明 細 書
ァリールエステル類製造用触媒およびそれを用いたァリールエステル類製造法 技術分野
本発明は、 ァリール炭酸エステルゃァリ一ルカルボン酸エステル等のァリール エステル類製造用触媒およびそれを用いたァリールエステル類製造法に関する。
背景技術
ァリール炭酸ェステルを製造する方法に関しては種々の方法が知られており、 例えば、 炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による方 法、 アルキルァリール炭酸ェステルのエステル交換反応による不均化による方法 があげられる。 これらのエステル交換反応には触媒力く必要であり、 様々な触媒が 提案されている。 たとえばルイス酸あるいはルイス酸を発生する化合物、 T i系 、 Aし系の化合物、 鉛化合物、 有機錫化合物などを触媒として用いることが提案 されている。
また、 ァリールカルボン酸エステルの工業的製造方法としては、 芳香族ヒドロ キシ化合物と脂肪族カルボン酸とをエステル化させる方法、 フヱノールと酢酸ィ ソブロぺニルあるいはジケテンのような活性の高い反応原料とをエステル化させ る方法等が知られている。 しかしな力くら、 脂肪族カルボン酸エステルと芳香族ヒ ドロキシ化合物のエステル交換反応による工業的な製造方法において、 固体の不 均一触媒を用いた方法は知られていない。
上述の方法で使用する触媒はすべて原料中に触媒が溶解して反応する均一系の 触媒で、 反応後の触媒の分離が困難であり工業的に実施するには問題のある触媒 である。
このような分離の問題を解決するため、 特公昭 6 1 - 5 4 6 7号公報にはシリ カーチタニア複合酸化物を不均一系触媒として用いることが提案されており、 特 開平 4— 2 6 6 8 5 6号公報には高表面積酸化チタンを触媒として用いることが 提案されている。 しかしながら、 前者はその酸性質が強く、 副反応である脱炭酸
反応が起こりやすく、 後者は活性が低い。 また、 両者とも反応開始時は不均一系 であっても、 反応が進行するに伴い、 原料中に触媒成分がかなり溶解し、 実質的 には均一系となんら変わることがなく、 課題を解決する手段としては十分ではな い。 発明の開示
発明の目的
本発明の目的は、 反応後の触媒の分離が容易であり、 かつ高収率、 高選択的で 工業的に有利にァリールエステル類を製造するための触媒を提供することにある 本発明の他の目的は、 ァリールエステル類を製造するに際して、 反応液に不溶 性の触媒を用いることにより、 反応後の触媒の分離が容易でかつ高収率、 高選択 的で工業的に有利にァリ一ルエステル類を製造する方法を提供することにある。 発明の概要
( 1 ) 本発明の第 1の見地に立つァリールエステル類の製造方法は、 下記一般 式 。 I I )
(R1 0) CO (OR3 ) - ( I I I )
(式中、 R1 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R3 は置換基を有していてもよいァリ —ル基を表す。 ) で表されるァリール炭酸エステルの製造方法であって、 下記一 般式 ( I )
(R1 0) CO (OR2 ) … ( I )
(式中、 R' はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基 またはァリールアルキル基を表す。 ) で表される炭酸エステルと、 下記一般式 (
I I )
R3 〇 H - ( I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを I V族金属元素を舍むマイクロボーラス
マテリアル不均一系触媒の存在下、 液相でエステル交換させる方法である。
(2 ) 本発明の第 2の見地に立つァリールエステル類の製造方法は、 下記一般 式 (V)
Rz COOR3 … (V)
(式中、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるァリールカルボン酸エステルの製造方法であって、 下記一般式 ( I V )
Rz COOR4 - ( I V)
(式中、 Rz はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R4 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表す。 ) で 表される脂肪族カルボン酸エステルと、 下記一般式 ( I I )
R3 OH - ( I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを I V族金属元素を舍むマイクロボ一ラス マテリアル不均一系触媒の存在下、 液相でエステル交換させる方法である。
( 3 ) 本発明の第 3の見地に立つァリールエステル類の製造方法は、 下記一般 式 (V 1
(R 3 0) CO (OR3 ) - (V I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるジァリール炭酸エステルの製造方法であって、 下記一般式 (V I ) (R2 0) CO (OR3 ) - (V I )
(式中、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるアルキルァリール炭酸エステルを、 I V族金属元素を舍むマイクロボ 一ラスマテリアル不均一系触媒の存在下、 液相でエステル交換による不均化反応 させる方法である。
(4 ) 本発明の第 4の見地に立つァリールエステル類の製造方法は、 下記一般 式 ( I X)
(R7 0) CO (OR8 ) - ( I X)
(式中、 R7 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R8 は置換基を有していてもよいァリ 一ル基を表す。 )
表されるァリール炭酸エステルの製造方法であって、
下記一般式 (V I I I )
R5 C00R6 - (V I I I )
(式中、 R5 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R6 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるァリールカルボン酸エステルと、 下記一般式 ( I )
(R1 0) CO (OR2 ) - ( I )
(式中、 R' はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基 またはァリールアルキル基を表す。 ) で表される炭酸エステルとを I V族金属元 素を舍むマイクロボーラスマテリアル不均一系触媒の存在下、 液相でエステル交 換させる方法である。
( 5 ) 本発明の触媒は、 下記一般式 ( I )
(R1 0) CO (0RZ ) …( I )
(式中、 R1 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基 またはァリールアルキル基を表す。 ) で表される炭酸エステルと、 下記一般式 ( I I )
R3 0 H - ( I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを触媒の存在下、 液相でエステル交換させ 、 下記一般式 ( I I I )
(R1 0) CO (OR3 ) - ( I I I )
(式中、 R1 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R3 は置換基を有していてもよいァリ
一ル基を表す。 ) で表されるァリール炭酸エステルを製造する際に用いる触媒で あり、 I V族金属元素を舍むマイクロポーラスマテリアルを舍有する。
( 6 ) 本発明の触媒は、 下記一般式 ( I V)
Rz COOR4 - ( I V)
(式中、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R4 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表す。 ) で 表されるエステルと、 下記一般式 ( I I )
R3 0 H - ( I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表される芳香族ヒドロキシ化合物とを触媒の存在下、 液相でエステル交換させ 下記一般式 (V)
R2 COOR3 …(V)
(式中、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるァリールカルボン酸エステルを製造する際に用いる触媒であり、 I V 族金属元素を舍むマイクロボーラスマテリアルを舍有する。
( 7 ) 本発明の触媒は、 下記一般式 (V I )
(R 2 0) CO (OR3 ) - (V I )
(式中、 Rz はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるアルキルァリール炭酸エステルを触媒の存在下、 液相でエステル交換 による不均化反応を行い、 下記一般式 (V I I )
(R 3 0) CO (OR3 ) - (V I I )
(式中、 R3 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるジァリール炭酸エステルを製造する際に用いる触媒であり、 I V族金 属元素を舍むマイクロボーラスマテリアルを舍有する。
( 8 ) 本発明の触媒は、 下記一般式 (V I I I )
R5 COOR6 - (V I I I )
(式中、 R5 はアルキル基、 シクロアルキル基またはァリールアルキル基を表し 、 R6 は置換基を有していてもよいァリール基を表す。 )
で表されるァリールカルボン酸エステルと、 下記一般式 ( I )
(R1 0) CO (OR2 ) … ( I )
(式中、 R1 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R2 はアルキル基、 シクロアルキル基 またはァリールアルキル基を表す。 ) で表される炭酸エステルとを触媒の存在下 、 液相でエステル交換させ、 下記一般式 ( I X)
(R7 0) CO (OR8 ) - ( I X)
(式中、 R7 はアルキル基、 シクロアルキル基、 ァリールアルキル基または置換 基を有していてもよいァリール基を表し、 R8 は置換基を有していてもよいァリ 一ル基を表す。 )
で表されるァリール炭酸エステルを製造する際に用いる触媒であり、 I V族金属 元素を舍むマイクロボーラスマテリアルを舍有する。
前記 ( 1 ) 〜 ( 4 ) の製造方法において、 I V族金属元素を舍むマイクロボ一 ラスマテリアルはメタロシリゲートまたはメタ口アルミノフォスフェートである ことが好ましい。
前記 ( 1 ) または (2 ) の製造方法において、 前記 I V族金属元素を舍むマイ クロボーラスマテリアルは結晶性チタノシリゲートまたは結晶性チタノアルミノ フォスフヱートであることがさらに好ましい。
前記 (3) または (4 ) の製造方法において、 前記 I V族金属元素を舍むマイ クロボーラスマテリアルはメソボアチタノシリケ一トまたは結晶性チタノアルミ ノフォスフェートであることがさらに好ましい。
前記 (5) 〜 (8) の製造に用いる触媒において、 前記 I V族金属元素を舍む マイクロボーラスマテリアルはメタロシリケートまたはメタ口アルミノフォスフ エートであることが好ましい。
前記 (5) または (6 ) の製造に用いる触媒において、 前記 I V族金属元素を 舍むマイク口ポーラスマテリアルは結晶性チタノシリゲートまたは結晶性チタノ アルミノフォスフヱートであることがさらに女子ましい。
前記 (7 ) または (8 ) の製造に用いる触媒において、 前記 I V族金属元素を 舍むマイクロボーラスマテリアルはメソボアチタノシリゲートまたは結晶性チタ ノアルミノフォスフヱートであることがさらに好ましい。
以下本発明を詳しく説明する。
本発明に係るァリールエステル類としては、 例えば、 ァリール炭酸エステルや ジァリール炭酸エステル、 ァリールカルボン酸エステル等が挙げられる。
製造方法
前記 ( 1 ) の方法で製造されるァリール炭酸エステルのうち、 アルキルァリー ル炭酸エステルは、 例えば前記 (3 ) の方法のように、 I V族金属元素を舍むマ イクロボーラスマテリアル不均一系触媒の存在下で、 エステル交換反応による不 均化反応によってジァリール炭酸ェステルへ転化することができる。 この不均化 反応は、 公知のチタン、 スズ、 鉛等の均一系触媒の存在下で行ってもよい。
前記 (2 ) の方法で製造されたァリールカルボン酸エステルは、 例えば前記 ( ) の方法のように、 I V族金属元素を舍むマイクロボーラスマテリアル不均一 系触媒の存在下で、 炭酸エステルとのエステル交換反応によってァリール炭酸ェ ステルへ転化することができる。 このエステル交換反応は、 公知のチタン、 スズ 、 鉛等の均一系触媒の存在下で行ってもよい。
前記ジァリール炭酸エステルを製造する一例である (3 ) の方法で使用するァ ルキルァリール炭酸エステルは、 例えば、 前記 ( 1 ) の方法を用いて、 I V族金 属元素を舍むマイクロボーラスマテリアル不均一系触媒の存在下、 炭酸エステル と芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得ることができる。 こ のエステル交換反応は、 公知のチタン、 スズ、 鉛等の均一系触媒の存在下で行つ てもよい。
前記ァリール炭酸エステルを製造する一例である (4 ) の方法で使用するァリ 一ルカルボン酸エステルは、 例えば、 前記 (2 ) の方法を用いて、 I V族金属元 素を舍むマイクロボーラスマテリアル不均一系触媒の存在下で、 脂肪族力ルポン 酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得ることが できる。 このエステル交換反応は、 公知のチタン、 スズ、 鉛等の均一系触媒の存 在下で行ってもよい。
本発明においては、 最終目的とするァリールエステル類を製造する場合 (後段 反応) と、 後段反応での原料となるァリールエステル類を製造する場合 (前段反 応) の両方の反応を均一系触媒の存在下で行う場合は舍まない。
前記 ( 1 ) の反応で使用する原料の炭酸エステルとしては、 前記一般式 ( I ) で表される炭酸エステルであれば特に限定されないが、 具体的には、 炭酸ジメチ ル、 炭酸ジェチル、 炭酸ノルマルプロビル、 炭酸イソプロピル、 炭酸ジブチル ( 各異性体) 、 炭酸ジペンチル (各異性体) 、 炭酸ジへキシル (各異性体) 、 炭酸 ジヘプチル (各異性体) 、 炭酸ジォクチル (各異性体) 、 炭酸ジノニル (各異性 体) 、 炭酸ジデシル (各異性体) 、 炭酸ジシクロへキシル (各異性体) 、 炭酸ジ ベンジル (各異性体) 、 炭酸ジフ ネチル (各異性体) 、 炭酸ジーメチルベンジ ル (各異性体) などの脂肪族炭酸エステル類;炭酸メチルフエニル、 炭酸ェチル フヱニル等のアルキルァリ一ル炭酸エステルが挙げられ、 これらの混合物でも良 い。 特に工業的には炭酸ジメチルが好適に用いられる。
前記 ( 1 ) または前記 (2 ) の反応で使用する原料の芳香族ヒドロキシ化合物 としては、 フヱノール; 0—、 m—または p —クレゾール; 0—、 m—または p 一クロコフエノ一ノレ; 0—、 m—または p —ェチルフエノール; 0—、 m—また は P—イソプロビルフエノール; 0—、 m—または p—メ トキシフエノール;キ シレノール類; なまたは ?—ナフトールなどが挙げられ、 これらの混合物でも良 い。 中でも工業的にはフヱノールが好適に用いられる。
( 2 ) の反応で使用する原料の脂肪族カルボン酸エステルとしては、 前記一般 式 ( I I I ) で表されるエステルであれば特に限定されないが、 具体的には、 酢 酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 醉酸シクロへキシル、 醉酸 ベンジル、 酢酸 2—ェチルへキシル、 プロピオン酸メチル、 プロピオン酸ェチル 、 プロビオン酸プロビル、 プロビオン酸プチル、 酪酸メチル、 酷酸ェチル、 酩酸 プロビル、 イソ酪酸メチル、 イソ酸酸ェチル、 イソ酸酸プロビル、 吉草酸メチル 、 吉草酸ェチル、 吉草酸プロビル、 イソ吉草酸メチル、 イソ吉草酸ェチル、 イソ 吉草酸プロビル、 へキサン酸メチル、 へキサン酸ェチル、 へキサン酸プロピル、 ヘプタン酸メチル、 ヘプタン酸ェチル等があげられる。
前記 (3 ) の反応で使用する原料のアルキルァリール炭酸エステルとしては、
前記一般式 (V I ) で表される炭酸エステルであれば特に限定されないが、 具体 的には、 炭酸メチルフヱニルゃ炭酸ェチルフヱニル等があげられ、 これらの混合 物でもよい。
( 4 ) の反応で使用する原料のァリールカルボン酸エステルとしては、 前記一 般式 (V I I I ) で表されるものであれば特に限定されないが、 酢酸フヱニル、 酢酸メチルフユニル (各異性体) 、 酢酸ェチルフユニル (各異性体) 、 酢酸クロ ロフヱニル (各異性体) 、 酢酸イソプロピルフヱニル (各異性体) 、 酢酸パラメ トキシフユニル (各異性体) 、 酢酸ジメチルフユニル (各異性体) 、 酢酸ナフチ ノレ (各異性体) 、 プロピオン酸フヱニル、 プロピオン酸メチルフヱニル (各異性 体)、酪酸フヱニル、 イソ酩酸メチルフヱニル、 吉草酸メチルフヱニル (各異性 体) 、 イソ吉草酸フヱニル、 へキサン酸フヱニル、 ヘプタン酸フヱニル等があげ られる。
( 4 ) の反応で使用するもう一方の原料の炭酸エステルとしては、 ( 1 ) の反 応で使用可能な前述の炭酸エステルがあげられ、 これらの混合物でもよい。 前記 ( 1 ) の製造法における原料の炭酸エステルに対する芳香族ヒドロキシ化 合物のモル比および、 前記 (2 ) の製造法における原料の脂肪族カルボン酸エス テルに対する芳香族ヒドロキシ化合物のモル比は、 下限が 1 / 5 0、 好ましくは 1 / 1 0. 更に好ましくは 1ノ 5で、 上限は 5 0、 好ましくは 1 0、 更に好まし くは 5である。 本反応は平衡反応であり、 また平衡が生成系より原系に著しく偏 つているため、 どちらか一方の原料を大過剰に用いることによって、 少ないほう の原料の転化率を上げることができる力く、 大過剰の原料はリサイクルしなければ ならないため、 モル比を余り大きくしたり、 逆に小さくしたりすることは工業的 には不利である。
前記 (4 ) の製造法における原料のァリールカルボン酸エステルに対する炭酸 エステルのモル比は下限が 1 5 0、 好ましくは 1 / 1 0、 更に好ましくは 1 / 5で、 上限は 5 0、 好ましくは 1 0、 更に好ましくは 5である。 本反応は平衡定 数が 0 . 2〜5程度の平衡反応であるため、 どちらか一方の原料を大過剰に用い ることによって、 少ないほうの原料の転化率を上げることができる力 大過剰の 原料はリサイクルしなければならないため、 モル比を余り大きくしたり、 逆に小
さく したりすることは工業的には不利である。 例えば炭酸エステルがジアルキル 炭酸ェステルである場合、 炭酸ェステルを過剰に用レ、るとァリ一ルカルポン酸ェ ステルの転化率は高くなるが、 アルキルァリール炭酸エステルが主生成物となり 、 目的物であるジァリール炭酸エステルは生成しにく くなる。 逆にァリールカル ボン酸エステルが過剰の場合は、 炭酸エステルの転化率が高くなり、 ジァリール 炭酸エステルが主生成物となる。
本発明に係る製造方法は、 回分式反応器、 流通式反応器のいずれでも実施でき 、 特に限定されるものではない。 さらには反応蒸留形式でも実施できる。 反応温 度の下限値は 1 0 0 'Cで、 好ましくは 1 4 0て、 更に好ましくは 1 6 0てである 。 反応温度の上限値は 3 5 0て、 好ましくは 3 0 0て、 更に好ましくは 2 8 0て である。 反応温度が低すぎると、 活性が低く反応時間や接触時間が長くなりすぎ 生産性が低い。 また反応温度が高すぎると、 脱炭酸反応などの副反応が起こりや すくなったり、 反応器内部の圧力が上がりすぎて不利である。
回分式反応器を用いる場合の触媒の使用量は、 原料に対して下限値は 0 . 1重 量%、 好ましくは 0 . 5重量%、 更に好ましくは 1重量%である。 上限値は 4 0 重量%、 好ましくは 3 0重量%、 更に好ましくは 1 5重量%である。 回分反応器 内に、 本発明の触媒および原料を所定量充塡し、 所定温度で探拌を行いながらェ ステル交換反応を行うことにより、 目的とするァリールエステル類を舍む混合物 が得られる。 反応圧力は原料の蒸気圧によって生ずる圧力になる。 その際反応時 間は反応温度と触媒量によって異なるが、 一般的には 0 . 1〜1 0 0時間、 好ま しくは 1〜3 0時間の範囲である。 こうして得られた触媒を舍む反応液から触媒 は遠心分離やろ過などの方法で容易に取り除くことができる。
触媒を分離した後の反応液から目的とするァリールエステル類や副生成物、 未 反応の原料を一般的には蒸留によつて、 場合によっては抽出や再結晶などの方法 によって回収することができる。
流通反応式反応器を用いる場合には、 流動層式、 固定床式、 攪拌槽式のいずれ の方式でも実施できる。 この際の反応条件は原料組成、 反応温度によって変わる が、 流通する原料の体積流量を反応器の体積で除した液時空間速度 (L H S V ) で、 下限値は 0 . 0 5 h Γ—'、 好ましくは 0 . 1 h r - 1、 更に好ましくは 0 . 2
h r—'であり、 上限値は 50 h r—1、 好ましくは 20 h r である。
醮
本発明に係る触媒は、 I V族金属元素を舍むマイクロボーラスマテリアルであ り、 かつ原料中に溶解しないもの (不均一系) である。 本発明の触媒に舍まれる マイクロポーラスマテリアルとは、 極めて規則性が良く ミクロボアからメソボア 領域の細孔を有し、 非常に結晶性が高くて比表面積の大きな固体物質である。 具 体的には、 孔径は 0. 4〜1 0 nmであり、 結晶構造は MF I (ZSM-5, T S— 1等) 、 MEL (Z SM- 1 1 , TS— 2等) 、 AF I (AL P 04 一 5等 ) 、 BEA ( ?型ゼォライ ト等) 、 VF I (VP I— 5等) 、 MCM—4 1等の 構造をとり、 比表面積は 100 m2 /g〜l 500 m2 /gと大きな物質である ミクロボアを持つものとしては、 メタロシリゲートやメタ口アルミノフォスフ ユート等が挙げられ、 前述の (1 ) の方法や (2) の方法のように芳香族ヒドロ キシ化合物とともに用いる反応等に好適に用いられる。 また、 メソボアを持つも のとしては、 メソボアチタノシリゲート等があげられ、 前述の (3) の方法や ( 4 ) の方法のように、 分子径が大きな生成物を得る反応等に好適に用いられる。 メタロシリケ一トとは、 ァノレミノシリケ一トであるゼォライ トのアルミニウム 原子の代わりに、 他の金属元素が結晶格子中に入った化合物である。 本発明では 、 前記金属元素として I V族金属元素を舍み、 I V族金属元素としてはチタン、 ジルコニウム、 スズ、 鉛などの元素が挙げられる。 特に前記金属元素がチタンで あるものとしては、 MF I型構造である ZSM— 5や MEL型構造である ZSM - 1 1と類似した構造のチタノシリケートゃ iff型チタノアルミノシリケートなど が知られている。
I V族金属元素を舍む結晶性メタロシリゲートの組成としては、 I V族金属元 素 1に対する珪素の原子比で示すと、 下限値で 10、 好ましくは 20、 更に好ま しくは 25であり、 上限値で 500、 好ましくは 200、 更に好ましくは 100 である。 I V族金属元素に対する珪素の原子比が小さすぎると、 I V族金属元素 が多すぎてすべての I V族金属元素が結晶格子中に取り込まれず、 酸化物として 結晶格子外に存在することになる。 また I V族金属元素に対する珪素の原子比が
大きすぎると、 I V族金属元素の結晶中の密度が低下し、 活性が低下してしまう また、 メタ口アルミノフォスフェートとは、 リ ン酸アルミニウム型モレキユラ ーシブス (A 1 P CU — n : nは結晶構造を示す番号) のアルミニウムゃリ ンの —部が他の金属元素で置き換わったものである。 リン酸アルミニウム型モレキュ ラーシブス (A 1 P 0 4 ) は組成が A 1 P 04 から成り、 A 1 0 四面体と P〇 4 四面体とを交互に規則的に配列させた構造をしている物質である。 ァ レミノフ ォスフヱートの結晶構造の種類は多岐に渡っており、 A l P 0 4 一 nの nがそれ らを区別するための数字として付けられている。 例えば、 A l P 04 一 5は細孔 径約 8人を有する酸素 1 2員環構造から成る物質であり、 また A 1 P 0 , — 1 1 は細孔径 5〜 6人を有する酸素 1 0員環構造から成る物質である。 本発明でいう メタ口アルミノフォスフェートは、 前述したようにこのアルミニウムゃリ ンのー 部をチタン、 ジルコニウム、 スズ、 鉛などの第 I V族金属元素で置き換えた物質 のことである。
I V族金属元素を舍む結晶性メタロアルミノフォスフヱ一トの組成としては、 I V族金属元素 1に対する、 A 1と Pの総和を原子比で示すと、 下限値で 1、 好 ましくは 5、 更に好ましくは 1 0であり、 上限値で 5 0 0、 好ましくは 1 0 0、 更に好ましくは 5 0である。 前記下限値より小さいと、 I V族金属元素が多すぎ てすベての I V族金属元素が結晶格子中に取り込まれず、 酸化物として結晶格子 外に存在することになり、 前記上限値を超えると、 I V族金属原子の結晶中の密 度が低下し、 活性が低下してしまう。 また、 第 I V族金属元素を舍む結晶性メタ 口アルミノフォスフェート中の A 1に対する Pの原子比は 0. 9〜1 . 1である ことが好ましい。 3価である A 1と 5価である Pが 4価である I V族金属元素と 一部置き換わるため、 A 1に対する Pの原子比が 0 . 9〜1 . 1の範囲外である 場合には、 全体の荷電バランスが乱れて触媒酸点が発生する場合がある。 その結 果、 ァリール炭酸エステルを製造する場合には脱炭酸反応等の副反応が進行し、 副生物が生成してしまう傾向がある。
メソポアチタノ シリゲートとは、 メソポアシリカライ トのケィ素原子の代わり にチタン原子が入った化合物である。 具体的には比表面積が 5 0 0 m z / g以上
、 細孔径が 1 . 3 n m~ 2 0 n mの範囲の細孔の容積が 0 . 2 c m 3 / g以上で あり、 チタン 1に対する珪素の原子比が 3 0〜 1 0 0 0であるチタノシリケート である。 結晶構造の面からは熱処理後の粉末 X線回折パタ一ンの少なくとも 1つ のビークが 1 . 8 n mより大きい面間隔を有するチタノシリゲートである。 その 結晶構造は、 いわゆる M C M— 4 1のようなはっきりとした六方晶系である必要 はなく、 立方晶系や、 層状のラメラ構造であってもよい。 メソボアチタノシリケ ートの組成は、 チタン 1に対する珪素の原子比で示すと、 下限値で 3 0、 好まし くは 6 0であり、 上限値で 1 0 0、 好ましくは 5 0 0、 更に好ましくは 3 0 0で ある。 ケィ素/チタン原子比が小さすぎると、 チタンが多すぎてすべてのチタン が結晶格子中に取り込まれず、 酸化物として結晶格子外に存在することになる。 またゲイ素ノチタン原子比が大きすぎると、 チタンの結晶中の密度が低下し、 活 性が低下してしまう。
マイクロボーラスマテリアルの結晶性は、 粉末 X線回折 (X R D ) 分折から判 定できる。 例えば結晶性でないシリカーチタニアは明瞭な X R Dの回折ビークを 示さず、 アモルファスのブロードなビークが見られるだけである。 それに対して 結晶性のメタロシリケートゃメタ口アルミノシリゲートなどではそれぞれの結晶 構造に対応した明瞭な X R Dでの回折ビークが見られる。
本発明に係るァリールエステル類の製造方法には、 これらの構造の I V族金属 元素を舍むマイクロボーラスマテリアルが有効であり、 具体的には、 I V族金属 元素を舍む結晶性メタノシリゲート、 I V族金属元素を舍む結晶性メタロアルミ ノフオフヱ一ト等が特に有効である。 I V族金属元素としては、 特にチタンが好 ましい。 チタノシリゲートの場合は T S— 1 , T S— 2と呼ばれる構造のチタノ シリケ一トが好適に使用できる。 チタノアルミノフォスフエ一卜の場合は T A P 0 - 5 ( A 1 P 0 4 5型) が好適に使用できる。
本発明の触媒の調製方法としては、 一般にマイクロボ一ラスマテリアルの調製 に用いられる方法が適用できる。 中でも好適に用いられるのは水熱合成法であり 、 この方法はマイクロポーラスマテリアルの原料とテンプレート剤と水とを混合 して所定の温度に加熱して結晶化させる方法である。
本発明によれば、 目的とするァリールエステル類を得るためのエステル交換反
応ゃエステル交換反応による不均化反応が速やかに進行する。 また、 I V族金属 元素を舍むマイクロボーラスマテリアル触媒が反応原料にほとんど溶解しない ( 不均一系である) ことから、 反応液と触媒の分離が容易であり、 均一系反応で見 られる蒸留工程での残存触媒による逆反応、 分解、 重合反応などによる収率低下 を防止できる。 従って、 工業的に重要なァリールヱステル類を効率的に生産する ことができる。
本発明に係る製造法によって得られるァリールエステル類は、 樹脂原料、 各種 中間原料として工業的に有用な物質である。 また、 本発明に係る I V族金属元素 舍有マイクロポーラスマテリアルは、 アルキルァリール炭酸エステル、 ジァリ一 ル炭酸エステルまたはァリールカルボン酸エステル等を製造する方法等に用いる 不均一系触媒として有用な物質である。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 3で調製した触媒 A— 3の X線画折バタ一ンを示す図。
図 2は、 実施例 3で調製した触媒 A— 3の細孔径分布を示す図。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明について実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、 実施例中の転化率、 収率は以下の式により計算されたものである。
( a ) 原料が炭酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物の場合
•炭酸エステル転化率 (モル%) =
1 0 0 - (回収された未反応炭酸エステルのモル数/供袷した原料炭酸エス テルのモル数) X 1 0 0
•ァリール炭酸エステル収率 (モル%) =
(生成したァリール炭酸エステルのモル数ノ供給した原料炭酸ェステルのモ ル数 X 1 0 0
•副生成物収率 (モル%) =
(生成した副生成物のモル数ノ供給した原料炭酸エステルのモル数) X I 0
0
( b ) 原料がアルキルァリール炭酸エステルの場合
'アルキルァリール炭酸エステル転化率 (モル%) =
1 0 0 - (回収された未反応アルキルァリール炭酸エステルのモル数/供給 した原料アルキルァリール炭酸エステルのモル数) X 1 0 0
- ジァリール炭酸エステル収率 (モル%) =
(生成したジァリ一ル炭酸エステルのモル数ノ供給した原料アルキルァリ一 ル炭酸エステルのモル数) X 2 0 0
•転化率の定義は (a ) の場合と同様である。
( c ) 原料が脂肪族カルボン酸エステルと芳香族ヒドロキシ化合物の場合 '脂肪族カルボン酸エステル転化率 (モル%) =
1 0 0— (回収された未反応脂肪族カルボン酸エステルのモル数/供袷した 原料脂肪族カルボン酸エステルのモル数) X 1 0 0
•ァリールカルボン酸エステル収率 (モル%) =
(生成したァリール力ルポン酸エステルのモル数ノ供給した原料脂肪族力ル ボン酸エステルのモル数 X 1 0 0
( d ) 原料がァリールカルボン酸エステルと炭酸エステルの場合
.ァリールカルボン酸エステル転化率 (モル%) =
1 0 0 - (回収された未反応ァリールカルボン酸エステルのモル数/供給し た原料ァリールカルボン酸エステルのモル数) X 1 0 0
.アルキルァリール炭酸エステル収率 (モル%) =
(生成したアルキルァリール炭酸エステルのモル数ノ供給した原料ァリール カルボン酸エステルのモル数 X 1 0 0
• ジァリール炭酸エステル収率 (モル%) =
(生成したジァリール炭酸ェステルのモル数/供給した原料芳香族力ルボン 酸エステルのモル数) X 2 0 0
<触媒の調製 >
実施例 1 (触媒 A— 1の調製)
ゲイ酸ェチル 6 4 . 5 gを内容積 5 0 0 m 1のビーカ一にとり、 ここへチタン テトラブトキシド 3 . 2 gをゆっくりと滴下した後、 3 5 'Cで 3 0分攪拌した。 これを 0てまで冷却し、 0 に冷却したテトラプロビルアンモユウムヒドロキシ ド 1 0重量%水溶液 2 6 6 . 5 gを 0てに保ったままゆつくり滴下した。 滴下終 了後 8 0〜 9 0てに昇温して 5時間探拌した。 この混合溶液をォートクレーブに 移し、 1 7 5てで 2日間加熱して水熱合成を行った。 生成したゲルをろ過し、 更 にろ液の P H力 8以下になるまで純水で洗浄して 1 2 0てで 8時間乾燥の後 5 4 0てで 3時間空気中で焼成して、 結晶性チタノ シリゲートを得た。 この触媒を A 一 1とする。
蛍光 X線による分折ではチタン 1に対する珪素の原子比は 2 7であった。 B E T法による比表面積は 3 6 6 m 2 / gであった。 C u K or線を用いた粉末 X線回 折のデータは、 表 1のとおりで、 M F I構造 (T S—1 タイプ) であった。
CO cn Cn CO O j CD o
-J CD cn OO CD to »— 1 CO O
CD t t D
-J o O CO CO cn -J I—1 o
o t t t t t CO CO
CD CD cn n cn CO CO o o
CD CO O --j CD CD -J CO
00 oo o C 00
t oo CD \
O CD CD 00 cn CD oo
o
./\
実施例 2 (触媒 A— 2の調製)
リ ン酸 (8 5重量%水溶液) 3 4. 6 gを内容積 5 0 0 m 1のビーカーにとり 、 ここへテトラエチルアンモニゥムヒドロキシド ( 2 0重量%水溶液) 7 3. 6 gを加えてしばらく攪拌し、 その後室温まで冷却した。 この混合液にイオン交換 水 1 8. 0 g及び擬ベーマイ ト (C a t a 1 0 i d— AP ;触媒化成 (株) 、 7 0重量%A 1 2 03 舍有) 2 1. 9 gを加え、 さらにチタンテトライソプロボキ シド 1 5. 8 gを加えて 2時間攪拌した。 この混合溶液をオートクレープに移し て水熱合成を行った。 水熱合成は室温から 1 6 O'Cまで 9 0分で昇温し、 続いて 1 6 0てから 2 0 0てまで 3時間で昇温してから 2 0 0 'Cで 4時間保持して行つ た。 生成した固体をろ別し、 更に純水で 3回洗浄してから次の方法で乾燥、 焼成 を行った。 まず 1 O'C毎分で室温から 1 2 0てまで异温し、 そのまま 1 2 O'Cで 1 8 0分保持、 再び 1 O 'C毎分で 2 3 O 'Cまで舁温してから 2 3 O 'Cで 4 8 0分 保持し、 更に 3て毎分で 6 0 0てまで异温し、 6 0 O'Cで 1 8 0分保持して、 結 晶性チタノアルミノフォスフヱートを得た。 この触媒を A— 2とする。
I C Pによる分折ではチタン 1に対するアルミニウム及びリンの原子比はそれ ぞれ 6. 2 5、 6. 27であった。 BET法による比表面積は 2 6 9 m2 で あった。 Cu Kor線を用いた粉末 X線回折のデータは、 表 2のとおりで、 A 1 P 04 — 5型構造であった。
表 2
Θ { ) 搬 I/"
7. 36 692. 84 23 . 84 89. 74 371. 00 65 2. 38 100 5. 96 36 9. 02 23 0, 08 19 3. 68 64, 60 16 7. 74 10
実施例 3 (触媒 A— 3の調製)
窒素気流下、 オルトケィ酸テトラェチル 8 1. 1 g ( 0. 3 9mo l ) にチタ 二ゥムテトラブトキシド 1. 3 gを攪拌しながらゆっくりと滴下し、 その後温度 を約 8 O'Cに上げ、 約 5時間攪拌した。 これを室温まで冷却し、 次にドデシルト リメチルアンモニゥムクロリ ド 0. 29mo 1を 2 _プロパノール 23 1. 3 g に溶解した溶液を加え、 30分攪拌を行った。 次にテトラメチルアンモニゥムハ イ ドロォキシド ( 15%水溶液) 1 7. 7 gを 2—ブコバノール 35. 4 gに溶 解した溶液を 30分かけてゆつくりと滴下し、 そのまま約 12時間攬拌を続けた 。 さらにテトラメチルアンモニゥムハイ ドロォキシド ( 1 5%水溶液) 42. 9 g、 およびイオン交換水 590 gを追加して、 温度を約 9 O'Cに上げ、 約 5時間 アルコールの溜去を行った。 その後、 テフロン容器に移し、 1 00てで 240時 間水熱合成を行った。 得られた固形物ををろ過洗浄、 乾燥し、 54 O'Cの条件で 6時間空気中で熱処理を行って、 メソボアチタノシリゲートを得た。 この触媒を A-3とする。
使用した原料のモル比は、 S i : T i : ドデシルトリメチルアンモニゥムクロ リ ド:水 = 1 : 1/100 : 0. 75 : 85. 5であった。
粉末 X線回圻パターンを図 1に示した。 一番大きな面間隔のピークは 20で 2 . 66° のビークで面間隔は 3. 32 nmであった。 また、 窒素吸着法によって 求めた細孔径分布を図 2に示した。 これから求めた細孔径は、 約 2. 5 nmであ つた。 BET法による比表面積は 1 3 1 9m2 /g、 I C P発光分折から求めた 3 1 1^原子比は89. 9であった。
実施例 4 (触媒 A— 4の調製)
A 1に対する Pの原子比が 0. 9〜 1. 1の範囲外の I V族金属元素を舍むメ タロアルミノフォスフェートを調製した。 具体的手順はリン酸 ( 85重量%水溶 液) 34. 6 gを内容積 500 m 1のビーカ一にとり、 ここへテトラエチルアン モニゥムヒドロキシド (20重量%水溶液) 7 3. 6 gを加えてしばらく攪拌し 、 その後室温まで冷却した。 この混合液にイオン交換水 1 8. 0 g及び水酸化ァ ルミニゥム 1 5. 6 gを加え、 さらにチタンテ トライソプロボキシド 15. 8 g を加えて 2時間攪拌した。 この混合溶液をオートクレーブに移して水熱合成を行
つた。 水熱合成は室温から 1 60てまで 90分で昇温し、 続いて 1 60てから 2 00てまで 3時間で昇温してから 200 で 4時間保持して行つた。 生成した固 体をろ別し、 更に純水で 3回洗浄してから次の方法で乾燥、 焼成を行った。 まず 1 0て毎分で室温から 1 20てまで异温し、 そのまま 1 20てで 1 8 0分保持、 再び 1 0て毎分で 230てまで昇温してから 2 30てで 4 80分保持し、 更に 3 •C毎分で 600てまで昇温し、 600てで 1 80分保持して、 結晶性チタノアル ミノフォスフヱ一トを得た。 この触媒を A— 4とする。
I C Pによる分折ではチタン 1に対するアルミニウム及びリンの原子比はそれ ぞれ 6. 1 5、 6. 95であり、 アルミニウムに対してリ ンがかなり過剰であつ た。 BET法による比表面積は 247 mzノ gであった。 Cu Ko線を用いた粉 末 X線回折の結果から、 A l PO, —5型構造であることが確認できた。
比較例 1 (比較触媒 B— 1の調製)
高表面積酸化チタン粉末 [チタン工業株式会社製、 KRONOS (KR— 3 1 0 ) ] を 500てで 5時間焼成した。 8£丁法にょる比表面積は381112 ^で あった。 これを触媒 B— 1とした。
比較例 2 (比較触媒 B— 2の調製)
MF I構造のアルミノシリゲートである H— Z SM— 5を調製した。 具体的手 順はシリカ粉末 20 gと純水 150 gを混合して、 シリカスラリーを調製し、 そ こへアルミン酸ナ トリウム 3. 0 1 g、 水酸化ナトリウム 4. 1 7 g、 テトラノ ルマルプロピルアンモニゥムブロミ ド 0. 38 gを純水 50 gに溶解した溶液を 加え、 ォートクレーブ中で 1 20て、 4時間さらに 180て、 1 2時間水熱合成 を行った。 生成物をろ過洗浄後、 1 m 0 1/1塩化ァンモニゥム水溶液 2 00 m 1を用いて、 60て 24時間処理を 2画行ってアンモニゥムイオンにイオン交換 後、 洗浄乾燥し、 500てで 2時間焼成した。 S i ZA 1比は 38であった。 B ET法による比表面積は 43 1 m2 /gであった。 これを触媒 B— 2とした。
比較例 3 (比較触媒 B— 3の調製)
S i ZT i =9/1のシリカ—チタニア触媒を調製した。 具体的な手順は、 四 塩化チタン 7. 3 gを氷冷した希塩酸 50m 1中に注いで溶解させた後水 200 m 1を添加し、 次いでこれに四塩化珪素 59 gを滴下した。 滴下終了後、 該溶液
を激しく攪拌しながら 2倍に希釈したアンモニア水を加え溶液の P Hを 7. 0に 調整した。 さらに溶液を 6 O'Cに保ち 2時間攪拌を継続した後一晩静置させた。 生成した沈殿をろ過し洗浄した後 10 O'Cで乾燥し、 次いで空気流通下に 400 'Cで 5時間焼成した。 これを 0. 1〜0. 3 mmに破砕分級して触媒 B— 3とし た。
< (a) の場合〉
実施例 5
攙拌器、 圧力計、 サンプリング用ノズル、 温度計および加熱用外部ヒーターを 備えた内容積 200 m lのオートクレープにドライボックス中でフヱノール 83 . 9 g、 炭酸ジメチル 16. 1 §、 触媒八—1を2. 0 g仕込み、 窒素で IMP aに加圧した。 これを 200 'Cまで加熱し 5時間反応した。 原料のフヱノール/ 炭酸ジメチルのモル比は 5ノ 1、 触媒は 2重量%である。 反応液はガスクロマト グラフで分折して、 転化率'収率を求めた。 結果を表 3に示した。
反応液中の溶出した T iの反応液中の濃度は I C P発光分圻装置で分折した。 反応液は無色透明であり、 溶出した T iの濃度は 0. 4 P P mしかなく、 ほとん ど溶出は見られなかった。 本反応は平衡反応であり、 生成物であるメタノールを 除去しない場合の平衡収率は数%程度と考えられるので、 この実施例では平衡近 くまで反応が進行したといえる。
実施例 6
触媒 A— 1の代わりに触媒 A— 2を用いたこと以外は、 実施例 5と同様に反応 を行った。 結果を表 3に示した。
反応液中に溶出した T iの濃度は 1. 7 p Pmしかなく、 また反応を操り返す ことで T iの溶出はほとんど見られなくなった。
実施例 7
触媒 A— 1の代わりに触媒 A- 4を用いたこと以外は、 実施例 5と同様に反応 を行った。 結果を表 3に示した。
反応液中に溶出した T iの濃度は 1. 5 P p mしかなかった力 触媒 A— 4は A 1に対する Pの原子比が 0. 9〜1. 1の範囲外であるため、 触媒全体の荷電
バランスが崩れて触媒酸点が発生し、 その結果脱炭酸が起こってフユノールのメ チル化によるァニソールが生成した。
比較例 4
触媒 A— 1の代わりに触媒 B— 1を 1 0 g用い、 反応温度を 1 6 0てにしたこ と以外は、 実施例 5と同様に反応を行った。 結果を表 3に示した。
反応液はチタンのフヱノキシドによると思われる橙色の着色が見られ、 溶出し た T iの濃度は 1 7 p p mで触媒 A— 1の 4 0倍以上であり、 大量に T iが溶解 しており、 不均一反応とはいえず実用上は大きな問題である。
比較例 5
触媒 A— 1の代わりに触媒 B— 2を 2 . 0 g用いたこと以外は実施例 5と同様 に反応を行った。 結果を表 3に示した。
触媒 B— 2の結晶構造は触媒 A— 1と同じ M F I型であるが、 活性成分である T iを舍まない上、 酸触媒としての作用が強すぎるため、 脱炭酸が起こりフユノ ールのメチル化によるァニソール生成だけが優先した。
比較例 6
触媒 A—1の代わりに触媒 B— 3を 1 0 g用い、 反応温度を 2 5 0 gとしたこ と以外は、 実施例 5と同様に反応を行った。 結果を表 3に示した。
反応後触媒は一部溶解したため粉化してスラリー状になっていた。 反応液はチ タンのフヱノキシドによると思われる橙色の着色が見られ、 溶出した T iの濃度 は 2 4 1 p p mで、 触媒 A— 1の 6 0 0倍以上であり、 大量に T iが溶解してお り、 反応は実質的に均一相で起こっていた。
表 3
DMC: ジメチル
MPC:] ¾メチノレフェニル
DPC ジフエ二ル
< ( b ) の場合 >
実施例 8
榥拌器、 圧力計、 サンプリング用ノズル、 温度計および加熱用外部ヒーターを 添えた内容積 1 0 O m 1オートクレーブにドライボックス中で炭酸メチルフエ二 ル 5 0 g、 触媒 A— 3を 1 . 0 g仕込み、 窒素で置換後、 2 0 0 k P aに加圧し た。 これを 2 0 O 'Cまで加熱し 5時間反応した。 触媒は 2重量%である。 反応液 はガスクロマトグラフで分析して、 転化率 ·収率を求めた。 結果を表 4に示した 反応液中の溶出した T iの反応液中の濃度は I C P発光分圻装置で分折した。 反応液に検出された T iの濃度は 0 . 5 p p mしかなく、 ほとんど溶出は見られ なかった。 本反応は平衡反応であり、 反応時間を延長しても転化率、 収率はほと んど変化がないことから、 この実施例では平衡近くまで反応が進行したといえる 実施例 9
触媒 A— 3の代わりに触媒 A— 2を用いたこと以外は、 実施例 8と同様に反応 を行った。 結果を表 4に示した。
比較例 Ί
触媒 A— 3の代わりに触媒 B— 1を用いたこと以外は、 実施例 8と同様に反応 を行った。 結果を表 4に示した。
表 4
MPC メチルフヱニル
DPC ジフエ二ル
< ( c ) の場合〉
実施例 1 0
攬拌器、 圧力計、 サンプリング用ノズル、 温度計および加熱用外部ヒーターを 備えた内容積 2 0 0 m lのオートクレーブにドライボックス中でフヱノール 4 4 . 8 g、 吉草酸メチル 5 5. 2 6、 触媒八—1を2 . 0 g仕込み、 窒素で I M P aに加圧した。 これを 2 0 0てまで加熱し 5時間反応した。 原料のフユノールノ 吉草酸メチルのモル比は 1 / 1、 触媒は 2重量%である。 反応液はガスクロマト グラフで分析して、 転化率 ·収率を求めた。 結果を表 5に示した。
反応液中の溶出した T iの反応液中の濃度は I C P発光分折装置で分折した。 反応液は無色透明であり、 溶出した T iの漶度は 0 . 4 P p mしかなく、 ほとん ど溶出は見られなかった。 本反応は平衡反応であり、 生成物であるメタノールを 除去しない場合の平衡収率は数%程度と考えられるので、 この実施例では平衡近 くまで反応が進行したといえる。
実施例 1 1
触媒 A— 1の代わりに触媒 A— 2を 2 . 0 g用い、 原料としてフエノール 4 7 . 9 g、 酪酸メチル 5 2 . 1 gを用いたこと以外は実施例 1 0と同様に反応を行 つた。 結果を表 5に示した。
反応液は無色透明であり、 溶出した T iの濃度は 0. 3 p p mしかなく、 ほと んど溶出は見られなかった。 本反応は平衡反応であり、 生成物であるメタノール を除去しない場合の平衡収率は数%程度と考えられるので、 この実施例では平衡 近くまで反応力進行したといえる。
比較例 8
触媒 A— 1の代わりに触媒 B— 1を 1 0 g用い、 反応温度を 1 6 0てにした以 外は、 実施例 1 0と同様に反応を行った。 結果を表 5に示した。
反応液はチタンのフヱノキシドによると思われる橙色の着色が見られ、 溶出し た T iの濃度は 1 8 p p mで触媒 A— 1の 6 0倍以上であり、 大量に T iが溶解 しており、 不均一反応とはいえず実用上は大きな問題である。
比較例 9
触媒 A— 1の代わりに触媒 B— 2を 2 . 0 g用いたこと以外は実施例 1 0と同
様に反応を行った。 結果を表 5に示した。
吉草酸フェニル以外に多量の副生成物が生成していた。 炭酸メチルフ ニルの 収率が平衡転化率を越えているように見えるのは、 もう 1つの生成物であるメタ ノ一ルが副反応により消費され平衡が吉草酸フヱ二ル生成へと移動したためであ る。
表 5
n o mm 11 i¾^J8 騰 9 m (hr) 5 5 5 5 原料の転 (モル%) 2. 7 3. 7 2. 6 26. 3
¾t物の収率(モル%) 2. 7 3. 7 2. 5 7. 9
< ( d ) の場合〉
実施例 1 2
攪拌器、 圧力計、 サンプリング用ノズル、 温度計、 加熱用外部ヒーターを備え た内容積 2 0 0 m lのォートクレーブにドライボックス中で炭酸ジメチル 3 3 . 6 g、 吉草酸フユニル 6 6 . 4 g、 触媒 A— 3を 2 . 0 g仕込み、 窒素で 2 0 0 k P aに加圧した。 これを 2 0 0てまで加熱し 5時間反応した。 原料の炭酸ジメ チル:吉草酸フヱニルのモル比は 1 : 1、 触媒は 2重量%である。 反応液はガス クロマトグラフで分折して、 転化率 ·収率を求めた。 結果を表 6に示した。 反応液中の溶出した T iの反応液中の濃度は I C P発光分折装置で分折した。 反応液に検出された Τ ίの濃度は 3 p mしかなく、 ほとんど溶出は見られなか つた。 本反応は平衡反応であり、 反応時間を延長しても転化率、 収率はほとんど 変化がないことから、 この実施例では平衡近くまで反応が進行したといえる。
実施例 1 3
用いる原料を炭酸ジメチル 4 5 . 2 g、 吉草酸フユニルの代わりに酩酸フエ二 ル 5 4 . 8 gに変えたこと以外は、 実施例 1 2と同様に反応を行った。 炭酸ジメ チル:酷酸フヱニルのモル比は 3 : 2、 触媒は 2重量%である。 反応結果は表 6 に示した。
実施例 1 4
用いる原料を炭酸ジメチルの代わりに炭酸ジェチル 6 7 . 0 g、 吉草酸フエ二 ルの代わりに酢酸フヱニル 3 3 . 0 gに変えたこと以外は、 実施例 1 2と同様に 反応を行った。 炭酸ジメチル:酢酸フヱニルのモル比は 7 : 3、 触媒は 2重量% である。 反応結果は表 6に示した。
実施例 1 5
用いる原料を炭酸ジメチル 4 1 . 7 g、 吉草酸フエニルの代わりにプロビオン 酸フユニル 5 8 . 3 gに変えたこと以外は、 実施例 1 2と同様に反応を行い、 ァ リ一ル炭酸エステル類を舍む反応液を得た。
この反応液を、 攪拌器、 温度計と上部に内径 2 0 mm. 冷却器 ·還流分配器を 備えた段数 1 0段の蒸留塔を設けた内容積 2 0 0 m Iの 4つ口フラスコに仕込み 、 2 0 O 'Cに加熱し、 反応させた。 発生した蒸気は還流比 2の条件で蒸留しなが
ら軽沸点成分を蒸留塔から抜き出した。 反応開始後 1時間後から系内を徐々に 1 0 OmmHgまで減圧し、 生成する軽沸分を十分に溜去させた。 反応を 5時間行 い、 溜出分 69. 0 gと残留分 3 1. 0 gを得、 それぞれ分折して転化率 '収率 を求めた結果を表 6に示した。
実施例 16
触媒 A— 3の代わりに触媒 A— 2を用いた以外は、 実施例 1 2と同様に反応を 行った。
結果を表 6に示した。 反応液中に T iはほとんど検出されなかった。 触媒 A— 3を用いた場合よりは反応速度が遅いものの、 MP C、 D PC力く生成している。
表 6
MPC:] ¾メチルフエニル
EPC : ェチノレフェニノレ
DPC:炭酸ジフエニル
産業上の利用可能性
本発明によれば、 目的とするァリールエステル類を得るためのエステル交換反 応ゃエステル交換反応による不均化反応が速やかに進行する。 また、 I V族金属 元素を舍むマイクロボーラスマテリアル触媒が反応原料にほとんど溶解しない ( 不均一系である) ことから、 反応液と触媒の分離が容易であり、 均一系反応で見 られる蒸留工程での残存触媒による逆反応、 分解、 重合反応などによる収率低下 を防止できる。 従って、 工業的に重要なァリールエステル類を効率的に生産する ことができる。
本発明に係るァリールエステル類は、 樹脂原料、 各種中間原料として工業的に 有用な物質である。 例えば炭酸ジフヱニルは、 ホスゲンを使わないボリカーボー ネート樹脂製造用の原料として工業的に非常に有用な物質であり、 また炭酸メチ ルフヱ二ル等はエステル交換反応による不均化によって、 前述の炭酸ジフヱニル に転化することができ、 中間体としてこれも極めて有用な物質である。 また、 ァ リール力ルポン酸エステルも炭酸ェステルとのエステル交換反応によって前述の 炭酸ジフヱニルに転化することができ、 中間体としてこれも極めて有用な物質で ある。
本発明に係る I V族金属元素舍有マイクロボーラスマテリアルはアルキルァリ
―ル炭酸ェステル、 ジァリール炭酸エステルまたはァリールカルボン酸エステル 等を製造する方法等に用レ、る不均一系触媒として有用な物質である。