WO2004084677A1

WO2004084677A1 - 揺動収納式椅子

Info

Publication number: WO2004084677A1
Application number: PCT/JP2004/000752
Authority: WO
Inventors: Minoru Fujisawa
Original assignee: Kotobuki Corporation
Priority date: 2003-03-27
Filing date: 2004-01-28
Publication date: 2004-10-07
Also published as: CN1533729A; CN1245916C; KR100614197B1; EP1614370A4; EP1614370B1; KR20050111615A; EP1614370A1

Abstract

揺動収納式椅子が、床または机に固定される基部１と、互いに一体的に結合された背２ａと座２ｂとを有する着座部２と、基部および着座部に下端部および上端部を前後方向揺動可能に連結された前側脚部４と、基部および着座部に下端部および上端部を前後方向揺動可能に連結され、それら上下端部の揺動軸線が前側脚部の上下端部の揺動軸線よりも後方に位置する後側脚部７と、前側脚部および後側脚部の、基部および着座部に対する揺動を一定範囲に規制するストッパー構体１１とを具えており、前側脚部と後側脚部とが非平行四節リンクを構成して、後方揺動限位置で着座部をその座と背とが使用姿勢になるように配置する一方、前方揺動限位置で着座部をその座と背とが前方に傾斜した姿勢になるように配置し、ストッパー構体１１がシャフト１０との当接により、基部が前下りに傾斜した状態に対応して前側脚部と後側脚部との後方揺動限位置を規制する。これにより、前下りに傾斜した場所に設置しても後方揺動限位置で着座部を使用姿勢にすることができる。

Description

揺動収納式椅子技術分野

この発明は、机と組み合わされて使用される椅子であつて、不使用時に着座部明

を机の後方の使用位置から前方へ揺動されてその着座部の少なくとも座を机の天板の下方に収納される揺動収納式の椅子田に関するものである。なお、この明細書において、「前方」および「後方」とは、椅子の向きを基準とした前方および後方をいう。すなわち座の中央部に対して、背が位置する方向を後方といい、それと反対の方向を前方という。背景技術

上述の如き椅子としては従来、例えば本願出願人が特開 2 0 0 2— 0 2 8 0 4 3号公報にて開示したものが知られている。この揺動収納式椅子は、教室等の床や机に水平に固定される基部と、互いに一体的に結合された背と座とを有する着座部と、前記基部に各々下端部を前後方向揺動可能に連結されるとともに前記着座部に各々上端部を前後方向揺動可能に連結されて互いに前後に位置し非平行四節リンクを構成する前側脚部および後側脚部と、それらの脚部の揺動を一定範囲に規制する揺動規制部とを具えている。

かかる従来の揺動収納式椅子によれば、前側脚部および後側脚部が非平行四節リンクを構成することから、揺動規制部により揺動を規制された前側脚部と後側脚部とが後方揺動限位置に位置する状態では、着座部の互いに一体的に結合された座と背とが、背が僅かに後方に傾斜するとともに座が概ね水平となる使用姿勢になって人がその着座部に着座し得る一方、それら前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置する状態では、着座部の座と背とが前方に傾斜した姿勢になつてその着座部の少なくとも座を机の天板の下方に収納することが可能になる。しかも前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置する状態では、着座部の背も前方に傾斜した姿勢になることから、椅子の後方を人が通ろうとする際、人の比較的幅広の部分である腰の部分と着座部の背の上端部との高さが概ね一致してもその背の上端部が腰の部分に当たることがないので、着座部の背が人の通行の妨げになることがないため、収納した椅子の後方を人が極めて容易に通行することができる。

ところで、上記従来の揺動収納式椅子について本願発明者がさらに研究を進めたところ、本願発明者は、近年、学校の大教室内等で床が前下りに傾斜している場所に揺動収納式椅子を設置することを要望される場合があり、これに対して上記従来の揺動収納式椅子では、床や机に基部が水平に固定されることを前提として揺動規制部が後方揺動限位置を規制しているため、前下りに傾斜した状態で基部を固定すると、前側脚部および後側脚部が後方揺動原位置で、背が僅かに後方に傾斜するとともに座が概ね水平となる使用姿勢をとることができず、座が前下りになってしまうという不都合があるということを見いだした。発明の開示

この発明は、上記課題を有利に解決した揺動収納式椅子を提供することを目的とするものであり、この発明の揺動収納式椅子は、床または机に固定される基部と、互いに一体的に結合された背と座とを有する着座部と、前記基部に下端部を前後方向揺動可能に連結されるとともに前記着座部に上端部を前後方向揺動可能に連結された前側脚部と、前記基部に下端部を前後方向揺動可能に連結されるとともに前記着座部に上端部を前後方向揺動可能に連結され、それら上下端部の揺動軸線が前記前側脚部の上下端部の揺動軸線よりも後方に位置する後側脚部と、前記前側脚部および前記後側脚部の、前記基部および前記着座部に対する揺動を一定範囲に規制する揺動規制部と、を具え、前記前側脚部と前記後側脚部とが、それら前側脚部と後側脚部との下端部同士の揺動軸線間距離をそれら前側脚部と後側脚部との上端部同士の揺動軸線間距離よりも短くされることで非平行四節リンクを構成して、前記揺動規制部により規制された後方揺動限位置で前記着座部をその座と背とが使用姿勢になるように配置する一方、前記揺動規制部により規制された前方揺動限位置で前記着座部をその座と背とが前方に傾斜した姿勢になるように配置し、前記揺動規制部が、前記基部が前下りに傾斜した状態に対応して前記前側脚部と前記後側脚部との前記後方揺動限位置を規制することを特徴としている。

かかる揺動収納式椅子にあっては、前側脚部と後側脚部とが、それら前側脚部と後側脚部との下端部同士の揺動軸線間距離をそれら前側脚部と後側脚部との上端部同士の揺動軸線間距離よりも短くされることで非平行四節リンクを構成して前後方向へ揺動し、揺動規制部により規制された後方揺動限位置で着座部をその座と背とが使用姿勢になるように配置する一方、揺動規制部により規制された前方揺動限位置で着座部をその座と背とが前方に傾斜した姿勢になるように配置する。そして揺動規制部が、基部が前下りに傾斜した状態に対応して前側脚部と後側脚部との上記後方揺動限位置を規制する。

従ってこの発明の揺動収納式椅子によれば、基部が床の傾斜に対応して前下りに傾斜した状態で床または机に固定されても、前側脚部と後側脚部とが後方揺動限位置に位置する状態で、着座部の互いに一体的に結合された座と背とが、背が僅かに後方に傾斜するとともに座が概ね水平となる使用姿勢になって人がその着座部に着座し得る一方、前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置する状態で、着座部の上記座と背とが前方に傾斜した姿勢になってその着座部の少なくとも座を机の天板の下方に収納することができる。

しかもこの発明の揺動収納式椅子によれば、前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置する状態で、着座部の背も前方に傾斜した姿勢になることから、椅子の後方を人が通ろうとする際、人の比較的幅広の部分である腰の部分と着座部の背の上端部との高さが概ね一致しても、その背の上端部が腰の部分に当たることがないので、着座部の背が人の通行の妨げになることをなくし得て、収納した椅子の後方を人が極めて容易に通行することができ、このことは、特に緊急避難時や講義中の退席時等、椅子の後方を人が迅速に通行する必要がある場合に、極めて有利である。

なお、この発明においては、前記揺動規制部が、前記基部が前下りに傾斜した状態と前記基部が水平な状態とに選択的に対応可能なように、前記前側脚部と前記後側脚部との前記後方揺動限位置を変更するものであっても良く、かかる構成によれば、後方揺動限位置を変更することで水平な床にも前下りに傾斜した床にも同じ椅子を共用し得て、揺動収納式椅子の利便性を高めることができる。また、この発明においては、前記前側脚部と前記後側脚部とが、前記揺動規制部により規制された後方揺動限位置と前方揺動限位置との間の中間揺動位置で前記着座部をその背が直立した姿勢になるように配置するものであっても良く、かかる構成によれば、人が着座したまま着座部を前方にずらした場合でも、背が直立した姿勢になることから、人がその椅子の後方を比較的容易に通行することができる。

さらに、この発明においては、前記前側脚部と前記後側脚部との少なくとも一方が横断面コ字状をなしていて、その開口部で前記前側脚部と前記後側脚部とが互いに嵌まり合っていても良く、かかる構成によれば、前後の脚部間に隙間ができないので、前後の脚部の揺動によつてそれらの脚部の間隔が変化してもそれらの脚部間に物が挟まるのを防止することができる。 .

そして、この発明においては、前記前側脚部と前記後側脚部とを一本ずつ具えていても良く、かかる構成によれば、揺動収納式椅子を簡易に構成することがでさる。図面の簡単な説明図 1 (a)， (b) は、この発明の揺動収納式椅子の一実施例を基部が前下りに傾斜するとともに前側脚部と後側脚部とが後方揺動限位置に位置している状態で示す正面図および側面図である。

図 2 (a), (b) は、上記実施例の椅子を図 1と同じ状態で示す平面図および底面図である。

図 3 (a), (b) は、上記実施例の椅子を示す、図 1 (a) の A— A線および図 1 (b) の B— B線にそれぞれ沿う断面図、（c) は、その実施例の椅子を基部が前下りに傾斜するとともに前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置して ^る状態で示す上記 A— A線に沿う断面図である。

図 4は、上記実施例の椅子の構成を示す分解斜視図である。

図 5 (a)，（b)， (e)は、上記実施例の椅子のストッパー構体を示す平面図、正面図および側面図である。 '

図 6 (a), (b) は、上記実施例の椅子を、基部が水平に位置するとともに前側脚部と後側脚部とが後方揺動限位置および前方揺動限位置にそれぞれ位置している状態で示す、図 1 (a) の A— A線に沿う断面図である。

図 7は、上記実施例の椅子を使用状態で示す断面図である。

図 8は、上記実施例の椅子を収納状態で示す断面図である。

図 9は、上記実施例の椅子の前側脚部と後側脚部とが構成する非平行四節リンクによる着座部の動きを机との関連で示す説明図である。

図 10は、上記実施例の椅子に人が着座した状態および人が着座していない状態を示す説明図である。

図 11は、人が着座していない収納状態の上記実施例の椅子の着座部の後方を人が通る状況を示す説明図である。

図 12は、人が着座している中間状態の上記実施例の椅子の着座部の後方を人が通る状況を示す説明図である。

図 13 (a) 〜 (e) は、上記実施例の変形例をそれぞれ示す斜視図である。発明を実施するための最良の形態

以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図 1 (a)， (b) は、この発明の揺動収納式椅子の一実施例を基部が前下りに傾斜するとともに前側脚部と後側脚部とが後方揺動限位置に位置している状態で示す正面図および側面図、図 2 (a), (b) は、その実施例の掎子を図 1と同じ状態で示す平面図および底面図、図 3 (a), (b) は、その実施例の椅子を示す、図 1 (a) の A— A線および図 1 (b) の B— B線にそれぞれ沿う断面図、図 3 (c) は、その実施例の椅子を基部が前下りに傾斜するとともに前側脚部と後側脚部とが前方揺動限位置に位置している状態で示す上記 A— A線に沿う断面図、図 4は、その実施例の椅子の構成を示す分解斜視図、そして図 5(a), (b), (c) は、その実施例の椅子のストッパー構体を示す平面図、正面図および側面図である。

上記各図に示すように、この実施例の揺動収納式椅子は、ここでは図示しない床にポルト B (図 4参照）等で固定される基部 1と、例えば合板や繊維強化ブラスチックの成形、プラスチックのブロー成形、プラスチックの射出成形等によつて互いに一体に形成された背 2 aと座 2 bとを有するとともにその座 2 bの裏面にポルト B (図 4参照）等で固定されたブラケット 2 cを有する着座部 2と、を具えており、それら基部 1およびブラケット 2 cは各々、例えば鋼板のプレス加ェゃアルミニウム合金の铸造等によって、板状部 l a， 2dを有するとともに、その板状部 1 a， 2 dから突出して互いに平行に延在する二枚のリブ 1 , 2 e を有するように形成されている。

またこの実施例の揺動収納式椅子は、上記基部 1の二枚のリブ 1 bにシャフト 3を介して下端部 4 aを前後方向揺動可能に連結されるとともに上記着座部 2のブラケット 2 cの二枚のリブ 2 eにシャフト 5を介して上端部 4 bを前後方向揺動可能に連結された前側脚部 4と、上記基部 1の二枚のリブ 1 bにシャフト 6を介して下端部 7 aを前後方向揺動可能に連結されるとともに上記着座部 2のブラケット 2 cの二枚のリブ 2 eにシャフト 8を介して上端部 7 bを前後方向揺動可能に連結されて前側脚部 4よりも後方に位置する後側脚部 7と、を具えており、それら前側脚部 4および後側脚部 7のうち前側脚部 4は、後側脚部 7に向く部分の幅方向中央部に当該脚部の長手方向へ延在する切れ目 4 cを持つ横断面略 C字状をなし、後側脚部 7は、横断面コ字状をなすとともにそのコ字形状の開口部を前側脚部 4に向き合わせて前側脚部 4と緩く嵌まり合っている（図 3 ( b ) および図 4参照）。

そしてここでは、基部 1に対する後側脚部 7の揺動軸線となるシャフト 6の中心軸線は、基部 1に対する前側脚部 4の揺動軸線となるシャフト 3の中心軸線よりも後方に位置し、またブラケット 2 cに対する後側脚部 7の揺動軸線となるシャフト 8の中心軸線は、ブラケット 2 cに対する前側脚部 4の揺動軸線となるシャフト 5の中心軸線よりも後方に位置しており、シャフト 3 , 5 , 6， 8は、例えば Cリング R (図 4参照）等によってリブ l b , 2 eに対し抜け止めされている。

さらにこの実施例の揺動収納式椅子では、前側脚部 4と後側脚部 7との下端部 4 a， 7 a同士の揺動軸線間距離に等しいシャフト 3とシャフト 6との中心軸線間距離が、それら前側脚部 4と後側脚部 7との上端部 4 b , 7 b同士の揺動軸線間距離に等しいシャフト 5とシャフト 8との中心軸線間距離よりも短くされることで、それら前側脚部 4と後側脚部 7とが非平行四節リンクを構成しており、また、前側脚部 4の上下端部 4 b， 4 aの揺動軸線間距離に対応するシャフト 5， 3の中心軸線間距離と、後側脚部 7の上下端部 7 b , 7 aの揺動軸線間距離に対応するシャフト 8 , 6の中心軸線間距離とがほぼ等しくされるとともに、基部 1 のリブ l bの、シャフト 3の支持高さが、シャフト 6の支持高さよりも低くされている。

さらにこの実施例の揺動収納式椅子では、図 4に示すように、後側脚部 7の上部にシャフト 1 0が嵌着されて例えば Cリングで固定されるとともに、図 3および図 5に示すように、前側脚部 4および後側脚部 7の、基部 1および着座部 2のブラケット 2 cに対する揺動を一定範囲に規制する揺動規制部としてのス卜ッパ一構体 1 1が、前側脚部 4の上部の、後側脚部 7に向く部分に上下に少しずれて 4つずつ二組形成されたポルト穴 4 d， 4 eの内の一組 (図では上側の組のポルト穴 4 d ) に選択的に 4本のボルト Bで固定されており、このストッパー構体 1 1は、コ字状のブラケット 1 1 aを介してそれぞれ強固に支持されたゴム製の上ストッパー 1 1 bおよび下ストッパー 1 1 cを有している。

このストッパー構体 1 1が図 5 ( a ) に示すように上側の組のポルト穴 4 dにポルト固定された状態では、図 3 ( a ) に示す如く、基部 1が角度 Θ (図では約 5 ° ) だけ前下りに傾斜した状態で、着座部 2が後退するように前側脚部 4および後側脚部 7を基部 1およびブラケット 2 cに対して揺動させると、後側脚部 7 に設けたシャフト 1 0が、前側脚部 4の切れ目 4 cを通って前側脚部 4から後方へ突出した上ストッパー 1 1 bに当接して、その上ストッパー 1 1 bが、着座部 2の背 2 aが僅かに後方に傾斜するとともに座 2 bが概ね水平となる使用姿勢を着座部 2がとるように前側脚部 4および後側脚部 7の後方揺動限位置を規制し、また、図 3 ( c ) に示す如く、着座部 2が前進するように前側脚部 4および後側脚部 7を基部 1およびブラケット 2 cに対して揺動させると、上記シャフト 1 0 が、これも上記切れ目 4 cを通って前側脚部 4から後方へ突出した下ストッパー 1 1 cに当接して、その下ストッパ一 1 1 cが、着座部 2の背 2 aと座 2 bとが前方に傾斜した収納姿勢を着座部 2がとるように前側脚部 4および後側脚部 7の前方揺動限位置を規制する。

一方このストッパ一構体 1 1が下側の組のボルト穴 4 eにポルト固定された状態では、図 6 ( a ) に示す如く、基部 1が水平な状態で、着座部 2が後退するように前側脚部 4および後側脚部 7を基部 1およびブラケッ卜 2 cに対して揺動させると、上記シャフ卜 1 0が上ストッパー 1 l bに当接して、その上ストッパー 1 1 bが、着座部 2の背 2 aが僅かに後方に傾斜するとともに座 2 bが概ね水平となる使用姿勢を着座部 2がとるように前側脚部 4および後側脚部 7の後方揺動限位置を規制し、また図 6 ( b ) に示す如く、着座部 2が前進するように前側脚部 4および後側脚部 7を基部 1およびブラケット 2 cに対して揺動させると、上記シャフト 1 0が下ストッパー 1 1 cに当接して、その下ストッパー 1 1 cが、着座部 2の背 2 aと座 2 bとが前方に傾斜した収納姿勢を着座部 2がとるように前側脚部 4および後側脚部 7の前方揺動限位置を規制する。

従って、図 7に示すように、この実施例の椅子の基部 1を前下りに傾斜した床面 Fに固定した状態では、ストツバ一構体 1 1を上側の組のポルト穴 4 dにポル卜固定することで、着座部 2が机 9から後方へ離間するように前側脚部 4および後側脚部 7を基部 1およびブラケット 2 cに対して揺動させると上ストッパー 1 1 bが、着座部 2が上記使用姿勢をとるように前側脚部 4および後側脚部 7の後方揺動限位置を規制し、また図 8に示すように、この実施例の椅子の基部 1を前下りに傾斜した床面 Fに固定した状態では、ストッパー構体 1 1を下側の組のポルト穴 4 eにボルト固定することで、着座部 2が机に接近するように前側脚部 4 および後側脚部 7を基部 1およびブラケット 2 cに対して揺動させると下ストツパ一 1 l cが、着座部 2が上記収納姿勢をとるように前側脚部 4および後側脚部 7の前方揺動限位置を規制する。

図 9は、かかる前側脚部 4と後側脚部 7とが構成する非平行四節リンクによる着座部 2の動きを机 9との関連で示す説明図である。なお、図示例における机 9 は、基部 1が固定された床 Fに下端部を固定された脚部 9 aと、その脚部 9 aの上端部に固定された天板 9 bとを有している。

かかる実施例の揺動収納式椅子によれば、この実施例の椅子の基部 1を前下りに傾斜した床面 Fに固定した状態でも、図 1 0中の左側に示すように、前側脚部 4と後側脚部 7とが後方揺動限位置に位置する状態で、着座部 2の互いに一体的に結合された座 2 bと背 2 aとが上記使用姿勢になって、人 Hがその着座部 2に着座し得る一方、図 1 0中の右側に示すように、前側脚部 4と後側脚部 7とが前方揺動限位置に位置する状態で、着座部 2の座 2 bと背 2 aとが前方に傾斜した姿勢になって、その着座部 2の座 2 bを机 9の天板 9 bの下方に収納することができる。

しかもこの実施例の揺動収納式椅子によれば、図 1 1に示すように、前側脚部 4と後側脚部 7とが前方揺動限位置に位置する状態で、着座部 2の背 2 aも前方に傾斜した姿勢になることから、椅子の後方を人 Hが通ろうとする際、人 Hの比較的幅広の部分である腰の部分と着座部 2の背 2 aの上端部との高さが概ね一致しても、その背 2 aの上端部が腰の部分に当たることがないので、着座部 2の背 2 aが人 Hの通行の妨げになることをなくし得て、収納した椅子の後方を人 Hが極めて容易に通行することができ、このことは、特に緊急避難時や講義中の退席時等、椅子の後方を人が迅速に通行する必要がある場合に極めて有利である。さらにこの実施例の揺動収納式椅子によれば、図 1 2に示すように、前側脚部 4と後側脚部 7とが、上記後方揺動限位置と前方揺動限位置との間の中間揺動位置で着座部 2を、その背 2 aが概ね直立した姿勢になるように配置するので、人 Hが着座したまま着座部 2を前方にずらした場合でも、背 2 aが概ね直立した姿勢になることから、他の人 Hがその椅子の後方を比較的容易に通行することができ、その際、背 2 aと一体に形成された座 2 bは僅かに前傾になるに過ぎないので、着座した人 Hもさほど不自由な姿勢をとらずに済む。

加えてこの実施例の揺動収納式椅子によれば、前側脚部 4と後側脚部 7とが、図 3 ( b ) に示すように互いに嵌まり合っていることから、前後の脚部 4， 7間に隙間ができないので、上記後方揺動限位置と前方揺動限位置との間での前後の脚部 4， 7の揺動によってそれらの脚部 4， 7の間隔が変化してもそれらの脚部 4， 7間に物が挟まるのを防止することができる。

さらにこの実施例の揺動収納式椅子によれば、前側脚部 4と後側脚部 7とを一本ずつだけ具えているので、揺動収納式椅子を簡易に構成することができる。図 1 3 ( a ) 〜（e ) は、上記実施例の変形例をそれぞれ示すものであり、図 1 3 ( a ) では前側脚部 4と後側脚部 7とが各々、 I字状をなすようにパイプ材を組み合わせて形成されており , 図 1 3 ( b ) では、前側脚部 4と後側脚部 7 とが各々、厚板状に形成されている。また図 1 3 ( c ) では、後側脚部 7が角筒状に形成されるとともに前側脚部 4が厚板状に形成されて、その前側脚部 4が角筒状の後側脚部 7の内側に収容されており、図 1 3 ( d ) では、前側脚部 4と後側脚部 7とが各々、 U字状をなすようにパイプ材を曲げて形成されている。そして図 1 3 ( e ) では、後側脚部 7が横断面コ字状に形成されるとともに前側脚部 4が角筒状に形成され、その前側脚部 4が後側脚部 7のコ字形状の開口部と緩く嵌まり合つて後側脚部 7の内側に位置している。

以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前側脚部および後側脚部の、基部および着座部に対する揺動を一定範囲に規制する揺動規制部として、前側脚部に固定した部材がそれら前側脚部および後側脚部の揺動によって当接するストッパー構体等のストッパー部を後側脚部に設けたり、基部や着座部等に前側脚部および後側脚部の少なくとも一方に当接するストッパー部材を設けたりしても良い。

またこの発明の揺動収納式椅子においては、前側脚部および後側脚部の少なくとも一方を二本以上にしても良く、前側脚部の上下端部の揺動軸線間距離を後側脚部の上下端部の揺動軸線間距離よりも短くするとともに基部に対する前側脚部および後側脚部の下端部の揺動軸線を互いに等しい高さに配置しても良い。さらに、基部は、机の何れかの部分、例えば脚部等に固定しても良く、また着座部の背と座とは、別体に形成して金具等で一体的に結合しても良い。

そしてこの発明の揺動収納式椅子は、人が着座していない自由状態で着座部の少なくとも座が机の天板の下方に収納されて収納状態となるように前側脚部や後側脚部を揺動附勢するパネ等の附勢手段をさらに具えていても良い。またこの発明の揺動収納式椅子は、学校用椅子に限られず、例えば集会所や会議室、会議場用等の椅子にも適用することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 床または机に固定される基部と、

互いに一体的に結合された背と座とを有する着座部と、

前記基部に下端部を前後方向揺動可能に連結されるとともに前記着座部に上端部を前後方向揺動可能に連結された前側脚部と、

前記基部に下端部を前後方向揺動可能に連結されるとともに前記着座部に上端部を前後方向揺動可能に連結され、それら上下端部の揺動軸線が前記前側脚部の上下端部の揺動軸線よりも後方に位置する後側脚部と、

前記前側脚部および前記後側脚部の、前記基部および前記着座部に対する揺動を一定範囲に規制する揺動規制部と、

を具え、

前記前側脚部と前記後側脚部とが、それら前側脚部と後側脚部との下端部同士の揺動軸線間距離をそれら前側脚部と後側脚部との上端部同士の揺動軸線間距離よりも短くされることで非平行四節リンクを構成して、前記揺動規制部により規制された後方揺動限位置で前記着座部をその座と背とが使用姿勢になるように配置する一方、前記揺動規制部により規制された前方揺動限位置で前記着座部をその座と背とが前方に傾斜した姿勢になるように配置し、

前記揺動規制部が、前記基部が前下りに傾斜した状態に対応して前記前側脚部と前記後側脚部との前記後方揺動限位置を規制することを特徴とする、揺動収納式椅子。

2 . 前記揺動規制部が、前記基部が前下りに傾斜した状態と前記基部が水平な状態とに選択的に対応可能なように、前記前側脚部と前記後側脚部との前記後方揺動限位置を変更することを特徴とする、請求項 1記載の揺動収納式椅子。

3 . 前記前側脚部と前記後側脚部とが、前記揺動規制部により規制された後方揺動限位置と前方揺動限位置との間の中間揺動位置で前記着座部をその背が直立した姿勢になるように配置することを特徴とする、請求項 1または請求項 2記載の揺動収納式椅子。

4. 前記前側脚部と前記後側脚部との少なくとも一方が横断面コ字状をなしていて、その開口部で前記前側脚部と前記後側脚部とが互いに嵌まり合っていることを特徴とする、請求項 1から請求項 3までの何れか記載の揺動収納式椅子。

5 . 前記前側脚部と前記後側脚部とを一本ずつ具えていることを特徴とする、請求項 1から請求項 4までの何れか記載の揺動収納式椅子。