WO2005026859A1 - 振動抑制フィルタの自動設定方法 - Google Patents

Abstract

　特別な処理を必要としない簡単な方法で、制御装置が自動的に振動周波数を検出して、どのようなフィルタが必要かを判断してフィルタを設定する。 　サーボモータを駆動するサーボ制御装置において、制御系の振動を検出する振動検出手段と、振動周波数測定・解析手段を備え、運転中振動が発生すると振動検出手段で振動検出を行い、振動周波数測定・解析手段で振動周波数成分の大きい周波数を測定し、振動周波数で振動抑制フィルタの周波数を設定する。

Description

明 細 書

振動抑制フィルタの自動設定方法

技術分野

[0001] 本発明はサーボモータを駆動するサーボ制御装置で機械等が振動した時、振動を 検出してその周波数成分の大きい周波数を算出して、フィルタを設定する方法に関 する。

背景技術

[0002] 従来、図 4のようにサーボの指令入力（例えば速度指令）に周波数解析装置あるい は FFT (高速フーリエ変換)解析装置の信号出力を接続し、サーボ制御装置の検出 出力である例えばモータ速度を周波数解析装置に入力する。図 4において 6はモー タ、 7はエンコーダ、 8は負荷機械、 12はサーボ制御装置、 11は FFT解析測定器で める。

周波数解析装置は周波数を掃引した信号をサーボ制御装置へ出力し、サーボ制 御装置で駆動されたモータの速度波形を FFT解析し、振動の周波数を求める。ある いは、掃引波形とモータ速度波形の FFT解析結果力 サーボ系の周波数特性を求 め、振動周波数を特定する。このようにして求めた、振動周波数から、共振する周波 数を遮断するような振動抑制フィルタ (例えば、ノッチフィルタや低域通過フィルタ等） のパラメータを設定していた。

例えば、図 3 (i)のグラフから共振周波数 fOを求め、フィルタの遮断周波数を fOに合 わせて、図 3 (ii)のようにする。また、特許文献 1のように振幅一定で周波数を変化さ せた信号をサーボ制御装置へ加え、モータ速度信号ある!、は機械の可動テーブル の位置信号等を周波数分析し、共振する周波数を求め、これをカットするようにフィル タのパラメータを決めて ヽた。

特許文献 1：特開平 05— 346813号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] ところが従来の技術では、周波数特性を求めるために、専用の測定器等が必要で 周波数掃引する周波数、速度信号を用い適当な振幅等の適する条件を人が設定す る必要があり、例えば条件設定を間違えて信号が小さい場合正しく測定できず、信号 が大きいと大きな共振が発生して機械を壊す等の可能性があった。

またその結果、 FFT解析をするのは処理が大変なのと、測定したデータに幾つかピ ークがある場合必要なものを抽出する必要があった。更にその振動の周波数よりどの ようなフィルタが必要か人が選択してその周波数の逆数の時定数分のフィルタをサー ボに設定しなければならず、到底自動で設定できなかった。

周波数特性の測定では計測器が機械的に周波数掃引を行うので、 1度振動すると 非常停止する迄負荷機械が振動し続ける問題もあった。またその場合負荷機械の振 動状態は直ぐに収まらないので、暫く続く可能性があった。

そこで本発明は、特別な処理を必要としない簡単な方法で、制御装置が自動的に 振動周波数を検出して、どのような周波数成分を取り除くフィルタが必要かを判断し てフィルタの周波数を設定することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0004] 上記課題を解決するため、所定時間毎に例えばトルク又は推定速度と速度との差 といったデータをサンプリングしつつ、振動検出手段である一定以上の振動が検出さ れると、そのデータを周波数解析して、その周波数成分の中から大きい周波数を幾 つか算出し、その振動エネルギー相当が大きな周波数以上をカットする或いは周波 数に応じてその周波数帯域をカットするようなフィルタを選択する。

上記手段により、簡単な方法で必要な時に算出でき、また制御装置単体でオンライ ンにて自動設定することができる。

発明の効果

[0005] 本発明によれば、簡単な方法で必要な時に必要なフィルタの周波数をオンラインで 自動で設定できると 、う効果がある。

図面の簡単な説明

[0006] [図 1]本発明及び従来の具体的実施例の構成図である。

[図 2]通常運転した時の速度指令、速度、トルクの波形と振動レベルの測定タイミング 図である。 [図 3]振動波形の例である。

[図 4]設定タイミング図である。

[図 5]負荷機械の周波数特性である。 (i)はフィルタなしの周波数特性である。 (ii)は フィルタを入れた時の周波数特性である。

[図 6]本発明の振動抑制フィルタを設定する概略フローチャートである。

[図 7]従来の実施例の構成図である。

符号の説明

[0007] 1 振動検出手段

2 マイクロコンピュータ

3 電流アンプ

4 ベースドライブ回路

5 パワートランジスタモジュール

6 モータ

7 エンコーダ

8 負荷

9 データトレース

10 周波数解析

11 FFT解析測定器

12 サーボ制御装置

発明を実施するための最良の形態

[0008] 以下、本発明の具体的実施例を図 1に示して説明する。

実施例

[0009] 図 1において 1は振動検出手段、 2はマイクロコンピュータ、 3は電流アンプ、 4はべ ースドライブ回路、 5はパワートランジスタモジュール、 6はモータ、 7はエンコーダ、 8 は負荷機械、 9はデータトレース、 10は周波数解析手段である。

以上のように構成された回路にぉ 、て、その動作を図 4のタイミング図を用いて説 明する。

まずマイクロコンピュータ 2は位置や速度といった指令を外部のコントローラ等から 受取る。

そして例えば速度指令の場合は速度制御を行いその出力の電流指令で電流制御 を行 、、ベースドライブ駆動回路 4を通してパワートランジスタ 5を駆動しモータ 6を制 御する。

ここでマイクロコンピュータ 2は、通常運転中例えば定速運転でトルク又は推定速度 と速度との差のデータを図 4のようにデータトレースする。ここで早送り中に振動した 場合、振動検出手段 1で振動を検出する。

ここで振動検出手段 1は、トルク指令ある!/ヽはモータの速度信号中に含まれる振動 成分が、あらカゝじめ定めたレベルを超えた場合に、振動を検出する。検出レベルは 例えば図 3のように通常運転或いは運転して機械特有の運転時の振動振幅レベル を検出する。この図では通常運転でのトルクの振動振幅の最大値を検出している。こ の通常時の振動レベルの例えば 3倍程度を振動の検出レベルとすれば良い。振動 が検出されると、その時のトレースデータを周波数解析手段 10で周波数解析する。 そのうちスペクトル分の大きい周波数成分又は振動エネルギーに相当するものが大 き 、周波数 (周波数と振幅の掛け合わせたもの又はその 2乗値が大き 、周波数)等（ 図 4 (ii)の fO)を選択する。選択した振動周波数 fO又はその前後の周波数を、振動抑 制フィルタ、例えばノッチフィルタのノッチ周波数として設定すると、例えば、図 5 (i)の ような共振と反共振を持った負荷機械の周波数応答を図 5 (ii)のように共振を抑える ように制御することができる。あるいは fOによって、低域通過フィルタの遮断周波数を 設定しても同等な効果を得ることができる。この場合、低域通過フィルタの遮断周波 数は、測定した fOのあら力じめ設定した定数倍とすればょ 、。

本発明の一連の動作を図 6のフローチャートにて説明する。まずステップ ST1でデ 一タトレース 9にてトルク又は速度等をデータトレースする。次にステップ ST2で振動 検出手段 1にて振動が発生したかを確認する。振動が発生した場合、ステップ ST3 でデータトレース 9のデータを周波数解析手段 10にて周波数解析する。次にステツ プ ST4で周波数の判定を行う。前述したようにスペクトル分の大き 、周波数又は振動 エネルギーに相当するものが大きい周波数を選択する。また振動発生中数回データ を取り算出する場合は、数回のデータ力も振動エネルギーに相当するものが大き!/ヽ 周波数を選択するようにすると判定しやすい。次にステップ ST5のように振動周波数 が制御能力で決まる周波数より高い場合、ステップ ST6Aのように周波数近傍を遮断 するような振動抑制フィルタ、例えばノッチフィルタを選択し振動周波数

が低 、場合、ステップ ST6Bのように周波数以下を遮断するような振動抑制フィルタ、 例えば低域通過フィルタを選択しフィルタの時定数等を設定する。制御能力で決まる 周波数は例えば 400Hz程度迄は制御ゲインに影響を及ぼす可能性があるので低域 通過フィルタ等を使用する等の理由で、制御能力等に応じて決める。

解析するデータは振動を反映するデータで有れば速度や推定速度との差以外でも 良ぐ他にトルク等でも構わない。推定速度と速度との差は例えば、トルク指令より負 荷を考慮して速度を算出或いはオブザーバより推定した速度と速度との差をとる等す る。また振動検出 1、データトレース 9や周波数解析手段 10はマイクロコンピュータ 2 で行ってもよい。

このように振動、共振や共鳴等が発生した時の必要な時に、必要なフィルタを設定 することができる。そして振動抑制フィルタを設定した後、確認するようにしてもよい。 また連続して解析したものと異なり共振周波数のみ得られるので、制御系の振動成 分と分けることができる。

産業上の利用可能性

本発明はロボットや数値制御装置等において、サーボモータを駆動するサーボ制 御装置で負荷機械が振動した場合その振動を検出し、その振動周波数成分の大き い周波数を求め、サーボ制御装置の振動抑制フィルタを自動的に設定することがで きる。

Claims

請求の範囲

[1] サーボモータを駆動するサーボ制御装置において、制御系の振動を検出する振動 検出手段と、周波数解析手段を備え、運転中に振動が発生すると前記振動検出手 段で振動検出を行 、、前記周波数解析手段で振動周波数成分の大き 、周波数を測 定し、前記振動周波数で振動抑制フィルタの周波数又はその前後の周波数を設定 することを特徴とする振動抑制フィルタの自動設定方法。

[2] 振動周波数の測定は運転中行うために推定速度力 速度を差し引いた速度又はト ルクを前記周波数解析手段で振動周波数成分の大き!、周波数を測定し、前記振動 周波数又はその前後の周波数で前記振動抑制フィルタの周波数を設定することを特 徴とする請求項 1に記載の振動抑制フィルタの自動設定方法。

[3] 測定された振動周波数に対し検出した振動周波数が事前に設定した値より高い場 合はその周波数をカットするような前記振動抑制フィルタを、振動周波数が低!、場合 はその周波数以上をカットするような周波数に前記振動抑制フィルタを設定すること を特徴とする請求項 1または 2に記載の振動抑制フィルタの自動設定方法。

[4] 測定された振動周波数が幾つかの山を持つ場合、振動エネルギーに相当するもの が大きい周波数を選択して設定することを特徴とする請求項 1一 3に記載の振動抑 制フィルタの自動設定方法。

[5] 数回周波数を測定して判定する場合エネルギーに相当するものが大きい周波数を 選択して設定することを特徴とする請求項 1一 3に記載の振動抑制フィルタの自動設 定方法。

[6] 振動抑制フィルタ以外に測定した周波数を用いて制御することを特徴とする請求項 1に記載の振動抑制フィルタの自動設定方法。