WO2005076068A1 - ドーム型カメラ - Google Patents

Description

明 細 書

ドーム型カメラ

技術分野

[0001] 本発明は、チルト方向に回動可能なレンズを備えたドーム型カメラに関するもので ある。

背景技術

[0002] 従来のドーム型カメラは、半球型のドームカバーと、ドームカバーの内側にチルト方 向およびパン方向の回動が可能に設けられたレンズを備えている。そして、レンズの 回動中心が光軸上にあり、かつ、ドームカバーの中心と一致するように配置されてお り、この配置により良好な画像が得られている。このようなドーム型カメラは、例えば、 特開 2000—155366号公報（要約、図 4)に開示されている。

[0003] し力しながら、従来のドーム型カメラは、俯角方向を撮影しょうとすると、ケラレが生 じてしまい、良好な画像が得られない。

[0004] ここで、俯角方向とは、ドームの天頂方向を上方向としたときの水平方向より下向き の方向である。したがって、例えばドーム型監視カメラにおいて、ドームが上向きに設 置されれば、俯角方向は水平より下向きの方向である。ドームが壁に横向きに設置さ れれば、俯角方向は真下から壁に向いた方向である。また、ケラレとは、カメラケース が撮影範囲の一部に写ることにより画像が部分的に暗くなることをいう。

[0005] 従来は、上記のように俯角方向を撮影するとケラレが生じる。そのため、例えば、力 メラ取付場所付近を撮影したいという要求に応えて良好な画像を得ることが容易でな かった。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 本発明は、上記背景の下でなされたものであり、その目的は、俯角方向の良好な撮 影画像が得られるドーム型カメラを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明の一態様はドーム型カメラであり、このドーム型カメラは、ドームカバーと、ド ームカバーの内側にチルト方向に回動可能に備えられるレンズと、レンズの回動中 心がドーム中心から天頂方向に離れた位置へと移動可能にレンズを支持するレンズ 支持構造とを備えている。

[0008] また、本発明の一態様はカメラであり、このカメラは、チルト方向に回動可能に設け られるレンズと、レンズの回動中心が移動可能にレンズを支持するレンズ支持構造と 、レンズのチルト方向の回動に応じてレンズを移動させるレンズ移動機構と、を備えて いる。この態様は、ドーム型カメラに限定されず、ドームを備えないカメラを含む。この 態様において、レンズの移動方向は、ケラレの原因になるカメラ自身の障害部分とし てのカメラ筐体を撮影範囲から外す方向である。レンズの移動方向は、実施の形態 では、ベース部から離れる方向であり、また、パンチルト可能なカメラにおけるパン軸 方向である。

[0009] 以下に説明するように、本発明には他の態様が存在する。したがって、この発明の 開示は、本発明の一部の態様の提供を意図しており、ここで記述され請求される発 明の範囲を制限することは意図していない。

図面の簡単な説明

[0010] [図 1]図 1は、本発明の第 1の実施の形態におけるドーム型カメラを示す図

[図 2]図 2は、レンズを取り付けるための段ねじを示す図

[図 3]図 3は、レンズを回動したときの撮影範囲を示す図

[図 4]図 4は、本発明の第 2の実施の形態におけるドーム型カメラを示す図

[図 5]図 5は、本発明の第 2の実施の形態におけるカム構造部分の拡大図

[図 6]図 6は、レンズをチルト角 75度まで回動したときのドーム型カメラを示す図

[図 7]図 7は、レンズをチルト角 90度まで回動したときのドーム型カメラを示す図 符号の説明

[0011] 10、 50 ドーム型カメラ

12 ベース

14 カバー

16 レンズ

22 ドームカバー 26 支持壁

30 第 1取付穴

32 第 2取付穴

34 段ねじ

52 パン部

54 支持壁

60 板状カム

62 押当て片

A 中心保持角度範囲

発明を実施するための最良の形態

[0012] 以下に本発明の詳細な説明を述べる。ただし、以下の詳細な説明と添付の図面は 発明を限定するものではない。代わりに、発明の範囲は添付の請求の範囲により規 定される。

[0013] 本実施の形態のドーム型カメラは、ドームカバーと、ドームカバーの内側にチルト方 向に回動可能に備えられるレンズと、レンズの回動中心がドーム中心から天頂方向 に離れた位置へと移動可能にレンズを支持するレンズ支持構造とを備えている。

[0014] この構成により、レンズのチルト回動中心がドームカバーの中心から天頂方向へ移 動した状態で俯角方向を撮影することができ、これにより俯角方向の良好な画像が 得られる。

[0015] また、このドーム型カメラは、レンズのチルト方向の回動に応じてレンズを天頂方向 に移動させるレンズ移動機構を備えてレ、る。

[0016] この構成により、レンズの方向の変化に応じて、良好な画像が得られる適当な位置 にレンズを移動することができる。

[0017] また、このドーム型カメラにおいて、レンズ移動機構は、レンズの回動に応じて回動 軸を所定の位置に移動させるカムを備えてレ、る。

[0018] この構成により、カムを設けたことで、レンズの回動に応じて常に良好な画像が得ら れるように、レンズのチルト回動中心をドーム中心とドーム中心から天頂方向に離れ た位置の間で移動させることができる。

[0019] また、カムは、仰角方向に対応する所定の中心保持角度範囲ではレンズの回動軸 をドーム中心に保持し、中心保持角度範囲よりも低角度側ではレンズの回動軸をド ーム中心から天頂方向に移動させるように設定されてレ、る。

[0020] この構成により、上記の中心保持角度範囲ではレンズのチルト回動軸をドームカバ 一の中心に保持して良好な画像を得ることができる。

[0021] また、カムは、回動軸に取り付けられた板状カムであり、板状カムの外周のカム面が 固定押当て部に当接している。

[0022] この構成により、簡単な構成で適切なカム構造を備えることができる。

[0023] 上記のドーム型カメラは、上記の構成を備えており、レンズの回動中心がドームカバ 一の中心と一致する位置から天頂方向に離れた位置へと移動可能にレンズを支持し ている。したがって、ドーム型カメラは、回動中心がドームカバーの中心から天頂方向 へ移動した状態で俯角方向を撮影することができる。このようなドーム型カメラにより、 俯角方向の良好な画像が得られるという効果が得られる。

[0024] また、別の態様では、本実施の形態はカメラを開示する。このカメラは、チルト方向 に回動可能に設けられるレンズと、レンズの回動中心が移動可能にレンズを支持す るレンズ支持構造と、レンズのチルト方向の回動に応じてレンズを移動させるレンズ 移動機構と、を備えている。この態様において、カメラはドーム型カメラに限定されず 、したがって、カメラは、ドームを備えないカメラを含む。この態様において、レンズの 移動方向は、ケラレの原因になるカメラ自身の障害部分としてのカメラ筐体を撮影範 囲から外す方向である。下記の実施の形態では、レンズの移動方向は、ベース部か ら離れる方向であり、また、パンチルト可能なカメラにおけるパン軸方向である。

[0025] この構成により、レンズの回動中心を移動した状態で俯角方向を撮影することがで きる。そして、レンズの方向の変化に応じて、良好な画像が得られる適当な位置にレ ンズを移動することができる。したがって、俯角方向の良好な画像が得られる。

[0026] 以下、本発明の実施の形態のドーム型カメラについて、図面を用いて説明する。

[0027] 図 1は、本発明の第 1の実施の形態のドーム型カメラを示している。本実施の形態 では、ドーム型カメラ 10は監視カメラである。本実施の形態では、図 1のようにドーム の天頂が上を向いた状態で、上方向を天頂方向といい、横方向を水平方向という。 そして、カメラレンズの方向は水平方向を基準として表され、水平方向より上向きの角 度を仰角といい、水平方向より下向きの角度を俯角という。水平方向のレンズ角度は 0、天頂方向のレンズ角度は 90度である。

[0028] 図 1において、ドーム型カメラ 10は、筐体を構成するベース 12とカバー 14とを備え る。ベース 12は全体としては円形であり、天井等の設置個所への取付構造を有する 。また、ベース 12はレンズ 16を回動可能に支持している。レンズ 16は、鏡筒 18に保 持されており、鏡筒 18の後端には撮像素子が備えられ、これらによってカメラが構成 されている。

[0029] カバー 14は、リング部 20を有し、リング部 20にドームカバー 22がねじで取り付けら れた構成を有する。リング部 20は、ベース 12への取付構造を有する。ドームカバー 2 2は窓部材であり、透明なプラスチックでできている。図示のように、ドームカバー 22 の形状は、カバー 14がベース 12に取り付けられたときにレンズ 16がドームカバー 22 に収まる形状である。これによりレンズ 16は窓部材の内側に配置される。

[0030] 次に、レンズ 16の支持構造であるパンチルト機構について説明する。レンズ 16は、 下記のようにパン方向およびチルト方向に回動可能に支持されている。特に、本実 施の形態では、ドーム中心から天頂方向に離れた位置へと回動中心が移動可能に レンズ 16が支持されている。

[0031] 図 1において、レンズ 16の支持構造としては、ベース 12に、パン部 24が水平面上 で回転可能に備えられている。パン部 24は薄板からなり、リング形状を有する。パン 部 24上で 180度離れた 2箇所に支持壁 26が立設されている。そして、 2つの支持壁 26の間に、レンズ 16がチルト方向に回動可能に取り付けられる。レンズ 16はパン方 向およびチルト方向に手動で回動される。また、レンズ 16には、パンおよびチルトに 伴う撮影範囲の角度変化を補正するために、アジマス部 28が設けられており、アジ マス部 28も手動で動かされる。

[0032] 各支持壁 26には、第 1取付穴 30と第 2取付穴 32の 2つの取付穴が設けられている 。段ねじ (段付きねじ） 34が、第 1取付穴 30および第 2取付穴 32の一方に通されてレ ンズ 16に締め付けられる。これにより段ねじ 34がチルト回動軸となり、レンズ 16がチ ノレト方向に回動可能に支持される。なお、レンズ 16のねじ穴は、その中心線が光軸と 交差する位置にある。

[0033] 第 1取付穴 30および第 2取付穴 32は異なる高さに設けられている。第 1取付穴 30 は、パン部 24がベース部 12に取り付けられたとき、ドーム中心と一致する場所に設 けられている。すなわち、 2つの支持壁 26の第 1取付穴 30の中心を結ぶ直線を引く としたら、この直線がドームカバー 22の半球の中心を通過する。

[0034] 第 2取付穴 32は、第 1取付穴 30よりも上側、すなわち、ドーム中心より天頂側に位 置している。第 2取付穴 32は、後述するようにレンズ 16を使って俯角方向を撮影する ときにケラレが発生しなレ、高さに設けられてレ、る。

[0035] 第 1取付穴 30と第 2取付穴 32は、同じ大きさである。また、図示のように、第 1取付 穴 30と第 2取付穴 32は、穴径よりも小さな幅のスリット 36で連結されている。

[0036] 図 2は、段ねじ 34を示しており、段ねじ 34は、頭部 40とねじ部 42の間に大径部 44 と小径部 46を有している。大径部 44の先端側に小径部 46が続いている。大径部 44 および小径部 46の断面は共に円形である。

[0037] 大径部 44の直径は、第 1取付穴 30および第 2取付穴 32の内径とほぼ同じであるが 、第 1取付穴 30および第 2取付穴 32よりも少し小さい。これにより、段ねじ 34が締め 付けられたとき、大径部 44がレンズ 16の回動軸になる。

[0038] 小径部 46の直径は、スリット 36よりも少し小さく設けられている。段ねじ 34が脱落し ない範囲で緩められた状態では、小径部 46にスリット 36を通過させることができる。 そうして、段ねじ 34を第 1取付穴 30から第 2取付穴 32へ、またはその逆方向に移動 させること力 Sできる。このようにしてレンズ 16を動かして、その高さを変えられる。

[0039] 次に、本実施の形態のドーム型カメラ 10の組立方法を説明する。図 1に示すように 、ベース 12にパン部 24が取り付けられ、パン部 24の 2本の支持壁 26の間にレンズ 1 6が取り付けられる。このとき、 2本の段ねじ 34が、両側の支持壁 26の第 1取付穴 30 または第 2取付穴 32のどちらかに外側から通され、レンズ 16のねじ穴に締め付けら れる。そして、レンズ 16が所望の撮影方向を向くようにレンズ 16が回動され、さらに、 アジマス調整が行われる。

[0040] ここで、第 1取付穴 30と第 2取付穴 32は以下のように選択される。まず、チルト角が 比較的小さいときについて説明する。この場合、水平方向からの仰角が比較的大き レ、。そして、ケラレの問題がなレ、。この場合は、第 1取付穴 30が選択される。基本的 には、第 1取付穴 30が優先的に選択される。回動中心がレンズ 16の光軸上にあるの で、光軸がドーム中心を通ることになり、これにより良質な画像が得られる。なお、本 明細書では、レンズ 16が天頂を向くときにチルト角力 SOである（レンズ角度が 90度の ときに、チルト角が 0度）。

[0041] 次に、チルト角が大きいときについて説明する。この場合、撮影方向が上向きでも 仰角が小さい。あるいは、撮影方向が水平方向または俯角方向である。この場合は、 第 1取付穴 30を使用すると、ケラレが生じる。ケラレとは、前述のように、カメラケース の一部が撮影範囲に入り、画像が部分的に暗くなることをいう。そこで、このような場 合は、第 2取付穴 32が選択される。これにより、レンズ 16の回動中心が高いところに 位置し、ケラレが回避される。

[0042] 図 3は、第 2取付穴 32を選択したときの撮影範囲の例を示している。本実施の形態 のドーム型カメラ 10は監視カメラなので、撮影範囲は監視範囲である。この例では、 撮影方向は水平であり、撮影範囲の半分は俯角方向である。図示のように、回動中 心を高くしたことで、カメラケース (カバー 14のリング部 20の上端）が撮影範囲から外 れ、ケラレが回避される。

[0043] 図 1に戻り、レンズ 16を所望の方向に向けた状態で、カバー 14が取付られ、このよ うにしてドーム型カメラ 10が完成する。なお、レンズ 16の方向調整と、カバー 14の取 付は、ベース 12を天井等の設置個所に設置した状態で行われてよい。

[0044] 次に、ドーム型カメラ 10が既に組み立てられているときのレンズ 16の高さ調整の動 作を説明する。この場合、カバー 14が取り外され、レンズ 16の方向が手動で変更さ れる。

[0045] ここで、調整前は、パン部 24の支持壁 26の第 1取付穴 30にレンズ 16が取付られて いたとする。この場合、レンズ 16の回動中心がドーム中心と一致している。そして、レ ンズ 16が、仰角の小さい方向か、水平方向、または俯角方向を向くように回動される とする。ここでは例としてレンズ 16を水平方向に向けることとする。レンズ 16を水平方 向に向けると、俯角方向も撮影範囲に入ることになる。 [0046] そこで、段ねじ 34が脱落しない範囲で緩められ、レンズ 16が天頂方向に移動され る。段ねじ 34の小径部 46が支持壁 26のスリット 36を通り、段ねじ 34が第 2取付穴 32 へと移動する。段ねじ 34が再び締め付けられ、段ねじ 34の大径部 44が第 2取付穴 3 2内で軸支される。そして、レンズ 16が水平方向を向けられる。パン方向の回動およ びアジマス調整も必要に応じて行われる。

[0047] 以上、本発明の第 1の実施の形態について説明した。本実施の形態によれば、レ ンズ 16の回動中心を、ドーム中心から天頂方向へと移動可能に支持したことにより、 レンズ 16の回動中心がドームカバーの中心から天頂方向へ離れて位置する状態で 俯角方向を撮影することができる。これによりケラレを低減し、俯角方向の良好な画 像が得られる。

[0048] また、本実施の形態では、俯角方向を含まない通常の撮影方向ではレンズ 16の回 動中心をドーム中心に保持できる。そして、光軸上にドーム中心を位置させた良好な 画像が得られる。したがって、通常の撮影方向における画質を維持しつつ、俯角方 向の撮影も可能になる。

[0049] また、本実施の形態は、俯角方向の撮影においても、下記の従来構成と比較すると 画質の向上が図れる。従来、ある種のカメラでは、カバーが、半球型のドームの下側 に円筒形の透明カバーが合体した形状を有している。このようなカメラでは、円筒部 分を通して俯角方向の撮影が可能である。しかし、この場合、 2次元曲面である円筒 部分を通して画像が得られる。このような画像の画質は、 3次元曲面である球面を通 して得た画像と比べて圧倒的に低レ、。そのため、俯角方向を撮影するときの画質の 劣化が激しい。

[0050] このように、従来構成は、 2次元曲面である円筒部を通して俯角方向を撮影してい るため、画質の面で相当に不利であった。これに対して、本実施の形態は、 3次元曲 面である球面を通した撮影を可能としてレ、るので、円筒部を通す撮影と比べれば画 質が向上する。すなわち、上記従来構成と比べれば、俯角方向を撮影するときにも 良質な画像が得られる。

[0051] 次に、本発明の第 2の実施の形態のドーム型カメラについて説明する。

[0052] 図 4は、本実施の形態のドーム型カメラのレンズ支持機構を示している。図 5は図 4 の一部拡大図である。本実施の形態のドーム型カメラ 50は、下記に説明するように、 レンズ 16のチルト方向の回動に応じてレンズ 16を高さ方向に移動させるレンズ移動 機構としてのカム機構を備えている。図示されないベース、カバー等の構成は、上述 の第 1の実施の形態と同様でよぐ説明を省略する。

[0053] 図 4および図 5において、パン部 52は第 1の実施の形態と同様にリング状の薄板で ある。パン部 52には 2つの支持壁 54が立設されている。支持壁 54には長穴 56が設 けられている。レンズ 16は、ねじ 58により長穴 56に回動可能に、かつ、長穴 56内で 高さ方向に移動可能に取り付けられている。

[0054] ねじ 58は、図示されないが、頭部とねじ部の間に円柱軸部を備えている。この円柱 軸部が第 1の実施の形態と同様に回動軸として機能する。レンズ 16側のねじ穴の中 心線はレンズ 16の光軸と交差する位置にある。ねじ 58が長穴 56の最も下に位置す るとき、ねじ 58の中心線はドーム中心を通り、したがって、回動軸がドーム中心を通り 、そして、レンズ 16の光軸もドーム中心を通る。ねじ 58は、レンズ 16と共に、図 4およ び図 5の位置から上方へ移動できる。なお、図 4、図 5では、本発明を理解しやすいよ うに、ねじ 58を簡略化し、ねじ 58の頭部を小さく書いてある。

[0055] ねじ 58には板状カム 60が取り付けられている。板状カム 60は、ねじ 58に対して固 定されており、ねじ 58およびレンズ 16と共に回動する。また、支持壁 26には、板状力 ム 60と当接する位置に、押当て片 62がねじ 64で固定されている。押当て片 62は、 ねじ 54を軸として回動可能な円板である。押当て片 62の外周面が板状カム 60の外 周面と接する。

[0056] さらに、支持壁 26には、ねじりばね 66が取り付けられている。ねじりばね 66の一端 は支持壁 26に、押当て片 62の下方で取り付けられている。ねじりばね 66の他端は ねじ 58に取り付けられてレ、る。ねじりばね 66は、ねじ 58と共にレンズ 16を下方に付 勢している。

[0057] また、図示されないが、もう反対側の支持壁 26にも同様のカム構造が備えられてい る。

[0058] 次に、本実施の形態のカム設定について説明する。本実施の形態のカムは、下記 のように、仰角方向に対応する所定の中心保持角度範囲 Aではレンズ 16の回動軸 をドーム中心に保持し、中心保持角度範囲 Aよりも低角度側ではレンズ 16の回動軸 をドーム中心から天頂方向に移動させるように設定されてレ、る。

[0059] すなわち、図 4、図 5では、レンズ 16が天頂方向を向いており、チルト角力 SO度であり 、仰角は 90度（最大）である。カム板 60は、この状態の最下点（押当て片 62との接点 )を含む中心保持角度範囲 Aでは円形である。そして、この中心保持角度範囲 Aで は、カム板 60は、レンズ 16の回動軸を長穴 56の一番下に位置させる。すなわち、力 ム板 60は、回動軸をドーム中心に位置させる。中心保持角度範囲 Aは、レンズ 16の チルト角が小さぐ仰角が大きい方向に対応している。そして、中心保持角度範囲 A は、レンズ 16の回動軸がドーム中心にあってもケラレが生じないように設定されてい る。

[0060] そして、カム板 60は、中心保持角度範囲 Aの外側では、半径方向に拡大されてい る。これによりカム板 60は、レンズ 16の回動軸をドーム中心から天頂方向に移動させ るように設定されてレ、る。中心保持角度範囲 Aの外側とは、チルト角が大きぐ水平方 向を基準とする角度が小さい側である。レンズ 16がどの方向を向いたときもケラレが 生じないようにするために、カム面レンズ 16の傾斜が大きくなるにつれて回動軸を上 方に移動させるようにカム面が設定されてレ、る。

[0061] 次に、本実施の形態のドーム型カメラ 50について、パンチルト機構の動作を説明す る。本実施の形態のパンチルト機構は、前述の第 1の実施の形態と同様に手動式で ある。したがって、レンズ 16の方向が手で変えられる。パン方向については、パン部 2 4が手で回される。チルト方向については、レンズ 16がパン部 24に対して手で回され る。また、アジマス調整も、手でレンズ 16を光軸周りに回すことで行われる。

[0062] ここで、チルト方向の回動について見ると、図 4の状態では、レンズ 16が天頂方向 を向いている。このとき、レンズ 16は中心保持角度範囲 Aにある。ねじりばね 66がね じ 58と共にレンズ 16を下方に押しつけている。板状カム 60の円形部分 (扇形部分） が押当て片 62に当接し、ねじ 58が長穴 56の最も下に位置し、回動中心がドーム中 心と一致している。

[0063] この状態からレンズ 16をチルト方向に回動したとする。レンズ 16の方向が中心保持 角度範囲 Aにある間は、板状カム 60の円形部分が押当て片 62に当接している。レン ズ 16の高さは維持され、回動中心がドーム中心に保持される。レンズ 16の方向が中 心保持角度範囲 Aを超えると、カム面に従ってレンズ 16が天頂方向に向かって移動 する。

[0064] 図 6は、チルト角が 75度であり、すなわち仰角が 15度のときの状態を示している。

板状カム 60の円形部分より拡大された部分が、押当て片 62に当接している。レンズ 16はねじ 58と共に長穴 56内で押し上げられている。

[0065] 図 7は、さらにレンズ 16を回動し、レンズ 16が水平方向を向いた状態（チルト角 90 度、仰角 0度）を示している。この状態では、撮影範囲（監視範囲）の半分が俯角方向 である。そして、この状態では、レンズ 16がねじ 58と共に長穴 56内でさらに押し上げ られている。

[0066] このようにして、本実施の形態では、中心保持角度範囲 Aを超えてレンズ 16をチル トすると、レンズ 16の回動軸がカムによって上方へ押し上げられる。

[0067] レンズ 16を逆方向に回動すれば、やはりカムに従ってレンズ 16が動き、下方へ移 動する。レンズ 16の方向が中心保持角度範囲 Aに入ると、ねじ 58が長穴 56の底に 位置し、レンズ 16の回動軸がドーム中心と一致する。

[0068] 以上に説明したように、本発明の第 2の実施の形態のドーム型カメラ 50によれば、 レンズ 16のチルト方向の回動に応じてレンズ 16を天頂方向に移動させるレンズ移動 機構を備えたことにより、レンズ 16の方向の変化に応じて、良好な画像が得られる適 当な位置にレンズ 16を移動することができる。

[0069] また、本実施の形態のドーム型カメラ 50は、レンズ 16の回動に応じて回動軸を所 定の位置に移動させるカムを備えている。このカムが、レンズ 16の回動に応じて常に 良好な画像が得られるように、ドーム中心とドーム中心から天頂方向に離れた位置の 間でレンズ 16の回動中心を移動させることができる。

[0070] また、上記のカムは、仰角方向に対応する所定の中心保持角度範囲 Aではレンズ 16の回動軸をドーム中心に保持し、中心保持角度範囲 Aよりも低角度側ではレンズ 16の回動軸をドーム中心から天頂方向に移動させるように設定されている。このよう なカム設定により、上記の中心保持角度範囲 Aではレンズ 16の回動軸をドームカバ 一 22の中心に保持して、良好な画像を得ることができる。 [0071] また、上記のカムは、回動軸に取り付けられた板状カム 60で構成されており、板状 カム 60の外周のカム面が、回動可能に固定された押当て片 62に当接している。した がって、このような簡単な構成で適切なカム構造を備えることができている。

[0072] また、上記の実施の形態によれば、別の観点では、レンズ 16のチルト方向の回動 中心が移動可能にレンズ 16が支持される。そして、チルト方向の回動に応じてレンズ 16が移動される。したがって、レンズ 16の回動中心を移動した状態で俯角方向を撮 影すること力 Sできる。そして、レンズ 16の方向の変化に応じて、良好な画像が得られ る適当な位置にレンズ 16を移動できる。したがつて俯角方向の良好な画像が得られ る。この観点では、本発明はドーム型カメラに限定されず、ドームが備えられずともよ レ、。

[0073] 以上に現時点で考えられる本発明の好適な実施の形態を説明したが、本実施の形 態に対して多様な変形が可能なことが理解され、そして、本発明の真実の精神と範 囲内にあるそのようなすべての変形を添付の請求の範囲が含むことが意図されてい る。

産業上の利用可能性

[0074] 以上のように、本発明にかかるドーム型カメラは、俯角方向の良好な画像が得られ るという効果を有し、監視カメラ等として有用である。

Claims

請求の範囲

[1] ドームカバーと、

前記ドームカバーの内側にチルト方向に回動可能に備えられるレンズと、 前記レンズの回動中心がドーム中心から天頂方向に離れた位置へと移動可能に前 記レンズを支持するレンズ支持構造と、

を備えたことを特徴とするドーム型カメラ。

[2] 前記レンズのチルト方向の回動に応じて前記レンズを天頂方向に移動させるレンズ 移動機構を備えたことを特徴とする請求項 1に記載のドーム型カメラ。

[3] 前記レンズ移動機構は、前記レンズの回動に応じて回動軸を所定の位置に移動さ せるカムを備えたことを特徴とする請求項 2に記載のドーム型カメラ。

[4] 前記カムは、仰角方向に対応する所定の中心保持角度範囲では前記レンズの回 動軸をドーム中心に保持し、前記中心保持角度範囲よりも低角度側では前記レンズ の回動軸をドーム中心から天頂方向に移動させるように設定されてレ、ることを特徴と する請求項 3に記載のドーム型カメラ。

[5] 前記カムは、回動軸に取り付けられた板状カムであり、板状カムの外周のカム面が 固定押当て部に当接してレ、ることを特徴とする請求項 3に記載のドーム型カメラ。

[6] チルト方向に回動可能に設けられるレンズと、

前記レンズの回動中心が移動可能に前記レンズを支持するレンズ支持構造と、 前記レンズのチルト方向の回動に応じて前記レンズを移動させるレンズ移動機構と を備えたことを特徴とするカメラ。