JP2866134B2 - 機能性ポリペプチド - Google Patents

機能性ポリペプチド

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JP2866134B2 JP2024469A JP2446990A JP2866134B2 JP 2866134 B2 JP2866134 B2 JP 2866134B2 JP 2024469 A JP2024469 A JP 2024469A JP 2446990 A JP2446990 A JP 2446990A JP 2866134 B2 JP2866134 B2 JP 2866134B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規ポリペプチドに関し、更に詳しくはヒ
トフィブロネクチンの細胞接着ドメインポリペプチド
と、ヒト上皮成長因子とが共有結合した新規な機能性ポ
リペプチド、並びにそれらをコードする遺伝子、及び該
遺伝子を用いた該機能性ポリペプチドの遺伝子工学的な
製造方法に関する。
〔従来の技術〕
フィブロネクチン(以下、FNと表示する)は血漿や細
胞外マトリックスに存在する糖タンパク質で、多彩な機
能を持つことが知られている〔アニュアル レビュー
オブ バイオケミストリー(Annual Review of Biochem
istry)、第57巻、第375〜413頁(1988)〕。天然のFN
を創傷治癒、点眼薬等の医薬品や化粧品に利用する試み
がなされているが、血液から採取するために供給に制限
があること、コスト高であること、また、病原性の細菌
やウイルス等による汚染の可能性があるなどの理由によ
り、実用化されていない。また、天然のFNの機能ドメイ
ンを取出して利用することも同様の理由から実用化され
ていない。
そこで本発明者らは、ヒトFNの細胞接着ドメインをコ
ードするcDNA断片を発現ベクターに接続して大腸菌に導
入することにより、細胞接着活性ポリペプチド及びその
製造方法を開発し、特許出願した(特開平1−206998
号)。
一方、上皮成長因子(以下EGFと表示する)は、上皮
細胞をはじめとする種々の細胞の増殖と分化の促進、オ
ルニチン脱炭酸酵素活性の亢進とプトレッシンの蓄積、
胃酸分泌抑制、核酸、タンパク合成の促進、低分子物質
の細胞内輸送の促進、解糖の促進、ホルモン分泌・合成
の促進などの多彩な生物作用を示すポリペプチドであり
〔アニュアル レビュー オブ バイオケミストリー
(Annual Review of Biochemistry)、第48巻、第193〜
216頁(1979)〕、その細胞増殖促進活性から、創傷治
癒、潰瘍治癒等の効果が認められている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記したごとく、EGFにはその細胞増殖促進作用から
創傷治癒効果が認められているが、これに細胞接着活性
を合せ持たせられれば、細胞への親和性を高めることが
でき、局所への到達(ドラッグデリバリー)システム
や、徐放性薬剤の開発等、EGFの利用上非常に有効であ
る。
すなわち本発明の目的は、細胞接着活性と、細胞増殖
促進活性とを同時に兼ね備えた新規なポリペプチドを開
発し、更にその製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は機能性ポ
リペプチドであって、細胞接着活性と、細胞増殖促進活
性とを合せ持つ新規なポリペプチドに関する。
また、本発明の第2の発明は、第1の発明の機能性ポ
リペプチドをコードする遺伝子に関する。そして、本発
明の第3の発明は第2の発明の機能性ポリペプチドをコ
ードする遺伝子を組込んだプラスミドに関し、第4の発
明は第1の発明の機能性ポリペプチドの製造方法に関
し、第3の発明のプラスミドを導入した宿主細胞を培養
し、該培養物より第1の発明の機能性ポリペプチドを採
取することを特徴とする。
本発明者らは、FNの細胞接着活性と、EGFの細胞増殖
促進活性を兼ね備えた新規ポリペプチドの構築、及びそ
の製造方法について研究し、ヒトFNの細胞接着ドメイン
と、ヒトEGFが直接又はリンカーペプチドを介して結合
した新規な機能性ポリペプチドを遺伝子工学的に作製し
た。
この新規な機能性ポリペプチドの生物活性を調べた結
果、細胞接着活性と、細胞増殖促進活性の両方の活性を
有することを見出した。
以下、本発明を具体的に説明する。
ヒトFNのタンパク質の一次構造については、ジ エン
ボ ジャーナル(The EMBO Journal)、第4巻、第1755
〜1759頁(1985)に記載されている。また、その細胞接
着ドメインをコードするcDNAクローン(pLF5)について
はバイオケミストリー(Biochemistry)、第25巻、第49
36〜4941頁(1986)に記載されている。本発明者らは、
pLF5から、細胞接着ドメインに対するcDNA断片を取出
し、これを発現ベクターに接続して大腸菌に導入するこ
とにより、細胞接着活性ポリペプチド及びその製造方法
を開発し特許出願した(特開平1−206998号)。本発明
で必要とされる細胞接着ドメインのcDNAは、特開平1−
206998号公報に記載されている組換え体プラスミドpTF7
021を用いることができる。pTF7021はFNのPro1239−Met
1517(279アミノ酸残基)を発現するプラスミドであ
る。pTF7021の翻訳領域のC末端の終止コドンの直前に
クローニングサイト、例えばNcoIサイトを導入すること
により、細胞接着ドメインのcDNAと他のポリペプチドを
コードするDNAを連結させることができる。
本発明による新規な機能性ポリペプチドは、下記一般
式I: C277−(X)n−EGF・・・〔I〕 〔式中、C277はヒトフィブロネクチンの細胞接着ドメイ
ンのPro1239−Ser1515に相当する277アミノ酸ポリペプ
チド残基を示し、下記式II: で表される配列を有し、Xはメチオニル−アラニン残基
(Met−Ala)を示し、nは1又は零の数を示し、EGFは
ヒト上皮成長因子のアミノ酸残基を示し、下記式III: で表される配列を有する〕で表されることを特徴とする
機能性ポリペプチドである。 なお、本明細書におい
て、アミノ酸に付された肩数字は、EMBL データバンク
(EMBL DATA BANK)中のFNのcDNA配列を翻訳して得られ
るアミノ酸配列に付されたN末からのアミノ酸残基数を
示す。
ヒトEGFについては、そのアミノ酸配列が明らかとな
っており〔ネーチャー(Nature)、第257巻、第325〜32
7頁(1975)〕そのアミノ酸残基数は53である。このヒ
トEGFをコードするDNAについては、そのアミノ酸配列に
基づいて設計したDNAを化学合成することにより得るこ
とができる。この化学合成によって得られたヒトEGFを
コードするDNAを、前記pTF7021から誘導されたプラスミ
ドpTF7520の翻訳領域の3′末端NcoIサイトに接続する
ことにより、FNの細胞接着ドメインとヒトEGFとが連結
したポリペプチドを発現する組換え体プラスミドが得ら
れる(第1図及び第2図参照)。
前記プラスミドにおける連結部には、NcoIサイトに由
来するメチオニルアラニン残基(前記I式においてXと
表記)がリンカーとして含まれる。リンカーの有無は、
本発明の効果を左右するものではないが、必要とあらば
部位特異的変異の手法により、容易に除去することがで
きる。
得られたプラスミドを大腸菌に導入し、適当な条件下
に培養することにより、目的ポリペプチドが大腸菌内に
蓄積される。発現の確認にはイムノブロッティングが用
いられる。組換え大腸菌の全菌体タンパク質をSDS−ポ
リアクリルアミド電気泳動で分離した後、泳動パターン
をニトロセルロース膜に移し取る。FNの細胞接着ドメイ
ンを認識するモノクローナル抗体(FN12−8、宝酒造)
及びヒトEGFを認識するモノクローナル抗体(湧永製
薬)で検出されるバンドが目的のポリペプチドである。
目的ポリペプチドは、大腸菌菌体内で不溶化し、いわ
ゆる封入体を形成する。このため、目的ポリペプチドの
精製は、例えば次のように行う。
組換え大腸菌をL−ブロスなどの培地に培養し、集菌
した後、超音波処理により菌体破砕液を得、これを遠心
分離して目的ポリペプチドを含む封入体の沈殿を得る。
この沈殿を種々の界面活性剤〔例えばトリトン(Trito
n)X−100等〕を含む緩衝液に懸濁、遠心分離を繰返す
ことにより、沈殿を洗浄する。この沈殿を尿素及びジチ
オスレイトールを含む緩衝液に溶解する。次いでこの可
溶化液をDEAEイオン交換体のカラムクロマトグラフィー
により精製した後、透析法等による方法でリフォールデ
ィングを行う。以上の操作により、目的のポリペプチド
を精製することができる。
得られたポリペプチドは、BHKやNRK細胞に対する細胞
接着活性の測定に用いられる。細胞接着活性の測定は、
例えばルオスラティ(Ruoslahti)等の方法(メソッズ
インエンザイモロジー(Methods in Enzymology)、
第82巻、第803〜831頁(1981)〕に準じて行う。すなわ
ち、試料をコートした後、BSAでブロッキングしたマイ
クロタイタープレートに、BHK又はNRK細胞の懸濁液を添
加し、37℃で約1時間インキュベートした後、未吸着の
細胞を洗浄した後、ホルマリン固定し、伸展した細胞の
割合を顕微鏡下に測定することにより、細胞接着の強さ
を測定することができる。
一方、EGF活性は、細胞増殖促進の指標となる3H−チ
ミジンの取込み活性を測定することにより測定可能であ
り、例えば、カーペンター(Carpenter)等の方法〔ジ
ャーナル オブ セル フィジオロジー(Journal of C
ell Physi−ology)、第88巻、第227〜237頁(1976)〕
に準じて測定することができる。
すなわち、試料を添加した培地中でNRK細胞を18時間
培養した後、3H−チミジンを加え、更に6時間培養す
る。細胞をガラスフィルターに吸着させ、液体シンチレ
ーションカウンターにより細胞に取込まれた3H−チミジ
ン測定し、EGFとしての細胞増殖活性を測定することが
できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1.FNの細胞接着ドメインと、ヒトEGFが結合した
ポリペプチドをコードするプラスミドの構築 (1−1)細胞接着ドメインPro1239−Per1515(277ア
ミノ酸残基)をコードするプラスミドの構築 特開平1−206998号公報に記載されている組換え体プ
ラスミドpTF7021の翻訳領域の終止コドンの直前に部位
特異的変異の手法により、NcoIサイトを導入したプラス
ミドを構築した。pTF7021へのNcoIサイトの導入は、オ
リゴヌクレオチドd[pCTATTACACCATGGATGGTTTG]を合
成し、サイト−ダイレクティドミュータジェネシス シ
ステム、ミュータン−K(Site−directed mutagenesis
sys−tem Mutan−K)〔宝酒造〕を用いて行った。こ
のNcoIサイトの導入に伴い細胞接着ドメインのC末端の
Gln1516−Met1517はMet1516−Val1517に置き変わってい
る。得られたプラスミドをpTF7520と命名した。
(1−2)ヒトEGFをコードする合成DNAの調製 ヒトEGFをコードするDNAの塩基配列は、そのアミノ酸
配列に基づいて設計した。EGFのN末側、C末側2つの
部分に分け、N末側センス鎖、EGF−1、84mer、N末側
アンチセンス鎖、EGF−2、86mer、C末側センス鎖、EG
F−3、88mer、C末側アンチセンス鎖、EGF−4、86me
r、(配列は第1図参照)の4本のDNAをアプライド バ
イオシステムズ社のDNA合成機を用いて合成した。EGF−
2、EGF−3についてはT4ポリヌクレオチドキナーゼ(T
4 PNK)を用いて5′末端をリン酸化した後、アニーリ
ング操作により二重鎖とした。すなわち、1.5μgのEGF
−2、1.5μgのEGF−3をそれぞれT4 PNK用バッファー
〔50mMトリス(Tris)HC1,pH7.6、10mM MgCl2、10mM DT
T〕、1mM ATP及び5ユニットのT4 PNKを含む18μlの溶
液中で37℃、1時間インキュベートし、65℃、10分の処
理で反応を停止した。リン酸化の後、EGF−1とEGF−
2、EGF−3とEGF−4をそれぞれ等量混ぜて70℃に20分
間保持した後、徐々に室温に戻した。
得られた二重鎖DNAのうちEGF−1+EGF−2の2.0μ
g、EGF−3+EGF−4の2.0μgをライゲーション反応
液(66mMトリスHCl、pH7.6、6.6mM MgCl2、0.5mM ATP、
10mM DTT)、450ユニットのT4 DNAリガーゼを含む80μ
lの溶液中で16℃、30分間インキュベートした。65℃、
10分の処理で反応を停止した後、アガロースゲル電気泳
動を行い、目的の172bpのDNA断片を回収した。
(1−3)pUC118NTの構築 分泌型発現ベクターpIN III−ompA1〔ジ エンボ ジ
ャーナル、第3巻、第2437〜2442頁(1984)〕1μgを
BamHI及びSalIで分解し、アガロースゲル電気泳動にか
け、lppターミネーター配列を含む0.95kbのBamHI−Sal
I断片を回収した。この断片30ngをあらかじめBamHI及び
SalIで分解して脱リン酸したプラスミドpU118N〔フェブ
ス レターズ(FEBS Letters)、第223巻、第174〜180
頁(1987)〕30ngとライゲーションした後、大腸菌HB10
1を形質転換し、lppターミネーター配列をもつプラスミ
ドを得、pUC118NTと命名した。
(1−4)ヒトEGFをコートする合成DNAのpUC118NTへの
クローニング (1−2)で得た172bpのDNA断片1.0μgを前述の方
法に従いリン酸化した。一方(1−3)で得たpUC118NT
1μgをNcoI及びEcoRIで分解し、アガロースゲル電気
泳動によりDNA断片を回収した。得られたpUCl18NT断片
と172bp断片とを前述の方法に従いライゲーションし、
大腸菌HB101を形質転換した。
(1−5)形質転換体中のプラスミドの分析 (1−4)で得られた形質転換体 14クローンについ
てプラスミドの分析を行った。すなわち、ラピッド法で
プラスミドを調製し、NcoI及びEcoRlで分解し、アガロ
ースゲル電気泳動にかけ、予想されるNcoI及びEcoRI断
片172bpの生成を調べた。しかし、目的のバンドが生成
するクローンはなかったため、うち2クローンについて
ジデオキシ法により、塩基配列の解析を行ったところ、
NcoIサイトの上流6塩基目から80塩基対、すなわち、
5′−AACAGACCATGGCTAATAGCGATTCTGAGTGCCCACTGTCTCAC
GACGGTTACTGTCTGCATGATGGCGTATGCATGTAC−3′の配列の
欠失が認められた。このプラスミドをpUC118NT−EGF
(C)と命名した。
(1−6)欠失部分のDNA断片の調製 EGF遺伝子のN末の欠失部分を再構築するため、セン
ス鎖としてEGF−S 56mer、アンチセンス鎖としてEGF−A
58merの2本のDNA(配列は第2図参照)を(1−2)
と同様にして合成し、アニーリング操作を行った後、ク
レノウ酵素を用いて二重鎖DNAとした。すなわち、EGF−
S 2.0μg、EGF−A2.0μgを95μlのクレノウ酵素用バ
ッファー〔7mM トリスHCl、pH7.5、20mM NaCl、7mM Mg
Cl2、0.1mM EDTA〕に溶解し、70℃に20分間保持した
後、徐々に室温に戻し、各20μMのdATP、dGTP、dCTP、
TTPと1ユニットのクレノウ酵素を加え、室温で20分イ
ンキュベートした。65℃、10分の処理で反応を停止した
後、NcoI及びHindIIIで分解し、アガロースゲル電気泳
動によりNcoI−HindIII断片78bp 3.0μgを得た。
(1−7)pUC118NT−EGF(C)のEGFC末断片のpTF7520
へのクローニング (1−5)で得たpUC118NT−EGF(C)をHindIII及び
SalIで分解し、アガロースゲル電気泳動により、HindII
I−SalI断片1.0kbを得た。一方、pTF7520をHindIII及び
SalIで分解し、アガロケースゲル電気泳動によりHindII
I−SalI断片4.0kbを回収した。この断片と、先のHindII
I−SalI 1.0kb断片をライゲーションし、大腸菌HB101を
形質転換した。得られた形質転換体についてプラスミド
の分析を行い、目的のプラスミドをpTF7520−EGF(C)
と命名した。
(1−8)発現プラスミドの構築と確認 (1−7)で得られたpTF7520−EGF(C)をNcoI及び
HindIIIで分解し、マガロースゲル電気泳動により、5.0
kbの断片を回収した。これと、(1−6)で得たNcoI−
HindIII断片をライゲーションし、大腸菌HB101を形質転
換した。得られた形質転換体についてプラスミドを調製
し、NcoI及びEcoRIで分解し、アガロースゲル電気泳動
により172bpの断片が生成することを確認し、更にジデ
オキシ法により、塩基配列の解析を行い、目的の配列を
含むことを確認した。この組換え体プラスミドをpCE102
と命名した。このpCE102によって発現されるポリペプチ
ドの細胞接着ドメインとEGFの間にはMet−Alaが付加さ
れている。このMet−Alaに対応する配列(ATGGCT)を以
下に述べるごとく、部位特異的変異の手法により除去し
た。オリゴヌクレオチドd〔AATCGCTATTGGATGGTTTG〕を
合成し、サイト−ダイレクティド ミュータジェネシス
システム ミュータン−Kを用いて行った。その結
果、細胞接着ドメイン(前記式II)とEGF(前記式III)
が直接結合したポリペプチドを発現するプラスミドを
得、pCE103と命名した。
pCE102を保持する大腸菌HB101をEsc−herichia coli
HB101/pCE102と表示し、工業技術院微生物工業技術研究
所に寄託した〔微工研菌寄第11226号(FERMP−1122
6)〕。
実施例2 組換え体からのポリペプチドの精製 (1−8)で得たEscherichia coli HB101/pCE102を5
0μg/mlのアンピシリンを添加した5mlのL−ブロスを含
む試験管で37℃、一夜振とう培養した。これを500mlの
同培地を含む2lの三角フラスコ4本に接種し、100rpmで
培養を続けた。660nmの吸光度が0.3の時点でIPTG(イソ
プロピル−β−D−チオガラクトシド)を2mMになるよ
う添加し、16時間後に集菌した。菌体の一部を用いてイ
ムノブロッティングを行った。すなわち、全菌体タンパ
ク質をSDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
で分離し、泳動パターンをニトロセルロ−スメンブラン
に転写した後、FNの細胞接着ドメインを特異的に認識す
るモノクローナル抗体〔FN12−8、宝酒造〕、また一方
ではヒトEGFを特異的に認識するモノクローナル抗体
〔湧永製薬〕を作用させ、次いでパーオキシダーゼ標識
第2抗体を作用させた。結合した第2抗体のパーオキシ
ダーゼ活性により4−クロロ−1−ナフトールと過酸化
水素の存在下で発色させ、いずれのモノクローナル抗体
の場合でも、37kD付近に目的のペプチドが生産されてい
ることを確認した。次に、全菌体ペレットを緩衝液〔50
mMトリスHC1、pH8.0、25%ショ糖、1mM EDTA〕50mlに懸
濁し、2mg/mlリゾチーム溶液を2ml添加した。0℃、30
分放置後、超音波処理することにより菌体を破砕した。
この菌体破砕液に、1M MgCl2を150μl、及び60,000ユ
ニット/mlデオキシリボヌクレアーゼI(DN ase I)を1
25μlそれぞれ添加し、37℃、30分インキュベートし
た。次いで、0.2M NaCl、1%デオキシコール酸、1%
ノニデットP−40を含む20mMトリスHCl、pH7.5緩衝液10
mlを添加し、12,000rpmで10分間遠心分離し、上澄みを
捨てた。沈殿を緩衝液(50mMトリス HCl、pH8.0、10mM
EDTA、100mM NaCl、0.5%トリトンX−100)40mlに懸濁
し、14,000rpmで10分間遠心分離し上澄みを捨てた。こ
の沈殿を次いで20%エチレングリコール水溶液40mlに懸
濁し、14,000rpmで10分間遠心分離した。得られた沈殿
を更に2%ノニデットP−40水溶液40mlに懸濁し、14,0
00rpmで10分間遠心分離し上澄みを捨てることにより精
製された封入体450mg(湿重量)のペレットを得た。こ
の封入体を20mMトリスHCl、pH8.0、250mMDTT、6M尿素液
25mlに溶解した。
これを、20mMトリスHCl pH8.0、10mMDTTで平衡化した
DEAE−トヨパール650S(東ソー)15mlのカラムに通し
た。同一バッファーで非吸着画分を除いた後、20mMト
リスHCl、pH8.0、10mMDTT、100mM NaCl、次いで20mM
トリスHCl、pH8.0、10mMDTT、200mM NaCl更に20mMト
リスHCl、pH8.0、10mMDTT、300mM NaClで段階的に溶出
し、分画した。溶出液についてSDS−ポリアクリルアミ
ド電気泳動を行ったところ、の溶出画分において、電
気泳動的にほぼ単一な目的ポリペプチドを確認した。
この画分を、1mM還元型グルタチオン、0.1mM酸化型グ
ルタチオンを含む20mMトリスHCl、pH7.5緩衝液中で4
℃、二昼夜透析することにより、ポリペプチドのリフォ
ールディングを行った。この透析内液をPBS(リン酸緩
衝化生理食塩水)に透析し、目的ポリペプチド12mgを得
た。
本ポリペプチドのN末端からのアミノ酸配列を、アプ
ライドバイオシステムズ社のペプチドシーケンサー477A
/120Aを用いて調べたところ、Pro−Thr−Asp−Leu−Arg
−Phe−Thrの配列が認められ、目的ポリペプチドの配列
と一致した。以下、本ポリペプチドをC−EGFと称す
る。
実施例3 生物活性の測定 前記実施例2で得られたポリペプチドC−EGFを用い
て、細胞接着活性及び細胞増殖促進活性を測定した。
(3−1)細胞接着活性の測定 細胞接着活性は、ルオスラティらの方法〔メソッズ
イン エンザイモロジー、第82巻、第803〜831頁(198
1)〕に準じて測定した。試料を蒸留水、PBS(リン酸緩
衝化生理食塩水)等に溶かし、96穴マイクロプレートに
注入した。4℃、2時間インキュベートして、試料をプ
レート上に吸着させた(50μl/ウエル)。3%BSA(牛
血清アルブミン)を含むPBS溶液を100μl/ウエル加え、
37℃、1時間インキュベートしてプレートをブロックし
た。PBSでプレートを洗浄後、あらかじめダルベッコ(D
ulbecco'S)イーグル最小栄養培地(DMEM)に5×105
胞/mlとなるように懸濁させたベビーハムスター腎細胞
(BHK−21)を100μl/ウエル分注し、37℃、1時間イン
キュベートした。なお使用したBHK−21細胞は、凍結保
存した株を継代培養後、トリプシン処理(37℃、5分)
したものを用いた。PBSでプレートを洗浄後、3%ホル
マリン溶液で細胞をプレート上に固定した。
顕微鏡下でBHK−21細胞の伸展を観察し、細胞伸展性
より細胞接着活性を測定した。
C−EGF、及びヒトEGF(湧永製薬)の結果を第1表に
示す。
数値は試料をプレートに吸着させた際の濃度を示す。
(3−2)細胞増殖促進活性(DNA合成促進活性)の測
定 あらかじめ継代培養したNRK−49F細胞を、10%の牛胎
児血清を含む、ダルベッコイーグル最小栄養培地(10%
FCS−DMEM)により、5×104細胞/mlに希釈し、200μl
ずつ96穴マイクロプレートに分注した。5%CO2存在
下、37℃で3日間培養し、PBSにより段階的に希釈した
試料を40μlずつ各ウエルに加えた。37℃にて18時間培
養した後、5μCi/mlの3H−チミジンを20μlずつ各ウ
エルに添加し、更に、37℃にて、6時間培養した。培地
を吸い取り、PBSで2回洗浄した後、0.1%トリプシン溶
液100μlを各ウエルに加え、37℃で2時間インキュベ
ートし、細胞ははく離していることを顕微鏡下で確認し
た。セルハーベスター(フローラボラトリーズ社製)に
グラスフィルターをセットし、ウエル中の細胞を吸引
し、細胞を吸着させたフィルターを乾燥させた後、液体
シンチレーションカウンターにより3H−チミジンの取込
みを測定した。その結果、本ポリペプチドにおいて、対
照としたヒトEGFと同等の3H−チミジンの取込みが認め
られた。一方、負の対照とした特開平1−206998号公報
記載の279アミノ酸残基ポリペプチド(C−279)におい
ては、取込みは認められなかった(第2表参照)。
〔発明の効果〕 以上述べてきたごとく、本発明により、細胞接着活性
と細胞増殖促進活性の両活性を合せ持つ機能性ポリペプ
チド、並びにそれらをコードする遺伝子、及び該遺伝子
を用いた該機能性ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方
法が提供された。
上記ポリペプチドは、EGFと細胞との親和性を高める
ことができ、創傷治癒等などの用途において非常に有用
である。
【図面の簡単な説明】
第1図はEGF遺伝子の5′側80bpが欠失したプラスミドp
UC118NT−EGF(C)を構築するための工程図、第2図は
本発明のC277−X−EGFをコードするプラスミドpCE102
を構築するための工程図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A61K 38/00 A61K 37/36 ADT 38/27 ADT 37/02 (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 君塚 房夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平1−261398(JP,A) 特開 平1−206998(JP,A) Nature,Vol.257,p.325 −227(1975) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/00 - 21/02 C07K 14/78 C07K 14/485 C07K 19/00 A61K 37/02 A61K 37/36 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式I: C277−(X)n−EGF・・・・〔I〕 〔式中、C277はヒトフィブロネクチンの細胞接着ドメイ
    ンのPro1239−Ser1515に相当する277アミノ酸ポリペプ
    チド残基を示し、下記式II: で表される配列を有し、Xはメチオニル−アラニン残基
    (Met−Ala)を示し、nは1又は零の数を示し、EGFは
    ヒト上皮成長因子のアミノ酸残基を示し、下記式III: で表される配列を有する〕で表されることを特徴とする
    機能性ポリペプチド。
  2. 【請求項2】請求項1記載の機能性ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子。
  3. 【請求項3】請求項2記載の機能性ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子を組込んだプラスミド。
  4. 【請求項4】請求項3記載のプラスミドを導入した宿主
    細胞を培養し、該培養物より請求項1記載の機能性ポリ
    ペプチドを採取することを特徴とする請求項1記載の機
    能性ポリペプチドの製造方法。
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