難燃性ポリエステル系人工毛髪
技術分野
[0001] 本発明は、ポリエステルに特定の臭素含有難燃剤と特定のリン含有難燃剤を含ん でなる組成物、さら〖こは、有機微粒子および Zまたは無機微粒子を含んでなる組成 物からなる難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、耐熱性、強伸 度などの繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れた難燃性ポリエステル系 人工毛髪に関するものである。
背景技術
[0002] ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステ ルカゝらなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることか ら、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人 ェ毛髪、 自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
[0003] 一方、かつら、ヘアーウイッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製 品においては、従来、人毛や人工毛髪 (モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが 使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要 性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特長を生力してモダクリルが 多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不充分であった。近年になり、耐熱性に優 れるポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用い た人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、人工毛髪素材として使 用するにあたっては、安全性の観点力も難燃性付与が必要となってきている。従来の ポリエステル繊維は、易燃性であるため、ポリエステル繊維の難燃性を向上させようと する試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合 させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させ る方法などが知られて 、る。
[0004] 前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、例えば、リン原子が環員子と なっていて熱安定性の良好なリンィ匕合物を共重合させる方法 (特許文献 1)、また、力
ルポキシホスフィン酸を共重合させる方法 (特許文献 2)、ポリアリレートを含むポリェ ステルにリンィ匕合物を配合または共重合させる方法 (特許文献 3)などが提案されて いる。前記難燃ィ匕技術を人工毛髪に適用したものとしては、例えば、リン化合物を共 重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献 4)。しカゝしながら、人工毛 髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪 に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの 耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火- 燃焼はしな 、が、溶融 ·ドリップすると 、う別の問題が発生する。
[0005] 一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、例えば、ポリエステル繊維に、微 粒子のハロゲンィ匕シクロアルカンィ匕合物を含有させる方法 (特許文献 5)、臭素原子 含有アルキルシクロへキサンを含有させる方法 (特許文献 6)などが提案されて!ヽる。 前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために
、含有処理温度を 150°C以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を 長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならな 、と 、 つた問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問 題が発生する。
[0006] このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、 セット性、難燃性に優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。 特許文献 1 :特公昭 55— 41610号公報
特許文献 2:特公昭 53 - 13479号公報
特許文献 3:特開平 11— 124732号公報
特許文献 4:特開平 3— 27105号公報
特許文献 5:特公平 3— 57990号公報
特許文献 6:特公平 1― 24913号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の耐熱性、 強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を
有し、さらには、繊維表面の艷が調整されたポリエステル系人工毛髪を提供すること を目的とする。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル に、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フエノキシ榭脂系難燃剤および臭素化リン酸 エステル系難燃剤の少なくとも 1種の臭素含有難燃剤、および、有機環状リン化合物 および Zまたはリン酸エステルアミドィ匕合物を含んでなる組成物、さらには、有機微 粒子および Zまたは無機微粒子を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通 常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、セット性、触感、透 明性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られることを見出し、本発明を完 成するに至った。
[0009] すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートおよび Zまたはポリアルキレンテ レフタレートを主体とした共重合ポリエステルの少なくとも 1種カゝらなるポリエステル (A )、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フエノキシ榭脂系難燃剤および臭素化リン酸ェ ステル系難燃剤の少なくとも 1種の臭素含有難燃剤 (B)、ならびに有機環状リンィ匕合 物および Zまたはリン酸エステルアミドィ匕合物力 なるリンィ匕合物(C)からなり、該ポリ エステル (A) 100重量部に対し、該臭素含有難燃剤 (B)および該リン化合物 (C)の 混合物 5〜30重量部を溶融混練して得られる組成物カゝらなる難燃性ポリエステル系 人工毛髪に関する。
[0010] 難燃剤 (B)およびリンィ匕合物(C)の重量比が 90Z10〜: LOZ90であることが好まし い。
[0011] ポリアルキレンテレフタレートが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタ レートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群力も選ばれた少なくとも 1種であるこ とが好ましい。
[0012] 難燃剤 (B)が、一般式 (1)〜 (4)で表される臭素化エポキシ系難燃剤および Zまた は臭素化フエノキシ榭脂系難燃剤よりなる群力も選ばれた少なくとも 1種であることが 好ましい。
[0013] [化 1]
(式中、 mは 0〜 100の整数のいずれかを示す。)
[0014] [化 2]
(式中、 R1は炭素数 1〜10のアルキル基であり、 nは 0〜100、 xは 0〜5の整数のい ずれかを示す。 )
[0015] [化 3]
【化 3】
(式中、 ITは炭素数 1〜 10のアルキル基であり、 pは 0〜100、 yは 0〜5の整数の!/ ずれかを示す。 )
[0016] [化 4]
【化 4】
(式中、 qは 80〜200の整数のいずれ力を示す。)
難燃剤 (B)がトリス(ブロモェチル)ホスフェート、トリス(ブロモプロピル)ホスフェート 、トリス(ジブロモプロピノレ)ホスフェート、トリス(プロモブチノレ)ホスフェート、トリス(ジブ 口モブチノレ)ホスフェート、トリス(ブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブ口モネ ォペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートよりなる群から 選ばれた臭素化リン酸エステルイ匕合物の少なくとも 1種であることが好ま 、。
[0017] リンィ匕合物 (C)は、一般式 (5)〜(13):
[0018] [化 5]
【化 5】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R2は水素原子、直鎖または分岐を有するアル キル基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、置換また は非置換のァリール基、あるいは置換または非置換のァラルキル基を示す。 )
[0019] [化 6]
【化 6】
R R
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R3は 2価の直鎖または分岐を有するアルキレ ン基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキレン基、主鎖中に エーテル酸素を有するアルキレン基、置換または非置換のァリール基、置換または 非置換のァラルキル基、 α、 α,—キシリレン基、置換— α、 ひ,—キシリレン基、 α、 a,一メタキシリレン基、あるいは置換一 α、 α,一キシリレン基を示す。 )
[0020] [化 7]
【化 7】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R4は水素原子、直鎖または分岐を有するアル キル基、シクロアルキル基、置換または非置換のァリール基、あるいは置換または非
置換のァラルキル基を示す。 )
[化 8] 【化 8】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R5は 2価の直鎖または分岐を有するアルキレ ン基、シクロアルキレン基、主鎖中にエーテル酸素を有するアルキレン基、置換また は非置換のァリール基、置換または非置換のァラルキル基、 ひ、 ひ, キシリレン基、 置換一 α、 α,一キシリレン基、 ひ、 ひ,一メタキシリレン基、あるいは置換一ひ、 α, —キシリレン基を示す。 )
[化 9]
【化 9】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R6は 2価の直鎖または分岐を有するアルキレ
ン基、あるいはシクロアルキレン基、 Rは水素原子、あるいは直鎖または分岐を有す るアルキル基であり、 rは 1〜5の整数のいずれかを示す。 )
[化 10]
【化 1 ◦】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R8および R9は水素原子、直鎖または分岐を有 するアルキル基、あるいはシクロアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なって いてもよぐ Yは水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基、シクロアルキル基、 置換または非置換のァリール基、あるいは置換または非置換のァラルキル基であり、 sは 1または 2を示す。 )
[化 11]
【化 1 1】
(式中、 R1は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ
れ同一であっても異なっていてもよぐ R1Uは 2価の直鎖または分岐を有するアルキレ ン基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキレン基、主鎖中に エーテル酸素を有するアルキレン基、置換または非置換のァリール基、あるいは置 換または非置換のァラルキル基であり、 Xは酸素原子または硫黄原子であり、 tは 0ま たは 1を示す。 )
[0025] [化 12]
【化 1 2】
(式中、 R11は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R12および R13は水素原子、直鎖または分岐を 有するアルキル基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキル 基、置換または非置換のァリール基、あるいは置換または非置換のァラルキル基で あり、それぞれ同一であっても異なっていてもよぐ uは 1または 2を示す。 )
[0026] [化 13]
(式中、 R11は水素原子、あるいは直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それぞ れ同一であっても異なっていてもよぐ R14および R15は 2価の直鎖または分岐を有す
るアルキレン基、直鎖または分岐を有するヒドロキシアルキル基、シクロアルキレン基 、主鎖中にエーテル酸素を有するアルキレン基、置換または非置換のァリール基、あ るいは置換または非置換のァラルキル基であり、それぞれ同一であっても異なって ヽ てちよい。 )
で表わされる有機環状リンィ匕合物および Zまたはリン酸エステルアミド化合物である ことが好ましい。
[0027] さらに、有機微粒子 (D)および Zまたは無機微粒子 (E)を含有することが好ま ヽ
[0028] 有機微粒子 (D)が、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素榭脂、シリコン榭脂、架橋アタリ ル榭脂、および架橋ポリスチレンよりなる群力 選ばれた少なくとも 1種力 なることが 好ましい。
[0029] 無機微粒子 (E)力 三酸ィ匕アンチモンィ匕合物、五酸ィ匕アンチモンィ匕合物、アンチ モン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化ケィ素、酸化チタン、酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕 亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、およびマイ力よりなる群力 選 ばれた少なくとも 1種力もなることが好ましい。
[0030] 本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状であることが好ま 、。
[0031] また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、原着されていることが好ましい。
[0032] さらに、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、単繊維繊度が 10〜: LOOdtex であることが好ましい。
発明の効果
[0033] 本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し 、セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有し、さらには、繊維表面の 艷が調整されたポリエステル系人工毛髪が得られる。
[0034] 本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートおよび Zまたはポリアルキレンテレフタレートを主成分とする共重合ポリエステルの少なくとも 1種以上力もなるポリエステル (A)、臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フエノキシ榭 脂系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤の少なくとも 1種の臭素含有難燃 剤(B)、ならびに有機環状リンィ匕合物および Zまたはリン酸エステルアミドィ匕合物か
らなるリンィ匕合物(C)からなり、該ポリエステル (A) 100重量部に対し、該臭素含有難 燃剤 (B)および該リンィ匕合物(C)の混合物 5〜30重量部を溶融混練して得られる組 成物を溶融紡糸した繊維からなる。
[0035] 本発明に用いられるポリエステル (A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートとして は、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレン テレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートなどがあげられる。また、ポリアルキ レンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、これらのポリアルキレン テレフタレートを主成分とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあ げられる。
[0036] ここで、主体としたとは共重合ポリエステル中に 80モル%以上含有することをいう。
[0037] 前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカル ボン酸、パラフエ-レンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル 酸、アジピン酸、スペリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価力 ルボン酸、それらの誘導体、 5—ナトリウムスルホイソフタル酸、 5—ナトリウムスルホイ ソフタル酸ジヒドロキシェチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、 1, 2 プロパンジオール、 1, 3 プロパンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 6— へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、ジ エチレングリコーノレ、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト ール、 4ーヒドロキシ安息香酸、 ε一力プロラタトンなどがあげられる。
[0038] 前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および Ζまたはその誘 導体 (例えば、テレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共 重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の 点から好ま 、が、主体となるテレフタル酸および Ζまたはその誘導体とアルキレン グリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー 成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
[0039] 前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および Ζまたは側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよぐ共重合の仕方などには特 別な限定はない。
[0040] 前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例として は、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフエノール Aのエチレングリコ ールエーテルを共重合したポリエステル、 1, 4ーシクロへキサンジメタノールを共重 合したポリエステル、 5—ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシェチルを共重合し たポリエステルなどがあげられる。
[0041] 前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、単独で用いてもよ く、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレ ート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、または前記の共重合 ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフエノール Aのエチレングリ コールエーテルを共重合したポリエステル、 1, 4ーシクロへキサンジメタノールを共重 合したポリエステル、 5—ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシェチルを共重合し たポリエステルなど)が好ましぐこれらを 2種以上混合したものも好ましい。
[0042] ポリエステル (A)の固有粘度としては、 0. 5〜1. 4であることが好ましぐ 0. 6〜1.
2であることがより好ましい。ポリエステル (A)の固有粘度が 0. 5未満の場合、得られ る繊維の機械的強度が低下する傾向があり、 1. 4を超えると、分子量の増大に伴つ て溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向がある
[0043] 本発明に用いられる臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化フエノキシ榭脂系難燃剤お よび臭素化リン酸エステル系難燃剤の少なくとも 1種の臭素含有難燃剤 (B)としては 、特に限定はなぐ一般に用いられているものであれば使用することができる。
[0044] 臭素含有難燃剤 (B)としては、一般式 (1)で表される末端未封止型臭素化工ポキ シ系難燃剤、一般式 (2)で表される片末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、一般 式 (3)で表される両末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、および一般式 (4)で表さ れる臭素化フエノキシ榭脂系難燃剤、などがあげられる。
[0045] 一般式(1)で表される末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤としては、式中の整 数 mが 0〜: L00であることが好ましぐ 5〜95であることがより好ましい。 mが 100を超 えるものは合成が困難になるため、入手しにくい。一般式(1)で表される末端未封止 型臭素化エポキシ系難燃剤の具体例としては、下記式:
[0046] [化 14]
【化 1 4】
[0047] [化 15]
【化 1 5】
[0048] [化 16] 【化 1
一般式 (2)で表される片末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤としては、式中の整 数 nが 0〜: L00であることが好ましく、 5〜95であることがより好ましい。 nが 100を超え るものは合成が困難になるため、入手しにくい。また、式中の Xは 0〜5の整数のいず
れかを示し、 1〜3であることが好ましい。一般式 (2)で表される片末端封止型臭素化 エポキシ系難燃剤の具体例としては、下記式:
[0050] [化 17]
【化 1 7】
[0051] [化 18]
【化 1 8】
[0052] [化 19] 【化 1
[0053] 一般式 (3)で表される両末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤としては、式中の整 数 ρが 0〜: 100であることが好ましく、 5〜95であることがより好ましい。 ρが 100を超え るものは合成が困難になるため、入手しにくい。また、式中の yは 0〜5の整数のいず れかを示し、 1〜3であることが好ましい。一般式(3)で表される両末端封止型臭素化 エポキシ系難燃剤の具体例としては、下記式:
[0054] [化 20]
【化 2 0】
【化 2 1】
[0056] [化 22]
【化 2 1】
一般式 (4)で表される臭素化フヱノキシ榭脂系難燃剤としては、式中の整数 qが 80 〜200であることが好ましぐ 85〜200であることがより好ましい。 qが 200を超えるも のは合成が困難になるため、入手しにくい。一般式 (4)で表される臭素化フエノキシ 榭脂系難燃剤の具体例としては、下記式:
[0058] [化 23]
【化 2 3】
[0059] [化 24]
【化 2 4】
[0060] また、臭素含有難燃剤 (B)としては、トリス (プロモェチル)ホスフェート、トリス (プロ モプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモブチル) ホスフェート、トリス(ジブ口モブチノレ)ホスフェート、トリス(プロモネオペンチノレ)ホスフ エート、トリス(ジブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホ スフエート、などの臭素化リン酸エステルイ匕合物が挙げられる。
[0061] 臭素含有難燃剤 (B)としては、両末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤、臭素化 フエノキシ榭脂系難燃剤および臭素化リン酸エステル系難燃剤を用いることが、難燃 性、繊維の触感、紡糸安定性の点力も好ましい。
[0062] これらは、単独で用いてもよぐ 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0063] 本発明にお 、ては、臭素含有難燃剤 (B)および有機環状リン化合物および Zまた はリン酸エステルアミドィ匕合物力 なるリンィ匕合物(C)を併用することにより、臭素含 有難燃剤またはリン含有難燃剤を単独で使用した場合に比べ、それぞれの異なる難 燃化メカニズムにより、着火しにくぐ残炎時間を短くでき、さらに、ドリップを抑制する こともでき、人工毛髪としての難燃性を著しく向上することができる。
[0064] 本発明に用いられる有機環状リン化合物および Zまたはリン酸エステルアミドィ匕合 物からなるリンィ匕合物 (C)としては、一般式 (5)〜(13)で表される構造を有する化合 物があげられる。
[0065] 一般式(5)で表される化合物の具体例としては、下記式:
[0066] [化 25]
【化 2 5】
[0067] [化 26]
【化 2 6】
【化 2 7】
C H 3 で表される化合物などがあげられる。
[0069] 一般式 (6)で表される化合物の具体例としては、下記式: [0070] [化 28]
【化 2 8】
[0071] [化 29]
【化 2 9】
で表される化合物などがあげられる。
[0072] 一般式(7)で表される化合物の具体例としては、下記式: [0073] [化 30]
【化 3 0】
[0074] [化 31]
【化 3 1】
で表される化合物などがあげられる。
[0075] 一般式 (8)で表される化合物の具体例としては、下記式: [0076] [化 32]
【化 3 2】
[0077] [化 33]
【化 3 3】
[0078] 一般式(9)で表される化合物において、式中の rは 1〜5の整数のいずれかを示し、 1〜3であることが好ましい。一般式(9)で表される化合物の具体例としては、下記式
[0079] [化 34]
【化 3 4】
[0080] 一般式(10)で表される化合物の具体例としては、下記式:
[0081] [化 35]
【化 3 5】
[0082] [化 36]
【化 3 6】
[0083] [化 37]
【化 3 7】
で表される化合物などがあげられる,
[0084] 一般式(11)で表される化合物の具体例としては、下記式:
[0085] [化 38]
【化 3 8】
[0086] [化 39]
【化 3 9】
[0087] [化 40]
【化 4 0】
[0088] 一般式(12)で表される化合物の具体例としては、ジフエニル (シクロへキシルアミド )ホスフェート、ジフエ-ル(ジェチルアミド)ホスフェート、ジフエ-ル(モルホリド)ホス フェート、ジフエ-ル(ォクチルアミド)ホスフェート、ジフエ-ル(ベンジルアミド)ホスフ エート、ジフエ-ル(ァリルアミド)ホスフェート、ジフエ-ル(ァ-リド)ホスフェート、(ジ モルホリド)フエ-ルホスフェートなどがあげられる。
[0089] 一般式(13)で表される化合物の具体例としては、下記式:
[0090] [化 41]
【化 4 1】
[0091] 本発明における臭素含有難燃剤 (B)およびリンィ匕合物 (C)の使用量は、ポリエステ ル (A) 100重量部に対し、臭素含有難燃剤 (B)およびリンィ匕合物 (C)の合計が 5〜3
0重量部であることが好ましぐ 6〜27重量部であることがより好ましぐ 7〜25重量部 であることがさらに好ま 、。臭素含有難燃剤 (B)およびリン化合物 (C)の使用量が 5 重量部未満では、難燃効果が得られ難い傾向があり、 30重量部を超えると、得られ た人工毛髪の機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる傾向がある。
[0092] 本発明における臭素含有難燃剤 (B)およびリンィ匕合物 (C)の重量比は、 90/10 〜 10/90力 S女子ましく、 80/20〜20/80力 り女子ましく、 70/30〜30/70力 Sさら に好ましい。該重量比が 90/10を超える場合、または、 10/90未満である場合、臭 素含有難燃剤 (B)およびリンィ匕合物 (C)の併用による効果が発現されなくなり、それ ぞれを単独に用 、た場合に近 、難燃性となり、難燃効果が低減される傾向がある。
[0093] 本発明にお 、て、さら〖こ、有機微粒子 (D)および Zまたは無機微粒子 (E)を配合 することにより、繊維表面に微細な突起を形成し、人工毛髪として使用した場合に、 人毛に近い自然な光沢に調整することができる。
[0094] 有機微粒子 (D)としては、主成分であるポリエステル (A)、臭素含有難燃剤 (B)お よびリン化合物 (C)と相溶しな 、か、部分的に相溶しな 、構造を有する有機榭脂成 分であれば使用することができ、例えば、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素榭脂、シリ コン榭脂、架橋アクリル榭脂、架橋ポリスチレンなどが好ましく用いられる。これらは単 独で用いてもよく、 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0095] 無機微粒子 (E)としては、繊維の透明性、発色性への影響から、ポリエステル (A) 、臭素含有難燃剤 (B)およびリン化合物 (C)の屈折率に近 、屈折率を有するものが 好ましぐ例えば、三酸ィ匕アンチモンィ匕合物、五酸ィ匕アンチモン化合物、アンチモン 酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化ケィ素、酸化チタン、酸ィ匕アルミニウム、酸化亜鉛 、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイ力などがあげられる。これらは 単独で用いてもよぐ 2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明に用いら れる無機微粒子 (E)は、必要に応じてエポキシィ匕合物、シランィ匕合物、イソシァネー ト化合物、チタネートイ匕合物などで表面処理されてもょ 、。
[0096] 本発明における有機微粒子 (D)および Zまたは無機微粒子 (E)の使用量は、特に 限定されないが、ポリエステル (A) 100重量部に対し、 0. 1〜5重量部であることが 好ましぐ 0. 2〜3重量部であることがより好ましぐ 0. 3〜2重量部であることがさらに
好ま ヽ。有機微粒子 (D)および Zまたは無機微粒子 (E)の使用量が 5重量部を超 えると、得られた人工毛髪の外観性、色相、発色性が損なわれる傾向があり、 0. 1重 量部未満では、繊維表面に形成される微細な突起が少なくなるため、繊維表面の光 沢調整が不充分になる傾向がある。
[0097] 本発明に使用するポリエステル系組成物は、例えば、ポリエステル (A)、難燃剤 (B )およびリンィ匕合物 (C)、さらには、有機微粒子 (D)および Zまたは無機微粒子 (E) をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製 造することができる。
[0098] 前記混練機の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリ一 ミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調 整、操作の簡便性の点力も好ましい。
[0099] 例えば、スクリュー径 45mmの二軸押出機を用いて、榭脂温度を 260〜300°Cとし 、吐出量 50〜150kgZhrおよびスクリュー回転数 150〜200rpmの条件にて溶融 混練し、ダイスよりストランドを引取、水冷した後に、ストランドカッターを用いてペレット 化して、本発明のポリエステル系組成物を得ることができる。
[0100] 本発明のポリエステル系人工毛髪は、前記ポリエステル系組成物を通常の溶融紡 糸法にを用いて溶融紡糸することにより製造することができる。
[0101] すなわち、例えば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を 270〜310°Cとし、溶融 紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させた後、ガラス転移点以下に冷却し、 50〜500 OmZ分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用 の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の 温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐 出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
[0102] 得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条をー且卷き取って力 延伸 する 2工程法および、巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの 方法によってもよい。熱延伸は、 1段延伸法または 2段以上の多段延伸法で行なわれ る。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット 装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
[0103] 本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱剤、光安定剤 、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含 有させることができる。また、本発明のポリエステル系人工毛髪では、顔料を含有させ ることにより、原着繊維を得ることができる。
[0104] このようにして得られる本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、非捲縮生糸状 の繊維であり、その繊度としては、通常、 10〜: LOOdtexであること力 さらには 20〜9 Odtexであることが、人工毛髪に適している。難燃性ポリエステル系人工毛髪の繊度 が lOdtex未満であると、細すぎて人工毛髪としての性能が維持できなくなる傾向が あり、 lOOdtexを超えると、太すぎて硬くなり、プラスチックライクな触感となる傾向が ある。
[0105] 本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪としては、 160〜200°Cにて美容熱器具 ( ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくぐ 自己消火性を有し ていることが好ましい。
[0106] 本発明のポリエステル系人工毛髪が原着されている場合、そのまま使用することが できるが、原着されていない場合、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色 することができる。
[0107] 本発明において、染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および 難燃性を有するものが好まし 、。
[0108] 本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、美容熱器具 (ヘアーアイロン)を用い たカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、本発明の難燃性ポリエ ステル系人工毛髪は、繊維表面の凹凸により、適度に艷消されており、人工毛髪とし て使用することができる。本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、さらに、繊維 表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけ ることがでさる。
[0109] また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、モダアクリル繊維、ポリ塩ィ匕ビ- ル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用しても よい。
発明を実施するための最良の形態
[0110] 次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに 限定されるものではない。
実施例
[0111] 次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに 限定されるものではない。
[0112] なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(繊度)
lmの長さのフィラメント 100本をひとつのトウとして、 10トウの重量を測定し、平均値 を繊度とした。
(強度および伸度)
長さ 40mmのフィラメント 1本をとり、フィラメントの両端 10mmを、接着剤を糊付けし た両面テープを貼り付けた台紙 (薄紙)で挟み、ー晚風乾させて、長さ 20mmの試料 を作製した。試験機 (INTESCO Model201型 (インテスコ社製) )に試料を装着し 、温度 24°C、湿度 80%以下、荷重 lZ30gF X繊度 (デニール)、引張速度 20mm Z分の条件にて引張試験を行い、強伸度を測定した。同じ条件で試験を 10回繰り返 し、平均値をフィラメントの強伸度とした。
(光沢)
長さ 30cm、総繊度 10万 dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価した
[0113] ◎:人毛に等 、レベルに光沢が調整されて 、る
〇:適度に光沢が調整されている
△:若干光沢が多すぎる、または、若干光沢が少なすぎる
X:光沢が多すぎる、または、光沢が少なすぎる
(透明性)
長さ 30cm、総繊度 10万 dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により、標準フ イラメント(ポリエチレンテレフタレートからなる総繊度 10万 dtexのトウフィラメント)と比 較評価した。
[0114] 〇:標準フィラメントと同レベルである
△:標準フィラメントに比べ、わずかに濁りがある
X:標準フィラメントに比べ、明らかに濁りがある
(触感)
長さ 30cm、総繊度 10万 dtexのトウフィラメントを手で触り、フィラメント表面のベタツ キ感を評価した。
[0115] 〇:ベタツキ感なし
△:若干べタツキ感がある
X:ベタツキ感がある
(難燃性)
a)燃焼性
繊度約 50dtexのフィラメントを 150mmの長さに切り、 0. 7gを束ね、一方の端をク ランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らした。有効長 120mmの固定したフイラ メントに 20mmの炎を 3秒間接炎させ、燃焼させて評価した。
[0116] ◎:残炎時間が 0秒 (着火しない)
〇:残炎時間が 3秒未満
:残炎時間が3〜10秒
X:残炎時間が 10秒以上
b)限界酸素指数 (LOI)
16cm/0. 25gのフィラメントを秤量し、端を軽く両面テープでまとめ、懸撚器で挟 み撚りをかけた。充分に撚りがかかったら、試料の真中を二つに折り 2本を撚り合わ せ、端をセロテープ (登録商標)で止めて全長 7cmになるようにした。 105°Cで 60分 間前乾燥を行ない、さらにデシケーターで 30分以上乾燥した。乾燥したサンプルを 所定の酸素濃度に調整し、 40秒後 8〜 12mmに絞った点火器で上部より着火し、着 火後点火器を離した。 5cm以上燃えるか、 3分以上燃え続けた酸素濃度を調べ、同 じ条件で試験を 3回繰り返し、限界酸素指数とした。
(アイロンセット'性)
アイロンセット性とは、ヘアーアイロンによるカールセットのしゃすさ、カール形状の 保持性の指標である。
[0117] フィラメントを 180°Cに加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、 3回扱き予熱した。こ の時のフィラメント間の融着、縮れ Z糸切れを目視評価した。
[0118] 次に、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、 10秒間保持し、アイロンを 引き抜いた。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性 (セ ット性)を目視評価した。
a)融着
〇:フィラメントに全く融着が見られな ヽ
△:わずかに融着して 、る部分が見られる
X:融着している部分が多く見られる
b)縮れ Z糸切れ
〇:フィラメントの縮れおよび糸切れが全く見られな 、
△:わずかに縮れまたは糸切れして ヽる部分が見られる
X:縮れまたは糸切れしている部分が多く見られる
c)ロッドアウト性
〇:アイロンをスムーズに引き抜くことができた
△:アイロンを弓 Iき抜く際に多少の抵抗が感じられた
X:アイロンの引き抜きが困難であった
d)セット性
〇:カール形状は良好に保持されていた
△:カール形状に多少のくずれが見られた
X:カール形状はほとんど保持されな力つた
(実施例 1〜8)
表 1に示す比率の組成物を水分量 lOOppm以下に乾燥し、着色用ポリエステルぺ レット PESM6100 BLACK (大日精ィ匕工業 (株)製、カーボンブラック含有量 30% 、ポリエステルはポリエステル (A)に含まれる) 2部を添加してドライブレンドした。次に 、前記ブレンド物を二軸押出機に供給してシリンダ温度 280°Cで溶融混練し、ペレツ ト化した後に、水分量 lOOppm以下に乾燥させた。次いで、溶融紡糸機を用いて 28 0°Cで図 1に示すノズル孔を 40孔有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、 20°C
の冷却風により空冷し、 lOOmZ分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた 未延伸糸に対し、 85°Cに加熱したヒートロールを用いて 4倍に延伸し、さらに 200°C に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、 30mZ分の速度で巻き取り、単繊維 繊度が 65dtex前後のポリエステル系繊維 (マルチフィラメント)を得た。
[0119] 得られたポリエステル系繊維を用いて、強伸度、光沢、透明性、触感、難燃性、アイ ロンセット性を評価した結果を表 2に示す。
(比較例 1〜3)
表 1に示す比率の組成物を、水分量 lOOppm以下に乾燥し、実施例と同様にして 、単繊維繊度が 50dtex前後のポリエステル系繊維 (マルチフィラメント)を得た。
[0120] 得られた繊維を用いて、強伸度、光沢、透明性、触感、難燃性、アイロンセット性を 評価した結果を表 2に示す。
[0121] [表 1]
* 1:ポリエチレンテレフタレート (カネボウ合繊 (株)製) * 2:臭素含有リン酸エステル (大八化学工業 (株)製)
* 3:臭素化エポキシ系難燃剤 (阪本薬品工業 (株)製)
* 4:有機環状リン化合物 (三光 (株)製)
* 5:リン酸エステルアミド(四国化成工業 (株)製)
* 6:ポリアリレート (ュ-チカ (株)製)
* 7 :リン酸カルシウム(丸尾カルシウム (株)製)
* 8:ホスファイト系抗酸化剤 (旭電化工業 (株)製) [表 2]
【ϊ
表 2に示したように、比較例に対し、実施例では、光沢、透明性、触感、アイロンセッ ト性などに優れ、さらに、特定の臭素系難燃剤と特定のリン系難燃剤を併用すること で、高い難燃性を有することが確認された。したがって、本発明の特定の臭素系難燃 剤と特定のリン系難燃剤を使用した人工毛髪は、従来の人工毛髪に比べ、ポリエス
テルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、光沢、透明性、触感、セット性が改善 された人工毛髪として有効に用いることが可能となることが確認された。
産業上の利用可能性
[0123] 本発明により、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、 セット性、触感、透明性に優れ、極めて高い難燃性を有し、繊維表面の艷が調整され たポリエステル系人工毛髪が提供される。 図面の簡単な説明
[0124] [図 1]本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪を紡糸するために用いられる溶融紡 糸機における紡糸口金のノズル孔断面図である。