JP2004107490A - 軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物及び該組成物を含む成形体 - Google Patents

軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物及び該組成物を含む成形体 Download PDF

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森 亮二
Takashi Nakagawa
中川 貴
Yoshinori Kuroiwa
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Abstract

【課題】透明性、柔軟性、耐衝撃性、成形性に優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を提供する。
【解決手段】1)シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)5〜60重量部
2)シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)5〜40重量部
3)アイソタクティックプロピレン系重合体(C)15〜50重量部
4)テルペン樹脂あるいは石油樹脂(D)10〜40重量部
5)エチレン系重合体(E)10〜50重量部 からなり
前記シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)と前記シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)との重量比{(A)/(B)}が20/80〜80/20の範囲にあることを特徴とする軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物。およびこの組成物から得られる成形体。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に関し、さらに詳しくは、透明性、柔軟性、耐衝撃性、成形性、特にネックインに優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
プロピレンとエチレン、必要に応じて炭素原子数4〜20のα−オレフィンを共重合させて得られるアイソタクティックポリプロピレンからなるフィルムは、安価で柔軟性、耐湿性、耐熱性に優れているため各種の包装材料に広く使用されている。しかしながら、内容物の破損等を防ぐため、フィルムの厚さを増すと透明性、柔軟性、ヒートシール性が悪化し、またこれを改良するためアイソタクティックポリプロピレンのコモノマー含量を増やすと、べた成分が顕著となり、耐ブロッキング性が問題となったりして、厚物フィルムで透明性、柔軟性、ヒートシール性に優れる材料の製造は困難であった。
【0003】
一方、シンジオタクティックポリプロピレンは、バナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニウムからなる触媒の存在下に低温重合により得られることが知られている。しかしながらこの方法で得られるポリマーは、そのシンジオタクティシティが低く、本来のシンジオタックティックな性質を表しているとは言い難かった。
【0004】
近年、J.A.Ewenらにより非対称な配位子を有する遷移金属触媒とアルミノキサンからなる触媒の存在下にシンジオタックティックtriad分率が0.7を超えるようなタクティシティの高いポリプロピレンが得られることが発見されている(J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255−6256、特開平2−41305)。このJ.A.Ewenらの方法により得られたポリマーは、シンジオタクティシティが高く、アイソタクティックポリプロピレンよりもエラスティックな性質を有している。またシンジオタクティシティの高いプロピレン共重合体も得られており(特開平3−200813)、シンジオタクティシティの高いプロピレン共重合体と種々のポリマーとの組成物が得られている(特開2000−191859、特開2000−191861)。シンジオタクティシティの高いプロピレン(共)重合体を軟質な成形材料として、例えば、軟質塩化ビニルや加硫ゴム等が使用されている分野に利用しようとする場合、その柔軟性やゴム弾性、機械的強度、成形性、特にネックインについては、アイソタクティックポリプロピレンよりも大きく、フィルム成形やシート成形などの加工を施すした場合、製品幅が狭く、生産性が悪いという問題があった。
【0005】
一方、従来からプロピレン系重合体にプロピレン繰返し単位の立体規則性がアイソタクティックであるエチレン−プロピレン共重合体ゴム等を配合することによりその柔軟性や耐衝撃性を改良する試みがなされているが、この方法により得られる樹脂組成物からなる成形物は、柔軟性や耐衝撃性がある程度は改良されるものの充分なものではなかった。
【0006】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究した結果、特定のシンジオタクティックプロピレン重合体とシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体とアイソタクティックプロピレン重合体と、エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体とからなる軟質シンジオタクティックポリプロピレン組成物は、透明性と柔軟性、耐衝撃性、成形性、特にネックインとのバランスに優れることを見いだして、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決しようとするものであって、透明性、柔軟性、耐衝撃性、成形性に優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、
(A)実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)とからなり、前記繰返し単位(a)が90〜100モル%の割合で、前記繰返し単位(b)が0〜10モル%の割合で、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%の割合で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの範囲にあるシンジオタクティックプロピレン系重合体5〜60重量部と、
(B)実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、エチレン成分を1〜35モル%の量含むシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体5〜40重量部と、
(C)実質的にアイソタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)とからなり、前記繰返し単位(a)が90〜100モル%の割合で、前記繰返し単位(b)が0〜10モル%の割合で、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%の割合で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあるアイソタクティックプロピレン系重合体15〜50重量部と
(D)重量平均分子量Mwが500〜10000であるテルペン樹脂あるいは石油樹脂   10〜40重量部と
(E)エチレン系重合体であって
(i)密度が0.860〜0.920g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.05〜50g/10分の範囲にあるエチレン系重合体10〜40重量部とを含み、
前記シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)と前記シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)との重量比{(A)/(B)}が20/80〜80/20の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物の態様には、上記(A)シンジオタクティックプロピレン重合体は、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であり、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求めた融点(Tm)が110<Tm<150℃の範囲にあることが好ましい。
【0010】
上記シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が4以下であり、ガラス転移温度が−5℃以下であるものがある。
【0011】
本発明では、上記(B)シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体が、プロピレンから導かれる繰返し単位を99〜65モル%、好ましくは95〜65モル%、さらに好ましくは90〜65モル%の割合で、エチレンから導かれる繰り返し単位を1〜35モル%、5〜35モル%、さらに好ましくは10〜35モル%の割合で含有する共重合体であることが好ましい。
【0012】
さらに本発明では、上記アイソタクティックプロピレン系重合体(C)は、プロピレンのtriad連鎖でみたミクロアイソタクチシティーが0.8以上であることが好ましく、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求められる融点(Tm)が125<Tm<155℃の範囲であることが好ましい。
【0013】
さらに本発明ではテルペン樹脂または石油樹脂(D)は、重量平均分子量が500〜10000で、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求められる融点(Tg)が30〜100℃の範囲にあることが好ましい。
【0014】
さらに本発明ではエチレン・α−オレフィン共重合体(E)は、密度が0.860〜0.920g/cm3 の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0015】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、透明性、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性、成形性、包装適性のバランスに優れている。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物について具体的に説明する。
【0017】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、特定のシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)と、特定のシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共系重合体(B)と、特定のアイソタクティックプロピレン系重合体(C)と、テルペン樹脂または石油樹脂(D)とエチレン・α−オレフィン共重合体(E)を含んでいる。また、本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、上記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に加えて、結晶核剤として、密度0.955〜0.97g/cm3であるエチレン系単独重合体(F)を前記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物100重量部に対して0.01〜20重量部の割合で含有してもよい。
【0018】
まず、本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に含まれる各成分について説明する。
【0019】
シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)
シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)は、プロピレンの単独重合体または、プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られるプロピレン系ランダム重合体であって、。プロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)とからなる(共)重合体であって、前記繰返し単位(a)を90〜100モル%、好ましくは92〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%の割合で含有し、前記繰返し単位(b)を0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜3モル%の割合で含有し、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%の割合で含有している。
【0020】
また、シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)は前記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に5〜60重量部、好ましくは、5〜50重量部、さらに好ましくは、5〜40重量部含有しているのが好ましい。
【0021】
ここで炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサンなどが挙げられ、このうち1−ブテンが好ましい。
【0022】
このシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.5〜10dl/g、好ましくは1.0〜6dl/g、さらに好ましくは1.0〜4dl/gの範囲にあることが望ましく、極限粘度がこのような範囲にあると、シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)は、良好な流動性を示し、他の成分と配合し易く、また得られた組成物から機械的強度に優れた成形品が得られる傾向がある。
【0023】
また、本発明で用いられるシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)を構成するプロピレンから導かれる繰返し単位は、実質的にシンジオタクティック構造であり、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーは0.6以上、好ましくは0.7以上であり、また示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求めた融点(Tm)が110<Tm<150℃、好ましくは120<Tm<150℃の範囲にあることが好ましい。シンジオタクティシティーがこのような範囲にあると結晶化速度が速く、加工性に優れる。なお、本明細書において実質的にシンジオタクティック構造であるとは、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であることを意味する。
【0024】
ここでプロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーについて説明する。 このシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)のトリアドシンジオタクティシティ(以下「rr分率」ということがある。)は、該重合体(A)の13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)により、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)比として求められる。
【0025】
rr分率(%)=PPP(rr)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)}  …(1)
(式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ13C−NMRスペクトルの下記シフト領域で観察される頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の面積である。 ここでmはメソ体、rはラセミ体を示す。)
このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレン3単位連鎖を示す。 なおメチル炭素領域内(19〜23ppm)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のような他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが観測される。rr分率を求める際には、このようなプロピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を下記のように補正する。なお、Pはプロピレンから導かれる繰返し単位を示し、Eはエチレンから導かれる繰返し単位を示す。
【0026】
▲1▼第2領域内では、プロピレン同士が頭−尾結合したPPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。 このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0027】
▲2▼第3領域内では、EPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。このメチル基ピーク面積は、EPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0028】
▲3▼第2領域および第3領域内では、エチレン・エチレンランダム共重合体中に少量含まれる、下記部分構造(i)、(ii)および(iii)で示されるような位置不規則単位中のメチル基C〜E’に由来するピークが観察される。 第2領域では、メチル基Cピーク、メチル基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、 第3領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピークが観測される。なお位置不規則単位(i)〜(iii)中のメチル基中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピークは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測され、第1〜3領域内では観測されない。
【0029】
メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。 メチル基Dのピーク面積は、構造(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近)のピーク面積の和の1/2より求めることができる。
【0030】
メチル基D’のピーク面積は、構造(iii)のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク(33.3ppm付近)の面積より求めることができる。メチル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近)のピーク面積より求めることができる。 メチル基E’のピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求めることができる。
【0031】
したがってこれらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プロピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めることができる。なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
【0032】
シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)の製造
このようなシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)の製造の際には、触媒として後述するようなシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)の製造に用いられるメタロセン系触媒が好ましく用いられる。
【0033】
また、シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)の製造の際には、上記触媒系に代えて特開平2−41303号公報、特開平2−41305号公報、特開平2−274703号公報、特開平2−274704号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平4−69394号公報、特開平5−17589号公報または特開平8−120127号公報に記載の触媒系を用いることもできる。
【0034】
具体的には、上記「発明の技術的背景」の項で述べたJ.A.Ewenらの文献「J.Am.Chem.Soc.,1988,110,6255−6256」に記載の触媒系を用いることもでき、また該文献に記載された化合物と異なる構造のものであっても、プロピレンの単独重合体を製造したときに、得られる重合体のシンジオタックティックtriad分率(A.ZambelliらMacromolecules vol 6 687(1973).同vol 8 925(1975))が前述したような値、例えば、0.5以上程度の比較的タクティシティーが高い重合体を与える触媒系であれば利用でき、例えば、互いに非対称な配位子を有する架橋型遷移金属化合物と有機アルミニウム等の助触媒とからなる触媒系が挙げられる。
【0035】
このような触媒系を構成する互いに非対称な配位子を有する架橋型遷移金属化合物としては、例えば、上記文献に記載されたジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ハフニウムジクロリド、あるいはイソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル(フルオレニル)シランチタンジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0036】
本発明で用いられるシンジオタクティックプロピレン系重合体(A)を、上記のような触媒の存在下に製造する場合には、プロピレンと、必要に応じてエチレンおよび炭素原子数が4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンとを、最終的に上記のような特性を有するように重合させる。重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
【0037】
液相重合法では、重合媒体としてプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などの不活性炭化水素溶媒を用いることができ、またプロピレンを溶媒として用いることもできる。
【0038】
重合は、懸濁重合法を実施する際には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で行われることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の温度で行われることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われることが望ましい。重合は、通常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは常圧〜50kg/cm2 の圧力下で行われる。 重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。 得られるシンジオタクティックプロピレン重合体(A)の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
【0039】
シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)
シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、プロピレンから導かれる繰返し単位を、99〜65モル%、好ましくは95〜65モル%、より好ましくは90〜65モル%、エチレンから導かれる繰返し単位を1〜35モル%、好ましくは5〜35モル%、より好ましくは10〜35モル%の割合で含有している。
【0040】
このような割合でエチレンとプロピレン成分を含有するシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、シンジオタクティックプロピレン重合体(A)およびアイソタクティックプロピレン重合体(C)、テルペン樹脂または石油樹脂(D)、エチレン系重合体(E)との相溶性が良好であり、得られる軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、充分な透明性、柔軟性、ヒートシール性、耐衝撃性を発揮する傾向がある。
【0041】
このシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、非晶性であり、ヤングモジュラスが150MPa以下、好ましくは100MPa以下、より好ましくは50MPa以下である。なお、上記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)、後述するアイソタクティックプロピレン系重合体(C)のヤングモジュラスは、通常300MPa以上である。
【0042】
このようなシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあることが望ましい。該α−オレフィン重合体(B)の極限粘度[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物となる。
【0043】
このシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度(Tg)が、通常−5℃以下、好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−15℃以下であることが望ましい。該シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が前記範囲内にあると、耐寒性、低温特性に優れる。
【0044】
またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は4.0以下であることが好ましく、特に3.5以下であることが好ましい。またこのシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、前記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物に5〜40重量部、好ましくは、5〜30重量部、さらに好ましくは5〜25重量部含有している。
【0045】
シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)の製造
このようなシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は、下記に示すメタロセン系触媒の存在下にプロピレンから導かれる繰り返し単位が99〜65モル%、エチレンから導かれる繰り返し単位が1〜35モル%となるようにプロピレンとエチレンを共重合させて得られる。
【0046】
このようなメタロセン系触媒としては、
下記成分(a)と、
下記成分(b)、(c)および(d)のうちから選択される1種以上の化合物からなる少なくとも1つの触媒系の存在下に得られる。
【0047】
(a):下記式(1)で表される遷移金属錯体
【0048】
【化1】
Figure 2004107490
【0049】
[式(I)中、MはTi、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであり、Cp1およびCp2はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、ZはC、O、B、S、Ge、SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
(b)上記遷移金属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、
(c):有機アルミニウム化合物
(d):アルモキサン。
【0050】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条件下に行なわれる。
【0051】
また反応時間(重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0052】
プロピレンとエチレンは、上述のような特定組成のシンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)が得られるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0053】
上記のようにしてプロピレンとエチレンを共重合させると、シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)が得られる。
【0054】
アイソタクティックプロピレン系重合体(C)
アイソタクティックプロピレン系重合体(C)は、プロピレンの単独重合体または、プロピレンとエチレンまたは炭素原子数4〜20のα−オレフィンとから得られるプロピレン系ランダム共重合体であって、プロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)からなり、前記繰返し単位(a)を90〜100モル%、好ましくは90〜99モル%、さらに好ましくは92〜98モル%の割合で含有し、前記繰返し単位(b)を0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜3モル%の割合で含有し、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%の割合で含有している。
【0055】
ここで炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサンなどが用いられ、このうち1−ブテンが好ましい。
【0056】
このアイソタクティックプロピレン系重合体(C)の135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が0.5〜6dl/g、好ましくは1.0〜4dl/gの範囲にあることが望ましく、極限粘度がこのような範囲にあると、良好な流動性を示し、他の成分と配合し易く、また得られた組成物から機械的強度に優れた成形品が得られる傾向がある。
【0057】
また、本発明で用いられるアイソタクティックプロピレン系重合体(C)は示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求められる融点(Tm)が125<Tm<155℃の範囲、好ましくは130<Tm<150℃の範囲にあることが好ましい。このような範囲にあると結晶化速度が速く、加工性に優れる。
【0058】
テルペン樹脂あるいは石油樹脂(D)
本発明に係るテルペン樹脂あるいは石油樹脂(D)は、下記のような特性を有していることが好ましい。
【0059】
(i)重量平均分子量が500〜1000、好ましくは500〜7000、更に好まし  くは500〜5000。
示差走査熱量計(DSC)の吸熱曲線によって得られるガラス転移温度(Tg)が、30〜100℃の範囲、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜100℃の範囲にあることが好ましい。
【0060】
このような特性を有するテルペン樹脂及び石油樹脂は耐熱性及び耐変色性に優れ、
これを添加することによって、透明性及び粘着性、応力緩和性に優れた材料が得られる。メルトテンション(MT)が高いので、成形性が良好である。なお、メルトテンション(MT(g))は、溶融させたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することにより決定される。
【0061】
エチレン系重合体(E)
本発明に係るエチレン系重合体(E)は、単独重合体でも炭素数3〜20のαオレフィンとの共重合体であってもどちらでも良く、またこれらを併用して用いても良い。また下記のような特性を有していることが好ましい。
【0062】
エチレン系重合体(E)がエチレンと炭素数3〜20のαオレフィンとの共重合体である場合は、炭素数3〜20のαオレフィンを5〜30mol%、好ましくは、8〜25mol%、さらに好ましくは、10〜20mol%の量で含有していることが好ましく、αオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンのいずれかであることが好ましい。
【0063】
このようなエチレン系重合体は、密度が、0.860〜0.920g/cm3 、好ましくは0.870〜0.920g/cm3 、より好ましくは0.880〜0.910g/cm3 の範囲にある。また、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが、0.05〜50g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分、より好ましくは0.5〜30g/10分の範囲にある。
【0064】
このようなエチレン系重合体(E)がエチレン単独重合体である場合は、例えば、チタン系触媒を用いて高圧法により製造することができるし、エチレン・αオレフィン系共重合体である場合は、例えば、バナジウム系触媒、メタロセン系触媒を用いて、溶液重合法により製造することができる。
【0065】
エチレン系単独重合体(F)
本発明に係わるエチレン系単独重合体(F)は、前記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは、1〜10重量部の割合で含有してもよい。
【0066】
軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、前記シンジオタクティックプロピレン重合体(A)と前記シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)との重量比{(A)/(B)}が20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは30/70〜60/40の範囲にある。
【0067】
上記のような割合で(A)、(B)、(C)、(D)、(E)必要に応じて(F)を含有する軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、透明性、柔軟性、ヒートシール性、耐衝撃性、耐熱性、成形性、包装適性に優れる傾向がある。
【0068】
このような軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなる成形物は、メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)が、通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは1〜40g/10分である。
【0069】
軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物の製造
上記のような軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、各成分を上記のような範囲で種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
【0070】
この軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物には、防曇剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、発錆防止剤、下記に詳述する「その他の共重合体」(エラストマー、エラストマー用樹脂など)等を、本発明の目的を損わない範囲で配合することもできる。
【0071】
その他の共重合体
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物には、必要により「その他の共重合体」が含まれていてもよい。 このような「その他の共重合体」としては、水添されていてもよい芳香族炭化水素系ブロック共重合体(F)、エチレン・α−オレフィンブロック共重合体(G)、エチレン・トリエン共重合体(H)、およびエチレン・ジエン共重合体(I)などが挙げられる。これらの共重合体は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0072】
成形体
上記のような本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、従来公知のポリオレフィン用途に広く用いることができ、例えばフィルム及びシート、未延伸または延伸フィルム、フィラメントなどを含む種々の形状の成形体に成形して利用することができる。
【0073】
成形体として具体的には、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得られる成形体が挙げられる。
【0074】
以下に数例挙げて成形体を説明する。 本発明に係る成形体がたとえば押出成形体である場合、その形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシート、フィルム(未延伸)、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、フィルム、フィラメントなどが好ましい。
【0075】
軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を押出成形する際には、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、たとえば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融したシンジオタクティックポリプロピレン組成物をTダイなどから押出すことによりシートまたはフィルム(未延伸)などに成形することができる。
【0076】
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方法により延伸して得ることができる。
【0077】
シートまたは未延伸フィルムを延伸する際の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度である。延伸によって、厚み5〜200μm程度の延伸フィルムを得ることが望ましい。
【0078】
また、フィルム状成形体として、インフレーションフィルムを製造することもできる。本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物をインフレーション成形するとドローダウンが生じにくい。
【0079】
上記のような本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなるシートおよびフィルム成形体は、単層として使用可能であるが、用途によっては、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリエステルなどの極性基含有樹脂との積層体であることが好ましく、これらの積層体の少なくとも1種がアルミナなどにより蒸着されていてもよい。
【0080】
このような本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなる単層シートおよびフィルムまたは上記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を含む積層シート及びフィルムは帯電しにくく、引張弾性率などの柔軟性、耐熱性、ヒートシール性、耐衝撃性、耐老化性、透明性、透視性、光沢、剛性、防湿性およびガスバリヤー性に優れており、包装用フィルムや医療容器などとして幅広く用いることができる。特に防湿性に優れるため、業務用ラップ、家庭用ラップ、薬品の錠剤、カプセルなどの包装に用いられるプレススルーパック(press through pack)、医療バッグなどに好適に用いられる。
【0081】
フィラメントは、たとえば溶融した軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。このようにして得られたフィラメントを、さらに延伸してもよい。この延伸は、フィラメントの少なくとも一軸方向が分子配向する程度に行なえばよく、通常5〜10倍程度の倍率で行なうことが望ましい。本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなるフィラメントは帯電しにくく、また透明性、剛性、耐熱性および耐衝撃性に優れている。
【0082】
射出成形体は、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を種々の形状に射出成形して製造することができる。本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなる射出成形体は帯電しにくく、剛性、耐熱性、耐衝撃性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れており、自動車内装用トリム材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器など幅広く用いることができる。
【0083】
ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物をブロー成形することにより製造することができる。
【0084】
たとえば押出ブロー成形では、上記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を樹脂温度100℃〜300℃の溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形体を製造することができる。延伸(ブロー)倍率は、横方向に1.5〜5倍程度であることが望ましい。
【0085】
また、射出ブロー成形では、上記軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物を樹脂温度100℃〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度120℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形体を製造することができる。
【0086】
延伸(ブロー)倍率は、縦方向に1.1〜1.8倍、横方向に1.3〜2.5倍であるであることが望ましい。
【0087】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなるブロー成形体は、透明性、剛性、耐熱性および耐衝撃性に優れるとともに防湿性にも優れている。
【0088】
プレス成形体としてはモールドスタンピング成形体が挙げられ、たとえば基材と表皮材とを同時にプレス成形して両者を複合一体化成形(モールドスタンピング成形)する際の基材を本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物で形成することができる。
【0089】
このようなモールドスタンピング成形体としては、具体的には、ドアートリム、リアーパッケージトリム、シートバックガーニッシュ、インストルメントパネルなどの自動車用内装材が挙げられる。
【0090】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、透明性、高剛性を示し、たとえばエラストマー成分を含有していても充分に高い剛性を示すので、種々の高剛性用途に用いることができる。たとえば特に自動車内外装材、家電のハウジング、各種容器などの用途に好適に利用することができる。
【0091】
本発明に係る軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物からなるプレス成形体は帯電しにくく、剛性、耐熱性、透明性、耐衝撃性、耐老化性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れている。
【0092】
本発明の軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物は、上述したような各種成形法により成形して、例えば下記の用途に好適に使用することができる。
【0093】
フィルム:多層延伸フィルム、多層未延伸フィルム、ラミネートフィルム、シュリンクフィルム、ストレッチフィルム、ラップフィルム、プロテクトフィルム、レトルトフィルム、多孔性フィルム、バリアーフィルム、金属蒸着フィルム、農業用フィルム。
【0094】
シートおよびシート成形品:壁紙、発泡シート、電線被覆、プリスター包装、トレー、文具、食品容器、玩具、化粧品容器、医療器具、洗剤容器、床材、クッションフロワー、化粧シート、靴底。
【0095】
ブロー品:ボトル
押出品:チューブ、電線被覆、ケーブル被覆、パイプ、ガスケット ファイバー:繊維、フラットヤーン 。
【0096】
不織布および不織布製品:不織布、フィルター。
【0097】
射出品:自動車内装表皮材、自動車外装材、日用雑貨品、家電製品、キャップ、コンテナ、パレット
改質材:粘接着剤、潤滑油添加剤、ホットメルト接着剤、トナー離型剤、顔料分散剤、アスファルト改質材。
【0098】
その他:シーラント、真空成形体、パウダースラッシュ体。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、耐衝撃性、柔軟性、耐熱性、耐傷付性、成形性、包装適性などのバランスに優れた成形物が得られる。
【0100】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
【0101】
以下、物性試験条件等を記す。
【0102】
1.融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg);
DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTmとする。 測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0103】
2.極限粘度[η]; 135℃、デカリン中で測定した。
【0104】
3.Mw/Mn; GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。
【0105】
4.密度;190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
【0106】
5.共重合体の組成;13C−NMRにより決定した。すなわち、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体パウダーを1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz 、スペクトル幅1500Hz 、パルス繰返し時間4.2sec 、パルス幅6μsec の測定条件下で測定することにより決定される。
【0107】
6.メルトフローレート(MFR);共重合体の造粒ペレットを使用して、ASTM  D1238−65Tに従いエチレン系重合体の場合は190℃、プロピレン系の場合は230℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。
【0108】
【プレス成形】
厚み1mm、80×80mmの形状を有する金型に、ヘ゜レットを充填し、200℃、3分にて溶融させたのち、100kg/cm2の圧力で2分、プレスしたのち、20℃で3分、冷却を行い所望のシートを得た。
7.引張試験
7−1.引っ張り弾性率;JIS  K6301に準拠して、JIS3号ダンベルを用い、スパン間:30mm、引っ張り速度:30mm/minで23℃にて測定した。
【0109】
7−2.針侵入温度(℃);JIS  K7196に準拠し、厚さ1mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、針進入温度(℃)を求めた。
【0110】
【単層フィルム成形】
30mmφの1軸押出機にダイス幅250mmのダイスを下向き装着し、ダイリップ0.5mm、ダイス温度230℃、ロール温度23℃、引き取り速度10m/minでキャスト成形を行い、厚み15ミクロンのキャストフィルムを得た。
【0111】
8.フィルムヘイズ(%); 厚さ20ミクロンの試験片を用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」にて測定した。
【0112】
9.フィルムインパクト(KJ/m); 無延伸の厚さ20ミクロンのキャストフィルムを用い、ASTM D3420に準拠して−15℃にて測定を行った。
【0113】
10.復元性(%); 無延伸の厚さ20ミクロン、直径50mmのキャストフィルムを用い、1/2インチの突出棒を用い、スピード100mm/minで、15mm変位を与えた後の残留歪みを測定し、以下のようにして算出した。
【0114】
復元性(%)=[15mm−残留歪み(mm)]/15mm  。
【0115】
11.ネックイン評価;上記フィルム成形条件で作成したフィルムの幅を測定し、以下のように算出した。
【0116】
ネックイン(mm)=250mm−フィルム幅(mm) 。
【0117】
【合成例1】
シンジオタクティックプロピレン重合体の合成
特開平2−274763号公報に記載の方法に従い、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノキサンからなる触媒を用いて、水素の存在下でプロピレンの塊状重合法によってシンジオタクチックポリプロピレンを得た。得られたシンジオタクチックポリプロピレンのメルトフローインデックスは、4.4g/10分であり、GPCによる分子量分布は2.3であり、13C−NMRによって測定されたシンジオタクチックtriad分率は0.823であり、示差走査熱量分析で測定したTmは127℃であり、Tcは57℃であった。また極限粘度は[η]=1.63dl/gであった。
【0118】
【合成例2】
シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体の合成(B−1)
減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを750ml加え、続いてTIBAの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子に換算してその量が0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、攪拌下にプロピレンを50.7リットル(25℃、1気圧)挿入し、昇温を開始し30℃に到達させた。その後、系内をエチレンで5.5kg/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.0002mM/ml)を3.75ml、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.002mM/ml)を2.0ml加え、プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドが0.001ミリモル/リットル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.004ミリモル/リットルであった。
【0119】
重合中、エチレンを連続的に供給することにより、内圧を5.5kg/cm2Gに保持した。重合を開始して30分後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。以上のようにして得られたプロピレン・エチレン共重合体の収量は50gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.4dl/gであり、ガラス転移温度Tgは−28℃であり、エチレン含量は24.0モル%であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.9であった。また、前述のDSC測定条件では融解ピークは、実質的に観測されなかった。
【0120】
【合成例3】
(シンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体の合成)(B−2)
合成例1において、重合温度を10℃、エチレンの圧力を7kg/cm2、重合時間を15分に変えた以外は、合成例1と同様な操作を行った。得られたプロピレン・エチレン共重合体の収量は、33gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、2.0dl/gであり、ガラス転移温度Tgは−54℃であり、エチレン含量は、45モル%であり、GPCによる分子量分布は2.9であった。また、前述のDSC測定条件では融解ピークは、実質的に観測されなかった。
【0121】
アイソタクティックプロピレン系重合体(C−1)
(株)グランドポリマー製グランドポリプロ、F317DV(エチレン含量2.7モル%、  ブテン含量1.4モル%、[η]=1.7dl/g、Tm=145℃)を用いた。
テルペン樹脂(D−1)
ヤスハラケミカル(株)製、クリアロンP125(Tg=68℃)を用いた。
【0122】
エチレン系単独重合体(E−1)
三井化学(株)製ミラソン、M11P(MFR=7.9g/10min、MT=3.3g、)を用いた。
【0123】
エチレン・ブテン共重合体(E−2)
三井化学(株)製タフマー、A4085(MFR=4.1g/10min、d=0.885g/cm3)を用いた。
【0124】
エチレン・ブテン共重合体(F−1)
三井化学(株)製ハイゼックス、2200J(MFR=5.1g/10min、d=0.967g/cm3)を用いた。
【0125】
【実施例1】
上記合成例1で得られたシンジオタクティックプロピレン重合体10重量部と、上記合成例2で得られたシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体10重量部と、上記記載のアイソタクティックプロピレン系重合体(C−1)25重量部と上記記載のテルペン樹脂(D−1)20重量部、上記記載のエチレン系単独重合体(E−1)10重量部、上記記載のエチレン・ブテン共重合体(E−2)25重量部を2軸混練機にて200℃でペレタイズを行った。得られた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物のペレットを前記の条件でプレス成形及び単層フィルム成形を行った。ただしフィルム成形時は、エアーチャンバー及びエアースポットは使用しなかった。
【0126】
得られたフ゜レスシートの引っ張り弾性率;170Mpa、針進入温度は135℃であった。得られた単層フィルムのヘイズは0.7%、フィルムインパクトは6KJ/m復元性は72%、ネックインは120mmであった。
【0127】
【実施例2】
上記合成例1で得られたシンジオタクティックプロピレン重合体25重量部と、上記合成例2で得られたシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体15重量部と、上記記載のアイソタクティックプロピレン系重合体(C−1)10重量部と上記記載のテルペン樹脂(D−1)20重量部、上記記載のエチレン系単独重合体(E−1)10重量部、上記記載のエチレン・ブテン共重合体(E−2)20重量部を2軸混練機にて200℃でペレタイズを行った。得られた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物のペレットを前記の条件でプレス成形及び単層フィルム成形を行った。ただしフィルム成形時は、エアーチャンバー及びエアースポットは使用しなかった。
【0128】
得られたフ゜レスシートの引っ張り弾性率;130Mpa、針進入温度は125℃であった。得られた単層フィルムのヘイズは0.3%、フィルムインパクトは5KJ/m、復元性は74%、ネックインは140mmであった。
【0129】
【実施例3】
上記合成例1で得られたシンジオタクティックプロピレン重合体10重量部と、上記合成例2で得られたシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体10重量部と、上記記載のアイソタクティックプロピレン系重合体(C−1)20重量部と上記記載のテルペン樹脂(D−1)20重量部、上記記載のエチレン系単独重合体(E−1)10重量部、上記記載のエチレン・ブテン共重合体(E−2)25重量部、三井化学(株)製ハイゼックス、2200J(F−1)5重量部を2軸混練機にて200℃でペレタイズを行った。得られた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物のペレットを前記の条件でプレス成形及び単層フィルム成形を行った。ただしフィルム成形時は、エアーチャンバー及びエアースポットは使用しなかった。
【0130】
得られたフ゜レスシートの引っ張り弾性率;150Mpa、針進入温度は133℃であった。得られた単層フィルムのヘイズは1.1%、フィルムインパクトは6KJ/m、復元性は72%、ネックインは100mmであった。
【0131】
【比較例1】
上記実施例1で用いられシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体(B−1)を合成例3で得られたシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体(B−1)に変えた以外は、実施例1と同様に行った。得られたフ゜レスシートの引っ張り弾性率;130Mpa、針進入温度は133℃であった。得られた単層フィルムのヘイズは2.5%、フィルムインパクトは7KJ/m、復元性は62%、ネックインは140mmであった。
【0132】
【比較例2】
上記合成例1で得られたシンジオタクティックプロピレン重合体15重量部と、上記合成例2で得られたシンジオティックプロピレン・エチレン共重合体15重量部と、上記記載のアイソタクティックプロピレン系重合体(C−1)30重量部と上記記載のエチレン系単独重合体(E−1)10重量部、上記記載のエチレン・ブテン共重合体(E−2)30重量部を2軸混練機にて200℃でペレタイズを行った。得られた軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物のペレットを前記の条件でプレス成形及び単層フィルム成形を行った。ただしフィルム成形時は、エアーチャンバー及びエアースポットは使用しなかった。
【0133】
得られたフ゜レスシートの引っ張り弾性率;160Mpa、針進入温度は137℃であった。
得られた単層フィルムのヘイズは2.7%、フィルムインパクトは8KJ/m、復元性は64%、ネックインは150mmであった。

Claims (4)

  1. 1)シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)5〜60重量部
    2)シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)5〜40重量部
    3)アイソタクティックプロピレン系重合体(C)15〜50重量部
    4)テルペン樹脂あるいは石油樹脂(D)10〜40重量部
    5)エチレン系重合体(E)10〜50重量部 からなり
    前記シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)と前記シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)との重量比{(A)/(B)}が20/80〜80/20の範囲にあることを特徴とする軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物。
  2. 1)シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)が実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)とからなり、前記繰返し単位(a)を90〜100モル%の割合で、前記繰返し単位(b)を0〜10モル%の割合で、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%の割合で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの範囲にあり、
    2)シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)が実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、エチレン成分を1〜35モル%の量含み、
    3)アイソタクティックプロピレン系重合体(C)が実質的にアイソタクティック構造であるプロピレンから導かれる繰返し単位(a)と、必要に応じてエチレンから導かれる繰返し単位(b)および/または炭素原子数4〜20のα−オレフィンから導かれる繰返し単位(c)とからなり、前記繰返し単位(a)を90〜100モル%の割合で、前記繰返し単位(b)を0〜10モル%の割合で、前記繰返し単位(c)を0〜9.5モル%の割合で含有し、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜6dl/gの範囲にあり、
    4)テルペン樹脂あるいは石油樹脂(D)の重量平均分子量Mwが500〜10000であり、
    5)エチレン系重合体(E)が
    (i)密度が0.860〜0.920g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.05〜50g/10分の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の軟質シンジオタクティックポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. シンジオタクティックプロピレン系重合体(A)のプロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であり、示差走査型熱量計(DSC)の吸熱曲線から求めた融点(Tm)が110<Tm<150℃の範囲にあり、 シンジオタクティック構造プロピレン−エチレン共重合体(B)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた分子量分布(Mw/Mn)が4以下であり、ガラス転移温度が−5℃以下である請求項1ないし2に記載の軟質シンジオタクティックポリプロピレン系組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のシンジオタクティックプロピレン系組成物からなることを特徴とする成形体。
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