JPH10158442A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH10158442A
JPH10158442A JP32392796A JP32392796A JPH10158442A JP H10158442 A JPH10158442 A JP H10158442A JP 32392796 A JP32392796 A JP 32392796A JP 32392796 A JP32392796 A JP 32392796A JP H10158442 A JPH10158442 A JP H10158442A
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JP
Japan
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ethylene
butene
weight
component
butene copolymer
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Application number
JP32392796A
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English (en)
Inventor
Yasuto Ijichi
靖人 伊地知
Hidetake Hozumi
英威 穂積
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 柔軟性、耐熱性及び耐傷付き性、透明性、耐
寒性に優れ、かつ高い引張伸びを有するポリプロピレン
系樹脂組成物。 【解決手段】 (A)エチレン/1−ブテン共重合体
3〜95重量% (B)結晶性ポリプロピレン系樹脂 97〜5重量% からなり、かつ、 (i)組成物の動的粘弾性の温度依存性から得られるガ
ラス転移温度Tに基づく損失正接(tanδ)が(B)
単独のtanδのピークより低温側に単一ピークで現れ (ii)(A)が示差走査熱量計(DSC)で測定した
とき結晶融解ピークおよび結晶化ピークを有せず (iii−a)(A)の1−ブテン含量が83重量%以
上であるか、もしくは(iii−b)(A)の1−ブテ
ン含量Xが60重量%以上、83重量%未満であり、か
つ、DSCで測定した(A)のガラス転移温度が式T
≦ 0.64X−102(ただし、60≦X<83) の関係を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明
は、柔軟性、耐熱性及び耐傷付き性、透明性、耐寒性に
優れ、かつ高い引張伸びを有するポリプロピレン系樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は、その優れた特
徴を生かし、家電製品、自動車部品、雑貨品などの分野
に広く利用されており、さらに近年、従来は軟質塩化ビ
ニル樹脂が使われていた分野においても、ポリプロピレ
ン系樹脂が使われはじめている。特に後者の分野におい
ては、材料には、柔軟性、耐熱性、耐傷付き性、耐寒性
かつ高い引張伸びを有すること、また場合によっては透
明性にも優れることが要求されるが、その要求水準は、
近年ますます高度化されつつある。かかる現状の下、従
来のポリプロピレン系樹脂は必ずしも満足し得るもので
はなかった。
【0003】結晶性ポリプロピレンとバナジウム触媒で
作られたエチレン/α−オレフィン共重合体ゴム(例え
ばエチレン/プロピレン/(ジエン)ゴム、エチレン/
1ーブテンゴム)の組成物が従来から知られている(例
えば、特開平7−41617号公報)。しかしながら、
該樹脂組成物はゴム含量を増やすことにより柔軟化をは
かるため,耐熱性、耐傷付き性の点で満足されるもので
はなかった。
【0004】結晶性のあるブテン−1共重合体を含む柔
軟性のポリプロピレン系樹脂組成物が特開平8−127
19に開示されている。しかしながら結晶性のあるポリ
ブテンー1共重合体の添加では柔軟性付与効果はみられ
ない。
【0005】柔軟性、透明性、耐白化性などを改良する
目的で、メタロセン触媒で重合された30〜70mol
%のα−オレフィンを含有するエチレン/ α−オレフィ
ン共重合体と結晶性ポリプロピレンの組成物が開示され
ている(特開平7−102126号公報)。しかしなが
ら、該ポリプロピレン系樹脂組成物は引張特性、耐寒性
の点において必ずしも満足されるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、柔軟性、耐熱性及び耐傷付き性、透明性、
耐寒性に優れ、かつ高い引張伸びを有するポリプロピレ
ン系樹脂組成物を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記(A)成分3〜95重量%および(B)成分97〜5
重量% (A)エチレン/1−ブテン共重合体 (B)結晶性ポリプロピレン系樹脂 からなり、かつ、 (i)(A)および(B)からなる組成物の動的粘弾性
の温度依存性から得られるガラス転移温度に基づく損失
正接(tanδ)が結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)
単独のtanδのピークより低温側に単一ピークで現れ (ii)(A)のエチレン/1−ブテン共重合体が示差
走査熱量計(DSC)で測定したとき結晶融解ピークお
よび結晶化ピークを有せず (iii−a)(A)のエチレン/1−ブテン共重合体
中の1−ブテン含量が83重量%以上であるか、もしく
は(iii−b)(A)の1−ブテン含量が60重量%
以上、83重量%未満であり、かつ、示差走査熱量計
(DSC)で測定した(A)のガラス転移温度が式
(1) T ≦ 0.64X−102 ・・・ (1) (ただし、60≦X<83) T:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体のガラス転
移温度(℃) X:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体中の1−ブ
テンの重量% の関係を満たすエチレン/1−ブテン共重合体であるこ
とを特徴とするポリプロピレン系樹脂に係わるものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の(A)成分は、1−ブテ
ン含量が60重量%以上であるエチレン/1−ブテン共
重合体であり、(A)成分中の1−ブテン含量は60重
量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは
83重量%以上である。1ーブテン含量が過小であると
エチレン/1−ブテン共重合体と結晶性ポリプロピレン
との相溶性が低下し、ブレンド組成物の柔軟性が不十分
であったり、耐傷付き性、透明性に劣ったりすることが
ある。
【0009】なお、エチレン/1−ブテン共重合体中の
ブテン含量の測定方法は以下のとおりである。
【0010】[検量線]エチレン/プロピレン共重合体
(エチレン含量73重量%)および1−ブテン単独重合
体の様々な混合比率の混合物をそれぞれ熱プレスして厚
み0.05mmのフィルム状に成形した。赤外線分光計
を用いてエチレン単位由来ピーク(波数720cm-1
とブテン単位由来ピーク(波数770cm-1)との吸光
度比を求め、この吸光度比に対して、該混合物における
エチレン単位およびブテン単位の合計量に対するブテン
単位含有量をプロットした。これらのプロットから回帰
直線を求め、検量線とした。なお、エチレン/プロピレ
ン共重合体および1−ブテン単独重合体の混合物は、両
者をトルエンに溶解したのちメタノールを加え、得られ
た沈殿を取り出し、乾燥して得た。
【0011】[ブテン含量の測定]エチレン/1−ブテ
ン共重合体をその溶融温度以上に加熱し、プレスして厚
み0.05mmのフィルム状に成形し、次いで赤外線分
光計を用いてエチレン単位由来ピークとブテン単位由来
ピークとの吸光度比を求め、上記で得た検量線からエチ
レン/1−ブテン共重合体ゴム中のブテン単位含有量を
算出した。
【0012】(A)成分は、示差走査熱量計(DSC)
で測定した場合1J/g以上の結晶融解ピーク及び結晶
化ピークのいずれをも有しない非晶性のエチレン/1−
ブテン共重合体であることが好ましい。なおかかるピー
クを有するものを用いた場合はエチレン/1−ブテン共
重合体の柔軟性が不十分であったり、また結晶性ポリプ
ロピレンとのブレンド組成物の柔軟性が不十分であった
り、耐傷付き性、透明性に劣ったりすることがある。
【0013】非晶性のエチレン/1−ブテン共重合体は
室温にてゴム様の性質をもち、加熱した際にガラス転移
温度を示すだけである。好ましい非晶性エチレン/1−
ブテン共重合体は、1−ブテン含量が60重量%以上、
83重量%未満において、示差走査熱量計(DSC)で
測定したガラス転移温度が式(1) T ≦ 0.64X−102 ・・・ (1) (ただし、60≦X<83) T:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体のガラス転
移温度(℃) X:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体中の1−ブ
テンの重量% の関係を満たす。なお、示差走査式熱量計(DSC)の
測定は昇温及び降温過程のいずれも10(℃/分)の速
度で行う。
【0014】一般にエチレン/α−オレフィン共重合体
中のα−オレフィン含量が過半を超え増えるにつれ、高
分子主鎖の柔軟性が減少することにより形態エントロピ
ーが減少するため、そのガラス転移温度は上昇してゆ
く。
【0015】プロピレンを重合したときシンジオタクチ
ックのポリプロピレンを生成し、かつそのポリプロピレ
ンは、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき結晶化
ピークかつ/または結晶融解ピークを有するような触媒
として、例えばジフェニルメタン(シクロペンタジエニ
ル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを挙
げることができる。
【0016】プロピレンを重合したときアイソタクチッ
クのポリプロピレンを生成し、かつそのポリプロピレン
は、示差走査熱量計(DSC)で測定したとき結晶化ピ
ークかつ/または結晶融解ピークを有するような触媒と
して、例えばRac−[(エチレン)ビス(η5 −1−
インデニル)]ハフニウムジクロライドを挙げることが
できる。
【0017】これらのプロピレンを重合したとき、得ら
れたポリプロピレンが示差走査熱量計(DSC)で測定
したとき結晶化ピークかつ/または結晶融解ピークを有
するような触媒、によって作られたエチレン/1−ブテ
ン共重合体は、α−オレフィンである1−ブテンの含量
が高くなると、そのガラス転移温度は大きく上昇する。
【0018】一方、プロピレンを重合したとき、得られ
たポリプロピレンが示差走査熱量計(DSC)で測定し
たとき結晶融解ピークおよび結晶化ピークを有さないよ
うなメタロセン触媒(例えば(t−ブチルアミド)ジメ
チル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シ
ランジクロロチタニウムを挙げることができる)、によ
って作られたエチレン/1−ブテン共重合体は、α−オ
レフィンである1−ブテンの含量が高くなっても、その
ガラス転移温度の上昇の程度は緩やかである。ここで両
者のエチレン/1−ブテン共重合体のガラス転移温度の
差は1−ブテンの含量が約60重量%近傍から現れはじ
める。このことより、プロピレンを重合したとき非晶性
のポリプロピレンを生成する触媒、によって作られたエ
チレン/1−ブテン共重合体の方が、シンジオタクチッ
クもしくはアイソタクチックのポリプロピレンを生成す
る触媒、によって作られたエチレン/1−ブテン共重合
体よりも、1−ブテン含量が60重量%以上の高い領域
においては、低いガラス転移温度を有し、エラストマー
としての性能は優れることがわかる。
【0019】(A)のエチレン/1−ブテン共重合体の
70℃、キシレン溶媒による極限粘度[η]は0.3
(dl/g)以上、好ましくは0.5(dl/g)以
上、より好ましくは0.7(dl/g)以上である。極
限粘度[η]が低すぎると、エチレン/1−ブテン共重
合体と結晶性ポリプロピレンからなる組成物の引張伸び
が低下したり、耐傷付き性が悪化したり低分子量成分が
成形品表面にブリードしたりすることがある。
【0020】なお(A)成分のエチレン/1−ブテン共
重合体の極限粘度[η]の測定は、70℃キシレン中で
ウベローデ粘度計を用いて行った。サンプルは300m
gを100mlキシレンに溶解し、3mg/mlの溶液
を調整した。さらに当該溶液を1/2、1/3、1/5
に希釈し、それぞれを70℃(±0.1℃)の恒温水槽
中で測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、
得られた値を平均して用いた。
【0021】(A)成分は、通常、メタロセン触媒を用
いて得られるエチレン/1−ブテン共重合体である。こ
こで、好ましいメタロセン触媒としては、下記化学式
(1) (式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属元素を
表し、Cpはシクロペンタジエニル、置換シクロペンタ
ジエニル、インデニル、置換インデニル、フルオレニル
又は置換フルオレニルを表す。Aは元素の周期律表の第
16族の元素を表し、Bは元素の周期律表の第14族の
元素を表す。X1 、X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭
素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の
ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキ
シ基又は炭素原子数1〜20のアミド基を表し、それら
は同一でも異なってもよい。R1 〜R6 は水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原
子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜
20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアミド基又
は炭素原子数1〜20のシリル基を表し、それらは同一
でも異なってもよく、更にそれらは任意に結合して環を
形成してもよい。)で表されるもの、また、(t−ブチ
ルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペン
タジエニル)シランジクロロチタニウムをあげることが
できる。いずれも、プロピレンを重合したとき非晶性の
ポリプロピレンを生成する触媒である。
【0022】(A)成分を製造する方法としては、例え
ば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン
等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化炭化
水素を溶媒として用いる溶媒重合、又はスラリー重合、
ガス状のモノマー中での気相重合等が可能であり、ま
た、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。重
合温度は、−50℃〜200℃の範囲を取り得るが、特
に、−20℃〜100℃の範囲が好ましく、重合圧力
は、常圧〜60kg/cm2 Gが好ましい。重合時間
は、一般的に、使用する触媒の種類、反応装置により適
宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることが
できる。また、重合体の分子量を調節するために水素等
の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0023】本発明の(B)成分は、結晶性ポリプロピ
レン系樹脂であり、プロピレンの単独重合体あるいはプ
ロピレンと少量のα−オレフィンとのランダム又はブロ
ック共重合体である。前記ポリプロピレン系樹脂が共重
合体である場合には、ランダム共重合体の場合、該共重
合体中の他のα−オレフィン共重合割合は、一般に10
重量%以下好ましくは0.5〜7重量%であり、ブロッ
ク共重合体の場合、該共重合体中の他のα−オレフィン
の共重合割合は一般に1〜40重量%、好ましくは1〜
25重量%、さらには2〜20重量%、特に好ましくは
3〜15重量%である。これらのポリプロピレン系重合
体は、2種以上の重合体を併用したものであってもよ
い。ポリプロピレンの結晶性の指標としては例えば、融
点、結晶融解熱量などが用いられ、融点は120℃〜1
76℃、結晶融解熱量は60J/g〜120J/gの範
囲にあることが好ましい。結晶の融点が低すぎるもしく
は融解熱量が低すぎると、材料の耐熱性が劣る結果とな
る。
【0024】(B)成分を製造する方法としては、一般
的には、いわゆるチタン含有固体状遷移金属成分と有機
金属成分を組み合わせて用いるチーグラー・ナッタ型触
媒、特には遷移金属成分がチタン、マグネシウム及びハ
ロゲンを必須成分とし、電子供与性化合物を任意成分と
する固体成分又は三塩化チタンとし、有機金属成分がア
ルミニウム化合物である触媒を用いて、スラリー重合、
気相重合、バルク重合、溶液重合等又はこれらを組み合
わせた重合法で一段又は多段で、プロピレンを単独重合
することによってプロピレン単独重合体を得たり、又は
プロピレンと炭素数2又は4〜12のα−オレフィン、
好ましくはエチレンとを一段又は多段で共重合させるこ
とによってプロピレン・α−オレフィン共重合体を得た
りする方法を挙げることができる。なお、市販の該当品
を用いてもよい。
【0025】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
(A)成分3〜95重量%及び(B)成分97〜5重量
%((A)+(B)=100重量%とする。)を含有す
る。なお、好ましくは(A)成分10〜80重量%及び
(B)成分90〜20重量%であり、より好ましくは
(A)成分30〜70重量%及び(B)成分70〜30
重量%である。(A)成分が過多((B)成分が過少)
であると流動性が低くなり、成形加工性に劣ったり、強
度が不足したり、耐熱性が劣ったりし、一方(A)成分
が過少((B)成分が過多)であると柔軟性に劣った
り、耐傷付き性に劣ったりする。
【0026】本発明の(A)エチレン/1−ブテン共重
合体および(B)結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物の
動的粘弾性の温度依存性から得られるガラス転移温度に
基づく損失正接(tanδ)は、(B)結晶性ポリプロ
ピレン系樹脂単独のtanδのピークより低温側に単一
ピークで現れる。
【0027】なお、(B)の結晶性ポリプロピレンが、
プロピレン単独重合体又はプロピレンとエチレン若しく
は炭素数4以上のα−オレフィンが1モル%以下共重合
された結晶性ポリプロピレン部分と、エチレンとプロピ
レンの組成が重量比でエチレン/プロピレン=20/8
0〜60/40であるエチレン−プロピレンランダム共
重合体部分を有する、ポリプロピレン・ブロック共重合
体であるときには、(B)結晶性ポリプロピレン系樹脂
単独のtanδのピークとは、結晶性ポリプロピレン部
分によるtanδのピークのことを意味する。
【0028】(A)エチレン/1−ブテン共重合体と
(B)結晶性ポリプロピレン系樹脂が相溶することによ
り、結晶性ポリプロピレンのガラス転移温度は低下する
が、エチレン/1ーブテン共重合体のガラス転移温度は
上昇する。このことより、(B)エチレン/1−ブテン
共重合体のガラス転移温度が低ければ低いほど、単一の
tanδのピークを有する(A)および(B)からなる
ポリプロピレン系樹脂組成物のガラス転移温度も低くな
り、低温耐衝撃性、耐寒性は良好となる。
【0029】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に
は、必須の成分である(A)成分及び(B)成分に加え
て、必要に応じて他のゴム成分例えば、エチレン−プロ
ピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジ
エン共重合体ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンラ
ンダム共重合体ゴム、部分水添スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体ゴム、部分水添スチレン−ブ
タジエンランダム共重合体ゴム、スチレン−イソプレン
ブロック共重合体ゴム、部分水添スチレン−イソプレン
ブロック共重合体ゴムなどを加えてもよい。また必要に
応じて過酸化物の添加により 架橋反応を行うことも可
能である。更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、充填剤、
難燃剤を配合してもよい。
【0030】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を得
る方法として、各成分を、二軸押出機、バンバリーミキ
サーなどにより溶融混練する方法をあげることができ
る。
【0031】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
その優れた特徴を利用して、家電製品、自動車部品、雑
貨品などに最適に使用され得る。自動車部品において
は、インパネ、ドア、ピラー等の内装表皮、エアーバッ
グカバー等に好適に使用され得る。
【0032】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成
形方法としては、射出成形、押出成形をあげることがで
きる。さらに、本ポリプロピン系樹脂組成物を表皮層と
する2色成形法を用いることもでき、ここで本ポリプロ
ピン系樹脂組成物からなる表皮層を先に、もしくは後か
ら射出成形するいずれの方法であってもよい。
【0033】また内装表皮とするときには、本ポリプロ
ピン系樹脂組成物からなる表皮と熱可塑性樹脂との貼り
合わせ一体成形、例えば、ポリオレフィンなどの発泡体
層に裏打ちされた表皮材を未閉鎖の雌雄金型間に配設
し、表皮材と雄又は雌金型間に溶融熱可塑性樹脂を供給
し、雌雄金型を合わせて該表皮材と熱可塑性樹脂を貼合
一体化する成形法をあげることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、これらは例示のためのものであり本発明を
限定するものではない。 <エチレン/1−ブテン共重合体の製造>
【0035】参考例1 セパラブルフラスコ(内容量2リットル)内を窒素ガス
で置換し、乾燥トルエン1リットルを入れ、次いでエチ
レンと1−ブテンとの混合ガスを常圧にてエチレンガス
供給量7.0NL/分、1−ブテンガス供給量5.0N
L/分で供給しながら30℃に加温した。次いで混合ガ
スを供給しながら、同温度で攪拌下、トリイソブチルア
ルミニウム1.25mmolを加え、次いで(テトラメ
チル−η 5 −シクロペンタジエニル)ジメチル(3−t
−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)シランジク
ロロチタニウム0.005mmolを加えた。同温度
下、混合ガスを供給しながら15分間攪拌したのち、ト
リフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート0.025mmolを加え、同温度で混合
ガスを供給しながら30分間攪拌を続けた。その後、メ
タノール20mlを加えて重合を停止し、次いで多量の
メタノールと混合し、析出した沈殿物を取り出し、真空
中、80℃で12時間乾燥して、エチレン/1−ブテン
共重合体69gを得た。このエチレン/ブテン共重合体
ゴムの評価結果を表1に示す。
【0036】参考例2〜5 混合ガスにおける1−ブテンガス供給量、エチレンガス
供給量、重合温度、重合時間を表1又は表2に記載のと
おりとする以外は参考例1と同様に操作して、エチレン
/1−ブテン共重合体を得た。
【0037】参考例6〜9 重合触媒として(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラ
メチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランジクロロ
チタニウムを用い、表2に示す条件で、参考例1と同様
に実施した。
【0038】参考例10 重合触媒としてRac−[(エチレン)ビス(η5 −1
−インデニル)]ハフニウムジクロライドを用い、表2
に示す条件で、参考例1と同様の方法で実施した。
【0039】実施例1〜7、比較例1〜5 表3〜表6に示す配合を、2軸のバッチ式混練機ラボプ
ラストミル(東洋精機製)を用いて、温度200℃、ス
クリュー回転数100rpmで3分間混練を行った。該
樹脂組成物を200℃でプレスを行い2mm厚のシート
を作成した。物性試験はプレスシートから試験片を打ち
抜き測定を行った。
【0040】実施例及び比較例に記した諸特性は次の方
法により測定した。 (1)硬度:ASTM D2240 (2)曲げ試験:JIS K7203 (3)引張試験:JIS K6301 3号ダンベルを
用い、引張速度200(mm/min)にて試験を行っ
た。 (4)耐傷付き性試験:表面性測定機 トライボギア
(新東科学製)を用い、500gの荷重を載せた引掻針
で試料の2mm厚プレスシートを一定速度で引き掻くこ
とにより傷を付けた。その傷深さを接触式の表面粗さ計
サーフコム(東京精密製)でμmオーダーの尺度で測定
した。 (5)ヘイズ:JIS K7105 2mm厚のプレス
シートについて測定を行った。 (6)示差走査熱量測定(DSC) 示差走査熱量計(DSC220C セイコー電子工業社
製)を用いて、昇温及び降温過程のいずれも10(℃/
分)の速度で測定を行った。 (7)動的粘弾性の温度依存性 強制振動非共振法に基づく測定装置(DVEレオスペク
トラー(レオロジ社製))を用いて、引張モード、振動
周波数=10Hz、昇温速度3℃/分にて測定した。
(B)の結晶性ポリプロピレン系樹脂単独の損失正接
(tanδ)より低温側に現れたtanδのピークの
数、およびピーク温度を示した。
【0041】結果から次のことがわかる。本発明の条件
を充足する実施例1から実施例7まではすべての評価項
目において満足すべき結果を示している。(A)成分と
して1−ブテン含量が60重量%より低いエチレン/1
−ブテン共重合体を用いた比較例1、比較例2、比較例
3および結晶性のエチレン/1−ブテン共重合体を用い
た比較例4は、いずれも、曲げ弾性率が高く、引張伸び
が低く、耐傷付き性、透明性に劣る。(A)成分として
ポリブテンを用いた比較例5は、曲げ弾性率が高く、柔
軟性に劣る。
【0042】1) 230℃、2.16kg荷重のMI
が14(g/10min)であるホモポリプロピレン 2) 示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移
温度 3) Tcalc = 0.64X−102 X:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体中の1−ブ
テンの重量% 4) 示差走査熱量計(DSC)で測定したときの結晶
融解ピーク及び結晶化ピークの有無 5) エチレンブテンゴム(EBR) エスプレンSP
O N0394(住友化学製)ブテン含量=17重量
%、230℃、2.16kg荷重のMIが7.3(g/
10min) 6) ポリブテン M8240(三井石油化学製)、2
30℃、2.16kg荷重のMIが2.0
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、柔
軟性、耐熱性及び耐傷付き性、透明性、耐寒性に優れ、
かつ高い引張伸びを有するポリプロピレン系樹脂組成物
を提供することができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)成分3〜95重量%および
    (B)成分97〜5重量% (A)エチレン/1−ブテン共重合体 (B)結晶性ポリプロピレン系樹脂 からなり、かつ、 (i)(A)および(B)からなる組成物の動的粘弾性
    の温度依存性から得られるガラス転移温度に基づく損失
    正接(tanδ)が結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)
    単独のtanδのピークより低温側に単一ピークで現れ (ii)(A)のエチレン/1−ブテン共重合体が示差
    走査熱量計(DSC)で測定したとき結晶融解ピークお
    よび結晶化ピークを有せず (iii−a)(A)のエチレン/1−ブテン共重合体
    中の1−ブテン含量が83重量%以上であるか、もしく
    は(iii−b)(A)の1−ブテン含量が60重量%
    以上、83重量%未満であり、かつ、示差走査熱量計
    (DSC)で測定した(A)のガラス転移温度が式
    (1) T ≦ 0.64X−102 ・・・ (1) (ただし、60≦X<83) T:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体のガラス転
    移温度(℃) X:(A)のエチレン/1−ブテン共重合体中の1−ブ
    テンの重量% の関係を満たすエチレン/1−ブテン共重合体であるこ
    とを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)のエチレン/1−ブテン共重合体の
    70℃、キシレン溶媒による極限粘度[η]が0.3以
    上である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)が下記の特性を有するメタロセン触
    媒を用いて得られるエチレン/1−ブテン共重合体であ
    る請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。 (i)該メタロセン触媒を用いてプロピレンを重合した
    とき、得られたポリプロピレンは、示差走査熱量計(D
    SC)で測定したとき結晶融解ピークおよび結晶化ピー
    クを有さない
  4. 【請求項4】メタロセン触媒が下記化学式(1)で表さ
    れる請求項3記載のポリプロピレン系樹脂組成物。 (式中、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属元素を
    表し、Cpはシクロペンタジエニル、置換シクロペンタ
    ジエニル、インデニル、置換インデニル、フルオレニル
    又は置換フルオレニルを表す。Aは元素の周期律表の第
    16族の元素を表し、Bは元素の周期律表の第14族の
    元素を表す。X1 、X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭
    素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の
    ハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜20のアルコキ
    シ基又は炭素原子数1〜20のアミド基を表し、それら
    は同一でも異なってもよい。R1 〜R6 は水素原子、ハ
    ロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原
    子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素原子数1〜
    20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアミド基又
    は炭素原子数1〜20のシリル基を表し、それらは同一
    でも異なってもよく、更にそれらは任意に結合して環を
    形成してもよい。)
  5. 【請求項5】メタロセン触媒が(t−ブチルアミド)ジ
    メチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)
    シランジクロロチタニウムである請求項3記載のポリプ
    ロピレン系樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000191862A (ja) * 1998-10-20 2000-07-11 Mitsui Chemicals Inc 軟質ポリプロピレン系重合体組成物およびその成形体
US6121401A (en) * 1997-07-11 2000-09-19 Sumitomo Chemical Company, Limited Propylene copolymer
JP2003508621A (ja) * 1999-09-03 2003-03-04 エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク 可塑化ポリプロピレン熱可塑性樹脂
US8536260B2 (en) 2004-10-15 2013-09-17 Prime Polymer Co., Ltd. Resin composition for seamless air bag covers, and seamless air bag covers or seamless instrument panels with air bag covers, made by using the composition

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