WO2004098241A1 - 高周波加熱装置及びその制御方法 - Google Patents

Abstract

本発明の課題は、厚みのある被加熱物に対しても、加熱ムラの無い良好な加熱を実現できる高周波加熱装置を得ることである。　上記課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、被加熱物に周波数が５．８ＧＨｚのマイクロ波を照射して、被加熱物の加熱を行う高周波加熱装置１は、キャビティ３内にマイクロ波を出射する給電口７，９を備えた導波管１１ａ，１１ｂを、加熱室２を画成するキャビティ３に複数本装備して構成される。

Description

高周波加熱装置及びその制御方法 く技術分野 >

本発明は、 被加熱物を収容する加熱室に高周波を供給して被加熱物を加熱する 高周波加熱装置及びその制御方法に関する。 明

<背景技術〉

被加熱物を収容する加熱室内にマイクロ波を出力する高周波発生手段 （マグネ 書

トロン） を備えた高周波加熱装置は、 加熱室内の被加熱物に対して、 短時間で効 率のよい加熱ができるため、 食材等の加熱調理機器である電子レンジとして急速 に普及した。

ところで、 加熱室内に発振されるマイクロ波は、 加熱室内に電磁波攪拌手段が 無い場合、 加熱室を画成しているキヤビティの内壁面での反射によって定在波が 形成され、 この定在波の波長の約 1 2の間隔で加熱スポットが発生する。

従来の家庭用の電子レンジの場合、 周波数が 2 . 4 5 G H zのマイクロ波を発 振するマグネトロンが搭載されており、 この場合、 発生する定在波の波長は約 1 2 c mとなり、 その 1 / 2の約 6 .センチの間隔で加熱スポットが発生することに なり、 一般家庭等で加熱する食材の大きさに比べると、 加熱スポットの間隔が大 きく、 加熱ムラの原因となる。

そこで、 従来の電子レンジでは、 加熱ムラの原因となる定在波の影響を低減さ せるために、 加熱室内の食材を回転させるターンテーブルや、 加熱室内の電磁波 を攪拌するステラフ了ン等の電磁波攪拌手段を装備していた。

しかし、 これらの装備は、 加熱室を画成するキヤビティの壁部を貫通する可動 部品を不可欠とし、 可動部品によるキヤビティ貫通部での電磁波漏洩を防止する ための、 キヤビティ上への可動部品の取付構造の複雑化を招き、 構成部品の増加 による製作コストのコストアップや装置の大型化を招いた。

そこで、 最近では、 使用するマイクロ波の周波数を変更することで、 定在波の 波長の 1/2となる加熱スポット間隔を縮めて、 ターンテーブルゃステラファン 等の電磁波攪拌手段を装備せずとも、 被加熱物上での加熱ムラの発生を防止する ことが研究され、 5. 8 GHzのマイクロ波を使用することが提案された （例え ば、 特許文献 1参照） 。

(特許文献 1 )

特開平 3— 203 1 91号公報

5. 8 GHzのマイクロ波を使用した電子レンジでは、 キヤビティの内壁面で のマイクロ波の反射によって定在波が形成された場合、 その定在波の波長は約 5 cmとなり、 加熱室内での加熱スポットはその 1ノ 2波長分の約 2. 5 cmとな り、 2. 45 GHzのマイクロ波を使用するものと比較すると、 被加熱体表面で の加熱スポットの分布密度が増大し、 加熱スポットの間隔が一般食材の大きさに 比べて大きすぎることがなくなるため、 従前の電磁波攪拌手段を装備せずとも、 加熱ムラの発生を抑止することができ、 また電磁波攪拌手段の削除によつて構造 の簡略化やこの簡略化に伴う装置の小型化、 或いは、 製作コストゃ運転コストの 低減を図ることが可能になる。

ところが、 5. 8 GHzのマイクロ波は、 2. 45 GH zのマイクロ波と比較 すると、 被加熱物の内部への焼き深度が浅くなるため、 図 8に示すように、 被加 熱物の表面での加熱分布特性は 2. 45 GHzのマイクロ波より優れるものの、 被加熱物の内部への加熱特性は 2. 45 GHzのマイクロ波よりも低下する。 その結果、 上記特許文献 1に開示した従来の電子レンジのように、 加熱室内へ のマイクロ波の発振を単一の給電口から行う構成では、 加熱対象となる被加熱物 の厚みが厚い場合、 マイク口波が当たり易い側の表面層は十分に加熱できるが、 被加熱物の他側の表面層や内部については、 加熱ムラや加熱不足が発生する虞が あった。

本発明は、 被加熱物のより広範囲な表面に対してマイクロ波を照射することが でき、 厚肉の被加熱物に対しても加熱ムラの無い良好な加熱を実現でき、 且つ、 電磁波攪拌手段を省略できて構造の簡略化やこれに伴う装置の小型化、 或いは、 製作コストや運転コストの低減を図ることができる高周波加熱装置を提供するこ とを目的とする。 また、 従来の高周波加熱装置は、 マグネトロンの高周波発生部を加熱室の外側 に設けて、 そこから加熱室の天井、 側壁、 床部のいずれかに設けられた大きな 1 個の給電口まで導波管の中を通して高周波を導き、 その給電口から加熱室内に高 周波を

導いていた （例えば特許文献 2参照） 。

(特許文献 2 )

特開平 3— 2 0 3 1 9 1号公報

図 1 4は上記特許文献 2記載の従来例の高周波加熱装置の内部構造を示す縦断 面図である。 図において、 1 5 0は従来例の高周波加熱装置、 1 5 1は加熱室、 1 5 2は加熱室 1 5 1の外側に設けられている周波数 2 . 4 5 G H zのマイクロ 波を発振するマグネト口ンを含む高周波発生部、 1 5 3は導波管、 1 5 4は給電 口である。 1 5 5はターンテーブル、 1 5 6はターンテーブル 1 5 5を回転駆動 するモータ、 1 5 7は扉、 1 5 8は扉 1 5 7の四辺に施されたマイクロ波の 1 / 4波長に対応したチョーク構造の電波漏洩防止手段である。 Gはターンテーブル 1 5 5の上に載置された被加熱物である。

マグネトロン 1 5 2が駆動されると、 マグネトロン 1 5 2から発振された周波 数 2 . 4 5 G H zのマイクロ波は導波管 1 5 3を通って給電口 1 5 4から加熱室 1 5 1内に放射され、 加熱室 1 5 1の金属壁によって反射されて加熱室 1 5 1内 に定在波が生じる。 周波数 2 . 4 5 G H zのマイクロ波の場合、 その波長は約 1 2 c mとなるので、 加熱室 1 5 1の金属壁によって反射されて加熱室 1 5 1内に 生じる定在波はその間隔がその 1 / 2の約 6 c mとなり、 電界の強い腹の部分で マイクロ波は被加熱物 Gに吸収されて、 被加熱物 Gが加熱される。

しかしながら、 約 6 c mの間隔は被力卩熱物 Gにとつてはムラとなってしまうた め、 ターンテープル 1 5 5をモータ 5 6でゆっく り回転させて被加熱物 G上での 電界を乱し、 被加熱物 G上で定在波が生じないようにしている。

このように従来例の高周波加熱装置 1 5 0は、 ムラのない加熱をするために、 ターンテーブル 1 5 5とモータ 1 5 6が必要なため、 構造が複雑となり、 信頼性 の低下、 コスト高となってしまった。 この欠点を解消するものとして、 上記特許文献 2記載の実施例の高周波加熱装 置がある。 図 1 5は上記特許文献 2記載の実施例の高周波加熱装置の内部構造を 示す図で、 （a) は縦断面図、 （b) は図 （a) のは導波管 5 3を通る横断面図 である。

図 1 5 (a) において、 1 60は実施例の高周波加熱装置、 1 6 1は加熱室、 1 62は加熱室 1 6 1の外側に設けられている周波数 5. 8 GHzのマイクロ波 を発振するマグネトロンを含む高周波発生部、 163は導波管、 1 64は給電口 である。 165は被加熱物載置用のテーブル、 1 67は扉、 1 68は扉 1 6 7の 四辺に施されたマイクロ波の 1ノ 4波長に対応したチョーク構造の電波漏洩防止 手段である。 Gはテーブル 16 5の上に载置された被加熱物である。

また、 図 1 5 (b) において、 給電口 1 64は高周波発生部 1 62の横幅の略 等しい幅である狭い導波管 1 6 3の先端に 1個設けられており、 高周波発生部 1 62から発振されたマイクロ波はこの給電口 164からのみ加熱室 1 6 1内に放 射される。

そこで、 マグネトロン 16 2が駆動されると、 マグネトロン 1 62から発振さ れた周波数 5. 8 GH zのマイクロ波は導波管 1 6 3を通って給電口 1 64から 加熱室 16 1内に放射され、 加熱室 16 1の金属壁によって反射されて加熱室 1 6 1内に定在波が生じる。 周波数 5. 8 GH zのマイクロ波の場合、 その波長は 約 5. 1 7 cmとなるので、 加熱室 1 6 1の金属壁によって反射されて加熱室 1 6 1内に生じる定在波はその間隔がその 1Z2の約 2. 6 cmとなり、 電界の強 い腹の部分でマイクロ波は被加熱物 Gに吸収されて、 被加熱物 Gが加熱される。 そしてこの約 2. 6 cmの間隔は被加熱物 Gにとつては小さなものであるため目 立つムラとはならない。

したがって、 前述の役目をするターンテーブルもモータも不要となるため、 構 造が簡単となり、 信頼性が向上し、 コスト安となる。

このようにして、 図 1 5の高周波加熱装置 1 60は周波数 5. 8 GHzのマイ クロ波を発振するマグネトロンを用いるため、 加熱室 1 6 1内に生じる定在波が その間隔がその 1ノ 2の約 2. 6 cmとなるので加熱ムラが目立たなくなるとは いえ、 まだムラは若干生じていた。 また、 給電口 1 6 4が加熱室 1 6 1の天井中央にのみしかないため、 加熱室 1 6 1の中央と隅との間にマイクロ波の電界強度の差が生じたので、 被加熱物 Gの 中央と端とに加熱差が生じた。

本発明の目的はこれらの欠点を解決するもので、 加熱ムラをさらに目立たなく できて、 加熱室の中央と隅との間にマイクロ波の電界強度の差が生じない、 加熱 室の床部裏側の中央部近傍のスペースが有効利用できる高周波加熱装置を提供す ることにある。 従前より、 被加熱物を収容する加熱室に高周波を供給して被加熱物を加熱調理 する高周波加熱装置が、 食材の加熱調理用として広く利用されている。 この種の 高周波加熱装置は、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波を発生するマグネトロンを 搭載し、 発生させた高周波を加熱室内に供給している。 加熱室内では、 高周波の 供給により定在波が形成され、 この発生する定在波の波長は約 1 2 c mとなり、 その 1ノ 2の約 6 c mの間隔で電界の強い実質的な加熱スポットが発生すること になる。 しかし、 この加熱スポットの間隔は、 加熱調理する食材の大きさと比較 すると長いため、 食材中に存在し得る加熱スポットの分布密度が低くなり、 食材 が部分的に加熱されて加熱ムラが生じやすくなる傾向があった。

そこで、 使用する高周波の周波数を 2 . 4 5 G H zから 5 . 8 G H zに変更し て前記加熱スポットの間隔を狭め、 これにより加熱スポットの分布密度を高めて 被加熱物の加熱ムラを低減させようとする技術が提案されている （例えば特許文 献 3参照） 。

(特許文献 3 )

特開平 3 _ 2 0 3 1 9 1号公報

しかしながら、 5 . 8 G H zの高周波は、 2 . 4 5 G H zの高周波と比較する と加熱スポットの分布密度が高くなる反面、 被加熱物への吸収深さが浅くなるた め、 被加熱物が厚肉である場合には、 被加熱物の表面が主に加熱され、 被加熱物 の内部が加熱不足になるといった加熱ムラが生じやすくなる。

従って、 加熱分布が密となる 5 . 8 G H zの高周波では、 被加熱物が薄肉であ る場合は良好な均一加熱効果が期待できるが、 厚肉の被加熱物に対しては深さ方 向に加熱ムラが大きくなり、 結局は均一加熱が困難になる。 なお、 厚肉の場合で も被加熱物の表面から熱伝導により内部が加熱されるが、 内部に熱が伝わるまで には時間がかかり、 高周波加熱の最大の利点である急速加熱効果が奏されないこ とになる。

本発明は、 上記事情を考慮してなされたもので、 加熱ムラの発生を抑制し、 厚 肉の被加熱物であっても迅速に均一加熱処理が可能な高周波加熱装置及びその制 御方法を提供することを目的としている。

<発明の開示 >

上記目的を達成するための本発明に係る高周波加熱装置は、 加熱室内の被加熱 物に 5 . 8 G H zのマイクロ波を照射して、 前記被加熱物の加熱を行う高周波加 熱装置であって、 前記マイクロ波を出射する給電口を備えた導波管を、 前記加熱 室を画成するキヤビティに複数本装備したことを特徴とする。

このように構成された高周波加熱装置においては、 複数本の導波管による複数 の給電口が、 マイクロ波による加熱スポットの分布を広げて、 被加熱物の表面の より広範囲の部分にマイクロ波を当てることができる。

その結果、 焼き深度の浅い 5 . 8 G H zのマイクロ波でも、 例えば対向する双 方向から被加熱物を加熱することで、 実質的な焼き深度を 2倍に強化することが できる。

なお、 5 . 8 G H zのマイクロ波の焼き深度が浅いという短所を補うために、 被加熱物上のマイクロ波が当たる面を増やすという観点からすると、 マイクロ波 を出射する給電口は、 キヤビティの複数の壁面に分散して装備することが好まし く、 具体的には、 請求項 2に記載したように、 前記給電口を配置する前記キヤビ ティの壁面を、 前記加熱室の上下面、 又は上面及ぴ側面、 又は側面及ぴ下面とし た構成とすると良い。

また、 加熱室内の被加熱物に対して、 上面からのマイクロ波の照射を広範囲に 均一分散させる点では、 請求項 3に記載したように、 前記キヤビティの上壁に配 置された少なくとも 2本の導波管によって、 前記加熱室の上面に前記給電口を 2 個口設けた構成とすると良い。 また、 請求項 4に記載の高周波加熱装置は、 請求項 3に記載の高周波加熱装置 において、 更に、 前記キヤビティの上壁の少なくとも 2本の導波管は、 導波管の 横断面の長辺が上下方向に向いた縦型配置になされたことを特徴とする。

5 . 8 G H zのマイクロ波を誘導する導波管の横断面積は、 2 . 4 5 G H zの マイクロ波を誘導する導波管の横断面積の約 1 / 4程度に縮小される。そのため、 5 . 8 G H _Z用の導波管の長辺寸法は、 2 . 4 5 G H z用の導波管の短辺寸法と 略同程度になる。

従って、 キヤビティの上面側に確保する導波管の設置スペースは、 2 . 4 5 G H z用の導波管をその長辺を水平に向けてキヤビティの上面に設置している従前 の高周波加熱装置と同等に設定したとしても、 5 . 8 G H z用の導波管は長辺を 垂直に向けた縦型配置に装備することができる。 そして、 このように縦型配置で 導波管を装備した構成とすることで、 キヤビティ上面の導波管の占有面積を縮小 することができる。

その結果、キヤビティ上面に空きスペースが増えて、請求項 5に記載のように、 前記キヤビティの上面の内、 前記縦型配置の導波管の装備領域を除く領域に面ヒ ータを配置した構成とすれば、 面ヒータの装備領域が拡大できて、 面ヒータを作 動させるオーブン加熱処理時の温度分布をより広域に均一化でき、 加熱ムラの無 いオープン加熱を実現することが可能になる。 また、 本発明の高周波加熱装置は、 高周波発生部と、 該高周波発生部からの高 周波を供給して被加熱物を加熱処理する天井 '側壁 ·床部から構成される加熱室 と、 を有する高周波加熱装置において、 多数の給電口を備えて成る直方体状広域 導波管を前記加熱室の裏側に備え、 かつ前記高周波発生部を前記直方体状広域導 波管の直近に設けたことを特徴とする。

以上の構成により、 導波管の構造が幅広い構造をしているので、 多数の給電口 を設けることが可能となり、 均一加熱に近づけることができる。

また、 本発明の高周波加熱装置は、 前記直方体状広域導波管が前記床部の略全 面に広がる大きさをしておりかつ前記多数の給電口を前記床部側に向けて前記床 部の裏側に設けられたことを特徴とする。 以上の構成により、 床部の裏側略全体が導波管構造をしており、 かつ床部の略 全面に多数の給電口を備えているので、 加熱室の中央と隅との間にマイクロ波の 電界強度の差が生じなくなり、 均一加熱に近づけることができる。 また、 床部か らのマイクロ波照射なので被加熱部に近く、 加熱効率もよくなる。

さらに、 電波を撹拌させるためのターンテーブルや回転アンテナ等の構成を設 けなくてもよいため、 電波スパークや電波漏洩等の信頼性も向上する。

また、 本発明の高周波加熱装置は、 前記直方体状広域導波管が前記天井の略全 面に広がる大きさをしておりかつ前記多数の給電口を前記天井側に向けて前記天 井の裏側に設けられたことを特徴とする。

以上の構成により、 天井の裏側略全体が導波管構造をしており、 かつその略全 面に多数の給電口を備えているので、 均一な電波が天井一面からシャワーのよう に降り注ぐため、 さらに均一な加熱が可能となる。

また、 本発明の高周波加熱装置は、 前記高周波発生部から供給される高周波の 周波数が 5 . 8 G H zであることを特徴とする。

以上の構成により、 マイクロ波の波長が従来の主流であった 2 . 4 5 G H zの 場合と比べ定在波の間隔が狭くなるので、 さらに均一加熱に近づけることができ る。

また、 本発明の高周波加熱装置は、 前記多数個の給電口の大きさが前記高周波 発生部の近傍では小さめであり、 前記高周波発生部から遠ざかるにしたがつて大 きくなることを特徴とする。

以上の構成により、 高周波発生部の近傍と遠くとのマイクロ波の電界強度の差 が生じなくなり、 より均一加熱に近づけることができる。 また、 本発明の目的は下記構成により達成される。

( 1 ) 被加熱物を収容する加熱室に高周波発生部から高周波を供給し、 被加熱物 を加熱処理する高周波加熱装置であって、 前記高周波発生部が、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波を発生する第 1高周波発生部と、 周波数が 5 . 8 G H zの高周 波を発生する第 2高周波発生部とを備えた高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 加熱効果の高い周波数が 2 . 4 5 G H zの高周 波と、 加熱分布が均一な周波数が 5 . 8 G H zの高周波との 2種類の高周波を加 熱室に供給することができ、 加熱ムラの発生を抑制して、 厚肉の被加熱物であつ ても迅速に均一加熱処理が可能となる。

( 2 ) 前記第 1高周波発生部へ駆動電力を供給する第 1インバータ回路と、 前記 第 2高周波発生部へ駆動電力を供給する第 2インバータ回路と、 これらインバー タ回路により前記第 1高周波発生部と前記第 2高周波発生部とを同時に又は交互 に駆動する駆動制御部とを備えた （1 ) 記載の高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 第 1高周波発生部と第 2高周波発生部への駆動 電力をそれぞれ別個のインバータ回路で供給するので、 各高周波発生部から同時 に又は交互に高周波を出力させることができ、 また、 出力強度も可変にできるた め、 複雑な加熱パターンであっても簡単に制御が行える。

( 3 ) 前記第 1高周波発生部及び第 2高周波発生部へ駆動電力を供給する単 の ィンパータ回路と、 前記第 1高周波発生部と前記第 2高周波発生部への給電を交 互に切り替えて駆動する駆動制御部とを備えた （1 ) 記載の高周波加熱装置。 この高周波加熱装置によれば、 単一のインバータ回路により第 1高周波発生部 と第 2高周波発生部への給電を制御できるため、 駆動制御部の回路構成が簡略化 され、 設置に必要とするスペースが小さく済み、 装置の小型軽量化に寄与するこ とができる。

( 4 ) 前記加熱室の上面に設けられ高周波を前記加熱室內に導入する上側給電口 と、 前記加熱室の下面に設けられ高周^を前記加熱室内に導入する下側給電口と を備え、 該上側給電口と下側給電口のそれぞれから前記第 1高周波発生部又は前 記第 2高周波発生部からの高周波を個別に導入する （1 ) 〜 （3 ) のいずれか 1 項記載の高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 上側給電口と下側給電口とのそれぞれから第 1 高周波発生部又は第 2高周波発生部からの高周波を個別に加熱室へ導入するので、 高周波の加熱特性に応じた最適な位置から各高周波を照射可能になる。

( 5 ) 前記加熱室の空間を上下に分割する仕切板を設けた （4 ) 記載の高周波加 熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 加熱室の空間を上下に分割することにより、 上 側空間に一方の高周波を供給し、下側空間に他方の高周波を供給することができ、 各高周波を個別の空間に供給して加熱することができる。

(6) 前記仕切板が高周波発熱体を備え、 高周波の照射により発熱する （5) 記 載の高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 仕切板の高周波発熱体が高周波の照射により発 熱するので、この仕切板に載置された被加熱物を輻射熱や伝導熱により加熱して、 被加熱物に焦げ目を付けることができる。 また、 加熱室を暖めて予熱効果を持た せることもできる。

( 7 ) 前記加熱室の上側給電口から前記第 2高周波発生部からの高周波を前記加 熱室内に導入する （4) 〜 （6) のいずれか 1項記載の高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 第 2高周波発生部からの 5. 8 GHzの高周波 が上側給電口から供給されるので、 加熱室内の被加熱物を均一に加熱することが できる。

(8) 前記加熱室が、 開口部を有する加熱室本体と、 該開口部を開閉自在に覆う 開閉扉とを有し、 前記加熱室本体と前記開閉扉とが対向する部分の少なくとも一 方に、 電波洩れ防止用のチョークが形成され、 該チョークが前記第 1高周波発生 部と前記第 2高周波発生部からの各高周波を遮蔽するものである （1) 〜 （7) のいずれか 1項記載の高周波加熱装置。

この高周波加熱装置によれば、 小型のチョーグでありながら、 開閉扉が閉じら れたときに、 加熱室内部に供給される 2種類の異なる周波数の高周波が洩れ出す ことがない。

(9) 被加熱物を収容する加熱室に高周波発生部から高周波を供給し、 被加熱物 を加熱処理する高周波加熱装置の制御方法であって、 前記高周波発生部から、 周 波数が 2. 45 GHzの高周波と周波数が 5. 8 GHzの高周波とを同時に又は 交互に前記加熱室に供給する高周波加熱装置の制御方法。

この高周波加熱装置の制御方法によれば、 周波数が 2. 45 GHzの高周波と 周波数が 5. 8 GHzの高周波とを同時に又は交互に前記加熱室に供給すること により、 加熱効果の高い 2. 45 GHzの高周波と、 均一加熱効果の高い 5. 8 GHzの高周波とが選択的に供給可能となるので、 被加熱物の形状や加熱目的に 応じた適切な高周波を供給して効率の良い加熱処理を行うことができる。

(10) 前記各周波数のうち、 いずれか一方の高周波を加熱初期に出力し、 加熱 開始から所定時間経過後又は所定温度到達後にいずれか他方の高周波の出力を開 始する （9) 記載の高周波加熱装置の制御方法。

この高周波加熱装置の制御方法によれば、 加熱効果の高い周波数が 2. 45 G Hzの高周波を加熱初期に供給し、 被加熱物を一気に昇温させ、 また、 所定時間 経過後或いは所定温度到達後に周波数が 5. 8GHzの高周波を供給することで、 加熱温度の均一化を図り、 被加熱物を温度分布の少ない均一加熱状態にすること ができる。 また、 これとは逆に先に 5. 8 GH zの高周波を供給して、 2. 45 GHzの高周波を後から供給する場合には、 加熱後半に強く加熱する調理等に好 適な加熱パターンとなる。

(1 1) 前記各周波数を同時に出力する場合に、 各高周波の出力を、 高周波出力 のための駆動電力の合計が高周波加熱装置の定格電力を超えないように少なくと もいずれか一方の出力を制限する （9) 又は （1 0) 記載の高周波加熱装置の制 御方法。

この高周波加熱装置の制御方法によれば、 各高周波の出力が定格電力を超える ような場合には、 いずれか一方の高周波の出力を制限して、 高周波出力のための 駆動電力の合計が高周波加熱装置の定格電力を超えないようにできる。 <図面の簡単な説明 >

図 1は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 1の実施の形態の断面図であり、 図 2は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 2の実施の形態の断面図であり、 図 3は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 3の実施の形態の斜視図であり、 図 4 (a) は 2. 45 GH zのマイクロ波を誘導する導波管の横断面図、 （b) は 5. 8 GHzのマイクロ波を誘導する導波管の横断面図であり、

図 5は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 4の実施の形態の斜視図であり。 図 6は、 図 5の A— A断面図であり、

図 7は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 5の実施の形態の断面図で、 （a)

(b) は加熱室内のそれぞれ異なる加熱分布の電気力線を示した図であり、 図 8は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 6の実施の形態の平面図であり。 図 9は、 2. 45 GHz及ぴ 5. 8 G H zのマイクロ波の加熱分布特性の比較 図である。

図 10は、 本発明に係る高周波加熱装置を説明する図で、 （a) はその内部構 造を示す縦断面図、 （b) は床部に設けられた給電口の配置状態の 1例であり、 図 1 1 (a) 〜 （c) は、 図 1の高周波加熱装置に用いられる蒸気発生部の蒸 発皿を示す斜視図であり、

図 1 2は、 本発明が使用する 5. 8 GH zのマグネトロンを駆動する電源の構 成図であり、

図 1 3は、高周波加熱装置に本発明に係る直方体状広域導波管を適用した例で、 (a) は高周波加熱装置の床部に、 （b) は高周波加熱装置の天井に、 それぞれ 適用した例を示す正面斜視図であり、

図 14は、 第 1従来例の高周波加熱装置の内部構造を示す縦断面図であり、 図 1 5は、 第 2従来例の高周波加熱装置の内部構造を示す図で、 （a) は縦断 面図、 （b) は図 （a) の導波管 53を通る横断面図であり、

図 1 6は、 本発明に係る高周波加熱装置の概念的な構成図であり、

図 1 7は、 高周波加熱装置の高周波駆動部の構成図であり、

図 1 8は、 電波洩れ防止用のチョークを説明するための高周波加熱装置の外観 斜視図であり、

図 1 9は、 図 3の A— A断面 （a) と B— B断面 （b) を示す断面図であり、 図 20は、 チョークの斜視図であり、

図 21は、 スタラー羽根を説明するための高周波加熱装置の一部概略断面であ り、

図 22は、 高周波加熱装置の概略断面図であって、 （a) は 2. 45 GH zの 高周波の上方給電、 （b) は側方給電を示す説明図であり、

図 23は、 加熱室に現れるある瞬間の定在波の状態で （a) は 2. 45GHz の高周波、 （b) は 5. 8 GHzの高周波、 （c) は 2. 45 GHzと 5. 45 GHzの高周波の合波を示す説明図であり、

図 24は、 仕切板により加熱室を上下に分割した周波加熱装置の概念的な断面 構成図であり、

図 25は、 仕切板の断面図であり、

図 26は、 高周波駆動部の他の構成例を示す構成図であり、

図 27は、 第 1高周波発生部、 第 2高周波発生部への給電パターンであって、 5. 8 GHzと 2. 45 GH zの高周波を交互に出力するパターンを示す説明図 であり、

図 28は、 第 1高周波発生部、 第 2高周波発生部への給電パターンであって、 5. 8 GHzと 2. 45 GH zの高周波を同時に出力するパターンを示す説明図 であり、

図 29は、 第 1高周波発生部、 第 2高周波発生部への給電パターンであって、 2. 45 GHzの高周波を先に出力して 5. 8 GH zの高周波を後から出力する パターンを示す説明図であり、

図 30は、 第 1高周波発生部、 第 2高周波発生部への給電パターンであって、 5. 8 GHzの高周波のみ出力するパターンを示す説明図である。

なお、 図中の符号、 1は高周波加熱装置、 2は加熱室、 3はキヤビティ、 3 a は上壁、 3 bは後壁 （側壁） 、 3 cは底壁、 5はマグネトロン、 7, 9は給電口、 7 a , 7 b, 7 cは給電口、 1 1は導波管、 1 1 a, l i b, 1 1 cは導波管、 1 3は外殻筐体、 1 5は前面開閉扉、 21， 3 1， 41は高周波加熱装置、 43 は面ヒータ、 51， 6 1は高周波加熱装置、 1 1 0は本発明に係る高周波加熱装 置、 1 1 1は加熱室、 1 1 1 aは加熱室の天井、 1 1 1 bは加熱室の側壁、 1 1 l cは床部、 1 1 2は高周波発生部、 1 1 3は導波管、 1 1 3 bは給電口、 1 1 7は扉、 1 1 8は電波漏洩防止手段、 1 31は商用電源、 1 32はマグネトロン、

1 33は整流回路、 1 34はチョークコイル、 1 3 5は平滑コンデンサ、 1 36 はインバータ、 1 3 6 1はインバータ制御回路、 1 362はサーミスタ、 1 38 は昇圧トランス、 1 38 1は 1次卷線、 1 382は 2次巻線、 1 3 83はフイラ メント加熱用卷線、 1 3 9は半波整流回路、 140は加熱調理器、 14 1は加熱 室、 141 aは天井、 141 bは側壁、 14 1 cは床部、 143は高周波発生部、

144は床側配置直方体状広域導波管、 145は給電口、 146は天井側直方体 状広域導波管、 147は給電口、 21 1は加熱室、 21 3は第 1高周波発生部、 21 5は第 2高周波発生部、 21 7は高周波駆動部、 21 9は制御部、 225は マグネトロン （2. 45GHz用） 、 227は下側給電口、 229は下側導波管、 231はマグネトロン （ 5. 8 G H z用） 、 23 3は上側給電口、 235は上側 導波管、 237は第 1インバータ回路、 267は第 2インバータ回路、 273は 駆動制御部、 275は開閉扉、 277は加熱室本体、 279はチョーク、 28 1 は導体片、 283は金属板、 28 5は溝、 297は仕切板、 2 100， 2200 は高周波加熱装置、 2 1 09は切り替えスィツチ、 2 1 1 1は駆動制御部、 Mは 被加熱物である。 <発明を実施するための最良の形態 >

以下、 添付図面に基づいて本発明の好適な実施の形態に係る高周波加熱装置を 詳細に説明する。

図 1は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 1の実施の形態による断面図である この第 1の実施の形態の高周波加熱装置 1は、 家庭用の電子レンジとして使用 可能なもので、 加熱室 2を画成するキヤビティ 3と、 5. 8 GHzのマイクロ波 をアンテナ 5 aから出力する高周波発生手段であるマグネトロン 5と、 アンテナ 5 aから出力されたマイクロ波を導いて加熱室 2に出射する給電口 7， 9をそれ ぞれに備えた'複数本の導波管 1 1 a, 1 1 bと、 キヤビティ 3の外周囲を囲って キヤビティ 3の周りにマグネトロン 5や導波管 1 1 a， l i bの設置スペースを 確保する外殻筐体 1 3と、 被加熱物を加熱室 2に出し入れするために加熱室 2の 前面を開閉する前面開閉扉 1 5とを備えた構成である。

図 1は、装置を右側面側から見た状態での断面図で、図の左端面が装置の前面、 図の下端面が装置の底面である。

この第 1の実施の形態では、 マグネトロン 5は、 キヤビティ 3の後壁 3 b外面 に装備されており、 第 1の導波管 1 1 aは、 このマグネトロン 5から上方に延伸 して加熱室 2の上面となるキヤビティ 3の上壁 3 aに沿って装備され、 その給電 口 7が上壁 3 aの略中央に開口する。 また第 2の導波管 1 1 bは、 マグネトロン 5から下方に延びて装備され、 その給電口 9が加熱室 2の後面となるキヤビティ 3の後壁 3 bの下端寄り位置に開口する。

このように構成された高周波加熱装置 1においては、 各導波管 1 1 a , l i b のそれぞれの給電口 7 , 9からマイクロ波が出射されるため、 マイクロ波による 加熱スポットの分布を広げることができ、 被加熱物の表面のより広範囲の部分に マイクロ波が当たるようになる。

その結果、 焼き深度の浅い 5 . 8 G H zのマイクロ波でも、 直交する加熱室の 2方向からそれぞれ被加熱物を加熱することで、 実質的な焼き深度を増強するこ とができ、 加熱室 2内にターンテーブルやステラファン等の電磁波攪拌手段を装 備せずとも、 被加熱物の表層及び内深部の全域に対して、 加熱ムラの発生を抑止 することができる。

従って、 厚肉の被加熱物に対しても、 加熱ムラの無い良好な加熱を実現でき、 且つ、 電磁波攪拌手段の削除によって構造の簡略化やこれに伴う装置の小型化、 或いは、 製作コストゃ運転コストの低減を図ることができる。

なお、 5 . 8 G H zのマイクロ波の焼き深度の浅いという短所を捕うために、 被加熱物上のマイクロ波が当たる面を増やすという観点からすると、 マイクロ波 を出射する給電口の配置は、 キヤビティ 3の複数の内壁面に分散して装備すれば よく、 上記実施の形態に限らない。 また、 導波管の装備数も、 上記実施の形態の 2本に限らない。 3本以上の任意数に増設可能である。

給電口の装備位置は、 具体的には、 加熱室 2の上下面、 又は上面及ぴ側面 （後 面も含む） 、 又は側面 （後面も含む） 及び下面とすることが可能である。

図 2は本発明に係る高周波加熱装置の第 2の実施の形態の断面図である。 この第 2の実施の形態の高周波加熱装置 2 1は、 2つの給電口 7 , 9が、 加熱 室 2の上下面、 即ち、 キヤビティ 3の上壁 3 a及び底壁 3 cに対向して開口する ように、 導波管 1 1 a , 1 1 bが配置された構成で、 第 1の導波管 1 1 aは第 1 の実施の形態と同じであるが、 第 2の導波管 l i bは、 マグネトロン 5から下方 に延伸して加熱室 2の下面となるキヤビティ ³の底壁 3 cに沿って装備されて、 給電口 9が底壁 3 cの略中央に開口する。

なお、 給電口 7 , 9の装備位置の変更と、 それに伴う導波管 1 1 a , 1 1 の 形状変更以外は、 第 1の実施の形態と共通の構成であるので、 共通の構成には、 同番号を付して説明を省略する。

このようにキヤビティ 3の対向する壁面に給電口 7, 9を対向配置した構成で は、 焼き深度の浅い 5. 8 GH zのマイクロ波でも、 対向する双方向からそれぞ れ被加熱物を加熱することで、 実質的な焼き深度を増強することができ、 加熱室 2内にターンテーブルゃステラファン等の電磁波攪拌手段を装備せずとも、 被加 熱物の表層及ぴ內深部の全域に対して、 加熱ムラの発生を抑止することができ、 第 1の実施の形態と同様に、 厚肉の被加熱物に対しても、 加熱ムラの無い良好な 加熱を実現でき、 且つ、 電磁波攪拌手段の削除によって構造の簡略化やこれに伴 う装置の小型化、 或いは、 製作コストや運転コストの低減を図ることができる。 図 3は本発明に係る高周波加熱装置の第 3の実施の形態の後面側からの斜視図 である。

この第 3の実施の形態の高周波加熱装置 3 1は、 キヤビティ 3の上壁 3 aに配 置された 2本の導波管 1 l a, 1 1 bによって、 加熱室 2の上面に給電口 7 a , 7 bを 2個口設けた構成としている。 2本の導波管 1 1 a, l i bは、 マグネト ロン 5から上方に延伸した 1本の共通管 1 1が 2分岐して形成される。

このような構成では、 加熱室 2内に収容した被加熱物に対して、 上面からのマ イク口波の当たりを広範囲に均一分散させることができ、 被加熱物上面への加熱 分布を大幅に向上させることが期待できる。

なお、 この図 3のように加熱室 2の上面に 2個口の給電口 7 a , 7 bを装備す る構成に、 加熱室 2の側面 （後面も含む） 又は底面に給電口を設ける構成を組み 合わせることで、 更に、 被加熱物への均一加熱性を向上させることができる。 なお、図 4 (&)は2. 450112のマイク口波を誘導する導波管の横断面図、 (b) は 5. 8 GH zのマイクロ波を誘導する導波管の横断面図である。 それぞ れの横断面図は同一縮尺で描いてある。

図示のように、 5. 8 GHzのマイクロ波を誘導する導波管の横断面積は、 2. 45 GHzのマイク口波を誘導する導波管の横断面積の約 1ノ 4程度に縮小され る。 そのため、 5. 8 GH z用の導波管の長辺寸法 b 2は、 2. 45 GHz用の 導波管の短辺寸法 a 1と略同程度になる。

図 5は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 4の実施の形態の後面側からの斜視 図である。

この第 4実施の形態の高周波加熱装置 4 1は、 図 4に示した導波管の寸法差を 考慮して、 図 3に示した高周波加熱装置 3 1を更に改良したもので、 キヤビティ 3の上壁 3 aに配置された 2本の導波管 1 l a , 1 1 bは、 導波管の横断面の長 辺 b 2が上下方向に向いた縦型配置で装備し、 更に、 キヤビティ 3の上壁 3 aの 内、 縦型配置した導波管の装備領域を除く領域に面ヒータ 4 3を配置している。 使用するマイクロ波の周波数が 5 . 8 G H zの場合には、 このように、 キヤビ ティ 3の上壁 3 aに配置される導波管 1 1 a， 1 1 bを縦型配置にしても、 図 6 に示すように、キヤビティ 3の上面側に確保する導波管の設置スペース Lは、 2 . 4 5 G H z用の導波管をその長辺を水平に向けてキヤビティ 3の上面に設置して いた従来の高周波加熱装置と同等に設定することができる。 そして、 導波管を縦 型配置とすることで、 キヤビティ 3の上壁 3 aにおける導波管の幅方向の占有を 縮減して、 占有面積を縮小することができる。

その結果、 キヤビティ 3上壁 3 aの空き面積が増えて、 図 5に示したように、 キヤビティ 3の上壁 3 aの内、 導波管 1 1 a， 1 1 bの装備領域を除く大きな空 き領域の全域に面ヒータ 4 3を配置した構成とすることができる。

即ち、 より大面積に面ヒータ 4 3を装備することが可能になり、 面ヒータ 4 3 を作動させるオープン加熱処理時の温度分布をより広域に均一化して、 加熱ムラ の無いオープン加熱を実現することが可能になる。

なお、 上記のように導波管を縦型配置する位置は、 キヤビティ 3の上壁 3 aに 限らない。

図 7 ( a ) ( b ) は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 5の実施の形態の断面 図である。 なお、 （a ) ( b ) は加熱室内における異なる加熱分布の例を電気力 線によって示している。

この第 5実施の形態の高周波加熱装置 5 1は、 先に図 2に示したような、 加熱 室 2の上下面に対向させて 2本の導波管 1 1 a， 1 1 bを配置する構成において、 これらの導波管 1 1 a， 1 l bを、 それぞれ縦型配置に設定したものである。 このような構成では、 上下に対向した各給電口 7， 9から放射されるマイクロ 波は、 位相が 1 8 0 ° ずれた定在波を形成するため、 被加熱物に対する加熱分布 の更なる均一化を期待することができる。

さらに述べれば、 上下の各給電口 7， 9から放射されるマイクロ波は、 位相を 1 8 0° ずらしたことにより、 双方のマイクロ波は電界 Eの方向を一方向にそろ えることができる。 これにより、 （a) (b) に示すように、 双方の電界を加算 した電界強度により、被加熱物の加熱を促進できる。また、 （b) に示すように、 食品の內部により多いマイクロ波エネルギーを伝えることができる。

なお、 （a) (b)は、被加熱物に応じて任意に選択することが困難であるが、 被加熱物の加熱進行に伴う時間的変化として、 （a) (b) の何れかを生じるこ とが期待できるので、 加熱の均一化の促進が図れる。

なお、 キヤビティ 3に複数本の導波管を装備する場合、 その装備数は上記実施 の形態に示した 2本に限るものでなく、 任意数に改良可能である。

図 8は、 本発明に係る高周波加熱装置の第 6の実施の形態のキヤビティ上面の 平面図である。

この高周波加熱装置 6 1は、 キヤビティ 3の上壁 3 aに 3本に分岐した導波管 1 1 a , l i b, 1 1 cによって、 3個口の給電口 7 a , 7 b， 7 cを装備する ようにし、 且つ、 3個口の給電口 7 a , 7 b , 7 cは、 中央の給電口 7 bの位置 を、 他の給電口 7 a , 7 cとはずらしている。 また、 中央の導波管 l i bは分岐 基部 1 2において、 他の導波管 1 1 a， 1 1 cと較べて横断面積が縮小した形態 に絞り加工されている。 なお、 3本の導波管はいずれも縦型配置されている。 このようにすることで、 加熱室 2の上面からのマイクロ波の放射を更に加熱室 2の広域に高密度で均一拡散させることが可能になり、 被加熱物に対する加熱ム ラの防止を更に徹底することができる。 なお、 中央の導波管 1 1 bが絞り加工さ れる理由は、 他の導波管 1 1 a， 1 1 cと較べて、 マグネトロン 5から直線的に 延伸してマイクロ波の誘導効率が高いため、 これを制限して他の導波管 1 1 a , 1 1 cとのバランスを図ることによる。 以下、 本発明の第 7の実施の形態について詳細に説明する。

図 1 0は本発明に係る高周波加熱装置を説明する図で、 （a ) はその内部構造 を示す縦断面図、 （b) は床部に設けられた給電口の配置状態の 1例である。 図 1 0 (a) において、 1 10は本発明に係る高周波加熱装置、 1 1 1は加熱 室で、 1 1 1 aは加熱室の天井、 1 1 1 bは加熱室の側壁、 1 1 1 cは床部であ る。 床部 1 1 1 cは金属でない材料、 例えばセラミックでできている。 1 1 2は 加熱室 1 1 1の床部 1 1 1 cの裏側の外側に設けられている周波数 5. 8 GHz のマイクロ波を発振するマグネトロンを含む高周波発生部、 1 1 3は加熱室 1 1 1の床部 1 1 1 cの裏側に設けられている導波管で、その形状は直方体（例えば、 縦 30 cmX横 30 c;mX高さ 5 cm) をしたいわゆる直方体状の広域導波管で ある。 その 6面のうち広い面の広さは略、 床部 1 1 1 cの広さと一致している。 そして、 1 1 3 aは導波管天井 （床部 1 1 1 cに対向している面） 、 1 1 3 bは 導波管天井 1 1 3 aの略全面に亘つて形成された多数の給電口である。 1 1 7は 扉、 1 18は扉 1 1 7の四辺に施されたマイクロ波の 1Z4波長に対応したチヨ ーク構造の電波漏洩防止手段である。

図 10 (b) は導波管天井 1 1 3 aの略全面に亘つて形成された給電口の 1つ の配置例である。 ここでは各給電口 1 1 3 bはそれぞれ長辺が 1Z 4 λ (約 1. 3 cm) 以上の長さを持つ矩形で、 高周波発生部 1 1 2に近い列は 7個、 次いで 8個、 高周波発生部 1 1 2に遠い列は 9個としてある。

このような多数個の給電口の配置状態とすることにより、 高周波発生部 1 1 2 に近い電界強度の強いマイクロ波は加熱室内 1 1 1に少なく入り、 高周波発生部 1 1 2に遠い電界強度の弱いマイクロ波は多く入るので、 加熱室内 1 1 1では比 較的均一な電界強度になり、 被加熱物 Gの均一加熱に寄与することとなる。 これに対して、 従来の導波管 1 1 3は図 1 5 (b) に示すように、 細長い管体 でしかも給電口 1 54は 1個であるので、 加熱室内 1 1 1では均一な電界強度が 得られ難く、 したがって被加熱物 Gの均一加熱が困難であった。

さらに、 本発明では、 高周波発生部 1 1 2に近い列の給電口 1 1 3 b 1は孔の 大きさが小さめとして、 高周波発生部 1 1 2から遠ざかるにしたがって大きくな るようにしているので、 高周波発生部 1 1 2に近い電界強度の強いマイクロ波は 加熱室内 1 1 1に少なく入り、 高周波発生部 1 1 2に遠い電界強度の弱いマイク 口波は多く入るため、 加熱室内 1 1 1では比較的均一な電界強度になり、 被加熱 物 Gの均一加熱に寄与することとなる。 この高周波加熱装置 1 1 0の動作は次のようになる。

マグネトロン 1 1 2が駆動されると、 マグネトロン 1 1 2から周波数 5. 8 G H zのマイク口波が発振される。発振された周波数 5. 8 GH zのマイク口波は、 加熱室 1 1 1の床部 1 1 1 cの裏側全体に設けられた導波管 1 1 3を通って床部 1 1 1 cの裏側全面に行き渡り、 導波管 1 1 3に散在して設けられている多数の 各給電口 1 1 3 bから加熱室 1 1 1内に入り、 しかも電界強度に反比例して給電 口 1 1 3 bの個数およぴ孔の大きさが決められているので、 結果的に加熱室 1 1 1内に均一な電界分布ができ、 したがってこれによつて被加熱物 Gはムラなく加 熱されることとなる。

しかも導波管の直方体と構造も簡単で、 堅固であり、 信頼性の向上、 コスト安 となる。

また、 直方体状広域導波管 1 1 3を床部裏側の従来の空きスペースに形成した ため、 空間を有効利用できると共に、 図 1 5での加熱室 1 5 1の天井に設けられ た導波管 1 5 3のスペース分だけ加熱室内の空間容積を大きくすることができる。 また、 給電口が被加熱物である食品に近くなるので電波の吸収が良くなる。 そして、 ヒータ付き電子レンジの場合に上ヒータの配置が非常に簡単となる。 図 1 1は直方体状広域導波管の導波管天井に設けられた給電口の他の配置例で ある。

図 1 1 (a) は放射状配置の給電口を持つ直方体状広域導波管である。

図において、 1 1 2は高周波発生部、 1 1 3は直方体状広域導波管、 1 1 3 a は天井、 1 1 3 bは天井 1 1 3 aに開けられた給電口、 b l〜b 3はそれぞれ大 きさの異なる孔である。

長孔状の給電口 b l〜b 3は加熱室 1 1 1の導波管天井 1 1 3 aの中心から放 射状に配置している。 そして、 給電口 b 1と b 3とを比較して判るように、 中心 から遠くなるにつれて長孔が長くなつている。

この結果、 比較的マイクロ波の届きにくいコーナー部にまで均一な電界分布で き、 被加熱物 Gの広さに関係なくムラのない加熱されることとなる。

図 1 1 (b) は碁盤目状配置の給電口を持つ直方体状広域導波管である。

図において、 1 1 2は高周波発生部、 1 1 3は直方体状広域導波管、 1 1 3 a は天井、 1 1 3 bは天井 1 1 3 aに開けられた給電口、 b l〜b 4はそれぞれ大 きさの異なる孔である。

矩形状の給電口 b 1〜！ D 4は加熱室 1 1 1の導波管天井 1 1 3 a上に碁盤目状 に配置ししている。 そして、 給電口 b 1 aと b 4とを比較して判るように、 高周 波発生部 1 1 2側から遠くなるにしたがって、 その給電口の一辺が長くなつてい る。

この結果、 高周波発生部 1 1 2の設置部とは反対側の比較的マイクロ波の届き にくい部分まで均一な電界分布でき、 被加熱物 Gの広さに関係なくムラのない加 熱されることとなる。

図 1 1 (c) は放射状配置の給電口を持つ直方体状広域導波管である。

図において、 1 1 2は高周波発生部、 1 1 3は直方体状広域導波管、 1 1 3 a は天井、 1 1 3 bは天井 1 1 3 aに開けられた給電口、 b 1〜 b 3はそれぞれ大 きさの異なる孔である。

矩形状の給電口 b 1〜 b 3は加熱室 1 1 1の導波管天井 1 1 3 a上に高周波発 生部 1 1 2から放射状に配置している。 そして、 給電口 b 1と b 3とを比較して 判るように、 中心から遠くなるにつれて長孔が長くなっている。

この結果、 高周波発生部 1 1 2の設置部とは反対側の比較的マイクロ波の届き にくい部分まで均一な電界分布でき、 被加熱物 Gの広さに関係なくムラのない加 熱されることとなる。 "

図 1 2は本発明が使用する 5. 8 GH zのマグネトロンを駆動する電源の構成 図である。 図において、 商用電源 1 3 1からの交流は整流回路 1 33によって直 流に整流され、 整流回路 1 33の出力側のチョークコィノレ 1 34と平滑コンデン サ 1 35で平滑され、 インバータ 1 36の入力側に与えられる。 直流はインバー タ 1 36の中の半導体スィツチング素子のオン ·オフにより所望の高周波 （20 〜40 kHz) に変換される。 インバ一タ 1 36は、 直流を高速でスイッチング する I GBT (I n s u l a t e d Ga t e B i o l a r T r a n s i s t o r ) とこの I GB Tを駆動制御するインバ タ制御回路 1 36 1によって 制御され、 昇圧トランス 1 38の 1次側を流れる電流が高速でオン Zオフにスィ ツチングされる。 制御回路 1 36 1の入力信号は整流回路 1 33の 1次側電流を C T 1 3 7で検 出し、 その検出電流はインバータ制御回路 1 36 1に入力され、 インパータ 1 3 6の制御に用いられる。 また、 I GBTを冷やす放熱フィンに温度センサ （サー ミスタ） 1 362を取り付けてこの温度センサによる検出温度情報をインバータ 制御回路 1 36 1に入力して、 ィンパータ 1 36の制御に用いている。

昇圧トランス 1 38では 1次卷線 1 38 1にィンパータ 1 3 6の出力である高 周波電圧が加えられ、 2次卷線 1 38 2に巻線比に応じた高圧電圧が得られる。 また、昇圧トランス 1 38の 2次側に卷回数の少ない卷線 1 38 3が設けられ 5. 8 GH z発振用のマグネトロン 1 32のフィラメント 1 3 21の加熱用に用いら れている。 昇圧トランス 1 38の 2次巻線 1 382はその出力を整流する倍電圧 半波整流回路 1 39を備えている。 倍電圧半波整流回路 1 39は高圧コンデンサ 1 3 9 1及び 2個の高圧ダイオード 1 3 9 2， 1 39 3により構成される。

以上の構成を有する回路によって、 交流が整流 '平滑され、 インパータで高周 波に変換され、高圧トランスによって高周波高圧に変圧された後、高圧整流され、 マグネトロンが駆動される。 マグネトロンが駆動されると、 5. 8GHzのマイ クロ波がアンテナから発振され、 5. 8 GH zマイクロ波は加熱室床部の裏側略 全面で構成される広い導波管を伝って、 導波管壁面での反射を繰り返しながら最 適の給電口から加熱室内に入ってゆくこととなる。

したがって、 床部の裏側の略全体が導波管構造をしており、 かつ床部の略全面 に高周波を前記加熱室内へ通過させる給電口を多数個備えているので、 加熱室の 中央と隅との間にマイクロ波の電界強度の差が生じなくなり、 均一加熱に近づけ ることができる。 さらに、 床部裏側の隅に設けられているスチーム発生装置と並 んで、 手前側に導波管が設けられるので無駄な空間が無くなると共に、 従来の導 波管の設置されていた天井裏のスペースの分だけ加熱室内の空間容積を大きくす ることができる。

このように周波数が 5. 8 GH zの発振をするマグネトロンを用いることによ り、 波長が約 5 cmとなるので、 本発明に係る直方体状広域導波管に対して波長 が小さいことから直方体状広域導波管の中をマイク口波が飛びやすくなり、 マイ ク口波をランダムに分布させ、 加熱の均一化を図ることが可能となる。 上記説明では、 使用するマグネト口ンは周波数が 5. 8 GH zのマグネトロン を用いているが、 本発明はこれに限るものではなく、 汎用の 2. 45 GHzのマ グネトロンであっても構わない。 ただし、 後者の場合は、 波長が約 12 cmもあ るので、 本発明に係る直方体状広域導波管の大きさに対して大きくなり、 したが つて直方体状広域導波管の中でマイクロ波をランダムに分布させるための工夫が 必要である。

本発明によれば、 給電口の個数と孔の大きさをマグネトロンカゝらの距離に依存 させることにより均一とすることが可能となるので、 2. 45 GHzのマグネト ロンの場合も給電口の個数と孔の大きさを慎重に選べば、均一加熱が可能となる。 図 1 3は高周波加熱装置に本発明に係る直方体状広域導波管を適用した例を示 す正面斜視図で、 （a) は高周波加熱装置の床部に、 （b) は高周波加熱装置の 天井に、 それぞれ直方体状広域導波管を適用した例を示す正面斜視図である。 図 では扉は省略し、 直方体状広域導波管は加熱装置本体から外した状態で示してい る。

図 1 3 (a) において、 140は加熱室にマイクロ波を供給して被加熱物を加 熱処理する加熱調理器である。 141は加熱室で、 天井 141 aと側壁 14 1 b と床部 141 cとから構成されている。 142は加熱室 141内の空気を循環さ せる循環ファン、 143はマグネトロンを含む高周波発生部、 144は本発明に 係る直方体状広域導波管、 145は給電口である。 —

加熱室 141は、 前面開放の箱形の本体ケース内部に形成されており、 本体ケ ースの前面に、 加熱室 141の被加熱物取出口を開閉する開閉扉 （図示省略） が 設けられている。開閉扉は、下端が本体ケースの下縁にヒンジ結合されることで、 上下方向に開閉可能となっている。

直方体状広域導波管 144は、 その大きさが本発明により床部 141 cの略全 面に等しい大きさとなっている。 従来の導波管は断面が矩形で、 幅が高周波発生 部の幅に等しい細長い管体でしかも給電口は 1個であるので、 加熱室内では均一 な電界強度が得られ難く、 したがって被加熱物 Gの均一加熱が困難であつたが、 この直方体状広域導波管 144によれば、 床部側に給電口 145が無数に散在し ており、 しかもその大きさが前記高周波発生部 143の近傍では小さめであり、 高周波発生部 1 4 3から遠ざかるにしたがって大きくなるようにしているので、 床部に置かれた被加熱物が熱効率よく加熱されしかも均一な加熱が可能となる。 また、 直方体状広域導波管 1 1 3を特に床部に配置することにより、 加熱室内 の空間容積を大きくすることができ、 また、 給電口が被加熱物である食品に近く なるので、 電波の吸収が良くなる。 さらに、 ヒータ付き電子レンジのモデルにあ つては上ヒータの配置が非常に簡単となる、 といった効果も得られる。

図 1 3 ( b ) において、 同じく 1 4 0は加熱調理器、 1 4 1は加熱室、 1 4 2 は循環ファン、 1 4 3は高周波発生部、 1 4 6は直方体状広域導波管、 1 4 7は 給電口である。

直方体状広域導波管 1 4 6は、 その大きさが本発明により天井 1 4 1 aの略全 面に等しい大きさとなっており、 さらにその天井側に給電口 1 4 7が無数に散在 しており、しかもその大きさが前記高周波発生部 1 4 3の近傍では小さめであり、 高周波発生部 1 4 3から遠ざかるにしたがって大きくなるようにしているので、 均一な電波が天井一面からシャワーのように降り注ぐため、 さらに均一な加熱が 可能となる。

また、 直方体状広域導波管 1 1 3を特に天井に配置することにより床下に十分 なスペースができるため、 食品加熱を自動で行う場合に食品の重量を検出する重 量センサが配置し易くなり、 さらに、 ターンテーブルを使用するモデルにあって はターンテーブルが簡単に構成できることとなる。 以下、 第 8の実施の形態として、 本発明に係る高周波加熱装置及びその制御方 法の好適な実施の形態について、 図面を参照して詳細に説明する。

図 1 6は本発明に係る高周波加熱装置の概念的な構成図、 図 1 7は高周波加熱 装置の高周波駆動部の構成図である。

図 1 6に示すように、 この高周波加熱装置 2 1 0 0は、 被加熱物 Mを収容する 加熱室 2 1 1に高周波を供給して被加熱物 Mを加熱処理するものであって、 高周 波発生部として、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波を発生する第 1高周波発生部 2 1 3と、 周波数が 5 , 8 G H zの高周波を発生する第 2高周波発生部 2 1 5を 備えている。 また、 高周波加熱装置 2 1 0 0には、 これらを発振駆動する高周波 駆動部 2 1 7、 制御部 2 1 9とが設けられ、 この制御部 2 1 9には、 加熱開始を 指示するスタートスィツチや、 加熱内容を設定するメニュースィツチ等の入力操 作部 2 2 1と、 各種情報を表示する表示部 2 2 3が接続されている。 制御部 2 1 9は、入力操作部 2 2 1からの入力内容に基づいて高周波発生部を駆動制御して、 載置台 2 2 0上の被加熱物 Mを所望の条件で加熱する。

第 1高周波発生部 2 1 3は、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波を発振するマグ ネトロン 2 2 5と、 マグネトロン 2 2 5のアンテナ 2 2 5 aから出力された高周 波を加熱室 2 1 1の底面側に設けた下側給電口 2 2 7へ導く下側導波管 2 2 9と を有している。

また同様に、 第 2高周波発生部 2 1 5は、 周波数が 5 . 8 G H zの高周波を発 振するマグネトロン 2 3 1と、 マグネトロン 2 3 1のアンテナ 2 3 1 aから出力 された高周波を加熱室 2 1 1の上面側に設けた上側給電口 2 3 3へ導く上側導波 管 2 3 5とを有している。

高周波駆動部 2 1 7は、 図 1 7に一例を示すように、 各マグネトロン 2 2 5， 2 3 1を個別に駆動するインバータ回路を備えている。 マグネトロン 2 2 5を駆 動する第 1インバータ回路 2 3 7には、 商用電源 2 4 9からの電力がダイオード プリッジ等の整流回路 2 5 1によって全波整流されて供給され、 これを高周波電 圧に変換した後に昇圧トランス 2 5 3の一次卷線 2 5 5に印加する。 すると、 昇 圧トランス 2 5 3の二次卷線 2 5 7に数 k Vの高周波の高電圧が発生する。 そし て、 この高周波高電圧は、 コンデンサ 2 5 8やダイオード 2 5 9からなる倍電圧 整流回路 2 6 1によって整流されて、マグネトロン 2 2 5に高電圧が印加される。 また、 昇圧トランス 2 5 3のヒータ巻線 2 6 3は、 マグネトロン 2 2 5のフイラ メント 2 6 5に接続され、 フィラメント 2 6 5を加熱する。 そして、 マグネトロ ン 2 2 5は、フィラメント 2 6 5の加熱と高電圧の印加により高周波を発振する。 上記のマグネトロン 2 2 5を駆動する第 1インバータ回路 2 3 7、 昇圧トラン ス 2 5 3、 及び倍電圧整流回路 2 6 1の各構成は、 マグネトロン 2 3 1を駆動す る第 2インバータ回路 2 6 7、 昇圧トランス 2 6 9、 及ぴ倍電圧整流回路 2 7 1 の構成と同様であるので、 同一の機能を有する部分については同一の符号を付与 することでその説明は省略するものとする。 そして、 第 1インバータ回路 2 3 7と第 2インバータ回路 2 6 7には駆動制御 部 2 7 3が接続されており、 駆動制御部 2 7 3が双方の回路の駆動タイミングゃ 給電配分等を制御部 2 1 9からの制御信号を受けて制御する。

ここで、 加熱室 2 1 1に供給する 2種類の周波数の高周波に対する電波洩れ防 止用のチョークについて説明する。

図 1 8に高周波加熱装置 2 1 0 0の外観斜視図を示した。 箱形の加熱室 2 1 1 は、 高周波加熱装置 2 1 0 0の一側面となる前面側に開閉自在に取り付けられた 開閉扉 2 7 5により開口し、 この開口部から加熱室 2 1 1内への被加熱物の出し 入れを可能とする構成になっている。 つまり、 加熱室 2 1 1は、 開口部を有する 加熱室本体 2 7 7が、 開閉扉 2 7 5により開閉自在になるため、 開閉扉 2 7 5か らの電波洩れを防止するためのチョーク 2 7 9が、 加熱室本体 2 7 7と対向する 開閉扉 2 7 5の部分に形成されている。 このチョーク 2 7 9は加熱室本体 2 7 7 側の開閉扉 2 7 5と対向する部分に形成してもよい。

ここで、 図 1 9に図 1 8の A— A断面 （a ) と B— B断面 （b ) 、 及び図 2 0 にチョークの斜視図を示した。 このチョーク 2 7 9の形状に関しては、 特許第 1 5 0 4 2 0 1号に記載のチョークと周波数は異なるものの略同様の構成となって いる。 即ち、 図 1 9 ( a ) に示すように、 開閉扉 2 7 5を形成する金属板 2 8 3 の端部で、 折り曲げ加工により溝 2 8 5を形成することで基端側壁面 2 8 7を形 成し、 さらに金属板 2 8 3-の先端を U字状に折り曲げて、 溝幅が b lの開孔部側 溝 2 8 5 aと、 溝幅が b 2の短絡側溝 2 8 5 bの壁面を形成している。 そして、 図 2 0に示すように、 開孔部側溝 2 8 5 aの側で、 導線幅を a 1， a 3、 短絡側 溝 2 8 5 bの側で導線幅を a 2， a 4として複数の導体片 2 8 1 aを形成してい る。

また、 図 1 9 ( b ) の B— B断面においては、 開孔部側溝 2 8 5 aの側で溝幅 を b 3、 短絡側溝 2 8 5 bの側で b 4として、 前記導体片 2 8 1 aと同様の形状 の導体片 2 8 1 bを複数形成している。

これら導体片 2 8 1 a , 2 8 1 bは溝 2 8 5内に互い違いに収容され、 溝 2 8 5の開孔端は溝カバー 2 8 9によって覆われており、 また、 開閉扉 2 7 5の外側 はドア力パー 2 9 1で覆われている。 上記構成のチョーク 2 7 9では、 断面 A— Aで示す溝における特性インピーダンスの比 Klは、 （1) 式で表される, (数 1)

また、 断面 B— Bで示す溝における特性インピーダンスの比 K2 は、 で表される。

(数 2)

な ₄ b₃ 上記 Κ1、 Κ2 の各値は、 溝の深さ （L1+L2) と （L3+L4) が同一になる ようにそれぞれ設定している。 なお、 e effl、 _£eff2 はそれぞれの溝部の実効誘 電率である。

ここで、 溝開孔部側溝の特性インピーダンス、 長さ、 位相定数を ZOl、 L1, /31 とし、 溝短絡部側溝の特性インピーダンス、 長さ、 位相定数を Z02、 L2, β2とする。 そして、 溝の開孔端から短絡端までの距離 （溝の深さ） を L (total) とすると L(total)=Ll+L2 となる。上記条件で溝の開孔端のインピーダンス Z は （3) 式で表せる。

(数 3)

伹し、 Κ=ΖΟ2,Ζ01

本実施形態では、 特性インピーダンスが Ζ 02 ≠Ζ 01 であるから、 （3) 式 において特性インピーダンスの比 Κの値は、 K≠ lとなる。 溝の開孔端のインピ 一ダンス Ζを無限大にするためには、 （3) 式の分母がゼロになればよいので、 1 =Κίαη^ 1L1 - tani32L2 を満たせばょレ、。そのため、前記 K 1， Κ2の値は、 a 1, a 2, a 3, a 4及び、 bl， b2， b3， b4を調整することで任意に設定できるので、 これら Kl、 K2 を適切に設定することにより、 1つの溝で 2. 45 GHzと 5. 8 G H zとの 2種類の周波数に対してシール効果を持たせることができる。

即ち、 5. 8 GH zの高周波に対する溝の深さ （L3+L4) と 2. 45GHz の溝の深さ （L1+L2) とが同一になるように特性インピーダンス比 Kの値を決 定する。 例えば、 2. 45 GH _Zに対する特性インピーダンス比 K1 に基づき、 溝の深さ （L1+L2) を決定し、 それに合致するように、 5. 8 GHzに対する 特性インピーダンス比 K2 の値を決定する。 例えば開閉扉の厚みを 2 Omm程度 とする場合、 Kl> 1、 Κ2< 1の組み合わせとすることで、 2. 45 GH ζと 5. 8 GHzとの 2種類の高周波に対して有効に作用する電波洩れ防止用溝を構成す ることができる。

上述したように、 本実施形態のチョークの構成では、 加熱室本体 277と開閉 扉 2 7 5とが対向する部分の少なくとも一方に 1つ以上の溝を設け、 この溝の少 なくとも一つの壁面は、 溝の長手方向に間隔をおいて連続的に並べ、 かつ、 溝の 壁面に平行な導体片群により構成され、 導体片を溝幅が周期的に変化するように 配置して導線路を構成し、 溝内で誘電率、 導線路幅、 溝幅のうち少なくともいず れか 1つを変化させて溝の開口部の特性インピーダンスと、 溝の短絡端部の特性 インピーダンスの比を周期的に変えることにより、 異なる 2つの周波数の高周波 を同時に遮蔽することが可能となる。

以上説明した高周波加熱装置の構成においては、 図 21に高周波加熱装置の一 部概略断面を示すように、 必要に応じて電波撹拌用のスタラー羽根 293を導波 管 229の下側給電口 227近傍に設け、 スタラー羽根 293の回転駆動により 加熱室 21 1へ供給する電波を強制的に撹拌して、 より均一な加熱が図れるよう にしてもよい。

また、 図 22に高周波加熱装置の概略断面図を示すように、 加熱室 2 1 1の底 面に回転自在に軸支されたターンテーブル 295を設け、 均一加熱を図る構成と してもよい。 この場合には、 第 1高周波発生部 21 3を第 2高周波発生部 2 1 5 と共に加熱室 21 1の上側に配置して、 第 2高周波発生部 21 5の上側給電口 2

3 3の近傍から高周波を加熱室 2 1 1内に供給する構成としてもよく （図 2 2 (a) 参照） 、 また、 第 1高周波発生部 2 1 3を加熱室 1 1の側面に設け、 側面 から高周波を加熱室 2 1 1内に供給する構成としてもよい（図 22 (b)参照）。 次に、 本発明に係る高周波加熱装置 2 1 00の作用を説明する。

本発明の高周波加熱装置 2100を用いて、 被加熱物 Mを加熱処理する際、 加 熱室 2 1 1には、 第 1高周波発生部 21 3力、らの 2. 45 GH zの高周波、 及び 第 2高周波発生部 2 1 5からの 5. 8 GH zの高周波の少なくともいずれか一方 が個別に或いは同時に供給される。

図 23に加熱室 2 1 1に現れるある瞬間の定在波の状態を一例として示した。 (a) は 2. 45 GHzの高周波、 （b) は 5. 8 GHzの高周波、 （c) は 2.

45GHzと 5. 45 GH zの高周波の合波として示している。

図 23 (a) に示す 2. 45 G H zの高周波では、 加熱量が多くなる電界の波 腹の部分の間隔 （加熱スポットの間隔） が約 6 c mとなり、 例えば 30 c mの長 さの被加熱物 Mに対しては、 直線上に定在波の波腹の部分が僅か 5点程度しか含 み得ない。 従って、 被加熱物 Mには加熱スポット位置とそれ以外の位置とでは昇 温特性に大きく差が生じて加熱ムラが生じやすくなる。

—方、 図 23 (b) に示す 5. 8 GH zの高周波では、 加熱スポットの間隔が 約 2. 6 cmとなり、 上記長さでは直線上で 10点以上の加熱スポットが被加熱 物 Mに含み得る。 このため、 被加熱物 Mが均等に加熱されて被加熱物 Mの場所に よる加熱ムラが生じにくくなる。

しかし、 5. 8 GHzの高周波では、 被加熱物 Mに対する吸収深さが浅くなる 傾向があり、 2. 45 GHzの高周波が被加熱物 Mの表面から約 5〜 7 cmであ るのに対し、 5. 8 GHzの高周波では表面から約 2〜3 cmと浅くなる。 従つ て、 5. 8 GH zの高周波のみ用いて被加熱物 Mを加熱する場合には、 被加熱物 Mが薄肉のものであればよいが、 厚肉の場合は、 被加熱物 Mの内部と表面との間 で温度差が大きくなり、 加熱ムラが生じやすくなる。

そこで、 図 23 (c) に示すように、 2. 45 GHzの高周波と 5. 8 GHz の高周波とを同時に供糸合することで、 被加熱物 Mが厚肉の場合でも加熱ムラを小 さく抑えて均一加熱を実現することが可能となる。 即ち、 2. 45GHzの高周 波と 5. 8 GHzの高周波が重なり合うと、 加熱量が小さくなる定在波の谷の部 分でもバイアスが上がることで加熱効果が得られ、 これにより高周波の加熱効果 の均等化が図れ、 被加熱物 Mの場所や厚みによらない均一加熱が実現できる。 上記各高周波の特性とこれによる加熱効果の違いを纏めて表 1に示した。 (表 1)

被加熱物 Mの加熱分布特性に関しては、 5. 8 GHzの高周波が表面積の大き いピザや肉スライス品等の加熱に好適に利用でき、 加熱ムラの発生を抑えること ができる反面、 2. 45 GHzの高周波は前述した加熱ポイントが少ないために 加熱ムラが生じやすくなる。 しかし、 5. 8 GH zの高周波と組み合わせること で薄肉品であっても均一加熱が実現できる。また、厚肉の被加熱物に対しては 2.

45 GH zの高周波の方が有利となり、 5. 8 GHzの高周波では、 被加熱物の 内部にまで熱が通らずに、 表面からの熱伝導による加熱となつて加熱時間が長く かかる傾向があるが、 2 . 4 5 G H _Zの高周波との組み合わせにより、 被加熱物 内部まで迅速な加熱が可能となる。

なお、 2 . 4 5 G H zの高周波と 5 . 8 G H _Zの高周波を交互に切り替えて供 給する場合でも、 実質的に上記同様の効果を得ることができる。

以上のように、 異なる周波数の高周波を用い、 また、 各々の電力配分を調整す ることにより、 種々の形態の定在波分布を形成でき、 ムラの少ない加熱、 さらに は局部的な加熱処理が実現できる。

次に、 本発明に係る高周波加熱装置の第 9実施形態を説明する。

図 2 4に本実施形態の高周波加熱装置の概念的な断面構成図を示した。 なお、 前述した第 8実施形態の構成と同一の機能を有する部材に対しては同一の符号を 付与することでその説明は省略するものとする。

本実施形態の高周波加熱装置 2 2 0 0は、 図 2 4に示すように、 加熱室 2 1 1 の下側から第 1高周波発生部 2 1 3からの 2 . 4 5 G H zの高周波を供給し、 加 熱室 2 1 1の上側から第 2高周波発生部 2 1 5からの 5 . 8 G H zの高周波を供 給する構成であって、 加熱室 2 1 1の全高 Hに対して、 加熱室 2 1 1上面から距 離 hの位置に加熱室 2 1 1の空間を上下に分割する仕切板 2 9 7を設けている。 仕切板 2 9 7は、 加熱室 2 1 1に対して複数の高さ位置に容易に脱着自在とさ れており、 加熱室 2 1 1の壁面に形成した係止部 2 9 9に支持されて取り付けら れる。 この仕切板 2 9 7は、 図 2 5に仕切板の断面図を示すように、 被加熱物の 載置面となる金属板 2 1 0 1と、 金属板 2 1 0 1に対峙してあるいは接触して配 置される高周波発熱体 2 1 0 3と、 高周波発熱体 2 1 0 3を金属板 2 1 0 1に固 定すると共に加熱室 2 1 1側の係止部 2 9 9と係合する固定部材 2 1 0 5とを有 する。

金属板 2 1 0 1は、 アルミメッキ鋼板からなり、 金属板 2 1 0 1自体を波形と して凹凸を形成したり、 金属板上 2 1 0 1に凸部を形成したりすることで表面に 波状の凹凸を設けている。 なお、 アルミメツキ鋼板の表側面には防汚効果の高い フッ素塗装を施し、 裏側面には吸熱効果の高い黒色耐熱塗装を施している。

高周波発熱体 2 1 0 3は、 金属板 2 1 0 1側とは反対側の面に、 高周波を吸収 して発熱する窒化物及ぴ硼化物からなる高周波発熱膜 2 103 aを基体 2 1 03 bに密着させて形成している。 基体 2 103 bは、 セラミック材又は耐熱樹脂材 からなり、 蓄熱効果の高い材料が好適に用いられる。

固定部材 2105は、 仕切板 29 7の加熱室 21 1への挿入方向に沿って両脇 側に設けられた絶縁体からなり、 加熱室 2 1 1との間に隙間を形成することで、 高周波加熱時におけるスパークの発生を防止している。

また、 金属板 21 0 1を波形にすることで、 高周波吸収膜 2 103 aと金属板 2 10 1のとの距離が遠くなり、 これにより、 高周波吸収膜 2 103 a上におけ る電界強度が高くなり、 高周波吸収膜 21 03 a上での発熱量が増加する効果も 得られる。 なお、 高周波発熱体 210 3として、 裏面に高周波発熱膜 210 3 a を設けた構成以外にも、 高周波発熱体自身を高周波で発熱するセラミックで形成 してもよレ、。

金属板 2101として、 金属製のアルミメツキ鋼板を用いたが、 表面で高周波 を反射するものであれば、 セラミック質の基材に金属メツキや金属蒸着等で高周 波の反射層を設けたもの等も利用でき、 さらには、 ステンレス、 アルミニウム及 びアルミニウム合金、 亜鉛メツキ鋼板、 アルミ亜鉛合金メッキ鋼板ゃ銅メツキ鋼 板などの各種メツキ鋼板、 冷間圧延鋼板、 クラッド材等も用いることができる。 また、 高周波吸収膜 28 1として窒化物ゃ硼化物を用いたが、 酸化スズ、 酸化ィ ンジゥム等の金属酸化物、 及ぴ複合酸化物等も用いることができる。

上記構成の高周波加熱装置 2200によれば、 加熱室 21 1が上側空間と下側 空間と 2つの空間に分割され、 それぞれの空間で所望の加熱処理が実施できる。 即ち、 この高周波加熱装置 2200では、 加熱室 21 1の上側空間 21 1 aに 第 2高周波発生部 2 1 5からの 5. 8 GH zの高周波が供給され、 また、 加熱室 21 1の下側空間 2 1 1 bに第 1高周波発生部 21 3からの 2. 45 GHzの高 周波が供給される。 上側空間 2 1 1 aの仕切板 29 7上に載置された被加熱物 M は、 上側から供給される 5. 8 GH zの高周波により加熱され、 また、 下側から 供給される 2. 45 GH zの高周波による高周波発熱体 2 1 0 3の発熱によって も加熱される。 この場合、 上側空間 2 1 1 aでは、 所謂グリル調理が行われる。 一方、 下側空間 21 1 bでは、 被加熱物 Mを加熱室 21 1の底面に載置すること で、 2. 45 GH zの高周波加熱がなされることとなる。

なお、 上記の仕切板 29 7に高周波発熱体 2103を設けない構成としてもよ い。 その場合には、 上側空間においては、 下側からの高周波による加熱を制限し て上側からの高周波加熱を主体に被加熱物 Mを加熱処理することができる。

また、上側から供給する高周波を 5. 8 GHz、下側から供給する高周波を 2. 45 GH zとしても構わない。

上記構成によれば、 前述した各周波数の高周波を共通の加熱室 1 1に供給する 以外にも、 それぞれ個別の加熱空間 21 1 a， 21 1 bを形成して、 それぞれの 空間 21 1 a， 21 1 bで個別に各周波数の高周波による加熱が実施できる。 こ れにより、 被加熱物 Mの大きさに対して必要以上の空間を用意して必要以上の加 熱エネルギを供給することがなく、 任意の大きさに空間を設定することで、 無駄 の少なレ、高効率な加熱が可能となる。

なお、 脱着自在な仕切板 297に代えて固定型の仕切構造とし、 各周波数の高 周波による個別の加熱空間を形成する構成としてもよい。 この場合には、 仕切板 29 7の脱着動作が不要となり、 加熱操作が単純化できる。

ここで、 高周波加熱装置 21 00の高周波駆動部 2 1 7の構成を単純化した構 成例を説明する。

図 1 7に示すように、 高周波駆動部 21 7には各マグネトロン 225， 2 3 1 を個別に駆動するインバータ回路をそれぞれ備えていたが、 図 26に示す高周波 駆動部の他の構成例を示すように、 単一のインバータ回路で駆動する構成として あよい。

つまり、 インバータ回路 2107に接続され、 且つ駆動するマグネトロンを切 り替えるための切り替えスィツチ 2109を切り替え制御する駆動制御部 2 1 1 1を備え、 切り替えスィッチ 21 09を制御部 21 9 (図 1 6参照） からの信号 に基づいて適宜なタイミングで切り替え制御することで、 2. 8 GHzの高周波 と 2. 45 GHzの高周波を交互に出力可能にした構成となっている。

上記構成の高周波駆動部 21 8によれば、 2つの異なる種類のマグネトロン 2 25， 23 1を単一のィンバータ回路で駆動することができるので、 高周波駆動 部 218の回路構成を大幅に簡略化でき、必要とする設置スペースが小さく済み、 装置の小型軽量化に寄与することができる。

次に、 第 1高周波発生部 213と第 2高周波発生部 215の駆動制御について 説明する。

制御部 219 (図 16参照） は、 電源からの電力を第 1高周波発生部 213で ある 2.45 GH z用のマグネトロン 225と第 2高周波発生部 21 5である 5. 8 GHz用のマグネトロン 231とに分配する信号を駆動制御部 273 (図 17 参照） に出力し、 駆動制御部 273は、 この分配信号を受けて第 1インバータ回 路 237と第 2インバータ回路 267とに給電配分する。

このときの、 第 1高周波発生部 213、 第 2高周波発生部 215への給電パタ —ンについて、 図 27〜図 30を用いて説明する。

図 27は 5. 8 GHzと 2. 45 GH zの高周波を交互に出力するパターンで ある。 この給電パターンによれば、 交互に出力が行われ、 双方の高周波を同時に 出力することがないので、 各高周波の出力を高周波加熱装置の定格電力まで印加 して出力させることができる。 従って、 各高周波発生部を最大の出力にして被加 熱物を効率良く加熱することができる。

図 1 3は 5. 8 GHzと 2. 45 GH zの高周波を同時に出力するパターンで ある。 この'ときの出力は、 双方の高周波の合計電力が高周波加熱装置の定格電力 を超えないように制御される。 図中には、 定格電力を Pとしたときに例えば双方 の高周波の電力をそれぞれ PZ 2に設定する状態を示した。 電力分配の割合は、 これ以外にも任意の割合に設定でき、 また、 例えば所定時間経過後に電力分配の 割合を変更することも可能である。

図 29は 2. 45 GH zの高周波を先に出力して 5. 8 GHzの高周波を後か ら出力するパターンである。 このパターンによれば、 被加熱物の温度が低い加熱 初期に、 加熱効果が比較的高い 2. 45 GH zの高周波を供給して被加熱物を一 気に昇温させ、 また、 所定時間経過後或いは所定温度到達後に 5. 8 GHzの高 周波を供給することで、 加熱温度の均一化を図り、 温度分布の少ない均一加熱状 態にすることができる。 また、 これとは逆に先に 5. 8 GHzの高周波を出力し て 2. 45 GHzの高周波を後から出力するパターンとしてもよい。 この場合に は、 加熱後半に強く加熱する調理等に好適となる。 なお、 加熱後半の各高周波を 同時に出力する際に、 各高周波を図 2 7に示すような交互に出力するパターンに してもよい。 その場合には、 各出力を最大出力まで印加することができる。

図 3 0は 5 . 8 G H zの高周波のみ出力するパターンである。 このパターンで は特に薄肉の被加熱物の加熱に好適となり、 温度分布の少ない状態に仕上げるこ とができる。また、 2 . 4 5 G H zの高周波のみ出力するパターンとしてもよい。 この場合には、 従前同様の高周波加熱が行える。 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、 本発明の精神と範 囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にと つて明らかである。

本出願は、 2003年 4月 25 日出願の日本特許出願 Να2003-121876、 2003年 5 月 8 日出願の日本特許出願 Μ 2003-130370、 2003年 5月 9 日出願の日本特許出 願 Να2003-131804、 に基づくものであり、 その内容はここに参照として取り込ま れる。

<産業上の利用可能性 >

本発明の高周波加熱装置によれば、 キヤビティによって画成された加熱室のよ り広範囲に、 マイクロ波による加熱スポットの分布を広げることができ、 被加熱 物の表面のより広範囲の部分にマイクロ波が当たるようになる。

その結果、 焼き深度の浅い 5 . 8 G H zのマイクロ波でも、 例えば対向する双 方向から被加熱物を加熱することで、 実質的な焼き深度を 2倍に強化することが でき、 加熱室内に電磁波攪拌手段を装備せずとも、 被加熱物の表層及び内深部の 全域に対して、 加熱ムラの発生を抑止することができる。

従って、 厚肉の被加熱物に対しても、 加熱ムラの無い良好な加熱を実現でき、 且つ電磁波攙拌手段の削除によつて構造の簡略化やこれに伴う装置の小型化、 或 いは、 製作コストゃ運転コストの低減を図ることができる。

また、 本発明の高周波加熱装置によれば、 多数の給電口を備えて成る直方体状 広域導波管を加熱室の裏側に備え、 かつ高周波発生部を直方体状広域導波管の直 近に設けたので、 導波管の構造が幅広い構造であるため多数の給電口を設けるこ とが可能となり、 均一加熱に近づけることができる。

また、 本発明によれば、 直方体状広域導波管が床部の略全面に広がる大きさを しておりかつ多数の給電口を床部側に向けて床部の裏側に設けられたので、 加熱 室の中央と隅との間にマイクロ波の電界強度の差が生じなくなり、 均一加熱に近 づけることができる。 また、 床部からのマイクロ波照射なので被加熱部に近く、 加熱効率もよくなる。

さらに、 電波を撹拌させるためのターンテーブルや回転アンテナ等の構成を設 けなくてもよいため、 電波スパークや電波漏洩等の信頼性も向上する。

また、 本発明によれば、 直方体状広域導波管が天井の略全面に広がる大きさを しておりかつ多数の給電口を天井側に向けて天井の裏側に設けたので、 均一な電 波が天井一面からシャワーのように降り注ぐため、 さらに均一な加熱が可能とな る。

また、 本発明によれば、 高周波発生部から供給される高周波の周波数が 5. 8 GHzであるため、 マイクロ波の波長が従来の主流であった 2. 45 GHzの場 合と比べ定在波の間隔が狭くなり、 さらに均一加熱に近づけることができる。 また、 本発明によれば、 給電口の大きさが高周波発生部の近傍では小さめであ り、 高周波発生部から遠ざかるにしたがって大きくなつているので、 高周波発生 部の近傍と遠くとのマイクロ波の電界強度の差が生じなくなり、 より均一加熱に ' 近づけることができる。

また、 本発明の高周波加熱装置によれば、 被加熱物を収容する加熱室に高周波 発生部から高周波を供給し、 被加熱物を加熱処理する高周波加熱装置であって、 高周波発生部が、 周波数が 2. 45 GHzの高周波を発生する第 1高周波発生部 と、 周波数が 5. 8 GHzの高周波を発生する第 2高周波発生部とを備えること により、 加熱効果の高い周波数が 2. 45 GHzの高周波と、 加熱分布が均一な 周波数が 5. 8 GH zの高周波との 2種類の高周波を加熱室に供給することがで き、 加熱ムラの発生を抑制して、 厚肉の被加熱物であっても迅速に均一加熱処理 が可能となる。

また、 本発明の高周波加熱装置の制御方法によれば、 周波数が 2. 45GHz の高周波と周波数が 5. 8 GHzの高周波とを同時に又は交互に前記加熱室に供 給することにより、 加熱効果の高い 2. 45 GHzの高周波と、 均一加熱効果の 高い 5. 8 GHzの高周波とが選択的に供給可能となるので、 被加熱物の形状や 加熱目的に応じた適切な高周波を供給して効率の良い加熱処理を行うことができ る。

Claims

1 . 加熱室内の被加熱物に 5 . 8 G H zのマイクロ波を照射して、 前記被 加熱物の加熱を行う高周波加熱装置であって、

前記マイクロ波を出射する給電口を備えた導波管を、 前記加熱室を画成するキ ャビティに複数本装備したことを特徴とする高周波加熱装置。 請

2 . 前記給電口を配置する前記キヤビティの壁面を、前記加熱室の上下面、 又は上面及び側面、 又は側面及ぴ下面としたことを特徴とする請求の範囲第 1項 に記載の高周波加熱装置。 囲

3 . 前記キヤビティの上壁に配置された少なくとも 2本の導波管によって、 前記加熱室の上面に前記給電口を 2個口設けたことを特徴とする請求の範囲第 1 項に記載の高周波加熱装置。

4 . 前記キヤビティの上壁の少なくとも 2本の導波管は、 導波管の横断面 の長辺が上下方向に向いた縦型配置になされたことを特徴とする請求の範囲第 3 項に記載の高周波加熱装置。

5 . 前記キヤビティの上壁の内、 前記縦型配置の導波管の装備領域を除く 領域に面ヒータを配置したことを特徴とする請求の範囲第 4項に記載の高周波加 熱装置。

6 . 高周波発生部と、 該高周波発生部からの高周波を供給して被加熱物を 加熱処理する天井 ·側壁 ·床部から構成される加熱室と、 を有する高周波加熱装 置において、

多数の給電口を備えて成る直方体状広域導波管を前記加熱室の裏側に備え、 か つ前記高周波発生部を前記直方体状広域導波管の直近に設けたことを特徴とする 高周波加熱装置。

7 . 前記直方体状広域導波管が前記床部の略全面に広がる大きさをしてお りかつ前記多数の給電口を前記床部側に向けて前記床部の裏側に設けられたこと を特徴とする請求の範囲第 6項記載の高周波加熱装置。

8 . 前記直方体状広域導波管が前記天井の略全面に広がる大きさをしてお りかつ前記多数の給電口を前記天井側に向けて前記天井の裏側に設けられたこと を特徴とする請求の範囲第 6項記載の高周波加熱装置。 9 . 前記高周波発生部から供給される高周波の周波数が 5 . 8 G H zであ ることを特徴とする請求の範囲第 6項〜第 8項のいずれか 1項記載の高周波加熱 装置。

1 0 . 前記多数個の給電口の大きさが前記高周波発生部の近傍では小さめで あり、 前記高周波発生部から遠ざかるにしたがって大きくなることを特徴とする 請求の範囲第 6項〜第 9項のいずれか 1項記載の高周波加熱装置。

1 1 . 被加熱物を収容する加熱室に高周波発生部から高周波を供給し、 被加 熱物を加熱処理する高周波加熱装置であって、

前記高周波発生部が、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波を発生する第 1高周波 発生部と、 周波数が 5 . 8 G H zの高周波を発生する第 2高周波発生部とを備え た高周波加熱装置。

1 2 . 前記第 1高周波発生部へ駆動電力を供給する第 1インバータ回路と、 前記第 2高周波発生部へ駆動電力を供給する第 2ィンバータ回路と、 これらィンバータ回路により前記第 1高周波発生部と前記第 2高周波発生部と を同時に又は交互に駆動する駆動制御部とを備えた請求の範囲第 1 1項記載の高 周波加熱装置。

1 3 . 前記第 1高周波発生部及び第 2高周波発生部へ駆動電力を供給する単 一のィンバータ回路と、

前記第 1高周波発生部と前記第 2高周波発生部への給電を交互に切り替えて駆 動する駆動制御部とを備えた請求の範囲第 1 1項記載の高周波加熱装置。

1 4 . 前記加熱室の上面に設けられ高周波を前記加熱室内に導入する上側給 電口と、 前記加熱室の下面に設けられ高周波を前記加熱室内に導入する下側給電 口とを備え、 該上側給電口と下側給電口のそれぞれから前記第 1高周波発生部又 は前記第 2高周波発生部からの高周波を個別に導入する請求の範囲第 1 1項〜第 1 3項のいずれか 1項記載の高周波加熱装置。

1 5 . 前記加熱室の空間を上下に分割する仕切板を設けた請求の範囲第 1 4 項記載の高周波加熱装置。 1 6 . 前記仕切板が高周波発熱体を備え、 高周波の照射により発熱する請求 の範囲第 1 5項記載の高周波加熱装置。

1 7 . 前記加熱室の上側給電口から前記第 2高周波発生部からの高周波を前 記加熱室内に導入する請求の範囲第 1 4項〜第 6項のいずれか 1項記載の高周 波加熱装置。

1 8 . 前記加熱室が、 開口部を有する加熱室本体と、 該開口部を開閉自在に 覆う開閉扉とを有し、 前記加熱室本体と前記開閉扉とが対向する部分の少なくと も一方に、 電波洩れ防止用のチョークが形成され、

該チョークが前記第 1高周波発生部と前記第 2高周波発生部からの各高周波を 遮蔽するものである請求の範囲第 1 1項〜第 1 7項のいずれか 1項記載の高周波 加熱装置。

1 9 . 被加熱物を収容する加熱室に高周波発生部から高周波を供給し、 被加 熱物を加熱処理する高周波加熱装置の制御方法であって、

前記高周波発生部から、 周波数が 2 . 4 5 G H zの高周波と周波数が 5 . 8 G H zの高周波とを同時に又は交互に前記加熱室に供給する高周波加熱装置の制御 方法。

2 0 . 前記各周波数のうち、 いずれか一方の高周波を加熱初期に出力し、 加 熱開始から所定時間経過後又は所定温度到達後にいずれか他方の高周波の出力を 開始する請求の範囲第 1 9項記載の高周波加熱装置の制御方法。

2 1 . 前記各周波数を同時に出力する場合に、 各高周波の出力を、 高周波出 力のための駆動電力の合計が高周波加熱装置の定格電力を超えないように少なく ともいずれか一方の出力を制限する請求の範囲第 1 9項又は第 2 0項記載の高周 波加熱装置の制御方法。