WO2005090813A1

WO2005090813A1 - ピストン

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Publication number: WO2005090813A1
Application number: PCT/JP2005/004964
Authority: WO
Inventors: Yoshiyuki Kanzaki; Nobuhiro Nishimura
Original assignee: Nok Corporation
Priority date: 2004-03-19
Filing date: 2005-03-18
Publication date: 2005-09-29
Also published as: EP1726844A1; KR20070012397A; US20070251380A1

Description

ピストン

技術分野

[0001] 本発明は、例えば、自動車用自動変速機等に適用されるピストンに関するものである。

背景技術

[0002] 自動車の自動変速機には、油圧によってハウジング内を動作するピストン力駆動軸側のドライブプレートと従動軸側のドリブンプレートとを接離させて、クラッチを切り替え動作させるものがあり、この種のピストンは、例えば下記の特許文献 1に開示されて、るように、ゴム状弾性材料力もなるピストンシールが一体的に成形されて、る。特許文献 1：特開平 9— 210088号公報

[0003] 図 7は、特許文献 1に記載された従来のピストン装置 (ピストン)を、自動変速機の一部と共に軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。すなわち、このピストン 4 01は、ハウジング 402との間の圧力室 403が加圧されることによって、スプリングリテーナ 404に支持されたスプリング 405の付勢力に抗して図における下方へ変位し、その外周筒部 401aの下端に形成された押圧部が、多板クラッチ 406のドライブプレート 406aをドリブンプレート 406bに押し付けて摩擦係合させ、駆動軸の駆動トルクを、ノ、ウジング 402、多板クラッチ 406及びクラッチハブ 407を介して従動軸へ伝達するようになっている。

[0004] 一方、自動車等に使用される自動変速機としては、図 8に示すような、回転状態で、油圧がかけられて移動する油圧ピストンの押圧力により、多板クラッチの制御を行 V、、変速制御が行われる技術が広く知られて、る。

[0005] 図 8は、自動変速機の変速切換部の概略構成について説明する概略構成半断面図である。

[0006] 図 8に示すように、ハウジング 500の内周面と駆動軸 501の外周面とは、相互に固定及びシールされており、環状のピストン挿入穴 502が形成されている。

[0007] ハウジング 500の内側には多板クラッチ 503が設けられていると共に、ピストン挿入穴 502には、環状のピストン部材 504が軸方向に移動可能に配置されている。

[0008] また、駆動軸 501の外周には軸方向の移動を規制した環状のスプリングリテーナ 5 05を取り付けている。このスプリングリテーナは、駆動軸 501に設けられたストッパ 50 6によって移動が規制されている。

[0009] そして、ピストン部材 504の内周面には駆動軸 501の外周面をシールすべくシールリップ 511が設けられ、ピストン部材 504の外周面にはハウジング 500の内周面をシールすべく該内周面に密封接触するシールリップ 512を設けている。このように、ビストン挿入穴 502をシールリップ 511, 512でシールすることで、油圧室が形成される。これらシールリップ 511, 512はゴム状弾性体により構成されて、る。

[0010] 上記構成において、油圧 (矢印 P)が作用し、圧力が上昇すると、ピストン部材 504 力 Sスプリング 508の付勢力に抗してスプリングリテーナ 505側（図中下方向）にスト口ークし、ピストン部材 504の外周側の断面 U字形状部 504aの端部 (R部） 504bにて多板クラッチ 503を押圧する。これにより、ハウジング 500側に設けられたクラッチ板が従動軸 (不図示)側のクラッチ板に摩擦接触し、ハウジング 500の回転駆動力が従動軸へと伝達される。

[0011] このように、ピストン部材 504は、油圧を受けて軸方向に移動し、また、シールリップ 511, 512を構成するゴム状弾性体 513が母材に一体成形された、わゆるボンデッドピストンシールとして機能している。このようなピストン部材は、例えば、特許文献 2 に開示されている。

特許文献 2 :特開平 11—351273号公報

特許文献 3：特開平 9— 257058号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] ところで、図 7に示す従来のピストン装置においては、ピストン 401は、その外周部に一体的に設けられてハウジング 402における外周筒部 402aの内周面と密接するピストンシール 408のシール径 d (ハウジング 402の外周筒部 402aの内径）や、ビストン 401の外周筒部 401aにおける多板クラッチ 406に対する押圧部の位置、スプリング 405を支持するスプリングリテーナ 404の外周に一体的に設けられてピストン 40 1の外周筒部 401aの内周面と密接するスプリングリテーナシール 409のシール径 d2 (ピストン 401の外周筒部 401aの内径)などは、周辺部品のレイアウトや、要求性能等によって決定される。このため、多板クラッチ 406とピストン 401との位置関係等によっては、前記シール径 dl、 d2の差が大きくなることがあり、このような場合、ピストン 401の外周筒部 401aに被着されてピストンシール 408が形成されたゴム層 408aを、径方向に厚肉にすることによって対処して、る。

[0013] しかしながら、ピストンシール 408が形成されたゴム層 408aを、径方向に厚肉にすると、圧力室 403に導入される油圧によるピストンシール 408の変形が大きくなり、ノ、ウジング 402の外周筒部 402aの内周面との接触面積及び接触荷重の増大によるピストンシール 408の早期磨耗や、えぐれ磨耗によるピストンシール 408の而圧性 '耐久性の低下と!/、つた問題を生じる。

[0014] 一方、図 8に示すようなピストン部材 504においては、径方向において、駆動軸 501 の外周面とハウジング 500の内周面との間に押し面を形成する必要があり、板金で一体に形成するために断面形状を U字状とした断面 U字形状部 504aを設けてヽる力この断面 U字形状部 504aの R部 504bが多板クラッチ (被押圧部） 503を押圧する構成となっているため、多板クラッチ 503に接触する接触幅を十分に確保することが困難である。（断面 U字形状部の幅を径方向に広くしょうとすると、ハウジング 500 の内周面及びリテーナ 505に干渉してしまうおそれがある。また、断面 U字形状部の先端部分に平面を設けようとすると、その部分に応力集中が起こり、強度的に悪化してしまうおそれがある。）このため、 R部 504bの接触圧力が高くなり、耐久時に (長期間または長時間の使用により)摩耗や変形が大きくなつてしまい、面圧変化によってクラッチ特性の経時変化をもたらすという機能上の問題が発生するおそれがある。

[0015] また、製造面においては、断面 U字形状部 504aの製環 (製造)難易度が高ぐ製環の工程数が多くなつてしまうという課題がある。

[0016] また、品質面では、断面 U字形状のため、板金曲げカ卩ェ時に材料に力かる負荷が大きくなつてしまい、断面 U字形状部 504aの内周側の R部に割れが生じ易くなつてしまうという課題がある。さらに、断面 U字形状部 504aの内周側の R部は、外観検査が十分に実施できな、と、う課題もある。 [0017] また、ゴム状弾性体をピストン部材 504に焼き付けるための接着処理が必要である力接着剤の付着強度を確保するためにその前工程で洗浄を十分に行う必要がある。特に、断面 U字形状部 504aの谷部（内側）の隙間が狭い場合には、洗浄が不十分となるために、ゴム状弾性体の接着が不十分となり、剥がれが発生してしまうおそれがある。

[0018] また、断面 U字形状部 504aの谷部（内側）にゴム状弾性体を流し込まなければならず、過剰な量のゴム状弾性体を必要とし、ゴム状弾性体が良好に流れない場合には成形不良になるおそれがある。

[0019] 本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ピストン本体のサイズとこれに一体成形されたピストンシールのシール径の如何に拘らず、ビストンシールの接触面及び接触荷重の増大による早期磨耗や耐圧性 ·耐久性の低下を防止し得る構造とすることにある。

[0020] また、本発明は、被押圧部に接触する接触幅を確保し、さらに、断面 U字形状部を分離タイプとすることによって品質の向上を図ったピストンを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0021] 上記目的を達成するために本発明に係るピストンにあっては、

環状穴内に軸方向に移動自在に設けられ、径方向部、該径方向部の外径端部から軸方向一方側に延びる軸方向部、及び、該軸方向部の軸方向一方側の端部から外径側に延びる外径側径方向部を有するピストン本体と、

前記ピストン本体の前記軸方向部の外周に設けられる補強部材と、

前記補強部材に設けられ、前記環状穴の外周面側を密封するシールリップを有するシール部材と、を備え、

前記補強部材は、前記シールリップの根元に延びる部分を備える

ことを特徴とする。

[0022] このように、ピストンシール (シール部材）の基部におけるゴム層の一部を、それより剛性の大きな補強環に置換した構造となり、その一端が、ピストンシール (シール部材）のシールリップの根元に達しているため、ピストン本体のサイズとこれに一体成形されたピストンシール（シール部材）のシール径の如何に拘らず、ピストンシール（シール部材）の所要の剛性を確保し、ピストンシール（シール部材）のシールリップのベタ当たりによる早期磨耗やえぐれ磨耗を防止することができる。

[0023] また、ピストンが軸方向に移動した場合に、ピストン本体に設けられた外径側径方向部によって十分な接触幅で低面圧で被押圧部を押圧することができる。したがって、長期間または長時間使用される場合であっても、従来よりも摩耗や変形を抑制することが可能となり、面圧変化に伴うクラッチ特性の経時変化を抑制することができる。なお、外径側径方向部の長さ（幅）は、ピストンの仕様に応じて被押圧部を押圧するのに十分な接触幅となるように適宜設定されるとよい。また、従来のピストンにおいて適用されていた断面 U字形状部を分離タイプ (別体)としたことにより、従来の断面 U 字形状部に起因する諸問題の発生を抑制することができる。

[0024] また、上記の構成にぉヽて、前記補強部材は、前記ピストン本体の前記外径側径方向部に位置決めされ、前記軸方向部の全域にわたって嵌合していることも好ましい。特に前記補強部材は、前記外径側径方向部の軸方向他方側の端面に位置決めされるとよい。

[0025] このように、補強部材をピストン本体の外径側径方向部に接触させて位置決めすることにより、補強部材に設けられたシール部材の密封性能をより安定させることができ、また、外径側径方向部が被押圧部を押圧する場合の押圧力を安定させることができる。また、補強部材を軸方向部の全域にわたって嵌合させることにより、嵌合部分の強度を大きくすることができるので、補強部材に設けられたシール部材の密封性能を安定させることができる。

[0026] また、上記の構成にぉ、て、前記ピストン本体が軸方向一方側に移動した場合、前記外径側径方向部は、前記環状穴の外周面近傍に設けられた被押圧部を面状に押圧することも好ましヽ。

[0027] また、上記の構成において、前記ピストン本体に設けられ、前記環状穴の内周面側を密封する内周側シール部材をさらに備え、

前記シール部材及び前記内周側シール部材は、前記補強部材が前記ピストン本体に嵌合された後、前記補強部材が嵌合された前記ピストン本体に一体に成形されることも好まし、。

[0028] また、上記の構成にぉ、て、前記シール部材は前記補強部材に一体に成形されるものであり、

前記補強部材は、前記シール部材がー体に成形された後、前記ピストン本体に嵌合されることも好ましい。

発明の効果

[0029] 以上説明したように、本発明により、ピストンシールの所要の剛性が確保され、ピストンシールのシールリップのベタ当たりによる早期磨耗やえぐれ磨耗が防止されるので

、ピストンシールの耐圧性 ·耐久性を維持することができる。

[0030] また、本発明によれば、被押圧部に接触する接触幅を確保し、さらに、断面 U字形状部を分離タイプとすることによって品質の向上を実現させたピストンを提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0031] [図 1]図 1は、本発明に係るピストン装置を自動車の自動変速機のピストンに適用した一形態を、自動変速機の一部と共に軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。（実施の形態 1)

[図 2]図 2は、本発明に係るピストン装置を自動車の自動変速機のピストンに適用した他の形態を、軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。（実施の形態 2) [図 3]図 3は、本発明に係るピストン装置を自動車の自動変速機のピストンに適用した他の形態を、軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。（実施の形態 3) [図 4]図 4は、本発明の実施の形態 4に係るピストンを示す概略構成半断面図である。

[図 5]図 5は本発明の実施の形態 4に係るピストンにより構成されるボンデッドピストンシールを適用した変速切換部の概略構成について説明するための概略構成半断面図である。

[図 6]図 6は、本発明の実施の形態 5に係るピストンを示す概略構成半断面図である。

[図 7]図 7は、従来のピストン装置を、自動変速機の一部と共に軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。

[図 8]図 8は、従来技術に係るピストンを適用した変速切換部の概略構成図である。符号の説明

101 ピストン (ピストン装置） 111 ピストン本体

112 補強環

113 外周シール（ピストンシール）

113a 外周シーノレリップ

114a 内周シーノレリップ

114 内周シーノレ

115 膜部

102 ハウジング

103 駆動軸

104 クラッチハブ

105 多板クラッチ

106 スプリング

107 スプリングリテーナ

171 ストッパ

172 スプリングリテーナシール A, B 圧力室

201 ボンデッドピストンシール

211 , 221 ビス卜ン

212 ピストン本体

212a 端板部

212b 傾斜部

212c 外筒部

212d クラッチ押圧部

212e 内筒部

212f ストツバ (位置決め等配突起) 213 補強環 213a 軸方向部

213b 径方向部

214 ピストンシーノレ

214a 外周シールリップ

214b 内周シーノレリップ

214c ストツバ (位置決め等配突起）

202 駆動軸

222 油圧供給通路

203 ハウジング

231 径方向部

232 円形部

204 多板クラッチ

205 ピストン挿入穴

208 スプリングリテーナ

209 ストッノ《（スナップリング）

210 スプリング

発明を実施するための最良の形態

[0033] 以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

[0034] (実施の形態 1)

以下、本発明に係るピストン装置の好ましい実施の形態 1について、図面を参照しながら説明する。まず図 1は、本発明のピストン装置を自動車の自動変速機のピストン 101に適用した一形態を、自動変速機の一部と共に軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。

[0035] すなわちピストン 101は、請求項 1に記載のピストンに相当するものであって、ピストン本体 111と、このピストン本体 111に固定された補強環 112と、これらピストン本体 1 11及び補強環 112の双方に接合されたその外周部に一体成形された外周シール（ピストンシール） 113とを有する。

[0036] ピストン本体 111は、金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作されたものであって、内筒部 11 laと、その一端力径方向へ展開したフランジ部 11 lbと、その外周から内筒部 111aと反対側へ延びる中間筒部 111cと、その端部力径方向へ延びる端板部 l l ldと、更にその外周から中間筒部 111cと同方向へ延びる外筒部 l l le と、この外筒部 11 leの先端カゝら外周へ屈曲形成された鍔状のクラッチ押圧部 11 If 力もなる。また、補強環 112は金属板のプレス又は金属パイプの切断によって製作されたものであって、ピストン本体 111の外筒部 l l leの外周面に、適当な締め代をもつて圧入嵌着されている。

[0037] 外周シール（ピストンシール） 113は、ゴム状弾性材料力なるものであって、後述する多板クラッチ 105と反対側を向いた外周シールリップ 113aを有し、その基部 113 bは、ピストン本体 111の端板部 11 Idから外筒部 l l leへの屈曲部の外面と、前記外筒部 11 leに圧入嵌着された補強環 112の双方に、一体的に加硫接着されて!、る。そして、補強環 112の軸方向一端は、外周シール (ピストンシール） 113の外周シールリップ 113aの根元部分に達して!/、る。

[0038] すなわち、この外周シール (ピストンシール） 113は、所定のゴム加硫成形用金型内に、予め外筒部 l l leに補強環 112を圧入嵌着して加硫接着剤を塗布したピストン本体 111をセットし、型締めによってピストン本体 111及び補強環 112と前記金型の内面との間に画成される環状のキヤビティ内に、未加硫ゴム材料を充填し、加熱'カロ圧することによって、加硫成形と同時にピストン本体 111及び補強環 112に加硫接着したものである。

[0039] 参照符号 102はハウジングである。このハウジング 102は、ピストン 101を軸方向変位可能に収容してヽるものであって、ピストン本体 111と略相似の内面形状に形成され、内周端が、駆動軸 103側に結合固定又は一体的に設けられている。そしてピストン本体 111 (ピストン 101)の内筒部 111aは、駆動軸 103側に、ゴム状弾性材料からなる Oリング 131を介して、軸方向移動可能に外挿されており、外周シール (ピストンシール） 113は、外周シールリップ 113aの先端外周が、ハウジング 102の外周部の内周面 102aと摺動可能に密接されている。なお、外周シールリップ 113aのハウジング 102との摺動面には、円周方向へ延びる複数の潤滑溝が形成されている。

[0040] 参照符号 104は不図示の従動軸側に結合されたクラッチハブ、参照符号 105は多板クラッチである。多板クラッチ 105は、ハウジング 102のクラッチ収納筒部 102bの内周に軸方向移動可能かつ回り止め状態に係止された複数のドライブプレート 151 と、クラッチハブ 104に軸方向移動可能かつ回り止め状態に係止された複数のドリブンプレート 152が軸方向交互に配置され、不図示のリテーナにより抜け止めされた構造を有する。

[0041] 参照符号 106は、ピストン 101を多板クラッチ 105から離れる方向へ付勢するスプリングである。このスプリング 106は、コイルスプリングからなるものであって、駆動軸 10 3側にストッパ 171を介して固定されたスプリングリテーナ 107と、ピストン 101との間に、圧縮された状態で円周方向複数配置されている。なお、参照符号 161、 162は、スプリング 106の両端を保持するスプリングホルダである。

[0042] 詳しくは、スプリングリテーナ 107は、金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作されたものであって、内周フランジ部 107aと、その外周力もピストン 101のピストン本体 111における中間筒部 11 lcの外周位置へ向けて延びる中間筒部 107bと、更にその端部から外周側へ展開して外周端部が前記ピストン本体 111における外筒部 1 l ieの内周面と近接対向された外周フランジ部 107cからなる。この外周フランジ部 107cの外周端部には、ゴム状弾性材料力もなるスプリングリテーナシール 172がー体成形されており、多板クラッチ 105と反対側を向いたシールリップ 172aの外周が、前記ピストン本体 111における外筒部 11 leの内周面に摺動可能に密接されて、る。

[0043] 以上の構成において、ハウジング 102の内面とピストン 101との間に画成され Oリング 131及び外周シール (ピストンシール） 113により密封された圧力室 Aに、不図示の油路を通じて作動油圧を導入すると共に、ピストン 101とスプリングリテーナ 107の間に画成されスプリングリテーナシール 172により密封された圧力室 Bを、不図示の他の油路を通じて開放すると、ピストン 101がスプリング 106を圧縮しながら図 1における下方へ変位し、ピストン本体 111におけるクラッチ押圧部 11 Ifが、多板クラッチ 10 5におけるドライブプレート 151をドリブンプレート 152に押し付けて摩擦係合させる。このため、多板クラッチ 105が接続状態となって、駆動軸 103の駆動トルクが、ハウジング 102から、多板クラッチ 105及びクラッチハブ 104を介して、不図示の従動軸へ伝達される。

[0044] また、圧力室 Aの油圧を開放すると共に、圧力室 Bに作動油を供給すれば、圧縮されたスプリング 106の反発によって、ピストン 101が圧力室 Aの容積を縮小させるように図 1における上方へ変位し、ドライブプレート 151への押圧を解除するので、多板クラッチ 105が遮断状態となって、駆動軸 103から従動軸への駆動トルクの伝達が遮断される。

[0045] ここで、ピストン 101は、設計上、外周シール（ピストンシール） 113が密接するハウジング 102の外周部内周面 102aの内径、すなわち外周シール（ピストンシール） 11 3のシール径 d と、スプリングリテーナシール 172が密接するピストン本体 111の外

113

筒部 1 l ieの内径、すなわちスプリングリテーナシール 172のシール径 d の差が比

172 較的大きいものとなっている。このため、前記外筒部 1 l ieの外径と外周シール (ビストンシール） 113のシール径 d との差 A dも大きなものとなっている。

113

[0046] しかしながら、この形態によれば、ピストン本体 111の外筒部 1 l ieの外周面には、補強環 112が嵌着されているため、実質的に、この補強環 112の外径が、外周シール (ピストンシール） 113に対するバックアップ形となる。言い換えれば、外周シール（ピストンシール） 113の基部 113bから延びるゴム層 113cの一部を、それよりも剛性の十分に大きな金属力なる補強環 112に置換した構造となっており、その一端が、外周シール（ピストンシール） 113の外周シールリップ 113aの根元部分に達して!/、る。このため、外周シール（ピストンシール） 113は、ピストン本体 111の外筒部 1 l ieの外径と外周シール（ピストンシール） 113のシール径 d との差 Δ dに応じて外周シール

113

リップ 113aの突出長さを長くしたり、ゴム層 113cの径方向肉厚を大きくしたりする必要がなく、外周シールリップ 113a及び基部 113bの所要の剛性が確保される。

[0047] したがって、ピストン 101を下方へ変位させて多板クラッチ 105を接続状態とするために、圧力室 Aを、作動油圧の導入によって高圧にした場合、この圧力室 A内の油圧によって、外周シール（ピストンシール） 113の外周シールリップ 113aが、ハウジング 102の外周部の内周面 102aにベタ当たりするのを防止することができ、ひいては、接触面積及び接触荷重の増大による外周シール (ピストンシール） 113の早期磨耗や、えぐれ磨耗の発生を防止して、耐圧性 ·耐久性を維持することができる。

[0048] (実施の形態 2及び実施の形態 3)

次に、図 2及び図 3は、それぞれ、本発明に係るピストン装置を自動車の自動変速機のピストン 101に適用した他の形態を、軸心 Oを通る平面で切断して示す半断面図である。

[0049] 図 2及び図 3に示されるピストン 101は、いずれも、円盤状のピストン本体 111と、その外周部に固定された補強環 112と、これらピストン本体 111及び補強環 112の双方に接合されたその外周部に一体成形された外周シール (ピストンシール） 113と、ピストン本体 111の内周部に一体的に設けられた内周シール 114を有する。そして、この形態によるピストン 101も、基本的には図 1の形態と同様、圧力室に導入される作動油圧によってスプリングリテーナに支持されたスプリングの付勢力に抗して図における下方へ変位し、クラッチ押圧部 11 Ifが、多板クラッチのドライブプレートをドリブンプレートに押し付けて摩擦係合させるものである。

[0050] ピストン本体 111は、金属板を打ち抜きプレス成形することにより扁平な円盤状に製作されたものであって、内周フランジ部 11 lgと、その外周に中間段差部 11 lhを介して径方向へ展開した中間フランジ部 l l liと、更にその外周に外周段差部 l l ljを介して形成された鍔状のクラッチ押圧部 11 Ifからなる。また、補強環 112も金属板の打ち抜きプレス成形によって製作されたものであって、ピストン本体 111の、短い円筒状である外周段差部 l l ljの外周面に、適当な締め代をもって圧入嵌着されている。

[0051] 図 2の形態による補強環 112は、内周縁がピストン本体 111の外周段差部 l l ljに圧入嵌着されると共にピストン本体 111のクラッチ押圧部 l l lfに当接された径方向部 112aと、その外周から前記クラッチ押圧部 11 Ifと反対側へ屈曲した軸方向部 11 2bとを有する断面略 L字形をなす。また、図 3の形態による補強環 112は、ピストン本体 111の外周段差部 l l ljに圧入嵌着された内周軸方向部 112cと、その一端から延びてクラッチ押圧部 11 Ifに当接された径方向部 112dと、その外周から前記クラッチ押圧部 l l lfと反対側へ屈曲した外周軸方向部 112eとを有する断面略コ字形をなす [0052] 外周シール（ピストンシール） 113は、ゴム状弾性材料力なるものであって、先に説明した図 1の多板クラッチ 105と反対側を向いた外周シールリップ 113aを有し、その基部 113bが、ピストン本体 111の外周段差部 11 ljの外面と、この外周段差部 11 ljに圧入嵌着された補強環 112の双方に、一体的に加硫接着されている。図 2の形態による補強環 112の軸方向部 112b、あるいは図 3の形態による補強環 112の外周軸方向部 112eは、外周シール（ピストンシール） 113の外周シールリップ 113aの根元部分に達している。

[0053] 一方、内周シール 114は外周シール（ピストンシール） 113と同じゴム状弾性材料からなるものであって、膜部 115を介して外周シール (ピストンシール） 113と連続し、ピストン本体 111における内周フランジ部 11 lgの内周端部に加硫接着されて、る。この内周シール 114は、先に説明した図 1に示される多板クラッチ 105と反対側を向いた内周シールリップ 114aを有し、図 1の形態における Oリング 131と同様、圧力室 A の内周側を密封するものである。

[0054] 外周シール（ピストンシール） 113及び内周シール 114は、所定のゴム加硫成形用金型内に、予め外周段差部 11 ljに補強環 112を圧入嵌着して加硫接着剤を塗布したピストン本体 111をセットし、型締めによってピストン本体 111の内周部から補強環 112にかけての面と前記金型の内面との間に画成される環状のキヤビティ内に、未加硫ゴム材料を充填し、過熱 '加圧することによって、加硫成形と同時に加硫接着したものである。

[0055] そして、図 2あるいは図 3の形態においても、ピストン本体 111に固定した補強環 11 2の軸方向部 112bあるいは外周軸方向部 112eが、外周シール（ピストンシール） 11 3の外周シールリップ 113aの根元部分に達して!/、るため、外周シールリップ 113a及び基部 113bの所要の剛性が確保される。したがって、作動油圧によって、外周シール（ピストンシール） 113の外周シールリップ 113aが、ハウジングの外周部の内周面にベタ当たりするのを防止することができ、ひいては、接触面積及び接触荷重の増大による外周シール (ピストンシール） 113の早期磨耗や、えぐれ磨耗の発生を防止して、耐圧性'耐久性を維持することができる。

[0056] なお、上述の各形態においては、いずれも補強環 112がピストン本体 111に圧入嵌着によって固定されているが、圧入以外の手段、例えば溶接やろう付け等によってピストン本体 111に固定しても良い。また、補強環 112の断面形状は、外周シール（ピストンシール） 113の基部 113bの大きさなどを考慮して適切に決定されるものであつて、図示のものには特に限定されない。

[0057] (実施の形態 4)

図 4は、本発明の実施の形態 4に係るピストン 211を示す概略構成半断面図である。図 5は本発明の実施の形態 4に係るピストン 211により構成されるボンデッドピストンシール 201を適用した変速切換部の概略構成について説明するための概略構成半断面図である。

[0058] 図に示すように、変速切換部には、駆動軸 202と、駆動軸 202の外周側に設けられ内形状断面略 L字状のハウジング 203と、が設けられて、る。

[0059] ハウジング 203は径方向部 231と円形部 232とを有する。円形部 232の内周側には多板クラッチ (被押圧部） 204を収納してある。尚、ブレーキ板として本実施の形態に係る密封装置をブレーキの ON 'OFF装置に用いても良い。

[0060] そして、円形部 232の内周面と駆動軸 202の外周面との間にて、環状のピストン揷入穴（環状穴） 205を形成しており、そのピストン挿入穴 205内にピストン 211が軸方向に移動自在に挿入されている。なお、円形部 232の内周面は、ピストン挿入穴 205 の外周面ということもでき、また、駆動軸 202の外周面は、ピストン挿入穴 205の内周面ということもできる。

[0061] ピストン 211は、ピストン本体 212と、補強環 213と、ゴム状弾性体力なるピストンシーノレ 214とを備えて!/ヽる。

[0062] ピストン本体 212は、薄鋼板（例えば SAPH440)の金属環で、ハウジング 203の径方向部 231の端面に面するヮッシャ状の端板部 212aと、端板部 212aの外径端部から外径側であって軸方向多板クラッチ 204側に傾斜して延びる傾斜部 212bと、傾斜部 212bの外径端部力も軸方向多板クラッチ 204側に向って延びる外筒部 212cと、外筒部 212cの軸方向多板クラッチ 204側端部から外径側に延びるクラッチ押圧部 2 12dと、端板部 212aの内径端部から内径方向であって軸方向多板クラッチ 204側に延びる内筒部 212eとから構成されている。また、ピストン本体 212は、型成形 (例えば、プレス成形）により形成される。

[0063] ここで、外筒部 212cは本発明に係る軸方向部を構成し、端板部 212aと傾斜部 21 2bとは本発明に係る径方向部を構成している。また、クラッチ押圧部 212dは、本発明に係る外径側径方向部を構成しており、多板クラッチ 204に面状に接触するように設けられている。

[0064] 補強環 213は、軸方向部 213aと、軸方向部 213aのハウジング 203の径方向部 23 1側端部から外径側に延びる径方向部 213bとを備えている。

[0065] そして、軸方向部 213aが、ピストン本体 212の外筒部 212cの外周に嵌合されることにより、補強環 213がピストン本体 212に嵌合装着される。補強環 213がピストン本体 212に嵌合装着された後、補強環 213及びピストン本体 212においては、軸方向であってハウジング 203の径方向部 231側に、ピストンシール 214が焼き付けられる（一体成形される)。ここで、補強環 213は、本発明に係る補強部材を構成している。なお、補強環 213は、例えば溶接によってピストン本体 212に装着されるものであってちょい。

[0066] ピストンシール 214は、円形部 232の内周面に摺動自在に密封接触する外周シールリップ 214aと、駆動軸 202の外周面に摺動自在に密封接触する内周シールリップ 214bとを備えている。ここで、外周シールリップ 214aは本発明に係るシール部材を構成し、また、内周シールリップ 214bは本発明に係る内周側シール部材を構成している。

[0067] 外周シールリップ 214aは、補強環 213の径方向部 213bの外径端部力も外径側であってハウジング 203の径方向部 231側に傾斜して延びており、また、内周シールリップ 214bは、内筒部 212eから内径側であってハウジング 203の径方向部 231側に傾斜して延びている。

[0068] このようにして、外周シールリップ 214a及び内周シールリップ 214bを介してピストン 211とハウジング 203との間に圧力室 Xを形成している。

[0069] また、ピストン 211に対向して駆動軸 202の外周側には、軸方向の移動を規制した環状の規制部材としてのスプリングリテーナ 208を設けてある。このスプリングリテーナ 208は、薄鋼板 (例えば SAPH440)の金属環で、駆動軸 202に対して着脱自在な内径に設定してあり、ストッパ 209により軸方向、具体的にはピストン 211から離れる方向の移動を規制してある。

[0070] そして、スプリングリテーナ 208の外径はピストン 211の外筒部 212cの内径より小さくなつている。

[0071] そして、スプリングリテーナ 208とピストン 211との間には、ピストン 211をスプリングリテーナ 208から離れる方向へと付勢する付勢手段としてのスプリング 210が周方向に複数設けられている。尚、駆動軸 202には圧力室 Xに連通する油圧供給通路 222が設けられている。

[0072] 上記構成において、圧力室 Xにライン圧力が作用しない場合は、スプリング 210の付勢力がピストン部材 211に加わっているため、ピストンシール 214のストッパ 214c ( 位置決め等配突起）がハウジング 203の径方向部 231に接触することによりピストン 2 11は静止状態にある。

[0073] また、圧力室 Xに駆動軸 202の油圧供給通路 222を介して油圧 Pが作用し、圧力が上昇すると、ピストン部材 211がスプリング 210の付勢力に抗して軸方向多板クラッチ 204側へ移動し、ピストン 211のクラッチ押圧部 212dにて多板クラッチ 204を押し、動力を伝達させる。

[0074] そして、動力の伝達を解除する時は、圧力室 Xの圧力供給を OFFにすることで、スプリング 210の付勢力によりピストン 211を軸方向ハウジング 203の径方向部 231側に移動させる。これにより、ピストン 211は元の位置へと復帰することになる。

[0075] 以上説明したように、本実施の形態においては、多板クラッチ 204に面状に接触するようにクラッチ押圧部 212dを設けたことにより、従来のピストンにおいて断面 U字形状部の R部が多板クラッチに接触した場合のような、接触圧力が高くなるようなことや、面圧変化が生じることを抑制することができる。

[0076] そして、ピストン本体 212とは別体に設けた補強環 213の軸方向部 213aを、ピストン本体 212の外筒部 212cに嵌合させることにより、クラッチ押圧部 212dの強度を大きくすることができるので、接触圧力が高くなるようなことや面圧変化が生じることをより効果的に抑制することができる。

[0077] さらに、クラッチ押圧部 212dの強度を大きくすることができることにより、クラッチ押圧部 212dの平面部分の大きさもより大きくとることができるようになり、接触圧力が高くなるようなことや面圧変化が生じるというデメリットをより効果的に抑制することができる。

[0078] そして、接触圧力が高くなることを抑制できることにより、長期間や長時間の使用により摩耗や変形が大きくなつてしまうことを抑制することができる。また、面圧変化が生じることを抑制できることにより、面圧変化により生ずるクラッチ特性の経時変化を抑制することができる。したがって、従来懸念されていた機能上の問題の発生を抑制することが可能となる。

[0079] また、ピストン 211は、従来のような、製環の困難な断面 U字形状部を備えるものではないので、従来懸念されていた、製環の工程数が多くなつてしまうようなことや、断面 U字形状部の R部に割れが生じ易くなつてしまうことや、断面 U字形状部の R部の外観検査が十分に実施できないといったことはなくなる。そして、製環の工程数の増大の抑制により、作業効率の向上や低コストィ匕を図ることができる。

[0080] また、ピストン 211は、従来のような、断面 U字形状部に存在していた狭い隙間を備えるものではな、ので、接着剤の付着強度を確保するための洗浄を十分に行うことができる。したがって、ゴム状弾性体の接着が不十分となって剥がれが発生してしまうことを抑制することがでさる。

[0081] また、ピストン 211は、断面 U字形状部を備えるものではないので、断面 U字形状部の谷部にゴム状弾性体を流し込むようなことはなぐ従来のように過剰な量のゴム状弾性体は必要とするものではない。また、断面 U字形状部の谷部のような凹部にゴム状弾性体を流し込むようなことはないので、ゴム状弾性体が良好に流れず成形不良になることを抑 ff¾することができる。

[0082] また、ピストン本体 212とは別体に設けられた補強環 213の軸方向部 213aは、ビストン本体 212のクラッチ押圧部 212dにより位置決めされている。これにより、補強環 2 13をピストン本体 212に嵌合させる場合の相対位置（どの程度嵌合させるか)を容易に決めることができるので、作業性の向上を図ることができる。また、補強環 213の軸方向部 213aと、ピストン本体 212のクラッチ押圧部 212dとを接触させることにより、外周シールリップ 214aの密封性能をより安定させることができる。 [0083] さらに、補強環 213の軸方向部 213aと、ピストン本体 212のクラッチ押圧部 212dとを接触させることにより、ピストン 211が多板クラッチ 204を押圧する場合の押圧力を安定させることができる。したがって、クラッチ押圧部 212dは多板クラッチ 204に面状に、より安定して接触することとなり、接触圧力が高くなるようなことや、面圧変化が生じることを、より効果的に抑制することができる。これにより、自動変速機の動作をより安定させることが可能となる。

[0084] また、従来技術において外筒部にシールリップが設けられた場合には、ピストン 21 1が軸方向に移動すると、移動に伴った変形などに起因する外筒部の挙動によりシールリップの密封性能が不安定となることが懸念される。本実施の形態では、ピストン本体 212とは別体に設けた補強環 213の軸方向部 213aを、ピストン本体 212の外筒部 212cに嵌合させることにより、軸方向部 213aと外筒部 212cとの嵌合部分の強度を大きくすることができる。したがって、補強環 213に設けられた外周シールリップ 21 4aの密封性能を安定させることができる。

[0085] また、ピストン本体 212とは別体に設けた補強環 213の軸方向部 213aと、ピストン本体 212の外筒部 212cとの嵌合部分の長さをより長くとることで、多板クラッチ 204 に面状に接触するクラッチ押圧部 212dの強度をより大きくしたり、外周シールリップ 2 14aの密封性能をより安定させることができる。

[0086] (実施の形態 5)

図 6は、本発明の実施の形態 5に係るピストン 221を示す概略構成半断面図である。なお、上述した実施の形態 4と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。ここで、ピストン 221においては、図 6に示すように、ハウジング 203の径方向部 231に接触することによりピストン 221を静止状態とするストッパ (位置決め等配突起） 212fが端板部 212aに設けられて、る。

[0087] 実施の形態 4では、ピストン本体 212に補強環 213を嵌合させてから、ピストンシール 214を一体成形するものであった力本実施の形態においては、補強環 213に外周シールリップ 214aを一体成形した後に、外周シールリップ 214aがー体成形された補強環 213をピストン本体 212に嵌合装着するものである。

[0088] 本実施の形態では、外周シールリップ 214aを補強環 213に一体成形してカゝらビストン本体 212に嵌合装着してヽるので、より少なヽゴム状弾性体の量でシールリップを構成することができる。また、図に示すように、補強環 213の軸方向部 213aにおいて、ピストン本体 212との嵌合部位をゴム状弾性体で成形することにより、補強環 213 とピストン本体 212との嵌合力を安定させることができ、また、金属環同士の嵌合のように寸法公差を厳しく制約する必要もなヽ。

ここで、内周シールリップ 214bはピストン本体 212に一体成形されるとよいが、ビストン本体 212と駆動軸 202の外周面との環状隙間を密封する手段としては、内周シールリップ 214bに限るものではない。例えば、駆動軸 202の外周面（の溝）に Oリングを設け、内筒部 212eに設けられた軸方向部（軸方向に略直線状に設けられた部分）に該 Oリングを摺動自在に密封接触させる構成であってもよい。この場合には、ピストン本体 212にゴム状弾性体を一体成形する必要がなくなるので、製造工程の低減化、及び、低コストィ匕を図ることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 環状穴内に軸方向に移動自在に設けられ、径方向部、該径方向部の外径端部から軸方向一方側に延びる軸方向部、及び、該軸方向部の軸方向一方側の端部から外径側に延びる外径側径方向部を有するピストン本体と、

ことを特徴とするピストン。

[2] 前記補強部材は、前記ピストン本体の前記外径側径方向部に位置決めされ、前記軸方向部の全域にわたって嵌合していることを特徴とする請求項 1に記載のピストン

[3] 前記ピストン本体が軸方向一方側に移動した場合、前記外径側径方向部は、前記環状穴の外周面近傍に設けられた被押圧部を面状に押圧することを特徴とする請求項 1または 2に記載のピストン。

[4] 前記ピストン本体に設けられ、前記環状穴の内周面側を密封する内周側シール部材をさらに備え、

前記シール部材及び前記内周側シール部材は、前記補強部材が前記ピストン本体に嵌合された後、前記補強部材が嵌合された前記ピストン本体に一体に成形されることを特徴とする請求項 1一 3のいずれか 1項に記載のピストン。

[5] 前記シール部材は前記補強部材に一体に成形されるものであり、

前記補強部材は、前記シール部材がー体に成形された後、前記ピストン本体に嵌合されることを特徴とする請求項 1一 3のいずれか 1項に記載のピストン。