WO2004111456A1

WO2004111456A1 - スクロール圧縮機

Info

Publication number: WO2004111456A1
Application number: PCT/JP2004/008373
Authority: WO
Inventors: Kiyoshi Sawai; Noboru Iida; Yoshiyuki Futagami; Akira Hiwata; Teruyuki Akazawa
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.
Priority date: 2003-06-12
Filing date: 2004-06-09
Publication date: 2004-12-23
Also published as: US20080038133A1; JP4440564B2; KR101082710B1; CN1823227A; US7614859B2; JP2005002922A; KR20060020665A; CN101846074A

Abstract

旋回渦巻部品5の背面に設けられた背圧室12を内側領域12aと外側領域12bとに区画する、環状シール11の直径dを旋回鏡板5aの直径Dの0.5倍以上に設定することにより、内側領域12aに作用する吐出圧力Pdの大きさに拘わらず旋回渦巻部品5にプラスのスラスト力を与えることができるので、吐出圧力の背圧のみで旋回渦巻部品5を固定渦巻部品4に押し付けることが可能となり、外側領域12bの設定圧力Pmを吸入圧力Psに近い値に小さくして、起動後に速やかに圧力調整機構20を開口させることによって、潤滑油は外側領域12bから吸入空間9へ時間遅れがなく供給される。

Description

明細書

スクロール圧縮機技術分野

本発明は、冷凍サイクル装置等に用いられるスクロール圧縮機に関し、特に R 4 1 O Aゆ二酸化炭素（C 0 ₂ ) 等の冷媒を使用する蒸気圧縮冷凍サイクルに適したスクロール圧縮機に関する。背景技術

従来、この種のスクロール圧縮機は、圧縮空間での漏れ損失を低減して高い効率を得るために、旋回渦巻部品を固定渦巻部品に接触摺動させ、圧縮空間の密封を図るという構成が用いられることが多い。例えば、図 5は特許文献 1 (特開 2 〇〇 1 - 2 8 0 2 5 2号公報）に記載された従来の構成例を示しだものである。すなわち、従来のスクロール圧縮機では、旋回渦巻部品 5の旋回渦巻羽根面と反対（背面）側の面に背圧室 1 2を設け、この背圧室 1 2を環状シール 1 1 により内側領域 1 2 aと外側領域 1 2 bに区画し、環状シール 1 1 の内側領域 1 2 aには吐出圧力状態にある潤滑油を供給し、さらにこの潤滑油の一部を絞り部 1 3を経由して外側領域 1 2 bに供給し、そして外側領域 1 2 bの潤滑油を吸入空間 9 に供給することにより、外側領域 1 2 bを吸入圧力 P sと吐出圧力 P d間の中間圧力 P mに設定し、旋回渦巻部品 5の背面にスラス卜力を印加することで、旋回渦巻部品 5を固定渦巻部品 4に接触摺動させる構成となっている。しかしながら上記構成において、起動時、潤滑油はまず環状シ一ル 1 1の内側空間 1 2 aに供給され、その後外側空間 1 2 bに供給されるが、その外側空間 1 2 bの圧力が設定の中間圧力 P m ( = P s + Δ Ρ ) になるまで、両渦巻部品で形成される吸入空間 9には供給されないことになる。起動時、吸入空間 9へ潤滑油が供給されない時期に、冷媒ガスとともに多量の冷媒液が冷凍サイクルから吸入空間 9に戻ってきた場合には、摺動面に残っていた潤滑油が冷媒液で洗い流されてしまい、その結果、固定渦巻部品 4ゆ旋回渦巻部品 5が傷付いたり、焼付いたりするといラ問題が生じていた。

特に、冷媒が二酸化炭素（c o ₂) のような高い圧力の冷媒の場合には、旋回渦巻部品 5を固定渦巻部品 4に押し付けるスラス卜力の絶対値が大きくなること、および設定背圧 Δ Ρ (二 P m— P s ) の絶対値も大きくなるので、冷媒 R 4 1 0 Aの場合に比べてさらに給油遅れの時間が長くなることから、固定渦巻部品 4や旋回渦巻部品 5に、焼付きがさらに発生しゆすいという問題が生じていた。

そこで本発明は、起動時の給油遅れを防止し、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することを目的とする。発明の開示

本発明の第 1 の実施の形態によるスクロール圧縮機は、固定鏡板上に固定渦巻羽根を有する固定渦巻部品と、旋回鏡板上に旋回渦巻羽根を有する旋回渦巻部品とを嚙み合わせて複数の圧縮空間を形成し、旋回渦巻部品の旋回渦巻羽根面と反対側の面に背圧室を設け、背圧室を環状シールにより内側領域と外側領域に区画し、環状シールの内側領域に吐出圧力状態にある潤滑油を供給し、該潤滑油の一部を絞り部で減圧して外側領域に供給し、該外側領域の潤滑油を吸入空間に供給するとともに、外側領域を吸入圧力 P sと吐出圧力 P d間の所定圧力 P mに設定し、旋回渦巻部品の背面にスラス卜力を印加することで、旋回渦巻部品を固定渦巻部品に接触させ、旋回渦巻部品の自転を自転拘束部品によって拘束し、旋回渦' 巻部品を旋回運動させることにより、圧縮空間を渦巻の中心に向かって容積を減少させながら移動させ、冷媒ガスを圧縮空間に吸い込んで圧縮するスクロール圧縮機であって、旋回渦巻部品の旋回鏡板の直径 Dと環状シールの外径 dとの比 ( d Z D ) を、〇. 5より大きく設定しだものである。

本実施の形態によれば、比（d Z D ) を 0. 5より大きく設定すると、運転条件により吐出圧力の大きさが変化しても、にプラス（+ ) のスラス卜力が得られるので、環状シールの内側領域に作用する吐出圧力 P dのみで旋回渦巻部品を固定渦巻部品に接触摺動させることが可能となる。これにより、環状シールの外側領域に作用する圧力 P mを、吸入圧力 P s又は P sに近い圧力に設定することができる。その結果、圧縮機の起動時に、環状シールの外側領域に供給された潤滑油はほぽ同時に吸入空間へと供給されることになり、潤滑油の供給遅れがな < なって、たとえ起動初期から冷媒液が吸入空間に吸い込まれてち、摺動表面での焼付き現象が起こらなくなる。

本発明の第 2の実施の形態は、第 1 の実施の形態によるスクロール圧縮機において、環状シールで区画され外側領域に印加される背圧 Δ Ρ ( = P m— P s ) を、当該背圧 Δ Ρと冷媒ガスの〇°Cにおける飽和蒸気圧 P。との比（Δ Ρ / Ρ o) が略一定値でかつ 0. 2以下になるように設定したものである。

本実施の形態によれば、環状シールの外側領域の圧力 P mは、環状シールの内側領域から潤滑油が流れ込ことで上昇するが、その設定圧力 P mが低い圧力 (即ち吸入圧力 P s又は P sに近い圧力）であれば短時間にその値に到達するため、使用する冷媒の 0 °Cにおける飽和蒸気圧 P。（一定值）を用いて、 0. 2≥ Δ P / P ₀≥ O 即ち、 P s +〇. 2 X P。≥ P m≥ P sに規定する。このように外側領域の設定背圧を小さくすると、起動時に、短時間で環状シールの外側領域の圧力が設定値まで上昇し、その後すぐに潤滑油は吸入空間へと供給されることになる。すなわち潤滑油の吸入空間への供給遅れが小さくなつて、たとえ起動初期から冷媒液が吸入空間に吸い込まれてち、摺動表面での焼付き現象が起こらなくなる。

本発明の第 3の実施の形態は、第 1 又は第 2の実施の形態によるスクロール圧縮機において、吸入空間に吸い込む冷媒ガスを、その乾き度が 0. 5以下の液冷媒を含冷媒ガスとしたものである。

本実施の形態によれば、起動時に液冷媒を含冷媒ガスを吸込んだ場合であつてち、その乾き度が 0. 5以下の冷媒ガスであれば、起動時に迅速なる潤滑油給油が実現されることによって、スクロール圧縮機の信頼性を確保することができる。

本発明の第 4の実施の形態は、第 1 又は第 2の実施の形態によるスクロール圧縮機において、冷媒として二酸化炭素を用いるものである。

本実施の形態によれば、冷媒に C〇₂を用いた場合にその圧力が高いので、旋回渦巻部品が固定渦巻部品に押し付けられるスラス卜力も大きくなり、その分摺動表面での焼付き現象が起こりゆすくなるが、 C O 外側領域の背圧 Δ Ρを小さく設定することにより、起動時、短時間に背圧が設定値まで上昇し、その後潤滑油が速ゆかに吸入空間に供給され、摺動部の焼付き現象を防止できる。図面の簡単な説明

図 1 は、本発明の第 1実施例のスクロール圧縮機を示す縦断面図

図 2は、図 1 に示すスクロール圧縮機の旋回渦巻部品及び環状シールを示す部分斜視図

図 3は、図 1 に示すスクロール圧縮機の直径比（d Z D ) とスラス卜力の関係を示す線図

図 4は、本発明の第 2実施例のスクロール圧縮機に係わる起動後の時間と圧力変化を示す線図

図 5は、従来のスクロール圧縮機を示す縦断面図発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。

(実施例 1 )

図 1 は、本発明の第 1実施例によるスクロール圧縮機の縦断面図であり、圧縮対象は冷媒ガスである。

図 1 に示すように、本実施例のスクロール圧縮機は、密閉容器 1 内に溶接や焼き嵌めなどして固定したクランク軸 6の主軸受部材 7と、この主軸受部材了上にボル卜止めした固定渦巻部品 4との間に、固定渦巻部品 4と嚙み合う旋回渦巻部品 5を挟み込んでスクロール式の圧縮機構 2を構成する。また、旋回渦巻部品 5 と主軸受部材了との間に旋回渦巻部品 5の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転拘束部品 1 〇を設けて、クランク軸 6の上端にある偏心部にて旋回渦巻部品 5を偏心駆動することにより、旋回渦巻部品 5を円軌道運動させる。

これにより固定渦巻部品 4の固定鏡板 4 a上に有する固定渦巻羽根 4 bと、旋回渦巻部品 5の旋回鏡板 5 a上に有する旋回渦巻羽根 5 bとを嚙み合わせて形成している圧縮空間 8が、外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、密閉容器 1外に通じ吸入管 1 8および固定渦巻部品 4の外周部の吸入空間 9から冷媒ガスを吸入して圧縮し、所定圧力以上になつだ冶媒ガスを固定渦巻部品 4の中央部の吐出口から密閉容器 1 内に吐出させることを繰り返す構成である。クランク軸 6の下端は密閉容器 1 の下端部の潤滑油溜まり 1 了に達しており、副軸受部材 1 5により支承され安定に回転する。この副軸受部材 1 5は、密閉容器 1 内に溶接や焼き嵌め固定された副軸受保持部材 1 4に取り付けられている。電動機 3は主軸受部材了と副軸受部材 1 4との間に位置して、密閉容器 1 に溶接や焼き嵌めなどして固定された固定子 3 aと、クランク軸 6の途中の外まわりに一体に結合された回転子 3 bとで構成され、回転子 3 aおよびクランク軸 6が回転することにより、旋回渦巻部品 5が円軌道運動する。

旋回渦巻部品 5の背面部分には背圧室 1 2が設けてある。この背圧室 1 2内には主軸受部材了に設けだ円環溝に環状シール 1 1 を配置し、この環状シール 1 1 により背圧室 1 2を 2分割している。環状シール 1 1 で分割した一方の内側領域 1 2 a には、高圧の吐出圧力 P dを作用させる。また、その外側領域 1 2 bには、吸入圧力 P sから吐出圧力 P dまでの間の所定の中間圧力 P mを作用させている。旋回渦巻部品 5は、これら背圧室 1 2の圧力によりスラスト力が印加されて固定渦巻部品 4に安定的に押し付けられ、漏れを低減するととちに安定して円軌道運動を行う構成である。

次に、本実施例のスクロール圧縮機の給油動作について、圧縮機構 2の給油経路を説明する。副軸受保持部材 1 4には容積型のオイルポンプ 1 6が取り付けられている。このオイルポンプ 1 6は、クランク軸 6の下端で駆動される。オイルポンプ 1 6によって潤滑油溜まり 1 了から吸い上げられだ潤滑油は、クランク軸 6を貫通している潤滑油供給穴 6 aを通じて圧縮機構 2の各摺動部に供給される。潤滑油供給六 6 aを通じてクランク軸 6の上端に供給され潤滑油の大部分は、クランク軸 6の扁心軸受部および主軸受部了 aを潤滑した後、主軸受部材 7の下に流出し、最終的に潤滑油溜まり 1 了に戻る。一方、クランク軸 6の上端に供給された潤滑油の一部は、旋回渦巻部品 5の内部に設けられた通路と絞り部 1 3を経由して、そこで減圧されて環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bに供給される。また、この外側領域 1 2 bには自転拘束部品 1 〇が配設されており、供給された潤滑油により潤滑が行われる。外側領域 1 2 bに供給された潤滑油が溜まるにしたがい、この外側領域 1 2 bの圧力は上昇するが、その圧力を一定に保っために、環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bと吸入空間 9の間に圧力調整機構 2 0が配置されている。外側領域 1 2 bの圧力が設定されだ背圧 Δ Ρ (二 P m— P s ) より高くなると、圧力調整機構 2 0が作動して、外側領域 1 2 b内の潤滑油は吸入空間 9に供給され、外側領域 1 2 bの圧力はほぼ '一定に保たれる。吸入空間 9に供給され潤滑油は、圧縮空間 8に入り、圧縮空間 8内で冷媒ガスの漏れを防ぐシールの役割と、固定渦巻部品 4と旋回渦巻部品 5の摺動面を潤滑する役割を果してし、る。

次に、図 2、図 3を用いて、第 1実施例のスクロール圧縮機に関して、更に詳細説明する。第 1実施例のスクロール圧縮機の構成は、図 2で示す旋回渦巻部品 5の旋回鏡板 5 aの直径 Dと、環状シール 1 1 の外径 dとの比（d Z D ) の関係を、 0. 5より大きく設定している。ま、図 2に示すように環状シール 1 1 は、旋回渦巻部品 5の旋回渦巻羽根 5 b面と反対側に、すなわち背圧室 1 2側に配置されている。

ところで、エアコン等の空調機又はヒー卜ポンプ給湯機における冷凍サイクルでは、吐出圧力 P dと吸入圧力 P sの圧力比 P d Z P sは、運転条件に J じて 2 〜6程度の範囲で変化する。図 3に、旋回渦巻部品 5の背圧室 1 2における環状シール 1 1 の内側領域 1 2 aには P dが作用して外側領域 1 2 bには P sが作用するとした場合について、運転条件を変化させ、旋回渦巻部品 5の旋回鏡板 5 a に作用する圧力バランスからスラストカを計算し、そのスラス卜力の直径比 d Z Dに対する関係を示している。

図 3に示す線図によれば、旋回渦巻部品 5を固定渦巻部品 4に接触摺動させるめには、圧力比 P d Z P sが 2 ~ 6程度の範囲で変化するときスラスト力が常にプラス（+ ) であれば良いので、環状シール 1 1 の外径を旋回渦巻部品 5の旋回鏡板 5 a直径の約 0. 5倍より大きく設定すれば良いことが判る。

すなわち、直径比 d Z Dを 0. 5より大きぐ設定すると、吐出圧力の大きさに拘わらず常にプラス（+ ) のスラスト力が得られるので、環状シール 1 1 の内側領域 1 2 aに作用する吐出圧力 P dのみで旋回渦巻部品 5を固定渦巻部品 4に接触摺動させることができる。これにより、環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bに作用する中間圧力 P mは、吸入圧力 P s又は P sに近い圧力に設定することが可能になるので、本第 1 実施例のスクロール圧縮機においては、背圧 Δ Ρが約ゼロに近い値でも作動するように圧力調整機構 2 0を設定している。

このような本実施例の圧縮機構 2の構成により、起動時、環状シール 1 1の外側領域 1 2 bに供給された潤滑油は、時間遅れがなく吸入空間 9へと供給されることになる。したがって起動初期に多量の冷媒液が吸入空間 9に吸い込まれ、その冷媒液が潤滑油を洗い流しても、すぐに新しい潤滑油が吸入空間 9に供給されるので、摺動表面での焼付き現象が起こらなくなるという大きな効果が得られる。

(実施例 2 )

次に、本発明の第 2実施例によるスクロール圧縮機について説明する。本第 2 実施例では、図 1 の第 1 実施例のスクロール圧縮機に示す環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bに印加する背圧 Δ Ρ ( = P m - P s ) を、次のように設定して構成する。なお、第 1実施例のスクロール圧縮機と同一機能を有する構成は同一番号を付して説明を省略する。

環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bの圧力は、環状シール 1 1の内側領域 1 2 a から潤滑油が流れ込んで上昇するが、背圧の設定圧力が低いほど短時間にその値に到達する。そして、環状シール 1 1の外側領域 1 2 bの圧力が設定背圧まで圧力が上昇し時点で、潤滑油は圧縮機構 2の吸入空間 9に供給されることとなる。従って、本実施例では、背圧 Δ Ρと使用する冷媒の 0 °Cにおける飽和蒸気圧 P。との比（Δ Ρ Ζ Ρ。）が略一定値でかつ 0 . 2以下になるように、固定渦巻部品 4に埋め込まれた圧力調整機構 2 0により、背圧 Δ Ρの値を規定している。すなわち、このように外側領域 1 2 bの設定背圧を小さく（0 . 2≥Δ Ρ Ζ Ρ。≥ 〇）規定することにより、起動時にはすぐに潤滑油は吸入空間 9へと供給されることになる。すなわち潤滑油の吸入空間 9への供給遅れが小さくなつて、とえ起動初期から冷媒液が吸入空間に吸い込まれてち摺動表面での焼付さ現象が起こらなくなるという効果が得られる。

図 4は、 C〇₂冷媒を使用したスクロール圧縮機において、起動時における吸入圧力 P s、吐出圧力 P dと、環状シール 1 1 の外側領域 1 2 bの圧力（背圧△ P) とについて、時間に対する変化を示しグラフである。すなわち、 3台の〇〇₂スクロール圧縮機に関して、圧力調整機構 2〇の設定を変えることにより、それぞれ環状シール 1 1の外側領域 1 213の圧カ厶を、例えば 0. 5MP a、 1. 〇MP a、 1. 5MP aの 3種類異なる値に設定して、実験評価を実施し結果を示している。

背圧の時間変化を見ると、背圧が〇. 5MP aに到達するには運転開始から約 3〇秒後であり、 1. 〇MP aに到達するには約 45秒後、 1. 5MP aに到達するには約 60秒後となった。言い換えると、背圧 ΔΡの設定が 0. 5MP aの場合には運転開始から約 3〇秒後に吸入空間 9に潤滑油が供給されるが、背圧△ Pの設定が 1. OMP aの揚合には運転開始から約 45秒経過しないと吸入空間 9に潤滑油が供給されないことになる。

また、この起動試験を実施し結果、背圧を ΔΡ=1. OMP , および 1. 5MP aに設定したスクロール圧縮機については、両者とも旋回渦巻部品 5と固定渦巻部品 4の摺動面、すなわち各鏡板 4 a、 5 aに焼付き傷が発現しが、 △ P二 0. 5MP aに設定し圧縮機については、焼付きは生じなかった。

そして、冷媒が C〇₂の場合には、 0°Cにおける飽和蒸発圧力 Ρ。は 3. 5Μ P a Ca b s) であり、設定背圧 ΔΡ =〇. 5 M P aの場合を考えると、 ΔΡと P。の比（ΔΡ/Ρο) は〇. 1 43となる。

これらの実験から、本第 2実施例のスクロール圧縮機において、 ΔΡΖΡ。の値が 0. 2以下になるように ΔΡを設定することにより、起動時に迅速な吸入空間への潤滑油給油が可能になり、摺動傷の発生や焼付きを防止することができ、信頼性を高めることができると判明し。

なお、背圧△ Ρを小さく設定した場合（C〇₂泠媒を用いて ΔΡ二〇. 5M P aに設定した場合）も、定格運転条件などの各種の条件で安定して高い効率の運転を行うためには、前述の第 1実施例で説明しように、環状シール 1 1の外径 dの大きさを、旋回渦巻部品 5の旋回鏡板 5 a直径 Dの〇. 5以上に設定することが望ましし、。

また、背圧 ΔΡを小さく設定した場合であれば、多量の冷媒液を含冷媒（すなわち乾き度が 0. 5以下の冷媒）が吸入空間 9に吸い込まれても、旋回渦巻部品 5と固定渦巻部品 4の摺動面に焼付きが生じなかったことを確認している。上記説明から明らかなように本発明は、旋回渦巻部品の旋回鏡板の直径 Dと環状シールの外径 dとの比（d Z D ) を、 0. 5より大きく設定したものであり、これにより、環伏シールの外側領域に作用する圧力 P mを、吸入圧力 P s又は P sに近い圧力に設定すればよいことになり、その結果、圧縮機の起動時に、環状シールの外側領域に供給された潤滑油はほぼ同時に吸入空間へと供給されることになるので、潤滑油の供給遅れがなくなって、たとえ起動初期から冷媒液が吸入空間に吸い込まれても、摺動表面での焼付き現象が起こらな <なるという効果が得られる。

まだ、本発明は、環状シールの外側領域に印加される背圧 Δ P ( = p _m— P s ) と、 0 °Cにおける冷媒ガスの飽和蒸気圧 P。との比（Δ Ρ Ζ Ρ。）が略一定値でかつ 0. 2以下になるように、背圧 Δ Ρを小さ <設定したものであり、これによって、環状シールの外側領域の圧力は短時間にその設定値に到達し、圧縮機構の吸入空間にち潤滑油が速やかに供給されることとなり、すなわち潤滑油の吸入空間への供給遅れが小さくなる。そして、たとえば起動初期からその乾き度が 0. 5以下の冷媒が吸入空間に吸い込まれてち摺動表面での焼付き現象が起こらなくなるという効果が得られる。

ま、本発明は、吸入空間に吸い込 ¾冷媒が、その乾き度が 0. 5以下の液冷媒を含 ¾冷媒ガスであっても、第 1 又は第 2の実施の形態によれば、起動時に迅速なる潤滑油給油が可能になるので、スクロール圧縮機の信頼性を高めることができる。さらに、冷媒に C 0 ₂を用い場合においては、 C〇₂自体の圧力の絶対値が高いので、一般にその分摺動表面での焼付き現象が起こりやすくなるが、環状シールの外側領域の背圧 Δ Ρを小さく設定することにより、起動時、短時間に背圧が設定値まで上昇し、これによつて潤滑油が速ゆかに吸入空間に供給されるので、摺動部の焼付き現象を防止することができる。産業上の利用可能性

以上のよに本発明によれば、起動時の給油遅れを防止し、信頼性の高し、スクロール圧縮機を提供することができる。

Claims

請求の範囲

1 固定鏡板上に固定渦巻羽根を有する固定渦巻部品と、旋回鏡板上に旋回渦巻羽根を有する旋回渦巻部品とを嚙み合わせて複数の圧縮空間を形成し、前記旋回渦巻部品の前記旋回渦巻羽根面と反対側の面に背圧室を設け、前記背圧室を環伏シールにより内側領域と外側領域に区画し、前記環状シールの前記内側領域に吐出圧力状態にある潤滑油を供給し、該潤滑油の一部を絞り部で減圧して前記外側領域に供給し、該外側領域の潤滑油を吸入空間に供給するととちに、前記外側領域を吸入圧力 P sと吐出圧力 P d間の所定圧力 P mに設定し、前記旋回渦巻部品の背面にスラス卜力を印加することで、前記旋回渦巻部品を前記固定渦巻部品に接触させ、前記旋回渦巻部品の自転を自転拘束部品によって拘束し、前記旋回渦巻部品を旋回運動させることにより、前記圧縮空間を渦巻の中心に向かって容積を減少させながら移動させ、冷媒ガスを前記圧縮空間に吸い込んで圧縮するスクロール圧縮機であって、

前記旋回渦巻部品の前記旋回鏡板の直径 Dと前記環状シールの外径 dとの比 ( d / D ) を、〇. 5より大きく設定したことを特徴とするスクロール圧縮機。

2 前記環状シールで区画され前記外側領域に印加される背圧 Δ Ρ ( = P m - P s ) を、当該背圧 Δ Ρと前記冷媒ガスの〇°Cにおける飽和蒸気圧 P ₀との比（Δ Ρ Ζ Ρ ο ) が略一定値でかつ 0 . 2以下になるように設定したことを特徴とするクレー厶 "1 に記載のスクロール圧縮機。

3 前記吸入空間に吸い込 ¾前記冷媒ガスが、その乾き度が 0. 5以下の液冷媒を含冷媒ガスであることを特徴とするクレーム 1 又はクレーム 2に記載のスクロール圧縮機。

4 前記冷媒として二酸化炭素を用いることを特徴とするクレーム 1 又はクレーム 2に記載のスクロール圧縮機。