JPWO2021085468A1 - 高純度2−ナフチルアセトニトリル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、各種医薬品、農薬、化学製品の合成用原料・中間体として有用な不純物の少ない高純度の2−ナフチルアセトニトリル及びその製造方法を提供する。2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度が95面積%以上であり、式(a)〜(j)で表されるナフタレン化合物の含有量が所定の面積%以下である高純度2−ナフチルアセトニトリル。下記工程1及び工程2を含むことを特徴とする高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。工程1:2'-アセトナフトンを、必要に応じて添加剤の存在下、ウィルゲロット反応させて得られたアミド化合物を、加水分解した後、2−ナフチル酢酸を得る工程;工程2:工程1で得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及びスルファミドを、必要に応じて触媒の存在下、有機溶媒中で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程。

Description

本発明は、各種医薬品、農薬、化学製品等の合成用原料・中間体として有用な、高純度の2−ナフチルアセトニトリル及びその製造方法に関する。
2−ナフチルアセトニトリルは、様々な医薬品、農薬、化学製品等の合成用原料、合成用中間体として有用である。また、2−ナフチルアセトニトリルに類似する化学構造を有する芳香族ニトリル化合物も、様々な医薬品、農薬、化学製品の合成用原料、合成用中間体としての利用が期待されている。
例えば、2−ナフチルアセトニトリルは、鬱病(例えば、大鬱病性障害、双極性疾患)、線維筋肉痛、疼痛(例えば、神経障害性疼痛)、睡眠障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥活動性障害(ADHD)、下肢静止不能症候群、統合失調症、不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、季節的情動障害(SAD)、月経前失調症、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病)などのCNS疾患、尿失禁および過敏腸症候群(IBS)に係わる疾患、糖尿病等の予防、治療等に用いる医薬品、エリスロポエチン(EPO)誘導剤、カルシウム拮抗剤、ヒスタミンレセプター拮抗剤、タキキニンレセプター拮抗剤、12−リポキシゲナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC(PKC)阻害剤、PDEIV阻害剤等の医薬品の合成用原料、合成用中間体として有用である。
2−ナフチルアセトニトリルは、特に、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に記載されている医薬品である(1R,5S)−1−(ナフタレン−2−イル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンの製造用原料・中間体として好適に用いることができる。
2−ナフチルアセトニトリルの製造方法としては、例えば、2−メチルナフタレンを臭素化して2−(ブロモメチル)ナフタレンを得、それをシアン化カリウムと反応させて製造する方法(非特許文献1)が知られている。
Figure 2021085468
しかしながら、この方法は、収率が低い、臭素化による副生物の生成が多い、四塩化炭素、シアン化カリウム等の毒性の強い化合物を使用する等の点から、工業的な製造方法としては好ましくない。
さらに、芳香族カルボン酸や芳香族カルボン酸誘導体等からニトリル化合物を合成する方法も報告されている(非特許文献2)。
非特許文献2には、芳香環等の様々な構造を有するカルボン酸ハロゲン化物及びスルファミドを、スルホランに溶解し、反応させて、ニトリル化合物に変換する方法が記載されている。
しかしながら、非特許文献2の方法では、基質によって収率が低いものもあり、工業的な製造方法としては、更なる改良が求められている。
非特許文献3には、芳香族ケトンからウィルゲロット反応により芳香族カルボン酸や芳香族チオアミドを合成する方法が報告されている。
しかしながら、これらの方法は収率が十分ではなく、また、ウィルゲロット反応では硫黄を使用することから、生成する芳香族カルボン酸等に硫黄が多く含まれると考えられるため、工業的な製造方法としては、更なる改良が求められている。
また、これらの方法で得られる2−ナフチルアセトニトリルは、これらの製造方法とその収率から推測すると、硫黄、アミド化合物、チオアミド化合物等の副生物を数%程度含有していると考えられる。
WO2007/016155 WO2015/089111 WO2015/102826
Tetrahedron Letters 56 (2015) 2054-2058 Tetrahedron Letters, Vol.23, No.14, pp.1505-1508, 1982 Synthetic Communications, Vol.33, No.1, pp.59-63, 2003
本発明は、不純物が少なく、安全かつ高効率で、工業的規模で安価に製造可能な高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、比較的安価で汎用的な2'-アセトナフトン等の芳香族ケトン化合物からウィルゲロット転位を利用して2−ナフチル酢酸等の芳香族カルボン酸化合物を製造すること、さらに当該芳香族カルボン酸化合物から高収率で高純度の2−ナフチルアセトニトリル等の芳香族ニトリル化合物を製造する方法を見出した(国際出願番号PCT/JP2019/018065)。
ここで、一般に、医薬品の合成用原料・中間体は、これらに含まれる不純物による予期せぬ副作用が生じないように、高い純度が求められている。不純物としては、例えば、これらを製造する際に生成した副生物が挙げられる。副生物は、精製や目的とする医薬品の製造工程において除去可能な場合もあるが、医薬品を工業的かつ大量に製造する場合は、医薬品の安定供給、価格抑制等のため、製造コストや精製コストをより低減することが望まれており、より不純物の少ない高純度の医薬品の合成用原料・中間体が望まれている。
本発明者らが検討した結果、前記国際出願に記載の製造方法で得られる2−ナフチルアセトニトリルは、従来公知の方法よりも副生物の含有量が少ないことを見出し、本発明に到達した。
また、本発明者らは、当該製造方法についてさらに検討した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度が95面積%以上であり、不純物として下記式(a)〜(j)で表されるナフタレン化合物から選択される1種以上を含み、各ナフタレン化合物の含有量がそれぞれ以下のとおりである高純度2−ナフチルアセトニトリル。
Figure 2021085468
[2] 不純物として下記式(a)〜(d)で表されるナフタレン化合物から選択される1種以上を含み、各ナフタレン化合物の含有量がそれぞれ以下のとおりである、[1]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリル。
Figure 2021085468
[3] 不純物として下記式(c)で表されるナフタレン化合物を含み、式(c)で表されるナフタレン化合物の含有量が1面積%以下である、[1]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリル。
Figure 2021085468
[4] 下記一般式(5)
Figure 2021085468
(一般式(5)中、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される酸ハロゲン化合物及び第一の有機溶媒を含む反応原料1と、スルファミド及び第二の有機溶媒を含む反応原料2とを、15℃〜90℃で混合し、昇温して80℃〜180℃で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る、高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[5] 15℃〜90℃で反応原料1を反応原料2に添加し、昇温して80℃〜180℃で反応させることを特徴とする、[4]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[6] スルファミド1molに対して、前記一般式(5)
Figure 2021085468
で表される酸ハロゲン化合物の量が0.0027mol/分以上となるように反応原料1を反応原料2に添加することを特徴とする、[5]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[7] 反応原料1が、2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及び第一の有機溶媒を、必要に応じて触媒の存在下、混合して得られたものである、[4]〜[6]のいずれか1つに記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[8] 下記工程1及び工程2を含むことを特徴とする、高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
工程1:
2'-アセトナフトンを、必要に応じて添加剤の存在下、ウィルゲロット反応させて得られたアミド化合物を、加水分解した後、2−ナフチル酢酸を遊離させて2−ナフチル酢酸を得る工程;
工程2:
工程1で得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及び第一の有機溶媒を含む反応原料1と、スルファミド及び第二の有機溶媒を含む反応原料2とを混合し、反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程。
[9] 第一の有機溶媒が、炭化水素溶媒、アミド溶媒、スルホン溶媒又はこれらの混合溶媒であり、第二の有機溶媒がスルホン溶媒であることを特徴とする[4]〜[7]のいずれか1つに記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
また、本発明は、以下に関する。
[1A] 2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度が95面積%以上であり、下記式(a)〜(i)で表されるナフタレン化合物の含有量がそれぞれ以下のとおりである高純度2−ナフチルアセトニトリル。
Figure 2021085468
[2A] 下記工程1A及び工程2Aを含有することを特徴とする高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
工程1A:
2'-アセトナフトンを、必要に応じて添加剤の存在下、ウィルゲロット反応させて得られたアミド化合物を、加水分解した後、中和して2−ナフチル酢酸を得る工程;
工程2A:
工程1Aで得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及び下記一般式(7)
SO (7)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、塩素原子、水酸基、アミノ基、イソシアネート基又はp−トリル基を示す。)
で表される化合物を、必要に応じて触媒の存在下、有機溶媒中で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程。
[3A] 前記工程2Aが、
工程1Aで得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤、第一の有機溶媒及び必要に応じて触媒を混合した反応原料1と、前記一般式(7)で表される化合物及び第二の有機溶媒を混合した反応原料2を混合し反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程であることを特徴とする[2A]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[4A] 第一の有機溶媒が、炭化水素溶媒、スルホン溶媒又はこれらの混合物であり、第二の有機溶媒がスルホン溶媒であることを特徴とする[3A]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[5A] 前記工程2Aが、
工程1Aで得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤、第一の有機溶媒及び必要に応じて触媒を混合した反応原料1と、前記一般式(7)で表される化合物及び第二の有機溶媒を混合した反応原料2を15℃〜90℃で混合した後、昇温して80℃〜180℃で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程であることを特徴とする[3A]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[6A] 前記工程2Aが、
工程1Aで得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤、第一の有機溶媒及び必要に応じて触媒を混合した反応原料1を、前記一般式(7)で表される化合物及び第二の有機溶媒を混合した反応原料2に添加して反応させ、2−ナフチルアセトニトリルを得る工程であって、
反応原料2に含有されている前記一般式(7)で表される化合物1molに対して、反応原料1に含有されている下記一般式(5)
Figure 2021085468
(一般式(5)中、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される酸ハロゲン化合物の量が0.0027mol/分以上となるように反応原料1を反応原料2に添加することを特徴とする[3A]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
[7A] 前記工程1Aにおいて、前記加水分解の後に加水分解により得られた反応生成物を炭化水素溶媒と接触させる、前記中和の際に炭化水素溶媒を存在させる、又は、前記中和により得られた反応生成物を炭化水素溶媒と接触させることを特徴とする、[2A]に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
本発明によれば、各種医薬品、農薬、化学製品の合成用原料・中間体、特に医薬品の合成用原料・中間体として有用な不純物の少ない高純度の2−ナフチルアセトニトリルを提供することができる。また、安全かつ高効率で、工業的かつ大量に安価に製造可能な高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法を提供することができる。さらに、本発明の2−ナフチルアセトニトリルを用いることにより、工業的かつ大量に安価に(1R,5S)−1−(ナフタレン−2−イル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン等の医薬品を製造することができる。
図1は、実施例1で得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を示す図である。 図2は、実施例3で得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリル
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは、特定の副生物(不純物)の含有量が従来よりも少ないものである。具体的には、2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度が95面積%以上であり、下記式(a)〜(j)で表されるナフタレン化合物の含有量は表1に示すとおりである。
Figure 2021085468
上記式(a)、(b)、(c)、(d)及び(h)で表される化合物は、晶析による固液分離やカラム精製等の精製操作では除去されにくい不純物であり、品質及び精製コストの観点から、生成量を抑えることが好ましい。
上記式(e)、(f)、(g)、(i)及び(j)で表される化合物は、反応性が高く、副反応を起こす場合があるため、2−ナフチルアセトニトリルに残留させないことが好ましい。
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度は、好ましくは97面積%以上、より好ましくは98面積%以上、特に好ましくは99面積%以上である。
上記式(a)で表されるナフタレン化合物の含有量は、好ましくは0.25面積%以下、より好ましくは0.2面積%以下、さらに好ましくは0.15面積%以下、特に好ましくは0.1面積%以下である。
上記式(b)及び(d)で表されるナフタレン化合物の含有量は、それぞれ、好ましくは0.08面積%以下、より好ましくは0.05面積%以下、さらに好ましくは0.03面積%以下、特に好ましくは0.01面積%以下である。
上記式(c)で表されるナフタレン化合物の含有量は、好ましくは0.8面積%以下、より好ましくは0.5面積%以下、さらに好ましくは0.3面積%以下、特に好ましくは0.1面積%以下である。
上記式(e)、(f)及び(h)で表されるナフタレン化合物の含有量は、それぞれ、好ましくは0.03面積%以下、より好ましくは0.02面積%以下、さらに好ましくは0.01面積%以下、特に好ましくは0.005面積%以下である。
上記式(g)で表されるナフタレン化合物の含有量は、好ましくは0.08面積%以下、より好ましくは0.05面積%以下、さらに好ましくは0.03面積%以下、特に好ましくは0.01面積%以下である。
上記式(i)及び(j)で表されるナフタレン化合物の含有量は、好ましくは0.03面積%以下、より好ましくは0.02面積%以下、さらに好ましくは0.01面積%以下、特に好ましくは0面積%である。
また、下記式で表されるナフタレン化合物の含有量は、好ましくは0.08面積%以下、より好ましくは0.05面積%以下、さらに好ましくは0.03面積%以下、特に好ましくは0.01面積%以下である。
Figure 2021085468
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは、不純物の含有量が少ないことから、精製操作等を行わなくても、そのままで十分、医薬品の合成用原料・中間体として使用することができるため、医薬品の合成用原料・中間体として有用である。
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの不純物のうち、最も含有量の多い上記式(c)で表されるナフタレン化合物は、後述する本発明の製造方法により、その生成を抑制することができる。
上記式(a)〜(h)で表されるナフタレン化合物の相対保持時間(RRT)は表2のとおりである。なお、相対保持時間は、HPLC測定条件により、±0.05程度異なる場合がある。
Figure 2021085468
本発明において、2−ナフチルアセトニトリルの純度や不純物の含有量は、分析化学の分野において周知の方法である高速液体クロマトグラフィー(HPLC)におけるピーク面積比率により測定することができる。HPLCの測定条件は、適宜選択することができるが、好適には、下記に示される条件である。
分析機器 :Agilent社製HPLC (1200 series)
カラム :Zorbax Eclipse Plus Phenyl-Hexyl, 5 μm, 250 mm × 4.6 mm
移動相A :0.1容量% トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B :アセトニトリル
グラジェント:0分(B:30%)-15分(B:60%)-20分(B:95%)-30分(B:95%)
流量 :1.0 mL/min
注入量 :5 μL
検出波長 :280 nm
カラム温度 :40℃
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの色調は、白色から褐色、好ましくは白色から薄褐色である。また、本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの水分含有量は、通常2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは、1.0重量%以下である。
また、本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは製造過程において、硫黄や有機溶媒を使用するが、これらの含有量も少ない。本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの硫黄の含有量は通常0.5面積%以下、好ましくは0.3面積%以下、より好ましくは0.1面積%以下、特に好ましくは0.05面積%以下である。スルホラン、トルエン等の有機溶媒の含有量は、通常0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下である。
以上のように、本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは、HPLC純度が95面積%以上、より好ましくは98面積%以上と高く、従来公知の方法で製造された2−ナフチルアセトニトリルより不純物の含有量が少ないため、医薬品の合成用原料・中間体として使用した場合、高い反応性が期待できる。また、本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは、溶解性に優れており、有機溶媒に対する溶解速度が速い。したがって、本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルは、工業的に大量に製造される医薬品の合成用原料・中間体として有用である。
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法
本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法は、下記式(2)で表される2'-アセトナフトンから下記式(3)で表される2−ナフチル酢酸を得る工程(工程1)、及び2−ナフチル酢酸から下記式(1)で表される2−ナフチルアセトニトリルを得る工程(工程2)を含む。
Figure 2021085468
<<工程1>>
工程1は、式(2)で表される2'-アセトナフトンを、ウィルゲロット反応させた後、得られた化合物を加水分解して式(3)で表される2−ナフチル酢酸を得る工程である。
本明細書において、ウィルゲロット反応とは、ウィルゲロット反応及びウィルゲロット・キンドラー反応を意味する。
[ウィルゲロット反応]
ウィルゲロット反応は、2'-アセトナフトンに、硫化ナトリウム(NaS・9HO)、硫化アンモニウム((NH)S)等の硫黄化合物を、加温下、作用させて行うことができる。
[ウィルゲロット・キンドラー反応]
ウィルゲロット・キンドラー反応は、2'-アセトナフトンに、硫黄と、ジアルキルアミン、モルフォリン等の第二級アミンとを、加温下、作用させて行うことができる。
<原料>
(2'-アセトナフトン)
2'-アセトナフトンは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で得られたものを用いてもよい。
(硫黄化合物)
硫黄化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
硫黄化合物の使用量は、2'-アセトナフトンをウィルゲロット反応するのに有効な量であれば特に制限されない。硫黄化合物の使用量は、2'-アセトナフトン1molに対して、通常、1mol〜5mol、好ましくは1mol〜3molである。
(硫黄)
硫黄の使用量は、反応するのに有効な量であれば特に制限されないが、2'-アセトナフトン1molに対して、通常、1mol〜5mol、好ましくは1mol〜3molである。
(第二級アミン)
第二級アミンとしては、無溶媒での反応が効率的に行えることから、工業的製造にはモルフォリンが好ましい。
第二級アミンの使用量は、反応するのに有効な量であれば特に制限されない。第二級アミンの使用量は、2'-アセトナフトン1molに対して、通常、1mol〜6mol、好ましくは2mol〜4molである。
(溶媒)
工程1は、無溶媒又は反応に不活性な有機溶媒中で行うことができる。
有機溶媒としては、例えば、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。また、硫黄化合物を用いて反応を行う場合、水等の水性溶媒の存在下でも反応を行うことができる。
(添加剤)
工程1では、必要に応じて、添加剤を用いてもよい。
添加剤としては、ゼオライト、モレキュラーシーブス、硫酸マグネシウム又は硫酸ナトリウム等の脱水剤が挙げられる。脱水剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。脱水剤を用いて反応系中の水分量が少なくなるよう制御することにより反応を効率的に進行させることができる。
脱水剤の使用量は、脱水が効率的に進行する限り特に限定されないが、2'-アセトナフトン1molに対して、通常、1mol〜5mol、好ましくは1.5mol〜4molである。
また、添加剤としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸が挙げられる。有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。有機酸としては、特にp−トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸が好ましい。これらの添加剤を用いることにより副生物、特に下記式
Figure 2021085468
で示されるケトチオアミド化合物の生成が抑制され、かつ反応を効率的に進行させることができる。
有機酸の使用量は、2'-アセトナフトン1molに対して、通常、0.01mol〜5mol、好ましくは0.05mol〜3molである。
なお、反応系中の水分量が少なくなるよう制御するために、蒸留により脱水しながら反応を行ってもよい。
<反応条件>
(反応方式)
本発明の製造方法はバッチ式であっても連続式であってもよいが、通常バッチ式で行う。
(反応温度)
反応温度は、通常90℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃、特に好ましくは110℃〜130℃である。
(反応圧力)
反応は、通常、常圧で行われるが加圧してもよい。
(反応時間)
反応時間は、反応の進捗状況により適宜選択することができ、通常1時間〜24時間、好ましくは2時間〜12時間である。
<後処理>
[加水分解]
ウィルゲロット反応させた後、得られた化合物は、反応系から分離した後で加水分解に供してもよいし、分離することなく次の加水分解に供してもよい。
本発明においては、ウィルゲロット反応させた後、得られた化合物を塩基により加水分解することができる。
(塩基)
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。コストや入手の容易さから工業的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
塩基の使用量は、ウィルゲロット反応させた後、得られた化合物を加水分解するのに有効な量であれば特に制限されない。塩基の使用量は、好ましくはウィルゲロット反応させた後、得られた化合物1molに対して通常1mol〜10mol、好ましくは1mol〜5molである。
(溶媒)
加水分解は、無溶媒で行ってもよく、水等の溶媒中で行ってもよいが、撹拌性及び均一性に優れる観点から、溶媒中で実施することが好ましい。
(反応温度)
加水分解の反応温度は、加水分解が進行する温度であれば特に制限されない。加水分解の温度は、通常80℃〜115℃、好ましくは85℃〜110℃である。
(反応圧力)
加水分解は、通常、常圧で行われるが加圧してもよい。
[遊離反応]
加水分解によって得られる反応生成物(例えば、2−ナフチル酢酸又はその塩)を酸と反応させることにより式(3)で表される2−ナフチル酢酸を遊離させることができる。
(酸)
2−ナフチル酢酸を遊離反応させるには、塩酸、硫酸、臭化水素酸等の酸を使用することができる。
酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。反応効率及びコスト等の観点から、工業的には塩酸が好ましい。
酸の使用量は、中和するのに有効な量であれば特に制限されない。酸の使用量は、加水分解によって得られる反応生成物1molに対して通常1mol〜20mol、好ましくは3mol〜10molである。
<反応条件>
(液性)
2−ナフチル酢酸を遊離反応させる際の混合液のpHは、通常0〜5、好ましくは0〜3の間である。
(反応温度)
遊離反応の温度は、遊離が進行する温度であれば特に制限されない。遊離反応の温度は、通常50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃である。
(反応時間)
反応時間は、通常10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
(反応圧力)
反応圧力は、通常常圧であるが加圧してもよい。
(供給方法)
供給方法は、反応器に対して、加水分解によって得られる反応生成物を敷き液として酸を供給してもよいし、酸を敷き液として加水分解によって得られる反応生成物を供給してもよいし、加水分解によって得られる反応生成物及び酸を同時に供給してもよい。
<後処理>
2−ナフチル酢酸は、遊離反応により得られた反応生成物から、有機溶媒を用いて抽出、回収することができる。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、2−ナフチル酢酸を溶解することができる炭化水素溶媒が挙げられる。炭化水素溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。炭化水素溶媒としては、コストの観点から、脂環族炭化水素溶媒及び芳香族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンが特に好ましい。
炭化水素溶媒は、単独又は2種以上を任意の割合で組み合わせて使用することができる。
有機溶媒の使用量は、2−ナフチル酢酸に対して、通常1容量倍〜20容量倍、好ましくは1.5容量倍〜10容量倍、特に好ましくは3容量倍〜5容量倍使用する。
(精製方法)
工程1においては硫黄や硫黄化合物を使用するため、得られる反応生成物は、通常、数mol%以上の硫黄を含有する。硫黄は、工程1の目的物である2−ナフチル酢酸にとって不純物であり、また、2−ナフチル酢酸を原料として化学反応等を行う際に反応効率を低下させるおそれがあるため、できるだけ除去しておくことが好ましい。
本発明においては、前記加水分解の後に加水分解により得られた反応生成物を炭化水素溶媒と接触させる、前記遊離の際に炭化水素溶媒を存在させる、又は、前記遊離により得られた反応生成物に炭化水素溶媒を接触させることにより、工程1で得られる2−ナフチル酢酸の硫黄含有量を低減することができる。炭化水素溶媒と接触させる場合、必要に応じて、水や水溶液等を存在させてもよい。炭化水素溶媒と接触させる場合、炭化水素溶媒の使用量は、2−ナフチル酢酸に対して、通常1容量倍〜30容量倍、好ましくは3容量倍〜20容量倍、特に好ましくは5容量倍〜15容量倍使用する。
本発明においては、硫黄の除去及び2−ナフチル酢酸の抽出を単一溶媒で行うことができるため、前記炭化水素溶媒としては、特にトルエンが好ましい。
このように、本発明の工程1において、炭化水素溶媒と接触させる等を行って得られた2−ナフチル酢酸は、硫黄の含有量が0.001mol%〜1mol%、好ましくは0.001mol%〜0.5mol%であり、且つ純度が98mol%以上、好ましくは99mol%以上の高品質なものである。
(単離方法)
遊離反応により得られた反応生成物に、2−ナフチル酢酸を溶解することができる有機溶媒(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)を添加し、水や水溶液等の適切な洗浄液により1回又は複数回洗浄し、公知の方法を用いて単離してもよい。例えば、酸性条件(例えば、pH3以下)且つ加温下(例えば、50℃〜90℃)で撹拌し、必要に応じて洗浄、水層の分離、濃縮等を行った後、冷却することにより、2−ナフチル酢酸を固体として析出させ回収することができる。
工程1で得られる2−ナフチル酢酸は、様々な工業用製品や医薬品等の合成原料、合成用中間体として有用であり、また、本発明の工程2に供することができる。
<<工程2>>
Figure 2021085468
(式中、Xはハロゲン原子である。)
工程2は、以下の2つの反応I、IIを含む式(1)で表される2−ナフチルアセトニトリルを得る工程である。
反応I:式(4)で表される2−ナフチル酢酸とハロゲン化剤とを、必要に応じて触媒の存在下、第一の有機溶媒中で混合して式(5)で表される化合物を含む反応原料1を得る反応。
反応II:式(5)で表される化合物を含む反応原料1と、スルファミド及び第二の有機溶媒を含む反応原料2とを、混合して2−ナフチルアセトニトリルを得る反応。
[反応I]
式(3)で表される2−ナフチル酢酸とハロゲン化剤とを、必要に応じて触媒の存在下、第一の有機溶媒中で混合して式(5)で表される化合物を含む反応原料1を得る反応である。
Figure 2021085468
(式中、Xはハロゲン原子である。)
<原料>
(2−ナフチル酢酸)
2−ナフチル酢酸は、前記工程1で得られたものや市販のものを用いることができる。
(ハロゲン化剤)
ハロゲン化剤は、2−ナフチル酢酸をハロゲン化できるものであれば特に限定されない。ハロゲン化剤としては、塩素化剤及び臭素化剤が好ましく、塩素化剤がより好ましい。
塩素化剤としては、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化スルフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられる。
臭素化剤としては、臭化チオニル、三臭化リン等が挙げられる。
これらの中でも、コスト、汎用性、反応性等の観点から、塩化チオニル、塩化ホスホリル、五塩化リン、臭化チオニル、三臭化リンが好ましく、特に塩化チオニルが好ましい。これらのハロゲン化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
ハロゲン化剤の使用量は、2−ナフチル酢酸をハロゲン化可能な量であれば特に限定されないが、2−ナフチル酢酸を十分にハロゲン化するためには、通常、2−ナフチル酢酸1molに対して1mol以上使用することが好ましい。
使用量の上限としては特に限定されないが、コスト、生産性等の観点から2−ナフチル酢酸1molに対して3mol以下とすることが好ましい。
(触媒)
反応Iは必要に応じて触媒の存在下で行うことができる。触媒は反応を促進するものであればよく、特に限定されないが、反応性を高めるために触媒の存在下で行うのが好ましい。
触媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリジノン等の3級アミドが挙げられ、入手が容易で、安価であることから、特にN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
触媒の使用量は、触媒として機能するのに有効な量であれば特に制限されない。触媒の使用量は、2−ナフチル酢酸1molに対して、好ましくは0.0001mol〜1mol、より好ましくは0.001mol〜0.1molである。
(第一の有機溶媒)
第一の有機溶媒は、反応が進行する限り特に限定されない。
第一の有機溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒、アミド溶媒、スルホキシド溶媒、スルホン溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の鎖式脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン等の環式脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素;トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ブロモベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素を用いることができる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等の非プロトン性アミドを用いることができ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
スルホキシド溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性スルホキシドを用いることができる。
スルホン溶媒としては、例えば、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、3−メチルスルホラン、スルホラン等の非プロトン性スルホンを用いることができ、好ましくはスルホランである。
第一の有機溶媒としては、操作性、生産性等に優れること及びコスト等の観点から、炭化水素溶媒、アミド溶媒、スルホン溶媒が好ましく、炭化水素溶媒、アミド溶媒がより好ましく、中でもトルエン、キシレン、クロロベンゼン及びN,N−ジメチルホルムアミドがより好ましく、特にトルエンが好ましい。
さらに、反応性、操作性、生産性等に優れること及びコスト等の観点から、第一の有機溶媒として、炭化水素溶媒とアミド溶媒の混合物を用いることも好ましく、特に、トルエンとN,N−ジメチルホルムアミドの混合物が好ましい。炭化水素溶媒とアミド溶媒の混合比率(容量比)は、1:99〜99:1の範囲で適宜選択することができる。
第一の有機溶媒の使用量は、2−ナフチル酢酸1kgに対して、通常1L以上、操作性等の観点から好ましくは2L以上、さらに好ましくは3L以上であり、上限としては、操作性、生産性及びコスト等の観点から、通常50L以下、好ましくは30L以下、より好ましくは20L以下、さらに好ましくは10L以下、特に好ましくは4.5L以下、最も好ましくは4L以下である。
(無機系添加剤)
反応Iは、必要に応じて、無機系添加剤(例えば、珪藻土、無水ケイ酸、二酸化ケイ素、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)を添加してもよい。無機系添加剤を用いることにより、反応の進行をスムーズに行うことができる。
<反応条件>
(反応温度)
反応温度は、通常、15℃〜70℃、好ましくは20℃〜65℃、特に好ましくは30℃〜60℃である。反応温度が低すぎると、反応の進行が遅くなり生産性が低下するおそれがあり、高すぎると副生物が生成し、品質が低下するおそれがある。
(反応時間)
反応時間は、通常0.5時間〜30時間、好ましくは1時間〜15時間、特に好ましくは2時間〜10時間である。
(反応圧力)
反応圧力は、通常、常圧であるが加圧して反応を行ってもよい。
<後処理>
式(5)で表される化合物を含む反応Iで得られる反応液は、反応IIに用いる際、反応液をそのまま用いてもよいし、反応液を濃縮して得られた濃縮液を用いてもよいし、反応液に水又はアルカリ水溶液を混合して中和し、分液して得られた有機層を用いてもよいし、有機層に貧溶媒を加えて晶析させ、濾過等の処理を行って得られたものを用いてもよい。さらに、反応Iで得られたものを、カラムクロマトグラフィー等の公知の精製手段によって精製してもよい。本発明の製造方法においては、コスト及び生産性の観点から、反応液又は濃縮液又をそのまま反応IIに用いるのが好ましい。
[反応II]
式(5)で表される化合物、スルファミド及び第二の有機溶媒を混合して、式(1)で表される2−ナフチルアセトニトリルを得る反応である。
Figure 2021085468
(式中、Xはハロゲン原子である。)
本反応IIにより、前記「本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリル」の項で説明したナフタレン化合物(副生物)の生成を抑制することができる。
<原料>
(式(5)で表される化合物)
式(5)で表される化合物は、反応Iで得られたものを用いることができ、反応Iで得られた反応液を濃縮して得られた濃縮液を用いることが生産性の観点から好ましい。
(スルファミド)
スルファミドは、市販のものを用いることができる。
スルファミドの使用量は、通常、2−ナフチル酢酸1molに対して1mol以上使用することが好ましい。スルファミドの使用量は、2−ナフチル酢酸1molに対して、通常1mol〜5mol、好ましくは1.02mol〜3mol、より好ましくは1.03mol〜2mol、特に好ましくは1.05mol〜1.5molである。
(第二の有機溶媒)
第二の有機溶媒は、上述した第一の有機溶媒と同じものを使用することができるが、スルホン溶媒が好ましく、反応性、生産性等の観点からスルホランが好ましい。
さらに、第二の有機溶媒として、炭化水素溶媒とスルホン溶媒の混合物を用いることも好ましく、特に、トルエンとスルホランの混合物が好ましい。炭化水素溶媒とスルホン溶媒の混合比率(容量比)は、1:99〜99:1の範囲で適宜選択することができる。
第二の有機溶媒の使用量は、2−ナフチル酢酸1kgに対して、通常1L以上、操作性等の観点から好ましくは2L以上、さらに好ましくは3L以上であり、上限としては、操作性、生産性及びコスト等の観点から、通常50L以下、好ましくは30L以下、より好ましくは20L以下、さらに好ましくは4.5L以下、特に好ましくは4L以下である。
(無機系添加剤)
反応IIは、必要に応じて、無機系添加剤(例えば、珪藻土、無水ケイ酸、二酸化ケイ素、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)を添加してもよい。無機系添加剤を用いることにより、反応の進行をスムーズに行うことができる。
<反応条件>
(反応温度)
反応温度は、用いる有機溶媒や触媒等により異なり得るが、下限としては、品質、反応性等の観点から、通常80℃以上、好ましくは85℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、上限としては、品質、反応性、コスト等の観点から、通常180℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特に好ましくは110℃以下である。
反応温度は、低すぎると反応の進行が遅くなり生産性が低下するおそれがあり、高すぎると副生物が生成して目的とする2−ナフチルアセトニトリルの収率及び品質が低下するおそれがある。
本実施態様においては、反応原料1と反応原料2を混合した後、昇温して80℃〜180℃で反応させてもよいし、80℃〜180℃の反応原料1と80℃〜180℃の反応原料2を混合して反応させてもよい。また、反応原料1に反応原料2を添加して混合してもよいし、反応原料2に反応原料1を添加して混合してもよい。
(反応時間)
反応原料1と反応原料2の反応時間は、用いるハロゲン化剤、有機溶媒、触媒等により異なり得るが、反応の進捗状況により適宜選択することができ、通常0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間、特に好ましくは2時間〜12時間である。反応時間は、反応原料1と反応原料2の混合開始時点から反応が進行する場合は、その混合開始時点から後処理をするまでの時間を意味する。
(反応圧力)
反応時の圧力は、通常、常圧であるが加圧してもよい。
(反応方式)
本発明の製造方法はバッチ式であっても連続式であってもよいが、通常バッチ式で行う。
(供給順序)
反応原料1と反応原料2の供給順序は適宜選択することができる。例えば、1つの反応器に、反応原料1を敷き液として反応原料2を供給して混合してもよいし、反応原料2を敷き液として反応原料1を供給して混合してもよいし、反応原料1及び2を同時に供給して混合してもよい。
反応原料1と反応原料2の混合液の温度を反応温度に対して比較的低温にすることにより、過反応による副生物の生成が抑制され、工業的規模の大量合成においても、より高純度の2−ナフチルアセトニトリルを効率よく低コストで製造することができる。
(供給方法)
供給方法は、例えば、反応原料1の全量を一気に反応原料2に添加する方法、反応原料1を2つ以上に分割して時間の間隔を空けて2回以上に分けて添加する方法や、滴下などにより一定量を断続的又は連続的に添加する方法などが挙げられる。
本発明においては、副生物の生成を抑制するために、2回以上に分割して添加する方法や滴下などにより一定量を断続的又は連続的に添加する方法が好ましい。この場合、反応原料2に含有されているスルファミド1molに対して、反応原料1に含有されている前記一般式(5)で表される酸ハロゲン化合物の量(1分間当たりの添加量)が0.0027mol/分以上、好ましくは0.0035mol/分以上、特に好ましくは0.0069mol/分以上となるように、反応原料1を反応原料2に添加する。当該添加量を0.0027mol/分以上とすることにより、反応原料1と反応原料2が混合された反応液中の前記一般式(5)で表される酸ハロゲン化合物の量を適正な範囲に制御することができることから、副生物の生成を抑制することができると考えられる。特に式(c)で表されるナフタレン化合物の生成を抑制することができると考えられる。
また、この場合、反応原料1を反応原料2に添加する時間は、上記反応原料1の添加量により適宜選択することができるが、通常5分以上、好ましくは10分以上である。
当該添加量が0.0027mol/分より少ない場合は、副生物の生成が増加するおそれがある。また、当該添加時間が短すぎる場合は、反応原料1と反応原料2の反応により副生するガスが急激に大量に発生するおそれがある。
(混合液の温度)
反応原料1及び反応原料2を混合して得られる混合液の温度は、用いる有機溶媒や触媒等により異なり得るが、下限としては、品質、反応性等の観点から、通常10℃以上、好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、上限としては、品質、反応性、コスト等の観点から、通常100℃以下、好ましくは95℃以下、特に好ましくは90℃以下である。
反応原料1及び反応原料2を混合して得られる混合液の温度が、15℃より低い場合は、混合が不十分になり反応効率が低下するおそれがあり、また、90℃より高い場合は、副生物の生成が増加するおそれがある。特に、混合液の温度が高い場合、式(5)で表される化合物と反応生成物とが反応し、式(c)で表される化合物等の不純物が生成しやすいため、式(1)で表される2−ナフチルアセトニトリルの収率及び品質が低下するおそれがある。
Figure 2021085468
<後処理>
前記工程2により得られた2−ナフチルアセトニトリルを含有する反応液は、中和、分液、濾過等の処理を施してもよいし、濃縮、トルエン、ヘプタン等の有機溶媒による晶析等の単離手段により目的とする2−ナフチルアセトニトリルを単離してもよい。また、目的とする2−ナフチルアセトニトリルを含有する反応液に水等の貧溶媒を添加することにより、当該ニトリル化合物を結晶として析出させることができる。
例えば、得られた反応液を冷却し、トルエン等の有機溶媒を添加し、水及び塩基で有機層を洗浄し、洗浄して得られた有機層を濃縮し、濃縮残渣にメタノール等の有機溶媒を添加して溶媒置換した後、冷却し、析出した2−ナフチルアセトニトリルを濾過して回収し、得られた湿結晶を乾燥し、固体として2−ナフチルアセトニトリルを得ることができる。
また、本発明で得られる2−ナフチルアセトニトリルは、純度(HPLC)が、好ましくは98面積%以上、特に好ましくは99面積%以上の高品質であるが、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理等の公知の精製手段により、さらに精製してもよい。
また、本発明における各化合物は、水和物又は有機溶媒和物等の溶媒和物を形成していてもよく、また反応を阻害しない限り特にその形態は限定されない。
本発明の製造方法において、工程1及び工程2としては特に以下の工程が好ましい。
工程1:2'-アセトナフトン、硫黄及びモルフォリンを反応させた後、加水分解して、2−ナフチル酢酸を得る工程
Figure 2021085468
工程2:2−ナフチル酢酸、塩化チオニル、トルエン及び必要に応じて触媒を混合した反応原料1と、スルファミド及びスルホランを混合した反応原料2を15℃〜90℃で混合した後、昇温して80℃〜180℃で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程、又は、上記反応原料1を上記反応原料2に対して添加し、80℃〜180℃で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程であって、反応原料2に含有されているスルファミド1molに対して、反応原料1に含有されている酸クロライド物の量が0.0027mol/分以上となるように反応原料1を反応原料2に添加する工程
本工程2により、前記「本発明の高純度2−ナフチルアセトニトリル」の項で説明したナフタレン化合物(副生物)、特に式(c)で表されるナフタレン化合物の生成を抑制することができる。
Figure 2021085468
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、2'-アセトナフトンは市販のものを使用した。また、得られた化合物の純度は、以下の分析条件によりHPLCで測定した。
(HPLC分析条件)
分析機器 :Agilent社製HPLC (1200 series)
カラム :Zorbax Eclipse Plus Phenyl-Hexyl, 5 μm, 250 mm × 4.6 mm
移動相A :0.1容量% トリフルオロ酢酸水溶液
移動相B :アセトニトリル
グラジェント:0分(B:30%)-15分(B:60%)-20分(B:95%)-30分(B:95%)
流量 :1.0 mL/min
注入量 :5 μL
検出波長 :280 nm
カラム温度 :40℃
実施例1
(1)2−ナフチル酢酸の合成
Figure 2021085468
窒素置換した反応容器に、2'-アセトナフトン24kg、硫黄5.65kg(2'-アセトナフトンに対して1.25モル倍)、パラトルエンスルホン酸一水和物2.68kg(2'-アセトナフトンに対して0.1モル倍)及びモルフォリン36.9kg(2'-アセトナフトンに対して3モル倍)を入れて撹拌した後、115℃〜120℃で3時間反応させた。ここで、チオアミド体が生成しているのをHPLCにより確認した。
反応液を70℃〜80℃まで冷却した後、濃度20重量%水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム16.9kgと水67.7kgを混合したもの。2'-アセトナフトンに対して5モル倍の水酸化ナトリウム)を添加し、さらに水43.2kgを添加した後に昇温し、90℃〜105℃で4時間反応させた(加水分解)。
得られた反応液を65℃〜75℃まで冷却し、水24kg及びトルエン83.2kgを添加し、65℃〜75℃で撹拌し、静置した後、得られた上層を廃棄した(未反応の硫黄の除去)。残った下層(206.35kg)を、トルエン208.05kg及び濃度35重量%の塩酸80.8kgの混合液中へ添加した。さらに、下層が入っていた反応容器に水2.4kgを添加して洗浄し、洗浄後得られた液体も前記混合液中へ添加した。このようにして得られた反応液を含む混合液を65℃〜75℃で撹拌した後、静置し(2−ナフチル酢酸の抽出)、得られた下層を廃棄した。残った上層に水121.0kgを添加して、65℃〜75℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。さらに、残った上層に水121kgを添加し、65℃〜75℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。
残った上層を濃縮した後、10℃以下まで冷却した。析出した2−ナフチル酢酸の結晶を遠心分離により回収した後、トルエン20.8kgで洗浄し、湿結晶を得た。得られた湿結晶を60℃の雰囲気下で減圧乾燥し、2−ナフチル酢酸を19.70kg得た。
H−NMR(400MHz, CDCl3)δ3.80 (2H, s), 7.40 (1H, dd, J=8.4, 3.0Hz), 7.43−7.49(2H, m), 7.73 (1H, s), 7.78−7.82 (3H, m)
(2)2−ナフチルアセトニトリルの合成
Figure 2021085468
窒素置換した反応容器に、上記(1)で得られた2−ナフチル酢酸18.7kg、トルエン40.55kg、N,N−ジメチルホルムアミド73.08gを添加した。さらに、上記添加時に使用した器具をトルエン16.2kgで洗浄し、洗浄後得られた液体も反応容器に添加した。得られた溶液に塩化チオニル12.5kg(2−ナフチル酢酸に対して1.05モル倍)を添加し、35℃〜45℃で5時間反応させた。20℃〜30℃まで冷却した後、濾過した。得られた濾液と、濾過残渣をトルエン8.15kgで洗浄して得られた洗浄液を混合し、これにスルホラン23.6kg(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)を添加した後、減圧濃縮して、酸クロライド溶液を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、スルファミド11.6kg(2−ナフチル酢酸に対して1.2モル倍)、スルホラン58.9kg(2−ナフチル酢酸に対して2.5容量倍)及び無機系添加剤18.7kgを入れて撹拌した後、95℃〜105℃に昇温し、スルファミド溶液を調製した。
95℃〜105℃において、酸クロライド溶液をスルファミド溶液に2時間かけて滴下した。さらに、酸クロライド溶液が入っていた反応容器をトルエン1.62kgで洗浄し、洗浄後得られた液体も当該反応容器中へ添加した後、95℃〜105℃で7時間反応させた。
得られた反応液を25℃まで冷却し、トルエン65kg及び水74.8kgを添加し、20℃〜30℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に水35.5kg及び炭酸カリウム5.61kgを添加し、さらに、上記反応で使用した器具を水15kgで洗浄し、洗浄後得られた液体も上記上層を含む混合液中へ添加した。得られた混合液を20℃〜30℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に水37.4kgを添加し、20℃〜30℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層を濃縮した後、メタノール104kgを添加し、さらに濃縮した。得られた濃縮液にメタノール44.4kgを添加し、濃縮した。得られた濃縮液に、35℃で活性炭0.374kgとメタノール45.1kgを添加し、撹拌した後、濾過した。濾過残渣をメタノール14.95kgで洗浄し、濾液と洗浄後の液を混合した。
得られた混合溶液を30℃〜40℃で90分間程度保持した後、冷却し、10℃付近の温度で水74.8kg(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加し、4時間撹拌した。析出した結晶を遠心分離により回収し、回収した湿結晶をメタノール水溶液(メタノール14.8kgと水18.7kgの混合溶液)で洗浄した。得られた湿結晶を60℃の雰囲気下で減圧乾燥し、2−ナフチルアセトニトリルの結晶を15.2kg(純度99.50面積%)を得た。
H−NMR(400MHz, CDCl3)δ3.92 (2H, s), 7.37−7.40 (1H,m), 7.49−7.54 (2H, m), 7.83−7.85 (4H, m)
得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を表3及び図1に示す。表3中、RRTは、2−ナフチルアセトニトリルの保持時間を1.00とした場合の相対保持時間である。
Figure 2021085468
また、HPLC分析結果から、得られた2−ナフチルアセトニトリルには、式(e)〜(j)の化合物は検出されなかった。
なお、式(a)〜(d)の化合物のH−NMR測定結果等は以下のとおりである。
式(a)の化合物
Figure 2021085468
H−NMR(400MHz, CDCl)δ = 3.71 (s, 3H), 3.79 (s, 2H), 7.40−7.47 (m, 3H), 7.73 (s, 1H), 7.79−7.83(m, 3H)
式(b)の化合物
Figure 2021085468
LC/MS 215(m/z、Pos)
H−NMR(400MHz, CDCl)δ = 1.26 (t, J = 7.2Hz, 3H), 3.78 (s, 2H), 4.17 (q, J = 7.2Hz, 2H), 7.41−7.49(m, 3H), 7.74 (s, 1H), 7.79−7.82 (m, 3H)
式(c)の化合物
Figure 2021085468
LC/MS 354(m/z、Pos)
H−NMR(400MHz, dmso-d)δ = 4.03 (s, 4H), 7.41 (dd,J = 8.4, 1.6Hz, 2H), 7.48−7.50 (m, 4H), 7.75 (s, 2H), 7.82−7.90 (m, 6H), 11.12 (s, 1H)
式(d)の化合物
Figure 2021085468
LC/MS 503(m/z、Pos)
H−NMR(400MHz, CDCl)δ = 1.27(s,9H),3.54(s,2H),3.59(s,2H),7.04(d,J = 8.8Hz,1H),7.11(d,J = 2.0Hz,1H),7.21(dd,J = 8.4,2.4Hz,1H),7.29−7.34(m,2H),7.42−7.49(m,4H),7.59(s,1H),7.63(s,1H),7.76−7.79(m,6H)
実施例2
窒素置換した反応容器に、実施例1(1)の方法に準じて合成した2−ナフチル酢酸75.02g、トルエン263mL(2−ナフチル酢酸に対して3.5容量倍)、N,N−ジメチルホルムアミド0.29g(2−ナフチル酢酸に対して0.01モル倍)を添加し、昇温して、35℃〜45℃で塩化チオニル50.3g(2−ナフチル酢酸に対して1.05モル倍)を添加した。3時間反応させた後、反応液を濃縮して、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、スルファミド46.49g(2−ナフチル酢酸に対して1.2モル倍)、無機系添加剤74.99g(2−ナフチル酢酸に対して1重量倍)、スルホラン263mL(2−ナフチル酢酸に対して3.5容量倍)を添加し、昇温した(反応原料2の調製)。95℃〜105℃において、反応原料2に、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を18分かけて滴下した後に、反応原料1の調製に使用した器具をトルエン7.5mL(2−ナフチル酢酸に対して0.1容量倍)で洗浄して得られた溶液をさらに反応原料2に添加し、95℃〜105℃で4時間反応させた。反応液をHPLCで分析し、原料の消失を確認した後、20℃〜30℃に冷却し、水300mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)とトルエン300mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した後、水層を廃棄した。残った有機層を10重量%炭酸カリウム水溶液225.08g(2−ナフチル酢酸に対して3重量倍)と水150mL(2−ナフチル酢酸に対して2容量倍)で洗浄した。
得られた有機層を濃縮し、濃縮残渣にメタノール525mL(2−ナフチル酢酸に対して7容量倍)を添加して再度濃縮した。さらに、得られた濃縮残渣にメタノールを添加して液量を525mLに調整した後、活性炭1.52g(2−ナフチル酢酸に対して0.02重量倍)を添加し、50℃〜60℃で撹拌した後、濾過した。得られた濾過残渣をメタノール75mL(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)で洗浄した。
得られた濾洗液を5℃〜15℃に冷却した後、水300mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した。析出した2−ナフチルアセトニトリルを濾過して回収し、得られた湿結晶を乾燥し、固体として2−ナフチルアセトニトリル60.38g(純度99.85面積%)を得た。
4時間反応させた後の反応液と得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を表4に示す。
Figure 2021085468
また、HPLC分析結果から、得られた2−ナフチルアセトニトリルの結晶には、式(d)〜(j)の化合物は検出されなかった。
実施例3
Figure 2021085468
窒素置換した反応容器に、実施例1(1)の方法に準じて合成した2−ナフチル酢酸25g、トルエン75.88g(2−ナフチル酢酸に対して3.5容量倍)、N,N−ジメチルホルムアミド0.0982g(2−ナフチル酢酸に対して0.01モル倍)を添加した。得られた溶液に塩化チオニル16.77g(2−ナフチル酢酸に対して1.05モル倍)を滴下し、43℃〜45℃で3時間反応させた後、トルエン10.88g(2−ナフチル酢酸に対して0.5容量倍)、スルホラン31.53g(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)を添加し、減圧濃縮して、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、スルファミド15.5g(2−ナフチル酢酸に対して1.2モル倍)、スルホラン78.78g(2−ナフチル酢酸に対して2.5容量倍)、無機系添加剤25.01gを添加し、撹拌した後、75℃〜85℃に昇温した(反応原料2の調製)。この反応原料2は、溶液ではなくスラリー状態であった。
75℃〜85℃において、反応原料2に、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を10時間かけて滴下した後に、さらに、100℃まで2時間かけて昇温し、5時間反応させた。
得られた反応液を55℃〜65℃まで冷却し、トルエン86.7g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)及び水100.05g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液75.01g(2−ナフチル酢酸に対して3重量倍)を添加し、55℃〜65℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に水50.01g(2−ナフチル酢酸に対して2重量倍)を添加し、55℃〜65℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層を濃縮し、濃縮残渣にメタノール138.44g(2−ナフチル酢酸に対して7容量倍)を添加してさらに濃縮した。得られた濃縮残渣に、メタノール59.34g(2−ナフチル酢酸に対して3容量倍)を添加して濃縮し、濃縮残渣にメタノール39.55g(2−ナフチル酢酸に対して2容量倍)と活性炭0.5g(2−ナフチル酢酸に対して0.02重量倍)を添加して、濾過した。得られた濾液と、濾過残渣をメタノール19.78g(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)で洗浄した洗浄液を混合して、2−ナフチルアセトニトリル溶液を得た。
得られた2−ナフチルアセトニトリル溶液を40℃〜50℃に昇温し、水0.1259g(2−ナフチル酢酸に対して0.005容量倍)、炭酸カリウム0.0248g(2−ナフチル酢酸に対して0.001重量倍)を加えて1時間撹拌した後、水100g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を1時間かけて滴下した。その後、冷却し、10℃付近の温度で1時間撹拌した。析出した結晶を遠心分離し、回収した湿結晶をメタノール水溶液(メタノール27.71gと水15.03gの混合溶液)で2回洗浄した。得られた湿結晶を60℃の雰囲気下で減圧乾燥し、結晶として2−ナフチルアセトニトリル19.09g(収率85%、純度99.87面積%)を得た。
得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を表5及び図2に示す。
Figure 2021085468
また、HPLC分析結果から、得られた2−ナフチルアセトニトリルの結晶には、式(b)及び(e)〜(j)の化合物は検出されなかった。本実施例によれば、実施例1及び2よりも、不純物、例えば、式(a)及び式(c)の化合物の含有量が少ない2−ナフチルアセトニトリルが得られた。特に、本実施例で得られた2−ナフチルアセトニトリルは、式(c)の化合物を含有しておらず、医薬品の合成用原料・中間体として有用である。
このように、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1とスルファミドを含有する反応原料2を比較的低温で混合した後、昇温して反応させることにより、不純物の含有量の少ない高純度2−ナフチルアセトニトリルが得られることが分かる。
実施例4
窒素置換した反応容器に、実施例1(1)の方法に準じて合成した2−ナフチル酢酸10.03g、トルエン35mL(2−ナフチル酢酸に対して3.5容量倍)、N,N−ジメチルホルムアミド42μL(2−ナフチル酢酸に対して0.01モル倍)を添加し、昇温し、35℃〜45℃で塩化チオニル6.72g(2−ナフチル酢酸に対して1.05モル倍)を添加した。2時間反応させた後、冷却し、室温において濾過し、濾過残渣をトルエン5mLで洗浄した。得られた濾洗液にスルホラン10mL(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)を添加した後、濃縮し、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、スルファミド6.19g(2−ナフチル酢酸に対して1.2モル倍)、無機系添加剤10.01g(2−ナフチル酢酸に対して1.0重量倍)、スルホラン25mL(2−ナフチル酢酸に対して2.5容量倍)を添加し昇温した(反応原料2の調製)。95℃〜105℃において、反応原料2に、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を1時間かけて滴下した後に、反応原料1の調製に使用した器具をトルエン1mL(2−ナフチル酢酸に対して0.1容量倍)で洗浄して得られた溶液をさらに添加し、95℃〜105℃で4時間反応させた。反応液をHPLCで分析した結果、2−ナフチルアセトニトリルを96.27面積%、式(c)の化合物を0.39面積%含有していた。
反応液を25℃に冷却し、水40mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)とトルエン40mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した後、下層を廃棄した。残った有機層を10重量%炭酸カリウム水溶液30.32g(2−ナフチル酢酸に対して3重量倍)と水20mL(2−ナフチル酢酸に対して2容量倍)で洗浄した。
得られた有機層を濃縮し、濃縮残渣にメタノール70mL(2−ナフチル酢酸に対して7容量倍)を添加して再度濃縮した。さらに、得られた濃縮残渣にメタノールを添加して70mLに液量を調整し、活性炭0.2g(2−ナフチル酢酸に対して0.02重量倍)を添加し、40℃〜50℃で撹拌した後、濾過し、濾過残渣をメタノール10mL(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)で洗浄した。
得られた濾洗液を5℃〜15℃に冷却した後、水40mL(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した。析出した2−ナフチルアセトニトリルを濾過して回収し、得られた湿結晶を乾燥し、固体として2−ナフチルアセトニトリル8.11g(純度99.30面積%)を得た。
4時間反応させた後の反応液と得られた2−ナフチルアセトニトリルのHPLC分析結果を表6に示す。
Figure 2021085468
また、HPLC分析結果から、得られた2−ナフチルアセトニトリルの結晶には、式(d)〜(j)の化合物は検出されなかった。
実施例5
反応原料1を滴下する時間を1時間から8分に変更したこと以外は実施例4と同様にして反応を行った。
反応原料1と反応原料2を4時間反応させて得られた反応液をHPLCで測定した結果、2−ナフチルアセトニトリルを95.94面積%、式(c)の化合物を0.30面積%含有していた。
実施例6
反応原料1を滴下する時間を1時間から4時間に変更したこと以外は実施例4と同様にして反応を行った。
反応原料1と反応原料2を4時間反応させて得られた反応液をHPLCで測定した結果、2−ナフチルアセトニトリルを96.37面積%、式(c)の化合物を0.70面積%含有していた。
比較例1
反応原料1を滴下する時間を1時間から10時間に変更したこと以外は実施例4と同様にして2−ナフチルアセトニトリルを合成した。
反応原料1と反応原料2を4時間反応させて得られた反応液をHPLCで測定した結果、2−ナフチルアセトニトリルを92.75面積%、式(c)の化合物を1.16面積%含有していた。
また、得られた2−ナフチルアセトニトリルをHPLC分析した結果、2−ナフチルアセトニトリルの含有量は97.44面積%、式(c)の化合物の含有量は0.47面積%であった。
反応原料1の滴下時間及び添加量と4時間反応させて得られた反応液中の2−ナフチルアセトニトリル及び式(c)の化合物の含有量を表7に示す。
表7において、反応原料1の添加量とは、反応原料2に含有されているスルファミド1molに対する、反応原料1に含有されている酸クロライド化合物の添加量(mol/分)を意味する。
Figure 2021085468
表7から明らかなように、反応原料1に含有されている酸クロライド化合物の添加量(mol/分)が多い方が、式(c)の化合物の生成量が少ないことが分かる。
ただし、反応原料1に含有されている酸クロライド化合物の添加量(mol/分)が多すぎる場合は、副生する塩酸ガスが大量に発生するおそれがあるため、工業的に大量に生産する場合には、処理装置を設ける等安全に注意する必要がある。
本発明によれば、各種医薬品、農薬、化学製品の合成用原料・中間体、特に医薬品の合成用原料・中間体として有用な不純物の少ない高純度の2−ナフチルアセトニトリルを提供することができる。また、安全かつ高効率で、工業的かつ大量に安価に製造可能な高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法を提供することができる。さらに、本発明の2−ナフチルアセトニトリルを用いることにより、工業的かつ大量に安価に(1R,5S)−1−(ナフタレン−2−イル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン等の医薬品を製造することができる。
本出願は、日本で出願された特願2019−196782(出願日:2019年10月29日)を基礎としており、その内容は参照により本明細書にすべて包含されるものである。
窒素置換した反応容器に、実施例1(1)の方法に準じて合成した2−ナフチル酢酸25g、トルエン75.88g(2−ナフチル酢酸に対して3.5容量倍)、N,N−ジメチルホルムアミド0.0982g(2−ナフチル酢酸に対して0.01モル倍)を添加した。得られた溶液に塩化チオニル16.77g(2−ナフチル酢酸に対して1.05モル倍)を滴下し、43℃〜45℃で3時間反応させた後、トルエン10.88g(2−ナフチル酢酸に対して0.5容量倍)、スルホラン31.53g(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)を添加し、減圧濃縮して、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を調製した。
窒素置換した別の反応容器に、スルファミド15.5g(2−ナフチル酢酸に対して1.2モル倍)、スルホラン78.78g(2−ナフチル酢酸に対して2.5容量倍)、無機系添加剤25.01gを添加し、撹拌した後、75℃〜85℃に昇温した(反応原料2の調製)。この反応原料2は、溶液ではなくスラリー状態であった。
75℃〜85℃において、反応原料2に、2−ナフチル酢酸クロライドを含有する反応原料1を10時間かけて滴下した後に、さらに、100℃まで2時間かけて昇温し、5時間反応させた。
得られた反応液を55℃〜65℃まで冷却し、トルエン86.7g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)及び水100.05g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を添加して撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液75.01g(2−ナフチル酢酸に対して3重量倍)を添加し、55℃〜65℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層に水50.01g(2−ナフチル酢酸に対して2重量倍)を添加し、55℃〜65℃で撹拌した後、静置し、下層を廃棄した。残った上層を濃縮し、濃縮残渣にメタノール138.44g(2−ナフチル酢酸に対して7容量倍)を添加してさらに濃縮した。得られた濃縮残渣に、メタノール59.34g(2−ナフチル酢酸に対して3容量倍)を添加して濃縮し、濃縮残渣にメタノール39.55g(2−ナフチル酢酸に対して2容量倍)と活性炭0.5g(2−ナフチル酢酸に対して0.02重量倍)を添加して、濾過した。得られた濾液と、濾過残渣をメタノール19.78g(2−ナフチル酢酸に対して1容量倍)で洗浄した洗浄液を混合して、2−ナフチルアセトニトリル溶液を得た。
得られた2−ナフチルアセトニトリル溶液を40℃〜50℃に昇温し、水0.1259g(2−ナフチル酢酸に対して0.005容量倍)、炭酸カリウム0.0248g(2−ナフチル酢酸に対して0.001重量倍)を加えて1時間撹拌した後、水100g(2−ナフチル酢酸に対して4容量倍)を1時間かけて滴下した。その後、冷却し、10℃付近の温度で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、回収した湿結晶をメタノール水溶液(メタノール27.71gと水15.03gの混合溶液)で2回洗浄した。得られた湿結晶を60℃の雰囲気下で減圧乾燥し、結晶として2−ナフチルアセトニトリル19.09g(収率85%、純度99.87面積%)を得た。

Claims (9)

  1. 2−ナフチルアセトニトリルのHPLC純度が95面積%以上であり、不純物として下記式(a)〜(j)で表されるナフタレン化合物から選択される1種以上を含み、各ナフタレン化合物の含有量がそれぞれ以下のとおりである高純度2−ナフチルアセトニトリル。
    Figure 2021085468
  2. 不純物として下記式(a)〜(d)で表されるナフタレン化合物から選択される1種以上を含み、各ナフタレン化合物の含有量がそれぞれ以下のとおりである、請求項1に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリル。
    Figure 2021085468
  3. 不純物として下記式(c)で表されるナフタレン化合物を含み、式(c)で表されるナフタレン化合物の含有量が1面積%以下である、請求項1に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリル。
    Figure 2021085468
  4. 下記一般式(5)
    Figure 2021085468
    (一般式(5)中、Xはハロゲン原子を示す。)
    で表される酸ハロゲン化合物及び第一の有機溶媒を含む反応原料1と、スルファミド及び第二の有機溶媒を含む反応原料2とを、15℃〜90℃で混合し、昇温して80℃〜180℃で反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る、高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
  5. 15℃〜90℃で反応原料1を反応原料2に添加し、昇温して80℃〜180℃で反応させることを特徴とする、請求項4に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
  6. スルファミド1molに対して、前記一般式(5)
    Figure 2021085468
    で表される酸ハロゲン化合物の量が0.0027mol/分以上となるように反応原料1を反応原料2に添加することを特徴とする、請求項5に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
  7. 反応原料1が、2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及び第一の有機溶媒を、必要に応じて触媒の存在下、混合して得られたものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
  8. 下記工程1及び工程2を含むことを特徴とする、高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
    工程1:
    2'-アセトナフトンを、必要に応じて添加剤の存在下、ウィルゲロット反応させて得られたアミド化合物を、加水分解した後、2−ナフチル酢酸を遊離させて2−ナフチル酢酸を得る工程;
    工程2:
    工程1で得られた2−ナフチル酢酸、ハロゲン化剤及び第一の有機溶媒を含む反応原料1と、スルファミド及び第二の有機溶媒を含む反応原料2とを混合し、反応させて2−ナフチルアセトニトリルを得る工程。
  9. 第一の有機溶媒が、炭化水素溶媒、アミド溶媒、スルホン溶媒又はこれらの混合溶媒であり、第二の有機溶媒がスルホン溶媒であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の高純度2−ナフチルアセトニトリルの製造方法。
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