JP2008032183A - ピストンリング - Google Patents
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Abstract
【課題】低温低負荷状態における張力と、高温高負荷状態における張力とを変化させることができ、その結果フリクションロスを最小限に抑え、燃費の向上を可能とするピストンリングを提供すること。
【解決手段】 ピストンリングを、30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金によって形成する。
【選択図】図1
【解決手段】 ピストンリングを、30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金によって形成する。
【選択図】図1
Description
本発明はピストンリングに関する。さらに具体的には、自動車、芝刈り機、発電機等に用いる内燃機関におけるピストンのピストンリング溝に配設され、低温状態の張力に比べて高温状態の張力が増大する、張力可変ピストンリングに関する。
ピストンリングには、大別すると圧力リングとオイルリングの2種類があり、どちらの場合であっても、一つのピストンリングのみから構成される場合やピストンリング本体と、このピストンリング本体の内周面側に配置されて、ピストンリング本体に対する拡径方向への押圧力を与えるためのエキスパンダを用いて構成される場合がある。
このようなピストンリングにおける張力は、当該ピストンリングが使用されうる最も過酷な条件下においても、ピストンリングがその機能を発揮できるように設定されているのが通常である。例えば、内燃機関(エンジン)のピストンに装着されるピストンリングにおいては、内燃機関の高速高負荷状態を想定して、ピストンリングの張力を設定している。具体的には、一つのピストンリングのみから構成される場合にあっても、当該ピストンリング自体の張力は高速高負荷状態を想定して設計されている。あるいは、ピストンリングがピストンリング本体とエキスパンダとから構成される場合にあっても、同様にピストンリング本体とエキスパンダの張力の和が高速高負荷状態を想定して設計されている。
ここで、近年は、環境に優しい、特に燃料消費量の低いエンジンを目指すため、ピストンリングとシリンダライナのフリクション低減についての要求が高まっている。
しかしながら、従来のピストンリングにあっては、ピストンと共にシリンダ内周面を摺動する際のエンジンの回転数の上昇によるピストンの往復運動の速度上昇に伴い、シリンダ内周面とピストンリングとの間に発生する摺動摩擦とピストンの慣性力によりピストンリングを浮き上がらせる力(フラッタリング)が大きくなり、高速高負荷になるほどオイル消費量が大きくなる傾向がある。したがって、高速高負荷状態つまり内燃機関が高温状態の場合を想定してピストンリング全体の張力が設定されているため、低速低負荷状態つまり内燃機関が低温状態の場合においては必要以上の張力がシリンダの内周面にかかってしまうこととなり、その結果として、多くのフリクションロスが生じていた。また、低速低負荷状態にピストンリング全体の張力を設定することも考えられるが、そうすると高速高負荷運転となった場合に、ピストンリングのシール性が十分に得られずオイル消費量が急激に増加してしまうため好ましくない。
このような問題を解決するために、ピストンリングを形状記憶合金により形成することにより、低温時と高温時においてピストンリングの張力を変化できるようなピストンリングが開発されている。
具体的には、例えば特許文献1には、一つのピストンリングのみから構成されるピストンリングにおいて、当該ピストンリングをニッケル−チタン系の形状記憶合金により形成することにより、低温状態においては、ピストンリングとシリンダ内周面とを非接触とし、高温状態になって初めてピストンリングとシリンダ内周面とを接触させる技術が開示されている(特許文献1の請求項2、0012段落など参照)。
また、特許文献2には、ピストンリング本体とエキスパンダ(コイルエキスパンダ)とから構成されるピストンリングにおいて、エキスパンダを前記特許文献1と同様にニッケル−チタン系の形状記憶合金により形成することにより、低温状態における張力よりも高温状態における張力を大きくする技術が開示されている(特許文献2の実用新案登録請求の範囲など参照)。
このように、ピストンリングの材料として形状記憶合金を用いることは従来から行われている。
ここで、形状記憶合金としては、例えば特許文献3には、より高温で変態することを目的としてニッケル−チタンにパラジウムを添加したことを特徴とする形状記憶合金が開示されている。
また、特許文献4には、前記特許文献3と同様の目的のために、ニッケル−チタンにジルコニウム(若しくはハフニウム)を添加したことを特徴とする形状記憶合金が開示されている。
さらに、特許文献5には、変態温度をより広範囲にし、さらに加工性に優れた形状記憶合金を提供することを目的として、ニッケル−チタンにニオブを添加したことを特徴とする形状記憶合金が開示されている。
特開平06−066371号公報
実公平03−041078号公報
特開平11−036024号公報
特開平10−008168号公報
特開昭61−119639号公報
しかしながら、現在のピストンリングにあっては、前記フリクションロスの問題を完全に解決してはおらず、さらなる燃費の向上のためにも改良の必要がある。
具体的は、前記特許文献1に開示のピストンリングにあっては、形状記憶合金としてニッケル−チタン系合金が用いられているが、80℃以上の温度範囲での応用はできず、過酷な温度条件となる自動車エンジン等ではその効果が期待できない。
また、前記特許文献2に開示のピストンリングにあっても、形状記憶合金としては、前記特許文献1と同様の合金が用いられているため、80℃以上の温度範囲での使用には不適であり、燃費向上は期待できない。
さらに、前記特許文献3に開示の形状記憶合金にあっては、添加物として高価なパラジウムを用いているため材料コストを著しく上昇させ、かつ加工性が劣るためピストンリングへの応用は困難である。
また、前記特許文献4に開示の形状記憶合金にあっても、加工性が劣るためピストンリングへの応用は困難である。
また、前記特許文献5に開示の形状記憶合金にあっては、組織安定性が悪く形状記憶特性が失われるため、実用化されていないのが現状である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、低温状態における張力と、高温状態における張力をエンジンの実用的な範囲で変化させることができ、その結果フリクションロスを最小限に抑え、燃費の向上を可能とするピストンリングを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明の第1のピストンリングは、30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第2のピストンリングは、25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のα相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第3のピストンリングは、25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.1mol%以上1mol%以下の侵入型元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第4のピストンリングは、20mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のタンタルと同族のβ相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第5のピストンリングは、25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.5mol%以上2mol%以下の遷移金属元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第6のピストンリングは、25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のジルコニウムと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第7のピストンリングは、25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のスズと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第8のピストンリングは、20mol%以上30mol%以下のタンタルと、全タンタル当量が30mol%以上39.5mol%以下となるように添加された添加元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする。
また、前記本発明の第8のピストンリングにあっては、前記添加元素が、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素、を有していてもよい。
また、前記本発明の第8のピストンリングにあっては、前記添加元素が、1mol%以上5mol%以下のジルコニウムと、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有していてもよい。
また、前記本発明の第8のピストンリングにあっては、前記添加元素が、1mol%以上2mol%以下のスズと、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有していてもよい。
さらに、上記本発明のピストンリングにあっては、ピストンリング本体と、当該ピストンリング本体の内周面側に配されるエキスパンダとから構成されており、当該ピストンリング本体およびエキスパンダの双方または何れか一方が前記形状記憶合金により形成されていてもよい。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、前記エキスパンダが、コイルエキスパンダまたはプレートエキスパンダの何れかであってもよい。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、前記ピストンリングが、サイドレールと、スペーサエキスパンダとから構成されており、当該サイドレールおよびスペーサエキスパンダの双方または何れか一方が前記形状記憶合金により形成されていてもよい。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度未満の温度での張力が0.1〜25Nであり、前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度以上の温度での張力が0.2〜55Nであることが好ましい。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、オイルリングまたは圧力リングとして用いられてもよい。
本発明のピストンリングによれば、上記のチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されているため、80℃以上の高い変態温度(変態ピーク温度(M*)または逆変態ピーク温度(A*))を実現することができる。したがって、低温低負荷状態においては低く、適度な張力を発揮しつつ、80℃以上の高温高負荷状態となった場合に変態が生じ、低温低負荷状態より高い張力を発揮することができるピストンリングを提供可能となる。その結果、低温低負荷状態におけるフリクションロスを最小限に抑えることができ、燃費を向上せしめることができる。
また、当該成分組成からなるチタン−タンタル系形状記憶合金は、変態歪み(εM)および回復歪み(εA)が小さく、回復率が高いので、高温での繰り返し使用にも耐えうるため、当該形状記憶合金により形成されたピストンリングは耐久性も向上される。
さらにまた、当該成分組成からなる形状記憶合金は、従来の形状記憶合金と比べて、冷間加工での圧延率が高いため加工性に優れている。したがって、所望の形状のピストンリングとすることができる。
さらにまた、上記本発明のピストンリングにあっては、ピストンリング本体と、当該ピストンリング本体の内周面側に配されるエキスパンダとから構成されていても問題なく、当該ピストンリング本体、またはエキスパンダの少なくとも何れか一方が前記形状記憶合金により形成されていれば、前記と同様の作用効果を得ることができ、前記エキスパンダが、コイルエキスパンダまたはプレートエキスパンダの何れかであっても同様である。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、サイドレールと、スペーサエキスパンダとから構成されており、当該サイドレールおよびスペーサエキスパンダの双方または何れか一方が前記形状記憶合金により形成されていても、同様の作用効果を得ることができる。
また、上記本発明のピストンリングにあっては、前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度未満の温度(エンジンの始動時を想定した温度:−30〜50℃)での張力が0.1〜25Nであり、前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度以上の温度(エンジンが始動後高速回転時を想定した温度であり、オーステナイト変態後の温度)での張力が0.2〜55Nの範囲内とすることにより、低温低負荷状態でのフリクションロスを最小限に抑えつつ、高温高負荷状態においてもピストンリングの役目を果たすことができる。
なお、本発明のピストンリングにあっては、オイルリング、圧力リングの何れとして用いても上記作用効果を発揮することができる。
以下に、本発明のピストンリングについて具体的に説明する。
本発明のピストンリングは、
(1)30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(2)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のα相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金
(3)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.1mol%以上1mol%以下の侵入型元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(4)20mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のタンタルと同族のβ相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(5)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.5mol%以上2mol%以下の遷移金属元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(6)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のジルコニウムと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(7)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のスズと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(8)20mol%以上30mol%以下のタンタルと、全タンタル当量が30mol%以上39.5mol%以下となるように添加された添加元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(9)前記添加元素が、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
(10)前記添加元素が、1mol%以上5mol%以下のジルコニウムと、
α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
(11)前記添加元素が、1mol%以上2mol%以下のスズと、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
の何れかにより形成されていることに特徴を有している。
(1)30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(2)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のα相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金
(3)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.1mol%以上1mol%以下の侵入型元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(4)20mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のタンタルと同族のβ相安定化元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(5)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、0.5mol%以上2mol%以下の遷移金属元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(6)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上10mol%以下のジルコニウムと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(7)25mol%以上30mol%以下のタンタルと、1mol%以上5mol%以下のスズと、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(8)20mol%以上30mol%以下のタンタルと、全タンタル当量が30mol%以上39.5mol%以下となるように添加された添加元素と、残部のチタンと、不可避的不純物と、からなるチタン−タンタル系形状記憶合金、
(9)前記添加元素が、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
(10)前記添加元素が、1mol%以上5mol%以下のジルコニウムと、
α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
(11)前記添加元素が、1mol%以上2mol%以下のスズと、α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、を有する前記(8)のチタン−タンタル系形状記憶合金、
の何れかにより形成されていることに特徴を有している。
このように、本発明のピストンリングにあっては、その材料となるチタン−タンタル系形状記憶合金に特徴を有している。したがって、以下に先ず、当該特徴であるチタン−タンタル系形状記憶合金の特性について、種々の実験例を挙げて詳細に説明する。
(材料となるチタン−タンタル系形状記憶合金についての実験例)
本発明のピストンリングに用いることができる材料の例(以下、「本発明材料例」とする。)である下記表1〜表7に示す合金組成の合金1〜合金35、および本発明のピストンリングには用いることができない材料の例、つまり前記構成成分外の材料の例(以下、「比較材料例」とする)としての表8に示す合金組成の合金36〜合金40の試験片を作製して、実験を行った。
本発明のピストンリングに用いることができる材料の例(以下、「本発明材料例」とする。)である下記表1〜表7に示す合金組成の合金1〜合金35、および本発明のピストンリングには用いることができない材料の例、つまり前記構成成分外の材料の例(以下、「比較材料例」とする)としての表8に示す合金組成の合金36〜合金40の試験片を作製して、実験を行った。
当該実験に使用した試験片は、下記の方法(1)〜(3)により作製された。
(1)各金属元素のmol%を計測してアーク溶解法により溶融して合金インゴットを作製する。例えば、合金1(Ti−36Ta)は、36mol%のTaと残部(64mol%)のTiの合金組成の合金であり、合金4(Ti−30Ta−1Al)は、30mol%のTaと、1mol%のAlと、残部(69mol%)のTiの合金組成の合金である。
(2)作製された合金インゴットを冷間圧延機で80%〜95%の圧延率で冷間圧延して、板材を作製する。
(3)板材から長さ40mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmの試験片を切り出す。
(1)各金属元素のmol%を計測してアーク溶解法により溶融して合金インゴットを作製する。例えば、合金1(Ti−36Ta)は、36mol%のTaと残部(64mol%)のTiの合金組成の合金であり、合金4(Ti−30Ta−1Al)は、30mol%のTaと、1mol%のAlと、残部(69mol%)のTiの合金組成の合金である。
(2)作製された合金インゴットを冷間圧延機で80%〜95%の圧延率で冷間圧延して、板材を作製する。
(3)板材から長さ40mm、幅1.5mm、厚さ0.1mmの試験片を切り出す。
図1は、形状記憶特性評価試験の説明図であり、図1Aは、繰り返し形状記憶特性を示す合金の代表的な歪み−温度曲線の説明図、図1Bは、繰り返し形状記憶特性を示さない合金の代表的な歪み−温度曲線の説明図である。
<変態温度測定試験>
各合金の変態温度は、冷間圧延材を700℃で1時間熱処理し、示差走査熱量測定(DSC、Differential Scanning Calorimetry)により、マルテンサイト変態ピーク温度(M*点)と、逆変態ピーク温度(A*点)とを測定した。
各合金の変態温度は、冷間圧延材を700℃で1時間熱処理し、示差走査熱量測定(DSC、Differential Scanning Calorimetry)により、マルテンサイト変態ピーク温度(M*点)と、逆変態ピーク温度(A*点)とを測定した。
示差走査熱量測定で得られる逆変態ピーク温度は、マルテンサイト相(以下「M相」とする場合あり。)を低温から温度を上昇させた際、M相からオーステナイト相(以下「A相」とする場合あり。)への逆変態を開始する温度(As温度)と、温度が上昇しM相からA相への逆変態が完了する温度(Af温度)に対する中間の温度のことである(As温度<逆変態ピーク温度<Af温度)。
<形状記憶特性評価試験>
前記作製方法で作製された合金の形状記憶特性を試験を行って評価した。下記表1および表8では、引張り試験機を使用して、一定応力下(100MPa)での熱サイクル試験(−100℃〜300℃)を行うことにより、形状記憶特性である変態温度(As、Ms)と形状回復率(%)を評価した。すなわち、形状記憶特性を示した本発明材料例の合金1〜12および合金40では、図1Aに示すようなほぼ同一の歪み−温度曲線が測定され、測定された歪み−温度曲線から、As(逆変態開始温度)とMs(マルテンサイト変態開始温度)、変態歪みεM、回復歪みεA、および形状回復率(εA/εM)を測定した。
前記作製方法で作製された合金の形状記憶特性を試験を行って評価した。下記表1および表8では、引張り試験機を使用して、一定応力下(100MPa)での熱サイクル試験(−100℃〜300℃)を行うことにより、形状記憶特性である変態温度(As、Ms)と形状回復率(%)を評価した。すなわち、形状記憶特性を示した本発明材料例の合金1〜12および合金40では、図1Aに示すようなほぼ同一の歪み−温度曲線が測定され、測定された歪み−温度曲線から、As(逆変態開始温度)とMs(マルテンサイト変態開始温度)、変態歪みεM、回復歪みεA、および形状回復率(εA/εM)を測定した。
また、2サイクル目から形状記憶特性が見られなかった合金36〜合金40(つまり、比較材料例)では、図1Bに示すようなほぼ同様の歪み−温度曲線が測定され、、測定された歪み−温度曲線から、1サイクル目のAs(逆変態開始温度)を測定した。
また、表2〜表7では、引張り試験機を使用して、室温で2%の歪みを与えた後、2回の熱サイクル(室温〜250℃)を与えて、形状記憶特性である各サイクルの形状回復率を評価した。
なお、下記表1〜表8に記載されたタンタル当量(Ta当量)は、下記の式(1)により算出される。
Ta当量(mol%)=Ta(mol%)+2.9×Al(mol%)+5.6×Si(mol%)+8.3×{N(mol%)+B(mol%)+C(mol%)+O(mol%)+Mo(mol%)}+3.9×V(mol%)+1.7×Nb(mol%)+6.4×{Fe(mol%)+Mn(mol%)}+5.0×{Co(mol%)+Cr(mol%)}+4.2×Ni(mol%)+1.1×Zr(mol%)+2.8×Sn(mol%) …(1)
なお、前記Ta当量の式(1)は、TaやTa以外の元素が添加された場合に、合金の変態温度を変化させる効果が、どれだけの量のTaのみの場合の効果に相当するのかを計算(換算)するための式である。この式(1)は、発明者らの実験により導出された式であり、Ta当量を計算することで、変態温度がどれくらい変化するのかを導出(推測)することができる。
なお、前記Ta当量の式(1)は、TaやTa以外の元素が添加された場合に、合金の変態温度を変化させる効果が、どれだけの量のTaのみの場合の効果に相当するのかを計算(換算)するための式である。この式(1)は、発明者らの実験により導出された式であり、Ta当量を計算することで、変態温度がどれくらい変化するのかを導出(推測)することができる。
TiとTaの二元合金の本発明材料例である合金1〜合金3、および、TiとTaに他の添加元素が添加された本発明材料例の合金4〜合金12の組成と、各合金1〜合金12の1サイクル目のAs(℃)、2サイクル目のMs(℃)、変態歪みεM(%)、回復歪みεA(%)、および形状回復率(εA/εM)(%)の測定結果およびTa当量(mol%)を表1に示す。
なお、Zrは、変態歪みεMを大きくする効果があり(表1参照)、Snは固溶硬化によりω相の析出を抑える効果が期待できる。
合金36はTi−22Nbの二元合金、合金37はTaが30mol%以下の例として調べたTaが27mol%(=58wt%)のTi−27Taの二元合金である。合金38と合金39はTa当量が30mol%以下の合金であり、合金40はTi−40Ta二元合金である。
なお、表8において、2サイクル目の変態開始温度Msが計測されず、変態歪みεMや回復歪みεA等が計測されない場合、すなわち、1サイクル目で形状記憶特性が失われた場合には、表8中に「×」が付してある。
また、Taが30mol%以下であっても、Ta当量が30mol%以上となるように、A群のα相安定化元素(Al、Si)が添加された合金4〜合金6、合金13では、高い変態温度と形状回復率が確認された(表1、表2参照)。なお、表1から、α相安定化元素(Al)の総量が5mol%を超えると変態温度が低下するため、5mol%以下であることが望ましい。
さらに、表1、表3から、Taが30mol%以下であっても、Ta当量が30mol%以上となるように、B群の侵入型元素(N、B、O、C)が添加された合金7、合金8、合金14〜合金16では、高い変態温度と形状回復率が確認された。なお、合金7、合金8から、侵入型元素が増加すると回復率が低下する傾向があり、試験片作製時の冷間加工性が低下し、総量が1mol%を超えると、80%以上の冷間圧延により試験片の作製が困難であった。
また、表1、表4から、Taが30mol%以下であっても、Ta当量が30mol%以上となるように、C群の元素(Nb、V)が添加された合金9、合金11、合金17〜合金20では、高い変態温度と形状回復率が確認された。なお、合金9、合金11、合金17〜合金20から、C群の元素が増加すると回復率が低下する傾向があり、また、Ta当量が大きくなると変態温度が低下する傾向もあるので、80%以上の回復率を確保するためには、総量は10mol%を超えないことが好ましい。
さらに、表1と表5から、Taが30mol%以下であっても、Ta当量が30mol%以上となるように、D群の元素(Mo、Fe、Mn、Co、Cr、Ni)が添加された合金10、合金21〜合金26では、高い変態温度と形状回復率が確認された。なお、合金10、合金21から、D群の元素が増加すると回復率が低下する傾向があり、冷間加工性が悪くなり、変態温度も低下する傾向がある。前記D群の元素の総量が2mol%を超えると、80%以上の冷間圧延により試験片の作製が困難となる。したがって、D群の元素の総量は2mol%以下であることが望ましい。
また、表6、表8から、Taが30mol%以下であっても、Ta当量が30mol%以上となるように、Zr、Snが添加された合金12、合金27〜合金30では、高い形状回復率が確認された。なお、合金12、合金27〜合金30、合金38、合金39の結果から、Zr、Snが増加すると回復率が低下して形状特性が失われ、冷間加工性が悪くなった。また、Ta当量が大きくなりすぎると変態温度も低下するので、総量はZrが10mol%を超えないことが望ましく、Snが5mol%を超えないことが望ましい。
さらに、表7から、Ta当量が30mol%以上となるように、A群、B群、C群、D群、Zr、Snの元素が添加された合金31〜35では、高い形状回復率が確認された。
さらに、表7から、Ta当量が30mol%以上となるように、A群、B群、C群、D群、Zr、Snの元素が添加された合金31〜35では、高い形状回復率が確認された。
図2は、本発明材料例のTi−Ta二元合金の実験結果の説明図であり、図2Aは、50MPa下でのTaのモル分率と変態開始温度(Ms)との関係の説明図、図2Bは、Ti−32Taと、Ti−40Taの歪み−温度曲線の説明図である。
図3は、本発明材料例のTi−27Ta二元合金の歪み−温度曲線の説明図である。
表1、表8、図2において、合金1〜合金3と合金40および図2の実験結果から、Ti−Taの二元合金では、Taが40mol%以上になると変態温度が50℃以下となってしまい、高温(50℃以上)での熱サイクル下で形状回復ができない。また、図2Bから、形状回復率も低下する傾向にあることが分かる。
また、合金1〜合金3と合金37および図3の実験結果から、Ti−Taの二元合金では、Taが30mol%を下回ると、変態温度は高くなるが、形状回復効果は1サイクル目のみで、2サイクル目以降は形状回復効果が見られず(表8の「×」参照)、ω相が析出されて形状記憶特性が失われてしまうことが分かる。また、Taが30mol%を下回ると、塑性変形しやすく、繰り返し利用ができない問題もあった。
図4は、比較材料例のTi−22Nb二元合金の歪み−温度曲線の説明図である。
表8の合金36および図4の実験結果から、Ti−22Nbは、Ti−32Taと同程度の変態温度を有するが、図4に示すように2サイクル目以降は形状記憶特性が失われ、単純に熱膨張、熱収縮をしているだけで、熱的に不安定であることが確認された。
したがって、上記で説明した、本発明材料例に示すようなチタン−タンタル系形状記憶合金をピストンリングの材料とすることにより、低温低負荷状態においては、張力が低く、適当でありフリクションロスを最小限に抑えることができ、80℃以上の高温高負荷状態において変態することで、張力が増加するピストンリングを実現することができる。
図5は、本発明のピストンリングの一例の概略断面図である。
図5に示す本発明のピストンリング30は、一つのリング30のみからなるピストンリングであり、当該一のリング30が前記で説明したチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されている。
本発明のピストンリング30にあっては、その材質に特徴を有しており、その形状等については特に限定されることはない。
例えば、図5に示す一つのリング30のみからなるピストンリングにあっては、そのボア径は、当該ピストンリング30が用いられる内燃機関の大きさやピストンの形状等に合わせて適宜設計可能であるが、φ65〜100mm程度であることが好ましく、この場合においては、その厚さは0.7〜4mm程度が好ましい。
ここで、ボア径をφ65〜90mm程度とした場合には、その厚さは、0.7〜3mm程度が特に好ましく、その際のピストンリング30の拡径方向への張力は、室温時において0.1〜25Nであり、逆変態(オーステナイト変態)後において0.2〜55Nとすることが好ましい。
一方で、ボア径をφ90〜100mm程度とした場合には、その厚さは、0.7〜4mm程度が特に好ましく、その際のピストンリング30の拡径方向への張力は、前記と同様に、室温時において0.1〜25Nであり、逆変態(オーステナイト変態)後において0.2〜55Nとすることが好ましい。
なお、本発明のピストンリング30にあっては、従来公知の表面加工等が施されていてもよく、その断面形状についても、図示する略矩形状に限られず、従来公知の種々の形状を採ることが可能である。
図6は、本発明のピストンリングの他の一例を示す概略断面図であり、図6(a)は、ピストンリング本体41とコイルエキスパンダ42とから構成されるピストンリング40の概略断面図であり、図6(b)は、ピストンリング本体51とプレートエキスパンダ52とから構成されるピストンリング50の概略断面図である。また、図6(c)〜(e)は、サイドレール44、61、71と、スペーサエキスパンダ45、62、72とから構成されるピストンリング43、60、70の概略断面図である。
図6に示すように、本発明のピストンリング40、43、50、60、70にあっては、ピストンリング本体41、51、あるいはサイドレール44、61、71と、エキスパンダ42、45、52、62、72との双方あるいは少なくとも一方が前記で説明した形状記憶合金により形成されている。なお、本発明のピストンリング40、43、50、60、70にあっては、特にエキスパンダ42、45、52、62、72が形状記憶合金により形成されていることが好ましい。ピストンリング本体41、51やサイドレール44、61、71に比べ、エキスパンダ42、45、52、62、72の方がピストンリング全体の張力に寄与しているためである。
この場合においても、前記図5に示したピストンリング30と同様に、その大きさや形状等については特に限定されることはなく、例えば、前記と同様のボア径や張力とすることが好ましい。
なお、本発明のピストンリングはオイルリングに用いることも可能であり、圧力リングとして用いることも可能である。
本発明のピストンリングについて、実施例を用いてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
前記で説明した本発明材料例の合金7を用いて、コイル外径を1.4mmとし高温時の張力は後述する比較例と同じとなるようにコイルエキスパンダを作製し、これとピストンリング本体(材質は、質量%でC:0.5、Si:0.2、Mn:0.3、P:0.02、S:0.015、Cr:10.2、残部Fe、および不可避的不純物)とを組み合わせて、図6(a)に示すような、本発明の実施例1のピストンリングを作製した。
前記で説明した本発明材料例の合金7を用いて、コイル外径を1.4mmとし高温時の張力は後述する比較例と同じとなるようにコイルエキスパンダを作製し、これとピストンリング本体(材質は、質量%でC:0.5、Si:0.2、Mn:0.3、P:0.02、S:0.015、Cr:10.2、残部Fe、および不可避的不純物)とを組み合わせて、図6(a)に示すような、本発明の実施例1のピストンリングを作製した。
(実施例2)
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金11を用いて、実施例2のピストンリングを作製した。
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金11を用いて、実施例2のピストンリングを作製した。
(実施例3)
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金4を用いて、実施例3のピストンリングを作製した。
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金4を用いて、実施例3のピストンリングを作製した。
(実施例4)
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金5を用いて、実施例4のピストンリングを作製した。
前記実施例1のピストンリングと同じ要領で、前記で説明した本発明材料の合金5を用いて、実施例4のピストンリングを作製した。
(比較例1)
本発明のピストンリングの比較例として、従来公知の形状記憶合金であるTi−Ni系(Ti−50at%Ni材)形状記憶合金を用いて、逆変態ピーク温度が58℃であり、逆変態終了(オーステナイト変態終了)後温度が65℃となるようなコイルエキスパンダを作製し、これと実施例1と同一のピストンリング本体とを組み合わせて、図6Aに示すような、本発明の比較例1のピストンリングを作製した。
本発明のピストンリングの比較例として、従来公知の形状記憶合金であるTi−Ni系(Ti−50at%Ni材)形状記憶合金を用いて、逆変態ピーク温度が58℃であり、逆変態終了(オーステナイト変態終了)後温度が65℃となるようなコイルエキスパンダを作製し、これと実施例1と同一のピストンリング本体とを組み合わせて、図6Aに示すような、本発明の比較例1のピストンリングを作製した。
<燃費効果試験>
前記実施例1〜4のピストンリング、および比較例1のピストンリングを用いて、燃費効果試験を行った。
前記実施例1〜4のピストンリング、および比較例1のピストンリングを用いて、燃費効果試験を行った。
具体的には、各ピストンリングをオイルリングとして用い、その他の第1圧力リング、第2圧力リングは全て従来公知の同一仕様のリングを用いた。それぞれを内燃機関エンジンにおけるφ88mmのピストンに装着し、10・15モードで燃費を測定した。一方で、従来のばね鋼からなるコイルエキスパンダを用いた以外、その他の条件は全て実施例および比較例と同一のピストンリング(トップリング、セカンドリング)を用意し、同様に燃費を測定した。
各測定結果について、前記従来のばね鋼からなるコイルエキスパンダを用いた場合の燃費と比べて比較例1のピストンリングを装着した場合の燃費の向上率を基準(1)とし、本発明の実施例1〜4のピストンリングを装着した場合における、前記基準からの燃費効果比(向上率)を数値化した。
その結果を表9に示す。
30、40、43、50、60、70 ピストンリング
41、51 ピストンリング本体
42 コイルエキスパンダ
44、61,71 サイドレール
45、62、72 スペーサエキスパンダ
52 プレートエキスパンダ
41、51 ピストンリング本体
42 コイルエキスパンダ
44、61,71 サイドレール
45、62、72 スペーサエキスパンダ
52 プレートエキスパンダ
Claims (16)
- 30mol%以上40mol%より少ないタンタルと、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 25mol%以上30mol%以下のタンタルと、
1mol%以上5mol%以下のα相安定化元素と、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 25mol%以上30mol%以下のタンタルと、
0.1mol%以上1mol%以下の侵入型元素と、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 20mol%以上30mol%以下のタンタルと、
1mol%以上10mol%以下のタンタルと同族のβ相安定化元素と、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 25mol%以上30mol%以下のタンタルと、
0.5mol%以上2mol%以下の遷移金属元素と、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 25mol%以上30mol%以下のタンタルと、
1mol%以上10mol%以下のジルコニウムと、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 25mol%以上30mol%以下のタンタルと、
1mol%以上5mol%以下のスズと、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 20mol%以上30mol%以下のタンタルと、
全タンタル当量が30mol%以上39.5mol%以下となるように添加された添加元素と、
残部のチタンと、
不可避的不純物と、
からなるチタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とするピストンリング。 - 前記添加元素が、
α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素、
を有することを特徴とする請求項8に記載のピストンリング。 - 前記添加元素が、
1mol%以上5mol%以下のジルコニウムと、
α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、
を有することを特徴とする請求項8に記載のピストンリング。 - 前記添加元素が、
1mol%以上2mol%以下のスズと、
α相安定化元素、侵入型元素、β相安定化元素および遷移金属元素の少なくとも1種類の元素と、
を有することを特徴とする請求項8に記載のピストンリング。 - 前記ピストンリングが、ピストンリング本体と、当該ピストンリング本体の内周面側に配されるエキスパンダとから構成されており、
当該ピストンリング本体およびエキスパンダの双方または何れか一方が前記チタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする請求項1ないし11の何れか一の請求項に記載のピストンリング。 - 前記エキスパンダが、コイルエキスパンダまたはプレートエキスパンダの何れかであることを特徴とする請求項12に記載のピストンリング。
- 前記ピストンリングが、サイドレールと、スペーサエキスパンダとから構成されており、
当該サイドレールおよびスペーサエキスパンダの双方または何れか一方が前記チタン−タンタル系形状記憶合金により形成されていることを特徴とする請求項1ないし11の何れか一の請求項に記載のピストンリング。 - 前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度未満の温度での張力が0.1〜25Nであり、前記形状記憶合金の逆変態ピーク温度以上の温度での張力が0.2〜55Nであることを特徴とする請求項1ないし14の何れか一の請求項に記載のピストンリング。
- オイルリングまたは圧力リングとして用いられることを特徴とする請求項1ないし15の何れか一の請求項に記載のピストンリング。
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