明 細 書
新規キレート化剤、 該キレート化剤と金属原子との錯化合物及びそれを含む診 断剤
技術分野
本発明は、 キレート化剤、 該キレート化剤と金属原子との錯化合物、 及び該錯 化合物を含む診断剤に閼する。 より詳細には、 本発明は、 金属原子と錯体を形成 しうる新規な金属キレート化剤、 該キレート化剤と金属原子とからなる医療診断 に有用な錯化合物、 及び該錯化合物を含む診断剤に関する。
背景技術
病変に関する情報を画像として描写し、 診断する画像診断法は臨床診断上必要 不可欠な検査法である。 現在、 X線 C Tは広く用いられている画像診断法の一つ であるが、 更にここ十数年の間に核磁気共鳴映像 (Magnetic Resonance Imaging, MRI)等の新しく傑出した画像診断技術が開発されており、 これらの新技術は画像 診断分野の発展に大きく寄与している。
MR Iは近年医療分野に導入され、 以来急速に進歩、 普及している。 MR Iは 従来の X線 C Tと異なり、 放射線を必要としないことから被爆の問題がないこと、 任意の断面を映像化できること、 また骨による妨害のないことなどを特徴とする。
MR Iは体内物質の核磁気共鳴現象 (通常は水素原子核の緩和時間 (T ,、 Τ2) など〕 の違いを信号強度の差として映像化する。 常磁性体はプロトン (水のプロ トン) の緩和現象を促進する緩和効果を有し、 映像のコントラストを増強させる 造影剤となる。 なかでも希土類金属の G d ( 3価) は 4 f軌道に 7個の不対電子 を有し、 かつ配位座の数 (9もしくは 1 0 ) が多いため強い緩和効果を持ち有力 な造影物質となる (R. B. Lauffer, Chem. Rev.. 87.901 (1987)]。 しかし、 G d ( 3価) は体外へ排出されず毒性が問題となる。
このため、 実際は、 公知のキレート化剤である D T P A (diethylenetriamine- pentaacetic acid) との錯化合物 (G d— D T P A) として投与される。
G d— D T P Aは臨床診断上での有用性が確認されている。 しかしながら、 こ の薬物自身は血中半減期が短く、 組織選択性能が乏しい点、 また生理条件下で 2
価のァニオン錯体として存在するために高い浸透圧を示す点などの改善すべき点 を有している。 これらの問題点を解決すべくキレート化剤について様々なアブ口
—チがなされているが (特開昭 6 3— 9 3 7 5 8号、 特開平 1一 1 3 9 5号等) 、 十分に満足な成果を得るには至っていない。
従って、 新しい錯化合物の開発研究、 中でもキレート化剤の開発研究の意義は 大きい。
発明の要約
本発明の目的は、 便れたコントラスト増強能、 組織選択性能、 安定性、 血中で の持铳性を示し、 高浸透圧を示さない等の特性を有する錯化合物を形成し得る新 規なキレート化剤、 該キレート化剤と金属原子との錯化合物、 及び該錯化合物を 含む診断剤を提供することにある。
上記の課題を解決すべく、 本発明者等はキレート化剤等について種々研究を重 ねてきたところ、 下記式 〔I〕 で表される化合物と金厲原子とからなる錯化合物 が優れたコントラスト増強能、 組織選択性能、 安定性、 血中での持铳性を示し、 高浸透圧を示さない等の特性を有することを見出し、 本発明を完成するに至った。 即ち、 本発明は、 下記一般式 〔I〕 で表される化合物 (以下、 化合物 〔I〕 又は 単にキレート化剤と称することもある) 又はその塩、 化合物 〔I〕 と金属原子と からなる錯化合物又はその塩、 及び該錯化合物又はその塩を含む診断剤である。
R50CH,C、 CH.COOH CH,COR6 I N-CH, cH.-N-CH
λ ',ノ— CH.-N [I]
m , \ L J
R30CHC' \cHCOR4
Rl R2
〔式中、 mは 1から 3の整数、
R, 及び R2 は、 同一又は異なって、 水素原子又は低級アルキル基、
R
3 、 R< 、 R
5 及び R« は、 同一又は異なって、 水酸基又は基:
(式中、 nは 0又は 1、
Xは一 NH—又は一 0—、 Yはアルキレン基、
Aは水素原子、 低极アルキル基、 低极アルコキシ基、 ハロゲン原子又はトリフ ルォロメチル基、 Bはアルキル基又はアルケニル基を示す)
を示す。 但し、 R ,、 R <、 R 5 及び R , のうち、 水酸基は 2又は 3個であり、 水酸基が 2個の場合には 及び R s が共に水酸基であるもの並びに R 4 及び R 6 が共に水酸基であるものを除く。 〕
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明のキレート化剤と金属原子との錯化合物をラッ トに投与したと きの各臓器 (肝膝、 肾臓及び脾臓) に対する集積性を示す図である。
発明の詳細な説明
上記一股式 〔 I〕 で表される化合物において、 低极アルキル基は直鏆又は分技 鎖状のいずれでもよく、 好ましくは炭素数 1〜4のアルキル基、 具体的にはメチ ル、 ェチル、 ブロピル、 イソブロピル、 ブチル、 イソブチル、 s e c—ブチル、 t e r t一ブチル等が例示される。
アルキレン基は直鎖又は分技鎖状のいずれでもよく、 好ましくは炭素数 1〜10 のアルキレン基、 例えばメチレン、 エチレン、 トリメチレン、 プロピレン、 テト ラメチレン、 ペンタメチレン、 1一メチルエチレン、 1ーメチルテトラメチレン、 へキサメチレン、 ォクタメチレン、 デカメチレン等が例示される。
低极ァルコキシ基は直鎖又は分技鏆状のレ、ずれでもよく、 炭素数 1〜 4のアル コキシ基が好ましく、 メ トキシ、 エトキシ、 プロボキシ、 ブトキシ、 t e r t— ブトキシ等が例示される。
アルキル基は直鎖又は分技鎖状のいずれでもよく、 好ましくは炭素数 1〜2 0 のアルキル基、 例えばメチル、 ェチル、 プロビル、 イソブロビル、 プチル、 イソ
ブチル、 s e c—ブチル、 t e r t—プチル、 ペンチル、 へキシル、 ォクチル、 デシル、 ドデシル、 テトラデシル、 ォクタデシル等が例示される。
アルケニル基は直鏆又は分技鎮状のいずれでもよく、 また二重結合の位置及び 数は特に限定されないが、 好ましくは炭素数 2〜 2 0のアルケニル基、 例えばへ キセニル、 ォクテュル、 3 , 7 —ジメチルー 2 , 6—ジォクタジェニル、 9ーォ クタデセニル等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、 塩素原子、 臭素原子等が例示される。
化合物 〔 I〕 において、 好ましくは Yと Bの炭素数の和が 5以上の化合物がよ い。 より好ましくは、 Yと Bの炭素数の和が 8〜1 2の化合物がよい。 また、 フ ェニル基上の置換基である A及び Bの結合位置は特に制限はないが、 好ましくは Bは Yに対してメタ位又はパラ位がょレ、0
本発明の化合物の塩としては、 医薬的に許容される塩が好適に用いられ、 かか る塩としては金属 (例えばナトリウム、 カリウム等) との塩、 有機塩基 〔例えば エタノールァミン、 モルホリン、 メグルミン (N—メチルグルカミン) 等〕 との 塩、 アミノ酸 (例えばアルギニン、 オル二チン等) との塩が例示される。
本発明化合物は種々の方法で製造することができ、 例えば下記の反応工程式に 示される方法で得ることができる。
Rl [i] 2
(式中、 m、 n、 R, 、 R2、 R3、 R< 、 R5、 R«、 Y、 A及び Bは前記と 同じ、 X, は一 NH2 又は一 OHを示す。 )
上記の反応工程において、 酸無水物である化合物 〔III 〕 は、 化合物 〔II〕 を、 例えば、 無水齚酸、 ジシクロへキシルカルボジイミ ド、 1, 一カルボニルジ ィミダゾール等を用いた公知の脱水反応に付すことより取得できる。 この反応は、 反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、 50〜100で程度にて 3時間〜 3日間程度 反応させることにより行うことができる。
化合物 〔 I〕 は化合物 〔III ) と化合物 〔IV〕 とを反応させることにより得ら れる。 匕合物 〔III 〕 と化合物 〔IV〕 との反応は、 酸無水物とァミノ化合物又は ヒドロキシ化合物とを反応させる惯用の方法に準じて行うことができ、 例えば化 合物 〔III 〕 を N, N—ジメチルホルムアミ ド (DMF ) 等の有機溶媒に溶解した 溶液に、 化合物 〔【V) を必要なら塩化メチレン、 クロ口ホルム等の有機溶媒に溶 解して加え、 室温〜 9 0で程度にて 3 0分〜 5日間程度反応させることにより行 うことができる。 この反応に際して、 塩基性化合物、 例えばピリジン、 トリェチ ルァミン、 N, N—ジメチルァニリンなどを添加してもよい。
この反応において、 化合物 〔I〕 の R 3 〜R , 中、 水酸基が 2個の化合物を調 製する場合、 化合物 〔IV〕 は化合物 ΠΠ 〕 に対して 2. 0から 2. 3当量用い る。 また、 水酸基が 3個の化合物を調製する場合、 化合物 〔IV〕 は化合物 〔Π Ι〕 に対してし 0〜し 3当量用いる。 この水酸基が 3個の場合、 反応後、 水約 1.0 当量を加え、 前記と同様の反応条件にて反応を行うことにより、 反応しなかった 無水カルボン酸部分に水を付加し、 化合物 〔I〕 に導く。 この無水カルボン酸部 分への水の付加反応は、 化合物 ΠΠ〕 と 〔IV〕 の反応に先立って、 化合物 〔III〕 に対して行ってもよい。
化合物 〔I〕 の塩は、 常法に準じて調製することができる。
かくして得られた化合物 〔 I〕 及びその塩は、 例えば再結晶、 再沈殿、 カラム クロマトグラフィー等の慣用の方法で、 単離、 精製することができる。
本発明の錯化合物は上記化合物 〔I〕 と金属原子とからなり、 当該錯化合物の 調製は当該分野で公知の方法により行うことができる。 例えば、 金属のォキシド 又はハライド化合物を水に加え、 等モル量の化合物 〔I〕 又はその塩で処理すれ ばよい。 化合物 〔I〕 及びその塩は水溶液として加えることができるが、 水への 溶解度が危惧される場合にはメタノール、 エタノール、 アセトン、 ジメチルスル フォキシド等の有機溶媒を添加してもよい。 また必要に応じて希酸または希塩基 を加えることにより、 p Hの制御が可能である。 錯化合物の調製の際の加熱、 冷 却は適宜行えばよい。 本発明の錯化合物の医薬的に許容される塩は、 前記の調製 法において、 錯化合物が依然として溶解状態にある間に、 酸 (例えば有機酸、 無
機酸等) や塩基 (例えばアルカリ金属水酸化物、 塩基性アミノ酸等) を用いて錯 化合物を中和することにより製造することができる。
本発明の診断剤は上記の錯化合物又はその塩からなり、 錯化合物の金属原子を 適宜選択することにより、 MR I診断剤、 X線診断剤、 核医学診断剤、 超音波診 断剤等として使用できる。 中でも好ましいのは、 MR I診断剤としてである。 こ の場合、 錯化合物のための金属原子として好ましいものは、 原子番号 2 1〜2 9、 4 2、 4 4、 5 7〜7 0の元素である。 錯化合物の中心金属イオンは常磁性であ ることが必要であり、 前記金属原子の二価及び三価イオンが適当である。 適当な イオンとしては、 例えばクロム (I II ) 、 マンガン (II) 、 鉄 (III ) , コバル ト (I D 、 ニッケル (Π) 、 銅 (Π) 、 プラセオジム (I II) 、 ネオジム (II I)、 サマリウム (III ) 、 ガドリニウム (I II ) 、 テルビウム (ΙΠ ) 、 ジスプロシ ゥム (I II ) 、 ホルミウム (UI ) 、 エルビウム (ΙΠ ) 及びイッテルビウム (II I ) イオンが挙げられる。 特にガドリニウム (ΙΠ ) 、 テルビウム (Π 1 )、 ジスプロシウム (ΙΠ ) 、 ホルミウム (III ) 、 エルビウム (ΙΠ ) 及び鉄(I I I) イオンが好ましい。
核医学診断剤として使用する場合には、 錯化合物の金属原子は放射性であるこ とが必要であり、 例えばガリウム、 テクネシゥム、 インジウム、 イットリウム等 の元素の放射性同位体が用いられる。
X線診断剤として使用する場合には、 錯化合物の金属原子は X線を吸収する必 要があり、 例えばランタニド列の金属、 タンタル等が用いられる。 また、 これら の錯化合物は超音波診断剤としても使用できる。
本発明の診断剤は、 水溶液剤、 乳剤、 リボソーム製剤、 これらの凍結乾燥製剤 などの形態で提供され、 これらの製剤は前記の錯化合物水溶液を用いて、 製剤上 の慣用手段により調製することができる。 凍結乾燥製剤は使用時に適当な希釈剤 に溶解 "分散して用いられる。 本発明の診断剤には、 生理的に許容しうる緩衝液
〔例えばトリス (ヒドロキシメチル) ァミノメタン等〕 や他の生理的に許容しう る添加物 (例えばパラベン類などの安定剤等) を添加してもよい。 本発明の診断 剤は、 従来の診断剤と同様にして使用でき、 例えば液剤をヒトをはじめとする哺
乳動物に対して経口的 ·非経口的に投与して使用される。 投与量も従来の診断剤 と実質的に同様であり、 0. 00 l〜5ramolZKg程度、 通常 0. 005〜0. 5 mmolZKg程度で投与される。
本発明の化合物と金属原子との錯化合物は、 優れたコントラスト増強能、 組織 選択性能、 安全性、 血中での持铳性を示し、 高浸透圧を示さない等の特性を有し、 医療診断、 特に MR I診断上で有用である。 本発明の錯化合物は肝臓、 脾臓等の 各種臓器、 腫瘍部、 血管等の造影に対して有利であり、 動脈硬化症診断剤として 有用である。 特にァテローム性動脈硬化病変への集積性が強く、 ァテローム性動 脈硬化病の診断に有用である。 また、 肝臓腫瘍診断剤としても有用である。 さら に本発明の化合物は分子中にベンゼン環を有している。 従って、 UV吸収 (例え ば 254 nm) を指標に該錯化合物の体内動態や血中濃度の追跡や分析等が容易 に行える。 また、 本発明の化合物は、 適度の脂溶性を有していることから、 脂質 との親和性がある。 従って、 本発明の錯化合物は、 脂肪乳剤化、 リボソーム化が 公知の方法にて容易に行え、 更なる組織選択性の向上が可能である。 好ましい化 合物としては、 後述する実施例 4 (N— (4一才クチルフヱ二ルカルバモイルメ チル) ジエチレントリアミン- N, Ν' , N" , N" ーテトラ醉酸; DTPA— OA)、 実施例 5 (N— (4一へキシルフ: L二ルカルバモイルメチル) ジェチレ ントリアミン一 N, N' , N" , N" —テトラ酢酸; DTPA— HA)、 実施例 6 (N— (4一デシルフエ二ルカルバモイルメチル) ジエチレントリアミンー N, N' , N" , N" —テトラ酢酸; DTPA— DeA)、 実施例 7 (N— (4ード デシルフエ二ルカルバモイルメチル) ジエチレントリアミンー N, N* , N" , N" ーテトラ齚酸; DTPA— DoA) の化合物が挙げられる。
以下、 本発明を実施例及び試験例に基づいてより詳細に説明するが、 本発明は これらに限定されるものではない。
実施例 1
ジエチレントリアミンペン夕酢酸ジァミ ド類の合成その 1
(化合物 〔I〕 において、 m=l、 R, =R2 =H、 R3 =Rt =p-Cs H17 C, H4 NH、 R6 =R, =OHの化合物、 DTPA— D IOA)
ジエチレントリアミンペン夕酢酸二無水物 2. 05 g (5. 7 mmol) を無水 D MF 1 0 Omlに溶解する。 この溶液に、 4ーォクチルァニリン 2. 36 g (11.4 mmol) を塩化メチレン 1 Omlに溶解した溶液を加え、 室温にて 1 5時間攪拌する。 得られる結晶を ¾取し、 エーテルにて洗浄、 再結晶 (エタノール: メタノール: ベンゼン =6 : 1 : 1) を行い、 目的化合物 (白色アモルファス、 mp207.0〜 208. 5で) を 3. 64 (収率82. 7%)で得た。
,Η-腿 (CDC +CFsCOOD) δ 0.88 (6Η. t, J=6.4Hz), 1.2 - 1.4 (20H. m), 1.5 - 1.7 (4H. m). 2.57 (4H, t. J=7.6Hz), 3.2 - 3.4 (4H. ra), 3.6 - 3.9 (6H, m), 4.33 (4H, s), 4.43 (4H, s), 7.16 (8H. s)
IR ( Br): 3350, 1680. 1620cm- 1
実施例 2
ジェチレントリアミンペンタ酢酸ジァミ ド類の合成その 2
(化合物 〔I〕 において、 m= l、 R! =R2 =H、 R, =R« =p— C, H13 C, H* NH、 Re =R« =OHの化合物、 DTPA - D IHA)
ジエチレントリアミンペンタ醉酸二無水物 2. 02 g (5. 7腿 ol) を無水 D MF 1 00mlに溶解する。 この溶液に、 4一へキシルァニリン 2. 02 g (11.4 mmol) を塩化メチレン 1 0mlに溶解した溶液を加え、 室温にて 1 5時間攪拌する。 溶媒を留去し、 エーテルを用いて結晶化し、 再結晶 (THF: メタノール =3 : 1) を行い、 目的化合物 (白色アモルファス、 mp 207. 5〜209. 0で) を 3. 36 (収率82. 8¾ で得た。
^-NMR (CDCh+CFaCOOD) δ: 0.88 (6Η, t. J=6.2Hz), 1.2 - 1.4 (12H, m), 1.5 - 1.7 (4H, m), 2.58 (4H, t. J=7.7Hz), 3.2 - 3.4 (4H, m). 3.7 - 3.9 (6H, m). 4.34 (4H, s), 4.44 (4H, s), 7.17 (8H, s)
IR (KBr): 3330, 1680, 1620cm"1
実施例 3
トリエチレンテトラアミンへキサ酢酸ジアミ ド類の合成
'(化合物 〔I〕 において、 m=2、 Ri =R2 =H、 R8 =R« =p-C. H17
C, H4 NH、 R8 =R, =OHの化合物、 TTHA - D I OA)
トリエチレンテトラアミンへキサ酢酸二無水物 (トリエチレンテトラアミンへ キサ酢酸から、 無水酢酸及び無水ピリジンを用いる常法の脱水反応にて取得した)
1. 20 g (2. 6mmol) を無水 DMF 1 20mlに溶解する。 この溶液に、 4一 ォクチルァニリン 1. 04 g (5. lramol) を塩化メチレン 1 Omlに溶解した溶 液を加え、 室温にて 4日間攪拌する。 得られる結晶を濾取し、 エーテル続いてェ 夕ノールにて洗浄、 再結晶 (THF: メタノール =3 : 1) を行い、 目的化合物
(白色アモルファス、 mp 212. 5〜214. 0eC) を 1. 55 g (収率 68.0
%) で得た。
'H-NMR (CDCh+CF3C00D) δ: 0.88 (6Η, t, J=6.4Hz), 1.2 - 1.4 (20H, m), 1.5 - 1.7 (4H. m), 2.59 (4H, t. J=7.7Hz), 3.4 - 3.8 (8H. m), 3.8 - 4.1 (8H, m). 4.36 (4H. m), 4.50 (4H, m), 7.19 (8H. s)
IR (KBr): 3600 - 3200. 1720. 1670 cm"1
実施例 4
ジエチレントリアミンペン夕酢酸モノアミ ド類の合成その 1
(化合物 〔I〕 において、 m= l、 R, =R2 =H、 R, =p-C8 H,,CeH« NH、 R4 =R6 =R, =OHの化合物、 DTPA - OA)
75でにてジエチレントリアミンペン夕酢酸二無水物 3. 00 g (8. 4mmol) を無水 DMF45mlに溶解し、 水 0. 15ml (8. 3隨 ol) を滴下した後、 前記 温度にて 1時間攙拌しジエチレントリアミンペンタ酢酸一無水物を生成させる。 この溶液に、 4ーォクチルァニリン 1. 75 g (8. 3mmol) を滴下し、 更に 1 時間前記温度にて攢拌する。 カラムクロマトグラム法 (溶出液: 40%含水メタ ノール) にて精製を行い、 目的化合物 (白色アモルファス、 mp 1 64. 0〜 1 67. 0で) を 1. 48g (収率 30. 0%)で得た。
^-NMR (CD3OD+CF3COOD) δ: 0.89 (3Η, t. J=6.4Hz), 1.1 - 1.5 (10H. m). 1.5 - 1.7 (2H. m). 2.56 (2H, t, J=7.5Hz), 3.1 - 3.4 (4H, m). 3.4 - 3.6 (4H, m), 3.6 - 3.9 (8H, m), 4.36 (2H. s), 7.13 (2H. d, J=8.4Hz), 7.49 (2H, d, J=8.4Hz)
IR (KBr): 3400 - 3000, 1680, 1610 an"1
実施例 5
ジエチレントリアミンペンタ齚酸モノアミ ド類の合成その 2
(化合物 〔I〕 において、 m=し R, =R2 =H、 Ra =p-C. H13C«H4 NH、 R4 =Re =R, =OHの化合物、 D T PA— HA)
75eCにてジエチレントリァミンペンタ酢酸二無水物 3. 00 g (8. 4mmol) を無水 DMF45mlに溶解し、 水 0. 1 5ml (8. 3議 ol) を滴下した後、 前記 温度にて 1時間攙拌しジエチレントリアミンペン夕酢酸一無水物を生成させる。 この溶液に、 4一へキシルァニリン 1. 47g (8. 3mmol) を滴下し、 更に 1 時間前記温度にて «拌する。 カラムクロマトグラム法 (溶出液: 20%含水メタ ノール) にて精製を行い、 目的化合物 (微黄色アモルファス、 mp 159. 0〜 1 60. 0eC) を 1, 742 (収率38, 0 で得た。
'H-NMR (CDsOD) δ: 0.89 (3Η, t, J=6.5Hz), 1.2 - 1.5 (6H, m), 1.5 - 1.8 (2H. m), 2.55 (2H. t, J=7.5Hz), 3.1 - 3.5 (8H, m), 3.60 (2H. brs), 3.68 (6H, brs). 3.79 (2H. brs), 7.11 (2H. d. J=8. Hz). 7.53 (2H. d, J=8.4Hz) IR (KBr): 3380 - 3000. 1680, 1610 cm"1
実施例 6
ジエチレントリアミンペンタ酢酸モノアミ ド類の合成その 3
(化合物 〔I〕 において、 m-l、 R, =R2 =H、 R, =p- C ioH21 CeH4 NH、 R4 =R6 -R, =OHの化合物、 DTPA— DeA)
75でにてジエチレントリアミンペン夕酢酸二無水物 3. 97 g (ll.lmraol) を無水 DMF 60mlに溶解し、 水 0. 20ml (1 1. 1醒 ol) を滴下した後、 前 記温度にて 1時簡攬拌しジエチレントリアミンペン夕酢酸一無水物を生成させる。 この溶液に、 4一デシルァニリン 2. 59 g (1 1. 1讓 ol) を無水塩化メチレ ン 5mlに溶解した溶液を滴下し、 更に 1時間前記温度にて攪拌する。 カラムクロ マトグラム法 (溶出液: 40%含水メタノール) にて精製を行い、 目的化合物 ( 白色アモルファス、 mp 1 69. 0〜172. 0で) を 3. 06 g (収率 45.3%) で得た。
!H-NMR (CD30D) δ: 0.89 (3Η. t. J=6.3Hz). 1.2 - 1.4 (14H, m), 1.5 - 1.7
(2H, m), 2.56 (2H, t, J=7.5Hz). 3.1 - 3.4 (8H, m), 3.59 (2H, s), 3.63 (4H. S), 3.71 (2H, s). 3.73 (2H, s), 7.12 (2H, d, J=8.3Hz), 7.53 (2H, d. J=8.3Hz)
IR ( Br): 3500 - 3000, 1680. 1620 cm"1
実施例 7
ジエチレントリアミンペンタ酢酸モノアミ ド類の合成その 4
(化合物 〔I〕 において、 m=し Rj =R2 =H、 Ra =p— C 12H25C,H* NH、 R4 =R8 =R« =OHの化合物、 DTPA— DoA)
75'Cにてジエチレントリァミンペンタ酢酸二無水物 3. 97 g (ll.lmmol) を無水 DMF 6 0mlに溶解し、 水 0. 20ml ( 1 1. 1 mmol) を滴下した後、 前 記温度にて 1時間攙拌しジエチレントリアミンペン夕酢酸一無水物を生成させる。 Γの^液に、 4一ドデシルァ二りン 2. 9 1 c ( 1 1 . 1 mmnO を ¾tt水塩化 チ レン 5mlに溶解した溶液を滴下し、 更に 1時閎前記温度にて攪拌する。 カラムク 口マトグラム法 (窑出液: 4 0 «含水メタノール〉 にて精製も行い、 日的化仑物
(白色アモルファス、 mp 1 7 1. 0-1 73. 5で) を 2. 60 g (収率 36.7 96) で得た。
!H-賺 (CD,0D) δ: 0.89 (3Η. t. J=6.4Hz), 1.2 - 1.4 (16H, m), 1.5 - 1.7 (2H, m), 2.56 (2H. t. J=7.5Hz). 3.1 - 3,4 (8H, m). 3.50 (2H, s), 3.61 (2H, s). 3.66 (4H. s), 3.71 (2H, s), 7.11 (2H, d, J=8.4Hz). 7.54 (2H. d, J=8.4Hz)
[R (KBr): 3500 - 3000, 1680. 1620 cm"1
実施例 8
トリエチレンテトラアミンへキサ酢酸モノァミ ド類の合成その 1
(化合物 〔 I〕 において、 m=2、 R, =R2 =H、 Ra =p-C8 H17C«H4 NH、 R4 =R6 =R* =OHの化合物、 TTHA— OA)
80。Cにてトリエチレンテトラァミンへキサ酢酸二無水物 4, 6 3 g ( 1 0. 1 mmol) を無水 DMF 55mlに溶解し、 水 0. 1 8ml ( 1 Ommol) を滴下した後、 前記温度にて、 30分間攪拌しトリエチレンテトラァミンへキサ酢酸一無水物を
生成させる。 この溶液に、 4ーォクチルァニリン 2. 3ml ( 1 0. 1讓 ol) を滴 下し、 更に 1時間前記温度にて攪拌する。 HP LC法 (溶出液: 35%含水メタ ノール) にて精製を行い、 目的化合物 (掲色アモルファス、 mp 1 82〜1 84 で) を 2. 28 g (収率 33%) で得た。
'H-N R (CDsOD) δ 0.89 (3Η, t. J=6.4Hz), 1.1 - 1.45 (10H, m). 1.45 - 1.7 (2H, m), 2.56 (2H. t, J=7.5Hz). 2.9 - 3.25 (6H. m). 3.25 - 3.55 (10H, m), 3.57 (2H, s), 3.65 - 3.9 (6H. m). 7.11 (2H. d, J=8.4Hz), 7.55 (2H, d, J=8.4Hz)
IR (KBr): 3400. 1620cm-1
実施例 9
トリエチレンテトラアミンへキサ酢酸モノァミ ド類の合成その 2
(化合物 〔I〕 において、 m= 2、 Ri =R
2 =H、 Ra =p-C« H
13C,H
4 NH、 R*
=OHの化合物、 TTHA— HA)
80eCにてトリエチレンテトラアミンへキサ酢酸二無水物 50 Omg (1. Iramol) を無水 DMF 1 0mlに溶解し、 水 0. 02ml (1. lmmol) を滴下した後、 前記 温度にて、 1時間攙拌しトリエチレンテトラアミンへキサ酢酸一無水物を生成さ せる。 この溶液に、 4一へキシルァニリン 0. 1 8 g ( 1. Ommol) を滴下し、 更に 1時間前記温度にて攪拌する。 カラムクロマドグラム法 (溶出液: 20%含 水メタノール) にて精製を行い、 目的化合物 (無水アモルファス、 mp 168.0〜 1 70. 0で) を 1 1 9rag (収率 1 8. 0%) で得た。
1H-薩 (CDsOD) δ: 0.89 (3Η, t. J=6.4Hz), 1.2 - 1.5 (6H. m), 1.5 - 1.7 (2H, m), 2.57 (2H. t, J=7.5Hz), 3.0 - 3.3 (6H, m), 3.3 - 3.5 (6H, m), 3.5 - 3.6 (4H, m), 3.61 (2H, s), 3.7 - 3.9 (6H, m). 7.11 (2H. d. J=8.4Hz), 7.54 (2H. d, J=8.4Hz)
IR (KBr): 3380 - 3000, 1680, 1610 cm"1
実施例 1 0
ジエチレントリアミンペンタ酢酸ジエステル類の合成その 1
(化合物 〔I〕 において、 m= l、 Rj =R2 =H、 R8 =R* =p-C4 H9
C, H4 CH2 0、 R, =R, =0Hの化合物)
80eCにてジエチレントリァミンペン夕酢酸二無水物 1. 43 g (4. OOmmol) を無水 DMF 24 mlに溶解する。 この溶液に、 4一ブチルベンジルアルコール 1. 32 g (8. 0 Ommol) を無水 DMF 12 mlに溶解した溶液を加え、 前記温 度にて 1 6時間攪拌する。 溶媒を留去し、 再結晶 (クロ口ホルム一へキサン) を 行い、 目的化合物 (白色アモルファス、 mp 61. 5〜63. 5で) を 2. 04 g (収率 74. 5%)で得た。
•H-NMR (CDCU) δ: 0.90 (6Η, t, J=7.2Hz), 1.2 - 1.4 (4H, m), 1.5 - 1.6 (4H. m). 2.56 (4H, t, J=7.6Hz). 3.0 - 3.2 (4H, in), 3.3 - 3.7 (12H, m). 4.0 - 4.2 (2H, m), 5.02 (4H, s), 7.10 (4H, d, J=8.1Hz), 7.19 (4H, d.
J=8.1Hz)
IR (KBr): 3400, 1730. 1620ΟΠ-1
実施例 1 1
ジエチレントリアミンペンタ醉酸ジエステル類の合成その 2
C, H4 CH2 0、 R6 -R, =OHの化合物)
実施例 1 0において、 4一プチルベンジルアルコールの代わりに 4一トリデシ ルペンジルアルコール (慣用の方法にて合成) を用い、 実施例 1 0と同様な方法 にて目的化合物 (淡黄色アモルファス、 mp 157. 0〜1 61. 0で〉 を得た。
^-NMR (CDC +CFaCOOD) δ: 0.87 (6Η. t, J=6.3Hz), 1.2 - 1.4 (40H, m), 1.5 - 1.7 (4H, ID). 2.56 (4H. t, J=7.4Hz), 3.1 - 3.9 (10H. m). 4.0 - 4.3 (8H. m). 5.12 (4H, brs), 7.15 (8H. t)
IR (KBr): 3400, 1730, 1700. 1620cm-1
実施例 12
ジエチレントリアミンペン夕酢酸モノエステル類の合成
(化合物 〔I〕 において、 m= l、 R, =R2 =H、 R3 = p— C 13H27C ,H4 CH2 0、 Ri =RS =R, =OHの化合物、 DTPA - TBE)
実施例 4において、 4ーォクチルァニリンの代わりに 4一トリデシルペンジル
アルコールを用い、 実施例 4と同様な方法にて目的化合物 (淡黄色アモルファス、 mp 1 94. 0〜 1 9 7. 0で) を得た。
Ή-NMR (CDC1,+CF3C00D) δ : 0.88 (3Η, t. J=6.6Hz). 1.2 - 1.4 (20H. m). 1.5 - 1.7 (2H, m), 2.61 (2H, t. J=7.8Hz). 3.3 - 3.4 (4H. m). 3.6 - 3.8 (4H. in), 3.80 (2H. s), 4.26 (6H, s). 4.31 (2H, s). 5.22 (2H. s), 7.21 (4H, s)
IR (KBr): 3400. 1720. 1700. 1630cm-1
実施例 1 3
Gd · DTP A— OA錯化合物の調製
実施例 4の方法で得られた DTP A - OA 5. 8 gを蒸留水 8 0 0 mlに溶解し た水溶液に、 0. 0 の GdC 1 a 溶液を 200ml徐々に加え、 0. I N— Na OH水溶液を加えることにより pHを 7. 0付近に保ちながら攪拌し、 室温 にて約 1時間反応させた。 反応後、 該反応液を凍結乾燥し、 7. 92 gの Gd · DTPA- 0 A錯化合物を得た。
実施例 1 4 ·
Gd · 0丁?八ー06八錯化合物の調製
DTP A— OAの代わりに実施例 6の方法で得られた DTP A— D e Aを用い、 実施例 1 3と同様の操作により、 目的錯化合物を得た。
実施例 1 5
脂肪乳剤化錯化合物の調製
精製大豆油 1 0 0 gに精製卵黄リン脂質 60 g及び Gd · DTP A - D e A錯 化合物 4 0 gを加えた後、 混合し、 これに 1 750mlの蒸留水及び 20. 0 の グリセリンを加え、 ホモミキサーで均質化処理を行った。 次にマントン一ガウリ ン型高圧ホモジナイザーを用いて高圧乳化を行い、 平均粒子径が 1 zm以下の均 質化された極めて微細な Gd · DTP A - De A脂肪乳剤が得られた。 得られた Gd · DTP A— D e A脂肪乳剤の生理食塩水に対する浸透圧比は約 1. 0であ
Όた o
試験例 1
本発明の錯化合物を用いたァテローム性動脈硬化症の診断
動脈硬化モデルゥサギを無麻酔下、 背位に固定し、 実施例 1 3で得られた Gd
• DTP A - OA水溶液を 2 rolZ分の速度で耳殻静脈から 200 zmol Zkg持統 投与した。 投与後、 5分、 30分及び 6時間後にゥサギを薬殺し、 胸部大動脈を 取り出し、 大動脈外側に付着した脂肪を慎重に取り除いた後、 血管を切り開き、 動脈硬化部を切り出した。 切り出した試料を、 NMR用試料管に入れ、 MR I撮 像を行った。 MR Iシステムは Siemens Magnet om 1.5Tを用い、 コイルは Eye coilを使用した。 撖像条件は、 繰り返し時間 (TR) = 500 msec, エコー時間
(TE) =22 msec, スライス厚 = Irani, 積算回数 =8回、 マトリックス = 128
X 256とした。
得られた画像には、 血管内の動脈硬化部分が極めて鲜明に描きだされ、 また動 脈硬化部分と非動脈硬化部分のコントラストも明瞭であり、 MR I診断用造影剤 として有用であることが判明した。
試験例 2
ラット臓器内分布の測定
実施例 1 3と同様の操作により得られた Gd · DTPA— DoA水溶液を尾静 脈よりボーラス投与した (投与量: 0. 02讓01ノ1¾)。 投与後 30分、 1、 2、 4、 6及び 24時間して、 動物を CO 2 ガスで屠殺後、 脱血し、 各臓器 (肝臓、 肾臓及び脾臓) を取り出した。 各臓器をホモジナイズした後、 エタノールを加え、 遠心分雜を行って上淸を得、 髙速液体クロマトグラム法 (65%メタノール、 1 %トリエチルァミン、 pH7. 0、 C 18カラム) にて錯化合物量を測定し、 投 与量に対する割合 (%) を求めた。 その結果を図 1に示す。 図 1に示されるよう に、 肝臓への便れた集積性が明らかとなった。