JP4683198B2 - 振動抑制フィルタの設定方法 - Google Patents
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Description
周波数解析装置12は周波数を掃引した信号をサーボ制御装置へ出力する一方、サーボ制御装置により駆動されるサーボモータ6の速度波形をFFT解析し、振動周波数を求めていた。または、掃引波形とサーボモータ6の速度波形のFFT解析結果から機械系の周波数特性を求め、振動周波数を特定していた。
このようにして求めた振動周波数から、共振を発生させる周波数を遮断する振動抑制フィルタ(ノッチフィルタや低減通過(ローパス)フィルタなど)のパラメータを設定していた。
例えば、図5(a)のような周波数応答のグラフから共振周波数f0を求め、フィルタの遮断周波数を図5(b)のようにf0より低い値に設定していた(例えば特許文献1参照)。
あるいは、サーボモータの検出速度を2次以上のハイパスフィルタに通しさらにノッチフィルタに通した出力が所定値以上となった場合にノッチフィルタのノッチ周波数を修正し、その周波数を振動抑制のための別のノッチフィルタのノッチ周波数として設定するという手法が用いられていた(例えば特許文献2参照)。
このように、従来は周波数解析装置などの測定器で測定を行い、手動にて振動抑制フィルタの設定を行っていた。
条件を間違えて設定して速度指令信号が小さくなると正しく測定できず、逆に速度指令信号が大きいと大きな共振が発生して機械を壊してしまうといった問題があった。またQ値は別途調整しなければならないという問題があった。
一方、特許文献2の方法では構成が複雑であったり、Q値の調整ができなかったりするという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、振動抑制フィルタ設定後、振動の大きさを確認し、適切なQ値を設定できる方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、サーボモータを駆動するサーボ制御装置における振動抑制フィルタの設定方法であって、前記サーボ制御装置運転中に発生する振動を検出し、前記振動から周波数成分の大きい周波数を振動周波数として抽出し、前記振動周波数が所定値より低い場合は振動抑制フィルタとして前記振動周波数以上の帯域を遮断するローパスフィルタを適用し、前記振動周波数が所定値以上の場合は振動抑制フィルタとして前記振動周波数近傍の帯域を遮断するノッチフィルタを適用し、前記ノッチフィルタを適用する場合には、一旦前記ノッチフィルタのQ値を設定後、前記Q値を大きくしながら前記振動の抑制効果を確認し、振動抑制効果が確認された適切な前記Q値を設定するものであって、前記Q値を大きくする過程において、記振動周波数と前記サーボ制御装置の速度制御ゲインとの干渉を考慮して、前記ノッチフィルタのノッチ周波数および前記Q値と、前記サーボ制御装置の速度制御ゲインの関係を次式のようにすることを特徴とする。
ただし、Kv:速度制御ゲイン
Q :Q値
fc:ノッチ周波数
また、請求項2に記載の発明は、前記Q値を大きくする過程において前記振動の抑制効果がない場合、再度前記振動周波数を測定して再測定した前記振動周波数近傍の帯域を遮断するノッチフィルタを適用し、Q値を設定することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明によると、振動抑制効果がない場合に再度振動周波数を測定してQ値を設定することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、速度制御ゲインや制御周波数などとの干渉を防止することができる。
実際のサーボ制御装置には様々な機能や手段が内蔵されているが、図には本発明に関係する機能や手段のみを記載し説明することとする。
図1において1は振動検出手段、2はマイクロコンピュータ、3は電流アンプ、4はベースドライブ回路、5はパワートランジスタモジュール、6はモータ、7はエンコーダ、8はモータ6の負荷、9はデータトレース手段、10は周波数解析手段である。
マイクロコンピュータ2内は、振動抑制フィルタを適用する振動抑制フィルタ部11を備える。
以上のように構成された装置について、その動作を説明する。まずマイクロコンピュータ2は位置や速度といった指令を外部のコントローラから受け取る。
例えば速度指令であれば、マイクロコンピュータ2は速度指令から速度フィードバックを差し引き、ゲインを乗じて速度制御を行い、電流アンプ3はマイクロコンピュータ2が出力する電流指令に従って電流制御を行い、ベースドライブ回路4を介してパワートランジスタモジュール5を駆動してモータ6を制御する。
早送り速度中に振動が発生した場合には振動検出手段1にて検出する。ここで、振動検出手段1はモータ6へのトルク指令(電流指令)あるいはモータ6からフィードバックされる速度信号中に含まれる振動成分が予め定めたレベルを超えた場合に振動として検出するものとする。
検出レベルは例えば図3のように、実際に運転させた時の振動振幅を検出して決定する。図3では通常運転時のモータ6へのトルク指令の振動振幅の最大値を検出しており、例えばこの通常時の振動レベルの3倍程度を検出レベルとする。
振動が検出されると、その時のトレースデータを周波数解析手段10にて周波数解析する。解析結果のうち、スペクトル分の大きい周波数成分または振動エネルギーに相当するものが大きい周波数(周波数とその時の振動振幅との積、またはその2乗値が大きい周波数)を選択する。図4の例では図4(b)にてf0を選択している。
ノッチフィルタは図6に示すような特性を持ち、その入力信号から不要な周波数を除去すると同時にその他の周波数に与える影響は少なくするために使用される。ノッチ周波数とは、図6のfcに当たる。
あるいはf0をもとにローパスフィルタの遮断周波数を設定しても同等の効果を得ることができる。この場合はローパスフィルタの遮断周波数はf0を予め設定した定数倍したものとすればよい。
Q値とはフィルタの周波数応答の変化の鋭さを示す尺度であり、図6に示すような特性のノッチフィルタにてQ値を大きくすると、そのノッチ周波数付近の帯域でしか振動抑制効果はなくなる。図6において、3[dB]遮断周波数fc1とノッチ周波数fcとの関係は次式のとおりである。
次にステップ4で振動周波数の判定を行う。前述したようにスペクトル分の大きい周波数成分または振動エネルギーに相当するものが大きい周波数を選択する。
また振動発生中に数回に渡ってデータを採って振動周波数を判定する場合であれば数回分のデータから振動エネルギーに相当するものが大きい周波数を選択するようにすると判定しやすい。
次にステップ5にて、振動周波数が制御系の性能によって決まる周波数以上であると判定された場合は、ステップ6−1のように振動周波数近傍を遮断するような振動抑制フィルタ(例えばノッチフィルタ)を選択し、前述のQ値などを設定するステップへ移る。
振動周波数が制御系の性能によって決まる周波数より低い場合は、ステップ6−2のようにその振動周波数以上を遮断するような振動抑制フィルタ(例えばローパスフィルタ)を選択してフィルタの時定数などを設定する。
制御能力によって決まる周波数は、例えば「振動周波数が400[Hz]以下の場合は制御ゲインに影響を及ぼす可能性があるのでローパスフィルタを使用する」など、制御能力や制御ゲインに応じて後述の式(3)より算出するか、あるいは予め求めておく。
このようにして本発明では、速度制御ゲインKvとの干渉を考慮してQ値を設定することができる。また、速度制御ゲインKvの最大値の上限、下限の範囲(式(2)における1/4〜1/3のような係数)は制御遅れやマージンを考慮して決定する。
そしてノッチフィルタを用いる場合、ステップ7でQ値を変え、ステップ8で振動データをトレースし、振動レベルを確認し、振動が小さくなるならばQ値を大きくする(ステップ10)。
振動抑制の効果があるならばそのノッチ周波数とQ値を採用し、効果がない場合はノッチ周波数が適切でないと判断して再設定を行う(ステップ11でYesの場合)。
解析するデータは機械系の振動を反映するものであればモータの検出速度と推定速度との差以外のもの、例えばトルクなどでもよい。推定速度としては、トルク指令から負荷を考慮して算出した速度やオブサーバにより推定した速度を使用する。
また、振動検出手段1、データトレース手段9や周波数解析手段10はマイクロコンピュータ2で行ってもよい。
2 マイクロコンピュータ
3 電流アンプ
4 ベースドライブ回路
5 パワートランジスタモジュール
6 モータ
7 エンコーダ
8 負荷
9 データトレース手段
10 周波数解析手段
11 振動抑制フィルタ部
12 周波数特性解析手段
Claims (2)
- サーボモータを駆動するサーボ制御装置における振動抑制フィルタの設定方法であって、
前記サーボ制御装置運転中に発生する振動を検出し、
前記振動から周波数成分の大きい周波数を振動周波数として抽出し、
前記振動周波数が所定値より低い場合は振動抑制フィルタとして前記振動周波数以上の帯域を遮断するローパスフィルタを適用し、
前記振動周波数が所定値以上の場合は振動抑制フィルタとして前記振動周波数近傍の帯域を遮断するノッチフィルタを適用し、
前記ノッチフィルタを適用する場合には、一旦前記ノッチフィルタのQ値を設定後、前記Q値を大きくしながら前記振動の抑制効果を確認し、振動抑制効果が確認された適切な前記Q値を設定するものであって、
前記Q値を大きくする過程において、記振動周波数と前記サーボ制御装置の速度制御ゲインとの干渉を考慮して、前記ノッチフィルタのノッチ周波数および前記Q値と、前記サーボ制御装置の速度制御ゲインの関係を次式のようにすることを特徴とする振動抑制フィルタの設定方法。
ただし、Kv:速度制御ゲイン
Q :Q値
fc:ノッチ周波数 - 前記Q値を大きくする過程において前記振動の抑制効果がない場合、再度前記振動周波数を測定して再測定した前記振動周波数近傍の帯域を遮断するノッチフィルタを適用し、Q値を設定することを特徴とする請求項1に記載の振動抑制フィルタの設定方法。
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