明 細 書 チオール化合物誘導体、 該誘導体を含有する硬化性組成物およびその成形体 技術分野
本発明は、 チオール化合物誘導体、 該誘導体を含有する硬化性組成物および その組成物からなる成形体に関する。 詳しくは、 本発明は、 チオール誘導体置 換基と反応性を有する高分子に配合して、 硬化性組成物を与えるチオール化合 物誘導体、 該誘導体と架橋可能なハロゲン含有架橋性ポリマーとを含有する硬 化性組成物およびその架橋成形体に関する。 背景技術
従来、 ェピクロロヒドリンゴム、 塩素含有アクリルゴムなどは、 耐油性、 耐 熱性、 耐候性、 耐オゾン性、 圧縮永久歪みなどに優れることから、 ホース、 シ ール部品などの成型品に広く用いられてきている。
このようなェピクロロヒドリンゴム、 塩素含有アクリルゴムなどのハロゲン 含有架橋性ポリマーは、 一般に、 架橋剤、 架橋促進剤などの架橋系配合剤を添 加してその組成物を貯蔵しておくことが多い。
一般に、 加硫剤、 加硫促進剤などの加硫系配合剤を添加したジェン系ゴム組 成物あるいは塩素系ゴム組成物を貯蔵しておくと、 徐々に加硫が進行し、 その 結果粘度の上昇、スコ一チタィムの減少、加硫速度の低下などの変化をきたし、 組成物の製品への加工性、 加硫物の物性が低下することがある。 貯蔵安定性の 維持という観点からは、 これらの変化が小さいことが望ましい。 加硫系配合剤 を添加しなければ、 これらの変化は小さいが、 生産性の観点から、 加硫系配合
剤を予め添加した状態の硬化性組成物が一般に用いられ、 加硫系配合剤が添加 された状態での貯蔵安定性の向上が重要となっている。
従来、 ジェン系ゴム、 塩素系ゴムなどの加硫系配合剤としては、 ジチオール 化合物、 卜リチオール化合物などの多価チオール化合物が知られている。 しかし、 これらの多価チオール化合物は、 反応性が大きいため、 ゴム等と加 硫系配合剤とを混練して加工する際に早期加硫を起こしたり、 あるいは早期加 硫なく混練をスムーズに行うことができても、 その後の保存中にゲル化するこ とがあり、 得られる硬化物の物性は優れていても、 貯蔵安定性に欠けるという 問題点があった。
また、 ハロゲン含有架橋性ポリマーの架橋系配合剤としては、 卜リアジンチ オール類が知られている。
しかしながら、 トリアジンチオール類は、 反応性が大きく架橋速度が速いた め、 ゴム等と架橋系配合剤とを混練して加工する際に早期架橋を起こしたり、 あるいは早期架橋なく混練をスムーズに行うことができても、 その後の保存中 にゲル化して貯蔵中に粘度が上昇したり、 あるいは部分的な架橋が進行するな ど、 スコーチしやすいため、 成型に支障が出ることがあった。
このため、 早期加硫防止剤などを併用して貯蔵安定性を向上させる試みがな されているが、 早期加硫防止剤の併用により加硫速度が低下したり、 耐熱性が 悪化するなどの問題点があった。
また、 架橋速度の調節のため、 金属酸化物、 金属水酸化物、 炭酸塩、 有機酸 塩などを配合し、 ハロゲン含有架橋性ポリマ一の反応性および卜リアジンチォ ール類の反応性に応じて、 金属の種類、 対イオンの種類などを選択して使用す ることも行われていたが、 十分な架橋速度を得ようとすると、 スコーチが短く なることがあった。
このため、 ジェン系ゴム組成物、塩素系ゴム (ハロゲン含有架橋性ポリマー) 組成物等の硬化物の物性に悪影響を及ぼす早期加硫防止剤を使用することなく、 貯蔵安定性に優れるとともに、 加工性、 硬ィヒ性に優れるゴム組成物あるいは樹 脂組成物を与える新規なチオール化合物誘導体の出現が望まれており、 また、 貯蔵安定性、 適度な架橋速度、 得られる架橋物について優れた物理的性質をバ ランスよく有する硬化性組成物が望まれていた。
本願発明者は上記問題点を解決すベく鋭意研究し、 チオール化合物をビニル エーテル等の保護基で保護したチオール化合物誘導体を架橋剤として用いると、 ハロゲン含有架橋性ポリマーあるいはジェン系ゴム組成物の硬化物の物性に悪 影響を及ぼす早期架橋防止剤を使用することなく、 貯蔵安定性、 架橋速度に優 れ、 しかもその架橋物の物理的性質にも優れた硬化性組成物が得られることを 見出し、 本願発明を完成するに至った。
本発明は、 貯蔵安定性、 加工性、 硬化性に優れたゴム組成物あるいは樹脂組 成物を与える新規なチオール化合物誘導体を提供すること、 貯蔵安定性、 架橋 速度、 架橋物の物理的性質などのバランスに優れたハロゲン含有架橋性ポリマ 一からなる硬化性組成物を提供することおよびその成形体を提供することを目 的としている。
発明の開示
本発明のチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (1)
で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (1)中、 Xi、 X2、 X3が、 下記-
般式 (2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (1)中、 Χΐ、 Χ2、 χ3は、 互いに同一であっても異なっていてもよく、 式 (2) 中、 Αは酸素原子またはィォゥ原子であり、
R 1は、 水素原子、 アルキル基またはフエニル基であり、
R2は、 下記 (a)〜 からなる群から選ばれる 1種の基であり、
R3は、 水素原子、 アルキル基またはフエニル基であり、
R iと R2とは環を形成していてもよい:
(a)アルキル基、 ハロゲン化アルキル基、 少なくとも 1個の水酸基を有するアル キル基、 アルケニル基、 アルキニル基おょぴァラルキル基から選ばれる 1種の 基;
( )アルキレングリコール、 ジアルキレングリコール、 トリアルキレングリコ一 ル、 テトラアルキレングリコール、 ァリルアルコール類、 ケトォキシム類、 ァ ルカノールアミン類、 ジァルカノールアミン類、 卜リアルカノールァミン類、 トリアルキルシラノール、 脂環式アルコールおよびナフチルアルコール類から 選ばれる 1種の水酸基含有化合物から、 水酸基を除いた残基;
(c)下記一般式 (3)
- C HY - C H2X · · · (3)
(式 (3)中、 Xはハロゲン原子、 アルコキシ基、 アルコキシアルコキシ基、 ジ アルキルアミノ基、 トリアルキルシリル基、 ァセトキシ基またはピペリジノ基 のいずれかを示し、 Yは水素原子またはハロゲン原子を示す。)で表される基;
(め下記一般式 (4)
(式 (4)中、 Zは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、 アルキルアミノ基、 ジアルキルアミノ基、 アルキル基またはァシル基のいずれ かを示し、 nは、 1〜3の整数であり、 式 (4)で表されるフエニル基骨格と結合 する置換基 Zの数を示す。 )で表される基;
(e)- C H2— C6H5または一 CHCH3— C6H5で表される基;
下記一般式 (5)
一 R4— ACH = CH2 · · *(5) または
(式 (6)中、 R R3は、 それぞれ前記式 (2)中の Ri、 R3と同じであり、 式 (5) および (6)中、 Aは、 酸素原子またはィォゥ原子であり、 R4は、 一 CH2_、 一 CH2CH2—、 一 CH2CH2CH2—、 一 CH2CH2CH2CH2 -、
一 CH2CH2OCH2CH2—、 一CH2CH2OCH2CH2〇CH2CH2—、
のいずれかを示す。) で表される基)。
前記チオール化合物誘導体では、 前記一般式 (2)において、 Aが酸素原子、 R 1が水素原子、 R2がアルキル基または (ポリ) アルキレングリコールから水酸 基を除いた残基、 R3が水素原子であることが好ましい。
また、 前記一般式 (2)が、 下記一般式 (7)
(式 (7)中、 nは 3または 4を示す。) で表されることも好ましい。
また、 本発明に係るチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (8)
• (8) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (8)中、 X X
2が、 下記一般式 (2)
(2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (8)中、 Xi、 Χ2は、 互いに同一でも異なっていてもよく、 式 (2)は上記と同 様である。)。
さらに本発明のチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (9)
SX1
Νへ Ν
MS Λ' N人 SX 2 2 (9) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (9)中、 X、 X2が、 下記一般式 (2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (9)中、 χι、 Χ2は、 互いに同一でも異なっていてもよく、 Μはアルカリ金 属またはアル力リ土類金属であり、 式 (2)は上記と同様である。)。
またさらに本発明のチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (10)
で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (10)中、 X
1、 X
2が、 下記一般 式 (2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (2)は上記と同様であり、 式 (10)中、 χι、 X2は、 互いに同一であっても異 なってもよく、 R5は、 下記 (g) 〜(k)で表される基から選ばれる 1種の基であ る:
(g)水素原子、 アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 フエニル基、 ァラル キル基および一 NH2から選ばれる基;
)下記一般式 (11)
(ただし、 R6、 R7はアルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキ ル基、 ベンジル基、 ァリル基、 シクロアルキル基、 フルォロアルキル基および フエニル基から選ばれる基で、 R6と R7とは互いに同一であっても異なっても よい。) で表されるジアルキルァミノ基:
(i)下記一般式 (12)
一 NHR8 · . · (12)
(ただし、 R 8はアルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ベンジル基、ァリル基、シクロアルキル基、フルォロアルキル基、ァニリノ基、 ヒドロキシァニリノ基およびフエニル基から選ばれる基を示す。)で表されるモ ノアルキルアミノ基:
①下記一般式 (13)
一 O R9 · · · (13)
(ただし、 R9はアルキル基、 アルケニル基、 ァラルキル基、 ハロゲノフエ
ニル基、 ナフチル基、 シクロアルキル基およびフエニル基から選ばれる基を示 す。) で表される基:
(k)下記一般式 (14)
一 S Rio · · · (14)
(ただし、 R 10はアルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 フエニル基、 ァラルキル基、 ハロゲノフエニル基、 ナフチル基およびシクロアルキル基から 選ばれる基を示す。) で表される基)。
このようなチオール化合物誘導体では、 前記一般式 (2)において、 Aが酸素原 子、 Riが水素原子、 R2がアルキル基または (ポリ) アルキレングリコールか ら水酸基を除いた残基、 R3が水素原子であることが好ましい。
またこのようなチオール化合物誘導体では、前記一般式 (2)が、下記一般式 (7)
(式 (7)中、 nは 3または 4を示す。) で表されることも好ましい。
またさらに本発明のチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (15)
で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (15)中、 χιが、 下記一般式 (2)
· · · (2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (15)中、 R5は式 (10)中の R5と同じであり、 式 (2)は上記と同様である。), さらにまた本発明のチオール化合物誘導体は、 下記一般式 (16)
で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (16)中、 XIが、 下記一般式 (2)
で表される基であることを特徴としている:
(式 (16)中、 Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、 R5は、 式 (10) 中の R5と同じであり、 式 (2)は上記と同様である。)。
本発明の硬 性組成物は、 上記いずれかの本発明のチオール化合物誘導体を 含有することを特徴としている。
また、 本発明の硬化性組成物は、
ハロゲン含有架橋性ポリマーと、
下記一般式 (Π)で表される官能基を 1分子中に少なくとも 1個有するチォー ル化合物誘導体と
を含有することを特徴としている:
(17)
(式 (17)中、 A、 R R
2、 R 3は、 それぞれ、 上記式 (2)中の A、 R R R
3と同じである。)。
前記一般式 (17)で表される官能基は、 チオール基 (一 S H) を有する化合物 と、 ビニルエーテル類とを反応させて形成されることが好ましい。
前記硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記一般式 (1)
. . . (1)
で表される化合物であって、 式 (1)中、 X X
2、 X
3が、 下記一般式 (2)
で表される基であることも好ましい(式 (1)および式 (2)は、上記と同様である。)。 また、 前記硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記一般式 (8)
で表される化合物であって、 式 (8)中、 X X2が、 下記一般式 (¾
で表される基であることも好ましい:
(式 (8)中、 Xi、 X2は互いに同一でも異なってもよく、 式 (2)は上記と同様であ
る。)。
さらに、 前期硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記一般式 (9)
SX1
MS" 、rvT 、sx2 . . . (9) で表される化合物であり、 式 (9)中、 Xi、 X2が、 下記一般式 (2)
で表される基であることも好ましい(式 (9)および式 (2)は、上記と同様である。) またさらに、 前記硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記 - 般式 (10)
, . . do) で表される化合物誘導体であり、 式 (10)中、 Xi、 X
2が、 下記一般式 (2)
で表される基であることも好ましい(式 (10)および式 (2)は、上記と同様である。) さらにまた、 前期硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記一
般式 (15)
で表される化合物であり、 式 (15)中、 X Iが、 下記一般式 (2)
で表される基であることも好ましい(式 (15)および式 (2)は、上記と同様である。), また前記硬化性組成物では、 前記チオール化合物誘導体が、 下記一般式 (16)
で表される化合物であり、 式 (16)中、 X Iが、 下記一般式 (2)
で表される基であることも好ましい(式 (16)および式 (2)は、上記と同様である)。 これらの本発明の硬化性組成物では、 前記一般式 (2) および (Π)において、 A が酸素原子、 R 1が水素原子、 R2がアルキル基または (ポリ) アルキレンダリ コールから水酸基を除いた残基、 R3が水素原子であることも好ましい。
また、 前記一般式(2)および (1フ)が、 下記一般式 (7)
(式 (7)中、 nは 3または 4を示す。) で表されることも好ましい。
また本発明の硬化性組成物は、 卜リアジンチオールと多価ビニルエーテルと を接触させて得られる化合物と、 八口ゲン含有架橋性ポリマーとを含有するこ とを特徴としている。
前記卜リアジンチオールは、 下記式 (18)
で表されることも好ましい。
また前記トリアジンチオールは、 下記一般式 (19)
. . . (19)
で表されることも好ましい (式 (19)中、 R5は、 上記式 (10)中の R5と同じであ る。)。
前記多価ビニルエーテルは、 ジビニルエーテル類、 トリビニルエーテル類お よびテトラピニルエーテル類から選ばれる少なくとも 1種であることが好まし い。
また、 これらの本発明の硬化性組成物では、 前記ハロゲン含有架橋性ポリマ 一が、 アクリルゴムであることも好ましく、 ェピクロロヒドリンゴムであるこ とも好ましく、 クロロプレンゴムであることも好ましく、 さらに、 クロルスル
ホン化ポリエチレンであることも好ましい。
さらにこれらの本発明の硬化性組成物は、 有機酸金属塩を含有することが好 ましく、 前記有機酸金属塩が、 有機酸アルカリ金属塩および Zまたは有機酸ァ ルカリ土類金属塩であることも好ましい。 また、 有機酸金属塩に加えて、 加硫 促進助剤を含有することも好ましく、 前記加硫促進助剤が、 ォニゥム塩および ノまたはポリアルキレンォキサイドであることも好ましい。
またこれらの本発明の硬化性組成物は、 アミン系老化防止剤と、 硫黄化合物ま たはリン化合物とを含有することも好ましい。
本発明の成形体は、 前記本発明の硬化性組成物を架橋してなることを特徴とし ている。 図面の簡単な説明
図 1は、実施例 1で得られた合成物の、 IR吸収スペクトルのチャートである。 図 2は、 合成原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールの、 IR吸収ス ぺクトルのチヤ一トである。
図 3は、実施例 1で得られた合成物を大気中で加熱したサンプルの、 IR吸収 スぺクトルのチャートである。
図 4は、実施例 2で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチヤ一トである。 図 5は、実施例 2で得られた合成物を大気中で加熱したサンプルの、 IR吸収 スぺクトルのチャートである。
図 6は、 実施例 3〜7、 比較例 1, 2のキユラストメーターカーブである。 図 6中の 1は、 実施例 3のキユラストメーターカーブを示す。
図 6中の 2は、 実施例 4のキユラストメーターカーブを示す。
図 6中の 3は、 実施例 5のキユラストメーターカーブを示す。
図 6中の 4は、 実施例 6のキュラストメ一ターカーブを示す。
図 6中の 5は、 実施例 7のキユラストメーターカーブを示す。
図 6中の 6は、 比較例 2のキュラス卜メーターカーブを示す。
図 6中の 7は、 比較例 4のキユラストメーターカーブを示す。
図 6中の 8は、 比較例 5のキユラストメーターカーブを示す。
図 7は、実施例 3 4で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチャートであ る。
図 8は、実施例 3 5で得られた合成物の、 IR吸収スペクトルのチャートであ る。
図 9は、 合成原料である 6-ジブチルァミノ- S -トリアジン- 2,4-ジチオールの IR吸収スぺクトルのチャートである。
図 1 0は、実施例 3 6で得られた合成物の、 IR吸収スペクトルのチャートで ある。
図 1 1は、実施例 3 7で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチャートで ある。
図 1 2は、実施例 3 8で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルの 5^ヤートで ある。
図 1 3は、実施例 3 9で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチヤ一卜で ある。
図 1 4は、 実施例 3 9で得られた合成物を大気中で保存したサンプルの、 IR 吸収スぺクトルのチャートである。
図 1 5は、実施例 4 0で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチヤ一卜で ある。
図 1 6は、 実施例 4 0で得られた合成物を大気中で保存したサンプルの、 IR
吸収スぺクトルのチャートである。
図 1 7は、実施例 4 1で得られた合成物の、 IR吸収スぺクトルのチャートで ある。
図 1 8は、 実施例 4 1で得られた合成物を大気中で保存したサンプルの、 IR 吸収スぺクトルのチャートである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について具体的に説明する。
ぐチオール化合物誘導体 >
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 1,3,5—トリアジンー 2,4,6—トリチォ ールあるいは 1,3,5—トリアジン一 2,4ージチオール類などの誘導体であり、 該 化合物のチオール基 (一 S H) の水素原子が、 特定の置換基で置換された化合 物誘導体である。 このようなチオール化合物誘導体は、 トリアジンチオールな どのチオール化合物とビニルエーテル類とを反応させて得ることができる。 以 下に具体的なチオール化合物誘導体について説明する。
• トリチオール化合物誘導体
本発明に係るチオール化合物誘導体としては、 トリチオール化合物の誘導体 である下記一般式 (1)で表されるチオール化合物誘導体が挙げられる。
式 (1)中、 Xi、 Χ X
3は、 下記一般式 (2)
で表される基である。
式 (1)中、 X1、 X2、 X3は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに同一で あることが好ましい。
式 (2)中、 Aは酸素原子またはィォゥ原子である。
前記 R iとしては、 水素原子、 アルキル基またはフエニル基が挙げられる。 このうち、 R iは、 水素原子またはアルキル基であることが好ましく、 水素原 子であることがさらに好ましい。
前記 R2としては、下記 (a)〜 からなる群から選ばれる 1種の基が挙げられ、 本発明では、 下記 (a)〜(e)からなる群から選ばれる 1種の基が好ましい。
(a)アルキル基、 ハロゲン化アルキル、 水酸基を少なくとも 1個有するアルキ ル基、 アルケニル基、 アルキニル基およびァラルキル基から選ばれる 1種 の基。 これらのうちでは、 アルキル基、 アルケニル基が好ましい。
アルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 5、 さらに好ましくは 1〜1 8のアルキル基が挙げられる。 このようなアルキル基としては、 直鎖、 分岐、 環状のいずれも挙げられ、 たとえば、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピ ル基、 イソプロピル基、 n _ブチル基、 イソブチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブ チル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル基、 2—ェチルへキ シル基、 デシル基、 セチル基、 ステアリル基、 1—メンチル基などが挙げられ る。 これらのうちでは、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基が好ましい。 ハロゲン化アルキル基としては、 前記アルキル基の水素原子が 1個以上ハロ ゲンで置換された基が挙げられる。 ハロゲン原子としては、 フッ素原子、 塩素
原子、 臭素原子、 ヨウ素原子が挙げられ、 このうち、 フッ素原子が好ましい。 フッ素原子を含有するハロゲン化アルキル基としては、 たとえば、 前記アルキ ル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルォロアルキル基、 Rf C H2C H2—で表されるフルォロアルキル基などが挙げられる。前記 R f とし ては、 パーフルォロメチル基、 パーフルォロェチル基、 パーフルォロプロピル 基、 パーフルォロブチル基などが挙げられる。
水酸基を 1個以上有するアルキル基としては、 前記アルキル基の水素原子の 少なくとも 1つが水酸基で置換された基が挙げられる。 水酸基を 1個以上有す るアルキル基としては、 水酸基を 1個または 2個有する基が好ましく、 水酸基 を 1個有する基がさらに好ましい。 このような水酸基は、 1級、 2級、 3級の いずれであってもよい。 このような水酸基を有するアルキル基としては、 たと えば、 2—ヒドロキシェチル基、 3—ヒドロキシプロピル基、 4ーヒドロキシ 一 n—ブチル基などの 1級の水酸基を有するアルキル基、 1ーヒドロキシェチ ル基、 2—ヒドロキシプロピル基、 3—ヒドロキシー n—ブチル基などの 2級 の水酸基を有するアルキル基、 3—ヒドロキシー 3—メチルー n—ブチル基な どの 3級の水酸基を有するアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルケニル基が挙げられる。 このようなアルケニル基としては、 たとえば、 プロパンジェニル基、 イソプロぺニル基、 3—メチルー 2—ブテニ ル基、 ァリル基、 2—メチルァリル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 イソプロぺニル基、 ァリル基が好ましい。
アルキニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルキニル基が挙げられる。 このようなアルキニル基としては、 たとえば、 プロパルギル基、 1一フエニルプロパルギル基などが挙げられる。
これらのうちでは、 プロパルギル基が好ましい。
ァラルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 好ましくは 1〜 1 0のァラルキルが挙げられる。このようなァラルキル基としては、たとえば、 4 _フエニルブチル基、 メチルベンジル基などが挙げられる。 これらのうちで は、 メチルベンジル基が好ましい。
(b) アルキレングリコール、 ジアルキレングリコール、 トリアルキレングリコ ール、 テトラアルキレングリコール、 ァリルアルコール類、 ケ卜ォキシム類、 トリアルカノールァミン類、ジアルカノ一ルァミン類、アルカノールァミン類、 トリアルキルシラノール、 脂環式アルコールおよびナフチルアルコール類から 選ばれる 1種の水酸基含有化合物から、 水酸基を除いた残基。 これらのうちで は、 ジアルキレングリコール、 トリアルキレングリコール、 テトラアルキレン グリコールなどのポリアルキレングリコールが好ましい。
前記アルキレングリコール、 ジアルキレングリコール、 トリアルキレンダリ コール、 テトラアルキレングリコールなどのグリコール類としては、 具体的に は、 たとえば、 エチレングリコール、 プロピレングリコール、 ブチレングリコ ール、 ジエチレングリコール、 ジプロピレングリコール、 ジブチレングリコー ル、 ジエチレングリコールモノブチルエーテル、 トリエチレングリコール、 ト リプロピレングリコール、 卜リブチレングリコール、 テトラエチレングリコー ル、 テトラプロピレングリコール、 テトラプチレングリコールなどが挙げられ る。 これらのうちでは、 エチレングリコールが好ましい。
前記ケトォキシム類としては、 アセトンケトォキシム、 メチルエヂルケ卜ン ケ卜ォキシムなどが挙げられる。
前記トリアルカノールァミン類としては、 トリエタノールァミン、 トリプロ パノールアミンなどが挙げられる。
前記ジアルカノ一ルァミン類としては、 ジエタノールァミン、 ジプロパノー ルァミンなどが挙げられる。
前記モノアル力ノールァミン類としては、 4一ジメチルアミノブ夕ノ一ル、 3一ジメチルァミノプロパノールなどが挙げられる。
前記トリアルキルシラノールとしては、 トリメチルシリルアルコール、 トリ ェチルシリルアルコールなどが挙げられる。
前記脂環式アルコールとしては、 シクロへキシルアルコール、 メントールな どが挙げられる。
前記ナフチルアルコール類としては、 ナフチルアルコールが挙げられる。 (c)下記一般式 (3)
- C HY - C H2X · · · (3)
で表される基。 式 (3)中、 Xとしては、 ハロゲン原子、 アルコキシ基、 アルコキ シアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、 トリアルキルシリル基、ァセトキシ基、 ピペリジノ基などが挙げられ、 Yとしては、 水素原子、 ハロゲン原子が挙げら れる。
Xとしては、 これらのうちでは、 ハロゲン原子、 アルコキシ基、 ジアルキル ァミノ基が好ましい。
このような一般式 (3)で表される基としては、 具体的には、 たとえば、 1—ク ロロェチル基、 2—クロ口ェチル基、 1一ブロモェチル基、 2—ブロモェチル 基、 メトキシェチル基、 2—ブトキシェチル基、 メトキシェトキシェチル基、 ジメチルアミノエチル基、 2—(ジェチルァミノ)ェチル基、アミノエチル基、 卜リメチルシリルェチル基、 トリメチルシロキシェチル基、 2—ァセトキシェ チル基、 2—ピベリジノエチル基などが挙げられる。これらのうちでは、特に、 2—クロ口ェチル基、 メトキシェチル基が好ましい。
(d)下記一般式 (4)
で表される基。 ただし、 ηは、 1〜3の整数であり、 ηが 1であることが好ま しい。 また、 ηはフエニル基骨格に結合する置換基 Ζの数を示す。
式 (4)中、 Ζは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、 アルキルアミノ基、 ジアルキルアミノ基、 アルキル基、 ァシル基などが挙げら れる。
このような (4)で表される基としては、 具体的には、 たとえば、 フエニル基、 メトキシフエ二ル基、 ο-トリル基などのトリル基、 イソプロピルフエニル基、 Ρ-ニトロフエニル基、 2-ニトロフェニル基、 3-ニトロフエニル基、 ρ-フルォロ フエニル基などのフルオロフェニル基、 Ρ-メトキシフエ二ル基などのメトキシ フエニル基、 Ρ-ァミノフエニル基などのァミノフエ二ル基、 Ν-メチルアミノフ ェニル基、 Ρ- (ジメチルァミノ)フエニル基、 4-ァセチルフエニル基、 ρ—ョードフ ェニル基などのョードフエニル基、 ρ-クロ口フエニル基などのクロ口フエニル 基、 Ρ-ブロモフエニル基などのブロモフエニル基、 2,4,6-トリクロ口フエニル基、 2,4,6-トリメチルフエニル基、 2,4,6-トリブロモフエニル基、 2,4-ジクロロフエ ニル基、 2,4-ジブロモフエニル基、 2,4-ジメチルフエニル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 フエニル基、 メトキシフエニル基などが好ましい。
(e)— C H2_ C6H5または一 C H C H3— C6H5で表される基、 すなわち、 1-フ ェニルェチル基、 ベンジル基が挙げられる。
下記式一般式 (5)または下記一般式 (6)で表される基。
一 R4— A C H= C H
2 . . . (5)
ただし、 前記式 (6)中、 Ri、 R3は、 それぞれ前記式 (2)中の Ri、 R3と同じで あり、前記式 (5)および (6冲、 Aは、酸素原子またはィォゥ原子であり、 R4は、 2価の置換基であって、
一 CH2 -、 一 CH2CH2—、一 CH2CH2CH2—、一 CH2CH2CH2CH2—、 _CH2CH2OCH2CH2—、 一CH2CH2OCH2CH2〇CH2CH2—、
のいずれかを示す。
これらのうち、 前記一般式 (2)において、 Aが酸素原子、 Riが水素原子、 R2 がアルキル基または (ポリ) アルキレングリコールから水酸基を除いた残基、 R3が水素原子であるチオール化合物誘導体が特に好ましい。
また、本発明に係るチオール化合物誘導体は、 前記一般式 (2)の Riと R2とが 環を形成していてもよい。 R1と R2とが環を形成する場合は、 R1と とは、 いずれもアルキル基であることが好ましく、 該アルキル基は置換基を有してい てもよい。
この場合、 R 3は水素原子であることが好ましく、 該; R iと R2とにより形成 される環は、 下記一般式 (7)
(式 (7)中、 nは 3または 4を示す。) で表されることが好ましい。 また、 この ような環状構造部分は、 置換基を有していてもよい。
本発明に係る他のチオール化合物誘導体としては、 下記一般式 (8)
· · · (8) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (8)中、 X X
2が、 下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体が挙げられる。 ここで、 式 (6)中、 X
K X2は、 互いに同一であっても異なっていてもよく、 同一であることが好ま しい。 式 (2)は上述したとおりである。
さらに、 本発明に係るチオール化合物誘導体としては、 下記一般式 (9)
(9) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (9)中、 X X
2が、 下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体を挙げることができる。 ここで、 式
(9)中、 χι、 Χ2は、 互いに同一でも異なっていてもよく、 互いに同一であるこ とが好ましい。 Μはアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。 アルカリ金 属としては、ナトリゥム、力リゥムが好ましく、さらにナトリゥムが好ましい。 アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムが好ましい。 これらのうちでは、 ナトリウムが好ましい。 式 (2)は上述したとおりである。 このような、 前記一般式 (1) (以下 「誘導体 a」 ということがある)
(1) (誘導体 a ) で表されるチオール化合物誘導体であって、式 (1)中 X
1、 X
2、 X
3が互いに同一 であり、 Χΐが下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体のより具体的な例としては、 たとえ ば、 下記表 1 (表 1-1〜; 1-4) に示すチオール化合物誘導体が挙げられる。
表 1—1
なお、 上記表 1において、 「一 P h―」 とは、 C
6H
4で表される 2価の芳香族 置換基を示し、 rCydohexyleneJとは、 C
6Hioで表される 2価のシクロへキシレ ン骨格を有する置換基を示し、 「P h―」 とは、 C
6H
5で表される 1価の芳香族 置換基を示し、 「Me」 とはメチル基を示し、 「Et」 とはェチル基を示し、
(チオール化合物誘導体 a97) とは、 Aが酸素原子であり、 置換基 Riと R2と が環を形成し、 R3が水素原子である置換基 X1を示している。 なお、 チオール 化合物誘導体 a 98〜 a 101も a 97と同様の意味である。 これらは、後述する表 についても同じである。
また、 前記一般式 (8) (以下 「誘導体 b」 ということがある。)
· · ' (8) (誘導体 b ) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (8)中、 Xi、 X
2が互いに同一で あり、 Χΐが下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体のより具体的な例としては、 たとえ ば、 下記表 2 (表 2- 1〜2-4) に示すチオール化合物誘導体が挙げられる。
表 2—
また、 前記一般式 (9) (以下 「誘導体 c」 ということがある)
•(9) (誘導体 c ) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (9)中 X X
2が互いに同一であ り、 Χΐが下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体のより具体的な例としては、 たとえ ば、 下記表 3 (表 3-1〜3- 4) に示すチオール化合物誘導体が挙げられる。
表 3— 1
ノエチル
本発明に係るチオール化合物誘導体としては、 ジチオール化合物の誘導体で ある下記一般式 (10)で表されるジチオール化合物誘導体 (以下 「誘導体 d」 と いうことがある) が挙げられる。
該式 (10)中、 X X
2は、 下記一般式 (2)
で表される基である。
前記式 (10)中、 X i、 X2は、 前記式 (1)の Χ ΐと同じであり、 これらは、 互いに 同一でも異なっていてもよく、 同一であることが好ましい。 また、 式 (2)は前記 のとおりである。
式 (10)中、 R5としては、 下記 (g) 〜(k)で表される基から選ばれる 1種の基 が挙げられる。
(g)水素原子、 アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 フエニル基、 ァラル キル基および _ NH2から選ばれる基。
これらのうちでは、 水素原子、 アルキル基、 フエニル基が好ましい。
アルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 5、 さらに好ましくは 丄〜 1 8のアルキル基が挙げられる。 このようなアルキル基としては、 直鎖、 分岐、 環状のいずれも挙げられ、 たとえば、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピ ル基、 イソプロピル基、 n—プチル基、 イソプチル基、 se0-ブチル基、 tert-ブ
チル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル基、 2—ェチルへキ シル基、 デシル基、 セチル基、 ステアリル基、 1一メンチル基などが挙げられ る。 これらのうちでは、 メチル基、 ェチル基が好ましい。
アルケニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルケニル基が挙げられる。 このようなアルケニル基としては、 たとえば、 プロパンジェニル基、 イソプロぺニル基、 3〜メチルー 2—ブテニ ル基、 ァリル基、 2—メチルァリル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 イソプロぺニル基が好ましい。
アルキニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルキニル基が挙げられる。 このようなアルキ:^ル基としては、 たとえば、 プロパルギル基、 1一フエニルプロパルギル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 プロパルギル基が好ましい。
ァラルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 好ましくは 1〜 1 0のァラルキル基が挙げられる。 このようなァラルキル基としては、 たとえ ば、 4一フエニルプチル基などが挙げられる。
フエニル基としては、 フエニル基 (C6H5— )、 メトキシフエニル基、 0-トリ ル基、 P-ニトロフエニル基、 2-ニトロフエニル基、 3-ニトロフエニル基、 P-フ ルオロフェニル基、 P-メトキシフエ二ル基、 P-ァミノフエ二ル基、 N-メチルァ ミノフエニル基、 P- (ジメチルァミノ)フエニル基、 4-ァセチルフエニル基、 P- ョ一ドフエニル基、 P-クロ口フエ二ル基、 2-ピベリジノエチル基、 2,4,6 -卜リク ロロフェニル基、 2,4,6-トリメチルフエニル基、 2,4,6-トリブロモフエニル基、 2,4-ジクロロフェニル基、 2,4-ジブロモフエニル基、 2,4-ジメチルフエニル基な どが挙げられる。 これらのうちでは、 フエニル基が好ましい。
)下記一般式 (11)
— N R6 R 7 · . . (11)
で表されるジアルキルアミノ基。 ただし、 R6、 R7はアルキル基、 アルケニル 基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ベンジル基、 ァリル基、 シクロアルキル基 およびフルォロアルキル基から選ばれる基で、 R6と R7とは互いに同一であつ ても異なってもよい。 これらのうちでは、 アルキル基、 アルケニル基が好まし い。
アルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜 2 5、 さらに好ましくは 1〜1 8のアルキル基が挙げられる。 このようなアルキル基としては、 直鎖、 分岐、 環状のいずれも挙げられ、 たとえば、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピ ル基、 イソプロピル基、 n—プチル基、 イソブチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブ チル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル基、 2—ェチルへキ シル基、 デシル基、 セチル基、 ステアリル基、 1一メンチル基などが挙げられ る。 これらのうちでは、 メチル基、 ェチル基などが好ましい。
アルケニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルケニル基が挙げられる。 このようなアルケニル基としては、 たとえば、 プロパンジェニル基、 イソプロぺニル基、 3—メチル一2—ブテニ ル基、 ァリル基、 2—メチルァリル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 ィソプロぺニル基などが好ましい。
アルキニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜 2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルキニル基が挙げられる。 このようなアルキニル基としては、 たとえば、 プロパルギル基、 1一フエニルプロパルギル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 プロパルギル基が好ましい。
ァラルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 好ましくは 1〜 1 0のァラルキル基が挙げられる。 このようなァラルキル基としては、 たとえ
ば、 メチルベンジル基などが挙げられる。
ベンジル基としては、ベンジル基、 1—フエニルェチル基などが挙げられる。 シクロアルキル基としては、 シクロへキシル基、 シクロペンチル基などが挙 げられる。
フルォロアルキル基としては、 テトラフルォロェチル基が挙げられる。
(i)下記一般式 (12)
一 NH R8 . . . (12)
で表されるモノアミノ基。 ただし、 R8はアルキル基、 アルケニル基、 アル キニル基、 ァラルキル基、 ベンジル基、 ァリル基、 シクロアルキル基、 フル ォロアルキル基、 ァニリノ基およびヒドロキシァ二リノ基から選ばれる基を 示す。 これらのうちでは、 アルキル基が好ましい。
アルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 ァラルキル基、 ベンジル基、 ァリル基、 シクロアルキル基、 フルォロアルキル基としては、 前記 R6、 R 7 で示した基と同様の基が挙げられる。
ァニリノ基としては、 ァニリノ基、 p—メチルァニリノ基が挙げられる。 ヒドロキシァニリノ基としては、 0—, m_,p—ヒドロキシァニリン誘導体 に由来する基が挙げられる。
(j)下記一般式 (13)
一 O R9 · · · (13)
で表される基。 ただし、 R 9はアルキル基、 フエニル基、 アルケニル基、 ァラ ルキル基、 ハロゲノフエニル基、 ナフチル基およびシクロアルキル基から選ば れる基を示す。 これらのうちでは、 アルキル基、 フエニル基が好ましい。
アルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 5、 さらに好ましくは 1〜1 8のアルキル基が挙げられる。 このようなアルキル基としては、 直鎖、
分岐、 環状のいずれも挙げられ、 たとえば、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピ ル基、 イソプロピル基、 n—ブチル基、 イソプチル基、 sec-ブチル基、 tert-ブ チル基、 ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 ォクチル基、 2—ェチルへキ シル基、 デシル基、 セチル基、 ステアリル基、 1一メンチル基などが挙げられ る。 これらのうちでは、 メチル基、 ェチル基などが好ましい。
アルケニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルケニル基が挙げられる。 このようなアルケニル基としては、 たとえば、 プロパンジェニル基、 イソプロぺニル基、 3—メチル _ 2—ブテニ ル基、 ァリル基、 2—メチルァリル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 イソプロぺニル基などが好ましい。
ァラルキル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜2 0、 好ましくは 1〜 1 0のァラルキル基が挙げられる。 このようなァラルキル基としては、 たとえ ば、 4一フエニルブチル基などが挙げられる。
ハロゲノフエニル基としては、 P-ョードフエニル基、 P-クロ口フエ二ル基、 P-ブロモフエニル基、 2,4-ジクロロフェニル基、 2,4-ジブロモフエニル基、 2,4- ジョ一ドフエ二ル基、 2,4,6-トリクロ口フエニル基、 2,4,6-トリブロモフエニル 基などが挙げられる。 これらのうちでは、 p—クロ口フエニル基が好ましい。 シクロアルキル基としては、 シクロへキシル基、 シクロペンチル基などが挙 げられる。
(k)下記一般式 (14)
一 S Rio · · · (14)
で表される基。 ただし、 R10はアルキル基、 アルケニル基、 アルキニル基、 フ ェニル基、 ァラルキル基、 ハロゲノフエニル基、 ナフチル基およびシクロアル キル基から選ばれる基を示す。 これらのうちでは、 アルキル基が好ましい。
アルキル基、 アルケニル基、 ァラルキル基、 ハロゲノフエニル基、 ナフチル 基およびシクロアルキル基としては、 前記 R9で示したアルキル基、 アルケニ ル基、 ァラルキル基、 ハロゲノフエニル基、 ナフチル基およびシクロアルキル 基と同様のものが挙げられる。
アルキニル基としては、 炭素原子数が好ましくは 1〜 2 0、 さらに好ましく は 1〜1 0のアルキニル基が挙げられる。 このようなアルキニル基としては、 たとえば、 プロパルギル基、 1一フエニルプロパルギル基などが挙げられる。 これらのうちでは、 プロパルギル基が好ましい。
フエニル基としては、 フエニル基 (C6H5—)、 メトキシフエ二ル基、 o-トリ ル基、 P-ニトロフエニル基、 2-ニトロフエニル基、 3-ニトロフエニル基、 p -フ ルオロフェニル基、 P-メトキシフエ二ル基、 P-ァミノフエ二ル基、 N-メチルァ ミノフエニル基、 P- (ジメチルァミノ)フエニル基、 4-ァセチルフエニル基、 P- ョードフエニル基、 P-クロ口フエ二ル基、 2-ピベリジノエチル基、 2,4,6 -卜リク ロロフェニル基、 2,4,6-トリメチルフエニル基、 2,4,6-トリプロモフエ二ル基、 2,4-ジクロロフェニル基、 2,4-ジプロモフエニル基、 2,4-ジメチルフエニル基な どが挙げられる。 これらのうちでは、 フエニル基、 メトキシフヱニル基などが 好ましい。
また、 本発明に係るチオール化合物誘導体は、 前記一般式 (11)の R1と R2と が環を形成していてもよい。 R1と: R2とが環を形成する場合は、 R1と R2とは、 いずれもアルキル基であることが好ましく、 該アルキル基は置換基を有してい てもよい。
この場合、 R
3は水素原子であることが好ましく、 該 R iと R
2とにより形成 される環は、 下記一般式 (7)
(式 (7)中、 nは 3または 4を示す。) で表されることが好ましい。 また、 この ような環状構造に係る構成成分は、 置換基を有していてもよい。
本発明に係るチオール化合物誘導体のうちのジチオール化合物誘導体は、 さ らに、 下記一般式 (15)
• - (15) (誘導体
e ) で表されるチオール化合物誘導体 (以下 「誘導体 e」 ということがある) であ つて、 該式 (15)中、 Χΐが、 下記一般式 (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体が挙げられる。
式 (15)中、 R5は、 前記式 (10)中の R5と同じものが挙げられ、 式 (2)は前記の とおりである。
本発明に係るチオール化合物誘導体のうちのジチオール化合物誘導体は、 さ らに、 下記一般式 (16)
• · · (16) (誘導体 f ) で表されるチオール化合物誘導体 (以下 「誘導体: f」 ということがある) が挙 げられる。
式 (16)中、 X Iは、 下記一般式 (2)
で表される基である。 式 (16)中、 Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属で ある。 アルカリ金属としては、 ナトリウム、 カリウムなどが挙げられる。 アル カリ土類金属としては、 カルシウム、 マグネシウム、 バリウムが挙げられる。 これらのうちでは、 ナトリウムが好ましい。
R5は前記一般式 (10)の R5と同じであり、 式 (2)は前記のとおりである。 このような、 前記一般式 (10)
(10) (誘導体 d ) で表されるチオール化合物誘導体であって、 式 (10)中 χ ι、 X
2が、 下記一般式 (2)
( H
2R
1
— C一 A-R2
R3 · · · (2)
で表される基であるチオール化合物誘導体の 「好ましい置換基 R5」 としては、 たとえば、水素原子、 メチル基、 フエニル基、 アミノ基、 ジへキシルァミノ基、 ビス (2—へキシル) アミノ基、 ジェチルァミノ基、 ジシクロへキシルァミノ 基、 ジフエニルァミノ基、 ジベンジルァミノ基、 ジァリルアミノ基、 ジドデシ ルァミノ基、 ジブチルァミノ基、 ジメチルァミノ基、 フエニルァミノ基、 3 , 5—ジー tert—ブチル一4—ヒドロキシァ二リノ基、 ステアリルアミノ基、 ェ チルァミノ基、へキシルァミノ基、 cis- 9-ォクタデセニルァミノ基、 シクロへキ シルァミノ基、 4—ァニリノ一 N—イソプロピルァニリノ基、 メトキシ基、 1 —ナフチルォキシ基、 m—クロロフエノキシ基、 2 , 4—ジメチルフエノキシ 基、 フエノキシ基などが挙げられ、 「さらに好ましい置換基 R5」 としては、 水 素原子、 メチル基、 フエニル基、 ジブチルァミノ基、 メトキシ基、 フエノキシ 基などが挙げられる。
また、 前記式 (15)、 (16)で表される誘導体 e、 誘導体 f についても、 好まし い置換基 R5およびさらに好ましい置換基 R5としては、 上記式 (10)で表される チオール化合物誘導体 dと同様のものが挙げられる。
また、 これら前記 (g)〜(k)のうち、 前記一般式 (2)において、 Aが酸素原子、 R1が水素原子、 R2がアルキル基または (ポリ) アルキレングリコールから水 酸基を除いた残基、 R3が水素原子であるチオール化合物誘導体が特に好まし い。 .
式 (10)、 (15)、 (16)で表されるチオール化合物誘導体 d、 e、 fについて、 X ι、 X2が互いに同一であって、 前記好ましい置換基 R5、 さらには、 前記さらに
好ましい置換基 R5を有するものとしては、 具体的には、 たとえば、 X こつい て A、 Ri、 R2、 R 3力 それぞれ下記表 4 (表 4- 1〜4- 4)、表 5 (表 5-1〜5- 4)、 表 6 (表 6- 1〜6-4) に示す置換基であるチオール化合物誘導体 (d)、 (e)、 (f)が 挙げられる。
表 4—1
ナ: ——レ 1匕
物誘導体 誘導体 A R3 R1 R2
e1 e O H H メチル基
e2 e O H H ェチル基
e3 e o H H n—プロピル基
e4 e 〇 H H イソプロピゾレ基
e5 e o H H n—ブチル基
e6 e o H H イソブチゾレ基
e7 e o H H sec -ノチリレ基
e8 e o H H tert-ブチノレ基
e9 e o H H ペンチル基
e10 o H H へキシノレ基
e1 1 e o H H ヘプチル基
e12 Q o H H 才クチ Jレ基
e13 Q o H H 2—ェ千ルへキシル基
e14 @ o H H デシル基
e15 Q o H H セチル基
e16 e o H H ステアリリレ基
e17 e o H H 1—メンチル基
e18 o H H プロ/ ンジェ二ノレ基
e1 9 e 〇 H H イソプロぺニル基
e20 e o H H 3—ブチニノレ基
e21 e o H H 3—メチルー 2—ブテニ Jレ基
e22 e o H H ァリル基
e23 〇 H H 2—メチレアリ レ基
e24 e 〇 H H プロパルギル基
e25 e o H H 3—フ Xニルプロパルギル基
e26 e o H H エチレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 e27 e o H H プロピレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 e28 e o H H ブチレングリコ一ルの 1つの水酸基を除いた残基 e29 e o H H ジエチレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 e30 e o H H ジプロピレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 e31 e o H H ジブチレングリコールの" 1つの水酸基を除いた残基 シ'エチレンゲリコールモノブチルエーテルの 1つの水酸基を除いた残 e32 e o H H
基
e33 e o H H トリエチレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 e34 e o H H トリプロピレングリコ一ルの 1つの水酸基を除いた残基 e35 e o H H トリブチレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基
表 5— 2
于 T— へ
ゾレ 1t合
if勿^ 本 誘導体 A R3 R1 R2
e36 e O H H テトラエチレングリコールの 1つの水酸基を除いた残基 テトラプロピレングリコ一ルの 1つの水酸基を除いた残 e37 e O H H
e38 e O H H テトラブチレングリコ一ルの 1つの水酸基を除いた残基 e39 e O H H アセトンォキシ厶基の水酸基を除いた残基 e40 e 〇 H H トリエタノールァミンの 1つの水酸基を除いた残基 e41 e 〇 H H ジエタノールァミンの 1つの水酸基を除いた残基 e42 e 〇 H H ジメチルアミノエタノ一ルの水酸基を除いた残基 e43 e 〇 H H トリメチルシリルアルコールの水酸基を除いた残基 e44 e o H H 卜リエチルシリルアルコールの水酸基を除いナー残基 e45 e o H H シクロへキシノレアルコ一ノレの水酸基を除いナ-残基 e46 Q o H H メン! ルの水酸基を除いナ-残基
e47 e o H H ナフチルアルコールの水酸基を除いた残基 e48 e o H H 1—クロロェチリレ基
e49 e 〇 H H 2—クロロェチリレ基
e50 e o H H 1ーブロモェチゾレ基
e51 e o H H 2—ブロモェチル基
e52 e 〇 H H メトキシェチル基
e53 e o H H 2—ブ卜キシェチレ基
e54 e O H H メ卜キシエトキシェチル基
e55 e o H H ジメチルアミノエチル基
e56 e O H H 2— (ジェチルァミノ)ェチル基
e56 e O H H 3—ジメチレアミノプロピル基
e57 e O H H アミノエチル基
e58 e O H H トリメチルシリルェチル基
e59 e O H H トリメチルシロキシェチル基
e60 e O H H 2—ァセトキシェチル基
e61 e O H H 2—ピベリジノエチル基
e62 e O H H フエニル基
e63 e O H H メトキシフエ二ル基
e64 e O H H ο—トリル基
e65 e o H H ο—イソプロピルフエニル基
e66 e o H H ρ—ニトロフエニル基
e67 e o H H 2—ニトロフエニル基
e68 e o H H 3—二卜口フエニル基
e69 e o H H ρ—フルオロフェニル基
e70 e o H H Ρ—メトキシフエニル基
e71 e o H H ρ—ァミノフエニル基
e72 e o H H Ν-メチルァミノフエニル基
表 5— 3
表 6— 1
本発明に係るチオール化合物誘導体においては、 上記トリチオール化合物誘 導体およびジチオール化合物誘導体に加え、 前記一般式 (10)で表されるジチォ ール化合物誘導体の置換基一 S Χΐあるいは一 S X
2のうちの一つが、 さらに一 R
5で置換されたモノチオール化合物誘導体も挙げられる。 このようなモノチ オール化合物誘導体は、 R
5、 X
1 (あるいは X
2) は、 前記一般式 (10)で表され るジチオール化合物誘導体の R
5、 X
1と同様である。
ぐチオール化合物誘導体の製造方法 > 本発明に係るチオール化合物誘導体は、 分子中にチオール基を 1〜 3個有す るチオール化合物のチオール基 (一 S H) の一部または全部と、 ビニルエーテ ル等の二重結合部分とを結合させて得られる。 換言すれば、 チオール化合物の チオール基の水素原子を、 ビニルエーテル等に由来する置換基で置換させて得 ることができる。
このようなチオール化合物誘導体の製造方法は特に限定されず、 所望の置換 基を形成させることが可能な公知の方法を用いることができる。
たとえば、 トリアジンチオール、 トリアジンジチオールなどのチオール化合 物と、 モノビニルエーテル類、 アルデヒド、 ケトン等とを所定量接触させて、 チオール基 (一 S H基) が所定量置換されたチオール化合物誘導体を得ること ができる。
なお、 多価ビニルエーテル化合物とからチオール化合物誘導体を得ることも できる。 この場合、 多価ピニルエーテルによりチオール化合物の架橋物が形成 されることがある。
このようなチオール化合物とビニルエーテル類とを接触反応させる際、 必要 に応じ酸性触媒を使用することができる。
このようにして得られるチオール化合物誘導体は、 チオール基とビニルエー
テル類のビニル基等とが等量の割合で反応した、 チオール基の水素原子が全て ビニルエーテル類等に由来する置換基で置換された誘導体、 チオール基が 1個 残留している誘導体、 残留するチオール基がアル力リ金属あるいは多価金属、 あるいは第 4級アンモニゥム塩基、 ホスホニゥム塩基、 ピリジニゥム塩基など のォニゥム塩基により造塩された誘導体が挙げられる。
以下に、 チオール化合物、 ビニルエーテル類等について説明するとともに、 チオール化合物とビニルエーテル類等との反応において必要に応じて用いられ る触媒、 およびチオール化合物誘導体の製造方法について詳説する。
•チオール化合物
本発明で用いられるチオール化合物としては、 チオール基が 1分子当たり 2 個以上結合しているものが好ましく、 そのようなチオールであればいずれのチ オール化合物も用いることができる。
このようなチオール化合物としては、 たとえば、 ジメルカプトベンゼンなど のフエ二ルチオール、 チォカルボン酸類、 チアジアゾールなどのチオール化合 アルコキシシラン類、 1,10-ジメルカプトデカンなどの脂肪族ジチオール類、下 記式 (18)で表される 1,3,5 -卜リアジン- 2,4,6-トリチオール、下記一般式 (19)で表 されるトリアジンチオール類が挙げられる。
(18)
HS
SH (19) また、 これらのトリチオール化合物、 ジチオール化合物に加え、 チオール化 合物として、 上記一般式 (19)のチオール基 (一 S H) の一つがさらに R
5で置換 された、 モノチオール化合物を用いることもできる。
式 (19)中、 R5は、 前記式 (10)で示した、 R5と同じである。
このような前記一般式 (19)で表されるジチオール化合物としては、 好ましく は、
s —卜リアジン一 2 , 4ジチオール、
6—メチル— s _卜リアジン一 2 , 4ジチオール、
6—フエ二ルー s—卜リアジン— 2, 4ジチオール、
6—アミノー s—卜リアジン一 2 , 4ジチオール、
6—ジへキシルアミノー s—トリアジンー 2 , 4ジチオール、
6— [ビス (2—へキシル) ァミノ]一 s—トリアジン一 2 , 4ジチオール、 6—ジェチルアミノー s—卜リアジン一 2 , 4ジチオール、
6 6—-ジシクロへキシルァミノ一 s—トリアジン一 2 , 4ジチオール、
6—ジフエニルアミノー s トリアジン _ 2, 4ジチオール、
6ージベンジルアミノー s—トリアジン— 2 , 4ジチオール、
6—ジァリルァミノ一 s—卜リアジン '一- 2 , 4ジチオール、
6—ジドデシルァミノー s 卜リアジン一 2 , 4ジチオール、
66—一ジジブブチチルルアアミミノノーー s s——トトリリアアジジンン一- 2, 4ジチオール、
6—ジメチルァミノ一 s—トリアジン一 2 , 4ジチオール、
6 _フエニルアミノー s—トリアジン一 2, 4ジチオール、
2 - ( 3 , 5—ジー tert—ブチルー 4—ヒドロキシァ二リノ) —s —トリアジ ノ 、 ー 2 , 4ジチオール、
6—ステアリルアミノー s—トリァジン一 2 , 4ジチオール、
6 _ェチルアミノー s—トリアジン一 2, 4ジチオール、
6—へキシルアミノー s—トリアジン一 2, 4ジチオール、
6一 (cis-9-ォクタデセニルアミノ) 一 s—卜リアジン一 2 , 4ジチオール、 6—シクロへキシルアミノー s—トリアジン _ 2, 4ジチオール、
6— (4—ァニリノ一 N—イソプロピルァニリノ) 一 s—トリァジン一 2, 4 ジチオール、
6—メトキシ _ s—トリアジン一 2 , 4ジチオール、
6 - ( 1一ナフチルォキシ) 一 s —トリアジンー 2 , 4ジチオール、
6 - (m_クロロフエノキシ) 一 s—トリアジン一 2, 4ジチオール、
6— (2, 4—ジメチルフエノキシ) 一 s—トリアジン一 2 , 4ジチオール、 6—フエノキシ _ s—トリアジン _ 2 , 4ジチオールなどが挙げられる。 これらのうちでは、 6—フエ二ルー s—卜リアジン一 2 , 4ジチオールが好 ましい。
•ビニルエーテル類等
本発明に係るチオール化合物誘導体の製造に用いることのできるビエルエー テル類、 アルデヒド、 ケトンのうち、 反応性の観点からはビニルエーテル類を 好ましく用いることができる。 ビニルエーテル類は、 1分子当たりビニル基が 1個以上含まれていればよぐモノビエルエーテル、モノビニルチオエーテル、 環状のビニルエーテル類であるピラン誘導体、 フラン誘導体が挙げられる。 ま た、 ジビニルエーテル、 卜リビニルエーテル、 テトラビニルエーテルなどの名
価ビニルエーテルを用いることができる。
これらのうちでは、 本発明では、 モノビニルエーテル、 モノビニルチオエー テル、環状のビニルエーテル類であるピラン誘導体、フラン誘導体が好ましい。 前記ビニルエーテルとしては、 たとえば、 下記一般式 (20)で表されるビニル エーテルまたはビニルチオエーテルが挙げられる。
式 (20)中、 R i、 R2、 R 3、 Aは、 前記式 (2)で表される Ri、 R2、 R 3、 Aと同 じである。 また、 Riと R2とは環を形成していてもよい。
また、 本発明に係るチオール化合物誘導体は、 前記一般式 (20)の Riと R2と が環を形成していてもよレ^ R1と R2とが環を形成する場合は、 R1と R2とは、 いずれもアルキル基であることが好ましく、 該アルキル基は置換基を有してい てもよい。 この場合、 R3は水素原子であることが好ましい。
このようなビニルェ一テルとしては、 具体的には、 たとえば、 下記に示す化 合物が挙げられる。
メチルー 1フエ二ルビニルエーテル、
ェチルー 1フエ二ルビニルエーテル、
メチルー 1メチルビニルエーテル、
ェチルー 1ェチルビニルエーテル、
ェチルー 1メチルビニルエーテル、
メチルビニルエーテル、
ェチルビニルエーテル、
プロピルビニルエーテル、
イソプロピルビニルエーテル、
n—ブチルビニルエーテル、
ィソプチルビニルエーテル、
sec -プチルピニルエーテル、
tert-ブチルビニルエーテル、
ぺンチルビニルエーテル、
へキシルビニルエーテル、
へプチルビニルエーテル、
ォクチルビニルエーテル、
2—ェチルへキシルビニルエーテル、 デシルビニルエーテル、
セチルビニルエーテル、
ステアリルビニルエーテル、
プ口パジェニルビニルエーテル、
イソプロぺニルビニルエーテル、
2一プロピニルビニルエーテル、
3一ブチニルビニルエーテル、
3ーメチルー 2—ブテニルビニルエーテル、 ァリルビニルエーテル、
ェチレングリコールモノビニルエーテル、 ジエチレングリコールモノビニルエーテル、 トリェチレングリコ一ルモノビニルエーテル、 卜リエタノールアミンモノビニルエーテル、
1一クロルェチルビニルエーテル、
2—ク口ルェチルビニルエーテル、
アセトンォキシムビニルエーテル、
2—メチルァリルビニルエーテル、
3—フエニルプロパルギルビニルエーテル、 シクロへキシルビニルエーテル、
2ーブロモェチルビニルエーテル、
メトキシェチルビ二ルェ一テル、
2—ブトキシェチルビニルエーテル、
ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、 2—ァセ卜キシェチルビニルエーテル、 ジメチルアミノエチルビ二ルエーテル、
2 - (ジェチルァミノ) ェチルビニルエーテル、 ァミノェチルビニルエーテル、
3—ジメチルァミノプロピルビニルエーテル、 卜リメチルシロキシェチルビニルエーテル、 卜リメチルシリルビニルエーテル、
卜リェチルシリルビニルエーテル、
1一メンチルビニルエーテル、
2—メトキシフエ二ルビニルエーテル、 o—トリルビニルエーテル、
p—二トロフエニルピニルエーテル、
2一ナフチルビニルエーテル、
フエ二ルビニルエーテル、
p—フルオロフェニルビニルエーテル、
p—メトキシフエ二ルビニルエーテル、
p—アミノフエ二ルビニルエーテル、
2, 4, 6—トリクロ口フエ二ルビニルエーテル、
2, 4, 6—トリメチルフエ二ルビニルエーテル、
2, 4ージクロ口フエ二ルビニルエーテル、
2, 4, 6 _トリブロモフエ二ルビニルエーテル、
N-メチルァミノフエ二ルビ二ルェ一テル、
P— (ジメチルァミノ) フエ二ルビニルエーテル、
4ーァセチルフエ二ルビニルエーテル、
2—ニトロフエ二ルビニルエーテル、
3一二トロフエ二ルビニルエーテル、
p—ョ一ドフエ二ルビニルエーテル、
p—クロ口フエニルビニルエーテル、
1一フエ二ルェチルビニルエーテル、
ベンジルビニルエーテル、
2—ピぺリジノエチルビ二ルェ一テルなどが挙げられる。
環状モノビニルエーテルとしては、 具体的には、 たとえば、
2, 3—ジヒロドフラン、
3, 4—ジヒドロフラン、
2, 3—ジヒドロ一 2H—ピラン、
3, 4ージヒドロー 2H—ピラン、
3, 4—ジヒドロー 2—メトキシ _2H—ピラン、
3, 4—ジヒドロー 4, 4ージメチル一 2H—ピラン一 2—オン、 3, 4—ジヒドロ一2—エトキシ一 2H—ピランなどが挙げられる c
多価ビニルエーテル類としては、 ジビニルエーテル、 トリビニルエーテル、 テトラビニルエーテルなどが挙げられる。
ジビニルエーテルとしては、 具体的には、 たとえば、
ジビニルエーテル、
ジビニルフォルマール、
エチレングリコールジビニルエーテル、
ジエチレングリコールジピニルエーテル、
卜リエチレングリコールジビニルエーテル、
卜リエタノールアミンジビニルエーテル、
1, 3—プロパンジオールジビニルエーテル、
1, 4一ブタンジオールジビニルエーテル、
1, 4ーシク口へキサンジオールジピニルエーテル、
4, 4 'ージハイドロキシァゾベンゼンジビニルエーテル、
ハイドロキノンジビニルエーテル、
ビスフエノール Aジビニルエーテルなどが挙げられる。
トリビニルエーテルとしては、 具体的には、 たとえば、 グリセロールトリビ ニルエーテルなどが挙げられる。
テトラビ二ルェ一テルとしては、 具体的には、 たとえば、 ペン夕エリスリト ールテ卜ラビニルエーテルなど力挙げられる。
なお、 多価ビニルエーテルを用いて製造する場合、 製造条件により、 多価ビ ニルエーテルが複数のチオール化合物と架橋して、 高分子化合物となることが ある。
ビニルチオエーテルとしては、 前記ピニルエーテル、 環状モノビニルエーテ ルに対応するピニルチオエーテル等が挙げられる。 このようなビニルチオエー
テルとしては、 具体的には、 たとえば、
3— (卜リメチルシリル) プロピルビニルチオエーテル、
2一八ィドロキシェチルビ二ルチオエーテル、
2 - (N-モルフォリノ) ェチル— S—ビニルチオエーテル、
2 - (Ν- 0 -ノヽィドロキシェチル) アミノエチルー S—ビニルチオエーテル、
2—ァミノェチルビニルチオエーテル、
ρ—クロ口フエ二ルチオェ一テル、
フエ二ルビ二ルチオエーテル、
ジビニルチオエーテルなどが挙げられる。
これらのうち、 前記一般式 (20)において、 Αが酸素原子、 R iが水素原子、 R 2がアルキル基または(ポリ)アルキレングリコールから水酸基を除いた残基、 R 3が水素原子であるチオール化合物誘導体が特に好ましい。
•触媒
本発明に係るチオール化合物誘導体を、 前記チオール化合物と、 ビニルエー テル類等との反応により製造する場合、 必要に応じ、 触媒を用いることができ る。 触媒としては、 酸性触媒が好ましく、 酸性触媒としては、 酸性リン酸エス テル、 塩^水素、 チォニルクロライド、 塩化亜鉛などを用いることができる。 これらのうちでは、 酸性リン酸エステルを好ましく用いることができる。 このような酸性リン酸エステルとしては、 たとえば、 下記一般式 (21)
式 (21)中、 R iiは、 炭素原子数 1〜2 0のアルキル基、 シクロアルキル基ま
たはァリル基であり、 mは 1または 2である。
このような酸性リン酸エステルは、 第 1アルコールあるいは第 2アルコール のリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルであり、 具体的には、 第 1ァ ルコールとしては、 たとえば、 1一プロパノール、 1ーブ夕ノール、 1一へキ サノール、 1—ォク夕ノール、 2—ェチルへキシルアルコールなどが挙げられ、 第 2アルコールとしては、 2—プロパノール、 2—プ夕ノール、 2 _へキサノ —ル、 2—ォク夕ノール、 シクロへキサノールなどが挙げられる。
このような酸性リン酸エステルは、 1種単独で、 または複数を併用して用い ることができる。
前記酸性リン酸エステルを用いる場合、 その使用量は、 前記チオール化合物 に対して、 好ましくは 0 . 0 5〜5重量%程度である。 酸性リン酸エステルの 使用量が少ないと反応速度が遅くなる場合がある。
•反応溶媒
前記チオール化合物と、 ビニルエーテル類等との反応は、 無溶媒あるいは溶 媒中で行うことができる。 反応速度、 操作性の観点から溶媒中で行うことが好 ましい。 このような溶媒としては、 公知の有機溶剤を用いることができ、 たと えば、 炭化水素、 エーテル、 エステル、 ケトンなどが挙げられ、 具体的には、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 ェチルベンゼン、 ジォキサン、 テトラヒドロ フラン、 ジェチルエーテル、 ジプロピルエーテル、 酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プチル、 酢酸イソプロピル、 アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソ プチルケトン、 ジェチルケトン、 メチルプロピルケトンなどが挙げられる。 •チオール化合物誘導体の製造
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 溶媒中あるいは無溶媒下で、 必要に 応じ酸性リン酸エステルの存在下に、好ましくは室温〜 1 8 0 °Cの温度範囲で、
前記チオール化合物と前記ビニルエーテル類と接触させて得ることができる。 反応時間は通常、 1〜 6 0分程度である。
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 原料となるチオール化合物のチォー ル基の水素原子の全部又は一部がビニルエーテル類等で置換された化合物であ り、 チオール化合物とピニルエーテル類との配合比率をコントロールすること により、 所望のチオール化合物誘導体を得ることができる。 具体的には、 たと えば、 下記の配合割合で反応させればよい。
前記卜リチオール化合物 (18)を原料として、 3つのチオール基 (一 S H) の 水素原子の全てをビニルエーテル類等で置換させてチオール化合物誘導体 (1) を得る場合、 トリチオール化合物 (18) 1モルに対して、 ビニルエーテル類を好 ましくは 3〜 5モルの量を用いることが望ましい。
前記卜リチオール化合物 (18)を原料として、 3つのチオール基 (一 S H) の 水素原子のうちの 2つをビニルエーテル類等で置換させてチオール化合物誘導 体 (8)を得る場合、 トリチオール化合物 (18) 1モルに対して、 ビニルエーテル類 を好ましくは 1 . 8〜2 3モルの量を用いることが望ましい。
さらに、 チオール基の水素原子がアル力リ金属で置換されたチオール化合物 誘導体 (9)を得る場合、 トリチオール化合物 (18)と水酸化ナ卜リゥムあるいは水 酸化カリウムの水溶液をトリチオール化合物 (18) 1モルに対し、 1〜1 . 1モ ル反応させて得た塩に対して、 ビニルエーテル類を 1 . 8〜2 . 3モル反応さ せることにより得られる。
前記ジチオール化合物 (19)を原料として、 2つのチオール基 (一 S H) の水 素原子の全てをビニルエーテル類等で置換させてチオール化合物誘導体 (10)を 得る場合、 ジチオール化合物 (19) 1モルに対して、 ビエルエーテル類を好まし くは 2〜 5モリレの量を用いることが望ましい。
前記ジチオール化合物 (19)を原料として、 2つのチオール基 (一 S H) の水 素原子のうちの 1つをビニルエーテル類等で置換させてチオール化合物誘導体 (15)を得る場合、 ジチオール化合物 (19) 1モルに対して、 ビニルエーテル類を 好ましくは 0 . 8〜1 . 3モルの量を用いることが望ましい。
さらに、 チオール基の水素原子がアル力リ金属で置換されたチオール化合物 誘導体 (16)を得る場合、 ジチオール化合物 (19)と水酸化ナトリゥムあるいは水 酸化力リゥムの水溶液をジチオール化合物 (19) 1モルに対して 1〜 1 . 1モル 反応させて得た塩に対して、 ビニルエーテル類を 0 . 8〜1 . 3モル反応させ ることにより得られる。
·処理
得られたチオール化合物誘導体中に、 活性を有する触媒が混在していると、 保存条件などによつては、 得られたチオール化合物誘導体が加水分解を生じる 場合がある。 このため、 本発明のチオール化合物誘導体を、 前記チオール化合 物と、ビニルエーテル類との酸性触媒存在下での反応により製造する場合には、 反応生成物中に混在する触媒を除去するかまたは失活させるのが好ましい。 混 在する触媒を除去または失活させた場合には、 大気中で長期間保存した場合な どにおいても、 チオール化合物誘導体が分解を生じにくく安定であり、 保存性 に優れ、 より実用的である。
前記チオール化合物と、 ビニルエーテル類とを、 酸性触媒、 特に酸性リン酸 エステルの存在下に接触させてチオール化合物誘導体を得た場合には、 ハイド 口タルサイトまたは金属アルコキサイドで処理することが望ましい。
ハイドロタルサイトによる処理では、 酸性リン酸エステルなどの酸性触媒を 含有する反応生成物と、 ハイド口タルサイトとを接触させ、 ハイド口タルサイ 卜に酸性触媒を吸着させる。 ハイド口タルサイトに吸着した触媒は、 ろ過、 沈
殿などの方法により、 容易に反応生成物から除去することができる。
金属アルコキサイドによる処理では、 酸性リン酸エステルなどの酸性触媒を 含有する反応生成物に、 金属アルコキサイドを添加する。 これにより、 酸性蝕 媒の酸基 (酸性リン酸エステルのリン酸基など) をつぶし、 反応生成物中に混 在する触媒を失活させることができる。 用いる金属アルコキサイドの金属は、 T i、 A 1および Z rよりなる群から選ばれる金属であるのが好ましい。 ぐチオール化合物誘導体の用途 >
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 架橋剤として有用であり、 各種の硬 化性樹脂に配合して用いることができる。 本発明に係るチオール化合物誘導体 は、 チオール基 (一 S H) がビニルエーテル等に由来する基で保護されている ため、 アクリルゴム等の加硫剤として用いる場合に、 保存安定性がよく、 たと えば、加工時あるいはその後の保存時のゲル化を抑制することができる。また、 加硫成形時あるいは架橋形成時に、 ビニルエーテル等に由来する保護基を加熱 等により脱離させ、 一 S H基を有するチオール化合物を容易に再生させること ができるので、 本来の反応性を容易に復活させて、 塩素含有アクリルゴム、 ェ ポキシ基を含有する樹脂等の加硫あるいは架橋を有効に行わせ、 諸物性に優れ た架橋物を得ることができる。
このようなビニルエーテル類等に由来する保護基の脱離は、 酸触媒を用いて 行うことが好ましい。 このような酸触媒としては、 たとえば、 ハロゲノカルボ ン酸、 スルホン酸、 硫酸モノエステル、 リン酸モノエステル、 リン酸ジエステ ル、 ホウ酸モノエステル、 ホウ酸ジエステルなどが挙げられる。
本発明に係るチオール誘導体は、 チオール基を再生した後、 二重結合への付 カロ、 エポキシ環への付加、 有機性塩素の置換に対して用いることができる。 このようなチオール化合物誘導体は、 単独でまたは促進剤、 脱 '八ロゲン剤な
どと併用して用いることができる。
前記二重結合を有するゴム、 樹脂としては、 たとえば、 天然ゴム (N R)、 ィ ソプレンゴム(I R)、スチレンブタジエンゴム(S B R)、ブタジエンゴム (B R)、 二トリルゴム (N B R)、 エチレンプロピレンゴム (E P DM)、 不飽和ポ リエステル樹脂、 二重結合を導入したアクリルゴムなどが挙げられる。
エポキシ基を有するゴムあるいは樹脂としては、 エポキシ樹脂オリゴマー、 エポキシ基を含有するァクリルゴムなどが挙げられる。
有機性塩素を含有するゴムあるいは樹脂としては、 アクリルゴム、 クロロブ レンゴム (C R)、 ェピクロロヒドリンゴム (C O、 E C O) , 塩素化ポリェチ レン、 ポリ塩化ビエルなどが挙げられる。
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 これらのゴムあるいは樹脂を、 1種 単独でまたは複数をブレンドあるいは多層構造にしたものに混合させて用いる ことができ、 このような本発明に係るチオール化合物誘導体を含有するゴムあ るいは樹脂は、 共架橋、 共加硫、 金属と加硫接着された複合材料として成型す るのに有用である。
ぐ硬化性組成物 >
本発明に係る硬化性組成物は、 上述したチオール化合物誘導体を含有する。 また、 本発明に係る硬化性組成物は、 ハロゲン含有架橋性ポリマーと、 上述 した特定のチオール化合物誘導体とを含有している。 以下、 ハロゲン含有架橋 性ポリマー、 チオール化合物誘導体、 その他の成分等について具体的に説明す る。
•ハロゲン含有架橋性ポリマー
本発明に用いられるハロゲン含有架橋性ポリマーは、 ハロゲンを含有する架 橋可能な高分子化合物である。 ハロゲンとしては、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ
素原子が挙げられ、 これらのうちでは、 塩素原子を含有することが好ましい。 塩素原子を含有する架橋性ポリマーとしては、 塩素含有アクリルゴム、 ェピ クロロヒドリンゴム、 クロロプレンゴム、 クロルスルホン化ポリエチレンなど を好ましく用いることができる。 これらのうちでは、 塩素含有アクリルゴム、 ェピクロロヒドリンゴムをさらに好ましく用いることができる。
•ハロゲン含有アクリルゴム
前記ハロゲン含有アクリルゴムとしては、 (A)アルキル(メタ) ァクリレート およびアルコキシアルキル (メタ) ァクリレートから選ばれる少なくとも 1種 のァクリレート系モノマーと、 (B)架橋点モノマ一と、 必要に応じ、 (C)前記ァ クリレート系モノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの共重合体 を好ましく用いることができる。
(A) ァクリレー卜系モノマー
ァクリレート系モノマーとしては、 アクリル (メタ) ァクリレートおよびァ ルコキシアルキル (メタ) ァクリレートを好ましく用いることができる。 アルキル (メタ) ァクリレートとしては、 アルキル基の炭素原子数が好まし くは 1〜1 5、 さらに好ましくは 1〜1 0のアルキル (メタ) ァクリレートを 望ましく用いることができる。 このようなアルキル (メタ) ァクリレートとし ては、 たとえば、 メチル(メタ) ァクリレート、 ェチル(メタ) ァクリレート、 n-プロピル (メタ) ァクリレート、 イソプロピル (メタ) ァクリレート、 n-プ チル (メタ) ァクリレート、 イソブチル (メタ) ァクリレート、 n-ァミル (メ 夕) ァクリレート、 n-へキシル (メタ) ァクリレー卜、 2-ェチルへキシル (メ 夕) ァクリレート、 n-ォクチル (メタ) ァクリレー卜などのアクリル酸エステ ル、 メ夕クリル酸エステルが挙げられる。 これらは、 1種または 2種以上を併 用して用いることができる。
このようなアルキル (メタ) ァクリレートを用いると、 耐寒性、 耐油性に優 れた硬化物を得ることができる。 アルキル鎖が長いと耐寒性に有利となるが、 耐油性が不利となることがあり、 アルキル鎖が短いとその逆の傾向があること から、 これらのうちでは、 アクリル酸ェチル、 アクリル酸プチルが耐油性、 耐 寒性のバランスの観点から特に好ましい。
アルコキシアルキル (メタ) ァクリレートとしては、 アルコキシ基に係るァ ルキル基の炭素原子数が好ましくは 1〜7、 さらに好ましくは 1〜 4であり、 ァクリレートの酸素原子に結合するアルキル基の炭素原子数が好ましくは 1〜 1 5、 さらに好ましくは 1〜1 0であるアルコキシアルキル (メタ) ァクリレ —トを望ましく用いることができる。 このようなアルコキシアルキル (メタ) ァクリレー卜としては、 たとえば、 メトキシェチル (メタ) ァクリレート、 2- メトキシェチル(メタ)ァクリレート、エトキシメチル(メタ)ァクリレート、 2 -エトキシェチル (メタ) ァクリレー卜、 2-ブトキシェチル (メタ) ァクリレ ート、 2-or3-エトキシプロピル (メタ) ァクリレートなどが挙げられる。 これ らは、 1種単独で又は複数を併用して用いることができる。
こられのうちでは、 2-メトキシェチル (メタ) ァクリレート、 2-エトキシェ チル (メタ) ァクリレートをさらに好ましく用いることができる。
このようなアルコキシアルキル (メタ) ァクリレートを用いると、 耐寒性、 耐油性に優れた硬化物を得ることができる。
上記アルキル (メタ) ァクリレートとアルコキシアルキル (メタ) ァクリレ ートは、それぞれ単独でまたは併用して用いることができる。 アルキル(メタ) ァクリレートとアルコキシアルキル (メタ) ァクリレートとを併用して用いる 場合、 アルコキシアルキル (メタ) ァクリレートは、 アルキル (メタ) ァクリ レートに対して、 好ましくは 1 0〜4 0重量%、 さらに好ましくは 2 0〜3 0
重量%の量で用いることが望ましい。 このような範囲でアルキル (メタ) ァク リレートとアルコキシアルキル (メタ) ァクリレートを用いると、 耐寒性、 耐 油性のみならず、耐熱性などの常態物性にも優れる硬化物を得ることができる。
(B) 架橋点モノマー
本発明で用いるハロゲン含有ァクリルゴムの製造に使用する架橋点モノマー (B) は、 2以上の官能基を有する重合性モノマーであり、 ハロゲン含有ァク リルゴムの架橋点を形成する。
このような 2官能反応性モノマ一としては、 反応性ハ口ゲン含有ビニルモノ マ一、 エポキシ基含有ビニルモノマー、 カルボキシル基含有ビニルモノマー、 ジェン系モノマー、 水酸基含有ビニルモノマー、 アミド基含有モノマーなどが 挙げられる。
これらのうち、 本発明では、 反応性のハロゲン原子を含有する重合性モノマ 一を少なくとも 1種用いる。 すなわち、 本発明で用いるハロゲン含有アクリル ゴムの製造に使用する架橋点モノマー (B)としては、上記 2官能性モノマーのう ち、 反応性ハロゲン含有モノマ一を少なくとも 1種用い、 さらに、 前記 2官能 性モノマーのうち、 ハロゲン原子を含有しない 2官能性モノマーを併用しても よい。
ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、このうち塩素が好ましい。 上記 2官能反応性モノマーのうち、 ハロゲン原子を含有する重合性モノマー としては、 たとえば、 クロ口ェチルピニルエーテル、 クロロェチルァクリレー ト、 ビニルベンジルクロライド、 ビニルクロロアセテ一卜、 ァリルクロロアセ テート、 クロロメチルスチレンなどの反応性ハロゲン含有モノマーが挙げられ る。
架橋点モノマーにおいて、 反応性ハロゲン含有モノマーと、 ハロゲン原子を
含有しない 2官能性モノマーとを併用する場合、 上記のうちでは、 カルポキシ ル基含有ビニルモノマーを用いることが好ましい。
このような力ルポキシル基含有ビニルモノマーとしては、 たとえば、 ァクリ ル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ィタコン酸、 シトラコン酸などのジカルボン酸、 モノメチルマレエート、 モノェチルマレエ —ト、モノブチルマレエ一ト、モノメチルフマレート、モノェチルフマレ一ト、 モノプチルフマレ一トなどのジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。 こ れらのカルボキシル基含有ビニルモノマーは、 1種単独でまたは 2種以上を併 用して用いることができる。
(C) エチレン性不飽和モノマー
前記ァクリレー卜系モノマー (A) と共重合可能なエチレン性不飽和モノマ —としては、 スチレン、 ビニルトルエン、 α—メチルスチレン、 ビニルナフタ レン、 アクリロニトリル、 メタクリロニトリル、 アクリルアミド、 シクロへキ シルアタリレート、 フエニル (メタ) ァクリレート、 ベンジルァクリレート、 酢酸ビニル、 ェチルビニルエーテル、 ブチルピエルエーテル、 エチレン、 ピぺ リレン、 イソプレン、 ペン夕ジェン、 ブタジエン、 2—ヒドロキシェチルァク リレート、 4—ヒドロキシブチルァクリレー卜などが挙げられる。
これらのエチレン性不飽和モノマー (C) は 1種単独でまたは 2種以上を併 用して用いることができる。
また、 必要に応じて、 混練加工性、 押し出し加工性等の改善などの目的で、 多官能不飽和モノマーを使用してもよく、 オリゴマ一として、 エチレングリコ ールジ (メタ) ァクリレート、 1,4ブタンジオールジ (メタ) ァクリレート、 1,6へキサンジオール (メタ) ジァクリレート、 1,9ノナンジオールジ (メタ) ァクリレートなどのジ(メタ)ァクリレート類;ネオペンチルダリコールジ(メ
夕) ァクリレート、 テトラエチレングリコールジ (メタ) ァクリレート、 トリ プロピレングリコールジ (メタ) ァクリレート、 ポリプロピレングリコールジ (メタ) ァクリレートなどのアルキレングリコール類;ビスフエノール A、 E O付加物ジァクリレート、 ジメチロールトリシクロデカンジアタリレート、 グ リセリンメタクリレートァクリレート、 3-ァクリロイルォキシグリセリンモノ メタクリレートなどを使用してもよい。
本発明で用いるハロゲン含有アクリルゴムは、 前記ァクリレート系モノマー (A)に由来する成分が、好ましくは 2 0〜8 5重量%、 さらに好ましくは 3 0〜 7 0重量%の量で、前記架橋点モノマー (B)として反応性ハロゲン含有重合性モ ノマ一に由来する成分が、 好ましくは 0 . 1〜1 5重量%、 さらに好ましくは 0 . 3〜 5重量%の量で、前記ェチレン性不飽和モノマ一 (Qに由来する成分が、 好ましくは 0〜7 9 . 9重量%、 さらに好ましくは 1 0〜6 0重量%の量((A) + (B) + (C)= 1 0 0重量%) で含まれていることが耐寒性、 耐油性、 耐熱性の バランスの観点から望ましい。
このようなハロゲン含有ァクリルゴムの分子量に特に制限はないが、 ゲルパ 一ミエーシヨンクロマトグラフィー (G P C) で測定した重量平均分子量は、 好ましくは 1 0 0万以下、 さらに好ましくは 5万〜 5 0万であることが、 加工 性、 ゴムの強度などの機械的性質の観点から望ましい。
•ハロゲン含有アクリルゴムの製造
このようなハロゲン含有アクリルゴムは、 公知の方法で製造することができ る。たとえば、前記ァクリレート系モノマー (A)は、好ましくは 2 0〜8 5重量%、 さらに好ましくは 3 0〜7 0重量%の量で、前記架橋点モノマ一 (B)として反応 性ハロゲン含有重合性モノマーを好ましくは 0 . 1〜1 5重量%、 さらに好ま しくは 0 . 3〜 5重量%の量で、 前記エチレン性不飽和モノマー (C)は、 好まし
くは 0〜7 9 . 9重量%、 さらに好ましくは 1 0〜6 0重量%の量 ((A) + (B) + (C)= l 0 0重量%)でラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合、塊状重合、 乳化重合、 懸濁重合などの各種方法によりランダム重合させればよい。
•ェピクロロヒドリンゴム
本発明で使用できるェピクロロヒドリンゴムは、 ェピクロロヒドリンの単独 重合体あるいはアルキレンォキシド、 不飽和ォキシドとの共重合により得るこ とができる。
アルキレンォキシドとしては、 エチレンォキシド、 プロピレンォキシドなど を好ましく用いることができる。 不飽和ォキシドとしては、 ァリルグリシジル エーテルなどが挙げられる。
このようなェピクロロヒドリンゴムは公知の方法により製造することができ、 また、 市販のものを用いることもできる。
アルキレンォキシド、 不飽和ォキシドとの共重合体の場合、 ェピクロロヒド リンとアルキレンォキシド等とを通常等モルで反応させたものを好ましく用い ることができ、 アルキレンォキシド又は不飽和ォキシドに由来する成分が、 好 ましくは 1 0〜9 0重量%、 さらに好ましくは 4 0 - 6 0重量%の範囲にある ものが望ましい。
ェピクロロヒドリンゴムの分子量に特に制限はないが、 ゲルパーミエーショ ンクロマトグラフィー (G P C) で測定した重量平均分子量は、 好ましくは 2 0万以下、 さらに好ましくは 5 0 0 0〜 1 0万であることが、 加工性、 ゴムの 強度などの機械的性質の観点から望ましい。
•その他のハロゲン含有架橋性ポリマ一
本発明で用いることができるその他のハロゲン含有架橋性ポリマーとしては、 クロロプレンゴム、 クロロスルホン化ポリエチレン、 塩素化ポリエチレン、 ポ
リ塩化ビニルなどが挙げられる。これらは、市販のものを用いることができる。
<チオール化合物誘導体 >
八ロゲン含有架橋性ポリマーを含有する本発明の硬化性組成物は、 下記一般 式 (17)で表される官能基を 1分子中に少なくとも 1個有するチオール化合物誘 導体を含有している。
式 (17)中、 A、 R R2、 R 3は、 それぞれ、 前記一般式 (2)の A、 R R R3と同様である。
本発明で用いられる前記一般式 (17)で表される官能基を有する具体的な化合 物としては、たとえば、 1,3,5—トリアジン一 2,4,6—トリチオールあるいは 1,3,5 一トリァジン一 2,4—ジチオール類などの誘導体が挙げられ、該化合物のチォー ル基 (― S H) の水素原子が、 特定の置換基で置換された化合物である。 この ようなチオール化合物誘導体は、 トリアジンチオールなどのチオール基 (一 S H) を有する化合物と、 ピニルエーテル類とを反応させて得ることができる。 このようなチオール化合物誘導体としては、 具体的には、 上述した本発明の チオール化合物誘導体である、 トリチオール化合物誘導体、 ジチオール化合物 誘導体およびモノチオール化合物誘導体を挙げることができる。
また、 上述したチオール化合物誘導体の他、 前記トリチオール化合物あるい は前記ジチオール化合物と多価ビニルエーテルとを接触させて得られるチォー ル化合物誘導体を挙げることがができる。 このような多価ビニルエーテルとの 反応により得られるチオール化合物誘導体は、 高分子状の化合物である。
この場合、 得られるチオール化合物誘導体は、 原料となるトリアジンチォ一
ルのチオール基の水素原子の全部又は一部が多価ビニルェ一テルで置換された 化合物であり、 通常、 該多価ビニルエーテルは、 さらに他のトリアジンチォ一 ルと反応して架橋構造を形成している。
本発明の硬化性組成物に含有されるチオール化合物誘導体は、 原料となるチ オール化合物のチオール基の水素原子の全部又は一部がビニルエーテル類等で 置換された化合物であり、 チオール化合物とビニルエーテル類との配合比率を コントロールすることにより、 所望のチオール化合物誘導体を得ることができ る。
チオール化合物誘導体は、 ビニルエーテル類としてモノビニルエーテルを用 いる場合には、 本発明のチオール化合物誘導体を製造する上述の方法により好 適に得ることができる。
また、 ビニルエーテル類として多価ピニルエーテルを用いる場合には、 以下 のようにしてチオール化合物誘導体を製造することができる。
前記一般式 (18)あるいは (19)で表されるチオール化合物、すなわち下記式 (18) あるいは (19) (R5は前述のとおり)
で表されるチオール化合物と、 前記多価ビニルエーテルとを接触させて得られ るチオール化合物誘導体は、 原料となるチオール化合物のチオール基の水素原
子の全部又は一部が多価ビニルエーテルで置換された化合物であり、 通常、 該 多価ビニルエーテルは、 さらに他のチオール化合物と反応して架橋構造を形成 している。
チオール化合物と多価ビニルエーテルとの配合割合は、 通常、 用いるチォー ル化合物および多価ピニルエーテルにより異なるので、 以下に、 チオール化合 物毎の好ましい配合割合などについて説明する。
(りトリチオール化合物ひ 8)と多価ビニルエーテルとの反応
① 前記トリチォ一ル化合物 (18)を原料として、 3つのチオール基 (一 S H) の水素原子の全てまたは一部をジビニルエーテルで置換させて、 チオール化合 物誘導体を得る場合、 トリチオール化合物 (18) 1モルに対して、 ジビニルエー テルを好ましくは 1 . 5〜2 0モル、 さらに好ましくは 3〜1 0モルの量で用 いることが望ましい。 この場合、 ジビニルエーテルはチオール化合物と架橋構 造を形成していてもよいが、 ジビニルェ一テルが架橋を形成せず、 前記一般式 (5)で表されるような官能基を有する化合物が生成していてもよい。
前述したとおり、 チオール化合物と反応したジビニルエーテルは、 さらに他 のトリチオール化合物と反応して架橋構造を形成するものと推測される。 具体 的には、 たとえば、 前記一般式 (5)で表される官能基の末端ビニル基が他のチォ —ル化合物と反応するものと推測される。
② 前記トリチオール化合物 (18)を原料とし、 多価ビニルエーテルとしてトリ ビニルエーテルを用いる場合、 トリチオール化合物 (18) 1モルに対して、 トリ ビニルエーテルを好ましくは 1〜 1 5モル、 さらに好ましくは 3〜 1 0モルの 量を用いることが望ましい。 この場合、 ジビニルエーテルを用いる場合と同様 に、 トリビニルエーテルはチオール化合物と架橋構造を形成すると推測され、 また、 得られる生成物中には、 トリビニルエーテルが架橋を形成していないチ
オール化合物誘導体が存在していてもよい。
③ 前記トリチオール化合物 (18)を原料とし、 多価ビニルエーテルとしてテト ラビニルエーテルを用いる場合、 トリチオール化合物 (18)1モルに対して、 テ トラピニルェ一テルを好ましくは 0. 75〜: L 0モル、 さらに好ましくは 3〜 7モルの量を用いることが望ましい。 この場合、 ジビニルエーテルを用いる場 合と同様に、 テ卜ラピニルエーテルはチオール化合物と架橋構造を形成すると 推測され、 また、 得られる生成物中には、 テトラビニルエーテルが架橋を形成 していないチオール化合物誘導体が混入していてもよい。
このようにトリチオール化合物 (18)と多価ビニルエーテルから得られるチォ ール化合物誘導体は、架橋構造を有する複数種の分子量を有する組成物であり、 通常、 オリゴマー状あるいは高分子状態を呈している。
このようなチオール化合物誘導体は、 粘度が、 好ましくは 10〜 10000 c p s, さらに好ましくは 1000〜5000 c p sの範囲にあることが望ま しい。
また、 チオール化合物誘導体の重量平均分子量は、 好ましくは 400〜 10 000、 さらに好ましくは 1000〜5000の範囲にあることが望ましい。 (ii)ジチオール化合物 (19)と多価ビニルエーテルとの反応
① 前記ジチオール化合物 (19)を原料として、 2つのチオール基 (一 SH) の 水素原子の全てまたは一部をジビニルエーテルで置換させて、 チオール化合物 誘導体を得る場合、 ジチオール化合物 (19)1モルに対して、 ジビニルエーテル を好ましくは 1〜20モル、 さらに好ましくは 3〜10モルの量を用いること が望ましい。 この場合、 ジビニルエーテルはチオール化合物と架橋構造を形成 していてもよいが、 ジビニルエーテルが架橋を形成しないチオール化合物誘導 体が生成していてもよい。
② 前記ジチオール化合物 (19)を原料とし、 多価ビニルエーテルとしてトリビ ニルエーテルを用いる場合、 ジチオール化合物 (19) 1モルに対して、 トリビニ ルエーテルを好ましくは 0 . 7〜1 0モル、 さらに好ましくは 3〜 7モルの量 を用いることが望ましレ^この場合、ジビニルェ一テルを用いる場合と同様に、 トリビニルエーテルはチオール化合物と架橋構造を形成すると推測され、また、 得られる生成物中には、 トリビニルエーテルが架橋を形成していないチオール 化合物誘導体が混入していてもよい。
③ 前記ジチォ一ル化合物 (19)を原料とし、 多価ビニルエーテルとしてテトラ ビエルェ一テルを用いる場合、 ジチオール化合物 (19) 1モルに対して、 テトラ ビニルエーテルを好ましくは 0 . 5〜7モル、 さらに好ましくは 1〜 5モルの 量を用いることが望ましい。
このようにジチオール化合物 9)と多価ビニルエーテルから得られるチォー ル化合物誘導体は、 架橋構造を有する複数種の分子量を有する組成物であり、 通常、 オリゴマー状あるいは高分子状態を呈している。
このようなチオール化合物誘導体は、 粘度が、 好ましくは 1 0〜 1 0 0 0 0 c s , さらに好ましくは 1 0 0〜1 0 0 0 c p sの範囲にあることが望まし い。
また、 チオール化合物誘導体の重量平均分子量は、 好ましくは 4 0 0〜1 0 0 0 0.、 さらに好ましくは 1 0 0 0〜5 0 0 0の範囲にあることが望ましい。
<加硫促進剤 >
本発明の硬化性組成物は、 上述のハロゲン含有架橋性ポリマー、 チオール化 合物誘導体に加えて、加硫促進剤として、有機酸金属塩を用いるのが好ましく、 有機カルボン酸のアルカリ金属塩および zまたは有機カルボン酸のアル力リ土 類金属塩がより好ましく用いられる。
有機カルボン酸のアルカリ金属塩としては、 炭素数 3〜18の飽和脂肪酸、 炭 素数 3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸および芳香族カルボン酸など の有機力ルポン酸のリチウム塩、力リゥム塩、ナトリゥム塩などが用いられる。 具体的には、 たとえば、 ステアリン酸ナトリウム、 ステアリン酸カリウム、 ォ レイン酸ナトリウム、 ォレイン酸カリウム、 2-ェチルへキサン酸ナトリウム、 酒石酸ナトリウム、 酒石酸カリウム、 プロピオン酸ナトリウム、 酢酸ナトリウ ムなどが挙げられる。 これらのうち、 特に好ましいのは、 炭素数 8〜18の脂肪 酸の力リゥム塩またはナトリゥム塩であり、 カリゥム塩の方が一般に加硫速度 を早くする傾向を有している。
有機カルボン酸のアルカリ土類金属塩としては、炭素数 1〜18の飽和脂肪酸、 炭素数 3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸および芳香族カルボン酸な どの有機カルボン酸のマグネシウム塩、 カルシウム塩、 バリウム塩、 亜鉛塩な どが用いられる。 具体的には、 たとえば、 ステアリン酸マグネシウム、 ステア リン酸カルシウム、 ォレイン酸バリウム、 酒石酸マグネシウム、 プロピオン酸 カルシウムなどが挙げられる。 これらのうち、 特に好ましいものとして、 炭素 数 8〜18の脂肪酸のカルシウム塩、 バリゥム塩が挙げられる。
ぐ加硫促進助剤 >
本発明の硬化性組成物は、 上記加硫促進剤とともに、 加硫促進助剤を含有す るのが好ましい。 加硫促進助剤としては、 公知の加硫促進助剤を用いることが でき、 たとえば M g、 C a、 B a、 Z n、 N a、 K、 L i、 F e、 C uなどの 金属の酸化物、 水酸化物、 炭酸塩、 ジアルキルジチォ力ルバミン酸塩、 ホウ酸 塩、 リン酸塩、 珪酸塩、 ハイド口タルサイト、 第 4級アンモニゥム塩、 ホスホ ニゥム塩、 ポリエチレングリコール、 ポリエチレングリコールモノアルキルェ 一テル、 ポリエチレンダリコールジアルキルエーテルなどを挙げることができ
る。
具体的には、 酸化マグネシウム、 水酸化マグネシウム、 水酸化バリウム、 炭 酸マグネシウム、 炭酸バリウム、 酸化カルシウム、 水酸化カルシウム、 炭酸力 ルシゥム、珪酸カルシウム、 フタル酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、 ジブチルチオ力ルバミンサン亜鉛、 メタホウ酸バリウム、 セチルトリメチルァ ンモニゥムブ口マイド、 ポリエチレングリコール # 6 0 0などが挙げられる。 金属酸化物、 金属水酸化物、 炭酸塩などは、 受酸剤として作用して加硫促進効 果をうながすことができる。 また、 架橋反応速度の調整のため、 N- (シクロへ キシルチオ) フタルイミドや、 スルホンアミド誘導体、 有機酸などの加硫遅延 剤 (早期架橋防止剤) を用いてもよい。
これらは、 1種単独で又は複数を併用して用いることができる。
このうち本発明では、 加硫促進助剤として、 アンモニゥム化合物、 ホスホニ ゥム化合物、アルソニゥム化合物、スチポニゥム化合物、ォキソニゥム化合物、 スルホニゥム化合物、 セレソニゥム化合物、 スタンノニゥム化合物、 ョードニ ゥム化合物などのォニゥム化合物を用いるのが望ましい。
本発明で加硫促進助剤として好ましく用いることのできるォニゥムィ匕合物と しては、 具体的には、 たとえば、 塩化メチルトリオクチルアンモニゥム、 塩化 ラウリルピリジニゥム、 塩化テトラへプチルアンモニゥム、 ステアリン酸テト ラブチルアンモニゥム、 臭化セチルメチルアンモニゥムなどの四級アンモニゥ ム化合物;メチルトリオクチルホスホニゥムテトラフルォロボレート、 ベンジ ル卜リオクチルホスホニゥムブロマイド、 ベンジルトリオクチルホスホニゥム クロライド、 メチル卜リオクチルホスホニゥムアセテート、 メチルトリオクチ ルホスホニゥムジメチルホスフエ一ト、 メチルトリォクチルホスホニゥムクロ ライドなどの四級ホスホニゥム塩などを挙げることができる。
また本発明では、 加硫促進助剤として、 ポリエチレンオキサイド、 ポリプロ ピレンォキサイドなどのポリアルキレンォキサイド類を用いることも好ましい
<老化防止剤 >
本発明の硬化性組成物は、 上述のハロゲン含有架橋性ポリマー、 チオール化 合物誘導体に加えて、 老化防止剤を含有することも好ましい。 老化防止剤とし ては、 アミン系、 キノリン系、 フエノール系、 亜リン酸エステル系、 チォエー テル系などの老化防止剤が好ましく用いられる。
一般に、 アクリルゴム配合物においては、 4,4 -ビス (α , α-ジメチルペンジ ル) ジフエ二ルァミンを代表例とするジフエ二ルァミン系老化防止剤が単独で 用いられるが、 本発明では、 ジフエニルァミン系老化防止剤と、 ィォゥ系老化 防止剤またはリン系老化防止剤とを併用するのが望ましい。
ィォゥ系老化防止剤としては、 好ましくは、 ジラウリル- 3,3-チォジプロピオ ネート、 ジステアリル- 3,3-チォジプロピオネート、 ペン夕エリスリ! ^一ルテト ラキス (3-ラウリルチオプロピオネート) などのチォエーテル系化合物が挙げ られる。 また、 リン系老化防止剤としては、 好ましくは、 トリス (ノニルフエ ニル) フォスフアイトなどの亜リン酸系化合物が挙げられる。
<その他の配合物 >
本発明に係る硬化性組成物は、 上述した各成分以外に、 本発明の目的を阻害 しない範囲で、 他の添加物などを配合物として含有していてもよい。 このよう な配合物としては、 たとえば、 補強剤、 充填材、 可塑剤、 加工助剤、 顔料、 滑 剤、 ハロゲン含有架橋性ポリマー以外の樹脂などが挙げられる。
ぐ硬化性組成物 >
本発明に係る硬化性組成物は、 前記ハロゲン含有架橋性ポリマーと、 前記チ オール化合物誘導体とを含有し、 さらに、 必要に応じ、 有機酸金属塩、 加硫促
進助剤、 老化防止剤、 補強剤、 充填剤、 可塑剤、 顔料、 加工助剤、 滑剤等を含 有することができる。
このような前記ハ口ゲン含有架橋性ポリマーと、 前記チオール化合物誘導体 とからなる硬化性組成物は、 公知の方法により製造することができ、 その製造 方法は特に限定されない。 たとえば、 各成分を配合し、 ロール、 密閉式混練機 等で混練した後、 公知の架橋条件に従つて加硫成形することにより得られる。 このような硬化性組成物中におけるチオール化合物誘導体の配合割合は、 ハ ロゲン含有架橋性ポリマ一に対して、 好ましくは 0 . 1〜5重量%、 さらに好 ましくは 1〜 3重量%の割合であることが望ましい。
チオール化合物誘導体の配合割合が 0 . 1重量%より小さいと、 架橋密度が 低下することがあり、 5重量%より大きいと、 架橋密度が高くなりすぎて成型 物が脆くなることがある。
得られた硬化性組成物は、加熱して架橋することができる。架橋成型温度は、 1 3 0〜2 0 0 °C程度が好ましい。 架橋温度が 1 3 0 より低いと、 架橋がさ れなかったりあるいは不十分となることがある。 架橋温度が 2 0 0 °Cより高い と、 架橋反応が速く進行しすぎて成型不良を起こすことがある。
架橋時間は、 架橋方法、 温度、 形状により異なり限定されないが、 通常 1分 から 5時間程度である。加熱方法に特に制限はなく、プレス、蒸気、オーブン、 熱風などにより行うことができる。
本発明に係る硬化性組成物は、 架橋剤として特定のチオール化合物誘導体を 用いている。 すなわち、 該チオール化合物誘導体は、 チオール基 (一 S H) が ビニルエーテル等に由来する基で保護されているため、 塩素含有ァクリルゴム 等の加硫剤として用いる場合に、 保存安定性がよく、 たとえば、 加工時あるい はその後の保存時のゲル化を抑制することができる。 また、 加硫成形時あるい
は架橋成形時に、ピニルエーテル等に由来する保護基を加熱等により脱離させ、 - S H基を有するチオール化合物を容易に再生させることができるので、 本来 の反応性を容易に復活させて、 塩素含有アクリルゴム、 エポキシ基を含有する 樹脂等の加硫あるいは架橋を有効に行わせ、 諸物性に優れた架橋物を得ること ができる。
このようなビニルエーテル類等に由来する保護基の脱離は、 酸触媒を用いて 行うことが好ましい。 このような酸触媒としては、 たとえば、 ハロゲノカルポ ン酸、 スルホン酸、 硫酸モノエステル、 リン酸モノエステル、 リン酸ジエステ ル、 ホウ酸モノエステル、 ホウ酸ジエステルなどが挙げられる。
このようなチオール化合物誘導体は、 チオール基を再生された後、 二重結合 への付加、 エポキシ環への付加、 有機性塩素の置換に関与する。 チオール化合 物誘導体は、 単独でまたは促進剤、 脱ハロゲン剤などと併用して用いることが できる。
このようにして、 架橋により得られる成形体は、 硬さ、 引っ張り強さ、 圧縮 永久歪みなどに優れ、 ホース、 シール部品等に有用である。
本発明に係るチオール化合物誘導体は、 ゴム、 樹脂等からなる硬化性組成物 の架橋剤として有用で、 本発明に係るチオール化合物誘導体を含有する組成物 は、 チオール化合物の反応が抑えられているので成型硬化する前の保存安定性 に優れている。 また、 前記組成物の成型時は、 反応性の高いチオール化合物を 熱により容易に再生できるので、硬化を適時、迅速に行うことができる。また、 本発明に係るチオール化合物誘導体を硬化性組成物の加硫剤として用いること により、 硬化物の諸物性を損なうことがある保存性あるいは硬化性を制御する ための早期加硫防止剤を添加する必要がなくなるので、 諸物性に優れた硬化物 を得ることができる。
また、 本発明に係る硬化性組成物は、 硬化性組成物中で、 成型物への硬化前 の保存に際しては、 チオール化合物誘導体が特定の保護基により保護されて反 応が抑制されているので保存安定性に優れる。また、硬化性組成物の成型時は、 反応性の高いチオール化合物を熱により容易に再生できるので、 硬化を適時、 迅速に行うことができる。 また、 本発明に係るチオール化合物誘導体を硬化性 組成物の加硫剤として用いることにより、 硬化物の諸物性を損なうことがある 保存性あるいは硬化性を制御するための早期加硫防止剤を添加する必要がなく なるので、 諸物性に優れた硬化物を得ることができる。 さらに、 本発明に係る 硬化性組成物が、 特定の加硫促進剤、 加硫促進助剤、 老化防止剤を含有する場 合には、 貯蔵安定性、 架橋速度、 架橋成形物の物理的性質にさら
く優れる。 実施例
以下、 実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明はこれ らの実施例に限定されるものではない。
なお、 以下の実施例および比較例において、 I R測定は、 日本分光工業株式 会社製 F TZ I R—7 0 0 0形 フーリエ変換赤外分光光度計を用いて行つ た。 実施例 1
温度計、 環流冷却器、 攪拌機を備えた四つ口フラスコに、 1,3,5- -2,4,6-トリチオールを 3 5 . 4 6 g ( 0 . 2モル)、 酸性リン酸ブチルエステル (大八化学工業 (株) 製、 A P— 4 ) を 0 . 3 g、 n—プチルビニルエーテル を 7 2 . 1 g ( 0 . 7 2モル)、 アセトンを 1 9 0 g装入し、 7 0での温度で、
均一な溶液になるまで攪拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を冷却して、 濃縮したところ、結晶を含む黄色液体を得た。結晶を濾別し、粘性黄色液体(チ オール化合物誘導体 A) 8 9 . l gを得た。
得られた粘性黄色液体を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、測定結果チヤ一トを図 1に示した。また、原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6- トリチオールの IR吸収スぺクトルを、 KB r錠剤法により測定し、 測定結果チ ヤートを図 2に示した。
図 1 より、 n—プチルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1619 c m-i 付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5-トリ ァジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (ェノール構造) または C = S結合 (ケ ト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1では消失してい ることがわかる。 この結果より、 得られた生成物である粘性黄色液体 Aは、 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチオールと n—プチルビニルエーテルとの付加体、 すなわちチオール基がビニル基に付加した下記式のチオール化合物誘導体であ ることが確認された。 生成物 (チオール化合物誘導体 A) の収率は、 1,3,5-ト リァジン- 2,4,6-トリチオールに対して 93%であった。
次に、 得られた粘性黄色液体 Aの一部を大気中で 1 8 0での温度で 5分間加 熱したところ、 固体になった。 この固体の I R吸収スペクトルを、 K B r錠剤 法により測定したところ、 図 3に示す結果が得られた。 図 3の I R吸収スぺク トルには、 原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールに帰属する 1 5 9
0 c m— i付近の吸収があり、 前記式で示される生成した化合物の保護基が熱に より脱離し、 原料化合物が生じたことがわかった。 実施例 2
前記実施例 1において、 n—プチルビニルエーテルを 7 2 . 1 ( 0 . 7 2 モル) 用いた代わりに、 イソプチルビニルエーテルを同量用いたこと以外は、 実施例 1と同様にして、 粘性黄色液体 (チオール化合物誘導体 B) 9 1 . 0 g を得た。 得られた粘性黄色液体を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スペクトル を測定し、 測定結果チャートを図 4に示した。
図 4では、 イソプチルビニルエーテルの二重結合の吸収に帰属される 1 6 2 1 c m一1の吸収は消失していることがわかる。 また、 図 2にみられる、 1,3,5- トリアジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (ェノール構造) または C二 S結合 (ケト構造) に帰属される 1 5 9 0 c m— 1付近の吸収についても、 図 4では消 失していることがわかる。 この結果より、 得られた生成物 Bは、 1,3,5-トリア ジン- 2,4,6-トリチオールとィソブチルビニルエーテルとの付加体、 すなわちチ オール基がビニル基に付加したチオール化合物誘導体であることが確認できた。 生成物 (チオール化合物誘導体 B ) の収率は 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチォ —ルに対して、 9 3 %であった。
次に、 得られた粘性黄色液体 Bの一部を大気中で 1 8 0 °Cの温度で 5分間加 熱したところ、 固体になった。 この固体の I R吸収スペクトルを、 K B r錠剤 法により測定したところ、 図 5に示す結果が得られた。 図 5の I R吸収スぺク トルには、 原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールに帰属する 1 5 9 0 c m— 1付近の吸収があり、 生成した化合物の保護基が熱により脱離し、 原料 化合物が生じたことがわかつた。
実施例 3〜 7、 比較例;!〜 5
実施例 1で得られた粘性黄色液体 A、 または実施例 2で得られた粘性黄色液 体 Bを、 表 7に示す割合で各成分と配合し、 8インチオープンロールで混練し て、 硬化性組成物を調製した。
得られた硬化性組成物の硬化前のム一ニースコーチは、混合直後の値および、 温度 4 0 °C、相対湿度(R H) 4 0 %の条件下に 7日保存後の値を、 JIS K6300 の方法により測定した。
硬化性組成物は、 1 8 0 °Cで 8分間加熱して一次加硫したのち、 さらに 1 7 5 °Cで 4時間 2次加硫して硬化させた。得られた硬化物の硬度、引っ張り強さ、 伸び、 圧縮永久ひずみを測定した。 さらに、 二次加硫物を 1 7 5 で 7 0時間 加熱し、 硬度変化率、 引っ張り強さ変化率、 伸び変化率を測定した。 各物性の 測定は、 HS K6301に準じて行った。 これらの結果を表 8に示す。
また、各実施例および比較例の組成物の加硫速度を、 (株)オリエンテック製 キュラストメーター V型を用いて測定した。 キュラストメ一夕一カーブを図 6 に示す。
表 7
表中、 数値は a«i5を示す。
アクリルゴ厶 1 :ェチルァクリレー卜一プチルァクリレートーメトキシェチルァクリレートークロロメチルスチレン (ί±ϋみ Smtヒ =50:20:30:1. 5) を、 常法により重合して得られたアクリルゴム アクリルゴム 2:ェチルァクリレー卜一プチルァクリレートーメトキシェチルァクリレー卜一クロ口酢酸ピニル «±^み¾«:ヒ=40:40:20:2) を、 常法により重合して得られたアクリルゴム アクリルゴ厶 3 :ェチルァクリレートープチルァクリレートーメトキシェチルァクリレー卜一クロロェチルビニルエーテル(仕込み1¾1;匕=50:20:30:5) を、 常法により重合して得られたアクリルゴム ェピクロロヒドリンゴム:ェピクロマー C C ^阪曹達(株)製)
ダイアブラック H:三菱化学(株)製; HAFカーボンブラック
シース卜 GS0:東海カーボン (株)製; FEFカーボンブラック
ノクラック CD:大内新興化学(株)製;第 2級ァミン 方止剤
TCY: 1, 3, 5-卜リァジン- 2, 4 6卜リチオール
TCYBVE:合成例 1で! ^したチ才 匕^ SI導体
TCYIBVE:合成例 2で製造したチオー 1^匕¾«¾導体
NS Soap:花王(株)製:半硬質牛脂脂肪酸ソーダ
MgO #150:協和化学工業(株)製;酸化マグネシウム
PVI:日本モンサン卜 (株)製; Ν-シクロへキシ オフタルイミド ( 加 6TJ¾止剤)
表 8
実施例 3 実施例 4 実施例 5 実施例 6 実施例 7 比較例 1 比較例 2 比較例 3 比較例 4 比較例 5 ム-二-スコ-チ (125。C)
L1+4 69 58 63 69 33 小 100 小口」 62 57 t 5 (分) 5.8 12.1 13.0 20.4 15.7 不可 2.9 不可 10.4 10.8
40°C, 40 RHに 7日保存
後のム-::-スコ-チ (125°C)
ML1+4 53 46 40 34 48 未測定 小 nj 未測定 38 92.5 t 5 (分) 6.2 6.7 6.9 21.0 9.8 未測定 不可 未測定 13.5 65 二次加硫後の特性
硬さ(JIS-A) 7.4 63 62 69 60 未測定 73 未測定 67 63 引張強さ (MPa) 12.4 10.8 11.3 11.0 7.3 未測定 12.1 未測定 11.7 9.5 伸び(%) 160 220 240 220 360 未測定 190 未測定 210 410 圧縮永久歪み (%)
150°C、 70時間 13 11 10 12 26 未測定 19 未測定 17 32 二次加硫物の加熱後
の特性
硬さ変化率 (%) +3 +5 +7 +7 -23 未測定 +5 未測定 +6 - 25 引張強さ変化率 - 8 - 4 +1 -6 -92 未測定 -8 未測定 -3
(%)
伸び変化率 (%) +5 -18 -4 - 9 -56 未測定 - 5 未測定 - 10 -76
公知のトリアジントリチオールと、 架橋基としてクロロメチルスチレンを共 重合したアクリルゴム 1を用いた場合 (比較例 1 ) あるいはクロ口酢酸ビニル を共重合したアクリルゴム 2を用いた場合(比較例 3 )、硬化が速すぎ、ム一二 一粘度、 スコーチタイムの測定ができなかった。 また、 早期加硫防止剤を添加 した場合 (比較例 2 ) であっても、 4 0 、 4 0 % R H保存 7日後のム一二一 スコーチが測定不可能であり、 長期保存安定性に劣っていた。
一方、 実施例 1 , 2で得られたチオール化合物誘導体を用い、 架橋基として クロロメチルスチレンを用いて共重合したアクリルゴム 1あるいはクロ口酢酸 ビニルを用いて共重合したアクリルゴム 2を用いた場合 (実施例 3〜5 ) は、 長期保存性、 硬化性ともに十分であり、 物性にも優れていた。
公知の卜リアジントリチオールと、 架橋基としてクロロェチルビニルエーテ ルを共重合したアクリルゴム 3を用いた場合(比較例 4 )、実施例 1で得られた チオール化合物誘導体と、アクリルゴム 3を用いた場合(実施例 6 )に比べて、 圧縮耐久歪みが劣った。
公知のトリアジントリチオールと、 ェピクロロヒドリンを用いた場合 (比較 例 5 )、実施例 1で得られたチオール化合物誘導体と、ェピクロロヒドリンゴム を用いた場合(実施例 7 )に比べて、保存性、硬化性、圧縮耐久歪みが劣った。 実施例 3〜7、 比較例 2, 4, 5について、 架橋温度 1 8 0 °Cでのキュラス トメ一夕一カーブを測定したところ、 表 9の様な結果が得られた。 なお、 キュ ラストメータ一カーブの測定は、 JISK6300に従い、 (株)オリエンテック製キ ユラストメーター V型を用いて行った。 測定条件は、 振幅 ± 1 ° 、 振動数 1 0 O cps とした。 図 6に、 実施例 3〜 7、 比較例 2 , 4 , 5についてのキュラス トメ一夕一カーブを示す。
表 9
t c10(min) : トルクが(MH— ML)の 1 0 %に到達する時間である。誘導時間 (スコ 一チタィ厶) を意味する。
t c 90 (min) : トルクが(MH— ML)の 90 %に到達する時間である。最高加硫点を意 味する。
tA80(min) : tcM— tc1。の値である。 ある種の加硫速度指数である。
T,o (kg- cm):試験開始後 1 0分後のトルクの値である。
ML(kg-cm) : トルクの最小値である。
MH(kg-cm) : トルクの最大値である。
実施例 8〜 3 3、 比較例 6
実施例 2で得られた粘性黄色液体 Bと、 組成比が、 ェチルァクリレー チルァクリレート Zメトキシェチルァクリレー卜 Zビニルクロ口アセテート = 40/40/20/2であるアクリルゴムとを、 加硫剤および加硫促進剤を除 く各成分とともに、 神戸製鋼社製 3. 6リットルのバンバリ一ミキサーで混練 し、 次いで加硫剤および加硫促進剤を加えてオープンロールで混練して、 表 1 0、 表 11、 表 12に示す組成の硬化性組成物をそれぞれ調製した。
得られた硬化性組成物の硬化前のムーニースコ一チは、混合直後の値および、 温度 40^、相対湿度(RH) 40%の条件下に 7日保存後の値を、 JIS K6300 の方法により測定した。
硬化性組成物は、 180 で 8分間プレス加硫成形することにより 1次加硫 したのち、 さらに 175°Cで 4時間 2次加硫して硬ィ匕させた。 1次加硫物およ び 2次加硫物の物性を、 表 13、 表 14、 表 15にそれぞれ示す。
組 表 1 o
成
表中、 数値は重量部を示す。
ァクリルゴ厶 *, :ェチルアタリレ-ト/プチルァクリ 卜/メトキシェチルァクリレ-卜/ビニルク叩ァセ卜ト =40/40/20/2であるアクリルゴム
0 表 1 1
成
表中、 数値は重量部を示す。
ァクリルゴ厶 * 1 :ェチルァクリレ-ト /フ'チルァクリレ-ト/メトキシ Iチルァクリレ-ト 二 叩アセテ-ト = 40/40/20/2であるァクリルゴ厶
組 表 1 2
表中、 数値は重量部を示す。
*1) アクリルゴム :ェチルァクリレ-ト/プチルァクリレ-ト/メトキシ Iチルァクリレ -卜/ビニルク叩アセテ-ト- 40 40/20/2であるァクリルゴム
* ノクフック 大内新興化学工業 (株) 製 老化防止剤
*2) ノクラック CD アミン系老化防止剤 (4,4'—ビス (α, α—シ 'メチ 'ンシ'ル) シ'フ 1ニルァミン)
*3) ノクラック 400 チ才ェ一テル系老化防止剤 (ジラウリルチオプロピオネー卜)
ノクラック TN P リン系老化防止剤 (トリ (ノニルフエニル) フォスファイト)
ノクラック MB イミダゾール系老化防止剤 (2 -メルカプトべンゾイミダゾール)
ノクラック NEC 力ルバメート系老化防止剤 (ジェチゾレジチ才力ルバミン酸ニッケゾレ)
*7) ノクラック NS-10-N チ才ゥレア系老化防止剤 (1, 3-ヒ'ス (シ'メチルアミノア nk°ル)—2 -チ才ゥレア)
表 1 3
(物 性)
*実施例 13、 実施例 14、 実施例 15は、 当条件では加硫 J ^が進まず、 誠物の加磁形ができなかった。
表 1 4
(物 性)
実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 未加硫物性 (安定性)
厶ーニースコーチ 125°C
/"■ nせ Rム古ヽ
fJj )
ΚΛ I 1 +4 48 54 C1 C
01 OO. D I D 00 47 t 5 (分) 5.7 4.7 5.9 4.8 5.6 7.8 6.3 7.4 9.0 厶ーニースコーチ 125C
[40 C, 4U %Κπ, 7 ρ閬保 Τ子
俊么、
J
Μし 1 十 4 44 55 48 74 86 47 74 飞 L 41
, ノ 、
t 5 (分) 5.1 4.0 5.5 5.2 4.1 6.8 5.6 4.9 8.9 一次加硫のみの物性 (一次加硫条件:就 /8分)
硬度 (Pts) (J IS K6253) 65 65 66 66 71 71 67 69 56 70 抗張力 (MPa) (J IS K6251) 7.8 8.1 9.3 8.0 8.1 8.0 7.8 7.5 5.9 8.2 破断伸び ( ) (J IS K6251) 250 230 150 250 260 230 250 290 580 240 圧縮永久歪 (JIS K6262)
22 21 14 22 51 39 24 38 82 38 25%圧縮、 150°C/70時間
二次加硫後の物性 (一次加硫条件: 180oC/8分、 二 •次加硫条件: 170°C/4時間)
硬度 (Pts) (JIS K6253) 68 68 68 69 75 73 69 72 60 70 抗張力 (MPa) (JIS 6251) 9.5 10.0 10.1 9.4 9.6 9.6 9.1 8.5 7.9 9.5 破断伸び (%) (JIS K6251) 190 180 160 210 200 200 200 230 370 220 圧縮永久歪 (JIS 6262)
12 13 10 12 36 25 14 31 40 25 25%圧縮、 150。C/70時間
表 15
(物 性)
実施例 26 実施例 27 実施例 28 実施例 29 実施例 30 実施例 31 実施例 32 実施例 33 未加硫物性 (安定性)
厶ー一ース ~1ーナ 125し
Mし 1 + 4 41 40 39 4? 42 45 44 53 t 5 (分) 9.7 6.5 10.2 10.7 5.2 3.6 10.2 2.3 ム一—ース□一チ 1 ^5 C
\4υ C, 4U 6KH, / Η間 1本 1ϊ俊)
Μし Ί十 4 43 41 40 42 44 46 43 55 t 5 (分) 9.2 6.4 10.0 9.9 4.8 3.7 9.8 2.1
—次加硫のみの物性 (一次加硫条件: 180°C/8分)
硬度 (Pts) (J IS K6253) 64 63 64 64 63 59 68 67 抗張力 (MPa) (JIS K6251) 8.6 8.3 8.5 8.4 8.5 9.0 8.6 9.6 破断伸び( ) (JIS K6251) 200 240 220 220 240 310 210 210 圧縮永久歪 (JIS 6262)
19 20 28 30 29 61 32 30 25¾E縮、 150°C/70時間
二次加硫後の物性 (—次加 ί条件: 180。C/8分、 二次加硫条件: 70°C/4時 )
硬度 (Pts) (JIS K6253) 70 69 69 70 69 67 71 74 抗張力 (MPa) (JIS K6251) 10.3 10.1 10.2 10.6 10.9 10.7 10.1 12.2 破断伸び (%) (JIS 6251) 180 190 180 180 190 230 180 140 圧縮永久歪 (JIS K6262)
25%圧縮、 i5o°c/7o mm 12 13 13 14 15 18 19 25
表 1 0および表 1 3より、 ハロゲン含有架橋性ポリマ一であるアクリルゴム と、 特定のチオール化合物誘導体とを含有する組成物のうち、 加硫促進剤とし て有機酸アル力リ金属塩または有機酸アル力リ土類金属塩を含有する組成物は、 同条件で加硫成形した場合であっても加硫反応が進みやすく、 加硫成形物の物 性にも優れることがわかる。
また、 表 1 1および表 1 4より、 加硫促進剤として有機酸金属塩を含有する とともに、 加硫促進助剤としてォニゥム化合物を含有する場合には、 同条件で 加硫成形した場合にも、 1次加硫のみであっても優れた圧縮永久歪を示すこと がわかる。
さらに、 表 1 2および表 1 5より、 老化防止剤として、 アミン系化合物、 チ ォエーテル系等の硫黄化合物、 あるいはフォスフアイト系等のリン化合物を用 いた場合には、 老化が防止できるとともに、 加硫物の物理的性質に優れ、 特に 1次加硫のみであっても優れた圧縮永久歪を示すことがわかる。 実施例 3 4
温度計、 環流冷却器、 攪拌機を備えた四つ口フラスコに、 1,3,5- -2,4,6-トリチォ一ルを 1 9 . 5 g ( 0 . 1 1モル)、 アセトンを 2 0 0 g、 ォク 夕デシルビニルエーテルを 8 8 . 8 g ( 0 . 3モル)、 酸性リン酸ブチルエステ ル (大八化学工業 (株) 製、 A P— 4 ) を 0 . 3 g装入し、 6 5 で 1 6時間 反応した。 この反応液にトルエン 2 0 0 gを加え、 不溶物をろ過した後、 ろ液 を濃縮して、 淡黄色のワックス状物 9 9 . 2 3 gを得た。
得られたワックス状物を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 7に示した。
図 7より、 ォク夕デシルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1620 c m-i
付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2 に見られる、 1,3,5-トリ ァジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (エノ一ル構造) または C = S結合 (ケ ト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 7では消失してい ることがわかる。 この結果より、得られた生成物であるワックス状物は、 1,3,5- トリァジン- 2,4,6-トリチオールとォクタデシルビニルエーテルとの付加体、 す なわちチオール基がビニル基に付加したチオール化合物誘導体であることが確 認された。生成物の収率は、ォクタデシルビニルエーテルに対して 93%であつ た。 実施例 3 5
温度計、 環流冷却器、 攪拌機を備えた四つ口フラスコに、 6-ジブチルァミノ トリアジン_2,4-ジチオールを 4 5 g ( 0 . 1 7モル)、アセトンを 2 0 0 g、 n—プチルビニルエーテルを 3 6 . 6 g ( 0 . 3 6 7モル)、 酸性リン酸ブチル エステル (大八化学工業 (株) 製、 A P— 4 ) を 0 . 3 g装入し、 6 0でで 1 2時間反応した。 この反応液を濃縮して、 白色ペースト状物 7 4. 0 5 gを得 た。
得られたペースト状物を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、測定結果チャートを図 8に示した。 また、 原料である 6-ジブチルァミノ- S- トリァジン- 2,4-ジチオールの IR吸収スぺク卜ルを、 KB r錠剤法により測定し、 測定結果チヤ一トを図 9に示した。
図 8より、 n—ブチルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1619 c m-i付 近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 9に見られる、 6-ジブチルァ ミノ- S-トリァジン-2, 4-ジチオールの S H結合(ェノール構造) または C == S結 合 (ケト構造) の吸収に係る 1600 c m-i付近の吸収についても、 図 8では消失
していることがわかる。この結果より、得られた生成物であるペース卜状物は、
6 -ジブチルァミノ- S-卜リァジン- 2,4-ジチオールと n—プチルビニルエーテル との付加体、 すなわちチオール基がビニル基に付加したチオール化合物誘導体 であることが確認された。 生成物の収率は、 6-ジブチルァミノ- S-トリアジン -2,4-ジチオールに対して 95%であった。 実施例 3 6
前記実施例 3 4において、 n—プチルビニルエーテル 7 2 . 1 g ( 0 . 7 2 モル) の代わりに、 イソプロピルビニルエーテル 6 1 . 9 g ( 0 . 7 2モル) を用いたこと以外は、 実施例 3 4と同様にして、 7 9 . 9 gの粘性黄色液体を 得た。
得られた粘性黄色液体を KRS- 5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 0に示した。
図 1 0より、イソプロピルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1620 C m -1付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5-トリ ァジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (ェノール構造) または C = S結合 (ケ ト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 0では消失して いることがわかる。 この結果より、 得られた生成物である粘性黄色液体は、 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチオールとィソプロピルビニルエーテルとの付加 体、 すなわちチオール基がビニル基に付加したチォール化合物誘導体であるこ とが確認された。生成物の収率は、 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールに対し て 92%であった。 実施例 3 7
前記実施例 3 4において、 n—ブチルピニルエーテル 7 2 . 1 g ( 0 . 7 2 モル) の代わりに、 サイクロへキシルビニルエーテル 6 8 . 0 g ( 0 . 5 4モ ル) を用いたこと以外は、 実施例 3 4と同様にして、 8 5 . 9 gの粘性黄色液 体を得た。
得られた粘性黄色液体を KRS- 5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 1に示した。
図 1 1より、サイクロへキシルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1620 c m-1付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5- トリアジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (エノ一ル構造) または C = S結合 (ケト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 1では消失 していることがわかる。この結果より、得られた生成物である粘性黄色液体は、 1,3,5-卜リァジン- 2,4,6-卜リチオールとサイク口へキシルビニルエーテルとの 付加体、 すなわちチオール基がビニル基に付加したチオール化合物誘導体であ ることが確認された。 生成物の収率は、 サイクロへキシルビ二ルェ一テルに対 して 86%であった。
実施例 3 8
前記実施例 3 4において、 n—プチルビ二ルェ一テル 7 2 . 1 g ( 0 . 7 2 モル) の代わりに、 4-ハイドロキシプチルビ二ルェ一テル 6 8 . 0 g ( 0 . 5 9モル) を用いたこと以外は、 実施例 3 4と同様にして、 4 0 . 2 gの粘性黄 色液体を得た。
得られた粘性黄色液体を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 2に示した。
図 1 2より、 4-ハイドロキシプチルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る
1620 C m-i付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合(ェノール構造)または C = S 結合 (ケト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 2では 消失していることがわかる。 この結果より、 得られた生成物である粘性黄色液 体は、 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールと 4-ハイドロキシプチルビニルェ 一テルとの付加体、 すなわちチオール基がビニル基に付加したチオール化合物 誘導体であることが確認された。 生成物の収率は、 4-ハイドロキシプチルビ二 ルエーテルに対して 39%であった。 実施例 3 9
温度計、 還流冷却器および撹拌機を備えた四つ口フラスコに、 1,3,5-トリア ジン- 2,4,6-卜リチオール 35.46 g (0.2mol)、酸性リン酸ブチルエステル (AP - 4、 大八化学工業 (株)製) 0.3 g、 イソプチルビ二ルェ一テル 72.1 g (0.72mol) お よび、 アセトン 190 gを装入し、 651:で 16時間反応した。 反応終了後、 不溶 物をろ過し、 ろ液を濃縮して、 粘性黄色液体 91 gを得た。
得られた粘性黄色液体を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 3に示した。
図 1 3では、 イソブチルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1621 c m-i 付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5-トリ ァジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (ェノール構造) または C = S結合 (ケ ト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 3では消失して いることがわかる。 この結果より、得られた生成物は、 1,3,5-トリアジン- 2,4,6 - トリチオールとイソブチルビニルエーテルとの付加体、 すなわちチオール基が ビニル基に付加したチオール化合物誘導体であることが確認された。 生成物の
収率は、 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチオールに対して 93%であった。
得られた生成物である粘性黄色液体を、 スライドグラスに約 1mm厚に塗布 し、 温度 23 ± 2で、 湿度 50±5%の大気中に 70日間放置したところ、 黄色の固 体に変化した。 この黄色固体の IR吸収スペクトルを、 上記赤外分光光度計を 用いて、 KB r錠剤法により測定したところ、 図 1 4に示す結果が得られた。 図 1 4には、 合成原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールに帰属する 1590 c m-i付近の吸収があり、 生成物が分解したことがわかった。 実施例 4 0
温度計、 還流冷却器および撹拌機を備えた四つ口フラスコに、 1,3,5-卜リア ジン- 2,4,6-トリチオール 35.46 g (0.2mol)、酸性リン酸ブチルエステル (AP- 4、 大八化学工業 (株)製) 0.3 g、 イソプチルビニルエーテル 72.1 g (0.72mol) お よび、 アセトン 190 gを装入し、 65°Cで 16時間反応した。 反応終了後、 合成 ハイドロタルサイト(キヨ一ワード 500SH、協和化学工業 (株)製) 4.0 gを加え、 10時間 40°Cで撹拌した後、 ろ過し、 ろ液を濃縮して、 粘性黄色液体 80 gを得 た。
得られた粘性黄色液体を KRS-5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 5に示した。
図 1 5では、 イソブチルビニルエーテルの二重結合の吸収に係る 1621 c m-i 付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 1,3,5-トリ ァジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合 (エノ一ル構造) または C = S結合 (ケ ト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 5では消失して いることがわかる。 この結果より、得られた生成物は、 1,3,5-トリアジン- 2,4,6- トリチオールとィソブチルビニルエーテルとの付加体、 すなわちチオール基が
ビニル基に付加したチオール化合物誘導体であることが確認された。 生成物の 収率は、 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチオールに対して 84%であった。
得られた生成物である粘性黄色液体を、 スライドグラスに約 1mm厚に塗布 し、温度 23± 2で、 湿度 50±5%の大気中に 70日間放置したが、濁りなどの外 観上の変化はなかった。 また、 この 70日間放置後の粘性黄色液体を KRS- 5セ ルに塗布して、 IR吸収スペクトルを測定したところ、図 1 6に示す結果が得ら れた。 図 1 6には、 合成原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールに帰 属される 1590 c m-i付近の吸収はなく、 生成物の分解は認められなかった。 実施例 4 1
温度計、 還流冷却器および撹拌機を備えた四つ口フラスコに、 1,3,5-トリァ ジン- 2,4,6-トリチオール 35.46 g (0.2mol)、酸性リン酸ブチルエステル (AP - 4、 大八化学工業 (株)製) 0.3 g、 イソプチルビニルエーテル 72.1 g (0.72mol) お. よび、 アセトン 190 gを装入し、 65 で 16時間反応した。 反応終了後、 テト ラ (2-ェチルへキシル)チタネート (オルガチックス TA-30、 松本製薬工業 (株) 製) l.O gを加えて濃縮し、 粘性褐色液体 90 gを得た。
得られた粘性黄色液体を KRS- 5セルに塗布して、 IR吸収スぺクトルを測定 し、 測定結果チャートを図 1 7に示した。
図 1 7では、 イソブチルビ二ルェ一テルの二重結合の吸収に係る 1621 c m-i 付近の吸収が消失していることがわかる。 また、 図 2に見られる、 原料である 1,3,5-トリアジン- 2,4,6-トリチオールの S H結合(ェノール構造)または C = S 結合(ケト構造) の吸収に係る 1590 c m-i付近の吸収についても、 図 1 7では 消失していることがわかる。 この結果より、 得られた生成物は、 1,3,5-卜リア ジン- 2,4,6-卜リチオールとィソブチルビニルエーテルとの付加体、 すなわちチ
オール基がビニル基に付加したチオール化合物誘導体であることが確認された c 生成物の収率は、 1,3,5-トリァジン- 2,4,6-トリチオールに対して 93 %であった。 得られた生成物である粘性褐色液体を、 スライドグラスに約 1mm厚に塗布 し、温度 23± 2°C、湿度 50±5%の大気中に 70日間放置したが、放置後の粘性 褐色液体に濁りなどの外観上の変化はなかった。 また、 この 70 日間放置後の 粘性褐色液体の IR吸収スぺクトルを、 KRS- 5セルに塗布して測定したところ、 図 1 8に示す結果が得られた。図 1 8には、原料である 1,3,5-トリァジン- 2,4,6 - トリチオールに帰属される 1590 c m-i付近の吸収はなく、生成物の分解は認め られなかった。