WO2004090318A1 - 組合せオイルリング - Google Patents

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Takao Suzuki
Kazuhito Seki
Shiro Shibata
Nobuyuki Matsushima
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Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha
Nippon Piston Ring Co. Ltd.
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
    • F16J9/06Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction using separate springs or elastic elements expanding the rings; Springs therefor ; Expansion by wedging
    • F16J9/061Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction using separate springs or elastic elements expanding the rings; Springs therefor ; Expansion by wedging using metallic coiled or blade springs
    • F16J9/062Coiled spring along the entire circumference

Abstract

 本発明は、形状記憶合金を用いて形成されたコイルエキスパンダを用いた場合でも、十分な張力を得ることができ、オイル掻き落とし機能、オイルコントロール機能に優れた組合せオイルリングを提供することを主目的とするものである。上記目的を達成するために、本発明は、二つのレールを柱部で連結した断面略I字形のオイルリングと、上記オイルリングの二つのレールを連結する柱部内周側に形成された内周溝に配置され、オイルリングをその径方向外方に押圧付勢するコイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、上記コイルエキスパンダが、形状記憶合金を用いて形成され、断面形状が矩形状である異形線により形成されていることを特徴とする組合せオイルリングを提供する。

Description

明 細 書 組合せオイルリング [技術分野]
本発明は、 内燃機関のビストンに使用される組合せオイルリングに関するもの である。
[背景技術]
内燃機関の中では、 様々なフリクションロス (摩擦力ロス) が生じるため、 こ のようなフリクションロスを小さくすることにより燃費の向上が可能である。 例 えば、 内燃機関の中でもピストンリングにおいては、 シリンダライナとの摺動に おけるフリクションの低減が求められている。 具体的に、 フリクションを低減さ せるためには、 張力を下げることが有効である。
ピス トンリングには圧力リングと、 オイルリングとがあるが、 特に、 オイルリ ングは圧力リングに対して張力(ビストンリングをその径方向外方に拡張する力) を 5〜1 2倍と高くすることにより、 オイルリングの機能、 すなわち、 オイル搔 き落とし機能およびオイルコントロール機能を満足させている。 例えば、 ピス ト ンリング (圧力リング +オイルリング) の張力を合計したリング合計張力をボア 径で割った合計張力比についてみると、 1 9 8 4年では 0 . 6〜1 . 0 N/mm であったが、低フリクション化が求められているため、徐々に低下し、現状は 0 . 2〜0 . 6 NZmmまで小さくなり、 対応を求められている。
よって、 この数値は 1 9 8 4年当時より約半分となっているが、 このような背 景の中でオイルリングの機能性を満足させることが求められている。
ピストンリングの対応としては、 張力の低下に伴いピストンリングの接触面積 を小さくし薄幅化が進んでいる。 オイルリングは圧力リングに比べオイル搔き落 とし機能を持たせるため、 さらに接触幅を小さくすることで、 接触面積を小さく し面圧を上げ、 シール性、 オイル搔き性を向上させている。
しかしながら、 エンジン始動時から、 オイルリングの張力を、 上記範囲内、 す なわち、 エンジンが十分に駆動している場合と同程度とすると、 逆にオイルリン グの作用が働きすぎて機関の始動性を損なう危険性が高い。 これは、 エンジン始 動時においては、 潤滑油の温度および機関温度が、 徐々に上昇している段階であ り、 エンジンの始動からある程度の時間が経過し十分に駆動している場合と比較 して、それらの温度は低く、潤滑油の粘度は高い状態にあるからである。よって、 エンジンの始動から十分にェンジンが駆動した状態に移行するまでの間において は、 潤滑油の温度および機関温度の上昇に伴い、 オイルリングの機能も徐々に発 揮されるように、 その面圧も増加していくことが望まれる。
例えば、 実公平 3— 4 1 0 7 8号公報には、 N i— T i系の形状記憶合金を用 いて形成されたコイルエキスパンダを用いたオイルリングにおいて、 コイルェキ スパンダが、 低温では収縮状態に存し、 高温では伸びた状態に存するように処理 されている技術が開示されている。
このように、コイルエキスパンダを形状記憶合金を用いて形成することにより、 温度に応じてオイルリングをその径方向外方へ押圧する力を変化させることがで きるため、 エンジンの始動性を向上させることが可能である。 しかしながら、 形 状記憶合金材の横弾性係数は、 N i— T i系の 2元系において、 収縮状態にある 場合には 5 0 0 0〜1 0 0 0 0 M P a程度であり、 伸びた状態では約 2 0 0 0 0 M P a程度である。 この数値は通常用いられるスチール線材からなるコイルェキ スパンダと比較し、 1 / 4程度しかないため、 スチール線材の場合と同程度の張 力を得るためには、 形状記憶合金からなる線材の太さをスチール線材の太さより も 4倍としなければならない。 一方、 昨今のオイルリングにおいては、 追従性向 上のために薄幅化される傾向にあり、 サイズ上の制約から、 形状記憶合金を用い て形成されたコイルエキスパンダは実用に供することは難しかった。
さらに、 実公平 7— 4 3 5 4 0号公報においても、 コイルエキスパンダを N i — T i系の 2元系の形状記憶合金から形成した技術の開示はあるが、 解決しょう とする課題が、 ディーゼルエンジンビストンリング溝に付着したカーボンを取り 除くことであり、 組合せオイルリングの機能を向上させることを目的とするもの ではない。
また、 形状記憶合金を用いて形成されたエキスパンダではないが、 薄幅化され たオイルリングに対応可能であり、 充分な張力を発現するエキスパンダとして、 特開 2 0 0 1— 2 0 8 2 0 0号公報には、 矩形断面の板材を板厚方向に波状に成 形し、 さらにそれを環状に成形してなるエキスパンダを用いる技術が開示されて いる。 しかしながら、 エキスパンダが発現する張力は、 エンジン始動時において も、 エンジンが十分に駆動している状態と変わらないことから始動性に問題があ つた。 仮に形状記憶合金の矩形材を用い、 軸方向波状に形させる場合は、 後処理 にて記憶熱処理 (材料に形状を記憶させる処理) をする際冶具にセットする為生 産性が著しく悪い。 [発明の開示]
本発明は、 上記問題点に鑑みてなされたものであり、 形状記憶合金を用いて形 成されたコイルエキスパンダを用いた場合でも、 十分な張力を得ることができ、 オイル搔き落とし機能、 オイルコントロール機能に優れた組合せオイルリング、 および、 薄幅化されたオイルリングに対応可能であり、 追従性に優れ、 フリクシ ョンの低減が可能で生産性に優れた組合せオイルリングを提供することを主目的 とするものである。
上記目的を達成するために、 本発明は、 第 1態様において、 二つのレールを柱 部で連結した断面略 I字形のオイルリングと、 前記オイルリングの二つのレール を連結する柱部内周側に形成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方 向外方に押圧付勢するコイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおい て、 前記コイルエキスパンダが、 形状記憶合金を用いて形成され、 断面形状が矩 形状である異形線により形成されていることを特徴とする組合せオイルリングを 提供する。
本発明においては、 形状記憶合金からなり、 断面形状が矩形状である異形線を 用いて形成されたコイルエキスパンダとすることにより、 図 4に示すようにコィ ル径 (d 7 ) と線材厚み (3 5 ) の比率 (コイル径 Z線材厚み =比率) が 2 . 8 〜3より小さい領域は製造が困難な為、 同一コイル径において同一張力の設計と する場合、 丸形状に対し異形線はエキスパンダ線の線材厚み (3 5 ) を小さくす ること、 すなわち上記比率を大きくすることができ、 製造性からも有利である。 したがって、 寸法上制約のある薄幅化されたオイルリングであっても対応するこ とができるため、 オイル搔き落とし機能およびオイルコントロール機能に優れた 組合せオイルリングとすることができる。 また、 形状記憶合金を用いていること から、 エンジンの始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクション化 が可能である。
上記記載の本発明においては、 上記形状記憶合金により形成されているコイル エキスパンダは、 上記コイルエキスパンダ自体の温度が、 上記形状記憶合金のマ ルテンサイ ト変態温度よりも高い場合には、 長手方向に伸長するように処理され ていることが好ましい。 このような処理を施すことにより、 エンジンの始動から ある程度の時間が経過し、 エンジンが十分に駆動している状態では、 潤滑油の温 度および機関温度が上昇し、 コイルエキスパンダ自体の温度がマルテンサイ ト変 態温度を越えると、 コイルエキスパンダは、 その長手方向に伸長するため、 ェン ジン始動時と比較して張力が増加する。 これに伴いオイルリングの面圧も増加す ることから、 シリンダ内の余分な潤滑油を搔き落とすのに十分な作用を得ること ができる。
また本発明においては、 上記コイルエキスパンダを形成する異形線の断面形状 における厚みと幅との比は 1 : 1〜: I : 4の範囲内であることが好ましい。 上記 範囲内の厚みと幅との比を有する異形線であれば、 所定のピッチで異形線をコィ ル状に巻き、 コイルエキスパンダとした場合に、 所望の張力を得ることができる からである。
また、 本発明は、 第 2態様において、 二つのレールを柱部で連結した断面略 I 字形のオイルリングと、 上記オイルリングの二つのレールを連結する柱部内周側 に形成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方向外方に押圧付勢する コイルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、 上記オイルリング の軸方向幅は、 0 . 3 mrr!〜 3 . 0 mmの範囲内であり、 上記コイルエキスパン ダは、 形状記憶合金により形成されており、 コイルエキスパンダ自体の温度が上 記形状記憶合金のマルテンサイ ト変態温度よりも高くなると、 コイルエキスパン ダの長手方向に伸長するように処理されていることを特徴とする組合せオイルリ ングを提供する。 本発明においては、 上記範囲内にある薄幅化されたオイルリングと、 上記処理 が施された形状記憶合金からなるコイルエキスパンダとすることにより、 より一 層の追従性の向上を図ることが可能である。 これは、 本発明におけるコイルェキ スパンダは、 それ自体の温度がマルテンサイ ト変態温度を越えると、 その長手方 向に伸長するように処理されていることから、 エンジンの始動時よりも、 ェンジ ンが十分に駆動している状態の方が、 コイルエキスパンダが発現する張力を高く することができるため、 これに伴いオイルリングの追従性を向上させることがで きるからである。 よって、 薄幅化されたオイルリングと形状記憶合金により形成 されたコイルエキスパンダとの両者の作用から、 優れた追従性を有する組合せォ ィルリングとすることができ、 また、 エンジンの始動時におけるオイルの粘度が 高い状態でも低フリクシヨン化が可能である。
上記記載の本発明においては、 上記オイルリングの軸方向幅は、 1 . O mn!〜 3 . O mmの範囲内であることが好ましい。 上記範囲内の軸方向幅を有するオイ ルリングとした場合、 コイルエキスパンダのマルテンサイ ト変態による追従性の 向上が著しく、 より優れた追従性を有する組合せオイルリングとすることができ るからである。
さらに本発明においては、 上記形状記憶合金により形成されているコイルェキ スパンダは、 異形線を用いて形成されていることが好ましい。 異形線をコイル状 に卷くことにより、 コイルエキスパンダの製造性が良好な範囲内で所望とする張 力を得ることができるからである。
また本発明においては、 上記コイルエキスパンダを形成する異形線の断面形状 における厚みと幅との比は 1 : 1〜: 1 : 4の範囲内であることが好ましい。 上記 範囲内の厚みと幅との比を有する異形線であれば、 所定のピッチで異形線をコィ ル状に巻き、 コイルエキスパンダとした場合に、 所望の張力を得ることができる からである。
本発明の第 1態様によれば、 形状記憶合金からなり、 断面形状が矩形状である 異形線を用いて形成されたコイルエキスパンダとすることにより、 コイルエキス パンダのコイル径を大きくすることなく、 所望の張力を得ることができる。 した がって、 寸法上制約のある薄幅化されたオイルリングに対応することができるた め、 オイル搔き落とし機能およびオイルコントロール機能に優れた組合せオイル リングとすることができる。 また、 形状記憶合金を用いていることから、 ェンジ ンの始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクシヨン化が可能である。 また、 本発明の第 2態様によれば、 オイルリング軸方向幅が所定の範囲内にあ るオイルリングと、 形状記憶合金を用いて形成されており、 コイルエキスパンダ 自体の温度がマルテンサイ ト変態温度よりも高くなると、 その長手方向に伸長す るように処理が施されているコイルエキスパンダとを組み合わせた組合せオイル リングとすることにより、 より一層追従性の向上を図ることが可能である。 これ は、 本発明におけるコイルエキスパンダは、 上述したように処理されていること から、 エンジンの始動時よりも、 エンジンが十分に駆動している状態の方が、 コ ィルエキスパンダが発現する張力を高くすることができるため、 これに伴いオイ ノレリングの追従性を向上させることができるからである。 よって、 薄幅化された オイルリングと形状記憶合金により形成されたコイルエキスパンダとの両者の作 用から、 優れた追従性を有する組合せオイルリングとすることができ、 また、 ェ ンジンの始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクシヨン化が可能で あるといった効果を奏する。
[図面の簡単な説明]
図 1は、 本発明の組合せオイルリングの一例を示した概略断面図である。
図 2は、 本発明におけるコイルエキスパンダを説明する説明図である。
図 3は、 本発明におけるコイルエキスパンダを説明する説明図である。
図 4は、 コイルエキスパンダを形成する線材において、 その断面形状を丸形状 および矩形状とした場合、 両者の違いを説明する説明図である。
図 5は、 本発明の組合せオイルリングの他の例を示す概略断面図である。
図 6は、 マルテンサイ ト変態前後におけるコイルエキスパンダの張力変化を調 ベた結果を示すグラフである。
図 7は、 室温時および高温時におけるオイルリング追従可能量を示すグラフで ある。
図 8は、 室温時および高温時におけるオイルリング追従可能量の変化量とオイ ルリング軸方向幅との関係を示すグラフである。
図 9は、 本発明の実施例における、 コイルエキスパンダの異形線の断面形状に おける横比率に対する可変張力代の変化を示すグラフである。 [発明を実施するための最良の形態]
以下、 本発明の組み合せオイルリングについて、 第 1態様と第 2態様とに分け てそれぞれ説明する。
A. 第 1態様
まず、 本発明の第 1態様の組み合わせオイルリングについて説明する。
本態様の組み合せオイルリングは、 二つのレールを柱部で連結した断面略 I字 形のオイルリングと、 前記オイルリングの二つのレールを連結する柱部内周側に 形成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方向外方に押圧付勢するコ ィルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、 前記コイルエキスパ ンダが、 形状記憶合金を用いて形成され、 断面形状が矩形状である異形線により 形成されていることを特徴とするものである。
本態様においては、 形状記憶合金からなり、 その断面形状が矩形状である異形 線を用いてコイルエキスパンダを形成していることから、 コイルエキスパンダの コイル径を大きくすることなく、 充分な張力を得ることができる。 これは、 以下 の理由による。
図 4にコイルエキスパンダ断面の説明図を示す。 説明のために、 図中左端面に ピッチ (p) を揃え、 〇線と口線を重ねて表記した。 製造性 (コイル径 (d 7) //線材厚み (35) の比率が 2. 8以下の領域は製造性困難) やコイル内周に通 す連結線スペースの確保を考慮して内径 (d 1 7) は設定する。
薄幅リングに対応する為にコイル径 (d 7) は小さく設定する必要があるが、 上記の如くコイル径 (d 7) と、 内径 (d l 7) は制約を受ける。 〇線の場合、 張力を大きくする場合〇線寸法(d 35) を大きくせねばならなく、 コイル径(d 7) 一定の場合には、 内径 (d 1 7) を小さくせねばならない。 又、 内径 (d 1 7) を確保する場合はコイル径 (d 7) が大きくなつてしまう。 それに対し、 口 線の場合はコイル径 (d 7) と、 内径 (d l 7) を変えることなく、 線材厚み (3 5 ) に対し線材幅 (3 2 ) を大きく設定できるので同一ピッチでも所望の張力が 得られることができる。
したがって、 本態様においては、 形状記憶合金からなり、 断面形状が矩形状で ある異形線を用いて形成されたコイルエキスパンダとすることにより、 図 4に示 すようにコイル径 (d 7 ) と線材厚み (3 5 ) の比率 (コイル径ノ線材厚み =比 率) が 2 . 8〜3より小さい領域は製造が困難な為、 同一コイル径において同一 張力の設計とする場合、丸形状に対し異形線はエキスパンダ線の線材厚み(3 5 ) を小さくすること、 すなわち上記比率を大きくすることができ、 製造性からも有 利である。 よって、 寸法上制約のある薄幅化されたオイルリングであっても対応 することができるため、 オイル搔き落とし機能およびオイルコントロール機能に 優れた組合せオイルリングとすることができる。 また、 形状記憶合金を用いてい ることから、 エンジンの始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクシ ョン化が可能である。
このような利点を有する本態様の組合せオイルリングについて、 図面を用いて 具体的に説明する。
図 1は、本態様の組合せオイルリングの一例を示した概略断面図である。まず、 オイルリング 1は、 二つのレール 2、 3を柱状のウェブ 4で連結した断面略 I字 形を呈し、 二つのレール 2、 3を対照的に配置することにより形成されている。 当該オイルリング 1は、 シリンダボア 2 0の内壁 2 1を摺動する摺動面 6が先 端に形成されている摺動部突起 5を有する。 また、 レール 2および 3をウェブ 4 で連結して形成される外周溝 7は、 シリンダ内壁 2 1から摺動面 6によって搔き とられた潤滑油が受容される溝であり、さらに、外周溝 7に受容された潤滑油は、 ウェブ 4に多数設けられている油孔 8を通過し、 オイルリング 1の内周側へと移 動する。
さらに、 上述した構成を有するオイルリング 1において、 レール 2および 3を ウェブ 4で連結して内周側に形成される内周溝 9には、 オイルリング 1をオイル リング 1の径方向外方へ付勢して、 シリンダ内壁 2 1にオイルリングを押し付け るコイルエキスパンダ 1 0が配置されている。
本態様においては、 このコイルエキスパンダ 1 0を、 形状記憶合金からなり、 断面形状が矩形状である異形線をコイル状に巻いて形成することにより、 薄幅化 されたオイルリングの内周溝に配置できる程度のコイル径を有するコイルエキス パンダとした場合であっても、 充分な張力を得ることができるため、 オイル搔き 落とし機能およびオイルコントロール機能に優れた組合せオイルリングとするこ とができる。
なお、 図 1には、 本態様の組合せオイルリングの一例として、 オイルリング 1 とコイルエキスパンダ 1 0とからなる 2ピースオイルリングの例を示しているが、 本態様の組合せオイルリングは、 図 1に示す 2ピースオイルリングに限らず、 3 ピースオイルリング、 4ピースオイルリングとする場合であってもよい。
以下、 このような本態様の組合せオイルリングについて、 コイルエキスパンダ およびオイルリングについて各々詳細に説明する。
1 . コ.
コイルエキスパンダは、 組合せオイノレリングにおいて、 オイルリングのレール をウェブで連結して内周側に形成される内周溝に配置されるものであり、 オイル リングをその径方向外方に押圧付勢することにより、 オイルリングにおけるオイ ル搔き落とし機能等を確実なものとするために設けられているものである。
本態様では、 このようなコイルエキスパンダを、 形状記憶合金からなる線材を 用いて形成し、 さらに、 上記線材において、 その断面形状が矩形状である異形線 としたことに特徴を有するものである。
一般に、 形状記憶合金は、 室温では、 マルテンサイ ト状態 (M相) であり、 高 温ではオーステナイ ト状態 ( 相) となる。 このマルテンサイ ト状態からオース テナイ ト状態への変態を逆マルテンサイ ト変態といい、 オーステナイ ト状態から マルテンサイ ト状態への変態をマルテンサイ ト変態という。 このような変態が生 じる温度を称して、 以下、 マルテンサイ ト変態温度とする。 このマルテンサイ ト 変態温度は、 ある温度幅を持っており、 示唆熱分析により吸熱反応および発熱反 応のピークから求める。
このような形状記憶合金は、 マルテンサイ ト変態温度以下において、 合金を変 形させ荷重を除いた後、 ある温度 (例えば、 T i— N i系ではマルテンサイ ト変 態温度— 1 0 °C〜 1 0 0 °C)以上に加熱することによってもとの形状に戻る現象、 すなわち、 形状記憶効果を有している。 このような形状記憶効果において、 予め 記憶させた形状に合金が戻る温度をマルティンサイ ト変態温度としている。
本態様においては、 このような形状記憶効果を利用し、 コイルエキスパンダ自 体の温度が、 マルテンサイ ト変態温度よりも高くなつた場合には、 コイルエキス パンダが、その長手方向に伸長するように処理されていることが好ましレ、。まず、 エンジン始動時においては、 潤滑油の温度および機関温度は、 徐々に上昇してい る段階にあり、 エンジンの始動からある程度の時間が経過し十分に駆動した後の 場合と比較して、 それらの温度は低く、 潤滑油の粘度は高い状態にある。 また、 この際の温度は本態様におけるマルテンサイ ト変態温度よりも低い。 通常のコィ ルエキスパンダは、 エンジン始動時においても、 エンジンが十分に駆動している 状態と同程度の張力が発現されることから、 エンジン始動時においてはオイルリ ングの作用が働きすぎて機関の始動性を損なう要因となっていた。しかしながら、 本態様においては、 エンジン始動時における機関温度等がマルテンサイ ト変態温 度よりも低いため、 コイルエキスパンダはその長手方向に伸長することはなく、 充分な張力を発揮しない。 したがって、 始動性を低下させるほどにオイルリング の面圧を高めることがないので、 機関の始動性を向上させることができる効果を 有する。
—方、 エンジンが十分に駆動している段階においては、 オイルリングのオイル 搔き落とし機能およびオイルコントロール機能を得るためにある程度高い面圧を 所望とするが、 機関温度の上昇に伴い、 コイルエキスパンダ自体の温度がマルテ ンサイ ト変態温度を超えると、 コイルエキスパンダは、 その長手方向に伸張する ことにより、 パネとしての反力が増し、 張力を増加させることができる。 その結 果、 オイルリングは、 その機能を十分に発現させることができる程度の面圧を得 ることができる。 このような理由により、 本態様においては、 コイルエキスパン ダ自体の温度が、 マルテンサイ ト変態温度よりも高くなつた場合には、 コイルェ キスパンダの長手方向に伸長するように処理されていることが好ましい。
このようにマルテンサイ ト変態後におけるコイルエキスパンダの張力の増加に ついて、 実際に実験により得た結果を図 6に示す。 なお、 実験は、 N i— T i系 ( 5 0〜5 1原子0 /0N i ) 形状記憶合金を用いコイルエキスパンダのコイル径を 1. 1mmとし、 異形線の断面形状における厚みと幅との比を 1 : 3 (厚み 0. 3mm、 幅 0. 9 mm) 、 オイルリング (呼び径は φ 79 mm) の軸方向幅 (h 1) を 1. 5 mmとして行った。
図 6に示した結果から明らかなように、 室温におけるコィルエキスパンダが及 ぼす張力に対して、 マルテンサイ ト変態後におけるコイルエキスパンダが及ぼす 張力は、 約 65. 3%も上昇しており、 機関温度が上昇し、 マルテンサイ ト変態 温度よりも、 コイルエキスパンダ自体の温度が高くなつた際には、 充分な張力を 得ることができることが明らかである。
また、 本態様におけるコイルエキスパンダの張力は、 マルテンサイ ト変態前に おいては、 例えば、 h i寸法 2. Omm以下に用いるコイルエキスパンダとした 場合、 1 N〜2 ONの範囲内、 その中でも、 1 N〜l ONの範囲内であることが 好ましい。 マルテンサイ ト変態前は、 エンジンは暖機状態にあり、 徐々に機関温 度が上昇している段階にあるので、 上記範囲内の張力を有するコイルエキスパン ダであれば、 機関の始動性を向上させることができるからである。
さらに、 マルテンサイ ト変態後の張力は、 オイルリングの機能を損なうことが ない程度であれば特に限定はされないが、 具体的には、 例えば、 h i寸法 2. 0 mm以下に用いるコイルエキスパンダとした場合、 3 N〜 3 ONの範囲内、 その 中でも、 3 N〜 2 ONの範囲内であることが好ましい。 一般的に、 フリクション の低減にはオイルリングの面圧を低くすることが有効であるが、 コイルエキスパ ンダのマルテンサイ ト変態後における張力を上記範囲内に調整することにより、 フリクションの低減を実現でき、 燃費の向上を図ることができるからである。 さらに、 本態様におけるコイルエキスパンダを形成する材料としては、 形状記 憶合金であれば特に限定はされない。 具体的には、 T i _N i系、 Cu— Z n_ A 1系、 F e _Mn— S i系等を挙げることができる。 中でも、 本態様において は、 T i— N i系であることが好ましく、 最も好ましくは、 T i _N iである。 強度、 耐疲労、 繰返し特性、 耐食性の観点から最も優れているからである。
T i -N iからなる形状記憶合金を使用した場合、 その比率としては、 T i一 50原子%N i〜T i - 51原子%N iであることが好ましい。
また、 T i— N i系及び F e— Mn_S i系の場合におけるマルテンサイ ト変 態温度としては、 一 1 0 °Cから 2 0 0 °Cの範囲とすることが望ましく、 例えば、 T i— N i系の場合では、 一 1 0 °C〜: l O O °C、 その中でも、 3 0 °C〜1 0 0 °C の範囲内であることが好ましい。 マルテンサイ ト変態温度は、 形状記憶合金の組 成や形状記憶合金を製造する際の熱処理等により変化させることができるが、 マ ルテンサイ ト変態温度を上記範囲内に調整することにより、 オイルリングの機能 が十分に発揮される程度の面圧が必要な温度において、 コイルエキスパンダにマ ルテンサイ ト変態が生じ、 充分な張力を得ることができるからである。
さらに本態様におけるコイルエキスパンダは、 断面形状が矩形状の異形線を用 い形成されていることを特徴とする。 これにより、 薄幅化されたオイルリングの 内周溝に設置可能な程度にコイルエキスパンダのコイル径を小さく した場合であ つても、 充分な張力を発現することができ、 形状記憶合金からなるコイルエキス パンダにおける張力不足の問題を解決することができる。
なお、 ここでいう矩形状とは、 正方形および長方形等を意味し、 また、 全体的 に矩形状として捉えることができる程度も含んでおり、 加工精度の問題等から角 が若干丸みを帯びているような場合も含むものとする。
具体的に、 コイルエキスパンダを形成する異形線において、 その断面形状にお ける厚み (図 3における厚み 3 5 ) と幅 (図 3における幅 3 2 ) との比は、 1 : 1〜1 : 4の範囲内、 その中でも、 1 : 2〜1 : 3 . 5の範囲内、 中でも、 1 : 2〜1 : 3の範囲内であることが好ましい。 上記範囲より、 幅の長さの比率が大 きい場合は、 ピッチを大きくする必要があり、 所定の曲率で曲げることが困難と なる場合があるため好ましくない。一方、上記範囲よりも幅の比を小さくすると、 所定のピッチで卷いた際に、 隣り合う線材同士間に形成される空隙が広くなるた めパネ定数が小さくなり、 充分な張力を得ることができない場合があるから好ま しくない。
また、 異形線の厚みは、 例えば、 h 1寸法 2 mm以下のコイルエキスパンダに おいて、 0 . 2 mn!〜 0 . 5 mmの範囲内、 その中でも 0 . 3 mn!〜 0 . 4 mm の範囲内であることが好ましい。 上記範囲よりも薄くすると、 パネとしての反力 が弱くなり充分な張力が得られないため好ましくなく、 一方、 上記範囲よりも厚 くすると、 所定のコイル径のコイルエキスパンダとすることができないため好ま しくなレヽ。 また、 幅は 0 . 2 mm〜2 . O mmの範囲内、 その中でも 0 . 4 5 m m〜l . O mmの範囲内であることが好ましい。
なお、 ここでいうピッチとは、 線材をコイル状に巻いた際に、 線材一回転にお ける、線材の中心から、隣り合う線材の中心までの長さを意味する。具体的には、 図 2に示すように、 Aから Bまでの一回転において、 Aの位置における線材の中 心から、 Bの位置における線材の中心までの間隔 pを指している。 このようなピ ツチは、 コイルエキスパンダのコイル径に応じて、 ほぼ所定の範囲内に決定され る。 また、 ここでいう、 コイルエキスパンダのコイル径とは、 コイルエキスパン ダの径方向における長さのうち、 最も外側の長さを意味しており、 具体的には、 図 2に示す d 7を指しているが、 具体的に、 このコイル径としては、 例えば、 h 1寸法 2 mm以下のコイルエキスパンダにおいて、 0 . 3 mn!〜 1 . 8 mmの範 囲内、 その中でも、 0 . 4 mn!〜 1 . 4 mmの範囲内であることが好ましい。 上 記範囲内のコイル径であれば、 薄幅化されたオイルリングであっても対応するこ とができるからである。コイルエキスパンダのコイル径を上記範囲内とした場合、 ピッチは、 例えば、 h 1寸法 2 mm以下のコイルエキスパンダにおいて、 0 . 3 mn!〜 1 . 8 mmの範囲内、 その中でも、 0 . 3 mn!〜 1 . 4 mmの範囲内にほ ぼ規定される。 本態様のコイルエキスパンダは、 上記範囲内にあるピッチで異形 線をコイル状に巻くことにより形成されたものであるが、 ピッチは、 均一である ことが好ましい。 なお、 本明細書において所定のピッチと表現した場合は、 上記 範囲内にある場合を意味している。
また、 異形線をコイル状に巻きコイルエキスパンダを形成する際の巻き方とし ては、 異形線の断面形状における長辺側がコイルエキスパンダの周方向を形成す るように巻くことが好ましい。 このような卷き方が、 コイルエキスパンダのコィ ル径を最も小さくし、かつパネとしての反力を十分に発現することができるため、 所望の張力を得ることができるからである。
このような巻き方を具体的に図面を用いて説明する。 図 3は、 本態様における コイルエキスパンダをその長手方向で切断した際の概略断面図を示している。 図
3に示すように、コイルエキスパンダを形成する異形線の断面形状 3 1において、 幅 3 2および厚み 3 5を有する面 3 3力 矢印 3 4で示す周方向を形成するよう に巻く。 このような卷き方は、 断面形状が矩形状からなる異形線において、 最も コイルエキスパンダのコイル径が小さくなる卷き方であり、 寸法に制約を有する 薄幅化されたオイルリングの内周溝であっても配置することができ、 また所望の 張力を十分に得ることができる。 また、 合口は密着巻きまたは卷取りのいずれで あってもよレヽ。
2 . オイルリング
次に、 オイルリングについて説明する。 一般的にオイルリングは、 シリンダ内 壁の余分な潤滑油を搔き落とし、 潤滑油の消費量を適性水準に抑えるために設け られているものである。
本態様におけるオイルリングは、 二つのレールを柱部で連結した断面略 I字形 を呈し、 二つのレールを連結して内周側に形成される内周溝に上述したコイルェ キスパンダを配置することができるのであれば特に限定はされなレ、。具体的には、 一般的に組合せオイルリングにおいて使用されているオイルリングを挙げること ができる。 例えば、 その全体的な形状としては、 図 1に示すように、 摺動部突起 5の断面形状が台形状に形成されている形状や、 図 5 (A) に示すように、 摺動 部突起 5の内側部分が階段状に形成されている形状や、 図 5 ( B ) に示すように 摺動部突起 5がオイルリング 1の軸方向の内方側に設けられており軸方向外方側 には、 一般的に肩 3 0と呼ばれる部分がある形状等を挙げることができる。
このようなオイルリングにおいて、 本態様においては、 薄幅化されたオイルリ ングを用いることが好ましい。 追従性に優れているからである。 また、 上述した コイルエキスパンダは、 寸法に制約がある薄幅化されたオイルリングに対応可能 であり、 充分な張力を発現できることから、 本態様の効果を最大限に活かすこと ができるからである。
なお、 ここでいう薄幅化とは、 オイルリング軸方向幅を薄くしたことを意味し ている。 ここでオイルリング軸方向幅とは、 オイルリングを構成する上下レール において、 上レールの上面から下レーノレの下面までのオイノレリング軸方向におけ るオイルリングの幅を意味し、 具体的には、 図 1に示すように、 上レール 2の上 面から下レール 3の下面までのオイルリング軸方向における幅 h 1を指している。 具体的にオイルリング軸方向幅としては、 3 mm以下、 その中でも、 1 . O m n!〜 2 mmの範囲内であることが好ましい。 オイルリング軸方向幅が上記範囲内 にある薄幅化されたオイルリングであれば、 追従性を向上させることができ、 ピ ストンリングの軽量化および潤滑油の消費量の低下を実現することができるから である。 これは、 薄幅化されたオイルリングの方が、 例えば、 ピストンを高速回 転させオイルリングに傾きが生じた場合などに、 シリンダ内壁より離れる距離を 小さくすることができるため、 このような不都合による影響が小さく、 結果的に 追従性を向上させることとなるからである。
本態様において、 オイルリングを形成する材料としては、 適度な靭性を有し、 また、 コイルエキスパンダからの張力により変形するおそれのない材料、 具体的 には、 従来からのオイルリングに用いられている鋼材であれば特に限定はされな レヽ。その中でも、マルテンサイ トステンレス鋼(S U S 4 4 0、 S U S 4 1 0材)、 1 0 C r、 8 C r、 合金工具鋼 (S K D材) 、 S K D 6 1、 S WO S C— V、 S WR H相当材等を好適に用いることができる。
3 . 組合せオイルリング
本態様の組合せオイルリングは、 上述したオイルリングの柱部内周側に形成さ れた内周溝に、 上述したコイルエキスパンダが配置されてなるものであり、 前記 コイルエキスパンダが、 形状記憶合金を用いて形成され、 断面形状が矩形状であ る異形線により形成されていることを特徴とするものである。
このように本態様においては、 形状記憶合金からなり、 断面形状が矩形状であ る異形線を用いて形成されたコイルエキスパンダとすることにより、 コイルェキ スパンダのコイル径を大きくすることなく、 所望の張力を得ることができる。 し たがって、 寸法上制約のある薄幅化されたオイルリングであっても対応すること ができるため、 オイル搔き落とし機能およびオイルコントロール機能に優れた組 合せオイルリングとすることができる。 また、 形状記憶合金を用いていることか ら、 エンジンの始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクシヨン化が 可能である。
このような本発明の組合せオイルリングの張力は、 シリンダ内壁に良好に付勢 できるのであれば特に限定はされないが、 具体的には、 組合せオイルリングの張 力をボア径で割った張力比が 0 . 5 NZmm以下であることが好ましく、中でも、 0 . 2 NZmm以下であることが好ましい。 上記範囲内の張力を有する組合せォ ィルリングは一般的に低張力組合せオイルリングと呼ばれるものであるが、 この ような低張力組合せオイルリングとすることによりフリクションを低減させるこ とができるからである。
B . 第 2態様
次に、 本発明の第 2態様の組み合わせオイルリングについて説明する。
本態様の組合せオイルリングは、 二つのレールを柱部で連結した断面略 I字形 のオイルリングと、 上記オイルリングの二つのレールを連結する柱部内周側に形 成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方向外方に押圧付勢するコィ ルエキスパンダとからなる組合せオイルリングにおいて、 上記オイルリングの軸 方向幅は、 0 . 3 mrr!〜 3 mmの範囲内であり、 上記コイルエキスパンダは、 开$ 状記憶合金により形成されており、 コイルエキスパンダ自体の温度が上記形状記 憶合金のマルテンサイ ト変態温度よりも高くなると、 コイルエキスパンダの長手 方向に伸長するように処理されていることを特徴とする組合せオイルリングを提 供する。
本態様においては、 上記範囲内にある薄幅化されたオイルリングと、 上記処理 が施された形状記憶合金からなるコイルエキスパンダとを組み合わせた組合せォ ィルリングとすることにより、より一層の追従性の向上を図ることが可能である。 これは、 本態様におけるコイルエキスパンダは、 それ自体の温度がマルテンサイ ト変態温度を越えると、その長手方向に伸長するように処理されていることから、 エンジンの始動時よりも、 エンジンが十分に駆動している状態の方が、 コイルェ キスパンダが発現する張力を高くすることができるため、 これに伴いオイルリン グの追従性を向上させることができるからである。 よって、 薄幅化されたオイル リングと形状記憶合金により形成されたコイルエキスパンダとの両者の作用から、 優れた追従性を有する組合せオイルリングとすることができ、 また、 エンジンの 始動時におけるオイルの粘度が高い状態でも低フリクション化が可能である。 このような利点を有する本態様の組合せオイルリングについて図面を用いて説 明する。
図 1は、 本態様の組合せオイルリングの一例を図示した概略断面図である。 本 態様の組み合わせオイルリングの概略的な構造は、 上記第 1態様と同様であるの で、 ここでの説明は省略する。
本態様のオイルリングは、 オイルリング軸方向幅 h 1が上述した範囲内となる ように形成されている。 また、 本態様においては、 このコイルエキスパンダ 1 0 を、 形状記憶合金により形成し、 さらに、 コイルエキスパンダ自体の温度がマル テンサイ ト変態温度よりも高くなると、 コイルエキスパンダの長手方向に伸長す るように処理されているものとしている。 これにより、 マルテンサイ ト変態後に は、 コイルエキスパンダの張力が増大するため、 これに伴ってオイルリングの追 従性も向上させることができる。 よって、 薄幅化されたオイルリングと、 形状記 憶合金により形成されたコイルエキスパンダとの両者の作用により、 優れた追従 性を有する組合せオイルリングとすることが可能である。
なお、 図 1には、 本態様の組合せオイルリングの一例として、 オイルリング 1 とコイルエキスパンダ 1 0とからなる 2ピースオイルリングの例を示しているが、 本態様の組合せオイルリングは、 図 1に示す 2ピースオイルリングに限らず、 3 ピースオイルリング、 4ピースオイルリングとする場合であってもよい。
以下、 このような本態様の組合せオイルリングについて、 オイルリングおよび コイルエキスパンダについて各々詳細に説明する。
1 . オイルリング
まず、 オイルリングについて説明する。 一般的にオイルリングは、 シリンダ内 壁の余分な潤滑油を搔き落とし、 潤滑油の消費量を適性水準に抑えるために設け られているものである。
このようなオイルリングは、 本態様においては、 二つのレールを柱部で連結し た断面略 I字形を呈し、 二つのレールを連結する柱部内周側に形成された内周溝 に後述するコイルエキスパンダを配置することができ、 さらに、 その軸方向幅が 所定の範囲内にあるように形成されている。
なお、 ここでいうオイルリング軸方向幅とは、 オイルリングを構成する上下レ ールにおいて、 上レールの上面から下レールの下面までのオイノレリング軸方向に おけるオイルリングの幅を意味し、 具体的には、 図 1に示すように、 上レール 2 の上面から下レール 3の下面までのオイルリング軸方向における幅 h 1を指して いる。
このようなオイルリング軸方向幅は、 0. 3 mn!〜 3 mmの範囲内であり、 そ の中でも、 1. Omn!〜 3. 0 mmの範囲内であることが好ましい。 さらに好ま しくは、 1. Omn!〜 2. 0 mmの範囲内である。 オイルリング軸方向幅が上記 範囲内にあるオイルリングは、 薄幅化されたオイルリングであり、 追従性の向上 に効果を有する。 よって、 オイルリングの機能を高め、 潤滑油の消費量低減を実 現することができる。 また、 ピストンリングの軽量化にも効果がある。
このようにオイルリングの軸方向幅を薄幅化することにより、 追従性の向上に 効果がある理由について、 追従性を示す式を用いて以下に説明する。
追従性の程度を示す P k (追従性係数)は下記の式により求めることができる。 なお、 P k値は、 その値が大きくなるほど追従性が増すことを意味し、 小さく なるほど、 追従性が低下することを意味している。
P k = 3 X F t X d l 2/ (EX h l X a l 3 XK)
上記式の各文字は、 P k :追従性係数、 F t :張力、 d 1 :ボア径、 E :ヤン グ率、 h i :オイルリング軸方向幅、 a 1 :オイルリング径方向幅、 K:形状係 数を示している。
なお、 ここでいうボア径とは、 オイルリングが摺動するシリンダボアの直径を 意味している。 さらに、 オイルリング径方向幅とは、 オイルリングの径方向にお ける厚みを意味し、 オイルリングの最も外方の径と最も内方の径との差で求めら れる。 具体的には、 図 1に示す a 1を指している。
ここで、 d 1、 Eおよび Kを定数とし、 ct= 3 d l 2 (EXK) とおくと、 上記式は、
P k = F t/ (h 1 X a 1 3) X
と書き換えられる。
上記式から F tが大きくなると P k値も大きくなり、 若しくは、 h iまたは a 1が小さくなると、 P k値が大きくなることが分かる。
また、 a 1と h 1とは一般的にほぼ比例の関係にあり、 所定の数値を sとおく と、 a 1 =h 1 X sと置き換えることができる。 これより、 上記式は、
P k = F t/ (h 1 4 X s 3) X α となり、 h i寸法、 すなわちオイルリング軸方向幅の 4乗と、 追従性係数とは反 比例の関係にあることが分かる。 図 7の室温時のデータより、 h i = 3の場合に 対し、 h l = l . 5の場合や、 さらに h l = l . 0の場合には、 薄幅化すること でボアへの追従性が向上する。
以上より、 オイルリング軸方向幅の変化は追従性に大きく影響することが上記 式より明らかであり、 よってオイルリング軸方向幅の薄幅化は、 追従性の向上に 効果があるのである。
また、 本態様における組合せオイルリングにおいて、 シリンダボアの変形量に 対して、 どの程度オイルリングが追従可能であるかについて実験を行いその結果 を図 7の高温時(変態後) に示す。 オイルリングの軸方向幅 h 1は、 3 . 0 mm, 2 . O mm, 1 . 5 mm、 1 . O mmとして行った。 なお、 温度条件は室温時お よび高温時とし、 高温時においては、 本態様におけるコイルエキスパンダは、 そ の長手方向に伸長するマルテンサイ ト変態を生じている。
図 7に示した結果から明らかなように、 オイルリング軸方向幅 h 1が薄くなる につれてオイルリングの追従可能量が大きくなることが分かる。 また、 本態様に おいては、後述するコイルエキスパンダにおいて、形状記憶合金を用いて形成し、 コイルエキスパンダ自体の温度が形状記憶合金のマルテンサイ ト変態温度を超え た場合には、 その長手方向に伸長するように処理が施されていることから、 高温 時においては、 この形状記憶効果の作用により、 追従性が向上している。 特に、 h 1寸法が 3 mmの場合は、 室温時においては、 当該エンジン変形量よりも下の 追従可能量であるが、 高温時においては、 当該エンジン変形量よりも上の追従可 能量であることから、 薄幅化されたオイルリングおよび上述した処理が施された コィルエキスパンダの両者の作用により、 充分な追従性が得られたことが示唆さ れる。
また、 図 8は、 図 7におけるオイルリング追従可能量の結果に基づいて、 室温 時および高温時におけるその変化量を、 オイルリング軸方向幅ごとに示したダラ フである。 図 8に示す結果から、 オイルリング軸方向幅が 2 . O mm程度から、 傾きが大きく変化していることから、 オイルリング軸方向幅が 2 . O mm以下と なると、 コイルエキスパンダのマルテンサイ ト変態後において、 追従性の向上が 著しいことが分かる。
次に、 オイルリング軸方向における摺動面幅について説明する。 ここでいぅ摺 動面幅とは、 図 1に示すように、 シリンダ内壁 2 1と接触する摺動面 6の軸方向 と平行方向の幅 Xを示し、 かつ二つのレールの両方の幅を足し合わせた数値とす ることとする。 このような摺動面幅は、 0 . 1 mn!〜 1 mmの範囲内、 その中で も、 0 . l mm〜0 . 5 mmの範囲内であることが好ましい。 上述したように薄 幅化されたオイルリングにおいて、 摺動面幅が上記範囲内であれば、 十分に対応 することが可能であるからである。
さらに、 本態様におけるオイルリングの全体的な形状としては、 二つのレール を柱部で連結した断面略 I字形を呈し、 二つのレールを連結して内周側に形成さ れる内周溝に上述したコイルエキスパンダを配置することができるのであれば特 に限定はされない。 例えば、 図 1に示すように、 摺動部突起 5の断面形状が台形 状に形成されている形状や、 図 5 (A) に示すように、 摺動部突起 5の内側部分 が階段状に形成されている形状や、 図 5 ( B ) に示すように摺動部突起 5がオイ ルリング 1の軸方向の内方側に設けられており軸方向外方側には、 一般的に肩 3 0と呼ばれる部分がある形状等を挙げることができる。
本態様において、 オイルリングを形成する材料としては、 第 1態様と同様なの で省略する。
2 . コィノレエキスパンダ
次に本態様におけるコイルエキスパンダについて説明する。
コイルエキスパンダは、 組合せオイルリングにおいて、 オイルリングのレール をゥェブで連結して内周側に形成される内周溝に配置されるものであり、 オイル リングをその径方向外方に押圧付勢することにより、 オイルリングにおけるオイ ル搔き落とし機能等を確実なものとするために設けられているものである。 本態様におけるこのようなコイルエキスパンダは、 形状記憶合金からなる線材 を用いて形成され、 かつ、 コイルエキスパンダ自体の温度が形状記憶合金のマル テンサイ ト変態温度よりも高くなつた際には、 その長手方向へ伸長するように処 理されているものである。
本態様においては、 このような形状記憶効果を利用し、 例えば、 エンジン始動 時から、 暖機状態を経て十分にエンジンが駆動した状態では、 エンジンの機関温 度等は本態様におけるマルテンサイ ト変態温度よりも高いことから、 コイルェキ スパンダはマルテンサイ ト変態を生じ、 エンジン始動時と比較して、 その張力を 増加させることができる。 これに伴いオイルリングの面圧も上昇することから、 コイルエキスパンダのマルテンサイ ト変態後は、 追従性をより向上させることが できる。 したがって、 上述したオイルリングと、 このようなコイルエキスパンダ との両者の作用により充分な追従性を実現することができ、 オイルリングの機能 に優れた組合せオイルリングとすることができるのである。
さらに、 形状記憶合金を用いていることから、 機関の始動性の向上にも効果が ある。 これは以下の理由による。
まず、 エンジン始動時においては、 潤滑油の温度および機関温度は、 徐々に上 昇している段階にあり、 エンジンの始動からある程度の時間が経過し十分に駆動 した後の場合と比較して、それらの温度は低く、潤滑油の粘度は高い状態にある。 また、 この際の温度は本態様におけるマルテンサイ ト変態温度よりも低い。 通常 のコイルエキスパンダは、 エンジン始動時においても、 エンジンが十分に駆動し ている状態と同程度の張力が発現されることから、 エンジン始動時においてはォ ィルリングの作用が働きすぎて機関の始動性を損なう要因となっていた。 しかし ながら、 本態様においては、 エンジン始動時における機関温度等がマルテンサイ ト変態温度よりも低いため、 コイルエキスパンダはその長手方向に伸長すること はなく、 充分な張力を発揮しない。 したがって、 始動性を低下させるほどにオイ' ルリングの面圧を高めることがなく、 機関の始動時には低フリクシヨンとするこ とができる効果を有する。 本態様におけるコイルエキスパンダの張力、 マルテン サイ ト変態後の張力、 さらに、 コイルエキスパンダを形成する材料は第 1態様の 「1 . コイルエキスパンダ」 と同様な為説明を省略する。
コイルエキスパンダは、 断面形状が異形線を用い形成されていることが好まし レ、。 これにより、 薄幅化されたオイルリングの内周溝に設置可能な程度にコイル エキスパンダのコイル径を小さくした場合であっても、 充分な張力を発現するこ とができるからである。 この理由については、 「A. 第 1態様」 で図 4に基づき 示した通りである。 なお、 ここでいう異形線とは、 線材の断面形状が円形状である丸線を含まない ことを意味している。 また、 全体的に丸みを帯びていなければ、 加工精度等の問 題から角が若干丸みを帯びているような場合も含むものとする。 具体的に異形線 としては、 その断面形状が、 正方形や長方形等の矩形状である線材を挙げること ができる。
コイルエキスパンダを形成する異形線において、 その断面形状における厚みと 幅との比、 異形線の厚み、 ピッチ、 巻き方については、 第 1態様と同様であるの で、 ここでの説明は省略する。
3 . 組合せオイルリング
本態様の組合せオイルリングは、 上述したオイルリングの柱部内周側に形成さ れた内周溝に、 上述したコイルエキスパンダが配置されてなるものであり、 オイ ルリングの軸方向幅は、 0 . 3 mm〜3 mmの範囲内であり、 前記コイルエキス パンダは、 形状記憶合金により形成されており、 コイルエキスパンダ自体の温度 が形状記憶合金のマルテンサイ ト変態温度よりも高い場合には、 コイルエキスパ ンダの長手方向に伸長するように処理されていることを特徴とするものである。 このように本態様においては、上記範囲内にある薄幅化されたオイルリングと、 上記処理が施された形状記憶合金からなるコイルエキスパンダとすることにより、 追従性の向上を図ることが可能である。 これは、 本態様におけるコイルエキスパ ンダは、 それ自体の温度がマルテンサイ ト変態温度を越えると、 その長手方向に 伸長するように処理されていることから、 エンジンの始動時よりも、 エンジンが 十分に駆動している状態の方が、 コイルエキスパンダが発現する張力を高くする ことができるため、 これに伴いオイルリングの追従性を向上させることができる からである。 よって、 薄幅化されたオイルリングと形状記憶合金により形成され たコィルエキスパンダとの両者の作用から、 優れた追従性を有する組合せオイル リングとすることが可能である。
このような本態様の組合せオイルリングの張力は、 第 1態様オイルリングで述 ベた通りである。
なお、 本発明は、 上記実施形態に限定されるものではない。 上記実施形態は例 示であり、 本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構 成を有し、 同様な作用効果を奏するものは、 いかなるものであっても本発明の技 術的範囲に包含される。
[実施例]
次に、 実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。 形状記憶合金は、 T i— N i系合金 (50〜51原子%N i合金) を用いた。
コイルエキスパンダの異形線の断面形状における厚みと幅との比 (横比率) に 対する可変張力代の変化を調べた。 実際に実験により得た結果を図 9に示す。 な お、 実験は、 コイルエキスパンダのコイル径 (図 2の d 7寸法) を 1. lmri!〜 1. 5mm、 ピッチ (図 2の p) を 0. 7mm〜l. 4mm、 異形線の断面形状 における厚み (図 3の 35) を 0. 3mm〜0. 4mm、 幅 (図 3の 32) を 0. 45mn!〜 1. 0 Ommの範囲内で変化させて行なった。 バネ歪は、 異形線の断 面形状における厚み (図 3の 35) とコイルエキスパンダのコイル径 (図 2の d 7) および縮み代 (エキスパンダ自由状態一リングにセットした状態) をリング 寸法及び張力から設定した。 この際に用いた種々の横比率の試料のエキスパンダ パネ歪み、 呼び径 (外径寸法) 、 オイルリング軸方向幅 (図 1の h 1) 、 および、 可変張力代を表 1に示す。 それぞれの試料をマルテンサイ ト変態させた後に得ら れた張力を次式により求めた。
(可変後張力一可変前張力) 可変前張力 X 100=可変張力代 (%) 寸法比
/くネ歪み 呼び径 (mm) hi寸法、 mm) 可変張力代 0 厚み 幅
1.00 0.257% 79.0 1.5 24.5
1.50 0.279% 79.0 1.5 40.5
1.50 0.477% 79.0 1.5 48.0
2.00 0.696% 71.0 2.0 65.0
2.17 0.611% 79.0 1.5 63.2
2.29 0.607% 94.0 1.5 64.3
2.83 0.538% 71.0 1.5 57.8
2.83 0.736% 79.0 1.5 67.7
2.86 0.591% 94.0 1.5 64.9
3.00 0.616% 79.0 1.5 65.3
3.50 0.560% 79.0 1.5 67.5 以上の結果よりコイルエキスパンダの寸法比を 1 : 1〜1 : 3. 5の範囲内に することで、 可変張力代が 20%以上の数値が得られる。 特に、 比率を 1 : 2〜 1 : 3. 5にすることで、 約 60%以上の可変張力代が得られた。 このことは、 マルテンサイ ト変態後の高温時に (高回転域) をオイル消費を満足できる張力に しておけば常温時の張力は約 40% (100Z1. 6 = 0. 625) 低く設定で き、 フリクションの低減に寄与することができる。

Claims

請求の範囲
1 . 二つのレールを柱部で連結した断面略 I字形のオイルリングと、 前記オイ ルリングの二つのレールを連結する柱部内周側に形成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方向外方に押圧付勢するコイルエキスパンダとからなる組 合せオイルリングにおいて、
前記コイルエキスパンダが、 形状記憶合金を用いて形成され、 断面形状が矩形 状である異形線により形成されていることを特徴とする組合せオイルリング。
2 . 前記形状記憶合金により形成されているコイルエキスパンダは、 前記コィ ルエキスパンダ自体の温度が、 前記形状記憶合金のマルテンサイ ト変態温度より も高い場合には、 長手方向に伸長するように処理されていることを特徴とする請 求項 1に記載の組合せオイルリング。
3 . 前記コイルエキスパンダを形成する異形線の断面形状における厚みと幅と の比は 1 : 1〜: I : 4の範囲内であることを特徴とする請求項 1または請求項 2 に記載の組合せオイルリング。
4 . 二つのレールを柱部で連結した断面略 I字形のオイルリングと、 前記オイ ルリングの二つのレールを連結する柱部内周側に形成された内周溝に配置され、 オイルリングをその径方向外方に押圧付勢するコイルエキスパンダとからなる組 合せオイルリングにおいて、
前記オイルリングの軸方向幅は、 0 . 3 mn!〜 3 mmの範囲内であり、 前記コ ィルエキスパンダは、 形状記憶合金により形成されており、 コイルエキスパンダ 自体の温度が前記形状記憶合金のマルテンサイ ト変態温度よりも高くなると、 コ ィルエキスパンダの長手方向に伸長するように処理されていることを特徴とする 組合せオイルリング。
5 . 前記オイルリングの軸方向幅は、 1 . O mrr!〜 3 . 0 mmの範囲内である ことを特徴とする請求項 4に記載の組合せオイルリング。
6 . 前記形状記憶合金により形成されているコイルエキスパンダは、 異形線を 用いて形成されていることを特徴とする請求項 4または請求項 5に記載の組合せ オイルリング。
7 . 前記コイルエキスパンダを形成する異形線の断面形状における厚みと幅と の比は 1 : 1〜: 1 : 4の範囲内であることを特徴とする請求項 6に記載の組合せ オイルリング。
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