明 細 書
弾性ホイール 技術分野
本発明は、 車両の車輪に用いられる弾性ホイールに関し、 詳しくは、 乗り心地 性能、 防振性能および防音性能に優れる弾性ホイールであって、 さらに、 大入力 時の大変形の防止を、 効果的にかつ長期にわたり確実に図ることができる弾性ホ ィ—ル、 走行時において弾性ホイールの故障を検知する機能を備えた弾性ホイ— ル、 および、 操縦安定性に優れた弾性ホイールに関する。 背景技術
弾性ホイールは、 一般に車軸ハブに固着されるディスクとタイヤを支承するリ ムとを備えており、 かかるディスクとリムとの間に防振体を設け、 防振性能や乗 り心地性能を高めた弾性ホイールはこれまで種々提案されている。 例えば、 実開 昭 5 9— 1 8 8 7 0 1号公報には、 防振体としてバネを用いて乗り心地の向上を 図ったタイヤ用ホイールが提案されている。
また、 防振体としてゴムを使用し、 これをリムとディスクとの間に配置したも のも知られており、 例えば、 実開昭 5 7 - 7 3 2 0 3号公報に、 リムがゴム様弾 性体を介してディスクに連結される構成の弾性ホイールが提案されている。 さら に、 特開平 5— 3 3 8 4 0 1号公報には、 リムと弾性ホイールとの間に隙間を形 成し、 そこに防振ゴムを介装させた弾性ホイールが開示されている。 さらにま た、 W O 9 8 / 3 3 6 6 6号公報には、 リムと同一プロファイルを有する内側リ ムとリムとの間にゴムの環状ストリップを配置したホイール■バリア組立体が開 示されている。
しかしながら、 防振体としてゴムを使用し、 これをリムとディスクとの間に一 様に配置した従来の弾性ホイールにおいては、 リムの内周面とディスクの外周面 との間に夫々に加硫接着されたゴム弾性体が配設されているため、 このゴム弾性 体によりリムからディスクに伝わる軸方向、 径方向および回転方向の各振動を的 確に抑制することができるものの、 大荷重時のゴム弾性体の変位を抑制すること
はできないという問題があった。 すなわち、 ゴムの断面が一様であり、 小入力時 から大入力時までのそれぞれにおいて適切な振動防止特性を得ることが困難であ つた。 この点について、 防振体としてばねを用いても同様の問題があった。 また、 上記防振性能等に加えて、 特に大入力時の大変形の防止について、 長期 にわたり持続的に良好な効果を発揮できる弾性ホイールについては未だ十分な検 討がなされておらず、 より耐久性に優れた高性能の弾性ホイールの実現が望まれ ていた。
さらに、 リムとディスクとの間にゴム弾性体を配置して防振効果を得る弾性ホ ィールの場合には、 実車に装着して走行した際の繰り返し負荷によるゴム弾性体 の疲労破壊が問題となる。 即ち、 リムとディスクとの間に配置したゴム弾性体が 走行中に疲労破壊を起こして破断した場合、 このゴム弾性体による弾性ホイール としての所期の効果は当然失われるが、 この場合でも、 車両の走行自体は可能で あるために、 この弾性ホイ一ルの故障の検知は必ずしも容易ではないという問題 点があった。 これまで、 かかる弾性ホイールの機能不全による故障を検知するた めの手段についてはほとんど検討がなされておらず、 故障を速やかに検知して、 早期の交換を可能にし、 常に所期の性能を発揮し得る十全な状態で使用すること のできる弾性ホイールの実現が望まれていた。
さらにまた、 従来の弾性ホイールにおいては操縦安定性について何等配慮がな されておらず、 かかる性能において必ずしも十分とはいえなかった。
そこで、 本発明の第一の目的は、 小入力時から大入力時に至るまで、 耐久性お よび安全性を損なうことなく、 乗り心地性能、 防振性能および防音性能の向上を 図ることができ、 かつ、 長期使用時における耐久性にも優れた弾性ホイールを提 供することにある。
また、 本発明の第二の目的は、 小入力時から大入力時に至るまで、 耐久性およ び安全性を損なうことなく、 乗り心地性能、 防振性能および防音性能の向上を図 るとともに、 故障の検知を容易とすることで、 かかる性能を常に良好な状態で得 ることを可能にした従来にない弾性ホイールを提供することにある。
さらに、 本発明の第三の目的は、 小入力時から大入力時に至るまで、 耐久性お よび安全性を損なうことなく、 乗り心地性能、 防振性能および防音性能の向上を
図り、 操縦安定性をも向上した弾性ホィ一ルを提供することにある。 発明の開示
本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 弾性部材による振動 抑制および大変形防止効果を最大限に活用するとともに、 かかる弾性部材の摩耗 を抑制することにより高寿命化を図ることで、 前記第一の目的を達成し得ること を見出し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明の弾性ホイールは、 車軸ハブに固着されるディスクと、 タイヤを 支承するリムとを備え、 前記リムの内周面に環状に固設された一対のガイ ドと、 前記ディスクの外周面にホイール半径方向外方に環状に突出する突出部とを有 し、 該突出部に、 少なくともホイール軸方向両側に延在して、 前記リムの内周面 との間に間隙をもって、 弾性部材が環状に固着され、 かつ、 軸方向両側に延在す る該弾性部材の両端部が夫々前記一対のガイ ドのホイール軸方向に対向する両側 面に固着された弾性ホイールであって、 前記弾性部材が、 前記一対のガイ ド間の ホイール軸方向の全幅にわたって一体的に介装され、 前記リムの内周面と、 前記 弾性部材との間に、 摩耗低減材が環状に存在することを特徴とするものである。 これにより、 リムとディスクとの間に介装された弾性部材の剪断変形で振動を 吸収し、 特に小入力に対して乗り心地性能、 防振性能および防音性能の向上を図 ることができるとともに、 ディスク外周面上のホイール半径方向外方に設置され た弾性部材がス卜ツバの役割を果たし、 大入力に対する大変形をも効果的に抑制 することができる。 また、 リム内周面上に配置された摩耗低減材により、 大変形 時にリム内周面と接触することにより生ずる上記ストツバ部分の弾性部材の摩耗 を効果的に抑制して、 所期の作用効果を長期にわたり良好に得ることが可能な耐 久性に優れた弾性ホイールとすることができる。 さらに、 防音性能については、
1 0 0 H z以上の高周波領域の防音に極めて効果的である。
本発明においては、 前記摩耗低減材が、 前記リムの内周面上に、 前記弾性部材 との間に間隙をもって配設されていることが好ましい。 また、 前記摩耗低減材 が、 少なくとも前記リムの内周面と、 前記弾性部材の、 前記突出部に対向する領 域との間に存在することが好ましい。 これにより、 摩耗低減材の配置箇所を適宜
最適化することができ、 所望の摩耗低減効果をより適切に得ることができる。 また、 前記摩耗低減材がステンレス板であることが好ましい。 さらに、 前記リ ムの内周面上に、 前記摩耗低減材としてのフッ素樹脂コーティングが施されてい ることが好ましく、 より好適には、 かかるフッ素樹脂がポリテトラフルォロェチ レンである。 これにより、 摩耗低減材の摩耗低減性能の最適化を図ることがで き、 耐久性の向上効果を最も良好に得ることができる。
また、 本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 以下の構成と することにより前記第二の目的を達成し得ることを見出し、 本発明を完成するに 至った。
即ち、 本発明の弾性ホイールは、 車軸ハブに固着されるディスクと、 タイヤを 支承するリムとを備え、 前記リムの内周面に環状に固設された一対のガイ ドと、 前記デイスクの外周面にホイ一ル半径方向外方に環状に突出する突出部とを有 し、 該突出部に、 少なくともホイール軸方向両側に延在して、 前記リムの内周面 との間に間隙をもって、 弾性部材が環状に固着され、 かつ、 軸方向両側に延在す る該弾性部材の両端部が、 夫々前記一対のガイ ドのホイール軸方向に対向する両 側面に固着された弾性ホイールであって、 前記弾性部材が、 前記一対のガイ ド間 のホイール軸方向の全幅にわたって一体的に介装され、 かつ、 前記突出部が、 ホ ィール半径方向に凹凸を有することを特徴とするものである。
これにより、 リムとディスクとの間に介装された弾性部材の剪断変形で振動を 吸収し、 特に小入力に対して乗り心地性能、 防振性能および防音性能の向上を図 ることができるとともに、 ディスク外周面上のホイール半径方向外方に設置され た弾性部材がストツバの役割を果たし、 大入力に対する大変形をも効果的に抑制 することができる。 また、 弾性部材の破断時には、 ディスクの外周面に形成され た凸部がリムの内周面に衝突することにより走行感に衝撃を反映し、 すなわち振 動を発生して、 これにより故障の速やかな検知が可能となる。 さらに、 防音性能 については、 1 0 O H z以上の高周波領域の防音に極めて効果的である。
本発明においては、 前記凹凸が、 周方向に沿って適宜等間隔ピッチで設けられ ていることが好ましく、 また、 周方向に沿って適宜不等間隔ピッチで設けられて いることも好ましい。 これにより、 凹凸の配置を最適化することができ、 適用す
る車輪サイズ等の諸条件に合わせて上記効果を最も良好に得ることが可能とな さらに、 本発明者らは、 弾性ホイールにおける弾性部材の設置構造と抉り方向 の剛性に対する寄与との関連につき鋭意検討した結果、 以下の構成とすることに より前記第三の目的を達成し得ることを見出し、 本発明を完成するに至つた。 即ち、 本発明の弾性ホイールは、 車軸ハブに固着されるディスクと、 タイヤを 支承するリムとを備え、 前記リムの内周面に環状に固設された一対のガイ ドと、 前記ディスクの外周面にホイール半径方向外方に環状に突出する突出部とを有 し、 該突出部に、 少なくともホイール軸方向左右両側に延在して、 前記リムの内 周面との間に間隙をもって弾性部材が環状に固着され、 かつ、 軸方向左右両側に 延在する該弾性部材の両端部が夫々前記一対のガイ ドのホイール軸方向に対向す る両側面に固着された弾性ホイ—ルであって、 前記弾性部材の剛性が軸方向左右 両側に延在する弾性部材間で異なつていることを特徴とするものである。 この場 合、 前記弾性部材がゴム弾性体からなることが好ましい。
これにより、 弾性部材の剛性を軸方向左右両側に延在する弾性部材間で非対称 としたことにより、 剪断変形で振動を吸収し、 特に小入力に対して乗り心地性 能、 防振性能および防音性能の向上に寄与する弾性部材と、 抉り剛性を向上させ て操縦安定性の改良に寄与する弾性部材とにモーメント成分を分担させ、 乗り心 地性能、 防振性能および防音性能とともに、 操縦安定性の向上をも可能にした。 即ち、 モーメント成分を分担させ抉り方向の剛性を高めたことにより、 乗り心地 性能、 防振性能および防音性能の向上に加え、 直進性能およびレーンチェンジ時 における応答性の向上をも実現した。 なお、 防音性能については、 1 0 0 H z以 上の高周波領域の防音に極めて効果的である。
本発明においては、 ホイール半径方向の厚みが、 軸方向左右両側に延在する弾 性部材間で異なっているものとすることができ、 これにより、 良好に上述の作用 効果を得ることができる。 また、 特に好適には、 ホイール半径方向の厚みの差が 1 0〜5 0 %の範囲内であり、 これにより、 乗り心地性能、 防振性能および防音 性能と操縦安定性との最適化を図ることができる。
また、 本発明においては、 前記ゴム弾性体自体の剛性が、 軸方向左右両側に延
在する弾性部材間で異なっているものとしてもよく、 これによつても、 良好に上 述の作用効果を得ることができる。
さらに、 本発明においては、 前記弾性部材が、 前記一対のガイ ド間のホイール 軸方向の全幅にわたって一体的に介装されていることが好ましい。 これにより、 前記作用効果に加えて、 大入力時の大変形を良好に防止することができる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の一実施の形態に係る弾性ホイールの拡大部分断面図であ
O
第 2図は、 本発明の他の実施の形態に係る弾性ホイールの拡大部分断面図であ な
第 3図は、 第 2図に示す A— A線に沿って周方向に切断した断面図である。 第 4図は、 第 2図に示す弾性ホイールのゴム弾性体の破断時の状態を示す説明 図である。
第 5図は、 本発明のさらに他の実施の形態に係る弾性ホイールの拡大部分断面 図である。
第 6図は、 本発明のさらに他の実施の形態に係る弾性ホイールの拡大部分断面 図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について説明する。
第 1図に示す本発明の一実施の形態に係る弾性ホイールは、 車軸ハブ (図示せ ず) に固着されるディスク 1と、 タイヤを支承するリム 2とを備えており、 リム 2の内周面とディスク 1の外周面との間に弾性部材としてのゴム弾性体 3が環状 に介装されている。
第 1図に示す好適例においては、 ディスク 1の外周面が、 ホイール半径方向外 方に環状に突出する突出部 4を一体的に形成している。 この突出部 4には、 ホ ィール軸方向両側に延在する弾性部材 3、 例えば、 ゴム弾性体が、 リム 2の內周 面との間に適宜間隙をもって、 例えば、 加硫接着等により、 環状に固着されてい
る。
一方、 リム 2の内周面には一対のガイ ド 5 a、 5 bが環状に個設されており、 上記ゴム弾性体 3の軸方向両端部がこの一対のガイ ド 5 a、 5 bのホイール軸方 向に対向する両側面に夫々加硫接着等により固着されることにより、 ゴム弾性体 3を介してリム 2とディスク 1とが連結されている。 尚、 ガイ ド 5 a、 5 bはリ ム 2の内周面に溶接、 ネジ止め等の手段により固着しても、 あるいはリムと一体 成形により設けてもよい。
ゴム弾性体 3は、 少なくともホイール軸方向両側に延在すれば、 その剪断歪み により弾性ホイールとしての防振機能を発揮し得るが、 本発明においては、 さら に大入力時の大変形の防止効果をも得るために、 図示するように、 ゴム弾性体 3 をリム 2の内周面とディスク 1の突出部 4との間にも介在させる。 即ち、 ゴム弾 性体 3を、 一対のガイ ド 5 a、 5 b間のホイ一ル軸方向の全幅にわたつて一体的 に介装させることにより、 小入力時の小変形の抑制、 防止効果が得られることに 加え、 ゴム弾性体 3の突出部 4のホイール半径方向外方面に連続的に存在する部 分に、 大入力時において突出部 4とリム 2の内周面との衝突を回避するためのス 卜ツバとしての機能を発揮させることができる。
また、 図示するように、 リム 2の内周面上には、 ゴム弾性体 3との間に間隙を もって、 摩耗低減材 6が環状に存在している。 これにより、 車両の加減速時ゃ旋 回時等の大入力によって、 従来であるとリム 2の内周面とゴム弾性体 3のストッ パ機能を果たす部分とが直接接触してしまうような場合でも、 ストツバ部分はリ ム 2の内周面よりも摩擦の小さい摩耗低減材 6に接触することになり、 結果とし てゴム弾性体 3の摩耗を最低限に抑制することが可能となる。 即ち、 摩耗低減材 6の効果により、 ゴム弾性体 3の摩耗によるス トッパー機能の低下を防止し、 耐 久性を向上して、 長期にわたりかかる機能を良好に発揮させることができる。 かかる摩耗低減材 6は、 図示するようにリム 2の内周面上に設ける場合には限 られず、 リム 2の内周面とゴム弾性体 3との間に存在させればよく、 これにより ゴム弾性体 3の摩耗を適切に抑制することができる。 また、 摩耗低減材 6を存在 させる領域にも特に制限はなく、 例えば、 略円筒状に、 図示するようにリム 2の 内周面と、 ゴム弾性体 3のホイール軸方向の全幅にわたる領域との間に存在させ
てもよく、 また、 リム 2の内周面と、 ゴム弾性体 3の、 突出部 4に対向する領域 との間のみに存在させてもよい (図示せず) 。
摩耗低減材 6の材質としては、 ゴム弾性体 3の摩耗を良好に抑制することがで きるものであれば特に制限はないが、 好適には、 表面荒さの値が小さく、 軽量で ある等の観点から、 ステンレス板を用いる。 この場合には、 例えば、 接着剤等を 用いてリム内周面にステンレス板を直接貼付してもよく、 また、 摩耗低減材 6を リム 2の内周面との間に適宜の遊びを有する形状に形成して、 接着剤等の固定手 段を用いずに、 摩耗低減材 6をリム 2の内周に遊嵌させてもよい。 また、 摩耗低 減材 6として、 リム 2の内周面上にフッ素樹脂コーティング、 特にはフッ素樹脂 としてのポリテトラフルォロエチレンによるコ一ティングを施すことも好適であ 次に、 第 2図に示す本発明の他の実施の形態に係る弾性ホイールは、 車軸ハブ (図示せず) に固着されるディスク 1 0 1と、 タイヤを支承するリム 1 0 2とを 備えており、 リム 1 0 2の內周面とディスク 1 0 1の外周面との間に弾性部材と してのゴム弾性体 1 0 3が環状に介装されている。
第 2図に示す好適例においては、 ディスク 1 0 1の外周面が、 ホイール半径方 向外方に環状に突出する突出部 1 0 4を一体的に形成している。 この突出部 1 0 4には、 ホイール軸方向両側に延在する弾性部材 1 0 3、 例えば、 ゴム弾性 体が、 リム 1 0 2の内周面との間に適宜間隙をもって、 例えば、 加硫接着等によ り、 環状に固着されている。
一方、 リム 1 0 2の内周面には一対のガイ ド 1 0 5 a、 1 0 5 bが環状に固設 されており、 上記ゴム弾性体 1 0 3の軸方向両端部がこの一対のガイ ド 1 0 5 a . 1 0 5 bのホイール軸方向に対向する両側面に夫々加硫接着等により 固着されることにより、 ゴム弾性体 1 0 3を介してリム 1 0 2とディスク 1 0 1 とが連結されている。 尚、 ガイ ド 1 0 5 a、 1 0 5 bはリム 1 0 2の内周面に溶 接、 ネジ止め等の手段により固着してもよく、 あるいはリムと一体成形により設 けてもよい。
ゴム弾性体 1 0 3は、 少なくともホイール軸方向両側に延在すれば、 その剪断 歪みにより弾性ホイールとしての防振機能を発揮し得るが、 本発明においては、
さらに大入力時の大変形の防止効果をも得るために、 図示するように、 ゴム弾性 体 1 0 3をリム 1 0 2の内周面とディスク 1 0 1の突出部 1 0 4との間にも介 ; させている。 即ち、 ゴム弾性体;! 0 3を、 一対のガイ ド 1 0 5 a、 1 0 5 b間の ホイ—ル軸方向の全幅にわたつて一体的に介装させることにより、 小入力時の小 変形の抑制、 防止効果が得られることに加え、 ゴム弾性体〗 0 3の突出部〗 0 4 のホイ—ル半径方向外方面 (こ連続的に存在する部分に、 大入力時において突 H 1部 ] 0 4とリム 1 0 2の内周面との衝突を回避するためのス卜ツバとしての機能を 発揮させることができる。
また、 本発明の弾-性ホイールにおいては、 第 3図に、 第 2図中の A A線に沿 つて周方向に切断した断面図にて示すように、 突出部 1 0 4力、 周方向に沿って ホイ一ル半径方向に凹凸を有している。 これにより、 第 4図 (a ) に示すよう に、 リム 1 0 2とディスク】 0 1との間に配置された弾性部材 1 0 3が破断を起 こ して弾性ホイ一ルが故障した場合でも、 (b ) に示すように、 かかる突出部 】 0 4の凸部】 0 6が車輪の転動時にリム內周面に衝突して走行感に衝撃を反映 し、 すなわち一定の振動が発生するため、 乗員が故障の発生を速やかに検知する ことが可能となる。 尚、 第 4図に示すように、 この場合においても、 凸部】 0 6 の外周面に介装されたゴム弾性体 1 0 3がス トツバとしての役割を ¾たすため、 凸部] 0 6とリム 1 0 2の内周面との直接の衝突を回避することができ、 弾性ホ ィール故障の検知手段としての走行時の衝撃を緩和して、 故障時の乗り心地感を 最低限維持することが可能となる。
かかる凹凸の設け方としては、 ゴム弾-性体 1 0 3が破断した状態において、 夕 ィャ転動時に乗員が検知できる程度の衝撃 (凹凸感) を生ずるものであれば特に 制限はなく、 凸部と凹部との段差およびこれらの間隔については、 適用するタイ ャの種類、 サイズ等に応じて適宜決定することができる。 例えば、 第 3図に示す ように、 周方向に沿つて適宜等間隔ピッチで凸部 1 0 6および M部 ] 0 7を設け てもよく、 また、 不等間隔ピッチ (図示せず) であってもよい。 最低一つの凸部 1 0 6があれば本発明の効果を得ることができ、 逆に一部分にのみ 部 1 0 7を 設けた形状とすることもできる力、 上記の弾性ホイール故障の検知機能を確¾に 発揮できることが重要である。
尚、 突出部 1 0 4の凹凸に対するゴム弾性体 1 0 3の固着の仕方としては、 第 2図および第 3図に示す例のように、 ゴム弾性体 1 0 3の最小径部の径と突出部 1 0 4の凹部の外径とを一致させて、 即ち、 ゴム弾性体 1 0 3の内周面に突出部 1 0 4の凸部 1 0 6に対応する凹みを設け、 この凹みに凸部 1 0 6を嵌合するよ うな状態で設けてもよく、 また、 図示はしないが、 ゴム弾性体 1 0 3の最小径部 の径を突出部 1 0 4の凹部の外径よりも小さく して、 即ち、 ゴム弾性体 1 0 3を 突出部 1 0 4の凹凸が形成された部分よりもさらにホイール半径方向内方にまで 延在させてもよい。
また、 第 5図に示す本発明の他の好適例の弾性ホイールは、 車軸ハブ (図示せ ず) に固着されるディスク 2 0 1と、 タイヤを支承するリム 2 0 2とを備えてお り、 リム 2 0 2の内周面とディスク 2 0 1の外周面との間に弾性部材としてのゴ ム弾性体 2 0 3が環状に介装されている。
第 5図に示す好適例においては、 ディスク 2 0 1の外周面が、 ホイール半径方 向外方に環状に突出する突出部 2 0 4を一体的に形成している。 この突出部 2 0 4には、 ホイール軸方向両側に延在する弾性部材 2 0 3、 例えば、 ゴム弾性 体が、 リム 2 0 2の内周面との間に適宜間隙をもって、 例えば、 加硫接着等によ り、 環状に固着されている。
一方、 リム 2 0 2の内周面には一対のガイ ド 2 0 5 a、 2 0 5 bが環状に個設 されており、 上記ゴム弾性体 2 0 3の軸方向両端部がこの一対のガイ ド 2 0 5 a , 2 0 5 bのホイール軸方向に対向する両側面に夫々加硫接着等により 固着されることにより、 ゴム弾性体 2 0 3を介してリム 2 0 2とディスク 2 0 1 とが連結されている。 尚、 ガイ ド 2 0 5 a、 2 0 5 bはリム 2 0 2の內周面に溶 接、 ネジ止め等の手段により固着しても、 あるいはリムと一体成形により設けて もよい。
ゴム弾性体 2 0 3は、 少なくともホイール軸方向両側に延在すれば、 その剪断 歪みにより弾性ホイールとしての機能を発揮し得るが、 図示するように、 ゴム弾 性体 2 0 3を一対のガイ ド 2 0 5 a、 2 0 5 b間のホイール軸方向の全幅にわた つて一体的に介装させ、 即ち、 リム 2 0 2の内周面とディスク 2 0 1の突出部 2 0 4との間にもゴム弾性体 2 0 3を介在させることにより、 大入力に対応させ
ることが可能となる。 即ちこの場合、 ゴム弾性体 2 0 3の、 突出部 2 0 4のホ ィール半径方向外方面に連続的に存在する部分が、 大入力時において突出部 2 0 4とリム 2 0 2の内周面との衝突を回避するためのストツバとしての機能を 発揮する。
また、 本実施形態においては、 図示するように、 ゴム弾性体 2 0 3が、 ホイ一 ル軸方向左右両側において厚みが異なるよう形成されている。 即ち、 図示するよ うに、 ゴム弾性体 2 0 3のホイール半径方向の厚みを、 ホイール軸方向外側に延 在する部分 2 0 3 bよりも内側に延在する部分 2 0 3 aにおいて小さく したこと により、 ゴム弾性体 2 0 3の厚みの大きい部分 2 0 3 bがリム 2 0 2とディスク 2 0 1 との間の抉り変形を抑制する機能を有し、 一方、 厚みの小さい部分 2 0 3 aが剪断変形により主として振動を吸収、 抑制する防振機能を有する。 この場合、 軸方向両側におけるホイール半径方向の厚みの差の割合は、 適用す るタイヤの種類や、 用いる弾性部材の諸特性等により適宜選択することができる 力、 特には、 厚みの小さい部分 2 0 3 aの厚みが、 厚みの大きい部分 2 0 3 bの 厚みよりも 1 0〜5 0 %小さくなつていることが好ましい。 この差が 1 0 %未満 であると十分な抉り剛性向上効果が得られず、 一方、 5 0 %を超えると、 厚みの 小さい部分 2 0 3 aにかかる負担が過大すぎて、 弾性ホイールの故障につながり やすくなる。
さらに、 第 6図に、 本発明の弾性ホイールのさらに他の好適例を示す。 図示す る例においては、 リム 2 0 2とディスク 2 0 1との間に介装されたゴム弾性体 2 0 3が、 軸方向内側に延在する部分 2 0 3 aと外側に延在する部分 2 0 3 bと で異なった剛性の材質により形成されている。 この場合は、 ゴム弾性体 2 0 3自 体の剛性として、 軸方向内側に延在する部分 2 0 3 aを、 外側に延在する部分 2 0 3 bよりも低くすることにより、 前記好適例と同様の抉り剛性向上効果を得 ることができる。 尚、 リム 2 0 2の内周面とディスク 2 0 1の突出部 2 0 4との 間に介在させたゴム弾性体 2 0 3については、 大入力に対するストツパとしての 機能を果たすことができればよく、 いずれの剛性のゴム弾性体 2 0 3を介在させ てもよい。 また、 異なる材質のゴム弾性体 2 0 3を接合する方法についても、 加 硫接着等の適宜接着手段を用いればよく、 特に制限はない。
本発明において、 弾性部材 2 0 3は、 図示するゴム弾性体を用いた場合には限 定されず、 例えば、 ばね材を用いることも可能である。 この場合には、 例えば、 複数のばね材を周方向に適宜間隔で突出部 2 0 4から軸方向両側に延在させて、 弾性部材 2 0 3とすることができ、 ばね材の個数や材質等の変更により、 上述の 抉り剛性向上効果を得ることができる。 従って、 弾性部材 2 0 3の種類、 形状お よび配置箇所等については、 用途に応じて適宜選定すればよく、 特に制限される ものではない。
ディスク 1、 1 0 1、 2 0 1は、 スポークやメッシュ等の支持体と組合わせた スポークホイールやメッシュホイール等であってもよい。 また、 ディスクの材質 は、 スチール、 アルミニウム、 マグネシウム、 チタン、 合成樹脂等、 いずれの材 質でもよいが、 軽量化に主眼を置くときはアルミニウム、 チタンまたは合成樹脂 が好ましい。
また、 突出部 4、 1 0 4、 2 0 4は、 図示する例には限られず、 夫々ディスク
1、 1 0 1、 2 0 1の外周面にベ一スリムを設け、 その半径方向外方に、 少なく ともホイ一ル軸方向両側に延在する弾性部材を固着することのできる環状部材を 固着することにより設けてもよい。 尚、 本発明の弾性ホイールにおいては、 リム
2、 1 0 2、 2 0 2自体の構造については特に制限されず、 例えば、 リム組を容 易にするために、 図示するように、 ドロップ部を設けておいてもよい。
本発明において使用し得るゴム弾性体は、 防振ゴムとして既知のものを用いる ことができ、 天然ゴムや合成ゴム、 例えば、 ブタジエンゴム、 スチレンブタジェ ン共重合体ゴム、 ブチルゴム等のジェン系ゴムに適宜配合剤、 例えば、 硫黄、 加 硫促進剤、 老化防止剤、 カーボンブラック等を適宜配合することにより調製する ことができる。 かかるゴム弾性体の】 I S— A硬度 (H d ) は、 振動吸収特性と 耐久性の観点から、 好ましくは 3 0〜 8 0 ° であり、 弾性率は 1 X 1 0 ύ〜 1 X 1 0 5 NZ c m 2である。 産業上の利用可能性
以上説明してきたように、 本発明の弾性ホイールによれば、 小入力時から大入 力時に至るまで、 耐久性および安全性を損なうことなく、 乗り心地性能、 防振性
能および防音性能の向上を図ることができるとともに、 長期使用時においても所 期の性能を維持することのできる優れた耐久性を実現することができ、 走行時に おける弾性ホイールの故障を容易かつ速やかに探知することができ、 また、 優れ た操縦安定性をも得ることができる。