WO2005004824A1

WO2005004824A1 - 口腔用組成物

Info

Publication number: WO2005004824A1
Application number: PCT/JP2004/010014
Authority: WO
Inventors: Atsushi Yamagishi; Atsushi Takayanagi
Original assignee: Kao Corporation
Priority date: 2003-07-15
Filing date: 2004-07-14
Publication date: 2005-01-20
Also published as: EP1645263A4; CN1822810A; EP1645263A1; EP1645263B2; US8557224B2; US20060171903A1; CN1822810B; EP1645263B1

Abstract

　短時間の処理で虫歯予防効果が高く、象牙質知覚過敏予防・治療効果に優れた口腔用組成物及び処置法を提供する。　本発明は、（Ａ）フッ化物イオン供給化合物と、無機リン酸及びその塩とを含有する第１組成物と、（Ｂ）有機酸カルシウム塩を含有する第２組成物であって、前記有機酸カルシウム塩を構成する有機酸のｐＫａが３−１１であり、複数のｐＫａを有する場合は少なくとも１つが３−１１である第２組成物（Ｂ）とを有する口腔用組成物であって、第１組成物（Ａ）及び第２組成物（Ｂ）は、交互に使用可能にそれぞれ離隔されて充填され、適用される歯の部位で混合される口腔用組成物である。

Description

明細書

口腔用組成物

技術分野

[0001] 本発明は、所要の処理時間が短ぐかつ効率的に虫歯予防及び象牙質知覚過敏予防又は治療が可能な口腔用組成物に関する。

背景技術

[0002] むし歯を予防する方法として、（1)歯に耐酸性を与えることにより、歯を構成する成分を、むし歯の直接的原因になる酸に溶けにくくすること、（2)歯への再石灰化作用を促進することにより、溶け出した歯の成分をより多く補うことが挙げられる。

[0003] フッ化物は、歯の成分であるハイドロキシアパタイトをフルォロアパタイトに変え、酸に溶けに《することができると共に、ハイドロキシアパタイトの生成を促進することにより再石灰化を促進する効果が高いため、歯科の医療現場ではむし歯を予防するための処置としてフッ化物を歯に塗布する処置をしていた。この場合、最も一般的に用レ、られるフッ化物製剤は、リン酸酸性フッ素溶液（以下、 APFという。）である。

[0004] APFによる処置は、酸により歯の複分解を促進し歯に含まれるカルシウムを利用してフッ化カルシウムを形成させフッ素を取り込ませるという処理をしていたため、フッ化カルシウムを形成させるために時間が力、かった。具体的には、 APFをヒトの歯に塗布し、塗布された状態で 4分間放置し、その後さらに 30分以上の飲食を禁止することが必要であった。この場合、治療'処置を受ける者は、塗布後口を開けたまま 4分間我慢する必要があり、さらに、 APFは酸味が強くまずいので、前記処置を受ける患者に対して負担になる。特に、患者が小児である場合にはさらに負担増になる。

[0005] 一方、歯周病罹患者の増加に伴い、歯の根元の象牙質が露出することにより、あつレ、ものや冷たいものを食べたときに、その刺激が直接歯髄の神経に伝わる象牙質知覚過敏が問題になっている。この象牙質知覚過敏の予防や治療には、象牙質にある象牙細管を閉塞させることにより、熱や酸などによる外部刺激の神経への伝達を遮断する必要がある。

[0006] 象牙質知覚過敏予防及び治療処置として、 5%フッ化ナトリウムを歯に塗布することが行われているが、この塗布処置も歯に含まれるカルシウム及び唾液中のカルシウムを利用して象牙細管の閉塞を行っていたため、フッ化カルシウムの形成に時間がかかって、象牙細管の閉塞効果が出るまでの時間が長い、もしくは処置による効果の持続性などが低いという問題点があった (非特許文献 1)。

[0007] 特許文献 1には、水溶性カルシウム塩を有する第 1の別個の成分、リン酸塩、フッ素イオンを生ずる少なくとも 1種の水溶性フッ化物塩を有する第 2の別個の成分を含む歯のエナメル質の再鉱化用の製品が開示されている。しかしながら、特許文献 1に記載の再鉱化用の製品は、「第 1と第 2の溶液を混合してから混合物を適用する…」（特許文献 1第 19頁第 3— 4行)ものである。

[0008] ここで、第 1と第 2液を混合してから混合物を歯に適用する場合は、第 1の溶液である水溶性カルシウム塩と、第 2の溶液であるリン酸塩、水溶性フッ化物塩とが混合されると、リン酸カルシウム塩 (部分的にフッ素化されたものも含む）が形成されるものである力混合時に混合物中でリン酸カルシウム塩が形成してしまうため、歯の表面に選択的にリン酸カルシウム塩が形成しにくいという問題点があった。

特許文献 1 :特表平 2001 - 523217号公報

非特許文献 1：小林賢一ら訳「Tooth Wearと象牙質知覚過敏」医歯薬出版 2003年 p.357

[0009] 本発明は、下記の第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを有する口腔用組成物であつて、前記第 1組成物 (A)及び前記第 2組成物（B)は、交互に使用可能にそれぞれ離隔されて充填され、適用される歯の部位で混合される口腔用組成物である。

(A)フッ化物イオン供給化合物と、無機リン酸又はその塩とを含有する第 1組成物

(B)有機酸カルシウム塩を含有する第 2組成物（B)であって、前記有機酸カルシゥム塩を構成する有機酸の pKaが 3—11であり、複数の pKaを有する場合は少なくとも 1つが 3—11である。

発明の実施の形態

[0010] 本発明は、上記従来の問題を解決するために行われたものであり、数十秒間の処理で虫歯予防効果が高ぐ象牙質知覚過敏予防 '治療効果にも優れた口腔用組成物及び処置法を提供する。 [0011] 本発明に係る口腔用組成物を歯に適用することにより、短時間の処理で多くのフッ化物を効率的に歯に取り込ませることを可能にし、かつ、処理の際に生じるフッ化力ルシゥムゃリン酸カルシウム粒子による象牙細管を閉塞する効果により、象牙質知覚過敏に対する高い防止効果を得ることができる。さらに、本発明に係る口腔用組成物が歯に第 1組成物 (A)を適用した後、第 2組成物（B)を適用する場合に、第 2組成物 (B)の緩衝作用により、第 1組成物 (A)の pHを上昇させ、第 1組成物 (A)による酸味を低減することができ、口腔用組成物としての使用感が改善される。

[0012] また、本発明は、前記第 1組成物 (A)の水溶液の pHを 2—6にし、及び/又は前記第 2組成物（B)の水溶液の pHを 6_12にすることにより、フッ化物を短時間で効率的に取り込ませることを可能にした。それに加え、前記第 1組成物 (A)や歯に含まれるリン酸イオンを前記第 2組成物（B)からのカルシウムによりリン酸カルシウムを形成させ、それを歯の表面に定着させることができる。同時に、フッ化カルシウムも歯の表面に定着する。

[0013] 前記第 1組成物 (A)の pHを 6以下にすると、ハイドロキシアパタイトとフッ化物とからフッ化カルシウムが形成される複分解反応が促進され、その結果、歯へのフッ素取り込み量が増加し、フッ化物はフッ化カルシウムとして歯に取り込まれる。一方、 pHが 2 以下になるとフッ化カルシウムが溶解しフッ素取り込み量は低下する。そのため、本発明に係る第 1組成物 (A)の pHは 2— 6であることが望ましい。より好ましくは 2. 5— 5. 5であり、 3— 4. 5力 Sさらに好ましレヽ。

[0014] 一方、前記第 2組成物（B)は、前記第 1組成物 (A)を中和させフッ化カルシウムゃリン酸カルシウムの凝集、定着を促進させるものであるため、その pHは中性からアル力リ性であることが望ましレ、。具体的には、 pHが 6 12で、より好ましくは 7 12であり、 8— 11. 5がさらに好ましい。なお、組成物の pHは、歯に適用する濃度での pHであり、例えば組成物が粉体であり水に溶解させて使用する場合、溶解時の pHを意味する。

[0015] 本発明に係る第 1組成物 (A)を歯に適用することにより、歯の表面にフッ化カルシゥム及びリン酸カルシウムを形成させるために、フッ素イオン及びリン酸を供給することを可能にする。 [0016] 本発明に係る第 2組成物（B)を使うことにより、外部からカルシウムを供給することで、素早くフッ化カルシウムを形成させることを可能にし、その結果、短時間 (数十秒間）で歯への処理が可能になり、歯の処理を受ける者（特に子供）への負担を大幅に軽減すること力 Sできる。また、フッ化カルシウムとリン酸カルシウムを同時に形成させることにより、歯の耐酸性を向上させ、再石灰化を促進し、象牙細管閉塞効果を高めることができる。さらに本発明に係る第 2組成物（B)は、緩衝作用を有しているため、本発明に係る第 1組成物 (A)の pHを上昇させることで、酸味が低減され、口腔用組成物の使用感が改善される。

[0017] さらに、本発明は、前記第 1組成物 (A)と前記第 2組成物（B)とを直接交互に歯に適用することで、第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを反応させる場を直接歯の表面にし、フッ化カルシウムやリン酸カルシウムの凝集が起きる部位を歯の表面に限定することにより、フッ化カルシウムやリン酸カルシウムの歯への取り込み効果を高めることができ、虫歯予防効果が高ぐ象牙質知覚過敏予防及び治療効果にも優れる。

[0018] また、 APF自身は、象牙質知覚過敏予防効果が認められていない。本発明に係る前記第 1組成物 (A)を前記第 2組成物（B)と交互に歯に適用することにより、前記第 1組成物 (A)は、有機酸カルシウム塩を含んだ前記第 2組成物（B)と協働して歯の表面に効率よくフッ化カルシウムやリン酸カルシウムを形成させ、高い虫歯予防効果のみならず、象牙質知覚過敏予防などに対する優れた効果をも得ることを可能にした。

[0019] 次に、本発明による第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)との協働による歯の表面における効率のよいフッ化カルシウムやリン酸カルシウムの形成について具体的に説明する。適用される歯の部位において、歯の該当部位に十分量の第 1組成物 (A)を供給した後、過剰量の第 2組成物（B)を該当する歯の部位に適用して供給した場合、前記第 1組成物 (A)のすべてが過剰に供給された第 2組成物（B)と反応し切る。再び、歯の該当部位に十分量の第 1組成物 (A)を供給した場合に、残った前記第 2組成物（B)のすべてが過剰に供給された第 1組成物 (A)と反応し切る。このようなサイクルの繰り返しにより、本発明は、第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを協働して歯の表面に効率よくフッ化カルシウムやリン酸カルシウムを形成させることを可能にした。

[0020] 本発明に係るフッ化物イオン供給化合物としては、直接フッ化物イオンを供給可能な塩で口腔内で使用可能な物質 (換言すれば、フッ素イオンを直接供給しないモノフルオロフォスフヱイトは本発明のフッ化物イオン供給化合物に該当しない）であれば特に限定されず、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニゥム、フッ化リチウムなどの無機性フッ化物、ァミンフッ化物等の有機性フッ化物が挙げられ、中でも安全性、溶解性及び風味等の点からフッ化ナトリウム、フッ化スズ、フッ化リチゥム、フッ化アンモニゥムが好ましい。

[0021] なお、モノフルォロホスフェイト（例えばモノフルォロリン酸ナトリウム、モノフルォロリン酸カリウム、モノフルォロリン酸アンモニゥム等）は、前記フッ化物イオン供給化合物、有機酸カルシウム塩と併用することが可能である。

本発明に係る第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)によって生成されたフッ化カルシゥム及びリン酸カルシウムにモノフルォロリン酸ナトリウム等が含まれると耐酸性がさらに向上する。本発明に係る第 1組成物 (A)及び/又は第 2組成物（B)へのモノフルォ口リン酸ナトリウム配合量は 0. 01_20質量％であり、好ましくは 0. 05_5質量％、特に好ましくは 0. 05_2質量％である。

[0022] 本発明の第 1組成物（A)におけるフッ素イオン濃度は、 0. 0025mol/L— lmol /Lが好ましい。より好ましくは 0· 025mol/L— 0· 5mol/Lで、特に 0. 05mol/L 一 0. 5mol/Lが好ましい。

[0023] 本発明に係る無機リン酸又はその塩としては、例えば、オルトリン酸カリウム、ナトリゥムもしくはアンモニゥムなどのオルトリン酸のアルカリ金属塩及びアンモニゥム塩、リン酸ーカリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸ニナトリゥム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸及びその塩 (例えば、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニゥム等）が挙げられる。本発明の第 2組成物（B)における無機リン酸の濃度は 0. 005mol/L— 3mol/Lが好ましぐより好ましくは 0. 05 mol/L lmol/L、特に 0. lmol/L— 0. 5molZLが好ましい。

[0024] 本発明に係る有機酸カルシウム塩を形成する有機酸の pKa (水溶液、 25°C、ィォン濃度 Omol d は単一の場合 3—11で、複数の pKaを有する場合は少なくとも 1 m

つが 3—11である有機酸のカルシウム塩である。好ましくは pKaが 6—10の有機酸のカルシウム塩である。具体的には、グリセ口リン酸、グリセリルアルデヒド _3_リン酸、ェリスロース _4_リン酸、リボース _5_リン酸、グルコース _1_リン酸、グルコース— 6—リン酸、イノシトールモノリン酸、イノシトールへキサリン酸、フルクトース _1—リン酸、フルクトース _6_リン酸、フルクトースー 1, 6—ジリン酸、ァスコルビン酸— 2_リン酸、リン酸化マルトトリオース、リン酸化マルトテトラオース等のポリオールリン酸のカルシウム塩などがあげられる。

[0025] 本発明に係る有機酸カルシウム塩としては、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、ダルコン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、グリセ口リン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、酪酸カルシウム、イソ酪酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等の水溶性有機酸カルシウム化合物が挙げられる。

[0026] 本発明に係る第 1組成物 (A)は、液状、ペースト状、ゲル状であることが望ましい。

また、本発明に係る第 1組成物 (A)に係るフッ化物イオン供給化合物と、無機リン酸又はその塩とのモル比（フッ化物イオン供給ィ匕合物/無機リン酸又はその塩）は 0. 1 一 10が好ましい。

[0027] 本発明に係る第 2組成物（B)の状態は、カルシウムイオンを供給し、第 1組成物 (A )と速やかに交じり合うことができるものであれば特に限定はしないが、液状、ペースト状、ゲル状、粉状であることが望ましい。第 2組成物（B)における有機酸カルシウム塩の含有量は、 0. 005mol/L— lmol/Lが好ましぐ 0. Olmol/L— 0· 5mol/L 力 Sより好ましく、 0. 02mol/L— 0· 2mol/Lが特に好ましい。

[0028] 本発明に係る第 2組成物（B)は、粉の状態で使用することができ、また、実質的に水を含まない状態で担体に担持させることができる。例えば、前記担体に本発明に係る第 2組成物 (B)を粉の状態で、担体に担持させ (例えば、付着又は混合など）、使用に際し水を担体に加えて用いることにより、作用部位 (例えば、処置しょうとする歯の表面）のカルシウム濃度と緩衝作用がより高く維持され、使い勝手をさらに向上させること力できる。

[0029] 第 1組成物 (A)又は第 2組成物（B)が粉体である場合には、粉の含有量は担体の質量に対して 0. 1倍一 100倍であることが好ましぐより好ましくは 0. 2倍一 50倍で、特に 0. 2倍一 20倍が好ましい。本発明に係る第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)は、両方ともに塗布剤、洗口液、ハミガキであっても良ぐまた、一方が洗口剤で他方力 Sハミガキ剤であってもよぐ一方が塗布剤で他方が洗口剤であってもよレ、。

[0030] 本発明において、第 1組成物 (A)のフッ化物イオン供給化合物と第 2組成物（B)の有機酸カルシウム塩とのモル比（フッ化物イオン供給ィ匕合物 Z有機酸カルシウム塩）は、本発明の目的を達成することができるものであれば特に限定しないが、リン酸力ルシゥム及びフッ化カルシウムが効率良く生成される観点からは、 0. 02 50が好ましく、より好ましく fま 0. 05 20であり、特に 0. 2 5力 S好ましレ、。

[0031] 本発明に係る第 1組成物 (A)及び Z又は本発明に係る第 2組成物（B)の担体は、吸水性で、歯の表面に塗布のための強度を有するものであれば材質等は特に限定しない。より具体的には、紙、布（例えば、ガーゼなど）、不織布（例えば、極細繊維、天然繊維等からなるもの）、脱脂綿、スポンジ、多孔質フィルム等を挙げることができる。

前記多孔質フィルムとしては、セルロース、アセテート、ポリウレタン、多孔質合成ゴム、コラーゲンなどが挙げられる。

[0032] 本発明に係る第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを交互に歯に適用する歯を処理する方法として、具体的には、組成物が液体塗布剤の場合、第 1組成物 (A)を対象部位に塗布完了後 5— 10秒経過した後、第 2組成物（B)を対象部位に塗布し 5— 10 秒放置する。このようなサイクルを 1回以上繰り返し行う。又は第 2組成物（B)を対象部位に塗布した後 5— 10秒経過後、第 1組成物 (A)を対象部位に塗布し 5— 10秒放置するというように順序を逆にしてもよい。

[0033] また、第 1組成物 (A)が洗口剤で第 2組成物（B)が歯磨剤である場合に、第 1組成物 (A)の洗口剤で 30秒洗口した後、第 2組成物（B)の歯磨剤で 3分間ブラッシングする、このような処理を 1回以上繰り返す。また、第 2組成物（B)の歯磨剤で 3分間ブラッシングした後、第 1組成物 (A)の洗口剤で 30秒洗口するとレ、う順序で使用しても構わない。

[0034] 第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)ともに洗口剤の場合に、第 1組成物 (A)の洗口剤で 30秒洗口した後、第 2組成物（B)の洗口液で 30秒洗口する、このような処理を 1回以上繰り返す。使用する順序は、第 2組成物（B)を先、第 1組成物 (A)を後にしても構わない。第 1組成物 (A)が塗布剤で第 2組成物（B)が粉体である場合に、第 1組成物 (A)の塗布剤をを対象部位に塗布完了後 5— 10秒経過した後、第 2組成物（B)の粉体をを対象部位に適用し 5 10秒放置する。このような処理を 1回以上繰り返す。使用する順序は、第 2組成物（B)を先、第 1組成物 (A)を後にしても構わない。

[0035] 1回の処理（1回以上のサイクル)で使用するフッ化物イオン供給ィ匕合物の量は、フッ素原子換算で 0. 1— lOOmg力 S好ましく、より好ましくは 1一 50mgであり、 2 30m gがさらに好ましい。また、 1回の処理（1回以上のサイクル)で無機リン酸又はその塩の ftは、ジン原子換算で 0. 2— lOOOmg力 S好ましく、より好ましくは 1一 500mgであり、 2— 200mgがさらに好ましレ、。また、 1回の処理（1回以上のサイクル）で有機酸力ルシゥム塩の量は、カルシウム原子換算で 0. 2 lOOOmg力 S好ましく、より好ましくは 1一 500mgであり、 2— 200mgカさらに好ましレヽ。

[0036] 本発明の口腔用組成物には、前記成分の他、例えば発泡剤、発泡助剤、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、増量剤、甘味剤、保存料、殺菌剤、薬効成分、粘着剤、顔料、色素、香料等を適宜含有させることができる。また、従来用いられた美白成分であるポリエチレングリコールなどの併用も制限されない。

本発明の口腔用組成物は、さらに、例えば溶液状、ゲル状、ペースト状といった剤形に調製され、歯磨き剤、液状歯磨き、洗口液等として用いることができる。

実施例

[0037] 実施例中の％は質量％を示す。実施例 1 歯科用処理剤 1

A フッ化ナトリウム 2 %

リン酸 1 . 6 %

精製水バランス

H 3 . 6

B グリセ口リン酸カルシウム 3 %

モノフルォロリン酸ナトリウム 1 %

精製水バランス使用方法: A塗布後、 Bを塗布する。

[0038] 実施例 2 歯科用処理剤 2 実施例中の％は質量％を示す。

実施例 1 歯科用処理剤 1

A フッ化ナトリウム 2% リン酸 1. 6% 精製水バランス p H 3. 6

B グリセ口リン酸カルシウム 3% モノフルォロリン酸ナトリウム 1%

精製水バランス p H 8. 1 使用方法： A塗布後、 Bを塗布する。

A剤を塗布後、 B剤を水に浸し塗布する

[0039] 実施例 3 歯科用処理剤 3 (塗布と洗口）実施例 2 歯科用処理剤 2

A フッ化ナトリウム 2% リン酸 3%

精製水

pH 水酸化ナトリウムで pH4. 0に調整

B グリセ口リン酸ナトリウム 50% キシリトール 20%

グリセリン 10 %

モノフルォロリン酸ナトリウム 1%

デキストリンバランス綿球に対し 5◦%の重量になるよう混ぜ合わせる A剤を塗布後、 B剤を水に浸し塗布する実施例 4 歯磨剤と洗口液

A フッ化ナトリウム 0. 2 1% リン酸 0. 5% キシリトール 10% ソルビット液（70 %) 40 % ポリエチレングリコール 600 5% サッカリン 0. 1% ラウリル硫酸ナトリウム 1% 無水ケィ酸 1 5% カノレボキシメチノレセノレロースナトリウム 1% 香料 1% 精製水バランス水酸化ナトリウムで pH 5に調整

B グリセ口リン酸カルシウム 1%

モノフルォロリン酸ナトリウム 0. 14% キシリトール 10% ポリォキシエチレン硬化ヒマシ油 1% 香料 0. 1 % 精製水

Aの歯磨剤でハミガキをした後、 B洗口液で洗口

[0041]

実施例 5 洗口液 2種

A フッ化ナトリウム 0. 05% リン酸 0. 2% ソルビット液（70%) 10% ラウリル硫酸ナトリウム 0. 2% 香料 0. 1% 精製水バランス水酸化ナトリウムで pH4. 5に調整

B グリセ口リン酸カルシウム 1% モノフルォロリン酸ナトリウム 0. 14% キシリトール 10% ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1% 香料 0. 1% 精製水バランス

Η 9. 0 使用法： A洗口液で洗口後、 B洗口液で洗口する。

[0042] <比較例〉

比較例 1 歯科用塗布剤（リン酸酸性フッ素液 A P F ) 成分フッ化ナトリウム 2%

リン酸 5% 比較例 2 象牙質知覚鈍麻剤

成分フッ化ナトリウム 5% 比較例 3 象牙質知覚過敏予防歯磨剤

有効成分硝酸カリウム 5% [0043] 比較例 4

A フッ化ナトリウム 0 . 2 1 % '

キシリトール 1 0 %

ソルビット液（7 0 %) 4 0 %

ポリエチレングリコール 6 0 0 5 %

サッカリン 0 . 1 %

ラウリル硫酸ナトリウム 1 %

無水ケィ酸 1 5 %

カルボキシメチルセルロースナトリウム 1 %

香料 1 %

精製水バランス

[0044] <フッ素取り込み量の評価 >

1. HAPペレットへのフッ素吸着量の定量

実施例 1一 5は HAPペレット（ 10mm X 10mm X 2mm)を、それぞれ 1 Omlの組成物 Aで 10秒間処理し、次に 10mlの組成物 Bで 10秒間処理した。この処理を 3回計 1 分行った。比較例 1は 10mlの液に 4分間浸した。比較例 2は、組成物を塗布した後 1 時間保持しその後除去した。比較例 3,4はペレットを 3分間歯磨き剤に漬けた。 HAP ペレット表面に吸着したフッ化物を塩酸で抽出し、 HAPペレット表面に吸着したフッ素を、フッ素イオン電極（ionplus_Fluoride(〇RION社製)を用レ、、イオンアナライザー (Expandable ionAnalyzer EA 940(ORION社製》を使用して定量した。

[0045] 2.結果

その結果を表 1に示した。実施例 1一 3は、処理時間 1分という短時間で、歯へのフッ素取り込み量が高い結果を得た。これに対し、比較例 1 (現在の技術）に示したように、実施例 1一 3と同レベルのフッ素取り込みを得るのに 4分間かかり、本発明における短時間のフッ素取り込み効果が実証された。実施例 4、 5は、 1分間の処理で、それぞれ、 0· 6, 0. 3 gん m²)のフッ素取り込み量があつたのに対し、一般的な歯磨き剤である比較例 4の場合は、 3分間の処理をしたにもかかわらず、 0· l ( /i g m²)のフッ素取り込みしかできなかった、すなわち、本発明の実施例 4、 5は比較例 4に対し、数倍のフッ素取り込み量を示した。 [0046] [表 1]

[0047] ぐ象牙質知覚過敏に対する有効性の評価 >

1.方法

24歳から 64歳の象牙質知覚過敏を有する者 100名を対象として評価を行った。被験者を 20名ずつの 5群に分け、それぞれ実施例 1一 3を各液 10秒ずつ 3回の交互処理、比較例として虫歯予防に一般的に用いられている APFを 4分間処理 (比較例 1) 、従来から広く象牙質知覚過敏の治療に用いられている 5%フッ化ナトリウム製剤を塗布 (比較例 2)した。象牙質知覚過敏への有効性の評価は薬剤の適用直後と 1週間後の 2回行い、それぞれ、被検者の自覚症状の変化を調べた。

[0048] 2.結果

表 2に本発明による第 1組成物 (A)及び第 2組成物（B)による交互処理した直後の結果及びその比較例の結果を示した。象牙質知覚過敏症状のある人が本発明の実施例 1一 3による 1分間の交互処理を受けたのち、ほとんどの人が象牙質知覚過敏症状を消失し、歯がしみなくった（実施例 1 : 20人中 19人)。これに対し、比較例 1の場合、 4分間の処置を受けても、 20人中 15人が象牙質知覚過敏症状の改善が認められず、相変わらず、歯がしみるという結果であった。なお、表 1に示したとおり、比較例 1の歯へのフッ素取り込み量は高いが、象牙質知覚過敏に対する改善効果は非常に低かった。 [0049] また、象牙質知覚過敏症の治療に用いられている剤（非特許文献 1)である比較例 2の場合は、表 2に示したように、 20人中 11人が象牙質知覚過敏症状を消失し、 8人力 Sしみる症状の改善が認められ、 3人が象牙質知覚過敏症状の改善が認められなかつた。この結果から、本発明にかかる実施例 1一 3の象牙質知覚過敏に対する改善効果が高レ、ことが実証された。

[0050] また、比較例 2の場合は、薬剤を塗布した後、少なくとも 1時間薬剤が歯の表面に塗布された状態を保持する必要があり、治療を受ける患者の負担が大きい。これに対し、本発明は、処置のために必要な時間が 1分で短ぐ患者への負担が大幅に軽減できたことが実証された。

[0051] 表 3に本発明に係る第 1組成物 (A)及び第 2組成物（B)による交互処理した 1週間後の結果及びその比較例の結果を示した。実施例 1一 3の場合、象牙質知覚過敏が消失した状態を維持している人力それぞれ、 20人中 10人、 12人、 12人であるのに対し、比較例 2の場合は、象牙質知覚過敏が消失した状態を維持している人が 3人しカ、ないという結果であった。また、象牙質知覚過敏症状がある人が、実施例 1一 3 の場合、それぞれ、 20人中 4、 3、 1人であったのに対し、比較例 2の場合は、 20人中 7人であった。この結果から、本発明は象牙質知覚過敏に対する治療効果の維持にも優れた効果があったことがレ、える。

[0052] 実施例における本発明の第 1組成物 (A)及び第 2組成物（B)による交互処理で、第 1組成物 (A)からはフッ化物イオン、リン酸が供給され、第 2組成物（B)からは、力ルシゥムイオンが供給され、これらのイオン力処理される歯の表面及び象牙細管内にフッ化カルシウムとリン酸カルシウム塩とが同時に形成されたため、処理時間が短くで高い効果が得られた。また、リン酸カルシウム塩とフッ化カルシウムを象牙細管内に共存させることにより、象牙質の再石灰化が促進され、象牙細管を閉塞させ、さらには歯の表面を改質し耐酸性を高める効果が得られる、象牙質知覚過敏の治療効果の持続性が得られた。これによつて、象牙質知覚過敏の改善及び再発防止に対する効果が実証された。

[0053] これに対し、比較例 2ではフッ化物イオンのみが剤により供給され、カルシウムィォンは、歯の内部のものを利用してフッ化カルシウムが形成され、かつ、フッ化カルシゥムは溶解性が高いため、歯の処理に時間がかかるのみならず、治療効果の持続性も実施例に比較して劣っている。

[0054] [表 2]

<処置直後の結果 >

[0055] [表 3]

<処置 1週後の結果 >

[0056] さらに、処置を行った後患者に使用感のアンケートをした結果、実施例はほとんど問題なかったのに対し、比較例 1は酸味が強いため違和感を感じると答えた人が多かった（表 4)。

[0057] [表 4] 使用感の評価

[0058] <歯磨剤、洗口液の象牙質知覚過敏に対する有効性の評価 >

[0059] 24歳から 64歳の象牙質知覚過敏を有する者 80名を対象として評価を行った。被験者を 20名ずつの 4群に分け、実施例 4の場合は、歯磨剤で 3分間ブラッシング後、洗口液で 30秒洗口し、これを 1日 2回行った。実施例 5の場合は、洗口液 A、 Bで各 1 0秒ずつ交互に 3回繰り返すことを 1日 2回行った。比較例 3の場合は、歯磨剤で 3分間ブラッシングを 1日 2回行った。比較例 4の場合は、歯磨剤で 3分間ブラッシングを 1 日 2回行った。 1週間後にそれぞれ、被検者の自覚症状の変化を調べた。

[0060] その結果、表 5に示したように、実施例では 60%以上の痛みの消失が得られたのに対し、比較例では 20%以下であった。

[0061] [表 5]

< 1週間後 >

[0062] 本発明に係る第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを交互に歯に適用することにより、短時間の処理で多くのフッ化物を効率的に歯に取り込ませることを可能にし、かつ、処理の際に生じるフッ化カルシウムやリン酸カルシウム粒子による象牙細管を閉塞する効果により、高い象牙質知覚過敏の防止効果を得ることができる。さらに、本発明に係る口腔用組成物が歯に第 1組成物 (A)を適用した後、第 2組成物（B)を適用する場合に、第 2組成物（B)の緩衝作用により、第 1組成物 (A)の pHを上昇させ、第 1 組成物 (A)による酸味を低減することができ、口腔用組成物としての使用感が改善される。

Claims

請求の範囲

[1] 下記の第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを有する口腔用組成物であって、前記第 1組成物 (A)及び前記第 2組成物（B)は、交互に使用可能にそれぞれ離隔されて充填され、適用される歯の部位で混合される口腔用組成物。

(B)有機酸カルシウム塩を含有する第 2組成物であって、前記有機酸カルシウム塩を構成する有機酸の pKaが 3-11であり、複数の pKaを有する場合は少なくとも 1つ力 ¾-11である

[2] 前記第 1組成物 (A)の水溶液の pHが 2-6であり、及び/又は前記第 2組成物（B) の水溶液の pHが 6— 12である請求項 1に記載の口腔用組成物。

[3] 前記無機リン酸が、オルトリン酸である請求項 1又は 2に記載の口腔用組成物。

[4] 前記有機酸カルシウム塩が、ポリオールリン酸のカルシウム塩である請求項 1乃至 3 のレ、ずれか 1項に記載の口腔用組成物。

[5] 前記第 1組成物 (A)及び/又は第 2組成物（B)には、モノフルォロホスフェイトをさらに含む請求項 1乃至 4のいずれか 1項に記載の口腔用組成物。

[6] 前記フッ化物イオン供給化合物と、無機リン酸又はその塩とのモル比（フッ化物ィォン供給化合物/無機リン酸又はその塩）が 0. 1— 10である請求項 1乃至 5のいずれ力、 1項に記載の口腔用組成物。

[7] 前記第 2組成物（B)が粉体である請求項 1乃至 6のレ、ずれか 1項に記載の口腔用組成物。

[8] 下記の第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを有し、該第 1組成物 (A)及び/又は第 2組成物（B)が紙、布、不織布、脱脂綿、スポンジ及び多孔質フィルムから選ばれる担体に担持された歯の処理用製品であって、前記第 1組成物 (A)及び前記第 2組成物（B)は、交互に使用可能にそれぞれ離隔されており、適用される歯の部位で混合される歯の処理用製品。

[9] 下記の第 1組成物 (A)と第 2組成物（B)とを交互に歯に適用する歯を処理する方法。

(B)有機酸カルシウム塩を含有する第 2組成物であって、前記有機酸カルシウム塩を構成する有機酸の pKaが 3_11であり、複数の pKaを有する場合は少なくとも 1つ力である

[10] 前記第 1組成物 (A)及び Z又は前記第 2組成物 (B)が、紙、布、不織布、脱脂綿、スポンジ及び多孔質フィルムから選ばれる担体に担持されたものである請求項 9に記載の処理方法。

[11] 前記第 1組成物 (A)及び Z又は前記第 2組成物（B)を担持した前記担体に、歯に適用する直前に水を含ませる請求項 10に記載の処理方法。