WO2004099406A1 - 改変ダニ主要アレルゲンの精製方法 - Google Patents

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Abstract

 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲンの精製方法及び当該精製方法により精製した改変ダニ主要アレルゲンを提供する。①MF膜を用いて、遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲン含有封入体を洗浄・回収する工程、②当該封入体を溶解後、リフォールディングする工程、③限外濾過膜を用いて、改変ダニ主要アレルゲン含有液の濃縮と低分子成分の除去を行う工程、④陰イオン交換体を用いて、改変ダニ主要アレルゲンを非吸着画分に回収する工程、⑤疎水ゲルを用いて、改変ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回収する工程、及び⑥陰イオン交換体を用いて、改変ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回収する工程を含むことを特徴とする、遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲンの精製方法及び当該精製方法により得られた高純度の改変ダニ主要アレルゲン。

Description

明 細 書
改変ダニ主要ァレルゲンの精製方法
技術分野
本願発明は、 大腸菌を宿主として遺伝子組換え技術により得られた改変ダニ主 要アレルゲンの精製方法に関する。 より詳細には、 ① MF膜を用いた改変ダニ主要 アレルゲン含有封入体の洗浄 ·回収、 ②当該封入体の溶解/リフォールディング、 ③限外濾過膜処理、 ④陰イオン交換体処理による非吸着画分の回収、 ⑤疎水ゲル 処理による吸着画分の回収及び⑥陰ィオン交換体処理による吸着画分の回収の各 工程を含む改変ダニ主要ァレルゲンの精製方法及び当該精製方法により得られる、 高度に精製した改変ダニ主要アレルゲンに関する。
背景技術
アレルギー性喘息、 アレルギー性鼻炎、 アレルギー性皮膚炎あるいはアレルギ 一性結膜炎などのァレルギ一疾患の治療には抗ァレルギ一剤ゃ抗ヒスタミン剤が 用いられることが多いが、 対症療法であり、 アレルギーを根治することはできな い。 原因抗原を注射する減感作療法はアレルギー性疾患の唯一の根治療法と考え られている。 減感作療法とはアレルギー患者にその原因となっているアレルゲン を少量づっ注射し、 生体のァレルギ一反応をなくす治療法である。 その有効率は 70%以上といわれている。
現在、 ダニァレルゲン製剤は、 ハウスダストァレルゲンだけである。 ハウスダ ストアレルゲンは、 室内埃よりアレルゲンを抽出する方法で製造されている。 こ のため、 当該方法により製造されたダニアレルゲン製剤はダニ以外の例えばカビ や細菌など種々の抗原を含んでおり、 その生物活性 (力価) を明確に定義するこ とができない。 また、 原料が限られており大量のアレルゲンを安定供給すること が困難であることも問題である。
アレルゲン製剤は、 免疫誘導を目的に、 主に皮下に投与される。 アレルゲン製 剤に不純物が混入していると、 目的としない不純物に対して生体が免疫応答し、 不純物に対する感作が成立する可能性がある。 つまり、 不純物に対するアレルギ 一を新たに誘導し、 重篤な副作用を引き起こす可能性がある。 したがって、 ァレ ルゲン製剤の安全性を確保するには、 高度に精製された製剤を供給する必要があ る。
しかしながら、 アレルゲン製剤が高度に精製されたとしても、 アレルゲンを投 与することでアナフィラキシーショックを起こす危険性がある。 すなわち、 アナ フイラキシーショックに代表される I型アレルギーは、 アレルゲンが IgE抗体と結 合することで起こることが知られており、 アレルゲンの投与には常にアナフイラ キシーショックを惹起する危険性が潜在する。
近年、 ダニァレルゲンの研究が進み、 すでにいくつかのダニ主要ァレルゲンが 同定されている (例えば、 Platts—Millsら J. Allergy Clin. Immunol. 80 755— 775, 1987) ;参照のため本明細書中に引用する) 。 例えば、 ダニ主要アレルゲ ン Der f 2をコードする遺伝子及びその製造方法は、 結城らにより開示されてい る (アレルギー (Japanese J. Allergology) 、 3 9卷、 5 5 7頁、 1 9 9 0 年;参照のため本明細書中に引用する) 。 このダニ主要アレルゲンを用いたァレ ルギー疾患の減感作療法は、 上記の問題のいくつかを解決することができ、 非常 に有効であると考えられる。 しかしながら、 なお、 アレルゲン投与によるアナフ イラキシーショックの危険性を排除することはできない。
遺伝子組換え技術により、 ダニアレルゲンの立体構造の一部を破壌して、 IgE 抗体との結合性を低下させた、 改変型のダニ主要アレルゲン (以下、 「改変ダニ 主要アレルゲン」 と称することもある) が作出されている (例えば、 特開平 6— 2 5 3 8 5 1号公報 (特願平 5— 1 3 9 7 9 3 ) ;参照のため本明細書中に引用 する) 。 この改変ダニ主要アレルゲンは、 ダニ主要アレルゲン Der f 2のシステ イン残基をセリン残基に置換したもので、 アナフィラキシーショックを惹起する ことなく、 安全に減感作して、 アレルギーを治療できる薬剤として期待できる。 しかしながら、 工業的製造レベルで製造した遺伝子操作由来のダニ主要ァレルゲ ンを、 医薬品グレードにまで精製したという報告は未だない。
組換えダニ主要アレルゲン Der f 2は、 Der f 2をコードする遺伝子を含む発現 ベクターで原核生物または真核生物を形質転換し、 得られた形質転換体を培養し、 培養物からこれを精製することにより調製されている。 上記特開平 6— 2 5 3 8 5 1号公報に開示された方法では、 培養物からの精製は、 イオン交換クロマトグ ラフィー、 ゲル濾過クロマトグラフィー工程により行われている。 しかしながら、 かくして精製されたダニ主要アレルゲン Der f 2の純度は、 試薬グレードでしか なく、 また改変ダニ主要ァレルゲンのリフォールディングを透析法により行うた め、 大量に処理することが困難である。
発明の開示
(発明が解決しようとする技術的課題)
本願発明の目的は、 遺伝子操作により作製された改変ダニ主要アレルゲンを医 薬品グレードまで精製する方法を提供することにある。
本願発明の他の目的は、 本願発明の精製方法により得られる、 宿主由来成分等 の夾雑成分を含まない高純度の改変ダニ主要ァレルゲンを提供することにある。
(その解決方法)
本願発明者らは、 上記目的を達成するために、 鋭意研究を進めた結果、 ①遺伝 子操作により得られる改変ダニ主要ァレルゲン含有封入体を MF膜で洗诤 ·回収す る工程、 ②当該封入体を溶解後、 リフォールデイングする工程、 ③改変ダニ主要 了レルゲン含有液を限^ t過膜で濃縮すると同時に低分子成分を除去する工程、 ④弱陰イオン交換体で改変ダニ主要アレルゲンを非吸着画分に回収する工程、 ⑤ 疎水ゲルで改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程、 ⑥強陰イオン交 換体で改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程を実施することにより、 改変ダニ主要ァレルゲン産生宿主の培養物から改変ダニ主要ァレルゲンが効率よ く精製されることを見出し、 本願発明を完成するに至った。
すなわち、 本願発明は、
① MF膜を用いて、 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要ァレルゲン含有 封入体を洗浄 ·回収する工程、
②当該封入体を溶解後、 リフォールデイングする工程、
③限外濾過膜を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲン含有液の濃縮と低分子成分の除 去を行う工程、
④陰ィオン交換体を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲンを非吸着画分に回収するェ 程、
⑤疎水ゲルを用いて、 改変ダニ主要ァレノレゲンを吸着画分に回収する工程、 及び
⑥陰ィオン交換体を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程 の精製工程を含むことを特徴とする、 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ 主要ァレルゲンの精製方法に関する。
とりわけ、 本願発明は、
①脱イオン水と MF膜を用いて、 培養して発現誘導を行った改変ダニ主要アレルゲ ン産生大腸菌の破碎液の希釈と濃縮を繰り返すことにより、 改変ダニ主要ァレル ゲン含有封入体を洗浄 -回収する工程、
②当該封入体を還元剤及び変性剤を含有する溶液で溶解した後、 変性剤を希釈ま たは除去することにより、 リフォーノレディングする工程、
③分画分子量 6000〜10000の限外濾過膜を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲン含有 液の濃縮と低分子成分の除去を行う工程、
④弱陰イオン交換体力ラムを用いて、 pH8〜9、 0. 03〜0. 1Mの塩濃度の条件下に、 改変ダニ主要ァレルゲンを非吸着画分に回収する工程、
⑤疎水カラムを用いて、 改変ダニ主要アレルゲンを pH7〜8、 2〜3M塩化ナトリウ ムの条件下に吸着させた後、 0〜1Mの塩濃度で溶出させることにより、 当該改変 ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回収する工程、 及ぴ
⑥強陰ィオン交換体力ラムを用いて、 改変ダニ主要ァレルゲンを PH8. 5〜9. 5、 1 〜3M尿素の条件下に吸着させた後、 塩濃度を 0〜0. 1Mに直線的に変化させて溶出 させることにより、 当該改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程 の精製工程を含むことを特徴とする、 上記精製方法を提供する。
本願発明はさらに、 上記精製方法により得られる、 精製した改変ダニ主要ァレ ルゲンに関する。
とりわけ、 本願発明は、 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレル ゲンが、 ダニ主要アレルゲン Der f 2の 8位及び 1 1 9位のシスティン残基をと もにセリン残基に置換した改変ダニ主要アレルゲン Der f 2である場合に、 上記 精製方法により得られる、 約 15kDの分子量及び PI6. 6〜7. 2の等電点を有し、
( 1 ) SDS- PAGE分析で単一バンドである、
( 2 ) 宿主由来の不純蛋白質含量が 1 %以下である、
( 3 ) 改変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量が 10%以下である、
( 4 ) 立体構造の異なるダニ主要ァレルゲン含量が 10%以下である、 ( 5 ) 500 g/ml改変ダニ主要ァレルゲン溶液のェンドトキシン含量が、
0. 25EU/ml以下である
の特徴を有する、 さらに詳細には、
( 1 ) SDS- PAGE分析で単一バンドである、
( 2 ) 宿主由来の不純蛋白質含量が 0. 004〜1%である、
( 3 ) 改変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量が 0. 005~10%である、
( 4 ) 立体構造の異なるダニ主要ァレルゲン含量が 0. 03~10%である、
( 5 ) 500 g/tnl改変ダニ主要ァレルゲン溶液のェンドトキシン含量が、 0. 002〜 0. 25EU/mlである。
の特徴を有する、 改変ダニ主要アレルゲン Der f 2及ぴ当該改変ダニ主要アレル ゲンを主成分とする組成物に関する。
(従来技術より有効な効果)
本願発明の方法によれば、 遺伝子操作により得られる改変ダニ主要ァレルゲン を効率よく、 かつ大量に精製することができるので、 3女変ダニ主要ァレ^^ゲンの 工業生産に適しており、 安定して、 単一の改変ダニ主要アレルゲン製剤を供給で きる。 また、 強陰イオン交換体力ラムによる精製工程を尿素の存在下に行うこと により、 目的とする改変ダニ主要アレルゲンの純度を効果的に上げることができ る。
とりわけ、 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲンが、 ダニ 主要ァレルゲン Der f 2の 8位及び 1 1 9位のシスティン残基をともにセリン残 基に置換した改変ダニ主要アレルゲン Der f 2である場合、 当該改変ダニ主要ァ レルゲンは、 ネィティブダニ主要ァレルゲンとは異なり、 立体構造の一部を破壌 して IgE抗体との結合性を低下させているので、 当該改変ダニ主要ァレルゲンを 本願発明の方法により精製することによって、 ァナフイラキシーショックを惹起 する危険性が低減された改変ダニ主要ァレルゲン製剤を提供できる。 当該改変ダ 二主要アレルゲンは、 本願発明の方法によれば、 (1 ) SDS- PAGE分析で単一バン ド、 (2 ) 宿主由来の不純蛋白質量が 0. 1%以下、 (3 ) 改変ダニ主要アレルゲ ンの重合体含量が検出限界以下、 (4 ) 立体構造の異なる改変ダニ主要アレルゲ ン含量が 10%以下、 ( 5 ) 500 μ g/ml改変ダニ主要ァレルゲンのェンドトキシン 含量が、 注射用水の規格である 0. 25EU/ml未満 (第十四改正 日本薬局方) を満た す高純度の改変ダニ主要アレルゲンが提供される。 すなわち、 本願発明の方法に よれば、 宿主由来の夾雑物を実質的に除去することができ、 該夾雑物に対する重 篤な副作用を回避することができるので、 安全な改変ダニ主要アレルゲン製剤が 提供される。
図面の簡単な説明
図 1は、 発現ベクター pWUll - C8/119Sの構築方法を示す。
図 2は、 ファーメンタ培養時の菌体の増殖曲線を示す。
図 3は、 ファーメンタ培養して増殖させた組換え大腸菌を経時的にサンプリン グし、 超音波破碎処理し、 SDS-ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動にかけた結果を 示す。 レーン 1 : 37°C温度シフト前、 レーン 2 : 37°C温度シフト 1時間後、 レー ン 3 :温度シフト 3時間後、 レーン 4 :温度シフト 5時間後、 レーン 5 :温度シフ ト 7時間後、 レーン 6 :温度シフト 9時間後、 レーン 7 :温度シフト 12時間後。 図 4は、 抗 Der f 2モノクローナル抗体を用いた、 ウェスタンプロットの結果 を示す。 レーン 1 :精製改変ダニ主要アレルゲンの非還元処理、 レーン2 :精製 改変ダニ主要ァレルゲンの還元処理。
図 5は、 各精製段階での改変ダニ主要ァレルゲンの純度を SDS-ポリアクリルァ ミドゲル電気泳動にかけた結果を示す。 レーン 1 : リフォールデイング、 レーン 2 :弱陰イオン交換クロマト、 レーン 3 :精製改変ダニ主要アレルゲン。
図 6は、 精製改変ダニ主要ァレルゲンを SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 にかけた結果を示す。 レーン 1 :精製改変ダニ主要アレルゲンの非還元処理、 レ ーン 2 :精製改変ダニ主要アレルゲンの還元処理。
図 7は、 精製改変ダニ主要ァレルゲンをゲル濾過 HPLC分析して得られたク口マ トパターンを示す。
図 8は、 精製改変ダニ主要ァレルゲンを逆相 HPLC分析して得られたクロマトパ ターンを示す。
図 9は、 精製改変ダニ主要アレルゲン (3ロット) を等電点電気泳動にかけた 結果を示す。 レーン 1 : SF- 01、 レーン 2 : FP- 020、 レーン 3 : FP- 021。
図 1 0は、 従来品の精製 Der f 2 (アサヒビール薬品) 及び本発明の精製改変ダ 二主要ァレルゲンをポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた結果を示す。 レー ン 1 : Der f 2、 レ^ "ン 2 :改変ダニ主要アレルゲン FP- 020、 レーン 3 :改変ダ 二主要ァレノレゲン FP- 021。
発明を実施するための最良の形態
本願発明の精製方法は、 ①遺伝子操作により得られる改変ダニ主要ァレルゲン 含有封入体を MF膜で洗浄 '回収する工程、 ②当該封入体を溶解後、 リフォールデ ィングする工程、 ③改変ダニ主要ァレルゲン含有液を限外濾過膜で濃縮すると同 時に低分子成分を除去する工程、 ④陰イオン交換体で改変ダニ主要アレルゲンを 非吸着画分に回収する工程、 ⑤疎水ゲルで改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に 回収する工程、 及ぴ⑥陰イオン交換体で改変ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回 収する工程を含むことを特徴とする。
以下、 各工程について詳述する。
遺伝子組換えによる改変ダニ主要ァレルゲン含有培養物の調製
本願発明の精製方法の対象となる遺伝子組換えにより得られる改変ダニ主要ァ レルゲンとしては、 これまでに同定された Der f 2、 Der p 2などのダニ主要ァレ ルゲン遺伝子を用いて調製したものが挙げられる。 各ダニ主要アレルゲン Der f 2及ぴ Der p 2の全体のアミノ酸配列 (Chua K. Y. , Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 91 (2), 118-123 (1990) ) のホモロジ一は 8 0 %以上であり、 いずれも S— S結合の位置は同じである。 従って、 これらのダニ主要アレルゲンのいずれ の遺伝子を含む核酸断片であっても、 その塩基配列を一部変異させることにより 改変ダニ主要ァレルゲンを得ることができる。
本願発明に使用できる改変ダニ主要アレルゲンの具体例として、 例えば、 特開 平 6— 2 5 3 8 5 1号公報に記載されている、 ダニ主要アレルゲン Der f 2の 8 位及び 1 1 9位のシスティン残基をともにセリン残基に置換した改変ダニ主要ァ レルゲン Der f 2が挙げられるが、 これ以外にも、 ダニ主要アレルゲンの立体構 造を改変して IgE抗体との結合性を低下させた他の改変型ダニ主要アレルゲンを 使用することもできる。
ダニ主要ァレルゲン遺伝子、 その一部の塩基配列を置換した改変ダニ主要ァレ ルゲン遺伝子は、 ダニから抽出した mR Aまたはゲノム DNAを出発材料として、 Sambrookらが述べている一般的な遺伝子組換え技術 (Molecular Cloning, A Laboratory Manual Second Edition. Cold Spring Harbor Laooratory Press, N. Y. , 1989) に従って調製することができる。
実際には、 市販のキットが使用される。 例えば、 RNAの抽出には、 TRIzol試薬 (インビトロジェン社) 、 IS0GEN (二ツボンジーン社) 、 StrataPrep Total RNA
Purification Kit (東洋紡) などの試薬、 mRNAの精製には、 raRNA Purification Kit (アマシャムバイオサイエンス社) 、 Poly (A) Quick mRNA Isolation Kit
(東洋妨) 、 mRNA Separator Kit (クロンテック社) などのキット、 cDNAへの変 換には、 Superscript plasmid system for cDNA synthesis and plasmid cloning (インビトロジェン社) 、 cDNA Synthesis Kit (宝酒造) 、 SMART PCR cDNA Synthesis & Library Construction Kits (クロンテック社) 、
Directionary cDNA Library Construction systems (ノノ ン工ン社) など力 S使用 される。
より具体的には、 改変ダニ主要アレルゲン遺伝子は、 特開平 6— 2 5 3 8 5 1 号公報に記載の方法に従って、 改変ダニ主要アレルゲンの cDNAを保持しているプ ラスミドを作製し、 これを铸型として PCR法を実施することにより取得すること ができる。
改変ダニ主要ァレルゲンは、 かかる改変ダニ主要ァレルゲン遺伝子を適当な宿 主に導入することによって生産することができる。 このような宿主として、 例え ば、 動物細胞、 植物細胞、 昆虫細胞または大腸菌、 酵母、 枯草菌などの微生物が 挙げられる。 また、 動物工場と称される大小動物に生産させることも可能である。 本願発明に使用される改変ダニ主要ァレルゲン含有物は、 遺伝子操作を経て調 製されたものであれば特に限定されず、 既に文献等に開示され公知となっている ものの他、 今後開発されるものであっても適宜利用することができる。 例えば、 上記の改変ダニ主要ァレルゲンを生産する宿主の培養物あるいは組換え大小動物 の体液、 分泌物が挙げられる。 好ましくは、 改変ダニ主要アレルゲン産生大腸菌 の培養物である。
更に好ましくは、 インドール酢酸 (IM) 、 イソプロピルチオ一ベータ一D— ガラクトシド (IPTG) などの発現誘導剤を使用しない方法で発現誘導を行った改 変ダニ主要ァレルゲン産生大腸菌の培養物が使用される。 このような発現誘導剤 を含有しない改変ダニ主要アレルゲン含有培養物は、 例えば、 特願 2 0 0 3— 5 8 9 9 2に記載の方法により取得することができる。
より具体的には、 トリブトファンプロモーターと pUC由来の複製開始点で構成 される発現プラスミドに改変ダニ主要アレルゲン遺伝子を組み込み、 該発現ブラ スミドで大腸菌を形質転換し、 改変ダニ主要アレルゲンを発現する組換え大腸菌 を得、 グリセリンストックを作製する。 該グリセリンストックを種菌として二段 階の培養を行う。 先ず、 低温 (250C〜32°C) で十分に培養して菌体を増殖させ、 次に培養温度を高温 (37°C〜38°C) にシフトして改変ダニ主要アレルゲンを発現 させる。 このような二段階培養を行うことにより、 発現誘導剤を含まない改変ダ 二主要ァレルゲン含有培養物を取得することができる。
培養期間は、 培養温度及ぴダニ主要ァレルゲンの製造スケールに依存するが、 低温培養は、 組換え大腸菌が対数増殖期の中期に達するまで行われる。 また、 高 温培養は、 ダニ主要アレルゲンの量がピークに達するまで行われる。 例えば、 実 施例 1で得た組換え大腸菌 (pWUll- C8/119S/HB101) のグリセリンストック 10ml を約 1 Lの培地に接種し、 32°Cで 6〜10時間培養した後、 これを 200〜300Lの培地 に接種し、 25°Cで 12〜17時間培養する。 その後、 37°Cで 8〜16時間培養すること により、 改変ダニ主要アレルゲンからなる封入体が、 湿重量で約 7~10g/L生産さ れる。
改変ダニ主要ァレルゲンの精製
(i) 封入体の回収
先ず、 培養液を MF膜 (旭化成社製) を用いて濃縮して菌体を回収する。 ここで 使用する MF膜のサイズは、 0. 1〜0. 25 1!1が好ましぃ。 回収した菌体を適切な方法 で破砕し、 改変ダニ主要アレルゲンからなる封入体を菌体外に放出させる。 菌体 の破碎には、 例えば、 化学物質、 界面活性剤、 酵素などで溶解させる方法または フレンチプレスや超音波処理などの物理的処理による方法が取られるが、 何れの 方法でもよい。 これらの方法をいくつ力 且合せることにより、 より効果的に菌体 を破砕することができる。 例えば、 MF膜で回収した菌体を脱イオン水で希釈濃縮 して残存する培地成分及び菌体の代謝産物等を除去した後、 適当な緩衝液及びリ ゾチームを加え、 低温 (4~15°C) で一晚静置して菌体の細胞壁を溶解し、 この 菌体処理液を、 500〜600kgん m2の条件でフレンチプレス (マントンゴーリン社 製) にかけ、 菌体を破砕する。 緩衝液の種類は、 トリス緩衝液などリゾチームが 作用する pH範囲 (7. 5〜9) で緩衝能力を有するものであれば特に制限されない。 当該緩衝液の濃度は、 一般に緩衝液として使用される範囲 (10〜50raM) で使用す ればよい。 リゾチームは、 0. 3〜1. 0g/Lの濃度で使用される。 例えば、 20raMの PH8. 5のトリス緩衝液を加え、 リゾチーム (0. 6g/L) を添加し、 4°Cでー晚静置し て菌体の細胞壁を溶解する。 フレンチプレスで菌体を破碎した後、 脱イオン水と MF膜でこの破碎液の希釈と濃縮を繰り返すことにより大部分の菌体成分が除去さ れる。 封入体は、 濃縮した封入体含有溶液を遠心分 ることにより、 沈殿とし て回収される。
(ii) リフォールデイング
回収した封入体は、 ー且、 還元剤及び変性剤を含有する溶液で溶解される。 か かる還元剤として、 システィン、 ダルタチオン、 ジチオスレィトール及び 2—メ ルカプトエタノールなどを使用することができる。 これらは幾つかを組合わせて 使用してもよい。 還元剤の濃度は、 溶解する封入体の量に依存するが、 10〜 lOOraMの範囲で使用される。 好ましくは、 10〜50raMの範囲である。 変性剤として、 尿素、 グァニジン塩酸塩などを用いることができるが、 好ましくは、 尿素である。 力かる尿素及ぴグァ二ジン塩酸塩は、 それぞれ 4〜8M及び 2〜6Mの濃度範囲で使用 される。 本願発明においては、 8M尿素を使用するのが好ましい。 変性剤及び還元 剤を溶解する際には、 pH7〜llの緩衝液が用いられる。 好ましくは、 pH8〜9であ る。 緩衝液は、 上記の pH範囲で緩衝能力を有するリン酸緩衝液、 トリス緩衝液、 グリシン緩衝液、 炭酸緩衝液など何れを使用してもよいが、 好ましくは、 (i) 封入体の回収で述べたものと同様の緩衝液が使用される。 より具体的には、 封入 体は、 20mMシスティンと 8M尿素を含有する pH8. 5のトリス緩衝液に溶解される。 溶解時の温度は、 40°C以下であれば特に制限する必要はない。 溶解時間は、 封入 体の溶解状況を見ながら設定すればよく、 通常、 30分〜 1時間攪拌される。
次に、 封入体の溶解液に、 当該溶解液に対して 10〜20倍量の酸化還元緩衝液を 加えることにより、 改変ダニ主要ァレルゲンのリフォールディング、 すなわち、 酸化的条件下で ss結合を再構成して正常な立体構造の構築が行われる。 この時使 用する還元剤としてシスティン、 酸化剤としてシスチンが使用される。 システィ ン及ぴシスチンは、 それぞれ 1 raM~10mM及び 0. lmM〜 1 mMの濃度範囲で使用され る。 システィンに対して 1 /10量のシスチンを使用するのが好ましい。
リフォールディングするときの緩衝液の種類及び濃度は、 封入体を溶解すると きと同じものを使用すればよい。 緩衝液の pHは、 7. 5〜9の範囲で使用される。 よ り具体的には、 3raMのシスティンと 0. 3mMのシスチンを含む pH8. 5の 20mMトリス緩 揮 ί液を用いて、 変性剤を希釈または除去することによりリフォールディングが行 われる。 変性剤を除去する場合は、 透析、 ゲルろ過等が用いられる。 リフォール デイング時の温度は、 室温以下であれば特に制限する必要はない。 リフォールデ イングは、 1〜7日間、 好ましくは、 3〜4日間、 静置することにより行われる。 リフォールデイング反応は、 酢酸、 塩酸などの酸性緩衝液を添加し、 反応液の pHを中性にすることにより終了させる。 より具体的には、 反応の停止は、 リフォ 一ルディング反応液を 30%酢酸で ρΗ7に滴定することにより行われる。
(iii) 限外濾過
リフォールデイング処理後の改変ダニ主要アレルゲン含有液は、 濃縮と低分子 成分の除去のために、 分画分子量 6000〜10000の限外濾過膜処理に供される。 得 られた濃縮液に、 終濃度が 30〜100raMとなるように塩化ナトリゥムを加えた後、 アルカリ溶液で pHを 8〜9に調整する。 このとき生じる沈殿物は、 φ 0. 45 / ηιのフ ィルターで除去される。 好ましくは、 終濃度が 50mMになるように塩化ナトリウム を添加し、 5Nの水酸化ナトリゥム水溶液で pH8. 5に調整する。 当該限外濾過処理 は、.室温以下で行われる。 改変ダニ主要アレルゲン含有溶液は、 次の精製工程に 供される。
(iv) 陰イオン交換体処理による非吸着画分の回収
限外濾過処理後の改変ダニ主要ァレルゲン含有溶液を陰ィオン交換体力ラムに 通し、 素通り画分に改変ダニ主要アレルゲンを回収する。 当該操作は、 5〜10°C で行われる。 陰イオン交換体として、 ジェチルアミノエチル (DEAE) 基型、 四級 アミノエチル (QAE) 基型等が例示される。 DEAE基型としては、 DEAE—ァガロー ス (商品名 DEAE—セファロース、 アマシャム社製) 、 DEAE—デキストラン (商品 名 DEAE—セフアデックス、 アマシャム社製) 、 DEAE -ポリビュル (商品名 DEAE— トヨパール、 東ソ一社製) 等が例示される。 また、 QAE基型としては、 QAE—ァガ ロース (商品名 QAE—セファロース、 アマシャム社製) 、 QAE—ポリビュル (商品 名 QAE—トヨパール、 東ソ一社製) 等が例示される。 本工程においては、 支持体 について特に制限する必要はないが、 官能基は弱陰イオン交換体を使用するのが 好ましい。 当該陰イオン交換に使用する緩衝液の種類については特に制限されな いが、 改変ダニ主要アレルゲンをカラムに接触させるときの PHは、 7〜10の範囲、 好ましくは pH8〜9が使用される。 塩濃度は、 0. 03M〜0. 1Mの範囲で使用できる力 好ましくは、 30〜60raMである。 本精製工程で、 大部分の不純蛋白質は除去される。
(V) 疎水クロマトゲル処理による吸着各分の回収
前記の陰イオン交換体の素通り画分を、 塩化ナトリゥムを含む緩衝液にバッフ ァー交換した後、 同緩衝液で平衡化した疎水カラムに接触させ、 改変ダニ主要ァ レルゲンを吸着させる。 当該塩化ナトリウムの濃度は、 2〜3Mの範囲で使用され るが、 好ましくは、 3Mである。 緩衝液の種類については特に制限されないが、 濃 度は、 5~50raMの範囲、 好ましくは、 10〜20raMの範囲、 PHは、 7〜8の範囲で使用 される。 疎水ゲルとして、 フエニル基型、 プチル基型、 ォクチル基型等が例示さ れる。 支持体としては、 ァガロース (アマシャム社製) 、 デキストラン (アマシ ャム社製) 、 ポリビュル (東ソ一社製) 等が例示される。 本精製工程において支 持体に係る制限は特にないが、 官能基は、 プチル基型を使用するのが好ましい。 次に、 平衡化に用いたのと同じ緩衝液でカラムを十分に洗浄した後、 塩濃度を 下げることにより、 改変ダニ主要アレルゲンを疎水カラムから溶出させる。 当該 塩濃度を下げる方法として、 濃度勾配を使用する方法及び段階的に塩濃度を下げ る方法 (ステップワイズ) が挙げられるが、 何れの方法を使用してもよい。 また、 塩濃度を変える物質として、 塩化ナトリウムの他に、 硫酸アンモニゥム、 酢酸ァ ンモニゥム、 塩化アンモニゥム、 硝酸アンモニゥム、 酢酸カリウム、 塩ィ匕カリウ ム、 酢酸ナトリウム、 塩ィ匕カルシウム、 塩化マグネシウムなどが挙げられるが、 何れも使用可能である。 本願発明では、 ステップワイズ法が用いられる。 溶出時 の塩濃度は、 0〜1M、 好ましくは、 0Mである。 疎水クロマト処理における一連の カラム操作は、 5〜10°Cで行われる。 (vi) 陰イオン交換体処理による吸着画分の回収
前記の疎水力ラムの溶出画分を、 尿素を含む緩衝液にバッファ一交換した後、 同緩衝液で平衡化した陰ィオン交換体力ラムに接触させ、 改変ダニ主要ァレルゲ ンを吸着させる。 尿素を緩衝液に含有させることで改変ダニ主要アレルゲンの凝 集を抑制することができる。 当該尿素の濃度は、 0. 5~5Mの範囲で使用される力 好ましくは、 1〜3Mである。 緩衝液の種類については特に制限されないが、 濃度 は、 5〜50mMの範囲、 好ましくは、 10〜20raMの範囲、 pHは、 8〜10の範囲、 好まし くは 8. 5〜9. 5の範囲で使用される。 本精製工程においても支持体に係る制限は特 にないが、 官能基は、 強陰イオン交換体を使用するのが好ましい。
次に、 平衡化に用いたのと同じ緩衝液でカラムを十分に洗浄した後、 塩濃度を 上げることにより、 改変ダニ主要ァレルゲンを陰ィオン交換体力ラムから溶出さ せる。 当該塩濃度を上げる方法として、 濃度勾配を使用する方法及び段階的に塩 濃度を上げる方法 (ステップワイズ) が挙げられるが、 何れの方法を使用しても 良い。 また、 塩濃度を変える物質として、 塩化ナトリウム、 塩化カリウム、 塩化 カルシウム、 塩化マグネシウムなどが挙げられるが、 何れも使用可能である。 本 願宪明では、 濃度勾配法が用いられ、 斯かる濃度勾配は、 カラムの平衡化に用い たのと同じ緩衝液中に塩化ナトリゥムを溶角早して調製される。 溶出時の塩濃度勾 配は、 0〜0. 5 M、 好ましくは、 0〜0. 1Mである。 陰イオン交換体処理における一 連のカラム操作は、 5〜: 10°Cで行われる。 改変ダニ主要アレルゲンを含有する溶 出液は、 PBSに透析した後、 φ 0. 22 /i mのフィルターで無菌濾過して、 改変ダニ主 要アレルゲンとして保存される。
改変ダニ主要ァレノレゲンの分析
各精製段階及び精製後の改変ダニ主要アレルゲンの性状は、 一般に、 蛋白質の 分析に使用される方法、 例えば、 特異抗体を用いる EIA及びウェスタンプロット、 還元 ·非還元状態における SDS—ポリアクリルアミド電気泳動 (SDS-PAGE) 、 高 速液体クロマトグラフィー (HPLC) 、 エンドトキシン試験、 吸光度測定、 等電点 電気泳動などの分析手法により明らかにすることができる。
本願発明の精製方法により得られる精製した改変ダニ主要アレルゲンは、 遺伝 子組換え技術により得られる改変ダニ主要ァレルゲンとしてダニ主要ァレルゲン Der f 2の 8位及ぴ 1 1 9位のシスティン残基をともにセリン残基に置換した改 変ダニ主要アレルゲン Der f 2を用いた場合には、 分子量約 15kDで等電点 PI6. 6〜 7. 2なる特徴を有し、 且つ (1 ) SDS— PAGE分析で単一バンド、 (2 ) 宿主由来の 不純蛋白質量が 0. 1%以下、 ( 3 ) 改変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量が検出 限界以下、 (4 ) 立体構造の異なる改変ダニ主要アレ^/ゲン含量が 10%以下、
( 5 ) 500 g/ml改変ダニ主要ァレルゲン溶液のェンドトキシン含量が、 注射用 水の規格である 0. 25EU/ral未満 (第十四改正日本薬局方) を満たす高純度に精製 された,祖換え蛋白質として得られる。
製剤化
得られた精製改変ダニ主要アレルゲンは、 一般に用いられる添加剤、 例えば、 安定化剤、 界面活性剤、 緩衝剤などを添加し、 無菌濾過、 分注、 凍結乾燥等の処 理を行い製剤化される。 こうして調製された改変ダニ主要アレルゲン製剤は注射 剤としてあるいは経粘膜的に投与 (経鼻、 経口、 舌下) される製剤としてダニァ レルゲンエキスやハウスダストエキスと同様に、 ァレルギ一性疾患の治療薬を目 的とした臨床製剤として用いることができる。
以下に、 実施例を挙げて本願発明を具体的に説明する。
なお、 以下の実施例では遺伝子組換え技術により得られる 3女変ダニ主要ァレル ゲンとしてダェ主要アレルゲン Der f 2の 8位及ぴ 1 1 9位のシスティン残基を ともにセリン残基に置換した改変ダニ主要アレルゲン Der f 2を用いて当該改変 ダェ主要アレルゲンを精製しているが、 本願発明はこれら実施例に何等限定され るものではない。
実施例 1 :改変ダニ主要ァレルゲン産生組換え大腸菌の作製
先ず、 Trpプロモーターの下流に改変ダニ主要アレルゲン (ダェ主要アレルゲ ン Der f 2の 8位及び 1 1 9位のシスティン残基をともにセリン残基に置換した 改変ダニ主要アレルゲン Der f 2) 遺伝子断片 (C8/119S) を結合した遺伝子断片 を以下のように構築した。
Trpプロモーターを含む遺伝子断片は、 Ikeharaら (Proc. Natl. Acad. Sci.
USA Vol. 81, pp. 5956-5960, 1984) が報告した方法に従って調製した。 得られた トリプトファンプロモーター遺伝子断片の 5,及び 3,末端に EcoRIリンカ一 (TaKaRa 社製) を結合した後、 PBR322の EcoRIサイトに揷入し、 組換えベクター pWを作製 した。
次に、 改変ダュ主要アレルゲン遺伝子 (C8/119S) を含む核酸断片を、 当該改 変ダニ主要ァレルゲン遺伝子を保持しているプラスミド pFLTll- C8/119S (特開平 6 - 2 5 3 8 5 1号公報) を鏺型として、 5,末端に制限酵素切断部位 NspVを含む 合成プライマー (配列表の配列番号 1 ) 及び 3,末端に制限酵素切断部位 Nrulを含 む合成プライマー (配列表の配列番号 2 ) を用いて、 PCR法を実施することによ り取得した。
この核酸断片を制限酵素 NspV及び Nrulで完全消化して得られる断片と制限酵素 Clal及 O^NruIで完全消化した組換えベクター pWとを T4リガーゼ (TaKaRa社製) で 連結して、 発現ベクター pWl卜 C8/119Sを作製した。
次に、 発現量を増加させる目的で、 pWll_C8/119Sに含まれる pBR322由来の複製 開始点を PUC18由来の複製開始点に置換した。 プラスミ ド pUC18を、 制限酵素 Pvul 及び PvuIIで完全消化して、 複製開始点を含む遺伝子断片を得た。 一方で、 ブラ スミド pWll- C8/119Sを Ndelで完全消化し、 粘着末端を埋めた後、 Pvulで完全消化 して、 改変ダニ主要アレルゲン遺伝子 (C8/119S) を含む核酸断片を得た。 調製 した二つの核酸断片を T4リガーゼで連結して、 発現プラスミド pWUll_C8/119Sを 得た (図 1 ) 。
得られた発現プラスミド pWUll- C8/119Sで大腸菌 HB101を形質転換して改変ダニ 主要アレルゲン発現株 pWUll- C8/119S/HB101を得、 これを生産株とし、 グリセリ ンストックを作製した。
実施例 2 :改変ダニ主要アレルゲンの精製
( 1 ) 培養液の前処理 (封入体の回収)
生産株のグリセリンストック 10mlを 1. 5Lの LB培地に接種し、 35°Cで 8時間振盪 培養して菌液を調製した。 この菌液を 250Lの LB培地に接種し、 25°Cでー晚通気培 養した。 37°Cに温度を上げて、 菌体の増殖に合わせてアミノ酸、 グルコースを添 加しながら、 さらに 8〜12時間通気培養して改変ダニ主要ァレルゲンを菌体内に 封入体として生産させた (図 2及び図 3 ) 。
約 300Lの培養液を MF膜 (マイクローザ;旭化成社製) で約 100Lまで濃縮して回 収した。 回収した大昜菌は、 脱イオン水で 4倍希釈した後、 MF膜で約 100Lまで濃 縮した。 同様に脱イオン水で希釈、 MF膜濃縮を合計 3回繰り返して、 培地成分を 除去した。 更に、 20mMの PH8. 5のトリス緩衝液で 1回希釈濃縮してバッファ一交換 した。 これに、 終濃度が 0. 6g/Lになるようにリゾチームを添加して、 30分間攪拌 した後、 低温作業室 (10°C以下) に移して、 ー晚静置して菌体の細胞壁を溶解し た。 リゾチーム処理 ί夜は、 粘 1生がなくなるまでフレンチプレス (マントンゴーリ ン社製) にかけて菌体を破砕した。 破砕時は発熱するため、 処理液は熱交 m¾を 用いて 18°C以下になるように冷却した。 菌体破砕液は、 菌体成分を除去するため に脱イオン水で 400Lまで希釈した後、 MF膜で 100Lまで濃縮する操作を 3回繰り返 した。 濃縮した封入体溶液を 3000rpmで 3時間遠心して、 封入体を沈殿させて回収 した。 回収した封入体量は湿重量を測定したところ、 2. 5kgであつた。
( 2 ) リフォールデイング処理
封入体約 100gを、 10Lの 8Mの尿素と 10mMのシスティンを含む pH8. 5の 20mMトリス 緩衝液に投入し、 室温で 30分間攪拌して溶解した。 この溶解液を 150Lの 3mMのシ スティンと 0. 3mMのシスチンを含む pH8. 5のトリス緩衝液に希釈した。 希釈液は、 低温作業室に移して、 4日間静置して、 リフォールデイング反応させた。
( 3 ) 限外濾過
前記溶液は、 30%酢酸で PH7に滴定して、 反応を停止させた。 この溶液を、 分 画分子量 10000の限外濾過膜 (ザノレトリウス社製) を用いて約 10Lまで濃縮した。 濃縮した溶液は、 終濃度が 50raMになるように塩化ナトリゥムを添加した。 その後、 5Nの水酸化ナトリゥム水溶液を用いて pH8. 5に滴定した。 φ 0. 45 / inのフィルター (ザルトリウス社製) で不溶性物質等を除去して、 リフォールデイング液とした。
( 4 ) 弱陰イオン交換クロマトグラフィー
2Lの DEAEトヨパール 650M (東ソ一社製) を詰めた φ 14cmのカラム (アミコン社 製) を、 50mMの塩化ナトリゥムを含む PH8. 5の 20mMトリス緩衝液で平衡化した後、 リフォーノレディング液を力ラムに通液し、 素通り画分を約 10L回収した。 線速は 60cm/時以下に設定した。 この工程で不純タンパク質のほとんどが除去された。 回収した素通り画分は、 3Mの塩化ナトリゥムを含む pH7. 2の 20mMリン酸緩衝液に バッファ一交換した後、 ψ 0. 45 μ mのフィルタ一で濾過した。 ( 5 ) 疎水クロマトグラフィー
2Lのプチルーセファロース FF (フアルマシア社製) を詰めた φ 14cmのカラム (アミコン社製) を、 3Mの塩化ナトリゥムを含む pH7. 2の 20mMリン酸緩衝液で平 衡化した後、 前記濾過液をカラムに通液して、 改変ダニ主要アレルゲンを吸着さ せた。 平衡化に使用した緩衝液で力ラムを充分洗浄した後、 PH7. 2の 20mMリン酸 緩衝液で改変ダニ主要抗原を溶出させ、 溶出画分約 2Lを分取した。 線速は 60cm/ 時以下に設定した。 回収した溶出画分は、 2Mの尿素を含む pH8. 5の 20raMトリス緩 衝液にバッファ一交換した後、 0. 22 // mのフィルタ一で濾過した。
( 6 ) 強陰イオン交換クロマトグラフィー
1Lの QAEトョパール 550C (東ソ一社製) を詰めた φ 14cmの力ラム (アミコン社 製) を、 2Mの尿素を含む pH8. 5の 20raMトリス緩衝液で平衡化した後、 前記濾過液 をカラムに通液して、 改変ダニ主要アレルゲンを吸着させた。 平衡化に使用した 緩衝液でカラムを充分洗浄した後、 塩化ナトリウムの線形濃度勾配 (0→100raM、 20カラムボリューム) をかけて、 改変ダニ主要抗原を溶出させ、 溶出画分約 3Lを 分取した。 線速は 60cm/時以下に設定した。
改変ダニ主要ァレルゲン溶出画分を 140mMの塩化ナトリゥムを含む pH7. 2の 10mM のリン酸緩衝液 (PBS) に透析した後、 φ 0. 22 μ mのフィルター (ミリポア社製) で無菌濾過して精製改変ダュ主要アレルゲン溶液 (約 500 μ β/ιη1で約 4L) を得た (ロット No. : SF- 01、 FP- 020、 FP-021)。
実施例 3 :改変ダニ主要アレルゲンの分析
( 1 ) ウェスタンプロット分析
改変ダニ主要ァレノレゲンの検出には、 ウェスタンプロット法を用いた。 サンプ ルは注射用水で適当な濃度に希釈し、 非還元状態及び 2—メルカプトエタノール で還元処理して、 SDS—ポリアクリルアミドゲル (フナコシ社製) に添加して電 気泳動した。 この泳動ゲルをトランス泳動緩衝液 (10%メタノールを含む lOmMCAPS) に 5分間浸漬した後、 PVDF膜にトランスゥエスタン泳動転写装置を用 いて泳動ゲルの蛋白質を転写した。 転写が終了した PVDF膜は 2%ゥシ血清アルプ ミンと 0. l%Tween20と 0. 5M塩化ナトリゥムを含む lOraMトリス緩衝液に浸漬し、 37°Cで 2時間ブロッキングした。 続 、て 5 μ g/mlの抗 Der f 2モノクロ一ナル抗体 を添加し、 37°Cで 2時間反応させた。 0. l%Tween20と 0. 5M塩化ナトリウムを含む lOraMトリス緩衝液 (以下、 「TNT緩衝液」 と略す) で合計 5回洗浄した後、 20000 倍に希釈した、 HRP標識抗マウス IgG抗体溶液を添加し、 37°Cで 2時間反応させた。 TNT緩衝液で 5回洗浄した後、 0. 05%DAB溶液を添加して発色反応させて、 改変ダ 二主要アレルゲンを検出した (図 4 ) 。
( 2 ) ELISA分析
(i) 各工程サンプルに含まれる改変ダニ主要ァレルゲン量の定量
ELISAプレート (Nunc社製) を 5 /x g/mlのマウス抗 Der f 2モノクローナル抗体 を各ゥエルに 100 μ 1ずつ添加し、 4°C一晚コートした。 プレートは 0. 05%の
Tween20を含有する PBS (以下、 「PBST」 と略す) で合計 3回洗浄した後、 1%ゥシ 血清アルブミンを含む PBSを 200 μ 1ずつ添加して、 37°Cで 1時間プロッキング処理 した。 PBSTで合計 3回洗浄した後、 プレートに標準溶液及びサンプル溶液を適当 に希釈して 100 1ずつ添加して、 37°Cで 2時間静置した。 PBSTで合計 3回洗浄した 後、 2000倍に希釈したゥサギ抗 C8/119 Sポリクローナル抗体を ΙΟΟ μ Ιずつ添加 して 37°Cで 1時間静置した。 PBSTで合計 3回洗浄した後、 ヮサビペルォキシダー ゼ標識ロバ抗ゥサギ IgG抗体を 100μ 1ずつ添加して 37°Cで 1時間静置した。 PBSTで 合計 3回洗浄した後、 TMB溶液 (シグマ社製) を 100// 1ずつ添加して遮光して 15〜 30分間反応させた。 1Nの硫酸 100 μ ΐを添加して反応を停止し、 450nmの吸光度を 測定して改変ダニ主要アレルゲン量を計算した。 その結果を表 1に示した。
表 1
Figure imgf000020_0001
(ii) 改変ダニ主要ァレルゲンに含まれる宿主由来夾雑成分含量の測定
ELISAプレート (Nunc社製) を 10 μ g/tnlのモルモット抗宿主由来夾雑成分ポリ ク口ーナル抗体で 4°C、 一晚コートした。 0. 05°/。の Tween20を含有する PBS (PBST) で合計 3回洗浄した後、 プロックエース (大日本試薬社製) を 200 /i iずつ添加し て 37°Cで 1時間ブロッキング処理した。 PBSTで合計 3回洗浄した後、 このプレート に最終精製工程の改変ダニ主要ァレルゲンのサンプル溶液を適当に希釈して 100 β 1ずつ添加して、 37°Cで 2時間静置した。 プレートは PBSTで合計 3回洗浄した後. 1 μ g/mlのゥサギ抗宿主由来夾雑成分ポリク口ーナル抗体を 100/z 1ずつ添加して 37°Cで 1時間静置した。 PBSTで合計 3回洗浄した後、 ヮサビペルォキシダーゼ標識 ロバ抗ゥサギ IgG抗体を 100 μ 1ずつ添加して 37°Cで 1時間静置した。 PBSTで合計 3 回洗浄した後、 TMB溶液 (シグマ社製) を 100 / 1ずつ添加して遮光して 10分間反 応させた。 0. 3Nの硫酸 100 1を添加して反応を停止し、 450nraの吸光度を測定し て宿主由来夾雑成分を計算した。 宿主由来タンパク質の含量を表 2に示した。 本 ELISA系の検出限界は、 0. 004%であった。
表 2
Figure imgf000021_0001
( 3 ) SDS—PAGE分析
改変ダニ主要ァレルゲンに含まれる不純蛋白質の分析は、 各精製工程のサンプ ルを2—メルカプトエタノールで還元処理して、 レーン当り、 改変ダニ主要ァレ ルゲンタンパク量で 2 z g相当量を SDS-ポリアクリルアミドゲル (フナコシ社製) に添加して電気泳動し、 クマシーブリ リアントプル一で染色して確認した。 泳動 条件はメーカー添付資料に従った。 精製工程が進むにつれ、 不純蛋白質のバンド が少なくなることが確^ «できた (図 5 ) 。
最終精製工程のサンプルについては、 非還元及び還元処理後、 上記と同じ条件 で SDS— PAGEを行った。 その結果、 改変ダニ主要アレルゲンは、 分子量約 15kDの バンドとして確認された (図 6 ) 。
( 4 ) HPLC分析
最終精製工程における改変ダニ主要ァレルゲンの純度を HPLC法により測定した。 ゲル濾過ク口マトグラフィ一で改変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量を測定し、 逆相ク口マトグラフィ一で SS結合の掛け違い等から生じる立体構造の異なる改変 ダニ主要ァレルゲン含量を測定した。
(i) ゲノレ濾過クロマトグラフィー
分析カラムは、 G3000SWXL (東ソ一社製) を用いた。 移動相には、 0. 1%TFAを含 む 60%のァセトニトリル溶液を使用した。 流速は lml/分とし、 分析時間は 20分間 とした。 サンプル量は、 約 500 /x g/mlの試料を ΙΟΟ μ Ι添加して分析した。 分析の 12分以降は、 溶媒由来のピークが検出されるために、 解析時間は I2分までとし、 12分間の積分値から重合体含量比を算出した。 改変ダニ主要ァレルゲンの重合体 含量は検出限界以下であった (図 7 ) 。 本ゲル濾過クロマトグラフィーの検出限 界は、 0. 005%であった。
(ii) 逆相クロマトグラフィー
分析カラムは、 CAPCELL PAK C1 (資生堂社製) を使用した。 移動相は、 A緩衝 液に 0. 1%TFAを、 B緩衝液に 0. 1%TFAを含む 70%ァセトニトリル溶液を用いた。 分 析条件は、 流速 lml/分で、 60分間に B緩衝液の混合率を 28. 6%から 50%まで変ィ匕さ せる線形濃度勾配とした。 サンプル量は、 約 500 /x g/ralの試料を ΙΟΟ μ Ι添加して 分析した。 分析開始直後は、 ノイズが検出されるために、 解析時間は 13分から 60 分までとし、 積分値から主ピーク含量比を算出した。 目的とする改変ダニ主要ァ レルゲンの含量比は 90%以上、 すなわち、 立体構造の異なるダニ主要アレルゲン 含量は 10%以下であった (図 8 ) 。 本逆相クロマトグラフィーの検出限界は、 0. 03%であった。
( 5 ) エンドトキシン試験
最終精製工程の改変ダニ主要ァレルゲンのェンドトキシン含量を測定した。 測 定には生化学工業社製の測定試薬キットを使用し、 測定方法は試薬添付の説明資 料に従って実施した。 その結果を表 3に示す。 改変ダニ主要アレルゲン溶液
(500 M g/ml) のェンドトキシン含量は、 注射用水の規格である 0. 25EU/ml未満 (第十四改正日本薬局方) を満たす品質であった。 本エンドトキシン試験の検出 限界は、 0. 002EU/mlであった。
表 3 :エンドトキシンの実測値
Figure imgf000022_0001
( 6 ) 等電点電気泳動分析
最終精製工程の改変ダニ主要アレルゲン (ロット No. : SF- 01、 FP- 020、 FP- 021) を注射用水で 15(^ g/mlに希釈し、 ファーストシステム (フアルマシア社 製) を用いて等電点電気泳動を行った。 泳動操作は、 添付のマニュアルに従って 実施し、 泳動後のゲルは銀染色した。 その結果、 精製改変ダニ主要アレルゲンの 等電点は、 pI6.6〜7.2と推測された (図 9) 。
(7) ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析
最終精製工程の改変ダニ主要アレルゲン (ロット No. : FP- 020、 FP-021) 及び 従来品の精製 Der f 2 (アサヒビール薬品) を生理食塩液で 200μ g/mLに希釈し、 1レーン当り 1 μ g添加して S D S—ポリアクリルアミドゲル電気泳動した。 泳動 したゲルは、 銀染色キット (第一化学社製) を用いて染色した (図 10) 。

Claims

請 求 の 範 囲
1 . 下記①から⑥の精製工程を含むことを特徴とする、 遺伝子組換え技術により 得られる改変ダニ主要アレルゲンの精製方法:
① MF膜を用いて、 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要ァレルゲン含有 封入体を洗浄 ·回収する工程、
②当該封入体を溶解後、 リフォールデイングする工程、
③限外濾過膜を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲン含有液の濃縮と低分子成分の除 去を行う工程、
④陰イオン交換体を用いて、 改変ダニ主要アレルゲンを非吸着画分に回収するェ 程、
⑤疎水ゲルを用いて、 改変ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回収する工程、 及び
⑥陰イオン交換体を用いて、 改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程。
2 . 下記①から⑥の精製工程を含むことを特徴とする、 請求項 1記載の精製方 法:
①脱イオン水と MF膜を用いて、 培養して発現誘導を行った改変ダニ主要アレルゲ ン産生大腸菌の破碎液の希釈と濃縮を繰り返すことにより、 改変ダニ主要ァレル ゲン含有封入体を洗浄■回収する工程、
②当該封入体を還元剤及び変性剤を含有する溶液で溶解した後、 変性剤を希釈ま たは除去することにより、 リフォールディングする工程、
③分画分子量 6000~10000の限外濾過膜を用いて、 改変ダニ主要アレルゲン含有 液の濃縮と低分子成分の除去を行う工程、
④弱陰イオン交換体力ラムを用いて、 pH8〜9、 0. 03〜0. 1Mの塩濃度の条件下に、 改変ダニ主要アレルゲンを非吸着画分に回収する工程、
⑤疎水カラムを用いて、 改変ダニ主要アレルゲンを pH7〜8、 2〜3M塩化ナトリウ ムの条件下に吸着させた後、 0〜1Mの塩濃度で溶出させることにより、 当該改変 ダニ主要アレルゲンを吸着画分に回収する工程、 及ぴ
⑥強陰イオン交換体力ラムを用いて、 改変ダニ主要ァレルゲンを 118. 5〜9. 5、 1 〜3M尿素の条件下に吸着させた後、 塩濃度を 0〜0. 1Mに直線的に変化させて溶出 させることにより、 当該改変ダニ主要ァレルゲンを吸着画分に回収する工程。
3. 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲンが、 Der f 2また は Der p 2から選ばれるダニ主要ァレルゲンからの改変ダニ主要ァレルゲンであ る、 請求項 1または 2記載の精製方法。
4. 遺伝子組換え技術により得られる改変ダニ主要アレルゲンが、 ダニ主要ァレ ルゲン Der f 2の 8位及ぴ 1 19位のシスティン残基をともにセリン残基に置換 した改変ダニ主要アレルゲン Der f 2である、 請求項 3記載の精製方法。
5. 請求項 3に記載の精製方法により得られる、 精製した改変ダニ主要ァレルゲ ン。
6. 請求項 4に記載の精製方法により得られる、 精製した改変ダニ主要ァレルゲ ン Der f 2。
7. 約 kDの分子量及び PI6.67.2の等電点を有し、 下記 (1) 〜 (5) の少な くとも一つを充足することを特徴とする、 請求項 6記載の改変ダニ主要アレルゲ ン Der f 2:
( 1 ) SDS- PAGE分析で単一バンドである、
(2) 宿主由来の不純蛋白質含量が 1%以下である、
( 3 ) β女変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量が 10%以下である、
(4) 立体構造の異なるダニ主要ァレルゲン含量が 10%以下である、
( 5 ) 500 μ g/ml改変ダニ主要ァレルゲン溶液のェンドトキシン含量が、
0.25EU/ral以下である。
8. 下記 (1) 〜 (5) の少なくとも一つを充足することを特徴とする、 請求項
6または 7記載の改変ダニ主要アレルゲン Der f 2:
( 1 ) SDS- PAGE分析で単一バンドである、
(2) 宿主由来の不純蛋白質含量が 0.004〜1%である、
( 3 ) 改変ダニ主要ァレルゲンの重合体含量が 0.005〜10%である、
(4) 立体構造の異なるダニ主要アレルゲン含量が 0.03〜10%である、
(5) 500 μ g/ml改変ダニ主要ァレルゲン溶液のェンドトキシン含量が、 0.002〜 0.25EU/mlである。
9. 請求項 5ないし 8のいずれかに記載の改変ダニ主要ァレルゲンを主成分とし て含有する組成物。
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