WO1998027144A1

WO1998027144A1 - Film a base de polypropylene a orientation biaxiale

Info

Publication number: WO1998027144A1
Application number: PCT/JP1997/004641
Authority: WO
Inventors: Chikashi Okayama; Takanori Nakashima; Yasuhiro Shiraishi; Noriaki Saito; Yuya Ishimoto
Original assignee: Chisso Corporation
Priority date: 1996-12-17
Filing date: 1997-12-16
Publication date: 1998-06-25
Also published as: DE69732531D1; CN1096484C; US6326080B1; EP0947542A4; KR100364301B1; DE69732531T2; JP3579758B2; JPH10176068A; CN1246131A; EP0947542B1; EP0947542A1; AU5413298A; TW422769B; KR20000057594A

Description

明細書ポリプロピレン系ニ軸延伸フィルム技術分野本発明は、ポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムに関し、詳しくは縦方向にまっすぐな引き裂け性を有するポリプロピレン系ニ軸延伸フィルムに関する。背景技術ポリプロピレン系樹脂材料により形成される延伸フィルムは、各種の包装用フイルムとして用いられている。例えばポリプロピレン系一軸延伸フィルムは、フイルム製造時のフィルムの流れ方向、すなわち機械方向である縦方向（M D方向）において引き裂け易い性質を有し、その方向においては直線的なカツト性（ストレートカツト性）に優れているために、主に食品の包装分野において広く利用されている。

し力、し、ポリプロピレン系樹脂材料からなる一軸延伸フィルムは、 M D方向のストレートカット性に優れる反面、 MD方向に直行する横方向（T D方向）の強度が弱く、重量のある内容物の場合にはフィルムが破袋する恐れがある。

T D方向の強度を改良した重袋包装用のストレートカツト性を有するフィルムとしては、ポリプロピレンにポリブテンを配合したものを用いる方法（特開平 7 — 1 5 6 2 6 4 ) がある。しかし、この方法においては、 T D方向の強度は向上するものの、 M D方向のストレ一トカツト性は十分満足できるレベルではなく、また、高価なポリブテンを多量に使用することからコスト面での問題が残される。発明の開示本発明は、 M D方向のストレートカツト性及び T D方向の強度に優れ、且つ経済的に有利なポリプロピレン系二軸延伸フィルムを提供することを課題とする。本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、結晶性ポリプ口ピレン中にプロピレンと他のひ一才レフィンとの共重合体が粒子として分散しているポリプロピレン系樹脂の二軸延伸フィルムにおいて、その T D方向における前記共重合体の平均分散粒子径が 0 . 1 以下になるようにフィルム形態を制御した場合、ポリプロピレン系樹脂の二軸延伸フィルムは MD方向におけるストレートカツト性に優れることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、結晶性ポリプロピレン 4 0〜8 8重量％と、プロピレン —α—才レフィン共重合体 6 0〜 1 2重量％とからなり、前記共重合体が前記結晶性ポリプロピレン中に粒子として分散しているポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムにおいて、前記共重合体粒子の T D方向における平均分散粒子径が 0 . 1 m以下であることを特徴とするポリプロピレン系ニ軸延伸フィルムを提供する。

また、本発明は、結晶性ポリプロピレン 4 0〜8 8重量％と、プロピレン— α 一才レフィン共重合体 6 0〜 1 2重量％とからなるポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フイルムにおいて、前記フィルムの MD方向及び T D方向の複屈折率の比（MD方向の複屈折率 Z T D方向の複屈折率）と、 MD方向及び T D方向の延伸倍率の比（MD方向の延伸倍率 Z T D 方向の延伸倍率）が、下記数式（ I ) を満たすことを特徴とするポリプロピレン系二軸延伸フィルムを提供する。

Υ≥Χ - 0 . 1 · · · ( I )

(上記数式中、 Xは延伸倍率の比を表し、 Υは複屈折率の比を表す。）また、本発明は、結晶性ポリプロピレン 4 0〜8 8重量％と、プロピレン—α 一才レフィン共重合体 6 0〜 1 2重量％とからなるポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムにおいて、前記フィルムの MD方向及び T D方向の複屈折率の比（MD方向の複屈折率 Z T D方向の複屈折率）が 0 . 6以上であることを特徴とするポリプロピレン系二軸延伸フィルムを提供する。また、本発明は、結晶性ポリプロピレン 4 0〜8 8重量％と、プロピレン— α —ォレフィン共重合体 6 0〜 1 2重量％とからなり、結晶性ポリプロピレン及びプロピレン— α—才レフィン共重合体の M F Rの比（結晶性ポリプロピレンの Μ F R Zプロピレン—α—ォレフィン共重合体の M F R ) が 1 0以下であるポリプ口ピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成され、 M D方向及び T D 方向の延伸倍率の比（M D方向の延伸倍率 Z T D方向の延伸倍率）が 0 . 3〜 1 . 6となるように二軸延伸されたポリプロピレン系二軸延伸フィルムを提供する。本発明の二軸延伸フィルムは、共重合体粒子が結晶性ポリプロピレンのマトリックス中に微細に分散したものであり、このような分散形態を有するポリオレフィン系樹脂材料からなる延伸フィルムは本発明においてはじめて見い出されたものである。また、本発明の二軸延伸フィルムは、 M D方向及び T D方向の複屈折率の比が一定条件を満たすものである。

本発明においては、このような特性を備えることにより、 M D方向のストレートカツト性に優れ、同時に T D方向の強度にも優れ、且つ透明性が高く経済性も良好な延伸フィルムが得られることを見出したものである。かかる特性を有する延伸フィルムであればその製法は特に限定されるものではないが、結晶性ポリプロピレン及びプロピレン— 一才レフィン共重合体の M F Rの比が 1 0以下であるポリプロピレン系樹脂材料からなり一定条件で延伸されたポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、上記特性を備えることができる。

本発明の二軸延伸フィルムは包装用フィルムとして有用であり、特に重袋包装用フィルムとして好適である。以下に本発明の実施の形態を説明する。

( 1 ) 本発明のポリプロピレン系樹脂材料

本発明の二軸延伸フィルムを形成するフィルム成形材料は、結晶性ポリプロピレンと、プロピレン一ひ一才レフイン共重合体とからなり、前記共重合体が前記結晶性ポリプロピレン中に粒子として（前記結晶性ポリプロピレンのマトリックス中に前記共重合体がドメインとして）分散しているポリプロピレン系樹脂材料を含む。 α)結晶性ポリプロピレン

本発明に用いる結晶性ポリプロピレンは、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の 9 0重量％以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、またプロピレン重合単位 9 0重量％以上と α—ォレフィン 1 0重量％未満とのランダム共重合体であってもよい。共重合体の場合、 α—ォレフィンとしては、エチレン、 1ーブテン、 1 _ペンテン、 1—へキセン、 1ーォクテン、 1 —デセン、 1—ドデセン、 4 一メチル— 1 —ペンテン、 3—メチル一 1 一ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体又はプロピレン重合単位の含量が 9 0重量％以上のプロピレン-エチレン共重合体を用いるのが、製造コス卜の点から好ましい。

また、結晶性ポリプロピレンのメルトフローレ— ト（以下、「M F R」と略す）は製膜の安定性から 0 . 1 ~ 5 0 g / 1 0分の範囲のものが好ましい。

(ii)プロピレン—α—才レフィン共重合体

本発明のプロピレン—ひ—ォレフィン共重合体は、プロピレンとプロピレン以外の α—才レフィンとのランダム共重合体である。プロピレン重合単位の含量は、共重合体全体に対し重量基準で 2 0〜 8 0重量％の範囲にあることが好ましく、より好ましくは 2 0〜 7 5重量％、更に好ましくは 2 0 - 7 0重量％である。プロピレン重合単位の含量が 8 0 %を超えると、結晶性ポリプロピレンのマトリックス中に目的とする前記共重合体の粒子（以下、「共重合体ドメイン」ともいう）の分散形態が得られず、本発明の目的とする M D方向のストレ一卜カツ卜性向上及び T D方向の強度向上等の効果が発揮されない場合がある。一方、 2 0重量％未満では、透明性が劣り好ましくない。

プロピレン以外の α—ォレフィンとしては、エチレン、 1—ブテン、 1 一ペンテン、 1—へキセン、 1—ォクテン、 1—デセン、 1—ドデセン、 4ーメチル— 1 一ペンテン、 3—メチル一 1 一ペンテン等が挙げられる。このうちォレフィンとしてエチレンを用いたプロピレン一エチレン共重合体が、製造コス卜の点から好ましく用いられる。本発明のプロピレン— α—才レフィン共重合体の M F Rは特に限定されないが、 0 . 1〜 2 0 g Z l 0分の範囲のものが好ましい。

より好ましくは、結晶性ポリプロピレンとの M F Rの比（結晶性ポリプロピレンの M F R Zプロピレン一ひ一才レフィン共重合体の M F R ：以下、単に「M F R比」という）が 1 0以下、さらに好ましくは 0 . 1〜5の範囲となるようにプロピレン— α—ォレフィン共重合体の M F Rを選択するのが好ましい。

(iii)ポリプロピレン系樹脂材料

本発明のポリプロピレン系樹脂材料中の結晶性ポリプロピレンの含量は、該ポリプロピレン系樹脂材料全量に対し 4 0〜8 8重量％、好ましくは 5 0〜8 5重量％であり、プロピレン一ーォレフィン共重合体の含量は 6 0〜 1 2重量％、好ましくは 5 0〜 1 5重量％である。前記共重合体の割合が 1 2重量％未満では縦方向の良好なストレートカツト性が得られず、 6 0 %を超えるとフィルムの剛性の低下が著しく、実用上好ましくない。

ポリプロピレン系樹脂材料の製造方法は特に限定されず、 t、かなる方法によつて得ることもできる。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリプロピレンとプロピレン— α—才レフィン共重合体とを溶融混練等によつて混合することにより取得してもよい。また、結晶性ポリプロピレンとプロピレン—α—ォレフィン共重合体とを多段重合により連続的に製造することによつて取得してもよい具体的には、チタン担持触媒等のチ一グラ一ナッタ触媒を用いて重合したプロピレン一 α—ォレフィン共重合体や市販のエチレン一プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレンとを溶融混合する方法が例示できる。また、結晶性ポリプロピレンとプロピレン一 α—ォレフィン共重合体とを多段重合により連続的に重合する方法としては、複数の重合器を使用し、例えば 1段目で結晶性ポリプロピレンを製造し、 2段目でプロピレン一 α—才レフィン共重合体を製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリプロピレン中にプロピレン—《—ォレフィン共重合体が均一に分散したポリプロピレン系樹脂材料が得られ、且つ品質（ストレートカット性）の安定化が図れる点で好ましい。本発明のポリプロピレン系樹脂材料として特に好ましいものは、上記連続重合法により製造し、結晶性ポリプロピレン及びプロピレン— α—才レフィン共重合体の MFR比（結晶性ポリプロピレンの MFRZプロピレン—ひーォレフィン共重合体の MF R) を 1 0以下、さらに好ましくは 0. 1 ~ 5の範囲となるように調整したものである。 MFR比をこの範囲とすることにより、結晶性ポリプロピレン中にプロピレン— α—ォレフィン共重合体が均一に且つ微細に分散し、ストレートカツト性及び強度がさらに向上したポリプロピレン系延伸フィルムを与える成形材料が得られる。

このような MF R比を有するポリプロピレン系樹脂材料は、具体的には特開平 6 - 2 3 9 9 1 8号公報、特開平 8— 2 7 2 3 8号公報等に記載されている方法により製造することができる。

尚、前記 MFR比は、通常は結晶性ポリプロピレンの MFR及びプロピレン— α—才レフィン共重合体の MFRを各々測定することにより求められるが、ポリプロピレン系樹脂材料を多段重合により連続的に製造した場合（はじめに結晶性ポリプロピレンを重合し、次いでプロピレン一 —ォレフィン共重合体を重合する場合）は、プロピレン一ひ一才レフイン共重合体の MFRを直接測定できないため、直接測定可能な結晶性ポリプロピレンの MFR、得られるポリプロピレン系樹脂材料の MF R及び該ポリプロピレン系樹脂材料中のプロピレン一 α—ォレフィン共重合体の含有量から、下記式により求めることができる。

プロピレン一なーォレフィン共重合体の MFR

MFR_WL ポリプロピレン系樹脂材料の M F R

MFRP, 結晶性ポリプロピレンの M F R

WRC ポリプロピレン系樹脂材料中の

プロピレン一 α—ォレフィン共重合体の含有量 ( 2 ) 本発明のフィルム成形材料

本発明のフィルム成形材料は、上記ポリプロピレン系樹脂材料を主体とするが、さらに通常のポリオレフイン系フィルム材料に使用される酸化防止剤、中和剤、耐候剤、無機充填剤、滑剤、ブロッキング防止剂、帯電防止剤等の添加剤が配合されていてもよい。

酸化防止剤としては、テトラキス [メチレン— 3— ( 3 ' ， 5 ' —ジ— tーブチル一 4 ' ーヒドロキシフエニル）プロピオネート] メタン、 2 , 6—ジ一 t 一ブチルー 4—メチルフエノール、 n—ォクタデシル—3— ( 3 * , 5，一ジー t —ブチルー 4 ' —ヒドロキシフヱニル）プロピオネート、トリス（3， 5—ジー t—ブチル一 4ーヒドロキシベンジル）ィソシァヌレート等のフエノール系酸化防止剤、又はトリス（2 , 4 —ジ— t—プチルフヱニル）フォスファイト、トリス（ノニルフエニル）フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス（2 , 4—ジー t 一ブチルフエニル）一 4 , 4 ' ービフヱニレン—ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。

また、中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類やハイドロタルサイト等が例示でき、無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭酸カルシゥム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼォライ卜、ゲイ酸アルミニウム、ゲイ酸マグネシウム等が例示でき、滑剤としてはステアリン酸ァマイド等の高級脂肪酸ァマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸ェステル類が例示できる。

これらの添加剤の配合量は、フィルムの使用目的等により適宜選択することができるが、通常フィルム成形材料全量に対し 0 . 0 0 1〜5 %程度とするのが好ましい。

ポリプロピレン系樹脂材料と上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー（商品名）等の高速攪拌機付混合機及びリボンプレンダ一並びにタンブラ一ミキサー等の通常の配合装置により配合する方法（ドライブレンド）が例示でき、更に通常の単軸押出機又は二軸押出機等を用いてペレツ卜化する方法が例示できる。 (3) 二軸延伸

本発明の二軸延伸フィルムは、上記したフィルム成形材料を二軸延伸することにより得られる。延伸方法としては、公知の Tダイキャスト法等により未延伸シ —トを成形した後、公知の二軸延伸法により製造することができる。ストレートカツト性の点から逐次二軸延伸が好ましく、具体的には、テン夕一方式により先ず MD方向に延伸し、次いで TD方向に延伸する逐次二軸延伸法が例示できる。本発明の二軸延伸フィルムの MD方向の延伸倍率（縦延伸倍率）は 3〜10倍、好ましくは 5〜8倍であり、一方 TD方向の延伸倍率（横延伸倍率）は 5〜14 倍、好ましくは 6〜10倍の範囲が例示できる。また、 MD方向の延伸倍率と T D方向の延伸倍率との比（MD方向の延伸倍率/ TD方向の延伸倍率）は 3〜； L. 6が好ましく、より好ましくは 0. 5〜1. 2である。延伸倍率の比がこの範囲内であれば、 MD方向のポリマー分子を配向させつつ平均分散粒子径を微細にすることができ、 MD方向のストレ一トカツト性が良好で且つ TD方向の強度にも優れたフイルムを得ることができる。

(4) ポリプロピレン系ニ軸延伸フィルム

本発明のポリプロピレン系二軸延伸フィルムにおいては、結晶性ポリプロピレン中に粒子として分散しているプロピレン— α—才レフィン共重合体ドメィンの TD方向における平均分散粒子径が 0. 1 m以下である。平均分散粒子径が 0. 1〃mより大きいと、 MD方向のストレートカツト性に劣り、透明性も低下する。一方、平均分散粒子径の下限については特に確認できる範囲であればいかなる小粒子であってもよいが、好ましくは 0. 005 ^m、より好ましくは 0. 0 1 mである。

本発明においては、このような微細な平均分散粒子径を有する共重合体ドメインを含むフィルムが MD方向のストレートカツト性に優れ、且つ TD方向の強度にも優れることをはじめて見出したものである。よって、このような平均分散粒子径の条件を満たすものであれば如何なる方法で得られたフィルムであってもよいが、具体的には、上記した連続重合法で製造したポリプロピレン系樹脂材料を延伸することにより達成できる。特に好ましくは、連続重合法で製造した結晶性ポリプロピレン及びプロピレン — α—ォレフィン共重合体の MFR比が 1 0以下であるポリプロピレン系樹脂材料を用い、 MD方向の延伸倍率と TD方向の延伸倍率との比が 0. 3〜1. 6となるように二軸延伸することにより達成できる。

本発明のポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、別の観点からすれば、前記フィルムの MD方向及び T D方向の複屈折率の比（MD方向の複屈折率 ZT D方向の複屈折率）と、 MD方向及び TD方向の延伸倍率の比（MD方向の延伸倍率 Ζ TD方向の延伸倍率）が、下記数式（ I ) を満たし、好ましくは下記数式（ I I ) を満たす。

Υ≥Χ- 0. 1 · · · ( I )

Χ+ 0. 6≥Υ≥Χ- 0. 1 · · · ( I I )

(上記数式中、 Xは延伸倍率の比を表し、 Yは複屈折率の比を表す。）すなわち、本発明の二軸延伸フィルムは、 MD方向及び TD方向の延伸倍率の比に比べて、ポリマ一分子がより MD方向に強く配向している。上記数式（ I ) を満たすようなポリマ一分子配向を示すフィルムは、 MD方向のストレ一トカツト性に優れ、且つ TD方向の強度に優れ、透明性も良好である。

また、 MD方向と TD方向の複屈折率の比（MDZTD) が 0. 6以上、より好ましくは 0. 7以上であると、 MD方向のストレートカツト性がより良好となる。この複屈折率の比の上限は特に限定されないが、横方向（TD方向）の強度の点から 1 0以下程度が好ましい。

該ポリプロピレン系二軸延伸フィルムの厚みは特に限定されるものではな t、が、フィルムの成形性の点で 1 0〜 1 00〃 mが好ましく、更に好ましくは 1 5〜 7 0； amである。

本発明のポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、 MD方向のストレートカツト性に優れ、且つ TD方向の強度にも優れることから、重袋用材料、サンドイッチやおにぎりなどの食品包装材料等として好ましく用いることができる。

また、本発明のポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、その片面又は両面に他の樹脂からなるフィルムを重ねて 2層以上の構造を有する多層フィルムとして利用することができる。このとき用いる他の樹脂としては特に限定されず、目的に応じて各種の樹脂が使用できる。例えば、本発明の二軸延伸フィルム上に低融点のプロピレン一 α—才レフィン共重合体等の熱接着性の樹脂からなる層を設けることにより、各種包装用材料として使用できる。このような多層フィルムの製造法としては、フィルムの製造段階でのインラインラミネート法、共押出法等や、フィルム製造後に積層を行うドライラミネ一ト法等が適用できる。発明を実施するための最良の形態以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例 1〜 6及び比較例 1〜 3

( 1 ) フィルム成形材料の製造

表 1に示すポリプロピレン系樹脂材料に、フエノ一ル系酸化防止剤としてテトラキス [メチレン一 3— ( 3 ' , 5 ' ージ一 t —ブチルー 4 ' ーヒドロキシフエニル）プロピオネート] メタンをフィルム成形材料全量に対し 0 . 1重量％、リン系酸化防止剤としてトリス（2， 4—ジ一 t—プチルフヱニル）フォスフアイトを 0. 1重量％、中和剤としてステアリン酸カルシウムを 0. 1重量％配合し、へンシェルミキサー（商品名）で混合後、単軸押出機（口径 4 0 m m) を用いて溶融混練してペレツト化し、フィルム成形材料を得た。

尚、ここで用いたポリプロピレン系樹脂材料は、連続重合法により 1段目で結晶性ポリプロピレン（プロピレン単独重合体）を重合し、 2段目でプロピレン— α—ォレフィン共重合体（プロピレン一エチレン共重合体）を重合することによつて得たものである。

( 2 ) 二軸延伸フィルムの製造

得られたペレツト状のフィルム成形材料を、 Τダイを装備した押出機を用いて 2 6 0 °Cで溶融押出し、 3 0 の冷却ロールで冷却固化して未延伸シートとした。このシートを予熱ロールにて予熱し、ロール間で縦方向（MD方向）に延伸し、一軸延伸フィルムとした。次いで、加熱された横延伸機内で横方向（TD方向）に延伸し、厚さ 3 0 の二軸延伸フィルムを得た。このときの縦延伸温度、延伸倍率及び横延伸温度、延伸倍率を表 1に示した。

(3) 評価

得られた二軸延伸フィルムの各種物性値等、すなわちフィルム中の共重合体ドメインの TD方向における平均分散径、複屈折率の比、透明性（ヘイズ）、強度 (ヤング率）及びストレートカット性を表 1に示した。尚、これらの物性値等の評価方法を以下に示す。

(a)ストレ一トカツト性の評価

フィルムの縦方向（MD方向）に平行に幅 1 Ommとなるように長さ 1 0 mm のノツチを入れ、ノツチ間を掴みフィルム面に垂直方向に引張り 2 0 c m切ったときのフィルム幅（W) を測定した。評価は、下記の基準で実施した。

W≥ 9 mmの場合： 5点

9 mm〉W≥ 6 mmの場合： 4点

6 mm〉W≥ 3 mmの場合： 3点

3 mm>W≥ 0. 1 mmの場合： 2点

2 0 c mに到達前で破断した場合： 1点

(b)共重合体ドメインの平均分散粒子径

二軸延伸フィルムを MD方向に垂直な面で切断し、ルテニウム化合物（RuO にて 4 8時間蒸気染色後、ウルトラミクロトームを用いダイヤモンドナイフにて、厚さ約 1 0 O nmの厚みに切削し、超薄切片を作成した。得られた超薄切片について、透過型電子顕微鏡（商品名： J E OL EM 1 0 0 CX) を用いて 1万倍の倍率で観察を行い、電子顕微鏡写真を統計処理することで共重合体ドメインの平均分散粒子径を求めた。

(c)複屈折率の比

フィルムマウント液としてべンジルアルコールを使用してァッべ屈折計によりフィルムの MD方向の屈折率（n X )、 TD方向の屈折率（n y ) 、及び厚み方向の屈折率（_{n z}) を測定し、次の数式により MD方向の複屈折率と TD方向の複屈折率を求め、 MD方向の複屈折率と TD方向の複屈折率との比（MDZTD) を求めた。

MD方向の複屈折率 = n X - n z

T D方向の複屈折率 = n y - n z

(d)ヘイズ

ASTM— D— 1003に準じ、二軸延伸フィルムのヘイズ（単位：％) を測定して透明性の基準とした。値が小さいほど透明性が良好である。

(e)ヤング率

AS TM-D- 523に準じ、二軸延伸フィルムの MD方向のヤング率を測定し、剛性の基準とした。値が大きいほど高い剛性を備えたフィルムであることを示す。

表 1

*1) 結晶性ポリプロピレン：プロピレン単独重合体

*2) 共重合体：プロピレン—エチレン共重合体

*3) MFRの比 =結晶性 PPの MFR/共重合体の MFR

表 1からわかるように、実施例 1〜 6は M D方向のストレートカツト性が良好であり、同時に剛性（ヤング率）や透明性（ヘイズ）に優れている。これに対し、比較例 1ではポリプロピレン系樹脂材料中のプロピレン一 α—ォレフィン共重合体の割合が少なく、複屈折率の比が低く、良好なストレートカツト性が得られない。また、比較例 2ではプロピレン一一才レフイン共重合体の平均分散粒子径が大きすぎ、ストレ一卜カツト性及び透明性に劣るフィルムしか得られない。比較例 3では結晶性ポリプロピレンのみからなるポリプロピレン系樹脂材料を用いており、複屈折率の比が低く、良好なストレートカット性が得られない。

以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する産業上の利用性本発明の二軸延伸フィルムは、 MD方向のストレートカット性、 T D方向の強度及び透明性に優れ、且つ経済性においても優れている。

Claims

請求の範囲

1. 結晶性ポリプロピレン 4 0〜88重量％と、プロピレン—ひ一才レフィン共重合体 60〜1 2重量％とからなり、前記共重合体が前記結晶性ポリプロピレン中に粒子として分散しているポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムにおいて、前記共重合体粒子の TD方向における平均分散粒子径が 0. 1 am以下であることを特徴とする、ポリプロピレン系二軸延伸フィルム。

2. 結晶性ポリプロピレン 40〜88重量％と、プロピレン一 α—ォレフィン共重合体 6 0〜 1 2重量％とからなるポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムにおいて、前記フィルムの MD方向及び TD方向の複屈折率の比（MD方向の複屈折率 ZTD方向の複屈折率）と、 MD方向及び TD方向の延伸倍率の比（MD方向の延伸倍率 ZTD方向の延伸倍率）が、下記数式（ I ) を満たすことを特徴とするポリプロピレン系二軸延伸フィルム。

Υ≥Χ- 0. 1 · · · ( I )

(上記数式中、 Xは延伸倍率の比を表し、 Υは複屈折率の比を表す。）

3. 結晶性ポリプロピレン 40〜88重量％と、プロピレン— α—才レフィン共重合体 60〜 1 2重量％とからなるポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成される二軸延伸フィルムにおいて、前記フィルムの MD方向及び TD方向の複屈折率の比（MD方向の複屈折率 ZTD方向の複屈折率）が 0. 6以上であることを特徴とするポリプロピレン系ニ軸延伸フィルム。

4. 前記ポリプロピレン系樹脂材料において、結晶性ポリプロピレン及びプロピレン一 α—ォレフィン共重合体の MFRの比（結晶性ポリプロピレンの MF RZプロピレン一 α—才レフィン共重合体の MFR) が 1 0以下である、請求項 1〜 3のいずれかに記載のポリプロピレン系二軸延伸フィルム。

5. 結晶性ポリプロピレン 40〜88重量％と、プロピレン一ひーォレフィン共重合体 6 0〜1 2重量％とからなり、結晶性ポリプロピレン及びプロピレン一 α—才レフィン共重合体の M F Rの比（結晶性ポリプロピレンの M F RZプロピレン—ひ—ォレフィン共重合体の M FR) が 10以下であるポリプロピレン系樹脂材料を含むフィルム成形材料により形成され、 MD方向及び TD方向の延伸倍率の比（MD方向の延伸倍率 ZTD方向の延伸倍率）が 0. 3〜1. 6となるように二軸延伸されたポリプロピレン系ニ軸延伸フィルム。

6. 前記プロピレン— α—ォレフィン共重合体が、重量基準で 20〜80重量％のプロピレン重合単位を含有する、請求項 1〜 5のいずれかに記載のポリプ口ピレン系二軸延伸フィルム。