明 細 書
反射防止膜を有する光学部材
技術分野
[0001] 本発明は、耐擦傷性を向上させた光学部材に関する。
背景技術
[0002] 従来、プラスチック成型品に耐擦傷性を付与する方法として、プラスチック基材表面 に硬化膜を施すことが知られている。力かる硬化膜は、高屈折率化しているプラスチ ック基材との屈折率を合わせて審美性を高め、さらに、耐候性、耐湿性などの諸物性 を向上させる提案がなされている。かかる提案の例として、特許文献 1には、プラスチ ック基材と、硬化膜と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜と、を有する光学部材 が開示されている。力かる硬化膜のコーティング組成物の原料は、(A)金属スズと塩 酸 (無機酸)と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸 化ジルコニウムのコロイド粒子と力 これらの酸化物の重量に基づいて ZrO /SnO
2 2 として 0. 02-1. 0の比率に結合した構造と 4一 50nmの粒子径を有する酸ィ匕第ニス ズ一酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が 0. 1— 100の WO
3
/SnO重量比と、 0. 1一 100の SiO /SnO重量比と 2— 7nmの粒子径を有する
2 2 2
酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド粒子で被覆されるこ とによって形成される粒子径 4. 5— 60nmの変性された酸ィ匕第ニスズー酸ィ匕ジルコ- ゥム複合体コロイド粒子と、有機珪素化合物を含有している。反射防止膜は、真空蒸 着法により二酸化珪素層、酸ィ匕タンタル、酸ィ匕ジルコニウム、酸化イットリウムの混合 層を積層して形成されている。
[0003] ところで、膜の耐擦傷性を評価する方法として、スチールウールテストが用いられて きた。しかし、スチールウールテストは、数値で評価するものでないため、耐擦傷性を 評価する方法として、近年、べィヤー (Bayer)試験が採用され始めている。特許文献 1 に開示されて ヽる光学部材につ 、ても、べィヤー (Bayer)試験で評価した場合にお!ヽ て、更なる耐擦傷性の向上が望まれていた。
[0004] 特許文献 1:特開 2000 - 284101号公報
発明の開示
[0005] 本発明は、力かる課題を解決するためになされたもので、その目的は、審美性、密 着性などの諸物性を満足し、耐擦傷性を向上させた光学部材を提供することにある。
[0006] かかる課題は、以下の手段により解決された。その手段は、プラスチック基材、硬化 膜、真空蒸着で形成された多層反射防止膜、及び該反射防止膜上に施される撥水 膜をこの順に有する光学部材であって、硬化膜は、(A)金属スズと有機酸と過酸ィ匕 水素との反応により得られた酸ィ匕第二スズのコロイド粒子と、酸ィ匕ジルコニウムのコロ イド粒子と力 これらの酸化物の重量に基づいて ZrO /SnOとして 0. 02—1. 0の
2 2
比率に結合した構造と 4一 50nmの粒子径を有する酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム 複合体コロイド粒子を核として、その表面が 0. 1— 100の WO /SnO重量比と、 0.
3 2
1一 100の SiO /SnO重量比と 2— 7nmの粒子径を有する酸化タングステン一酸化
2 2
第二スズ一二酸ィヒ珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって製造される粒 子径 4. 5— 60nmの変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子 、と (B)有機珪素化合物を含むコーティング組成物を原料とし、多層反射防止膜は、 反射防止膜中の少なくとも 1層が、二酸化珪素、酸ィ匕アルミニウム、酸化チタン、酸ィ匕 ジルコニウム、酸ィ匕タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも 1種の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Z又は常温、常 圧下で液体である珪素非含有有機化合物とを蒸着原料として、形成されるハイブリツ ド層であり、撥水膜は、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を原料として形 成される層より構成される光学部材である。
[0007] 本発明によれば、密着性、透明性等の物性を損なわずに、耐擦傷性が顕著に向上 する光学部材を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]本発明における成膜装置を示す概略図である。
符合の説明
[0009] 1:光学式膜厚モニター
2 :基板
3 :基板保持用ドーム
4 :有機物質導入口 A
5 :有機物質導入口 B
6 :蒸発源
7 :RF型イオン銃
8 :イオン化ガス導入口
9 :排気系への接続部
10:外部モノマー加熱 (気化)装置への接続部
発明を実施するための最良の形態
[0010] 以下、本発明に関し、詳述する。
1.プラスチック基材について
本発明で使用できるプラスチック基材に関しては、特に限定されない。プラスチック 基材の素材としては、例えばメチルメタタリレート単独重合体、メチルメタタリレートと 1 種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ジエチレングリコールビス ァリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスァリルカーボネートと 1種 以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ィォゥ含有共重合体、ハロゲ ン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステ ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチォウレタンなどを挙げることができ る。
これらの中で、得られる硬化膜の屈折率、審美性 (光学部材に関し、干渉縞が見ら れない特性)などの観点から、ポリイソシァネートイ匕合物と、ポリチオールィ匕合物とを 原料とするポリチォウレタン系榭脂が好ましぐこれらの素材を用いることで、屈折率
1.58— 1.62程度のプラスチック基材を得ることができる。
[0011] 2.硬化膜を形成するコーティング組成物について
(1)変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子にっ ヽて 変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子の組成は、前述の 特許文献 1によって知られている。本発明では、特許文献 1に開示される変性された 酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子とは、異なる製法を用いて調製 した複合体コロイド粒子を用いたものであり、核とする酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコユウ
ム複合体コロイド粒子において、金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得ら れた酸ィ匕第二スズコロイド粒子を使用し、さらに、他のコーティング組成物成分との組 み合わせによる組成物を原料として硬化膜を得、これに特定の反射防止膜、及び撥 水膜を施すことにより本発明の目的を達成しうる光学部材を得るものである。
変性された酸化第二スズ -酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の製造方法として は、例えば下記 (a)工程、 (b)工程、 (c)工程、 (d)工程、 (e)工程及び (f)工程からな る製造方法が好ましい。
(a)工程:有機酸水溶液中において、過酸化水素水と金属スズを H O ZSnモル比
2 2
力 — 4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が 40重量%以下になるように反応させ、粒子径 力 一 50nmの酸化第二スズのコロイド粒子を生成する工程、
(b)工程: (a)工程で得た 4一 50nmの粒子径を有する酸ィ匕第二スズのコロイド粒子 をその酸ィ匕物 SnOとして 0. 5— 50重量%の濃度に含有する酸ィ匕第二スズ水性ゾル
2
と、 ZrOとして 0. 5 50重量%濃度のォキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに
2
基づく ZrO /SnOとして 0. 02-1. 0の重量比に混合する工程、
2 2
(c)工程:(b)工程によって得られた混合液を 60— 200°Cで、 0. 1— 50時間加熱処 理することにより、 4一 50nmの粒子径を有する酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合 体水性ゾルを生成させる工程、
(d)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩を WO /SnO重量比として 0. 1
3 2
一 100、 SiO /SnO重量比として 0. 1— 100の比率に含有する水溶液を調製し、
2 2
その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第ニス ズ -二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
(e)工程: (c)工程で得られた酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾルを、 それに含まれる ZrOと SnOの合計として 100重量部と、(d)工程で得られた 2— 7n
2 2
mの粒子径と 0. 1 100の WO /SnO重量比と 0. 1 100の SiO /SnO重量比
3 2 2 2 を有する酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれ る WOと SnOと SiOの合計として 2— 100重量部の比率に 0— 100°Cで混合するこ
3 2 2
とにより変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させるェ 程、及び
(f)工程: (e)工程で得られた変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水 性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを 除去する工程。
[0013] 本発明の硬化膜を形成するコーティング組成物で使用されるゾルの製造に用いら れる核粒子としての酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、 上記 (a)工程、 (b)工程及び (c)工程力もなる方法で製造する事ができる。
(a)工程に用いられる酸ィ匕第二スズのコロイド粒子は、有機酸水溶液中で過酸化水 素水と金属スズを H O ZSnモル比が 2— 4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が 40重量
2 2
%以下になるように反応させ生成させることにより、粒子径カ 一 50nmの酸ィ匕第ニス ズのコロイド粒子力も得ることができる。
この際、有機酸水溶液中に、過酸化水素水と金属スズを H O ZSnモル比が 2— 4
2 2
の範囲に保ちながら添加するものである。過酸ィ匕水素水と金属スズはそれらの全量 を一度に有機酸水溶液中に添加することもできるが、数回に分け、交互に添加する 方法が好ましい。過酸ィ匕水素水と金属スズの添加順序に定めはないが、 H 2 O 2 ZSn モル比が 2— 4の範囲に保たれていることが肝要である。通常は、過酸化水素水と金 属スズを添カ卩して、その反応が終了するのを待って次の過酸ィ匕水素水と金属スズの 添加に移る。 1回の反応時間は添加量にもよる力 通常 5— 10分程度であり、次の過 酸化水素水と金属スズの添加を行う。
[0014] (a)工程に用いられる有機酸と過酸ィ匕水素と金属スズの重量割合は、通常有機酸: 過酸化水素:金属スズ =0. 21—0. 53 :0. 57—1. 15 : 1. 0である。
有機酸水溶液としては、シユウ酸水溶液又はシユウ酸を主成分として含む有機酸水 溶液が好ましいが、シユウ酸水溶液のみを用いることで特に好ましく製造することがで きる。シユウ酸を主成分として含む有機酸水溶液とは、全有機酸中で 80重量%以上 のシユウ酸を含む有機酸の水溶液であり、残部はギ酸、酢酸等の有機酸を含有する ことができる。これらの有機酸水溶液は好ましくは濃度 1一 30重量%、さらに好ましく は 4一 10重量%の範囲で使用することができる。
[0015] 酸ィ匕第ニスズゾルの媒体は、水、親水性有機溶媒の!/、ずれでもよ!ヽが、媒体が水 である水性ゾルが好ましい。また、ゾルの pHとしては、ゾルを安定ならしめる値がよく
、通常、 0. 2— 11程度がよい。本発明の目的が達成される限り、酸ィ匕第ニスズゾル には、任意の成分、例えば、ゾルの安定ィ匕のためのアルカリ性物質、酸性物質、ォキ シカルボン酸等が含まれて 、てもよ 、。用いられる酸ィ匕第ニスズゾルの濃度としては 、酸ィ匕第二スズとして 0. 5— 50重量%程度である力 この濃度は低い方がよぐ好ま しくは 1一 30重量%である。
[0016] 酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルは、上記酸ィ匕第二スズゾルにォキシジ ルコ-ゥム塩を ZrO /SnO重量比が 0. 02-1. 0になるように、通常 0— 100°Cで 0
2 2
. 5— 3時間混合する(b)工程、次いでこれを 60— 200°C、 0. 1— 50時間加熱処理 する(c)工程により得ることができる。
用いるォキシジルコニウム塩としては、ォキシ塩化ジルコニウム、ォキシ硝酸ジルコ ユウム、ォキシ硫酸ジルコニウム、ォキシ酢酸ジルコニウムなどのォキシ有機酸ジルコ ユウム、ォキシ炭酸ジルコニウム等がある。これらのォキシジルコニウム塩は固体又は 水溶液として用いることができる力 ZrOとして 0. 5— 50重量%程度の水溶液として
2
用いるのが好ましい。ォキシ炭酸ジルコニルのように、水に不溶の塩も混合する酸ィ匕 第二スズが酸性ゾルの場合は使用することが可能である。
酸ィ匕第ニスズゾルは特にァミンなどの有機塩基で安定ィ匕されたアルカリ性のゾルを 用いるのが好ましぐォキシジルコニウム塩との混合は通常 0— 100°C、好ましくは室 温一 60°C程度がよ!ヽ。そしてこの混合は撹拌下で酸ィ匕第ニスズゾルにォキシジルコ -ゥム塩をカ卩えても、ォキシジルコニウム塩水溶液に酸ィ匕第ニスズゾルをカ卩えてもよ いが、後者の方が好ましい。この混合は充分行われる必要があり、 0. 5— 3時間程度 が好ましい。
[0017] 本発明にお 、て、被覆ゾルとして用いられ、 (d)工程で得られる酸ィ匕タングステン 酸化第二スズ -二酸化珪素複合体ゾルに含まれる WO
3、 SnO及び SiO複合体コロ 2 2 イド粒子は、電子顕微鏡によって粒子径を観測することができ、その粒子径は 2— 7n m、好ましくは 2— 5nmである。このゾルのコロイド粒子の分散媒としては、水、親水性 有機溶媒及びこれらの混合物のいずれも可能である。このゾルは、 WO
3、 SnO及び 2
SiOを WO /SnO重量比として 0. 1 100、 SiO /SnO重量比として 0. 1 10
2 3 2 2 2
0の比率に含有する。このゾルに含まれる WO、 SnO及び SiOの合計の濃度は、通
常 40重量%以下、実用上好ましくは 2重量%以上、好ましくは 5— 30重量%である。 このゾルは、 1一 9の pHを示し、無色透明乃至僅かにコロイド色を有する液である。そ して、室温では 3ヶ月以上、 60°Cでも 1ヶ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が 生成することがなぐまた、このゾルが増粘したり、ゲルィ匕を起すようなことはない。
[0018] (d)工程で得られる酸ィ匕タングステン (WO )、酸化第二スズ (SnO )及び二酸化珪
3 2
素(SiO )の複合体コロイド粒子を含有する安定な酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズー
2
二酸化珪素複合体ゾルの製造方法は、例えば、
(d-1)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩を WO /SnO重量比として 0.
3 2
1一 100、 SiO /SnO重量比として 0. 1— 100の比率に含有した水溶液を調製す
2 2
る工程、及び
(d-2)工程: (d-1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程、 を施すことにより製造することができる。
[0019] (d-1)工程で用いられるタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩の例としては、 アルカリ金属、アンモ-ゥム、ァミン等のタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩等 が挙げられる。これらアルカリ金属、アンモ-ゥム及びァミンの好ましい例としては、 Li 、 Na、 K、 Rb、 Cs、 NH +、あるいはェチルァミン、トリエチルァミン、イソプロピルアミ
4
ン、 n プロピルァミン、イソブチルァミン、ジイソブチルァミン、ジ(2—ェチルへキシル )ァミン等のアルキルアミン;ベンジルァミン等のァラルキルァミン;ピぺリジン等の脂 環式ァミン;モノエタノールァミン、トリエタノールァミン等のアルカノールァミンなどが 挙げられる。特に、タングステン酸ナトリウム(Na WO · 2Η 0)、スズ酸ナトリウム(Na
2 4 2
SnO · 3Η O)及び珪酸ナトリウム (水ガラス)が好ましい。また、酸化タングステン、タ
2 3 2
ングステン酸、スズ酸、珪酸等をアルカリ金属水酸ィ匕物の水溶液に溶解したものも使 用することが出来る。また珪酸塩として活性珪酸にェチルァミン、トリェチルァミン、ィ ソプロピルァミン、 n プロピルァミン、イソブチルァミン、ジイソブチルァミン、ジ(2—ェ チルへキシル)ァミン等のアルキルアミンを添カ卩して得られるアミンシリケートや第 4級 アンモニゥムシリケートも使用する事ができる。
[0020] (d-1)工程の水溶液の調製方法としては、タングステン酸塩、スズ酸塩、珪酸塩の 各粉末を水に溶解させ水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩水溶液、スズ酸
塩水溶液、及び珪酸塩水溶液を混合して水溶液を調製する方法や、タングステン酸 塩とスズ酸塩の粉末及び珪酸塩の水溶液を水に添加して水溶液を調製する方法等 が挙げられる。
(d)工程のゾルの製造に用いられるタングステン酸塩の水溶液は、 WOとして 0. 1
3 一 15重量%の濃度のものが好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d)工程のゾルの製造に用いられるスズ酸塩の水溶液としては、 SnO濃度 0. 1—
2
30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
また、(d)工程のゾルの製造に用いられる珪酸塩の水溶液としては、 SiO濃度 0. 1
2 一 30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d-1)工程での水溶液の調製は攪拌下に、室温一 100°C程度、好ましくは、室温 一 60°C位で行うのがよい。混合すべき水溶液は、 WO /SnO重量比として 0. 1-1
3 2
00、 SiO /SnO重量比として 0. 1— 100になるように用いるのが好ましい。
2 2
[0021] (d-2)工程は (d— 1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程 である。脱陽イオン処理の方法としては水素型イオン交換体と接触させる方法や塩 析により行うことができる。ここで用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常用 いられるものであり、例えば市販品の水素型陽イオン交換榭脂を用いることが出来る
[0022] (d-1)工程及び (d— 2)工程を経て得られた水性ゾルは、濃度が低 ヽときには所望 に応じ、この水性ゾルを通常の濃縮方法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾ ルの濃度を高めることができる。特に、限外濾過法は好ましい。この濃縮においても、 ゾルの温度は約 100°C以下、特に 60°C以下に保つことが好ましい。
(d)工程の水性ゾルの水を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルと呼 ばれる親水性有機溶媒ゾルが得られる。
[0023] (d)工程で得られた酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾルは、 酸ィ匕第二スズと酸ィ匕タングステンと二酸ィ匕珪素が原子レベルで均一に複合(固溶)し て得られた酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素カゝらなる複合体粒子を含 有する。従って、酸ィ匕タングステンゾル、酸ィ匕第ニスズゾル及び二酸ィ匕珪素ゾルの 3 種のゾルを単に混合して得られるものではない。
酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン -酸化第二スズ -二酸化珪素の複合体粒子が固溶体を形成している為に、溶媒置換 によっても酸ィ匕タングステン粒子、酸化第二スズ粒子及び二酸化珪素粒子に分解す る事はない。
酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン 酸ィ匕第二スズの複合ゾルに比べ、基材に被覆して被膜を形成した際に、耐水性、 耐湿性、及び耐候性が向上する。
(d)工程で得られたゾル中の WO /SnO重量比は、上述のように 0. 1— 100であ
3 2
ることが好ましい。該重量比が 0. 1未満では、不安定である場合があり、また、この重 量比が 100を越えると、やはりゾルは安定性を示さない場合がある。高い PHの水性 ゾルから上記オルガノゾルをつくる際にカ卩えられるォキシカルボン酸も、ゾルの安定 化に貢献する力 その添カ卩量がゾル中の WO、 SnO及び SiOの合計に対し 30重
3 2 2
量%以上と多いと、このようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下する原 因となる。用いられるォキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、クェン酸、ダル コン酸、リンゴ酸、グリコール等が挙げられる。また、アルカリ成分としては、 Li、 Na、 K 、 Rb、 Cs等のアルカリ金属水酸化物、 NH +、あるいはェチルァミン、トリェチルァミン
4
、イソプロピルァミン、 n プロピルアミン等のアルキルァミン;ベンジルァミン等のァラ ルキルアミン;ピぺリジン等の脂環式ァミン;モノエタノールァミン、トリエタノールァミン 等のアルカノールァミン等が挙げられる。これらは 2種以上を混合して含有することが できる。また、上記の酸性成分と併用することもできる。ゾル中のアルカリ金属、アンモ ユウム、ァミン、ォキシカルボン酸等の量に対応して、そのゾルの pHが変わる。ゾル の pHが 1未満ではゾルは不安定であり、 pHが 9を越えると、酸化タングステン、酸ィ匕 第二スズおよび二酸ィ匕珪素の複合体コロイド粒子が液中で溶解し易 ヽ。ゾル中の W O、 SnO及び SiOの合計濃度力 0重量%を超えると、ゾルはやはり安定性に乏し
3 2 2
い。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工業製品として好ましい濃度は 5— 30重 量%である。
濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存しているポリア-オン、極微小 粒子等が水と一緒に限外據過膜を通過するので、ゾルの不安定ィ匕の原因であるこれ
らポリア-オン、極微小粒子等をゾルから除去することができる。
[0025] (e)工程は、(c)工程で得られた酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾル を、それに含まれる ZrOと SnOの合計として 100重量部と、(d)工程で得られた 2—
2 2
7nmの粒子径と 0. 1 100の WO /SnO重量比と 0. 1 100の SiO /SnO重量
3 2 2 2 比を有する酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体ゾルを、これに含ま れる WOと SnOと SiOの合計として 2— 100重量部の比率に 0— 100°Cで混合する
3 2 2
工程である。
(e)工程により、酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾルのコロイ ド粒子を酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルのコロイド粒子表面に結合させ て、当該表面を上記酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド 粒子で被覆することにより、そのコロイド粒子を核としてその表面が酸ィ匕タングステン -酸化第二スズ -二酸化珪素複合体の性質を有するように変性された酸化第二スズ 酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子を生成させることができ、そしてこの変性され た酸ィヒ第二スズー酸ィヒジルコニウム複合体コロイド粒子が液媒体に安定に分散した ゾルとして得ることができる。
[0026] 酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド粒子によって変性 されたこれらの酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、この酸 化第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルをその金属酸ィ匕物(ZrO +SnO )として 1
2 2
00重量部と、上記酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体ゾルをこの ゾルの WO
3、 SnO及び SiOの合計として 2— 100重量部の比率に、好ましくは強撹 2 2
拌下に混合する(e)工程、次いでこの混合ゾルカゝらゾル中の陰イオンを除去するェ 程 (f)工程により得られる。
[0027] 上記 (e)工程の混合によって得られたゾル中の変性された酸ィ匕第ニスズー酸ィ匕ジ ルコ -ゥム複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって観察することができ、ほぼ 4. 5 一 60nmの粒子径を有する。上記混合によって得られたゾルは pHがほぼ 1一 9を有 しているが、改質のために用いたォキシジルコニウム塩に由来する Cl—、 NO―
2、 CH 3
COO—などのァ-オンを多く含有して 、るために、コロイド粒子はミクロ凝集を起こして おり、ゾノレの透明'性が低くなつている。
上記混合によって得られたゾル中のァ-オンを (f)工程の陰イオンを除去すること により、透明性の良い、安定な変性された酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体コ ロイド粒子のゾルを得ることができる。
[0028] (f)工程の陰イオン除去は上記混合によって得られたゾルを水酸基型陰イオン交 換榭脂で、通常 100°C以下、好ましくは室温一 60°C位の温度で処理することにより 得られる。水酸基型陰イオン交換榭脂は市販品を用いることができるが、アンバーラ イト IRA-410のような強塩基型のものが好ましい。
(f)工程の水酸基型陰イオン交換榭脂による処理は (e)工程での混合によって得ら れたゾルの金属酸ィ匕物濃度が 1一 10重量%で行うのが特に好ましい。
[0029] (a)一 (f)工程により得られた変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾ ルの濃度を更に高めたいときには、最大約 50重量%まで常法、例えば蒸発法、限外 濾過法等により濃縮することができる。またこのゾルの pHを調整したい時には、濃縮 後に、前記アルカリ金属、アンモ-ゥム等の水酸ィ匕物、前記ァミン、ォキシカルボン酸 等をゾルにカ卩えることによって行うことができる。特に、上記金属酸化物(ZrO +SnO
2
)と (WO +SnO +SiO )の合計濃度が 10— 50重量%であるゾルは実用的に好ま
2 3 2 2
しい。
(f)工程より得られた変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾル中の コロイド粒子は、ェチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピル トリメトキシシラン等のシランィ匕合物又はその加水分解物で、部分的に又は全面的に 表面を被覆する事ができる。
[0030] 上記混合によって得られた変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾル が水性ゾルであるときは、この水性ゾルの水媒体を親水性有機溶媒で置換すること によりオルガノゾルが得られる。この置換は、蒸留法、限外濾過法等通常の方法によ り行うことができる。この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコール、ェチルアル コール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、 Ν, Ν,一 ジメチルァセトアミド等の直鎖アミド類; Ν—メチルー 2—ピロリドン等の環状アミド類;ェ チノレセロソルブ、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、エチレングリコーノレ等の グリコール類等が挙げられる。
上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方法、例えば、蒸留置換法、限外濾 過法等によって容易に行うことができる。
[0031] 本発明で用いる酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド粒 子によって表面が被覆され、変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロ イド粒子はゾル中で負に帯電して 、る。上記酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体 コロイド粒子は陽に帯電しており、酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複 合体のコロイド粒子は負に帯電している。従って、(e)工程での混合によりこの陽に帯 電して 、る酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子の周りに負に帯電し ている酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド粒子が電気的 に引き寄せられ、そして陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸ィ匕タンダ ステン 酸ィ匕第二スズ複合体のコロイド粒子が結合し、この陽帯電の粒子を核として その表面を酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体のコロイド粒子が覆 つてしまうことによって、変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒 子が生成したものと考えられる。
[0032] 但し、核ゾルとしての粒子径 4一 50nmの酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体 コロイド粒子と、被覆ゾルとしての酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合 コロイド粒子とを混合するときに、核ゾルの金属酸ィ匕物(ZrOと SnO ) 100重量部に
2 2
対し、被覆ゾルの金属酸化物 (WO +SnO +SiO )の合計量が 2重量部より少ない
3 2 2
と、安定なゾルが得られにくい。このことは、酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸 化珪素複合体のコロイド粒子の量が不足するときには、この複合体のコロイド粒子に よる酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子を核とするその表面の被覆 が不充分となり、生成コロイド粒子の凝集が起こり易ぐ生成ゾルを不安定ならしめる ものと考えられる。従って、混合すべき酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸化珪素 複合体コロイド粒子の量は、酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合コロイド粒子の全 表面を覆う量より少なくてもよ!、が、安定な変性された酸化第二スズ-酸化ジルコニゥ ム複合コロイド粒子のゾルを生成せしめるに必要な最小量以上の量である。この表面 被覆に用いられる量を越える量の酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複 合体コロイド粒子が上記混合に用いられたときには、得られたゾルは、酸ィ匕タンダス
テン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体コロイド粒子のゾルと、生じた変性された酸 化第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルの安定な混合ゾルに過ぎない 好ましくは、酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合コロイド粒子をその表面被覆によ つて変性するには、用いられる酸化タングステン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体 のコロイド粒子の量は、核ゾルの金属酸化物(ZrO +SnO ) 100重量部〖こ対し、被
2 2
覆ゾル中の金属酸化物(WO +SnO +SiO )の合計として 100重量部以下がよい。
3 2 2
[0033] 本発明で使用される変性された酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体の好ましい 水性ゾルは、 pH3— 11程度を有することが好ましい。 pHが 3より低いとそのようなゾ ルは不安定となり易ぐまた、この pHが 11を越えると、変性された酸化第ニスズー酸 化ジルコニウム複合体コロイド粒子を覆っている酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二 酸ィ匕珪素複合体が液中に溶解し易 ヽ。更に変性された酸ィ匕第ニスズー酸ィ匕ジルコ- ゥム複合体コロイド粒子のゾル中の上記金属酸化物(ZrO +SnO )と(WO +SnO
2 2 3 2
+ SiO )の合計濃度が 60重量%を越えるときにも、このようなゾルは不安定となり易
2
V、。工業製品として好ま 、濃度は 10— 50重量%程度である。
酸化タングステン -酸化第二スズ -二酸化珪素複合体コロイド粒子は高温で加水分 解を受け易いことから、(e)工程の混合、(f)工程の陰イオン交換および (f)工程後の 濃縮、 pH調整、溶媒置換等の際には 100°C以下が好ましい。
[0034] (2)有機珪素化合物について
本発明に力かる硬化膜を得るためのコーティング組成物にぉ 、ては、(B)成分とし て有機珪素化合物が用いられる。この有機珪素化合物としては、例えば一般式 (I)
R11 Si (OR12) …①
k 4-k
(式中、 R11は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数 1一 20の炭化水素基、 R12は炭素数 1一 8のアルキル基、炭素数 6— 10のァリール基、炭素数 7— 10のァラ ルキル基または炭素数 2— 10のァシル基、 kは 0、 1または 2を示し、 R11が複数ある場 合、複数の R11はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数の OR12はたがいに同 一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、一般式 (II)
[化 1]
(R13o¾z7— Si-γ— Si ~~ COR 4) 3_b ■■ (R 5)a ( 6)b
(式中、 R13および R14は、それぞれ同一または異なる炭素数 1一 4のアルキル基また は炭素数 2— 4のァシル基、 R15および R16は、それぞれ同一または異なる一価の炭素 数 1一 5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、 Yは炭素数 2— 20の二価 の炭化水素基、 aおよび bは、それぞれ 0または 1を示し、複数の R130は、たがいに同 一でも異なっていてもよいし、複数の OR"はたがいに同一でも異なっていてもよい。 ) で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも 1種が挙げ られる。
[0035] 前記一般式 (I)にお 、て、 R11で示される炭素数 1一 20の一価の炭化水素基として は、炭素数 1一 20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数 2— 20の直鎖状、 分岐状、環状のアルケニル基、炭素数 6— 20のァリール基、炭素数 7— 20のァラル キル基を挙げることができる。ここで、炭素数 1一 20のアルキル基としては、炭素数 1 一 10のものが好ましぐ例えばメチル基、ェチル基、 n—プロピル基、イソプロピル基、 n -ブチル基、イソブチル基、 sec -ブチル基、 tert -ブチル基、ペンチル基、へキシル 基、ォクチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基などが挙げられる。また、炭素 数 2— 20のァルケ-ル基としては、炭素数 2— 10のァルケ-ル基が好ましぐ例えば ビュル基、ァリル基、ブテュル基、へキセニル基、オタテュル基などが挙げられる。炭 素数 6— 20のァリール基としては、炭素数 6— 10のものが好ましぐ例えばフエ-ル 基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数 7— 20のァラルキル 基としては、炭素数 7— 10のものが好ましぐ例えばべンジル基、フエネチル基、フエ -ルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
[0036] これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよぐ該官能基としては、例え ばハロゲン原子、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シァノ基、(メタ
)アタリロイルォキシ基などが挙げられる。これらの官能基を有する炭化水素基として は、該官能基を有する炭素数 1一 10のアルキル基が好ましぐ例えば γ—クロ口プロ
ピル基、 3, 3, 3—トリクロ口プロピル基、クロロメチル基、グリシドキシメチル基、 ひーグ リシドキシェチル基、 j8—グリシドキシェチル基、 α—グリシドキシプロピル基、 β—ダリ シドキシプロピル基、 γ—グリシドキシプロピル基、 α—グリシドキシブチル基、 β—ダリ シドキシブチル基、 γ—グリシドキシブチル基、 δ—グリシドキシブチル基、(3, 4—ェ ポキシシクロへキシル)メチル基、 j8 (3, 4—エポキシシクロへキシル)ェチル基、 γ - (3, 4 エポキシシクロへキシル)プロピル基、 δ— (3, 4—エポキシシクロへキシル) ブチル基、 Ν— ( β—アミノエチル) Ί—ァミノプロピル基、 γ—ァミノプロピル基、 γ - メルカプトプロピル基、 j8—シァノエチル基、 γ—メタクリロイルォキシプロピル基、 γ— アタリロイルォキシプロピル基などが挙げられる。
[0037] 一方、 R12のうちの炭素数 1一 8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状の 、ずれで あってもよぐその例としては、メチル基、ェチル基、 η プロピル基、イソプロピル基、 η -ブチル基、イソブチル基、 sec -ブチル基、 tert -ブチル基、ペンチル基、へキシル 基、シクロペンチル基、シクロへキシル基などが挙げられ、ァリール基としては、例え ばフエニル基、トリル基などが挙げられ、ァラルキル基としては、例えばべンジル基、 フエネチル基などが挙げられる。また、ァシル基としては、例えばァセチル基などが挙 げられる。
nは 0、 1または 2であり、 R11が複数ある場合、複数の R11はたがいに同一であっても よいし、異なっていてもよぐまた、複数の OR12はたがいに同一であってもよいし、異 なっていてもよい。
[0038] 前記一般式 (I)で表される化合物の例としては、メチルシリケート、ェチルシリケート 、 n—プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、 n—ブチルシリケート、 sec—ブチルシ リケート、 tert ブチルシリケート、テトラァセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メ チルトリプロポキシシラン、メチルトリァセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル トリプロポキシシラン、メチルトリアミ口キシシラン、メチルトリフエノキシシラン、メチルトリ ベンジルォキシシラン、メチルトリフエネチルォキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキ シシラン、グリシドキシメチノレトリエトキシシラン、 α—グリシドキシェチノレトリメトキシシラ ン、 α—グリシドキシェチルトリエトキシシラン、 j8—グリシドキシェチルトリエトキシシラ ン、 α—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 α—グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、 j8 -グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 j8 -グリシドキシプロピルトリエトキシ シラン、 γ グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルトリェトキ シシラン、 γ—グリシドキシプロピノレトリプロボキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルトリ フエノキシシラン、 α—グリシドキシブチルトリメトキシシラン、 α—グリシドキシブチルトリ エトキシシラン、 j8—グリシドキシブチルトリメトキシシラン、 j8—グリシドキシブチルトリ エトキシシラン、 γ—グリシドキシブチルトリメトキシシラン、 γ—グリシドキシブチルトリ エトキシシラン、 δ—グリシドキシブチルトリメトキシシラン、 δーグリシドキシブチルトリ エトキシシラン、 (3, 4—エポキシシクロへキシル)メチルトリメトキシシラン、 (3, 4—ェポ キシシクロへキシル)メチルトリエトキシシラン、 j3—(3, 4 エポキシシクロへキシル)ェ チルトリメトキシシラン、 j8 (3, 4—エポキシシクロへキシル)ェチルトリエトキシシラン 、 j3 -(3, 4—エポキシシクロへキシル)ェチルトリプロポキシシラン、 J3—(3, 4ーェポキ シシクロへキシル)ェチルトリブトキシシラン、 j3—(3, 4 エポキシシクロへキシル)ェ チルトリフエノキシシラン、 γ— (3, 4—エポキシシクロへキシル)プロピルトリメトキシシ ラン、 γ—(3, 4—エポキシシクロへキシル)プロピルトリエトキシシラン、 δ— (3, 4—ェ ポキシシクロへキシノレ)ブチノレトリメトキシシラン、 δ—(3, 4—エポキシシクロへキシノレ) ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチノレメチノレジメトキシシラン、グリシドキシメチ ルメチルジェトキシシラン、 α—グリシドキシェチルメチルジメトキシシラン、 α—グリシ ドキシェチルメチルジェトキシシラン、 /3ーグリシドキシェチルメチルジメトキシシラン、 キシシラン、 α—グリシドキシプロピルメチルジェトキシシラン、 j8—グリシドキシプロピ ルメチルジメトキシシラン、 α—グリシドキシプロピルメチルジェトキシシラン、 γ—グリシ ン、 γ—グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルメト キシシラン、 γ—グリシドキシプロピルメチルジフエノキシシラン、 γ—グリシドキシプロ ピルェチルジメトキシシラン、 Ύーグリシドキシプロピルェチルジェトキシシラン、 Ύーグ リシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルビニルジェトキシ シラン、 γ—グリシドキシプロピルフエ二ルジメトキシシラン、 γ—グリシドキシプロピルフ ェニルジェトキシシラン、ェチルトリメトキシシラン、ェチルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリァセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フエニルトリメト キシシラン、フエニルトリエトキシシラン、フエニルトリァセトキシシラン、 Ύ クロ口プロピ ルトリメトキシシラン、 γ クロ口プロピルトリァセトキシシン、 3, 3, 3—トリフロロプロピル トリメトキシシラン、 γ—メタクリロイルォキシプロピルトリメトキシシラン、 γ メルカプトプ 口ピルトリメトキシシラン、 γ メルカプトプロピルトリエトキシシラン、 13ーシァノエチルト リエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、 Ν-( β—アミノエチル)― γ—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 Ν— ( β—アミノエチル)— Ύ― ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 γ—ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 Ν-( β -アミノエチル)—γ ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 Ν-( β -アミノエチル) —γ—ァミノプロピルメチルジェトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フエニルメチル ジメトキシシラン、ジメチノレジェトキシシラン、フエニノレメチノレジェトキシシラン、 γ クロ 口プロピルメチルジメトキシシラン、 γ クロ口プロピルメチルジェトキシシラン、ジメチ タクリロイルォキシプロピルメチルジェトキシシラン、 Ί メルカプトプロピルメチルジメ トキシシラン、 γ メルカプトプロピルメチルジェトキシシラン、メチルビ二ルジメトキシ シラン、メチルビ-ルジェトキシシランなどが挙げられる。
[0039] 一方、前記一般式 (II)にお 、て、 R13および R"のうちの炭素数 1一 4のアルキル基と しては、メチル基、ェチル基、 η プロピル基、イソプロピル基、 η ブチル基、イソプチ ル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基が挙げられ、炭素数 2— 4のァシル基としては 、ァセチル基が好ましく挙げられる。この R13および R14はたがいに同一であってもよい し、異なっていてもよい。また、 R15および R16で示される一価の炭素数 1一 5の炭化水 素基としては、炭素数 1一 5のアルキル基および炭素数 2— 5のァルケ-ル基が挙げ られる。これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよぐアルキル基の例としては、 メチル基、ェチル基、 n -プロピル基、イソプロピル基、 n -ブチル基、 sec -ブチル基、 tert ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、ァルケ-ル基としては、例えばビュル 基、ァリル基、ブテュル基などが挙げられる。
[0040] これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよぐ該官能基および官能基 を有する炭化水素基としては、前記一般式 (I)の R11の説明で例示したものと同じもの
を挙げることができる。この R15および R16はたがいに同一であってもよいし、異なって いてもよい。 Yで示される炭素数 2— 20の二価の炭化水素基としては、炭素数 2— 10 のアルキレン基およびアルキリデン基が好ましぐ例えばメチレン基、エチレン基、プ ロピレン基、ブチレン基、ェチリデン基、プロピリデン基などが挙げられる。
aおよび bは、それぞれ 0または 1を示し、複数の R130は、たがいに同一でも異なつ て!、てもよ 、し、複数の OR"はたがいに同一でも異なって!/、てもよ!/、。
[0041] 前記一般式 (II)で表される化合物の例としては、メチレンビス (メチルジメトキシシラ ン)、エチレンビス(ェチルジメトキシシラン)、プロピレンビス(ェチルジェトキシシラン)
、ブチレンビス (メチルジェトキシシラン)などが挙げられる。
[0042] 本発明に力かる硬化膜を得るためのコーティング組成物においては、(B)成分の有 機珪素化合物として、一般式 (1)、(II)で表される化合物およびその加水分解物の中 力 適宜 1種選択して用いてもよいし、 2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい 。また、加水分解物は、一般式 (1)、(II)で表される有機珪素化合物に、水酸化ナトリ ゥムゃアンモニアの水溶液などの塩基性水溶液、酢酸水溶液やクェン酸水溶液など の酸性水溶液を添加し、攪拌することにより調製することができる。
[0043] 本発明に力かる硬化膜を得るためのコーティング組成物における前記 (A)成分の 変性酸ィヒ第二スズー酸ィヒジルコニウム複合体コロイド粒子と (B)成分の有機珪素化 合物の含有割合については、屈折率及び良好な透明性を得る観点から (B)成分 10 0重量部当たり、(A)成分を、固形分として 1一 500重量部の割合で含有するのが好 ましい。
[0044] (3)コロイド粒子と有機珪素化合物を含有したコーティング組成物にっ 、て
本発明にかかる硬化膜を得るためのコーティング組成物には、所望により、反応を 促進するために硬化剤を、種々の基材となるレンズとの屈折率をあわせるために微 粒子金属酸化物を、また塗布時における濡れ性を向上させ、硬化膜の平滑性を向 上させる目的で各種の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。さらに、紫 外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等も硬化膜の物性に影響を与えない限り添カロ することも可會である。
[0045] 前記硬ィ匕剤の例としては、ァリルァミン、ェチルァミンなどのアミン類、またルイス酸
やルイス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸 、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チォ硫酸、オルトケィ酸、チォシアン酸、 亜硝酸、アルミン酸、炭酸などを有する塩または金属塩、さらにアルミニウム、ジルコ ユウム、チタニウムを有する金属アルコキシドまたはこれらの金属キレートイ匕合物など が挙げられる。特に好ましい硬化剤は耐擦傷性の観点から、ァセチルァセトネート金 属塩である。ァセチルァセトネート金属塩としては、 M^CH COCHCOCH )nl (OR
3 3
17 ) n2 (式中、 M1は Ζη(Π)、 Ti(IV)、 Co(II)、 Fe(II)、 Cr(III)、 Μη(Π)、 V(III)、 V(IV)、 C a(II)、 Co(III)、 Cu(II)、 Mg(II)、 Ni(II)、 R"は炭素数 1一 8の炭化水素基、 nl +n2は M1の価数に相当する数字で 2, 3または 4であり、 n2は 0, 1または 2である。)で表わ される金属錯体化合物が挙げられる。 R17としては、前記一般式 (I)において例示した 炭素数 1一 10の炭化水素基のうち炭素数 1一 8のものを挙げることができる。
[0046] また、前記微粒子状金属酸化物としては、従来公知のもの、例えば酸ィ匕アルミニゥ ム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸ィ匕ジルコニウム、酸化珪素、酸ィ匕セリウム、酸ィ匕 鉄などの微粒子が挙げられる。
[0047] コーティング組成物の硬化は、通常熱風乾燥または活性エネルギー線照射によつ て行われ、硬化条件としては、 70— 200°Cの熱風中にて行うのがよぐ特に好ましく は 90— 150°Cが望ましい。なお活性エネルギー線としては遠赤外線などがあり、熱 による損傷を低く抑えることができる。
[0048] 上述のコーティング組成物を用い、その硬化被膜を基材上に形成する方法として は、上述したコーティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段とし てはデイツビング法、スピンコーティング法、スプレー法など通常行われる方法が適用 できるが、面精度の面力 デイツビング法、スピンコーティング法が特に望ましい。 さらに上述したコーティング組成物を基材に塗布する前に、基材に酸、アルカリ、各 種有機溶剤による化学的処理、プラズマ、紫外線などによる物理的処理、各種洗剤 を用いる洗剤処理、サンドブラスト処理、更には各種榭脂を用いたプライマー処理を 施すことによって、基材と硬化膜との密着性などを向上させることができる。
[0049] 3.反射防止膜について
本発明で使用する反射防止膜は、真空蒸着法で形成される。また、良好な膜強度
及び密着性を得るためイオンアシスト法で形成されることが好ま ヽ。該反射防止膜 のハイブリッド層以外の膜構成層は特に限定されないが、良好な反射防止効果等の 物性を得るため、低屈折率層として SiO層、又は SiOと Al Oとの混合層、高屈折率
2 2 2 3
層として Nb O層、又は TiO層を有することが好ましい。本発明における、ハイブリツ
2 5 2
ド層に使用される無機物質としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸 化ジルコニウム、酸ィ匕タンタル、酸化イットリウム及び酸ィ匕ニオブ力 選ばれる少なくと も 1種であり、二酸化珪素を含有することが好ましい。これらは単独でもまた複数のも のを使用してもよい。複数の無機物質を用いる場合は、それらを物理的に混合しても よいし、また複合酸ィ匕物であってもよぐ具体的には SiO— Al O等がある。
2 2 3
[0050] 本発明における、ハイブリッド層に使用される有機物質としては、膜厚の制御、蒸着 速度の制御の観点から、常温、常圧下で、液体状態にある有機珪素化合物及び Z 又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物が用いられる。
前記有機珪素化合物としては、例えば、以下の一般式 (a)—(d)のいずれかで表さ れる構造を有することが好まし 、。
[0051] 一般式 (a) :シランまたはシロキサンィ匕合物
[化 2]
( a )
[0052] 一般式 (b):シラザン化合物
[化 3]
• ( b )
[0053] 一般式 (c):シクロシロキサンィ匕合物
[化 4]
( c )
[0054] 一般式 (d) :シクロシラザンィ匕合物
[化 5]
( d )
[0055] 一般式 (a)—(d)において、式中の m、 nは、それぞれ独立に 0以上の整数を表す。
また、 X— Xはそれぞれ独立に水素、炭素数 1一 6の炭化水素基 (飽和 ·不飽和双方
1 8
を含む)、—OR1基、 -CH OR2基、— COOR3基、— OCOR4基、— SR5基、— CH SR6基、 -
2 2
NR7基、または、 -CH NR8基 (R1— R8は水素または炭素数 1一 6の炭化水素基 (炭素
2 2 2
原子間の結合において飽和 ·不飽和双方を含む)を表す。また X— Xは上記の任意
1 8
の官能基であればよぐすべて同じ官能基でもよいし、一部またはすべてがそれぞれ 異なるものでもよく限定されな!ヽ。
前記 R1— R8で示される炭素数 1一 6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、ェ チル基、 n-プロピル基、イソプロピル基、 n-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へ キシル基、ビュル基、ァリル基、ェチュル基、フエ-ル基、シクロへキシル基、プロピ
-ル基、イソプロべ-ル基等が挙げられる。
一般式 (a)で表せる具体的な化合物としては、トリメチルシラノール、ジェチルシラン 、ジメチルエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、 ジメトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、 テトラメトキシシラン、メルカプトメチルトリメチルシラン、アミノメチルトリメチルシラン、ジ メチルジメチルアミノシラン、ェチュルトリメチルシラン、ジァセトキシメチルシラン、ァリ ルジメチルシラン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、ァセトキシト リメチルシラン、トリメトキシビュルシラン、ジェチルメチルシラン、ェチルトリメチルシラ ン、エトキシトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ェチルトリメトキシシラン、ジメチ ルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルァミノ)メチルシラン、フエ-ルシラン、ジメチル ジビニルシラン、 2_プロピニロキシトリメチルシラン、ジメチルェトキシェチニルシラン、 ジァセトキシジメチルシラン、ァリルトリメチルシラン、ァリロキシトリメチルシラン、ェトキ シジメチルビニルシラン、イソプロぺノキシトリメチルシラン、ァリルアミノトリメチルシラ ン、トリメチルプロビルシラン、トリメチルイソプロビルシラン、トリェチルシラン、ジェチ ルジメチルシラン、ブチルジメチルシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソ プロポキシシラン、トリエチノレシラノーノレ、ジェトキシジメチノレシラン、プロピルトリメトキ シシラン、ジェチルアミノジメチルシラン、ビス(ェチルァミノ)ジメチルシラン、ビス(ジ メチルァミノ)ジメチルシラン、トリ(ジメチルァミノ)シラン、メチルフエ-ルシラン、メチ ルトリビニルシラン、ジァセトキシメチルビニルシラン、メチルトリァセトキシシラン、ァリ ロキシジメチルビニルシラン、ジェチルメチルビニルシラン、ジェトキシメチルビニルシ ラン、ビス(ジメチルァミノ)メチルビ-ルシラン、ブチルジメチルヒドロキシメチルシラン 、 1-メチルプロポキシトリメチルシラン、イソブトキシトリメチルシラン、ブトキシトリメチル シラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソプロピルアミノメチルトリ メチルシラン、ジェチルアミノトリメチルシラン、メチルトリ(ジメチルァミノ)シラン、ジメ チルフエニルシラン、テトラビニルシラン、トリァセトキシビニルシラン、テトラァセトキシ シラン、ェチルトリァセトキシシラン、ジァリルジメチルシラン、 1,1-ジメチルプロビニ口 キシトリメチルシラン、ジェトキシジビュルシラン、ブチルジメチルビニルシラン、ジメチ ルイソブトキシビニルシラン、ァセトキシトリエチルシラン、トリエトキシビニルシラン、テ
プロポキシシラン、ェチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルフエ二ルビ二 ルシラン、フエニルトリメチルシラン、ジメチルヒドロキシメチルフエニルシラン、フエノキ シトリメチルシラン、ジメトキシメチルフエニルシラン、フエニルトリメトキシシラン、ァニリ ノトリメチルシラン、 1-シクロへキセニ口キシトリメチルシラン、シクロへキシロキシトリメ チルシラン、ジメチルイソペンチロキシビュルシラン、ァリルトリエトキシシラン、トリプロ ビルシラン、ブチルジメチル- 3-ヒドロキシプロビルシラン、へキシロキシトリメチルシラ ン、プロピルトリエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、ジメチルフエ二ルビニルシ ラン、トリメチルシリルべンゾネート、ジメチルエトキシフエ-ルシラン、メチルトリイソプ ロぺノキシシラン、メトキシトリプロビルシラン、ジブトキシジメチノレシラン、メチノレトリプロ ポキシシラン、ビス(ブチルァミノ)ジメチルシラン、ジビュルメチルフエ-ルシラン、ジ ァセトキシメチルフエニルシラン、ジェチルメチルフエニルシラン、ジエトキシメチルフ ェニルシラン、トリイソプロポキシビュルシラン、 2_ェチルへキシロキシトリメチルシラン 、ペンチルトリエトキシシラン、ジフヱニルシラン、フエニルトリビニルシラン、トリェチル フエニルシラン、フエニルトリエトキシシラン、テトラァリロキシシラン、フエニルトリ(ジメ チノレアミノ)シラン、テトラプロボキシシラン、テトライソプロボキシシラン、ジフエニノレメ チルシラン、ジァリルメチルフエニルシラン、ジメチルジフヱニルシラン、ジメトキシジフ ェニルシラン、ジフエニルエトキシメチルシラン、トリペンチ口キシシラン、ジフエニルジ ビニルシラン、ジァセトキシジフエニルシラン、ジェチルジフエニルシラン、ジエトキシ ジフエ-ルシラン、ビス(ジメチルァミノ)ジフエ-ルシラン、テトラブチルシラン、テトラ ブトキシシラン、トリフエニルシラン、ジァリルジフエニルシラン、トリへキシルシラン、トリ フエノキシビュルシラン、 1,1, 3,3-テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン 、へキサメチルジシロキサン、 1,3-ジメトキシテトラメチルジシロキサン、 1,3-ジェチ二 ル -1,1, 3,3-テトラメチルジシロキサン、 1,3-ジビュル- 1,1, 3,3-テトラメチルジシロキサ ン、 1,3-ジェトキシテトラメチルジシロキサン、へキサェチルジシロキサン、 1,3-ジブチ ル -1,1, 3,3-テトラメチルジシロキサンなどの化合物が挙げられる。
一般式 (b)で表される具体的な化合物としては、へキサメチルジシラザン、 1,3-ジビ -ル -1,1, 3,3-テトラメチルジシラザン、 1,1, 3,3-テトラメチルジシラザン、などの化合物
が挙げられる。
一般式 (c)で表される具体的な化合物としてはへキサメチルシクロトリシロキサン、 1, 1, 3,3,5, 5-へキサメチルシクロトリシラザン、へキサェチルシクロトリシロキサン、 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オタタメチルシクロテトラシロキサンなどの 化合物が挙げられる。
一般式 (d)で表される具体的な化合物としては 1,1,3,3,5,5,7,7-オタタメチルシクロ テトラシラザンなどの化合物が挙げられる。
[0058] これらの有機珪素化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御 、膜自体の強度の点から、好ましくは、 48— 600、特に好ましくは、 140— 500である。
[0059] 次に、前記ハイブリッド層を構成する珪素非含有有機化合物としては、その側鎖ま たは末端に反応性基を含有する炭素及び水素を必須成分とするもの、または二重結 合を含むものが好ましぐ具体的には一般式 (e)— (g)で表される化合物が好ましく用 いられる。
[0060] 一般式 (e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非 含有有機化合物
( e )
[0061] 一般式 (f):両末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非 含有有機化合物
■ ■ · ( f )
[0062] 一般式 (g):二重結合を含む、炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化
合物
[化 8]
CX9X1 o = CX, 1 X¾ 2 · · · ( g )
[0063] (一般式 (e)、 (f)において、 R9は水素、または酸素を含んでいてもよい炭素数 1一 10 の炭化水素基、 R1Qは酸素を含んでいてもよい炭素数 1一 7の二価の炭化水素基を示 し、一般式 (g)において、 X—X はそれぞれ水素、炭素数 1
9 12 一 10の炭化水素基、ま たは炭素数 1一 10の炭素及び水素を必須成分とし、さらに酸素及び窒素の少なくとも 一方を必須成分とする有機基を示す)
[0064] 一般式(e)の化合物の具体例としては、メチルダリシジルエーテル、ブチルダリシジ ルエーテル、 2-ェチルへキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ス テアリルグリシジルエーテル、ァリルグリシジルエーテル、フエ-ルグリシジルエーテ ル、 p-sec-ブチルフエニルダリシジルエーテル、 p-tert-ブチルフエニルダリシジルェ 一テル、 2-メチルオタチルダリシジルエーテル、グリシドール、トリメチロールプロパン ポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
[0065] 一般式 (f)の化合物の具体例としては、ネオペンチルダリコールジグリシジルエーテ ル、グリセロールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、 トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジル エーテル、 1,6-へキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシ ジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
[0066] 一般式 (g)の化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、塩化ビュル、フツイ匕 ビュル、アクリルアミド、ビュルピロリドン、ビュルカルバゾール、メチルメタタリレート、 ェチルメタタリレート、ベンジルメタタリレート、 n-ブチルメタタリレート、イソブチルメタク リレート、ジメチルアミノエチルメタタリレート、メタクリル酸、グリシジルメタタリレート、酢 酸ビュル、スチレンなどがあげられる。
また、前記一般式 (e)— (g)で表される化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中
の有機成分の制御及びハイブリッドの膜強度を考慮して、好ましくは、 28— 400、特に 好ましくは、 140— 360である。
[0067] 本発明の反射防止膜における常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Z 又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物 (以下「有機物質」と 、うこと 力 Sある)の成膜方法としては、図 1に示すように、ハイブリッド層を形成する際に、無機 物質、有機物質それぞれを別の蒸着源にて同時に蒸着して成膜するのが好ましい。 具体的には、無機物質を電子銃等を用いて加熱することにより気化させ、有機物質 を外部タンクに貯蔵し、該タンク内で該有機物質を気化させ、無機物質と有機物質を 同時に蒸着させる方法が好ましい。
なお、蒸着速度の制御の観点から、有機物質を貯蔵する外部タンクを加熱'減圧し て該有機物質をチャンバ一内に供給し、酸素ガス及び Zまたはアルゴンガスを用い イオンアシスト成膜するのが好ましい。さらに、本発明では有機物質が常温'常圧で 液体であり、溶媒を使用する必要がなぐ直接加熱して蒸着することができる。また、 有機物質の導入口は、図 1に示すよう無機物質蒸発源真上に設けるのが対衝撃性、 対摩耗性向上に効果的であり、反射防止膜における有機珪素化合物を下部より、珪 素非含有有機化合物を上部より供給するのが好まし 、。
外部タンクの加熱温度は、その有機物質の蒸発温度により異なる力 30— 200°C、 好ましくは 50— 150°Cとすることが適当な蒸着速度を得るという点力も好ましい。
本発明におけるハイブリッド層の有機物質の好ましい膜内含有率は、特に良好な 物性改質効果が得られる点を考慮して、 0.02質量%— 25質量%である。
[0068] 本発明におけるプラスチック基材上に形成された多層反射防止膜の構成としては、 膜構成の少なくとも 1層にハイブリッド層を用いる。
ハイブリッド層は、多層反射防止膜中の任意の層に形成できる。また、前記ハイプリ ッド層は複数の層への形成も可能である。ノ、イブリツド層の好ましい位置としては、特 に優れた耐衝撃性を得るために、レンズ基材カも最も近 、位置及び/またはレンズ 基材カも最も遠い位置に施すことが好ましい。また、特に優れた密着性を得るためィ オンアシスト法で形成されて 、ると好ま U、。
イオンアシスト法において、出力に関し好ましい範囲は、特に、良好な反応を得ると
の観点から、加速電圧 50-700V加速電流 30-250mAである。前記イオンアシスト法を 実施する際に使用されるイオンィ匕ガスは、成膜中の反応性、酸ィ匕防止の点からアル ゴン (Ar)、又はアルゴンと酸素の混合ガスを用いるのが好まし!/、。
[0069] 本発明における好ま 、反射防止膜の好ま 、膜厚及び屈折率の範囲は以下の 通りである。なお、第 1層は、プラスチック基材から最も近い層である。
第 1層 0.005 λ— 1.25 λ 1.41— 1.50
第 2層 0.005 — 0.10 λ 2.00— 2.35
第 3層 0.005 λ— 1.25 λ 1.41— 1.50
第 4層 0.05 λ— 0.45 λ 2.00— 2.35
第 5層 0.005 — 0.15 λ 1.41— 1.50
第 6層 0.05 λ— 0.45 λ 2.00— 2.35
第 7層 0.2 λ— 0.29 λ 1.41— 1.50
[0070] さらに、耐擦傷性の観点力も第 1層から 7層の好ましい組成は以下の通りである。
第 1層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Ζ又は常温、常圧下で液 体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料と して形成されるハイブリッド層
第 2層:酸ィ匕タンタル層が第 2層を基準にして、少なくとも 50重量%含有している層 第 3層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Ζ又は常温、常圧下で液 体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料と して形成されるハイブリッド層
第 4層:酸ィ匕タンタル層が第 4層を基準にして、少なくとも 50重量%含有している層 第 5層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Ζ又は常温、常圧下で液 体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料と して形成されるハイブリッド層
第 6層:酸ィ匕タンタル層が第 6層を基準にして、少なくとも 50重量%含有している層 第 7層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び Ζ又は常温、常圧下で液 体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料と して形成されるハイブリッド層
[0071] 4. 撥水膜について
撥水膜は、前記反射防止膜の最外層上に設けられ、フッ素置換アルキル基含有有 機珪素化合物を原料として形成される。その原料及び形成方法は、欧州公開公報 1351071号公報に記載されている方法が好ましい。その方法としては、溶媒で希釈し たフッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を減圧下、該有機珪素化合物の蒸着 開始温度以上から該有機珪素化合物の分解温度を超えな!/、範囲で、加熱開始から 蒸着を 90秒以内、好ましくは 10秒以内に完結させるものである。かかる蒸着時間を達 成する方法としては、前記有機珪素化合物に電子ビームを照射する方法が好ましく 用いられる。
[0072] フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物としては、下記一般式 (h)で表されるも の、又は下記単位式 (i)で表されるものが好まし 、。
[化 9]
Rf— (OCF2GF2CP2 ) t一 0 (CF2 ) H
( h )
(式中、 Rfは炭素数 1一 16の直鎖状のパーフルォロアルキル基、 Xは水素または炭 素数 1一 5の低級アルキル基、 R18は加水分解可能な基、 tは 1一 50の整数、 rは 0— 2 の整数、 pは 1一 10の整数)
C F CH CH Si (NH )
q 2q+l 2 2 2 3 •••(i)
(ただし、 qは 1以上の整数である)
ここで、上記 R18で示される加水分解可能な基としてはァミノ基、アルコキシ基、特に アルキル部が炭素数 1一 2であるアルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。
また、上記式 (i)で表される化合物の具体例としては、 n— CF CH CH Si(NH ); n—ト
3 2 2 2 3 リフロロ(1, 1, 2, 2—テトラヒドロ)プロピルシラザン、 n— C F CH CH Si(NH ); n—ヘプ
3 7 2 2 2 3 タフロロ(1, 1, 2, 2—テトラヒドロ)ペンチルシラザン、 n— C F CH CH Si(NH ); n—ノ
4 9 2 2 2 3 ナフロロ(1, 1, 2, 2—テトラヒドロ)へキシルシラザン、 n— C F CH CH Si(NH ); n—ト
リデオフロロ(1, 1, 2, 2—テトラヒドロ)ォクチルシラザン、 n— C F CH CH Si(NH ); n
8 17 2 2 2 3 一へプタデカフロロ(1, 1, 2, 2—テトラヒドロ)デシルシラザン等を例示することができ る。
[0073] また、撥水層の原料として、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物と、珪素非 含有のパーフルォロポリエーテルとの 2成分を主成分とする原料を用いることもでき、 さらにはこれらの原料力もなる第 1層を形成し、該第 1層上に接して、珪素非含有の パーフルォロポリエーテルを主成分とする原料を用いて第 2層を形成することにより、 撥水層を形成することも好適である。
[0074] 珪素非含有のパーフルォロポリエーテルは、珪素を含有しな!、以下の構造式 (j) - (R190)- …
(式中、 R19は炭素数 1一 3のパーフルォロアルキレン基である)
で表される単位からなるものが好ましく用いられ、平均分子量が 1000— 10000、特 に 2000— 10000のもの力 S好ましい。 Rは炭素数 1一 3のパーフルォロアルキレン基 であり、具体的には CF , CF -CF , CF CF CF , CF (CF ) CF等の基が挙げられ
2 2 2 2 2 2 3 2
る。これらのパーフルォロポリエーテルは常温で液状であり、いわゆるフッ素オイルと 称されるちのである。
[0075] また、本発明の光学部材は、反射防止膜の下に、密着性を向上させるために、下 地層として、後述するハイブリッド層形成の際に触媒作用のある金属、例えば、 -ッケ ル (Ni)、銀 (Ag)、白金(Pt)、ニオブ (Nb)及びチタニウム (Ti)力 選ばれる少なくと も 1種類力もなる層を施すことができる。特に好ましい下地層は、より良好な耐衝撃性 を付与させるために、ニオブからなる金属層である。金属層を下地層として用いた場 合、下地層の上に設けられるハイブリッド層の反応が進みやすくなり、分子内編み目 構造を有する物質が得られ、耐衝撃性が向上する。
[0076] 5.プライマー層について
本発明においては、特開昭 63- 141001号公報などに記載される、プラスチック基材 と硬化膜との間に有機化合物よりなるプライマー層を施すことを否定するものでなぐ 更なる耐衝撃性向上のため、プラスチック基材と硬化被膜との間に、有機化合物を 原料とするプライマー層を施してもよい。
このプライマー層の例としては、ポリイソシァネートとポリオールを原料として、ウレタ ン系の膜を形成するものが挙げられる。ポリイソシァネートとしては、へキサメチレンジ イソシァネート、 4,4,-シクロへキシノレメタンジイソシァネート、水添キシリレンジイソシ ァネートのそれぞれ数分子を種々の方法で結合させた付加物、イソシァヌレート、ァ ロファネート、ビュウレット、カルボジイミドをァセト酢酸、マロン酸、メチルェチルケトォ キシムなどでブロックしたものなどが挙げられ、一方、ポリオールとしては、水酸基を 1 分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、ポリ力プロラタトン、ポリカーボネ ート、ポリアタリレートなどが挙げられる。また、プライマー層の屈折率向上のため、酸 化チタン微粒子などの酸ィ匕金属微粒子をプライマー層に含有することができる。 実施例
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に 限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において得られた光学部材の物性評価は以下のようにし て行った。
(1)視感透過率
プラスチックレンズの視感透過率 Yは、両面に反射防止膜を有するプラスチックレ
1
ンズをサンプルとして、 日立分光光度計 U— 3410を用い測定した。
(2)視感反射率
プラスチックレンズの視感反射率 Yは、両面に反射防止膜を有するプラスチックレ
2
ンズをサンプルとして、 日立分光光度計 U— 3410を用い測定した。
(3)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて lmm X 1mmの升目を 100個作成し、升目上 にセロハンテープ (ニチバン社製造販売)を貼り、一気にテープをはがし、残った升 目の数で評価した。表中、残った升目の数 Ziooで記載した。
(4)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウール(規格 # 0000, 日本スチールウール社 製)にて 98kPa (lkgfZcm2)の荷重をかけ、 10ストローク擦り、表面状態により以下 の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし
A:細い傷数本あり
B:細!、傷多数、太 、傷数本あり
C :細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はげ状態
(5)耐熱性
プラスチックレンズをドライオーブンで 60°Cから、 5°Cずつ上昇させて 1時間加熱処 理し、クラックの発生温度を測定した。
(6)耐アルカリ性
プラスチックレンズを NaOH10%水溶液に 20°C、 1時間浸漬し、表面状態により以 下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はげ数個あり
B:点状の膜はげが全面にあり
C :点状のはげが全面、面状のはげ数個あり
D:殆ど全面膜はげ
(7) Bayer値測定
摩耗試験機 BTE™ Abrasion Tester (米 COLTS社製)及び、ヘイズ値測定装置( 村上色彩技術研究所)を使用し、基準レンズとのヘイズ値変化の差により Bayer値を 測定した。
(サンプル数、測定方法)
(a)基準レンズ (CR39基材) 3枚、サンプルレンズ 3枚を用意した。
(b)摩耗テスト前ヘイズ (haze)値の測定を行った。
(c) BTE™ Abrasion Testerにて、摩耗性テストを行った。
(砂による表面摩耗 600往復)
(d)摩耗テスト後ヘイズ値を測定した。
(e) Bayer値を算出した(3枚分の平均値とする)。ここで Bayer値とは基準レンズの透 過率変化 Zサンプルレンズの透過率変化で表されるものである。
(8)機械的強度試験 OIS静圧試験)
JIS (Japanese Industrial Standard) T 7331:2000の一般的要求事項に記載されてい る機械的強度を具備している力、 JIS Τ 7331:2000に記載されている方法で試験を行 つた ο
[0078] 製造例 1
(1)変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子の製造
(a)工程
しゅう酸((COOH) - 2H 0) 37. 5kgを純水 363kgに溶解し、これを 500Lの容器
2 2
にとり、攪拌下 70°Cまで加温し、 35%過酸ィ匕水素水 150kgと金属スズ(山石金属社 製、 AT— SN、 No200N) 75kgを添加した。
過酸ィ匕水素水と金属スズの添カ卩は交互に行った。初めに 35%過酸ィ匕水素水 10kg を次いで金属スズ 5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5— 10分)この操作 を繰り返した。添カ卩に要した時間は 2. 5時間で、添加終了後、 35%過酸化水素水 1 Okg更に添加し、 90°Cで 1時間加熱処理し、反応を終了させた。過酸化水素水と金 属スズのモル比は H O ZSnは 2. 60であった。
2 2
得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズゾルの収量 は、 626kgで比重 1. 154、 pHl. 56、 SnO濃度は 14. 9%であった。また、得られ
2
たゾルを電子顕微鏡で観察したところ、 10— 15nmの球状の分散性の良 ヽ粒子であ つた。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、ゲルィ匕は認められず安定であ つた o
得られたゾル 626kgを純水〖こて SnOとして 5重量0 /0に希釈し、イソプロピルアミン
2
を 4. 66kg添加し、陰イオン交換榭脂(アンバーライト IRA— 410)を充填したカラムに 通液、ついで 95°Cで lhr加熱熟成、さらに陰イオン交換榭脂(Rohm&Haas社製、商 品名:アンバーライト IRA— 410)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズゾ ル 2535kgを得た。ついで、得られたゾルを 140°Cで 5hr加熱処理した。
[0079] (b)工程
ォキシ塩化ジルコニウム水溶液 (ZrO濃度は 17. 68重量0 /0)を 78. 2kg (ZrOとし
2 2 て 13. 8kg含有する。)に純水 300kgおよび 35%塩酸 3. 3kgを添加し、ついで撹拌
下に、室温で、(a)工程で得られたアルカリ性の酸ィ匕第二スズ水性ゾル 2529kg (Sn Oとして 91. Okg)を添カ卩した。混合液は ZrO /SnO重量比 0. 15でコロイド色を有
2 2 2
する透明'性の良好なゾノレであった。
[0080] (c)工程
(b)工程で調製した混合液を撹拌下に、 95°Cで 5時間加熱処理を行い、酸化第二 スズ一酸化ジルコニウム複合体ゾル 3471kgを得た。このゾルは SnOとして 2. 62重
2
量0 /0、 ZrOとして 0. 40重量0 /0、 SnO +ZrOとして 3. 01重量%でコロイド色を有す
2 2 2
るが、透明'性は良好であった。
[0081] (d)工程
3号珪そう(SiOとして 29. 3重量%含有する。 ) 49. 8kgを純水 898kgに溶解し、
2
ついでタングステン酸ナトリウム Na WO · 2Η 0 (WOとして 69. 8重量%含有する)
2 4 2 3
10. 5kgおよびスズ酸ナトリウム NaSnO -H O (SnOとして 55. 7重量0 /0含有する)
3 2 2
13. 1kgを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換榭脂 (Rohm&Haas社製、商 品名:アンバーライト IR— 120B)のカラムに通すことにより酸性の酸ィ匕タングステン 酸化第二スズ一二酸化珪素複合ゾル (pH2. 0、 WOとして 0. 6重量%、 SnOとして
3 2
0. 6重量0 /0、 SiOとして 1. 2重量%を含有し、 WO /SnO重量比 1. 0、 SiO /Sn
2 3 2 2
O重量比 2. 0であった。) 1179kgを得た。
2
[0082] (e)工程
(d)工程で調製した酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾル 117 9kg (WO +SnO +SiOとして 29. 2kgを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程
3 2 2
で調製した酸ィ匕第二スズ-酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾル 3471kg (ZrO +SnOとし
2 2 て 104. 8kg含有する。)を 60分で添加し、 10分間撹拌を続行した。得られた混合液 は酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド粒子 (ZrO + SnO )と酸ィ匕タンダ
2 2
ステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合コロイド粒子 (WO +SnO + SiO )の比は(
3 2 2
WO +SnO +SiO ) / (ZrO +SnO )重量比 0. 25、全金属酸化物は 2. 9重量%
3 2 2 2 2
であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
[0083] (f)工程
(e)工程で得た混合液 4650kgにジイソプチルァミンを 2. 3kg添加し、水酸基型陰
イオン交換榭脂 (前出:アンバーライト IRA— 410)を充填したカラムに室温で通液、次 いで 90°Cで lhr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ一酸化ジルコニウム 複合水性ゾル (希薄液)を得た。このゾルは、 pH9. 10で、コロイド色は呈するが透明 '性は良好であった。
[0084] (f)工程で得られた変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾル ( 希薄液)を、分画分子量 10万の限外濾過膜の濾過装置により 40— 50°Cで濃縮し、 高濃度の変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾル 358kgを得た 。このゾルは全金属酸化物(ZrO +SnO +WO +SiO ) 31. 9重量%で、安定であ
2 2 3 2
つた o
上記高濃度の変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合水性体ゾル 358kg に撹拌下に、室温で酒石酸 1. lkg、ジイソプチルァミン 1. 7kg、消泡剤(サンノプコ 社製、商品名: SNディフォーマー 483) 1滴を加え、 1時間撹拌した。このゾルを攪拌 機付き反応容器で常圧下、メタノール 5010リットルを添加しながら水を留去すること により、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコ -ゥム複合体メタノールゾル 220gを得た。このゾルは比重 1. 280、 pH6. 59 (水との 等重量混合物)、粘度 2. lmPa' s、全金属酸化物(ZrO +SnO +WO +SiO )は
2 2 3 2
42. 8重量%、水分 0. 43重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は 10— 15nmであ つた o
この水性ゾルを全金属酸化物(ZrO +SnO +WO +SiO )濃度として、 46. 8重
2 2 3 2
量0 /0まで濃縮したものを、 lOOccのメスシリンダーに入れ、 B型粘度計の No. 1ロータ 一を用い 60rpmの回転数で測定した粘度は、 6. 3mPa' sであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高ぐ室温で沈降物の生成、白濁、増粘など の異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は 1. 85であつ た。
[0085] 比較製造例 1
変性酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルの製造
<酸化第ニスズゾルの調製 >金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との 反応により得られた比重 1. 420、 pHO. 40、撹拌直後の粘度 32mPa' s、 SnO含量
33. 0重量%、 HCl含量 2. 56重量%、電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径 10η m以下、 BET法による粒子の比表面積 120m2/g、この比表面積からの換算粒子径 7. 2nm、米国コールター社製 N4装置による動的光散乱法粒子径 107nm、淡黄色 透明の酸化第二スズ水性ゾル 1200gを水 10800gに分散させた後、これにイソプロ ピルアミン 4. 8gを加え、次いで、この液を水酸基型陰イオン交換榭脂充填のカラム に通すことにより、アルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル 13440gを得た。このゾルは、 安定であり、コロイド色を呈している力 透明性が非常に高ぐ比重 1. 029、 pH9. 8 0、粘度 1. 4mPa,s、 SnO含量 2. 95重量0 /0、イソプロピルァミン含量 0. 036重量
2
%であった。
[0086] (a)工程
試薬のォキシ塩ィ匕ジルコニウム (ZrOCl · 8Η Ο)を水に溶解して調製したォキシ塩
2 2
ィ匕ジルコニウム水溶液(ZrOとして 2. 0重量%) 3043g (ZrOとして 60. 87g含有す
2 2
る。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸ィ匕第二スズ水性ゾル 10791 g (SnOとして 409. 5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液は ZrO /SnO
2 2 2 重量比 0. 15、ρΗ1. 50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
[0087] (b)工程 (酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、 90°Cで 5時間加熱処理を行い、酸化第二 スズ一酸化ジルコニウム複合体ゾル 13834gを得た。このゾルは SnOとして 2. 96重
2
量%、 ZrOとして 0. 44重量%、 SnO +ZrOとして 3. 40重量%、 pHl. 45で、粒
2 2 2
子径 9. 0nm、コロイド色を有する力 透明性は良好であった。
[0088] (c)工程 (酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾルの作製)
3号珪そう(SiOとして 29. 0重量%含有する。) 113gを水 2353. 7gに溶解し、次
2
いでタングステン酸ナトリウム Na WO · 2Η 0 (WOとして 71重量%含有する。) 33·
2 4 2 3
3gおよびスズ酸ナトリウム NaSnO ·Η 0 (SnOとして 55重量%含有する。 ) 42. 45
3 2 2
gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性 の酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾル (PH2. 1、 WOとして 0
3
. 75重量%、 SnOとして 0. 75重量%、 SiOとして 1. 00重量%を含有し、 WO /S
2 2 3 ηθ重量比 1. 0、 SiO /SnO重量比 1· 33であり、粒子径 2. 5nmであった。) 315
Ogを得た。
[0089] (d)工程
(c)工程で調製した酸ィ匕タングステン 酸ィ匕第二スズ一二酸ィ匕珪素複合体ゾル 315 0g (WO +SnO +SiOとして 78. 83gを含有する。)に撹拌下に、室温で (b)工程
3 2 2
で調製した酸化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体ゾル 11592. 6g (ZrO +SnOと
2 2 して 394. lg含有する。)を 20分で添加し、 30分間撹拌を続行した。得られた混合液 は酸ィ匕第二スズ一酸ィ匕ジルコニウム複合体コロイド (ZrO +SnO )と酸ィ匕タンダステ
2 2
ン一酸化第二スズ一二酸化珪素複合体コロイド (WO +SnO +SiO )の比は (WO
3 2 2 3
+ SnO +SiO ) / (ZrO +SnO )重量比 0. 20、 pH2. 26、全金属酸化物 3. 2重
2 2 2 2
量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
[0090] (e)工程 (変性酸ィ匕第二スズ-酸ィ匕ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(d)工程で得た混合液 14742. 6gにジイソブチルァミンを 9. 5g添カロし、次いで水 酸基型陰イオン交換榭脂 (前出:アンバーライト IRA— 410)を充填したカラムに室温 で通液、次 ヽで 80°Cで 1時間加熱熟成することにより変性酸化第二スズ -酸化ジル コ -ゥム複合体水性ゾル (希薄液) 16288gを得た。このゾルは全金属酸化物 2. 90 重量%、 ρΗΙΟ. 43で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
[0091] (e)工程で得られた変性酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾル (希薄液) を、分画分子量 5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性酸 化第二スズ一酸化ジルコニウム複合体水性ゾル 2182gを得た。このゾルは pH8. 71 、全金属酸化物(ZrO +SnO +WO +SiO ) 18. 3重量%で、安定であった。
2 2 3 2
上記高濃度の変性酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体水性ゾル 2182gに撹 拌下に、室温で酒石酸 4. 0g、ジイソブチルァミン 6. 0g、消泡剤(前出: SNディフォ 一マー 483) 1滴を加え、 1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧 下、メタノール 20リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの 水をメタノールで置換した変性酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム複合体メタノールゾ ル 1171gを得た。このゾルは比重 1. 124、 pH7. 45 (水との等重量混合物)、粘度 2 . 3mPa' s、全金属酸化物(ZrO +SnO +WO +SiO ) 32. 7重量%、水分 0. 47
2 2 3 2
重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は 10— 15nmであった。このゾルはコロイド色
を呈し、透明性が高ぐ室温で 3ヶ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常 は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は 1. 76であった。
[0092] 実施例 1
(1)コーティング組成物の作製
5°C雰囲気下、製造例 1で作製した (A)成分である変性酸化第二スズ -酸化ジルコ -ゥム 酸ィ匕タングステン 酸ィ匕珪素複合体メタノールゾル 45重量部と (B)成分であ る γ—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 15重量部及びテトラエトキシシラン 3重量 部とを混合し、 1時間攪拌した。その後、 0.001モル ZL濃度の塩酸 4. 5重量部を添 加し、 50時間攪拌した。その後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル (PGM) 25重量部、ダイアセトンアルコール(DAA) 9重量部及び(C)成分であるアル ミニゥムトリスァセチルァセトネート(AL— ΑΑ) 1. 8重量部、過塩素酸アルミニウム 0. 05重量部を順次添加し、 150時間攪拌した。得られた溶液を 0.5 mのフィルターで ろ過したものをコーティング組成物とした。
[0093] (2)硬化膜の形成
レンズ基† 〔HOYA株式会社製,商品名:アイァス (EYAS、屈折率 1.60) (ポリチ ォウレタン系レンズ)〕を 60°C、 10重量0 /0水酸ィ匕ナトリウム水溶液中に 300秒間浸漬 し、その後、超音波 28kHz印加の下、イオン交換水を用いて 300秒間洗浄した。最 後に、 70°C雰囲気下、乾燥させる一連の工程を基材前処理とした。その後、前記コ 一ティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度 20cmZ分で引き上げた プラスチックレンズを 120°Cで 1一 2時間加熱処理して硬化膜 (ノヽードコート A層)を形 成した。
[0094] (3)イオン銃処理
硬化膜上に、表に記載したイオン加速電圧、照射時間、ガス雰囲気下の条件で、ィ 才ン統にてィ才ン照射を行った。
(4)ハイブリッド膜を有する反射防止膜の形成
前記イオン照射したノヽードコート層の上に、第 1表に示した条件で第 1一 7層からな る反射防止膜を形成して、プラスチックレンズを得た。
なお、ハイブリッド層は、図 1に示す装置を用いて、無機物質の蒸着と有機物質との
蒸着との、二元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように条件を設定した。有機物質の 蒸着の際は、外部加熱タンクにて気化し、気化した有機物を、ガスバルブ、マスフ口 一コントローラを使用して、蒸着装置内に導入した。ハイブリッド層を形成する際には 、アルゴンガス、酸素ガスとの混合ガスの雰囲気下にてイオンアシスト法を用いた。ま た、表中「一」と記載されているのは、イオンアシスト法を用いず、通常の真空蒸着法 にて層を形成した。なお、表中、 Mlは無機酸ィ匕物、 CM1は有機珪素化合物、 CM2 は珪素非含有有機化合物を表す。
なお、表中に記載されて 、る有機化合物の詳細は次の通りである。
(a)ェポライト 70P (プロピレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量約 188 、共栄社化学 (株)製造)
(b) ΤΜ2 ( γ -グリシドキシプロピルトリメトキシシラン (信越ィ匕学工業 (株)製造、商品名 ΓΚΒΜ403] )と γ—ァミノプロピルトリエトキシシラン (信越化学工業 (株)製造、商品名「 ΚΒΕ903」)を 1 : 1のモル比で混合したもの、混合物の構造は、 (H CO)— Si— (CH ) -
3 3 2 3
0-CH CH(OH)— CH— NH— (CH )—Si— (OC H )であり、分子量は約 457である。 )
2 2 2 3 2 5 3
(c)ェピオール P200 (ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、平均分子量約 304、 日本油脂 (株)製造)
(d)デナコール EX920 (ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量 354、長瀬ケムテックス (株)製造)
また、 KY-130は防汚膜形成用の「フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物」( 信越シリコーン (株)製造)である。
(5)撥水膜の形成
フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を含有した KY-130 (信越シリコーン (株 )製)を 0.3mlしみ込ませたステンレス製焼結フィルター(メッシュ 80— 100 m、 18 X 3mm)を真空蒸着装置内にセットし、以下の条件で電子銃を用いて該焼結フィルタ 一全体を加熱処理して、撥水膜を形成した。
(a)真空度: 2.3 X 10— 6— 6.0 X 10— 6 Torr
(b)電子銃の条件:加速電圧: 6KV、印加電流: 40mA、照射面積: 3.5 X 3.5cm平方、 蒸着時間 : 5秒
以上のようにして得た光学材料に関し、上述の物性評価を行った。結果を第 2表に 示す。
[0096] 実施例 2— 12
第 1表に記載する条件で、反射防止膜を施した以外は、全て実施例 1と同様にレン ズを作製した。ただし、実施例 5以降は、基材と硬化膜との間にプライマー層を施した 。そのプライマー層の形成方法は次の通りである。
(プライマー層の形成)
ポリエステルタイプのポリオール(住友バイエルウレタン (株)社の商品名、デスモフ ェン A— 670使用) 6. 65重量部、ブロック型ポリイソシァネート(住友バイエルウレタン (株)社の商品名、 BL-3175使用) 6. 08重量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウ レート 0. 17重量部、レべリング剤としてフッ素系レべリング剤 (住友スリーェム (株)社 の商品名、フロラード FC— 430使用) 0. 17重量部、および溶媒としてジアセトンアル コール 95. 71重量部力もなる混合物を均一な状態になるまで充分攪拌して得た。か くして得られた液状のプライマーは、前処理としてのアルカリ処理された基体レンズ上 に浸漬法(引き上げ速度: 24cm/分)にて塗布され、 100°Cで 40分加熱して硬化さ れ、厚さ 2— 3 mのプライマー層を形成した。
各実施例で得られた光学部材についての物性評価結果を第 2表に記載する。 なお、実施例 1一 12により得られたレンズは、干渉縞が発生しなかった。
[0097] 比較例 1
コーティング剤の調製回転子を備えた反応器に、 y -グリシドキシプロピルトリメトキ シシラン 15重量部と、比較製造例 1で得られた変性酸ィ匕第二スズー酸ィ匕ジルコニウム 複合体メタノールゾル 49重量部を仕込み、 4°Cで 3時間攪拌したのち、 0. 001規定 の塩酸 3. 5重量部を徐々に反応器中に滴下し、 4°Cで 48時間攪拌した。次に、これ にプロピレングリコールモノメチルエーテル 30重量部およびシリコーン系界面活性剤 0. 04重量部を添加混合し、 4°Cで 3時間攪拌したのちアルミニウムァセチルァセトネ ート 0. 60重量部および過塩素酸アルミニウム (アルドリッチ社製) 0. 05重量部を添 加混合した。 4°Cで 3日間攪拌したのち、 4°Cで 2日間静置することにより、コーティン グ剤を調製した。該コーティング剤を用いて、実施例 1と同様にしてレンズ基材アイァ
スに硬化膜を形成した。さらに、実施例 1と同様の反射防止膜を形成し、評価を行つ た。評価結果を表 1に示す。 Bayer値は 3であった。
[0098] 比較例 2
比較例 1にお 、て、 Ί—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 15重量部の代わりに 、 β -(3, 4—エポキシシクロへキシル)ェチルトリメトキシシラン 15重量部を用いた以 外は、比較例 1と同様に実施した。評価結果を表 1に示す。 Bayer値は 3であった。
[0099] [表 1]
第 1表一 1 反射防止 IS構成
、 校正 設定植
[0100] [表 2]
第 表— 反射防止膀構成
校正 設定値 3]
第 表 反射防止 »構成
校正 股定值 ]
第 表— 反射防止接構成
校正 股定値 5]
第 1表— 5 反射防止 IS溝
校正 設定値 6]
第 表一 反射防止 es»成
、 校正 設定 β
7]
第 i表 -7 反射防止 成
[0106] [表 8]
第 2表— 1
[0107] [表 9]
第 2表— 2
チック 性能評価
実施例 3 実施例 4 視感反射率 Υ /ο 0 , 80% 0. 82% 視感透過率 Υ2% 99, 2% 99. 0 % 密着性 100/100 100/100 耐 性 UA UA 耐熱性 120で 125¾ 耐アル リ性 UA UA
B a y e r値 12. 0 1 2. 0
JIS睁圧試験 合格 合格
[0108] [表 10]
第 2表— 3
[0109] [表 11]
第 2表-
[0110] [表 12]
第 2表-
[0111] [表 13]
第 2表一 6
性能評価
実施例 11 実施例 12 視感反射率 Y,% 0. 80% 0. 82% 視感透過率 Υ2% 99. 2% 99. 0% 密着性 100/100 100/100 耐摩耗性 UA UA
120V 125¾ 鮒 ; Η性 UA UA
B a y e r値 12. 0 1 3. 0
JIS »圧試験 合格 合格
[表 14]
第 2表— 7
産業上の利用可能性
本発明によれば、審美性、密着性などの諸物性を満足し、かつ、耐擦傷性を向上さ せた光学部材を得ることができ、かつ該光学部材を効率的に製造することができる。 本発明の光学部材は眼鏡用レンズとして特に優れている。