WO2004094712A1

WO2004094712A1 - 弾性糸使用の編成方法および装置

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Publication number: WO2004094712A1
Application number: PCT/JP2004/004487
Authority: WO
Inventors: Toshiaki Morita
Original assignee: Shima Seiki Manufacturing Limited
Priority date: 2003-04-18
Filing date: 2004-03-30
Publication date: 2004-11-04
Also published as: CN1777712A; EP1626113A4; US7289869B2; JP4489702B2; CN100529219C; JPWO2004094712A1; KR101096050B1; EP1626113B1; EP1626113A1; DE602004008261D1; ES2290688T3; DE602004008261T2; KR20060004676A; US20060272358A1

Abstract

　本発明の目的は、弾性糸を使用して、所望の風合いを有する編地を容易に得ることができるようにすることである。編成コントローラ２０は、メモリ２１に記憶される編成データや制御データに従って、キャリッジ５などを制御する。メモリ２１には、編成後に得られるゲージ風合いと編目ループ長との対応関係と、さらにこれらと編成時に供給する弾性糸２の長さおよび糸張力との対応関係を表すデータが予め収集され、テーブルデータの形式で記憶されている。編成コントローラ２０は、メモリ２１に記憶されているテーブルデータを参照して、入力装置２２から指定されるゲージ風合いや編目ループ長が得られるように、給糸コントローラ２３に対し、供給する弾性糸２の長さや糸張力の制御目標値を設定する。

Description

明細書

弾性糸使用の編成方法および装置

【技術分野】

本発明は、編糸に伸縮性の大きな弾性糸を使用してニット製品を製造するための弾性糸使用の編成方法およぴ装置に関する。

【背景技術】

従来から、下着、靴下、スポーツ用衣服などに、ゴムのように伸び縮みする繊維を使用した弾性糸が使用されている。セータなどのニット製品にも、シングルカバリング糸などの弾性糸が使用されている（たとえば、特開平 09— 3 243 34号公報参照）。シングルカバリングの弾性糸は、伸縮性の大きいポリウレタンの芯糸のまわりに他の繊維の鞘糸が一重卷きされて形成される。鞘糸が二重卷きされるダブルカバリングの弾性糸も製造される（たとえば、特開平 1 0— 0 7 7 538号公報参照）。カバリングされる芯線には、ポリエーテルエステルも使用される（たとえば、特開平 08— 3 2 5 8 74号公報参照）。弾性繊維を芯に入れて、周囲が他の繊維となるように紡績して得られるコアスパンヤーンも弾性糸として使用される（たとえば、特開 2003— 073 947号公報参照）。ニット製品は、編目ループに基づいて特有の風合いを有することを特色としている。弾性糸ではない通常の編糸を使用して、編目のループ長を制御しながら、所望の風合いのニット製品を生産する方法は既に開発されている（たとえば、特許第 26 76 1 82号公報参照）。このような編成では、編目ループ長の制御が重要となり、必要な編目ループ長が得られるような給糸装置も開発されている (たとえば、特表平 1 1一 500 500号公報および特開 200 2 - 2 2 706 4号公報参照）。

特許第 26 76 1 8 2号公報ゃ特開 2002— 22 7064号公報の手法は、弾性糸ではない通常の編糸を想定している。特表平 1 1— 500 500号公報の発明の詳細な説明欄の冒頭には、弾性糸を含む電子制御給糸装置である旨が記載されている。この給糸装置では、張力センサを設け、弾性糸を所定張力の下で編成が行われるように編糸を供給する。しカゝし、その装置では、ニット、タック、ミスなどと変化のある組織の編成に関しては応答性に欠ける。また、使用される弾性糸に対しての張力の設定は可能であっても、設定された張力の下で編まれた編地はどのような風合いになるかは、実際に編地を編んでみないと判らない。したがって、所望の編地を得るためには、トライ -アンド -チェックの連続が必要となり、生産に多大の時間を要する。

【発明の開示】

本発明の目的は、所望の風合いを有する編地を容易に得ることができる弾性糸使用の編成方法および装置を提供することである。

本発明は、伸縮性を有する弾性糸を使用し、糸張力を制御可能な編機を用いて編地を編成する方法であって、

編成に使用する弾性糸について、編機への供給長さと編成後の編地での仕上がり状態との対応関係を表すデータを、異なる複数の糸張力毎に予め求めておき、編成後の編地での仕上がり状態を指定し、

指定した仕上がり状態と該データの対応関係を有する糸張力と弾性糸の供給長さとに従い、該弾性糸を編機に供給しながら編地を編成することを特徴とする弾性糸使用の編成方法である。

また本発明で、前記仕上がり状態は、前記編成後の編地での編目ループ長と、前記糸張力とによって指定することを特徴とする。

また本発明は、前記弾性糸を使用する編地で形成するニット製品の形状を表す型紙データと、該弾性糸を使用し、糸張力と編成中の編地での編目ループ長を変えて編成する風合いサンプルとを、予め用意しておき、

前記編成後の編地での仕上がり状態の指定は、風合いサンプルに基づいて行い指定された仕上がり状態と型紙データとに従って、該編機で該ニット製品を編成するための編成制御情報を作成し、作成された編成制御情報に従って編地を編成することを特徴とする。

さらに本発明は、伸縮性を有する弾性糸を使用し、編地を編成するための装置であって、

編成に使用する弾性糸について、編機への供給長さ、および編成後の編地での仕上がり状態の対応関係を表すデータを、異なる複数の糸張力毎に予め求めて記憶しておくデータ記憶手段と、

編成後の編地での仕上がり状態の指定を入力する指定入力手段と、

指定入力手段に入力される仕上がり状態が得られるように、データ記憶手段に記憶されているデータを参照して、編成後の編地での仕上がり状態と対応する供給長さおよぴ糸張力で該弾性糸を供給しながら編地を編成するための制御データを生成する制御手段とを含むことを特徴とする弾性糸使用の編成装置である。また本発明で、前記データ記憶手段に記憶しておくデータには、前記編成後の編地の仕上げ状態と同等な編目ループ長についての風合いを有する編地を、弾性糸ではない編糸で編成する場合に必要な編針の配列密度を表すゲージ風合いデータも含まれ、

前記指定入力手段には、ゲージ風合いデータでの仕上げ状態の指定も可能であることを特徴とする。

また本発明で、前記データ記憶手段には、

予め定める基準となる弾性糸および編成組織について前記対応関係を表すデータが用意され、

該データとともに、他の弾性糸および編成組織を使用する場合に用いられ、基準となる弾性糸および編成組織についてのデータに対する捕正係数のデータも含まれることを特徴とする。

【図面の簡単な説明】

本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。

図 1は、本発明の実施の一形態である弾性糸使用の編成装置としての横編機 1 の概略的な構成を示すプロック図である。

図 2は、図 1のメモリ 2 1に記憶されるテーブルデータ 3 0の例を示す図表である。

図 3は、図 1の横編機 1を使用して、所望の風合いを有するニット製品を作成する概略的な手順を示すフローチャートである。【発明を実施するための最良の形態】

以下図面を参考にして本発明の好適な実施例を詳細に説明する。

図 1は、本発明の実施の一形態である弾性糸使用の編成装置としての横編機 1 の概略的な構成を示す。横編機 1は、弾性糸 2を編糸として編地 3を編成することができる。横編機 1には、多数の編針が所定のピッチで配列されている針床 4 が設けられ、その長手方向に沿ってキヤリッジ 5が往復移動しながら編地 3を編成する。編針の配列ピッチは、所定の長さ当りの本数である配列密度として、 2 5 . 4 mm ( 1インチ）当りの本数であるゲージ（G ) で表示される。

キヤリッジ 5が針床 4の長手方向に沿って移動する際には、ヤーンキャリアなどと呼ばれる給糸部材 6を連行することができる。キャリッジ 5には、針床 4に配置される編針を選択する選針機構や、選針された編針に編成動作を行わせる力ム機構が搭載される。給糸部材 6は、選針されて編成動作を行う編針に、適切なタイミングで編糸を給糸口 7から供給することができる。横編機 1には、一般に複数の給糸部材 6が設けられ、キャリッジ 5から選択して使用可能である。本実施形態では、少なくとも 1つの給糸部材 6を弾性糸 2用として使用する。他の給糸部材 6は、弾性糸 2ではない通常の編糸に使用することもできる。

弾性糸 2は、コーン 8から給糸装置 1 0を介して給糸部材 6に供給される。給糸装置 1 0には、主ローラ 1 1、従ローラ 1 2、中継ローラ 1 3、サーボモータ 1 4およびバッファ竿 1 5などが含まれる。コーン 8から引出される弾性糸 2は、主ローラ 1 1と従ローラ 1 2との間に挟まれ、中継ローラ 1 3を通る。主ローラ 1 1は、サーボモータ 1 4によって回転駆動され、編地 3の編成に必要な長さの弾性糸 2を送り出すことができる。中継ローラ 1 3を通る弾性糸 2は、バッファ竿 1 5の先端側 1 6を通って方向を変え、給糸部材 6に向かう。

バッファ竿 1 5は、基端側 1 7を支点として、先端側 1 6までの部分が揺動変位可能であり、先端側 1 6が給糸部材 6から遠ざかる方向にばね付勢されている。したがって、バッファ竿 1 5の揺動変位による傾斜角度は、弹性糸 2にかかる張力に対応している。バッファ竿 1 5の基端側 1 7には、バッファ竿 1 5の傾斜角度を検出するセンサ 1 8が設けられる。なお、以上のような弾性糸 2の供給と、張力の検出のための構成は、弾性糸 2ではない編糸についても同様に使用することができる。また、以上で説明しているような給糸装置 1 0は、本件出願人による先願明細書である特願 2 0 0 2— 2 1 5 5 8 9号で「給糸装置 1 6」として詳細に説明しているものと、実質的に同等である。編地のコースを編成する前に、コース編成に必要な糸消費量を予め求めておき、キヤリッジ 5による編針の編成動作に同期しながら弾性糸 2を積極的に供給する。

横編機 1で編地 3を編成する動作の制御を行うために、編成コントローラ 2 0 が設けられる。編成コントローラ 2 0は、メモリに記憶される編成データや制御データに従って、キャリッジ 5などを制御する。弾性糸 2を使用して編成する編地 3の編成後の風合いは、編成後に得られる編目ループ長に従って変動する。弾性糸 2を使用する編地 3の場合、弾性糸 2が収縮するので、編成後得られる編地 3の風合いは、針床 4の実際のゲージよりも、編針の配列密度が高い、ゲージ数が大きな針床で編成した風合いに相当するものとなる。横編機 1では、所望の風合いを編目ループ長やゲージ風合いとして入力装置 2 2から入力して指定することができる。メモリ 2 1には、編成後に得られるゲージ風合いと編目ループ長との対応関係と、さらにこれらと編成時に供給する弾性糸 2の長さおょぴ糸張力との対応関係を表すデータが予め収集され、テーブルデータの形式で記憶されている。編成コントローラ 2 0は、メモリ 2 1に記憶されているテーブルデータを参照して、入力装置 2 2から指定されるゲージ風合いや編目ループ長が得られるように、給糸コントローラ 2 3に対し、供給する弾性糸 2の長さや糸張力の制御目標値を設定する。

すなわち、本実施形態の横編機 1は、伸縮性を有する弾性糸 2を使用し、糸張力を制御しながら編地を編成する装置であって、編成に使用する弾性糸 2について、編機への供給長さ、および編成後の編地での編目ループ長の対応関係を表すデータを、異なる複数の糸張力毎に予め求めて記憶しておくデータ記憶手段であるメモリ 2 1と、編成後の編地 3での編目ループ長の指定を入力する指定入力手段である入力装置 2 2と、入力装置 2 2に入力される編目ループ長が得られるように、メモリ 2 1に記憶されているデータを参照して、編成後の編地 3での編目ループと対応する供給長さおよび糸張力で弾性糸 2を供給しながら編地 3を編成するように制御する制御手段である編成コントローラ 2 0とを含む。

なお、以下の説明では糸張力の単位を「g」で表しているけれども、これは重量グラムであり、 l g = 0 . 0 0 9 8 Nの割合で-ユートン（N ) を単位とするように換算することができるのはもちろんである。また、糸張力や長さについての数値は、あくまでも例示であり、使用する編糸などの特性に応じて変化するものである。

図 2は、図 1のメモリ 2 1に記憶するテーブルデータ 3 0の例を、説明の便宜のために一部簡略化して示す。テーブルデータ 3 0は、弾性糸 2として、たとえば使用する頻度が高いと予想される弾性糸 Aについてデータを収集した結果に基づいて作成する。「編み組織」 3 1としては、最も基本的な天竺とする。「張力」 3 2は、複数の異なる値についてデータを収集する。「ループ長（初期ループ長）」 3 3は、編目ループが編針によって形成された状態でのループ長を示し、ここでは、キヤリッジ 5の編成カムの度目値ですベて 1 O mmとなるように設定しているものとする。「針数」 3 4は、編地の編成に使用する編針の数である。「編成時コース長」 3 5は、「ループ長（初期ループ長）」 3 3と「針数」 3 4 との積である。「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6は、「編成時コース長」 3 5力 S 「張力」 3 2を 0 gにしたときに変化するコース長である。「0 g 時におけるコース長に対する比率（糸送り時）」 3 7は、「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6の「編成時コース長」 3 5に対する比率である。

「編地内でのコース長」 3 8は、編成後の編地 3の状態でのコース長である。弹性糸 2を使用して、張力をかけながら編成を行うと、編地 3は弾性糸 2が伸びている状態で編成される。編地 3が編針から離れた後は張力がなくなるので、弹性糸 2は縮んで張力 0 gでの元の長さに戻ろうとする。弾性糸 2が伸びるときは径の減少を伴い、元の長さに戻るときは径が増加する。編地 3を形成していると、弾性糸 2の縮みで編目の大きさが縮小するので、弾性糸 2の径の増加は制限される。このため、編成後の編地 3内での弾性糸 2は、完全に元の長さに戻らずに、張力が残留している。「編地内でのコース長」 3 8のデータも、「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6より長くなつている。このように編地 3に張力が残留している状態では、編地 3が緊張しており、外力が加わって変形しても、外力が無くなれば元の形状に戻る形態記憶の性質を有する。特に、編地 3を三次元的な筒状に編成して、無縫製でニット製品を編成するような場合は、縫製部分の制約がないので、形態記憶の特性を充分に発揮させることができる。

「編地内でのループ長（mm) J 3 9は、「編地内でのコース長」 3 8のデータを「針数」 3 4で除算した値である。通常の編糸を使用する場合、この「編地内でのループ長（mm) J 3 9が編成された編地 3の風合いを決定するので、編地設計時に用いられる。弾性糸 2を使用する場合は、たとえば糸張力も指定する必要がある。「初期ループ長に対する比率」 4 0は、「編地内でのループ長（m m) J 3 9の「ループ長（初期ループ長）」 3 3に対する比率である。「相当ゲージ」 4 1は、「張力」 3 2が O gのときは、使用する横編機 1のゲージ、図 2 の例では「7 G」であり、「張力」 3 2が 0 gでないときには得られる編地の編目の大きさに相当するゲージを「〜G風合い」として示す。この「相当ゲージ」 4 1は、実際に編成に使用した編機よりも、編針の配列密度を表すゲージ数の数値が大きな編機で弾性糸 2でない編糸を編成して得られる編地と同等となることを示す。そのゲージ風合いをデータとして記憶しておくことによって、ゲージ風合いで所望の編地の風合いを判り易く指定することができる。また、「初期ループ長に対する比率」 4 0を利用し、たとえば「張力」 3 0 gで「編地内でのループ長（mm) 3 9を 1 0 . 0 mmにするには、「ループ長（初期ループ長）」 3 3、を 1 0 + 0 . 7 5 = 1 3 . 3 mmとすればよいことも判る。

ただし、テーブルデータ 3 0は、必ずしも全部のデータを収集しておく必要はない。コース長とループ長とは、いずれかがあればよい。ループ長のデータに対しては、「針数」 3 4は不要である。「編成時コース長」 3 5および「無負荷状態におけるコース長（m m) 」 3 6カ\ 「 0 g時におけるコース長に対する比率 (糸送り時）」 3 7かのいずれかがあればよい。図 1の給糸装置 1 0では、主口ーラ 1 1と従ローラ 1 2とから送り出す弾性糸 2の長さが「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6に対応する。「編地内でのコース長（m m) 」 3 8、「編地内でのループ長（mm) 」 3 9および「初期ループ長に対する比率」 4 0 は、いずれかがあればよく、「編地内でのループ長（mm) 」 3 9があればよい。

「相当ゲージ」 4 1は、実質的に「編地內でのループ長（mm) j 3 9に対応するデータである。

テーブルデータ 3 0のうち、「張力」 3 2と「無負荷状態におけるコース長 (mm) 」 3 6との関係は、使用する弾性糸 2の伸縮性に関係する。この関係は、荷重に対する伸びの関係であり、引張り試験機などを用いて測定することができる。「編地内でのコース長（mm) 」 3 8は、弾性糸 2の伸縮性とともに、弾性糸 2の元の太さや「ループ長（初期ループ長）」 3 3に対応する初期編目の形状などに関係するので、実際に編地 3を編成して実測してみる必要がある。このデータを収集するために編成する編地 3は、風合いサンプルとしても利用することができる。

図 3は、図 1の横編機 1を使用して、所望の風合いを有するニット製品を作成する概略的な手順を示す。ステップ s 0から手順を開始し、ステップ s 1では、ニット製品のデザイン用に開発されている C A D (Computer Aided Design) システムなどを使用して、ニット製品の形状に対応する型紙データを作成する。ステツプ _S 2では、弾性糸 2を使用して、「張力」 3 2や「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6などの編成条件を変えながら、種々の風合いサンプルを編成する。風合いサンプルについては、たとえば、前述の特許第 2 6 7 6 1 8 2号公報に開示されている。ステップ s 3では、風合いサンプル作成と併せて、テーブルデータ 3 0を作成する。

次にステップ s 4で、風合いサンプルに基づいて風合いを指定する。風合いの指定は、「編地内でのループ長（mm) 」 3 9や「相当ゲージ」 4 1として記憶されているデータを、入力装置 2 2に備えられる表示画面などに表示し、横編機 1の作業者が選択することによって行う。データとして記憶されている数値の中間の数値を指定することを可能にしておくこともできる。中間の数値が指定されれば、補間計算で「張力」 3 2や「無負荷状態におけるコース長（mm) などのデータを算出するようにすればよい。次にステップ s 5で、編地 3を編成するための編成データを作成する。ステツプ s 4で所望の風合いを指定すると、図 2のテーブルデータ 3 0に従って、その風合いが得られる「編地内でのループ長（mm) 」 3 9、すなわち編成後の編地 3での編目ループ長が指定される。編成後の編地 3での編目ループ長が指定されるので、ステップ s 1で用意されているニット製品の型紙データに従い、横編機 1でニット製品を編成するためのゥエール数ゃコース数などの編成制御情報を作成し、編地 3を編成することができるようになる。

ステップ s 6では、編成制御情報に従って横編機 1を動作させ、編地 3の試編みを行う。ステップ s 7では、試編みによって得られるニット製品が所望の風合いを有しているか否かを判断し、所望の風合いが得られていないときは、ステツプ s 4に戻る。ステップ s 7で所望の風合いが得られると判断されれば、ステツプ s 8で-ット製品の生産を行い、ステップ s 9で手順を終了する。

なお、実際に編地 3を編成する場合は、「編み組織」 3 1で想定する天竺とは異なる編み組織も使用される。セータなどの衣料では、ゴム編みなどの編み組織も天竺と併用されることが多い。弾性糸 2も、弾性糸 A以外のものを使用する場合がある。また、弾性糸 2は、前述のようなカバリング糸などの芯糸として使用され、外部にはウールや綿などの天然繊維や、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維が巻付けられる。また弾性糸で編成する個々の編目も、ニット、タック、ミスなどの違いが有る。これらの違いに応じて、図 2に示すようなテーブルデータ 3 0を用意しておくことは負担が大きい。図 2に示すようなテーブルデータ 3 0は、使用頻度が高い弾性糸 Aについて、編目が全部ニットである天竺を「編み組織」 3 1としてデータ取りして作成し、他の条件に対しては、次の表 1に示すようなテーブルで与えられる補正係数を用いる。この補正係数は、テーブルデータ 3 0に対して条件が変るときに、「無負荷状態におけるコース長（mm) 」 3 6として給糸装置 1 0から送り出す弾性糸 2の長さの補正係数である。【表 1】

表 1の補正係数は、図 1のメモリ 2 1に記憶され、図 3のステップ s 5で編成データを作成する際に使用される。すなわち、前記メモリ 2 1には、データ記憶手段として、予め定める基準となる弾性糸 2および編成組織について前述の対応関係を表すテーブルデータ 3 0が用意され、テーブルデータ 3 0とともに、他の弹性糸および編成組織を使用する場合に用いられ、基準となる弾性糸および編成組織についてのテーブルデータ 3 0に対する捕正係数のデータも含まれる。弾性糸 2の種類を変えたり、編成組織を変えても、補正係数で補正し、基準となる弾性糸 2および編成組織について得られているテーブルデータ 3 0での対応関係に基づいて、所望の風合いの編地 3が得られるように編成することができる。なお、以上の説明では、本発明を横編機 1によって実現しているけれども、編地のデザィンを行う C A Dシステムなどのコンピュータに、張力や糸供給量制御のためのデータ作成機能を備えさせ、横編機に制御データとして渡すようにしてもよい。

本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。

【産業上の利用可能性】

以上のように本発明によれば、編成後の編地で所望の風合いが得られる仕上げ状態を指定すると、予め求めておく対応関係に基づき、編成に使用する弾性糸について、編機への供給長さと糸張力のデータが得られる。得られる糸張力と供給長さに従って編成を行うようにすれば、所望の風合いなどの仕上げ状態を有する -ット製品を容易に得ることができる。

また本発明によれば、編成後の編地の編目ループ長と、編成時の糸張力とを指定して、所望の編地を得ることができる。

また本発明によれば、予め用意される風合いサンプルを実際に比較した結果に基づいて、所望の風合いを指定すると、その風合いが得られる仕上げ状態が指定される。編成後の編地での仕上げ状態が指定されるので、予め用意されている二ット製品の型紙データに従い、編機でニット製品を編成するためのゥール数やコース数などの編成制御情報を作成し、編地を編成することができる。

さらに本発明によれば、指定入力手段に編成後の編地で所望の風合いが得られる仕上げ状態の指定を入力すると、制御手段は、予めデータ記憶手段に記憶させておくデータの対応関係に基づき、編成に使用する弾性糸について、編機への供給長さと糸張力の制御データを得て、得られる糸張力と供給長さに従って編成を行うように編機を制御することが可能になるので、所望の風合いなどの仕上げ状態を有するニット製品を容易に得ることができる。

また本発明によれば、弾性糸に張力をかけて編成すると、編成後に編針から外すと、弾性糸が収縮して、編成に使用した編針の間隔よりも編目の大きさが小さくなる。この結果、実際に編成に使用した編機よりも、編針の配列密度を表すゲージ数の数値が大きな編機で弾性糸でない編糸を編成して得られる編地と同等となるので、そのゲージ風合いをデータとして記憶しておくことによって、ゲージ風合いで所望の仕上げ状態を判り易く指定することができる。

また本発明によれば、弾性糸の種類を変えたり、編成組織を変えても、補正係数で捕正し、予め定める基準となる弾性糸および編成組織について得られている対応関係に基づいて、所望の仕上げ状態の編地が得られるように編成することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 伸縮性を有する弾性糸を使用し、糸張力を制御可能な編機を用いて編地を編成する方法であって、

指定した仕上がり状態と該データの対応関係を有する糸張力と弾性糸の供給長さとに従い、該弾性糸を編機に供給しながら編地を編成することを特徴とする弾性糸使用の編成方法。

2 . 前記仕上がり状態は、前記編成後の編地での編目ループ長と、前記糸張力とによって指定することを特徴とする請求項 1記載の弾性糸使用の編成方法。

3 . 前記弾性糸を使用する編地で形成するニット製品の形状を表す型紙データと、該弾性糸を使用し、糸張力と編成中の編地での編目ループ長を変えて編成する風合いサンプルとを、予め用意しておき、

前記編成後の編地での仕上がり状態の指定は、風合いサンプルに基づいて行い指定された仕上がり状態と型紙データとに従って、該編機で該ニット製品を編成するための編成制御情報を作成し、作成された編成制御情報に従って編地を編成することを特徴とする請求項 1または 2記載の弾性糸使用の編成方法。

4 . 伸縮性を有する弾性糸を使用し、編地を編成するための装置であって、編成に使用する弾性糸について、編機への供給長さ、および編成後の編地での仕上がり状態の対応関係を表すデータを、異なる複数の糸張力毎に予め求めて記憶しておくデータ記憶手段と、

指定入力手段に入力される仕上がり状態が得られるように、データ記憶手段に記憶されているデータを参照して、編成後の編地での仕上がり状態と対応する供給長さおよび糸張力で該弾性糸を供給しながら編地を編成するための制御データを生成する制御手段とを含むことを特徴とする弾性糸使用の編成装置。

5 . 前記データ記憶手段に記憶しておくデータには、前記編成後の編地の仕上げ状態と同等な編目ループ長についての風合いを有する編地を、弾性糸ではない編糸で編成する場合に必要な編針の配列密度を表すゲージ風合いデータも含まれ前記指定入力手段には、ゲージ風合いデータでの仕上げ状態の指定も可能であることを特徴とする請求項 4記載の弾性糸使用の編成装置。

6 . 前記データ記憶手段には、

該データとともに、他の弾性糸および編成組織を使用する場合に用いられ、基準となる弾性糸および編成組織についてのデータに対する補正係数のデータも含まれることを特徴とする請求項 4または 5記載の弾性糸使用の編成装置。