WO2002000563A1 - Composition de coloration ceramique et procede de cintrage de verre plat - Google Patents

Description

明 細 書

セラ ミ ッ ク カ ラー組成物および板ガラスの曲げ加工方法

技 術 分 野

本発明は、 例えば自動車窓用板ガラス に適用 される 、 セ ラ ミ ッ ク カ ラー組成物およびこれを板ガラス上に焼付 け着色する と 同時に該板ガラス を曲げ加工する方法に関 する。

背 景 技 術

自動車の窓ガラス、 即ち、 フ ロ ン トガラス、 サイ ドガ ラ ス、 リ アガラスおよびサンルーフガラ スは、 有機接着 剤を用いて車体に取付け られる。 こ の有機接着剤の太陽 光によ る劣化防止、 接着剤のはみ出 し部分の隠蔽、 更に は窓ガラスの意匠性な どを加味して、 各ガラスの車体へ の取付け部分 （通常、 周辺部分） には、 セラ ミ ッ ク カ ラ 一組成物のペース ト をス ク リ ーン印刷 （塗布） 後、 焼付 けて、 黒色乃至ダーク グレー色の着色がな される。

また、 上記自動車窓用ガラスは、 一般には、 所定の形 状に切出 したフ ラ ッ トガラス （板ガラス） の周辺部分に 上記の よ う にセラ ミ ッ ク カ ラー組成物のペース ト をス ク リ ー ン印刷後、 これを加熱によ り 成型加工乃至強化成形 加工して製造される。 特に、 サイ ドガラ ス、 リ アガラス およびサンルーフガラスは、 通常モール ド （金型） を使 用 して強制的に、 即ち押型によ り加圧して、 曲げ加工さ れる。

セラ ミ ックカラー組成物には、 従って、 上記製法の面 よ り 、 先ず成形加工時のモール ド と の離型性が良好であ る こ とが求められる。 この要求は、 ガラスの形状がセラ ミ ッ ク ぺーノヽ⁰—、 ガラ ス フ ァイ ノく一ク ロ ス 、 ステ ン レス スチ一/レク ロスなどを付したモール ドによって規定され こ のモール ドと、 セラ ミ ックカラー組成物を塗布した板 ガラス周辺部分とが常に当接するためである。 しかるに 離型性の悪いセラ ミ ックカラー組成物を使用する と、 寸 法安定性が悪く な り 、 ひどい時にはモール ドよ り板ガラ スが離れなく な り 、 製造作業を中断せねばならなく な り 量産性が著しく 損なわれる。 このよ う な問題の発生は極 めて深刻である。

セラ ミ ックカラー組成物に要求される他の性質と して は、. 焼付けられたカラーの耐酸性が挙げられる。 自動車 用板ガラスに焼付けられたセラ ミ ックカラーは、 長期使 用によって、 例えば酸性雨に侵されて、 特に雨が容易に 流れ落ちずにたまっている部分において、 白色化する こ とがある。 こ の現象を回避するためにセラ ミ ックカラー には所定以上の耐酸性が要求される。

更に、 リ アガラスにおいては、 殆どの場合、 防曇およ ぴアンテナ目的のために銀ペース トが焼付けられ、 こ の 銀回路の電極取出し部分 （バスパー） は、 セラ ミ ック 力 ラー上に幅広く プリ ン ト焼付けされる。 しかるに、 こ の 銀ペース ト中の銀は、 セラ ミ ックカラー層を通してマイ グレーシヨ ンを起こ し、 板ガラス面まで到達する こ と が ある。 かかる銀のマイ グレーショ ンによれば、 白、 黄、 青、 緑などの種々の色調の不規則な発色が認められ、 美 観が損なわれる。 この発色はセラ ミ ックカラーの組成に 依存する と ころが大き く 、 セラ ミ ックカラーは、 特に濃 いアンバー色に発色し得るものであるこ とが望まれる。

また、 上記銀回路は、 電流を通じる こ と によ り 抵抗の 役目 をなし、 発熱して曇り 防止作用を奏するが、 設計上 電気抵抗値が高く な り すぎて過剰発熱するこ とがある。 この過剰発熱を防止するために、 一般に、 銀回路上には 電気銅メ ツキおよび電気ニッケルメ ツキが施される。 こ の内、 電気銅メ ツキを施すための浴は強酸性であるため セラ ミ ッ クカラーには、 かかるメ ツキ浴に対する性能も 要求される。 即ち、 電気銅メ ツキ工程で浴に浸漬されて 通電される時にも、 その表面外観が損なわれない性能が 要求される。 更に、 上記メ ツキ皮膜上に端子をはんだ付 けする時にも、 メ ツキ皮膜の密着力が低下しない性能が 要求される。 これらの要求性能も、 セラ ミ ックカラーの 組成に大き く 依存している。

従来よ り 、 上記各要求性能のそれぞれにっき、 ある程 度これらを満たす策が図られている。 例えば、 離型性は 比較的耐酸性の良好な PbO-Si0₂-B₂0₃系ガラスを使用 し、 これに加熱時にメル ト しない無機顔料および無機フイ ラ 一を大量に添加する力 、 或いは同ガラス組成を加熱時に 結晶化する ものに変性して、 成型時にセラ ミ ックカラー の流動性を低く する こ とで、 その性能を向上させる こ と ができる。 また、 耐酸性、 パスバー発色および耐メ ツキ 液性についても、 基本的には上記と同様の PbO-Si0₂-B₂0₃ 系ガラスを使用する こ とで、 概ねその要求性能を満たす こ とができ る （例えば特開平 3-285844号公報 （特許第

2748647号） 、 特開平 5-85770号公報、 特開平 6-239647号公 報など参照） 。

しかしながら、 最近、 地球環境にやさ しく の合い言葉 で、 カ ドミ ウムは勿論のこ と、 鉛おょぴ鉛化合物の使用 についても厳しい規制がなされ、 セラ ミ ックカラー中の 鉛成分についてその削除、 不使用が強く 要望されてきて いる。 こ の面よ り 、これまで使用されてきた PbO-Si0₂-B₂0₃ 系ガラスに替わる、 鉛不含のガラス組成の研究、 開発が 種々進め られてきている。

その例と して、 例えば特開平 8-133784号公報おょぴ特 開平 11-157873号公報には、 結晶質の ZnO-Si0₂-B₂〇₃系ガラス 組成物が提案されている。 この種のガラスは、 離型性、 パスパーの発色および耐酸性の要求性能は、 概ね満足で き る も のの、 メ ツキ後の端子のはんだ接着強度が著しく 低下し、 接着強度の測定時に銀皮膜とセラ ミ ックカラー と の界面で剥離が起こる欠点がある。

また、 特開平 6-234547号公報、 特開平 7-144933号公報、 特開平 8-34640号公報、 特開平 9-227214号公報などには、 Bi₂0₃-Si0₂-B₂0₃系のガラスが提案されている'。 これらの系 のガラスは、 結晶化する組成を選択すれば、 離型性を満 足する も の と な り 、 耐メ ツキ液性および耐酸性もほぼ良 好なものとなる。 しかるに、 これらの系のガラスは、 い ずれもパスパーの発色が良好でなく 、 常に黄色或いは青 色となる不利がある。 更に、 黒色顔料を混合して焼成し た場合、 ガラスを通してみた色調において黒みが不足し グレイ っぽく な り 、 綺麗さなどの意匠性が損なわれる不 利もある。

更に、 特開平 10-87340号公報には、 ZnO-Bi₂0₃-Si0₂-B₂0₃系 ガラス組成物が開示されている。 この系のガラスは、 パ スパーの発色、 耐メ ツキ液性およぴ耐酸性は良好である が、 結晶化が低下するため、 離型性に劣る欠点がある。 本発明者の行った追試試験による と、 上記系のガラス (結晶化） では、 亜鉛或いはビスマスを主とする結晶は 析出するが、 その両方を同時に析出させるのは困難であ り 、 しかもいずれの結晶が析出する場合も、 その析出量 は不十分で、 そのため充分な離型性は得られないこ とが 確認されている。

以上のこ と をま と める と下記表 1 の通 り である。 尚、 表 1 に示した各ガラスは全て結晶質のも のであ り 、 表中

〇印は自動車窓ガラス、 特に リ アガラス用のセラ ミ ック カラーに求められる性能において満足する結果が得られ る こ と を、 Xは得られないこ と を示す。

このよ う に、 鉛不含のセラ ミ ックカラー組成物は種々 提案されているが、 それらはそれぞれこの種セラ ミ ック カラーに要求されるいずれか 1 つ以上の要求性能におい て尚満足できないものであ り 、 この種セラ ミ ックカラー に要求される性能を全て満足し得る ものは開発されてい ない現状にある。

発 明 の 開 示

本発明の目的は、 自動車窓ガラスに適用 されてきた鉛 を含む従来のセラ ミ ックカラーに代替できるセラ ミ ック 力ラー組成物を提供する こ と にある。

また、 本発明の他の目的は、 従来提案されている鉛不 含のこの種セラ ミ ックカラーに見られる各種欠点を悉く 解消して、 該セラ ミ ックカラーに要求される諸特性を満 足する優れた品質のセラ ミ ックカラー組成物を提供する こ と 〖こある。

よ り 詳しく は、 本発明は、 鉛化合物を含有せず、 セラ ミ ックカラー組成物のペース ト を印刷した板ガラ ス の加 熱成形時にモール ド と の離型性が良好で、 焼成後は耐酸 性、 バスバー発色、 耐メ ツキ液性などの良好なセラ ミ ツ クカラー組成物を提供するこ と にある。

更に、 本発明はかかる改良された鉛不含のセラ ミ ック カラー組成物を利用 して板ガラスを曲げ加工して自動車 窓ガラスを製造する方法を提供する こ と をもその目的と している。

本発明者は、 上記目的を達成するために、 従来よ り提 案されてきている各種鉛不含のセラ ミ ックカラー組成物 の組成について種々変更を加えたが、 それのみでは上記 目的を達成し得る ものは得られなかった。 しかるに、 あ る種の亜鉛含有ガラス粉末と ビスマス含有ガラス粉末と を所定割合で混合する と きには、 特にその少なく と も一 方と して結晶質であるガラス粉末を利用する と きには、 上記目的に合致するセラ ミ ックカラー組成物が提供され る とい う新しい知見を得、 こ こ に本発明を完成するに至 つ 7こ。

本発明は、 ガラス成分と して Si0 ₂、 ZnOおよび B ₂0 ₃成 分を少なく と も含有する鉛不含の第一ガラス粉末 5-95重 量部と、 ガラス成分と して SiO ₂、 Bi ₂ 0 ₃および B ₂0 ₃成分 を少なく と も含有する鉛不含の第二ガラス粉末 5-95重量 部との混合物 50-90重量％、 無機顔料 10-40重量％および 無機フ ィ ラー 0-10重量％を固形分粉末と して含有する こ と を特徴とするセラ ミ ックカラー組成物を提供する。

また、 本発明は、 上記第一ガラス粉末および第二ガラ ス粉末の少なく と も一方が結晶質である上記セラ ミ ック カラー組成物 ； 上記第一ガラス粉末および第二ガラ ス粉 末のガラス組成がそれぞれ以下のものである上記セラ ミ ックガラスカラー組成物 （第二ガラス粉末が非晶質また は結晶質のいずれの場合も含まれる） ； および上記第二 ガラス粉末が以下のガラス組成 （重量％ ) を有する結晶 質ガ zラス粉末である上記セラ ミ ックガラスカラー組成物 を提供 〇する。

第一ガラス粉末

組成 (重量％)

Si0₂ 35 〜 50

B2O3 1 〜 9

ZnO 15 〜 40

T1O2 0·5〜 10

L12O 0.1〜 10

Na₂0 0.1〜 10

F 0 〜 5

K2O 0 〜 10

Zr0₂ 0 〜 5

V2O5 0 〜 5

二ガラス粉末

組成（重量％) 非晶質または結晶質 FP HB質

Si〇2 15 〜 40 20 〜35

B2O3 1 〜 12 1 〜 8

B12O3 40 〜 70 50 〜65

T1O2 1 〜 10 1 〜 10

0.1 〜 10 0.1〜 10

0.1 〜 10 0.1〜 10 K 2 O 0 〜 10 0 〜 10

Zr0 ₂ 0 5 0 5

V 2 0 0 5 0 5

0 5 0 5

加えて、 本発明は、 上記セラ ミ ックカラー組成物のぺ 一ス ト を板ガラ ス に塗布し、 加熱下に押し型によ り加圧 して、 上記ペース ト の焼き付けと同時に板ガラ ス の曲げ 加工を行う こ と を特徴とする板ガラスの曲げ加工方法お よび該方法によって得られる板ガラス、 殊に自動車窓用 板ガラスを提供する。

以下、 本発明セラ ミ ックカラー組成物につき詳述する 尚、 セラ ミ ックカラー組成物とは、 通常、 無機顔料粉末 無機フ ィ ラー粉末およびガラ ス粉末を、 ガラ ス素材上へ の塗布、 印刷などに適した形態、 よ り詳しく は樹脂の溶 剤溶液 （有機ヴィ ヒ クル） 中に分散させたペース ト状形 態、 塗料形態などを指す。 こ のセラ ミ ックカラー組成物 は、 その塗布、 焼付け後、 有機物は分解逸散し、 焼付け られた塗膜中には残らない。 本明細書において、 上記セ ラ ミ ックカラー組成物から有機ヴィ ヒ ク ルを除いた無機 粉体混合物を特に 「固形分」 または 「固形分粉末」 とい う。 また、 以下に記載する％は全て重量％である。

本発明セラ ミ ックカラー組成物を構成する固形分粉末 は、 特定のガラス粉末混合物と、 無機顔料おょぴ無機フ イ ラ一と からなっている。 該固形分中のガラス粉末 （混 合物） は、 これを含むセラ ミ ックカラー組成物を塗布さ れたガラス素材上で、 比較的高温 （但し、 素材ガラスが メル トするほど高温ではない） で加熱される こ と によつ てメ ル ト し、 無機顔料および無機フ ィ ラーを濡ら して発 色し且つ膜化する ものである。 また該ガラス粉末は、 ガ ラス素材と もその界面で融合してこれに強力に密着する ものである。

上記無機顔料粉末とは、 それ自体着色した各種金属化 合物などの単独または組合せからなる粉末であ り 、 前記 ガラス粉末と混合焼成する こ と によって着色皮膜を形成 する ものをい う。 一方、 無機フ ィ ラーと は、 それ自体着 色していない金属酸化物などの粉末であ り 、 前記ガラス 粉末と混合焼成する こ と によって、 焼成皮膜の物性な ど を調整する も のをい う。

本発明セラ ミ ックカラー組成物においては、 上記ガラ ス粉末と して、 特定の 2種 （第一ガラス粉末および第二 ガラス粉末） を混合して用いる こ とが重要である。 こ こ で第一ガラス粉末は、 ガラス成分と して SiO ₂、 ΖηΟおよ び Β ₂ 0₃成分を少なく と も含有する鉛不含のも のであ り 、 第二ガラス粉末は、 ガラス成分と して SiO ₂、 Βί ₂ 0 ₃およ ぴ B₂0₃成分を少なく と も含有する鉛不含のものである。 また、 両ガラス粉末はその少なく と も一方が結晶質で ある こ とが重要である。 特に第一ガラス粉末はその組成 を変化させる こ と によ り 、 結晶化の程度を比較的容易に 調整するこ と ができ、 また高い結晶化度を容易に得る こ とができ るので、 これを必須の結晶質ガラス粉末とする のが好ま しい。

上記第一ガラス粉末は、 その組成上、 以下の特徴を有 するのが望ま しい。

(1) SiO 2と ZnOと の比において SiO ₂が リ ッチであ り 、 特に

SiO ²に対して ZnOが 0.5〜 1 (重量比）の範囲にあるこ と、

(2) B₂Osの割合が"!〜 9%と少ないこ と、

(3) TiO 2を 0.5-10%含有する こ と。

かかる望ま しい特徴を有する第一ガラス粉末のガラス 組成は、 好ま しく は SiO₂35-50%、 B₂0₃1-9%、 Zn015-40 %、 TiO 20.5-10 %、 Li ₂ O0.1-10 %、 Na ₂ O0.1-10 %、 FO-5 %、 K 200-10%、 ZrO ₂0-5 %および V ₂0₅0-5 %の範囲から選ぶ こ とができ る。 ·

上記第一ガラス粉末は、 耐酸性、 離型性、 バスパーの 発色などの点で特に優れた特性を発揮する。 即ち、 該ガ ラスは加熱時に 2ZnO · SiO ₂の結晶を析出し、 これが板ガ ラスの加熱加工時のモール ドと の離型性向上に寄与する この結晶の結晶化率が高く なるに従って、 上記離型性は 向上する（反面、 耐酸性は低下する）。

第一ガラス粉末を構成する各ガラス成分が、 ガラス粉 末の特性に与える効果と配合量につき詳述すれば、 以下 の通 り である。

SiO ₂成分は、 ガラスのネッ ト ワーク フォーマーである と共に結晶成分となる必須成分である。 これが 35 %よ り あま り に少なく なる と耐酸性および離型性が低下する。

50 %を越えあま り に多く な りすぎる と板ガラスの成形 (曲げ加工） 工程で焼付きが不良となる。 38-47 %の範 囲が最適量である。

B ₂ 0₃成分は、 ガラスの膨張係数を上げずに、 ガラス の軟化温度を下げる効果があ り 、 ガラス化の必須成分で ある。 これが 9 %を越えあま り に多く なる と耐酸性およ ぴ離型性が低下する。 3-8 %の範囲が最適量である。

ΖπΟ成分は、 ガラスの軟化温度を低下させる効果があ る と共に結晶の成分とな り 、 本ガラスの必須成分である これが 20 %をあま り に下回る とガラスの軟化温度が上昇 し結晶化率が低下する。 40 %を超える多量の配合では耐 酸性が低下する。 25-35 %の範囲が最適量である。

Ti0 ₂成分は、 その配合によ り耐酸性を向上させるが、 10 %を超える多量の配合では、 軟化温度が上昇し、 焼付 かなく なるおそれがある。 2-7%の範囲が最適量である。

Li₂0成分および Na₂0成分は、 アルカ リ成分と してそ の配合が望ま しく 、 この配合によってガラスの軟化時に その粘度を低下させ、 結晶化を促進させる効果がある。 通常、 両者の総量で 0.2%を下回る配合では、 ガラ スの 軟化点が高く な りすぎ、 20%を越える配合では熱膨張係 数が大き く な り すぎて、 板ガラスの強度を低下させる傾 向がある。

F成分は、 通常 NaFの形で少量添加配合する こ と によ り 、 ガラスの軟化温度を低下させる効果があ り 、 また結 晶化を促進する効果もある。 5%を超える多量の配合で は、 耐酸性が悪化する。

K₂0成分は、 必須成分ではないが、 上記 Li ₂0成分およ び Na₂〇成分と 同様の効果を奏し得る。

ZrO ₂成分は、 その配合によって耐アルカ リ性を向上さ せる。 5%を超える多量の配合では、 ガラスの軟化温度 を急上昇させる不利がある。

V₂ O ₅成分は、 少量の添加配合によってガラスの軟化 点を低下させる働きがある。 5%を超える多量の配合で は、 ガラスの耐酸性が悪化する。

本発明における第一ガラス粉末は、 上記各成分の他に 例えば CaO、 MgO、 BaO、 SrO、 Al ₂ O ₃などの成分を更に 添加配合されたものであっても よい。 それらの配合量は 通常合計量で 5%までとするのが好ま しい。 これらの配 合によれば、 膨張係数の微調整、 耐酸性の向上、 結晶化 率の調整などを行い得る。

本発明に利用する第二ガラス粉末のガラス組成は、 好 ま しく は Si0₂15-40%、 B₂0₃1-12%、 Bi₂O₃40-70%、 TiO ₂ 1-10%、 Li 200.1-10% Na 200.1-10% _s K₂00-10% , ZrO ₂0-5 %、 V₂O₅0-5%および FO-0.5%の範囲から選ぶこ とができ る。 かかる範囲は、 ガラス粉末が非晶質および結晶質と なるいずれの場合も含んでいる。

上記範囲の内で、 第二ガラス粉末が結晶質と なる組成 は、 SiO₂20-35%、 B₂〇₃1-8%、 Bi ₂ O ₃50-65 % , TiO ₂1-10% Li 2 O0.1-10 %、 Na ₂ O0.1-10 %、 K ₂ O0-10 %、 ZrO ₂0-5 %、

V2O 50-5 %および FO-5%の範囲から選ばれる。 特に、

Bi₂0₃に対する Si0₂の配合割合 （重量比） が 0.3-0.7の範囲 にあ り 、 且つ SiO ₂と Bi ₂0₃と の合計量が 75-95 %であるの が好ま しい。 またアルカ リ 成分 （Li₂0， Na₂0) の配合 量は合計で 2%以上であるのが好ま しい。

上記第二ガラス粉末を構成する各ガラ ス成分が、 ガラ ス粉末の特性に与える効果と配合量につき詳述すれば、 以下の通り である。

SiO ₂成分は、 ガラスのネ ッ ト ワーク フォーマーと して 必須の成分である。 これが 15 %よ り あま り に少なく なる と耐酸性が低下する。 40 %を越えあま り に多く な りすぎ る と板ガラ スの成形 （曲げ加工） 工程で焼付きが不良と なる。 結晶化ガラスにおいては結晶成分である。

B ₂ 0 ₃成分は、 必須成分であ り 、 ガラスの軟化温度を 下げ、 線膨張係数も低下させる効果がある。 12 %を越え る多量の配合では耐酸性が著しく低下する。 結晶化ガラ スの場合は、 1-8 %の範囲の配合が望ま しく 、 これによ つて優れた離形性を得る こ とができ る。

Bi ₂0₃成分も必須成分であ り 、 ガラスの軟化温度を低 下させる効果がある。 これが 40 %をあま り に下回る とガ ラスの軟化温度が上昇する欠点がある。 70 %を超える多 量の配合では耐酸性が低下し、 線膨張係数が 90 X 10— ⁷を 越え高く なる。 結晶化ガラスの場合は、 結晶成分である TiO ₂成分は、 その配合によ り 耐酸性を向上させるが、 10 %を超える多量の配合では、 軟化温度が上昇し、 更に TiO ₂を含む結晶が析出する こ と とな り 、 焼付け後の色調 が白みを帯びる傾向にある。

Li ₂ 0成分おょぴ Na ₂0成分は、 アルカ リ 成分と してそ の配合が望ま しく 、 この配合によってガラスの軟化温度 を下げる と共に、 結晶化ガラスにおいては結晶化を促進 させる効果がある。 通常、 両者の総量で 0.2 %を下回る 配合では、 ガラスの軟化点が高く な りすぎ、 20 %を越え る配合では熱膨張係数が大き く な りすぎて、 板ガラスの 強度を劣化させる傾向がある。

F成分は、 通常 NaFの形で少量添加配合する こ と によ り 、 ガラスの軟化温度を低下させる。 5 %を超える多量 の配合では、 耐酸性が低下する。

K ₂0成分は、 必須成分ではないが、 上記 Li ₂0成分およ び Na ₂ 0成分と同様の効果を奏し得る。

ZrO ₂成分は、 その配合によって耐水、 耐アルカ リ性を 向上させる。 5 %を超える多量の配合では、 ガラスの軟 化温度を急上昇させる不利がある。

V ₂ 0 5成分は、 少量の添加配合によってガラスの軟化 温度を低下させる働きがある。 5 %を超える多量の配合 では、 ガラスの耐酸性が著しく 低下する。

第二ガラス粉末もまた、 第一ガラス粉末と同様に、 上 記各成分の他に、 例えば CaO、 MgO、 BaO、 SrO、 Ab O a などの成分を更に添加配合されたものである こ とができ る。 それらの配合量は、 通常合計量で 5 %までとする の が好ま しい。 これらの配合によって、 膨張係数の微調整 耐酸性の向上、 結晶化率の調整などを行い得る。

本発明における両者の併用割合は、 第一ガラス粉末 Z 第二ガラス粉末が 5/95〜 95/5 (重量比） となる範囲から 選択され、 この併用によってそれぞれのガラス粉末を単 独で用いる場合の欠点を補完して、 本発明所期の離型性 耐酸性、 耐メ ツキ性、 バスバーの発色とい う諸性能を全 て満足するセラ ミ ックカラーを得るこ とができ る。 しか るに、 両者の併用割合が上記範囲を外れる場合は、 両者 の併用による上記効果を奏する こ とが困難と な り好ま し く ない。

尚、 第一ガラス粉末及び第二ガラス粉末は、 それぞれ に属する組成を有するものの中から 1種以上を選択して 用いる こ とができ る。 特に、 2種以上の複数のガラス粉 末を併用すれば、 軟化点、 離型性、 熱線膨張係数などに 起因する加工後のガラス強度の調整などを行う こ とがで き る利点が付与される。

第一ガラス粉末および第二ガラス粉末は、 それぞれ常 法に従って製造する こ とができる。 例えば、 溶融時に上 記適当な組成となる量の各バッチ原料を混合してバッチ 組成物を得、 これを約 1000°C以上、 通常 1100-1300°C程度 で溶融し、 溶融物を水中にて急冷してポップコーン状ガ ラ ス とするか或いは水冷ロールに挟んでフ レーク状ガラ ス とする。 次いで、 得られるガラスを例えばポールミル 中でアルミナポールなどを使用 して湿式粉砕する。 かく して得られるスラ リ一を乾燥機で乾燥してケーキ状と し その後、 篩または粉砕機などを用いて解砕して粉末状と する。 また上記スラ リ ーをスプレイ ドライヤーなどを用 いて直接粉末化してもよい。

かく して得られる第一ガラス粉末及び第二ガラス粉末 の粒径は、 通常 0.1-30 μ m程度、 好ま しく は 0.5-20 μ m程 度の範囲にあるのが適当である。 該粒径が 30 μ mを越え る粗大粒子が生成している場合は、 例えば気流式分級装 置、 篩な どを用いて除いておく のが好ま しい。

本発明において、 上記第一ガラス粉末と第二ガラス粉 末と の混合は、 通常の方法に従って行う こ とができ る。 例えば混合機に両ガラス粉末の所定量を、 無機顔料およ ぴ無機フ イ ラ一と共に投入して行う こ とができ る。 また 前記ガラス粉末の製造工程において得られるポップコ ー ン状或いはフ レーク状ガラスの形態で両ガラスを混合し 得られる混合ガラスを引続き粉砕し、 所望の粉末状と し た後、 その所定量を無機顔料おょぴ無機フィ ラーと混合 する こ と も可能である。 前者の方法は、 特に自動車にお ける板ガラスの使用部位、 加工方法に応じてセラ ミ ッ ク カラー組成物の処方が異なる少量多品種生産において選 択されるのが好ま しい。 また後者の方法は、 単一目的に 多量に使用されるセラ ミ ックカラー組成物の調製に好適 である。 本発明セラ ミ ックカラー組成物の固形分は、 このよ う に、 第一ガラス粉末と第二ガラス粉末と の所定量混合物 に無機顔料おょぴ無機フ ィ ラーを所定量配合して調製さ れる。

こ こで、 無機顔料と しては、 従来よ り この種セラ ミ ツ クカラーに使用されているものと同様のものを使用する こ とができる。 該無機顔料には、 例えば CuO · Cr ₂ 0 ₃ (ブラ ック） 、 CoO · Cr ₂0₃ (ブラ ック） 、 Fe ₂0 ₃ (ブ ラ ウン） 、 TiO ₂ (ホワイ ト） 、 CoO · AI ₂ 0 ₃ (ブルー） 、 NiO · Cr ₂ 0 ₃ (グリ ーン） などおよびこれらの組合せが 包含される。

該無機顔料は、 本発明組成物 （固形分） 中に、 10-40 %の範囲、 好ま しく は 15-35 %程度の範囲で配合される のがよい。 これが 10 %に満たない場合、 得られる焼成膜 に隠蔽力がなく 、 セラ ミ ックカラーの本来の目的である 太陽光の隠蔽が不十分と なる。 逆に、 40 %を越える と必 然的にガラスの割合が減少するため、 焼成時に膜形成が 不十分と な り （膜がポーラス とな り ） 、 接着工程におい て接着プライマーが板ガラス面まで染み込む不具合が生 じる。 上記無機顔料は通常入手される粉末状形態で本発 明に有利に利用する こ とができる。 その粒度は特に限定 されるも のではなく 、 通常、 0.1-1 μ ΠΊ程度の範囲にある のが普通である。

また、 本発明に用いられる無機フイ ラ一は、 通常のこ の種セラ ミ ックカラー組成物に利用 される こ と の知られ ている各種のもの、 特に高温時メル ト しないものから選 択される。 その例と しては、 例えばセラ ミ ックカラーが 高温で加熱された時の流動性を制御し、 結晶化ガラスの みによる離型性 （ガラスモール ドへのカラーの付着防 止） の改善を補助するための、 アルミナ、 シリ カ、 ジル コ ン、 珪酸ジルコン、 亜鉛華などの金属酸化物、 セラ ミ ックカラーの線膨張係数を調整するための、 特に低膨張 ィ匕の粉末、 例えば j3 —ユータ リ プ トタイ ト、 j3 —スポジ ユーメ ン、 コージエライ ト、 溶融シリ カなどを挙げる こ と ができ る。

該無機フイ ラ一は、 その粒度に特に限定はない。 それ らの本来の効果が粒子表面積に依存する こ とが多いこ と を考慮すれば細かいほど有利であるが、 細かすぎる とセ ラ ミ ックカ ラーの融着温度を上昇させる不利がある。 一 般には 0.05-30 μ m程度、 好ま しく は 0.1-20 μ m程度の範囲 から選択されるのがよい。 またその配合量は、 本発明組 成物 （固形分） 中に、 10 %までの範囲、 好ま しく は 7 % までの範囲で含有される量と されるのがよい。 これが 10

%を越える と、 セラ ミ ックカラーの融着温度が上昇しす ぎて、 素地ガラス と の密着不良、 接着工程でのプライマ 一の染み込みなどの不具合を生じる。 尚、 この無機フィ ラーは、 その配合の 目的が、 前述した他の成分の種類、 配合量の選択などによ り 克服できた り 、 低融点ガラス粉 末自体の特性で解決でき る場合には、 特にその配合を必 要とする ものではない。 例えば、 前記ガラ ス粉末混合物 と して結晶質のガラスのみを使用するこ と によって離型 性が充分に満足でき るものとなる場合は、 あえて離型性 改善のためにかかる無機フィ ラーを添加配合する必要は ない。 ガラス粉末と無機顔料との配合のみで充分な線膨 張係数が得られる場合も、 かかる線膨張係数の調整のた めの無機フィ ラーの配合は不必要である。

本発明セラ ミ ックカラー組成物は、 通常、 前記ガラス 粉末混合物、 無機顔料および無機フィ ラーの所定量配合 物を固形分と して、 これを、 ガラス素材上への塗布、 印 刷などに適した形態、 よ り詳しく は樹脂の溶剤溶液 （有 機ヴィ ヒ クル） 中に分散させたペース ト状形態、 塗料形 態などに調製される。

こ こで用いられる樹脂の溶剤溶液 （有機ヴィ ヒ クル） と しては、 通常のこの種セラ ミ ックカラー組成物と特に 異なる も のではなく 、 易燃焼性の樹脂を溶剤に溶解した ものを使用でき る。 ここで、 易燃焼性の樹脂と しては、 例えばセルロース樹脂、 ア ク リ ル樹脂、 メ タアク リ ル樹 脂、 プチラール樹脂、 ビニールピロ リ ドン樹脂などの熱 分解性のよい樹脂が好ま しく使用で.き る。 また、 溶剤と しては、 例えばパイ ンオイ ル、 α — タ ー ビネオール、 ブ チノレカノレ ビ ト ーノレ、 ブチノレカノレビ ト ーノレアセテー ト 、 プ 口 ピレングライ コールなどの比較的高沸点の溶剤が使用 できる。

ペース トは、 常法に従い、 成形工程で焼成、 焼付けす る前に加熱によって予備乾燥される のが普通である。 上 記有機ヴィ ヒ クルの代わり に、 例えば光重合開始剤を含 む紫外線硬化型のアタ リ レー ト、 メ タアタ リ レー トなど のオ リ ゴマーをヴィ ヒ ク ル成分と して使用すれば、 紫外 線硬化型のペース ト を調製でき、 これは上記予備乾燥の 代わ り に紫外線照射によって所望の皮膜を形成できる。 いずれのペース ト の場合も 、 ス ク リ ーン印刷に適したぺ ース ト粘度、 通常約 1000-10000Pa · sの範囲に、 その粘度 を調整される のが好ま しい。

上記固形分に対する有機ヴィ ヒ ク ルの配合割合および ヴィ ヒ ク ル中の樹脂と溶剤との使用比率は、 得られる組 成物の形態、 特にその板ガラス上への施工方法に応じて 適宜決定され、 特に限定されるも のではない。 例えばス ク リ ーン印刷などに適したペース ト状形態に調製する場 合、 一般には、 固形分 100重量部に対して有機ヴィ ヒ ク ル 10-40重量部の範囲内での使用が適当である。 塗料形 態に調整される場合は、 固形分 100重量部に対して有機 ヴィ ヒ クル 30-100重量部の範囲内での使用が好ま しい。 これら各種形態への調整は、 常法に従って、 例えば固形 分をロールミル、 サン ドミル、 ボールミルなどを用いて 有機ヴィ ヒ ク ル中に分散させる こ と によ り 実施でき る。

また、 有機ヴィ ヒ クル中の樹脂と溶剤との使用量比率 も 、 任意に決定でき特に限定されるも のではない。 通常 溶剤 100重量部に対して樹脂を約 5-50重量部の範囲から 選択して使用するのが適当である。

かく して得られるペース ト状、 塗料状などの各種形態 の本発明セラ ミ ックカラー組成物の板ガラスへの施工お よびこれによる 自動車用窓ガラスの製造 （曲げ加工方 法） は、 一般的方法に従う こ とができる。 例えば、 該組 成物は、 予め所定の形状に切り 出したガラ ス の周辺に塗 布によ り施工される。 塗布方法も通常慣用される方法と 異なる も のではなく 、 例えばス ク リ ーン印刷法、 スプ レ 一塗装法、 ロールコーター法などに従う こ とができる。 ス ク リ ーン印刷法は最も簡便であ り 、 部分塗布に適して いる。

かく してセラ ミ ックカラー組成物 （ペース トなどの形 態） を塗布された板ガラスは、 ー且乾燥され、 次いで熱 線と なる銀ペース ト を印刷され、 更に乾燥後、 強化、 曲 げ成形工程に供される。

現在、 サンルーフガラス、 リ アガラス、 サイ ドガラス などの自動車用窓ガラスの成形工程と しては、 一般に、 炉内で板ガラスをモール ドとモール ドとの間に圧着して 曲げ加工する形成工程、 炉内で板ガラスをモール ドに真 空吸引 して曲げ加工する形成工程などが採用されている これらの加工工程は、 通常常温よ り 660 °C程度までの ト ンネル炉による予備加熱工程と、 640-720°Cのバッチ炉に よる曲げ加工成形工程とからなつている。 これは、 セラ ミ ックカラーを予備加熱工程で板ガラスに焼付け且つ結 晶化させておく こ と によ って、 引続く 曲げ加工成形工程 でモール ドと接した時に、 セラ ミ ックカラーは結晶化し ているために流動性がなく （ガラス粘度の低下がなく ） モール ドに付着しないためである。

本発明のセラ ミ ックカラー組成物を施工された板ガラ スは、 勿論、 上記の如き二工程からなる加工工程に付す こ と もでき るが、 本発明セラ ミ ックカラー自体が従来の それに比して改善された離型性を有するために、 これを 施工された板ガラスは、 かかる二工程による こ となく 、 よ り 温和な条件を採用する、 例えば炉外曲げ加工工程で ある 吊 り圧着 （プレス） 工程、 圧着曲げ （プレスベン ド） 工程などによっても充分に曲げ加工する こ とができ かく して所望の自動車窓用ガラスを製造する こ とができ る。

上記の如く して得られる本発明セラ ミ ックカラー組成 物を焼付けたカラー部分は、 良好な耐酸性を示し、 銀パ スパ一部分の発色も適切であ り 、 美観を伴う色調を呈し ている。 更に、 本発明セラ ミ ックカラー組成物は、 適切 な熱膨張係数を有するので、 該カラーを焼付けられた板 ガラスは、 その強度低下も最小限に抑制されてお り 、 例 えば該板ガラスを自動車窓用板ガラス と して利用 して、 その周辺にプラスチック を射出成型する際にも、 ガラス の破壌を未然に防止する こ とができる利点がある。

発明を実施するための最良の形態 以下、 本発明を更に詳しく 説明するため実施例を挙げ る。

実施例 1-6および比較例 1-6

( 1 ) 固形分粉末の調製

後記表 2-6に示す鉛不含のガラス組成と なる量のパッ チ原料混合物を 1200-1250 °Cの温度範囲で溶融した。 溶融 ガラスを水中で急冷してポプコーン状ガラスを得た。 こ のガラスをボールミル中、 アルミナボールを用いて水湿 式粉砕し、 得られたス ラ リ ーを乾燥後、 乾燥ケーキを更 に篩を使用 して解砕して、 各ガラス粉末を調製した。 得 られた各粉末の平均粒径 （ D ₅。） は、 2.8 mであった。

上記で調製されたガラス粉末の 2種 （実施例 1-6) また は 1種 （比較例 1-4) も しく は 2種 （比較例 5および 6) を、 所定量の無機顔料と混合するかまたはこれらに更に無機 フ ィ ラーを混合して、 固形分粉末を調製した。 但し、 比 較例 5および 6では第一ガラス粉末と第二ガラス粉末と の混合割合を本発明範囲を外れるも の と した。

尚、 各表のガラス組成の項に示した 「Zn系結晶」 と は、 ZnO-Si0₂-B₂0₃系結晶化ガラスをさ し、 「 Bi系結晶」 および 「Bi系非結晶」 とは、 それぞれ Bi₂0₃-Si0₂-B₂0₃ 系の結晶化ガラスおよび非結晶ガラスをさす。 また 「 Zn, Bi系結晶」 （表 5, 比較例 4) とは、 ΖπΟ成分と Bi₂〇₃成 分を一つのガラス中に含有する ZnO-Bi ₂0₃ -SiO ₂ -B ₂0₃系 の結晶化ガラ スをいう。

各例において 「無機顔料」 と しては、 黒色顔料 （CuO • ₂0₃、 アサヒ化成社製 #3700) を使用 した。 「無機フ イ ラ一」 は、 それぞれ表中に記載のもの （いずれも巿販 品） を 0.1-3.0 μ mに粉砕、 調整して使用 した。

( 2 ) セラ ミ ックカラー組成物の調製

上記 （ 1 ) で調製した固形分粉末 100重量部に、 パイ ンオイノレ 93 %、 ェチノレセルロ ース （ダウケ ミ カノレ社製、 STD-20) 4 %およびイ ソブチルメ タ ク リ レー ト樹脂 （デ ュポン社製、 「エルバサイ ト #2045」 ） 3 %からなる有機 ヴィ ヒ ク ル （粘度 （ BL粘度計 3号ローター、 12回転、 25 °C ) ； 100Pa · s) の 30重量部を加え、 三本ロ ールにて分 散して、 セラ ミ ッ ク カ ラーペース ト を調製した。 その粘 度は、 3000-3500Pa · sであった。

試験例 1

離型性

各実施例および比較例で得たセラ ミ ッ ク カ ラー組成物 ペース ト を 37mm X 50mm x 3.5mm厚のガラス板全面に 150 メ ッシュテ ト ロ ンス ク リ ーンを用いて印刷 し、 乾燥して 試験片 と した。

セラ ミ ッ ク ウールを敷いた石英ガラス板上に、 試験片 と モール ド代用治具を並べて載せた。 モール ド代用治具 と しては、 試験片と 同一寸法の石英ガラ ス の周辺にステ ン レス ク ロ スを弛みのないよ う に巻き付けたものを使用 した。 石英ガラス板上の試験片とモール ド代用治具を予 め 640-700 °Cに設定した炉内に並べた状態で 3分間焼成し、 一度炉外に取 り 出 し、 直ちに代用治具をセラ ミ ッ ク カ ラ 一を塗布した表面に押しつけて載せ、 再度同温度で 2分 間焼成 した'。 炉から取 り 出 した後、 直ちにモール ド代用 治具をゆっ く り試験片よ り持ち上げ、 その時の状況を以 下の 5段階にランク付けし、 これを指標と して離型性を 評価した。

尚、 本発明組成物を用いた試験においては、 焼成温度 と して 680 °Cを選択した。 これは離型性に対して厳しい 条件である。

A； 試験片ょ り全く抵抗なく 治具がはずれる

B ； 僅かな抵抗の後治具がはずれる

C； 試験片が治具に付着するが、 持ち上げる とはずれる D ； 試験片が治具に付着するが、 持ち上げて振動を加え る と はずれる

E ； 試験片が治具に付着し、 持ち上げて振動を加えても はずれない

上記ラ ンク C以上は使用可能である。

試験例 2

耐酸性

各実施例おょぴ比較例で得たセラ ミ ックカラー組成物 ペース ト を 50mm X 75mm x 3.5mm厚のガラス板に 30mm x 60mmの範囲で 150メ ッシュテ ト ロ ンス ク リ ーンを用いて パターン印刷し、 660°Cで 4分間焼成して試験片を作成し た。

試験片のセラ ミ ックカラー膜厚を、 測定器（東京精密 社製サーフコム 300B)を用いて測定し、 20 μ ΓΠ ± 1 ΓΤΐの ものを以下の試験に供した。

密閉 した容器中に 0.1 Ν硫酸水溶液を用意し、 これに上 記試験片を 80°Cで所定時間浸漬した。 セラ ミ ックカラー の非焼き付け面よ り 、 セラ ミ ックカラーとガラス との界 面を目視し、 僅かな白化現象が出現するまでの浸漬時間 をセラ ミ ックカラーの耐酸性の尺度と し、 下記基準によ り 評価した。

◎ ； 48時間以上白化しないもの

〇 ； 20〜 48時間の範囲に白化する もの

△ ； 5〜 20時間の範囲内に白化する もの

X ； 5時間以内に白化する もの

試験例 3

バスバー発色 各実施例おょぴ比較例で得たセラ ミ ックカラー組成物 ペース トを 50mm X 75mm x 3.5mm厚のガラス板に 30mm x 60mmの範囲で 150メ ッシュテ ト 口 ンス ク リ ーンを用いて パター ン印刷し、 乾燥した。 その上に銀ペース ト （デュ ポン社製 8060) を 10mm X 70mmの範囲で 230メ ッシュテ ト ロ ンス ク リ ーンを用いてパターン印刷し、 乾燥後、 660 °Cで 4分間焼成して試験片を作成した。

試験片のセラ ミ ックカラー膜厚を、 測定器（東京精密 社製サーブ コ ム 300B)を用いて測定し、 20 μ ηι ± 1 μ Γηの ものを以下の試験に供した。

セラ ミ ックカラーの非焼付け面よ り 、 銀ペース ト と の 重な り 部分のセラ ミ ックカラーとガラス との界面の目視 観察によって、 パスバー部分の銀ペース ト と の重な り 部 分の発色を調べ、 以下の基準によ りバスバー発色を評価 した。 ア ンバー色が濃いほど良好である と判断した。

◎ ； 濃いア ンパー色

〇 ； 薄いア ンパー色

Δ ； 黄色

X ； 発色ムラがあるかまたは上記以外の例えば青、 緑、 白色の発色 試験例 4

耐メ ツキ液性

パスパー部分の発色を評価した試験片について、 その 銀部分に電気メ ツキ法によ り銅層を形成させ更にその上 にニッケル層を形成させた。 銅層は、 硫酸銅メ ツキ浴を 使用 し、 膜厚 4-5 μ mとなる よ う に電気銅メ ツキによ り 形 成させた。 またニッケル層は、 ワ ッ ト浴を使用 し、 膜厚 1-2 μ mとなるよ う に電気ニッケルメ ツキを行って形成さ せた。

次いで、 上記メ ツキ層上に、 予め一定量のはんだが搭 載されている コの字電極端子（株式会社旭製作所社製、 端子 #500)をはんだ付けした。 この端子の接着強度を引 張り試験機オー トグラフ（株式会社島津製作所社製、 SD- 100-C)によって測定した。 耐メ ツキ液性の評価は、 下記 基準によ り 行った。

◎ ； 強度低下なし

〇 ； 5kg未満の強度低下あ り

△ ； 5kg以上、 10kg未満の強度低下あ り

X ； 10kg以上の強度低下あり

上記試験例 1 -4に従う試験によって得られた結果を、 各供試試験片に利用 したセラ ミ ックカラー組成物と共に 下記表 2-6に示す。

表 2 例 N o . 実 施 例 1 実 施 例 2 ガラ ス の種類 A— 1 B — 1 A - 2 B - 2 ガ ラ ス組成 Zn系結晶 Bi系非結晶 Zn系結晶 Bi系非結晶

S i O 2 4 3 . 0 3 5 . 0 4 4 . 0 3 6 . 0

B 2 O 3 4 . 5 5 . 0 6 . 0 4 . 0

Z n O 3 3 . 2 一 3 2 . 0 ―

B i 2 O a 4 3 . 5 4 8 . 0

T i O 2 4 . 0 6 . 0 5 . 0 3 . 0

L i 2 O 2 . 2 3 . 7 4 . 0 2 . 4

N a 2 O 5 . 5 2 . 5 4 . 0 5 . 1

K 2 O 3 . 0 1 . 3

Z r O 2 2 . 6 3 . 0 3 . 0 1 . 5

V 2 O 5

F 2 . 0 2 . 0

セラミックカラ 組成物

第-ガラス粉末 (A) 6 4 3 7

第二ガラス粉末 (B) 1 0 2 8

無機顔料 2 4 3 0

無機フ ィ ラ ー 2 ( ZrO 2 ) 5 ( AI ₂0 a ) 特性

離型性 B C

パスパー発色 ◎ ◎

耐酸性 ◎ ◎

耐メ ツ キ性 〇 ◎ 表 3 例 N o . 実 施 例 3 施 例 4 ガ ラ ス の種類 A一 3 B 一 3 Α一 4 B 一 4 ガ ラ ス組成 Z n系結 Η

晶 B ί系結昍 Z n系結曰

昍 B i系結 ø

昍

S i O 2 4 7 · 3 2 7 . 0 4 4 · 0 3 0 . 0

B 2 O 3 7 . 5 2 . 0 6 . 0 4 . 0

Z n O 2 8 . 0 3 2 . 0

B i a O a 6 1 . 0 5 8 . 0

T i O ₂ 3 . 0 • 4 · 0 6 . 0 2 . 0

L i 2 O 3 . 5 2 . 5 3 . 0 1 . 0

N a 2 O 4 . 2 1 . 0 4 . 0 2 . 0

K 2 O 1 . 0

Z r O 2 2 . 0 2 . 5 3 . 0 3 . 0

V 2 O ₅ 2 . 0

F 1 . 5 2 . 0

セラミックカラー組成物

第一ガラス粉末 (A) 1 0 3 7

第二ガラス粉末 (B ) 6 5 3 7

無機顔料 2 5 2 6

無機フ ィ ラー

特性

離型性 A A

パ ス バー発色 〇 ◎

耐酸性 ◎ ◎

耐メ ツ キ性 ◎ 〇 表 4 例 N o . 実 施 例 5 実 施 例 6 ガ ラ ス の種類 A— 5 B - 5 A - 6 B - 3 ガ ラ ス組成 Zn系結晶 Bi系結晶 Zn系非結晶 Bi系結晶

S i O ₂ 4 6 . 0 2 7 . 0 3 7 . 0 2 7 . 0

B 2 O 3 3 . 0 2 . 0 8 . 0 2 . 0

Z n O 3 2 . 0 ― 1 9 . 0 ―

B i 2 O 3 6 2 . 0 6 1 . 0

T i O 2 5 . 0 3 . 0 9 . 0 4 . 0

L i 2 O 6 . 0 1 . 0 4 . 5 2 . 5

N a 2 O 3 . 5 2 . 5 7 . 5 1 . 0

K 2 O 3 . 5

Z r O 2 2 . 0 1 . 5 4 . 5 2 . 5

V 2 O 5 1 . 5 4 . 0

F 1 . 0 1 . 0 3 . 0

セラミックカラー組成物

第-ガラス粉末 (A) 6 2 2 4

第二ガラス粉末 (B) 8 4 1

無機顔料 2 8 3 5

無機フ ィ ラ ー 2 (ZnO)

特性

離型性 A C

ノ ス ノ ー ◎ ◎

耐酸性 ◎ ◎

耐メ ツ キ性 〇 ◎ 表 5

は、 B — 5 ガラ ス の配合量を示す 表 6 例 N o . 比 較 例 5 比 較 例 6 ガ ラ ス の種類 A - 1 B — 1 A— 3 B - 3 ガ ラ ス組成 Zn系結晶 Bi系非結晶 Zn系結晶 Bi系結晶

S i O 2 4 3 . 0 3 5 . 0 4 7 . 3 2 7 . 0

B 2 O 3 4 . 5 5 . 0 7 . 5 2 . 0

Z n O 3 3 . 2 ― 2 8 . 0 一

B i 2 O 3 4 3 . 5 6 1 . 0

T i O 2 4 . 0 6 . 0 3 . 0 4 . 0

L i 2 O 2 . 2 3 . 7 3 . 5 2 . 5

N a ₂0 5 . 5 2 . 5 4 . 2 1 . 0

K 2 O 3 . 0 1 . 3 1 . 0

Z r O 2 2 . 6 3 . 0 2 . 0 2 . 5

V 2 O 5 2 . 0

F 2 . 0 1 . 5

セラミック力ラ 組成物

第-ガラス粉末 (A) 7 3 3

第二ガラス粉末 (B) 2 7 4

無機顔料 2 5 2 3

無機フ ィ ラ ー

特性

離型性 B A

ノ ス ノ —発色 ◎ X

耐酸性 ◎ ◎

耐メ ツ キ性 X ◎ 上記各表よ り 以下のこ と が明 らかである。 即ち、 鉛不 含であ り 、 少な く と も一方が結晶質のガラ スである ZnO- SiO ₂ -B ₂0 ₃系ガラス粉末の 5-95重量部 と Bi ₂0 ₃ -SiO ₂ -B ₂ O ₃ 系ガラス粉末の 5-95重量部を混合したガラス粉末を使用 し、 且つ無機顔料を含有する本発明に係わるセラ ミ ッ ク カ ラー組成物は、 自動車窓ガラス用セラ ミ ッ クカ ラーに 要求される離型性、 パスパー発色、 耐酸性、 耐メ ツキ性 な どの特性を同時に満足させる組成物 と して非常に有効 である こ と が判る。

産業上の利用可能性

本発明セラ ミ ッ ク カ ラー組成物は、 鉛化合物を含有せ ず、 板ガラ ス の加熱成形時にモール ド と の離型性が良好 で、 焼成後の耐酸性、 パスバー発色、 耐メ ツキ性な ども 良好であ り 、 特に 自動車窓用板ガラ スへの適用に好適で め る。

Claims

求 の 範 囲

ガラス成分と して Si0 ₂、 ZnOおよび B ₂ 0 ₃成分を少な く と も含有する鉛不含の第一ガラ ス粉末 5-95重量部 と 、 ガラス成分と して SiO 2、 Bi ₂ 0 ₃および B ₂0 ₃成分を少な く と も含有する鉛省不含の第二ガラ ス粉末 5-95重量部 と の混合物 50-90重量％、 無機顔料 10-40重量％および無 機フ ィ ラー 0-10重量％を固形分粉末と して含有する こ と を特徴とするセラ ミ ッ ク カ ラー組成物。

2. 第一ガラス粉末と第二ガラス粉末と の少な く と も 一方が結晶質である請求項 1に記載のセラ ミ ッ ク カ ラ 一組成物 o

3. 第一ガラス粉末おょぴ第二ガラ ス粉末のガラス組 成がそれぞれ以下のものである請求項 1または 2に記 載のセラ ミ ッ ク ガラスカ ラー組成物。

第一ガラス粉末組成 （重量％ )

SiO 2 35 -50

ZnO 15 -40

L O 0.1-10 Na₂0 0.1-10

0 -5

K₂0 0 -10

ZrO 0 -5

第二ガラス粉末組成 （重量％ )

Si0₂ 15 -40

Ti0₂ 1 -10

Li^O 0.1-10

Na₂0 0.1-10

ZrO 2 0 - 5

V₂〇₅ 0 -5

0 -5

4. 第二ガラス粉末が以下のガラス組成 （重量％) の 結晶質ガラス粉末である請求項 1〜 3のいずれかに記 載のセラ ミ ックガラスカラー組成物。

SiO 20 -35

B2O 1 -8

Na₂0 0.1-10

Zr0₂ 0 - 5

0 - 5

5. 請求項 1〜 4のいずれかに記載のセラ ミ ッ クカ ラー 組成物のペース ト を板ガラスに塗布し、 加熱下に押 し 型に よ り 加圧 して、 上記ペース ト の焼き付けと 同時に 板ガラ ス の曲げ加工を行な う こ と を特徴とする板ガラ スの曲げ加工方法。

6. 請求項 5に記載の方法によ って得られる板ガラス。

7. 自 動車窓用で.ある請求項 6に記載の板.ガラス。