明細書 高圧放電灯点灯装置 技術分野
本発明は HIDランプ等の高圧放電灯の点灯装置に関し、特に車両用の 前照灯を点灯させる高圧放電灯点灯装置に関するものである。 背景技術
夜間における運転手の視認性を向上させるため、 車両用のヘッ ドラン プ用光源として高輝度放電灯 (High Intensity Discharge Lamp; HIDランプ) を装備したものが知られている。
この HID ランプは、 従来のハロゲンランプ等に比して、 小電力で明る い光を得ることができるものの、従来とは異なる HIDランプ特有の点灯 装置が必要となる。
また、 この点灯装置は車両用のへッ ドランプ用としての特有の条件を 満たす必要もある。 すなわち、 車両用のヘッ ドランプは短時間のうちに 安定した高輝度の光束を出力しなければならない。
一般に、 ランプの始動点灯直後には定格電力の 2倍以上のランプ電力 を点灯装置から供給する必要がある。 第 5図はこのことを示すもので、 定格電力が 3 5 W であるのに対して始動点灯直後には 7 0 W 程度の電 力が必要となる。
このように、 車両用のへッ ドランプの点灯装置として機能させるため には始動点灯直後において大きな電力を供給しなければならないという 特殊事情を有するために、 点灯装置の D C— D Cコンパ一夕回路も始動 点灯時において大きな電力を供給し得るような設計とする必要がある。
一方、 多くの運転者の安全性をさらに向上させるため、 中級車以上の 大型車のみならず、今後は大衆車や軽自動車についても上記 HIDランプ を搭載することが要求されており、 また、 近年の、 車両の小型化および 軽量化の要請に沿うべく、上記点灯装置の小型化、軽量化が急務である。 従来、 上記点灯装置の小型化、 軽量化を図るため、 D C— D Cコンパ
—夕トランスの巻線の径を細くし、 このトランスを小型化することで、 点灯装置の小型化、 軽量化を図る努力がなされていた。
なお、 巻線の径を細くすれば発熱の問題が生じるが、 大きな電力は始 動点灯から所定期間に限って供給すればよい、 という条件の下に D C— D Cコンバータトランスの小型化、 軽量化を優先する上記措置が採られ ていた。
ところで、 上記 D C— D Cコンバータトランスの小型化、 軽量化を促 進するためには、 トランス重量の大きな部分を占めるコア部分について の小型化を図る必要がある。
しかしながら、 従来の D C _ D Cコンパ一夕回路の構成では、 D C—
D Cコンバータトランスのコア部分の小型化を図ろうとすると磁気飽和 が生じやすくなり、 点灯に必要な大きな電力が得られなくなる。 すなわ ち、 車両用のへッドランプの点灯装置として機能させるための上述した 特殊事情が、 コア部分の小型化を図る上で大きな障害となっており、 点 灯装置の小型化、 軽量化は、 上記巻線部分の僅かな小型化、 軽量化によ るもののみにとどまつていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、車両用の HIDへッド ランプを点灯するための点灯装置において、 ランプ始動点灯時において も、 トランスコア部の磁気飽和を生じることなく、 D C— D Cコンパ一 夕回路の小型化、 軽量化、 ひいては点灯装置の小型化、 軽量化を図りう る高圧放電灯点灯装置を提供することを目的とするものである。
発明の開示
本発明の高圧放電灯点灯装置は、 直流電圧源の電圧をスィツチング素 子を用いて昇圧し、 平滑して出力する直流電源回路と、
この直流電源回路から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、 高圧 放電灯を継続点灯させるフルブリッジ回路と、
このフルプリッジ回路から出力された交流電圧信号に重畳される、 前 記高圧放電灯を始動点灯させるための高電圧パルスを発生する高電圧パ ルス発生回路と、
前記高圧放電灯の始動点灯時には前記スィツチング素子の O N状態の 期間が長くなるように、 通常時には前記スイッチング素子の O N状態の 期間が短くなるように、 信号波形のデュ一ティ比が制御されてなる PWM制御信号を出力するスィツチ切替信号制御回路とを備え、
前記スィッチ切替信号制御回路に、 前記 PWM 制御信号の周波数を、 前記高圧放電灯の始動点灯時から所定期間は高い周波数に、 該所定期間 経過後は低い周波数になるように制御する発振周波数制御手段を設けた ことを特徴とするものである。
また、 前記発振周波数制御手段は、 前記高圧放電灯の始動点灯時から の時間に対応した周波数の矩形波を発生するスィツチング周波数信号発 生部と、 該スィツチング周波数信号発生部からの矩形波を三角波または 正弦波に変換する発振器とを備えるように構成することが可能である。 また、 例えば、 前記直流電源回路はフライバック回路を備え、 前記ス ィツチング素子は、 該フライバック回路の昇圧トランスの 1次巻線に流 れる電流を制御するように構成することが可能である。 図面の簡単な説明
第 1図は本発明の実施形態にかかる点灯装置の PWM制御部を示すブ ロック図、
第 2図は本発明の実施形態にかかる点灯装置を示すプロック図、 第 3図は本発明の実施形態にかかる点灯装置を示す回路図、
第 4図 (A) ( I ) は第 1図に示す発振周波数制御手段からの発振周波 数 200KHz の出力信号波形を示す図、 第 4図 (A) (Π) は、 発振周波 数制御手段からの出力信号が第 4図 (A) ( I ) である場合に、 第 1図に 示す比較器における入力信号波形を示す 、 第 4図 (A) (1) は、 発振 周波数制御手段からの出力信号が第 4図 (A) ( I ) である場合に、 第 1 図に示す比較器からの PWM制御信号波形を示す図、 第 4図 (B) ( I ) は第 1図に示す発振周波数制御手段からの発振周波数 ΙΟΟΚΗζの出力信 号波形を示す図、 第 4図 (B) (Π) は、 発振周波数制御手段からの出力 信号が第 4図 (B) ( I ) である場合に、 第 1図に示す比較器における入 力信号波形を示す図、 第 4図 (B) (ΠΙ) は、 発振周波数制御手段からの 出力信号が第 4図 (B) ( I ) である場合に、 第 1図に示す比較器からの PWM制御信号波形を示す図、
第 5図は本発明の実施形態における HID ランプの供給電力変化を示 すグラフ、
第 6図は第 1図に示す発振周波数制御手段における C P Uの処理手順 を示すフローチヤ一ト、
第 7図は従来の点灯装置の PWM制御部を示すプロック図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の高圧放電灯点灯装置に係る実施形態について図面を用 いて説明する。 ここで、本実施形態装置は車載用の HIDヘッドランプの 高圧放電灯点灯装置であり、 本実施形態装置のポイントである PWM制
御部 (スィッチ切替信号制御回路) の説明を行なう前に、 装置全体の回 路構成を第 2図および第 3図を用いて説明しておく。
第 2図は、 装置全体の回路構成を示すブロック図であり、 本実施形態 装置が直流電圧源 1としての車載バッテリ、 直流電圧源 1の電圧をスィ ツチング素子を用いて昇圧し、 平滑して出力する D C — D Cコンバータ 回路 (直流電源回路) 2と、 この D C—D Cコンバータ回路 2から出力 された直流電圧を交流電圧に変換し、 高圧放電灯を継続点灯させるフル プリッジ回路 3と、 このフルブリッジ回路 3から出力された交流電圧信 号に重畳される、 HIDランプ (高圧放電灯) 5を始動点灯させるための 高電圧パルスを発生するイダナイ夕回路(高電圧パルス発生回路) 4と、 前記 HID ランプ 5の始動点灯時には上記スイッチング素子の O N状態 の期間が長くなるように、 通常時には上記スイッチング素子の O N状態 の期間が短くなるように、 矩形波のデューティが制御されてなる FWM 制御信号を出力する PWM制御部 (スィッチ切替信号制御回路) 6とに より構成されることが示されている。
また、 上記 PWM制御部 6には、 上記 PWM制御信号の周波数を、 上 記 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間は高い周波数に、その所定期 間経過後は低い周波数になるように制御する発振周波数制御手段が設け られている。
なお、 この本実施形態装置においては、 HIDランプ 5として、 自動車 用の 3 5 Wバルブを用いている。
次に、 第 3図を用いて上記回路構成をより具体的に説明する。
上記 D C _ D Cコンバ一夕回路 2は一般にフライバック回路と称され る構成をなしており、直流電圧源 1側に配された 1次卷線 1 1 aと HID ランプ 5側に配された 2次卷線 1 1 bを備えたフライバックトランス 1 1と、 1次巻線 1 1 aに接続されたスィツチング素子としての F E T 1
2とを備えている。 また、 2次巻線 1 1 bに接続された整流用ダイォ一 ド 1 3と出力平滑用コンデンサ 14を備えている。 ここで、 FET 1 2 がオン状態となると、 フライバックトランス 1 1の 1次巻線 1 1 aに 1 次電流 i iが流れて 1次卷線 1 1 aにエネルギーが蓄えられ、 F E T 1 2がオフ状態となった際に、 この蓄えられたエネルギーが 2次巻線 1 1 bから電流 i 2として放出される。 引き続きこのような動作が繰り返さ れることにより、 ダイオード 1 3と平滑用コンデンサ 1 4の接続点 (上 述した電圧検出信号の検出点) から高電圧がフルブリッジ回路 3に対し て出力される。
フルブリッジ回路 3はインバータ回路を形成しており、 HIDランプ 1
2を矩形波信号により交流点灯させるもので、 プリッジ状に配置された 4つの FET 2 1 a〜2 1 dからなる。 なお、 4つの FET 2 1 a〜2 1 dは図示されないブリッジ駆動回路によって、 FET 2 1 a、 2 I d と F ET 2 1 b、 2 1 cが交互にオンオフ駆動されるようになっている。 したがって、 HID ランプ 5の放電電流の向きが交互に切り替えられ、 HID ランプ 5の放電電圧の極性が反転して HID ランプ 5が交流点灯す ることになる。
ィグナイタ回路 4は HIDランプ 5の始動点灯時に HIDランプ 5に高 電圧パルスを印加してこの HIDランプ 5を点灯させるものである。すな わち、 イダナイ夕回路 4は、 パルスエネルギーを蓄積するコンデンサ、 パルストランス、 およびコンデンサのエネルギーをパルストランスの 1 次側に印加するためのスィッチ素子 (サイリス夕) を備えており、 スィ ツチ素子 (サイリス夕) にゲート信号が印加されると、 コンデンサがパ ルストランスの 1次巻線を介して放電し、 パルストランスの 2次巻線に 高電圧パルスを発生させ、この高電圧パルスが HIDランプ 5に印加され, HIDランプ 5の電極間で絶縁破壊を生じさせ、 HIDランプ 5を始動点灯
させるものである。
なお、 D C— D Cコンバータ回路 2、 フルブリッジ回路 3およびイダ ナイ夕回路 4の各素子は図示されない制御回路により制御されている (実際には PWM制御部 6と隣接した制御部において行なわれる)。
ところで、 D C— D Cコンバータ回路 2においては、 前述したように スィツチング素子である F E T 1 2のオンオフ状態の切替えによって、 フライバックトランス 1 1からのエネルギー放出量を変化させている。 この F E T 1 2のオンオフ状態の切替えの制御は上述したように PWM 制御部 6において行なわれる。
第 7図は従来の PWM制御部 6 aの構成を示すブロック図である。 な お、 第 7図において、 後述する本実施形態の PWM制御部 6における各 部と対応するものについては、 その実施形態各部に付した番号と同一番 号を付し、 さらに従来技術に係るものであることを示すために aを付し て表すことにする。
すなわち、 D C— D Cコンバータ回路 2の、 ダイオード 1 3と平滑用 コンデンサ 4 4の接続点からの電圧を検出して得られた電圧検出信号を 入力され、その検出電圧値に基づく信号を出力する電力制御部 3 1 aと、 この電力制御部 3 1 aからの出力値と基準電圧値を比較しその誤差電圧 値に基づくレベルの誤差レベル信号を出力する誤差増幅器 3 2 aと、 予 め定められた周波数の矩形波を出力する発振回路 3 3 aと、 この発振回 路 3 3 aからの矩形波を三角波に変換する三角波発振器 3 4 aと、 上記 誤差レベル信号と三角波発振器 3 4 aから出力された三角波信号を比較 して、 三角波信号が大きくなる期間において Hレベルとなる PWM制御 信号をスイッチング素子 1 2 aに出力する比較器 3 5 aとを備えており、 スイッチング素子 1 2 aは、 入力された PWM制御信号の Hレベル期間 において O N状態となるように制御されることになる。
一般に、 ランプの始動点灯直後には定格電力の 2倍以上のランプ電力 を点灯装置から供給する必要があり、上述した HIDランプ 5においても、 定格電力が 3 5 W であるのに対して始動点灯直後には 7 0 W 程度の電 力が必要となる。 このような電力の切替えは上述した検出電圧値に基づ く信号を出力する電力制御部 3 1 aにおいて制御されている。すなわち、 この電力制御部 3 1 aからの出力値が制御されることにより、 上記誤差 レベル信号のレベルが制御され、 HIDランプ 5の始動点灯直後において は通常時に比べて Hレベル期間のデュ一ティが大きくなるように制御さ れる。
しかし、このように HIDランプ 5の始動点灯時に大きな電力を得よう とすると、 フライバックトランス 1 1のコア部分の磁気飽和が生じやす くなり、 このコア部分の小型化を図ることが困難となる。
そこで、 本実施形態の高圧放電灯点灯装置においては、 第 1図に示す ように PWM制御部 6に発振周波数制御手段 3 6を設け、 F E T 1 2に 出力する P WM制御信号を、 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間は 高い周波数に、 その所定期間経過後は低い周波数になるように制御し る構成としている。 すなわち、 本実施形態においては、 PWM 制御信号 の周波数を高く設定して、 スィツチング素子のスィツチング周波数を高 く設定すると、 トランスの巻線に流れる電流波形のピーク値が下がり磁 気飽和が起きにくくなる、 ことを利用してコア部分の小型化を達成して いる。
なお、 第 1図に示す如く PWM制御部 6は、 上述した PWM制御部 6 aと同様に、 D C—D Cコンバータ回路 2の、 ダイオード 1 3と平滑用 コンデンサ 1 4の接続点からの電圧を検出して得られた電圧検出信号を 入力され、 その検出電圧値に基づく信号を出力する電力制御部 3 1と、 この電力制御部 3 1からの出力値と基準電圧値を比較しその誤差電圧値
に基づくレベルの誤差レベル信号を出力する誤差増幅器 3 2と、 HIDラ ンプ 5の始動点灯から所定期間は 2 0 0 K H z , その期間経過後は 1 0 0 K H zの矩形波を出力する発振周波数制御手段 3 6と、 この発振周波 数制御手段 3 6の矩形波を三角波に変換する三角波発振器 3 4と、 上記 誤差レベル信号と三角波発振器 3 4から出力された三角波信号を比較し て、 三角波信号の方が大きくなる期間において Hレベルとなる PWM制 御信号をスイッチング素子 1 2に出力する比較器 3 5とを備えており、 スィツチング素子 1 2は、 入力された PWM制御信号の Hレベル期間に おいて O N状態となるように制御される。
以下、 第 4図を用いて上記 PWM制御部 6における作用を説明する。 まず、 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間は、 発振周波数制御手 段 3 6から第 4図 (A ) に示すような 200KHzの発振周波数信号 (矩形 波)が出力される(信号波形( I ) )。 この 200KHzの発振周波数信号は、 三角波発振器 3 4において 200KHzの三角波信号とされ、 比較器 3 5に おいて誤差増幅器 3 2からの誤差レベル信号と比較される (信号波形 ( Π ) )。 そして、 比較器 3 5の信号比較処理により、 三角波信号の方が 大きくなる期間において Ηレベルとなる 200ΚΗζの PWM制御信号 (信 号波形において Ηレベルのデューティが大きくなつている) がスィツチ ング素子 1 2に出力される (信号波形 (m) )。
一方、 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間が経過した後は、 発振 周波数制御手段 3 6から第 4図 (B ) に示すような ΙΟΟΚΗζの発振周波 数信号 (矩形波) が出力される (信号波形 ( 1 ) )。 この ΙΟΟΚΗζの発振 周波数信号は、三角波発振器 3 4において ΙΟΟΚΗζの三角波信号とされ、 上記 (A ) の場合と同様に、 比較器 3 5において誤差増幅器 3 2からの 誤差レベル信号と比較される (信号波形 (Π ) )。 そして、 比較器 3 5の 信号比較処理により、 三角波信号の方が大きくなる期間において Ηレべ
ルとなる ΙΟΟΚΗζの PWM制御信号(信号波形において Hレベルのデュ —ティが小さくなつている) がスイッチング素子 1 2に出力される (信 号波形 (ΠΙ ) )。
このように、 本実施形態の高圧放電灯点灯装置においては、 PWM 制 御部 6に発振周波数制御手段 3 6を設けることで、 F E T 1 2に出力す る PWM制御信号を、 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間は高い周 波数に、 その所定期間経過後は低い周波数になるように制御し得る構成 とすることが可能である。
PWM制御信号を、 HIDランプ 5の始動点灯時においては Hレベルの デュ一ティを大きくすることで、 フライバックトランス 1 1の 1次巻線 1 1 aに大きなエネルギーが蓄えられ、 F E T 1 2がオフ状態となった 際に、 この蓄えられた大きなエネルギーが 2次巻線 1 1 bから放出され ることになる。 上記実施形態のものにおいては、 HIDランプ 5の始動点 灯時は、 通常時に対し、 PWM 制御信号の Hレベルのデューティを 2倍 程度としているから、 HIDランプ 5に供給される電力も、 HIDランプ 5 の始動点灯時では、 通常時に対し 2倍程度となる。 上述したように通常 時において HIDランプ 5の供給電力は 3 5 Wであるから、 HIDランプ 5の始動点灯時から所定期間の供給電力を 7 0 W 程度とすることがで さる。
第 5図はこのことを示すグラフであり、 HIDランプ 5の始動点灯時か ら所定期間の供給電力は 7 0 W程度、通常時においては 3 5 W程度に設 定されることが示されている。
なお、 上記所定期間は、 適宜設定しうるが、 例えば、 第 5図に示すよ うに 1 0秒程度とする。
第 6図は、 上記発振周波数制御手段 3 6を制御する C P U (不図示) の処理手順を示すフローチャートであり、 その具体的な手順は C P Uに
付属する R〇 Mに記憶されている。
すなわち、 放電灯 (HIDランプ) スィッチが O N状態とされたか否か が常時判断され(S 1 )、 O N状態となったと判断されると、 発振周波数 制御手段 3 6から始動点灯時発振周波数 (200KHz) の発振周波数信号 を出力せしめる (S 2 )。 この後、 始動点灯時から所定期間が経過したか 否かが判断され(S 3 )、 所定期間が経過したと判断された場合には、 発 振周波数制御手段 3 6から通常時発振周波数 (ΙΟΟΚΗζ) の発振周波数 信号を出力せしめる (S 4 )。
このように、 本実施形態においては、 HIDランプ 5の始動点灯時から 所定期間はスイッチング周波数を高く設定し、 フライバックトランス 1 1のコア部分における磁気飽和を起きにくくしているので、 このコア部 分を小型化しても磁気飽和が起こらず、 点灯に必要な電力を継続して得 ることが可能となる。 また、 電流値が低くなるためにスイッチング素子 である F E T 1 2も小型化でき、 全体として D C— D Cコンバータ回路 2の大幅な小型化および軽量化を図ることが可能となる。
なお、 発振周波数を高くすると、 F E T 1 2のスイッチング周波数が 高くなり、 上記フライバックトランス 1 1のコア部における鉄損、 渦電 流等のコアロスが多くなり トランス 1 1の変換効率が悪くなつたり、 F
E T 1 2によるスィツチングロスが大きくなつて発熱量が大きくなる、 という問題が考え得るが、 前述したように周波数を高くする期間は短時 間であるので、 上述したコアロス、 スイッチングロスは無視してよい。 なお、 本発明の高圧放電灯点灯装置は、 上記実施形態のものに限られ るものではなく、 種々の態様の変更が可能である。
例えば、 上記実施形態では、 発振周波数制御手段 3 6からの発振周波 数信号を始動点灯時から所定期間は 200KHz、 所定期間が経過した後は ΙΟΟΚΗζとしているが、 その周波数は適宜変更可能であり、 発振周波数
信号を始動点灯時から所定期間は例えば 300KHzに設定することも可能 である。 また、 誤差レベル信号と比較するための信号としては上記三角 波のほか、 例えば正弦波とすることも可能である。
また、 上記実施形態では、 発振周波数制御手段による発振周波数の変 更は始動点灯から 1 0秒程度となっているが、 電力制御部からの供給電 力信号が指示する電力が所定電力以下 (例えば 6 0 W以下) となったと きに発振周波数を変更してもよい。
また、 上記発振周波数制御手段 3 6における周波数制御は C P Uに付 属する R〇 Mに記憶されたプログラムに基づいて行なわれているが、 こ の発振周波数制御手段 3 6内に設けられた、 発振周波数決定用の夕イミ ング C , R (コンデンサおよび抵抗) の時定数を電子スィッチにより切 り替えるような構成とすることも可能である。
また、 上述した直流電源回路としての D C— D Cコンバータ回路 2、 フルブリッジ回路 3およびイダナイ夕回路 4の回路構成としても上記実 施形態のものに限られるものではなく、 その他の種々の態様のものに変 更可能である。
以上詳細に説明したように、 本発明の高圧放電灯点灯装置によれば、 高圧放電灯の始動点灯時から所定期間は、 その後の通常時と比べて、 直 流電源電圧を昇圧するためのスィツチング素子のスィツチング周波数を 高く設定するように構成している。 このようにスイッチング周波数を高 く設定すると、 巻線に流れる電流波形のピーク値が下がるため磁気飽和 が起きにくくなる。 このことにより、 直流電源回路のコンバータトラン スを形成している磁性体コア部を小型化しても磁気飽和が起こらず、 始 動点灯に必要な電力を得ることが可能となる。 また、 電流値が低くなる ためにスイッチング素子も小型化でき、 全体として点灯装置の大幅な小 型化および軽量化を図ることが可能となる。