増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの効率的な作製方法及びその作製用 キット 技術分野
遺伝子治療やこれらの研究に用いることができる多因子により標的組織で特異 的に増殖し、 また、 標的組織で特異的に治療遺伝子を導入できる増殖制御型組換 えアデノウイルスベクタ一を迅速かつ容易に作製できる方法及びその作製用キッ トに関する。 背景技術
現在、 日本や先進国の死因の上位を占めるのは癌である。 特に、 癌の転移を完 全に克服することは、 既存の手術療法、 化学療法、 放射線療法では困難であるた め、 近年新しい治療法の研究、 中でも遺伝子治療が期待され、 その開発が進めら れてきている。 そして、 この基礎研究を基に、 癌への遺伝子治療は、 この約 1 0 年間で米国を中心に日本や他の先進国でも、 臨床試験が数多く行なわれるように なり、 その患者数も年々増えてきている。 しかし、 遺伝子治療のみで患者が完治 したという報告は未だない。 この最大の原因は、 現在使用されている遺伝子導入 ベクターの大部分は、 安全性を確保するため、 ウィルスの感染後は治療遺伝子を 導入するだけでウィルス増殖を起こさないように遺伝子工学的に修飾された非増 殖型ウィルスベクターだからである。 非増殖型ウィルスベクターは安全である反 面、 培養細胞での in vitro実験では優れた遺伝子導入効率を示しても、 実際の臨 床での in vivo投与では、 当然そのベクターを含む液体が浸透する領域以上には遺 伝子が導入されない。 非増殖型ベクターを使う以上、 どうしても遺伝子が導入さ れていない癌細胞から癌が再発するという問題は克服できず、 これが癌への遺伝 子治療が臨床で期待された効果を得られていない最大の原因である。
これを克服するアデノウイルスベクター (以下、 ADVと略すことがある) として、
癌で高率に機能不全になっている p53機能欠損癌細胞でのみ特異的に増殖する、 E1 Bのある領域を欠損した変異型アデノウィルス(ADV)が報告されている (Bischoff JR, et al. Science. 1996 Oct 18 ; 274 (5286): 373-376) 。 以降、 このように 癌特異的に限定されて増殖し、 正常細胞では増殖しない増殖制御型ウィルスべク ターの研究が進められてきた。 例えば、 アデノウイルスの E1A遺伝子を前立腺癌 特異的な PSAプ口モーターによつて発現させることで前立腺癌特異的に増殖させ ようとする試みがある (Rodruguez , R . , et al , Cancer Res , 57 , 2559 - 25 63, 1997) 。
しかし、 現在までに報告されている増殖制御型ウィルスベクターは、 癌を特異 的に標的化するのにいずれも単一因子に依存した制御のみで、 つまりその単一因 子が癌細胞と正常細胞の発現の違いがあることにより、 その因子に反応して癌細 胞でのみウィルスが増殖するように工夫されたものである。 しかし、 癌と正常細 胞は、 たかだか単一因子で違いを明確に規定できるものではないため、 既存の増 殖制御型ウィルスベクターは、 いずれも癌を特異的に標的化するというのには程 遠いものであった。 これを可能にするには異なる性格を持つ多因子で同時に癌を 特異標的化する必要があると思われるが、 今までにそのような報告はない。 また.、 これまでの増殖制御型ウィルスベクターは一つ一^ 3遺伝子組換えを行い、 一つ一 つの増殖制御型ウィルスベクターを作製しなければならなかった。 アデノウィル スは 36kBという長い DNAウィルスであるため、 それを含むプラスミ ドベクターの組 み換えは、 制限酵素の選択が限られるため、 遺伝子組換えに制限が多く、 効率良 く行うことは不可能であった。 このため、 迅速に多量の増殖制御型アデノウィル スベクターを作ったり、 改変したりすることは技術的に困難で、 癌を特異的に標 的化するベクターの探索に多数の増殖制御型ウィルスベクターを迅速に作製して 検証するということは技術的に不可能であった。 発明の開示
本発明は、 癌細胞などの標的組織を完全に標的化して標的細胞でのみウィルス
ベクターが増殖するものを探索、 作製するため、 多因子で同時に癌などを特異標 的化する増殖制御型組換えアデノウィルスベクターを効率的で迅速かつ簡単に作 製する方法及ぴその作製用キットを新たに提供する。
本発明は、 上流から順に E 1 A領域と、 E 1 B領域の少なくとも 1の蛋白質コ 一ディング領域又は全 E 1 B領域と、 ポリ Aシグナル配列と、 リコンビナーゼ認 識配列とを有し、 前記 E 1 A領域の内因性プロモーターと E 1 B領域の少なくと も 1の蛋白質コーディング領域における蛋白質をコードする遺伝子の発現を調節 する内因性プロモーターをそれぞれ欠失させ、 これらの欠失箇所にそれぞれ制限 酵素認識配列を挿入して作製した増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミド の前記制限酵素認識配列に、 標的組織で特異的に発現するプロモーターを各々導 入して増殖制御型ベクタープラスミドを作製し、 さらに、 この増殖制御型べクタ 一プラスミドを E 1領域を欠失させて作製したアデノウィルスゲノムを有するベ クタ一プラスミドに組み込み、 増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドを 作製することを特徴とする増殖制御型組換えアデノウィルスべクターの効率的な 作製方法を要旨とする。 ここで、 標的組織における糸且織は、 細胞をも含むもので ある。
また、 本発明は、 上記の増殖制御型ベクタープラスミドと、 上流から順にリコ ンピナーゼ認識配列と制限酵素認識配列を各々挿入して作製した治療遺伝子発現 用ユニットを含むベクタープラスミドの前記制限酵素認識配列に、 恒常的強発現 プロモーター又は治療遺伝子の発現プロモーターと治療遺伝子を上流から順に導 入して作製した第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドとにリコンビナーゼを 作用させて第 2の治療遺伝子発現ベクタープラスミ ドを作製し、 さらに、 この第 2の治療遺伝子発現ベクタープラスミ ドを E 1領域を欠失させて作製したアデノ ウィルスゲノムを有するベクタープラスミ ドに組み込み、 治療遺伝子が組み込ま れた増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドを作製することを特徴とする 治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの効率的な 作製方法を要旨とする。
また、 本発明は、 上記の増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドと、 上 流から順にリコンピナーゼ認識配列と制限酵素認識配列を各々挿入して作製した 治療遺伝子発現用ュニットを含むベクタープラスミ ドの前記制限酵素認識配列に、 恒常的強発現プロモーター又は治療遺伝子の発現プロモーターと治療遺伝子を上 流から順に導入して作製された第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドとにリ コンビナーゼを作用させ、 治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型アデノウィルス ベクタープラスミ ドを作製することを特徴とする治療遺伝子が組み込まれた増殖 制御型糸且換えアデノウィルスベクターの作製方法を要旨とする。
また、 本発明は、 上記の増殖制御型組換えアデノウイルスベクターの効率的な 作製方法に用いる増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ドを要旨とする。 この増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミドにより、 標的組織で特異的に 発現する任意の 2以上のプロモーターを各々制限酵素認識配列に導入して増殖制 御型ベクタープラスミドを容易に作製でき、 ひいては増殖制御型組換えアデノウ ィルスベクターを容易に作製できる。
また、 本発明は、 上記の増殖制御型組換えアデノウイルスベクターの効率的な 作製方法に用いる、 増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ドと、 E 1 A領 域を欠失したアデノウィルスゲノムを有するベクタープラスミドとを含む作製用 キットを要旨とする。 この作製用キットにより、 標的組織で特異的に発現する任 意の 2以上のプロモーターにより標的組織でのみ増殖する増殖制御型組換えアデ ノウィルスベクターを容易に作製できる。
また、 本発明は、 上記の治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウ ィルスべクタ一の効率的な作製方法に用いる治療遺伝子発現用ュニットを含むベ クタ一プラスミ ドを要旨とする。 この治療遺伝子発現用ユニットを含むベクター プラスミドにより、 標的組織で発現する任意の治療遺伝子を制限酵素認識配列に 導入して第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドを容易に作製でき、 ひいては 増殖制御型糸且換えアデノウイルスベクターを容易に作製できる。
また、 本発明は、 上記の治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウ
ィルスべクタ一の効率的な作製方法に用いる、 増殖制御用ュ-ットを含むベクタ 一プラスミドと、 治療遺伝子発現用ユニットを含むベクタープラスミドと、 少な くとも E 1 A領域を欠失したアデノウィルスゲノムを有するベクタープラスミド と、 を含む作製用キットを要旨とする。 この作製用キットにより、 標的組織で特 異的に発現する任意の 2以上のプロモーターと標的組織で発現する任意の治療遺 伝子をと備え、 標的組織でのみ増殖する増殖制御型組換えアデノウィルスベクタ 一を容易に作製できる。
また、 本発明は、 上記のいずれかの方法により作製された増殖制御型組換えァ デノウィルスベクターを利用する悪性腫瘍等種々の疾患に対する治療法を要旨と する。
本発明に用いるアデノウイルスは、 ヒトアデノウイルス 5型、 ヒトアデノウィ ルス 2型、 その他の型のヒトアデノウイルスをはじめ、 他の動物種のアデノウィ ルスなどを用いることもできる。
増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ドは、 以下のように遺伝子工学に おける一般的方法を用いて作製できる。
すなわち、 内因性のプロモーターを含まないポリ Aシグナル配列を含む E1A領域 をアデノウィルスの少なくとも 5'側のゲノムを含むプラスミドを鎵型として PCR法 により増幅し、 得られた PCR産物とクローユングべクターを制限酵素で消化した後、 ライゲーシヨンしてクローニングベクターに組み込み、 p A Pr. ElA (以下、 Prはプ 口モーター) を得る。 PCRのセンスプライマーとアンチアンチセンスプライマーに は、 任意の制限酵素認識配列が付加され、 内因性のプロモーターの欠失箇所に任 意の制限酵素認識配列を揷入する。 なお、 錶型となるプラスミドは、 アデノウィ ルスの少なくとも 5'側のゲノムを含むかぎり特に限定はない。 またクローニング ベクターについても特に限定はない。
次いで、 上記と同様にアデノウイルスゲノムを含むプラスミドを铸型として蛋 白質コーディング領域における蛋白質をコードする遺伝子の発現を調節する内因 性のプロモーターを欠失した E1Bの少なくとも 1の蛋白質コーディング領域を PCR
法で増幅し、 PCR産物と上記の p ΔΡι·. E1Aを制限酵素で消化した後、 ライゲーショ ンして ρΔΡι··Ε1Αに組み込み、 pAPr.ElA- APr.XkApA (以下、 PAはポリ Aシグナ ル配列) を得る。 XKは、 E1B領域の X55KDa, 19KDaなどいくつかの蛋白質をコード している少なくとも 1の蛋白質コーディング領域である。
ポリ Aシグナル配列を含むプラスミ ドを鎵型として上記と同様に PCR法で増幅 し、 得られた PCR産物と上記の p Δ Pr. E1A - Δ Pr. Xk Δ pAを制限酵素で消化した後、 ライゲーションして pAPr.ElA- APr.XkApAに組み込み、 ρ ΔΡΓ, E1A- ΔΡΓ. XKpAを 得る。 PCR法のプライマーにはリコンビナーゼ認識配列が付加され、 ポリ Aシグナ ル配列の下流にリコンビナーゼ認識配列を揷入する。 なお、 ポリ Aシグナル配列 を含むプラスミドに特に限定はない。
このようにして得られる増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミド ρΔΡι·. E1A- APr.XKpAは、 E1A領域の内因性のプロモーターと E1B領域の蛋白質コーディン グ領域における蛋白質をコードする遺伝子の発現を調節する内因性のプロモータ 一を欠失し、 これらの欠失箇所に制限酵素認識配列が挿入されるためのものであ る。 制限酵素認識配列には、 SnaBI、 EcoRV、 HaeIII、 Alul、 Smalなど平滑末端に 消化する制限酵素サイトを設けることが好ましい。
また、 E1A内部の Rb蛋白結合配列 (923〜947 bp、 24bp) を欠失した変異型アデ ノウィルスは、 腫瘍特異的にウィルス増殖を行なうという報告がある (Heise, C. et al, Nat Med. 2000; 6(10): 1134-9) ので、 E1A領域は Rb蛋白結合配列を欠失 させても良い。 Rb蛋白結合配列を欠失した Ε1ΑΔ24は、 上記の E1A領域を上記のァ デノウィルスの少なくとも 5'側のゲノムを含むプラスミ ドを铸型として Rb蛋白結 合配列から設計したプライマーを用い、 PCR法を利用する変異導入法 (Current Pr otocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. , 8.5.7〜8.5.9, 199 9) で得られる。 Ε1ΑΔ24を上記の増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミド pAPr.ElA-APr.XkpAを制限酵素で消化した後、 ライゲーシヨンして Rb蛋白結合配 列を欠失した増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミ ρΔΡι··Ε1ΑΔ24-ΑΡι·. ΧΚρΑを得る。
リコンビナーゼ認識配列は、 特異的な DNA組換え酵素であるリコンビナーゼに より認識される塩基配列であり、 そのリコンビナーゼにより二つのリコンビナー ゼ認識配列で挟まれた DNA鎖の切断、 置換、 結合という DNAの組換え反応を生じる 特異的な塩基配列をいう。 リコンビナーゼ発現遺伝子は、 リコンピナーゼを発現 する遺伝子で、 リコンビナーゼ認識配列 ΙοχΡまたは LoxHなどその他の変異体配列 を認識するパクテリオファージ P1由来のリコンビナーゼ Cre (Sternberg et al. J. Mol. Boil. Vol. 150, 467-486 (1981) )、 リコンビナーゼ認識配歹 llFRTを認識す る酵母 (Saccharomyces cerevisiae)由来のリコンビナーゼ FLP (Babineau et al. , J. Biol. Chera. Vol. 260, 12313-12319 (1985) )、 チゴサッカロマイセス ·ルー ィの pSRlプラスミド由来の R(Matsuzaki et al. , Mol. Cell. Biol. Vol. 8, 955- 962 (1988)を発現する遺伝子などを代表例として挙げることができるがこれらに 限定されない。
また、 増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ドの E1B領域を E1Bの全領域 とした p APr. ElA - APr. ElBpAとしても良い。 E1Bの塩基配列に基づき設計したプ ライマーを用い、 上記のアデノウイルスの少なくとも 5'側のゲノムを含むプラス ミドを铸型として PCR法により増幅し、 PCR産物を得る。 この PCR産物と増殖制御用 ュニットを含むベクタープラスミド 厶?1" 1 厶24-厶?1~. !¾^を制限酵素で消化 した後、 ライゲーシヨンして、 E1BXKと E1B全配列が入れ替わった増殖制御用ュュ ットを含むベクタープラスミド p APr. ElA- APr. ElBpAを得る。
作製された増殖制御用ユニットを含むベクタ一プラスミド p Δ Pr. E1A- Δ Pr. XKp Αの内因性のプロモーターの各々欠失箇所に挿入された制限酵素認識配列には、 組 織特異的に発現するプロモーターを揷入して、 増殖制御型ベクタープラスミドを 作製できる。
標的組織に特異的に発現するプロモーターとは、 標的組織が癌細胞であれば癌 細胞でのみ特異的に発現する CEA (Carcinoembryonic antigen, 癌胎児性抗原) プ 口モーター (Mol. cell. Biol. , 10 (6) , 2738-2748, 1990) 、 E2Fプロモーター (Neuman, E., et al, Mol. Cell. Biol. , 14 (10), 6607-6615, 1994) 、 0C (ォ
ステオカルシン) プロモーター (Morrison, NA. , et al, Science, 246, 1158-116 1, 1989) 、 悪性黒色腫、 線維肉腫などに特異的な FLK-1プロモーター (Xie, B, et al , Br J Cancer, 81, 1335-1343, 1999)、 肺癌などに特異的な VEGFプロ モーター (Koshikawa, N, et al, Cancer Res., 60, 2936—2941, 2000)、 小細胞 肺癌などに特異的な c-Mycプロモーター (Kumagai, T., et al, Cancer Res. , 354-35 8, 1996)、 肺癌、 卵巣癌などに特異的な SLPIプロモーター (Garver, RI, et al, Gen e Ther , 1, 46-50, 1994) , 前立癌に特異的な PSAプロモーター (Latham, JP , et a 1, Cancer Res, 60, 334-342, 2000)、 悪性黒色腫などに特異的な Tyrosinaseプロモー ター (Vile, RG, et al, Cancer Res, 53, 962-967, 1993)、 乳癌に特異的な AP- 2プロ モーター(Pandha, HS,et al, J Clin Oncol, 17, 2180- 2189, 1999)、 脳腫瘍をはじめ 多くの癌に特異的な TERTプロモーター(Takakura M, et al, Cancer Res, 59, 551-557, 1999)などを例示できる。
この増殖制御型ベクタープラスミ ドを E1領域を欠失させて作製したアデノウイ ルスゲノムを有するプラスミ ドに組み込み、 組織特異的に発現する 2つのプロモ 一ター (多因子) により他の組織での増殖を制御し、 標的組織でのみ増殖する増 殖制御型アデノウイルスベクタープラスミ ドを作製できる。 作製された増殖制御 型アデノウィルスベクタープラスミドは、 アデノウィルスの E1領域タンパク質を 恒常的に産生している細胞、 例えばヒト胎児腎細胞由来の 293細胞 (Graham, FL, et al, J. Gen. Virol. , 36 (1): 59-74) にトランスフエクシヨンし増殖できる。
E1領域を欠失させて作製したアデノウィルスゲノムを有するプラスミドは、 ァ デノウィルスの感染を規定しているファイバーを癌細胞に高率に発現しているリ ガンドに変更することによりアデノウィルスの癌細胞への特異的な標的化が可能 となるため、 E1領域を欠失させて作製したアデノウィルスゲノムを有するプラス ミドのフアイパーをこのようなリガンドに変更させても良い。
また、 治療遺伝子発現用ュニットを含むベクタープラスミ ドは、 以下のように 遺伝子工学における一般的方法を用いて作製できる。
LoxPまたはその変異体配列の下流に、 恒常的強発現プロモーター又は治療遺伝
子の発現を調節する発現プロモータ一及び治療遺伝子を組み込むための制限酵素 認識配列を有するプラスミドを作製する。
また、 治療遺伝子発現用ュニットを含むベクタープラスミドの薬剤耐性遺伝子 と増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミドの薬剤耐性遺伝子が同一の場合、 両者が異なる薬剤耐性遺伝子になるようにいずれかを組み換え、 また、 治療遺伝 子発現用ュニットを含むベクタープラスミドの Oriが R6K Tなどの pir遺伝子を発現 するコンビテント細胞でしか複製できないものとすることにより、 リコンビネー シヨンで正しく組み換えられたプラスミドのみを効率的かつ容易に選択すること が可能となる。
作製された治療遺伝子発現用ュニットを含むベクタープラスミ ドの制限酵素認 識配列には、 恒常的強発現プ口モーター又は癌細胞などの標的組織を治療するた めの治療遺伝子の発現プロモーターとその治療遺伝子を上流から順に挿入して、 第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドを作製する。 恒常的強発現プロモータ 一とは、 治療遺伝子を初めとするほとんどの遺伝子を恒常的に強く発現させるプ 口モーターのことをいい、 例えば CA (サイ トメガロウイノレスェンハンサ一と二ヮ トリ ]3ァクチンプロモーターのハイプリッドプロモーター) プロモーターや CMV (サイ トメガロウィルス初期遺伝子ェンハンサ一'プロモーター) プロモーター などをいう。 治療遺伝子とは、 疾病組織に導入されて発現することにより分子レ ベルで疾病を治療する遺伝子のことで、 癌で例示すれば、 P53遺伝子をはじめとす る癌抑制遺伝子、 IL- 2をはじめとするサイト力イン遺伝子、 HSV-tk遺伝子をはじ めとする自殺遺伝子、 Fasをはじめとするアポトーシス誘導遺伝子、 アンチセンス 遺伝子等を挙げることができる。 また、 治療遺伝子の発現プロモーターは、 これ らの治療遺伝子を調節するプロモーターである。
上記の増殖制御型ベクタープラスミ ドと第 1の治療遺伝子発現ベクタープラス ミ ドとに、 リコンビナーゼを作用させることで両者はリコンビネーションして、 標的組織で特異的に発現するプロモーターと標的組織で発現する治療遺伝子が導 入された第 2の治療遺伝子発現ベクタープラスミドを作製できる。 この第 2の治
療遺伝子発現ベクタープラスミドを E 1領域を欠失させて作製したアデノウィル スゲノムを有するプラスミドに組み込むことにより、 治療遺伝子が組み込まれた 増殖制御型アデノウィルスベクタープラスミドを作製できる。
また、 上記の治療遺伝子が組み込まれていない増殖制御型アデノウィルスべク タープラスミ ドと上記の第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドを混合してリ コンビナーゼを作用させ、 両者をリコンビネーションして組み換えることで治療 遺伝子が組み込まれた増殖制御型アデノウィルスベクタープラスミドを作製でき る。 リコンビナーゼを增殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドと第 1の 治療遺伝子発現ベクタープラスミドとに作用させ、 その後、 両者を形質転換する ことで治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型アデノウィルスベクタープラスミド を作製しても良い。
上記で得られる治療遺伝子が組み込まれない増殖制御型アデノウィルスべクタ 一プラスミ ド又は治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型アデノウィルスベクター プラスミ ドを、 アデノウイルス E 1領域蛋白質を恒常的に産生している細胞、 例 えばヒト胎児腎細胞由来の 293細胞等にトランスフエクシヨンすることにより、 増殖制御型組換えアデノウイルスベクターを作製できる。
また、 上記の治療遺伝子が組み込まれていない増殖制御型アデノウィルスべク タープラスミドと上記の第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドをリコンビナ ーゼを発現する細胞にコトランスフエクションさせることにより、 増殖制御型ァ デノウィルスベクタープラスミドを作製しても良い。 この場合、 リコンビナーゼ を発現しかつアデノウィルス E 1領域蛋白を発現する細胞、 例えば 293細胞等にリ コンビナーゼを発現させた細胞にコトランスフエクションさせれば、 直接的に治 療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウィルスベクターを作製できる。 上記で得られる治療遺伝子が組み込まれない増殖制御型組換えアデノウィルス ベクター及び治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウィルスベクタ 一の増殖、 採取、 精製は、 アデノウイルスの E1領域蛋白質を恒常的に産生してい る細胞、 例えばヒ ト胎児腎細胞由来の 293細胞等を用いるなどアデノウイルスべ
クタ一の一般的な取り扱いで行うことができる。
次いで、 本発明に係る増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの効率的な作 製方法の原理を理解するため、 癌細胞を標的化する場合を例に挙げその概略図を 図 1に基づき説明する。 なお、 図中、 (1)は、 E1Aの発現を調節するプロモーター、 (2)は E1Bの発現を調節するプロモーター、 (3)は Rb蛋白結合ドメインの欠失、 (4) は ElB55KDa及び/又は ElB19KDaの欠失、 (5)は治療遺伝子の発現を調節するプロモ 一ター、 (6)は治療遺伝子、 (7)はアデノウイルス構造蛋白遺伝子の改変をそれぞ れ示している。
(1) (2)に癌細胞で特異的に発現する任意のプロモーターを自在に入れ変えるこ とで、 癌特異的な増殖制御ができる。 E1Aはアデノウイルスの感染後にまず最初に 転写される領域であり、 これが転写されなければ、 アデノウイルスの効率的なゥ ィルス増殖は起こらない。 そこで、 従来の非増殖型アデノウイルスベクターは、 この E1A領域の遺伝子を欠失させ、 そこに目的の治療遺伝子を導入していた。 一方、 E1B領域は、 55KDa, 19KDaなどいくつかの蛋白質をコードするが、 この領域も E1A の転写後に早期に転写され、 E1B領域の転写、 活性化もまた、 アデノウイルスの効 率的なウィルス増殖に重要といわれている。 そこで、 この E1Aと E1Bからウィルス の内因性のプロモーターを除き、 その領域に制限酵素認識配列 (マルチクローュ ングサイト) を揷入し、 他のプロモーターを簡単に導入できるようにした。 ここ に癌細胞に特異的に高発現している 2つの異なるプロモーターを簡単に入れ替える ことで、 アデノウイルスの増殖が癌特異的なものになる。
さらに、 (3)の Rb蛋白結合ドメインを欠失させること、 あるいは(4)の ElB55KDa 及び/又は ElB19KDaの領域を欠損させることにより、 その機序は未だ科学的に完 全には解明されていないものの癌特異的にアデノウイルスが増殖したという、 別々の報告がある。 (3)と(4)の有り無しのプラスミドを独立して用意することに より、 (3)、 (4)の因子についても簡単に(1), (2)の因子と併せて、 癌を特異標的 化することができる。 このようにまず 4つの完全に独立した因子により、 癌特異的 な増殖制御を可能とする。
一方、 (5)と(6)にそれぞれ癌特異的なプロモーター、 癌にのみ有意な効果を示 す遺伝子などを用いることにより、 治療遺伝子の発現と効果という観点からさら に癌を特異標的化できる。
そして(7)はアデノウィルスゲノムを含むアデノウィルスプラスミドベクター中 のファイバーをはじめとするアデノウィルスの構造蛋白をコードする遺伝子を簡 単に変更できるようにしたものである。
本発明の特徴は、 増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ド、 治療遺伝子 発現用ユニットを含むベクタープラスミド、 E1A領域を欠失したアデノウイルスゲ ノムを含むプラスミドというように、 3つの独立したプラスミドベクターを用いる ことで、 目的の増殖制御型組換えアデノウイルスベクターの作製のための遺伝子 糸且換えを非常に効率良くかつ自由に行うことができるようにしたことである。 つ まり、 これらの 3つのプラスミ ドは独立に組み替えして用意し、 これらが簡単に相 互のプラスミ ドの組み換え、 揷入が可能であり、 それぞれの因子の組み合わせ、 コンビネーションが自由に迅速におこなえるようになつたことである。 つまり以 下のような工夫がすることにより、 このことがより可能に行える。
( a ) 一つのプラスミドに載せる複製開始点を特殊な大腸菌のみで働くものに変 えて、 さらに抗生剤耐性遺伝子の違いを利用して、 目的の正しく組換えられたプ ラスミドの効率的な選択性が可能である。 (b ) リコンビネーション反応を利用し て、 遺伝子組換え過程の大腸菌内、 あるいはアデノウイルス作製時の 293細胞内で、 治療遺伝子をアデノウイルスベクターに簡単に载せ変えることができる。 (c ) 増 殖制御用ユニットを含むベクタープラスミド、 あるいは組み換えられて増殖制御 用ュニットと治療遺伝子発現用ュニットを含むプラスミ ドを、 制限酵素サイトを 使うことでライゲーションで自由にアデノウィルスゲノムを含むプラスミドへの 揷入が可能となる。 つまり、 このようにして、 3種類のそれぞれの目的のプラスミ ドの独自な組み換えが可能となり、 それぞれの目的に応じて簡単に適切な組み合 わせをした増殖制御型組換えアデノウイルスベクターが作製できる。 また、 完成 したアデノウィルスベクタープラスミドの改変も簡単におこなえるようになった。
なお、 本発明のベクターは、 シャトノレべクタ一を用いることもできる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの効率的な作製 方法の原理を示す概略図である。 第 2図は、 実施例 1の増殖制御用ユニットを含 むベクタープラスミ ドの作製に用いた P C Rプライマー及ぴ P C R反応の条件を 示す。
第 3図は、 実施例 1の Rb蛋白結合配列を欠損した増殖制御用ュ-ットを含むベ クタ一プラスミドを作製するための変異導入法の原理を示す説明図である。 第 4 図は、 実施例 1の Rb蛋白結合配列を欠損した増殖制御用ユエットを含むベクター プラスミド及び E1Bの全領域を有する増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミ ドの作製に各々用いた P C Rプライマー及ぴ P C R反応の条件を示す。 第 5図は、 実施例 2の増殖制御用ベクターブラスミドの作製に用いた P C Rプライマー及び P C R反応の条件を示す。 第 6図は、 実施例 2で作製された R b蛋白結合部位を 欠失しない増殖制御型ベクタープラスミドを示す。 第 7図は、 実施例 2で作製さ れた R b蛋白結合部位を欠失した増殖制御型ベクタープラスミドを示す。 第 8図 は、 実施例 3で作製された治療遺伝子発現用ユニットを含むベクタープラスミド 及び実施例 4で作製された第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミドを示す。 第 9図は、 実施例 5の第 2の治療遺伝子発現ベクターブラスミ ドがリコンビネーシ ヨンにより作製される工程を示す。
発明を実施するための最良の形態
次に、 本発明を実施例を挙げて詳細に説明する。
実施例 1 (アデノウィルスの E1領域を任意のプロモーターで発現させるための 増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミドの作製)
アデノウイルスベクターの構築プラスミドベクターは、 pHM5を用いた。 pHM5は、 Sphl、 Pstl、 Hindi, Xbal、 BamHI, Kpnl、 Sacl、 EcoRIの制限酵素認識配列を有 するクローユングベクターで、 Dr. Mark A Kay (Stanford University)力 ら供与
を受けた (詳細は、 Human Gene Therapy, 10: 2013-2017, 1999)。 ヒト 5型アデノ ウィルスゲノム 5, 側配列を含むプラスミド pXClは Microbix (Tronto, Canada)よ り購入した。 アデノウィルスゲノムの E1A蛋白のコーディング領域からポリアデ- レーションシグナルまでを含み、 内因性のプロモーターは含まない領域 (474〜; 16 58 bp) 、 ElB19KDa蛋白のコーディング領域 (1684〜2285 bp) のみでその内因性 のプロモーター及ぴポリアデニレーシヨンシグナルは含まない領域は、 それぞれ p 1 鏺型として、 7こ Bovine growth hormone polyadenylation signal sequenc e (BGHp:牛成長因子ポリアデ二レーションシグナル配列)は pRc/RSV (Invitrogen、 カタログ番号 A- 150307) を铸型として、 第 2図に示したプライマーセットにより K0 D DNAポリメラーゼ (東洋紡、 カタログ番号 K0D- 101) を用いた PCR法にて増幅し、 クローニングした。 なお、 ここで用いた E1Aのセンスプライマー(S- E1A、 配列番号 1)には Sphl、 NotI、 SnaBI、 Mlul各制限酵素の認識配列、 同アンチセンスプライマ 一(AS- E1A、 配列番号 2)には Sall、 Avrllの認識配列、 ElB19KDaのセンスプライマ 一(S- E1B19K、 配列番号 3)には Avrll 、 Sail, Ndel、 EcoRVヽ Mf el各制限酵素の認 識配列、 同アンチセンスプライマー(AS- E1B19K、 配列番号 4)には BamHIの認識配歹 lj、 BGHpA用のセンスプライマー(S- BGHpA、 配列番号 5)には BamHIの認識配列、 同アン チセンスプライマー(AS- BGHpA、 配列番号 6)には 34bpの LoxH配列と EcoRI認識配列 がそれぞれ付加されている (各プライマーのシークェンスと各 PCRの条件は第 2図 を参照) 。 次に、 上記で得た E1Aのコーディング領域の PCR産物と pHM5を、 制限酵 素 Sphl (宝酒造、 カタログ番号 1180A) と Sail (東洋紡、 カタログ番号 SAL-111) にて消化し、 T4 DNAライゲース (宝酒造、 カタログ番号 6022) にてライグーショ ンを行ない、 pHM5に E1Aのコーディング領域が組み込まれたプラスミド p A Pr. ElA を作製した。 また、 上記で得た E1B19Kのコーディング領域を含む PCR産物と ρ Δ Ρι·. E1Aを、 Sall、 BamHI (東洋紡、 カタログ番号 BAH- 111) で消ィ匕し、 T4 DNAライゲー スでライゲーシヨンを行ない、 プラスミド ρ Δ Ρϊ·. Ε1Α- Δ Pr. 19Κ Δ ρΑを作製した。 さらに、 上記で得た?じ1^産物の8& と 厶?1". £1八- ?1~191(厶 八を共に83111111、 Eco RI (東洋紡、 カタログ番号 ER0271) で消化し、 ライゲーシヨンを行ない、 プラス
ミド p A Pr. ElA - A Pr. 19K_BGHpA (以下、 BGHpAは省略し、 ρ Δ Pr. E1A - Δ Pr. 19Kと表 す) を作製した。 クロー-ングに PCR法を用いたために起こり得る塩基配列の変異 の可能性を除去するため、 p A Pr. ElA- A Pr. 19Kの DNA配列は、 DNAシーケンサー (Α pplied Biosystems社、 ABI PRISM 310 Genetic Analyzer) にて正しい配列である こと、 また目的の DNA構築が作製できていることを確認した。 以降も、 PCR法を用 いてクローニングした DNAは、 必ず同様に DNAシークェンサ一を用いて確認した。 このようにして作製されたプラスミ Kp A Pr. ElA- A Pr. l9i 、 ρΗΜ5のパックグ ラウンドを持つプラスミドであり、 その中に上流より、 マルチクローニングサイ トとして Sphl、 NotI、 SnaBI、 Mlulの各制限酵素の認識配列、 E1A蛋白のコーディ ング領域、 マルチクローニングサイトとして Sall、 Ndel、 EcoRV、 Mfelの各制限酵 素の認識配列、 ElB19KDa蛋白のコーディング領域、 BGHpA、 LoxH配列を含むもので ある。 つまり、 E1Aと ElB19KDaの上流のマルチクローニングサイトを用いて、 上流 にプロモーターを自由に揷入することができる。 また、 この E1Aと ElB19KDaの上流 のマルチクローニングサイトには SnaBIと EcoRVという平滑断端となる制限酵素サ イトをそれぞれ一つは用いているため、 如何なる制限酵素で切り出してきたプロ モーター配列でも、 それを平滑断端処理した後にライゲーシヨンすればこの増殖 制御用ュニットを含むベクタープラスミド p A Pr. ElA- Δ Ρι·. 19Kに簡単に確実に組 み込むことができる。
Rb蛋白結合配列を欠損した変異型 E1Aを作製するために、 第 3図に示す pXClを铸 型とした PCR法による変異導入法 (Current Protocols in Molecular Biology, Jo hn Wiley & Sons, Inc. , 8. 5· 7〜8. 5. 9, 1999) を以下のように行い、 Rb蛋白結合 配列に相当する pXClの 923〜947 bpの領域を欠失させた。 まず、 1次 PCRとして、 E1 Aクローユングに用いた E1A5 ' 末端の配列に Sphl、 NotI、 SnaBI s Mlul各制限酵素 の認識配列を付カ卩したセンスプライマー (S- E1A、 配列番号 1 ) と、 Rb結合配列直 前 10 bp (913〜922 bp) と直後 20 bp (947〜966) をもつアンチセンスプライマー AS - Δ 24 (配列番号 8) での PCR、 また Rb結合配列直前 20 bp (903〜922 bp) と直後 10 bp (947〜956)をもつセンスプライマー S- Δ 24 (配列番号 7) と、 E1A3 ' 末端に
制限酵素 Sailの認識配列を付加したアンチセンスプライマー (AS- E1A、 配列番号
2) での PCRを行い、 それぞれ 475bp、 726bpの PCR産物を得た。 この両 PCR産物を混 合して铸型とし、 センスプライマー S- E1Aとアンチセンスプライマー AS - E1Aで 2次 P
CRを行うと、 両者が結合した産物、 つまり Rb蛋白結合配列 (24bp) を欠失した E1A (Ε1Α Δ 24とする) が得られた。 プライマー配列と、 PCR反応の条件は第 4図に記載 した。 この Ε1Α Δ 24を p APr. ElA- Δ ΡΓ. 19Kに制限酵素 Sphlおよび Sail (東洋紡、 力 タログ番号 SAL- 111) にて消化、 DNAライゲース (宝酒造、 カタログ番号 6022) に て揷入して野生型 El Aと入れ替え、 これを ?1~. £1八 24- ?1\ 191とした。 このよ ぅに 厶?1"^1八厶24-厶?1 19Kは、 p APr. ElA- APr. 19Kから E1A内部の Rb蛋白結合配 列が除かれた以外の点では同様の塩基配列、 構造を持つ増殖制御用ユニットを含 むベクタープラスミドである。
E1B遺伝子の 19KDa蛋白の部分だけでなく、 55KDaやその他の領域を含む全ての野 生型のアデノウィルスの E1B全配列を用いたシャトルベクターを以下の様に組み換 えを行なった。 まず、 E1B内の Kpnl認識配列より 14bp上流〜 33bp上流までの 20bp (pXClの 2015〜2034bp) と同じ配列を持つセンスプライマー (S- E1B- 2015、 配列 番号 9) と、 野生型 E1Bのポリアデニレーシヨンシグナル配列 3' 末端から 24bp (pX CIの 4050〜4073 bp) の配列に LoxH配列 (34bp) と EcoRI認識配列を付加したアン チセンスプライマー (AS- Ε1Β-4073、 配列番号 10) を用い、 pXClを錶型として K0D DNAポリメラーゼ (東洋紡、 カタログ番号 K0D-101) を用いた PCR法にて増幅し、 E1 Bの 2015〜4073bpをクローユングした。 プライマー配列と、 PCR反応の条件は第 4図 に記載した。 この PCR産物を、 制限酵素 Kpnl (東洋紡、 カタログ番号 KPN- 111) お ょぴ EcoRI (東洋紡、 カタログ番号 ECO- 111) にて消ィヒし、 p APr. E1A- Δ ΡΓ. 19Kを 同様に Kpnlと EcoRI消化したものに DNAライゲース (宝酒造、 カタログ番号 6022) により揷入した。 これで E1B19Kと E1B全配列が入れ替わり、 得られたプラスミドを p厶 Pr. ElA— A Pr. ElBとした。 このように作製された p APr. E1A- ΔΡι·. E1Bは、 E1Aと E1Bのそれぞれの全蛋白を用いる外部プロモーターで発現できるようにしたもので あり、 p APr. ElA - Δ ΡΓ. 19Kとは、 ElB19KDaの部分が p APr. ΕΙΑ- Δ ΡΓ. E1Bでは全 E1B
のコーディング領域が用いられていること以外の点では同様の塩基配列、 構造を 持つプラスミドである。 これと同様の方法で、 E1A内の Rb蛋白結合配列を欠損した p厶 Pr.ElAA24 - ΔΡι·.19Kから、 E1B全配列を持つ増殖制御用ュニットを含むベクタ 一プラスミド 厶?1~.£1八厶24-厶?1\£18を得た。
実施例 2 (増殖制御用ユニットを含むベクタープラスミ ドへの任意のプロモー ターの揷入、 増殖制御型ベクタープラスミ ドの作製)
上記で作製した増殖制御用ュニットを含むベクタープラスミドへ、 実際に任意 の目的のプロモーターを揷入した幾つかの実験例を以下に記载する。
まず CMV (Cymoraegalovirus) プロモーター (Boshart, M. , et al, Cell, 41, 52 1-530, 1985, Nelson, JA. , et al, Mol. Cell. Biol. , 7, 4125-4129, 1987) を、 E1B19Kの上流に揷入したプラスミドを作製した。 CMVプロモーターは、 プラスミド pRc/CMV (Invitrogen, カタログ番号 A - 150307) を錶型として、 Sail認識サイトを つけたセンスプライマー (S- CMVp、 配列番号 11) と Mfel認識サイトをつけたアン チセンスプライマー (AS- CMVp、 配列番号 12) で PCRを行なった (各プライマーの 配列と PCRの条件は第 5図に記載) 。 この PCR産物 (pRc/CMVの 231〜893) と、 プラ スミ ドの pAPr.ElA- APr.19K、 あるいは pAPr. Ε1ΑΔ24- ΔΡΓ.19Kを、 それぞれ Sal I (東洋紡、 カタログ番号 SAL- 111) 、 Mfel (New England Biolabs、 カタログ番号 R0589S) で消化し、 T4 DNAライゲースを用いてライゲーシヨンを行ない、 E1B19K の上流に CMVプロモーターを揷入し、 pAPr.ElA - CMV - 19K、 pAPr. Ε1ΑΔ24- CMV-19K の各増殖制御型ベクタープラスミドを作製した。
次に CEAプ口モーターを p Δ Pr. E1A- CMV- 19Κ、 ρ Δ Pr. E1A Δ 24- CMV-19Kの E1Aの上 流に挿入した。 まず CEAプロモーターを持つアデノウイルス AxCEAprTK (理化学研 究所 DNAパンクより供与) ΙΟμΙ (5.6χ1010 pfu/μΐ) を、 10%SDS (Sodium dodecy 1 sulfateゝ 和光純薬、 カタログ番号 199- 07145) 10/zl、 0.5M EDTA (Ethylenedia minetetraacetic acid, 和光純薬、 カタログ番号 311-90075) 8μ1 、 蒸留水 170. 75^1 と混合してよく撹拌した。 さらに、 20%プロティナーゼ K (Roche Diagnost ics GmbH、 カタログ番号 745725) 1.25^1 を加えて 56°C、 2時間消化後、 フエノー
ノレ .クロ口ホルム精製およぴエタノール沈殿した。 この操作により、 AxCEAprTKの genomic DNA 2 ^ gが採取された。 この DNAを铸型として、 CEAコーディング領域の 開始コドンから 424 bp上流〜 2 bp上流の部分 (0saki, T., et al, Cancer Res, 5 4, 5258-5261) を制限酵素 Notl認識配列をつけたセンスプライマー (S- CEAp、 配 列番号 13) と、 制限酵素 Mlul認識配列をつけたアンチセンスプライマー (AS- CEAp. 配列番号 14) で PCRを行い、 増幅した (各プライマーの配列と PCRの条件は第 5図に 記載) 。 この PCR産物を Mlul (東洋紡、 カタログ番号 MLU - 101) と Notl (東洋紡、 カタ口グ番号 NOT- 111) で消化し、 同様に Mlulと Notlで消化された ρ Δ Pr. EIA- CMV- 19K、 p A Pr. ElA A 24-CMV-19I^ T4 DNAリガーゼによりライゲーション反応を行な い、 pCEA - EIA- CMV - 19K、 pCEA - Ε1Α Δ 24 - CMV - 19Kを作製した。 このように作製され た pCEA- EIA- CMV- 19K、 pCEA-ΕΙΑ Δ 24- CMV- 19Kは、 CEAプロモーターにより E1Aある いは Ε1Α Δ 24が発現され、 CMVプロモーターにより E1B19Kが発現される、 増殖制御 型ベクタープラスミドである (第 6図、 第 7図参照) 。
次に、 E2Fプロモーターを E1Aと E1B19Kの各プロモーターとして挿入したコンス トラタトを作製した。 E2Fプロモーターは、 Dr. Fine, H. (National Cancer Ins titute、 Bethesda、 MD) より供与されたプラスミ ド pABS. 4 : E2F - GFPより、 制限酵 素 Spel (東洋紡、 カタログ番号 SPE- 101) および Xhol (東洋紡、 カタログ番号 XH0 - 101) で切り出し、 T4 DNAポリメラーゼ (MBI社、 カタログ番号 EP0061) で平滑末 端化した。 前述の p A Pr. ElA- CMV-19K、 p A Pr. E1A A 24-CMV - 19Kを Sail消化、 T4 DN Aポリメラーゼで平滑末端ィ匕し、 自己ライゲーシヨン防止のために Calf intestine alkaliphosphatase (CIP:牛小腸アルカリフォスファターゼ、 宝酒造、 カタログ 番号 2250A)で脱リン酸化処理し、 これと切り出した E2Fプロモーターとを T4 DNAラ ィゲースにてライゲーションを行ない、 pE2F- EIA- CMV- 19K、 pE2F- Ε1Α Δ 24- CMV - 19 Kを作製した。 このようにして作製した PE2F-E1A- CMV- 19K、 pE2F- EIA Δ 24-C V-19K は、 E2Fプロモーターにより EIAあるいは Ε1Α Δ 24が発現され、 CMVプロモーターに より E1B19Kが発現される、 増殖制御型ベクタープラスミドである (第 6図、 第 7図 参照) 。
同様の方法で、 pCEA_ElA- CMV_19K、 pCEA- Ε1ΑΔ 24- CMV- 19Kの CMVプロモータ^ "部 を Sailと Mf elで消化して切り取り、 残りのベクター部分を T4 DNAポリメラーゼ、 C IPで処理した後、 前述の切り出した E2Fプロモーターと T4 DNAリガーゼでライゲー シヨンを行ない、 それぞれ pCEA- E1A- E2F- 19K、 pCEA- E1A A 24-E2F- 19Kのプラスミ ドを作製した。 このようにして作製した pCEA-ElA-E2F-19K、 pCEA- E1A Δ 24- E2F - 19 Kは、 CEAプロモーターにより E1Aあるいは Ε1Α Δ 24が発現され、 E2Fプロモーターに より E1B19Kが発現される、 増殖制御型ベクタープラスミドである (第 6図、 第 7図 参照) 。
次に 0C (ォステオカルシン) プロモーターを E1Aのプロモーターとして挿入した コンストラクトを作製した。 まず、 ヒ ト骨肉腫 SaOS - 2 (東北大学加齢医学研究所 附属医用細胞資源センターより供与) 5χ10β個をトリプシン処理して回収し、 セパ ジーン (三光純薬、 カタログ番号 SG0025) を用いて SaOS- 2の採取した DNAを錄型と して、 転写開始点から 834 bp上流〜 34bp下流の部分を ExTaq DNAポリメラーゼ (宝 酒造、 カタログ番号 RR001A) にて PCRを行レ、 (第 5図にプライマーのシークェンス と PCRの条件を記載、 S- 0Cp、 配列番号 15、 AS- 0Cp、 配列番号 16) 、 868bpの PCR産 物を得た。 これを電気泳動、 精製後、 0Cプロモーターとして、 そのまま Tベクター の pGEM- T Easy (Promega、 カタログ番号 A1360) に T4 DNAリガーゼでライゲーショ ンして挿入した。 クローユングした 0Cプロモーターは DNAシーケンサ一にて正しい 塩基配列であることを確認した後、 Notl消化にてベクターより切り出し、 T4 DNA ポリメラーゼにて平滑末端化した。 ρ ΔΡι·. - E1A - CMV- 19K、 p APr. - Ε1Α Δ 24 - CMV- 19 Kを Sail消化、 T4 DNAポリメラーゼにて平滑末端ィ匕し、 さらに CIP処理し、 前述の 0 Cプロモーターを T4 DNAライゲースによるライゲーション反応にて挿入し、 pOC-El A - CMV- 19K、 pOC-ElA Δ 24- CMV- 19Kを作製した。 このようにして作製した p0C-ElA-C MV - 19K、 pOC - Ε1Α Δ 24- CMV- 19Kは、 0Cプロモーターにより E1Aあるいは Ε1ΑΔ 24が発 現され、 CMVプロモーターにより E1B19Kが発現される、 増殖制御型ベクタープラス ミドである (第 6図、 第 7図参照) 。
実施例 3 (治療遺伝子発現用ユニットを含むベクタープラスミドの作製)
治療遺伝子を前もつて増殖制御型べクタープラスミドに、 あるいは後で組み換 えを完成した増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドに、 Creリコンビネー シヨン反応を利用して自由に挿入できるプラスミドを作製した。 LoxP配列を持ち、 治療遺伝子おょぴそのプロモーターを組み込めるプラスミドを以下のようにして 作製した。 pUni/V5- HisC (Invitrogen, Carlsbad, CA, 製品番号 ET003- 11) の Kn (カナマイシン) 耐性遺伝子を Bglll (東洋紡、 カタログ番号 BGL- 211) と Smal (東洋紡、 カタ口グ番号 SMA-111) で切り出し、 T4 DNAポリメラーゼにて平滑末端 ィ匕し、 自己ライゲーシヨンを防ぐために CIP処理した。 pBR322 (東洋紡、 カタログ 番号 DNA- 003) より Tc (テトラサイクリン) 耐性遺伝子を Sspl (東洋紡、 カタログ 番号 SSP- 101) と Styl (New England Biolabs, Beverly, MA、 カタログ番号 R0050 S) にて消化した後、 T4 DNAポリメラーゼにより平滑末端ィ匕した。 これを、 上記の ように Kn耐性遺伝子が除かれて平滑末端化されている PUni/V5- HisCに T4 DNAリガ ーゼを用いてライゲーションして挿入し、 Kn耐性遺伝子を Tc耐性遺伝子に入れ替 えた治療遺伝子発現用ュニットを含むベクタープラスミド pUni/V5- HisC- Tcを作製 した (第 8図参照) 。 さらにこの pUni/V5-HisC- Tcを Xholで消化し、 T4 DNAポリメ ラーゼによる平滑末端化、 CIPにて処理した。 一方、 先に記したように、 プラスミ ド pRc/CMVを鎵型として Sailサイトをつけたセンスプライマー (S- CMVp、 配列番号 11) と Mfelサイトをつけたアンチセンスプライマー (AS- CMVp、 配列番号 12) で PC Rすることにより得た CMVプロモーター部を、 Sall、 Mfel酵素で切り出し、 T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化したものと、 上記の平滑末端化された pUni/V5 - HisC - Tc とを T4 DNAリガーゼでラィゲーション反応を行ない、 pUni/V5-Hi sC-Tc-CMVを作製 した。 つまり pUni/V5- HisC- Tc- CMVは、 pUni/V5- HisC- Tcに CMVプロモーターを挿入 したプラスミドであり、 CMVプロモーターの下流に、 発現させたい目的の治療遺伝 子を、 マルチクローニングサイトの Agel、 Apal、 Stulのいずれかを用いて、 揷入 することができる。 そして CMVプロモーターと、 その下流に挿入された遺伝子は、 Cre発現により、 前項に記載した E1部を制御する増殖制御型ベクタープラスミドに 揷入したり、 あるいは最終的に完成した増殖制御型アデノウィルスベクターブラ
スミドにも治療目的遺伝子が Cre発現により挿入したりできるものである。 また、 CMVプロモーターは、 必要な時は、 制限酵素の Hindi- Agelで切り出して、 その部 に組織特異的なプロモーターを挿入することも容易にできる (第 8図参照) 。
実施例 4 (第 1の治療遺伝子発現べクタープラスミ ドの作製)
この一例として、 マーカー遺伝子となる EGFP (enhanced green fluorescent pr otein) をこれに挿入したベクタープラスミドを、 以下のようにして作製した。 ま ず pEGFP- CI (CL0NETECH, カタログ番号 6084- 1) を Bell消化し、 T4 DNAポリメラー ゼにて平滑末端化した後、 Agel消化にて EGFPの cDNAを切り出した。 一方、 pUni/V5 - HisC- Tc- CMVを Apal消化し、 T4 DNAポリメラーゼにて平滑末端化した後、 Agelで 消化して、 これに上記の切り出した EGFPの cDNA断片を T4 DNAリガーゼでライゲー シヨンして挿入し、 pUni/V5- HisC- Tc- CMV- EGFPを得た。 つまり、 第 1の治療遺伝 子発現べクタ一プラスミド pUni/V5- HisC- Tc_CMV- EGFPは CMVプロモーターから EGFP が発現できる発現ベクターであるとともに、 E1部を制御する増殖制御型ベクター プラスミ ドゃ、 最終的に完成した増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミ ド に、 Creリコンビネーション反応により CMV- EGFP遺伝子が挿入できるものである (第 8図参照) 。 なお、 EGFPは治療遺伝子ではないが、 実験上の便宜のため治療遺 伝子の代替えとして挿入したものである。
実施例 5 (増殖制御型ベクタープラスミ ドと第 1の治療遺伝子発現ベクタープ ラスミ ドのリコンビネーションによる組換え、 第 2の治療遺伝子発現ベクタープ ラスミ ドの作製)
増殖制御型ベクタープラスミド (種々のプロモーターで E1A、 E1Bを発現する) と、 第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミド (種々のプロモーターで治療用遺 伝子を発現する) を、 Creリコンビナーゼで容易にリコンビネーション (LoxP、 Lo xH配列を認識して 2つのプラスミドが 1つに繋がる反応) することができる。 この 例として以下の 8種類の組み合わせの組み換えを行った。 増殖制御型ベクタープラ スミ ド (pCEA- EIA- CMV- 19K、 pCEA- Ε1Α Δ 24- CMV- 19K、 pE2F- EIA- CMV- 19Κ、 pE2F - El A厶 24 - CMV-19K、 pCEA - EIA- E2F- 19K、 pCEA- E1A A 24-E2F- 19K、 pOC - EIA- CMV - 19K、 p
0C-E1AA 24-CMV-19K) と第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミド (pUni/V5 - His C-Tc-CMV-EGFP) をそれぞれ lOOngずつ、 Creリコンビナーゼ (Invitrogen、 カタ口 グ番号 R100 - 10) と反応 (37°C、 20分間) させる。 次いで、 65°C、 5分間処理して C reを不活化し、 反応を停止した。 この反応液をコンビテント細胞 DH5 « (東洋紡、 カタログ番号 DNA - 903) に形質転換し、 テトラサイクリン (7. 5 μ §/ηι1, 和光純薬、 カタログ番号 205- 08591) を含む LB (Luria-Bertani, nacalai tesque, カタログ 番号 20066- 95) ァガロースプレート上で培養する。 增殖制御型ベクタープラスミ ドは Kn耐性遺伝子のためコ口ニーを形成できず、 第 1の治療遺伝子発現ベクター プラスミドも R6K yという特殊な Ori (大腸菌複製開始点) をもっため DH5ひではコ ロニーを形成できない。 これに対して、 増殖制御型ベクタープラスミドと第 1の 治療遺伝子発現ベクタープラスミ ドがリコンビネーションして作製された第 2の 治療遺伝子発現ベクタープラスミドは pUC Oriと T の両者を持っため、 コロニー を形成することができるという仕組みである (第 9図参照、 図中、 PPrA-ElA-PrB-E IBと pUni/V5- HisC-Tc - CMV- GENEのリコンビネーションにより作製されるものが第 2の治療遺伝子発現ベクタープラスミドである) 。 当初、 Invitrogen社より購入 した Creリコンビナーゼ (Invitrogen、 カタログ番号 R100- 10) を用いて上記の反 応を行ったが、 LBプレート上に大腸菌のコロニーが得られなかった。 反応系が正 しく働いているかを確認するため Invitogen社の組み替えキット (Echo cloning s ystem、 カタログ番号 ET401- 30C) に付属しているプラスミド pUni/V5- HisCと、 pcD NA4/HisMax- Eとを用いて同様の反応を行ったところ、 5個以下のコロニーしか得ら れなかった。 つまり、 Creリコンビナーゼの活性が低いと考えられた。 そこで、 Cr e遺伝子を発現するアデノウィルスベクター AxCANCre (理化学研究所 DNAパンクよ り供与) を用いて Creリコンビナーゼの抽出を行った。 まず、 アデノウイルスによ る遺伝子導入効率の高いヒト肝癌細胞である HepG2細胞 (東北大学加齢医学研究所 附属医用細胞資源センターより供与) 10cm径培養皿 1枚に 30 M0I (多重感染度、 1 M0I = 1 plaque forming unit/cell) で感染、 3日後にトリプシン (nacalai tesqu e、 カタログ番号 35555- 54) 処理にて細胞を剥がし、 PBSにて洗浄後、 Lysisパッフ
ァー (20raM Tris pH 7. 5, 150mM NaCl, lOraM MgCl2, 10°/oglycerol, 1 %protease inhibitorcocktail (SIGMA, カタログ番号 P2714) ) 200 ^ 1にて溶解し、 凍結と融 解を 3回繰り返したものを Creリコンビナーゼとして使用した。 この Creを用いて反 応させたところコロニーが得られ、 しかも出現したコ口-一はすべて陽性クロー ンであった。 つまり AxCANCreを用いて抽出した Creはこの反応系に十分な活性を持 つことが示された。 この反応によって得られた第 2の治療遺伝子発現ベクタープ ラスミドをそれぞれ、 pCEA - E1A-CMV - 19K/CMV-EGFP、 pCEA - EIA厶 24-CMV - 19K/CMV- E GFP、 pE2F-ElA- CMV- 19K/CMV- EGFP、 pE2F- Ε1ΑΔ 24- CMV- 19K/CMV- EGFP、 pCEA-ΕΙΑ - E 2F-19K/CMV- EGFP、 pCEA-ΕΙΑ Δ 24- E2F- 19K/CMV- EGFP、 pOC- EIA- CMV- 19K/CMV- EGFP. pOC-ElAA24- CMV— 19K/CMV - EGFPとした。
実施例 6 (アデノウイルスゲノムへの組み換え、 增殖制御型アデノウイルスべ クタ一プラスミドの作製)
第 2の治療遺伝子発現べクタ一プラスミド (前述の Creリコンビネーシヨン) と 並行して、 治療用遺伝子を持たない増殖制御型アデノウィルスベクタープラスミ ドを作製してシステム、 機能の解析を行った。 アデノウイルスゲノム (E1領域 342 -3523 bp, E3領域の一部 28133- 30818 bpを欠失) をもつ 30. 3kbのプラスミド pAdHM 4 (Dr. Mark A. Kay, Stanford Universityから供与) は、 欠失した Elの部分に外 来遺伝子を揷入するための制限酵素 I- Ceul、 PI- Seel認識配列を持っている。 pAdH M4をまず制限酵素 I- Ceul (New England Biolabs、 カタログ番号 R0699S) で消化 (0. 2υ/ ^ ϋΝΑ, 37°C, 1時間) 、 フエノール .クロ口ホルム精製後エタノール沈 殿した。 次に PI-SceI (New England Biolabs, カタログ番号 R0696S) で消化し同 様に精製した。 pCEA - E1A-CMV - 19K、 pCEA - EIA Δ 24- CMV- 19K、 pE2F- EIA- CMV- 19Κ、 p E2F-E1AA 24-CMV-19K, pCEA- EIA- E2F- 19K、 pCEA- Ε1Α Δ 24- E2F- 19K、 pOC- EIA- CMV- 19K、 pOC- E1AA 24-CMV- 19Kもそれぞれ I- Ceul、 PI- Seel消化し、 pAdHM4にそれぞれ T4 DNAリガーゼをもちいて揷入した。 得られたプラスミドは必ず I- Ceul、 PI-SceI 消化して挿入遺伝子を確認した。 こうして得られた増殖制御型アデノウィルスべ クタ一プラスミドを pAd. HM4 - CEA- E1A - CMV-19K、 pAd. H 4 - CEA- Ε1ΑΔ 24- CMV-19K、 p
Ad. HM4 - E2F— E1A - CMV - 19K、 pAd. ΗΜ4— E2F - E1A厶 24 - CMV - 19Κ、 pAd. HM4-CEA-E1A-E2F- 19K、 pAd. HM4-CEA-E1A Δ 24-E2F-19K, pAd. ΗΜ4- 0C - E1A-CMV-19K、 pAd. HM4-0C-E1A 厶 24- CMV - 19Kとした。 これらのプラスミ ドはアデノウイルスゲノムの El, E3以外 の部分と、 外来性のプロモーターで E1Aおよび E1B19K領域を発現する部分をもつプ ラスミ ドである。
実施例 7 (293細胞へのトランスフエクシヨン)
実施例 6で得た増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドをヒト胎児腎細 胞由来の 293細胞にトランスフエクシヨンした。 293細胞の培養液は非働化 10%ゥ シ胎仔血清 (MBL社、 カタログ番号 268-1) を含む DMEM (Dulbecco' s Minimum Ess ential Medium, SIGMA, カタログ番号 D5796) を用いた。 トランスフエクシヨンは リン酸力/レシゥム法 (Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. , 9. 1. 4〜9. 1. 9, 1999) で、 1. 5mlの HEPES buffered saline (pH7. 1) に上記アデノウイルスゲノムを含む直鎖状 DNA 20 μ §、 鮭精巣 DNA (SIGMA, カタ口 グ番号 D- 7656) 20 §の計40 の0 を加ぇ、 2. 5M CaCl2 75 / 1を撹拌しながら滴 下、 室温で 30分静置した後、 293細胞に培養液を撹拌しながら滴下した。 そのまま C02インキュベータで 4時間半静地後、 a - MEM (GIBC0 BRL、 カタログ番号 12000 - 02 2) に 10°/。非働化馬血清 (GIBC0 BRL、 カタログ番号 26050- 088) を加えたものと、 1%ァガロースゲルを等量ずつ混合した溶液を培養皿に重層し、 固形培地で 293細 胞の培養を続けた。 導入効率を評価するため pEGFP- C1を同じプロトコールでトラ ンスフエクシヨンし、 48時間後に蛍光顕微鏡下に陽性細胞を計測したところ、 毎 回 30%程度の細胞に遺伝子導入されていた。 アデノウィルスが産生されると 293細 胞は細胞変性効果 (CPE: Cytopathic effect) によりプラークを形成する。
相同組換えによりアデノウィルスが産生される従来の方法では、 その相同組換 えの効率の低さゆえに多数の培養皿でのトランスフエクションゃ、 高い遺伝子導 入効率が必要とされたが、 In vitroライゲーシヨン法 (Mizuguchi, H., et al, H um. Gene Ther. , 10, 2013 - 2017, 1999) に基づく本発明の作製法では 10cm培養皿 で 30個以上のプラークが出現し、 30%の導入効率で充分である。
実施例 8 (治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型アデノウィルスベクターブラ スミドを迅速に組換えるための 2つの変法)
1 . 増殖制御型アデノウイルスベクタープラスミドと第 1の治療遺伝子発現べ クタ一プラスミドに直接 Creリコンビネーションして治療遺伝子を組換えるシステ ム
治療遺伝子を持たない増殖制御型べクタ一ブラスミ ド (たとえば pCEA - E1A- CMV- 19K) をアデノウイルスベクタープラスミド (PAdHM4など) に組み換えた後、 治療 遺伝子のみを自由に組み入れることができれば、 組み換えがより早く、 簡便に、 多種の組み合わせの ADVを作製できる。 このシステムを確立するために、 まず 1例 として pAd. HM4-CEA-E1A-CMV-19Kと pUni/V5 - HisC- Tc-CMV- EGFPを用いて組み換えを 行った。 この 2つのプラスミドを各 lOOngずつ混合し、 前述のように精製した Cre リコンビナーゼを用いて反応 (37°C、 20分間) させる。 続いて 65°C、 5分間処理し て Creを不活化し、 反応を停止した。 この反応液をコンビテント細胞 DH5 a (東洋 紡、 カタ口グ番号 DNA- 903) に形質転換し、 テトラサイクリン (7. 5 μ g/ml, 和光 純薬、 カタログ番号 205- 08591) を含む LB (Luria- Bertani, nacalai tesque, 力 タログ番号 20066- 95) ァガロースプレート上で培養する。 翌日、 プレートには 5個 のコロニーが出現した。 このコロニーから得たプラスミドを解析すると、 全てが リコンビネーションを起こして CMV- EGFP遺伝子が揷入される治療遺伝子が組み込 まれた増殖制御型アデノウィルスべクタープラスミド pAd. HM4-CEA-E1A-CMV-19K/C MV - EGFPであった。 コロニー数が少ない原因としてはアデノウイルスベクタープラ スミ ドが 30kbと長いことや、 抗生物質テトラサイクリンの影響などが考えられる 力 今回の結果から治療用遺伝子が揷入される確率は 100%であることから、 最低 1個のコロニーが得られればよいことになる。
この変法により、 E1Aプロモーターと E1Bプロモーターを固定して、 様々な治療 遺伝子やそのプロモーターを入れて効果を比較する際、 毎回シャトルベクターに 治療遺伝子を入れてからアデノウィルスベクターに組み換える必要がなくなる。
2 . コトランスフエクションによる細胞内での Creリコンビネーション
第 1の治療遺伝子発現ベクタープラスミ ドを、 増殖制御型アデノウイルスべク タープラスミド pAd. HM4- CEA- E1A- CMV- 19Kなどへ組み換えをせずに、 Creを発現す る細胞にコトランスフエクションすることで、 細胞内で 2つのプラスミドのリコン ビネーシヨンがおこり、 治療遺伝子をもつアデノウィルスが得られる方法を確立 5 した。 恒常的に Creを発現させた 293細胞に、 pAd. HM4 - CEA- E1A-CMV - 19Kと、 マーカ 一としての EGFP遺伝子を発現する pUni/V5- HisC-Tc- CMV- EGFPを 20 μ gずつ燐酸カル シゥム法でコトランスフエクシヨンした。 遺伝子導入効率を評価するために、 EGF P遺伝子を発現するプラスミド pEGFP- C1を同じ方法でトランスフエクシヨンし、 4 時間半後に培地を新しいものに交換、 48時間後に細胞をトリプシン処理にて回収、
10 蛍光顕微鏡下にて EGFP陽性細胞を計数したところ、 陽性率 (=遺伝子導入効率) は 21%であった。 プラークは 6日後から出現し、 12日後には完全なプラークが 10個、 14日後にプラークを 10個採取した。 これらのプラークのうち、 Creリコンビネーシ ョンがおこって EGFPが組み込まれた ADVによるものは、 蛍光顕微鏡下で観察すると、 プラーク全体で EGFPが陽性となっているのが観察される。 今回、 10個のプラーク
15 のうち 1個のみが EGFPが陽性であったので、 EGFPが組み込まれている ADVが出現す る確率は 10%ということになる。 なおこの実験系で、 前述の通常の ADV作成法より プラークの出現数が少ないのは、 ADVゲノム DNAを含むプラスミ ドを制限酵素 Pacl で消化して直鎖化すると、 Creリコンビネーションがおこらないため、 Pacl消化を 除いたことで、 ADV生成の効率が低下したことが理由であると考えられる。 この EG
20 FP (+)のプラーク採取液と、 EGFP (-)のプラーク採取液のうち 3クローンの計 4つを、 24wellの 293細胞に感染.増幅した。 EGFP (+)クローンでは well全体の細胞が EGFP陽 性となったのに対し、 他の wellでは一部の細胞のみが EGFP陽性であった。 3日後に すべてのクローンで CPEが出現したので、 これを回収した。 次のステップとして 10 cmデイツシュの 293細胞に感染したところ、 EGFP (+)のクローンでも感染後 1日で約
25 50〜60%の細胞のみが EGFP陽性で、 2日目には全ての細胞が CPEとなったが、 80% の細胞し力 EGFP陽性でなかつた。 つまり、 残り 20%の細胞は EGFP遺伝子を持たな レ、 ADVによって CPEとなっていることを意味しており、 モノクローナルとして採取
したプラークに、 EGFP (-)の ADVが混入していた可能性が考えられた。 この ADV液を 精製するためには再ぴ 293細胞に感染して EGFP陽性となるプラークを採取すればよ いと考えられる。
以上より、 このコトランスフエクシヨンの方法で、 Cre発現 293細胞内で 2つのプ 5 ラスミドがリコンビネーションして挿入遺伝子 (EGFP遺伝子)を持つ ADVが得られる ことが確認された。 この方法は試験管内で Cre反応させ、 大腸菌に形質転換してプ ラスミ ドを得てからトランスフエクシヨンする系に比べてより簡便で迅速な方法 である。
実施例 9 (プラークからの増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの採取、 10 増殖と精製)
p Ad. HM4 - CEA- E1A- CMV-19Kのトランスフエクシヨン後 7日で 12個のプラークが出 現した。 プラークの中心で完全に細胞が消失して培養皿の底が見える状態を 「完 全なプラーク形成」 として、 1,000 μ 1のマイクロピぺッターチップを切り、 先端 を太くしたものをもちいてプラークを固形培地ごと採取し、 800 μ 1の培地に懸濁
15 して- 80°Cで保存した。 各ウィルスに対して 10個ずつのプラークを採取した。
次に、 この液を 37°C恒温槽にて融解、 液体窒素にて凍結のサイクルを 3回繰り返 して細胞を破壌して得たアデノウィルス液 600 1を、 前日に 24well培養プレート に lxlO5個で播いた 293細胞に感染させる。 感染後は 3日おきに 200 μ 1の培地を加え、 ばらつきはある力 〜 7日で CPEが出現する。 CPE出現後、 培地、 細胞とも回収して -
20 80°Cで保存する。 次にこの液 800 1 (全体の容量の 80%) を同様に 3回凍結.融解 後、 10cm培養皿で 70〜80%コンフルェントの 293細胞に感染する。 この段階では 2 〜4日で CPEが出現し、 培地と細胞を回収して- 80°Cで保存する。 次の段階はこの液' を同様に 3回凍結.融解後、 全体の容量の 80% (通常 8ml) を、 15cm培養皿 (6枚)に 7 0〜80%コンフルェントの 293細胞に感染する。 感染後 2〜3日で CPEが出現し、 培地
25 と細胞を回収して- 80°Cで保存する。 最後はこの液を同様に 3回凍結 ·融解後、 全体 の容量の 80% (通常 100ml) を、 15cm培養皿 40枚に 70〜80%コンフルェントの 293細 胞に感染する。 ここでは通常 2日で CPEが出現するので、 培地と細胞を回収して 100
0回転 分で遠心し、 上清を除去して 50mlの細胞浮遊液当たり 1. 5mlの PBS (リン酸 緩衝生理食塩水) にて懸濁し、 40枚分を 24mlの細胞浮遊液として- 80°Cで保存する。
(この時すベての上清を捨てずに 45mlの上清液を 1本、 保存しておくと、 この液を 用いて 15cm培養皿 40枚に感染することで増幅が可能となる。 ) 細胞浮遊液を 3回凍 結 ·融解後、 1, 000回転ノ分で遠心して上清を採取、 日立超遠心用チューブ (日立 ェ機、 カタログ番号 S303276A) に塩化セシウム (和光純薬、 カタログ番号 039-019 55) 密度勾配液 (1. 5g/ml CsCl 0. 5ml, 1. 35g/ml CsCl 3ml, 1. 25g/ml CsCl 3ml を重層) を 4本作製してそこにウィルス液を 6mlずつ入れる。 PBSで厳密にパランス を取ったあと、 冷却高速遠心機 (日立ェ機、 himac CP65 jS ) でスイングローター (日立ェ機、 RPS40T) を用いてまず 10°C、 35, 000回転ノ分、 1時間遠心する。 通常 3本のパンドが見えるが、 一番下層の青白いパンドがアデノウィルスであるので、 まず慎重に上清を除去してからこの層を lml (最高 1. 5ml) の容量で採取する。 4本 合計で約 4ml (最高 6ml) のウィルス液が得られる。 次に 1. 35g/ml CsCl 6ml を入 れた遠心チューブにこのウィルス液を入れ、 バランス用のチューブも同様に 1. 35g /ml CsCl で厳密にバランスを取り、 10°C、 35, 000回転 Z分、 18時間超遠心分離す る。 これでウィルスは 1本のパンドとして現れ、 上清を除いたあと、 l〜2mlの容量 で残さずウイルス液を採取する。
この後、 以下の要領で脱塩カラムにて精製した。 脱塩カラム (Biorad、 Econopa c 10DG、 製品番号 732- 2011) の内容液を捨てて PBS 15mlを入れて全て滴下させる。 ここにウィルス液 Xmlを加える。 カラムから溶出する液を lmlずつ番号 (1番〜 7 番) をつけた 1. 5mlマイクロチューブに採取する。 次にカラムに PBSを(3- X) ml加え、 同様に lmlずつ採取する。 さらに 4mlの PBSを加えて、 同様に lmlずつ採取する。 こ れで 1〜7番まで計 7本が得られるが、 4番のチュープに濃縮されたウイルスの大部 分が含まれている。 念のため全てのチュープの ADVの濃度を以下の方法で測定する。 PBS 94 i l, 10% SDS 5 ^ 1、 ウィルス液: 1を混合し、 ボルテックス (SCIENTIFI C INDUSTRIES, Inc. , BOHEMIA, NY) でよく撹拌し、 ウィルスの外殻を破壌する。 これを 15,000rpm、 3min遠心して上清を採取して、 0D26。™を測定する。 1 0D26。™= 1
xl012particle/ml (20倍希釈液では 1 0D26。™=2xl013particle/ml) としてウィルス 液の濃度を計算する。 通常、 15cm培養皿 40枚で増幅した場合、 l〜5xl012 particle /mlの濃度で 1. 5〜2mlのウィルス液が得られた。
精製後の ADV液は、 10°/。Glycerol (和光純薬、 カタログ番号 075- 00616) を加えて 分注、 - 80°Cで保存した。 こうして Ad. CEA- E1A - CMV- 19K及ぴ同様の方法で、 Ad. CEA - E1A A 24-CMV— 19K、 Ad. E2F— E1A - CMV - 19K、 Ad. E2F - Ε1Α Δ 24 - CMV— 19Κ、 Ad. CEA-E1A- E2F— 19K、 Ad. CEA-E1A A 24 - E2F - 19K、 Ad. OC— E1A - CMV - 19K、 Ad. 0C—E1A A 24 - CMV— 19K の 8種類のアデノウイノレスを得た。
実施例 1 0 (作製した増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの増殖確認) 一例として、 Ad. CEA-E1A-CMV- 19Kの CEAプロモーター依存性の増殖を確認する実 験を行った。 CEA発現大腸癌細胞株 colo- 205、 Lovo, HCT- 15細胞 (東北大学加齢医 学研究所附属医用細胞資源センターより供与) と CEAを発現しない Hela細胞、 陽性 コントロールとして全てのアデノウィルスが増殖する 293細胞にそれぞれ、 Ad. CEA - E1A- CMV - 19Kを MOI 100、 10、 1、 0. 1、 0. 01、 0にて感染して CPEの出現を観察し た。 感染後 2日目で M0I 100の wellでは全ての細胞で細胞毒性が強く出現していた。 これに対して非増殖型 (E1欠損) の ADVである Ad. CMV-LacZを感染させた wellでは M 01 100でも細胞毒性は軽度しか見られず、 CEA発現大腸癌細胞株ではすでにウィル スの増殖が始まっていると考えられた。 感染 7日後には Lovoと 293では MOI 1まで CP E、 HCT- 15では MOI 10まで CPE、 colo- 205では MOI 100で軽度の細胞毒性、 Helaでは M0I 100のみ CPEが見られ、 Lovoは 293と同程度に ADVが増殖、 HCT-15もそれに次ぐ 程度の増殖が見られ、 colo- 205と Helaではあきらかな ADVの増殖はないと考えられ た。 最終的には、 感染後 2週間で Lovoは M0I 0. 1まで、 HCT- 15は MOI 1まで、 293で は M0I 0. 01まで細胞障害が見られ、 ADVの増殖の程度を表している。 これに対し、 colo- 205では M0I 100にても細胞障害は見られず、 Helaでは M0I 10まで細胞障害が 見られたことは、 CEAプロモーターにより ADVの増殖が制限されていることを表し ていると考えられる。 し力 し、 CEA非産生癌の Helaで多少の細胞障害が見られたこ とが ADVの増殖によるもの力、、 Helaの感受性によるものかを判断するには、 経時的
に ADVの増殖を評価できることが必要である。 そこで、 治療用遺伝子を組み込むベ クタ一にマーカーとしての EGFP遺伝子を組み込み、 Ad. CEA-E1A-CMV-19K/CMV-EGFP を作製した。 この ADVは細胞に感染後、 EGFPの陽性率を観察することで ADVの増殖 を知ることができる。 下記の表 1は、 増殖制御型組換えアデノウイルスベクター の感染 1 2日後の増殖能を細胞死 (CPE) で示すグラフである。 なお、 intactは不 変 (傷害なし) の意で、 下記表 2及ぴ表 3も同様である。
表 1
実施例 1 1 (EGFPを発現する増殖制御型組換えアデノウィルスべクター)
Ad. CEA- E1A- CMV- 19K/CMV- EGFPを前述のような方法で作製し、 超遠心にて精製し、 2. OxlO12 particle/mlの濃度で 2mlのウィルス液を得た。 CEA発現癌細胞 MKN- 1、 MKN - 28、 MKN- 45、 HCT- 15、 Lovo, colo- 205に M0I100、 10、 1、 0. 1、 0, 01、 0で感染し、 蛍光顕微鏡下で EGFP陽性率を観察しながら、 細胞障害 (CPE) の出現にて ADVの増 殖を評価した。 感染後 2日では colo- 205以外は M0I 100ではほぼ 100%の細胞が EGFP 陽性であり、 colo- 205のみが 50%程度の細胞のみが EGFP陽性であった。 つまり、 c olo- 205は ADVによる遺伝子導入効率が低いことを意味している。 時間の経過とと もに EGFPの陽性率、 CPEともに増強していったが、 その傾向が強かったのは MKN_28、 Lovo, HCT - 15であった。 1例として MKN- 28の結果を示すと、 感染 1日後には M0I 1の wellは 20%程度が EGFP陽性で細胞障害は全く見られなかつたが、 6日後には EGFP陽 性率が 50%程度に増加し、 8日後からは細胞障害 (一部の細胞が CPEとなる) が出 現し、 12日後には 80%以上の細胞が陽性となり、 ほぼ CPEに近い状態となった。 つ まり、 EGFPというマーカー遺伝子で観察される ADVの増殖と、 細胞の障害を表す CP Eが相関して出現したことから、 Ad. CEA - E1A- CMV - 19K/CMV - EGFPが CEA産生癌で増殖
し、 その毒性により細胞を死滅させることができることが証明された。 下記の表 2及ぴ表 3は、 それぞれ増殖制御型組換えアデノウイルスベクターの感染 1 2日 後の増殖能を EGFPの陽性率で示すグラフ及び感染 1 2日後の増殖能を細胞死 (CP E) で示すグラフである。
表 2
本発明の増殖制御型糸且換えアデノウィルスベクターの効率的な作製方法によれ ば、 標的組織でのみ発現するプロモーターをアデノウィルスに簡単に挿入できる ので、 標的組織以外での増殖を制御し、 組織特異的な多因子により標的組織での み特異的に増殖して、 癌細胞などの増殖を抑制できるアデノウィルスベクターを 効率的かつ迅速に作製できる。 また、 本発明の治療遺伝子が組み込まれた増殖制 御型組換えアデノウイルスベクターの効率的な作製方法によれば、 標的組織での み発現するプロモーターと治療遺伝子をアデノウィルスに簡単に揷入できるので、 標的組織以外での増殖を制御し、 組織特異的な多因子により標的組織でのみ特異
的に増殖して、 癌細胞などの増殖を抑制し、 また、 標的組織のみに選択的に治療 遺伝子を導入し、 発現できる。
したがって、 本発明は、 多因子で特異化される種々の増殖制御型組換えアデノ ウィルスベクターを自由に効率良く迅速に作製できることにより、 真に癌細胞の みを特異標的化できるアデノウイルスベクターを簡単に作製し、 解析できるとと もに、 癌と正常細胞の違いは何かという癌の根幹的な問題に取り組む生物学的研 究、 癌の基礎研究一般に広く応用できる。
また、 本発明の作製用キットによれば、 標的細胞でのみ発現する任意のプロモ 一ターが組み込まれた増殖制御型組換えアデノウイルスベクターの作製あるいは 任意の治療遺伝子が組み込まれた増殖制御型組換えアデノウィルスベクターの作 製を容易に行うことができる。 本発明は、 発明の実質的範囲に包含される限り、 上記の実施例に限定されるも のではない。