明 細 書
締付けバンド 技術分野
本発明は、 車両用の等速ジョイントを覆うブーツ等に装着されて締付けを行う 締付けバンドに係り、 詳しくは金属帯状のバンド部材の両端部を重ね合わせてリ ング状に仮止めされた内側バンド部と外側バンド部とに外方に隆起して形成され た内側及び外側引寄せ爪どうしを工具で引き寄せることによりバンド部材を縮径 可能な締付けバンドに関する。 背景技術
いわゆる引寄せタイプの締付けバンドは、 ジョイントブーツや他の部品との干 渉を避けるため、 リング状に形成されたバンド部材の内側及び外側パンド部に形 成された引寄せ爪を工具で引き寄せて固定するようになっている。
例えば特許 2 6 5 2 1 3 6号公報に示す締付けバンドにおいては、 バンド部材 の両端部が重ね合わさる外側バンド部に内向きに膨出する固定爪が、 内側バンド 部に外向き膨出する食付き爪を乗り越えて係止するようになっており、 係止箇所 が 1箇所である場合、 スプリングバックなどにより締結状態が弛緩するおそれが ある。 このため、 外側バンド部に第 1固定爪、 第 2固定爪を設け、 内側バンド部 に第 1食付き爪、 第 2食付き爪とが設けられ、 引寄せ爪を引き寄せて縮径する際 に先ず、 第 1固定爪と第 1食付き爪とが互いに係止し、 更に締付けると第 2固定 爪と第 2食付き爪とが互いに係止して固定され、 締付け力と締付け状態の安定性 を向上させている。
また、 ブーツの外周に嵌め込まれたリング状に仮止めされたバンド部材のバン ド端どうしをプライヤ一などの工具などにより引き寄せて縮径する際に、 仮止め 状態から一旦縮径させて被締付物から得られる反力により再度拡径方向に戻るこ とにより係止爪と係止孔とが係止して固定されるようになっている。
ブーツの材質はゴム製品が主流であつたが、 近年ブロー成形などにより 成さ れる樹脂製ブーツが用いられるようになってきている。 樹脂製ブーツは、 ゴム製
ブーツに比べて材厚が 1 mil!〜 2 mm程度と薄く締付け時の変形量が少ないうえ に硬度が高く変形し難いため、 バンド側に反力が得られ難い。 また、 シール性を 維持するためゴム製ブーツに比べて比較的大きな締付け荷重で締付ける必要があ る。
このため、 締付けバンドは、 ブーツ側からの反力が小さいため、 バンド部材自 身に弾性力を蓄える構造を採用した締付けバンドが提案されている。 バンド部材 自身に弾性力を蓄える構造としては、 例えば断面 V字状部や断面 W字状部を形成 したり (特開平 7— 1 9 8 0 7 7号公報) 、 長手方向に貫通孔を設けたり、 当該 貫通孔の両側を波打たせた形状にする (特開平 3— 2 0 9 0 3 5号公報) など、 バンド部材に変形可能な凹凸部ゃ孔が形成されている。
上述した特許 2 6 5 2 1 3 6号公報に示す締付けバンドは、 リング状に仮止め した状態から、 引寄せ爪に工具を係止させてクランプすると、 外側バンド部に内 向きに膨出する第 1、 第 2固定爪が、 内側バンド部に外向き膨出する第 1、 第 2 食付き爪を各々乗り越えて係止し合う。 このため、 最もパンド部材にクランプ力 が作用する瞬間に固定爪と食付き爪とが相対的に乗り越えて係止するため、 内側 及び/又は外側に膨出する爪の頂部を潰したり変形させたりするおそれがある。 この結果爪どうしの係止状態が浅くなり、 スプリングバックによる締結安定性が 低下するおそれがあった。 また、 重なり合うバンド面を爪により擦りながら縮径 するので、 締付け/締付け解除動作を繰り返すと爪の頂部が摩耗し工具によりク ランプし難くなる。 また、 縮径状態を解除するとバンド部材の両端部が弾発して 開放状態となるため、 取扱性や安全性に課題もあった。
また、 第 1固定爪と第 1食付き爪とが係止した後更なる締径動作により第 2固 定爪と第 2食付き爪とが係止するため、 引寄せ爪を引き寄せるためのストローク も大きくなる。 このため小径の締付けバンドにはクランプによりバンド部材の挫 折が生じるおそれがある。
また、 上述した特開平 7— 1 9 8 0 7 7号公報ゃ特開平 3— 2 0 9 0 3 5号公 報等に開示されているように、 バンド部材自身に弾性力を持たせるべく凹凸部や 孔を形成する場合には、 バンド部材の強度低下と信頼性低下を招来する。 即ち、 樹脂製ブーツのように変形の少ない物を締付ける場合、 大きな締付け力を要する
ため、 バンド部材が周方向へ不連続となる部位 (凹凸部ゃ孔) が増え、 面圧不足 によるシール性の低下が懸念される。
また、 リング状に仮止めされたバンド部材を縮径させる際に、 被締付物の公差 のばらつきをバンド部材の縮径作用又は拡径作用により吸収して締付けが行われ るカ^ 被締付物である樹脂製ブーツは硬度が高く変形し難いため、 縮径によりバ ンド部材が保有する弾性限界を超えて塑性変形するおそれがあり、 パンド部材に 伸びが発生して結果的に高い締付け力が発揮できないおそれがある。
更には、 加工工数が増えて製造コストが嵩む上に、 バンド部材に弾性力を付与 する凹凸部分が増えると、 パンド部材をリング状に成形する際に当該凹凸部が変 形することなく成形するのが難しく、 製品毎にバンド径等の寸法がばらつき易く なるので取扱難いという課題もある。 発明の開示
本発明の第 1の目的は、 バンド部材を縮径させる際に固定爪に無理な荷重がか からず、 しかも締付け後の締付け状態の安定性が高く、 汎用性や耐久性を向上さ せた締付けパンドを提供することにある。
また、 第 2の目的は、 パンド部材の強度や面圧が低下することなく被締付物の 公ム、差のばらつきを効率良く吸収し、 締付け時の必要な復元力を確保できる信頼性 の高い締付けバンドを提供することにある。
上記第 1、 第 2の目的を達成するため本発明に係る締付けバンドは次の第 1、 第 2の構成を有する。
第 1の構成は金属帯状のバンド部材の両端部を重ね合わせ、 リング状に仮止め された内側バンド部と外側バンド部とに外方に隆起して形成された内側及び外側 引寄せ爪どうしを工具で引き寄せることにより前記バンド部材を縮径可能な締付 けバンドにおいて、 内側バンド部の外側バンド部と重なり合う部位に、 外方に起 立して形成された起立片、 ストッパ一受入れ孔及び固定爪が端部側よりこの順に 形成され、 外側バンド部の内側バンド部と重なり合う部位に、 固定孔、 先端を内 側バンド部に向けて傾斜させて形成されたタブ状ストッパー及び前記起立片の移 動をガイドする長孔が端部側よりこの順に形成され、 前記内側バンド部の起立片
を外側バンド部の長孔に進入させると共に外側バンド部のタブ状ストッパーを起 立片の元端側の切欠孔内に進入させて前記バンド部材がリング状に仮止めされ、 前記内側及び外側引寄せ爪どうしを引き寄せることにより、 前記外側パンド部の 固定孔を内側バンド部の固定爪に係止させると共に前記タブ状ストッパーをスト ッパー受入れ孔に係止させて、 パンド部材が縮径状態で固定されることを特徴と する。
また、 タブ状ストッパーは長孔の外側パンド端側の辺縁部に長手方向に切り込 みが形成されて先端側を内側バンド部へ向けて傾斜させて形成されていることを 特徴とする。
更には、 内側引寄せ爪は固定爪より内側パンド端から離間する位置に外方に隆 起して形成され、 前記外側引寄せ爪は、 固定孔とタブ状ストッパーとの間に外方 に隆起して形成されていることを特徴とする。
第 2の構成は、 金属帯状のバンド部材の両端部を重ね合わせてリング状に仮止 めされた当該バンド部材の内側バンド部と外側バンド部とを互いに引き寄せるこ とにより前記パンド部材を縮径可能な締付けバンドにおいて、 リング状に仮止め されたバンド部材を縮怪した際に、 被締付物に密着して変形し内外バンド端どう しが相対的に拡径方向に戻って係止するための復元力を付与する公差補正部材が バンド部材の一部に装着されていることを特徴とする。
上述した第 1の構成に係る締付けバンドを用いると、 内側バンド部の起立片を 外側バンド部の長孔に進入させると共に外側バンド部のタブ状ストッパーを起立 片の元端側の孔内に進入させてバンド部材がリング状に仮止めされるので、 外側 バンド端側が浮き上がるのを防止できる。 これにより、 仮止め状態のバンド部材 において、 内側引寄せ爪及び外側引寄せ爪に工具を係止して縮径する作業がし易 くなる。
特に、 外側バンド部の固定孔を内側バンド部の固定爪に係止させると共にタブ 状ストッパ一をス卜ッパー受入れ孔に係止させて、 バンド部材が縮径状態で固定 されるので、 1箇所に設けられた固定爪に荷重が集中するのを防いで締付荷重を 分担させることができ、 スプリングバックによる弛緩も防止して締付け信頼性が 向上する。
また、 タブ状ストッパーが先端側を内側バンド部へ向けて傾斜させて形成され ているので、 仮止め状態のバンド部材を縮径する際に、 内側バンド部に当接して 押し戻されるよう弾性変形しながら搢動し、 ストッパー受入れ孔に到達すると、 自らの弾性力で孔内に進入して係止するので、 固定爪の変形などのダメージは殆 ど生ずることがなく、 繰り返し使用しても固定爪が摩耗することがなく耐久性を 向上できる。
更に、 外側引寄せ爪は、 外側バンド端に近い固定孔とタブ状ストッパーとの間 に外方に隆起して形成されており、 固定爪も 1箇所のみ形成されているので、 締 付けストロークをできるだけ小さくして小径の締付けバンドを提供できる。
また、 第 2の構成に係る締付けバンドを用いると、 リング状に仮止めされたバ ンド部材を縮怪した際に被締付物に密着して変形し、 バンド端どうしが相対的に 拡径方向に戻って係止するための復元力を付与する公差補正部材がパンド部材の 一部に装着されているので、 縮径により変形した公差補正部材の復元力とバンド 部材自身からのスプリングバックする復元力とが重畳して得られる。これにより、 縮怪した内外バンド端が拡径方向へ確実にスプリングバックして固定孔と固定爪 とが強固に係止したままバンド部材の縮径状態を維持することができる。
また、 公差補正部材の変形とバンド部材自身の変形による相乗効果により被締 付物の公差のばらっきを吸収することができる。
また、 バンド部材の中途部には凹凸部ゃ孔等が存在せず、 取付凹部に公差補正 部材が装着されているため、 バンド部材の強度低下することがなく、 大きな締付 け力で締付けても周方向で不連続となる部位が存在せず、 十分な面圧が得られて 締付け信頼性を向上できる。
また、 パンド部材に弾性力を付加するための特別な加工を施す必要がないので 安価に大量生産可能であり、 またパンド部材に凹凸部分が少ないのでリング状に 成形し易く、 製品毎の寸法のばらつきも低減できる。 図面の簡単な説明
図 1 A及び図 1 Bは締付けバンドの平面図及び長手方向の断面図であり、 図 2 は締付けバンドの斜視図であり、 図 3 A及び図 3 Bは仮止め状態のバンド重なり
部の平面図及び長手方向断面図であり、 図 4 A及び図 4 Bは固定状態のバンド重 なり部の平面図及び長手方向断面図であり、 図 5 A及び図 5 Bは締付け前後の公 差補正部材の状態図であり、 図 6は締付けバンドを樹脂製ブーツに装着して締付 ける手順を示す説明図であり、 図 7は車両に取り付けられた締付けバンドの説明 図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。 本発明に 係る締付けバンドは例えば車両用のジョイントを覆う樹脂製ブーツを締付ける締 付けバンドについて説明する。
先ず、 締付けバンドの全体構成について図 1乃至図 3を参照して説明する。 図 2において、 本願の締付けバンドは、 金属帯状のバンド部材 1の両端部を重 ね合わせてリング状に仮止めされた内側バンド部 2と外側バンド部 3とに外方に 隆起して形成された内側及び外側引寄せ爪 4、 5どうしを工具で引き寄せること によりバンド部材 1を縮径可能に構成されている。 バンド部材 1としては、 例え ばステンレススチール材 (S U S 3 0 1、 S U S 3 0 4、 S U S 4 3 0など) が 好適に用いられる。
図 1 A及び図 1 Bにおいて、 内側バンド部 2の外側バンド部 3と重なり合う部 位には、 外方に起立して形成された起立片 6、 ストッパー受入れ孔 7及び固定爪 8が端部側よりこの順に形成されている。 内側バンド端は舌片状端部 9が形成さ れている。
起立片 6は、 舌片状端部 9の元端部に近い位置でバンド部材 1の幅方向中央部 を略 9 0度垂直に切り起こされて形成されている (図 1 B参照) 。 起立片 6から バンド端より所定距離だけ離間する位置にストッパー受入れ孔 (貫通孔) 7が形 成されている。 上記起立片 6からストッパー受入れ孔 7間での距離 Sは、 締付け バンドの締付けストローク Sを規定している。 また、 ストッパー受入れ孔 7から バンド端より所定距離だけ離間する位置に固定爪 8がバンド端側に背を向けるよ うに外方にドーム状に隆起して形成されている。 この固定爪 8は、 後述する固定 孔 1 0と係止させるため、 外側バンド部 3のバンド端が乗り越え易いようにバン
ド端側に背を向けた面 8 aが R状若しくはテ一パ一状に形成されているのが望ま しい。 また、 固定爪 8からバンド端より所定距離だけ離間する位置に内側引寄せ 爪 4がバンド端側に背を向けるように外方に隆起して形成されている (図 1 B参 照) 。
また、 図 1 A及び図 1 Bにおいて、 外側バンド部 3の内側バンド部 2と重なり 合う部位には、 固定孔 1 0、 先端を内側バンド部 2に向けて傾斜させて形成され たタブ状ストッパー 1 1及び起立片 6の移動をガイドする長孔 1 2が端部側より この順に形成されている。 また、 タブ状ストッパー 1 1は、 長孔 1 2の外側バン ド端側の辺縁部に長手方向に切り込みが形成されて先端側を内側バンド部 2へ向 けて傾斜させて形成されている (図 1 B参照) 。 タブ状ストッパー 1 1は、 タブ 状に形成されているので、 内側バンド部 2に当接することで弾性変形することが 可能である。
固定孔 1 0は貫通孔であり、 外側バンド端に最も近い位置に形成されている。 固定孔 1 0は、 縮径状態で固定爪 8に係止する。 固定孔 1 0のバンド端より離間 する片緣部を外方に隆起して外側引寄せ爪 5が形成されている(図 1 B )参照)。 この外側バンド部 3に形成される外側引寄せ爪 5は、 締付けストローク Sをでき るだけ小さくするため、 外側バンド端に近い固定孔 1 0に隣接する位置に形成さ れているのが好ましい。
また、 外側引寄せ爪 5より所定距離だけ離間する位置にタブ状ストッパー 1 1 が形成されている。 タブ状ストッパー 1 1は、 仮止め状態で起立片 6と係止し外 側バンド端側が浮き上がるのを防止できる。 これにより、 内側引寄せ爪 4及び外 側引寄せ爪 5に工具を係止させて縮径する作業がし易くなる。 タブ状ストッパ一 1 1は、 縮径状態でストッパー受入れ孔 7に係止する。 これにより、 1箇所に設 けられた固定爪 8に荷重が集中するのを防いで締付荷重を分担させることができ、 スプリングバックによる弛緩も防止して締付け信頼性が向上する。 図 1 Aにおい て、 ストッパー受入れ孔 7 (係止辺側) から固定爪 8までの距離 Aとタブ状スト ッパー 1 1 (係止部) から固定孔 1 0 (係止辺側) までの距離 Bは等しくなるよ うに形成されている。
また、 仮止め状態のバンド部材 1を縮径する際に、 タブ状ストッパー 1 1は起
立片 6に係止した状態から、 該起立片 6とストッパー受入れ孔 7との間の内側バ ンド面に当接して上側に板厚分だけ押し戻されるよう弾性変形しながら摺動し、 ストッパー受入れ孔 7に到達すると、 自らの弾性力で孔内に進入して係止する。 したがって、 従来例のように固定爪に与える変形などのダメージは殆ど生ずるこ とがなく、 繰り返し使用しても固定爪が摩耗することがないため、 耐久性を向上 できる。
仮止め状態において内側引寄せ爪 4と及び外側引寄せ爪 5との距離が短いので 専用の工具を使用しなくとも、 汎用のプライヤーのダリッパージョ一を爪端部に 当接させて締付けることができ、 使い勝手が向上し、 製造コストを削減できる。 また、 図 1 A及び図 1 Bにおいて、 長孔 1 2のバンド端から離間する側の近傍 には長手方向に切込 1 3が平行に設けられている。 この切込 1 3に囲まれた幅方 向中央部を外方に膨出させて舌片収容部 1 4が形成されている。 この舌片収容部 1 4は、 バンド部材 1を縮径させた際に、 舌片状端部 9を進入させて内外段差を 吸収するように設けられている。
また、舌片収容部 1 4のパンド端から離間する側の近傍には、パンド部材 1の一 部を門型状に外方へ突設した取付部 1 5が設けられている。 図 2において、 この 取付部 1 5には公差補正部材 1 6が接着若しくは嵌込みにより取り付けられる。 取付部 1 5の突出面には長手方向に沿って長孔 1 7が穿孔されている。
ここで、 バンド部材 1をリング状に仮止めした状態から縮怪した状態に移行す るまでのバンド重なり部分の動作について図 3及び図 4を参照して説明する。 図 3 A及び図 3 Bは、内側バンド部 2と外側バンド部 3とが仮止め状態を示す。 内側バンド部 2の起立片 6を外側パンド部 3の長孔 1 2に進入させると共にタブ 状ストッパ一 1 1を起立片 6と係止させて外側バンド端の浮き上がりを抑えつつ バンド部材 1がリング状に仮止めされている。
図 4 A及び図 4 Bにおいて、 工具を用いて内側引寄せ爪 4及び外側引寄せ爪 5 の爪端部に係止させて引き寄せることにより、 内側バンド部 2の起立片 6が長孔 1 2にガイドされながら外側バンド端より離間する方向に移動する。 このとき、 外側バンド部 3のバンド端が内側バンド部 2の固定爪 8を背面側より乗り越え、 固定孔 1 0が固定爪 8に係止する共にタブ状ストッパー 1 1を弾性変形させなが
らストッパー受入れ孔 7に係止させて、 固定爪 8とタブ状ストッパー 1 1とで締 付荷重を分担してバンド部材 1が縮径状態で固定される。
次に、 バンド部材 1をリング状に仮止めした状態から縮怪した状態に移行する までの公差補正部材 1 6の挙動について図 5 A及び図 5 Bを参照して説明する。 図 5 Aにおいて、 バンド部材 1が樹脂製ブーツ 1 8に嵌め込まれると、 公差補 正部材 1 6が樹脂製ブーツ 1 8に密着する。 公差補正部材 1 6は門型状に形成さ れた取付部 1 5の凹面部に嵌め込まれて接着されている。 公差補正部材 1 6は樹 脂製ブーツ 1 8の樹脂材と硬度が同等若しくは柔らかく使用環境による影響を受 け難い耐候性樹脂材(例えば、 ネオプレンゴム、 シリコンゴム、 エラストマ一等) が好適に用いられる。
バンド部材 1は、 図示しないプライヤーなどの工具により内側及び外側引寄せ 爪 4、 5をクランプして引寄せ、 固定孔 1 0が固定爪 8の背面を乗り越えるまで 縮径される。 このとき、 図 5 Bにおいて、 公差補正部材 1 6は門型状に突出する 取付部 1 5が潰れるのしたがって樹脂製ブーツ 1 8に密着したまま更に変形し、 内外バンド端どうしが相対的に拡径方向に戻って固定孔 1 0と固定爪 8とが係止 するための復元力を付与する。 具体的には、 バンド部材 1が縮径されると公差補 正部材 1 6が変形し、 例えば周方向に長さ L 2 OL 1 ) まで伸ばされ、 周方向 中央部の材厚が t 2 « t 1 ) まで押し潰される。 このとき、 樹脂製ブーツ 1 8 は比較的硬くて薄く変形し難いため、 当該樹脂製ブーツ 1 8側からの反力は小さ レ^ このため、 バンド部材 1の弾性領域を越えた力で締付けが行われると、 バン ド部材 1が伸びたままになり締付けが不十分となるおそれがある。本実施例では、 縮径により変形した公差補正部材 1 6の復元力とバンド部材 1の門型状に形成さ れた取付部 1 5自身のスプリングバックする復元力とが重畳して作用するため、 内外バンド端が拡径方向へ確実にスプリングバックして固定孔 1 0と固定爪 8と が強固に係止したままバンド部材 1の縮径状態を維持することができる。
また、 バンド部材 1の中途部には凹凸部ゃ孔等が存在しないため、 バンド部材 1の強度低下することがなく、 大きな締付け力で締付けても周方向で不連続とな る部位が存在せず、 十分な面圧が得られて締付け信頼性を向上できる。
また、 バンド部材 1に弾性力を付加するだめの特別な加工を施す必要がないの
で安価に大量生産可能であり、 またバンド部材に凹凸部分が少ないのでリング状 に成形し易く、 製品毎にバンド径等の寸法のばらつきも少なくなる。
次に、 図 6において、 締付けバンドを樹脂製ブーツ 1 8に装着して締付ける作 業手順の一例について説明する。 尚、 バンド部材 1には、 公差補正部材 1 6が予 め装着されているものとする。 一方のジョイント部に接続するシャフト 1 9に、 一端側が小径の締付けバンド 2 0により固定された樹脂製ブーツ 1 8の他端側外 周に仮止めされた大径の締付けバンド 2 1を嵌め込む。 一方のジョイント部を他 方のジョイント部 2 2へ組み付けると共に、 大径の締付けバンド 2 1が嵌め込ま れた榭脂製ブーツ 1 8の他端側をジョイント部 2 2へ嵌め込む。 そして、 内側及 び外側引き寄せ爪 4、 5をクランプしてバンド部材 1を縮怪して、 固定孔 1 0を 固定爪 8へ係止させて樹脂製ブーツ 1 8のジョイント部 2 2への締め付けが完了 する。
公差補正部材 1 6は、 被締付物が環境変化により膨張 ·収縮する場合に、 その 変化分を吸収補完する作用効果を発揮し、 常に必要とされる締付力を確保するこ とができる。 特に、 図 7において、 例えば車両の前輪 2 3側と後輪 2 4側のジョ イント部とを比較すると、 前輪 2 3側のジョイント部に装着される樹脂製ブーツ 1 8のなかでもエンジン 2 5に近い樹脂製ブーツ 1 8はエンジン 2 5が駆動時と 停止時とでは温度変化が大きく、 樹脂製ブーツ 1 8の膨張 ·収縮が繰り返し発生 する。 この結果、 ブーツ材である樹脂が硬化したり劣化して弾性力による反力が 失われ、 樹脂製ブーツ 1 8のシール性が徐々に失われる。 公差補正部材 1 6は、 上述した樹脂製ブーツ 1 8の経時変化による変動分を吸収し、 締付けに要する反 力を常時提供することが可能となる。
本発明は上述した各実施例に限定されるのものではなく、 締付けストローク S を任意に設定することで、 小径から大径の様々なサイズの汎用性の高い締付けバ ンドを提供できる。 また、 内側バンド端を舌片状端部 9の替わりに二股状端部と してもよく、 これに応じて外側バンド部 3の両側に二股状端部を収容可能な凹部 を設けても良い。 また、 公差補正部材 1 6の材質は、 縮怪したバンド部材 1に復 元力 (反力) を付与するものであれば、 他の部材であっても良い。 また、 被締付 物は車両の等速ジョイントを覆う榭脂ブーツに限らず、 樹脂ホース等であっても
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