明 細 書
狭帯域化レーザ装置
技術分野
[0001] 本発明は、狭帯域ィ匕レーザ装置に関し、特に、半導体を製造するために用いられ る縮小投影露光装置の光源としての狭帯域ィ匕エキシマレーザ装置あるいは狭帯域 化 F2レーザ装置において、そのレーザ光のスペクトル純度幅等のスペクトル指標値 を制御する装置に関するものである。
背景技術
[0002] 以下に縮小投影露光装置の光源として用いられる狭帯域化レーザ装置の従来技 術について各項目毎に説明する。
[0003] (露光用光源)
半導体集積回路の微細化、高集積ィヒにつれて、半導体露光装置においては解像 力の向上が要請されている。このため露光用光源力も放出される光の短波長化が進 められており、露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用 いられている。現在の露光用ガスレーザ装置としては、波長 248nmの紫外線を放出 する KrFエキシマレーザ装置ならびに、波長 193nmの紫外線を放出する ArFエキシ マレーザ装置が用いられている。次世代の露光技術として、露光用レンズとゥエーハ 間を液体で満たして、屈折率を変えることによって、露光光源の見かけの波長を短波 長化する液浸技術を ArF露光に適用することが考えられている。 ArF液浸では、見か けの波長は 134nmと短くなる。また、次々世代の露光用光源として、波長 157nmの 紫外線を放出する F2レーザ装置が有力であり、 F2レーザ液浸露光が採用される可 能性もある。 F2液浸では、 115nmまで短波長化すると言われている。
[0004] (露光用光学素子と色収差)
多くの半導体露光装置の光学系には、投影光学系が採用されている。投影光学系 では、異なる屈折率を有するレンズ等の光学素子が組み合わされて色収差補正が行 なわれる。現在、露光用光源であるレーザ波長の 248nm〜115nmの波長域では、 投影光学系のレンズ材料として使用に適する光学材料は、合成石英と CaF2以外に
ない。このため、 KrFエキシマレーザの投影レンズとしては、合成石英のみで構成さ れた全屈折タイプの単色レンズが採用され、 ArFエキシマレーザの投影レンズとして は、合成石英と CaF2で構成された全屈折タイプの部分色消しレンズが採用されて ヽ る。ところが、 KrF、 ArFエキシマレーザの自然発振幅は約 350〜400pmと広いために 、これらの投影レンズを使用すると色収差が発生して、解像力が低下する。そこで、 色収差が無視できるまでに、上記ガスレーザ装置力 放出されるレーザ光のスぺタト ル線幅を狭帯域ィ匕する必要がある。このため、レーザ装置には、狭帯域化素子 (エタ ロンやグレーティング等)を有する狭帯域ィ匕モジュールがレーザ共振器内に設けられ 、スペクトル線幅の狭帯域ィ匕が行われている。
[0005] (スペクトル純度幅)
露光装置の結像性能は、レーザ光のスペクトル波形の半値全幅だけでなぐスぺク トル波形の裾野成分によって大きく影響を受ける。そこで、いわゆるスペクトル純度幅 といわれるスペクトルの新しい指標値が導入されている。このスペクトル純度幅は、例 えば全エネルギーの 95 %のエネルギーが入るスペクトル幅で評価される。
[0006] 集積回路の品質を保証するためには、このスペクトル純度幅を例えば 0.5pm以下に 抑えることが要求されて 、る。
[0007] (スペクトル純度幅を安定化させる理由)
しかし、近年になって、このスペクトル純度幅力 光学システムで設計された値から 大幅に狭い値であっても、集積回路の品質が悪ィ匕することがあると言われ始めた。こ のことは、特許文献 1 (US6721340)及び 2 (特開 2001-267673号)に記載されている。 このため、スペクトル純度幅は、ある所定の許容幅内で安定するように制御(以下、適 宜、安定化制御という)される必要がある。
[0008] (スペクトル純度幅の制御の従来技術)
スペクトル純度幅を安定ィヒ制御することに関しては、特許文献 1及び 2に記載され ている。この特許文献 2には、波長検出器を設けるとともに、狭帯域ィ匕ユニット内に高 速同調機構を設け、検出された波長に基づき、高速同調機構で、 1パルス毎に、微 小かつ高速に波長を振ることによって、見かけ上のスペクトル純度幅を制御して許容 幅内に収めるという発明が記載されている。ここでいう、「見かけ上のスペクトル純度
幅の制御」とは、各瞬間での中心波長を振り、時間積分することで振り幅に応じたス ベクトル純度幅を擬似的に得る制御のことである。
特許文献 1 :US6721340
特許文献 2:特開 2001— 267673号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] し力しながら、上記特許文献 2に記載された従来技術では、スペクトル純度幅を制 御することに伴い、中心波長もそれに付随して変化してしまう。このため中心波長を 所望の値に一致させる中心波長制御と、スペクトル純度幅を所定の許容幅内に収め るスペクトル線幅制御を独立に行うことが困難である。このため、つぎのような問題が 発生する。
1)中心波長の制御は、 1パルス毎にフィードバック制御を行うことが望ましいが、これ が複雑な制御になるという問題がある。
2)また、中心波長が安定している状況では、中心波長制御の精度はあまり問題とな らないが、露光装置から目標波長の変更の指示が出された場合など、波長をダイナ ミックに制御する必要がある場合には、中心波長制御の精度に影響を与えるおそれ がある。
3)また、バースト発振の初期においては、中心波長が大きくずれるチヤ一ビング現象 が発生してしまう。
[0010] 本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、中心波長の制御に影響を与 えることなくスペクトル純度幅 (スペクトル指標値)の安定ィ匕制御を行えるようにして、 見かけ上のスペクトル純度幅の制御を行うことで発生する上記諸問題点を解消するこ とを解決課題とするものである。
課題を解決するための手段
[0011] 第 1発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 間の空間に有する電極間で放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ
光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、 前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用レーザ装置で放電を開始して力 前記増幅用レーザ装置で放電を開始 するまでの放電タイミングを制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0012] 第 2発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記シード光のスペクトル指標値を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0013] 第 3発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用レーザ装置で放電を開始して力 前記増幅用レーザ装置で放電を開始 するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記シード光のスペクトル指標値を制 御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0014] 第 4発明は、第 1発明または第 3発明において、
前記目標スペクトル指標値の許容幅のうち、前記増幅用レーザ装置力 出力される レーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅の範囲で、前記制御手 段による制御が実行されること
を特徴とする。
[0015] 第 5発明は、第 1発明または第 3発明において、
前記シード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段が更に備えら れ、
前記ノ ルスストレッチ手段によって前記シード光のパルス波形を延長させることで、 前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上とな る同期許容幅を拡大させること
を特徴とする。
[0016] 第 6発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記制御手段は、発振用レーザ装置で放電を開始して力 レーザパルスが立ち上 力 までの時間を変化させて、前記シード光のスペクトル指標値を制御するものであ ること
を特徴とする。
[0017] 第 7発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記制御手段は、前記発振用チャンバ内のフッ素分子 F2のモル濃度または分圧 ( 以下、単に「フッ素分子 F2の濃度」という)を変化させることで、シード光のパルス波形 を変ィ匕させるものであること
を特徴とする。
[0018] 第 8発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記制御手段は、前記発振用チャンバ内の全ガス圧力を変化させることで、シード 光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
[0019] 第 9発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記発振用レーザ装置は、充電電圧に応じた電圧が一対の電極間に印加されるこ とで主放電が行われるものであって、
前記制御手段は、充電電圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ るものであること
を特徴とする。
[0020] 第 10発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記発振用レーザ装置は、
一対の放電電極と電気的に並列に配置されたピーキングコンデンサと当該ピーキ ングコンデンサの前段に電気的に並列に配置された第 2のコンデンサとを備えた充 電回路を備え、前記第 2のコンデンサに蓄えられた電荷を前記ピーキングコンデンサ に移行させ、前記ピーキングコンデンサの充電電圧に応じた電圧が前記一対の電極 に印加されることで放電が行われるものであって、
前記ピーキングコンデンサまたは/および第 2のコンデンサの容量、または/および 前記ピーキングコンデンサに対する前記第 2のコンデンサの容量比を変化させること で、シード光のノ ルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
[0021] 第 11発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記発振用レーザ装置は、
一対の放電電極と電気的に並列に配置された予備電離コンデンサを備えた充電 回路を備え、前記予備電離コンデンサの充電電圧に応じて前記一対の電極間で予 備電離が行われるものであって、
前記予備電離コンデンサの容量を変化させることで、シード光のパルス波形を変化 させるちのであること
を特徴とする。
[0022] 第 12発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光を所定の反射率で前記発振用チャンバ内に 戻すアウトプット力ブラが備えられ、
前記アウトプット力ブラの反射率を変化させることで、シード光のパルス波形を変化 させるちのであること
を特徴とする。
[0023] 第 13発明は、第 2発明または第 3発明において、
前記制御手段は、発振用レーザ装置で放電を開始して力 レーザパルスが立ち上 力 までの時間を変化させて、前記シード光のスペクトル指標値を制御するものであ つて、
シード光のノ ルス波形の立ち上がり時間が変化した場合に、そのパルス波形の立 ち上がりの時間の変化に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記 増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを変化させて、放電タイミ ングを所望の同期タイミングに一致させる制御が行われること
を特徴とする。
[0024] 第 14発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0025] 第 15発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス
ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用レーザ装置で放電を開始して力 前記増幅用レーザ装置で放電を開始 するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記発振用レーザ装置の狭帯域ィ匕性 能を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0026] 第 16発明は、第 14発明または第 15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させる波面変化手段が備えられ 前記波面変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させ ることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域ィ匕性能を変化させるものであること を特徴とする。
[0027] 第 17発明は、第 14発明または第 15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変化させる拡大率変化手段が備 えられ、
前記拡大率変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変 ィ匕させることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域ィ匕性能を変化させるものであること を特徴とする。
[0028] 第 18発明は、第 14発明または第 15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を変化させるビーム幅変化手段が 備えられ、
前記ビーム幅変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を 変化させることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域ィ匕性能を変化させるものであるこ と
を特徴とする。
[0029] 第 19発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御する制御手 段と
を具えたことを特徴とする。
[0030] 第 20発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕した シード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置とを備えた狭帯域ィ匕レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するス ベクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、 前記発振用レーザ装置で放電を開始して力 前記増幅用レーザ装置で放電を開始 するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記発振用チャンバ内の放電により発 生する音響波の伝搬速度を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
[0031] 第 21発明は、第 19発明または第 20発明において、
前記発振用レーザ装置で発振されるシード光の発振周波数を検出する発振周波 数検出手段と、
前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度を変化させるレーザガス温度変化手段 とが備えられ、
シード光の発振周波数と前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度とスペクトル指 標値との関係に基づいて、検出されたシード光の発振周波数に応じてレーザガス温 度を変化させて、計測されたスペクトル指標値を、目標スペクトル指標値の許容幅に 収める制御が行われること
を特徴とする。
[0032] 本発明者は、図 1に示すレーザ装置(2ステージレーザ装置) 2から外部へ出力され るレーザ光のスペクトル純度幅 E95 (スペクトル指標値として代表的なもの)は、発振 用チャンバ 10で放電を開始して力 増幅用チャンバ 30で放電を開始するまでの放 電タイミングと、発振用チャンバ 10から出力されるレーザ光 (シード光)のスペクトル純 度幅 E95によって決定されることを発見するに至り、これら放電タイミング、シード光の スペクトル純度幅というパラメータは、中心波長制御とは独立して制御できるパラメ一 タであるという知見を得るに至った。
[0033] また、各種変動要因によるスペクトル純度幅の変動をなくし、ある許容幅の範囲内 に安定させるには、スペクトル純度幅 E95検出器 (スペクトル純度幅計測手段)でスぺ タトル純度幅をモニタ (計測)し、目標スペクトル純度幅力 変動して 、た場合には、 スペクトル純度幅 E95が目標スペクトル純度幅になるように制御すればよ!、と!/、う知見 を得た。
[0034] すなわち、スペクトル純度幅の安定ィ匕制御は、主として、
1)放電タイミングを変化させる(第 1発明)。
2)発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させる( 第 2発明)。
3)発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、か つ放電タイミングも変化させる(第 3発明)。
という三種類の手段によって実現される。中でも、 3)は、安定化制御の効果が一番 大きい。
[0035] 従来技術で説明した「見かけ上のスペクトル純度幅の制御」は、 1パルス毎に波長 を変化させるため、スペクトル純度幅を安定ィ匕制御することに依存して、 1パルス毎に 、ゥエーハ上のベストフォーカスの位置が変化して露光されることになる。このように独
立した中心波長制御を行うことができないため、ベストフォーカス位置ずれという問題 が生じる。
[0036] これに対して、本発明の制御手段 1)、 2)、 3) (第 1発明、第 2発明、第 3発明)によ れば、スペクトル純度幅を実質的に太くしたり細くすることができる一方で、独立して 中心波長を制御することができる。このため、スペクトル純度幅を安定化制御しつつ も、中心波長は変化せず、ベストフォーカスの位置変化も生じない。露光装置 3の投 影レンズに対する最適なスペクトル形状が得られ、ベストフォーカスの位置ずれもな いため、投影レンズの結像性能を維持することができる。
[0037] 第 1発明では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目標 スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 1 00で放電を開始して力 増幅用レーザ装置 300で放電を開始するまでの放電タイミ ングを制御することで、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する。
[0038] すなわち、図 1に示す 2ステージレーザシステムでは、 1ステージレーザシステムと 異なり、発振用チャンバ 10で放電を開始して力も増幅用チャンバ 30で放電を開始す るまでの放電タイミングに応じて、スペクトル純度幅 E95を制御することができる。
[0039] 図 4に、放電タイミング dtに応じてスペクトル純度幅 E95が変化する様子を示す。
[0040] 図 4のグラフの横軸の dtは、放電タイミング、つまり発振用チャンバ 10で放電を開始 してから、増幅用チャンバ 30で放電を開始するまでの時間である。図 4のグラフの左 側縦軸は、スペクトル純度幅 E95であり、スペクトル純度幅特性 L1として示すように、 放電タイミング dtが大きくなる (放電タイミングが遅れる)につれてスペクトル純度幅 E9 5が減少しているのがわかる。この理由は、図 5を用いて説明される。
[0041] 図 5は、シード光のパルス波形 L3を示したものである。同図 5に示すように、シード 光となる発振レーザ光は、時間的なスペクトル純度幅 E95分布をもっており、レーザパ ルス波形の後方に行くに従ってスペクトル純度幅 E95が減少する。このため、図 5に 示す時間的なスペクトル純度幅 E95分布を持つシード光パルス波形のどの部分に同 期させるかによつて、増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅 E95が決定されることに なる。例えば、放電タイミング dtを遅らせて、シード光のパルス波形後半部分に放電
を同期させた場合は、狭いスペクトル純度幅 E95を持つシード光が増幅されて、結果 的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅 E95は細くなる。逆に、放電タイミング dt を早くして、シード光のパルス波形前半部分に放電を同期させた場合は、広いスぺク トル純度幅 E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスぺク トル純度幅 E95は太くなる。
[0042] このような特性を用いて、第 1発明では、モニタ (計測)されたスペクトル純度幅 E95 が増加した場合は、放電タイミング dtを遅らせてスペクトル純度幅 E95を減少させ、ス ベクトル純度幅 E95が減少した場合は、放電タイミング dtを早めてスペクトル純度幅 E 95を増加させるように制御する。
[0043] 増幅用レーザ装置 300で放電を開始する時期を、発振用レーザ装置 100から出力 されるシード光パルス波形 L3の前半に合わせれば、そのシード光パルス波形 L3の 前半部分の広いスペクトル幅の光が増幅されることになり、逆に、シード光パルス波 形 L3の後半に合わせれば、その後半部分の狭いスペクトル幅の光が増幅されること になる(図 5参照)。
[0044] 図 4の左側縦軸において、スペクトル純度幅の目標値を E950に、許容幅を E950±d E95に設定する。
[0045] 例えば、スペクトル純度幅を目標値 E950に一致させるベぐ放電タイミング dtを dtO に設定してレーザ装置 100、 300を、曲線 L1上で動作させていたとする。
[0046] ここで、実際に計測されるスペクトル純度幅 E95が広くなつた場合 (E95増加時)、つ まり、曲線 L1から曲線 LI (a)に変化した場合には、矢印 LAにて示すごとぐ放電タイ ミング dtを遅らせて、 dtOから dt2に変化させる。このように放電タイミン dtを dtOから dt2 に遅らせることによって、スペクトル純度幅は狭くなり、元の目標値 E950の値まで戻す ことができる。
[0047] 逆に、実際に計測されるスペクトル純度幅 E95が狭くなつた場合 (E95低下時)、つま り、曲線 L1から曲線 LI (b)に変化した場合には、矢印 LBにて示すごとぐ放電タイミ ング dtを早めて、 dtOから dtlに変化させる。このように放電タイミング dtを dtOから dtlに 早めることによって、スペクトル純度幅は広くなり、元の目標値 E950の値まで戻すこと ができる。
[0048] ただし、図 4に示すように、スペクトル純度幅の制御幅(図 4の縦軸)は、放電タイミン グ dtの制御幅(図 4の横軸)との関係で、レーザ出力が許容レベル以上となっている 同期許容幅(図 4の横軸)に対応する範囲内(図 4の縦軸)であることが望ま 、 (第 4 発明)。
[0049] 第 2発明では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目標 スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 1 00から出力されるシード光のスペクトル純度幅 E95を制御することで、増幅用レーザ 装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する。
[0050] 第 2発明に従属する第 6発明では、発振用レーザ装置 100で放電を開始してカもレ 一ザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させることで、シード光のスペクトル純度 幅 E95を制御し、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する。
[0051] すなわち、スペクトル純度幅 E95を制御する別の方法に、シード光自体のスペクトル 純度幅 E95を制御する手段がある。このシード光のスペクトル純度幅 E95の制御には 、つぎのように 3つの方法がある。
2)— 1 シード光のパルス波形の立上りを制御する方法 (第 2発明およびこれに従属 する第 6発明)。
2) - 2 狭帯域化性能を制御する方法 (第 14発明)。
2) - 3 音響波の伝搬速度を制御する方法 (第 19発明)。
[0052] 上記 、ずれの方法を使用しても、出力されるシード光のスペクトル純度幅 E95自体 が変化するため、増幅されるレーザ光もそれに対応して変化する。
[0053] まず、第 2発明およびこれに従属する第 6発明について説明する。
[0054] 図 15は、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のレーザパルスの波形を
、横軸を時間、縦軸をレーザ出力とするグラフで示している。
[0055] 発振用レーザ装置 100で放電が開始されてからパルスが立ち上がるまでの時間を 小信号利得を小さくすることにより遅延させると、レーザパルス波形は、図 15に破線 で示す波形から実線で示す波形に変化する。このように、放電が開始して力 レーザ
パルス波形が立ち上がるまでの時間を長くすることによって、つまりレーザパルスを時 間的に後半にシフトすることによって、スペクトル純度幅を狭くすることができる。この 理由は、図 11に示すように、波長選択素子 (LNM16)を数回通過後の光子が増幅 されてパルスが立ち上がつたためであり、ラウンドトリップ回数が多くなるほどスぺタト ル純度幅が小さくなるためである。逆に、小信号利得を大きくして、レーザパルスを前 半にシフトすることによって、同様の原理 (ラウンドトリップ回数が少なくなるほどスぺク トル純度幅が大きくなる)によりスペクトル純度幅が広くなる。
[0056] 以上のような特性を利用して、第 2発明および第 6発明では、発振用レーザ装置 10 0から出力されるシード光のレーザパルス波形の立ち上がりを制御することによって( 図 15参照)、シード光のスペクトル波形の波長線幅を図 12 (a)〜(e)に示すごとく変 化させる。このようにシード光のスペクトル純度幅 E95が変化するため、増幅用レーザ 装置 300で増幅されて出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95もそれに合わせて 変化する。
[0057] 具体的には、図 17に示すように、発振用チャンバ 10内のフッ素分子 F2濃度を変化 させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上が りを制御し、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する(第 6発明)。
[0058] また、シード光のレーザパルス波形を変化させ、スペクトル純度幅 E95も変化させる ことができるパラメータとしては、 F2の濃度以外に、全ガス圧力、充電電圧、充電回路 のコンデンサの容量、容量比、予備電離コンデンサの容量、アウトプット力ブラ(OC) 反射率などがある(第 7発明、第 8発明、第 9発明、第 10発明、第 11発明、第 12発明
) o
[0059] また、第 2発明を実施することで、シード光のパルス波形の立ち上がり時間が変化し た場合に、そのパルス波形の立ち上がりの時間の変化 dtに応じて、発振用レーザ装 置 100で放電を開始して力も増幅用レーザ装置 300で放電を開始するまでの放電タ イミングを変化させて、放電タイミングを所望の同期タイミングに一致させる制御を行う ことが望ましい (第 13発明)。
[0060] 本第 13発明によれば、レーザ光出力の減少を抑制することができ、スペクトル純度 幅の制御を効果的に行なうことが出来る。
[0061] 第 14発明では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御することで、増幅用レーザ装置 300から出力されるレー ザ光のスペクトル純度幅 E95を安定化制御する。
[0062] 具体的には、発振用レーザ装置 100に、発振用チャンバ 10内で発生した光の波面 を変化させる波面変化手段が備えられ、波面変化手段によって、発振用チャンバ 10 内で発生した光の波面を変化させることで、発振用レーザ装置 100の狭帯域化性能 を変化させ、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95 を安定化制御する (第 16発明)。
[0063] 発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御して、スペクトル純度幅 E95を制御 できるパラメータとしては、他に、光の拡大率、光のビーム幅がある(第 17発明、第 18 発明)。
[0064] 第 19発明では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用チャンバ内 の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御することで、増幅用レーザ装置 300 力も出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する。
[0065] 具体的には、発振用レーザ装置 100で発振されるシード光の発振周波数を検出す る発振周波数検出手段と、発振用チャンバ 10内のレーザガスの温度を変化させるレ 一ザガス温度変化手段とが備えられ、シード光の発振周波数と発振用チャンバ 10内 のレーザガスの温度とスペクトル純度幅 E95との関係に基づいて、検出されたシード 光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、増幅用レーザ装置 300から 出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する(第 21発明)。
[0066] 第 19発明に適用される原理について説明する。
[0067] 発振用チャンバ 10内のガス温度が変化することによって、スペクトル純度幅 E95が 変化する。この理由は、放電により発生する音響波がレーザ光路上の粒子密度分布 を変化させレーザ波面を変化させるためである。ガス温度 T[K]は、音響波の伝播速
度 Vとの間で、
V∞(Τ)1/2
という関係が成立する。このため、ガス温度を変化させると、音響波の伝播速度が変 化し、レーザ光路上の粒子密度分布が変化し、レーザ波面が変化して、最終的には 、スペクトル純度幅 Ε95が変化する。
[0068] また、発振周波数の変化は、音響波に影響を与えるため、発振周波数に応じて、上 述したガス温度とスペクトル純度幅 Ε95との関係も変化する(図 43)。
[0069] このように発振周波数によって、ガス温度とスペクトル純度幅 Ε95の関係が変化す るため、第 19発明(第 21発明)では、例えばデータベースに、各周波数におけるガス 温度とスペクトル純度幅 Ε95の相関関係(図 44 ;L16、 L17、 L18)を記憶しておき、 現在の発振周波数に対応する相関関係を読み出し、この読み出した相関関係に基 づいて、ガス温度を変化させて、スペクトル純度幅 E95を制御する。したがって、実際 のスペクトル純度幅の制御は、レーザガス温度の制御として行われる。
[0070] つぎに、第 3発明につ 、て説明する。
[0071] スペクトル純度幅 E95を制御する別の方法として、上記 1)の放電タイミングの制御と 、 2)のシード光のスペクトル純度幅 E95の制御とを組み合わせる手段 3)がある。この 制御手段 3) (第 3発明)では、スペクトル純度幅 E95を許容幅内に制御する上での同 期許容幅の拡大が期待できる。ここで、同期許容幅とは、レーザ光のエネルギーが 許容レベル以上となる放電タイミングの範囲のことである。具体的には、同期許容幅 は、図 4で説明される。図 4では、右側縦軸をレーザ出力としており、 L2 (MOPO方 式の場合)、 L2' (MOPA方式の場合)がレーザ光の出力の特性である。同期許容 幅とは、増幅されたレーザ光の出力がピーク出力の例えば 80%の割合に入るための 放電タイミング dtの範囲のことを言う。この同期許容幅から外れると、レーザ出力が大 きく減少することになる。 MOPO方式のレーザ出力特性 L2に対して、 が MOP A方式の場合のレーザ出力特性であり、このレーザ出力特性を比較してもわ力るよう に、 MOPA方式は、 MOPO方式に比べて同期許容幅が小さい。
[0072] 例えば、スペクトル純度幅 E95をかなり細くする場合は、まず、 2)のシード光のスぺ タトル純度幅 E95の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅 E95を細くした上で
1)の放電タイミングの制御によって同期タイミング(図 5)をシード光パルス波形の後 半に合わせれば、スペクトル純度幅 E95をかなり細くすることが可能である。逆に、ス ベクトル純度幅 E95をかなり太くする場合は、まず、 2)の制御によってシード光自体の スぺクトル純度幅 E95を太くした上で、 1 )の制御によって同期タイミング(図 5)をシー ド光パルス波形の前半に合わせれば、スペクトル純度幅 E95をかなり太くすることがで きる。シード光の E95制御と、放電タイミング制御の順番は以上の説明とは逆でも制御 可能である。
[0073] 図 56は、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を変化させる(パルス立ち上 力 Sり時期を変化させる)制御とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いるタ イミングチャートであり、横軸を時間とし縦軸をシード光出力(強度)として、シード光 のパルス波形を示して 、る。
[0074] 図 56 (a)は、放電タイミングを遅延させ、さらにシード光のパルス波形を遅延させる ことで、スペクトル純度幅 E95を小さくする場合を説明する図であり、図 56 (b)は、放 電タイミングを早め、さらにシード光のパルス波形を早めることで、スペクトル純度幅 E 95を大きくする場合を説明する図である。
[0075] 図 56 (a)は、図 5で説明した効果と、図 15で説明した効果を組み合わせた効果を 示している。すなわち、矢印 3Aにて示すように、放電タイミングを遅延させることで、 シード光のパルス波形 L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純 度幅が太くなる部分 L31からスペクトル純度幅が細くなる部分 L32に移行する(図 5 で説明した効果)。更に、矢印 3Bにて示すように、シード光のノ ルス波形を L3から L 3' に遅延させることで、パルス波形 のうち、更にスペクトル純度幅が細くなる部 分 L32' に移行する(図 15で説明した効果)。
[0076] スペクトル純度幅 E95を大きくする場合も同様であり、図 56 (b)の矢印 13Aにて示 すように、放電タイミングを早めることで、シード光のパルス波形 L3のうち、増幅される べきシード光波長部分力 スペクトル純度幅が細くなる部分 L32からスペクトル純度 幅が太くなる部分 L31に移行する(図 5で説明した効果)。更に、矢印 13Bにて示す ように、シード光のパルス波形を L3から L3 に早めることで、パルス波形 L3 のうち 、更にスペクトル純度幅が太くなる部分 L31" に移行する(図 15で説明した効果)。
[0077] この結果、放電タイミング dtの制御幅、つまりレーザ出力が許容レベル以上となって いる同期許容幅は、 3Cから 3Dに一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
[0078] つぎに、第 1発明と第 14発明を組み合わせた第 15発明、第 1発明と第 19発明を組 み合わせた第 20発明の効果について説明する。
[0079] 図 57は、放電タイミングを変化させる制御とシード光のスペクトル純度幅を変化させ る制御 (狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波の伝搬速度を変化させる 制御)とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いた図であり、前述した図 4 と同様に、横軸を放電タイミング dtとし縦軸をスペクトル純度幅 E95で示して 、る。
[0080] 図 57における特性 L1は、図 4に示す特性 L1に相当する。
[0081] 目標スペクトル純度幅 E950に一致させるベくスペクトル純度幅 E95を大きくする場合 には、まず、シード光のスペクトル純度幅を大きくする制御を行う。これにより、特性し 1から、よりスペクトル純度幅が大きくなる特性 L1Aに変化する。更に、スペクトル純度 幅 E95を大きくするために放電タイミング dtを減少させる制御を行う。これにより特性 L 1A上で、放電タイミングが減少する方向に変化する。
[0082] また、目標スペクトル純度幅 E950に一致させるベくスペクトル純度幅 E95を小さくす る場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を小さくする制御を行う。これにより、 特性 L1から、よりスペクトル純度幅が小さくなる特性 LIBに変化する。更に、スぺタト ル純度幅 E95を小さくするために放電タイミング dtを増カロさせる制御を行う。これによ り特性 LIB上で、放電タイミングが増加する方向に変化する。
[0083] そこで、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御のみを行った場合のスぺタト ル純度幅 E95の制御幅 1Aと、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御と放電タ イミング dtを変化させる制御とを組み合わせた場合の制御幅 1Bを比較すると、両制 御を組み合わせた方力 同じ同期許容幅内(横軸)であればスペクトル純度幅 E95の 制御幅 (縦軸)が拡大して 、るのが、読み取れる。
[0084] このように、両制御を組み合わせた制御を行うことで、同じ同期許容幅内で、スぺク トル純度幅 E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
[0085] 更に上記第 1発明、第 2発明、第 3発明(第 15発明、第 20発明)に、発振用チャン ノ 10の放電パルスをストレッチさせる制御を組み合わせれば (第 5発明)、シード光の
パルス波形が長くなることから、同期許容幅が拡大される(図 14参照)。このため、さ らにスペクトル純度幅 E95の制御範囲を大きすることができる。また、同期許容幅が広 がることによって、増幅されたレーザ光の出力についても、放電タイミング dtの変化に 対して、そのレーザ出力変化量を小さく抑えることができるようになり、レーザ出力が 安定しやすくなる。
[0086] 以上のように、本発明によれば、中心波長の制御に影響を与えることなくスペクトル 純度幅 (スペクトル指標値)の安定ィ匕制御を行えることができるため、見かけ上のスぺ タトル純度幅の制御を行うことで発生する従来技術の諸問題点を解決できる。
発明を実施するための最良の形態
[0087] 以下、図面を参照して本発明に係る狭帯域ィ匕レーザ装置の実施の形態について 説明する。
[0088] (スペクトル指標値)
まず、本明細書に使用される用語の意味について説明する。本明細書において、 スペクトル指標値というときは、スペクトル線幅、スペクトル純度幅、コントラストロス、ス ベクトル標準偏差、白色 OTF(Optical Transfer Function)を含む意味で使用する。
[0089] スペクトル線幅とは、レーザ光のスペクトル波形の光量値における全幅であり、特に スペクトル波形をピーク値の半値で切った全幅の半値全幅 FWHM (Full Width at Hal f Maximum)で評価することが多!、。
[0090] スペクトル純度幅とは、全スペクトルエネルギーのうち中心波長 λ 0を中心としてある 割合のエネルギーが占める部分の全幅であり、特に 95%のエネルギーが入るスぺク トル幅で評価される場合が多い。本明細書では、スペクトル純度幅を、特に「Ε95」と 呼ぶ。スペクトル純度幅 Ε95に関しては、波長をえ、中心波長を λ θとして、下記(1) 式が成り立つ。
[0091] [数 1]
~i = 0-95 … ( 1 )
[0092] コントラストロスとは、レーザ光のスペクトル波形が色収差に与える指標値であり、露 光装置の光学系における波長ごとの色収差量を表す色収差量関数 ρ( λ )とスペクトル 波形 g( )の積を波長に関して積分した値である。コントラストロスに関しては、下記(2 )式が成り立つ。
CL= J §(λ)·ρ(λ)(1λ -{2)
スペクトル標準偏差 σは、下式 (3)、 (4)で定義される指標値である。
λ·§(λ)άλ)Λί §(λ)άλ) -(3)
白色 OTFは、単色光の OTFとスペクトル波形に基づいて、下式(5)から求めること ができる指標値である。
[0093] [数 2]
Rw(u, v) = (∑WXRl (u, v))/∑WX (5)
[0094] (5)式において、 R (u,v)は各単色の OTFであり、 Rw(u,v)は白色 OTFである。また は各波長に対する重み (波長の強度分布)である。
[0095] 以下では、スペクトル指標値を、スペクトル純度幅に代表させて説明するが、本発 明は、その他のスペクトル指標値の制御に対しても適用することができる。
[0096] (2ステージレーザシステム)
つぎに、本発明の前提となる 2ステージレーザシステムの概要について説明する。
[0097] 近年になって、狭帯域ィ匕されたレーザの高出力化が要求されている。これを達成す る良く知られた方式に、 2ステージレーザシステムがある。 2ステージレーザシステムと は、狭帯域ィ匕した線幅の狭い光 (シード光;種レーザ光)を発生させる発振用レーザ 装置と、そのシード光 (種レーザ光)の強度を増幅させる増幅用レーザ装置から成る レーザシステムのことである。 2ステージレーザシステムは、レーザチャンバを 1つしか もたない 1ステージレーザとは異なり、狭帯域ィ匕による出力の低下に対して、増幅用 レーザ装置によって出力を増加させることができるという特長がある。
[0098] 2ステージレーザシステムの方式には、増幅の手段の違いにより MOPO方式と MOP A方式の 2種類がある。
[0099] MOPOは、 Master Oscillator, Power Oscillatorの略であり、発振用レーザ装置を構 成する発振用チャンバのみならず、増幅用チャンバにも共振器が備えられている方 式のことであり、増幅用装置単体でもレーザ発振することができる。一方、 MOPAは、 Master Oscillator, Power Ampliferの略であり、増幅用チャンバには共振器が備えら れていない方式のことであり、シード光がないと、レーザ光は取り出せない。
[0100] 以下、特に記載のない場合、発振用レーザ装置から出力される光を「シード光」と呼 び、増幅用レーザ装置から出力される光を「レーザ光」と呼ぶ。
[0101] 図 62 (a)、 (b)、 (c)は、 MOPA方式で行われる増幅の様子を示す図で、シード光の 波形、増幅装置の利得曲線、レーザ光の波形それぞれを時間軸に対応させて示し ている。
[0102] MOPA方式では、同図 62に示すように、シード光と増幅用レーザ装置の利得曲線 が重なった部分 (斜線で示す部分)のみが増幅され、シード光の持つスペクトル純度 幅 E95成分をそのまま増幅する。
[0103] 一方、 MOPO方式で行われる増幅の様子は、図 62と同様な図 63で示される。
[0104] MOPO方式では、図 63に示すように、増幅用レーザ装置の利得曲線とシード光が 最初に重なった部分 (斜線で示す部分)のシード光の E95成分のみが増幅されてレ 一ザ光が出力される。このように MOPA方式では、重なった部分し力レーザ光になら ないので、同期許容幅、つまり発振用レーザ装置で放電を開始して力 増幅用レー ザ装置で放電を開始するまでの時間(放電タイミング)の許容幅が MOPO方式よりも 短い。
[0105] (本実施形態に係る MOPO方式レーザシステムの説明)
つぎに、 MOPO方式を代表させて、実施形態のレーザシステムの構成について説 明する。
[0106] 図 1は、実施形態のレーザシステムの構成図である。図 1は、 MOPO方式の 2ステ 一ジレーザ装置を示している。図 2 (a)は、図 1に示す発振用チャンバとその近傍の 構成を示す図であり、図 2 (b)は、図 1に示す増幅用チャンバと、その近傍の構成を
示す図である。
[0107] 実施形態のレーザシステムは、大きくは、 2ステージレーザ装置 2とから成り、その後 段に露光装置 3がある。そして、 2ステージレーザ装置 2は、大きくは、発振用チャン ノ 10内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域ィ匕したシード光をパ ルス発振する発振用レーザ装置(OSC) 100と、増幅用チャンバ内 30でレーザガスを 放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ 装置 (AMP) 300とからなる。このように発振用レーザ装置 100では、狭帯域化された シード光が生成され、増幅用レーザ装置 300では、発振用レーザ装置 100から出力 されたシード光が増幅される。
[0108] 2ステージレーザ装置 2全体のスペクトル特性は、発振用レーザ 100から出力される シード光のスペクトル特性によって決定される。そして、 2ステージレーザ装置 2自体 のレーザ出力(エネルギーまたはパワー)は、増幅用レーザ装置 300の増幅能力によ つて決定される。
[0109] 増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光は、露光装置 3に入力され、入力さ れたレーザ光は、例えば半導体ゥ ーハなどの露光対象の露光に用いられる。
[0110] 発振用レーザ装置 100は、発振用チャンバ 10と、充電器 11と、発振用高電圧パル ス発生器 12と、ガス供給排気ユニット 14と、冷却水供給ユニット 15と、 LNM16と、フ ロントミラー 17と、第 1モニタモジュール 19と、放電検出部 20とで構成されている。
[0111] 増幅用レーザ装置 300は、増幅用チャンバ 30と、充電器 31と、増幅用高電圧パル ス発生器 32と、ガス供給'排気ユニット 34と、冷却水供給ユニット 35と、リア側ミラー 3 6と、出力ミラー 37と、第 2モニタモジュール 39とで構成されている。なお、ミラー 36と 37により構成される光共振器は不安定共振器であることは必須ではなぐ安定共振 器ゃ 、ずれのミラーも平面のエタロン型共振器であってもよ!/、。
[0112] 発振用レーザ装置 100と増幅用レーザ装置 300とでは、それらの構成要素に同一 部分があるため、その同一部分に関しては、以下、発振用レーザ装置 100を代表し て説明することにする。
[0113] 図 2 (a)に示すように、発振用チャンバ 10の内部には、所定距離だけ離隔し、互い の長手方向が平行であって、かつ放電面が対向する一対の電極 10a、 10b、つまり
力ソード電極 10a、アノード電極 10bが設けられて!/、る。
[0114] これら電極 10a、 10bに電圧を印加する電源の一例を図 3 (a)に示す。 図 3 (a)は
、電源及びチャンバ内部を電気回路で示している。
[0115] 図 3 (a)は、磁気パルス圧縮回路に加え昇圧トランス Trlを含む回路である。なお、 図 3 (a)の回路を用いる代わりに、図 3 (b)の回路を用いてもよい。図 3 (b)は、図 3 (a) の昇圧トランスの代わりに主コンデンサ COの充電用のリアタトル L1を含む回路である 。なお、図 3 (b)の回路は、昇圧トランスにより昇圧される動作がないだけで、他の動 作は図 3 (a)の回路と同様なので、重複した説明を省略する。また、発振用レーザ装 置 100の電源と増幅用レーザ装置 300の電源の構成及び動作は同じであるため、増 幅用レーザ 300の電源の説明については省略する。図 3 (a)、(b)に示すカツコ()内 の符号は、増幅用レーザ装置 300の構成要素を示して 、る。
[0116] 以下、図 3 (a)にしたがって、回路の構成と動作を説明する。
[0117] 電源は、充電器 11と発振用高電圧ノ ルス発生器 12とで構成されている。
[0118] 発振用高電圧ノ ルス発生器 12は、可飽和リアタトル力もなる 3個の磁気スィッチ SR 1、 SR2、 SR3を用いた 2段の磁気ノ ルス圧縮回路である。磁気スィッチ SR1は、固体 スィッチ SWでのスイッチングロスを低減するために設けられたものであり、磁気ァシ ストとも呼ばれる。この固体スィッチ SWには、例えば IGBT等の半導体スイッチング 素子が用いられる。
[0119] 一対の放電電極 10a、 10bと電気的に並列にピーキングコンデンサ Cpが配置され 、このピーキングコンデンサ Cpの前段には、電気的に並列にコンデンサ C2が配置さ れ、さらにその前段には電気的に配列にコンデンサ C1が配置されている。
[0120] 本実施形態では、磁気スィッチ SR2、 SR3及びコンデンサ Cl、 C2で 2段の容量移 行型回路が構成されている。
[0121] 充電器 11の電圧は所定の値 Vに調整され、この電圧値 Vに応じて主コンデンサ CO が充電される。このとき、固体スィッチ SWはオフになっているものとすると、主コンデ ンサ COの充電が完了し、固体スィッチ SWがオンとなったとき、固体スィッチ SWの両 端にカゝかる電圧は、主に磁気スィッチ SR1の両端にかかる。磁気スィッチ SR1の両端 にかかる主コンデンサ COの充電電圧 V0の時間積分値が磁気スィッチ SR1の特性で
決まる限界値に達すると、磁気スィッチ SR1が飽和して導通状態となる。すると、主コ ンデンサ C0、磁気スィッチ SR1、昇圧トランス Trlの 1次側、固体スィッチ SWのルー プに電流が流れる。同時に、昇圧トランス Trlの 2次側、コンデンサ C1のループに電 流が流れ、主コンデンサ COに蓄えられた電荷がコンデンサ C1に移行し、コンデンサ C1が充電される。コンデンサ C1における電圧 VIの時間積分値が磁気スィッチ SR2 の特性で決まる限界値に達すると、磁気スィッチ SR2が飽和して導通状態となる。す ると、コンデンサ Cl、コンデンサ C2、磁気スィッチ SR3のループに電流が流れ、コン デンサ C1に蓄えられた電荷がコンデンサ C2に移行し、コンデンサ C2が充電される。 コンデンサ C2における電圧 V2の時間積分値が磁気スィッチ SR3の特性で決まる限 界値に達すると、磁気スィッチ SR3が飽和して導通状態となる。すると、コンデンサ C2 、ピーキングコンデンサ Cp、磁気スィッチ SR3のループに電流が流れ、コンデンサ C2 に蓄えられた電荷がピーキングコンデンサ Cpに移行し、ピーキングコンデンサ Cpが 充電される。
[0122] 図 3 (a)に示すように、発振用チャンバ 10内には、第 1電極 91と、誘電体チューブ 9 2と、第 2電極 93とからなる予備電離手段が設けられている。予備電離コンデンサ Cp ' は、一対の放電電極 10a、 10bと電気的に並列に配置されている。予備電離コン デンサ Cp^ の充電電圧に応じて一対の電極 10a、 10b間で予備電離が行われる。
[0123] 予備電離のためのコロナ放電は、第 1電極 91が挿入されている誘電体チューブ 92 と第 2電極 93とが接触している個所を基点として誘電体チューブ 92の外周面に発生 する。ピーキングコンデンサ Cpの充電が進むにつれてその電圧 Vpが上昇し、電圧 V Pが所定の電圧になると誘電体チューブ 92の外周面にコロナ放電が発生する。この コロナ放電によって誘電体チューブ 92の外周に紫外線が発生し、一対の電極 10a、 10b間のレーザガスが予備電離される。ピーキングコンデンサ Cpの充電がさらに進 むにつれて、ピーキングコンデンサ Cpの電圧 Vpが上昇する。この電圧 Vpがある値( ブレークダウン電圧) Vbに達すると、一対の電極 10a、 10b間のレーザガスが絶縁破 壊されて主放電が開始される。この主放電によりレーザ媒質が励起される。これによ つて、発振用レーザ装置 100の場合には、シード光が発生し、増幅用レーザ 300 (も しくは増幅器)の場合には、注入されたシード光が増幅される。主放電によりピーキン
グコンデンサ Cpの電圧は急速に低下し、やがて充電開始前の状態に戻る。固体スィ ツチ SWのスイッチング動作によって、このような放電動作が繰り返し行なわれることで 、パルスレーザ発振が行われる。固体スィッチ SWのスイッチング動作は、外部からの トリガ信号に基づき行われる。このトリガ信号を送出する外部コントローラは、例えば、 後述する同期コントローラ 8である。
[0124] 図 3 (a)に示す容量移行型回路において、後段に行くにつれて各段のインダクタン スを小さくするように設定すれば、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くな るようなパルス圧縮動作が実現される。この結果、一対の電極 10a、 10b間(一対の 電極 30a、 30b間)に短パルスの強い放電が実現される。
[0125] 以上のようにして、一対の電極 10a、 10bには、充電器 11と発振用高電圧パルス発 生器 12とで構成された電源によって高電圧ノ《ルスが印加される。電極 10a、 10bに 高電圧パルスが印加されると、電極 10a、 10b間で放電が生じ、この放電によって発 振用チャンバ 10内に封入されたレーザガスが励起される。
[0126] 以上が発振用レーザ装置 100の充電器 11および発振用高電圧パルス発生器 12 の構成、動作である。
[0127] さて、図 1に示すガス供給'排気ユニット 14は、発振用チャンバ 10内にレーザガス を供給するガス供給系と、発振用チャンバ 10内のレーザガスを排気するガス排気系 とで構成されている。
[0128] ガス供給'排気ユニット 14のガス供給系は、発振用チャンバ 10内にレーザガスを供 給する。これにより発振用チャンバ 10にレーザガスが封入される。
[0129] 図 1に示すレーザシステムがフッ素分子(F2)レーザのシステムである場合には、ガ ス供給'排気ユニット 14は、フッ素 (F2)ガスと、ヘリウム (He)やネオン (Ne)等力もな るバッファガスとを、発振用チャンバ 10に供給する。また、本レーザシステムが KrFェ キシマレーザのシステムである場合には、ガス供給'排気ユニット 14は、クリプトン (Kr )ガス及びフッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン (Ne)等力もなるバッファガスとを 、発振用チャンバ 10に供給する。また、本レーザシステムが ArFエキシマレーザのシ ステムである場合には、ガス供給'排気ユニット 14は、アルゴン (Ar)ガス及びフッ素( F2)ガスと、ヘリウム (He)やネオン (Ne)等力もなるバッファガスとを発振用チャンバ 1
0に供給する。各ガスの供給及び排気は、ガス供給'排気ユニット 14に設けられた各 バルブの開閉によって制御される。
[0130] 発振用チャンバ 10の内部には、図 2 (a)に示すように、クロスフローファン 10cが設 けられている。クロスフローファン 10cによってレーザガスがチャンバ 10内で循環され
、電極 10a、 10b間に送り込まれる。
[0131] また、同図 2 (a)に示すように、発振用チャンバ 10の内部には、熱交翻10(1が設 けられている。熱交翻10(1には、冷却水供給ユニット 15から冷却水が供給される。 これにより熱交翻10(1は、発振用チャンバ 10内の排熱を行う。熱交 lOdへの 冷却水の供給は、冷却水供給ユニット 15 (図 1)のバルブの開閉によって制御される
[0132] 発振用チャンバ 10におけるレーザ光の光軸上にあって、レーザ光出力部分には、 ウィンドウ 10e、 lOfが設けられている。ウィンドウ 10e、 10fは、レーザ光に対する透過 性を有する材料、例えば CaF2等によって構成されている。両ウィンドウ 10e、 10fは、 外側の面が互いに平行に配置され、また、レーザ光に対して反射損失を低減すべく ブリュースタ角で設置され、更にレーザ光の直線偏光方向がウィンドウ面に対して垂 直になるように設置されて 、る。
[0133] 圧力センサ P1は、発振用チャンバ 10内のガス圧力をモニタする。圧力センサ P1で 検出されたガス圧力を示す信号は、ユーティリティコントローラ 5に入力される。また、 温度センサ T1は、発振用チャンバ 10内の温度をモニタする。温度センサ T1で検出さ れた温度を示す信号は、ユーティリティコントローラ 5に入力される。
[0134] ユーティリティコントローラ 5は、上記圧力センサ P1の検出信号をフィードバック信号 として、ガス供給'排気ユニット 14の各バルブの開閉及びその開度 (又はガス流量)を 指示するガス流量調整信号を生成し、ガス供給'排気ユニット 14に対して出力する。 ガス供給'排気ユニット 14に、上記ガス流量調整信号が入力されると、ガス供給 '排 気ユニット 14で各バルブの開閉が制御される。これにより発振用チャンバ 10内のガ ス組成、ガス圧力が所望の値に調整される。
[0135] レーザ出力は、発振用チャンバ 10内のレーザガスの温度によって変化する。そこで 、ユーティリティコントローラ 5は、上記温度センサ T1の検出信号をフィードバック信号
として、発振用チャンバ 10内のレーザガスを所望温度に調整すベぐ冷却水供給ュ ニット 15のバルブの開閉及びその開度 (又は冷却水流量)を指示する冷却水流量調 整信号を生成し、冷却水供給ユニット 15に対して出力する。冷却水供給ユニット 15 に冷却水流量調整信号が入力されると、冷却水供給ユニット 15で各バルブの開閉を 制御される。これにより発振用チャンバ 10内の熱交 lOdに供給される冷却水の 流量、つまり排熱量が調整される。
[0136] 発振用チャンバ 10の外部にあって、ウィンドウ 10e側(図 2 (a)参照)のレーザ光の 光軸上には、 LNM (狭帯域ィ匕モジュール) 16が設けられている。また、同じく発振用 チャンバ 10の外部にあって、ウィンドウ 10f側(図 2 (a)参照)のレーザ光の光軸上に は、フロントミラー 17が設けられている。 LNM16は、例えば拡大プリズムと波長選 択素子であるグレーティング(回折格子)等の光学素子で構成されている。 LNM16 は、波長選択素子であるエタロンと全反射ミラー等の光学素子で構成される場合もあ る。この LNM16内の光学素子とフロントミラー 17とでレーザ共振器が構成される。
[0137] 第 1モニタモジュール 19は、フロントミラー 17を透過したレーザ光のエネルギー、出 力線幅、中心波長等のレーザビーム特性をモニタ (計測)する。第 1モニタモジュール 19は、レーザ光の中心波長を示す信号を生成し、この信号を波長コントローラ 6に出 力する。また、第 1モニタモジュール 19は、レーザ光のエネルギーを測定し、このエネ ルギーを示す信号をエネルギーコントローラ 7に出力する。なお、図 2 (b)に示す増幅 用チャンバ 30の電極 30a、 30b、クロスフローファン 30c、熱交^^ 30d、ウィンドウ 3 0e、 30fの機能は、上述した図 2 (a)に示す発振用チャンバ 10の対応する構成要素 、つまり電極 10a、 10b、クロスフローファン 10c、熱交^^ 10d、ウィンドウ 10e、 10f と機能は同じである。
[0138] また、増幅用レーザ装置 300に設けられた充電器 31、増幅用高電圧パルス発生器 32、ガス供給'排気ユニット 34、冷却水供給ユニット 35、第 2モニタモジュール 39、 圧力センサ P2、温度センサ T2の機能は、上述した発振用レーザ装置 100側に設け られた対応する構成要素、つまり充電器 11、発振用高電圧パルス発生器 12、ガス供 給.排気ユニット 14、冷却水供給ユニット 15、第 1モニタモジュール 19、圧力センサ P 1、温度センサ T1と機能は同じである。一方、増幅用レーザ装置 300には、発振用レ
一ザ 100で設けられた LNM16等力もなるレーザ共振器に代わり、次に述べる不安 定共振器が設けられている。
[0139] すなわち、増幅用チャンバ 30の外部にあって、ウィンドウ 30e側(図 2 (b)参照)のレ 一ザ光の光軸上にはリア側ミラー 36が設けられ、同じく増幅用チャンバ 30の外部に あって、ウィンドウ 30f側(図 2 (b)参照)のレーザ光の光軸上には出力ミラー 37が設 けられている。リア側ミラー 36と出力ミラー 37とで不安定型共振器が構成される。リア 側ミラー 36の反射面は凹面であって、その中央部にはミラー後方側力も反射面側へ レーザ光を通過させる孔が設けられる。リア側ミラー 36の反射面は HR (High Reflect! on)コートが施されている。出力ミラー 37の反射面は凸面であって、その中央部には HR (High Reflection)コートが施され、中央部周囲には AR(Anti Reflection)コートが 施される。なお、リア側ミラー 36としては、中央に孔が開いたものを使用する代わりに 、孔に相当する部分のみ ARコートが施されたミラー基板を使用してもよい。また、不 安定共振器でなく安定共振器でもよ ヽ。
[0140] 発振用レーザ装置 100のフロントミラー 17と増幅用レーザ 300のリア側ミラー 36と の間には、反射ミラーを含むビーム伝搬部 42が設けられている。フロントミラー 17を 透過したレーザ光 (シード光)は、ビーム伝搬部 42によってリア側ミラー 36まで案内さ れる。更に、このビーム伝搬部 42に案内されたレーザ光は、ビーム伝搬部 42を介し てリア側ミラー 36の孔を通過し、増幅用チャンバ 30内に入射される。増幅用チャンバ 30に入射されたレーザ光は、増幅用チャンバ 30を通過し、出力ミラー 37の中央部で 反射される。出力ミラー 37で反射されたレーザ光は、増幅用チャンバ 30内を通過し、 リア側ミラー 36の孔周囲で反射される。更に、リア側ミラー 36で反射されたレーザ光 は、増幅用チャンバ 30内を通過し、出力ミラー 37の中央部周囲を透過し、出力され る。増幅用チャンバ 30では発振用チャンバ 10と同様にして一対の電極 30a、 30b間 で放電が行われる。レーザ光が増幅用チャンバ 30の放電部、つまり電極 30a、 30b 間を通過する際に放電が発生すると、レーザ光のパワーは増幅される。
[0141] 波長コントローラ 6には、第 1モニタモジュール 19、第 2モニタモジュール 39でモ- タされたレーザビーム特性を示す信号が入力される。波長コントローラ 6は、レーザ光 の中心波長を所望の波長にすべく LNM16内の波長選択素子(グレーティング、ェ
タロン等)の選択波長を変化させる信号を生成し、この信号をドライバ 21に出力する 。波長選択素子の選択波長は、例えば、波長選択素子へ入射するレーザ光の入射 角を変化させることにより変化する。ドライバ 21は、波長コントローラ 6より受信した信 号に基づいて、波長選択素子へのレーザ光の入射角が変化するように、 LNM16内 の光学素子 (例えば、拡大プリズム、全反射ミラー、グレーティング等)の姿勢角等を 制御する。なお、波長選択素子の波長選択制御は、上述した説明のものに限られる ものではない。例えば、波長選択素子がエアギャップエタロンの場合には、 LNM16 内のエアギャップ内の気圧(窒素等)を制御してもよ 、し、ギャップ間隔を制御しても よい。
[0142] エネルギーコントローラ 7には、第 1モニタモジュール 19、第 2モニタモジュール 39 でモニタされたレーザビーム特性 (レーザ光のエネルギー)を示す信号が入力される 。なお、露光装置 3に、レーザ光のエネルギーをモニタする出力モニタ 51を設け、出 力モニタ 51でモニタされた信号力 エネルギーコントローラ 7に直接入力されるように 構成してもよい。また、露光装置 3の出力モニタ 51でモニタされた信号を露光装置 3 のコントローラ 52に入力し、このコントローラ 52から、レーザ装置 2側のエネルギーコ ントローラ 7に信号を送出するように構成してもよ 、。
エネルギーコントローラ 7は、パルスエネルギーを所望の値にすべく次回の充電電 圧を示す信号を生成し、この信号を同期コントローラ 8に出力する。
[0143] 放電検出器 20、 40ではそれぞれ、各チャンバ 10、 30における放電開始時期が検 出される。
[0144] 同期コントローラ 8には、エネルギーコントローラ 7から入力された次回充電電圧を 示す信号と、放電検出器 20、 40で検出された各放電開始時期を示す信号とが入力 される。同期コントローラ 8は、エネルギーコントローラ 7から入力された次回充電電圧 値と、放電検出器 20、 40で検出された各放電開始時期とに基づいて、充電器 11の 充電電圧を制御する。
[0145] 発振用チャンバ 10の放電と増幅用チャンバ 30の放電のタイミングがずれると、発振 用チャンバ 10から出力されたレーザ光 (シード光)は、増幅用チャンバ 30で効率よく 増幅されない。そこで、発振用チャンバ 10から出力されたレーザ光 (シード光)が増
幅用チャンバ 30内の一対の電極 30a、 30b間の放電領域 (励起領域)に満たされた 放電タイミングで、増幅用チャンバ 30で放電させる必要がある。これを実現させるた めに、同期コントローラ 8では、効率よく増幅される放電タイミングが得られるように、発 振用高電圧パルス発生器 12の固体スィッチ SWに対してトリガ信号を出力する時期 に対する、増幅用高電圧パルス発生器 32の固体スィッチ SWに対してトリガ信号を出 力する時期の遅延時間を決定している。この遅延時間を変化させることによって、同 期タイミングが変化する。
[0146] 以上が MOPO方式のレーザシステムの構成である。
[0147] (MOPA方式の説明)
以上、 MOPO方式の場合について説明をした力 MOPA方式の構成は、図 1にお いて、増幅用チャンバ 30のレーザ共振器を構成するリアミラー 36と出力ミラー 37を 取り除いたものである。 MOPA方式の場合には、シード光が増幅用チャンバ 30内に 入射するタイミングで、増幅用チャンバ 30で放電が開始される。シード光は、放電に よって上準位に励起されたレーザ媒質中を通過することによって増幅される。シード 光が増幅用チャンバ 30内のレーザ媒質を通過する回数は、 1回であってもよぐさら に増幅させるため、増幅用チャンバ 30の両端にミラーを配置して、増幅用チャンバ 3 0内のレーザ媒質中をシード光が数回通過するように構成してもよい。
[0148] 以上が本発明の構成の前提となるレーザシステムである。本発明は、 MOPO方式、 MOPA方式という 2種類のいずれのレーザシステムに対しても適用することは可能で ある。ただし、以下は、特に記載のない限りは MOPO方式について説明する。
[0149] 以下、本発明の知見について解説した上で、具体的な各制御例 (各実施例)を説 明する。
[0150] (露光装置と露光光源のスペクトル指標値)
前述したように、露光装置 3における結像性能は、露光用光源、つまり 2ステージレ 一ザ装置 2からのレーザ光のスペクトル性能に影響を受ける。結像性能を保っために は、スペクトル指標値(スペクトル線幅、スペクトル純度幅 E95、コントラストロス、スぺク トル標準偏差、白色 OTF(Optical Transfer Function))の少なくともいずれかひとつを 安定ィ匕制御する必要がある。ここで、スペクトル指標値の安定ィ匕制御とは、目標スぺ
タトル指標値の許容幅内に収まるように、スペクトル指標値を制御することである。
[0151] (スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕させる理由(必要性))
スペクトル純度幅が太くなると、露光装置 3において、投影レンズの色収差により結 像性能が悪ィ匕する。一方で、上述したように、スペクトル純度幅力 光学システムで設 計された値力 大幅に狭い値であったとしても、そのスペクトル純度幅力 ある許容幅 内に収まって 、な 、と、集積回路の品質が悪ィ匕することがあると 、われて!/、る(特許 文献 1参照)。このため、スペクトル純度幅は、ある許容幅を持った値の中で安定ィ匕制 御される必要があると ヽわれて!/ヽる。
[0152] (スペクトル純度幅 E95の変動要因)
一方で、 LNM16内の光学素子またはチャンバ 10、 30の経時変化、発振による熱 負荷等によって、スペクトル純度幅は、長期的に変動する。また、発振パターン、つま り周波数、 Duty,パルス数、休止時間の変化に応じて熱負荷が変化するため、レー ザ動作パターンに依存してスペクトル純度幅が変化する。
[0153] (スペクトル純度幅 E95の制御手段)
そこで、本発明者は、レーザ装置 2から外部へ出力されるレーザ光のスペクトル純 度幅 E95 (スペクトル指標値として代表的なもの)は、発振用チャンバ 10で放電を開 始して力も増幅用チャンバ 30で放電を開始するまでの放電タイミングと、発振用チヤ ンバ 10から出力されるレーザ光(シード光)のスペクトル純度幅 E95によって決定され ることを発見するに至り、これら放電タイミング、シード光のスペクトル純度幅というパラ メータは、中心波長制御とは独立して制御できるパラメータであるという知見を得るに 至った。
[0154] また、上述した変動要因によるスペクトル純度幅の変動をなくし、ある許容幅の範囲 内に安定させるには、後述するスペクトル純度幅 E95検出器 (スペクトル純度幅計測 手段)でスペクトル純度幅をモニタ (計測)し、ターゲットとなる目標スペクトル純度幅 力 変動していた場合には、後述する各ァクチユエータを使用した各制御手段により 、スペクトル純度幅 E95がターゲットとなる目標値になるように制御すればよいという知 見を得た。
[0155] スペクトル純度幅の安定化制御は、主として、
1)放電タイミングを変化させる。
2)発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させる。
3)発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、か つ放電タイミングも変化させる。
という三種類の手段によって実現される。中でも、 3)は、安定化制御の効果が一番 大きい。
[0156] 従来技術で説明した「見かけ上のスペクトル純度幅の制御」は、 1パルス毎に波長 を変化させるため、スペクトル純度幅を安定ィ匕制御することに依存して、 1パルス毎に 、ゥエーハ上のベストフォーカスの位置が変化して露光されることになる。このように独 立した中心波長制御を行うことができないため、ベストフォーカス位置ずれという問題 が生じる。
[0157] これに対して、本発明の制御手段 1)、 2)、 3)によれば、スペクトル純度幅を実質的 に太くしたり細くすることができる一方で、独立して中心波長を制御することができる。 このため、スペクトル純度幅を安定ィ匕制御しつつも、中心波長は変化せず、ベストフ オーカスの位置変ィ匕も生じな 、。露光装置 3の投影レンズに対する最適なスペクトル 形状が得られ、ベストフォーカスの位置ずれもないため、投影レンズの結像性能を維 持することができる。
[0158] 上記制御手段 1)について説明する。
[0159] 図 1に示す 2ステージレーザシステムでは、 1ステージレーザシステムと異なり、発振 用チャンバ 10で放電を開始して力 増幅用チャンバ 30で放電を開始するまでの放 電タイミングに応じて、スペクトル純度幅 E95を制御することができる。
[0160] 図 4に、放電タイミング dtに応じてスペクトル純度幅 E95が変化する様子を示す。
[0161] 図 4のグラフの横軸の dtは、放電タイミング、つまり発振用チャンバ 10で放電を開始 してから、増幅用チャンバ 30で放電を開始するまでの時間である。図 4のグラフの左 側縦軸は、スペクトル純度幅 E95であり、スペクトル純度幅特性 L1として示すように、 放電タイミング dtが大きくなる (放電タイミングが遅れる)につれてスペクトル純度幅 E9 5が減少しているのがわかる。この理由は、図 5を用いて説明される。
[0162] 図 5は、シード光のパルス波形 L3を示したものである。同図 5に示すように、シード
光となる発振レーザ光は、時間的なスペクトル純度幅 E95分布をもっており、レーザパ ルス波形の後方に行くに従ってスペクトル純度幅 E95が減少する。このため、図 5に 示す時間的なスペクトル純度幅 E95分布を持つシード光パルス波形のどの部分に同 期させるかによつて、増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅 E95が決定されることに なる。例えば、放電タイミング dtを遅らせて、シード光のパルス波形後半部分に放電 を同期させた場合は、狭いスペクトル純度幅 E95を持つシード光が増幅されて、結果 的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅 E95は細くなる。逆に、放電タイミング dt を早くして、シード光のパルス波形前半部分に放電を同期させた場合は、広いスぺク トル純度幅 E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスぺク トル純度幅 E95は太くなる。このような特性を用いて、モニタ(計測)されたスペクトル純 度幅 E95が増加した場合は、放電タイミング dtを大きくしてスペクトル純度幅 E95を減 少させ、スペクトル純度幅 E95が減少した場合は、放電タイミング dtを小さくしてスぺク トル純度幅 E95を増加させるように制御すればょ 、。
[0163] つぎに、上記制御手段 2)につ 、て説明する。
[0164] スペクトル純度幅 E95を制御する別の方法に、シード光自体のスペクトル純度幅 E95 を制御する手段がある。このシード光のスペクトル純度幅 E95の制御には、つぎのよう に 3つの方法がある。
[0165] 2)— 1 シード光のパルス波形の立上りを制御する方法。
2) - 2 狭帯域化性能を制御する方法。
2) - 3 音響波の伝搬速度を制御する方法。
[0166] 上記いずれの方法を使用しても、出力されるシード光のスペクトル純度幅 E95自体 が変化するため、増幅されるレーザ光もそれに対応して変化する。
[0167] つぎに、上記制御手段 3)につ 、て説明する。
[0168] さらにスペクトル純度幅 E95を制御する別の方法として、上記 1)の放電タイミングの 制御と、 2)のシード光のスペクトル純度幅 E95の制御とを組み合わせる手段がある。 この制御手段 3)では、スペクトル純度幅 E95を許容幅内に制御する上での同期許容 幅の拡大が期待できる。ここで、同期許容幅とは、レーザ光のエネルギーが許容レべ ル以上となる放電タイミングの範囲のことである。具体的には、同期許容幅は、図 4で
説明される。図 4では、右側縦軸をレーザ出力としており、 L2 (MOPO方式の場合)、 L2' (MOPA方式の場合)がレーザ光の出力の特性である。同期許容幅とは、増幅 されたレーザ光の出力がピーク出力の例えば 80%の割合に入るための放電タイミン グ dtの範囲のことを言う。この同期許容幅から外れると、レーザ出力が大きく減少する ことになる。 MOPO方式のレーザ出力特性 L2に対して、 が MOPA方式の場合 のレーザ出力特性であり、このレーザ出力特性を比較してもわ力るように、 MOPA方 式は、 MOPO方式に比べて同期許容幅が小さい。
[0169] 例えば、スペクトル純度幅 E95をかなり細くする場合は、まず、 2)のシード光のスぺ タトル純度幅 E95の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅 E95を細くした上で 、 1)の放電タイミングの制御によって同期タイミング(図 5)をシード光パルス波形の後 半に合わせれば、スペクトル純度幅 E95をかなり細くすることが可能である。逆に、ス ベクトル純度幅 E95をかなり太くする場合は、まず、 2)の制御によってシード光自体の スぺクトル純度幅 E95を太くした上で、 1 )の制御によって同期タイミング(図 5)をシー ド光パルス波形の前半に合わせれば、スペクトル純度幅 E95をかなり太くすることがで きる。シード光の E95制御と、放電タイミング制御の順番は以上の説明とは逆でも制御 可能である。
[0170] 上記の制御手段 1)、 2)、 3)に、発振用チャンバ 10の放電パルスをストレッチさせる 後述する技術を組み合わせれば、シード光のパルス波形が長くなることから、同期許 容幅が拡大される。このため、さらにスペクトル純度幅 E95の制御範囲を大きすること ができる。また、同期許容幅が広がることによって、増幅されたレーザ光の出力につ いても、放電タイミング dtの変化に対して、そのレーザ出力変化量を小さく抑えること ができるようになり、レーザ出力が安定しやすくなる。
[0171] (スペクトル純度幅 E95検出器 (スペクトル純度幅計測手段) )
上記制御手段 1)、 2)、 3)で制御を実行するには、増幅用レーザ装置 300から出力 されるレーザ光の実際のスペクトル純度幅 E95の値が必要である。増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95は、スペクトル純度幅 E95検出器 (スペクトル純度幅計測手段)としての第 2モニタモジュール 39にて検出(計測)される 。図 8に、第 2モニタモジュール 39の構成図を示す。なお第 1モニタモジュール 19の
構成につ 、ても同様であるのでそれにつ 、ての説明は省略する。
[0172] 第 2モニタモジュール 39は、ビームスプリッタ 391と、エタロン分光器 393と、フォト ダイオード 392とで構成されて 、る。
[0173] エタロン分光器 393では、スペクトル純度幅 E95などのスペクトル指標値が計測され 、フォトダイオード 392でレーザ出力強度が計測される。エタロン分光器 393は、拡散 板やレンズアレイのようなビーム拡散手段 394と、エタロン 395と、レンズ 396と、セン サアレイ 397とで構成されている。センサアレイ 397としては、例えば複数のフォトダイ オードアレイ力 ^次元上に配列されたラインセンサ等を使用することができ、この場合 、複数のラインセンサはチャンネル(ch:整数)順に並べられて!/、る。
[0174] 第 2モニタモジュール 39では、ビームスプリッタ 391によってレーザ光の一部がサン プリングされエタロン分光器 393に入射される。エタロン分光器 393に入射されたレ 一ザ光は、ビーム拡散手段 394によって拡散され、エタロン 395に入射される。エタ口 ン 395を通過したレーザ光は、レンズ 396に入射される。レンズ 396の焦点面にセン サアレイ 397が設置されている。このためレンズ 396をレーザ光が透過すると、センサ アレイ 397上には、干渉縞(フリンジ)が生成される。センサアレイ 397上のフリンジの データ力 レーザ光の波長と光量の線形データがスペクトル波形として求められ、ス ベクトル純度幅 E95が計算される。
[0175] なお、実施形態では、エタロン分光器 393を使用しているが、分光器の形態として は、角度分散型の光学素子を用いてもよい。例えば、ツェル-一 'ターナ(Czerny-Tu rner)型の分光器、複数のグレーティングを使用した分光器、マルチパス化した分光 器を使用してもよい。
[0176] 分光器は、固有の応答特性、つまり装置関数を有する。計測されたスペクトル波形 は、真のスペクトル波形を装置関数でコンボリューシヨン積分した結果である。このた め、真のスペクトル波形を得るには、計測されたスペクトル波形を装置関数でデコン ポリューション処理すればよい。しかし、この計算には時間がかかるため、予め、実際 に分光器で計測されたスペクトル純度幅と、真のスペクトル純度幅との相関性を記憶 しておき、真のスペクトル純度幅を計算によって求めることが望ましい。図 9は、エタ口 ン分光器 393で計測した実際のスペクトル指標値 (スペクトル純度幅 E95)と、高分解
能分光器で計測した真のスペクトル指標値 (スペクトル純度幅 E95)との相関関係 L4 を例示している。図 9に示す相関関係 L4ら実際にエタロン分光器 393で計測された スペクトル純度幅に対応する真のスペクトル純度幅を求めることができる。ただし、そ の相関性が微小に変化することがあるため、定期的に外部に置 、た高分解能分光 器により較正する必要がある。
[0177] つぎに、図 7に示すフローチャートを参照して、スペクトル純度幅の安定ィ匕制御のメ インルーチンにつ 、て説明する。
[0178] すなわち、同図 7に示すように、レーザ発振と同時に、ステップ 101に移行し、「スぺ タトル純度幅 E95計測」のサブルーチンが実行され、第 2モニタモジュール 39によつ てスペクトル純度幅 E95の計測が行なわれる。スペクトル純度幅 E95は、 1パルス毎に 計測する。しかし、計算時間との兼ね合いで、 nパルスに渡る平均値、または移動平 均値でスペクトル純度幅 E95を評価してもよい。この場合には、計測された値が実際 の値力 ずれているか否かをチェックするために、ある間隔を持って較正処理をする ことが望ましい。「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチンの具体的な内容に関し ては、後述する (ステップ 101)。
[0179] 目標スペクトル純度幅 E95の値を E950として、目標スペクトル純度幅 E950に対する 第 1許容幅が E950士 dE95(S) (第 1制御閾値 dE95(S))と設定される。この目標スぺタト ル純度幅 E950に対する第 1許容幅 E950士 dE95(S)は、露光装置 3で要求されるスぺ ックにしたがって、設定される。露光装置 3から要求される第 1許容幅の上限値 E950 + dE95(S)を超えたり下限値 E950— dE95(S)を下回ったりして、第 1許容幅の範囲外に ならないように制御する必要がある。このため、ある所定のマージン(dE95(S)— dE95) を持たせた第 2制御閾値 dE95、つまり目標スペクトル純度幅 E95に対する第 2許容幅 E950士 dE95が設定される。第 2制御閾値 dE95の範囲は、 0≤dE95く dE95(S)である。 d E95=0の場合は、スペクトル純度幅 E95の計測値が少しでも目標値 E950から外れると 、計測値 E95を目標値 E950に一致させるように、後述する E95ァクチユエータが動作し て安定ィ匕制御が実行されることになる。
[0180] 実際のスペクトル純度幅 E95が計測された後、計測値 E95と目標値 E950との差の絶 対値が第 2制御閾値 dE95以下である力否力が、つまり計測されたスペクトル純度幅 E
95が、第 2許容幅 E950士 dE95内に収まっているか否かが計算される(ステップ 102)
[0181] 計測値 E95と目標値 E950との差の絶対値が第 2制御閾値 dE95以下である、つまり
I E95-E950 I ≤dE95であれば、スペクトル純度幅 E95の安定化制御は実行されな い (ステップ 102の判断 Yes)。一方、計測値 E95と目標値 E950との差の絶対値が第 2 制御閾値 dE95を超えている、つまり I E95— E950 | >dE95の場合には(ステップ 10 2の判断 No)、つぎに、計測値 E95と目標値 E950との差の絶対値力 第 1制御閾値 d E95(S)を下回って!/、るか否かが判断(|E95 - E950| < dE95(S))される(ステップ 103)。 この結果、計測値 E95と目標値 E950との差の絶対値が、第 1制御閾値 dE95(S)以上と なっているときは (ステップ 103の判断 No)、露光装置 3へエラー信号を送って、スぺ タトル純度幅が第 1許容幅力 外れているレーザ光が露光装置 3に入るのを防止する よう、レーザ発振を停止したり、露光装置 3と 2ステージレーザ装置 2との間に存在す るシャッターを閉じたりする。
[0182] 一方、計測値 E95と目標値 E950との差の絶対値が、第 1制御閾値 dE95(S)を下回つ ているときは (ステップ 103の判 ¾?yes)、計測値 E95を目標値 E950に一致させるように 、後述する「E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」のサブルーチンに移行され、 E95 ァクチユエータが動作して安定ィ匕制御が実行される (ステップ 104)。
[0183] なお、上記ステップ 104の「E95ァクチユエータによる安定化制御」のサブルーチン の内容については、後述する各実施例で説明する。「E95ァクチユエータによる安定 化制御」のサブルーチンによる処理の結果、スペクトル純度幅 E95が許容幅内に入つ たならば、図 7のメインルーチンに戻される。
[0184] 図 6に、「スペクトル純度幅 E95計測サブルーチン」を示す。
[0185] サブルーチンスタート後、図 8で説明した第 2モニタモジュール 39によって、スぺタト ル波形が計測される (ステップ 201)。計測されたスペクトル波形はデコンボリューショ ン処理されて、真のスペクトル波形が計算される (ステップ 202)。つぎに、スペクトル 純度幅 E95の平均値または移動平均値が計算によって求められる (ステップ 203)。 つぎに、スペクトル指標値 (スペクトル純度幅)を校正する力否かが判断され (ステップ 204)、スペクトル指標値 (スペクトル純度幅)を校正すると判断した場合には、スぺク
トル指標値 (スペクトル純度幅)が校正されて、スペクトル純度幅 E95が校正値にした 力 て再計算される (ステップ 205)。スペクトル指標値 (スペクトル純度幅)を校正し ないと判断した場合には、そのまま図 7のメインルーチンに戻される (ステップ 206)。
[0186] 図 10は、図 6とは別形態の「スペクトル純度幅 E95計測サブルーチン」を示す。
[0187] サブルーチンスタート後、図 8で説明した第 2モニタモジュール 39によって、スぺタト ル波形が計測される (ステップ 301)。つぎに、スペクトル純度幅 E95の平均値または 移動平均値が計算によって求められる (ステップ 302)。
[0188] つぎに、計算時間を短縮するため、図 9で説明したスペクトル純度幅 E95の計測値 と真値の相関関係 L4に基づいて、計測された値に対応する真の値を求める。なお、 この処理にあたり、予め、実際に計測に使用されるエタロン分光器 393と、これとは別 の原器である高分解能分光器との相関性を測定しておき、測定結果を相関関係 L4 としてメモリに記憶しておけばよ!ヽ (ステップ 303)。つぎに、スペクトル指標値 (スベタ トル純度幅)を校正するか否かが判断され (ステップ 304)、スペクトル指標値 (スベタ トル純度幅)を校正すると判断した場合には、スペクトル指標値 (スペクトル純度幅)が 校正されて、スペクトル純度幅 E95が校正値にしたがって再計算される(ステップ 305 )。スペクトル指標値 (スペクトル純度幅)を校正しないと判断した場合には、そのまま 図 7のメインルーチンに戻される(ステップ 306)。なお、この場合の校正の方法として は、上述の高分解能分光器を用いて校正してもよぐまた、露光装置 3の解像の結果 から計算によって校正してもよ 、。
[0189] (E95ァクチユエータ)
図 7のステップ 104の「E95ァクチユエータによる安定化制御」のサブルーチンを実 行する各 E95ァクチユエータは、以下の各実施例(各制御例)で説明する。
[0190] [実施例 1]
(放電タイミングの制御(制御手段 1) )によるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御) 本実施例では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、 目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 100で放電を開始して力も増幅用レーザ装置 300で放電を開始するまでの放電タイ
ミングを制御することで、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0191] 図 1に示す 2ステージレーザ装置 2の場合には、前述したように 2つのレーザ装置 1 00、 200の放電タイミングを変化させることによって、スペクトル性能を変化させること が可能である。参考文献 1 (#112002- 046328号)には、この特性を利用して、スぺク トル線幅を 0.2pm以下に抑える制御を行う技術が記載されている。しかし、この参考文 献に記載された技術は、スペクトル線幅を 0.2pm以下にする制御であって、スペクトル 線幅をある所定の許容幅内に安定ィ匕させる制御の手法については記載されていな い。
[0192] 以下、放電タイミングを変化させることでスペクトル性能が変化するという特性を利 用して、スペクトル純度幅を安定ィ匕制御する実施例について説明する。なお、一般に 放電タイミングを変化させると、レーザ出力も変化してしまうのである力 特に MOPO 方式のシステムにおいては、この影響が相対的に小さぐレーザ出力の安定化という 点で有利である。レーザ出力の出力変化を、より抑制するには、印加電圧やガス圧な どを制御することが望ましい。
[0193] まず、放電タイミングによってスペクトル性能を制御する原理について明する。
[0194] 狭帯域レーザでは、ブロードバンドで発振するレーザ共振器内に波長分散素子を 挿入して、波長線幅 Δ λとスペクトル純度幅 Ε95を狭くしている。波長分散素子は、プ リズム、グレーティング、エタロンなどである。波長分散素子で、選択された波長のみ 力 Sレーザ共振軸上に戻されるため、選択された波長のみが増幅されレーザ光として 取り出される。この波長分散素子を通過することによって、選択波長から外れた波長 域の光が除去されていくため、通過回数が多ければ多いほど、波長線幅 Δ λとスぺ タトル純度幅 Ε95は狭くなつていく。この通過回数をラウンドトリップ回数と呼ぶ。
[0195] 図 11に、ラウンドトリップ回数と、レーザパルス波形及びスペクトル純度幅 Ε95との関 係を示す。
[0196] 図 l l (a)〜(d)は、ラウンドトリップ回数が 0回、 1回、 2回、 3回のレーザ光軸をチヤ ンバ 10の側面からみた図であり、図 11 (e)は、図 11 (a)〜(d)を重ね合わせたレー ザ光軸を示す側面図である。図 l l (k)は、図 l l (a)〜(e)に対応するチャンバ 10の 上面図である。
[0197] 図 11 (f)、(g)、(h)、(i)、(j)は、図 11 (a)、(b)、(c)、(d)、 (e)それぞれに対応す るレーザパルス波形と、波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 Ε95である。図 11 (f)〜( j)の横軸は時間(ns)であり、左縦軸はレーザ強度を示しており、右縦軸は波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 Ε95を示して!/、る。図 11 (f)〜 (j)にお 、て、波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 Ε95を X印にて示す。
[0198] 図 11(a)は、チャンバ 10内で発生した光子が波長分散素子 (LNM16)を通過せず に、チャンバ 10から出力された場合のレーザ光軸を示し (ラウンドトリップ回数は 0回) 、図 11 (f)は、図 11 (a)に対応するレーザパルス波形と、波長線幅 Δ λ及びスぺタト ル純度幅 Ε95を示して!/、る。
[0199] これら図 l l (a)、(f)に示すように、チャンバ 10から出力される光は、 ASE (Amplified spontaneous emission;増幅された自然放出光)成分となる。発振用レーザ装置 100 には、発振用チャンバ 10で発生した光を所定の反射率で発振用チャンバ 10内に戻 すアウトプット力ブラ 60が設けられている。アウトプットカプラ 60は、およそ 30%の反射 率を有している。このため、チャンバ 10内で発生した ASEの 70%が外部に出力される。 チャンバ 10内で発生した ASEの残りの 30%の反射した ASE光は、チャンバ 10に戻りレ 一ザの種火になる。 ASE出力強度は、レーザ出力強度に比べて大幅に小さいものの 、 ASEは波長分散素子(LNM16)を通過していないので、波長線幅 Δ λ及びスぺク トル純度幅 Ε95が広 、(図 11 (f)参照)。
[0200] 図 11(b)は、波長分散素子 (LNM16)を 1回通過してきた光がチャンバ 10から出力 される場合のレーザ光軸を示し (ラウンドトリップ回数は 1回)、図 11 (g)は、図 11 (b) に対応するレーザパルス波形と、波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 E95を示してい る。
[0201] これら図 l l (b)、(g)に示すように、図 11(a)に示す ASE光がアウトプットカプラ 60で 反射されてチャンバ 10内に戻され、波長分散素子 (LNM 16)を通過して波長選択さ れた光がチャンバ 10内に戻されて、チャンバ 10の外部に出力されている。このとき出 力されるレーザ光は、光が共振器内を 1往復する時間分だけ遅れている。波長分散 素子(LNM 16)を 1回通過しているため、その分波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度 幅 Ε95が狭くなつて 、る(図 11 (g)参照)。
[0202] 同様に、図 l l(c)、図 11 (h)は、ラウンドトリップ回数力 ¾回の場合を示している。また 、同様に、図 l l(d)、図 l l (i)は、ラウンドトリップ回数力 回の場合を示している。
[0203] このようにラウンドトリップ回数が増加するにつれて、さらなる出力開始時間の遅れと スペクトル純度幅 E95の減少を呈する(図 11 (h)、図 11 (i)参照)。
[0204] 図 11(e)は、図 11(a)から図 11(d)に示すレーザ光軸を重ね合わせたものであり、図 1 1 (j)は、図 11 (a)に対応するレーザパルス波形と、波長線幅 Δ λ及びスペクトル純 度幅 Ε95を示している。実際に観測されるレーザパルス波形は、図 11(e)に示す形状 となる。図 11 (e)に示すように、レーザパルス波形の後半に行くに従って、波長線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 Ε95が狭くなつていくのがわかる。なお、図 l l (a)〜(e)で は、説明の便宜のために、チャンバ 10内を往復するレーザ光軸をずらして描画した 力 実際には同一光軸上に重なっている。
[0205] 図 11 (a)〜(e)に示したラウンドトリップ回数と、これらに対応するレーザ光のスぺク トル波形を図 12にまとめて示す。図 12中、(a)〜(e)は、それぞれ図 11の (a)〜(e)に対 応する。スペクトル純度幅 E95は全エネルギーの 95%が入る領域の幅であるため、図 1 Ka), (b)に対応するレーザパルス波形前半の光成分が含まれる場合、その影響度が 強くなりスペクトル純度幅 E95が広くなる。
[0206] また、図 11(!)〜 (j)は、レーザ媒質の小信号利得が大きい場合である。小信号利得 力 、さい場合は、レーザノ ルスの前半部分は出力強度が弱く観測されないため、 (£) や (g)の前半成分が現れず、レーザパルス波形の立ちあがりが遅くなる。
[0207] このように、狭帯域化レーザでは、レーザパルス波形の前半であるか後半であるか によって、スペクトル線幅 Δ λやスペクトル純度幅 E95の値が異なる。レーザパルス波 形の前半では、スペクトル線幅 Δ λやスペクトル純度幅 Ε95が太くなり、レーザパルス 波形の後半では、それらは狭くなる。 2ステージレーザ装置 2のような両レーザ装置の 同期が必要なシステムでは、図 5で説明したように、増幅用レーザ装置 300で放電を 開始する時期を、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光パルス波形 L3の前 半に合わせれば、そのシード光パルス波形 L3の前半部分の広!、スペクトル幅の光 が増幅されることになり、逆に、シード光パルス波形 L3の後半に合わせれば、その後 半部分の狭いスペクトル幅の光が増幅されることになる。よって、図 4で説明したよう
に、放電タイミング dtを遅らせる程、スペクトル線幅 Δ λ及びスペクトル純度幅 E95は 細くなつていく。
[0208] 図 4の左側縦軸にぉ 、て、スペクトル純度幅の目標値を Ε950に、前述した第 2制御 閾値を dE95に(第 2許容幅を E950士 dE95に)設定する。これによりスペクトル純度幅 の許容上限は E950 + dE95となり、許容下限値は E950— dE95となる。
[0209] 例えば、スペクトル純度幅を目標値 E950に一致させるベぐ放電タイミング dtを dtO に設定してレーザ装置 100、 300を、曲線 L1上で動作させていたとする。
[0210] ここで、実際に計測されるスペクトル純度幅 E95が広くなつた場合 (E95増加時)、つ まり、曲線 L1から曲線 LI (a)に変化した場合には、矢印 LAにて示すごとぐ放電タイ ミング dtを遅らせて、 dtOから dt2に変化させる。このように放電タイミン dtを dtOから dt2 に遅らせることによって、スペクトル純度幅は狭くなり、元の目標値 E950の値まで戻す ことができる。
[0211] 逆に、実際に計測されるスペクトル純度幅 E95が狭くなつた場合 (E95低下時)、つま り、曲線 L1から曲線 LI (b)に変化した場合には、矢印 LBにて示すごとぐ放電タイミ ング dtを早めて、 dtOから dtlに変化させる。このように放電タイミング dtを dtOから dtlに 早めることによって、スペクトル純度幅は広くなり、元の目標値 E950の値まで戻すこと ができる。
[0212] 図 13に、本実施例 1のフローチャートを示す。図 13は、図 7のメインルーチン内の「 E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0213] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 1 3に示すサブルーチンに入る。
[0214] 図 13に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、同期コン トローラ 8で実行される。
[0215] 図 13に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅 E95が目標値よ り広くなつたのか、狭くなつたのかの判別、つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波 長コントローラ 6 (図 1)で計算される (ステップ 401)。
[0216] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くして目標値に一致させるための放 電タイミング dtの値(dt=dt0+dt,)が計算される(ステップ 402)。逆に、 E95 >E950で ない場合には、スペクトル純度幅が目標値よりも狭くなつた場合であるので、スぺタト ル純度幅 E95を広くして目標値に一致させるための放電タイミング dt (dt=dt0 -dt' ) が計算される (ステップ 403)。
[0217] 上記制御間隔 dt'の値は、スペクトル純度幅 E95と放電タイミング dtの相関曲線 L1 の傾き k (図 4参照)から、計算してもよく(dt' = ( I E95-E950 | ) /k)、また、実際に 制御を予めしておいて、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固 定しておいてもよい。
[0218] つぎに、この計算された放電タイミング dtが同期許容幅(図 4参照)から外れたか (リ ミット検出)否かが判断される (ステップ 404)。
[0219] 計算された放電タイミング dtが同期許容幅から外れた場合 (リミット検出)には、レー ザ出力が大幅に減少することになり、 2ステージレーザ装置 2としての本来の意味をな さなくなる。一方、放電タイミング dtが同期許容幅内であれば、レーザ出力は、わず かに変化するのみであり、この場合には必要に応じて同時に、増幅用レーザ装置 30 0の充電電圧やガス圧を制御することで、一定レベル以上のレーザ出力が保証され る。
[0220] このため制御間隔 dt'だけ放電タイミングをずらすことによって、同期許容幅から外 れた場合 (リミット検出)には、これ以上、安定ィ匕制御することができないため、他の E9 5制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レーザ発 振を停止する (ステップ 405)。
[0221] 放電タイミングが同期許容幅内(リミット検出されない)であれば、安定ィ匕制御可能 であり、つぎのステップ 406に移行され、同期コントローラ 8に安定化制御を行わせる ための指令信号を送り、これを受けて同期コントローラ 8は、制御間隔 dt'だけ放電タ イミング dtを変化させる(ステップ 406)。
[0222] 以上のように、本実施例では、目標スペクトル純度幅 E950に対する許容幅 E950±d E95のうち、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レべ
ル以上となる同期許容幅が得られる制御範囲で、安定ィ匕制御が行われる。
[0223] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、放電タイミング dtを変化させた後の実際のスペクトル純度幅 E95が計測され (ステップ 407)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E9 50士 dE95)に入った力否かが判断される(ステップ 408)。この結果、計測されたスぺ タトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、図 7に示すメイ ンルーチンに戻る(ステップ 409)。
[0224] 一方、ステップ 408の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅( E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 401に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 409)。
[0225] [実施例 2]
(パルスストレッチ制御をカ卩えた放電タイミングの制御(制御手段 1) )によるスペクトル 純度幅 E95の安定化制御)
本実施例では、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のレーザパルス波 形を延長させるノ ルスストレッチ手段が更に備えられ、このパルスストレッチ手段によ つてシード光のパルス波形を延長させることで、増幅用レーザ装置 300から出力され るレーザ光のエネルギー(出力)が許容レベル以上となる同期許容幅を拡大させて上 で、上記実施例 1と同様な放電タイミングの制御を行い、スペクトル純度幅 E95を安定 化制御するものである。
[0226] レーザ放電特性を変えて、レーザパルス波形を延長させることを (放電)パルススト レツチ (制御)と呼ぶ。このノ ルスストレッチ制御を発振用レーザ装置 100に適用する ことによって、シード光のパルス長を長くして、図 4に示す同期許容幅を広げることが 可會 になる。
[0227] 図 14は、図 4と同様なグラフであり、パルスストレッチ制御を行った場合 (パルススト レツチ有)と、パルスストレッチ制御を行わな 、場合 (パルスストレッチ無)の放電タイミ ング dtとレーザ出力との関係(レーザ出力特性) L6、 L2を比較して示すとともに、パ
ルスストレッチ制御を行った場合 (パルスストレッチ有)と、パルスストレッチ制御を行わ な ヽ場合 (パルスストレッチ無)の放電タイミング dtとスペクトル純度幅 E95との関係 (ス ベクトル純度幅特性) L7、 L1を比較して示す。
[0228] スペクトル純度幅特性に関して、パルスストレッチ制御を行った場合 (パルスストレツ チ有)の特性 L7と、パルスストレッチ制御を行わな 、場合 (パルスストレッチ無)の特 性 L1とで大きな変化はないものの、レーザ出力特性に関しては、パルスストレッチ制 御を行った場合 (パルスストレッチ有)の特性 L6と、パルスストレッチ制御を行わな ヽ 場合 (パルスストレッチ無)の特性 L2とで大きな変化が生じ、パルスストレッチ制御を 行った場合 (パルスストレッチ有)には、同期許容幅(レーザ出力が許容レベル (たと えばピーク出力の 80%) )以上となる幅)の範囲が大幅に広がっているのがわかる。こ れにより、放電タイミング dtの制御可能な幅も拡大する。このように、同期許容幅が広 がることによって、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のエネルギーが許 容レベル (たとえばピーク出力の 80%)以上となる範囲が広がり、放電タイミング dtを 変化させた場合のレーザ出力の変動を、より小さくできる、というメリットが得られる。
[0229] このため、放電タイミングの制御(制御手段 1) )を実行するに際して、ノ レスストレツ チを適用すれば、放電タイミング dtの制御幅が広がり、より実用的となる。パルススト レツチは、シード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段によって実 現される。
[0230] つぎに、パルスストレッチ手段の内容について説明する。
[0231] 高繰り返しレーザにおいて、放電パルスストレッチを行う方式には、振動電流方式と 、電流重畳方式と、簡易スパイカサステナー方式とがある。
[0232] 振動電流方式は、たとえば参考文献 2 (特開 2001-156367)に記載されて 、る。振動 電流方式では、放電電極 10a、 10b間を流れる振動電流の周期を短くし、かつ、電流 のピーク値が大きくなるように回路定数を定め、振動電流の最初の 1/2周期とそれに 続く少なくとも 1つの 1/2周期においても、レーザガスの励起を行わせて、レーザ発振 動作を持続させることによりパルスストレッチさせる。
[0233] 電流重畳方式は、たとえば参考文献 3 (特許第 3427889)に記載されて 、る。電流 重畳方式を図 3を用いて説明すると、磁気パルス圧縮回路力 ピーキングコンデンサ
Cpを介して放電電極 10a、 10bへエネルギーを注入する 1次電流と、磁気パルス圧 縮回路の最終段のピーキングコンデンサ充電用のコンデンサ C2から放電電極 10a、 10bへエネルギーを注入する 2次電流とを重畳させ、かつ、 2次電流の振動周期を 1 次電流の振動周期より長く設定して、 2次電流が重畳した 1次電流の極性が反転する 放電振動電流波形の始めの半周期と、それに続く少なくとも 2つの半周期とによって 1パルスのレーザ発振動作を行うことによりパルスストレッチさせる。
[0234] 簡易スパイカサステナー方式は、たとえば参考文献 4 (特開 2000-353839)に記載さ れている。簡易スパイカサステナー方式では、放電をつけるスパイ力回路と放電を持 続させるサステナー回路を構成して、パルスストレッチさせる。
[0235] 本実施例 2では、上述したいずれのパルスストレッチ手段を用いてもよぐいずれの パルスストレッチ手段を用いた場合にも、図 4に示す同期許容幅が広がり、スペクトル 純度幅 E95を安定化制御する上で、放電タイミング dtの制御範囲の拡大に効果があ る。
[0236] パルスストレッチを加えた制御の内容は、図 13のフローチャートと同じであるため、 説明は省略する。
[0237] [実施例 3]
(シード光のパルス波形の立上りを制御(制御手段 2)— 1)することによるスペクトル純 度幅 E95の安定ィヒ制御)
この実施例 3以下では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスぺタト ル純度幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E9 5が、 目標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レ 一ザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅 E95を制御することで、増 幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御 するものである。
[0238] この実施例 3では、発振用レーザ装置 100で放電を開始してからレーザパルスが立 ち上がるまでの時間を変化させることで、シード光のスペクトル純度幅 E95を制御し、 増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制 御する。
[0239] 図 15は、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のレーザパルスの波形を 、横軸を時間、縦軸をレーザ出力とするグラフで示している。
[0240] 発振用レーザ装置 100で放電が開始されてからパルスが立ち上がるまでの時間を 小信号利得を小さくすることにより、遅延させると、レーザパルス波形は、図 15に破線 で示す波形から実線で示す波形に変化する。このように、放電が開始して力 レーザ パルス波形が立ち上がるまでの時間を長くすることによって、つまりレーザパルスを時 間的に後半にシフトすることによって、スペクトル純度幅を狭くすることが出来る。この 理由は、図 11で説明した通りであり、波長選択素子 (LNM16)を数回通過後の光子 が増幅されてパルスが立ち上がつたためであり、ラウンドトリップ回数が多くなるほどス ベクトル純度幅が小さくなるためである。逆に、小信号利得を大きくして、レーザパル スを前半にシフトすることによって、同様の原理 (ラウンドトリップ回数が少なくなるほど スペクトル純度幅が大きくなる)によりスペクトル純度幅が広くなる。
[0241] 以上のような特性を利用して、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のレ 一ザパルス波形の立ち上がりを制御することによって、シード光のスペクトル波形の 波長線幅を図 12 (a)〜(e)に示すごとく変化させることができる。このようにシード光 のスペクトル純度幅 E95が変化するため、増幅用レーザ装置 300で増幅されて出力さ れるレーザ光のスペクトル純度幅 E95もそれに合わせて変化する。
[0242] なお、後述するように、レーザパルス波形を変化させ、スペクトル純度幅 E95も変化 させることができるパラメータとしては、 F2の濃度、全ガス圧力、充電電圧、アウトプッ トカブラ(OC)反射率などがある。これらのパラメータが変化すると、スペクトル純度幅 E95だけでなぐレーザ出力も変化してしまう。このため、 1ステージレーザ装置では、 各パラメータの可変範囲が限られており、スペクトル純度幅 E95の制御範囲も狭かつ たり、充電電圧のように、レーザ出力への影響が大きいパラメータでは、スペクトル純 度幅 E95を制御することは困難であった。これに対して、 2ステージレーザ装置 2では 、レーザ出力は増幅用レーザ装置 300で制御することができるため、各パラメータ変 化により発振用レーザ装置 100から出力されるシード光の出力が多少変化したとして も、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光の出力変化は問題とならない。こ のため、レーザ出力に制限されることなぐ各パラメータを制御することで、スペクトル
純度幅 E95の安定ィ匕制御が可能となる。
[0243] [実施例 4]
(フッ素 F2濃度を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上り を制御(制御手段 2)— 1)することによるスペクトル純度幅 E95の安定ィヒ制御) 本実施例では、発振用チャンバ 10内のフッ素分子 F2濃度を変化させることで、シ ード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スぺ タトル純度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0244] 図 16は、発振用チャンバ 10内のフッ素分子 F2の濃度 NF2 (%)とスペクトル純度幅 E95 (a. u. )との関係 L8、同フッ素分子 F2の濃度 NF2 (%)とレーザ出力(シード光強 度) E (a. u. )との関係 L9を示している。同図 16に示すように、発振用チャンバ 10内 のフッ素分子 F2濃度を減少させることによって、スペクトル純度幅 E95を狭くすること ができる。このことは、参考文献 5 (特願 4-312202号)にも記載されている。この現象を 利用して、フッ素分子 F2濃度を制御することにより、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制 御することが可能となる。
[0245] 図 17に、フッ素分子 F2濃度を変化させた場合のシード光のレーザパルス波形を示 す。図 17の横軸は時間(ns)であり、縦軸はレーザ強度 (a. u. )である。フッ素分子 F 2濃度が 0. 06%の場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、フッ素分子 F2濃度が 0. 14%の場合のシード光のレーザパルス波形を実線にて示す。また、図 12の(a)〜(d)に対応する部分を図 17に示している。
[0246] 同図 17に示すように、フッ素分子 F2濃度が濃くなると、放電を開始してから出力シ ード光が観測されるまでの時間が短くなつている、つまり短時間でシード光が出力さ れるようになる。よって、フッ素分子 F2濃度が濃い場合には、パルス前半の成分 (a)、 (b)が強くなり、図 12の(a)、(b)で示されるようにシード光のスペクトル純度幅 E95が 広くなる。
[0247] フッ素分子 F2濃度が濃くなることによって、ノ ルスの立上りが早くなるのは、フッ素 分子 F2の数密度の増大によってレーザ媒質中の小信号利得 gが大きくなるためであ る。アウトプットカプラーの反射率を Rl、共振器を構成する他方のミラーの反射率を R 2、レーザ媒質中の吸収係数を α、レーザ媒質の長さを Lとする場合、共振器内を 1往
復した場合の光強度の正味の利得 (増加割合) Gは、 G=Rl ' R2. EXP{2(g- c Uで表さ れる。ここで、光強度が増幅される条件 G〉lを満たしているとする。初期蛍光強度を 10 とした場合、 n回ラウンドトリップして、外部に出力される強度 Iは I=a-Rl) ' I0 ' G~n—A となる。 Aは出力後に、モニタモジュール等の伝播系で受ける損失を表す。これが、レ 一ザ出力として外部で例えば 1 [mj/cm2]を超えてレーザパルスの立上りが観測され るためには、 I〉1が必要となる。つまり、 (1-R1) - 10 - [R1 - R2 - EXP{2(g- a )L}Tn—A〉1 力 Sレーザパルスが立ち上がる条件となる。よって、小信号利得 gが大きいとき、少ない ラウンドトリップ回数で上記の条件を満たすため、短い時間でレーザ発振が開始され ることになる。
[0248] 以上の原理により、フッ素分子 F2濃度を濃くすることによって、利得が増加し、短い 時間でレーザ出力が得られ、スペクトル純度幅 E95が広くなる。これにより、フッ素分 子 F2濃度の制御により、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御することができる。
[0249] 図 18に、本実施例 4のフローチャートを示す。図 18は、図 7のメインルーチン内の「 E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0250] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 1 8に示すサブルーチンに入る。
[0251] 図 18に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、メインコ ントローラ 4、ユーティリティコントローラ 5で実行される。
[0252] 図 18に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ 10内の現在のフ ッ素分子 F2濃度の値 NF2が検出される。フッ素分子 F2ガスはもともと、放電によって 電極 10a、 10bの材料と反応することによって減少してしまいレーザ出力もそれに合 わせて減少してしまう。そこで、レーザ出力安定化のため、フッ素分子 F2ガスを定期 的に注入している。たとえば予め、単位ショット数あたりのフッ素分子 F2ガスの消費量 を計測しておき、その計測値に基づいて、ショット数に応じて、フッ素分子 F2ガスが発 振用チャンバ 10内に注入される。よって、フッ素分子 F2濃度を簡易に検出するには 、レーザガス交換時から、フッ素 F2ガスの注入量とガス排出量を記録しておき、それ
ら注入量、排出量の値力も算出する方法が望ましい。また、フッ素分子 F2の濃度を測 定する濃度計を発振用チャンバ 10に取り付けておき、この濃度計の値を読み取るこ とで、フッ素分子 F2濃度を検出してもよ 、 (ステップ 510)。
[0253] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 501)。
[0254] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なフッ素分子 F2濃 度の減少量 dNF2の値が計算され、減少された濃度値が、
NF2=NF2-dNF2
と計算される (ステップ 502)。
[0255] 逆に、 E95 >E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合 であるので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要なフッ素分子 F2濃度の増加 量 dNF2の値が計算され、増加された濃度値が、
NF2=NF2 + dNF2
と計算される (ステップ 503)。上記増減量 dNF2の値は、たとえば図 16に示すスぺタト ル純度幅 E95とフッ素分子 F2濃度との相関関係 L8から計算すればよい。
[0256] スペクトル純度幅 E95は、フッ素分子 F2濃度以外にも全ガス圧力、充電電圧の値に よって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅 E95と、充電電圧 V、フッ素濃度 N F2、全ガス圧力 TPとの関係式、
E95 = f (V, NF2.TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での充電電圧 Vと全ガス圧力 TPを検出し、 これらの検出値と上記ステップ 510で検出されたフッ素 F2濃度 NF2とを、上記関係式 (E95 = f (V, NF2,TP) )に代入し、上記スペクトル純度幅とフッ素濃度の関係式、 E95 = h (NF2)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dNF2=h- l ( I E95-E950 | )
を求め、スペクトル純度幅の変位量 I E95— E950 Iに対応するフッ素濃度の変化量
dNF2を計算すればょ 、。ここで、 x=h— 1 (y)は、 y=h(x)の逆関数である。 また、予め 、実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に 固定しておいてもよい。
[0257] つぎに、このように求められた濃度増減量 dNF2だけ変化させた値が実際にフッ素 分子 F2濃度を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、極端にフッ素分子 F2 濃度が薄くなる力濃くなると、利得の低下が生じたり、グロ一放電が不安定になったり して、レーザ発振できなくなる力もである。そこで、レーザ発振が可能なフッ素分子 F2 濃度の制御範囲が設定され、濃度増減量 dNF2だけ変化させた値がこの濃度制御範 囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され (ステップ 504)、この判断の結果、 リミットが検出された場合は、もはやフッ素分子 F2濃度の制御ではスペクトル純度幅 E 95を安定ィ匕制御できないものと判定し、他の E95制御法に切り替える力、制御不能信 号をメインコントローラ 4に送るかして、レーザ発振を停止する (ステップ 505)。
[0258] 濃度増減量 dNF2だけ変化させた値が上記濃度制御範囲内(リミット検出されない) であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ 506に移行され、メインコントロー ラ 4に安定ィ匕制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ 4は、ユーティリティコントローラ 5に指令信号を出力し、これを受けてユーティリティコ ントローラ 5は、ガス供給排気ユニット 14を操作する。ガス供給排気ユニット 14が操作 されることによって、発振用チャンバ 10へのガスの注入若しくは発振用チャンバ 10か らのガスの排気が行われ、濃度増減量 dNF2だけフッ素分子 F2濃度が変化する。具 体的には、ガス供給排気ユニット 14では、発振用チャンバ 10に接続されるガス排気 ラインのエアバルブと発振用チャンバ 10に接続されるガス吸気ラインのうち F2/Neガ スラインのエアバルブ若しくはマスフローコントローラが制御される。スペクトル純度幅 を細くする場合には、 dNF2だけフッ素濃度が小さくなるように、ガス排気ラインのバル ブを開けて、 dpl (=TP- (dNF2ZNF2) )だけ排気した後、 dpiだけ Ar/Neガスを注入 する。逆に、スペクトル純度幅を太くする場合には、 dNF2だけフッ素濃度が増加する ように、ガス排気ラインのバルブを開けて、 dp2( = dplZ0.01x)だけ排気した後、 dp 2だけ x%希釈された F2/Neガスを注入する(dp2 = dplZ0.01x)。このとき、一時的に ガス圧が減少する力 これをなくすために、ガス排気とガス注入をマスフローコント口
ーラを用いて同時に実施してもよ 、 (ステップ 506)。
[0259] ガス注入の望ま U、実施形態にっ 、て ArFエキシマレーザを例に説明する。補給 するためのガスは 2つのボンべ 1とボンべ 2に保管する。ボンべ 1内部には Arガスと N eガスの混合ガスを封入し、ボンべ 2内部には F2ガスと Arガスと Neガスの混合ガスを 封入する。両ボンベにおいて Arガスと Neガスの分圧比はほぼ同一であり、その分圧 比は ArFエキシマレーザの動作に適する比率に調整混合されている。また、ボンべ 2 の F2ガスは ArFエキシマレーザの動作に適する範囲を超えた高!、分圧である。従つ て、 F2ガスを発振用チャンバ内へ注入したい場合はボンべ 2から注入する。ボンべ 2 内の F2ガスは高い分圧を有するので、発振用チャンバ内のガスで薄められて適切な 分圧の F2ガスを補給することができる。 F2ガスを除くガスを注入した 、場合はボンべ 1から注入する。レーザガスの注入排気を繰り返しても、発振用チャンバ内部の Arガ スと Neガスの分圧比がほぼ一定値を維持し、レーザの長期安定動作を可能にするこ とがでさる。
[0260] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、フッ素分子 F2濃度を変化させた後の実際のスペクトル純度 幅 E95が計測され (ステップ 507)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内( E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ 508)。この結果、計測されたス ベクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、図 7に示すメ インルーチンに戻る(ステップ 509)。
[0261] 一方、ステップ 508の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅( E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 510に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 509)。
[0262] 上述したサブルーチンの処理が行われ、フッ素分子 F2濃度が変化することに伴い 、シード光の出力強度が変化するが(図 16の L9参照)、これについては、前述したと おり、増幅用レーザ装置 300の放電パラメータ (全ガス圧力や充電電圧など)を制御 することによって、レーザ出力を安定ィ匕させることが可能である。
[0263] [実施例 5]
(全ガス圧力を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを 制御(制御手段 2)— 1)することによるスペクトル純度幅 E95の安定化制御)
本実施例では、発振用チャンバ 10内の全ガス圧力を変化させることで、シード光の パルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純 度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0264] 図 64に、発振用チャンバ 10内の全ガス圧力を変化させた場合のシード光のレーザ パルス波形を示す。図 64の横軸は時間であり、縦軸はレーザ出力(シード光強度)で ある。全ガス圧力が小さい場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、全ガ ス圧力が大きい場合のシード光のレーザパルス波形を実線にて示す。
[0265] 同図 64に示すように、発振用チャンバ 10内の全ガス圧力を低下させることによって 、レーザパルスの立ち上がりが遅れ、パルス波形の後半部分が強くなる。逆に全ガス 圧力を増加させると、レーザの立ち上がりが早まり、パルス波形の前半部分が強くな る。この理由は、全ガス圧力を増加すると、放電抵抗が増加するため、放電開始電圧 が大きくなり、それゆえ、電源 11、 12からレーザ媒質への注入エネルギーが増加す る力 である。また、エキシマ分子自体の密度も増加するため、利得が大きくなるから である。実施例 4で前述したように、利得の変化により、パルス波形も変化する。この ため全ガス圧力 TPとスペクトル純度幅 E95及びレーザ出力 Eとの関係は、図 16に示 すフッ素ガス分子 F2濃度とスペクトル純度幅 E95及びレーザ出力 Eとの関係 L8、L9と 、同様な挙動を呈する。
[0266] 図 19に、本実施例 5のフローチャートを示す。図 19は、図 7のメインルーチン内の「 E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0267] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 1 9に示すサブルーチンに入る。
[0268] 図 19に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、メインコ ントローラ 4、ユーティリティコントローラ 5で実行される。
[0269] 図 19に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ 10内の現在の 全ガス圧力 TPが検出される (ステップ 610)。
[0270] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 601)。
[0271] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要な全ガス圧力 TPの 減少量 dTPの値が計算され、減少された値が、
TP=TP-dTP
と計算される (ステップ 602)。
[0272] 逆に、 E95 >E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合 であるので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要な全ガス圧力 TPの増加量 d TPの値が計算され、増加された値が、
TP=TP+dTP
と計算される (ステップ 603)。上記増減量 dTPの値は、たとえば図 16に示すスぺタト ル純度幅 E95とフッ素分子 F2濃度との相関関係と同じようなスペクトル純度幅 E95と全 ガス圧力との相関関係 L8から計算すればよい。
[0273] スペクトル純度幅 E95は、全ガス圧力以外にもフッ素分子 F2濃度、充電電圧の値に よって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅 E95と、充電電圧 V、フッ素濃度 N F2、全ガス圧力 TPとの関係式、
E95 = f (V, NF2.TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での充電電圧 Vとフッ素 F2濃度 NF2を検出 し、これらの検出値と上記ステップ 610で検出された全ガス圧力 TPとを、上記関係式 (E95 = f (V, NF2,TP) )に代入し、スペクトル純度幅と全ガス圧力の関係式、
E95 = i(TP)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dTP=i- l ( I E95-E950 | )
を求め、スペクトル純度幅の変位量 I E95— E950 Iに対応する全ガス圧力の変化量
dTPを計算すればょ 、。ここで、 x=i— 1 (y)は、 y=i(x)の逆関数である。 また、予め、 実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固 定しておいてもよい。
[0274] つぎに、このように求められた全ガス圧力増減量 dTPだけ変化させた値が実際に全 ガス圧力を振れる範囲にある力否かが判断される。これは、極端に全ガス圧力が低 いと、利得の低下によりレーザ発振ができなくなり、また、極端に全ガス圧力が高いと 、発振用チャンバ 10の圧力限界値に達し、物理的にそれ以上ガス圧力を増加させる ことができなくなる力 である。
[0275] そこで、全ガス圧力の制御範囲が設定され、全ガス圧力増減量 dTPだけ変化させ た値力この全ガス圧力制御範囲力 外れている(リミット検出)か否かが判断され (ス テツプ 604)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはや全ガス圧力の制 御ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御できな 、ものと判定し、他の E95制御法に 切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レーザ発振を停止 する(ステップ 605)。
[0276] 全ガス圧力増減量 dTPだけ変化させた値が上記全ガス圧力制御範囲内(リミット検 出されない)であれば、安定ィ匕制御可能であり、つぎのステップ 606に移行され、メイ ンコントローラ 4に安定ィ匕制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメイン コントローラ 4は、ユーティリティコントローラ 5に指令信号を出力し、これを受けてユー ティリティコントローラ 5は、ガス供給排気ユニット 14を操作する。ガス供給排気ュ-ッ ト 14が操作されることによって、発振用チャンバ 10へのガスの注入若しくは発振用チ ヤンバ 10からのガスの排気が行われ、全ガス圧力増減量 dTPだけ全ガス圧力 TPが 変化する。具体的には、ガス供給排気ユニット 14では、発振用チャンバ 10に接続さ れるガス排気ラインのエアバルブと発振用チャンバ 10に接続されるガス吸気ラインの うち Ar/Neガスラインのエアバルブが制御される。スペクトル純度幅を細くする場合に は、 dTPだけ全ガス圧力が減少するように、ガス排気ラインのノ レブを開けて、ガスを 排気する。
[0277] 逆に、スペクトル純度幅を太くする場合には、 dTPだけ全ガス圧力が増加するように 、 Ar/Neガスラインのバルブを開けて、ガスを注入する(ステップ 606)。
[0278] ここでガス注入の望ま 、実施形態にっ 、て ArFエキシマレーザを例に説明する。 補給するためのガスは 2つのボンべ 1とボンべ 2に保管する。ボンべ 1内部には Arガ スと Neガスの混合ガスを封入し、ボンべ 2内部には F2ガスと Arガスと Neガスの混合 ガスを封入する。両ボンベにおいて Arガスと Neガスの分圧比はほぼ同一であり、そ の分圧比は ArFエキシマレーザの動作に適する比率に調整混合されて 、る。また、 ボンべ 2の F2ガスは ArFエキシマレーザの動作に適する範囲を超えた高い分圧であ る。従って、 F2ガスを発振用チャンバ内へ注入したい場合はボンべ 2から注入する。 ボンべ 2内の F2ガスは高い分圧を有するので、発振用チャンバ内のガスで薄められ て適切な分圧の F2ガスを補給することができる。 F2ガスを除くガスを注入した 、場合 はボンべ 1から注入する。レーザガスの注入排気を繰り返しても、発振用チャンバ内 部の Arガスと Neガスの分圧比がほぼ一定値を維持し、レーザの長期安定動作を可 能にすることができる。
[0279] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、全ガス圧力を変化させた後の実際のスペクトル純度幅 E95 が計測され (ステップ 607)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950 士 dE95)に入った力否かが判断される(ステップ 608)。この結果、計測されたスぺタト ル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、図 7に示すメイン ノレ一チンに戻る(ステップ 609)。
[0280] 一方、ステップ 608の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅( E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 610に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 609)。
[0281] 上述したサブルーチンの処理が行われ、全ガス圧力が変化することに伴い、シード 光の出力強度が変化するが(図 16の L9参照)、これについては、前述したとおり、増 幅用レーザ装置 300の放電パラメータ (全ガス圧力や充電電圧など)を制御すること によって、レーザ出力を安定ィ匕させることが可能である。
[0282] [実施例 6]
(充電電圧を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを制 御(制御手段 2)— 1)することによるスペクトル純度幅 E95の安定化制御)
図 1、図 2、図 3で説明したように、発振用レーザ装置 100では、電源 11、 12の充電 電圧に応じた電圧が一対の電極 10a、 10b間に印加されることで主放電が行われる 。本実施例では、充電電圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、 これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御 するものである。
[0283] 図 64に、発振用チャンバ 10内の電極 10a、 10bに印加される電圧に対応する充電 器 11の充電電圧 Vを変化させた場合のシード光のレーザパルス波形を示す。図 64 の横軸は時間であり、縦軸はレーザ出力(シード光強度)である。充電電圧 Vが小さ V、場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、充電電圧 Vが大き 、場合の シード光のレーザパルス波形を実線にて示す。
[0284] 同図 64に示すように、充電電圧 Vを低下させることによって、レーザパルスの立ち 上がりが遅れ、パルス波形の後半部分が強くなる。逆に充電電圧 Vを増加させると、 レーザの立ち上がりが早まり、パルス波形の前半部分が強くなる。この理由は、電源 1 1、 12のコンデンサに充電する電圧を大きくすることによって、放電開始時にコンデン サカも電極 10a、 10b間への充電速度が増加し、放電開始電圧も大きくなり、それゆ え、電源 11、 12からレーザ媒質への注入エネルギーが増加し、利得も大きくなるから である。実施例 4で前述したように、利得の変化により、パルス波形も変化する。この ため充電電圧 Vとスペクトル純度幅 E95及びレーザ出力 Eとの関係は、図 16に示すフ ッ素ガス分子 F2濃度とスペクトル純度幅 E95及びレーザ出力 Eとの関係 L8、 L9と、同 様な挙動を呈する。
[0285] 図 20に、本実施例 6のフローチャートを示す。図 20は、図 7のメインルーチン内の「 E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0286] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 2 0に示すサブルーチンに入る。
[0287] 図 20に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、メインコ ントローラ 4、エネルギーコントローラ 7、同期コントローラ 8で実行される。
[0288] 図 20に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ 10内の放電電 極 10a、 10bに電圧を印加する電源 11、 12 (充電器 11)の現在の充電電圧 Vが検出 される(ステップ 710)。
[0289] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 701)。
[0290] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要な充電電圧 Vの減 少量 dVの値が計算され、減少された値が、
V=V-dV
と計算される (ステップ 702)。
[0291] 逆に、 E95 >E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合 であるので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要な充電電圧 Vの増加量 dVの 値が計算され、増加された値が、
V=V+dV
と計算される (ステップ 703)。上記増減量 dVの値は、たとえば図 16に示すスペクトル 純度幅 E95とフッ素分子 F2濃度との相関関係と同じようなスペクトル純度幅 E95と充電 電圧との相関関係 L8から計算すればよい。
[0292] スペクトル純度幅 E95は、充電電圧以外にもフッ素分子 F2濃度、全ガス圧力の値に よって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅 E95と、充電電圧 V、フッ素濃度 N F2、全ガス圧力 TPとの関係式、
E95 = f (V, NF2.TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での全ガス圧力 TPとフッ素 F2濃度 NF2を検 出し、これらの検出値と上記ステップ 710で検出された充電電圧 Vとを、上記関係式( E95 = f (V, NF2,TP) )に代入し、スペクトル純度幅と充電電圧の関係式、
E95 = g (V)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dV = g- l ( I E95-E950 | )
を求め、スペクトル純度幅の変位量 I E95— E950 Iに対応する充電電圧の変化量 d Vを、計算すればょ 、。ここで、 x=g— 1 (y)は、 y=g(x)の逆関数である。 また、予め、 実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固 定しておいてもよい。
[0293] つぎに、このように求められた充電電圧増減量 dVだけ変化させた値が実際に充電 電圧を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、実際の発振用レーザ装置 10 0では電源 11、 12の性能により、充電可能な範囲が制限されるからである。
[0294] そこで、充電電圧の制御範囲が設定され、充電電圧増減量 dVだけ変化させた値が この充電電圧制御範囲力も外れている(リミット検出)か否かが判断され (ステップ 704 )、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはや充電電圧の制御ではスぺク トル純度幅 E95を安定ィ匕制御できないものと判定し、他の E95制御法に切り替える力、 制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レーザ発振を停止する (ステップ 7 05)。
[0295] 充電電圧増減量 dVだけ変化させた値が上記充電電圧制御範囲内(リミット検出さ れない)であれば、安定ィ匕制御可能であり、つぎのステップ 706に移行され、メインコ ントローラ 4に安定ィ匕制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコン トローラ 4は、エネルギーコントローラ 7を介して、同期コントローラ 8を指令信号を出力 し、これを受けて、同期コントローラ 8は、発振用レーザ装置 100の充電器 11を操作 して、充電電圧増減量 dVだけ充電電圧 Vを変化させる (ステップ 706)。
[0296] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、充電電圧を変化させた後の実際のスペクトル純度幅 E95が 計測され (ステップ 707)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950±d E95)に入ったカゝ否かが判断される (ステップ 708)。この結果、計測されたスペクトル 純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、図 7に示すメインル 一チンに戻る(ステップ 709)。
[0297] 一方、ステップ 708の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅(
E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 710に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 709)。
[0298] 上述したサブルーチンの処理が行われ、充電電圧が変化することに伴い、シード光 の出力強度が変化するが(図 16の L9参照)、これについては、前述したとおり、増幅 用レーザ装置 300の放電パラメータ (全ガス圧力や充電電圧など)を制御すること〖こ よって、レーザ出力を安定ィ匕させることが可能である。
[0299] [実施例 7]
(アウトプット力ブラの反射率を変化させることでシード光のパルス波形を変化させて パルス立上りを制御(制御手段 2)— 1)することによるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕 制御)
本実施例では、図 11、図 21に示すように、発振用チャンバ 10内で発生した光を所 定の反射率で発振用チャンバ内 10内に戻すアウトプット力ブラ 60が発振用レーザ装 置 100に設けられていることを前提としている。本実施例は、アウトプット力ブラ 60の 反射率を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパル スの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅 E95を安定化制御するものである。
[0300] 図 11に示す発振用レーザ装置 100内のレーザ共振器のアウトプット力ブラ 60の反 射率を変化させることによって、レーザパルス波形を変化させることが可能である。ァ ゥトプット力ブラ 60の反射率を増加させれば、パルスの後半部分が強くなり、逆に、反 射率を減少させれば、パルスの前半部分が強くなる。このため、例えば、アウトプット 力ブラ 60を基準値を反射率 30%で設計しておき、スペクトル純度幅 E95が太った場 合には、反射率を基準値から 40%に増加させればスペクトル純度幅 E95を狭くして 許容幅内に収まることができ、スペクトル純度幅 E95から狭くなつた場合には、反射率 を基準値から 20%に減少させればスペクトル純度幅 E95を広くすることができる。ここ で反射率の数値は例示であって、これに限定するものではな 、。
[0301] 図 21 (a)、 (b)に、アウトプット力ブラ 60の反射率を変化させる手段を例示する。図 2 1は、発振用チャンバ 10側力もアウトプットカプラ 60をみた図である。
[0302] 図 21(a)は、アウトプット力ブラ 60のビーム照射面を図中横長方向に形成し、このビ ーム照射面に、たとえば図中左方向 61Aで反射率が大きくなり、図中右方向 61Bで 反射率が小さくなるよう、反射率の分布を形成しておき、スライド機構 61によってァゥ トプット力ブラ 60のビーム照射面を、図中左右にスライドさせることによって、レーザビ ームの照射位置 62の反射率を変化させると 、う構造を例示して!/、る。
[0303] 図 21(b)は、アウトプットカプラ 60のビーム照射面を周方向に形成し、このビーム照 射面に、たとえば図中左周方向で反射率が大きくなり、図中右周方向で反射率が小 さくなるよう、反射率の分布を形成しておき、回転機構 63によってアウトプット力ブラ 6 0のビーム照射面を、図中左右回転方向 63A、 63Bに回転させることによって、レー ザビームの照射位置 62の反射率を変化させると 、う構造を例示して!/、る。
[0304] なお、図 21では、アウトプット力ブラ 60のビーム照射面に、連続的に反射率が変化 するような分布を形成しているが、段階的に反射率が変更されるような膜を形成して、 ステップ状に反射率を変更してもよ 、。
[0305] [実施例 8]
(発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、そ れに合わせて放電タイミングも変化させる制御(制御手段 3) )を行うことによるスぺタト ル純度幅 E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 100で放電を開始して力も増幅用レーザ装置 300で放電を開始するまでの放電タイ ミングを制御するとともに、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスぺタト ル純度幅 E95を制御することで、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のス ベクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する。
[0306] 具体的には、シード光のノ ルス波形の立ち上がり時間が変化した場合に、そのパ ルス波形の立ち上がりの時間の変化 dtに応じて、発振用レーザ装置 100で放電を開 始して力 増幅用レーザ装置 300で放電を開始するまでの放電タイミングを変化させ て、放電タイミングを所望の同期タイミングに一致させる制御が行われる。
[0307] 図 25は、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、放電タイミング を固定した場合の効果を説明する図であり、図 26は、シード光のパルス波形の立ち 上がりを変化させた場合に、その変化に合わせて放電タイミングを変化させた場合の 効果を説明する図である。
[0308] 図 25 (a)、 (b)、 (c)は、横軸の時間軸を共通のものとして、それぞれ、増幅用レー ザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95、発振用レーザ装置 100 力 出力されるシード光のパルス波形 (縦軸;シード光出力(強度))、増幅用レーザ 装置 300から出力されるレーザ光のパルス波形 (縦軸;レーザ光出力(強度))を示し ている。図 26 (a)、(b)、(c)についても同様である。破線で示すパルス波形は、遅延 前のもので、実線で示すパルス波形は、遅延後のものである。
[0309] 図 25に示すように、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させることによって、 シード光のスペクトル純度幅 E95は変化する(図 25 (b) )。しかし、このとき増幅用レー ザ装置 300での放電開始時期をずらさず放電タイミングを固定とした場合には(図 25 (c) )、レーザ光のスペクトル純度幅 E95の値は、図 25 (a)に P1で示すように殆ど変化 しない(図 25 (a) )。また、シード光のノ ルス波形の立ち上がりを変化させることによつ て、同期許容幅から外れる場合もあり、レーザ出力が減少してしまう(図 25 (c)参照) 。ただし、 MOPA方式の場合には、図 62で説明したように、シード光と増幅用レーザ 装置 300の利得曲線が重なった部分が増幅されるので、放電タイミングを固定とした ままでもスペクトル純度幅 E95が変化して、レーザ出力の減少が免れる。このため、こ の図 25に示す、シード光のノ ルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、放電タイミ ングを固定したままとする制御は、 MOPA方式に有効である。
[0310] 一方、図 26に示ように、シード光のパルス立ち上がり時間の変化分 dt (図 26 (b) ) に合わせて、放電タイミングを同じ dtだけ変化させてやると(図 26 (c) )、同期タイミン グがずれることがなくなるため、増幅されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95は、シー ド光のスペクトル純度幅 E95の影響を受けて、 P2から P3へと変化するとともに(図 26 ( a) )、レーザ光出力も変化することがない(図 26 (c) )というメリットが得られる。このた め、この図 26に示す、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、その 変化に合わせて放電タイミングを変化させるという制御は、 MOPO、 MOPAの両方式
に有効である。
[0311] 図 27に、図 18で説明した制御、つまりフッ素分子 F2濃度を変化させて、シード光の レーザパルス波形を変化 (シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させると 、う制御 と、その変化に応じて放電タイミングを変化させると 、う制御とを組み合わせた処理手 順をフローチャートで示している。図 27で、図 18と共通するステップ 510、 501〜50 9についての説明は、省略する。
[0312] 図 27では、図 18のステップ 506とステップ 507との間〖こ、「シード光のパルス立ち上 力 Sり時間の変化分 dtだけ放電タイミングを変化させる」 t 、う処理を実行するステップ 511が揷入されている点が、図 18と異なる。
[0313] すなわち、本実施例では、フッ素分子 F2濃度を濃度増減量 dNF2だけ変化させて、 これによりシード光のレーザパルス波形を変化させ、シード光のパルス立ち上がり時 間を dtだけ変化させた (ステップ 506)後に、そのシード光のノ ルス立ち上がり時間の 変化分 dtだけ放電タイミングを変化させる処理が実行される (ステップ 511)。
[0314] 本実施例 8によれば、図 18で説明した実施例 4と比較して、レーザ光出力の減少を 抑帘 Uすることができる。
[0315] なお、図 27では、図 18で説明した制御、つまりフッ素分子 F2濃度を変化させて、シ ード光のレーザパルス波形を変化 (シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させる という制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わ せた場合を例示したが、同様に、図 19で説明した制御、つまり全ガス圧力を変化さ せて、シード光のレーザパルス波形を変化 (シード光のパルス立ち上がり時間を変化 )させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組 み合わせてもよぐまた、同様に、同様に、図 20で説明した制御、つまり充電電圧を 変化させて、シード光のレーザパルス波形を変化 (シード光のパルス立ち上がり時間 を変化)させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御 とを組み合わせてもよぐまた、図 21で説明したアウトプット力ブラ 60の反射率を変化 させることでシード光のパルス波形を変化 (シード光のパルス立上り時間を変化)させ る制御)と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせ てもよい。
[0316] [実施例 9]
(磁気圧縮回路のコンデンサの容量、容量比に応じてシード光のパルス波形を変化 させることによるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御)
本実施例では、図 3に示すように、発振用レーザ装置 100に、磁気圧縮回路が設け られていることを前提とする。すなわち、一対の放電電極 10a、 10bと電気的に並列 に配置されたピーキングコンデンサ Cpとこのピーキングコンデンサ Cpの前段に電気 的に並列に配置された第 2のコンデンサ C2とを備えた充電回路 (磁気圧縮回路)が 発振用レーザ装置 100に備えられ、第 2のコンデンサ C2に蓄えられた電荷をピーキ ングコンデンサ Cpに移行させ、ピーキングコンデンサ Cpの充電電圧に応じた電圧が 一対の電極 10a、 10bに印加されることで放電が行われることを前提とする。本実施 例では、ピーキングコンデンサ Cpまたは/および第 2のコンデンサ Cpの容量、または/ および第 2のコンデンサに対するピーキングコンデンサ Cpの容量比 C2/Cpを変化さ せることで、シード光のパルス波形が変化され、これによりスペクトル純度幅 E95が安 定化制御される。
[0317] たとえば、図 22 (c)に示すように、容量比 C2/Cpを大きくすることで、ノ レスストレツ チされ、シード光のパルス波形が長くなる。
[0318] まず、コンデンサの容量とシード光のパルス波形との関係について、その原理を説 明する。
[0319] レーザパルス波形は、放電電流波形に依存し、その放電電流波形は、電極 10a、 1 Ob間の電圧波形に依存する。特に振動電流の最初の 1/2周期以降においても、レー ザ発振を持続する場合は、電流のピーク値が大きいときである。主放電電極 10a、 10 b間で放電が開始する電圧(これをブレークダウン電圧 Vbと呼ぶ)は、主放電電極 10 a、 10b間にカ卩えられる電圧の立ち上がりに依存し、立ち上がり時間が高速である場 合に放電開始電圧 Vbが高くなる (過電圧の発生)。例えば、この印加電圧が急激に 上昇するようにするには、ピーキングコンデンサ Cpの容量に対する第 2のコンデンサ C2の容量を大きくしてやれば (逆に Cpを小さくしてやれば)、その電圧の立ち上がり は急峻になる。ただし、ピーキングコンデンサ Cpの容量に対する第 2のコンデンサ C2 の容量が大きければ大きい程その電圧の立上りは急峻になり望ましいが、一方で、
第 2のコンデンサ C2の容量を大きくすればする程、発振用レーザ装置 100全体を駆 動のために必要なエネルギーが大きくなり、発振用レーザ装置 100の効率が低下し てしまうので、容量比 C2/Cpには限界があり、容量比を制御する場合は、ある範囲内 で変化させる必要がある。
[0320] また、主放電電極 10a、 10b間を流れる振動電流の最初の 1/2周期以降の周期を 短くすると、 2番目以降の 1/2周期においてもレーザ発振が持続される。これは、この 周期が長いと、 1つの 1/2周期の後半において放電の空間的な集中が発生して必要 な均一な励起が効率良く行われなくなるからである。 2番目以降の 1/2周期の周期を 決めるパラメータは、ピーキングコンデンサ Cpと主放電電極 10a、 10bが形成するル ープ (放電電流回路)中の容量と浮遊インダクタンスであり、両者の積のルートがその 周期に比例する。したがって、その周期を短くするには、ピーキングコンデンサ Cpの 容量を小さくすればよい。
[0321] 図 22に、コンデンサの容量を変化させたときの (a)電極 10a、 10b間電圧、(b)放電 電流、(c)シード光のパルス波形 (縦軸;レーザ強度)の変化の様子を示す。図 22 (a) 、(b)、(c)の横軸は、共通の時間軸としている。図 22において、破線は容量変化前 の波形であり、実線は容量変化後の波形である。
[0322] 上述した原理のとおり、ピーキングコンデンサ Cpの容量が小さくなつて、容量比 C2/ Cpが大きくなる場合、放電電圧の立ち上がりが急になり(図 22 (a)で破線力も実線に 変化)、放電開始電圧 Vbも大きくなるのがわ力る(図 22 (a)参照)。これにより、放電 電流のピーク値が大きくなり、放電電流が長時間振動する(図 22 (b)参照)。これに 伴い、シード光のレーザパルス波形も長くなる(図 22 (c)参照)。レーザパルスが長く なるということは、パルスの後半部分が強くなり、スペクトル純度幅の狭い成分が多く なることを意味する。
[0323] よって、発振用レーザ装置 100の充電回路 (磁気圧縮回路)において、ピーキング コンデンサ Cpの容量を小さぐまたは/および第 2のコンデンサ C2の容量を大きぐま たは/および容量比 C2/Cpを大きくすることによって、シード光のスペクトル純度幅 E9 5が狭くなる。逆に、ピーキングコンデンサ Cpの容量を大きぐまたは/および第 2のコ ンデンサ C2の容量を小さぐまたは/および容量比 C2/Cpを小さくすることによって、
シード光のスペクトル純度幅 E95が広くなる。
[0324] コンデンサの容量は、コンデンサの温度によって調整することができる。例えば、温 度 20°Cの増加でコンデンサの容量は 10%減少する。
[0325] そこで、例えば、ピーキングコンデンサ Cpの温調温度力 空冷で 40°C、水冷で 20 。C、空冷なしで 60°Cに変化可能に設計しておく。
[0326] ピーキングコンデンサ Cpの温度(° C)とスペクトル純度幅 E95 (a.u)との関係 L10は、 図 23に例示したとおりとなる。
[0327] すなわち、同図 23に示すように、スペクトル純度幅 E95が太くなつた場合には、空冷 をオフにしてピーキングコンデンサ Cpの温度を上昇させれば (40° C→60° C)、容量 が減少して、レーザパルス幅が伸びて、スペクトル純度幅 E95を狭くすることができる 。一方、スペクトル純度幅 E95が狭くなつた場合には、水冷にして、ピーキングコンデ ンサ Cpの温度を低下させれば (40° C→20° C)、容量が大きくなり、レーザパルス幅 が短くなり、スペクトル純度幅 E95を広くすることができる(図 23参照)。例えば、容量 比 C2/Cp = 5.6/8の場合、ピーキングコンデンサ Cpの容量は、;5nF〜6.2nFまで変更 可能となり、これにより、容量比 C2/Cpは、 0.63〜0.78の範囲で制御が可能となる。
[0328] 図 24に、本実施例 9のフローチャートを示す。図 24は、図 7のメインルーチン内の「 E95ァクチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0329] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 2 0に示すサブルーチンに入る。
[0330] 図 24に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、メインコ ントローラ 4で実行される。
[0331] 図 24に示すサブルーチンがスタートすると、まず、ピーキングコンデンサ Cpの現在 の温度 Tcpが検出される(ステップ 810)。
[0332] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 801)。
[0333] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なピーキングコンデ ンサ温度 Tcpの増加量 dTcpの値が計算され、増加された値が、
Tcp=Tcp + dTcp
と計算される (ステップ 802)。
[0334] E95 >E950でな 、場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合である ので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要なピーキングコンデンサ温度 Tcpの 減少量 dTcpの値が計算され、減少された値が、
Tcp=Tcp― dTcp
と計算される (ステップ 803)。上記増減量 dTcpの値は、たとえば図 23に示すピーキ ングコンデンサの温度とスペクトル純度幅 E95との相関関係 L10から計算すればよい
[0335] つぎに、このように求められたピーキングコンデンサ Cpの温度増減量 dTcpだけ変化 された値が実際に温度を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、温度増減 によってピーキングコンデンサ Cpの容量が変化することで、発振用レーザ装置 100を 駆動する際のエネルギー効率が変化するため、容量変化可能 (温度変化可能)な範 囲には制限がある力 である。
[0336] そこで、ピーキングコンデンサの温度の制御範囲が設定され、温度増減量 dTcpだ け変化された値がこの温度制御範囲力も外れている(リミット検出)か否かが判断され (ステップ 804)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはやピーキングコン デンサの温度の制御ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御できないものと判定し、 他の E95制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レ 一ザ発振を停止する (ステップ 805)。
[0337] 温度増減量 dTcpだけ変化された値が上記温度制御範囲内(リミット検出されない) であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ 806に移行され、メインコントロー ラ 4に安定ィ匕制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ 4は、ピーキングコンデンサ Cpの温度を、温度増減量 dTcpだけ変化させる (ステップ 8 06)。
[0338] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、ピーキングコンデンサ Cpの温度 Tcpを変化させた後の実際 のスペクトル純度幅 E95が計測され (ステップ 807)、計測されたスペクトル純度幅 E95 が第 2許容幅内(E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ 808)。この結 果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったな らば、図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 809)。
[0339] 一方、ステップ 808の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅( E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 810に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 809)。
[0340] なお、この図 24に示すフローチャートでは、ピーキングコンデンサ Cpの温度を制御 する場合を例示したが、同様に、第 2コンデンサ C2の温度を制御してもよぐまた容量 比 C2/Cpが変化するように両コンデンサの温度を制御してもよい。また、これらピーキ ングコンデンサ Cpの温度の制御、第 2コンデンサ C2の温度の制御、容量比 C2/Cp ( 両コンデンサの温度)の制御を適宜組み合わせた制御を行うようにしてもよ 、。
[0341] また、コンデンサの温度を制御する代わりに、ドアノブ型コンデンサであれば接続数 を変更することで容量を制御してもよい。例えば、 200pFコンデンサ X 28個で、 5.6nF のピーキングコンデンサ CpFを構成した場合、 25個から 31個の範囲で接続数を変化 させることによって、容量を変化させることができ、温度を変化させた場合と同様の効 果が得られる。
[0342] [実施例 10]
(予備電離コンデンサの容量に応じてシード光のパルス波形を変化させることによる スペクトル純度幅 E95の安定化制御)
本実施例は、図 3に示すように、一対の放電電極 10a、 10bと電気的に並列に配置 された予備電離コンデンサ Cp' を備えた充電回路が発振用レーザ装置 100に備え られ、予備電離コンデンサ Cp' の充電電圧に応じて一対の電極 10a、 10b間で予備 電離が行われることを前提とする。本実施例では、予備電離コンデンサ Cp' の容量
を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、スペクトル純度幅 E95の安 定ィ匕制御が行われる。
[0343] 図 22 (c)に示すレーザパルス波形と同様に、予備電離コンデンサ Cp'の容量の値 を変化させた場合にも、レーザパルス波形が変化する。例えば、予備電離コンデンサ Cp'の容量を小さくすると、その分、予備電離コンデンサ Cp側に流れる電流が大きく なるため、結果としてレーザパルス波形が長くなる。これに伴い、パルス後半の強度 が強くなり、スペクトル純度幅 E95が細くなる。逆に、予備電離コンデンサ Cp'の容量 が大きくなると、その分、予備電離コンデンサ Cp側に流れる電流が小さくなるため、結 果として、レーザパルス波形が短くなる。これに伴い、パルス前半の強度が強くなり、 スペクトル純度幅 E95が太くなる。予備電離コンデンサ Cp'の容量は、前述したピーキ ングコンデンサ Cpと同じように、温度によって制御することができる。また、予備電離 コンデンサ Cp'を構成するコンデンサの個数の接続数を変化させることでも、容量を 制御することが可能 である。
[0344] 具体的な実施例は、図 24のフローチャートにおいて、「ピーキングコンデンサ Cp」を 「予備電離コンデンサ Cp'」に置換した同様の処理で実現される。
[0345] 上述した実施例 9、 10は、シード光のパルス波形をパルスストレッチするものである 力 この実施例 9、 10と、実施例 4のフッ素濃度によるパルス波形制御とを組み合わ せて実施してもよぐこの場合には、同期許容幅を一層拡げられるという効果が得ら れる。
[0346] 同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例 9、 10と、実施例 5の 全ガス圧力によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよ!/ヽ。
[0347] 同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例 9、 10と、実施例 6の 充電電圧によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよい。
[0348] 同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例 9、 10と、実施例 7の アウトプット力ブラ反射率によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよい。
[0349] また、実施例 8で説明したのと同様に、シード光のレーザパルスをパルスストレッチ させてシード光のスペクトル純度幅を変化させる制御を行う(図 22 (c) )とともに、放電 タイミングを変化させる制御を実施してもよ 、。
[0350] [実施例 11]
(狭帯域ィ匕性能の制御(グレーティングの曲率半径による波面制御、波面補正器によ る波面制御)によるスペクトル純度幅 E95の安定ィヒ制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御することで、増幅用レーザ装置 300から出力されるレー ザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0351] この実施例 11では、発振用レーザ装置 100に、発振用チャンバ 10内で発生した光 の波面を変化させる波面変化手段が備えられ、波面変化手段によって、発振用チヤ ンバ 10内で発生した光の波面を変化させることで、発振用レーザ装置 100の狭帯域 化性能を変化させ、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純 度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0352] まず、本実施例に適用される原理について説明する。
レーザ光の波面を修正することで、スペクトル性能が変化する。これを利用すれば、 スペクトル純度幅 E95を制御することができる。
[0353] すなわち、レーザ共振器内においては、様々な要因によって、レーザ光の波面は ダイパージエンス (拡がり)および曲率を有することになる。例えば、レーザ共振器内 にスリットが配置されている場合には、このスリットによる回折によってスリット通過後の 光は球面波となる。また、レーザ共振器内に配置されている光学素子自身の収差に よって波面が歪むこともある。例えば、狭帯域ィ匕素子として用いられるプリズムエキス パンダのような透過型の光学素子では、
(a)内部の屈折率分布が完全に一様ではない
(b)プリズムの研磨面が歪んで!/、る
などの原因によって、この光学素子を通過したレーザ光の波面は凸面または凹面 の曲率を持つものとなる。そして、このような曲率を有する波面を持つレーザ光が平 坦な形状のグレーティングに入射された場合は、グレーティングによる波長選択性能 を低下させてしまうことになる。すなわち、グレーティングへのレーザ光の入射波面が
曲率を持つ場合は、グレーティングのそれぞれの溝にレーザ光が異なる角度で入射 されることになるので、グレーティングの波長選択特性が低下し、狭帯域ィ匕したレー ザ光のスペクトル線幅が広くなる。
[0354] そこで、グレーティングに入射するレーザ光の波面に一致するようにグレーティング 自体を曲げることにより、反射波面を修正し、スペクトル線幅が広がるのを防ぐことが できる。
[0355] 図 29は、グレーティングに曲率を発生させる曲率発生装置、つまりグレーティング 曲げ機構の構成例を断面図にて示して 、る。
[0356] 同図 29のグレーティング曲げ機構は、狭帯域ィ匕モジュール (LNM) 16に設けられ る。
[0357] グレーティング 161の側面は、グレーティング支持部 162によって支持されている。
グレーティング 161のレーザ光(シード光)入射面とは、反対側の面の中央部には、 パネ 163が配置されている。パネ 163の一方の端面がグレーティング 161に押し当て られるよう配置されている。パネ 163の他方の端面は、押し部材 164に当接されてい る。パネ 163は、押し部材 164の移動方向に沿って伸縮自在に配置されている。押し 部材 164は、テーパ状の傾斜面 164aを有しており、この傾斜面 164aには、調整ボ ルト 165の先端が当接されている。調整ボルト 165は、この調整ボルト 165の直動に 応じて、押し部材 164が移動するような位置関係で、押し部材 164に当接されている 。調整ボルト 165は、ステッピングモータ 166の回転軸に接続されており、ステツピン グモータ 166の回転駆動に応じて調整ボルト 165が直動する。
[0358] このためステッピングモータ 166が回転駆動し調整ボルト 165が押し部材 164の傾 斜面 164aに対して直動すると、その直動方向に応じて、押し部材 164は、パネ 164 を縮ませる方向(図中左方向)またはパネ 164を伸ばす方向(図中右方向)に移動す る。これによりグレーティング 161の中央部は、押し引きされて、グレーティング 161の 光入射面の曲率半径が変化する。パネ 163は、制御間隔を細力べするために設けら れている。
[0359] 図 28には、グレーティング 161の曲率半径とスペクトル純度幅 E95との関係 L11を 示している。同図 28に示す曲線 L11は、ある曲率半径でスペクトル純度幅の極小値
を持つ曲線であるため、実際に制御する場合は、上記極小点よりも曲率半径が小さ
V、側の制御範囲 (SA)か、上記極小点よりも曲率半径が大き 、側の制御範囲 (SB)の どちらかに決めて制御を行うことが望ましい。曲線 L 11上で大きな傾きを持つ領域の 方が制御しやす!/、ため、この例では傾きの大き!/、側の制御範囲 (SA)を使用すると、 より効果的である。
[0360] 図 30は、グレーティング 161の曲率半径を調整することでスペクトル純度幅 E95を 安定ィ匕制御する本実施例 11の処理手順を示している。図 30は、図 7のメインルーチ ン内の「E95ァクチユエータによる安定化制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応 する。
[0361] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 3 0に示すサブルーチンに入る。
[0362] 図 30に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6で実行さ れる。
[0363] 図 30に示すサブルーチンがスタートすると、まず、狭帯域化モジュール (LNM) 16 内のグレーティング 161の現在の曲げ量 Xが検出される(ステップ 910)。
[0364] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 901)。
[0365] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅 の差分 E95— E950に相当するグレーティング 161の曲げ量の制御量 dxが計算され、 制御量 dxだけ変化された値が、
χ=χ + αχ
と計算される (ステップ 902)。
[0366] Ε95 >Ε950でな 、場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合である ので、スペクトル純度幅 Ε95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分 Ε950—
E95に相当するグレーティング 161の曲げ量の制御量 dxが計算され、制御量 dxだけ 変化された値が、
χ=χ— χ
と計算される (ステップ 903)。上記制御量 dxの値は、たとえば図 28に示すグレーティ ング 161の曲率半径とスペクトル純度幅 E95との相関関係 L11から計算すればよい。
[0367] つぎに、このように求められたグレーティング 161の曲げ量の制御量 dxだけ変化さ れた値が実際に制御可能な範囲にあるか否かが判断される。
[0368] そこで、制御量 dxだけ変化された値が、制御範囲力も外れて 、る(リミット検出)力否 かが判断され (ステップ 904)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはや グレーティング 161の曲率半径(曲げ量)の調整ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕 制御できないものと判定し、他の E95制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコ ントローラ 4に送る力して、レーザ発振を停止する (ステップ 905)。
[0369] 制御量 dxだけ変化された値が、制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定 化制御可能であり、つぎのステップ 906に移行され、ドライバ 21に駆動指令信号を送 り、たとえば図 29に示すグレーティング曲げ機構のステッピングモータ 166を駆動し て、グレーティング 161の曲げ量 を、制御量 dxだけ変化させる(ステップ 906)。
[0370] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、グレーティング 161の曲げ量 Xを変化させた後の実際のスぺ タトル純度幅 E95が計測され (ステップ 907)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2 許容幅内(E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ 808)。この結果、計 測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、 図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 909)。
[0371] 一方、ステップ 908の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅( E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 910に移行され、スぺク トル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そ して、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチン に戻される(ステップ 909)。
[0372] 上述した図 30のフローチャートでは、グレーティング 161の曲率半径を変化させて
光の波面を変化 (修正)する場合を想定して説明したが、 LNM16内にある別の素子、 例えばチューニングミラーなどの曲率半径を変化させて、同様に波面修正をしてもよ い。
[0373] また、参考文献 6 (特願 9-119631号)に記載されているように、 LNM16内に、レーザ 光の波面を補正して出射する波面補正手段を設け、その波面補正手段の波面補正 特性を変化させることでスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御してもよい。
[0374] 図 54に、波面補正器 169を備えた狭帯域ィ匕モジュール 16の構成例を示す。
[0375] 同図 54に示すように、狭帯域化モジュール(LNM) 16は、ビームエキスパンダ 168 と、グレーティング 161と、グレーティング 161の姿勢を変化させる回転ァクチユエ一 タ 167と、波面補正器 169とを含む構成要素で構成されている。
[0376] 波面補正器 169は、入射されたレーザ光の波面を補正して出射する機能を備えて いる。狭帯域ィ匕モジュール 16に入射されたレーザ光は、まず波面補正器 169によつ て、その波面が修正された後、ビームエキスパンダ 168に入射される。ビームエキス パンダ 168によってレーザ光のビーム幅が拡大される。さらに、レーザ光はグレーティ ング 161に入射されて回折されることにより、所定の波長成分のレーザ光のみが入射 光と同じ方向に折り返される。グレーティング 161で折り返されたレーザ光は、ビーム エキスパンダ (たとえばプリズム) 168でビーム幅が縮小された後、波面補正器 169に 入射される。波面補正器 169では、レーザ光の波面が狭帯域ィ匕モジュール 16に入 射されたときと同じ平面波になるように、波面が補正される。波面が補正されたレーザ 光は、狭帯域ィ匕モジュール 16から出射され発振用チャンバ 10に入射される。
[0377] 以上のように構成された狭帯域ィ匕モジュール 16内の波面補正器 169の波面補正 特性を変化させることで、スペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御が行われる。
[0378] 図 55は、波面補正器 169の構成例を示している。
[0379] 図 55 (a)は、透過型の光学素子基板の温度分布を制御して、波面を変化させる波 面補正器 169の構成例である。
[0380] 一般に、 CaF2などの光学材料の屈折率は温度によって変化する。したがって、光 学素子に温度分布を故意に与えることで屈折率分布を発生させることができる。
[0381] そこで、図 55 (a)に示すように、基板 1692の四方の各側面に熱電素子のようなカロ
熱および冷却が可能な加熱冷却器 1691を設置する。加熱冷却器 1691が設置され た付近の基板 1692の温度は、温度センサ 1691aで検出され、基板 1692が所定の 温度分布になるように温度センサ 1691aの検出値に基づいて各加熱冷却器 1691を 温度制御して、基板 1692に所望の屈折率分布を与え、レーザ光の波面を変化させ る。
[0382] 図 55(b)は、凸レンズ 1695と、凹レンズ 1696と、凸レンズ 1695を光軸方向に移動 させる移動ステージ 1693と、この移動ステージ 1693を駆動するパルスモータ 1694 とによって構成した波面補正器 169を例示している。
[0383] 同図 55 (b)に示すように、入射された凸面波面または凹面波面は、凸レンズ 1695 と凹レンズ 1696との光軸方向の相対位置に応じて平面波に変換される。凸レンズ 1 695と凹レンズ 1696との距離を大きくとった場合には、凸面波面を平面波に変換す ることができる。また、凸レンズ 1695と凹レンズ 1696との距離を小さくとった場合には 、凹面波面を平面波に変換することができる。このようにパルスモータ 1694を駆動し て移動ステージ 1693を移動させ、凸レンズ 1695と凹レンズ 1696との距離を変化さ せることで、レーザ光の波面を変化させることができる。
[0384] [実施例 12]
(狭帯域ィ匕性能の制御(ディフォーマブルミラーによる波面制御)によるスペクトル純 度幅 E95の安定ィヒ制御)
上述した実施例 11では、グレーティングの曲率半径に応じて、あるいは波面補正 器によって、波面を制御する場合について説明したが、つぎに、同じく発振用チャン ノ 10で発生した光の波面を制御するために、ディフォーマブルミラーを使用する実 施例について説明する。
[0385] 図 31は、ディフォーマブルミラーを使用したレーザ波面制御システムの構成を示し ている。
[0386] 同図 31に示すように、発振用チャンバ 10のフロント側には、エンドミラーであるディ フォーマブルミラー 70が配置されている。本実施例では、ディフォーマブルミラー 70 の全反射面の形状を整形して、レーザ波面を変化 (修正)する。
[0387] 発振用チャンバ 10のリア側にリトロー配置されたグレーティング 161とフロント側の
ディフォーマブルミラー 70との間で、レーザ共振器が構成されている。発振用チャン ノ 10とフロント側のディフォーマブルミラー 70との間の光路上には、 45度入射のビ 一ムスプリッタ 71が配置されている。ビームスプリッタ 71は、出力結合ミラーとして機 能する。
[0388] すなわち、発振用チャンバ 10から出力された光の一部は、出力結合ミラー 71により 反射され、発振用レーザ装置 100の出力光 (シード光)として取り出され、増幅用レー ザ装置 100へ注入光として入力される。
[0389] 一方、出力結合ミラー 71を透過した光は、ディフォーマブルミラー 70によって、反 射波面が変化して再び、出力結合ミラー 71に入射する。出力結合ミラー 71の透過光 は、発振用チャンバ 10を透過して増幅される。出力結合ミラー 71の反射光は、波面 検出器 72に入射される。そして、発振用チャンバ 10を透過して増幅された光は、プリ ズムによって構成されたビームエキスパンダ 168とグレーティング 161とにより狭帯域 化されて、回折光が再び発振用チャンバ 10を透過して増幅される。そして、再び、発 振用チャンバ 10を透過して増幅された光は、出力結合ミラー 71に入射され、レーザ 発振される。
[0390] 発振用チャンバ 10内で発生するレーザ光の波面は、理想的には、シリンドリカル状 の波面となる。波面検出器 72では、発振用チャンバ 10内で発生したレーザ光の波 面の曲率半径 Rが検出される。波面検出器 72は、発振レーザ光をモニタしてもよぐ また、別の可視光などのガイドレーザによる光の波面を検出してよい。また、レーザビ ームの波面の検出方法としては、シェアリング干渉計ゃノヽルトマン シャツク法などが 一般に知られて 、る。これら検出原理に基づき波面検出器 72を構成することができ る。
[0391] ディフォーマブルミラー 70は、ァクチユエータ 73によって、反射面の複数の各部分 が機械的に押し引きされる。図 32は、図 31の A— A断面を示しており、ライン型のディ フォーマブルミラー 70と、ディフォーマブルミラー 70の反射面の 3点に設けられたァク チユエータ 73を示している。ァクチユエータ 73としては、例えばピエゾ素子が使用さ れる。各ァクチユエータ 73 (ピエゾ素子)を伸縮させることにより、ディフォーマブルミラ 一 70の反射面の各部が押し引きされディフォーマブルミラー 70の曲率半径の大きさ
が調整される。なお、図 32は、ァクチユエータ 73の数が 3つの場合を例示しているが 、これに限定されることなぐァクチユエータ 73の個数は任意であり、ァクチユエータ 7 3の個数を多くすることによって、より高精度な波面修正が可能となる。また、ディフォ 一マブルミラー 70の反射面を押し引きするァクチユエータ 73としては、ピエゾ素子に 限定されるわけではなぐ任意のものを使用することができ、例えば、ピエゾ素子以外 に、温度変化による熱膨張を利用してディフォーマブルミラー 70の反射面を押し引き するァクチユエータを使用してもょ 、。
[0392] コントローラ 74は、波面検出器 72で検出された光の波面の曲率半径 Rと、スぺタト ル純度幅 E95の検出値とに基づいて、ァクチユエータ 73を介して、ディフォーマブル ミラー 70の曲率半径 rを制御する。
[0393] 図 33には、波面検出器 72で検出されるレーザ光の波面の曲率半径とスペクトル純 度幅 E95との関係 L12を示している。同図 33に示す曲線 L12は、図 28と同様に、あ る曲率半径でスペクトル純度幅の極小値を持つ曲線であるため、実際に制御する場 合は、上記極小点よりも曲率半径が小さい側の制御範囲 (SA)力、上記極小点よりも 曲率半径が大きい側の制御範囲 (SB)のどちらかに決めて制御を行うことが望ましい。 曲線 L 12上で大きな傾きを持つ領域の方が制御しやす 、ため、この例では傾きの大 き 、側の制御範囲 (SA)を使用すると、より効果的である。
[0394] 図 34は、レーザ光の波面の曲率半径を調整することでスペクトル純度幅 E95を安定 化制御する本実施例 12の処理手順を示している。図 34は、図 7のメインルーチン内 の「E95ァクチユエータによる安定化制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する
[0395] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 3 4に示すサブルーチンに入る。
[0396] 図 34に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、図 31に 示すコントローラ 74で実行される。
[0397] 図 34に示すサブルーチンがスタートすると、まず、波面検出器 72によって発振用
チャンバ 10で発生したレーザ光の波面の現在の曲率半径 Rが検出される (ステップ 1 010)。
[0398] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6 (図 1)で計算される(ステ ップ 1001)。
[0399] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅 の差分 E95— E950に相当するレーザ光波面の曲率半径の制御量 dRが計算され、制 御量 dRだけ変化された値が、
R=R+dR
と計算される(ステップ 1002)。
[0400] E95 >E950でな 、場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなつた場合である ので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分 E950— E95に相当するレーザ光波面の曲率半径の制御量 dRが計算され、制御量 dRだけ変 化された値が、
R=R-dR
と計算される (ステップ 1003)。上記制御量 dRの値は、たとえば図 33に示すレーザ 光波面の曲率半径とスペクトル純度幅 E95との相関関係 L12から計算すればよい。
[0401] つぎに、レーザ光波面の曲率半径を、上記制御量 dR分変化させるのに必要なディ フォーマブルミラー 70の曲率半径の変化量 drが計算される。そして、このように求め られた制御量 drだけ変化されたディフォーマブルミラー 70の曲率半径値が実際に制 御可能な範囲にある力否かが判断される。
[0402] そこで、制御量 drだけ変化された値力 制御範囲力 外れて 、る(リミット検出)か否 かが判断され (ステップ 1004)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もは やディーフォーマブルミラー 70の曲率半径(レーザ光波面の曲率半径)の調整では スペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御できな 、ものと判定し、他の E95制御法に切り替 える力、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レーザ発振を停止する (ス テツプ 1005)。
[0403] 制御量 drだけ変化された値が、制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定 化制御可能であり、つぎのステップ 1006に移行され、ディーフォーマブルミラー 70の コントローラ 74に駆動指令信号を送り、ァクチユエータ 73を介して、ディフォーマブル ミラー 70の曲率半径 rを、制御量 drだけ変化させ、発振用チャンバ 10内で発生したレ 一ザ光の波面の曲率半径 Rを、制御量 dRだけ変化させる(ステップ 1006)。
[0404] つぎに、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブルーチン( 図 6、図 10参照)に入り、ディフォーマブルミラー 70の曲率半径 r (レーザ光波面の曲 率半径 R)を変化させた後の実際のスペクトル純度幅 E95が計測され (ステップ 1007) 、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)に入ったか否かが 判断される (ステップ 1008)。この結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容 幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 1009)。
[0405] 一方、ステップ 1008の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅
(E950士 dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 1010に移行され、スぺ タトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。 そして、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチ ンに戻される(ステップ 1009)。
[0406] この実施例では、レーザ光波面がシリンドリカル状の波面となる理想的な場合を想 定した。しかし、実際には、レーザ共振器内の光学素子の温度分布や、放電による 音響波の影響によって、レーザ光の波面が歪んでしまい、ライン型のディフォーマブ ルミラー 70では、波面の高精度な制御を行うことが困難になるおそれがある。そこで 、ライン型ではなぐ 2次元タイプのディフォーマブルミラーを搭載して、レーザ光波面 を、より高精度に制御することによって、より高精度なスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕 制御を行うようにしてもよい。
[0407] また、前述した実施例 11では、グレーティング 161の曲げ量(曲率半径)を検出して 、その検出結果に基づきグレーティング 161の曲げ量(曲率半径)を変化させている 力 この実施例 11においても、実施例 12と同様に、グレーティング 161の曲げ量(曲 率半径)を検出する代わりに、波面検出器によってレーザ光の波面を検出して、その
検出結果に基づきグレーティング 161の曲げ量(曲率半径)を変化させるような実施 も可能である。
[0408] [実施例 13]
(狭帯域ィヒ性能の制御 (拡大率 (倍率)変更)によるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制 御)
上述した実施例 11、 12では、発振用チャンバ 10内で発生した光の波面を変化さ せることで、発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御する場合について説明し たが、つぎに、同じく発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御するために、発 振用チャンバ 10内で発生した光の拡大率を変化させる実施例について説明する。
[0409] 本実施例に適用される原理について説明する。
[0410] 図 35 (a)は、発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕モジュール (LNM) 16の構成要 素と光軸との位置関係を示して 、る。
[0411] 発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕モジュール (LNM) 16には、リア側ウィンドウ 10 eに近い場所より、順に、プリズム 168a (以下、プリズム aと適宜省略する)、プリズム 1 68b (以下、プリズム bと適宜省略する)、グレーティング 161が配置されている。プリズ ム 168a、 168bによってビームエキスパンダ 168が構成される。
[0412] 図 35 (a)に矢印で示すように、プリズム 168a、 168bの姿勢を変化させると、発振用 レーザ装置(MO) 100のビームエキスパンダ 168による光の拡大率が変更され、これ により発振用チャンバ 10内で発生した光のスペクトル幅が変化する。
[0413] 図 39 (a)は、拡大率 Mとスペクトル幅 Δ λとの関係 L13を示している。
[0414] 同図 39 (a)の関係 L13からわ力るように、ビームエキスパンダ 168による光の拡大 率 Mが大きくなると、スペクトル幅 Δ λが細くなる。逆に、ビームエキスパンダ 168によ る光の拡大率 Μが小さくなると、スペクトル幅 Δ λが太くなる。
[0415] したがって、スペクトル純度幅若しくはこれに代わるスペクトル指標値を計測 (検出) し、その計測値 (検出値)として得られる現在のスペクトル幅 Δ λが目標スペクトル幅 Δ λ θよりも広くなつている場合には、ビームエキスパンダ 168による光の拡大率 Μを 大きくし、現在のスペクトル幅 Δ λが目標スペクトル幅 Δ λ θよりも細くなつている場合 には、拡大率を小さくすることで、スペクトル幅を目標スペクトル幅に対する許容幅内
に安定させることができ、スペクトル性能が安定ィ匕する。
[0416] 一方で、ビームエキスパンダ 168としてプリズム群 168a、 168bを用いる場合には、 中心波長も一定に保つ必要がある。複数のプリズム 168a、 168bの姿勢の調整次第 で、中心波長を同一のままとし、拡大率のみ変化させることが可能である。本実施例 によれば、プリズム aは、拡大率調整用に、プリズム bは、主として波長調整用に使用 され、それぞれを姿勢を調整することで、中心波長と拡大率との双方の制御が行わ れる(図 35 (a) )。ここで、従来にあっては、参考例として図 35 (b)に示すように、中心 波長の制御のみを行うためにプリズム bのみの姿勢が調整されるだけであり、両者の 構成上の相違は明らかである。
[0417] 図 39 (b)は、拡大率 Mと発振用レーザ装置 100から出力されるシード光出力(強度 )との関係 L 14を示している。
[0418] 同図 39 (b)からわかるように、複数のプリズム 168a、 168bの姿勢の調整に伴って 拡大率 Mが変化するとシード光の出力が多少変化することがある。しかし、シード光 の出力の変化に対しては、発振用チャンバ 10内の電極 10a、 10b間に印加する電圧 や、チャンバ 10内のガス圧の調整で、十分補償される。
[0419] 図 36は、拡大率 (倍率) Mを調整することでスペクトル純度幅 E95を安定ィヒ制御す る本実施例 13の処理手順を示している。図 36は、図 7のメインルーチン内の「E95ァ クチユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。以下の 処理ではプリズム aは、拡大率調整用に、プリズム bは、主として波長調整用に使用さ れる。
[0420] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 3 6に示すサブルーチンに入る。
[0421] 図 36に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6で実行さ れる。
[0422] 図 36に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅 E95が目標値よ り広くなつたのか、狭くなつたのかの判別、つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波
長コントローラ 6 (図 1)で計算される (ステップ 1101)。
[0423] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅 の差分 E95— E950に相当する 1ステップ当たりの拡大率変化量 + Δ Μが計算され、 これに応じてプリズム a、 bの姿勢が調整される(ステップ 1102)。上記ステップ 1102 の処理は、図 37に示すサブルーチンとして実行される。
[0424] まず、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分 E95—
E950に相当する 1ステップ当たりの拡大率変化量 + Δ Μが計算され、この拡大率変 化量 + Δ Μだけ変化された値が、
Μ = Μ+ Δ Μ
と計算され、この計算された拡大率 Mが得られるよう、プリズム aを回転してプリズム a の姿勢を調整する。上記拡大率変化量 + Δ Μの値は、たとえば図 39 (a)に示す拡 大率 Mとスペクトル純度幅 E95 ( Δ λ )との相関関係 L13から計算すればよい (ステツ プ 1201)。
[0425] しかし、上記 1201でプリズム aの姿勢を変化させたままでは、発振波長がずれてし まうので、同時にプリズム bの姿勢を調整して中心波長の制御を行う。すなわち、プリ ズム bを回転してプリズム bの姿勢を調整して中心波長を元の目標中心波長に戻す( ステップ 1202)。
[0426] つぎに、発振用レーザ装置 100から出力されるシード光の一部を切り出して、第 1 モニタモジュール 19で、シード光の中心波長 λが検出され、スペクトル純度幅 Ε95が 計測される。
つぎに、露光装置 3で要求される目標中心波長 λ 0と、検出中心波長 λとが比較さ れ、検出中心波長え力 目標中心波長 λ θに対する許容幅 Δを超えた力否力、つま り、
I λ - λ ο I > Δ
であるか否かが判断される(ステップ 1204)。
[0427] この結果、検出中心波長え力 目標中心波長 λ θの許容幅 Δを超えた場合には、 プリズム bのみの姿勢を調整して、波長を変化させて、中心波長が λ οとなるようにし
て(ステップ 1205)、図 36のステップ 1104にリターンされる(ステップ 1206)。一方、 検出中心波長 λ 1が、 目標中心波長 λ θに対する許容幅 Δを加えた値を超えていな い場合には、そのまま、図 36のステップ 1104にリターンされる(ステップ 1206)。
[0428] 一方、図 36のステップ 1101の判断の結果、 Ε95 >Ε950でない場合には、スぺタト ル純度幅が目標値より狭くなつた場合であるので、スペクトル純度幅 Ε95を広くするた めに必要なスペクトル純度幅の差分 Ε95— Ε950に相当する 1ステップ当たりの拡大率 減少量 Δ Μが計算され、これに応じてプリズム a、 bの姿勢が調整される (ステップ 1 103)。上記ステップ 1103の処理は、図 38に示すサブルーチンとして実行される。
[0429] まず、スペクトル純度幅 E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分 E95— E950に相当する 1ステップ当たりの拡大率減少量 Δ Μが計算され、この拡大率変 化量 Δ Μだけ変化された値が、
Μ=Μ- Δ Μ
と計算され、この計算された拡大率 Mが得られるよう、プリズム aを回転してプリズム a の姿勢を調整する(ステップ 1301)。以下、ステップ 1302〜1306の処理は、図 37を 用 、て説明したステップ 1202〜 1206の処理と同様であるので説明は省略する。
[0430] つぎに、図 36のステップ 1104において、プリズム a、プリズム bの回転させた結果、 それらの姿勢角度が許容角度幅 (上限値〜下限値)から外れたか (例えば下限値で あれば、下限値を下回ったカゝ)否かが判断される。たとえばプリズム a、プリズム bの姿 勢角度の限度角(上限値、下限値)を検出するリミットスィッチが設けられ、リミットスィ ツチによってリミット(限度角)が検出された力否かが判断される (ステップ 1104)。
[0431] プリズム a、 bの姿勢角が、限度角を検出した場合 (リミット検出)は、もはやプリズム a 、 b (拡大率 M)の調整ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御できな 、ものと判定し 、他の E95制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、 レーザ発振を停止する (ステップ 1105)。
[0432] プリズム a、 bの姿勢角が、限度角を検出していない場合 (リミット検出されない)であ れば、安定ィ匕制御可能であり、そのまま、つぎのステップ 1107に移行される。
[0433] ステップ 1107では、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブ ルーチン(図 6、図 10参照)に入り、プリズム a、 bの姿勢を変化させた後の実際のスぺ
タトル純度幅 E95が計測され (ステップ 1107)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ 1108)。この結果、 計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば 、図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 1109)。
[0434] 一方、ステップ 1108の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅
(E950士 dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 1101に移行され、スぺ タトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。 そして、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチ ンに戻される(ステップ 1109)。
[0435] 以上の制御内容は、一対のプリズム a、 bの姿勢を調整して中心波長と拡大率を制 御する場合であるが、光学部品の組合せを任意としたとしても、同様な制御を行い得 る。たとえばプリズムとグレーティングの姿勢を調整することによつても、また、プリズム と回転ミラーの姿勢を調整することによつても、また、回転ミラーとグレーティングの姿 勢を調整することによつても、同様に、中心波長と拡大率を制御することができる。ま た、ァフォーカルな光学系を配置し、その倍率を可変できるように構成して、同様な 制御を行うようにしてもよい。
[0436] なお、プリズムの姿勢を調整する場合においては、図 39 (b)に示すように、その姿 勢角が大きくなりすぎると、シード光の出力の急激な低下を招いてしまう。その理由と して考えられるのは、プリズムへの入射角が膜の最適域とずれることで反射損失が大 きくなること、光路がずれることによりケラレが大きくなることなどが挙げられる。また、 倍率を変更することによって、ビーム品位が変化してしまうおそれがある。そこで、必 要に応じて、整形光学モジュールによって、シード光の光品位の補償や、シード光出 力の補償を行うようにしてもょ 、。
[0437] 特に、 2ステージレーザ装置 2では、 1ステージレーザ装置と異なり、発振用レーザ 装置 100で低下したビーム品位を増幅用レーザ装置 300で調整して、補償を行うこと が可能である。
[0438] [実施例 14]
(狭帯域ィ匕性能の制御(ビーム幅変化)によるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御)
つぎに、同じく発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を制御するために、発振用 チャンバ 10内で発生した光のビーム幅を変化させる実施例について説明する。
[0439] 本実施例に適用される原理について説明する。
[0440] 図 40は、発振用レーザ装置 100の光軸とスリットとの位置関係を示している。同図 4 0は、図 2に示す発振用チャンバ 10 (縦方向)を上面力もみた横方向の図であり、発 振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕モジュール (LNM) 16には、リア側ウィンドウ 10eに 近い場所より、順に、プリズム 168a、プリズム 168b、グレーティング 161が配置されて いる。
[0441] リア側ウィンドウ 10eとプリズム 168との間には、(リア側)スリット 80が配置されている 。また、フロント側ウィンドウ 10fとフロントミラー 17との間には、(フロント側)スリット 81 が配置されている。すなわち、レーザ共振器内にスリット 80、 81が配置されている。ス リット 80、 81は、矢印にて示すように、発振用チャンバ 10の横方向(図中上下方向) のスリット幅 Wが変化されるように構成されている。コントローラ 82は、図示しないドラ ィバを介してスリット 80、 81のスリット幅 Wを駆動制御する。
[0442] レーザ共振器内のスリット 80、 81のスリット幅 W (横方向のスリット幅)が変化すると、 横方向の光のダイパージエンスが変化し、スペクトル幅が変化する。
[0443] 図 41は、スリット 80、 81のスリット幅 Wとスペクトル幅 Δ λとの関係 L15を示している
[0444] 同図 41の関係 L15からわかるように、 W0〜W1の範囲内でスリット幅 Wが大きくなる と、スペクトル幅 Δ λが太くなる。逆に、スリット幅 Wが小さくなると、スペクトル幅 Δ λ が細くなる。
[0445] したがって、スペクトル純度幅若しくはこれに代わるスペクトル指標値を計測 (検出) し、その計測値 (検出値)として得られる現在のスペクトル幅 Δ λが目標スペクトル幅 Δ λ θよりも広くなつている場合には、スリット幅 Wを小さくし、現在のスペクトル幅 Δ λ が目標スペクトル幅 Δ λ θよりも細くなつている場合には、スリット幅 Wを大きくすること で、スペクトル幅を目標スペクトル幅に対する許容幅内に安定させることができ、スぺ タトル性能が安定ィ匕する。
[0446] スリット幅 Wが変化するスリットは、発振用チャンバ 10のリア側、フロント側の両方に
スリット 80、 81として配置してもよぐまた、リア側のみにスリット 80として配置してもよく 、また、フロント側のみにスリット 81として配置してもよい。
[0447] 一方で、スリット幅 Wが変化すると、シード光の出力が変化することがある。
[0448] し力し、 2ステージレーザ装置 2においては、増幅用レーザ装置 300の出力が安定し ていればよぐ発振用レーザ装置 100の出力の多少の変動は、問題にならない。また 、シード光の出力の変化に対しては、発振用チャンバ 10内の電極 10a、 10b間に印 加する電圧や、チャンバ 10内のガス圧の調整で、スペクトル性能を保持したままで十 分補償される。さらに、スリット幅 Wの変化によって、光のビームプロファイルやビーム ダイパージエンスも変化してしまうが、これらが問題になる場合には、伝播系に整形光 学モジュールを配置すれば、これらビームプロファイルやビームダイパージエンスを ほぼ一定に保持することが可能となる。
[0449] スリット 80、 81は、光軸に対して片側のみからスリット幅 Wを変化させてもよぐ光軸 の両側からスリット幅 Wを変化させてもよい。ただし、光軸の両側からスリット幅 Wを変 化させるようにした方が、制御性に優れて 、る。
[0450] また、図 40では、横方向にスリット幅 Wが変化するスリット 80、 81を想定して説明し た力 縦方向、つまり図 2の図中上下方向にスリット幅 Wが変化するスリットを用いても 、同様に、スペクトル幅の制御が可能である。ただし、スリット幅 Wの変化に対するス ベクトル性能変化は、縦方向にスリット幅 Wを変化させる場合に比べて横方向に変化 させる方が小さいため、縦方向に変化するスリット 80、 81 (図 40)を使用した方力 制 御性能上、望ましい。
[0451] 図 41の特性 L15からわ力るように、あるしきい値 W0よりもスリット幅 Wが狭くなると、 スペクトル性能が悪ィ匕してしまう。この理由としては、グレーティング 161に照射可能 なビーム幅が狭くなつてしまうためにグレーティング 161の理論分解能が低下するた めであると考えられる。また、上記しきい値 W0よりもスリット幅 Wが狭くなると、シード光 の出力が大きく低減してしまう。したがって、しきい値 W0よりもスリット幅が狭くなる領 域で制御する利点は少な 、。
[0452] また、あるしき!、値 Wl ( >W0)よりもスリット幅 Wが大き!/、領域では、スリット幅の変 化に対するスペクトル性能の変化は殆どない。この理由としては、この領域では、スリ
ット幅がビーム幅よりも、太くなつているためであると考えられる。したがって、しきい値 Wはりもスリット幅が広くなる領域で制御する利点は少ない。
[0453] そこで、上記各しき!、値 W0〜 W1の間の領域で、スリット幅 Wを変化させて、スぺク トル幅を制御することが望ましい。そして、また、この領域 W0〜 W1では、スリット幅 W の変化 (増加)に対して、スペクトル幅 Δ λは単調変化 (増力!])するため、制御特性上 も望ましいものである。
[0454] 図 42は、スリット幅 Wを調整することでスペクトル純度幅 Ε95を安定ィ匕制御する本実 施例 14の処理手順を示している。図 42は、図 7のメインルーチン内の「Ε95ァクチュ エータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0455] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 Ε95の値力 第 2許容幅 Ε950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 4 2に示すサブルーチンに入る。
[0456] 図 42に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、図 40に 示すコントローラ 82で実行される。
[0457] 図 42に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅 E95が目標値よ り広くなつたのか、狭くなつたのかの判別、つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波 長コントローラ 6 (図 1)で計算される (ステップ 1401)。
[0458] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅 の差分 E95— E950に相当する 1ステップ当たりのスリット幅減少量 Δ Wが計算され 、これに応じてスリット 80、 81のスリット幅 Wが調整される。上記スリット幅減少量— Δ Wの値は、たとえば図 41に示すスリット幅 Wとスペクトル純度幅 Ε95 ( Δ λ )との相関 関係 L15から計算すればよ ヽ (ステップ 1402)。
[0459] 一方、ステップ 1401の判断の結果、 Ε95 >Ε950でない場合には、スペクトル純度 幅が目標値より狭くなつた場合であるので、スペクトル純度幅 Ε95を広くするために必 要なスペクトル純度幅の差分 Ε95— Ε950に相当する 1ステップ当たりのスリット幅増加 量 + AWが計算され、これに応じてスリット 80、 81のスリット幅 Wが調整される (ステツ
プ 1403)。
[0460] つぎに、スリット 80、 81のスリット幅 Wをスリット幅減少量— AW若しくはスリット幅増 加量 + AWだけ変化させた結果、そのスリット幅が許容スリット幅 W0〜W1 (上限値 W 1、下限値 W0)から外れたか(例えば下限値 W0であれば、下限値 W0を下回ったか) 否かが判断される。たとえばスリット 80、 81のスリット幅の限度角 W0、 W1を検出する リミットスィッチが設けられ、リミットスィッチによってリミット(限度角)が検出された力否 かが判断される(ステップ 1404)。
[0461] スリット 80、 81のスリット幅 W力 限度角 W1を超えるか限度角 W0を下回る場合(リミ ット検出)は、もはやスリット幅 Wの調整ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御でき ないものと判定し、他の E95制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコントロー ラ 4に送る力して、レーザ発振を停止する (ステップ 1405)。
[0462] スリット 80、 81のスリット幅 W力 限度角 W1を超えず限度角 W0を下回っていない 場合 (リミット検出されない)であれば、安定ィ匕制御可能であり、そのまま、つぎのステ ップ 1407に移行される。
[0463] ステップ 1407では、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」のサブ ルーチン(図 6、図 10参照)に入り、スリット幅 Wを変化させた後の実際のスペクトル純 度幅 E95が計測され (ステップ 1407)、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅 内(E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ 1408)。この結果、計測さ れたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)内に収まったならば、整形 光学モジュールによって、シード光の光品位の補償や、シード光出力の補償が行わ れて(ステップ 1411)、図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 1409)。
[0464] 一方、ステップ 1408の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅
(E950士 dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 1401に移行され、スぺ タトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。 そして、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、整形光学モジユー ルによって、シード光の光品位の補償や、シード光出力の補償が行われて (ステップ 1411)、図 7のメインルーチンに戻される(ステップ 1409)。
[0465] なお、上記ステップ 1411の補償処理は、必要に応じて実行すればよぐこれを省
略する実施も可能である。
[0466] 特に、 2ステージレーザ装置 2では、 1ステージレーザ装置と異なり、発振用レーザ 装置 100で低下したビーム品位を増幅用レーザ装置 300で調整して、補償すること も可能である。
[0467] [実施例 15]
(発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度の制御によるスペクトル 純度幅 E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置 300から出力されるレーザ光のスペクトル純度 幅 E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅 E95が、目 標スペクトル純度幅 E950の許容幅 E950士 dE95内に収まるように、発振用チャンバ内 の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御することで、増幅用レーザ装置 300 力も出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0468] この実施例 15では、発振用レーザ装置 100で発振されるシード光の発振周波数を 検出する発振周波数検出手段と、発振用チャンバ 10内のレーザガスの温度を変化 させるレーザガス温度変化手段とが備えられ、シード光の発振周波数と発振用チャン ノ 10内のレーザガスの温度とスペクトル純度幅 E95との関係に基づいて、検出された シード光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、増幅用レーザ装置 30 0から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御するものである。
[0469] まず、本実施例に適用される原理について説明する。
[0470] 発振用チャンバ 10内のガス温度が変化することによって、スペクトル純度幅 E95が 変化する。この理由は、放電により発生する音響波がレーザ光路上の粒子密度分布 を変化させレーザ波面を変化させるためである。ガス温度 T[K]は、音響波の伝播速 度 Vとの間で、
V∞(Τ)1/2
という関係が成立する。このため、ガス温度を変化させると、音響波の伝播速度が変 化し、レーザ光路上の粒子密度分布が変化し、レーザ波面が変化して、最終的には 、スペクトル純度幅 Ε95が変化する。
[0471] また、発振周波数の変化は、音響波に影響を与えるため、発振周波数に応じて、上
述したガス温度とスペクトル純度幅 E95との関係も変化する。
[0472] 図 43は、発振周波数の変化に応じてスペクトル純度幅 E95が変化する様子を示す グラフであり、ガス温度を 20°C、 40°C、 60°Cと変化させた場合の各特性を示している。 同図 43からわ力るように、発振用レーザ装置 100が、ある周波数で発振しているとき に、発振用チャンバ 10内のガス温度を変化させれば、それに応じてスペクトル純度 幅 E95が変化し、目標とする値にすることができる。
[0473] 図 44は、ガス温度 (° C)とスペクトル純度幅 E95の関係を、各発振周波数毎に示し ている。特性 L16は、発振周波数が 3. 6kHzの場合のガス温度(° C)とスペクトル純 度幅 E95の関係を示し、特性 L17は、発振周波数が 3. 7kHzの場合のガス温度 (° C )とスペクトル純度幅 E95の関係を示し、特性 L17は、発振周波数が 4kHzの場合の ガス温度(° C)とスペクトル純度幅 E95の関係を示して 、る。
[0474] このように発振周波数によって、ガス温度とスペクトル純度幅 E95の関係が変化す るため、実際に制御する際には、データベースに、各周波数におけるガス温度とスぺ タトル純度幅 E95の相関関係 (L16、 L17、 L18)を記憶しておき、現在の発振周波 数に対応する相関関係を読み出し、この読み出した相関関係に基づいて、ガス温度 を変化させて、スペクトル純度幅 E95を制御すればよい。したがって、実際のスぺタト ル純度幅の制御は、レーザガス温度の制御として行われる。
[0475] つぎに、本実施例に用いられる、レーザガス温度を検出する温度センサ T1の構成 例について説明する。
[0476] 発振用チャンバ 10内のガス温度を検出するための測定器としては、熱電対や測温 抵抗体などを用いることができる。また、ファイバー温度計や赤外線温度計などを使 用してちょい。
[0477] 図 45〜図 48は、発振用チャンバ 10への温度センサ T1の装着態様を示す。
[0478] 図 45では、発振用チャンバ 10の内側へ突出したシース 91に、温度センサ T1を取 り付けている。温度センサ T1の検出信号は、ユーティリティコントローラ 5に入力され る(図 1)。シース 91は、温度センサ T1の温度に対する感度を良くするために、レーザ ガスと反応しない材質で、熱伝導率が高ぐかつなるベく薄く作られていることが好ま しい。シース 91は、 0-リングまたは溶接などによって、チャンバ 10外部とシールされ
、チャンバ 10の内部のレーザガスと接するようにチャンバ隔壁 90に取り付けられる。 なお、温度センサ T1自体がレーザガスと反応しない材質力も作られているならば、シ ース 91は不要ある。
[0479] 図 46は、温度センサ T1の装着位置を例示している。
[0480] 温度センサ T1は、チャンバ隔壁 90のうち、好ましくは電極 10a、 10bの近傍位置 90 A、 90Bに配置される。また、クロスフローファン 10cの近傍位置 90C、 90Dに、温度 センサ T1を配置してもよ!/、。
[0481] 図 45では、シース 91を介して温度センサ T1がレーザガスに接するように構成して いる力 図 47に示すように、チャンバ隔壁 90に温度センサ T1が接するように装着し て、チャンバ隔壁 90の温度をレーザガスの温度として検出してもよい。ただし、温度 センサ T1の周囲を断熱材 92で覆うことが、安定した温度測定を行う上で望ましい。
[0482] また、図 48に示すように、温度センサ T1が装着される場所のチャンバ隔壁 90を薄 くすることで、温度に対する応答性を一層向上させることができる。
[0483] 以上は温度センサ T1でレーザガスを検出する場合である力 発振用チャンバ 10の 圧力を計測して圧力力 温度を算出する実施も可能である。
[0484] つぎに、レーザガス温度を変化させる手段の構成例について説明する。
[0485] 図 2で説明したように、発振用チャンバ 10には、一般的に、レーザガスを冷却する ために熱交^^ 10dが内蔵されている。
[0486] 図 49は、熱交換器 10dに流れる冷却水の流量を調節することによって、ガス温度を 変化させる構成を示している。熱交換器 10に冷却水を供給する冷却水供給路 15a 上には、バルブ 15bが設けられている。
[0487] すなわち、ガス温度が温度センサ T1で検出されると、温度検出信号はユーティリテ イコントローラ 5に送られる。ユーティリティコントローラ 5の内部では、レーザガス温度 をフィードバック信号とし PID制御などを用いて、目標とするレーザガス温度にするた めに必要な冷却水流量を算出し、冷却水流量に対応するバルブ開度を算出する演 算処理が実行される。 そして、ユーティリティコンローラ 5は、バルブ開度信号を、冷 却水供給ユニット 15のバルブ 15bに対して送出する。これによりバルブ 15bの弁開度 が調整されて、必要な流量の冷却水が、熱交換器 10dに供給される。
[0488] 図 50は、冷却水供給路 15a上に、温調器 93を設けた構成例を示している。図 50 の場合も図 49の構成例と同様にして、ユーティリティコントローラ 5で、目標とするレー ザガス温度にするために必要な温調器 93の操作量を算出する演算処理が実行され て、操作信号が冷却水供給ユニット 15の温調器 93に対して送出される。これにより 温調器 93が操作されて、冷却水供給路 15aを流れる冷却水の温度が調整される。 図 50の構成例によれば、レーザガス温度を目標値へ近づける制御の応答性が向上 する。
[0489] 図 51、 52は、発振用チャンバ 10に装着したヒータでレーザガス温度を変化させる 構成例を示しており、この場合も、図 49、図 50と同様に、コントローラ力もヒータに対 して操作信号を送出することでレーザガスの温度が制御される。
[0490] 図 51では、発振用チャンバ 10の隔壁 90の外側に、マントルヒータやセラミックヒー タなどのヒータ 94が装着され、ヒータ 94に供給される電力を調整することで、チャン ノ 10内部のレーザガスの温度が制御される。
[0491] 望ましくは、図 52に示すように、発振用チャンバ 10の内側にヒータ 95を装着する。
図 52では、チャンバ隔壁 90の内側であって電極 10aの近傍に、
カートリッジヒータなどのヒータ 95が装着される。なお、レーザガスと反応しないように 、ヒータ 95をシースによって覆うことが望ましい。
[0492] つぎに、発振周波数を検出する手段の構成例について説明する。
[0493] 通常、レーザの発振周波数は、ステツパ 'スキャナが決定する。その際、具体的に 露光装置 3から発振周波数の値を発振用レーザ装置 100に指示する場合 (例えば 21 00Hzなど)と、レーザ発振のトリガ信号 (たとえば矩形波)が発振用レーザ装置 100内 部に送られ、そのタイミングで発振するようになって!/ヽる場合とがある。
[0494] 前者の場合では、実際の発振周波数が露光装置 3から指示されるので発振用レー ザ装置 100内部のコントローラでは、現在発振している発振周波数を知ることができ る。後者の場合では、露光装置 3からトリガ信号が送られてくるだけなので、発振用レ 一ザ装置 100内部のコントローラで現在発振して!/、る発振周波数を知ることはできな い。
[0495] そこで、後者の場合には、発振用レーザ装置 100内部のコントローラに、トリガ信号
の周期の間隔やある時間内のトリガ信号の数のカウント値など力 現在の発振周波 数を算出する機能が必要になる。ただし、発振周波数が変更した後に遅れて変更前 の発振周波数に基づく制御を行うと、スペクトル純度幅 E95が許容幅 dE95から外れる 可能性があるので、発振周波数が変わる前に、変更する発振周波数を取得できるよ うにすることが好ましい。
[0496] 図 53は、レーザガス温度を調整することでスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御する 本実施例 15の処理手順を示している。図 53は、図 7のメインルーチン内の「E95ァク チユエータによる安定ィ匕制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する。
[0497] すなわち、図 7で説明したように、メインルーチンにおいて、第 2モニタモジュール 3 9で計測されたスペクトル純度幅 E95の値力 第 2許容幅 E950士 dE95よりも広くなつた 場合(第 1許容幅 E950士 dE95(S)内において)(ステップ 103の判断 Yes)に、この図 5 3に示すサブルーチンに入る。
[0498] 図 53に示すサブルーチンの処理は、図 1に示す E95、波長コントローラ 6、ユーティ リティコントローラ 5、メインコントローラ 4で実行される。
[0499] 図 53に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用レーザ装置 100で発振さ れるシード光の発振周波数 fがメインコントローラ 4で検出 (認識)される。この発信周 波数 fは、 E95、波長コントローラ 6に送られる(ステップ 1510)。
[0500] つぎに、スペクトル純度幅 E95が目標値より広くなつたの力 狭くなつたのかの判別、 つまり E95 >E950であるか否力が、 E95、波長コントローラ 6で計算される(ステップ 15 01)。
[0501] この判断の結果、 E95 >E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くな つた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を狭くするために必要なガス温度 Tが算 出される。具体的には、図 44に示す各発振周波数毎のガス温度 Tとスペクトル純度 幅 E95との関係がデータベースに記憶されており、現在、検出された発振周波数 fに ぉ 、て目標スペクトル純度幅 E950にするために必要なガス温度 Tが読み出される。 なお、ガス温度 Tとスペクトル純度幅 E95との対応関係は、図 44に特性 L16〜L18 で例示するように様々なカーブを描く。ガス温度の制御範囲内で単調増加か単調減 少であれば、 目標スペクトル純度幅 E950に対応するガス温度 Tは一つしか存在しな
いが、極小値か、極大値を持つ相関関係であれば、 目標スペクトル純度幅 E950に対 応するガス温度 Tは 2つ以上存在する。このような場合には、いずれのガス温度 Tを 選択してもよいが、制御を短時間で実施するには、現在検出されているガス温度に 一番近 、ガス温度 Tを選択するのが望まし 、 (ステップ 1502)。
[0502] 一方、ステップ 1501の判断の結果、 E95 >E950でない場合には、スペクトル純度 幅が目標値より狭くなつた場合であるので、スペクトル純度幅 E95を広くするために必 要なガス温度 Tが同様にして算出される (ステップ 1503)。
[0503] つぎに、上記算出されたガス温度 Tが制御可能な範囲を超えたか (リミット検出)否 かが判断される(ステップ 1504)。
[0504] 算出されたガス温度 Tが制御可能な範囲を超えた (リミット検出)場合は、もはやレ 一ザガス温度の調整ではスペクトル純度幅 E95を安定ィ匕制御できないものと判定し、 他の E95制御法に切り替える力、制御不能信号をメインコントローラ 4に送る力して、レ 一ザ発振を停止する (ステップ 1505)。
[0505] 算出されたガス温度 Tが制御可能な範囲を超えて 、な 、場合 (リミット検出されな!ヽ )であれば、安定ィ匕制御可能であり、そのまま、つぎのステップ 1506に移行される。
[0506] つぎのステップ 1506では、制御指令信号がメインコントローラ 4を介してユーティリ ティコントローラ 5に送られ、ユーティリティコントローラ 5は、冷却水供給ユニット 15等 のガス温度変化手段を介して、レーザガス温度を制御する。すなわち、温度センサ T 1で検出された現在のレーザガス温度をフィードバック量として、 目標とするガス温度 Tに一致させる制御を実行する (ステップ 1506)。
[0507] つぎのステップ 1507では、図 7のステップ 101と同じく「スペクトル純度幅 E95計測」 のサブルーチン(図 6、図 10参照)に入り、発振用チャンバ 10内のガス温度を変化さ せた後の実際のスペクトル純度幅 E95が計測され (ステップ 1507)、計測されたスぺ タトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95)に入ったか否かが判断される(ステツ プ 1508)。この結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内(E950士 dE95 )内に収まったならば、図 7に示すメインルーチンに戻る(ステップ 1509)。
[0508] 一方、ステップ 1508の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅 E95が第 2許容幅
(E950士 dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ 1510に移行され、スぺ
タトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。 そして、スペクトル純度幅 E95が第 2許容幅内に収まった時点で、図 7のメインルーチ ンに戻される(ステップ 1509)。
[0509] [実施例 16、 17]
(発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ (パ ルス波形を変化させ)、かつ放電タイミングも変化させる制御 (制御手段 3) )を行うこと によるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御)
前述した実施例 1 (図 13)は、放電タイミングを変化させることでレーザ光のスぺタト ル純度幅 E95の安定ィ匕制御するというものであった。また、前述した実施例 3〜7、 9、 10は、シード光のパルス波形を変化させ、それによりシード光のパルス波形の立ち上 力 Sり時期を変化させ、それによりシード光のスペクトル純度幅を変化させることで、レ 一ザ光のスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制御するというものであった。この実施例 16 、 17では、これら両制御を組み合わせた制御を行うものである。本実施例によれば、 上記両制御を組み合わせて実施することで、相乗効果により、放電タイミング dtの制 御幅(同期許容幅)が拡大し、制御性が一層向上する。
[0510] 図 56は、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を変化させる(パルス立ち上 力 Sり時期を変化させる)制御とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いるタ イミングチャートであり、横軸を時間とし縦軸をシード光出力(強度)として、シード光 のパルス波形を示して 、る。
[0511] 図 56 (a)は、放電タイミングを遅延させ、さらにシード光のパルス波形を遅延させる ことで、スペクトル純度幅 E95を小さくする場合を説明する図であり、図 56 (b)は、放 電タイミングを早め、さらにシード光のパルス波形を早めることで、スペクトル純度幅 E 95を大きくする場合を説明する図である。
[0512] 図 56 (a)は、図 5で説明した効果と、図 15で説明した効果を組み合わせた効果を 示している。すなわち、矢印 3Aにて示すように、放電タイミングを遅延させることで、 シード光のパルス波形 L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純 度幅が太くなる部分 L31からスペクトル純度幅が細くなる部分 L32に移行する(図 5 で説明した効果)。更に、矢印 3Bにて示すように、シード光のノ ルス波形を L3から L
3' に遅延させることで、パルス波形 のうち、更にスペクトル純度幅が細くなる部 分 L32' に移行する(図 15で説明した効果)。
[0513] スペクトル純度幅 Ε95を大きくする場合も同様であり、図 56 (b)の矢印 13Aにて示 すように、放電タイミングを早めることで、シード光のパルス波形 L3のうち、増幅される べきシード光波長部分力 スペクトル純度幅が細くなる部分 L32からスペクトル純度 幅が太くなる部分 L31に移行する(図 5で説明した効果)。更に、矢印 13Bにて示す ように、シード光のパルス波形を L3から L3 に早めることで、パルス波形 L3 のうち 、更にスペクトル純度幅が太くなる部分 L31" に移行する(図 15で説明した効果)。
[0514] この結果、放電タイミング dtの制御幅、つまりレーザ出力が許容レベル以上となって いる同期許容幅は、 3Cから 3Dに一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
[0515] 図 58は、本実施例 16の処理手順を示している。図 58は、図 7のメインルーチン内 の「E95ァクチユエータによる安定化制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する
[0516] 図 58は、実施例 1 (放電タイミングの制御)と実施例 3 7 9 10 (パルス波形の制 御)とを組み合わせた処理内容を示している。既に説明したフローチャートの説明と 重複する部分については説明を省略し、対応する箇所を指摘して説明に代える。パ ルス波形の制御については実施例 4 (図 18)を代表させて説明する。
[0517] 図 58のステップ 1601 1605 1607 1608 1609は、実施例: 図 13)のステツ プ 401 405 407 408 409と同様である。
[0518] 図 58のステップ 1602では、実施例 4 (図 18)のフローチャートと同様に、シード光 のパルス波形の立ち上がりを遅くするステップ 502 506の処理が実行される。ある いは、他の実施例 5 7 9 10のフローチャートの対応するステップと同様の処理が 実行される。
[0519] 図 58のステップ 1603では、実施例 4 (図 18)のフローチャートと同様に、シード光 のパルス波形の立ち上がりを早くするステップ 503 506の処理が実行される。ある いは、他の実施例 5 7 9 10のフローチャートの対応するステップと同様の処理が 実行される。
[0520] 図 58のステップ 1612では、実施例 1 (図 13)のフローチャートと同様に、放電タイミ
ングの間隔を大きくするステップ 402、 406の処理が実行される。
[0521] 図 58のステップ 1613では、実施例 1 (図 13)のフローチャートと同様に、放電タイミ ングの間隔を小さくするステップ 403、 406の処理が実行される。
[0522] 図 58のステップ 1604では、放電タイミングに関してリミットが検出されたか否かが判 断されるとともに(図 13;ステップ 404)、パルス波形を変化させるパラメータである F2 濃度 (あるいは他の実施例 5〜7、 9、 10における対応するパラメータ)に関してリミット が検出された力否かが判断される(図 18 ;ステップ 504 (あるいは他の実施例 5〜7、 9、 10のフローチャートの対応するステップ))。
[0523] 図 58の実施例 16のフローチャートでは、リミット検出判断処理 (ステップ 1604)を、 シード光のパルスを変化させ、かつ放電タイミングを変化させた後に行うようにして、リ ミットが検出された場合に、制御不能処理 (ステップ 1605)を行うようにしている力 図 60に示すように、シード光のパルス波形を変化させた後で、リミット検出の判断を行い 、その後に放電タイミングを変化させる処理を行うようにして、制御不能処理を省略す る実施も可能である。
[0524] 図 60は、図 58に示す実施例 16のフローチャートを変形した実施例 17のフローチ ヤートを示している。
[0525] 図 60では、ステップ 1701の処理と、ステップ 1707、 1708、 1709の処理は、図 58 の対応するステップ 1601と、ステップ 1607、 1608、 1609の処理と同様な手順で実 行される力 ステップ 1701と、ステップ 1707〜1709との間に行われる処理手順は、 図 58とは異なっている。
[0526] すなわち、図 60では、ステップ 1701の処理を経て、ステップ 1702では、図 58のス テツプ 1602と同様に、シード光のノ ルス波形の立ち上がりを遅くする処理が実行さ れるが、つぎに、パルス波形を変化させるパラメータである F2濃度 (あるいは他の実 施例 5〜7、 9、 10における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出された力否か が判断される (ステップ 1704)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とす るのではなぐ図 58のステップ 1612と同様に、放電タイミングの間隔を大きくする処 理が実行されて (ステップ 1712)、つぎのステップ 1707に移行される。リミットが検出 されなければ、放電タイミングの制御を行うことなぐそのままステップ 1707に移行さ
れる。
[0527] 同様にして、ステップ 1701の処理を経て、ステップ 1703では、図 58のステップ 16 03と同様に、シード光のパルス波形の立ち上がりを早くする処理が実行される力 つ ぎに、パルス波形を変化させるパラメータである F2濃度 (あるいは他の実施例 5〜7、 9、 10における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出された力否かが判断され る (ステップ 1705)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とするのではな く、図 58のステップ 1613と同様に、放電タイミングの間隔を小さくする処理が実行さ れて (ステップ 1713)、つぎのステップ 1707に移行される。リミットが検出されなけれ ば、放電タイミングの制御を行うことなぐそのままステップ 1707に移行される。
[0528] 図 60では、パルス波形を変化させた後で (ステップ 1702、 1703)、リミットが検出さ れた力否かを判断して (ステップ 1704、 1705)、その結果に応じて放電タイミングを 変化させるようにしている (ステップ 1712、 1713)が、逆に、放電タイミングを変化さ せた後で、リミットが検出された力否かを判断して、その結果に応じてパルス波形を変 化させる手順で制御を行うようにしてもょ 、。
[0529] 上述した実施例 16、 17によれば、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を 変化させる(パルス立ち上がり時期を変化させる)制御とを組み合わせて実施すること で、相乗効果により、放電タイミング dtの制御幅(同期許容幅)が拡大し、制御性が一 層向上する。更に、実施例 2の制御、つまりシード光をパルスストレッチする実施例と 組み合わせてもよい。図 14で説明したように、シード光をパルスストレッチさせ、シー ド光のパルス幅が長くすると、同期許容幅が一層長くなり、制御性を更に向上させる ことができる。
[0530] なお、前述したフッ素濃度等のパラメータを変化させてパルス波形を制御する実施 例 4等(実施例 5〜7、 10、 11)のフローチャートでは、リミットが検出された場合に、レ 一ザ発振を停止させる等、制御不能の処理を行うようにしているが(実施例 4の場合 は、図 18のステップ 505)、図 60と同様に、リミットが検出された場合に、放電タイミン グを変化させる制御 (ステップ 1712、 1713)に切り替えるようにしてもよい。
[0531] [実施例 18、 19]
(発振用レーザ装置 100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ (狭
帯域化性能を変化させ、あるいは音響波の伝搬速度を変化させ)、かつ放電タイミン グも変化させる制御(制御手段 3) )を行うことによるスペクトル純度幅 E95の安定ィ匕制 御)
前述した実施例 1 (図 13)は、放電タイミングを変化させることでレーザ光のスぺタト ル純度幅 E95の安定ィ匕制御するというものであった。また、前述した実施例 11〜14、 15は、発振用レーザ装置 100の狭帯域ィ匕性能を変化させたり、あるいは発振用チヤ ンバ 10内の放電により発生する音響波の伝搬速度を変化させたりしてシード光のス ベクトル純度幅を変化させることで、レーザ光のスペクトル純度幅 E95の安定化制御 するというものであった。この実施例 18、 19では、これら両制御を組み合わせた制御 を行うものである。本実施例によれば、上記両制御を組み合わせて実施することで、 相乗効果により、スペクトル純度幅 E95の制御幅が拡大し、制御性が一層向上する。
[0532] 図 57は、放電タイミングを変化させる制御とシード光のスペクトル純度幅を変化させ る制御 (狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波の伝搬速度を変化させる 制御)とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いた図であり、前述した図 4 と同様に、横軸を放電タイミング dtとし縦軸をスペクトル純度幅 E95で示して 、る。
[0533] 図 57における特性 L1は、図 4に示す特性 L1に相当する。
[0534] 目標スペクトル純度幅 E950に一致させるベくスペクトル純度幅 E95を大きくする場合 には、まず、シード光のスペクトル純度幅を大きくする制御を行う。これにより、特性し 1から、よりスペクトル純度幅が大きくなる特性 L1Aに変化する。更に、スペクトル純度 幅 E95を大きくするために放電タイミング dtを減少させる制御を行う。これにより特性 L 1A上で、放電タイミングが減少する方向に変化する。
[0535] また、目標スペクトル純度幅 E950に一致させるベくスペクトル純度幅 E95を小さくす る場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を小さくする制御を行う。これにより、 特性 L1から、よりスペクトル純度幅が小さくなる特性 LIBに変化する。更に、スぺタト ル純度幅 E95を小さくするために放電タイミング dtを増カロさせる制御を行う。これによ り特性 LIB上で、放電タイミングが増加する方向に変化する。
[0536] そこで、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御のみを行った場合のスぺタト ル純度幅 E95の制御幅 1Aと、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御と放電タ
イミング dtを変化させる制御とを組み合わせた場合の制御幅 IBを比較すると、両制 御を組み合わせた方力 同じ同期許容幅内(横軸)であればスペクトル純度幅 E95の 制御幅 (縦軸)が拡大して 、るのが、読み取れる。
[0537] このように、両制御を組み合わせた制御を行うことで、同じ同期許容幅内で、スぺク トル純度幅 E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
[0538] 図 59は、本実施例 18の処理手順を示している。図 58は、図 7のメインルーチン内 の「E95ァクチユエータによる安定化制御」(ステップ 104)のサブルーチンに対応する
[0539] 図 59は、実施例 1 (放電タイミングの制御)と実施例 11〜14、 15 (パシード光のス ベクトル純度幅の制御)とを組み合わせた処理内容を示している。既に説明したフロ 一チャートの説明と重複する部分については説明を省略し、対応する箇所を指摘し て説明に代える。シード光のスペクトル純度幅の制御については実施例 11 (図 30)を 代表させて説明する。
[0540] 図 59のステップ 1801、 1805、 1807、 1808、 1809は、実施例 1 (図 13)のステツ プ 401、 405、 407、 408、 409と同様である。
[0541] 図 59のステップ 1802では、実施例 11 (図 30)のフローチャートと同様に、シード光 のスペクトル純度幅を小さくするステップ 902、 906の処理が実行される。あるいは、 他の実施例 12〜 14、 15のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行さ れる。
[0542] 図 59のステップ 1803では、実施例 11 (図 30)のフローチャートと同様に、シード光 のスペクトル純度幅を大きくするステップ 903、 906の処理が実行される。あるいは、 他の実施例 12〜 14、 15のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行さ れる。
[0543] 図 59のステップ 1812では、実施例 1 (図 13)のフローチャートと同様に、放電タイミ ングの間隔を大きくするステップ 402、 406の処理が実行される。
[0544] 図 59のステップ 1813では、実施例 1 (図 13)のフローチャートと同様に、放電タイミ ングの間隔を小さくするステップ 403、 406の処理が実行される。
[0545] 図 59のステップ 1804では、放電タイミングに関してリミットが検出されたか否かが判
断されるとともに(図 13 ;ステップ 404)、シード光のスペクトル純度幅を変化させるパ ラメータであるグレーティングの曲率半径(ある ヽは他の実施例 12〜 14、 15における 対応するパラメータ)に関してリミットが検出されたカゝ否かが判断される(図 30 ;ステツ プ 904 (ある!/、は他の実施例 12〜 14、 15のフローチャートの対応するステップ))。
[0546] 図 59の実施例 18のフローチャートでは、リミット検出判断処理 (ステップ 1804)を、 シード光のスペクトル純度幅を変化させ、かつ放電タイミングを変化させた後に行うよ うにして、リミットが検出された場合に、制御不能処理 (ステップ 1805)を行うようにし ているが、図 61に示すように、シード光のスペクトル純度幅を変化させた後で、リミット 検出の判断を行い、その後に放電タイミングを変化させる処理を行うようにして、制御 不能処理を省略する実施も可能である。
[0547] 図 61は、図 59に示す実施例 18のフローチャートを変形した実施例 19のフローチ ヤートを示している。
[0548] 図 61では、ステップ 1901の処理と、ステップ 1907、 1908、 1909の処理は、図 59 の対応するステップ 1801と、ステップ 1807、 1808、 1809の処理と同様な手順で実 行される力 ステップ 1901と、ステップ 1907〜1909との間に行われる処理手順は、 図 59とは異なっている。
[0549] すなわち、図 61では、ステップ 1901の処理を経て、ステップ 1902では、図 59のス テツプ 1802と同様に、シード光のスペクトル純度幅を小さくする処理が実行されるが 、つぎに、シード光のスペクトル純度幅を変化させるパラメータであるグレーティング の曲率半径 (あるいは他の実施例 12〜14、 15における対応するパラメータ)に関し て、リミットが検出された力否かが判断される (ステップ 1904)。その結果、リミットが検 出されたならば、制御不能とするのではなぐ図 59のステップ 1812と同様に、放電タ イミングの間隔を大きくする処理が実行されて (ステップ 1912)、つぎのステップ 190 7に移行される。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなぐそ のままステップ 1907に移行される。
[0550] 同様にして、ステップ 1901の処理を経て、ステップ 1903では、図 59のステップ 18 03と同様に、シード光のスペクトル純度幅を大きくする処理が実行される力 つぎに、 シード光のスペクトル純度幅を変化させるパラメータであるグレーティングの曲率半径
(あるいは他の実施例 12〜14、 15における対応するパラメータ)に関して、リミットが 検出された力否かが判断される (ステップ 1905)。その結果、リミットが検出されたなら ば、制御不能とするのではなぐ図 59のステップ 1813と同様に、放電タイミングの間 隔を小さくする処理が実行されて (ステップ 1913)、つぎのステップ 1907に移行され る。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなぐそのままステツ プ 1907に移行される。
[0551] 図 61では、シード光のスペクトル純度幅を変化させた後で (ステップ 1902、 1903) 、リミットが検出されたか否かを判断して (ステップ 1904、 1905)、その結果に応じて 放電タイミングを変化させるようにしている (ステップ 1912、 1913)が、逆に、放電タイ ミングを変化させた後で、リミットが検出された力否かを判断して、その結果に応じて シード光のスペクトル純度幅を変化させる手順で制御を行うようにしてもょ 、。
[0552] 上述した実施例 18、 19によれば、放電タイミングを変化させる制御とシード光のス ベクトル純度幅を変化させる制御 (狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波 の伝搬速度を変化させる制御)とを組み合わせて実施することで、相乗効果により、 同じ同期許容幅内で、スペクトル純度幅 E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性 が飛躍的に向上する。
[0553] なお、前述したグレーティングの曲率半径等のパラメータを変化させてシード光のス ベクトル純度幅を制御する実施例 11等(実施例 12〜 14、 15)のフローチャートでは 、リミットが検出された場合に、レーザ発振を停止させる等、制御不能の処理を行うよ うにしているが(実施例 11の場合は、図 30のステップ 905)、図 61と同様に、リミットが 検出された場合に、放電タイミングを変化させる制御 (ステップ 1912、 1913)に切り 替えるようにしてもよい。
産業上の利用可能性
[0554] 本発明は、 2ステージレーザ装置 2を前提としている力 本実施形態の各種制御は 、 1ステージレーザ装置に適用することができる。
図面の簡単な説明
[0555] [図 1]図 1は本実施形態に係るレーザシステムの構成図である。
[図 2]図 2 (a)、 (b)は各チャンバ及びその近傍の構成図である。
[図 3]図 3 (a)、 (b)は電源の構成を電気回路で示す図である。
[図 4]図 4は放電タイミングとスペクトル純度幅の関係を示す図である。
[図 5]図 5はシード光のパルス波形と同期タイミングによるスペクトル純度幅が決定さ れることを説明する図である。
[図 6]図 6はスペクトル純度幅の計測サブルーチンを示すフローチャートである。
[図 7]図 7はスペクトル純度幅の安定化制御のメインルーチンを示すフローチャートで ある。
[図 8]図 8はモニタモジユーノレの構成図である。
圆 9]図 9は計測したスペクトル指標値と真値との相関関係を示す図である。
[図 10]図 10はスペクトル純度幅を計測するサブルーチンを示すフローチャートである
[図 11]図 11 (a)〜 (j)はラウンドトリップ回数とレーザパルス波形及びスペクトル純度 幅の関係を説明するために用いた図である。
圆 12]図 12はラウンドトリップ回数とスペクトル波形との関係を説明する図である。
[図 13]図 13は放電タイミング制御のサブルーチン(実施例 1)を示すフローチャートで ある。
[図 14]図 14はパルスストレッチの効果を説明する図である。
[図 15]図 15はパルス波形制御によるスペクトルの変化を説明する図である。
[図 16]図 16はフッ素濃度とスペクトル純度幅、レーザ出力の関係を示す図である。
[図 17]図 17はフッ素濃度とレーザパルス波形の関係を示す図である。
[図 18]図 18はフッ素濃度の制御のサブルーチン(実施例 4)のフローチャートである。
[図 19]図 19は全ガス圧力の制御のサブルーチン(実施例 5)のフローチャートである
[図 20]図 20は充電電圧の制御のサブルーチン(実施例 6)のフローチャートである。
[図 21]図 21 (a)、 (b)はアウトプット力ブラの反射率を変化させる方法を説明する図で ある。
[図 22]図 22 (a)、(b)、(c)はコンデンサ容量による各パルス波形の変化を示す図で ある。
[図 23図 23はピーキングコンデンサ容量とスペクトル純度幅の関係を示す図である。
[図 24:図 24はピーキングコンデンサの温度制御のサブルーチン(実施例 9)のフロー チヤ トである。
圆 25図 25 (a)、(b)、(c)はシード光のパルス波形の変化に対して放電タイミングが 固定の場合の効果を説明する図である。
[図 26:図 26 (a)、(b)、(c)はシード光のパルス波形の変化に合わせて放電タイミング を変化させた場合の効果を説明する図である。
[図 27図 27はシード光のパルス波形の変化に合わせて放電タイミングを変化させる 制御のサブルーチン(実施例 8)のフローチャートである。
圆 28:図 28はグレーティングの曲率半径とスペクトル純度幅の関係を示す図である。 圆 29:図 29はグレーティングの曲げ機構を示す図である。
圆 30:図 30は波面修正によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例 11)を フローチャートで示す図である。
圆 31図 31はディフォーマブルミラーによるレーザ波面制御システムを例示した図で ある。
[図 32図 32はライン型のディフォーマブルミラーを示す図である。
圆 33図 33はレーザ光波面の曲率半径とスペクトル純度幅の関係を示す図である。
[図 34:図 34は波面修正によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例 12)を フローチャートで示す図である。
圆 35図 35 (a)、 (b)は拡大率 (倍率)変更によるスペクトル純度幅制御を説明する図 である
圆 36:図 36は拡大率 (倍率)変更によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン (実施 例 13 をフローチャートで示す図である。
圆 37図 37は拡大率を大きくする制御のサブルーチンをフローチャートで示す図で ある。
圆 38:図 38は拡大率を小さくする制御のサブルーチンをフローチャートで示す図で ある。
圆 39:図 39 (a)、 (b)は拡大率とスペクトル幅、発振用レーザ装置の出力との関係を
示す図である。
[図 40]図 40はスリット幅によるスペクトル幅制御を説明する図である。
[図 41]図 41はスリット幅とスペクトル幅の関係を示す図である。
[図 42]図 42はスリット制御によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例 14) をフローチャートで示す図である。
[図 43]図 43は発振周波数とスペクトル純度幅がガス温度に依存して変化する様子を 示す図である。
[図 44]図 44はガス温度とスペクトル純度幅の関係を示す図である。
[図 45]図 45は温度センサの構成例を示す図である。
[図 46]図 46は温度センサの構成例を示す図である。
[図 47]図 47は温度センサの構成例を示す図である。
[図 48]図 48は温度センサの構成例を示す図である。
[図 49]図 49はガス温度を変化させる構成を例示した図である。
[図 50]図 50はガス温度を変化させる構成を例示した図である。
[図 51]図 51はガス温度を変化させる構成を例示した図である。
[図 52]図 52はガス温度を変化させる構成を例示した図である。
[図 53]図 53はガス温度制御によるスペクトル純度幅制御のサブルーチンをフローチ ヤート(実施例 15)で示す図である。
[図 54]図 54は波面補正器を使用した狭帯域ィ匕モジュールの構成例を示す図である
[図 55]図 55 (a)、 (b)は波面補正器の構成例を示す図である。
[図 56]図 56 (a)、 (b)は放電タイミングの制御とパルス波形制御の組合せの効果を説 明する図である。
[図 57]図 57は放電タイミングの制御とシード光のスペクトル純度幅制御の組合せの 効果を説明する図である。
[図 58]図 58はパルス波形制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度 幅制御のサブルーチン(実施例 16)をフローチャートで示す図である。
[図 59]図 59はシード光のスペクトル純度幅制御と放電タイミング制御を組み合わせた
スペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例 18)をフローチャートで示す図である
[図 60]図 60はパルス波形制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度 幅制御のサブルーチン(実施例 17)をフローチャートで示す図である。
[図 61]図 61はシード光のスペクトル純度幅制御と放電タイミング制御を組み合わせた スペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例 19)をフローチャートで示す図である
[図 62]図 62 (a)、(b)、(c)は MOPA方式の場合の増幅を説明する図である。
[図 63]図 63 (a)、(b)、(c)は MOPO方式の場合の増幅を説明する図である。
[図 64]図 64は充電電圧およびレーザガス全圧とレーザパルス波形との関係を示す 図である。
符号の説明
4…メインコントローラ
10· ··発振用チャンバ
30· ··増幅用チャンバ
100…発振用レーザ装置
300…増幅用レーザ装置