し、 溶解試薬 (86% イソプロパノール, 40 mM HC1, 1% SDS) を 0. 2 ml/well ずつ入れ、 室温で 5分間抽出した。 この抽出液を 96- well plateに移し、 プレー トリーダーを用いて 0D550を測定した。 その結果、 ァスポリンは濃度依存的に ATDC5細胞の増殖を抑制することがわかつた (図 34a)。
また、 この条件で bFGFは濃度依存的に ATDC5細胞の増殖を抑制するが、 さらに ァスポリン (10 μ g/ml) を添加することにより増殖抑制効果が増強された (図 34b) 0 以上の結果から、 ァスポリンは ATDC5細胞の増殖を抑制する作用を持つこ とが明らかとなった。 実施例 41 組換え型マウスァスポリンの ATDC5細胞における bFGF刺激プロモデォ キシゥリジン (BrdU) 取り込み促進作用
実施例 40と同様にして蒔いた ATDC5細胞がサブコンフルェントに達した時点で 無血清 DMEM/F12で細胞を 2回洗浄し、 1 ml/wellずつ無血清 DMEM/F12を入れ、 24- 48時間培養した。 そこにァスポリンと bFGFを添加してさらに 20時間培養後に BrdU取り込みアツセィを Cell Proliferation ELISA, BrdU (Roche) を用いて、 12iell plateアツセィ用にプロ トコールを以下のように改変して行った。 すな わち、 細胞に終濃度 1 /z Mになるように BrdUを添加し、 37°C、 4時間培養した後- 培養液を吸引除去し、 固定液 (FixDenat) を 1 ml/wellずつ添加してから室温 30 分間静置した。 固定液を吸引除去し、 BrdU抗体- HRP (xlOOO) を 0. 5 ml/wellず つ添加して室温 1時間静置した後、 TBSTで 4回洗浄し、 基質液を 0. 3 ml/wellずつ 入れ、 室温で 30分間、 十分発色するまで反応させた。 1 M リン酸 0. 3ml/wellず つ入れて反応を停止させ、 96- well plateに移し、 プレートリーダーを用いて 0D415を測定した。 その結果、 ァスポリンは bFGF非存在下では BrdU取り込みに変
化は与えず、 bFGF存在下でのみ BrdU取り込み上昇をさらに増強させる活性を示 した (図 35)。 したがって、 ァスポリンは ATDC5細胞における bFGF作用の positive regulatorであること力 Sわ力つた。 実施例 42 マイクロプレ -トアツセィ法を用いたマウスァスポリンと bFGFとの結 合試験
マイクロプレートに 1 g/ml TGF- ]3 1の代りに bFGF溶液をコーティングする 点以外は、 実施例 34と同様にして行った。 その結果、 精製マウスァスポリンは bFGFと濃度依存的かつ特異的に結合することがわかつた (図 36)。
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実施例 43 ァスポリン抗血清の調製
免疫源として用いたペプチドの合成および免疫はペプチド研究所 (株) に外 注した。 すなわち、 ヒトァスポリン成熟体の N末から 2 1番目から 3 3番目のァ ミノ酸で構成されるペプチド (Peptide - 2210 : NSLFPTREPRSHF) (配列番号: 33)、 および N末から 264番目から 279番目のアミノ酸で構成されるペプチド (Peptide - 2211: ENNKLKKIPSGLPELK) (配列番号: 34) のそれぞれの C末に Cysを付与してさ らにその C端をアミ ド化したものを合成し、 化学的に Keyhole Lympet Hemocyanin (KLH) との複合体を形成させた。 これらの複合体をゥサギ 2羽ずつ 免疫し、 初回免疫から 49日後に全採血した。 精製マウスァスポリンの免疫は タンパクをそのまま投与し、 初回免疫から 49日後に同様に全採血した。 これら のゥサギ抗血清はいずれも抗原として用いたペプチドおよびタンパクと良好な反 応性を示すことを確認した。 実施例 44 ァスポリン抗体のァフィ二ティ精製
実施例 43で得た 5種類の抗血清、 すなわち Peptide- 2210に対する抗血清 2種類 (2210-B01, 2210-B02)、 Peptide - 2211に対する抗血清 2種類 (2211-B01, 2211- B02)、 およびマウスァスポリンに対する抗血清 (2229- B01) のそれぞれをァフ
ィニティ精製するため、 それぞれの抗原ペプチドおよびタンパクを添付プロトコ 一レに従って、 HiTrapNHS— activated HP (Araersham Pharmacia) に固定ィ匕した, 50 mM Tris-HCl (pH 8) で平衡化した固定化カラムに抗血清を通し、 吸着画分 を 0. 1 M グリシン塩酸 (pH 3) で溶出し、 その 1/10容量の 1 M Tris-HCl (pH 8) の入ったチューブに回収した。 コントロール IgGは免疫前ゥサギ抗血清を HiTrap rProtein A FF (Amersham Pharmacia) に通してァフィ二ティ精製したものを使 用した。 実施例 45 ァスポリン抗体のウェスタンブロッテイングによるヒトおよびマウ スァスポリンとの反応性
作製した抗体のヒトおよびマウスァスポリンとの反応性をウェスタンプロッテ イングにより比較した。 ブロッキングにはブロックエースを用い、 抗体の希釈お よび洗浄には TBST (20 mM Tris-HCl (pH 7. 4) , 0. 15 M NaCl, 0. 05% Tween20) を用いた。 一次抗体反応は室温 1時間で行い、 検出は抗ゥサギ IgG- HRP (Cell Signal ing) を用いて行った。 その結果、 HAタグ付きヒ トァスポリン D13および D1 との反応性は 2229- B01抗体と 2211- B02抗体とは強く、 2210- B02とは弱かった (図 37)。 マウスァスポリンとの反応性は 2229- B01抗体が最も強く、 2210-B02と 2211- B02は同程度であった。 以上の結果から、 いずれの抗体もヒ トおよびマウ スァスポリンをウェスタンブロッティングで検出できることがわかった。 実施例 46 ヒトァスポリン D13および D14を安定 現させた ATDC5細胞株の培養上 清中におけるァスポリンタンパクの検出
ァスポリンを安定的に発現させた ATDC5細胞 (10 eraシャーレ 3枚分) の無血清 培養上清 (45 ml) を Amicon Ultra 10000MWC0を用いて 400 /x lまで濃縮し、 以 下の方法により免疫沈降を行った。 すなわち、 500 1のプロックエース (大日 本製薬)、 20 1の抗マウスァスポリ ン抗体 (2229 - B02)、 および 50 μ 1の Protein-A Sepharose CL- 4B (Amersham Pharmacia) と混合し、 一晚 4。Cで
shakingした。 ビーズに結合したタンパク複合体を Buffer SNP (1% NP-40, 150 mM NaCl, 50 mM Tris-HCl (pH 8. 0) ) を用いて 5回洗浄した後、 結合タンパク質 を 0. 1 M グリシン塩酸 (PH 3. 0) を用いて溶出させた。 溶出させたタンパク質 を SDS- PAGEにより分離し、 PVDF膜にトランスファーした後、 膜をブロックエー ス中にて 30分間ブロッキングした。 一次抗体反応はビォチン化 2210- B02を用い て室温 30分間 shakingすることにより行った。 検出には Streptavidin-HRPを用い た。 その結果、 D13発現株おょぴ D14発現株とも、 ァスポリンタンパクの発現を 培養上清中に認めた (図 38)。 さらに、 Mockでもわずかなバンドが検出されたこ とから、 ATDC5細胞自身が内在性にマウスァスポリンを発現していることもわか つた (図 38)。 実施例 47 正常ヒ ト関節軟骨細胞 (NHAC) におけるァスポリンの関節軟骨細胞 としての分化度抑制 (脱分化促進) 作用
NHACを Cambrex社製軟骨細胞分化培地 (CDM) を用いて添付プロトコールにし たがい、 アルジネートビーズ培養を 2週間行って再分化させた。 この再分化後の 細胞を Lab- Tek IIチャンバースライド (Nunc) に蒔き、 5% FBS、 ITS (Sigma) および TGF- ]3 1 (40 ng/ml) を含む DMEM/F12を添加してその分化度を維持させた 時の、 細胞形態と細胞外プロテオダリカンの蓄積に及ぼすァスポリン (20 μ g/ml) の添加効果を調べた。 チャンバースライドに蒔いてから TGF- )3 1無添加で 7日間培養すると、 細胞の形態は線維芽細胞様を示し、 細胞外プロテオダリカン を反映するサフラニン- 0の染色性は陰性であった (脱分化, 図 39a)。 TGF- ]3 1添 加時では、 細胞の形態は卵型を示し、 サフラニン- 0染色性は陽性で、 軟骨細胞 としての分化度が維持されていた (図 39b)。 ところが、 TGF- J3 1とァスポリンを 両方添加すると、 細胞の形態は線維芽細胞様を示し、 サフラニン- 0染色性は低 下し、 軟骨細胞としての分化度を喪失した (図 39c)。 これらの結果から、 ァス ポリンは、 NHACにおける TGF- ;3 1による軟骨細胞様細胞形態の維持作用、 および 細胞外プロテオグリ力ン産生作用を抑制し、 細胞を脱分化させることがわかった。
実施例 48 NHACにおける TGF- ]3 1による Smad2リン酸化のァスポリンによる抑制 作用
NHACを 12- well plateにまき、 10% FBSと penisillin/streptomycinを含む DMEM/F12中で培養し、 ほぼコンフルェントに達した時点で血清 0. 2%の同培地に 交換した。 その 12時間後にァスポリン (20 μ g/ml) を添加し、 その更に 12時間 後に TGF- ]3 1 (40 ng/ml) を添加し、 その 10分後に M- PER試薬 (PIERCE) で細胞 を溶解した。 この細胞抽出液を用いて SDS- PAGEを行い、 Cell Signaling社抗体 製品に添付されたプロトコールに従ってウェスタンブロッテイングを行った。 リ ン酸化 Smad2および Smad2タンパク質の検出のための一次抗体は、 Phospho- Smad2 antibody (Cell Signaling) およひ abbit anti-Smad2 (Zymed Laboratories) をそれぞれ用いた。 二次抗体は抗ゥサギ IgG- HRP (Cell Signaling) を用いた。 その結果、 ァスポリンは TGF- 1刺激による Smad2リン酸化を抑制した (図 40)。 これより、 ァスポリンは NHACにおける TGF- ]3 1による Smad 2シグナルを抑制する 作用を示すことがわかった。 実施例 49 ァスポリンの NHACにおける TGF- 1による Smad3特異的遺伝子転写抑 制作用
NHACを 24iell plateに 2. 5xl04 cells/wellになるように蒔き、 10% FBSと penisillin/streptomycinを含む DMEM/F12中で 24時間培養し、 SBE4- Luc (Smad binding element x4 -ノレシフェラーゼ) プラスミ ドと内在性コントローノレとし て用いた pRL- TKベクターをトランスフエクションした。 その 48時間後にァスポ リン (40 μ g/well) を添加し、 さらにその 12時間後に TGF- ]3 1 (10 ng/well) を添加して 24時間インキュベートした。 細胞中のルシフェラーゼ活性は PG- DUAL-SPレポータ—アツセィシステム (東洋インク) を用いて測定した。 その結 果、 ァスポリンは SBE4_Lucを導入した細胞での TGF- jS 1によるルシフェラーゼ活 性の上昇を有意に抑制した (図 41)。 よって、 ァスポリンは TGF- 3 1による Sraad3
特異的遺伝子の転写を抑制する作用を示すことが分かった。 実施例 50 免疫沈降法による NHAC培養上清中におけるァスポリンの発現の検出 NHACの培養上清中における発現を以下のようにして免疫沈降法により調べた。 NHACを 175 cm2シャーレに蒔き、 2日間培養することにより調製した無血清培養上 清液を Ami con Ultra 10000MWC0を用いて 400 μ ΐまで濃縮し、 500 μ ΐのブロッ クエース (大日本製薬)、 20 μ ΐの抗マウスァスポリン抗体 (2229- Β02, 500 μ g/ml)、 および 50 /i 1の Protein— A Sepharose CL-4B (Amersnam Pharmacia) と 混合し、 ー晚、 4°Cで shakingした。 ビーズに結合したタンパク質複合体を Buffer SNP (1% NP-40, 150 rnM NaCl, 50 mM Tris-HCl (pH 8. 0) ) を用いて 5 回洗浄した後、 結合タンパクを 0. 1 M グリシン塩酸 (pH 3. 0) を用いて溶出さ せた。 この溶出させたタンパク質を SDS- PAGEにより分離し、 PVDF膜にトランス ファーした後、 膜をブロックエース中にて 30分間ブロッキングした。 一次抗体 反応はビォチン化 2210-B02を用いて室温 30分間 shakingすることにより行った。 検出には StrePtavidin_HRPを用いた。 その結果、 NHACの培養上清中にァスポリ ンタンパクの発現を認めた (図 42)。 すなわち、 内在性のァスポリンが NHACの培 養上清中に分泌されていることがわかった。 実施例 51 細胞免疫染色法による NHACにおけるァスポリンの細胞外局在の確認 NHACにおいてァスポリンが細胞外に局在するかどうかを以下に記載する細胞 免疫染色法により調べた。 細胞の培地を除去し、 PBSで 2回洗浄した後、 細胞を 4% パラホルムアルデヒ ド /リン酸緩衝液中で室温 15分処理することにより固定 した。 PBSで 5分 x3回洗浄した後、 プロックエース (大日本製薬) 中で室温 1時聞 ブロッキングした (なお、 抗体を細胞内に浸透化させやすくするため、 ブロッ キングの前に 0. 2°ん Triton X- 100で室温 15分処理し、 PBSで 5分 x3回の洗浄を行つ た)。 抗マウスァスポリ ン抗体 (2229_B01) または抗 Smad2抗体 (Zymed laboratories) と 1時間、 室温で反応させた後、 PBSで 5分 x3回洗浄し、 Alexa
fluor 594 goat anti-rabbit IgG (Molecular Probes) と 1時間、 室温で反応さ せた。 PBSで 5分 x3回洗浄した後、 VECTASHIELD (VECTOR) を滴下して標本を作製 した。 その結果、 浸透化処理 (-) の方が、 浸透化処理 (+) よりもァスポリン の染色度はより強かった (図 43a, b)。 細胞内マーカーとして用いた Smad2は、 予想通り浸透化 (+) の方でがより強く染色された (図 43c, d)。 したがって、 NHACにおいて内在性のァスポリンが細胞外に局在していることがわかった。 実施例 52 蛍光免疫二重染色による NHACにおけるァスポリンと TGF- ]3 1の局在一 致の確認
NHACの細胞外でァスポリンと TGF- 1の局在が一致するかどうかを以下に記載 する蛍光免疫二重染色により調べた。 細胞の培地を除去し、 PBSで 2回洗浄した 後、 細胞にビォチン化 TGF- 1 (R&D Systems社製 Human TGF- β 1 Biotinylated Fluorokine Kit) を添加して、 4°C、 1時間インキュベートした。 PBSで 2回洗浄 した後、 4%パラホルムアルデヒ ド /リン酸緩衝液中で室温 15分処理することに より細胞を固定した。 PBSで 5分 x3回洗浄した後、 プロックエース (大日本製薬) 中で室温 1時間ブロッキングした。 抗マウスァスポリン抗体 (2229- B01) を 1時 間室温で反応させた後、 PBSで 5分 x3回洗浄し、 Alexa fluor 594 goat anti- rabbit IgG (Molecular Probes)、 およぴァビジン- FITCと 1時間、 室温で反応さ せた。 PBSで 5分 x3回洗浄した後、 VECTASHIELD (VECTOR) を滴下して標本を作製 した。 その結果、 内在性ァスポリンとピオチン化 TGF- ]3 1の局在が一致すること を示す染色像が得られた (図 44d)。 この結果から、 内在性のァスポリンと TGF - β 1が細胞外で非常に近接して存在することがわかつた。 実施例 53 ヒト 0Α患者膝関節軟骨組織におけるァスポリンと TGF- 1の局在 ヒト 0A患者膝関節軟骨組織を採取後すみやかにホルマリン固定し、 厚さ 6 x m の組織学的検索用切片を作製した。 この切片について脱パラフィン処理を行った 後、 蒸留水で洗浄し、 3%過酸化水素水で室温 10分間の処理を行った。 1. 5% ャ
ギ正常血清を用いて 30分間室温でブロッキングした後、 ゥサギ抗マウスァスポ リンポリクローナル抗体 (2229-B01) またはゥサギ抗 TGF- iS 1ポリクローナル抗 体 (SC- 146, サンタクルズ) を用いて、 4°Cでー晚反応させた。 検出は、 Vectastain ABC EliteKit (VECTOR) と DAB (フナコシ) 染色を用いて行った。 また、 サフラニン- 0-ファス トグリーン試薬で染色されなかった部位を病変部と、 染色された部位を非病変部と定義した。 その結果、 ァスポリンと TGF- 13 1はいず れも OA軟骨の非病変部と比べて病変部の細胞でより強く染まつており (図 45)、 基質中での染色も弱いながら認められた。 また、 TGF- /3 1と染色が一致する部分 も観察された (図 45矢頭)。 これらの結果から、 ァスポリンと TGF- j3 1は i/? で OAの病態と深く関わっていることが示唆された。 実施例 54 NHACにおける TGF- j3 1によるァスポリン遺伝子の一過性発現誘導
NHACにおける TGF- ]3 1によるァスポリン遺伝子の発現のタイムコースを以下の ようにして調べた。 細胞を 12- well plateに lxlO5 cells/ralになるように蒔き、 10% FBSを含む DMEM/F12中でコンフルェントになるまで培養した。 培地を 0. 2% FBSを含む DMEM/F12に交換して 24時間培養した後、 TGF- ]3 1 (10 ng/ml) を添加 し、 経時的に total RNAを抽出し、 ァスポリン、 GAPDH遺伝子の発現量を調べた。 その結果、 TGF- ]3 1 (10 ng/ral) 存在下で 12時間培養したときにァスポリン遺伝 子の発現量は最大となり、 その後、 経時的に発現量は低下した (図 46)。 TGF- i3 1存在下で 3日間培養した時点では、 非誘導時 (対照) よりもァスポリンの発現 量は下回った。 以上の結果から、 NHACにおけるァスポリン遺伝子の発現は TGF - ]8 1により初期には誘導され、 時間の経過につれて、 著しく抑制されることがわ かった。 実施例 55 NHACにおける TGF- ]3 1によるァスポリン、 II型コラーゲン、 ァグリカ ンおよび TGF- β 1遺伝子発現の誘導に及ぼす SB431542の効果
実施例 54に記載した方法で示した 1によるァスポリン遺伝子発現の誘導
実験の系において、 TGF- ]3タイプ 1受容体リン酸化の阻害剤である SB431542 (シ グマ) (10 μ Μ) を TGF- 0 1 ( 10 ng/ml) 添加の 30分前に添加したときの、 ァス ポリン、 I I型コラーゲン、 ァグリカンおよび TGF- ]3 1遺伝子発現の誘導 (12時 間) に及ぼす効果を調べた。 その結果、 SB431542は、 TGF- ;3 1によるこれらの遺 伝子発現の誘導を阻害した (図 47)。 よって、 これらの遺伝子発現の誘導は TGF - βタイプ 1受容体を介していることがわかった。 実施例 56 NHACにおける TGF- j3 1によるァスポリン遺伝子発現の誘導に及ぼすシ クロへキシミド (CHX) の効果
実施例 54に記載した方法で示した TGF- 1によるァスポリン遺伝子発現の誘導 実験の系において、 タンパク合成阻害剤である CHX (シグマ) (10 μ ) を TGF - β ΐ (10 ng/ml) 添加の 30分前、 同時、 2時間後、 または 6時間後に添加したとき の、 ァスポリン遺伝子発現の誘導 (12時間) に及ぼす効果を調べた。 その結果、 CHXを TGF- ;3 1添加の 30分前および同時添加した時には、 TGF- j3 1によるァスポリ ンの誘導が阻害された (図 48)。 ところが、 TGF_ i3 1添加の 2時間後以降での CHX の添加では、 TGF- 1によるァスポリン遺伝子発現の誘導が観察された。 この結 果より、 TGF- ]3 1によるァスポリン遺伝子発現は何らかのタンパク質合成を介す る間接的な誘導作用によることが示唆された。 実施例 57 ァスポリンの NHACにおける TGF- 1刺激ァスポリンおよび TGF- ]3 1遺 伝子発現抑制作用
実施例 35に記載した方法で調製した cDNAを用いて、 リアルタイム PCRによりァ スポリンおよび TGF- 1遺伝子の発現を調べた。 その結果、 TGF- ;3 1刺激により ァスポリンおよび TGF- /3 1遺伝子の発現は上昇し、 その上昇はいずれもァスポリ ンの添加により抑制された (図 49)。 これより、 ァスポリンが、 TGF- ]3 1存在下 でァスポリンと TGF - β 1遺伝子の両方の発現を負に制御していることが明らかと なった。
実施例 58 NHACにおけるァスポリン特異的 siRNAの II型コラーゲン、 ァグリカン および TGF- 1遺伝子発現上昇作用
ァスポリン特異的 siRNA (Si9 : UCCCUUCAGGAUUACCAGATT; 配列番号: 35) は宝 酒造ホームへージ内 siRNA design support system (http :// w. takara- bio. co. jp/rnai/intro. htm) を用いて設計した。 コン ト口ール siRNA (SilN: CCUACGUCCAGAUAAUUCGTT; 配列番号: 36) はァスポリンやそれ以外の遺伝子のい ずれともマッチしない配列を設計して使用した。 細胞を 12iell plateに 5xl05 cells/wellになるよ うに蒔き、 10% FBS, ITS, 10 ng/ml TGF- ]3 1およぴ penisillin/streptomycinを含む DMEM/F12中で 24時間培養し、 siRNAを TransIT- TK0 (宝酒造) を用いてトランスフエクシヨンした。 24時間培養後の細胞から total RNAを抽出し、 II型コラーゲン、 ァグリカン、 TGF- 1遺伝子の発現を調 ベた。 その結果、 ァスポリン特異的 siRNAは NHACにおける II型コラーゲン、 ァグ リカンおょぴ TGF- ]3 1遺伝子の発現を有意に上昇させた (図 50)。 したがって、 内在性のァスポリンは NHACにおける軟骨基質の発現および TGF- ]3 1の発現を負に 制御していると考えられた。 これは、 ァスポリンの発現や作用を抑制する化合物 が関節軟骨における軟骨基質の量を増加させることで、 変形性関節症治療薬とな る可能性があることを示唆する。 実施例 59 NHACにおけるァスポリンの TGF- ]3 1による細胞増殖抑制作用
NHACを 12- well plateに lxlO5 cells/mlになるように蒔き、 10% FBSを含む DMEM/F12に TGF- 1 (40 ng/ml) およびァスポリン (5または 20 μ g/ml) を添カロ し、 5日間培養した後、 以下に述べる MTTアツセィ法により細胞増殖の程度を調 ベた。 すなわち、 3- (4, 5 -ジメチル- 2 -チアゾリル) - 2, 5-ジフエニル- 2H -テトラ ゾリゥムブロミド (MTT, 同仁化学研究所) を 1 mg/mlになるように DMEM/F12に 溶解し、 あらかじめ培地を吸引除去した細胞に加え、 37°Cで 1時間培養した。 そ の後、 MTTを含む培地を捨て、 細胞を溶解試薬 (86% イソプロパノール, 40 mM
塩酸, 1% SDS) を用いて抽出した。 この細胞溶解液を 96iell plateに移し、 マ イク口プレートリーダーを用いて 550 ntnの吸光度を測定した。 その結果、 NHAC の増殖度は、 TGF- j3 1の添加により増加したが、 TGF- jS 1とともにァスポリンを 添加すると、 濃度依存的に'細胞増殖を抑制した (図 51)。 以上の結果から、 ァス ポリンは TGF- β 1に依存した NHACの細胞増殖を抑制する作用を示すことが明らか となった。 実施例 60 モルモット自然発症病態 OAモデルにおける関節軟骨でのァスポリン の発現
Hartley系雄性モルモットは、 加齢とともに関節軟骨に変性が認められること から、 自然発症病態 OAモデルとして用いられる。 そこで、 該動物における関節 軟骨でのァスポリンの発現について検討した。 実験には、 モルモット (Hartley 系, 雄性, 日本エスエルシー, 静岡より購入) を、 2および 16月齢時点で、 炭酸 ガス存在下で屠殺した後、 両膝の脛骨関節軟骨の内側部分をサージカルナイフ (FEATHER) で剥ぎ取った。 その後、 可及的速やかに RNA抽出試薬の IS0GEN (ニッ ボンジーン) に浮遊させて、 ホモジナイザー機 (NITI- ON) を用いて組織を細分 し、 RNAを回収した。 得られた総 RNAサンプルを鍀型として、 Super script reverse transcriptase (Invitrogen) を用 ヽて逆 反 'を iffレヽ、 cDNA¾合成 した。 この DNAを铸型として、 RT- PCR (GeneArap PCR System 9600) を行った。 反応液は、 cDNAサンプル 40 ng, ExTaq 0. 25 μ 1, 10x buffer 5 μ 1, dNTP 4 li l (Takara Bio)、 各プライマー 500 nmol/1, 全量 50 μ ΐで混合した。 反応は, 94°Cで 2分反応した後、 94°C 1分, 55°C 2分, 72°C 1分の条件で 40サイクル行つ た。 その後、 サンプルを 1. 2% ァガロースゲル (FMC) にローデイングして、 40 分間電気?永動を行った。 データは、 Imaging Densitometer (Bio-Rad) によるバ ンドの数値化で示した。 なお、 標的遺伝子に対するプライマーとしては下記の配 列を使用した。
フォ^"ワードプライマー: TGGCTTTGTGCTCTGCCAA (配列番号: 37)
リバースプライマー: AGCTGAACACTCATTCTG (配列番号: 38)
2月齢モルモットと比較し、 16月齢モルモットはァスポリン mRNAの発現が有意 に亢進していることがわかった (図 52)。
本実験結果から、 病変 分でァスポリンの発現が亢進していたので、 OA病態 におけるァスポリンの解明に、 本動物モデルは、 有用であることが示唆された。 実施例 61 モルモット自然発症病態 OAモデルにおける血清ァスポリン濃度の測 定
Hartley系雄性モルモットにおける血清ァスポリン濃度を、 抗ァスポリン抗体 を用いて検討した。 実験には、 モルモッ ト (Hartley系, 雄性, 本エスエルシ 一, 静岡) を購入して使用した。 1, 3, 6および 18月齢のモルモッ トから、 採血 して血清を分離し、 ァスポリンの含量を ELISA法により測定した。 すなわち、 96-well プレー ト (Corning) に抗マウスァスポリン抗体 (2. 5 μ g/ml, 200 μ ϊ in PBS) を播種し、 室温でー晚反応させた。 Wash buffer (Biosource International Inc. ) で洗浄後、 25% ブロックエース溶液 (大日本製薬) で 2時 間ブロッキング、 洗浄した後にサンプルを 100 At l添加した。 2時間室温で放置 して洗浄後、 ビォチン化 2229- B01 (10, 000倍希釈; 100 μ ΐ) を加えて 2時間反 応させた。 洗浄後、 アビジン- HRP (2, 500倍希釈; 100 μ ΐ) を添加し、 30分放 置した。 洗浄後、 3, 3, ,5, 5, -Tetramethylbenzidine (TMB) 基質 (100 μ ΐ) を加え、 20分後に 0. 25 mol/1 硫酸 (100 μ ΐ) を加えて反応を停止し、.吸光光 度計にて 0D450 nmを測定した。
その結果、 血清中のァスポリン濃度は、 加齢とともに増大し、 1月齢時点に比 して 6月齢から有意な亢進が確認された (図 53)。
本実験結果から、 ァスポリンは、 0A病態動物モデルでの軟骨破壊と関係する 生化学的パラメタ一として有用なマーカーであることが示唆された。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 骨 ·関節疾患に対する遺伝的感受性を容易に判定することが できる。 また、 カルモジュリン、 ァスポリン、 それらに対する抗体、 それらをコ ードする核酸、 それらのアンチセンス核酸、 その他それらの発現もしくは活性を 調節し得る物質は、 骨 ·関節疾患の予防■治療剤として使用することができる。 本出願は日本で出願された特願 2004-228745 (出願日 : 2004年 8月 4日) 、 特願 2004— 324372 (出願日 : 2004年 1 1月 8日) お よび特願 2005-070103 (出願日 : 2005年 3月 1 1日) を基礎とし ており、 その内容は本明細書に全て包含されるものである。