明細書
1, 1, 1, 2, 2—ペンタフルォ口ェタンの製造方法、 2, 2— ジクロロー 1, 1, 1一トリフルォロェタンの製造方法、 及び 1, 1, 1, 2, 2—ペン夕フルォロェタンの精製方法 産業上の利用分野
本発明は、 フロンガスの代替品として有用であって冷媒としての用途 が期待されている 1, 1, 1, 2, 2—ペンタフルォロェタンの製造方 法、 2, 2-ジクロロー 1, 1, 1一トリフルォロェタンの製造方法、 及び 1, 1, 1, 2, 2 -ペン夕フルォロェタンの精製方法に閩するも のである。
従来の技術
1, 1, 1, 2, 2—ペンタフルォロェタン (HFC— 1 25) は冷 媒としての用途が期待されており、 フロンガスの代替品として有用なも のである。
近時、 フロンガス規制の環境下で、 CFCの削減に铳き、 HCFCの 削減計画も決定されてきている。 現在、 HCFCの 1種である HCFC 一 22(CHC1F2)は、 冷媒として広く使用されている。 従って、 その代替 品を決定し、 製造することは非常に有用なことである。 代替品候捕とし ては、 HFC— 32(CF2H2)、 HFC— 1 52 a(CH8CHF2)、 HFC— 1 3 aCCHsCFs), HFC- 1 34 a (CF8CH2F) 、 そして HFC— 1 2 5が挙げられている。 本発明は、 その代替品候補のひとつである HFC 一 1 25を生成する製造プロセスに関するものである。
HFC- 1 25の製法としては、 パークロロエチレンのフッ素化反応
(特公昭 39— 17263号、 米国特許第 4766260号) 、 HCFC— 1 22の フッ素化反応(特開平 2 - 172932号、 特開平 4 -29940号) や HCFC 一 1 23のフッ素化反応 (特開平 4一 226927号、 W 092/16482、 EP 513823) 、 CFC- 1 1 5の還元反応 (特開平 1一 258632号) などが知 られている。 本発明は、 パークロロエチレンのフッ素化反応により HF C一 1 25を製造する際の反応プロセスに関するものである。
HFC- 1 25の製造方法として、 パーハロエチレン、 特にパーク口 ロェチレンを出発物質とするフッ素化反応を酸化ク口ム触媒の存在下に 350-380でで行う方法が報告されている (特公昭 39— 17263号) 。 ま た、 特開平 2 -178237号では、 触媒を変更し、 反応の改善を図っている。 この改善では、 パークロロエチレンの転化率は高くなつている力、'、 HF C- 1 25の選択率は 15%程度と低い。 この選択率の低さは W092Z16 479にみられるように、 Znをベースとする触媒に変更しても同様であ る o
このようにパークロロエチレンを原料とする反応では、 パークロロェ チレンの転化率を高めることに於いては発展をみているが、 HFC— 1 25の選択率も同時に高める技術を得ることは、 現在、 十分には達成さ れているとはいえない。
このような状况下で、 HCFC— 1 23 (2, 2—ジクロロー 1, 1, 1一トリフルォロェタン) を出発物質とする反応が提案されている。 特 開平 4一 226927号では、 3価以上の価数を有するクロム触媒により H C FC- 1 24 (2—クロロー 1, 1, 1, 2—テトラフルォロェタン) と HFC— 1 25を選択的に得ることが示されている。 W092Z16482 では、 Z nを主体とした触媒により反応させることが示されているが、 結果として HCFC— 1 24の選択率が高い。 また、 EP513823では、
クロム .マンガン触媒での反応が試みられている。 いずれの場合も、 触 媒の改良により HFC— 1 25の収率を増加させることを目的とした提 ¾: ある。
HFC- 1 25を製造する際、 例えば、 パークロロエチレンをフッ素 化して HFC— 1 25を製造する過程にて 1一クロロー 1, 1, 1、 2, 2—ペン夕フルォロェタン (CFC— 1 1 5) が不純物として生成する。 この CFC— 1 1 5は、 1995年に生産を中止しなければならない特定 フロンであることからも、 HFC— 1 25の製造においては、 CFC— 1 1 5の含有量を極力低下させることが必要とされる。 しかしながら、 HFC- 125と CFC— 1 1 5は互いに共沸様であるため、 精留によ り HFC— 1 25の^を高めることには限度がある。
CFC- 1 1 5を還元して HFC— 1 25にする反応自体は既に知ら れている。 特開平 1一 258632号公報では、 白金族、 鉄族又はレニウムを 活性炭又はアルミナに担持した触媒により、 この反応を行っている。 ま た、 特開平 4 -29941 号公報では、 過剰還元生成物の生成を抑制する方 法が開示されている。 W091 05752には、 触媒種を、 シリコンカーノく イドに A l、 o, T i、 Ni、 F e又は C oを担持した触媒に変えて 反応する方法が示されている。 パラジウムをアルミナ系の担体に担持し た触媒により反応を行うことは E P 506525に開示されている。
但し、 これらの公知技術はいずれも、 触媒の改良により過剰還元生成 物の生成を少なくし、 HFC— 125の選択率を改善することを目的と している。 従って、 活性(転化率) や生成物の選択率を高めるために、 触媒を厳しく選択する ii ^がある。
発明の目的
本発明の目的は、 パークロロエチレンを出発物質として、 その転化率
を髙めることができるのみならず、 HFC— 1 25を効率的に得る HF C- 1 25の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、 この HFC - 1 25の製造に使用可能な HCF C一 1 23を効率的に得る HCFC - 1 23の製造方法も提供すること にめる o
本発明の更に他の目的は、 転化率及び選択率にっレ、て触媒種等の反応 条件を緩和し、 HFC— 1 25を効率的にかつ髙選択率で製造できる精 製方法を することにある。
発明の構成
本発明者は、 パークロロエチレンの転化率を上げるためには圧力を増 加させ、 を高めること、 HFC— 125の選択率を増加させるため には を低くし、 を高くすることが効果的であることを見出した。 従って、 圧力を高くすることは、 HFC— 1 25をパーク α口エチレン のフッ素化反応により直接得る場合は、 反応段階に於いて相矛盾した効 果を与えることになる。 さらに、 HFC— 1 25の収率増加のための共 通条件である 増加は、 触媒の劣化を招き易くするという欠点を持つ。 本発明者は、 これらの条件のもとで、 HFC— 125を効率よく生成さ せるための反応プロセスをつきとめ、 本発明に到達したものである。 即ち、 本発明は、 主としてパークロロエチレンとフッ化水素とを触媒 の存在下に気相で反応させる第 1の反応域と;主として 2, 2—ジクロ ロー 1, 1, 1一トリフルォロェタン (HCFC— 123) 及び Ζ又は 2—クロロー 1, 1, 1, 2—テトラフルォロェタン (HCFC— 1 2 4) とフッ化水素とを触媒の存在下に気相で反応させる第 2の反応域と を設け、 前記第 1の反応域を前記第 2の反応域よりも高圧にして反応を 行う、 1, 1, 1, 、 2-ペン夕フルォロェタン (HFC— 1 25)
の製造方法に係るものである。
本発明による反応プロセスは、 パークロロエチレンのフッ素化により
HFC- 125を生成させる反応において、 主としてパークロロェチレ ンと H Fを触媒の存在下に気相で反応させる反応域と、 主として HCF C- 123
CFC- 124 (CF
8CFHC1)と H Fを 触媒の存在下に気相で反応させる反応域との 2つの反応域に分け、 前者 の反応域を高圧の状態とし、 後者の反応域を低圧にして反応させること を特徵とする HFC— 125 (CF
8CF
2H)の製造方法である。
本発明による製造方法では、 反応域を分割し、 圧力差をつけることに より、 髙 応域では、 温度を比較的低くすることで触媒寿命を確保し つつ、 高圧化によりパークロロエチレンの転化率を高く維持することが 可能になる。 また、 低 ^応域では、 髙 £応域とは独立に反応条件を 設定して低圧での反応が可能になるため、 HFC— 125の選択率を髙 くすることも可能になる。
パークロロエチレンのフッ素化反応では、 パーク π口エチレンの転化 率の増加を図るためには、 活性の高い触媒を使用することがまず第一に '®である。 そして、 そのような触媒のもと、 反応条件により転化率を 髙めるためには、 fi^を高めること、 接触時間を長くすること、 HFと パークロロエチレンの比率 (モル比) を増加させること、 圧力を増加さ せることが求められる。 パークロロエチレンの転化率については、 加圧 状態にすることにより反応が促進される効果があるからである。
これらの要素にはそれぞれ欠点もある。 例えば、 温度を増加させこる ことはパークロロエチレンの転ィ匕率ばかりでなく HFC— 125の選択 率も増加させる効果があるが、 同時に触媒の劣化を促進する。 また、 接 触時間を長くすることは、 反応器の大きさを増加させ、 より多量の触媒
を必要とすることになり、 或いは同じ反応器であれば、 反応ガス量を低 下させ、 生産性を低下させることになる。 モル比を増加させることは、 未反応の HFの回収量を多くし、 流通反応ガス量も多くなる。 特に圧力 を増加させることは、 パークロロエチレンの転化率の増加を伴うが、 そ れ以上に目的とする HFC - 1 25の選択率を減少させ、 結果として H FC- 125の収率を低下させてしまう。
これらの欠点を解消し、 上記した要素の利点を生かすための反応プロ セスは、 本発明によってはじめて提供されたのである。 即ち、 パーク口 口エチレンと HFを触媒の存在下に気相で反応させる反応域と、 H C F C一 1 23及び Z又は HCFC— 1 24と HFを触媒の存在下に気相で 反応させる反応域とを 2つの反応域に分割し、 かつ前者の反応域を高圧 の状態とし、 後者の反応域を低圧にして反応させる方法である。
この場合、 パークロロエチレンの転化率は高圧にすることにより増加 させることができる。 "^として、 5KgZcra2 圧と大気圧でのパーク口 口エチレンの転化率を比較すると、 その比は 330でで 1.5倍程度になる。 髙 応域の圧力が SKg/cm2 Gから 30KgZcm2 G (好ましくは 5Kg/ cm2 Gから 15Kg/cm2 G) であるのがよい。
この髙 iES応域では、 HCFC— 1 23を主に生成させればよいので、 HFC- 1 25の選択率を高めるために'必要な温度増加は抑制できる。 これら 2つの 低減要素は、 触媒劣化を抑制する方向に向かわせるた め、 反応域を分割することの非常に有利な点となる。 なお、 この反応域 では、 CFC- 1 1 1 1(CC12=CC1F) 、 CFC— 1 1 1 2 a (CC12=CF2)> HCFC- 1 22(CHC12CC1F2)などが、 反応ガスとしてあっても良い。
—方、 HCFC- 1 23, HCFC- 1 24のフッ素化反応は加圧に より抑制され、 HFC— 1 25の選択率も加圧により低下することを見
出した。 例えば、 SKgZcra2 圧での HCFC— 1 23の転化率ならびに その時の HFC— 1 25の選択率を大気圧でのそれらと比較すると、 330 eCでそれぞれ 3 4、 1 2となる。
そこで、 HFC - 1 25の収率を増加させるためには、 反応圧力を低 くする方がよいことがわかる。 さらに、 塩素を含有する好ましくない副 生成物 (例えば、 HCFC - 1 33 a(CF8CH2Cl)、 CFC- 1 1 a(C FsCFC ). CFC— 1 1 5 (CF8CF2CD) の、 目的生成物 HFC— 1 25 に対する生成比は低圧の方が減少する。 低圧反応域では圧力が装置上の 圧力損失程度に抑えられるため、 これらの点において非常に有利になる。 低圧の反応域の圧力は 5 Kg/cra2 G以下(好ましくは 3 Kg/cm2 G以下) であるのがよい。
さらに、 HCFC— 1 23以降のフッ素化反応では、 触媒劣化が比較 的遅くなる。 従って、 後者の反応域では、 反応域を分割しない伏態より も ί¾度を高めることが可能となり、 その結果、 HFC- 1 25の選択率 の増加を達成できるという利点になる。 例えば、 HCFC- 1 23のフ ヅ素化反応で温度を 330eCから 350でに増加させることにより、 HFC 一 125の選択率は 2.5倍ほど増加する。
以上の観点から、 反応域を分割し、 圧力を変えることによる利点は、 HFC- 1 25の収率を増加させると共に触媒寿命をも増加させるとい う点にある。
上記の関係より、 通常は、 高圧反応域の温度は低圧反応域の温度より 低くなる。 前者の 範囲は、 200でから 450で (好ましくは 250eCか ら 400eC) 、 後者のそれは 250eCから 500eC (好ましくは 300eCから 450 °C) であるのがよい。
高圧反応域へ供給されるフッ酸と有機物 (主としてパークロロェチレ
ン) との ^比はモル比で 2から 20 (好ましくは 3から 15) であるのが よい。 また、 低 応域へ供給されるその比は 2〜20 (好ましくは、 2 から 15) であるのがよい。 接触時間は、 ともに SVで 60から 7200 (好ま しくは 120から 3600) であるのがよい。
本反応(高圧反応域及び Z又は低圧反応域) に使用される触媒は、 通 常知られているフッ素化触媒でよい。 しかしながら、 表面積 170m g 以上の酸化クロム触媒 (EP514932参照) ;表面積 170ra2/g以上の酸 化クロムと Ru、 P tから選ばれる少なくとも 1種の元素とからなる触 媒(EP516000参照) :または、 活性アルミナと Sn、 Mo、 V、 Pb、 T i、 Zrおよび Geから選ばれる少なくとも 1種の元素とからなる触 媒が、 より好ましい。
2つの反応域は連続していても良いが、 両反応域間に蒸留塔を接続す る方が有利になる。 即ち、 高 JEM応域より低 1ES応域に連铳的に反応ガ スが流れると、 髙 応域で生成した H C 1ならびに未反応のパーク口 口エチレンが iagの高い低 応域にそのまま流入し易く、 この場合、 HC 1はフッ素化反応にとっては不利になる。 また、 未反応のパーク口 口エチレンは低 応域で触媒劣化をもたらしてしまう。 また、 低圧反 応域から高圧反応域に連続的に反応ガスが流れると、 低圧反応域で生成 した HFC— 1 25が高圧反応域で減少する。
そこで、 蒸留塔を髙] 応域から低圧反応域の間及び低圧反応域の後 に設置し、 反応に不必要なガス種を除去することが、 上記の連铳流入の 欠点を回避する上で有効と考えられる。 蒸留塔を設けることにより、 各 反応域へ供給する H Fと有機物のガス 比を個々に設定できる利点も 生じる。 また、 髙 応域又は低] 応域の蒸留塔からは、 未反応原料 及び副生成物、 例えば CFC - 1 1 1 1、 CFC- 1 1 1 2 a, HCF
C一 1 22、 1 24を対応する反応域にリサイクルすることができる。 蒸留塔の設置は上記のように 2塔で行うことが考えられるが、 これを 1塔にすることも可能である。 即ち、 髙 応域と低圧反応域のそれぞ れの出入りガスを 1塔の蒸留塔に入出して行う方法である。 この利用法 の 1例として、 以下のようにすることが考えられる。 蒸留塔の主として パークロロエチレンからなる部分より抜き出した液をポンプにより所定 の圧力まで増加させ、 パークロロエチレンと HFを追加混合させて高圧 反応域に導入する。 この時、 反応ガスは混合した後に気化しても気化し た後に混合しても良い。
高圧反応域で反応したガスは蒸留塔の有機物が主として H CFC- 1 23、 HCFC— 1 24の部分に戻される。 高圧反応域の圧力は 3〜30 Kg/cm2 Gが考えられるが、 最低の圧力を蒸留塔の圧力より高く設定す れば蒸留塔へガスを戻すためにさらに加圧する必要がないので、 この方 法にとつては設備的に有利である。
また、 蒸留塔の有機物が主として HCFC— 1 23からなる部分、 及 び/又は、 有機物が主として HCFC— 124からなる部分より抜き出 したガスを混合し、 ^に応じて HF量を調整し、 低圧反応器に導入す る。 この時、 追加する場合の HFは、 蒸留塔から抜き出したガスの圧力 を下げてから混合する方が良いが、 これにこだわるものではない。 この 蒸留塔からの抜き出しガス組成は蒸留塔中の HCFC— 1 24の存在量 により調整すれば良い。 即ち、 どちらの反応域においても、 反応条件の 変化により生成物 iM:がある程度変化しても、 この抜き出し方法により 蒸留塔中の成分の^調整ができるのである。
低 i£S応域で反応したガスは、 液化し、 または気体状態のまま、 また はその両状態で加圧し、 蒸留塔の有機物が主として HFC— 1 25、 H
CFC— 124からなる部分に戻すことができる。 この 1塔の蒸留塔で 行う場合でも、 各反応域へ供給される HFと有機物のガス 比は独立 に設定できる。 即ち、 蒸留塔を 1塔にしても、 2つの反応域はほぼ独立 に反応条件を設定し、 稼働できる。
蒸留塔の塔頂部からは、 主として HFC— 1 25と HC 1が精製工程 へ抜き出される。 未反応のパークロロエチレンの再利用方法は例えば、 蒸留塔に戻された後、 HFと混合されて再び高圧反応器へ導くことによ り行われる。
なお、 上記両反応域に使用される材質は、 耐フッ酸性のある例えばハ ステロイ、 インコネル等が好ましい。
また、 本発明によれば、 上記した主として HCFC - 123及び Z又 は HCFC— 1 24とフッ化水素とを触媒の存在下に低圧で気相反応さ せることにより、 HFC— 125を製造することができるが、 この際、 反応 £ΕΛを S gZcra2 G以下とし、 反応 を 250'Cから 500°Cとする のがよい。
また、 使用する触媒として、 上記したと同様、 表面積 nOra /g以上 の酸化クロム触媒;表面積 170m2Zg以上の酸化クロムとルテニウム及 び白金から選ばれる少なくとも 1種の元素とからなる触媒;又は活性ァ ルミナとスズ、 モリブデン、 バナジウム、 鉛、 チタン、 ジルコニウム及 びゲルマニウムから選ばれる少なくとも 1種の元素とからなる触媒を用 いるのが望ましい。
また、 主としてパークロロエチレンとフッ化水素とを触媒の存在下に が S gZcra2 Gから 15 gZcra2 G、 ί¾Κが 200eCから 450eCの範囲 で気相反応させることによって、 上記の主として HCFC— 123を得 ることができる。 この場合も、 上記と同様の触媒を使用することが望ま
しい。
本発明はまた、 1, 1, 1, 2, 2—ペン夕フルォロェタン (HFC 一 1 25) と 1一クロ口一 1, 1, 2, 2, 2—ペンタフルォロェタン (CFC— 1 1 5) とを含有しかつこれらのペン夕フルォロェタンの合 計量に対して CFC - 1 1 5を 15容量%以下含有する混合ガスと、 水素 とを触媒の存在下に気相で反応させ、 これによつて、 CFC— 1 1 5を HFC- 1 25に変換して CFC— 1 1 5を除去する、 HFC - 1 25 の精製方法に係るものである。
本発明は、 HFC— 1 25中に含まれる CFC— 1 1 5を触媒の存在 下、 気相で水素と反応させ HFC— 1 25に変換させることにより除去 することを特徵とする、 HFC— 1 25の精製方法に係るものである。 本発明は、 不純物である CFC— 1 1 5を気相反応により目的生成物の HFC— 1 25に変換させるため、 効率的に HFC- 1 25の精製が行 本発明では、 CFC - 1 1 5単独の還元により HFC - 125を生成 する場合に比べて、 活性(転化率) 、 選択性のより劣る条件(触媒種、 反応温度等) を選択できる特徴も併せ持つている。 従って、 この反応の 触媒として特にこだわるものではなく、 パラジウム、 ロジウム等の VIII 族元素からなる触媒等の還元用の触媒を用いることができる。
本発明の方法においては、 CFC— 1 1 5の還元生成物である HFC 一 125が CFC— 1 1 5に比較して多く含まれる混合ガスを反応ガス としている。 CFC— 1 1 5単独ガスの還元では、 HFC— 1 25より さらに還元された化合物である 1, 1, 1, 2—テトラフルォロェタン (HFC— 1 34 a) や 1, 1, 1一トリフルォロェタン (HF C— 1 43 a) が不純物として生成してくる。 従って、 本発明の方法では、 C
FC— 1 1 5が HFC— 1 25に還元されると同時に、 導入ガス中の H FC- 1 25がさらに還元されて HFC— 1 34 aや HFC— 1 4 3 a が多量に生成することが予測された。
ところが、 HFC— 1 25単独と水素とを反応させてもそれ以上の水 素化反応が進行し難いことがわかった。 つまり、 C F C— 1 1 5と水素 との反応で HFC— 1 25を生成させる場合にはさらに水素化された化 合物 (HFC— 1 43 a、 HFC— 1 34 a) が生成する。 しかしなが ら、 同様の条件で HFC— 1 25と水素を反応させても、 さらに水素化さ れた化合物 (HFC— 1 3 a, HFC- 1 34 a) の生成は非常に少 なくなることがわかった。
このことは、 HFC— 1 25が主成分であって CFC— 1 1 5が少な い混合ガスと水素を反応させても、 HFC— 1 25はほとんど反応せず に CFC— 1 1 5だけが還元されることを意味するものである。 このこ とにより、 初めて、 HFC— 1 25中の CFC— 1 1 5を混合ガスのま ま還元により除去する方法が有効となったのである。
即ち、 本発明の方法によれば、 HFC- 1 25が主成分であって、 C FC- 1 1 5が HFC - 1 25及び CFC - 1 15の合計量(総量) の 15容量% (15v%) 以下と少なくしているので、 CFC— 1 1 5単独で 還元反応する場合の触媒より選択率の低い触媒を利用することができる。 これは、 CFC— 1 1 5/ (CFC- 1 1 5+HFC - 1 25) 比が 0.15 以下であれば、 HFC— 1 25がほとんど反応せず、 副生成物のほとん どが CFC— 1 1 5に起因するため、 副生成物の絶対量が CFC - 1 1 5単独の場合に比較して 0.15倍以下になるからである。
従って、 本発明の方法は、 CFC - 1 1 5を気相反応により目的生成 物の HFC- 1 25に変換させるに際して副生成物の生成量が少ないた
め、 その量によっては変換後の処理が不要となり、 効率的に HFC- 1 25の精製が行える。
また、 CFC— 1 1 5の還元により HFC— 1 25を生成させる場合 は転化率がほぼ 100%になるように反応条件を設定することが必須とな る。 なぜならば、 転化率が低い分、 そのまま CFC— 1 1 5の増加につ ながるからである。 また同時に、 HFC— 1 25の選択率を高くする条 件も求められる。 従って、 この場合は、 厳しい反応条件や活性、 選択性 に優れた触媒が求められることになる。 この点、 本発明における反応で は CFC— 1 1 5の初期濃度が低くかつ HFC— 1 25が反応しにくい 分、 触媒を含めた反応条件の軽減ができることになる。
これは単に CFC— 1 1 5を還元するときとの大きな相違点になる。 従って、 本発明の方法では、 反応の触媒は特に制約されるものではなく、 パラジゥム、 口ジゥム等の VI 11族元素からなる触媒等の還元用の触媒を 用いることができる。 そして、 CFC— 1 1 5単独ガスの還元により H FC- 125を生成する場合に比べて、 活性(転化率) 、 選択性のより 劣る条件(触媒種、 反応温度等) を選択できる。
本発明における反応で用いる触媒は、 パラジウム、 ロジウム等の VU1 族元素からなる金属をアルミナゃ活性炭に担持した一般の還元用触媒を 用いることができる。 担体をアルミナにする方が HFC— 1 25の選択 率が増加する。 但し、 選択率があまり低すぎる触媒は好ましくなく、 例 えば 80%以上の触媒を用いるのがよい。 さらに、 バナジウム、 ジルコ二 ゥムから選ばれる少なくとも 1種の金属を、 担体に担持されたパラジゥ 厶に添加した触媒を用いても良い。 但し、 CFC— 1 1 5単独と水素と の反応で CFC - 1 1 5の転化率が 95%以上、 HFC - 1 25の選択率 80%以上の触媒、 ならびに反応条件を用いることが望ましい。
本発明の方法においては、 HFC— 1 25と CFC— 1 1 5との混合 ガス中の CFC— 1 1 5の量は 15容量%以下が好ましい。 これは上記の 利点を生かすためには必要なことである。 また、 これ以上の含有量であ れば、 精留により含有率を低下させてから本方法を用レ、ればよ 、からで のる。
また、 CFC— 1 1 5を HFC— 1 25に還元するのに必要な水素量 は、 CFC- 1 1 5の反応性(含有量) に依存して変化させればよい。 一般には、 水素量は、 H2/CFC - 1 1 5比として 0.5から 1000が好ま しい。
本発明での CFC— 1 1 5と水素との反応 は、 170てから 400で が好ましい。 反応 fi が髙すぎると、 過剰還元生成物である HFC— 1 34 a (CF8CFH2)ならびに HFC— 1 43 a (CF8CH8) が生成してくる。 特に、 HFC— 143 aの沸点は一 47.6eCと HFC— : I 25のそれ (一 48.5で) に非常に近くなり、 互いに分離が困難になるので、 HFC— 1 43 aの生成は好ましくない。 また、 反応 ί¾が低すぎると、 反応が進 行し難くなる。
HFC- 1 25をパークロロエチレンのフッ素化により生成させる方 法が知られている (特公昭 39— 17263号公報) が、 この公知の方法にお いて一般に、 CFC - 1 1 5は副生成物として生成する。 従って、 反応 後の粗ガスには HF、 HC 1ガスを含むことになる。 これらの酸性ガス が存在すること自体は、 本発明の方法において必ずしも CFC— 1 1 5 と水素との反応の妨げになるものではないが、 酸分を除去してから反応 を行うことがプロセス上は好ましい。 さらには、 HFC— 1 25と CF C一 1 1 5にまで精製したガスを反応ガスとすることが、 プロセス又は 生成物分布の観点から効率的であるが、 必ずしもこの にこだわるも
のでもない。
また、 CFC— 1 1 5を還元して HFC— 1 25を生成させる反応で は、 未反応の CFC— 1 1 5が HFC— 1 25中の不純物として存在す ることになる。 このような場合、 CFC— 1 1 5含有量が CFC— 1 1 5と HFC— 1 25との合計量の 15%以上であれば、 精留した後、 本反 応に供することがよい。
上述したように、 第 1の反応域の生成物 (HCFC- 1 23及び Z又 は HCFC— 1 24) を第 2の反応域で更に HFと反応させることによ り、 或いは HCFC— 1 23及び 又は HCFC - 1 24を HFと反応 させることにより HFC— 1 25を製造するに際し、 第 2の反応域又は 反応後では実際には目的生成物の HFC - 1 25と共に CFC - 1 1 5 も不純物として副生するが、 この CFC— 1 1 5を上記の本発明の精製 方法によって除去することが HFC— 1 25の製造を効率よく行う上で 望ましい。 この場合の精製条件は上記したものと同様であってよい。 産業上の利用可能性
本発明は上述の如く、 パークロロエチレンのフッ素化によりフロンの 代替品として有用な HFC— 1 25を生成させる反応において、 主とし てパークロ口エチレンと HFを触媒の存在下に気相で反応させる反応域 と、 主として HCFC— 1 23(CF8CHC12)及び Z又は HCFC— 1 24 (CFiCFHCl)と H Fを触媒の存在下に気相で反応させる反応域との 2つの 反応域に分け、 前者の反応域を高圧の状態とし、 後者の反応域を低圧に して反応させているので、 髙 応域では、 ^を比較的低くすること で触媒寿命を確保しつつ、 高圧化によりパークロロェチレンの転化率を 髙く維持することが可能になり、 また、 低 JEES応域では、 高圧反応域と は独立に反応条件を設定して低圧での反応が可能になるため、 H F C -
1 25の選択率を高くすることも可能になる。
また、 本発明によれば、 HFC— 1 25が主成分であって CFC - 1 1 5が HFC - 1 25及び CFC— 1 1 5の合計量(総量) の 15容量% (15 v%) 以下と少なくしているので、 CFC - 1 1 5単独で還元反応 する場合の触媒より選択率の低い触媒を利用することができる。 これは、 CFC- 1 1 5の転化率や HFC - 1 25の選択率に関しての反応条件 を緩和できることを意味する。
そして、 HFC— 1 25がほとんど反応しないため、 副生成物のほと んどが CFC— 1 1 5に起因し、 かつ CFC— 1 1 5/ (CFC- 1 1 5+HFC- 1 25) 比を 0.15以下としているので、 副生成物の絶対量 が CFC— 1 1 5単独の場合に比較し 0.15倍以下になる。 このことと、 CFC- 1 1 5が目的生成物に変換されることで、 HFC— 1 25を効 率的に精製することができる。
実施例
以下、 本発明の実施例を比較例と共に説明するが、 以下の実施例は本 発明を限定するものではなく、 その技術的思想に基いて更に変形が可能 である。
実施例 1
ハステロィ製 25Aの反応管 Aに、 フッ素化処理した酸化クロム触媒 900 g (フッ^有量 29%) を充填した。 この反応管を 5kgZcm2 に保 ち、 フッ酸 24.7 Zrain、 パークロロエチレン 1.9 Zmin の混合ガス を 330eCで供給した。 この時、 パークロロエチレンの転化率は 62%、 HCFC— 123、 HCFC— 1 24ならびに HFC— 1 25の選択率 はそれぞれ、 58%、 27%、 5%であった。
さらに、 生成した11じ?(:ー 1 23 (0.68^/ 1 と1^? (8.84 /
rain)を、 フッ素化処理した酸化クロム触媒 320 g (フ'リ素含有量 29%) を充填したハステロィ製 25 Aの反応管 Bに大気圧、 350eCで導入した。 この時、 HCFC- 1 23の転化率は 82%、 HCFC— 1 24と HFC 一 1 25の選択率はそれぞれ、 34%、 65%であった。 この場合、 HFC - 1 25の収率は 22%であつた。
比較例 1
反応管 Bの圧力条件を反応管 Aと同じにした以外は実施例 1と同じ条 件にしたところ、 反応管 Bでの HCFC— 1 23の転化率は 72%、 HC FC— 124と HFC— 125の選択率はそれぞれ、 54%、 45%であつ た。
HFC- 1 25の収率は 11.6%であった。 反応管 Bを高圧圧力条件に すると、 HFC— 1 25の収率が大きく低下することが分かつた。
比較例 2
ハステロィ製 25 Aの反応管 Aに、 フッ素化処理した酸化クロム触媒 900 g (フッ素含有量 29%) を充填した。 この反応管を大気圧に保ち、 フッ l½4.7^/rain、 パークロロエチレン 1.9 / minの混合ガスを温 度 330でで供給した。 その他は、 実施例 1と同じ条件にした。
この時、 パーク π口エチレンの転化率は 42%であった。 このように反 応管 Aの] を低下させると、 パークロロェチレンの転ィ匕率が低下する ことが分かった。
実施例 2
内径 20mraの反応管に触媒 10g(0.5wt%PdZ活性炭) を充填し、 CFC - 1 1 5/HFC- 1 25の混合ガス (ガス比 3.5Z96.5) 4.
n(25eC) と水素 3. l Zrain(25で) とを温度 250てで流通させた。
このときの CFC— 1 1 5の転化率は 97.5%であった。 CFC— 1 1
5 /HFC— 1 25比は、 3.63%から 0.0876%に減少した。 なお、 HF C- 1 3 aならびに HFC— 1 34 aは検出されなかった。
実施例 3
CFC- 1 1 5/HFC- 1 25の混合ガス (ガス比 3.5/96.5) 8 ^/rain(25eC) と水素 40^Zmin(25eC) とを流通させた以外は実施例 2 と同様に反応させたところ、 CFC— 1 1 5の転化率は 99%であった。 CFC— 1 1 5/HFC- 1 25比は、 3.63%から 0.036%に減少した。 なお、 HFC— 1 43 aは検出されなかった。
実施例 4
HFC- 1 25と水素のそれぞれ 20 Zmin(25で) 、 10(ki/rain(25 eC) を、 内径 20譲の反応管に充填した触媒 10g(0.5wt%Rh/活性炭) に
& 250でで流通させた。
この時の HFC- 1 25の転化率は 0.032%であり、 HFC- 1 25、
HFC- 1 3 a HFC- 1 34 aのガス組成は、 それぞれ 99.968%、 0.00%、 0.032 %であった。 HFC— 1 43 a, HFC— 1 34 aと H
FC- 1 25の比はそれぞれ 0.00%、 0.0324%であつた。
比較例 3
HFC— 1 25の替わりに CFC— 1 1 5を流通させた以外は実施例 4と同様に反応させた。
この時の C F C— 1 1 5の転化率は 20.8%、 選択率は、 H F C - 1 2
5が 83.6%、 HFC- 1 3 aが 7.74%、 HFC- 1 34 aが 8.4%で あった。 HFC— 1 43 a、 HFC— 1 34 aと HFC— 125の比は それぞれ 9.26%、 10.04%であつた。
CFC- 1 1 5の還元反応では、 HF C— 1 25とともに過剰還元生 成物である HFC— 1 3 a. HFC- 1 34 aが生成するのに比べ、
HFC- 1 25の還元 (実施例 4) では、 HFC - 1 25が還元されに くく、 CFC— 1 1 5の還元に比べて HFC— 1 3 a, HFC- 1 3 4 aが生成しにくいことがわかった。
実施例 5
HCFC- 1 23 (52 /min)と HCFC- 1 24 (14^/min)及び HF(520 Zrain)を、 フッ素化処理した酸化クロム触媒 40 g (フッ素含 有量 29%) を充塡したハステロィ製 25Aの反応管に大気圧、 340eCで導 入した。 このとき生成したガスの、 HCFC— 1 23、 HCFC— 1 2 4、 HFC— 1 25の SiR比は、 2.5: 11.4: 86.1であった。 この場合 の HFC— 1 25の生成量は導入有機ガスの 86.1%であった。
実施例 6
実施例 1の反応管 Bの出口ガスを精製したところ、 精製ガス中の成分 は CFC— 1 1 5と HFC- 125であり、 CFC— 1 1 5ZCFC - 1 25比は 1230ppmであった。 この精製ガス(8.5 Ztnin)と水素 (8.
Ζπήπ)とを i¾10g (5%Rh/活性炭) を充墳した内径 20πιιηの反応管に
200でで流通させたところ、 CFC— 1 1 5の転化率は 99.73%で、 出口有機ガス誠は HFC— 125 : 99.993%、 CFC— 1 1 5 : 3.3ppm、 HFC- 1 3 a : 30ppra . HFC- 1 34 a : 37ppraであった。