以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図1及び図2を参照して、実施の形態1に係る障害物検出装置について説明する。また、この障害物検出装置を用いた衝突回避装置について説明する。
車両1は、ソナー2を有している。ソナー2は、1個又は複数個の超音波センサにより構成されている。ソナー2は、例えば、車両1のフロントバンパ又はリアバンパに設けられている。これにより、ソナー2は、車両1の前方又は後方に超音波(以下「探索波」という。)SWを送信するものである。また、ソナー2は、車両1の前方又は後方における障害物Oにより探索波SWが反射されたとき、当該反射された探索波(以下「反射波」ということがある。)RWを受信するものである。
送信信号生成部11は、ソナー2により送信される探索波SWに対応するデジタル信号を生成するものである。送信信号生成部11は、当該生成されたデジタル信号を出力するものである。
デジタルアナログコンバータ(以下「DAC」と記載する。)3は、送信信号生成部11により出力されたデジタル信号の入力を受け付けるものである。DAC3は、当該入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換するものである。DAC3は、当該変換されたアナログ信号を出力するものである。
送信回路4は、DAC3により出力されたアナログ信号の入力を受け付けるものである。送信回路4は、当該入力されたアナログ信号を増幅するものである。送信回路4は、当該増幅されたアナログ信号を出力するものである。送信回路4は、1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。
以下、これらの信号を総称して「送信信号」という。ソナー2は、送信回路4により出力された送信信号TSの入力を受け付ける。ソナー2は、当該入力された送信信号TSに対応する探索波SWを送信する。
ここで、送信回路4により出力される送信信号TSは、パルス信号である。当該パルス信号における搬送波は、所定の周波数fを有する正弦波である。当該パルス信号における個々のパルスは、所定周期(例えば8周期、32周期又は64周期)分の正弦波により構成されている。このため、ソナー2により送信される探索波SWは、パルス波となる。当該パルス波における個々のパルスは、所定周期分の正弦波により構成されている。
ソナー2により出力されるアナログ信号は、ソナー2により反射波RWが受信されたとき、当該受信された反射波RWに対応するものとなる。換言すれば、ソナー2は、反射波RWが受信されたとき、当該受信された反射波RWに対応するアナログ信号を出力する。
受信回路5は、ソナー2により出力されたアナログ信号の入力を受け付けるものである。受信回路5は、当該入力されたアナログ信号を増幅するものである。受信回路5は、フィルタを用いて、当該増幅されたアナログ信号に含まれるノイズを除去するものである。受信回路5は、当該ノイズが除去されたアナログ信号を出力するものである。受信回路5は、例えば、1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。
アナログデジタルコンバータ(以下「ADC」と記載する。)6は、受信回路5により出力されたアナログ信号の入力を受け付けるものである。ADC6は、当該入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。ADC6は、当該変換されたデジタル信号を出力するものである。
以下、これらの信号を総称して「受信信号」という。受信信号取得部12は、ADC6により出力された受信信号RSを取得するものである。受信信号取得部12は、当該取得された受信信号RSを用いて、所定時間分の受信信号RSを示すデータ(以下「受信信号データ」という。)を生成するものである。受信信号取得部12は、当該生成された受信信号データを出力するものである。
障害物検出部13は、受信信号取得部12により出力された受信信号データを取得するものである。障害物検出部13は、当該取得された受信信号データを用いて、障害物Oの有無を検出するものである。また、障害物検出部13は、障害物Oが存在すると判定された場合、当該取得された受信信号データを用いて、車両1と障害物O間の距離Lを算出するものである。
ここで、図3及び図4を参照して、障害物Oの有無の検出方法について説明する。また、距離Lの算出方法について説明する。
図3は、1パルス分の探索波SWの例及び対応する反射波RWの例を示している。図3に示す如く、1パルス分の探索波SWは正弦波状である。このため、対応する反射波RWも正弦波状である。ただし、反射波RWの周波数f’は、探索波SWの周波数fと異なり得るものである。これは、ドップラーシフトによるものである。
図4Aは、送信信号TSの波形の例を示している。図4Bは、受信信号RSの波形の例を示している。図4Cは、受信信号RSの強度RSSの例を示している。図4Aに示す送信信号TSは、図3に示す探索波SWに対応している。図4Bに示す受信信号RSは、図3に示す反射波RWに対応している。図4Cに示す強度RSSは、図4Bに示す受信信号RSに対応している。
障害物検出部13は、受信信号データを用いて、強度RSSを算出する。障害物検出部13は、当該算出された強度RSSを所定の閾値RSSthと比較することにより、障害物Oの有無を検出する。すなわち、障害物検出部13は、受信信号RSのうちの強度RSSが閾値RSSthを超えている部位を検出する。かかる部位が存在する場合、障害物検出部13は、障害物Oが存在すると判定する。他方、かかる部位が存在しない場合、障害物検出部13は、障害物Oが存在しないと判定する。
障害物検出部13は、送信信号TSが出力された時刻T1、すなわち探索波SWが送信された時刻T1を示す情報を取得する。この情報は、例えば、送信信号生成部11から取得される。図2において、送信信号生成部11と障害物検出部13間の接続線は図示を省略している。障害物検出部13は、当該取得された情報が示す時刻T1から、強度RSSが閾値RSSthを超えた時刻T2までの時間ΔTを算出する。この時間ΔTは、探索波SW及び対応する反射波RWの伝搬遅延時間に対応している。
障害物検出部13には、空気中の探索波SWの伝搬速度PVを示す情報が予め記憶されている。障害物検出部13は、当該記憶されている情報を用いて、上記算出された時間ΔTに基づき、以下の式(1)により距離Lを算出する。
L=(PV×ΔT)/2 (1)
障害物検出部13は、障害物Oが存在すると判定された場合、受信信号RSのうちの障害物Oに対応する部位の波形、すなわち受信信号RSのうちの強度RSSが閾値RSSthを超えている部位の波形(以下「反射波形」という。)を示す信号(以下「反射波形信号」という。)を生成する。障害物検出部13は、当該生成された反射波形信号を出力する。
歪波形生成部14は、障害物検出部13により出力された反射波形信号を取得するものである。歪波形生成部14は、当該取得された反射波形信号を用いて、反射波形を歪ませてなる波形(以下「歪波形」という。)を生成するものである。より具体的には、歪波形生成部14は、反射波形におけるピーク部をクリップすることにより歪波形を生成するものである。
図5Aは、反射波形の例を示している。図5Bは、図5Aに示す反射波形に対する歪波形の例を示している。図5Aに示す例においては、反射波形が正弦波状である。これに対して、図5Bに示す如く、歪波形は、かかる正弦波におけるピーク部をクリップしてなるものである。
歪波形生成部14は、当該生成された歪波形を示す信号(以下「歪波形信号」という。)を生成する。歪波形生成部14は、当該生成された歪波形信号を出力する。
高調波抽出部15は、歪波形生成部14により出力された歪波形信号を取得するものである。高調波抽出部15は、当該取得された歪波形信号に対するFFT解析を実行するものである。これにより、高調波抽出部15は、反射波RWに対する高調波Hを抽出するものである。
ここで、上記のとおり、歪波形は、反射波形におけるピーク部をクリップしてなるものである。この場合、高調波抽出部15により、奇数次の高調波Hが抽出される。具体的には、例えば、第3次の高調波H_3及び第5次の高調波H_5が抽出される。
図6は、FFT解析により得られる周波数スペクトルFS1,FS2の例を示している。周波数スペクトルFS1は、歪波形信号に対するFFT解析の結果に対応するものである。すなわち、周波数スペクトルFS1は、高調波抽出部15により実行されるFFT解析の結果に対応するものである。これに対して、周波数スペクトルFS2は、反射波形信号に対するFFT解析の結果に対応するものである。すなわち、周波数スペクトルFS2は、周波数スペクトルFS1に対する比較用の周波数スペクトルである。
図6に示す如く、反射波形信号には、反射波RWの周波数f’に対応する成分が含まれている。このため、周波数スペクトルFS2は、周波数f’にピークを有している。
他方、歪波形信号には、反射波RWの周波数f’に対応する成分(すなわち第1次の高調波H_1に対応する成分)が含まれているのはもちろんのこと、周波数f’に対する3倍の周波数3f’に対応する成分(すなわち第3次の高調波H_3に対応する成分)が含まれており、かつ、周波数f’に対する5倍の周波数5f’に対応する成分(すなわち第5次の高調波H_5に対応する成分)が含まれている。このため、周波数スペクトルFS1は、周波数f’,3f’,5f’の各々にピークを有している。
高調波抽出部15は、当該抽出された高調波Hの周波数を示す値を出力する。より具体的には、高調波抽出部15は、周波数3f’の値又は周波数5f’の値を出力する。
種別判別部16は、高調波抽出部15により出力された値を取得するものである。種別判別部16は、当該取得された値を用いて、ドップラーシフト量を演算するものである。種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、障害物Oが静止物(例えば壁)であるか動体(例えば歩行者)であるかを判別するものである。また、種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、障害物Oが車両1に対して次第に相対的に近づいている物体(以下「接近物」という。)であるか車両1に対して次第に相対的に離れている物体(以下「離反物」という。)であるかを判別するものである。また、種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、車両1に対する障害物Oの相対速度RVを算出するものである。
ドップラーシフト量の演算方法は、以下のとおりである。
種別判別部16は、探索波SWの周波数fを示す情報を取得する。この情報は、例えば、送信信号生成部11から取得される。図2において、送信信号生成部11と種別判別部16間の接続線は図示を省略している。
種別判別部16は、上記取得された情報を用いて、以下の式(2)により、周波数fに対する3倍の周波数3fの値を算出する。次いで、種別判別部16は、以下の式(3)により、当該算出された周波数3fの値と上記取得された周波数3f’の値との差分値3DSを算出する。次いで、種別判別部16は、以下の式(4)により、当該算出された差分値3DSに対する3分の1の値DSを算出する。
3f=f×3 (2)
3DS=3f’−3f (3)
DS=3DS/3 (4)
または、種別判別部16は、上記取得された情報を用いて、以下の式(5)により、周波数fに対する5倍の周波数5fの値を算出する。次いで、種別判別部16は、以下の式(6)により、当該算出された周波数5fの値と上記取得された周波数5f’の値との差分値5DSを算出する。次いで、種別判別部16は、以下の式(7)により、当該算出された差分値5DSに対する5分の1の値DSを算出する。
5f=f×5 (5)
5DS=5f’−5f (6)
DS=5DS/5 (7)
これらの値(DS,3DS,5DS)は、ドップラーシフト量に対応している。このようにして、ドップラーシフト量が演算される。
障害物Oが静止物であるか動体であるかの判別方法は、以下のとおりである。
種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、3DSの絶対値|3DS|を所定値と比較する。種別判別部16は、絶対値|3DS|が所定値以上である場合、障害物Oが動体であると判別する。他方、絶対値|3DS|が所定値未満である場合、種別判別部16は、障害物Oが静止物であると判別する。
または、種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、5DSの絶対値|5DS|を他の所定値と比較する。種別判別部16は、絶対値|5DS|が所定値以上である場合、障害物Oが動体であると判別する。他方、絶対値|5DS|が所定値未満である場合、種別判別部16は、障害物Oが静止物であると判別する。
障害物Oが接近物であるか離反物であるかの判別方法は、以下のとおりである。
種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、3DSの正負を判定する。種別判別部16は、3DSが正の値である場合、障害物Oが接近物であると判別する。他方、3DSが負の値である場合、種別判別部16は、障害物Oが離反物であると判別する。
または、種別判別部16は、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、5DSの正負を判定する。種別判別部16は、5DSが正の値である場合、障害物Oが接近物であると判別する。他方、5DSが負の値である場合、種別判別部16は、障害物Oが離反物であると判別する。
相対速度RVの算出方法は、以下のとおりである。
通常、周波数f、周波数f’、伝搬速度PV及び相対速度RVの関係は、以下の式(8)に基づくものである。
f’=f+DS=f×{(PV+RV)/(PV−RV)} (8)
上記式(8)を変形することにより、以下の式(9)が得られる。
RV=(PV×DS)/{(2×f)+DS} (9)
種別判別部16には、伝搬速度PVを示す情報が予め記憶されている。種別判別部16は、当該記憶されている情報が示す伝搬速度PVの値と、上記取得された情報が示す周波数fの値と、上記算出されたDSの値とを用いて、上記式(9)により相対速度RVを算出する。
結果信号生成部17は、障害物検出部13による検出結果及び種別判別部16による判別結果を示す信号(以下「結果信号」という。)を生成するものである。結果信号生成部17は、当該生成された結果信号を出力するものである。
すなわち、結果信号は、障害物Oの有無の検出結果を含むものである。また、障害物Oが存在すると判定された場合、結果信号は、距離Lの値、障害物Oが静止物であるか動体であるかの判別結果、障害物Oが接近物であるか離反物であるかの判別結果、及び相対速度RVの値を含むものである。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14、高調波抽出部15、種別判別部16及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7により実現される。
処理回路7は、1個又は複数個のデジタル回路により構成されている。または、処理回路7は、1個又は複数個のデジタル回路及び1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。すなわち、処理回路7は、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、SoC(System−on−a−Chip)又はシステムLSI(Large−Scale Integration)を用いたものである。
以下、処理回路7により実行される処理のうちの送信信号生成部11に対応する処理を総称して「送信処理」という。すなわち、送信処理は、送信信号TSを生成する処理、及び送信信号TSを出力する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの受信信号取得部12に対応する処理を総称して「受信処理」という。すなわち、受信処理は、受信信号RSを取得する処理、受信信号データを生成する処理、及び受信信号データを出力する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの障害物検出部13に対応する処理を総称して「障害物検出処理」という。すなわち、障害物検出処理は、障害物Oの有無を検出する処理、距離Lを算出する処理、反射波形信号を生成する処理、及び反射波形信号を出力する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの歪波形生成部14に対応する処理を総称して「歪波形生成処理」という。すなわち、歪波形生成処理は、反射波形信号を取得する処理、歪波形を生成する処理、歪波形信号を生成する処理、及び歪波形信号を出力する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの高調波抽出部15に対応する処理を総称して「高調波抽出処理」という。すなわち、高調波抽出処理は、歪波形信号を取得する処理、歪波形信号に対するFFT解析を実行することにより高調波Hを抽出する処理、及び高調波Hの周波数を示す値を出力する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの種別判別部16に対応する処理を総称して「種別判別処理」という。すなわち、種別判別処理は、高調波Hの周波数を示す値を取得する処理、ドップラーシフト量を演算する処理、障害物Oが静止物であるか動体であるかを判別する処理、障害物Oが接近物であるか離反物であるかを判別する処理、及び相対速度RVを算出する処理などを含むものである。
また、処理回路7により実行される処理のうちの結果信号生成部17に対応する処理を総称して「出力処理」という。すなわち、出力処理は、結果信号を生成する処理、及び結果信号を出力する処理などを含むものである。
通信インタフェース(以下「通信IF」と記載する。)8は、結果信号生成部17により出力された結果信号の入力を受け付けるものである。通信IF8は、当該入力された結果信号を車両制御装置9に送信するものである。
車両制御装置9は、通信IF8により送信された結果信号を受信するものである。車両制御装置9は、当該受信された結果信号を用いて、車両1と障害物Oとの衝突を回避するための制御(以下「衝突回避制御」という。)を実行するものである。車両制御装置9は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成されている。
例えば、車両制御装置9には、距離Lと障害物Oに対する衝突を回避可能な車両1の走行速度Vの上限値Vmaxとの対応関係(以下「車両速度プロファイル」という。)を示す情報が予め記憶されている。図7は、車両速度プロファイルの例を示している。車両制御装置9は、現在の走行速度Vを示す情報を取得する。車両制御装置9は、車両速度プロファイルを用いて、結果信号が示す距離Lに基づき、現在の走行速度Vが対応する上限値Vmax未満であるか否かを判定する。車両制御装置9は、現在の走行速度Vが対応する上限値Vmax以上であると判定された場合、走行速度Vが対応する上限値Vmax未満となるように、車両1のブレーキ及びスロットルなどを制御する。
そのほか、衝突回避制御には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7及び通信IF8により、障害物検出装置100の要部が構成されている。障害物検出装置100及び車両制御装置9により、衝突回避装置200の要部が構成されている。
次に、図8のフローチャートを参照して、障害物検出装置100の動作について説明する。より具体的には、処理回路7により実行される処理について説明する。
まず、送信信号生成部11が送信処理を実行する(ステップST1)。次いで、受信信号取得部12が受信処理を実行する(ステップST2)。次いで、障害物検出部13が障害物検出処理を実行する(ステップST3)。障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7の処理はステップST1に戻る。他方、障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7の処理はステップST5に進む。
次いで、歪波形生成部14が歪波形生成処理を実行する(ステップST5)。次いで、高調波抽出部15が高調波抽出処理を実行する(ステップST6)。次いで、種別判別部16が種別判別処理を実行する(ステップST7)。次いで、結果信号生成部17が出力処理を実行する(ステップST8)。
次に、図9を参照して、ドップラーシフト量の演算に高調波Hを用いることによる効果について説明する。
仮に反射波RWがドップラーシフト量の演算に用いられるものである場合、FFT解析により得られた周波数f’の値を用いて、以下の式(10)によりDSが算出される。
DS=f’−f (10)
この場合、DSの算出における周波数分解能がFFT解析における周波数分解能Δfにより制限されることになる。したがって、DSの絶対値|DS|が周波数分解能Δfよりも大きいとき(|DS|>Δf)は、DSの算出が可能である。しかしながら、絶対値|DS|が周波数分解能Δf以下であるとき(|DS|≦Δf)は、DSの算出が不可能である。このため、例えば、障害物Oが動体である場合において、相対速度RVが小さいことにより絶対値|DS|が周波数分解能Δf以下であるとき、DSが算出されないことにより障害物Oが静止物であると誤判別される問題が生ずる。
また、この場合、上記式(10)により算出されるDSは、Δf毎の離散値となる。このため、DSの離散幅が大きいことにより、相対速度RVを正確に算出することが困難であるという問題が生ずる。
このように、仮に反射波RWがドップラーシフト量の演算に用いられるものである場合、ドップラーシフト量の演算における周波数分解能δfは、FFT解析における周波数分解能Δfと同等の値となる(δf=Δf)。これに対して、上記誤判別の発生を抑制する観点、及び相対速度RVを正確に算出する観点から、周波数分解能δfを向上するのが好適である。
ここで、FFT解析における周波数分解能Δfを向上することにより、ドップラーシフト量の演算における周波数分解能δfを向上することが考えられる。周波数分解能Δfを向上するために、FFT解析用のデータ数を増やすことが考えられる。しかしながら、FFT解析用のデータ数が増えるにつれて、処理回路7における演算負荷が大きくなる。これにより、処理回路7に要求される演算能力が高くなる。このため、車両1用の障害物検出装置100において、FFT解析用のデータ数を増やすことは経済的に困難である。
そこで、障害物検出装置100においては、ドップラーシフト量の演算に高調波Hが用いられるものである。具体的には、例えば、第3次の高調波H_3が用いられるものである。この場合、FFT解析により得られた周波数3f’の値を用いて、上記式(3)により3DSが算出される。そして、当該算出された3DSの値を用いて、上記式(4)によりDSが算出される。
この場合、3DSの算出における周波数分解能がFFT解析における周波数分解能Δfにより制限されることになる。したがって、3DSの絶対値|3DS|が周波数分解能Δfよりも大きいとき(|3DS|>Δf)、3DSの算出が可能であり、かつ、DSの算出が可能である。換言すれば、DSの絶対値|DS|が周波数分解能Δfに対する3分の1の値よりも大きいとき(|DS|>Δf/3)、3DSの算出が可能であり、かつ、DSの算出が可能である。
また、この場合、上記式(3)により算出される3DSは、Δf毎の離散値となる。したがって、上記式(4)により算出されるDSは、(Δf/3)毎の離散値となる。
すなわち、第3次の高調波H_3を用いることにより、仮に反射波RWを用いた場合に比して、ドップラーシフト量の演算における周波数分解能δfを3分の1にすることができる(δf=Δf/3)。換言すれば、周波数分解能δfを3倍に向上することができる。これにより、上記誤判別の発生を抑制することができる。また、相対速度RVを正確に算出することができる。
これと同様に、第5次の高調波H_5を用いることにより、仮に反射波RWを用いた場合に比して、ドップラーシフト量の演算における周波数分解能δfを5分の1にすることができる(δf=Δf/5)。換言すれば、周波数分解能δfを5倍に向上することができる。これにより、上記誤判別の発生を更に抑制することができる。また、相対速度RVを更に正確に算出することができる。
図9は、実際の周波数f’とドップラーシフト量の演算結果による周波数f’との対応関係の例を示している。図中Iは、第3次の高調波H_3を用いた場合の周波数f’に対応している。これに対して、図中IIは、仮に反射波RWを用いた場合の周波数f’に対応している。
図9に示す如く、反射波RWを用いた場合、ドップラーシフト量の演算結果による周波数f’は、Δf毎の離散値となる。これは、上記式(10)により算出されるDSがΔf毎の離散値となるためである。この場合における周波数分解能δfは、Δfと同等の値となる。
これに対して、第3次の高調波H_3を用いた場合、ドップラーシフト量の演算結果による周波数f’は、(Δf/3)毎の離散値となる。これは、上記式(4)により算出されるDSが(Δf/3)毎の離散値となるためである。この場合における周波数分解能δfは、(Δf/3)と同等の値となる。
次に、歪波形生成部14が設けられていることによる効果について説明する。
上記のとおり、障害物検出装置100においては、高調波Hの抽出に歪波形が用いられる。歪波形は、歪波形生成部14により生成されるものである。このため、ドップラーシフト量の演算に高調波Hを用いるものでありながら、ソナー2により送受信される超音波(すなわち探索波SW及び反射波RW)を正弦波状にすることができる。換言すれば、ソナー2による矩形波状の超音波の送受信を不要とすることができる。
通常、矩形波は、互いに異なる複数の周波数成分を含むものである。仮に矩形波状の超音波が送信されるものである場合、超音波が空気中を伝搬することにより、当該複数の周波数成分のうちの他の周波数成分に比して高い周波数成分が大きく減衰する。このため、当該高い周波数成分を受信することが困難となる。したがって、当該高い周波数成分をドップラーシフト量の演算に用いることは困難である。これに対して、正弦波状の超音波を送受信するとともに、反射波形に対する歪波形を用いることにより、高調波Hを確実に抽出することができる。この結果、ドップラーシフト量を確実に演算することができる。
また、ソナー2により送受信される超音波が正弦波状であることにより、仮に矩形波状の超音波が送受信されるものに比して、ソナー2により送受信される超音波を狭帯域にすることができる。この結果、安価な超音波センサを用いてソナー2を実現することができる。
また、通常、広帯域用のフィルタによるノイズ除去能力は、狭帯域用のフィルタによるノイズ除去能力に比して低い。換言すれば、狭帯域用のフィルタによるノイズ除去能力は、広帯域用のフィルタによるノイズ除去能力に比して高い。
仮にソナー2により矩形波状の超音波が送受信されるものである場合、受信回路5におけるフィルタを広帯域用にすることが求められる。これに対して、ソナー2により送受信される超音波が正弦波状であることにより、受信回路5におけるフィルタを狭帯域用にすることができる。この結果、処理回路7に入力される受信信号RSにおけるSN(Signal−Noise)比を向上することができる。
次に、障害物検出装置100の変形例について説明する。
1パルス分の探索波SWの波形、すなわち1パルス分の送信信号TSの波形は、完全な正弦波状でなくとも良い。また、反射波形は、完全な正弦波状でなくとも良い。すなわち、これらの波形は、略正弦波状であっても良い。本願の請求の範囲に記載された「正弦波状」の用語の意義は、完全な正弦波状に限定されるものではなく、略正弦波状を包含するものである。
また、障害物検出装置100の用途は、衝突回避装置200に限定されるものではない。障害物検出装置100は、結果信号を用いる装置又はシステムであれば、如何なる装置又はシステムに用いられるものであっても良い。例えば、障害物検出装置100は、車両1用の周囲監視装置に用いられるものであっても良い。または、例えば、障害物検出装置100は、車両1用の駐車支援装置に用いられるものであっても良い。
また、車両1におけるソナー2の設置位置は、フロントバンパ又はリアバンパに限定されるものではない。ソナー2による探索波SWの送信方向は、車両1の前方又は後方に限定されるものではない。車両1におけるソナー2の設置位置及びソナー2による探索波SWの送信方向は、障害物検出装置100の用途に応じて設定されるものであれば良い。
また、歪波形の生成方法は、反射波形におけるピーク部のクリップに限定されるものではない。後述する実施の形態2〜4においては、歪波形の他の生成方法について説明する。
以上のように、実施の形態1に係る障害物検出装置100は、正弦波状の探索波SWを送信するソナー2と、ソナー2により受信された反射波RWに基づき障害物Oの有無を検出する障害物検出部13と、反射波RWの波形(反射波形)に対する歪波形を生成する歪波形生成部14と、歪波形に基づき反射波RWに対する高調波Hを抽出する高調波抽出部15と、高調波Hに基づきドップラーシフト量を演算することにより、障害物Oが静止物であるか動体であるかを判別する種別判別部16と、を備え、障害物検出部13による検出結果及び種別判別部16による判別結果を示す信号(結果信号)が出力されるものである。高調波Hを用いることにより、ドップラーシフト量の演算における周波数分解能δfを向上することができる。
また、歪波形生成部14は、反射波RWの波形(反射波形)におけるピーク部をクリップすることにより歪波形を生成する。当該生成された歪波形を用いることにより、奇数次の高調波Hを抽出することができる。当該抽出された高調波Hを用いることにより、例えば、周波数分解能δfを周波数分解能Δfに対して3倍又は5倍に向上することができる。
また、種別判別部16は、ドップラーシフト量に基づき障害物Oの相対速度RVを算出する。ドップラーシフト量を用いることにより、ソナー2による超音波(すなわち探索波SW及び反射波RW)の1回の送受信により相対速度RVを算出することができる。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図11は、実施の形態2に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図10及び図11を参照して、実施の形態2に係る障害物検出装置について説明する。
なお、図10において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図11において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
歪波形生成部14aは、障害物検出部13により出力された反射波形信号を取得するものである。歪波形生成部14aは、当該取得された反射波形信号を用いて、反射波形に対する歪波形を生成するものである。より具体的には、歪波形生成部14aは、反射波形に対する全波整流をすることにより歪波形を生成するものである。
図12Aは、反射波形の例を示している。図12Bは、図12Aに示す反射波形に対する歪波形の例を示している。図12Aに示す例においては、反射波形が正弦波状である。これに対して、図12Bに示す如く、歪波形生成部14aにより生成される歪波形は、かかる正弦波に対する全波整流をしてなるものである。
歪波形生成部14aは、当該生成された歪波形を示す信号、すなわち歪波形信号を生成する。歪波形生成部14は、当該生成された歪波形信号を出力する。
高調波抽出部15aは、歪波形生成部14aにより出力された歪波形信号を取得するものである。高調波抽出部15aは、当該取得された歪波形信号に対するFFT解析を実行するものである。これにより、高調波抽出部15aは、反射波RWに対する高調波Hを抽出するものである。
ここで、上記のとおり、歪波形は、反射波形に対する全波整流をしてなるものである。このため、高調波抽出部15aにより、偶数次の高調波Hが抽出される。具体的には、例えば、第2次の高調波H_2、第4次の高調波H_4及び第6次の高調波H_6が抽出される。
図13は、FFT解析により得られる周波数スペクトルFS1,FS2の例を示している。周波数スペクトルFS1は、歪波形信号に対するFFT解析の結果に対応するものである。すなわち、周波数スペクトルFS1は、高調波抽出部15aにより実行されるFFT解析の結果に対応するものである。これに対して、周波数スペクトルFS2は、反射波形信号に対するFFT解析の結果に対応するものである。すなわち、周波数スペクトルFS2は、周波数スペクトルFS1に対する比較用の周波数スペクトルである。
図13に示す如く、反射波形信号には、反射波RWの周波数f’に対応する成分が含まれている。したがって、周波数スペクトルFS2は、周波数f’にピークを有している。
他方、歪波形信号には、周波数f’に対する2倍の周波数2f’に対応する成分(すなわち第2次の高調波H_2に対応する成分)が含まれており、かつ、周波数f’に対する4倍の周波数4f’に対応する成分(すなわち第4次の高調波H_4に対応する成分)が含まれており、かつ、周波数f’に対する6倍の周波数6f’に対応する成分(すなわち第6次の高調波H_6に対応する成分)が含まれている。このため、周波数スペクトルFS1は、周波数2f’,4f’,6f’の各々にピークを有している。
高調波抽出部15aは、当該抽出された高調波Hの周波数を示す値を出力する。より具体的には、高調波抽出部15aは、周波数2f’の値、周波数4f’の値又は周波数6f’の値を出力する。
種別判別部16aは、高調波抽出部15aにより出力された値を取得するものである。種別判別部16aは、当該取得された値を用いて、ドップラーシフト量を演算するものである。種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、障害物Oが静止物であるか動体であるかを判別するものである。また、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、障害物Oが接近物であるか離反物であるかを判別するものである。また、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、相対速度RVを算出するものである。
ドップラーシフト量の演算方法は、以下のとおりである。
種別判別部16aは、探索波SWの周波数fを示す情報を取得する。この情報は、例えば、送信信号生成部11から取得される。図11において、送信信号生成部11と種別判別部16a間の接続線は図示を省略している。
種別判別部16aは、上記取得された情報を用いて、以下の式(11)により、周波数fに対する2倍の周波数2fの値を算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(12)により、当該算出された周波数2fの値と上記取得された周波数2f’の値との差分値2DSを算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(13)により、当該算出された差分値2DSに対する2分の1の値DSを算出する。
2f=f×2 (11)
2DS=2f’−2f (12)
DS=2DS/2 (13)
または、種別判別部16aは、上記取得された情報を用いて、以下の式(14)により、周波数fに対する4倍の周波数4fの値を算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(15)により、当該算出された周波数4fの値と上記取得された周波数4f’の値との差分値4DSを算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(16)により、当該算出された差分値4DSに対する4分の1の値DSを算出する。
4f=f×4 (14)
4DS=4f’−4f (15)
DS=4DS/4 (16)
または、種別判別部16aは、上記取得された情報を用いて、以下の式(17)により、周波数fに対する6倍の周波数6fの値を算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(18)により、当該算出された周波数6fの値と上記取得された周波数6f’の値との差分値6DSを算出する。次いで、種別判別部16aは、以下の式(19)により、当該算出された差分値6DSに対する6分の1の値DSを算出する。
6f=f×6 (17)
6DS=6f’−6f (18)
DS=6DS/6 (19)
これらの値(DS,2DS,4DS,6DS)は、ドップラーシフト量に対応している。このようにして、ドップラーシフト量が演算される。
障害物Oが静止物であるか動体であるかの判別方法は、以下のとおりである。
種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、2DSの絶対値|2DS|を所定値と比較する。種別判別部16aは、絶対値|2DS|が所定値以上である場合、障害物Oが動体であると判別する。他方、絶対値|2DS|が所定値未満である場合、種別判別部16aは、障害物Oが静止物であると判別する。
または、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、4DSの絶対値|4DS|を他の所定値と比較する。種別判別部16aは、絶対値|4DS|が所定値以上である場合、障害物Oが動体であると判別する。他方、絶対値|4DS|が所定値未満である場合、種別判別部16aは、障害物Oが静止物であると判別する。
または、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、6DSの絶対値|6DS|を他の所定値と比較する。種別判別部16aは、絶対値|6DS|が所定値以上である場合、障害物Oが動体であると判別する。他方、絶対値|6DS|が所定値未満である場合、種別判別部16aは、障害物Oが静止物であると判別する。
障害物Oが接近物であるか離反物であるかの判別方法は、以下のとおりである。
種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、2DSの正負を判定する。種別判別部16aは、2DSが正の値である場合、障害物Oが接近物であると判別する。他方、2DSが負の値である場合、種別判別部16aは、障害物Oが離反物であると判別する。
または、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、4DSの正負を判定する。種別判別部16aは、4DSが正の値である場合、障害物Oが接近物であると判別する。他方、4DSが負の値である場合、種別判別部16aは、障害物Oが離反物であると判別する。
または、種別判別部16aは、ドップラーシフト量の演算結果に基づき、6DSの正負を判定する。種別判別部16aは、6DSが正の値である場合、障害物Oが接近物であると判別する。他方、6DSが負の値である場合、種別判別部16aは、障害物Oが離反物であると判別する。
相対速度RVの算出方法は、実施の形態1にて説明したものと同様である。このため、再度の説明は省略する。
このように、歪波形生成部14aは、歪波形生成処理を実行するものである。また、高調波抽出部15aは、高調波抽出処理を実行するものである。また、種別判別部16aは、種別判別処理を実行するものである。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14a、高調波抽出部15a、種別判別部16a及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7aにより実現される。処理回路7aは、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7a及び通信IF8により、障害物検出装置100aの要部が構成されている。障害物検出装置100a及び車両制御装置9により、衝突回避装置200aの要部が構成されている。
次に、図14のフローチャートを参照して、障害物検出装置100aの動作について説明する。より具体的には、処理回路7aにより実行される処理について説明する。なお、図14において、図8に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1〜ST3の処理が実行される。障害物検出処理により障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7aの処理はステップST1に戻る。他方、障害物検出処理により障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7aの処理はステップST5aに進む。
次いで、歪波形生成部14aが歪波形生成処理を実行する(ステップST5a)。次いで、高調波抽出部15aが高調波抽出処理を実行する(ステップST6a)。次いで、種別判別部16aが種別判別処理を実行する(ステップST7a)。次いで、ステップST8の処理が実行される。
なお、障害物検出装置100aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態2に係る障害物検出装置100aにおいて、歪波形生成部14aは、反射波RWの波形(反射波形)に対する全波整流をすることにより歪波形を生成する。当該生成された歪波形を用いることにより、偶数次の高調波Hを抽出することができる。当該抽出された高調波Hを用いることにより、例えば、周波数分解能δfを周波数分解能Δfに対して2倍、4倍又は6倍に向上することができる。
実施の形態3.
図15は、実施の形態3に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図16は、実施の形態3に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図15及び図16を参照して、実施の形態3に係る障害物検出装置について説明する。
なお、図15において、図10に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図16において、図11に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
歪波形生成部14bは、障害物検出部13により出力された反射波形信号を取得するものである。歪波形生成部14bは、当該取得された反射波形信号を用いて、反射波形に対する歪波形を生成するものである。より具体的には、歪波形生成部14bは、反射波形に対する全波整流をするとともに、当該全波整流がなされた波形におけるピーク部をクリップすることにより、歪波形を生成するものである。
図17Aは、反射波形の例を示している。図17Bは、図17Aに示す反射波形に対する歪波形の例を示している。図17Aに示す例においては、反射波形が正弦波状である。これに対して、図17Bに示す如く、歪波形生成部14bにより生成される歪波形は、かかる正弦波に対する全波整流をするとともに、当該全波整流がなされた波形におけるピーク部をクリップしてなるものである。
歪波形生成部14bは、当該生成された歪波形を示す信号、すなわち歪波形信号を生成する。歪波形生成部14bは、当該生成された歪波形信号を出力する。
このように、歪波形生成部14bは、歪波形生成処理を実行するものである。
高調波抽出部15aにおいては、かかる歪波形信号に対するFFT解析により、偶数次の高調波Hが抽出される。具体的には、例えば、第2次の高調波H_2、第4次の高調波H_4及び第6次の高調波H_6が抽出される。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14b、高調波抽出部15a、種別判別部16a及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7bにより実現される。処理回路7bは、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7b及び通信IF8により、障害物検出装置100bの要部が構成されている。障害物検出装置100b及び車両制御装置9により、衝突回避装置200bの要部が構成されている。
次に、図18のフローチャートを参照して、障害物検出装置100bの動作について説明する。より具体的には、処理回路7bにより実行される処理について説明する。なお、図18において、図14に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1〜ST3の処理が実行される。障害物検出処理により障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7bの処理はステップST1に戻る。他方、障害物検出処理により障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7bの処理はステップST5bに進む。
次いで、歪波形生成部14bが歪波形生成処理を実行する(ステップST5b)。次いで、ステップST6a,ST7a,ST8の処理が実行される。
なお、障害物検出装置100bは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態3に係る障害物検出装置100bにおいて、歪波形生成部14bは、反射波RWの波形(反射波形)に対する全波整流をするとともに、当該全波整流がなされた波形におけるピーク部をクリップすることにより歪波形を生成する。当該生成された歪波形を用いることにより、偶数次の高調波Hを抽出することができる。当該抽出された高調波Hを用いることにより、例えば、周波数分解能δfを周波数分解能Δfに対して2倍、4倍又は6倍に向上することができる。
実施の形態4.
図19は、実施の形態4に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図20は、実施の形態4に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図19及び図20を参照して、実施の形態4に係る障害物検出装置について説明する。
なお、図19において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図20において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
歪波形生成部14cは、障害物検出部13により出力された反射波形信号を取得するものである。歪波形生成部14cは、当該取得された反射波形信号を用いて、反射波形に対する歪波形を生成するものである。より具体的には、歪波形生成部14cは、反射波形を矩形波に整形することにより歪波形を生成するものである。
図21Aは、反射波形の例を示している。図21Bは、図21Aに示す反射波形に対する歪波形の例を示している。図21Aに示す例においては、反射波形が正弦波状である。これに対して、図21Bに示す如く、歪波形生成部14cにより生成される歪波形は、かかる正弦波を矩形波に整形してなるものである。
歪波形生成部14cは、当該生成された歪波形を示す信号、すなわち歪波形信号を生成する。歪波形生成部14cは、当該生成された歪波形信号を出力する。
このように、歪波形生成部14cは、歪波形生成処理を実行するものである。
高調波抽出部15においては、かかる歪波形信号に対するFFT解析により、奇数次の高調波Hが抽出される。具体的には、例えば、第3次の高調波H_3及び第5次の高調波H_5が抽出される。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14c、高調波抽出部15、種別判別部16及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7cにより実現される。処理回路7cは、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7c及び通信IF8により、障害物検出装置100cの要部が構成されている。障害物検出装置100c及び車両制御装置9により、衝突回避装置200cの要部が構成されている。
次に、図22のフローチャートを参照して、障害物検出装置100cの動作について説明する。より具体的には、処理回路7cにより実行される処理について説明する。なお、図22において、図8に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1〜ST3の処理が実行される。障害物検出処理により障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7cの処理はステップST1に戻る。他方、障害物検出処理により障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7cの処理はステップST5cに進む。
次いで、歪波形生成部14cが歪波形生成処理を実行する(ステップST5c)。次いで、ステップST6〜ST8の処理が実行される。
なお、障害物検出装置100cは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態4に係る障害物検出装置100cにおいて、歪波形生成部14cは、反射波RWの波形(反射波形)を矩形波に整形することにより歪波形を生成する。当該生成された歪波形を用いることにより、奇数次の高調波Hを抽出することができる。当該抽出された高調波Hを用いることにより、例えば、周波数分解能δfを周波数分解能Δfに対して3倍又は5倍に向上することができる。
実施の形態5.
図23は、実施の形態5に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図24は、実施の形態5に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図23及び図24を参照して、実施の形態5に係る障害物検出装置について説明する。
なお、図23において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図24において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
障害物検出装置100における高調波抽出部15は、周波数3f’の値又は周波数5f’の値を出力するものであった。これに対して、障害物検出装置100dにおける高調波抽出部15は、周波数3f’の値及び周波数5f’の値を出力するものである。すなわち、障害物検出装置100dにおける高調波抽出部15は、複数次の高調波H_3,H_5に対応する周波数3f’,5f’の値を出力するものである。
種別判別部16bは、種別判別部16により実行される種別判別処理と同様の種別判別処理を実行するものである。ただし、種別判別部16bによるDSの算出方法は、種別判別部16によるDSの算出方法と異なるものである。以下、種別判別部16bによるDSの算出方法について説明する。
図25は、種別判別部16bによるDSの算出に用いられる回帰直線RLの例を示している。図25に示す如く、回帰直線RLは、座標系CSにおける直線である。座標系CSは、高調波Hの次数に対応する第1軸及び周波数に対応する第2軸を有する2次元座標系である。
種別判別部16bは、高調波抽出部15により出力された周波数3f’の値及び周波数5f’の値を取得する。種別判別部16bは、当該取得された周波数3f’の値を座標系CSにプロットするとともに、当該取得された周波数5f’の値を座標系CSにプロットする。種別判別部16bは、当該プロットされた点P_3,P_5を通る直線を導出することにより、回帰直線RLを導出する。
回帰直線RLは、以下の式(21)に示す関数に対応するものである。当該関数における変数nは、高調波Hの次数に対応している。当該関数における係数a,bが算出されることにより、回帰直線RLが導出される。すなわち、係数a,bは、種別判別部16bにより算出されるものである。
f(n)=a×n+b (21)
次いで、種別判別部16bは、当該導出された回帰直線RLに基づき、複数次の高調波H_3,H_5に対する基本波FHの周波数f’を算出する。すなわち、種別判別部16bは、上記式(21)に示す関数における変数nに1を代入することにより、基本波FHの周波数f’を算出する。換言すれば、種別判別部16bは、以下の式(22)より周波数f’を算出する。
f’=a+b (22)
種別判別部16bは、探索波SWの周波数fを示す情報を取得する。種別判別部16bは、当該取得された情報が示す周波数fの値、及び上記算出された周波数f’の値を用いて、以下の式(23)によりDSを算出する。
DS=f’−f (23)
すなわち、上記式(23)により算出されるDSは、基本波FHの周波数f’におけるドップラーシフト量に対応するものである。種別判別部16bは、上記式(23)により算出されたDSを用いて、上記式(9)により相対速度RVを算出する。
このように、DSの算出に複数次の高調波H_3,H_5を用いることにより、DSの算出精度を向上することができる。換言すれば、ドップラーシフト量の演算における誤差を低減することができる。当該算出されたDSを用いることにより、相対速度RVの算出精度を向上することができる。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14、高調波抽出部15、種別判別部16b及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7dにより実現される。処理回路7dは、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7d及び通信IF8により、障害物検出装置100dの要部が構成されている。障害物検出装置100d及び車両制御装置9により、衝突回避装置200dの要部が構成されている。
次に、図26のフローチャートを参照して、障害物検出装置100dの動作について説明する。より具体的には、処理回路7dにより実行される処理について説明する。なお、図26において、図8に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1〜ST3の処理が実行される。障害物検出処理により障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7dの処理はステップST1に戻る。他方、障害物検出処理により障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7dの処理はステップST5に進む。
次いで、ステップST5,ST6の処理が実行される。次いで、種別判別部16bが種別判別処理を実行する(ステップST7b)。次いで、ステップST8の処理が実行される。
なお、障害物検出装置100dにおいて、歪波形生成部14に代えて歪波形生成部14cが設けられているものであっても良い。
また、障害物検出装置100dは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態5に係る障害物検出装置100dにおいて、高調波Hは、複数次の高調波H_3,H_5を含み、種別判別部16bは、複数次の高調波H_3,H_5を用いて回帰直線RLを導出することにより、複数次の高調波H_3,H_5に対する基本波FHの周波数f’におけるドップラーシフト量を演算する。複数次の高調波H_3,H_5を用いることにより、ドップラーシフト量の演算における誤差を低減することができる。
実施の形態6.
図27は、実施の形態6に係る障害物検出装置を用いた衝突回避装置の要部を示すブロック図である。図28は、実施の形態6に係る障害物検出装置における処理回路の要部を示すブロック図である。図27及び図28を参照して、実施の形態6に係る障害物検出装置について説明する。
なお、図27において、図10に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図28において、図11に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
障害物検出装置100aにおける高調波抽出部15aは、周波数2f’の値、周波数4f’の値又は周波数6f’の値を出力するものであった。これに対して、障害物検出装置100eにおける高調波抽出部15aは、周波数2f’の値、周波数4f’の値及び周波数6f’の値のうちの選択された2個以上の値を出力するものである。具体的には、例えば、障害物検出装置100eにおける高調波抽出部15aは、周波数2f’の値及び周波数4f’の値を出力するものである。すなわち、障害物検出装置100eにおける高調波抽出部15aは、複数次の高調波H_2,H_4に対応する周波数2f’,4f’の値を出力するものである。
種別判別部16cは、種別判別部16aにより実行される種別判別処理と同様の種別判別処理を実行するものである。ただし、種別判別部16cによるDSの算出方法は、種別判別部16aによるDSの算出方法と異なるものである。以下、種別判別部16cによるDSの算出方法について説明する。
図29は、種別判別部16cによるDSの算出に用いられる回帰直線RLの例を示している。種別判別部16cは、高調波抽出部15aにより出力された周波数2f’の値及び周波数4f’の値を取得する。種別判別部16cは、当該取得された周波数2f’の値を座標系CSにプロットするとともに、当該取得された周波数4f’の値を座標系CSにプロットする。種別判別部16cは、当該プロットされた点P_2,P_4を通る直線を導出することにより、回帰直線RLを導出する。
回帰直線RLを用いたDSの算出方法は、実施の形態5にて説明したものと同様である。このため、再度の説明は省略する。
送信信号生成部11、受信信号取得部12、障害物検出部13、歪波形生成部14a、高調波抽出部15a、種別判別部16c及び結果信号生成部17の機能は、専用の処理回路7eにより実現される。処理回路7eは、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC、PLD、FPGA、SoC又はシステムLSIを用いたものである。
ソナー2、DAC3、送信回路4、受信回路5、ADC6、処理回路7e及び通信IF8により、障害物検出装置100eの要部が構成されている。障害物検出装置100e及び車両制御装置9により、衝突回避装置200eの要部が構成されている。
次に、図30のフローチャートを参照して、障害物検出装置100eの動作について説明する。より具体的には、処理回路7eにより実行される処理について説明する。なお、図30において、図14に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1〜ST3の処理が実行される。障害物検出処理により障害物Oが存在しないと判定された場合(ステップST4“NO”)、処理回路7eの処理はステップST1に戻る。他方、障害物検出処理により障害物Oが存在すると判定された場合(ステップST4“YES”)、処理回路7eの処理はステップST5aに進む。
次いで、ステップST5a,ST6aの処理が実行される。次いで、種別判別部16cが種別判別処理を実行する(ステップST7c)。次いで、ステップST8の処理が実行される。
なお、障害物検出装置100eにおいて、歪波形生成部14aに代えて歪波形生成部14bが設けられているものであっても良い。
また、障害物検出装置100eは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態6に係る障害物検出装置100eにおいて、高調波Hは、複数次の高調波H_2,H_4を含み、種別判別部16cは、複数次の高調波H_2,H_4を用いて回帰直線RLを導出することにより、複数次の高調波H_2,H_4に対する基本波FHの周波数f’におけるドップラーシフト量を演算する。複数次の高調波H_2,H_4を用いることにより、ドップラーシフト量の演算における誤差を低減することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
本発明の障害物検出装置は、正弦波状の探索波を送信するソナーと、ソナーにより受信された反射波に基づき障害物の有無を検出する障害物検出部と、反射波の波形に対する歪波形を生成する歪波形生成部と、歪波形に基づき反射波に対する高調波を抽出する高調波抽出部と、高調波に基づきドップラーシフト量を演算することにより、障害物が静止物であるか動体であるかを判別する種別判別部と、を備え、障害物検出部による検出結果及び種別判別部による判別結果を示す信号が出力されるものであり、前記高調波は、複数次の高調波を含み、前記種別判別部は、前記複数次の高調波を用いて回帰直線を導出することにより、前記複数次の高調波に対する基本波の周波数における前記ドップラーシフト量を演算するものである。