明 細 書 結晶性ォレフィン系榭脂組成物
技術分野
本発明は、 力学的性質、 耐傷付き性、 耐熱性、 成形性等に優れたォレフィン系 樹脂組成物に関するものである。 さらに詳しくは、 本発明は高弾性率、 耐熱性、 高表面硬度を有する、 結晶性ォレフィン系榭脂と環状ォレフィンのビ二レン重合 による重合体との組成物に関するものである。
背景技術
従来、 ポリエチレンやポリプロピレン等の結晶性ォレフィン系樹脂組成物は、 コストー性能バランスの良さから広く用いられている。 そしてさまざまな用途の 要求性能を満たすために、 フイラ一やエラス卜マーをブレンドしたり、 ェンジ二 ァリングプラスチック等とのポリマーァロイ化等の手法によって高性能化が図ら れている。 近年、 特に自動車部材などでは、 燃費向上を目的とした樹脂部材の軽 量化に伴う肉薄化のために、 材料自身の高剛性化等が強く求められている。 また、 ォレフィン系樹脂の欠点である耐傷付き性の改良も要求されている。
しかしながら、 このような従来の手法においては、 以下に示すような問題点が あつ 7 0
すなわち、 フイラーをォレフイン系榭脂にブレンドする場合、 少量であればォ レフィン系樹脂の持つ成形性、 低比重などの特性を保持したまま剛性は向上する ものの、 その剛性の向上には限界がある。 またより剛性を高めようとフィラーを 大量にブレン ドすると、 組成物としての流れ性、 成形性の低下等をもたらし、 ォ レフィン系樹脂の特性を損なうばかりではなく、 比重の増大により軽量化という 目的にも沿わなくなってしまう。 このようなことから、 ベースとなるォレフィン 系樹脂自身の剛性を向上させる必要性がでている。
また、 各種エンジニアリングプラスチックとォレフィン系榭脂とのァロイ化に おいても、 高剛性化のためには高価なエンジニアリングプラスチックを大量に添 加する必要があること、 また多くの場合、 相溶化剤を必要とすることなどから、 ォレフィ ン系榭脂の持つ低コストという特徴を阻害してしまう。 また、 ェンジ二 ァリングプラスチックや相溶化剤の中に含まれる極性基のために、 組成物が着色
してしまい、 ォレフィン系榭脂の持つ特徴である色相の良さを阻害する場合があ る。 またォレフィ ン系榭脂がマトリックスである限り、 耐傷付き性の欠点は依然 そのまま残っている。
ォレフィン系樹脂に、 石油樹脂あるいは水素添加石油樹脂等の脂環族系のオリ ゴマーを添加することで高弾性率化、 高透明性等を図る報告は数多くされている
(特公昭 4 1— 7 9 5 8号公報、 同 4 9一 3 0 2 6 3号公報、 特開昭 4 7— 2 2
4 4 9号公報、 同 5 0— 1 1 6 5 3 6号公報、 同 5 5— 8 6 8 3 0号公報、 同 6
3— 3 5 6 4 2号公報等) 。 しかしながらこれらの組成物においては、 室温付近 の弾性率は向上するものの、 添加する脂環族系のオリゴマーのガラス転移点が、
5 0〜1 0 0 °C程度であり、 その温度を越えると急激に剛性が低下してしまい、 ォレフィン系樹脂の持つ耐熱性を大きく損なっている (比較例 4〜6参照) 。 また、 ォレフィ ン系樹脂に、 環状ォレフィ ンとひ一才レフィ ンとの共重合体を プレンドすることで、 弾性率等の機械的性質を改良するという報告は数多くある (特開平 1一 3 1 8 0 5 2号公報、 同 3— 2 1 0 3 4 8号公報、 同 4一 3 5 3 5
4 0号公報、 同 5— 5 1 4 1 3号公報、 同 5— 2 6 2 8 9 8号公報、 同 6— 4 1 3 6 1号公報、 同 6— 3 1 6 6 6 0号公報等) 。 しかしながらこれらの方法では 弾性率の向上割合が低く、 また、 表面硬度の向上は認められなかった (比較例 3 参照) 。
またォレフィン系樹脂に、 環状ォレフィ ンの開環重合体またはその水素添加物 をブレンドすることで弾性率等の機械的性質を改良するという報告も数多くある (特開昭 5 5— 1 4 2 0 3 6号公報、 特開平 1一 1 6 8 7 5 1号公報、 同 4— 2 7 2 9 3 7号公報、 同 4— 3 5 3 5 4 0号公報、 同 4一 3 7 2 6 3 5号公報、 同 5 - 2 6 2 8 9 8号公報、 同 6— 3 1 6 6 6 0号公報等) 。 しかしながら、 環状 ォレフィンの開環重合体では、 その主鎖中に二重結合が生成するため耐熱性、 耐 候性が非常に悪くなり好ましくない。 そのため二重結合を水素添加して飽和させ る必要がある。 しかしながら、 水素添加操作をすることは、 製造工程において、 —工程が増えてしまうこと、 水素添加操作が煩雑なこと、 また、 安全性の面から 非常に高価な装置を必要とすることなどから、 非常にコス卜がかかり好ましくな い。
また、 特開平 4— 2 7 2 9 3 7 ' 報には、 結晶性ポリマーと低分子 のガラ
ス転移点が 1 0 0 以上の環状ォレフィンの開環重合体の水素添加物からなる、 複合ポリマーシートの耐熱性、 透明性、 機械特性の改良が開示されている。 しか し一般に、 低分子量の開環重合体の水素添加物ではそのガラス転移点があまり高 くならず、 そのガラス転移点が、 結晶性ォレフイ ン系樹脂の融点以下であると、 元々の結晶性ォレフィン系樹脂の高温耐熱性を損ない好ましくない。 該公報の実 施例に開示されている環状ォレフィンの開環重合体の水素添加物は、 分子量 8 0 0 0でガラス転移点が 1 3 5 °Cである。 このガラス転移点では、 結晶性ォレフィ ン系樹脂の融点以下であり、 本発明の効果の一つである高温弾性率を発現するこ とはできない。 またガラス転移点を上げるために分子量を上げようとすると、 本 発明の効果を示す分子量範囲を逸脱してしまい、 本発明の効果は得られない。 また、 特開平 5— 7 0 6 5 5号公報には、 ノルボルネン系重合体に熱可塑性樹 脂を混合した組成物について力学的性質、 耐熱性、 透明性、 熱成形性の改良が開 示されているが、 ここで開示されているノルボルネン系重合体は高分子量体であ り、 本発明における環状ォレフィ ン系重合体とはその分子量範囲が異なる。 当然 発明の効果も異なり、 例えば、 弾性率の向上率は、 高分子量体のノルボルネン系 重合体では、 本発明の効果ほどは得られなかった (実施例 1〜4、 比較例 2参照) 発明の開示
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、 特定の樹脂組成物を用 いることによって、 上記課題を解決することができるとの知見を得て、 本発明を 完成するに至った。
すなわち本発明は、 下記の成分 (A ) 9 9 ~ 4 0重量%及び成分 (B ) 1〜6 0重量%からなることを特徴とする結晶性ォレフィン系樹脂組成物を提供するも のである。
(A ) 結晶性ォレフィン系樹脂
( B ) 重量平均分子量 1 , 0 0 0〜 1 0. 0 0 0未満かつガラス転移点 1 4 0 °C 〜4 0 0 °Cである環状ォレフィンのビ二レン重合による重合体。
本発明の結晶性ォレフィン系樹脂組成物において、 特定構造、 特定分子量の環 状ォレフィン重合体を結晶性ォレフィン系樹脂に添加することによって、 従来の 高分子量の環状ォレフィン重合体ブレンド ·ァロイの知見からは得られない、 高
い室温弾性率、 耐傷付き性、 耐熱性を示すという事実は、 非常に驚くべきことで あった。
このような効果の発現する理由は、 定かではないが、 以下のような理由による ものと考えている。 結晶性ォレフィン系榭脂に本発明で規定されている環状ォレ フィ ン重合体を添加した際、 該琛状ォレフィ ン重合体が特定構造、 特定分子量で あるため、 結晶性ォレフイ ン系樹脂中の非晶部と分子相溶的に相溶する。 そのた め、 元来は柔らかいゴム状で、 耐熱性の劣る非晶部を、 硬く し、 また耐熱性を向 上し、 従来の知見からは得られない高い室温弾性率、 耐傷性、 耐熱性等の本発明 の効果が得られるものと考える。
また、 本発明で得られる効果は、 前述のフイラ一ブレンドおよびエンジニアプ ラスチックとのァロイ等とは、 発現機構が異なると考えられるため、 フィラーブ レンド、 エンジニアリ ングプラスチックとのァロイ等の技術と併用しても、 該従 来技術の効果を阻害することなく、 より高性能化が図れると考えられる。
図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 3と比較例 1の貯蔵弾性率 (Ε ' : Storage Modulus) および損 失弾性率 (Ε ' ' : Loss Modulus) の温度依存性の比較を示す図である。
図 2は、 比較例 1と比較例 2の咛蔵弾性率および損失弾性率の温度依存性の比 較を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
〔1〕 結晶性ォレフィ ン系樹脂組成物
( 1 ) 構成成分
本発明の結晶性ォレフィ ン系榭脂組成物は、 下記に示す構成成分から基本的に 形成されるものである。
成分 (A ) :結晶性ォレフィ ン系樹脂
本発明で使用する結晶性ォレフイン系樹脂としては、 エチレン、 プロピレン、 1ーブテン、 3—メチル一 1ーブテン、 4—メチルー 1一ペンテン、 1—へキセ ン、 及び 1一ベンテン等で代表される α—才レフィ ンの単独重合体、 或は α—才 レフイン同志の共重合体、 または、 上記な一才レフイン類とビニルエステル、 ァ クリル酸またはその誘導体、 有機ゲイ素化合物等との共重合体、 或は該ォレフィ ン系樹脂への各種不飽和単量体のグラフト重合体を挙げることができる。
これら重合体の、 密度法から計算した結晶化度は 20〜100%、 好ましくは 30〜90%、 特に好ましくは 40〜85%のものである。 また J I K-K72 03に準拠して測定した曲げ弾性率が、 1.000〜30.000 k g/cm2, 好ましくは2, 000〜20, 0001< ノ01112、 特に好ましくは 3, 000〜1 7, 000 k g/ cm2のものが好適である。 また、 該重合体のメルトフロレ一ト (MFR) については特に制限されないが、 ASTM— D 1238に準拠して 2 30°C、 2.16 kgで測定した値が通常 0.001~200 gZ10分、 好ましく は 0.01〜100 g/l 0分の範囲内であるのが最適である。
前記結晶性ォレフイン系樹脂としては、 例えば、 いわゆる低圧法ポリエチレン、 中圧法ポリェチレン、 高圧法ポリェチレン、 線状低密度ポリェチレン等のェチレ ン系榭脂、 立体規則性ポリプロピレン、 立体規則性ポリ一 1—ブテン、 立体規則 性ポリ一 3—メチルー 1—ブテン、 立体規則性ポリ一 4—メチルー 1—ペンテン 等の、 立 規則性 一才レフイン系樹脂を挙げる事ができる。 これらの結晶性ォ レフイン系樹脂の中では、 立体規則性プロピレン系樹脂 (以下、 プロピレン系樹 脂と記す) が好ましい。
このプロピレン系樹脂としては、 プロピレンの単独重合体、 或は、 プロピレン 成分が 70モル%以上、 好ましくは 80モル%以上からなるプロピレンと前記 —ォレフィン類とのランダム又はプロック共重合体が良く、 中でも J I K-K 7
203に準拠して測定した曲げ弾性率が、 1, 000〜30, 000 k gZcm2、 好ましくは S. O O O S O. O O O k gZcm2 特に好ましくは 8, 000〜1 7, 000 k gZ cm2のものが好適である。 また、 該重合体のメルトフ口レート (MFR) については特に制限されないが、 ASTM— D 1238に準拠して 2
30°C、 2.16 kgで測定した値が通常 0.001〜100 gZl 0分、 好ましく は0.01〜70 ノ10分の範囲内であるのが最適である。
またこれらプロピレン系樹脂の中でも、 特に好ましくはプロピレン単独重合体 が挙げられる。
これらのプロピレン系榭脂は上記樹脂を単独で、 あるいは複数種混合した混合 物として使用することができ、 通常、 市販の樹脂の中から適宜選んで使用するこ とができる。
成分 (B) :環状ォレフィ ン重合体
本発明で使用する環状ォレフィ ン重合体は、 シクロブテン類、 シクロペンテン 類、 シクロへキセン類等の単環式環状ォレフィ ン及びノルボルネン類、 トリシク ロー 3—デセン類等の多環式環状ォレフィ ンの中から選ばれる、 単一種の環状ォ レフイ ンのビニレン重合による単独重合体、 或は、 複数種の環状ォレフィ ン同志 のビニレン重合による共重合体であって、 その重量平均分子量が 1.000〜1 0, 000未満、 かつガラス転移温度が 140〜400°Cの範囲に入るものであ る。
モノマーとして用いられる環状ォレフィ ンの例としては、 シクロブテン、 シク 口ペンテン、 4—メチルシクロペンテン等のシクロペンテン類、 シクロへキセン、 3—メチルシクロへキセン、 3 -ビニルンクロへキセン等のシクロへキセン類等 の単環式環状ォレフィ ン、 ノルボルネン、 1—メチルノルボルネン、 5—ェチリ デン一 2—ノルボルネン、 メチレンノルボルネン、 5—ビニル一 2—ノルボルネ ン、 5—メチレン一 2—ノルボルネン、 等のノルボルネン類、 トリンクロ [4, 3, 0, 12· 5] —3—デセン、 2—メチルトリ ンクロ [4, 3, 0, 12.5] —3— デセン等の卜リシクロー 3—デセン類、 ジシクロペン夕ジェン (トリンクロ [ 4 , 3.0.12·5] —3, 7—デカジエンまたはトリ シクロ [4, 3, 0, 12·5] —3. 8—デカジエン) 、 7—メチルジシクロペンタジェン等のジシクロペン夕ジェン 類、 テトラシクロ [ 4 , 4.0 , 12· 5, 17' 1 0] — 3— ドデセン、 8—メチルテト ラシクロ [4, 4.0, 12.5, 17· 10] —3—ドデセン、 5, 10—ジメチルテトラ シクロ [4, 4, 0, 12· 5, 17· 10] — 3— ドデセン等のテトラシクロ一 3— ドデ セン類、 ペンタンク口 [6, 5, 1. I3·6, Ο2·7, 09· 13] — 4一ペンタデセン、 10—メチルペン夕シクロ [6.5, 1, I3' 6.02· 7.09' 13] —4—ペンタデセ ン、 ペン夕シクロ [4, 7, 0, 12· 5, 08· 13, 19- 12] — 3—ペン夕デセン等のぺ ンタシクロペンタデセン類、 ペンタンク口 [6, 5 , 1 , 13· 6, 02' 7, 09· 13] -
4.10—ペンタデカジエン、 ペンタンク口 [6.5.1 , 13· 6, 02· 7, 09· 13] —
4.11—ペンタデカジェン等のペンタシクロデカジェン類、 へキサシクロ [6, 6, 1. I3· 6, 110- 13, 02· 09· 14] 一 4一へプタデセン類等の多璟式環状ォレ フィ ンを挙げることができる。
環状ォレフィ ン重合体は、 特定の有機遷移金属化合物と有機アルミニウムォキ シ化合物を触媒成分として用いることにより、 環状ォレフィ ンのエチレン性不飽
和結合を介して付加重合が進行するビニレン重合により重合体が得られる。
環状ォレフィンのビ二レン重合体の重合方法については特に制限はなく、 慣用 の重合形式、 例えば、 スラリー重合法、 気相重合法、 塊状重合法、 溶液重合法お よび懸濁重合法等のいずれの方法を用いても良いが、 スラリー重合法、 溶液重合 法および塊状重合法が好適である。 またバッチ式でも連続式でもよい。
環状ォレフィン重合体の重合触媒の構成成分である有機遷移金属化合物および 有機アルミニゥムォキシ化合物は、 モノマーの存在下あるいは非存在下を問わず、 それぞれ别々に重合系に添加して重合系内で両者を接触させて触媒系を形成させ てもよいし、 重合系に添加する前に各触媒成分を予め接触させて触媒系を形成さ せてから重合系内に導入してもよい。 ここで触媒系を形成させるベく各触媒成分 を接触させる場合の順序については特に制限はなく、 任意の順序によることがで きる。
触媒系の形成は、 例えば不活性溶媒中で、 不活性ガス雰囲気下、 各成分を接触 させることにより行うことができる。
本発明の環状ォレフィン重合体の製造触媒の好適な例として、 下記のものを例 示することができる。
すなわち、 次の 2つの一般式のいずれかで表される触媒成分とアルモキサンを 含んでなる蝕媒系が好適に用いられる。
もしくは
( C 5 R J X a Y bM e Q 3 - b
式中、 M eは 4族の遷移金厲、 例えば Z r、 H f であり、 各 (C 5 R m) はシクロ ペンタジェニル又は置換シクロペンタジェニルであり、 各 Rは同一もしくは異な るもので、 水素、 炭素数 1〜2 0のアルキル、 アルケニル、 ァリール、 アルキル ァリールもしくはァリールアルキル基からなる群から選択したものである。 Xは 2つの (C 5 R„) 環を、 または (C 5 R m) 環と Yを橋架けする炭素数 1〜4のァ ルキレンまたはゲイ素である。 aは 0又は 1〜4の整数、 bは 0又は 1の整数で あり、 a = 0のとき b = 0である。 各 Qは同一もしくは異なるもので、 炭素数 1 〜2 0のァリール、 アルキル、 アルケニル、 アルキルァリールもしくはァリール アルキル基、 またはハロゲンであり、 Qは炭素数 1 ~ 2 0のアルキリデン基であ
り、 Yは酸素、 窒素、 リ ンまたは硫黄原子である。 mは 0〜4の数を示す。
なお、 本発明の環状ォレフィ ン重合体は、 上記の触媒を用いて重合する際に、 所望の分子量の重合体を得るために、 適当な量の水素を添加することができる。 重合温度は、 通常一 78〜150 C、 好ましくは— 30〜80°Cの範囲である c また触媒系の構成成分である有機遷移金属化合物および有機アルミニウムォキシ 化合物の使用量は、 合目的的な範囲内において任意である。 例えば溶液重合系の 場合は、 有機遷移金属化合物の使用量は 10一7〜 102ミ リモル Zリッ トル、 特 に 10_4〜10ミ リモル/リッ トルの範囲が好ましい。 アルミニウムォキシ化合 物の使用量はアルミニウム 遷移金属のモル比が通常 10〜 100.000、 特 に 100~10.000となるような範囲が好ましい。 モノマーとして使用する 環状ォレフィ ンの使用量は、 原料モノマーノ上記遷移金属化合物のモル比が通常 1-1, 000, 000, 好ましくは 100〜 100, 000となるような範囲が 好ましい。 また、 重合体の分子量を調節する方法としては、 各触媒成分の種類や 使用量、 重合温度、 重合時間等の選択、 さらには水素存在下での重合による方法 等が上げられる。
重合溶媒を用いる場合には、 この種の重合法において従来から用いられてきた 重合溶媒、 例えば塩化メチレン、 1, 2—ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水 素類、 ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタン等の脂肪族炭化水素類、 シクロ ペンタン、 シクロへキサン等の脂環族炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレ ン等の芳香族炭化水素類、 ガソリ ン、 灯油、 軽油等の石油留分、 またはこれらの 混合溶媒を用いることができる。 これらの中でも芳香族炭化水素類が特に好まし い。
該環状ォレフィ ン重合体の分子量は、 ゲルパーミエーシヨ ンクロマトグラフィ 一 (GPC) で測定した重量平均分子量 (Mw) (ポリプロビ'ノン換算) が 1. 000-10, 000未満、 好ましくは 1.500〜 7, 000、 特に好ましくは 2, 000〜 5.000の範囲のものである。 Mwが 1, 000未満では、 結晶性 ォレフィン系榭脂の耐熱性を低下させ好ましくないし、 また 10, 000以上で あると、 本発明の効果である高弾性率、 耐傷付き性が発揮されず好ましくない。 また該環状ォレフィ ン重合体の示差走査型熱量計での測定によるガラス転移温 度は、 140~400。C、 好ましくは 160〜350。C、 より好ましくは 180
〜300°Cの範囲のものである。 140°C未満では本発明の効果である高弾性率 が得られず、 400°C超過では本発明の樹脂組成物の製造方法が煩雑となり好ま しくない。
これらの環状ォレフィン重合体の中では、 モノマーとして多環式環状ォレフィ ンを主成分とする多環式環状ォレフィ ン重合体が、 本発明の効果を好適に発揮し て好ましい。
その構造の例としては次式 (1) に示すようなものがある。
(式中、 R"~R12は、 それぞれ独立して、 水素原子、 炭素数 1〜20の炭化 水素基またはハロゲン原子等を含む置換基を示す。 R 9と R 11または R 12とは、 または R1 Dと R11または R12とは、 互いに連結して環を形成していてもよい。 m は 0または 1以上の整数である。 nは 1以上の整数を示す。 また、 この式で表さ れるュニッ 卜単位の繰り返し連鎖において、 各ュニッ ト単位で Rl〜R12および mがそれぞれ異なっていても構わない。 )
この多琛式琛状ォレフィン重合体としては、 単一種の多環式琛状ォレフィンの 単独重台体、 ί 数種の多^式琛状ォレフイ ン同志の共重台体、 あるいは、 多環式 ¾状ォレフィ ンと単^式 状ォレフィンの共重合体等が挙げられる。
またモノマーとして用いる多環式環状ォレフィ ンの中では、 ノルボルネン類を 用いたものが、 重合時の分子量制御が容易であり、 高重合活性が得られ好ましい c このノルボルネン類を用いたノルボルネン系重合体としては、 単一穏のノルボ ルネン類の単独重台体、 複数種のノルボルネン類同志の共重合体、 あるいは、 ノ ルボルネン類と他環状ォレフィンの共重合体等が挙げられる。
またこれらノルボルネン系重合体の中でも、 単一種のノルボルネン類の単独重 合体、 ノルボルネン類と他環状ォレフィンとの共重合体が好ましく、 特に単一種 のノルボルネン単独重合体が重合収率が高く好ましい。 これらの環状ォレフィン 重合体は上記重合体を単独で、 あるいは複数種混合した混合物として使用するこ とができる。
また、 該環状ォレフイン重合体において、 本発明の効果を著しく損なわない範 囲において、 エチレン、 プロピレン等の α—ォレフィ ン、 スチレン、 a —メチル スチレン等の芳香族ビニル化合物等と共重合することは差し支えない。
なお、 本発明のォレフィン系樹脂組成物を構成する各成分 (A ) および (B ) について、 好ましいものとして上記した成分同士の組み合わせが最適のものであ ることは言うまでもない。
成分 (C ) :付加的成分
本発明のォレフィ ン系榭脂組成物の中には、 上記成分 (A ) および (B ) の外 に、 本発明の効果を著しく損なわない範囲で、 以下に示すような付加的成分を含 有させることができる。
該付加的成分としては、 エラストマ一類を挙げることができる。 エラス卜マー 類は、 剛性や耐衝擊性などの調整ができるので好都合である。
ここでエラストマ一類としては、 ォレフィン系エラストマ一およびスチレン系 エラストマ一のいずれも使用することができる。
ォレフィン系エラス卜マーとしては、 エチレン、 プロピレン、 1ーブテン、 1 一へキセン等の α—ォレフィ ン同志の共重合体、 あるいはこれらと非共役ジェン との共重合体、 あるいは 1—へキセン等の高級 α—才レフィンの単独重合体であつ て、 エラストマ一状の重合体であり、 1 0 0 °Cで測定したムーニー粘度 M L 1 + 4 が、 通常 1〜2 0 0、 好ましくは 5 ~ 1 5 0、 特に好ましくは 7 ~ 1 0 0の範囲 のものが使用できる。 これらのォレフィ ン系エラス卜マーの中ではエチレン系ェ ラストマ一、 プロピレン系エラストマ一が品質および安定性の点で特に好ましい。 具体的にはエチレン .プロピレン共重合ゴム (E P M) 、 エチレン . 1—ブテ ン共重合ゴム、 エチレン 'プロピレン . 1—ブテン共重合ゴム、 エチレン♦プロ ピレン '非共役ジェン共重合ゴム (E P D M) 、 エチレン . 1—ブテン非共役ジ ェン共重合ゴム、 エチレン 'プロピレン ' 1ーブテン ·非共役ジェン共重台ゴム
等がある。 上記非共役ジェンの具体例としては、 ジシクロペンタジェン、 1.4 —へキサジェン、 シクロォクタジェン、 ジシクロォクタジェン、 メチレンノルボ ルネン、 5—ェチリデン一 2—ノルボルネン、 5—ビニルー 2—ノルボルネン、 5—メチレン一 2—ノルボルネン、 5—メチルー 1, 4一へキサジェン、 7—メ チル一 ] .6—才クタジェン等を挙げることができる。
スチレン系エラストマ一としては、 スチレン、 一メチルスチレン等のスチレ ン系化合物と、 1, 3—ブタジエン、 イソプレン等の共役ジェンとのエラストマ ー状ランダムまたはプロック共重合体およびこれら共重合体の水素添加物である。 これらスチレン系エラストマ一の中では、 スチレン系化合物と共役ジェンの共重 合体が好ましく、 これらブロック共重合体は、 次の一般式式 (2) で表されるも のが最適である。
一般式 (2)
(A-B) π + 1、 または
A- (Β-Α) „、 または
B— (A-B) η +1
(上記式中の Αはスチレン系化合物よりなる重合体プロック、 Bは共役ジェン重 合体ブロックであり、 nは 1~20の整数、 Aブロックの全体の分子に占める割 合は 1〜50重量%である。 )
これら共重合体の数平均分子量は 10, 000〜1, 000, 000、 好ましく は 50.000〜 250, 000である。
これらスチレン系エラストマ一の具体例としては、 スチレン .ブタジエンラン ダム共重合体、 スチレン ' イソプレンランダム共重合体、 スチレン .ブタジエン . スチレントリブロック共重合体、 スチレン 'イソプレン .スチレントリブロック 共重合体、 ポリスチレンプロックが末端であるスチレン ·ブタジエンラジアルブ 口ック共重合体、 ポリスチレンブロックが末端であるスチレン ·ィソプレンラジ アルブロック共重合体、 スチレン 'ブタジエンマルチブロック共重合体、 スチレ ン♦ィソプレンマルチブロック共重合体等のスチレン ·共役ジェンブロック共重 合体およびこれらを水素添加したもの等を挙げることができる。 これらスチレン 系エラストマ一の中で好ましいものは水素添加されたスチレン .共役ジェンブロッ ク共重合体である。
このようなエラストマ一成分の中でも、 特にォレフィン系エラストマ一が成形 体の表面荒れが起こりにくいために好んで使用される。
また付加的成分としては、 前記の他にフイラ一類を挙げることができる。 フィ ラー類は、 剛性や寸法安定性などの調整ができるので好都合である。 ここでフィ ラー類としては、 無機系または有機系フイラ一のいずれも使用することができ、 その形状は、 板状、 粒状、 球状、 繊維状のもの、 或は不定形状のものでもよい。 具体的には、 石英等の天然シリカ、 湿式法または乾式法で製造した合成シリカ ; カオリン、 マイ力、 タルク、 石綿等の天然珪酸塩:珪酸カルシウム;珪酸アル ミニゥム等の合成珪酸塩;水素化マグネシウム、 水酸化アルミニウム等の金属水 酸化物:アルミナ、 チタニア等の金属酸化化合物:炭酸カルシウム、 アルミニゥ ム、 ブロンズ等の金属粉;木粉: カーボンブラック ;ガラス繊維、 炭素雄維、 ァ ラミ ド繊維、 アルミナ繊維等の繊維状物質;高分子液晶物質: チタン酸カリウム ゥイスカー、 硫酸マグネシウムゥイスカー、 ほう酸アルミニウムゥイス力一、 炭 酸カルシウムゥイス力一、 ほう酸マグネシウムゥイス力一、 酸化亜鉛ゥイス力一、 炭化珪素ゥイスカー、 窒化珪素ゥイスカー、 サファイアゥイスカー、 ベリリアウイ スカ一等のゥィスカ一類などが挙げられる。
これらの中で好ましいものとしては、 マイ力、 タルク、 炭酸カルシウム、 チタ ン酸カリウムゥイスカー、 硫酸マグネシウムゥイスカー、 ほう酸アルミニウムウイ スカー、 炭酸カルシウムゥイスカーおよびガラス雄維であり、 特に好ましいもの はマイ力、 タルク、 チタン酸カリウムゥイスカーおよび硫酸マグネシウムゥイス カーである。
これらのフイラ一類は、 界面活性剤、 カップリング剤等で表面処理を施したも のでもよい。 またフイラ一類は、 単独でも複数種併用してもかまわない。 各種フィ ラーは市販の中から適宜選んで用いる事ができる。
またその他の付加的成分としては、 例えば添加剤類を挙げる事ができ、 具体例 としては、 パラフィ ンオイル、 石油樹脂等の可塑剤類ないしは流動性改良剤;ォ レフィン系液状ゴム、 共役ジェン系液状ゴム等の钦化剤類;着色剤類;酸化防止 剤頦;中和剤類;光安定剤類;紫外線防止剤類;帯電防止剤類;滑剤類;核剤類 :分散助剤類;分子量調整剤類;架橋剤類;難燃剤類等を挙げる事ができる。
( 2 ) 配合量比
本発明の樹脂組成物を構成する上記各成分の配合の量比としては、 成分 (A) の結晶性ォレフィン系樹脂と成分 (B ) の環状ォレフィン重合体の合計に対し、 通常、 成分 (A) の結晶性ォレフィン系樹脂は 9 9〜4 0重量%、 好ましくは 9 7〜5 0重量%、 特に好ましくは 9 5〜6 0重量%の範囲であり、 成分 (B ) の 環状ォレフィン重合体は 1 ~ 6 0重量%、 好ましくは 3〜5 0重量%、 特に好ま しくは 5〜4 0重量%の範囲である。 成分 (B ) が 1重量%より少ないと本発明 の効果が十分に現れず、 また、 6 0重量%より多いと組成物自体の成形性が低下 して好ましくない。
( 3 ) 混合
上記の各構成成分を混合することによって、 本発明の樹脂組成物が製造される これら構成成分の混合方法には特に制限はなく、 熱による溶融状態での混合法、 任意の有機溶媒中での溶解状態での混合法、 重合状態での混合法等、 いずれの方 法でもよく、 また前記のいずれかの方法を組み合わせて採用してもよい。
熱による溶融状態での混合法としては、 例えばブラベンダープラス卜グラフ、 一軸または二軸押出機、 強力スクリユー型混練機、 バンバリ一ミキサー、 ニーダ 一プレンダー、 ロール等の従来知られている混練機であればいかなるものでも使 用できる。
また、 任意の有機溶媒中での溶解状態での混合法としては、 上記構成成分を同 時に有機溶媒に溶解、 または、 各構成成分を別々に有機溶媒に溶解したものを混 合し、 その後有機溶媒を除く方法等がある。 有機溶媒としては、 塩化メチレン、 1 , 2—ジクロロェタン等のハロゲン化炭化水素類、 ペンタン、 へキサン、 ヘプ タン、 オクタン等の脂肪族炭化水素類、 シクロペンタン、 シクロへキサン等の脂 環族炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン等の芳香族炭化水素類、 ガソリ ン、 灯油、 軽油等の石油留分、 またはこれらの混合溶媒等を用いることができる。 これらの中でも芳香族炭化水素類が特に好ましい。 例としては、 キンレン、 トル ェン等の芳香族炭化水素、 シクロへキサン、 デカリン等の脂肪族炭化水素、 クロ 口ホルム、 塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
重合状態での混合法としては、 各構成成分を溶液重合した重合液を混合する方 法、 どちらかの一成分を重合した後に他成分を重合して混合する二段重合方法等 を挙げることができる。
前記の方法のいずれかの方法を組み合わせる例としては、 有機溶媒中で溶解状 態で混合し、 溶媒を取り除いた後にさらに溶融状態で混練する方法、 溶融状態の 成分 (A ) の結晶性ォレフイ ン系樹脂に、 成分 (B ) の環状ォレフィ ン重合体成 分を少量の有機溶媒で膨潤させたものを加え溶融混合しながら有機溶媒を取り除 く方法、 または、 成分 (B ) の環状ォレフィ ン重合体成分を溶解した有機溶媒中 で、 成分 (A ) の結晶性ォレフイ ン系樹脂を重合する方法等が挙げられる。
〔2〕 樹脂組成物の成形体
本発明のォレフィン系樹脂組成物は、 各種成形法が適応でき、 それにより目的 とする成形体を得ることができる。
成形は通常の方法によって行うことができる。 すなわち、 射出成形、 射出圧縮 成形、 ガスインジヱクシヨン、 圧縮成形、 押出成形 (シート成形、 フィルム成形、 ブロー成形、 パイプ成形) 等のいずれの成形方法であってもかまわない。
これら成形体は、 機械的物性のバランスがよく、 かつ耐傷付き性に優れること から、 各種工業部品、 例えば自動車のバンパー、 サイ ドモール、 ホイ一ルキヤッ プ、 スポイラ一類等の自動車外装部品、 インスツルメントパネル、 レバー、 ノブ、 内張り等の自動車内装部品、 ポッ ト、 掃除機、 洗濯機、 冷蔵庫、 照明器具、 ォー ディォ機器等の電気製品、 カラ一ボックス、 収納ケース等の曰用雑貨品、 あるい は包装用フィルム等として利用することができる。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、 本発明をさらに具体的に説明する。
各実施例において製造された樹脂組成物からの試験試料を得るための成形条件 および試験方法は以下に示すとおりである。 なお、 実施例中の 「部」 は重量部で ある。
<琛状ォレフィ ン重合体 >
重合例 1
1リッ トルのオートクレーブ中に、 ノルボルネン (C 7 H 1 0) 1 0 gを含むト ルェン溶液 4 5 0 m I 、 およびポリメチルアルモキサンのトルエン溶液 (濃度 8 5 m /m 1 ) 5 1 . 3 m lを加え、 7 0 °Cで 1 5分撹拌した。 次に触媒として シクロペンタジェニルジルコニウムトリクロリ ド 6 5 . 7 m gを加え、 重合温度 7 0 °Cで 4時間反応操作を行った。 反応混合物を、 塩酸酸性メタノール溶波に添
加し、 沈殿した白色個体を at別後、 洗液が中性になるまでメタノールで繰り返し 洗浄した。 その後得られた白色個体 (ノルボルネンの単独重合体) を減圧乾燥さ せた。 重合体の収量は 5.5 gであった。 G PCによる分子量測定の結果、 Mw は 2000、 MwZMnは 1.28であった。 また DS C測定の結果、 ガラス転 移点は 180°Cであった。 13C— NMRからは、 重合はランダムに進行しており、 また環構造を保持したままであることがわかった。 これを試料 PNB (1) とす る。
重合例 2
重合例 1において、 ノルボルネン仕込量を 30 gとした以外は、 全く同様な条 件で重合操作を行って白色個体を得た。 収量は 25.3 gであった。 GPCによ る分子量測定の結果、 Mwは 3200、 MwZMnは 1.51であった。 また D S C測定の結果、 ガラス転移点は 210°Cであった。 13C— NMRからは、 重合 はランダムに進行しており、 また環構造を保持したままであることがわかった。 これを試料 PNB (2) とする。
重合例 3
重合例 1において、 ノルボルネン仕込量を 50 gとした以外は、 全く同様な条 件で重合操作を行って白色個体を得た。 収量は 44.8 であった。 GPCによ る分子量測定の結果、 Mwは 4700、 Mw/Mnは 1.68であった。 また D S C測定の結果、 ガラス転移点は 240°Cであった。 13C— NMRからは、 重合 はランダムに進行しており、 また環構造を保持したままであることがわかった。 これを試料 PNB (3) とする。
重合例 4
重合例 1において、 ノルボルネン仕込量を 50 gとし、 ポリメチルアルモキサ ンの代わりにメチルイソブチルアルモキサンのトルエン溶液 (濃度 113mgZ m l ) 38.4m 1とした以外は、 全く同様な条件で重合操作を行って白色個体 を得た。 収量は 39.1 gであった。 G P Cによる分子量測定の結果、 Mwは 4 5, 000、 Mwノ Mnは 2. 13であった。 また D S C測定ではガラス ¾移点よ り先にポリマーの分解が始まり、 ガラス転移点は測定できなかった。 これを試料 PNB (4) とする。
G PC測定条件
装置: Waters社製、 GPC 150C カラム:昭和電工製、 A D 80 MZ S x3
溶媒:オルトジクロロベンゼン 温度 140°C
流速: 1.0 m 1 分 澳度 2 Omg Ίη 1
1 R: 3.42^ 注入量 200 ^ 1
以上の条件で G P C測定から、 ポリプロピレン換算の重量平均分子量を算出し た。
DS C測定条件
装置:セイコー電子社製、 DS C— S S 5200
昇温速度: 2 (TCZ分
サンプル量: 1 Omg
実施例 1〜 11、 比較例 1〜 8
表 1および表 2に示した各成分をドライブレン ド、 もしくはキシレン溶媒中 1 40°Cで各成分を溶解した後メタノール中で析出し、 濾別、 乾燥させて、 プレブ レンドした混合物を得た。 次にこの得られた混合物を、 ラボプラス卜ミル混練機 (東洋精機製作所社製) で、 25 (TC、 50 r pm、 5分間の条件で混練した後、 粉砕して粒状の組成物を得た。 なお溶融混練に際して、 各成分の台計量 10 Ofi 量部に対して安定剤として 0. 1重量部の 4—メチルー 2.6—ジー t—ブチルフエ ノールと、 0.1重量部のィルガノックス 1010 (チバガイギ一社製) を添加 した。
得られた粒状の組成物をプレス成形、 もしくは射出成形機 〔カスタムサイェン ティフィック (Custom Scientific) 社製、 ミ二マツクス C S 183MMXJ を用いて、 250°C、 金型冷却温度 40°Cで試験片を射出成形し、 下記の方法に よって、 その物性を測定評価した。 結果を表 1および表 2に示す。
( 1 ) 貯蔵弾性率
250°Cでブレス成形した厚さ 2mmの試験片を、 長さ 50mm、 幅 5mmに 切り出し、 固体粘弾性測定装置 (レオメ トリックファーイ一スト社製、 RS All) を用いて、 周波数 1 H zの条件で貯蔵弾性率 (Ε') および損失弾性率 (Ε") の温度依存性を測定した。
(2) 表面硬度
長さ 40mm、 幅 30mm、 厚さ 3 mmの試験片を射出成形し、 微小硬度計 (明石製作所社製、 MVK—F Hardness Tester) を用いて、 表面のピツカ ース硬度を測定した。
(3) アイゾッ ド衝擊強度
長さ 3 1. 5mm、 幅 6. 2mm、 厚さ 3 mmの試験片を射出成形し、 アイゾッ ド衝擎試験機 (カスタムサイェンティフィ ック社製ミニマックス C S 1 83T I 型) を用いて、 先端 R 0. 25mm. 深さ 1. 2 mmのノツチ付きのアイゾッ ド衙 擎強度を 23 °Cで測定した。
なお、 表 1および表 2中の配合成分は次のとおりである。
成分 (A) :ォレフィン系樹脂
P P (1) : J I S -K 7 203に準拠して測定した曲げ弾性率が 1 1, 90
0 k g/cm\ 230°C、 2. 1 6 k gで測定した MF Rが 0. 6 /1 0分であるプロピレン単独重合体。 固体粘弾性測定装置 で測定した 23 °C貯蔵弾性率は、 1. 78 G P aであった。
P P (2) : J I S-K 7203に準拠して測定した曲げ弾性率が 1 4, 30
0 k g/cm 230°C、 2. 1 6 k gで測定した MF Rが 1 5 g/l 0分であるプロピレン単独重合体。 固体粘弾性測定装置で 測定した 23 狞蔵弾性率は、 1. 90 G P aであった。
P P (3) : J I S-K 7 203に準拠して測定した曲げ弾性率が 1 6, 20
0 k g/cm 230°C、 2. 1 6 k gで測定した M F Rが 30 gZl 0分、 かつエチレン含量が 4重量%であるプロピレン ·ェ チレンブロック共重合体。 固体粘弾性測定装置で測定した 23°C 貯蔵弾性率は、 2. 06 G P aであった。
成分 (B) :環状ォレフィ ン重合体
PNB (1) :重合例 1で製造した、 G P C測定による分子量が、 Mw200
0、 Mw/Mn 1. 28、 D S C測定によるガラス転移点が 1 80 °Cであるノルボルネン単独重合体。
PNB (2) :重合例 2で製造した、 G P C測定による分子量が、 Mw320
0、 Mw/Mn 1. 5 1 D S C測定によるガラス転移点が 2 10 °Cであるノルボルネン単独重合体。
PNB (3) :重合例 3で製造した、 GPC測定による分子量が、 Mw470 0、 Mw/Mn 1.68、 D S C測定によるガラス転移点が 2 40 °Cであるノルボルネン単独重合体。
比較成分
PNB (4) :重合例 4で製造した、 G PC測定による分子量が、 Mw45,
000、 Mw/Mn 2. 13であるノルボルネン単独重合体。 エチレン '環状ォレフィン共重合体:
特開昭 61 - 168708号公報記載の方法で重合した、 エチレン含量 6 2モル%、 G PCによる分子量が、 Mw53, 000、 Mw/Mn 2.21 、 DS C測定によるガラス転移点 159°Cであるエチレン ·テトラシクロ [4, 4, 0. I2'5, I7' 10] —3—ドデセンランダム共重合体。
石油樹脂 (1) :ェクソンケミカルジャパン社製 E scorez 5320
Mw600/Mn 340. ガラス転移点 70。C
石油樹脂 (2) :荒川化学社製 ·アルコン P 140
Mw 870、 ガラス転移点 71 °C
表 1
実 施 例 比 較 例
2 3 4 5 6 7 2 3 4 5 6
80 80 80 80 90 70 60 100 80 80 80 80 80
20
20 20 10 30 40
20
20
20
20 20
20 ブレブレンド法 ドライ ドライ 溶液 ドライ ト'ライ ド'ライ ドライ 溶液 ドライ ドライ 溶液 ドライ
23°C 2.91 2.89 3.02 2.78 2.78 2.97 3.09 1.76 2.14 2.12 2.59 2.57 2.97
E' 00°C 0.49 0.53 0.58 0.63 0.56 0.68 0.81 0.43 0.61 0.64 0.19 0.26一 0.22
(GPa) 50°C 0.06 0.10 0.11 0.14 0.12 0.13 0.13 0.09 0.16 0.11 0.03 0.05一 0.04 表面硬度 (kgf/mm2) 9.25 9.18 9.20 8.00 8.90 9.22 9.25 7.23 7.20 7.25 10.7 10.1 10.0
Izod(kg'Ci!i/ci2) 3.3 3.6 3.1 3.0 3.6 2.6 2.5 3.1 3.4 3.2 3.2 3.4
表 2
表 1より、 比較例 1と比較して本発明の樹脂組成物は、 室温付近の弾性率が大 幅に向上していることがわかる。 高温側の弾性率も未変性のポリプロピレンと同 等以上であり、 耐熱性も保持あるいは向上していることがわかる。 また表面硬度 も向上していることがわかる。
これらに対して、 比較例 2、 3に示す分子量の高い環状ォレフィ ン重合体を添 加しても、 その室温弾性率の向上効果は低く、 また表面硬度の向上はみられない c また、 比較例 4、 5、 6に示す石油樹脂類を添加した系では、 室温弾性率、 表 面硬度とも向上しているが、 高温側の弾性率の低下が著しく耐熱性が非常に低下 してしまっている。
表 2からも、 ポリプロピレンの種類を変えても同様な効果が得られることがわ 力、る。
図 1に実施例 3と比較例 1の、 また図 2に比較例 1と比較例 2の、 貯蔵弾性率 ( Ε ' : Storage Modulus) および損失弾性率 (Ε ' ' : Loss Modulus) の温度依存
性の比較を示す。
図 1において、 貯蔵弾性率を比較すると、 既に述べたように比較例 1と比較し て本発明の樹脂組成物の弾性率が向上していることがわかる。 また、 損失弾性率 を比較すると、 比較例 1では 0 °c付近にプロピレン系樹脂のガラス転移点に由来 するピークが見られる力 本発明の組成物においてはこのピークが広く高温側に シフト ·ブロード化していることがわかる。 これは、 添加した特定構造、 特定分 子量の環状ォレフィン重合体がプロピレン系樹脂の非晶部に分子相溶的に相溶し ていることを示唆している。
図 2において、 比較例 2では、 弾性率の向上効果が低いことがわかる。 また、 損失弾性率のピークのシフト ·ブロード化がみられないことから、 添加した分子 量の高い環状ォレフィン重合体はプロピレン系樹脂の非晶部には相溶せず、 従来 のポリマーァロイと同様にドメインとして存在しているものと思われる。
産業上の利用可能性
本発明の結晶性ォレフィン系樹脂組成物は、 特定構造、 特定分子量の環状ォレ フィン重合体を結晶性ォレフィン系樹脂に添加することによって、 従来の知見か らは得られない高い室温弾性率、 俊れた耐傷付き性および耐熱性を示し、 自動車 部材等として有用である。
また、 本発明で得られる効果は、 從来技術のフィラーブレンドおよびェンジ二 ァプラスチックとのァロイ化等とは、 発現機構が異なると考えられるため、 フィ ラーブレンド、 エンジニアリングプラスチックとのァロイ化等の技術と併用して も、 従来技術の効果を阻害することなく、 より高性能化を図ることができる。