明 細 書 新規生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3
その製造法及びその薬学的用途 技術分野
本発明は新規生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 またはそ の薬学的に許容される塩に関する。 更に詳細には、 本発 明は骨髄細胞の増殖促進作用等を有する新規生理活性物 質 N K 1 7 5 2 0 3 も し く はその塩、 その製造法および その薬学的用途に関する。
背景技術
従来、 骨髄細胞増殖促進剤と しては、 エ リ スロボイ エ チ ン(Miyake, T. et al. , J. Β. C. , 252 , 5558, 1977) 及び G - C S F (Nicola, N. A.. Annu. Rev. Biochem. , 339 , 27-30, 1989) が知られている。 しか し、 これらは、 蛋白製剤で あるため、 頻回投与ができず、 同様の活性を有する低分 子化合物の発見が待たれている。
発明の開示
本発明者らは、 微生物の代謝産物について、 種々 検索 した結果、 放線菌に属するー菌株が、 骨髄細胞の増殖促 進作用等を有する生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を産生 する事を見い出 した。
すなわち本発明の目的は下記の 1 ) 〜 1 0 ) の理化学 的性質を示す新規生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 ま たは
その薬学的に許容さ れる塩を提供する こ と にあ る。
1 ) 外観 ; 無色粉末
2 ) 分子量 ; F A B - M S ( M ) + m Z z 3 0 3 3 ) 元素分析値 ; C 1 2H 1 7N 〇 6 S - H 2 〇
理論値 (% ) 測定値
C : 4 4 . 8 5 C : 4 4 . 8 2
H : 5 . 9 6 H : 5 . 8 7
N : 4 . 3 6 N : 4 . 3 4
4 ) 水に可溶、 へキサ ン ク σ 口 ホルムに難溶
5 ) シ リ カ ゲル薄層 ク ロマ ト グラ フ ィ ーに よ る R f 値 ; ブ夕 ノ ール ; 酢酸 ; 水 ( 4 ' 1 : 2 ) の展開溶媒で 0 . 5 0 を示す
6 ) U V吸収ス ぺ ク ト ル ( H 2 〇)
Λ m n m : 2 0 0
7 ) I R吸収ス ぺ ク ト ノレ ( K B r ) cm—
3 4 0 0 , 2 9 5 0 , 1 7 3 5 , 1 6 0 0 ,
1 4 0 0 , 1 3 0 0 , 1 1 4 5 , 1 0 4 0 8 ) 1 H - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 〇) ά p p m :
4 . 3 0 ( 1 H , d d , J = 4 . 5 , 7 . 8 H z ) 2 . 9 7 ( 1 H , d d , J = 4 . 4 , 1 3 . 6
H z ) , 2 . 9 2 - 2 . 6 2 ( 5 H , m ) , 2 . 5 0 — 2 . 1 0 ( 3 H , m ) , 2 . 0 0 ( 3 H, s ) 1 . 8 1 ( 1 H , m )
9 ) 1 3 C - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 〇) δ p p m :
2 2 6 . 9 ( s ) , 1 8 5 . 2 ( s ) , 1 7 9 . 9
( s ) , 1 7 6 . 6 ( s ) , 5 7 . 5 ( d ) , 5 6 0 ( d ) , 5 2 . 6 ( d ) , 4 0 . 8 ( t ) , 3 7 9 ( t ) , 3 3 . 6 ( t ) , 2 8 . 0 ( t ) , 2 4 8 ( q ) .
1 0 ) 呈色反応 ; リ ンモ リ ブデン酸ー硫酸、 ト リ ジ ン一 ク ロ リ ンに陽性。
本発明の他の目的は、 ス ト レプ ト ミ セス属に属 し、 上 記の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を生産する能力を有 する生産菌を、 培地に培養 し、 培養物中に生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を生成蓄積せ しめ、 これを採取する事 を特徴とする生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の製造法を 提供する こ とにある。
本発明の更に他の目的は、 上記の生理活性物質 Ν Κ 1 7 5 2 0 3 またはその薬学的に許容される塩を有効成分 と して含有する骨髄細胞増殖促進のための医薬組成物を 提供する こ とにある。
本発明の更に他の目的は、 上記の生理活性物質 Ν Κ 1 7 5 2 0 3 またはその薬学的に許容される塩の有効量を 投与する こ とからな る骨髄細胞増殖促進方法を提供する こ とにある。
本発明の更に他の目的は、 上記の生理活性物質 Ν Κ 1 7 5 2 0 3 またはその薬学的に許容される塩の医薬組成 物の有効成分 と しての使用を提供する こ とにある。
本発明の更に他の目的は、 ス ト レプ ト ミ セス属に属す る上記の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を生産する能力
を有する生産菌を提供する こ とにある。
図面の簡単な説明
第 1 図は生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の U Vスぺク ト ル ( H 2 0 ) を示す。
第 2 図は生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の I Rスぺ ク ト ル ( K B r ) を示す。
第 3 図は生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の
1 H - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 0 ) を示す。
第 4 図は生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の 13 C - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 O ) を示す。
発明を実施するための最良の形態 一
本発明化合物である生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 は 薬学的に許容される塩であって も よ く 、 かかる塩と して は、 ナ ト リ ウ ム、 カ リ ウ ムな どのア リ カ リ 金属、 カ ル シ ゥ厶な どのァ リ カ リ 土類金属等との塩が挙げられる。
新規生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 はス ト レプ ト ミ セ ス属に属する N K 1 7 5 2 0 3生産菌を培養し、 生理活 性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を生成蓄積せ しめ、 こ の培養物 よ り生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を採取する こ と に よ り得られる。 生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の生産菌の 代表的な 1 例は次の菌学的および生理学的性質を有する。 1 . 形態的性質
2 7 でで 2 週間後に観察 した結果、 気菌糸は単純分岐 し、 その先端丄ま らせん状あるいはフ ッ ク状である。 胞子 の う 及び輪生糸の形成は認め られない。 また、 遊走子も
認め られない。 胞子表面は平滑または粗面で、 胞子はシ リ ンダ一型で、 大き さ 0 . 7 〜 0 . 9 X 0 . 9 〜 1 . 3 mである。 また 2 0 個以上の連鎖をな して胞子が形成 される。
2 . 各種培地における生育
各種培地上、 2 7 で、 2 週間後の生育状態を下記表 1 に示す。
培地 生育 気菌糸
シュ ク ロース · 適度 適度、 茶白 明るい 硝酸塩寒天培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
グルコース ' ァス 適度 豊富、 茶白 明るい パ ラ ギ ン寒天培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
グ リ セ リ ン · ァ ス 適度 豊富、 茶白 明るい パラギン寒天培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
ス一 タ ーチ ' 無機 良好 適度、 茶白 明るい 塩寒天培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
チロ シ ン寒天培地 良好 適度、 茶白 明るい 茶灰〜黒色
(吸湿性)
栄養寒天培地 適度 適度、 白色
イ ース ト 麦芽寒 良好 豊富、 茶白 明るい 天培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
ォ一 ト ミ —ル寒天 m度 適度、 茶白 明るい 培地 茶灰〜黒色
(吸湿性)
ペプ ト ン · ィ 一ス 適度 適度、 白色
ト鉄寒天培地
シ ュ ク ロース · 硝 無色〜 な し
酸塩寒天培地 淡黄色
グルコ ース · ァス 淡黄色 わずかに茶色味 パラギン寒天培地 〜褐色
グ リ セ リ ン · ァス 無任〜 茶色味
パラギン寒天培地 淡黄色
ス一夕一チ · 無機 淡黄色 わずかに茶色味 塩寒天培地
チロ シ ン寒天培地 淡黄色 茶色味
〜淡褐色
栄養寒天培地 淡黄色 わずかに茶色味 イ ース ト ' 無色 わずかに茶色味 麦芽寒天培地
オー ト ミ ール 無色 な し
寒天培地
ペプ ト ン · ィ一ス ト 淡黄色 な し
鉄寒天培地
3 . 生理学的性質
1 ) 生育適度範囲 : 2 4 〜 3 7 °C
2 ) 硝酸塩の還元 : 陰性
3 ) ゼラ チ ンの液化 ( グルコ ース · ペプ ト ン · ゼラ チ ン培地上、 2 0 て) : 擬陽性
4 ) ス タ ーチの加水分解 (ス タ ーチ , 無機塩寒天培 地) : 陽性
5 ) 脱脂牛乳の凝固 : 陰性
6 ) 脱脂牛乳のペプ ト ン化 : 陽性
7 ) メ ラニ ン様色素の生成 : 陰性
4 . 炭素源の利 用 生 ( プ リ ドハ 厶 · ゴ 卜 リ 一 ブ寒天
培地上)
L ー ァ ラ ビ ノ 一ス +
D— キ シ ロ ー ス +
D— グル コ 一 ス +
D— フ ラ ク 卜一ス +
シ ュ ク ロ ー ス +
イ ノ シ ト ー ル
L 一 ラ ム ノ ー ス 一
ラ フ イ ノ ー ル +
D - マ二 ト ー ル +
5 . 細胞壁中のジァ ミ ノ ピ メ リ ン酸―
L Lー ジア ミ ノ ビメ リ ン酸である。
以上を要約する と 、 本菌株は細胞壁が L L ー ジァ ミ ノ ピメ リ ン酸であ り、 イ ン タ 一 ナ シ ョ ナノレ - ス ト レ プ ト ミ セ ス属 ' プロ ジ ェ ク ト (略称 I S P ) の方法に よ れば、 胞子形成菌糸め形態は、 セ ク シ ョ ン スハ'イ ラ ゾレ ズ
( Sp i rales) に厲 し、 胞子表面は平滑あるいは粗面で、 成熟した菌糸の色は灰色系統 (Gray color- series)で吸 湿性である。 ま た、 メ ラ ニ ン様色素は生産しない。 基生 菌糸の色は淡黄色あるいは淡褐色を呈する。 炭素源と し て は L ー ァ ラ ビ ノ ー ス、 D— グル コ ー ス、 D— フ ラ ク ト ー ス、 シ ュ ク ロ ー ス、 ラ フ ィ ノ ー ス、 D— マ二 ト ー ル、 D— キ シ ロ ー ス を利用する。
以上の性質を も とにア ー ル ' ィ ー ' ブ ッ フ ア ナ ン ' 了 ン ド · ェ ヌ . ィ 一 . ギボ ン ズ編、 バー ジ ー ズ · マ二 ユ ア
ル ' ォブ ' デ夕 ミ ネ一テ ィ ブ · く ク テ リ オ π ジー
(Bergy' s Manual of Determinative Bacteriology) 第 8 版、 1 9 7 4 年に従って検索を行っ た結果、 上記 N K 1 7 5 2 0 3 株はス ト レプ ト ミ セス属に属する こ とが判 明 したので、 本菌をス ト レ プ ト ミ セス ' エス ピー
( Streptomyces sp. ) N K 1 7 5 2 0 3 と命名 した。 該菌株は、 工業技術院微生物工業技術研究所 ( 日本国 茨城県) に、 1 9 9 2 年 7 月 1 0 日 に微ェ研菌寄第 1 3 0 5 8 号 ( F E R M P — 1 3 0 5 8 ) と して寄託さ れ た。 こ の寄託は更に 1 9 9 3 年 7 月 2 8 日 にブダペス ト 条約に よ る国際寄託に変更され受託番号 F E R M B P — 4 3 7 2 を得た。
本発明に用いる ス ト レ プ ト ミ セス属に属する菌株は他 のス ト レ プ ト ミ セス属の菌株と同様、 その性状が変化 し やす く 、 例えば紫外線、 エ ッ ク ス線お よ び薬品な どを用 いる人工的な変異手段で容易に変異 し う る ものであ り 、 どの様な変異株であ って も本発明の対象 とする生理活性 物質 N K 1 7 5 2 0 3 の生産能を有する ものはすべて本 発明に使用する こ とができ る。
本発明に よ り 生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を製造す る には、 まず前記菌株を放線菌が利用 し得る栄養物を含 有する培地で好気的に培養する。 栄養源 と しては、 従来 か ら放線菌の培養に利用 さ れている公知の も のが使用で き、 例えば炭素源 と しては グル コ ース、 フ ラ ク ト 一ス、 グ リ セ リ ン、 シ ュ 一 ク ロ ース、 デキス ト リ ン、 ガラ ク ト
ース、 有機酸な どを単独かま たは組み合わせて用いる こ とができ る。
無機および有機窒素源と しては塩化ア ンモニゥ厶、 硫 酸ア ンモニゥ 厶、 尿素、 硝酸ア ンモニゥ ム、 硝酸ナ ト リ ゥム、 ペプ ト ン、 肉エキス、 酵母エキス、 乾燥酵母、 コ
— ン . スチープ . リ カー、 大豆粉、 綿実油カス、 カザ ミ ノ 酸、 バク ト ソィ ト ン、 ソ リ ュブル ' ベジタブル ' プロ ティ ン、 ォー ト ミ ールな どを単独または組み合わせて用 いる こ とができ る。
その他必要に応じて食塩、 炭酸カ ル シウム、 硫酸マ グ ネ シゥ 厶、 硫酸銅、 硫酸鉄、 硫酸亜鉛、 塩化マ ンガン、 燐酸塩な どの無機塩類を加える こ とができ るほか有機物、 例えばア ミ ノ 酸類、 ビタ ミ ン類、 核酸類や無機物を適当 に添加する こ とができ る。
培養法と しては液体培養法、 特に深部拡販培養法が最 も適 している。 培養温度は 1 5 ° (:〜 3 5 °C、 p Hは中性 ない し微酸性で培養を行う こ とが望ま しい。
液体培養では通常 3 〜 5 日間培養を行う と N K 1 7 5 2 0 3 物質が培養液中に生成蓄積される。 培養液中の生 成量が最大に達した と き に培養を停止 し、 菌体と培養液 をろ別 し、 目的物を精製単離する。
ろ液から本物質の精製単離には一般に微生物代謝生産 物をその培養菌体から単離するために、 用いられる分離 精製の方法が利用 される。
即ち、 培養液は通常のろ過法でろ液と菌体部に分離す
る。
得られたろ液に、 終濃度 3 % となる様に N a C ^ を加 え、 カーボン吸着カ ラムに吸着させる。 次いで、 3 % N a C 溶液で、 洗浄した後、 蒸留水で溶出 し、 得られ た活性画分を、 減圧濃縮乾固する。 次いで、 ブタ ノ 一 ル ; 酢酸 ; 水で展開する シ リ カゲルカ ラム ク ロマ ト グラ フ ィ 一、 L H — 2 0 カ ラム ク ロマ ト グラ フ ィ ー、 分取用 高速液体ク ロマ ト グラ フ ィ ーに順次かけ、 活性画分を集 める。 最後に、 上記の方法で、 力一ボン吸着カ ラムにか ける事によ り脱塩を行ない、 無色の N K 1 7 5 2 0 3 物 質を得る。
本発明の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 またはその薬 学的に許容される塩は後記の如 く 、 骨髄細胞増殖促進作 用を有する医薬品と して期待される ものである。
医薬品と して使用する場合の製剤化及び投与方法は従 来公知の種々 の方法が適用でき る。 すわなち、 投与方法 と しては注射、 経口、 直腸投与な どが可能である。 製剤 形態と しては注射剤、 粉末剤、 顆粒剤、 カプセル剤、 錠 剤、 坐剤な どの形態がと り得る。
製剤化の際に生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 またはそ の薬学的に許容される塩に悪影響を与えない限り、 医薬 用に用い られる種々 の補助剤、 すわなち、 担体やその他 の助剤、 例えば安定剤、 防腐剤、 無痛化剤、 乳化剤等が 必要に応じて使用 されう る。
製剤中において、 生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 ま た
はその薬学的に許容される塩の含量は製剤形態等によ り 広範囲に変える こ とが可能であ り、 一般には生理活性物 質 N K 1 7 5 2 0 3 またはその薬学的に許容される塩を 0 . 0 1 〜 1 0 0 % (重量) 、 好ま し く は 0 . 1 〜 7 0 % (重量) 含有し、 残り は通常医薬用に使用される担体 その他の補助剤からなる。
生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 またはその薬学的に許 容される塩の投与量は症状等によ り異なるが、 成人 1 人 1 日当 り 0 . 0 1 〜 8 0 0 mg程度である。 連投を必要と する場合には 1 日当 り使用量をおさえる こ とが好ま しい 次に試験例、 実施例及び製剤例によ って本発明を更に 詳細に説明する。
試験例 1
骨髄細胞に対する作用
C 57 B L Z 6 マウス ( 1 0 週令) よ り、 大腿骨を取り 出 し、 更にその骨髄細胞を、 イ ー グル M E M培地に洗い出 した。—これを 3 7 "C 5 % C 02 下で 2 時間放置後、 静 かに上清を取る事によ り浮遊細胞のみを回収した。 これ を、 1 2 0 0 r p m、 5 分間の遠心分離にかけて細胞を 集め、 更に ひ — M E M培地で洗浄後、 2 0 % F B S含有 ひ 一 M E M培地に懸濁した。 こ う して得た骨髄細胞を、 本発明の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 あるいは G M— C S F (Lantrel 1. . A. et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. , 82, 6250-6254, 1985) と同時に、 9 6 穴プレー ト に 7 . 5 x 1 0 5 c e 1 1 s Z 2 0 0 1 /穴とな る様に播種し、
3 7 °C 5 % C 0 2 条件下で 1 1 2 時間培養 した。 最後 に 3 7 K B q の 3 H — チ ミ ジ ンを加え、 8 時間培養後、 細胞の 3H — チ ミ ジ ンの と り こ みを、 液体シ ンチ レ 一 シ ョ ンカ ウ ン タ 一に よ り 測定 した。
こ の結果を表 2 に示す。
表 2 生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の骨髄細胞増殖作用
GM-CSF NK175203 〔
3H〕 - - チ ミ ジ ンの と り こ み
( H g/m6 ) 平均 土 標準偏差 %
1 +
0 o 860.' 2土 416.4 100
0.01 1106. 7土 84O C.5
0.1 892. 2土 248.1 103.7
1 881. 2土 506.2 102.4 o o
10 600. 6土 2 2 6O9 C.8
O C
Oト C
100 397. 3土 84.9 46.2
100 0 33484. 100
0.01 43339. 8土 11996.2 129.4
0.1 63397.
100 531. 1土 18.5 1.6
の結果よ り 、 本発明の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0
3 は、 低濃度において、 骨髄細胞の増殖促進用を有 し、 又、 G M - C S F 1 0 0 U Z?^、 存在下では、 広い薬 剤濃度において、 相乗的に増殖を促進する事が判明 した , 試験例 2
サイ ト カ イ ンの産生誘導に関する作用
ヒ ト 白血病細胞株 T F — 1 細胞(Mckenzie A. N. J. , Proc. Natl. Acad. Sci. , 90, 3735 一 3739, 1993)を、 2 0 ^の本発明の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 を 含む 1 0 % F C S — R P M I 1 6 4 0 培地に、 接種し、 3 7 °C、 5 % C 〇 2 下で、 培養した。 経時的に、 1 , 2 3 日 と、 培養上清を採取し、 含まれるサイ ト 力 イ ンの量 ( p g Z ) を、 E L I S A ( Amersham製) 法
( Amersham. B i o t rackpro t oco 1 , RPN2143, 2145 and 21 51) によ り、 測定した。 この結果を表 3 に示す。
尚、 コ ン ト ロールと して リ ン酸緩衡液のみを用いた場 合について も比較と して測定 した。 表 3 ΝΚ 1 75203添加により産生される
サイトカイン量 (単位: p gZ )
Day GM— CSF I L- 6 I L- 3
'コント D-ル ΜΠ5203 コント D-ル K175203 コント D-ル K1T5203
1 6.8 10.5 0.4 4.2 13.2
2 7.5 20.3
3 7.1 19.7
これらの結果よ り、 本発明化合物である生理活性物質
N K 1 7 5 2 0 3 は G M— C S F、 I L — 6 (Kishimoto, T. , Blood, 74, 1-10, 1989) . I L - 3 [ Ihle, J. N. , The Year in Immunology, 1988 (Crume J . M . e t al . , Eds) , New York, Karger, 59- 102, 1989]等のサイ トカイ ン産生誘導を する こ とが判明 した。
実施例 1
生理活性物質 N K 1 7 5 ?_0 3 の製造
( 1 ) 醱酵
下記の組成を有する種培養培地を 5 0 0 τ ^容の三 角フ ラスコに 1 0 を分注し、 1 2 0 で、 2 0 分 間オー ト ク レープ滅菌 した。 これに N K 1 7 5 2 0 3 株 (微ェ研菌寄 1 3 0 5 8 号) の一白金耳を接種 し、 2 7 °C 2 0 0 回転 Z分の条件下で 2 日間培養 しこれを種母と した。
種培養培地組成
グ リ セ リ ン 2 %
グルコース 0 . 5 %
大豆粉 (サン リ ッ チ昭和産業) 1 . 5 %
ペプ ト ン 0 . 5 %
酵母エキス 0 . 0 5 %
K 2 H P 0 0 . 0 5 %
p H = 7 . 0 に修正 ( N a O Hで)
本培養にあた り 、 まず、 下記の組成を有する培地 1 0 を 5 0 0 容の三角 フ ラ ス コ に分注 し、 1 2 0 °C 2 0 分間、 オー ト ク レ ープ滅菌 した。 こ の培地 1 0 0 本に 先の種母培養液を 2 づっ接種 し、 2 7 °Cで 2 0 0 回転 /分、 4 日 目培養 した。 こ う して得 られた 1 0 リ ッ ト ル の培養液につき、 フ ィ ルタ ープ レ スを用いてろ過を行い ろ液を得た。 本培養培地
グルコ ース 2 % 可溶性デンプ ン ' 1 % 酵母エキス 1 %
N Z ァ ミ ン 0 . 7 %
C a C 0 3 0 . 5 % p H = 7 . 0 修正 ( N a O Hで)
( 2 ) 精製
得 られたろ液 9 リ ッ ト ルに 、 終濃度 3 % とな る様 に、 N a C を加え、 2 リ ツ ト ルのカ ー ボ ン吸着力 ラ ムに 4 °C下で吸着させた。 次いで、 3 % N a C ^ 溶液 4 リ ッ ト ルで、 洗浄 した後、 室温に も ど し、 蒸 留水で活性成分を溶出 した。 こ れを減圧濃縮乾固 し て得 られた 5 . 2 g を、 ブ夕 ノ ー ル ; 酢酸 ; 水 = 1 0 : 1 : 2 で展開する 5 0 0 m の シ リ カ ゲルカ ラ ム ク ロマ ト グラ フ ィ 一に力、け、 活性画分を得た。 こ れ を濃縮 して得 られた 0 . 7 5 g を 2 0 % M e O H水
溶液で展開する 8 0 0 の L H — 2 0 ゲルろ過カ ラ ム ク ロマ ト グラ フ ィ ーにかけ、 活性画分 ( 1 0 3 mg ) を得た。
次いで、 これを下記の条件で分取用液体ク ロマ ト グラ フ ィ 一にかけ、 2 2 . 7 分の保持時間に出現する活性成 分を、 分取 した。 条件は移動相 ; 2 %ァセ トニ ト リ ル一 1 % リ ン酸、 流速 ; 3 Zm i n、 温度 ; 4 0 て、 検出 波長 ; 2 2 0 n m、 カ ラ ム、 ヮ コ ー シル I I 5 C 2 8 A R、 カ ラ ムサイ ズ ; 1 0 . 0 X 2 5 0 匪である。 こ う し て得た分取液を 2 O ccのカーボン吸着カ ラ ムに先述の方 法でかけて、 脱塩を行なった。 こ の溶出液を乾固する と、 7 O mgの生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 が得られた。 こ の生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 の U Vスぺ ク ト ル
( H 2 0 ) 、 I Rスぺク ト ノレ ( K B r ) 、 1 H - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 0 ) 及び 13 C — N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 〇) をそれぞれ第 1 図、 第 2 図、 第 3 図及び 第 4 図に示 した。
得られた生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 は下記の 1 ) 〜 1 0 ) の理化学的性質を示 した。
1 ) 外観 ; 無色粉末
2 ) 分子量 ; F A B - M S ( ) + m / z 3 0 3
3 ) 元素分析値 ; C 12H i 7N O s S · H 2 0
理論値 (% ) 測定値
C : 4 4 . 8 5 C : 4 4 . 8 2
H : 5 . 9 6 H : 5 . 8 7
N : 4 . 3 6 N : 4 . 3 4
4 ) 水に可溶、 へキサ ン、 ク ロ 口 ホ ルム に難溶
5 ) シ リ カ ゲル薄層 ク ロマ ト グラ フ ィ ーに よ る R f 値 ; ブタ ノ ール ; 酢酸 ; 水 ( 4 : 1 : 2 ) の展開溶媒で 0 . 5 0 を示す
6 ) U V吸収スぺク ト ル ( H 2 0 ) :
λ m e x n m : 2 0 0
7 ) I R吸収スペク ト ル ( K B r ) cm—
3400, 2950, 1735, 1600, 1400, 1300, 1145, 1040 8 ) ! H - N M R ( 2 0 0 M H z , D 2 0 ) 5 p p m :
4 . 3 0 ( 1 H , d d , J = 4 . 5 , 7 . 8 H z ) 2 . 9 7 ( 1 H , d d , J = 4 . 4 , 1 3 . 6 H z ) , 2 . 9 2 - 2 . 6 2 ( 5 H, m ) ,
2 . 5 0 - 2 . 1 0 ( 3 H, m ) , 2 . 0 0 ( 3 H s ) , 1 . 8 1 ( l H , m ) ;
9 )
1 3 C - N M R ( 2 0 0 M H z , D
2 〇) <5 p p m : 2 2 6 . 9 ( s ) , 1 8 5 . 2 ( s ) , 1 7 9 . 9
8 ( q ) .
1 0 ) 呈色反応 ; リ ン モ リ ブデ ン酸一硫酸、 ト リ ジ ン — ク ロ リ ン に陽性。
製剤例 1
顆粒剤の製造
生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 のナ ト リ ウ ム塩 5 0 重 量部、 乳糖 6 0 0 部、 結晶セルロ ース 3 3 0 部お よ び ヒ ' ドロキシプロ ピルセルロ ース 2 0 部をよ く 混和 し、 口 一 ル型圧縮機 ( ロ ー ラ ー コ ンパ ク タ 一 T M ) を用いて圧縮 し、 破砕 して 1 9 メ ッ シ ュ と 1 6 メ ッ シ ュ の間に入る よ う 篩過 し、 顆粒と した。
製剤例 2
錠剤の製造
生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 のナ ト リ ウ ム塩 1 0 0 重量部、 結晶乳糖 9 0 部、 結晶セルロ ース 1 0 7 部およ びステア リ ン酸マ グネ シウ ム 3 部を V型混合機で混和後、 打錠 し、 1 錠 3 0 0 mgの錠剤を得た。
製剤例 3
注射剤の製造
生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 のナ ト リ ウ ム塩 5 0 重 量部、 マ ンニ ト ール 1 2 0 重量部に対 し蒸留水を加え全 量を 2 0 0 0 部 と して こ れを溶解後 ミ リ ポア フ ィ ルタ ー G S タ イ プを用いて除菌ろ過する。 こ のろ液 2 g を 1 0 のバイ アル ビンに と り 凍結乾燥 し、 1 ノく ィ ア ルに本化 合物のナ ト リ ゥ ム塩 5 0 mgを含む凍結乾燥注射剤を得た。 産業上の利用可能性
本発明で提供さ れる新規生理活性物質 N K 1 7 5 2 0 3 ま たはその塩は骨髄細胞の増殖促進作用等を有する。 従って、 例えば骨髄細胞増殖剤の有効成分 と して有用で あ る。