JP4035673B2 - セラミックカラー組成物、成形板ガラス及びその成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックカラー組成物、より詳しくは例えば自動車用板ガラス素材上に焼付けて着色や成形を行なうための新しいセラミックカラー組成物、及びこれを適用された成形板ガラス及びその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ガラス、即ちフロントガラス、サイドガラス、リヤガラス及びサンルーフガラスは、有機接着剤を用いて車体に取付けられる。この有機接着剤の太陽光による劣化防止や、接着剤はみだし部分の隠ぺいのためなどに、各ガラスの周辺部分は、黒色又はダークグレーに着色されている。かかる自動車用ガラスは、一般には、所定の形状に切り出したフラットガラス(板ガラス)の周辺に、セラミックカラーペーストをスクリーン印刷し、該板ガラスを加熱により成形加工又は強化成形加工すると同時に、該板ガラス周辺部のセラミックカラーを板ガラスに焼付ける工法により製造されている。
【0003】
この工法を採用する上で、用いられるセラミックカラーは特に上記成形加工時のモールドとの離型性が良好である特性が求められる。これは、ガラス形状がセラミックペーパー、ガラスファイバークロス、ステンレススチールクロス等を付したモールド(金型)によって規定され、このモールド上には常にセラミックカラーを塗布した周辺部が載せられるからである。
【0004】
しかして、離型性の悪いセラミックカラーを使用すると、寸法安定性が悪くなり、ひどい時はモールドよりガラスが離れなくなり、量産性を著しく損なう欠点がある。特に炉内でガラスをモールドとモールドの間に圧着して成形する工法や炉内でガラスを真空吸引して成形する工法では、上記離型性は更に深刻な問題となる。
【0005】
この問題を解消するために、従来、この種セラミックカラー組成物は、その中に加熱時にメルトしない無機顔料や無機フィラーを大量に添加するか又はセラッミックカラーに使用する低融点ガラス組成物を加熱時に結晶化させることによって、成形時の流動性をなくする工夫がなされている。これまで、かかるセラミックカラーとして汎用されてきたPbO−SiO2−B2O3系(硼珪酸鉛系)低融点ガラスは、この工夫によって上記問題は解消されていた。
【0006】
しかしながら、最近、地球環境にやさしくの合言葉で、カドミウムは勿論のこと鉛や鉛系化合物の使用も規制されつつあり、自動車ガラス用セラミックカラー中の鉛成分についても、その削減乃至利用回避が要望されるようになり、上記問題が改めてクローズアップされるに至っている。
【0007】
上記セラミックカラー組成物に求められるもう一つの重要な特性は、焼付けられたセラミックカラーの耐酸性である。即ち、長期使用に伴われて、自動車用板ガラスに焼付けられたセラミックカラーは、酸性雨に侵され、特に雨が容易に流れ落ちずにたまっている部位において白色化する欠点がある。今までのPbO−SiO2−B2O3系ガラスは、部分的にではあるがこの問題にも対処し得たが、これに代わるセラミックカラー組成物には、かかる白色化を防止乃至抑制できる優れた耐酸性が求めらる。
【0008】
しかして、従来より鉛不含の低融点ガラス組成物乃至セラミックカラー組成物は、自動車用板ガラスも含めて各種分野で種々提案されているが、提案された組成物はいずれも上記離型性及び耐酸性の点で、今までのPbO−SiO2−B2O3系ガラスに比してかなり劣悪であり、満足できるものではなかった。
【0009】
即ち、Bi2O3−SiO2−B2O3系ガラスとしては、例えば特開平5−262536、特開平6−234547、特開平7−144933、特開平8−34640等が、P2O5系ガラスとしては、特開平7−69672、特開平8−183632、特開平9−208259等がそれぞれ提案されている。
【0010】
本発明者らは之等のガラスについて詳細に検討したところ、Bi2O3−SiO2−B2O3系では、耐酸性に問題があり、かつBi2O3の資源の問題やコスト高を避け得ない点で、またP2O5系は耐酸性が悪い、膨張係数が異常に高いなどの点で、それぞれ目的とするセラミックカラー組成物とはなり得ないことを認めた。
【0011】
さらに最近、自動車用板ガラスの分野で、ZnO−SiO2−B2O3系ガラスが提案された(特開平8−133784号)。その組成は次の通りである。
【0012】
SiO2 27〜40重量%
B2 O3 10〜20重量%
ZnO 35〜45重量%
Li2O 0〜 5重量%
Na2O 0〜10重量%
K2O 0〜 5重量%
Li2O+Na2O+K2O 0〜15
本発明者らは、このガラスを用いてセラミックカラーを作成し、各種板ガラスをシュミレーションした。その結果、モールドとの離型性については、炉外の圧着曲げ条件では良好なものも得られたが、炉内での成形条件ではモールドにセラミックカラーの一部が付着することが判った。また、耐酸性については、目標のものは得られなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鉛、ビスマス等を含有しない低融点ガラスを利用して、自動車用板ガラスに好適に利用できる、離型性に優れ、耐酸性の良好なセラミックカラー組成物を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明は、上記セラミックカラー組成物を用いた板ガラスの成形法及びかくして得られる成形ガラスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的より鋭意研究を重ねた結果、下記特定組成のZnO−SiO2−B2O3系低融点ガラスを利用したセラミックカラー組成物が、上記目的に合致する優れた特性、殊に離型性及び耐酸性を有し、自動車用板ガラスに好適であるという事実を見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明によれば、下記組成の亜鉛含有低融点ガラス粉末50〜90重量%、無機顔料粉末10〜40重量%及び無機フィラー粉末0〜10重量%を含有することを特徴とするセラミックカラー組成物が提供される。
【0017】
SiO2 35〜50重量%
B2O3 1〜9重量%
ZnO 20〜40重量%
TiO2 1〜10重量%
Li2O 1〜10重量%
Na2O 1〜10重量%
K2O 0〜10重量%
ZrO2 0〜5重量%
V2O5 0〜5重量%
F 0〜5重量%
特に本発明によれば、SiO21に対して重量比でZnOを0.5〜1の範囲で含有する上記亜鉛含有低融点ガラス粉末を利用したセラミックカラー組成物及びB2O3含有量が3〜8重量%であり且つTiO2含有量が2〜7重量%である上記亜鉛含有低融点ガラス粉末を用いたセラミックカラー組成物が提供される。
【0018】
また本発明によれば、上記セラミックカラー組成物のペーストを板ガラスに施工後、加熱して板ガラスにセラミックカラー組成物を焼き付けることを特徴とする板ガラスの成形方法、及びかくして得られる成形板ガラスが提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるセラミックカラー組成物につき詳述する。
【0020】
尚、セラミックカラーとは、通常、無機顔料粉末、無機フィラー及び低融点ガラス粉末を、ガラス素材上への塗布や印刷等に適した形態、より詳しくは樹脂の溶剤溶液(オイル)中に分散させたペースト状形態や塗料形態をさす。このセラミックカラーは、その焼付け時に高温(500℃以上)にさらされるため、焼付け後、有機物は分解逸散し、焼き付けられた塗膜中には残らない。
【0021】
本明細書中では、「セラミックカラー組成物」なる用語は、上記オイルを除いた無機粉末混合物について用いるものとする。その配合量も無機粉末のみを基準として表示するものとする。以下に記載する%はすべて重量%である。
【0022】
本発明セラミックカラー組成物は、特定の低融点ガラス粉末と無機顔料粉末及び無機質のフィラー粉末とからなっている。これは塗布されたガラス素材上で高温(素材ガラスがメルトする程高温ではない)加熱によって、上記低融点ガラス粉末がメルトし、顔料及びフィラー粉末を十分にぬらして発色し且つ膜化する。また、ガラス素材ともその界面で融合し強力な密着力が発生する。
【0023】
本発明の目的であるモールドへの付着のない離型性良好で且つ耐酸性に優れたセラミックカラーを得るために最も重要な要件は、前記特定組成の低融点ガラスの利用にある。発明者らは、該低融点ガラスについて、1)基本系をZnO−SiO2−B2O3系ガラスとすること、2)離型性を確保するために必要な結晶化率で結晶化すること、3)0.1N硫酸80℃で24時間以上の耐酸性をもつこと、4)ガラス単体の融着温度が600℃以下であること、5)ガラス単体の膨張係数が85×10-7以下であることを要件として、鋭意研究を重ねた。その結果、上記特定組成の亜鉛含有低融点ガラスが上記要件を満たすことを発見した。
【0024】
しかして、従来のガラス粉末に比較して、本発明に利用する上記ガラス粉末は、その組成上、以下の大きな特徴を有している。
【0025】
(1)SiO2とZnOの比がSiO2リッチであること、特に重量比でSiO21に対してZnOの比を0.5〜1の範囲とすること、
(2)B2 O3の割合が非常に少ない(1〜9%)こと、
(3)所定量のTiO2を必須成分としていること。
【0026】
之等の特徴に基づいて、本発明ガラス粉末は所望の耐酸性及び離型性を有するのである。即ち、本発明の低融点ガラスは、加熱時2ZnO・SiO2の結晶を析出して板ガラスの加熱加工時のモールドとの離型性に寄与する。この結晶の結晶化率が高くなるに従ってモールドとの離型性は向上するが、反面この結晶のため耐酸性は低下する。本発明低融点ガラス中のSiO2とZnOの比及びB2 O3やアルカリ成分の量が、適度な結晶化率を維持し、離型性、耐酸性ともに優れたガラスの提供につながるのである。
【0027】
本発明亜鉛含有低融点ガラスの各成分の特性に与える効果と配合量についてより詳しく説明すれば次の通りである。
【0028】
即ち、SiO2は、ガラスのネットワークフォーマーであるとともに結晶の成分となる必須成分である。これが35%未満では耐酸性及び離型性が低下する。50%を越えると、板ガラスの成形工程で焼付がなくなる。38〜47%が最適量である。
【0029】
B2O3は、ガラスの熱膨張係数を上げずに、ガラスの軟化温度を下げる効果があるが、9%を越えると耐酸性及び離型性が低下する。ガラス化にとって必須成分であり、3〜8%が最適である。
【0030】
ZnOは、本発明ガラスに必須の成分である。ガラスの軟化温度を下げる効果があるとともに結晶の成分となる。これが20%未満ではガラスの軟化温度が上昇し、結晶化率も低下する。40%を越えると極端に耐酸性が低下する。25〜35%が最適である。
【0031】
TiO2は、確実に耐酸性を向上させるが、10%を越えるとガラスの軟化温度が上昇し、焼付がなくなる。2〜7%が最適である。
【0032】
K2 Oは、必須成分ではないが、Li2OとNa2Oと同様の効果を奏する。
【0033】
Na2O及びLi2Oは、アルカリ成分として必須であり、ガラスの軟化時その粘度を低下させ結晶化を促進させる効果がある。合計2%未満ではガラスの軟化温度が高くなりすぎ、20%を越えると熱膨張係数が大きくなりすぎ、成形板ガラスの強度を劣化させる。
【0034】
ZrO2は、必須成分ではないが、耐アルカリ性を向上させる。5%を越えるとガラスの軟化温度を急上昇させるため、それ以下の配合が好ましい。
【0035】
V2O5も、必須成分ではないが、少量の添加で、ガラスの軟化温度を低下させる。5%を越えるとガラスの耐酸性が悪化してくる。
【0036】
Fも、必須成分ではないが、NaFの形で少量添加することにより、ガラスの軟化温度の低下及び結晶化の促進効果がある。5%を越えると耐酸性が悪化する。
【0037】
本発明に利用する亜鉛含有低融点ガラス粉末は、ZnO−SiO2−B2O3系ガラスに属し、之等主成分とする3成分のガラス中に占める割合が多くなるに従って、ZnOでは融点は低下するが、耐薬品性が悪くなり、SiO2では融点は上昇するが、耐薬品性は向上し、またB2O3では融点は低下するが、耐薬品性が悪化する。従って、本発明では之等3成分の配合比率の選択が特に重要である。
【0038】
本発明に用いる上記低融点ガラス粉末は、常法に従って、例えば、次のように作成される。即ち、溶融時、本発明の処方になるべき量のバッチ原料を混合し、バッチ組成物を得る。このバッチ混合物を1100〜1300℃で溶融し、水中にて急冷する。得られたポップコーン状あるいはロールにてフレーク状にしたガラスをボールミル中でアルミナボール等を使用して湿式粉砕する。このガラスの粒径は0.1〜20μm好ましくは0.5〜10μmの範囲にあるのが最適である。20μmを越える粗大粒子はスクリーン印刷での目詰まりの原因となるので、分級やスクリーンでこして除くのがよい。
【0039】
本発明において無機顔料粉末としては、従来より使用されているものと同様のものを使用することができる。これには例えばCuO・Cr2O3(ブラック)、CoO・Cr2O3(ブラック)、Fe2O3(ブラウン)、TiO2(ホワイト)、CoO・Al2O3(ブルー)、NiO・Cr2O3(グリーン)などが含まれる。該無機顔料粉末は、本発明組成物中に10〜40%の範囲で配合されるのが適当である。10%以下では、焼成膜に隠ぺい力がなく、本来の目的である太陽光の遮蔽が不十分となる。40%を越えると必然的に低融点ガラスの割合が減少し、焼成時、膜形成が不十分となり、接着工程で接着プライマーがしみこむ不具合を生じる。
【0040】
また本発明に用いる無機フィラー粉末は、高温時、メルトしないものから選択される。例えば、熱線として銀ペーストがセラミックカラーの上に重ね印刷される場合、その加熱時に銀がマイグレーションして素地ガラスをアンバー色に着色するので、これを防止するために、例えばAl、Zn、Fe、Ni、Sn、Cuなどの金属粉末を無機フィラーとして添加するのがよい。また、セラミックカラーが高温で加熱された時の流動性を制御し、モールドへの付着を防止(離型性の向上)するために、アルミナ、シリカ、ジルコン、ケイ酸ジルコン、亜鉛華などの金属酸化物もまた上記無機フィラーとして添加することができる。さらに、セラミックカラーの熱膨張係数を調整するため、特に低膨張の粉末、例えばβ−ユークリプトタイト、β−スポジューメン、コージェライト、溶融シリカなどを上記無機フィラーとして添加することもできる。
【0041】
上記各無機フィラー粉末の粒径は、之等の本来の作用効果が、該粒子の表面積に依存することが多いため、細かい程よいが、細かすぎるとセラミックカラーの融着温度を急上昇させる不利があるので、一般には、約0.05〜5.0μm程度、好ましくは約0.1〜1.0μm程度の範囲から選択されるのが好ましい。
【0042】
上記無機フィラー粉末の添加量が10%を越えるとセラミックカラーの融着温度が上昇し、素地ガラスとの密着不良や、接着工程でのプライマーのしみこみなどの不具合を生じる。しかしながら無機質フィラー粉末の添加は、その目的が他の方法で克服できたり、低融点ガラスそのものの特性で解決できれば、特に必須とされる必要はない。例えば銀のマイグレーションはセラミックカラーの膜厚を厚くすることで解決できるし、離型性にしても低融点ガラスに結晶化するものを使用すれば炉外圧着曲げ工程で十分な離型性を有するものとすることができ、かかる場合には無機質フィラー粉末の添加は特に必要ではない。
【0043】
本発明セラミックカラー組成物は、上記低融点ガラス粉末、無機顔料粉末及び無機フィラー粉末を、パインオイル、α−ターピネオール、プチルカルビトールアセテートのような比較的高沸点の溶剤に熱分解性の良好な樹脂であるセルロース樹脂、アクリル樹脂、メアクリル樹脂等を溶解したオイル中に、混合、分散してペースト状物に調製することができる。また、本発明組成物は、その板ガラス上へのコーティング方法に応じて、それら方法に適した、例えばインキ形態、塗料形態等に調製することもできる。
【0044】
上記ペーストは、予備乾燥を加熱によって行うが、このオイルの代わりに光重合開始剤を含む紫外線硬化型のアクリレート又はメタアクリレートオリゴマーなどをオイル成分として使用して紫外線乾燥型としてもよい。ペーストの粘度は100〜600ポイス(25℃)がスクリーン印刷に対して最適である。
【0045】
かくして得られる各種形態の組成物における、上記無機混合粉末と樹脂溶剤溶液(ヴイヒクル)との配合割合は、得られる組成物の適用されるコーティング方法に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えばスクリーン印刷等に適したインキ形態の場合には、無機混合粉末60〜90重量%及びヴィヒクル10〜40重量%の範囲から選ばれるのがよく、その他の塗料形態の場合では、無機混合粉末30〜70重量%及びヴィヒクル30〜70重量%の混合比率から選ばれるのが適切である。上記インキ形態や塗料形態の調製は、一般的方法に従って実施することができ、例えば無機混合粉末をロールミル、サンドミル、ボールミル等を用いて樹脂の溶剤溶液中に分散させることにより実施できる。
【0046】
本発明セラミックカラー組成物のペーストは、あらかじめ所定の形状に切り出されたガラスの周辺部に塗布される。塗布法としては、スクリーン印刷法、スプレー塗装、ロールコーター法などがあるが、スクリーン印刷法が最も簡便で、部分塗布に適している。セラミックカラーを塗布した板ガラスは、いったん乾燥して必要であれば熱線となる銀ペースト印刷、さらに乾燥して加熱し、強化、曲げ成形工程に供せられる。
【0047】
従来、炉内で板ガラスをモールドとモールドの間に圧着して曲げ加工する成形工程や炉内で板ガラスをモールドに真空吸引して曲げ加工する成形工程が採用されている自動車ガラスとしては、サンルーフガラス、リアガラス、サイドガラス等を例示できる。之等ガラスにおける上記加工工程は、通常、常温より660℃程度までの予備加熱のトンネル炉と640〜720℃の曲げ成形工程のバッチ炉が連結されてなっている。セラミックカラーを予備加熱工程で板ガラスに焼付け、かつ結晶化させておくと、次の曲げ成形炉でモールドと接する時点でセラミックカラーは結晶化しているため流動性をなくしており(ガラス粘度の低下がなく)モールドに付着しないのである。
【0048】
本発明のセラミックカラー組成物は、上記二工程に比して、離型性に関して、それ程厳しくない条件が採用される炉外曲げ成形工程である吊り圧着(プレス)工程や、圧着曲げ(プレスベンド)工程においても、良好な離型性を示すことはいうまでもない。
【0049】
本発明セラミックカラー組成物の利用によれば、最終製品として鉛、ビスマスを含有せず、耐酸性の良好な遮蔽膜を有するガラス成型物を優れた量産性をもって提供することができ、該成型物は寸法安定性も著しく向上されている。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。
【0051】
実施例1〜6及び比較例1〜4
表1及び表2に示すような無鉛低融点ガラス組成となる量のバッチ原料混合物を1200〜1250℃で溶融した。溶融ガラスを水中で急冷し、ポップコーン状ガラスを得た。このガラスをボールミル中、水湿式、アルミナボールを用いて粉砕し、得られたスラリーより乾燥、ふるい工程を経て粉末ガラスを作成した。その平均粒径(D50)は、3.3μmであった。
【0052】
また、無機顔料として、黒色顔料(CuO・CrO3、アサヒ化成工業社製#3700)を使用した。
【0053】
表1及び表2に示す各無機フィラーは、市販のものを粒径0.1〜1.0μmに調整して使用した。
【0054】
次いで、各表に示したセラミックカラー組成物粉末100重量部に対して、パインオイル93重量%、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD−20)4重量%及びイソブチルメタアクリレート樹脂(商品名;エルバサイト#2045、デュポン社製)3重量%からなるオイルの30重量部を加えて、三本ロールで分散させて、セラミックカラーペーストを得た。粘度は270〜320ポイズ(25℃)の範囲にあった。
【0055】
試験例1
炉内、モールド−モールド圧着曲げ成形を想定した離型性の評価
表1及び表2に示した各実施例及び比較例の組成のセラミックカラーペーストを、37mm×50mmのガラス板全面に150メッシュテトロンスクリーンを用いて印刷、乾燥して試料片とした。
【0056】
セラミックウールを敷いた石英ガラス板上に、試料ガラス片とモールド代用治具を載せた。ここでモールド代用治具としては、試料ガラス片と同一の寸法の石英ガラスを用い、その周囲にステンレスクロスをたるみのないように巻きつけたものを使用した。石英ガラス板上の試料片とモールド代用治具をあらかじめ640〜700℃に設定した炉内で別々に3分間焼成し、一度取り出し、直ちに代用治具をセラミックカラーを塗布した面に押しつけて載せ、再度同温度で2分焼成した。炉から取り出した後、すぐにモールド代用治具をゆっくり試料ガラス片より持ち上げた。尚、この試験における焼成温度は、離型性に対してきびしい条件である680℃を選択した。
【0057】
治具を持ち上げた時の状況を離型性の指標として以下のランクで示す。
【0058】
A;試料ガラス片より全く抵抗なく治具がはずれる
B;わずかに抵抗がある
C;試料ガラス片が治具に付着するが、持ち上げるとはずれる
D;治具に付着するが、持ち上げ、振動を加えるとはずれる
E;治具に付着し持ち上げ、振動を加えてもはずれない
結果を、表1及び表2に併記する。
【0059】
試験例2
耐酸性の評価
実施例及び比較例で得た各セラミックカラーペーストを、37mm×50mmのガラス板に30mm×40mmの範囲で150メッシュテトロンスクリーンでパターン印刷し、680℃で4分焼成して試料片を調製した。耐酸性評価のための試料のセラミックカラー膜厚を一定にするため、東京精密社製のサーフコム300Bを用いて膜厚を測定して、20μm±1μmに制御したものを試験片として選んだ。
【0060】
密閉した容器中に0.1N硫酸水溶液を用意し、これに上記試験片を80℃で所定時間浸漬した。非セラミックカラー焼付け面より、セラミックカラーとガラスの界面を目視し、わずかな白化現像が出現するまでの時間をもってセラミックカラーの耐酸性とした。該耐酸性の評価は、以下の通りとした。
【0061】
◎;24時間以上白化しないもの
〇;10〜24時間の範囲で白化するもの
△; 5〜10時間の範囲で白化するもの
×; 5時間以内に白化するもの
結果を表1及び表2に併記する。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
各表より、本発明組成物は、耐酸性及び離型性に優れており、その利用によって、自動車用板ガラスとして好適な板ガラスを成形できることが明らかである。
Claims (4)
- 下記組成の亜鉛含有低融点ガラス粉末50〜90重量%、無機顔料粉末10〜40重量%及び無機フィラー粉末0〜10重量%を含有し、該亜鉛含有低融点ガラス粉末が、SiO 2 1に対して重量比でZnOを0.5〜1の範囲で含有するものであることを特徴とするセラミックカラー組成物。
SiO2 35〜50重量%
B2O3 6〜8重量%
ZnO 20〜40重量%
TiO2 1〜10重量%
Li2O 1〜10重量%
Na2O 1〜10重量%
K2O 0〜10重量%
ZrO2 0〜5重量%
V2O5 0〜5重量%
F 0〜5重量% - 亜鉛含有低融点ガラス粉末中のB2O3含有量が6〜8重量%であり且つTiO2含有量が2〜7重量%である請求項1に記載のセラミックカラー組成物。
- 請求項1に記載のセラミックカラー組成物のペーストを板ガラスに施工後、加熱して焼き付けることを特徴とする板ガラスの成形方法。
- 請求項1に記載のセラミックカラー組成物を焼き付けて成形された板ガラス。
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