WO2005092603A1

WO2005092603A1 - 多層樹脂成形物及びその製造方法

Info

Publication number: WO2005092603A1
Application number: PCT/JP2005/005670
Authority: WO
Inventors: Takahiro Kurosawa; Kimio Takeuchi; Chiyo Katami
Original assignee: Toyo Seikan Kaisha, Ltd.
Priority date: 2004-03-29
Filing date: 2005-03-28
Publication date: 2005-10-06
Also published as: JPWO2005092603A1; JP4784765B2

Abstract

　フランジ等の突起状物を有する複雑な形状の筒状多層成形物であっても、中間樹脂層の切れや薄肉化を生じたりすることがなく一体に成形できる。　中間樹脂層を含む多層の樹脂からなる主樹脂塊１５を、圧縮成形装置２０のキャビティ底面から突起形成部の起点部近傍までの高さに略相当する長さに形成してキャビティに供給し、次いで該主樹脂塊の上部に被覆樹脂塊１６を供給し、主樹脂塊１５と被覆樹脂塊１６を一体に圧縮成形することにより、突起部に被覆樹脂層１２が先に充填され、フランジ成形部２１ａ、ｂへの中間樹脂層の流動がなくなるため、中間樹脂層分布の乱れや切れの発生を抑制し、筒状部２のみに一様な中間樹脂層１１が形成される。

Description

多層樹脂成形物及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、フランジ等の突起部を有する容器用のスパゥトゃ容器成形用のプリフォ一ム等を多層樹脂で成形した多層榭脂成形物及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002] 近年、高機能食品等を充填するバウチやボトル等において、内容物の高品質保持のため容器本体のみならず注出口部外周からの酸素透過等も確実に防止することが求められている。この該要求を満たすものとして、中間に例えばガスノリアー榭脂層を含む多層樹脂からなる筒状複合パリソンを押出し成形により形成し、該筒状複合ノ^ソンをコア金型とキヤビティ金型で圧縮成形して得た多層構造の容器用プラスチックノズルが本出願人によって提供されている（特許文献 1参照)。また、その場合筒状複合パリソン及びそれより成形された容器において、中間榭脂層力 Sパリソンの両端の切断端縁部への露出、及び中間榭脂層の欠落部の発生を防止するために、予め押出成形された筒状パリソンとほぼ同じ外径を有するドーナツ状或いはディスク状の端末部材をバリアー榭脂層が露出している筒状パリソンの端部に重ねた状態で、金型内で圧縮成形することにより、それらの問題を解決した複合パリソン及びそれより成形された容器が提供されている (特許文献 2参照)。一方、従来、フランジ等の突出部を有する複雑な形状のバウチ用の注出部材 (スパゥト）は、一般にォレフィン榭脂単層からなり射出成形により成形していたが、本出願人はバウチ容器全体として高いガス機密性を得るために、フランジ部を有する複雑な形状の注出部材にお、てもバリア一層を設けて安定して成形できる方法として、中間層（バリアー層）を有する注出部とシール部を別々に成形した後一体化するものを提供した (特許文献 3参照)。

特許文献 1：特開 2001— 55238号公報

特許文献 2：特開 2001— 145952号公報

特許文献 3：特開 2003— 291990号公報

発明の開示発明が解決しょうとする課題

[0003] 上記特許文献 2に記載されてヽるような従来の筒状多層榭脂成形物の圧縮成形は、キヤビティ型内に供給された複合筒状パリソンの筒状内部にコア型を押し込むことによりキヤビティ型との間で行なわれる力このようにして圧縮成形された中空状多層榭脂成形物の断面を顕微鏡で観察すると、まれに内壁面に中間榭脂層が露出している部分や、内壁層による中間榭脂層の被覆が薄くなつている部分、また中間榭脂層肉厚が過度に薄、部分や切れて、る部分が存在して、ることがあった。そのため本出願人は、それを解消するために、筒状主榭脂塊の上端部に内面被覆樹脂からなる被覆榭脂塊を融着させ、該被覆樹脂塊が前記筒状主榭脂塊の筒状内層に沿つて流動するように圧縮することにより、主榭脂層内面を副榭脂で被覆する中空状多層榭脂成形物の圧縮成形方法をその後提案している（特願 2003— 108188号)。この成形方法によって、多層榭脂成形物の中間榭脂層肉厚が過度に薄!、部分や切れている部分あるいは過度に厚い部分が発生することを防止できるが、多層榭脂成形物力例えば、バウチやバッグインボックス等の注出口（スパゥト）や、 PETボトル等を成形するための中間成形物としてのプリフォーム等外周部にフランジ等の突起状部を有した複雑な形状の多層榭脂成形物を一体成形すると、比較例として後述する図 3 に示すように、該突起状部に中間材層が入り込み、突起状部の先端や起点部において中間材層の乱れや切れが生じることがあった。この問題を解決するには、中間榭脂層を予め厚くすればよいが、ガスバリアー性榭脂等は一般に高価であり、中間榭脂層を厚くするとその分コストが増大すると共に、中間榭脂層が内外面に露出し易くなるという問題が生じる。

[0004] そこで、本発明は、フランジ等の突起状物を有する複雑な形状の筒状多層成形物を、中間榭脂層を厚くしなくても中間榭脂層が切れたり、薄肉化を生じたりすることがなぐ容器全体のガスノリア一性等を高めることができ、且つ一体成形でき、低コストで出来る多層榭脂成形物及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005] 本発明者は、突起状部を有する多層榭脂成形物を一体成形した場合に中間榭脂層の切れや極端な薄肉部が生じる原因を究明するために、先に提案した前記方法でスパゥトを一体に圧縮成形して種々研究した結果、フランジ等の突起状物がある成形物を一体成形する場合、中間榭脂層を有する榭脂塊と被覆榭脂塊を重ねた状態で圧縮成形すると、図 3に示すように主榭脂塊 30が金型の突起物成形部 21a、 21b に流動するときに内部の中間榭脂層 32も主榭脂層 31と共に突起部に入りこむため中間榭脂層 32の流動に乱れが生じ、その結果、突起部起点や先端部付近で中間榭脂層が切れたり、極端に薄くなつたりすることが判明した。本発明は、上記知見に基づきさらに研究した結果、中間榭脂層を突起状部に流動させないで成形する方法を見出し本発明に到達したものである。

[0006] 即ち、上記問題点を解決する本発明の多層榭脂成形物は、一体成形により得られる筒状部の外周面に突起状部を有した筒状の多層榭脂成形物であって、少なくとも中間榭脂層と該中間榭脂層の両面を被覆する他の榭脂層を有し、前記中間榭脂層は前記筒状部に位置し、前記突起状部には前記中間榭脂層が入り込んでな、ことを特徴とするものである。前記多層榭脂成形物は、特にその適用は限定されないが、前記中間層をガスバリアー性榭脂層及び又は酸素吸収性榭脂層で形成し、筒状部の外周面にフランジを有する容器用スパゥト、またはフランジを有する容器を成形するためのプリフォーム等に好適である。

[0007] また、本発明の上記多層榭脂成形物の製造方法は、少なくとも中間榭脂層と該中間榭脂層の両面を被覆する他の榭脂層を有し、一体成形により得られる筒状部の外周面に突起状部を有した筒状の多層榭脂成形物の成形方法であって、前記中間榭脂層を含む多層の榭脂からなる主榭脂塊の上端を成形型の突起形成部の起点部近傍に位置するように供給し、次いで被覆榭脂塊を供給する榭脂塊供給工程、前記多層榭脂塊と被覆榭脂塊を一体に圧縮成形する圧縮成形工程からなることを特徴とする方法である。前記圧縮成形工程において、コア型により前記被覆榭脂塊を前記主榭脂塊の筒状内層に沿って流動するように圧縮することにより、主榭脂層内面を前記被覆樹脂で被覆すると共に、前記被覆榭脂を突起成形部に流動させて突起成形部に充填させ、前記突起を被覆樹脂で形成することができる。

発明の効果

[0008] 本発明の多層榭脂成形物及びその製造方法によれば、フランジ等の突起状物を有する複雑な形状の筒状多層成形物の場合に発生する、突起状部の先端部や形成部起点付近などで中間榭脂層が切れたり、薄肉化を生じたりすることによる不都合を解消でき、中間榭脂層の欠落部がなくガスバリアー性等の高機能性を有するスパゥトやプリフォーム等を得ることができ、容器全体のガスノリア一性等を高めることができる。また、上記多層成形物を一体に成形できるので、工程を単純化でき突起状部を有する高品質の多層榭脂成形物を安価に製造することができる。

図面の簡単な説明

[0009] [図 1-A]本発明の実施形態に係る多層榭脂成形物の断面模式図である。

[図 1-B]本発明の実施形態に係る多層榭脂成形物の断面模式図である。

[図 2]本発明の多層榭脂成形物の成形工程を示す模式図である。（実施例）

[図 3]比較例の多層榭脂成形物の成形工程を示す模式図である。

符号の説明

1 スパゥト (多層榭脂成形物） 2 筒状部

3、 4 フランジ 6 容器本体接着部

10 主樹脂層 11 中間榭脂層

12 被覆榭脂層 15 主榭脂塊

16 被覆榭脂塊 20 圧縮装置

21 キヤビティ 21a, 21b フランジ成形部

22 雌型 23 コア型

24 プランジャー 25 円柱型部

26 平坦型面 27 ロッド咅

28 先端部

発明を実施するための最良の形態

[0011] 図 1 A及び図 1 Bは、本発明の多層榭脂成形物の実施形態を示し、図 1 Aの実施形態では多層榭脂成形物がバウチ用のスパゥトの場合であり、その断面の層構造を模式的に示している。本実施形態のスパゥト 1は、その筒状部 2の外周部にフランジ 3、 4の突起状部を有している場合を示し、フランジ 4の下方の筒状部は仮想線で示すバウチ 5との接着部 6及びバウチ内に位置する導入部 8となっており、筒状部の下端はバウチ内に開口し、上端は細径の吐出口 7となっている。なお、図 1 Bは、他の実施形態を示し、上記図 1 Aに示したスパゥト 1の注出口 7の先端部を切断して上記注出口 7の開口径を大きくしたもので図 1 Aと同じ構成には同一符号を付してある。この実施形態では上記中間榭脂層 11が注出口 7の先端で露出するが、バウチ内の内容物と接触しな、ので特に問題はな!/、。

[0012] 上記図 1 A及び図 1 Bに示すスパゥト 1は、その断面形状が模式的に示されているように、主榭脂層 10、ガスノリアー性榭脂からなる中間榭脂層 11及びその内周面を覆い且つフランジ 3、 4を形成している被覆榭脂層 12から構成されており、中間榭脂層 11は、完全に主榭脂層 10の内部に位置して、スパゥトの外面又は内面に露出してなぐ且つ突起状部であるフランジ 3、 4にも入り込んでないのが特徴である。即ち、フランジ 3、 4は円筒状部と異なり、被覆榭脂のみの単層の樹脂で形成されている。そして、中間榭脂層 11は、図示のように、フランジ基端部近傍での乱れや切れもなく、そして全体として切れや極端な薄肉部あるいは厚肉部もなぐほぼ一様な層厚さで筒状部に分布している。したがって、バウチ内面に位置し導入部 8となる部分を除き、筒状部には中間榭脂層であるバリアー層が内部に位置しているので、スパゥト部のガスノリア一性を確実に確保することができ、バウチ容器全体として高、ガス機密性を得ることが可能である。しカゝも従来のように、注出部と接着部あるいは導入部を別体に形成する必要がなぐ注出部と接着部及び導入部が一体成形されたガスバリアー性の高い支持フランジ付スパゥトを得ることができる。なお、図 1では、スパゥト 1の層構成を分力ゝり易くするために、主榭脂層 10と被覆榭脂層 12を別榭脂のように表現しているが、主榭脂と被覆榭脂は例えば、ォレフィン系の同じ榭脂を採用してもよぐ異なる榭脂を採用してもよい。また、中間榭脂は一層に限らず、 2層以上であってもよい。さらに、図示しないが上記スパゥト 1の注出口 7の先端にはアルミ-ユーム箔、後述するガスノリア一性榭脂を用いた多層材料力もなるシール材がシールされる。

[0013] 主榭脂層 10と被覆榭脂層 12を構成する榭脂は、熱可塑性榭脂であればよぐ用途に応じて任意の榭脂が採用でき、例えばォレフィン系榭脂を選択することが好ましぐ低密度ポリエチレン（LDPE)、中密度ポリエチレン（MDPE)、高密度ポリエチレン (HDPE)、線状低密度ポリエチレン (LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン (LVL DPE)等のポリエチレン（PE)、ポリプロピレン（PP)、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン 1、エチレンーブテン 1共重合体、プロピレンーブテン 1共重合体、ェチレンプロピレンーブテン 1共重合体、エチレン酢酸ビュル共重合体（EVA)、ィォン架橋ォレフィン共重合体 (アイオノマー）或いはこれらのブレンド物が採用できる。また、熱可塑性ポリエステル榭脂全般についても用いることができ、エチレンフタレート系熱可塑性ポリエステル（PET)、ポリブチレンテレフタレート（PBT)、ポリエチレンナフタレート（PEN)等の他のポリエステル、或いはこれらとポリカーボネートやポリアリレート等とのブレンド物も採用できる。

[0014] 一方、中間榭脂層 11は、用途に応じて例えばガスバリアー性榭脂層、酸素吸収性榭脂層等の所定の性能を有する榭脂を採用する。ガスバリアー性榭脂としては、例えば、酸素ガスノリア一層として用いる場合の好適な例としては、ビュルアルコール単位の含有量力 0乃至 85モル％、特に 55— 80モル％、ケンィ匕度が 96%以上、特に 99%のエチレンビュルアルコール共重合体が挙げられる。また、他の酸素ガスノリア一性樹脂としては、ナイロン樹脂、特にナイロン ₆、ナイロン ₈、ナイロンナイロン 12、ナイロン 6, 6、ナイロン 6, 10、ナイロン 10, 6、ナイロン 6,6, 6共重合体等の脂肪族ナイロン、ポリメタキシリレンアジパミド等の部分芳香族ナイロン、さらにはポリグリコール酸榭脂が挙げられる。そして、これらの酸素ガスノリア一性榭脂は、内容物の保存性及び保香性の点から、酸素透過係数が 5. 5 X 10"¹²cc - cm/cm² - sec - cmHg (23°C、 0%RH)以下であることが好まし!/、。

[0015] また、中間榭脂層を酸素吸収性榭脂層とする場合には、上記ガスバリアー層に酸素吸収性を付加しても良ぐ上記ガスバリアー層の榭脂自体が酸素吸収性を有する構造としても良い。このような榭脂としては、例えば榭脂の酸ィ匕反応を利用したものが挙げられ、酸化性の有機材料、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、エチレン '酸化炭素重合体、ナイロン 6、ナイロン 12、メタキシリレンジァミン（MX )ナイロンのようなポリアミド類に、酸化触媒としてコバルト、ロジウム、銅等の遷移金属を含む有機酸塩類や、ベンゾフェン、ァセトフェン、クロロケトン類のような光増感剤を加えたものが使用できる。これらの酸素吸収材料を使用した場合は、紫外線、電子線のような高エネルギー線を照射することによって、一層の効果を発現させることもできる。

[0016] また、上記ガスノリア一層の榭脂に酸ィ匕可能な有機成分を含有させて、ガスバリア一層の酸ィ匕劣化によるガスバリアー性の低下を生じることなく酸素吸収性を発現してもよい。このような酸ィ匕有機成分としては、ポリェンカも誘導されるポリェン系重合体が好ましぐカルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入されていることが好ましい。これらの官能基としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、不飽和カルボン酸の無水物等が挙げられ、遷移金属触媒としてはコバルトが好ましい。

[0017] また、上記ガスバリアー層を構成する榭脂に酸素吸収剤を配合してもよぐこのような酸素吸収剤としては還元性を有する金属粉、例えば、還元性鉄粉、還元性亜鉛、還元性錫粉、金属低位酸化物、還元性金属化合物の一種又は二種以上を組み合わせたものを主成分としたものが挙げられる。これらは必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、さらに活性炭、活性アルミナのような助剤とも組み合わせて使用することができる。あるいは

、多価フノールを骨格内に有する高分子化合物、例えば、多価フノール含有フエノール ·アルデヒド樹脂等が挙げられる。

[0018] 水分遮断性榭脂としては、環状ォレフィン系共重合体、ォレフィンと環状ォレフィンとの非晶質乃至低結晶性共重合体 (COC)が使用できる。上記のガスバリアー性榭脂、酸素吸収性榭脂等には、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属石鹼ゃワックス等の滑剤、改質剤を配合できる。さらに、上記多層構成とする場合には、各榭脂層間に必要により接着剤、あるいは、接着剤層を介在させることもできる。

[0019] 以上のような構成力もなる中空状多層榭脂成形物であるスパゥト 1は、次のような製造工程によって製造できる。図 2は、本発明の実施形態に係る中空状多層榭脂成形物の成形方法の概略を説明するための成形工程順の断面模式図である。

図 2に示す圧縮成形装置 20は、フランジ成形部 21a、 21bを含むキヤビティ 21を有する雌型 (金型） 22と、雄型であるコア型 23の組合せ力もなり、プランジャー 24がキヤビティ 21の中心部を上下動自在に貫通するように設けられている。コア型 23は、目的とする成形品であるスパゥトの内径に相当する外径とスパゥトの内部深さに相当する高さを有する円柱型部 25と、その頂部に下端が平坦型面 6となっている直径がスパゥトの外径に等しいロッド部 27から構成され、図示してないシリンダ装置により上下駆動される。

[0020] 以上のような装置を使用して多層成形物は榭脂塊供給工程、圧縮成形工程を経て次のようにして製造される。まず、榭脂塊供給工程では、主榭脂層 10の内部に中間榭脂層 11が存在するように、本出願人の先願である前記特願 2003— 108188号に記載されているものと同様な方法で、図示しない多層多重リングダイにより共押し出しして所定長さに切断してリング状の主榭脂塊 15を形成し、切断された主榭脂塊は溶融状態のまま圧縮成形装置 20のキヤビティ 21内を上下動自在に貫通するプランジヤー 24に案内されてキヤビティ 21内に落下する。その際、主榭脂塊 15の長さは、後述するようにコア型が下降して圧縮成形を開始したときに主榭脂塊がフランジ成形部 21a、 21b内に入り込まないような大きさに形成する必要があり、そのためには、図 2 ( a)に示すように主榭脂塊 15の下端がキヤビティ 21の底部に達した状態でその上端がほぼフランジ成形部 21a、 21bの近傍乃至はそれ以下の位置に止まるように、主榭脂塊 15の長さ及び大きさを規定しなければならない。

[0021] 次いで、リングダイにより単層の被覆榭脂を押出して所定長さに切断して溶融榭脂力もなる環状の被覆榭脂塊 16を、前記主榭脂塊 15の上に供給する（図 2 (b) )。主榭脂塊 15と被覆榭脂塊 16とで成形する 1個のスパゥトの榭脂量となるので、キヤビティにおけるフランジ成形部の位置によって主榭脂塊 15の榭脂量が規定され、且つ主榭脂塊の榭脂量によって被覆榭脂塊 16の榭脂量が規定される。この状態で、雄型であるコア型 23がプランジャー 24と同軸的に下降して、プランジャーの上端を押しながら下降して、まずコア型 23の円柱型部 25の底面 28が被覆榭脂塊 16の上部にあたり加圧しながら下降することによって圧縮成形を開始するが、圧縮成形開始時には、主榭脂塊 15が、同図（c)に示すように、キヤビティの底部に着座していることが、後述するように主榭脂を殆ど流動させることなぐ被覆榭脂を主榭脂に対して大きく流動させてその内周面の被覆を確実なものとするのに重要な要素となる。

[0022] 圧縮成形工程では、円柱型部 25の下降にともなってその外周面とキヤビティ内周面との間で形成されるリング状の成形部内に沿って被覆榭脂塊が流動化して圧縮成形されるが、その際下方の主榭脂塊 15も上方力もの圧力により変形してその上端が下降する。被覆榭脂塊 16は円柱型部 25の外周面にその外周部に引き連られながら、主榭脂塊 15の中空部に進入することによって主榭脂塊の内周面を被覆榭脂塊で被覆しながら進むと共に、空隙部となっているフランジ成形部 21a、 21bに入り込んでフランジを成形する（同図（d)—（e) )。そのとき、主榭脂塊はフランジ成形部 21a、 21 bより圧縮方向下方にあり、該成形部に入り込むことはない。さらに、コア型が下降することにより、主榭脂塊 15も同時に流動化させ、主榭脂塊 15が位置している雌型 22 内の空間が狭まるにつれて圧縮力に応じて次第に溶融している被覆榭脂内に上昇する。この工程において、成形するスパゥトの内周面側には円柱型部 25により被覆榭脂が弓 Iきつられて入り込んでくるので、主榭脂は逆に外周面側に沿って上昇していくことになる。したがって、成形物の内周面側には被覆榭脂層が形成され、外周面側には主榭脂層が形成される。主榭脂が外周面に沿って上昇するとき、フランジ成形部には既にその末端まで被覆樹脂が充填されているので、主榭脂はフランジ成形部に入り込むことなく抵抗が少ない上方に向力つてのみ上昇する。主榭脂が流動化して上昇するに応じて、その内部に包含して、る中間榭脂も流動化してフランジ成形部の影響を受けることなく共に上昇するので、中間榭脂はフランジの起点部付近で乱れることなく一様に上昇する（同図 (e)— (f) )。したがって、中間榭脂層がフランジ起点部で切れたり極端に薄肉化したりするのを防止でき、バリアー性に優れたフランジ付のスパゥトを得ることができる。そして、コア型 23が所定位置まで下降して、ロッド部 27の環状の平坦型面 26が溶融樹脂の頂部を押圧することによって、図 1 Aに示す所定形状のスパゥトが成形される（同図 (f) )。また、その先端部を切断して、図 1 Bに示すスパゥトが成形される。

以上のようにして成形された多層榭脂成形物は、突起状物があっても中間榭脂の流れに乱れが生じることなぐ中間層の切れを防ぐことができるば力りでなぐガスバリァー性榭脂層等の中間榭脂層の上端及び下端は被覆榭脂層及び主榭脂層によりそれぞれ覆われ、外部に露出することがない。また、内面も被覆榭脂層 5が主榭脂層 10に対して流動させて形成させているので、内面を均一に被覆することができる。実施例 1

[0024] 次の条件で図 1に示す形状の二重フランジ付きスパゥトを製造した。

スパゥトの寸法：

筒状部内径 9mm

筒状部外径 11mm

49mm

底部から第 1フランジ下面までの高さ 24mm

底部から第 2フランジ下面までの高さ 29. 5mm

第 1フランジ外寸 20 X 14mm

第 1フランジ肉厚 1. 5mm

第 2フランジ外寸 20 X 14mm

第 2フランジ肉厚 lmm

重量 2. 5g

溶融樹脂塊：

主樹脂塊

材質主榭脂（ポリプロピレン） +ガスバリヤ性中間榭脂（エチレンビュルァノレコール共重合）

寸法高さ 23mm、重量 1. 2g

被覆樹脂塊

材質被覆榭脂 (ポリプロピレン）

寸法高さ 24mm、重量 1. 3g

なお、溶融榭脂塊の高さは、自重及び落下時の衝撃により変化するので、押出成形時の目標値 (設計値)である。

[0025] 上記主榭脂塊及び被覆榭脂塊を共に、ダイ温度 200°Cの条件で溶融榭脂を筒状に共押出し、それぞれ上記寸法に切断して得た。得られた溶融筒状主榭脂塊をブランジャーにより調芯性を保ちながら圧縮金型内に落とし込み、続けて被覆榭脂塊を先の主榭脂塊の上にセットした。したがって、この状態では主榭脂塊の頂部は金型内でフランジ成形部 21aとフランジ成形部 21bのほぼ中間部に位置していることになる。この状態力もコア金型により圧縮成形して、上記寸法のスパゥトを得た。このようにして得られた 10本のスパゥトを軸心に沿って切断して、その長さ方向断面を顕微鏡で観察した。その結果、ほぼ図 1に示すように、全てのスパゥトについて、両方のフランジに中間榭脂層の入り込みは観察されず、中間榭脂層はスパ外の筒状部に沿つて略一様な厚さで延びており途中での切れや乱れは観察されな力つた。したがって、本実施例により、本発明のスパゥトが突起部を有するものを一体成形しても、中間榭脂層の切れや乱れのない良好な多層榭脂成形物が得られることが確認された。また、成形物の内壁面にはポリプロピレン流動層がほぼ一様な厚さで形成されていることが観察され、接着材ゃ中間榭脂層であるエチレンビニルアルコール共重合体榭脂層が内壁面に露出している部分は観察されな力つた。

[0026] 比較例

実施例と同形状同寸法のスパゥトを同じ材料の主榭脂塊、及び被覆榭脂塊を用いて、実施例と同じ圧縮成形装置を用いて 2段フランジ付きのスパゥトを成形した。ただし、その場合は主榭脂塊、及び被覆榭脂塊の寸法'重量を次のように変えた。

主榭脂塊

寸法高さ 38mm、重量 2g

被覆榭脂塊

寸法高さ 10mm、重量 0' 5g

したがって、その場合は主榭脂塊及び被覆榭脂塊を金型内にセットした状態では、図 3に示すように主榭脂塊 30の頂部はフランジ成形部 21bよりも上方に位置している。この状態でコア型 23を下降させて圧縮成形を行なった。このようにして得られた 10 本のスパゥトについて実施例と同様にして顕微鏡で観察したところ、図 3に示すように、第 1フランジ及び第 2フランジ部にも中間榭脂層が多く入りこんでおり、フランジ起点近傍で中間榭脂層の乱れがあり、極端に薄い部分と厚い部分が存在していることが観察された。なお、図 2は比較例の場合の成形工程における各層の変化を模式的に示したものであり、成形装置は実施例と同じであるので、同一付号を付してある。産業上の利用可能性

[0027] 本発明の多層榭脂成形物は、バウチやバッグインボックス等の注出口（スパゥト）や、 PETボトル等を成形するための中間成形物としてのプリフォーム等、外周部にフランジゃネジ等の突起物があり、高ガスバリアー性，酸素吸収性等の機能性榭脂層を有する成形物に特に有効に適用でき、これらの機能を損なうことなく一体に構成が簡単な成形装置で製造できる。多層榭脂成形物の形状は、丸型の筒状に限らず非円形筒状にも適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 一体成形により得られる筒状部の外周面に突起状部を有した筒状の多層榭脂成形物であって、少なくとも中間榭脂層と該中間榭脂層の両面を被覆する他の榭脂層を有し、前記中間榭脂層は前記筒状部に位置し、前記突起状部には前記中間榭脂層が入り込んでないことを特徴とする多層榭脂成形物。

[2] 前記多層榭脂成形物が、筒状部の外周面にフランジを有する容器用スパゥトであり、前記中間層がガスバリアー性榭脂層及び又は酸素吸収性榭脂層から構成されて V、る請求項 1に記載の多層榭脂成形物。

[3] 前記多層榭脂成形物が容器を成形するためのプリフォームである請求項 1に記載の多層榭脂成形物。

[4] 少なくとも中間榭脂層と該中間榭脂層の両面を被覆する他の榭脂層を有し、一体成形により得られる筒状部の外周面に突起状部を有した筒状の多層榭脂成形物の成形方法であって、前記中間榭脂層を含む多層の榭脂からなる主榭脂塊をその上端が成形型の突起形成部の起点部近傍に位置するように供給し、次ヽで被覆榭脂塊を供給する榭脂塊供給工程、前記多層榭脂塊と前記被覆榭脂塊を一体に圧縮成形する圧縮成形工程からなることを特徴とする多層榭脂成形物の製造方法。

[5] 前記圧縮成形工程は、コア型により前記被覆榭脂塊を前記主榭脂塊の筒状内層に沿って流動するように圧縮することにより、主榭脂層内面を前記被覆樹脂で被覆すると共に、前記被覆榭脂を突起成形部に流動させて突起成形部に充填させ、前記突起を被覆樹脂で形成することを特徴とする請求項 4に記載の多層榭脂成形物の製造方法。