JP7316854B2 - 物体検出装置 - Google Patents

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本発明は、相対移動する物体からの反射波に基づいて物体までの距離を検出する物体検出装置に関する。
従来、超音波を送信し、その反射波を受信して反射物体までの距離を測定する物体検出装置が知られている。例えば、超音波を送受信するセンサ(送受信手段)と測距回路とを備え、センサは、例えば、数十kHzの周波数の超音波を送信波Txとして数波から数十波程度の長さでバースト状に送信し、物体からの反射波Rxを受信する。測距回路は、反射波Rxに同期式直交検波などを行って、送信波Txと反射波Rxとの相対的な遅延量を検出し、この遅延量と音速とから物体までの距離を算出する。
このような物体検出装置を自動車などの移動体に搭載した場合、移動しながら物体の検出を行うので、物体との相対速度によるドップラー効果により、反射波Rxの周波数は送信波Txとは異なったものとなる。例えば、自動車に搭載された物体検出装置で、車庫入れ時の障害物を検知する場合、障害物である物体は停止しているが、物体検出装置は移動しているので、ドップラー効果によって送信波Txと反射波Rxとに差異が生じる。
例えば、物体検出装置を搭載した自動車が時速11.8km(秒速3.29m)で物体に接近しているような場合、ドップラー効果により変化した反射波Rxの周波数(ドップラー周波数)f’は、下記の数式1から算出することができる。なお、fは送信波Txの周波数、Vは大気中の音速(340m/s)、vは観測者の移動速度、vは音源の移動速度である。また、物体検出装置では、音源と観測者とが同一で物体からの反射波Rxを観測しているため、観測者側の移動速度vの符号は逆になる。
Figure 0007316854000001
例えば、送信波Txの周波数fが50kHzである場合、ドップラー周波数f’ は50.977kHzとなり、元の周波数50kHzと比べて+977Hzの周波数シフトを受ける。すなわち、以上のようなドップラー環境下では、センサからの送信周波数が50kHzだった場合には、反射して戻ってくる超音波をセンサで受信すると50.977kHzの電気信号になる。なお、以下では、この周波数シフトをドップラーシフト周波数Δfと呼ぶ。
このようなドップラー環境下において、ドップラーシフト周波数Δfが不明で、元の50kHzで直交検波を行うと、相関処理して得られる出力は、測距に有効なピーク波形が得られないので、測距の品質が低下してしまう。すなわち、正しいドップラーシフト周波数Δf(例えば、+977Hz)を何らかの方法で推定できれば、「送信周波数f(50kHz)+ドップラーシフト周波数Δf(977Hz)」の周波数で直交検波を行うか、若しくは送信周波数fで直交検波した後、ドップラーシフト周波数Δfだけ周波数シフトする信号処理を施した後に相関処理を実施することで、測距に有効なピーク波形を得ることができる。
従来、パルス圧縮レーダで用いられるデジタルパルス圧縮装置には、ドップラーシフト周波数Δfが未知の入力信号に対応するために、ドップラーシフトに対して補正量が異なった複数個のドップラー補正回路を並設し、これらのドップラー補正回路で入力信号をドップラー補正した後、各々の出力信号についてパルス圧縮を行い、圧縮振幅が最大のものをレンジビン程度の時間ごとに検出して出力するものがある(例えば、特許文献1参照)。これによれば、ドップラーシフト周波数が分からない場合でも、安定した圧縮性能を得ることができる。
また、複数の相関器を利用して、受信信号と、所定間隔の相対速度(例えば、±4km/h)が反映された複数の相関入力信号とで相関を取り、得られた複数の相関出力信号を積算し、この積算結果から標的エコーのピーク波形が得られる相関出力信号を選択して測距を行うことにより、ドップラーシフトの影響を除去する装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平05-066268号公報 特表2017-508133号公報
ところで、自動車などに複数のセンサを配設する場合、特許文献1、2の技術では、それぞれの反射波が互いに干渉するため、同時に測距することが困難となる。このため、測距タイミングをずらして1センサずつ測距しなければならず、すべてのセンサで測距するのに長時間を要する。
そこで本発明は、複数のセンサで同時に測距することが可能な物体検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、互いに相関が低い符号を使用する複数の検出手段を備えた物体検出装置であって、前記各検出手段は、送信信号に基づいて送信波を送信し、相対移動する物体からの反射波を受信する送受信手段と、前記反射波から求めた受信信号と、前記反射波のドップラーシフト周波数とに基づいて、前記物体までの距離を測定する測距手段と、前記受信信号と、前記送信信号と類似した波形を有する所定の参照信号との複素乗算により複数のサンプルデータを生成し、前記サンプルデータにサンプルデータ数を拡張する拡張処理と、拡張したサンプルデータ数を間引く間引き処理とを行い、所定の周波数分解能のサンプルデータを生成し、間引き後の前記サンプルデータに高速フーリエ変換を行い、その出力の中から振幅が最大のものを選択する最大値選別を行い、前記最大値の周波数成分を前記ドップラーシフト周波数推定するドップラーシフト周波数推定手段と、推定された前記ドップラーシフト周波数だけ周波数シフトすることによって、前記受信信号に含まれるドップラーシフトの影響除去するドップラーシフトキャンセル手段と、ドップラーシフトの影響除去された前記受信信号と、前記送信信号または前記受信信号に類似した波形の所定のリファレンス信号との相関演算により前記反射波が受信されたタイミングを抽出する相関処理手段と、を備え、前記測距手段は、前記相関演算結果に基づいて前記物体までの距離を算出する、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物体検出装置において、前記測距手段は、複素数である前記相関演算結果から抽出された振幅情報と位相情報とに基づいて前記物体までの距離を算出する、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、複数の検出手段において互いに相関が低い符号が使用されるため、各センサ(送受信手段)の反射波の干渉が軽減され、複数の検出手段で同時に測距することが可能となる。この結果、複数の検出手段を備えても短時間で測距することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、相関演算結果から抽出された振幅情報と位相情報とに基づいて物体までの距離を算出するため、複数の検出手段を備えても、適正に測距することが可能となる。すなわち、自らの検出手段からの反射波による受信信号か、他の検出手段からの反射波による受信信号かを、振幅情報のみならず位相情報にも基づいて判断することで、より適正に区別することが可能となり、その結果、適正に測距することが可能となる。また、グランドクラッタと呼ばれる地面からの反射波が存在する場合でも、グランドクラッタによる誤検出の確率を下げて高品質な測距を実現することが可能となる。詳細については、後述する。
この発明の実施の形態1に係る物体検出装置の構成を示すブロック図である。 図1の物体検出装置のドップラーシフト周波数推定部の処理内容を示す説明図である。 図1の物体検出装置のシフトレジスタの動作を示す表である。 図2のドップラーシフト周波数推定部で利用するリファレンスの内容を示す表である。 図2のドップラーシフト周波数推定部によるサンプル数の拡張処理及び間引き処理の内容を示す表である。 図2のドップラーシフト周波数推定部でFFTに割り当てられた周波数を示す表である。 図1の物体検出装置の相関処理部の処理内容を示す説明図である。 図1の物体検出装置の第1の検出部に対する反射波を示す模式図である。 この発明の実施の形態において、第1の検出部が符号Aで変調された反射波を受信した場合の、複素相関処理回路出力信号の振幅(a)とドップラーシフト周波数推定値(b)を示す図である。 この発明の実施の形態において、第1の検出部が符号Bで変調された反射波を受信した場合の、複素相関処理回路出力信号の振幅(a)とドップラーシフト周波数推定値(b)を示す図である。 この発明の実施の形態において、第1の検出部が符号Cで変調された反射波を受信した場合の、複素相関処理回路出力信号の振幅(a)とドップラーシフト周波数推定値(b)を示す図である。 図1の物体検出装置の位相差生成部の第1の例を示すブロック図である。 図1の物体検出装置の位相差生成部の第2の例を示すブロック図である。 図1の物体検出装置の位相差生成部の第3の例を示すブロック図である。 図1の物体検出装置によるサンプル間の位相差情報を示す図である。 この発明の実施の形態において、グランドクラッタが存在する場合の受信相関出力と振幅しきい値の関係を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る物体検出装置の構成を示すブロック図である。 図17の物体検出装置の位相差生成部を示すブロック図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1~図15は、この実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る物体検出装置1の構成を示すブロック図であり、この物体検出装置1は、複数(この実施の形態では、3つ)の検出部(検出手段)2~2で同時に測距を行う。すなわち、3つの検出部2~2がECU(エンジンコントロールユニット)5に接続され、図8に示すように、互いに相関が低い3つの符号A~Cを使用し、第1の検出部2には符号A、第2の検出部2には符号B、第3の検出部2には符号Cが割り当てられている。また、3つの検出部2~2は、同等の構成であるため、主として第1の検出部2について(第1の検出部2が自検出部の場合について)、以下に説明する。
クロック生成回路31は、送信と受信の同期を維持するため、送受信の各回路にタイミング信号を供給する。センサ駆動回路32は、センサ33から物体検出のための超音波が送信されるように、デジタル信号処理回路4からのパルス信号を適切な電圧に変換する。センサ(送受信手段)33は、物体検出のための超音波を送信し、物体(障害物101)から反射した超音波を受信して電気信号に変換する。アナログ受信回路34は、反射波をAD変換回路35でデジタル信号に変換するのに適した信号レベルに増幅する。その際に、信号のSN比を改善するためフィルタ等で不要波や雑音を抑圧する。AD変換回路35は、アナログ信号である反射波をデジタルの受信信号に変換する。
送信信号生成部41は、物体を検出するための送信信号をセンサ駆動回路32に出力する。通常、送信信号は矩形波によるバースト信号であり、送信時間の長さは、測距したい距離により変わるが、送信波と受信波が重ならないよう適切に設定される。設定値は、工場出荷時に定数として持っていてもよいし、ECU5等の上位制御により適時設定されてもよい。また、送信されるバースト信号は無変調でもよいが、相関振幅のピーク波形を距離判定により有利になるようBarker符号や、互いに相関が小さい符号等を用いて変調してもよい。
直交検波部42は、送信信号と同期した周波数で直交検波を行い、受信信号をベースバンド信号に変換する。ただし、反射波がドップラーシフトを受けている場合は、送信周波数からドップラーシフト周波数Δfだけ周波数シフトしているため、後述するドップラーシフト周波数推定値を受け取って、直交検波と同時にドップラーシフトのキャンセルを実施してもよい。その場合は、受信信号がドップラーシフトを受けていても、直交検波後の出力はドップラーシフトの無いベースバンド信号となる。
シフトレジスタ(受信信号保持手段)43は、受信信号を適切な量だけ保持し遅延する。遅延量は、ドップラーシフト周波数推定値の算出に必要な時間によって決まる。シフトレジスタ43による受信信号の保持と遅延によって、後段の複素相関処理部46は、ドップラーシフト周波数推定値の算出に用いた受信信号を予め算出されたドップラーシフト周波数推定値を用いて、周波数シフトをキャンセルしてから相関処理を実行することが可能となる。
ドップラーシフト周波数推定部(ドップラーシフト周波数推定手段)44は、ドップラーシフト周波数Δfを推定し保持するものであり、詳細については後述する。周波数シフト部(ドップラーシフトキャンセル手段)45は、推定されたドップラーシフト周波数Δfに基づいて、直交検波出力信号に含まれるドップラーシフトをキャンセルする。複素相関処理部(相関処理手段)46は、送信信号または受信信号もしくはそれらに類似した参照信号(所定の参照信号)と受信信号の相関をとり続けることにより、相関振幅を利用して反射波が受信されたタイミングを抽出する。
しきい値生成部47は、相関処理に用いた受信信号及び相関出力から物体の有無を判別するためのしきい値を生成する。相関値がしきい値以下の場合は、未検出と判別する。振幅判定部48は、複素数である相関出力(相関演算結果)から振幅情報を抽出して振幅しきい値と比較し、振幅しきい値以下だった場合は、振幅0に変換する。
位相差生成部49は、複素数である相関出力から位相情報を抽出して、周波数シフト量の近似値であるサンプル間の位相差量を求めるものであり、詳細については後述する。位相判定部4aは、予め設定された位相しきい値とサンプル間の位相差量を比較して、自分(第1の検出部2)が送信した符号と同じか、異なる符号かを判定して、振幅判定結果に位相判定結果を付与して後段の距離推定部4bに出力する。または、位相判定結果を付与する代わりに、位相判定結果に基づいて、後段の距離推定部4bに振幅0を出力してもよい。
距離推定部(測距手段)4bは、相関値がしきい値を超えたピークのタイミングと送信時刻と既知の回路遅延から、超音波を発してから反射して戻ってくるまでの時間を算出する。さらに、算出した時間の1/2を音速で割ることで、センサ33から物体までの距離を算出する。算出した時間や距離等の情報は、図示されないインターフェース回路を介してECU5等の上位制御部に伝えられる。その際、位相判定結果を用いて、自分が送信した符号と異なる符号によって形成されたピークによる物体検出情報を、ECU5等の上位制御部に送信しないようにしてもよいし、判断を上位制御部にゆだねるため位相情報を付加してもよい。
図2は、ドップラーシフト周波数推定部44の動作説明図を示す。受信信号は、固定小数点の離散値(例えば、16bit)で表現された複素数で、超音波1波長につき1サンプルのレートでシフトレジスタ43に入力される。例えば、送信した超音波の周波数が50kHzであった場合は、サンプルレートは50kspsで、サンプル間隔は20μsとなる。ここでは、1ビットあたり32波の4ビットのBarker符号(-1、-1、1、-1)を用いた128波の長さのバースト信号を送信した場合を例にして説明する。
シフトレジスタ43の長さは、送信された超音波のバースト信号の長さと一致する。この例では、長さ128段で、複素数なので1段当たり16ビットのレジスタ2個で構成される。なお、FPGAや、ASIC等を用いて構成する場合には、RAMを用いたリングバッファ等で構成してもよい。シフトレジスタ43の動作は、受信信号が入力されるごとに、図3に示す動作が実行される。すなわち、シフトレジスタ43は、入力された受信信号を128段のレジスタS1reg[0]~S1reg[127]で順に代入していくことによって保持する。
ドップラーシフト周波数推定部44は、シフトレジスタ43の内容と、リファレンス(参照信号)の内容とを同じインデックス番号同士で複素乗算する。リファレンスには、送信信号と類似した波形(ref[0],ref[1],・・・ref[127])が用いられる。ここでは、送信時に送信信号生成部41が出力する符号パターンをリファレンスとして用いる。送信信号として1ビットあたり32波の4ビットのBarker符号(-1、-1、1、-1)を用いたとすると、リファレンスの中身は1ビットあたり32波の4ビットのBarker符号となり、具体的には、図4の表に示した値となる。
シフトレジスタ43の内容と、リファレンスの内容とを同じインデックス番号同士で複素乗算した結果は、要素が128個あるベクトルとなる(S1reg[0]×ref[0],S1reg[1]×ref[1],S1reg[2]×ref[2],/・・・S1reg[127]×ref[127])。
この例では、リファレンスの内容は実数で、なおかつ、±1なので、実際には複素乗算の代わりにシフトレジスタ43の内容を対応するリファレンスが1の場合はそのまま、-1の場合は符号反転が行われるだけである。ベクトルの各要素は、受信信号とリファレンスの時系列同士の積であるから、シフトレジスタ43の中に反射して戻ってきた送信信号が適切に収まったタイミングで、4ビットのBarker符号による変調が解除される。このベクトルは、後段のFFT(高速フーリエ変換部)に入力されるので、FFT出力のどこかの周波数出力に、シフトレジスタ43の中に反射して戻ってきた送信信号が適切に収まったタイミングで、ピーク波形が形成されることになる。なお、ピーク波形が形成される周波数がどこの周波数出力になるかは、受信信号に含まれている周波数成分で決まる。
FFTは、離散的な時間波形のベクトル(データ数M、サンプルレートR)を入力すると、離散的な周波数成分のベクトル(周波数分解能:R/M、周波数レンジ:要素数×R/M)となることが知られており、FFT後の所望の周波数分解能や周波数レンジを実現するために、入力データの後ろに0を加えて(詰めて)データ数Mを増やしたり、間引きを行ってベクトルの要素の数を小さくして演算量を減らしたりすることが可能である。ドップラーシフト周波数推定部44は、図5の表に示すように、入力データへの0詰めによるサンプル数の拡張と、サンプル数の間引きとを行う。ここでは、変数の初期値は、データ数M=128、R=50kHzとし、128サンプルの後ろに0を384サンプル加えてサンプル数を512とし、512サンプルを32サンプルに間引くことで、折り返しにより、周波数レンジを50kHzから3.125kHzに変更する。なお、折り返しによりSNRが12dB劣化するが、演算量は96.5%の削減が可能となる。
このようなドップラーシフト周波数推定部44の操作により、FFTの要素数は32、周波数分解能は97.7Hzとなる。32個のFFT(図2では32FFTと記載)出力に割り当てられる周波数成分を図6の表に示す。なお、512サンプルを16サンプルに間引く際に、最初に4サンプルおきに間引いて128サンプルにし、その後に4サンプル毎に平均を取って16サンプルにすることで、折り返しによるSNRの劣化を軽減してもよい。
FFTの演算は、受信信号が1サンプル入力されるごとに繰り返される。その都度、32組のFFT出力ベクトルがFFTから出力される。ドップラーシフト周波数推定部44は、32組のFFT出力の中から振幅が最大のもの(fftmax)を選択する最大値選別を行う。そして、最大値が出力された場所を示すfftnumをペアにした要素が2つのベクトル(fftmax,fftnum)をサンプル毎に出力する。
また、ドップラーシフト周波数推定部44は、出力された最大値を比較して、チャンピオン値(fftmax_max,fftnum)を記憶するマックスホールドを行う。なお、記憶したチャンピオン値より振幅の大きなfftmax値が現れた場合には、記憶しているチャンピオン値を更新する。fftmaxは、同期点で最大となり、それ以降は更新されずに保持される。この時点で一緒に保持されているfftnumの示す周波数成分がドップラーシフト周波数Δfの推定値となって出力される。なお、マックスホールドされているチャンピオン値(fftmax_max,fftnum)は、測定が終わればクリアされる。また、測定の途中で、例えば256サンプルの間一度も更新されなければ、マックスホールドをリセットする等して、複数の相対速度の異なる物体の検出を可能にしてもよい。
図7に示すように、相関処理部46は、リファレンスをタップ係数とするFIRフィルタ(有限インパルス応答フィルタ)となっており、FIRフィルタのタップ係数に送信波形または受信波形もしくはそれらに類似したリファレンス信号(リファレンス:ref[0],ref[1],・・・ref[127])を準備して、シフトレジスタ46aの各レジスタS1reg[0]~S1reg[127]に格納した受信信号との相関出力を求める。
このような構成の物体検出装置1では、振幅のみで判定する場合に比べて、位相の情報を合わせて判断することにより、送信した符号(例えば、符号A)と異なる符号(例えば、符号B、C)を受信した場合に、物体からの反射があったと誤判定する確率を軽減することが可能となる。この点について以下に説明する。
図8に示すように、第1の検出部2から符号Aで変調されたバースト信号を、静止している物体(障害物101)に向かって送信する。符号Aを送信する場合、複素相関処理部46では、受信信号に対して符号Aで相関処理を実施する。そのような第1の検出部2が、第1の検出部2からの距離が2mの位置に置かれた物体から反射した符号Aで変調された反射波を受信した場合、複素相関処理回路出力信号の振幅とドップラーシフト周波数推定値は、図9に示したようになる。
この実験結果では、2m付近で相関振幅のピーク波形が形成され、第1の検出部2から2mの距離に物体が存在することを示している。また、ピーク周辺のドップラーシフト周波数は0であり、これは第1の検出部2と物体が静止しているため、ドップラーシフトを受けておらず、周波数シフト部45で0Hzの逆シフトを実施する。つまり、周波数補正を行わないことを示している。第1の検出部2と物体の相対速度が0でなく受信信号がドップラーシフトを受けている場合は、ドップラーシフト周波数推定部44で正しいドップラーシフトが推定され、周波数シフト部45で受信信号のドップラーシフトがキャンセルされる。なお、ドップラーシフト周波数推定部44は、常に最も相関振幅が高くなる周波数を推定するように動作する。
一方、第2の検出部2または第3の検出部2が送信した信号を第1の検出部2が受信した場合の、実験によって得られた複素相関処理回路出力信号の振幅とドップラーシフト周波数推定値は、図10及び図11に示したようになる。
この実験結果では、2m付近で背景雑音を超える相関振幅の盛り上がりは確認されるが、符号Aを受信した場合のようなピーク波形は形成されない。また、振幅の大きさは符号Aのピーク値の半分程度である。さらに、2m付近のドップラーシフト周波数は0ではなく、これは第1の検出部2と物体が静止してドップラーシフトを受けていないのに、ドップラーシフト周波数推定部44が、相関振幅がより大きくなる周波数つまり他の符号B、Cを推定したためである。
第1の検出部2にとって干渉信号である他の検出部2、2からの信号を受信しても無視するようにしたい場合は、振幅しきい値を他の検出部2、2からの信号を受信した場合の振幅よりも大きくすることが考えられる。しかし、実際の環境では、グランドクラッタと呼ばれる地面からの反射波が加わることで、ピーク波形は安定して得られない。また、温度や湿度、風による受信振幅の低下もあり、容易に振幅しきい値を上げると、第1の検出部2が送信した信号の検出成功確率を低下させてしまう。
そこで、ドップラーシフト周波数推定値に着目し、静止している場合、第1の検出部2からの信号を受信した場合のドップラーシフト周波数推定値は0である。これは、実際にドップラーシフトが生じる環境にあっても、周波数シフト部45の出力で周波数シフトが取り除かれて0であるときに最も相関振幅が高くなることを意味する。一方、他の検出部2、2からの信号を受信した場合は、静止しているにも拘わらずドップラーシフト周波数推定値は0ではない。これは、受信した符号B、Cと異なる符号Aで復調しているため、周波数シフトは0でない方が結果的に相関振幅は大きくなるからである。このことは、ドップラーシフトが生じる環境であった場合でも、周波数シフト部45の出力には周波数シフトが残っていることを意味する。この残っている周波数シフトを何らかの方法で検出できれば、第1の検出部2からの反射波による受信信号か、他の検出部2、2からの反射波による受信信号かを区別することが可能となり、振幅しきい値では排除できない他の検出部2、2からの信号を別の手段で排除することが可能となる。そして、振幅しきい値による判定と、周波数シフトを検出する判定との2重の判定により、各検出部2~2での自他識別能力を向上させることができる。
このため、本物体検出装置1では、上記のように、位相差生成部49と位相判定部4aを備えている。すなわち、周波数シフトが存在する場合は、サンプル間の位相差にオフセットが発生するので、サンプル間の位相差量を測定することで、周波数シフトの有無を判定することが可能となる。一方、複素相関処理部46の出力は、複素数であり振幅成分と位相成分に分解することができ、この位相成分から位相差生成部49でサンプル間の位相差量を求める。
具体的には、第1の例として図12に示すように、サンプル単位の遅延量dだけ遅延回路491で遅延させた位相との差を減算器492で演算した後、除算器493によって遅延量dで除算してサンプル間位相差を計算する。ここで、遅延量dの値は、検出位相の標準偏差が最も小さくなるように最適化されている。また、サンプル間位相差は、周波数シフトの近似値として代用することができる。
また、計算の精度を高めるに、第2の例として図13に示すように、フィルタ等による平準化器494を用いて平滑化を併用してもよい。ここで、図示のように、平準化を入口側で行ってもよいし、出口側(除算器493の後)で行ってもよい。さらに、回路規模を抑制するために、第3の例として図14に示すように、除算器493を省略し、後段の位相判定部4aにおいて、位相しきい値をその分だけ調整してもよい。
図15は、図12に示す位相差生成部49を用いた場合のサンプル間の位相差情報を示し、横軸は、第1の検出部2と物体との距離を示す。折れ線L1は、第1の検出部2からの反射波を受信した場合の相関出力に含まれるサンプル間位相差の平均値を示し、折れ線L2は、他の検出部2、2からの反射波を受信した場合の相関出力に含まれるサンプル間位相差の平均値を示す。そして、折れ線L1と折れ線L2との間に位相しきい値を設定することで、位相判定部4aにおいて自分(第1の検出部2)が送信した符号か否かを判定することができる。
このように、本物体検出装置1によれば、複数の検出部2~2において互いに相関が低い符号A~Cが使用されるため、検出部2~2のセンサ33の反射波の干渉が軽減され、複数の検出部2~2で同時に測距することが可能となる。この結果、複数の検出部2~2を備えても短時間で測距することが可能となる。
しかも、自らの第1の検出部2の反射波による受信信号か、他の検出部2、2からの反射波による受信信号かを、振幅情報のみならず位相情報にも基づいて判断するため、より適正に判断することが可能となり、その結果、より適正に測距することが可能となる。
ところで、アスファルト道路や砂利道の上で超音波測距を行う場合、測距対象の物体(障害物101)だけではなく地面からの反射波を多数受信する。この反射波はグランドクラッタ(Gクラッタ)と呼ばれ、通常の運用では障害物検出を妨害する要素となる。障害物の有無は相関振幅と振幅しきい値を比較して、相関振幅が振幅しきい値を超えた場合に障害物があると判断される。しかし、通常障害とならない地面からの等距離にある複数の反射波が合わさることで、図16に示すように、まれに振幅しきい値を超えて障害物があるかのように誤検出を起こす場合がある。このような誤検出になる確率が小さいほど、安定した測距が行える。
複数のグランドクラッタが合成された結果、振幅しきい値を超えるようなピークが形成された場合、そのサンプル間の位相差はランダム性が高く位相しきい値を超える場合がある。このような場合、本発明の物体検出装置1によれば、複素相関処理部46で待ち受けている符号と同じ符号であっても、振幅情報のみならず位相情報にも基づいて判断するため、望まないグランドクラッタを排除することが可能となる。この結果、グランドクラッタによる誤検出の確率を下げて高品質な測距を実現することが可能となる。
(実施の形態2)
図17~図18は、この実施の形態を示し、図17は、この実施の形態に係る物体検出装置1の構成を示すブロック図である。ここで、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
この実施の形態では、周波数シフト部45の出力信号から位相差生成部49でサンプル間の位相差量を求める。ここで、位相差生成部49は、上記の図12~図14のいずれの構成であってもよい。ただし、複素相関処理部46の出力とは異なり、符号による変調の位相遷移が残っているため、符号による位相遷移のタイミングを避けて位相差生成を行う必要がある。例えば、図12に示す構成の場合、図18に示すように、入口側に位相抽出部495を設け、符号による位相遷移のタイミングを除いて生成処理を行う。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
1 物体検出装置
2 検出部(検出手段)
33 センサ(送受信手段)
4 デジタル信号処理回路
41 送信信号生成部
42 直交検波部
43 シフトレジスタ(受信信号保持手段)
44 ドップラーシフト周波数推定部(ドップラーシフト周波数推定手段)
45 周波数シフト部(ドップラーシフトキャンセル手段)
46 複素相関処理部(相関処理手段)
47 しきい値生成部
48 振幅判定部
49 位相差生成部
4a 位相判定部
4b 距離推定部(測距手段)
5 ECU

Claims (2)

  1. 互いに相関が低い符号を使用する複数の検出手段を備えた物体検出装置であって、前記各検出手段は、
    送信信号に基づいて送信波を送信し、相対移動する物体からの反射波を受信する送受信手段と、
    前記反射波から求めた受信信号と、前記反射波のドップラーシフト周波数とに基づいて、前記物体までの距離を測定する測距手段と、
    前記受信信号と、前記送信信号と類似した波形を有する所定の参照信号との複素乗算により複数のサンプルデータを生成し、前記サンプルデータにサンプルデータ数を拡張する拡張処理と、拡張したサンプルデータ数を間引く間引き処理とを行い、所定の周波数分解能のサンプルデータを生成し、間引き後の前記サンプルデータに高速フーリエ変換を行い、その出力の中から振幅が最大のものを選択する最大値選別を行い、前記最大値の周波数成分を前記ドップラーシフト周波数推定するドップラーシフト周波数推定手段と、
    推定された前記ドップラーシフト周波数だけ周波数シフトすることによって、前記受信信号に含まれるドップラーシフトの影響除去するドップラーシフトキャンセル手段と、
    ドップラーシフトの影響除去された前記受信信号と、前記送信信号または前記受信信号に類似した波形の所定のリファレンス信号との相関演算により前記反射波が受信されたタイミングを抽出する相関処理手段と、を備え、
    前記測距手段は、前記相関演算結果に基づいて前記物体までの距離を算出する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
  2. 前記測距手段は、複素数である前記相関演算結果から抽出された振幅情報と位相情報とに基づいて前記物体までの距離を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
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