JPWO2021002425A1 - 構造部材の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2019年7月4日に、日本国に出願された特願2019−125318号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
すなわち、特許文献1に記載の技術は、平板状の加工材を、幅方向中央部側に形成される底部と、この底部の幅方向両側に位置する左右の側壁部と、これら左右の側壁部の幅方向端部に形成される一対のフランジ部とを備えた閉断面構造体に成形する方法である。そして、この閉断面構造体の成形方法は、以下の各工程を備える:長手方向及び幅方向に最終の閉断面形状で要求される曲率形状に前記加工材をプレス成形する第1工程と;前記第1工程で成形した前記加工材に対し、前記底部を板厚方向から第1ポンチとパッドで挟み込むことで、前記左右の側壁部が対向するように曲げ成形する第2工程と;前記第2工程で成形された前記加工材の前記底部を前記パッドの上に配置した状態で、一対の押圧カムの押し込み動作により前記左右の側壁部を互いに近接する方向に移動させて前記一対のフランジ部同士を突き合わせ、前記パッドの前記底部を支持している支持面と前記一対の押圧カムの前記左右の側壁部を押し込んだ押し込み面とで最終の閉断面形状と同一空間形状のダイキャビティを画成するとともに、前記一対のフランジ部の上方に配置した第2ポンチの押し下げ部で前記一対のフランジ部を前記キャビティ側に押し下げることで、前記底部及び前記左右の側壁部を前記ダイキャビティの前記支持面及び前記押し込み面に向けて押し当てる第3工程。
(1)本発明の一態様に係る構造部材の製造方法は、湾曲縁を有する天板部と、前記湾曲縁の延在方向に沿って前記天板部と一体に形成されてかつ前記湾曲縁の延在方向に直交する断面が閉断面形状又は開断面形状である湾曲補強部とを有する構造部材を、平板素材より製造する方法であって、前記平板素材のうち、前記天板部に対応する第1の部位を挟持した状態で、前記第1の部位に連なる第2の部位を前記平板素材の面に対し交差する方向にプレスすることで、前記平板素材のうちで前記湾曲縁となる部位に沿って、溝部及び前記溝部に連なる縦壁部を形成する中間工程と;前記中間工程の後に、前記縦壁部の上端縁を、前記天板部に近付く移動を許容したまま前記溝部に向かって押し下げることで、前記上端縁を前記天板部に向けて折り曲げる曲げ工程と;を有し、前記中間工程で、前記プレスにより、前記溝部の底壁に、前記溝部の延在方向に沿って縦断面視した途中位置と前記途中位置を間に挟む両隣位置との間で高低差を設けることで、前記底壁に、平面視で凹型湾曲形状かつ前記縦断面視で凸型湾曲形状をなす第1湾曲部、及び、平面視で凸型湾曲形状かつ前記縦断面視で凹型湾曲形状をなす第2湾曲部、のうちの少なくとも一方を形成する。
なお、中間工程のプレス成形時に、天板部に対応する第1の部位を完全に固定するのではなく、挟持した状態としている。そのため、第1の部位がその平面外に移動及び変形するのを制限しているが、第1の部位の一部が第2の部位に向かうメタルフローは許容している。
そして、曲げ工程後に、上端縁を天板部に接合すれば閉断面形状の補強部が形成される。また、曲げ工程後に、上端縁を天板部から離間したままとすれば開断面形状の湾曲補強部が形成される。
上記(2)に記載の態様の場合、湾曲補強部の延在方向に沿った各位置での断面形状の大きさを略等しく揃えることができる。加えて、湾曲補強部のうち平面視で天板部に重なる部分に割れやしわ等の成形不具合が生じるのを防ぐことができる。
上記(3)に記載の態様の場合、中間工程後の第1湾曲部及または第2湾曲部における前記高低差が過度に大きかったり小さかったりすることを防げる。これにより、湾曲補強部における寸法不良、くびれ、破断といった不具合発生を避けることが出来る。
第1湾曲部または第2湾曲部を複数含む場合、曲率半径R,R1は、曲率半径Rのうちで最も小さな値を持つ位置における、曲率半径R,R1の組み合わせを採用する。
上記(4)に記載の態様の場合、閉断面形状の湾曲補強部を天板部の湾曲縁に沿って形成することができる。
上記(5)に記載の態様の場合、縦壁部の上端縁は、接合予定位置を超えて移動しないように規制する力を受ける。この力を反力として得た縦壁部はその断面形状が膨らむように変形するため、中子を用いずとも適切な閉断面形状を形成することができる。
上記(6)に記載の態様の場合、上端縁に屈曲部を予め形成しておくことで、上端縁を押し下げて縦壁部を曲げる際、上端縁を加圧する面(例えば金型の加圧面)への負荷を下げることができる。
上記(7)に記載の態様の場合、開断面形状の湾曲補強部を天板部の湾曲縁に沿って形成することができる。
上記(8)に記載の態様の場合、縦壁部の上端縁は、所定位置を超えて移動しないように規制する力を受ける。この力を反力として得た縦壁部はその断面形状が膨らむように変形するため、中子を用いずとも適切な開断面形状を形成することができる。
上記(9)に記載の態様の場合、上端縁に屈曲部を予め形成しておくことで、上端縁を押し下げて縦壁部を曲げる際、上端縁を加圧する面(例えば金型の加圧面)への負荷を下げることができる。
上記(10)に記載の態様の場合、同一の湾曲補強部内に複数の湾曲形状(凹凸形状)を持つ構造部材を得ることが出来る。
上記(12)に記載の態様の場合、この構造部材の製造装置により得た構造部材において、湾曲補強部の延在方向に沿った各位置での断面形状の大きさを略等しく揃えることができる。加えて、湾曲補強部のうち平面視で天板部に重なる部分に割れやしわ等の成形不具合が生じるのを防ぐことができる。
上記(13)に記載の態様の場合、平板素材を成形した際に、第1金型湾曲面または第2金型湾曲面により形成された前記高低差が、過度に大きかったり小さかったりすることを防げる。これにより、湾曲補強部における寸法不良、くびれ、破断といった不具合発生を避けることが出来る。
第1の金型溝の底面に、第1金型湾曲面及び第2金型湾曲面を複数含む場合、曲率半径R,R1は、曲率半径Rのうちで最も小さな値を持つ位置における、曲率半径R,R1を採用する。
上記(15)に記載の態様の場合、この構造部材の製造装置により得た構造部材において、湾曲補強部の延在方向に沿った各位置での断面形状の大きさを略等しく揃えることができる。加えて、湾曲補強部のうち平面視で天板部に重なる部分に割れやしわ等の成形不具合が生じるのを防ぐことができる。
上記(16)に記載の態様の場合、平板素材を成形した際に、第3金型湾曲面または第4金型湾曲面により形成された前記高低差が、過度に大きかったり小さかったりすることを防げる。これにより、湾曲補強部における寸法不良、くびれ、破断といった不具合発生を避けることが出来る。
第4の金型溝の底面に、第3金型湾曲面及び第4金型湾曲面を複数含む場合、曲率半径R,R1は、曲率半径Rのうちで最も小さな値を持つ位置における、曲率半径R,R1を採用する。
本実施形態では、平板素材より図1に示す構造部材1を成形するための製造方法と製造装置について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る構造部材の製造方法により製造された構造部材1を示す図であって、(a)が斜視図であり(b)が平面図である。
図1に示す構造部材1は、湾曲縁2aを有する天板部2と、湾曲縁2aの延在方向に沿って天板部2と一体に形成されてかつ前記延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部3とを有する。なお、図1の(a)においては、湾曲縁2a及び湾曲補強部3の形状を分かりやすくするために、接合箇所を僅かに開けて図示しているが、実際には、接合箇所では隙間無く接合しており、湾曲補強部3が閉断面形状を形成している。他の図面においても同様に図示する場合がある。
内壁3aは、鉛直方向の高さ寸法が、湾曲補強部3の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この内壁3aは、平断面視で、湾曲縁2aと同じ方向に同じ曲率半径を持った凹型湾曲形状を有している。
底壁3bは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部3の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この底壁3bは、側面視においては天板部2と平行であり、底面視では、湾曲縁2aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。
上壁3dは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部3の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じであり、なおかつ底壁3bよりも幅広になっている。そして、この上壁3dは、縦断面視においては天板部2と平行であり、平面視では、湾曲縁2aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。なお、上壁3dは、後縁2dに向かって湾曲縁2aを超えた位置で天板部2の上面2eに接合している。その接合手段としては、例えば、溶接、接着、ボルト固定などを適宜用いることができる。
以上説明の構成を有する構造部材1によれば、閉断面形状を持つ湾曲補強部3の剛性により、天板部2の面外変形を防ぐことができる。また、湾曲縁2aの延在方向に沿った圧縮加重や引張荷重に対しても高い剛性を発揮できる。
本比較例では、以下に説明する第1工程〜第3工程により、図1に示した構造部材1の製造を試みている。まず、図2〜図5を用いて第1工程より説明する。
図2は、本比較例の第1工程で用いる各金型とブランク100の斜視図である。同図2に示すように、本比較例における構造部材の製造装置は、ブランク100が載置されるダイ10Aと、ブランク100のうちで前記天板部2となる部位をその上から押さえつけるホルダー20Aと、ブランク100のうちで前記湾曲補強部3となる部位に凹溝を形成するパンチ30Aと、ホルダー20A及びパンチ30Aのそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
同図3に示すように、金型溝12Aは、前記縁11Aaに連なるとともに鉛直下方に向かう金型溝側面12Aaと、金型溝側面12Aaに連なるとともに天板支持面11Aより水平に離れる方向に向かう金型溝底面12Abと、金型溝底面12Abに連なるとともに鉛直上方に向かう金型溝側面12Acと、を備えている。
金型溝底面12Abは、水平方向の幅寸法が、その延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この金型溝底面12Abは、平面視で、前記縁11Aaと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。さらに、金型溝底面12Abは、図3の(b)に示すように、金型溝12Aの一端から他端にかけて凹凸の無い水平面をなしている。
パンチ30Aは、金型溝12Aと略同一形状の加圧面30Aaを有している。加圧面30Aaは、ブランク100の板厚を考慮して、金型溝12Aの形状よりも一回り小さい形状を有している。加圧面30Aaの最下面は、その一端から他端にかけて凹凸の無い水平面をなしている。
前記駆動部は、ダイ10Aに向かってホルダー20Aを接近離間させる駆動機構と、パンチ30Aを金型溝12Aに向かって接近離間させる他の駆動機構とを備えている。したがって、ホルダー20A及びパンチ30Aを個別に駆動させることが可能になっている。
続いて、前記駆動機構によりパンチ30Aを下降させることで、ブランク100の端部をダイ10Aの金型溝12Aと加圧面30Aaとの間に挟み込んで塑性変形させる。その後、前記駆動機構によりパンチ30Aを上昇させるとともにホルダー20Aを上昇させることで、ダイ10A上から第1工程後のブランク100を取り出す。
また、ブランク100には、帯状円弧壁部100bに連なるとともに上方に立ち上がる縦壁部100cも形成されている。縦壁部100cは、加圧面30Aaと金型溝12Aとの間に挟み込まれて凹型湾曲形状に塑性変形するが、その上端縁における伸びフランジ変形が不十分であるため、図5に示されるとおり、前記湾曲縁2aから遠ざかるように斜めに後退している。
続いて、比較例の第2工程について、図6(a)及び図7を用いて説明する。図6(a)は、第2工程で用いる各金型の斜視図である。また、図7は、第2工程後のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のD−D矢視図である。
本比較例の、構造部材の製造装置は、図6(a)に示す金型をさらに備えている。これら金型は、第1工程後のブランク100が載置されるダイ40Aと、ブランク100のうちで前記天板部2となる部位と前記底壁3bとなる部位とを上から押さえつけるホルダー50Aと、前記帯状円弧壁部100bを部分的に押し上げて折り曲げることで前記外壁3cを形成するパンチ60Aと、ホルダー50Aをダイ40Aに対して接近離間させる駆動機構(不図示)と、パンチ60Aをブランク100に対して接近離間させる他の駆動機構(不図示)とを備えている。
金型溝側面42Aは、鉛直方向の高さ寸法が、その延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この金型溝側面42Aは、平面視で、前記縁11Aaと同じ方向に同じ曲率半径を持った凹型湾曲形状を有している。
金型溝底面43Aは、水平方向の幅寸法が、その延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この金型溝底面43Aは、平面視で、前記縁11Aaと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。さらに、金型溝底面43Aは、その一端から他端にかけて凹凸の無い水平面をなしている。
また、下面50Adは、底面視で、前記縁11Aaと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。そして、その幅寸法は、構造部材1の底壁3bの幅寸法に対応している。すなわち、下面50Adは、図4に示した帯状円弧壁部100bのうち、底壁3bとなる部分のみを加圧するよう、帯状円弧壁部100bよりも幅寸法が狭くなっている。そのため、帯状円弧壁部100bのうち、下面50Adによって加圧されない部分は、パンチ60Aの押し上げを受けた場合に、鉛直上方に屈曲して前記外壁3cとなる。より詳細には、図6(a)に示す下面50Adの稜線50Ad1が帯状円弧壁部100bの幅方向中央に当たった状態で、帯状円弧壁部100bが屈曲する。そのため、この屈曲位置を境として、底壁3bと、次工程で外壁3cとなる部分を含む縦壁部100cが形成される。
続いて、前記駆動機構によりパンチ60Aを上昇させることで、帯状円弧壁部100bの前記他の部分がその下方より上方に向かって押し上げられる。その結果、帯状円弧壁部100bのうち、底壁3bとなる部分と縦壁部100cとなる部分との間に折り目が形成される。
続いて、図8〜図10を用いて本比較例の第3工程を以下に説明する。
図8は、第3工程で用いる各金型の斜視図である。図9は、第3工程を開始する前におけるブランク100の形状を示す図であって、図7の(a)のE−E矢視図である。図10は、第3工程中のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のF−F矢視図である。
パンチ80Aは、平面視で、ホルダー70Aの稜線70Aaと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状の縁80Aaを有するとともにダイ40Aに隣接する金型溝(第3の金型溝)m2と、縁80Aaに連なる平坦な上面80Abとを有している。パンチ80Aを上昇させると、その縁80Aaがブランク100の縦壁部100cの下端部分に当たってここに曲げを与える。
パッド90Aは、平坦な下面90Aaと、この下面90Aaに連なる凸型湾曲形状の傾斜面90Abと、この傾斜面90Abに連なる凸型湾曲形状の下面90Acとを有している。下面90Aaと下面90Acとの間には、傾斜面90Abを介して段差が形成されている。また、下面90Acの縁90Ac1は、稜線70Aaと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凸型湾曲形状を有している。
その後、今度は図9においてパッド90Aを矢印DW方向に下降させ、パッド90Aの下面90Aaをパンチ80Aの上面80Abに当接させる。この時、ブランク100の縦壁部100cの上端縁が全て、傾斜面90Ab又は下面90Acの下方位置にあれば、縦壁部100cを天板部2側に向かって折り曲げることができる。しかしながら、本比較例では、第1工程及び第2工程後に、縦壁部100cが天板部2から後退する方向に傾斜したままであったため、第3工程でパッド90Aを下げた際、その下面90Aaに縦壁部100cの上端縁が当接する。そして、押し下げられるパッド90Aの加圧を受けて縦壁部100cが本来とは逆方向に倒れていき、ついには下面90Aaと上面80Abとの間に挟み込まれて潰される。
その結果、図10に示すように、天板部2の側方に閉断面形状の湾曲補強部3が形成されないため、図1に示した部品形状を得ることができない。
まず、図11の(a)においては、第1工程後のブランク100をダイ40A及びホルダー50A間に挟み込む。そして、パンチ60Aを上昇させることで、図11の(b)に示す状態となる。この時、縦壁部100cの上端縁がその延在方向に沿って伸びフランジ変形をしようとするが、十分な変形量が得られない。そのため、縦壁部100cが矢印aに示す方向に倒れ込めない。その結果、パンチ60Aをさらに上昇させても、縦壁部100cにおいて外壁3cとなる部分と上壁3dとなる部分との境目の折り目が付きにくいので、縦壁部100cの上端縁が天板部2から離れたままになっている。
続く第3工程では、ブランク100の縦壁部100cの倒れ込みが不十分な状態でパッド90Aにより縦壁部100cの上端縁を押し下げるため、図11の(d)から(e)に示すように、本来とは逆方向に縦壁部100cが倒れ込み、そして(f)に示すように押し潰される。
図12は、本実施形態の第1工程で用いる各金型とブランク100の斜視図である。同図12に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、ブランク100が載置されるダイ110と、ブランク100のうちで前記天板部2となる部位をその上から押さえつけるホルダー120と、ブランク100のうちで前記湾曲補強部3を形成する部位に凹溝を形成するパンチ130と、ホルダー120及びパンチ130のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
同図13に示すように、金型溝112は、前記縁111aに連なるとともに鉛直下方に向かう金型溝側面112aと、金型溝側面112aに連なるとともに天板支持面111より水平に離れる方向に向かう金型溝底面112bと、金型溝底面112bに連なるとともに鉛直上方に向かう金型溝側面112cと、を備えている。
これら金型溝側面112a及び金型溝側面112cは、平面視では、前記縁111aと同じ方向に曲がった湾曲形状を有している。また、金型溝側面112aを平面視した場合の曲率半径は、構造部材1における前記湾曲縁2aの曲率半径Rに等しくなっている。さらに、金型溝側面112cを平面視した場合の曲率半径が、金型溝側面112aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、金型溝側面112a及び金型溝側面112cそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図13の(a)に示す長さl1,l2,l3の合計である周長和が、金型溝112の延在方向の各位置で同じになっている。これにより、成形後における湾曲補強部3の断面形状の大きさを、その延在方向の各位置で揃えることが可能になっている。
加圧面130aは、一対のパンチ外側面130a1,130a2と、これらの下端縁間を繋げるパンチ下端面130a3と、を有している。これらパンチ外側面130a1,130a2及びパンチ下端面130a3は、平面視で、前記縁111aと同じ方向に曲がった湾曲形状を有している。
このようなアーチ型の下端縁をそれぞれ有するパンチ外側面130a1,130a2は、鉛直方向の高さ寸法が、前記延在方向の中央位置よりも両端位置の方が長くなっている。
これらパンチ外側面130a1,130a2は、平面視では、前記縁111aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。また、パンチ外側面130a1を平面視した場合の曲率半径は、構造部材1における前記湾曲縁2aの曲率半径Rに等しくなっている。さらに、パンチ外側面130a2を平面視した場合の曲率半径が、パンチ外側面130a1の曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、パンチ外側面130a1,130a2それぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図12に示す長さl4,l5,l6の合計である周長和が、パンチ130の延在方向の各位置で同じになっている。
ブランク100は、略矩形状をなす平板素材である。その板厚としては、0.8mm〜6.0mmが例示されるが、この厚みに限定されるものではない。ブランク100の材質としては、鋼、アルミニウム合金もしくはマグネシウム合金等の金属材料、またはガラス繊維もしくは炭素繊維等の樹脂材料を用いることができる。さらには、金属材料及び樹脂材料の複合材料をブランク100の材質としてもよい。
続いて、前記駆動機構によりパンチ130を下降させることで、ブランク100をダイ110の金型溝112と加圧面130aとの間に挟み込んで塑性変形させる。その後、前記駆動機構によりパンチ130を上昇させてから、ホルダー120を上昇させる。そして、ダイ110上から第1工程後のブランク100を取り出す。
第1工程後のブランク100は、内壁3a及び縦壁部100cと、これらの下端縁間を繋げる帯状円弧壁部100bとを含む溝部mを有している。これら内壁3a、縦壁部100c、帯状円弧壁部100bは、平面視で同じ方向に曲がった湾曲形状を有している。
平面視した場合、縦壁部100cの曲率半径が、内壁3aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、内壁3a及び縦壁部100cそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図15に示す長さl7,l8,l9の合計である周長和が、帯状円弧壁部100bの延在方向の各位置で同じになっている。
続いて、本実施形態の第2工程について、図6及び図16を用いて説明する。図16は、第2工程後のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のJ−J矢視図である。なお、本工程では、図6(a)に示した各金型と同じものを用いるため、これら金型の説明を省略する。
以上により、ブランク100の内壁3aが金型溝側面42Aと内壁面50Acとの間に挟み込まれて固定される。さらに、ブランク100の帯状円弧壁部100bの一部が他の部分を残して、金型溝底面43A及び下面50Ad間に挟み込まれて固定される。
この時、縦壁部100cが湾曲縁2aに向かって傾斜するには、縦壁部100cの上端縁の延在方向に沿った伸びフランジ変形が必要になる。前記比較例ではこの伸びフランジ変形が不十分であったため、縦壁部100cの上端縁を傾斜させることができなかった。一方、本実施形態では、第1工程の段階で伸びフランジ変形を予め与えていたため、縦壁部100cの高さ方向途中位置に曲がりを残したまま、縦壁部100cの上端縁を湾曲縁2aに向かって十分に倒れ込ませることができる。
以上の理由より、平面視で、ホルダー50A(第1のホルダー)の縦壁面50Ae(第1縦壁面)に対し水平方向に5mm以上50mm以下の距離clを空けて、縦壁面60Ae(第2縦壁面)を対向配置させるように、パンチ60A(第2のパンチ)を配置することが好ましい。
続いて、本実施形態の第3工程について、図8、図17、及び図18を用いて説明する。図17は、第3工程を開始する前のブランク100の形状を示す図であって、図16の(a)のK−K矢視図である。図18は、第3工程後のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のL−L矢視図である。なお、本工程では、図8に示した金型と同じものを用いるため、それらの説明を省略する。
その後、今度は図17においてパッド90Aを矢印DW方向に下降させ、パッド90Aの下面90Aaをパンチ80Aの上面80Abに当接させる。この時、ブランク100の縦壁部100cの上端縁が全て、傾斜面90Ab又は下面90Acの下方にある。そのため、パッド90Aを下降させていくと、その傾斜面90Ab及び下面90Acにより縦壁部100cの上端縁を天板部2上の接合位置に向けて案内しながら押し倒すことができる。その際、縦壁部100cの符号Pに示される曲がり(前記曲がり部分bp)が徐々に大きくなり、その結果として外壁3cと上壁3dとの境目が形成されていく。
また、本工程では、第2工程に続けて第3工程を行ったが、この態様に限られない。例えば図17に示すように、第2工程の後でかつ第3工程の前に、縦壁部100cの上端縁を天板部2に向かって曲げて屈曲部Qを形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。この場合、パッド90Aの下面90Acを縦壁部100cの上端縁との摺接により摩耗させてしまうことを抑制できる。加えて、パッド90Aが下死点まで至った際に、その下面90Acが屈曲部Qを平らに押し潰すので、屈曲部Qを後工程に残すことがない。
なお、屈曲部Qを設ける代わりに、パッド90Aの傾斜面90Ab及び下面90Acに耐摩耗性を付与するコーティング剤を予め塗布しておいてもよい。さらには、屈曲部Qの形成及びコーティング剤の塗布の両方を採用してもよい。
まず、図20の(a)においては、第1工程後のブランク100をダイ40A及びホルダー50A間に挟み込む。そして、パンチ60Aを上昇させることで、図20の(b)に示す状態となる。この時、縦壁部100cの上端縁を天板部2に向かって傾斜させるためには、その延在方向に沿った伸びフランジ変形が必要であるが、既に第1工程で伸びフランジ変形が付与されているため、余裕を持って傾斜させることができる。そのため、パンチ60Aをさらに上昇させて図20の(b)に示す状態になっても、縦壁部100cにおいて外壁3cとなる部分と上壁3dとなる部分との境目の折り目が維持される。
続く第3工程では、ブランク100の縦壁部100cの倒れ込みが十分な状態でパッド90Aにより縦壁部100cの上端縁を押し下げるため、図20の(d)から(e)に示すように、縦壁部100cが天板部2との接合位置に向かって正しく倒れ込む。そして、図20の(f)に示すように、接合位置において適宜の接合手段を用いて上壁3dを固定することで、湾曲補強部3を有する構造部材1が完成する。
本実施形態の構造部材の製造方法は、湾曲縁2aを有する天板部2と、湾曲縁2aの延在方向に沿って天板部2と一体に形成されてかつ湾曲縁2aの延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部3とを有する構造部材1を、ブランク(平板素材)100より製造する方法である。
そして、この製造方法は、ブランク100のうち、天板部2に対応する部位(第1の部位)を挟持した状態で、天板部2の湾曲縁2aに連なる他の部位(内壁3a、帯状円弧壁部100b、縦壁部100c、となる第2の部位)をブランク100の表面に対して奥行き方向にプレスして、湾曲縁2aの延在方向に沿ってかつ前記延在方向に直交する断面がU字をなす溝部m及び溝部mに連なる縦壁部100cを形成する第1工程(中間工程)と;縦壁部100cの上端縁を天板部2に重ね合わせて接合し、湾曲補強部3を形成する第3工程(接合工程)と;を有する。
そして、第1工程の前記プレスでは、前記延在方向に沿って縦断面視した溝部mの帯状円弧壁部100b(底壁)の中央位置と端部位置との間に高低差を設けている。
すなわち、図14に示したように、第1工程の前記プレスにより、帯状円弧壁部100bを、平面視で凹型湾曲形状かつ縦断面視で凸型湾曲形状に形成している。
なお、第1工程のプレス成形時に、天板部2に対応する部位を完全に固定するのではなく、挟持した状態としている。そのため、挟持した部位がその平面外に移動及び変形することは制限しているが、挟持した部位の一部が内壁3a等の他の部位に向かうメタルフローは許容している。
第3工程の前に、前記上端縁を天板部2に向かって曲げて屈曲部Qを形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。
前記断面線長の比が0.7未満となるか又は1.3を超えるようになると、前記中央位置と前記端部位置との間における前記断面線長の差が大きくなりすぎる。この場合、溝部mの延在方向に沿った各位置での断面積が略等しい湾曲補強部を形成した際に、前記断面線長の差が上壁3dの端縁における割れやしわなどの成形不具合を生じる可能性がある。そのため、前記断面線長の比としては、0.7〜1.3の範囲内であることが好ましい。
一方、別の観点で見た場合、第1工程の前記プレスにより、帯状円弧壁部100bの平面視における幅方向中央位置を通る中心線CLの曲率半径Rよりも、帯状円弧壁部100bの縦断面視における曲率半径R1の方を大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
構造部材1は、自動車車体部品であってもよい。より具体的には、ロアアームの製造に際して本発明を適用してもよい。
そして、この製造装置は、平面視で湾曲した金型溝(第1の金型溝)112が形成されたダイ(第1のダイ)110と、金型溝112に対して相対的に接近離間するパンチ(第1のパンチ)130とを第1工程で用いる。そして、金型溝112の金型溝底面(底面)112bが、金型溝底面112bの延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。
さらに、パンチ130の加圧面130aのパンチ下端面130a3が、金型溝底面112bに対応した高低差を有している。なお、パンチ下端面130a3における「対応した高低差」とは、パンチ下端面130a3が金型溝底面112bと同じ方向へ曲がって形成された高低差を意味し、金型溝底面112bの高低差と同じであることが好ましい。
一方、別の観点で見た場合、金型溝底面112bの、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径Rよりも、縦断面視における曲率半径R1の方を大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
ホルダー70Aは、パッド90Aの下面90Acに隣接してかつ下面90Acに交差する縦壁面(第1の規制面)70Acを有する。または、図19に示したように、パッド90Aが、下面90Acに連なってかつ下面90Acに交差する規制面(第2の規制面)90Adを備えてもよい。
本実施形態では、平板素材より図21に示す構造部材201を成形するための製造方法と製造装置について説明する。なお、図21は、本実施形態に係る構造部材の製造方法により製造された構造部材201を示す図であって、(a)が斜視図であり(b)が平面図である。
図21に示す構造部材201は、平面視で凸型の湾曲縁202aを有する天板部202と、湾曲縁202aの延在方向に沿って天板部202と一体に形成されてかつ前記延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部203とを有する。なお、図21の(a)においては、湾曲縁202a及び湾曲補強部203の形状を分かりやすくするために、接合箇所を僅かに開けて図示しているが、実際には、接合箇所では隙間無く接合しており、湾曲補強部203が閉断面形状を形成している。他の図面においても同様に図示する場合がある。
内壁203aは、鉛直方向の高さ寸法が、湾曲補強部203の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この内壁203aは、平断面視で、湾曲縁202aと同じ方向に同じ曲率半径を持った凸型湾曲形状を有している。
底壁203bは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部203の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この底壁203bは、側面視においては天板部202と平行であり、底面視では、湾曲縁202aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。
上壁203dは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部203の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じであり、なおかつ底壁203bよりも幅広になっている。そして、この上壁203dは、縦断面視においては天板部202と平行であり、平面視では、湾曲縁202aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。なお、上壁203dは、後縁202dに向かって湾曲縁202aを超えた位置で天板部202の上面202eに接合している。その接合手段としては、例えば、溶接、接着、ボルト固定などを適宜用いることができる。
以上説明の構成を有する構造部材201によれば、閉断面形状を持つ湾曲補強部203の剛性により、天板部202の面外変形を防ぐことができる。また、湾曲縁202aの延在方向に沿った圧縮加重や引張荷重に対しても高い剛性を発揮できる。
図22は、本実施形態の第1工程で用いる各金型とブランク100の斜視図である。同図22に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、ブランク100が載置されるダイ210と、ブランク100のうちで前記天板部202となる部位をその上から押さえつけるホルダー220と、ブランク100のうちで前記湾曲補強部203を形成する部位に凹溝を形成するパンチ230と、ホルダー220及びパンチ230のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
同図23に示すように、金型溝212は、前記縁211aに連なるとともに鉛直下方に向かう金型溝側面212aと、金型溝側面212aに連なるとともに天板支持面211より水平に離れる方向に向かう金型溝底面212bと、金型溝底面212bに連なるとともに鉛直上方に向かう金型溝側面212cと、を備えている。
これら金型溝側面212a及び金型溝側面212cは、平面視では、前記縁211aと同じ方向に曲がった凸型の湾曲形状を有している。また、金型溝側面212aを平面視した場合の曲率半径は、構造部材201における前記湾曲縁202aの曲率半径R1に等しくなっている。さらに、金型溝側面212cを平面視した場合の曲率半径が、金型溝側面212aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、図23の(a)に示す長さl12は、金型溝底面212bの長手方向の中央位置よりも端部位置の方が長くなっている。これにより、金型溝側面212a及び金型溝側面212cそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図23の(a)に示す長さl11,l12,l13の合計である周長和が、金型溝212の延在方向の各位置で同じになっている。これにより、成形後における湾曲補強部203の断面形状の大きさを、その延在方向の各位置で揃えることが可能になっている。
加圧面230aは、一対のパンチ外側面230a1,230a2と、これらの下端縁間を繋げるパンチ下端面230a3と、を有している。これらパンチ外側面230a1,230a2及びパンチ下端面230a3は、平面視で、前記縁211aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。
このような逆アーチ型の下端縁をそれぞれ有するパンチ外側面230a1,230a2は、鉛直方向の高さ寸法が、前記延在方向の両端位置よりも中央位置の方が長くなっている。
これらパンチ外側面230a1,230a2は、平面視では、前記縁211aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。また、パンチ外側面230a1を平面視した場合の曲率半径は、構造部材201における前記湾曲縁202aの曲率半径R1に等しくなっている。さらに、パンチ外側面230a2を平面視した場合の曲率半径が、パンチ外側面230a1の曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、図22に示す長さl15は、パンチ下端面230a3の長手方向の中央位置よりも端部位置の方が長くなっている。これにより、パンチ外側面230a1,230a2それぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図22に示す長さl14,l15,l16の合計である周長和が、パンチ230の延在方向の各位置で同じになっている。
ブランク100の詳細は上述した通りであり、ここではその重複説明を省略する。
続いて、前記駆動機構によりパンチ230を下降させることで、ブランク100をダイ210の金型溝212と加圧面230aとの間に挟み込んで塑性変形させる。その後、前記駆動機構によりパンチ230を上昇させ、続いて、前記駆動機構によりホルダー220を上昇させる。そして、ダイ210上から第1工程後のブランク100を取り出す。
第1工程後のブランク100は、内壁203a及び縦壁部100eと、これらの下端縁間を繋げる帯状円弧壁部100dとを含む溝部maを有している。これら内壁203a、縦壁部100e、帯状円弧壁部100dは、平面視で同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。
平面視した場合、縦壁部100eの曲率半径が、内壁203aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、図25に示す長さl18は、帯状円弧壁部100dの長手方向の中央位置よりも端部位置の方が長くなっている。これにより、内壁203a及び縦壁部100eそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。言い換えると、図25に示す長さl17,l18,l19の合計である周長和が、帯状円弧壁部100dの延在方向の各位置で同じになっている。
続いて、本実施形態の第2工程について、図26及び図27を用いて説明する。図26は、第2工程で用いる各金型の斜視図である。図27は、第2工程後のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のQ−Q矢視図である。
なお、本工程の説明の前に、図26に示す金型について以下に説明する。
金型溝側面242Aは、鉛直方向の高さ寸法が、その延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この金型溝側面242Aは、平面視で、前記縁211aと同じ方向に同じ曲率半径を持った凸型湾曲形状を有している。
金型溝底面243Aは、水平方向の幅寸法が、その延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この金型溝底面243Aは、平面視で、前記縁211aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。さらに、金型溝底面243Aは、その一端から他端にかけて凹凸の無い水平面をなしている。
また、下面250Adは、底面視で、前記縁211aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。そして、その幅寸法は、構造部材201の底壁203bの幅寸法に対応している。すなわち、下面250Adは、図24に示した帯状円弧壁部100dのうち、底壁203bとなる部分のみを加圧するよう、帯状円弧壁部100dよりも幅寸法が狭くなっている。そのため、帯状円弧壁部100dのうち、下面250Adによって加圧されない部分は、パンチ260Aの押し上げを受けた場合に、鉛直上方に屈曲して前記外壁203cとなる。より詳細には、図26に示す下面250Adの稜線250Ad1が帯状円弧壁部100dの幅方向中央に当たった状態で、帯状円弧壁部100dが屈曲する。そのため、この屈曲位置を境として、底壁203bと、次工程で外壁203cとなる部分を含む縦壁部100eとが形成される。
際に、この稜線260Aaが帯状円弧壁部100dの裏面側に当たり、前記稜線250Ad1と協働して曲げを与える。
以上により、ブランク100の内壁203aが金型溝側面242Aと内壁面250Acとの間に挟み込まれて固定される。さらに、ブランク100の帯状円弧壁部100dの一部が他の部分を残して、金型溝底面243A及び下面250Ad間に挟み込まれて固定される。
この時、上述したように、第1工程の時点で、縦壁部100eの上部を湾曲縁202aに予め近付けているので、縦壁部100eの高さ方向途中位置に曲がりを残したまま、縦壁部100eの上端縁を湾曲縁202aに向かって十分に倒れ込ませることができる。
続いて、図28〜図30を用いて本実施形態の第3工程を以下に説明する。
図28は、第3工程で用いる各金型の斜視図である。図29は、第3工程を開始する前におけるブランク100の形状を示す図であって、図27の(a)のR−R矢視図である。図30は、第3工程中のブランクを示す図であって、(a)が斜視図であり、(b)が(a)のT−T矢視図である。
パンチ280Aは、平面視で、ホルダー270Aの稜線270Aaと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状の縁280Aaを有するとともにダイ240Aに隣接する金型溝(第3の金型溝)m4と、縁280Aaに連なる平坦な上面280Abとを有している。パンチ280Aを上昇させると、その縁280Aaがブランク100の縦壁部100eの下端部分に当たってここに曲げを与える。
パッド290Aは、平坦な下面290Aaと、この下面290Aaに連なる凹型湾曲形状の傾斜面290Abと、この傾斜面290Abに連なる凹型湾曲形状の下面290Acとを有している。下面290Aaと下面290Acとの間には、傾斜面290Abを介して段差が形成されている。また、下面290Acの縁290Ac1は、稜線270Aaと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凹型湾曲形状を有している。
その後、今度は図29においてパッド290Aを矢印DW方向に下降させ、パッド290Aの下面290Aaをパンチ280Aの上面280Abに当接させる。この時、ブランク100の縦壁部100eの上端縁が全て、傾斜面290Ab又は下面290Acの下方にある。そのため、パッド290Aを下降させていくと、その傾斜面290Ab及び下面290Acにより縦壁部100eの上端縁を天板部202上の接合位置に向けて案内しながら押し倒すことができる。その際、縦壁部100eの符号P1に示される曲がりが徐々に大きくなり、その結果として外壁203cと上壁203dとの境目が形成されていく。
また、本工程では、第2工程に続けて第3工程を行ったが、この態様に限られない。例えば図29に示すように、第2工程の後でかつ第3工程の前に、縦壁部100eの上端縁を天板部202に向かって曲げて屈曲部Q1を形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。この場合、パッド290Aの下面290Acを縦壁部100eの上端縁との摺接により摩耗させてしまうことを抑制できる。加えて、パッド290Aが下死点まで至った際に、その下面290Acが屈曲部Q1を平らに押し潰すので、屈曲部Q1を後工程に残すことがない。
なお、屈曲部Q1を設ける代わりに、パッド290Aの傾斜面290Ab及び下面290Acに耐摩耗性を付与するコーティング剤を予め塗布しておいてもよい。さらには、屈曲部Q1の形成及びコーティング剤の塗布の両方を採用してもよい。
まず、図32の(a)においては、第1工程後のブランク100をダイ240A及びホルダー250A間に挟み込む。そして、パンチ260Aを上昇させることで、図32の(b)に示す状態となる。この時、縦壁部100eの上端縁を天板部202に向かって傾斜させるためには、縦壁部100eの上部を湾曲縁202aに向かって予め傾ける必要があるが、既に第1工程でそのための曲げ加工が付与されているため、余裕を持って傾斜させることができる。そのため、パンチ260Aをさらに上昇させて図32の(b)に示す状態になっても、縦壁部100eにおいて外壁203cとなる部分と上壁203dとなる部分との境目(折り目)が維持される。
本実施形態の構造部材の製造方法は、湾曲縁202aを有する天板部202と、湾曲縁202aの延在方向に沿って天板部202と一体に形成されてかつ湾曲縁202aの延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部203とを有する構造部材201を、ブランク(平板素材)100より製造する方法である。
そして、この製造方法は、ブランク100のうち、天板部202に対応する部位(第1の部位)を挟持した状態で、天板部202の湾曲縁202aに連なる他の部位(内壁203a、帯状円弧壁部100d、縦壁部100e、となる第2の部位)をブランク100の表面に対して奥行き方向にプレスして、湾曲縁202aの延在方向に沿ってかつ前記延在方向に直交する断面がU字をなす溝部ma及び溝部maに連なる縦壁部100eを形成する第1工程(中間工程)と;縦壁部100eの上端縁を天板部202に重ね合わせて接合し、湾曲補強部203を形成する第3工程(接合工程)と;を有する。
そして、第1工程の前記プレスでは、前記延在方向に沿って縦断面視した溝部maの帯状円弧壁部100d(底壁)の中央位置と端部位置との間に高低差を設けている。
すなわち、図24に示したように、第1工程の前記プレスにより、帯状円弧壁部100dを、平面視で凸型湾曲形状かつ縦断面視で凹型湾曲形状に形成している。
なお、第1工程のプレス成形時に、天板部202に対応する部位を完全に固定するのではなく、挟持した状態としている。そのため、挟持した部位がその平面外に移動及び変形することは制限しているが、挟持した部位の一部が内壁203a等の他の部位に向かうメタルフローは許容している。
第3工程の前に、前記上端縁を天板部202に向かって曲げて前記屈曲部Q1を形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。
前記断面線長の比が0.7未満になるか又は1.3を超えるようになると、前記中央位置と前記端部位置との間における前記断面線長の差が大きくなりすぎる。この場合、溝部maの延在方向に沿った各位置での断面積が略等しい湾曲補強部203を形成した際に、前記断面線長の差が上壁203dの端縁における割れやしわなどの成形不具合を生じる可能性がある。そのため、前記断面線長の比としては、0.7〜1.3の範囲内であることが好ましい。
一方、別の観点で見た場合、第1工程の前記プレスにより、帯状円弧壁部100dの平面視における幅方向中央位置を通る中心線CLの曲率半径Rよりも、帯状円弧壁部100dの縦断面視における曲率半径R1の方を大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
構造部材201は、自動車車体部品であってもよい。より具体的には、ロアアームの製造に際して本発明を適用してもよい。
そして、この製造装置は、平面視で湾曲した金型溝(第1の金型溝)212が形成されたダイ(第1のダイ)210と、金型溝212に対して相対的に接近離間するパンチ(第1のパンチ)230とを第1工程で用いる。そして、金型溝212の金型溝底面(底面)212bが、金型溝底面212bの延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。
さらに、パンチ230の加圧面230aのパンチ下端面230a3が、金型溝底面212bに対応した高低差を有している。なお、パンチ下端面230a3における「対応した高低差」とは、パンチ下端面230a3が金型溝底面212bと同じ方向へ曲がって形成された高低差を意味し、金型溝底面212bの高低差と同じであることが好ましい。
金型溝212の延在方向に直交する断面であるU字の断面線長を見たときに、中央位置での前記断面線長を端部位置での前記断面線長で除算した比が0.7〜1.3の範囲内にあることが好ましい。さらに、前記断面線長を、前記中央位置と前記端部位置とで互いに同じにすることがより好ましい。さらに、金型溝212の延在方向の各位置における前記断面線長を全て等しくすることが最も好ましい。これにより、上述した成形不具合をより確実に防ぐことができる。
金型溝底面212bの、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径が、縦断面視における曲率半径よりも小さい。
ホルダー270Aは、パッド290Aの下面290Acに隣接してかつ下面290Acに交差する縦壁面(第1の規制面)270Acを有する。または、図31に示したように、パッド290Aが、下面290Acに連なってかつ下面290Acに交差する規制面(第2の規制面)290Adを備えてもよい。
上記第1実施形態では平面視で凹型の湾曲補強部3を形成し、また、上記第2実施形態では平面視で凸型の湾曲補強部203を形成した。これら湾曲補強部3,203の双方とも、それらの延在方向に交差する断面形状が閉断面形状であった。しかし、本発明は、開断面形状を持つ湾曲補強部の加工にも適用可能である。そこで、平面視で凹型をなす、開断面形状の湾曲補強部を有する構造部材を製造する場合について、本実施形態で説明する。また、平面視で凸型をなす、開断面形状の湾曲補強部を有する構造部材を製造する場合については、後述の第4実施形態で説明する。
上壁303dは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部303の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この上壁303dは、縦断面視においては天板部302と平行であり、平面視では、湾曲縁302aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。
以上説明の構成を有する構造部材301によれば、開断面形状を持つ湾曲補強部303の剛性により、天板部302の面外変形を防ぐことができる。また、湾曲縁302aの延在方向に沿った圧縮加重や引張荷重に対しても高い剛性を発揮できる。
図34(a)は、上記第1実施形態で示した図14に対応する時点でのブランク500を示す。なお、本実施形態のブランク500は、図38(a)を用いて説明する形状を有し、前記ブランク100とは形状が異なるため、品番を500に変えて説明する。
続いて、パンチを下降させることで、ブランク500を下型とパンチとの間に挟み込んで塑性変形させる。
その後、パンチを上昇させてから、ホルダーを上昇させる。そして、ダイ上から第1工程後のブランク500を取り出して、図34(a)の状態となる。
内壁503a及び縦壁部500gは、これらの下端縁の高さ寸法が、これらの延在方向に沿った中央位置と両端位置との間で差が設けられている。すなわち、内壁503a及び縦壁部500gの各下端縁は、側面視で鉛直上方に向かって凸型の湾曲線形状をなしている。
平面視した場合、縦壁部500gの曲率半径が、内壁503aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、内壁503a及び縦壁部500gそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。
なお、この折り返し加工で縦壁部500gを曲げる際に、前記上端縁の、所定位置を超えた前記移動を規制してもよい。また、第3工程時の前記上端縁が天板部502に向かう屈曲部(不図示)を、第3工程の前に形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。
まず、図35(a)は、本実施形態の第1工程で用いる各金型の斜視図である。同図35(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、ブランク500が載置されるダイ410と、ブランク500のうちで前記天板部302となる部位をその上から押さえつけるホルダー420と、ブランク500のうちで前記湾曲補強部303となる部位に凹溝を形成するパンチ430及び下型440と、これらダイ410、ホルダー420、パンチ430のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。なお、下型440は、定位置に固定されている。
底壁面441は、平面視で、前記縁411aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。さらに、底壁面441は、その延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。すなわち、底壁面441は、その延在方向に沿った中央位置に対して両端位置が相対的に低くなるように曲がった凸型湾曲形状を有している。なお、底壁面441は、上記第1実施形態で図13を用いて説明した前記金型溝底面112bと比べて若干、形状が異なっている。具体的には、前記金型溝底面112bの場合は溝幅方向で高さがほぼ一定であったのに対し、本実施形態の底壁面441は、その溝幅方向に沿って前記ダイ410から離れる方向に向かって深さが深くなっている。
縦壁面442は、底壁面441に連なり、鉛直上方に向かって延在する壁面である。縦壁面442は、平面視で、前記縁411aと同じ方向に曲がった凸曲面である。上壁面443は、縦壁面442の上端縁に連なり、水平方向に向かって延在する平坦面である。
加圧面431は、前記底壁面441と略同一形状を有している。すなわち、加圧面431は、底面視で、前記縁411aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。さらに、加圧面431は、その延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。すなわち、加圧面431は、その延在方向に沿った中央位置に対して両端位置が相対的に低くなるように曲がった凹型湾曲形状を有している。なお、加圧面431は、上記第1実施形態で図12を用いて説明した前記パンチ下端面130a3と比べて若干、形状が異なっている。具体的には、前記パンチ下端面130a3の場合はその幅方向で高さがほぼ一定であったのに対し、本実施形態の加圧面431は、その幅方向に沿って前記ホルダー420から離れるに従って高さが低くなっている。
縦壁面432は、加圧面431に連なり、鉛直上方に向かって延在する壁面である。縦壁面432は、平面視で、前記縁411aと同じ方向に曲がった凹曲面である。
加工前の前記ブランク500は、図38(a)に示す形状を有する。すなわち、ブランク500は、平面視で凹状をなす前縁502aと、この前縁502aに連なる一対の側縁502bと、これら一対の側縁502bに連なり前縁502aと対向する後縁502dと、を有する。一対の側縁502bは、互いに平行である部分と、前縁502aに近付くにつれて間隔が狭くなる部分とを有する。ブランク500の板厚としては、0.8mm〜6.0mmが例示されるが、この厚みに限定されるものではない。ブランク500の材質としては、鋼、アルミニウム合金もしくはマグネシウム合金等の金属材料、またはガラス繊維もしくは炭素繊維等の樹脂材料を用いることができる。さらには、金属材料及び樹脂材料の複合材料をブランク500の材質としてもよい。
その後、前記駆動機構によりパンチ430を上昇させてから、ホルダー420を上昇させる。そして、ダイ410上からブランク500を取り出す。以上により、第1工程が完了する。
上記第1工程に続く第2工程について、図36及び図38の(d)〜(f)を用いて説明する。
まず、図36(a)は、本実施形態の第2工程で用いる各金型の斜視図である。同図36(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、第1工程後のブランク500が載置されるダイ610と、ダイ610に対して接近離間するホルダー620と、ダイ610の側方に固定配置されたパンチ630と、ダイ610及びホルダー620のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
上壁面631は、平面視で、前記縁611aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有する平面である。
縦壁面632は、上壁面631に連なり、鉛直下方に向かって延在する壁面である。縦壁面632は、平面視で、前記縁611aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凸曲面である。
底壁面621は、底面視で前記縁611aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凹型湾曲形状の縁621aを有し、ブランク500の上面502eを押さえつける平坦面である。
縦壁面622は、縁621aにおいて底壁面621に連なり、鉛直上方に向かって延在する。縦壁面622は、平面視で、前記縁621aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凹曲面である。
その後、前記駆動機構によりホルダー620を上昇させる。そして、ダイ610上からブランク500を取り出す。以上により、第2工程が完了する。
上記第2工程に続く第3工程について、図37及び図38の(g)〜(i)を用いて説明する。
まず、図37(a)は、本実施形態の第3工程で用いる各金型の斜視図である。同図37(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、第2工程後のブランク500が載置されるダイ710と、ダイ710に対して接近離間するホルダー720と、ダイ710に対して接近離間するパッド730と、ホルダー720及びパッド730のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
底壁面721は、底面視で前記縁711aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凹型湾曲形状の縁721aを有し、ブランク500の上面502eを押さえつける平坦面である。
折り返し面722は、縁721aにおいて底壁面721に連なり、縁721aより平面視で底壁面721に重なる方向に折り返された曲げ面である。折り返し面722は、平面視で、前記縁721aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ曲げ形状を有する。折り返し面722は、平面視で、前記縁621aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凹曲面である。
縦壁面723は、折り返し面722を介して底壁面721に連なり、鉛直上方に向かって延在する。縦壁面723は、平面視で、前記縁721aと同じ方向に曲がった凹曲面である。
第1下面731は、底面視でホルダー720に向かって凸型の湾曲形状をなす平坦面である。
傾斜面732は、第1下面731に連なり、斜め上方に向かって形成されている。傾斜面732は、底面視でホルダー720に向かって凸型の湾曲形状をなす湾曲面である。
第2下面733は、傾斜面732に連なり、底面視でホルダー720に向かって凸型の湾曲形状をなす平坦面である。
本実施形態の構造部材の製造方法は、湾曲縁302aを有する天板部302と、湾曲縁302aの延在方向に沿って天板部302と一体に形成されてかつ湾曲縁302aの延在方向に直交する断面が開断面形状である湾曲補強部303とを有する構造部材301を、ブランク500(平板素材)より製造する方法である。具体的には、ブランク500のうち、天板部302に対応する部位(第1の部位)を挟持した状態で、この部位に連なる他の部位(第2の部位)をブランク500の上面502eに対して交差する方向にプレスすることで、ブランク500のうちで湾曲縁302aとなる部位に沿って、溝部mb及び溝部mbに連なる縦壁部500gを形成する第1工程(中間工程)を有する。
この第1工程のプレスにより、溝部mbの帯状円弧壁部500f(底壁)に、溝部mbの延在方向に沿って縦断面視した中央位置と端部位置との間で高低差を設けている。帯状円弧壁部500fは、平面視では凹型湾曲形状を有してかつ縦断面視では凸型湾曲形状を有する。
なお、第1工程のプレス成形時に、天板部2に対応する部位を完全に固定するのではなく、挟持した状態としている。そのため、挟持した部位がその平面外に移動及び変形することは制限しているが、挟持した部位の一部が他の部位に向かうメタルフローは許容している。
すなわち、第1工程のプレスにより、溝部mbの、溝部mbの延在方向に直交する断面の内形に沿った断面線長を見たときに、中央位置での前記断面線長を端部位置での前記断面線長で除算した比を0.7〜1.3の範囲内にしてもよい。さらに、前記断面線長を、前記中央位置と前記端部位置とで互いに同じにしてもよい。さらに、溝部mbの延在方向の各位置における前記断面線長を全て等しくしてもよい。
前記断面線長の比が0.7未満になるか又は1.3を超えるようになると、前記中央位置と前記端部位置との間における前記断面線長の差が大きくなりすぎる。この場合、溝部mbの延在方向に沿った各位置での断面積が略等しい湾曲補強部303を形成した際に、前記断面線長の差が上壁303dの端縁における割れやしわなどの成形不具合を生じる可能性がある。そのため、前記断面線長の比としては、0.7〜1.3の範囲内であることが好ましい。
一方、別の観点で見た場合、第1工程のプレスにより、帯状円弧壁部500fの平面視における幅方向中央位置を通る中心線CLの曲率半径Rよりも、帯状円弧壁部500fの縦断面視における曲率半径R1の方を大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
この曲げ工程は、折り返し工程を含む。この折り返し工程では、天板部502に対向する方向より見て縦壁部500gの上端縁が天板部502に重なる一方、側面視では前記上端縁が天板部502から離間した状態に至るまで、縦壁部500gを曲げる。その結果、開断面形状を持つ湾曲補強部303を形成することができる。
なお、折り返し工程時の前記上端縁が天板部502に向かう屈曲部(不図示。第1実施形態で言う屈曲部Q1に相当する曲げ)を、折り返し工程の前に形成する上端縁曲げ工程を行ってもよい。
構造部材301は、自動車車体部品であってもよい。より具体的には、ロアアームの製造に際して本発明を適用してもよい。
そして、この製造装置は、平面視で湾曲した縁411a(第1の金型湾曲縁)を含む天板支持面411(第2の天板支持面)を有するダイ410(第3のダイ)と;天板支持面411に対して接近離間するホルダー420(第3のホルダー)と;平面視で縁411aに隣接配置された底壁面441(第4の金型溝)を有する下型440(第4のダイ)と;底壁面441に対して接近離間するパンチ430(第4のパンチ)と;を備える。
底壁面441は、平面視では凹型湾曲形状を有してかつ縦断面視では凸型湾曲形状を有している。
すなわち、底壁面441の、その延在方向に直交する断面での内形に沿った断面線長を見たときに、中央位置での前記断面線長を端部位置での前記断面線長で除算した比を0.7〜1.3の範囲内にしてもよい。さらに、前記断面線長を、前記中央位置と前記端部位置とで互いに同じにしてもよい。さらに、溝部maの延在方向の各位置における前記断面線長を全て等しくしてもよい。これにより、上述した成形不具合をより確実に防ぐことができる。
一方、別の観点で見た場合、底壁面441の、縦断面視における曲率半径R1を、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径Rより大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
すなわち、平面視で湾曲した縁611a(第2の金型湾曲縁)を含む天板支持面611(第3の天板支持面)を有するダイ610(第5のダイ)と;天板支持面611に対して接近離間するホルダー620(第4のホルダー)と;平面視で縁611aに隣接配置されたパンチ630(第5のパンチ)と;を用いる。
すなわち、平面視で湾曲した縁711a(第3の金型湾曲縁)を含む天板支持面711(第4の天板支持面)を有するダイ710(第6のダイ)と;天板支持面711に対して接近離間するホルダー720(第5のホルダー)と;平面視で縁711aの上に重なる第2下面733(加圧面)を有し、ダイ710に対して接近離間するパッド730(第6のパンチ)と;を用いる。
この縦壁面723を設ける代わりに、パッド730が、同パッド730の第2下面733に連なってかつ交差する方向に延在する縦壁面(不図示。第4の規制面)を有してもよい。
上記第3実施形態では、平面視で凹型の湾曲補強部303を形成した。本実施形態では、平面視で凸型となる、開断面形状を持つ湾曲補強部303を形成する場合について説明する。
と、湾曲縁402aにおいて天板部402と一体に形成されてかつ湾曲縁402aの延在方向に直交する断面が開断面形状である湾曲補強部403とを有する。
上壁403dは、水平方向の幅寸法が、湾曲補強部403の延在方向に沿った一端から他端にかけての各位置で同じである。そして、この上壁403dは、縦断面視においては天板部402と平行であり、平面視では、湾曲縁402aと同じ方向に曲がった凸型湾曲形状を有している。
以上説明の構成を有する構造部材401によれば、開断面形状を持つ湾曲補強部403の剛性により、天板部402の面外変形を防ぐことができる。また、湾曲縁402aの延在方向に沿った圧縮加重や引張荷重に対しても高い剛性を発揮できる。
図40(a)は、上記第2実施形態で示した図24に対応する時点でのブランク800を示す。なお、本実施形態のブランク800は、図44(a)を用いて説明する形状を有し、前記ブランク100及び前記ブランク500とは形状が異なるため、品番を800に変えて説明する。
続いて、パンチを下降させることで、ブランク800を下型とパンチとの間に挟み込んで塑性変形させる。
その後、パンチを上昇させてから、ホルダーを上昇させる。そして、ダイ上から第1工程後のブランク800を取り出して、図40(a)の状態となる。
内壁803a及び縦壁部800gは、これらの下端縁の高さ寸法が、これらの延在方向に沿った中央位置と両端位置との間で差が設けられている。すなわち、内壁803a及び縦壁部800gの各下端縁は、側面視で鉛直下方に向かって凸型の湾曲線形状をなしている。
平面視した場合、縦壁部800gの曲率半径が、内壁803aの曲率半径よりも大きくなっている。この曲率半径差により、内壁803a及び縦壁部800gそれぞれの延在方向に沿った高さ寸法差を吸収している。
なお、この折り返し加工で縦壁部800gを曲げる際に、前記上端縁の、所定位置を超えた前記移動を規制してもよい。また、第3工程時の前記上端縁が天板部802に向かう屈曲部(不図示)を、第3工程の前に形成する上端縁曲げ工程をさらに有してもよい。
まず、図41(a)は、本実施形態の第1工程で用いる各金型の斜視図である。同図41(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、ブランク800が載置されるダイ1410と、ブランク800のうちで前記天板部402となる部位をその上から押さえつけるホルダー1420と、ブランク800のうちで前記湾曲補強部403となる部位に凹溝を形成するパンチ1430及び下型1440と、これらダイ1410、ホルダー1420、パンチ1430のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。なお、下型1440は、定位置に固定されている。
底壁面1441は、平面視で、前記縁1411aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。さらに、底壁面1441は、その延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。すなわち、底壁面1441は、その延在方向に沿った中央位置が両端位置に対して相対的に深く(低く)なるように曲がった凹型湾曲形状を有している。なお、底壁面1441は、上記第2実施形態で図23を用いて説明した前記金型溝底面212bと比べて若干、形状が異なっている。具体的には、前記金型溝底面212bの場合は溝幅方向で高さがほぼ一定であったのに対し、本実施形態の底壁面1441は、その溝幅方向に沿って前記ダイ1410から離れるに従って深さが深くなっている。
縦壁面1442は、底壁面1441に連なり、鉛直上方に向かって延在する壁面である。縦壁面1442は、平面視で、前記縁1411aと同じ方向に曲がった凹曲面である。上壁面1443は、縦壁面1442の上端縁に連なり、水平方向に向かって延在する壁面である。
加圧面1431は、前記底壁面1441と略同一形状を有している。すなわち、加圧面1431は、底面視で、前記縁1411aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有している。さらに、加圧面1431は、その延在方向に沿った中央位置と端部位置との間において縦断面視で高低差を有する。すなわち、加圧面1431は、その延在方向に沿った中央位置が両端位置に対して相対的に深く(低く)なるように曲がった凸型湾曲形状を有している。なお、加圧面1431は、上記第2実施形態で図22を用いて説明した前記パンチ下端面230a3と比べて若干、形状が異なっている。具体的には、前記パンチ下端面230a3の場合はその幅方向で高さがほぼ一定であったのに対し、本実施形態の加圧面1431は、その幅方向に沿って前記ホルダー1420から離れるに従って高さが低くなっている。
縦壁面1432は、加圧面1431に連なり、鉛直上方に向かって延在する壁面である。縦壁面1432は、平面視で、前記縁1411aと同じ方向に曲がった凸曲面である。
加工前の前記ブランク800は、図44(a)に示す形状を有する。すなわち、ブランク800は、平面視で凸状をなす前縁802aと、この前縁802aに連なる一対の側縁802bと、これら一対の側縁802bに連なり前縁802aと対向する後縁802dと、を有する。一対の側縁802bは、互いに平行な直線形状を有する。ブランク800の板厚としては、0.8mm〜6.0mmが例示されるが、この厚みに限定されるものではない。ブランク800の材質としては、鋼、アルミニウム合金もしくはマグネシウム合金等の金属材料、またはガラス繊維もしくは炭素繊維等の樹脂材料を用いることができる。さらには、金属材料及び樹脂材料の複合材料をブランク800の材質としてもよい。
その後、前記駆動機構によりパンチ1430を上昇させてから、ホルダー1420を上昇させる。そして、ダイ1410上からブランク800を取り出す。以上により、第1工程が完了する。
上記第1工程に続く第2工程について、図42及び図44の(d)〜(f)を用いて説明する。
まず、図42は、本実施形態の第2工程で用いる各金型の斜視図である。同図42(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、第1工程後のブランク800が載置されるダイ1610と、ダイ1610に対して接近離間するホルダー1620と、ダイ1610の側方に固定配置されたパンチ1630と、ダイ1610及びホルダー1620のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
上壁面1631は、平面視で、前記縁1611aと同じ方向に曲がった凹型湾曲形状を有する平面である。
縦壁面1632は、上壁面1631に連なり、鉛直下方に向かって延在する壁面である。縦壁面1632は、平面視で、前記縁1611aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凹曲面である。
底壁面1621は、底面視で前記縁1611aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凸型湾曲形状の縁1621aを有し、ブランク800の上面802eを押さえつける平坦面である。
縦壁面1622は、縁1621aにおいて底壁面1621に連なり、鉛直上方に向かって延在する。縦壁面1622は、平面視で、前記縁1621aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凸曲面である。
その後、前記駆動機構によりホルダー1620を上昇させる。そして、ダイ1610上からブランク800を取り出す。以上により、第2工程が完了する。
上記第2工程に続く第3工程について、図43及び図44の(g)〜(i)を用いて説明する。
まず、図43(a)は、本実施形態の第3工程で用いる各金型の斜視図である。同図43(a)に示すように、本実施形態における構造部材の製造装置は、第2工程後のブランク800が載置されるダイ1710と、ダイ1710に対して接近離間するホルダー1720と、ホルダー1720に対して接近離間するパッド1730と、ホルダー1720及びパッド1730のそれぞれを独立して駆動する駆動部(不図示)と、を備えている。
方向に同じ曲率半径をもって曲がった凸曲面である。
底壁面1721は、底面視で前記縁1711aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ凸型湾曲形状の縁1721aを有し、ブランク800の上面802eを押さえつける平坦面である。
折り返し面1722は、縁1721aにおいて底壁面1721に連なり、縁1721aより平面視で底壁面1721に重なる方向に折り返された曲げ面である。折り返し面1722は、平面視で、前記縁1721aと同じ方向に同じ曲率半径を持つ曲げ形状を有する。折り返し面1722は、平面視で、前記縁1621aと同じ方向に同じ曲率半径をもって曲がった凸曲面である。
縦壁面1723は、折り返し面1722を介して底壁面1721に連なり、鉛直上方に向かって延在する。縦壁面1723は、平面視で、前記縁1721aと同じ方向に曲がった凸曲面である。
第1下面1731は、底面視でホルダー1720から離れる方向に凹む湾曲形状をなす平坦面である。
傾斜面1732は、第1下面1731に連なり、斜め上方に向かって形成されている。傾斜面1732は、底面視でホルダー1720から離れる方向に凹む湾曲形状をなす湾曲面である。
第2下面1733は、傾斜面1732に連なり、底面視でホルダー1720から離れる方向に凹む湾曲形状をなす平坦面である。
させる。これにより、構造部材401の固定が解かれる。その状態で、構造部材401をホルダー1720及びダイ1710間より水平方向に引き抜くことにより、構造部材401を取り外せる。以上により、第3工程が完了する。
本実施形態の構造部材の製造方法は、湾曲縁402aを有する天板部402と、湾曲縁402aの延在方向に沿って天板部402と一体に形成されてかつ湾曲縁402aの延在方向に直交する断面が開断面形状である湾曲補強部403とを有する構造部材401を、ブランク800(平板素材)より製造する方法である。具体的には、ブランク800のうち、天板部402に対応する部位(第1の部位)を挟持した状態で、この部位に連なる他の部位(第2の部位)をブランク800の上面802eに対して交差する方向にプレスすることで、ブランク800のうちで湾曲縁402aとなる部位に沿って、溝部mc及び溝部mcに連なる縦壁部800gを形成する第1工程(中間工程)を有する。
この第1工程のプレスにより、溝部mcの帯状円弧壁部800f(底壁)に、溝部mcの延在方向に沿って縦断面視した中央位置と端部位置との間で高低差を設けている。帯状円弧壁部800fは、平面視では凸型湾曲形状を有してかつ縦断面視では凹型湾曲形状を有する。
なお、第1工程のプレス成形時に、天板部402に対応する部位を完全に固定するのではなく、挟持した状態としている。そのため、挟持した部位がその平面外に移動及び変形することは制限しているが、挟持した部位の一部が他の部位に向かうメタルフローは許容している。
すなわち、第1工程のプレスにより、溝部mcの、溝部mcの延在方向に直交する断面の内形に沿った断面線長を見たときに、中央位置での前記断面線長を端部位置での前記断面線長で除算した比を0.7〜1.3の範囲内にしてもよい。さらに、前記断面線長を、前記中央位置と前記端部位置とで互いに同じにしてもよい。さらに、溝部mcの延在方向の各位置における前記断面線長を全て等しくしてもよい。
前記断面線長の比が0.7未満になるか又は1.3を超えるようになると、前記中央位置と前記端部位置との間における前記断面線長の差が大きくなりすぎる。この場合、溝部mcの延在方向に沿った各位置での断面積が略等しい湾曲補強部403を形成した際に、前記断面線長の差が上壁403dの端縁における割れやしわなどの成形不具合を生じる可能性がある。そのため、前記断面線長の比としては、0.7〜1.3の範囲内であることが好ましい。
一方、別の観点で見た場合、第1工程のプレスにより、帯状円弧壁部800fの平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径よりも、帯状円弧壁部800fの縦断面視における曲率半径の方を大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
この曲げ工程は、折り返し工程を含む。この折り返し工程では、天板部802に対向する方向より見て縦壁部800gの上端縁が天板部802に重なる一方、側面視では前記上端縁が天板部802から離間した状態に至るまで、縦壁部800gを曲げる。その結果、開断面形状を持つ湾曲補強部403を形成することができる。
なお、折り返し工程時の前記上端縁が天板部802に向かう屈曲部(不図示。第1実施形態で言う屈曲部Q1に相当する曲げ)を、折り返し工程の前に形成する上端縁曲げ工程を行ってもよい。
構造部材401は、自動車車体部品であってもよい。より具体的には、ロアアームの製造に際して本発明を適用してもよい。
そして、この製造装置は、平面視で湾曲した縁1411a(第1の金型湾曲縁)を含む天板支持面1411(第2の天板支持面)を有するダイ1410(第3のダイ)と;天板支持面1411に対して接近離間するホルダー1420(第3のホルダー)と;平面視で縁1411aに隣接配置された底壁面1441(第4の金型溝)を有する下型1440(第4のダイ)と;底壁面1441に対して接近離間するパンチ1430(第4のパンチ)と;を備える。
底壁面1441は、平面視では凸型湾曲形状を有してかつ縦断面視では凹型湾曲形状を有している。
すなわち、底壁面1441の、その延在方向に直交する断面での内形に沿った断面線長を見たときに、中央位置での前記断面線長を端部位置での前記断面線長で除算した比を0.7〜1.3の範囲内にしてもよい。さらに、前記断面線長を、前記中央位置と前記端部位置とで互いに同じにしてもよい。さらに、底壁面1441の延在方向の各位置における前記断面線長を全て等しくしてもよい。これにより、上述した成形不具合をより確実に防ぐことができる。
一方、別の観点で見た場合、底壁面1441の、縦断面視における曲率半径R1を、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径Rより大きくする(R1>R)ことが好ましい。この場合、次工程で他の金型に構造部材を移した際に、位置決めが不安定になることを避けられる。
すなわち、平面視で湾曲した縁1611a(第2の金型湾曲縁)を含む天板支持面1611(第3の天板支持面)を有するダイ1610(第5のダイ)と;天板支持面1611に対して接近離間するホルダー1620(第4のホルダー)と;平面視で縁1611aに隣接配置されたパンチ1630(第5のパンチ)と;を用いる。
すなわち、平面視で湾曲した縁1711a(第3の金型湾曲縁)を含む天板支持面1711(第4の天板支持面)を有するダイ1710(第6のダイ)と;天板支持面1711に対して接近離間するホルダー1720(第5のホルダー)と;平面視で縁1711aの上に重なる第2下面1733(加圧面)を有し、ダイ1710に対して接近離間するパッド1730(第6のパンチ)と;を用いる。
この縦壁面1723を設ける代わりに、パッド1730が、同パッド1730の第2下面1733に連なってかつ交差する方向に延在する縦壁面(不図示。第4の規制面)を有してもよい。
本発明に係る構造部材の製造方法及び製造装置の第1実施例を、図45及び図46を用いて以下に説明する。
図45は、本実施例における中間工程後のブランク100を示す図であって、(a)が(b)のX−X矢視より見た側面図であり、(b)が正面図である。図46は、本実施例における構造部材1を示す図であって、(a)が(b)のY−Y矢視より見た側面図であり、(b)が正面図である。
図46の(a)及び(b)に示す構造部材1は、湾曲縁2aを有する天板部2と、湾曲縁2aの延在方向に沿って天板部2と一体に形成されてかつ前記延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部3とを有する。
なお、図46(a)においては、湾曲縁2a及び湾曲補強部3の形状を分かりやすくするために、接合箇所を僅かに開けて図示しているが、実際には、接合箇所では隙間無く接合しており、湾曲補強部3が閉断面形状を形成している。
円弧底壁部100b1は、平面視で天板部2に向かって凹型に湾曲しており、その平面視における幅方向中央位置を通る中心線CLの曲率半径がR(mm)となっている。円弧底壁部100b1は、平板素材100に前記曲げ工程を加えて上記構造部材1としたときに、前記円弧部3Aの一部となる部分である。
具体的に言うと、曲率半径Rについては、250mmの場合と60mmの場合の2ケースとした。
また、曲率半径Rが250mmのケースでは、曲率半径R1を160mm,200mm,250mm,500mm,1000mm、2000mmの計6ケースとした。また、曲率半径Rが60mmのケースでは、曲率半径R1を40mm,50mm,60mm,120mm,400mm、600mmの計6ケースとした。これにより、曲率半径Rが250mmの場合と60mmの場合の両ケースにおいて、R/R1の比率を、共に、1.5,1.2,1.0,0.5,0.2,0.1に揃えた。なお、曲率半径R,R1以外の数値は、図45,図46に示す通りとした。
さらに、鋼板強度については、780MPa級鋼板,980MPa級鋼板,1180MPa級鋼板、の3ケースとした。
以上の各パラメータを適宜組み合わせて数値計算を行い、成形不良の有無を調べた結果を、下表1に示す。
980MPa級鋼板の場合では、曲率半径Rが250mmのケースにおいて、R/R1比が0.2以下あるいは1.2以上で、破断、くびれ、寸法不良等の不具合が生じた。一方、曲率半径Rが60mmのケースにおいては、R/R1比が0.2以下あるいは1.0以上で、破断、くびれ、寸法不良等の不具合が生じた。
1180MPa級鋼板の場合では、曲率半径Rが250mmと60mmの両ケース共に、R/R1比が0.2以下あるいは1.0以上で、破断、くびれ、寸法不良等の不具合が生じた。
以上説明のように、本実施例によれば、780MPa級鋼板、980MPa級鋼板、さらには1180MPa級鋼板といった高強度鋼板においても本発明が有効であることが確認された。
なお、本実施例は、湾曲補強部3が閉断面形状の場合についての結果である。湾曲補強部3が開断面形状である場合についても同様の数値計算を行ったところ、R1/R比の結果は閉断面形状の場合と変わらなかった。よって、開断面形状の場合も、R/R1比を上述の範囲とすることが好ましい。
本発明に係る構造部材の製造方法及び製造装置の第2実施例を、図47及び図48を用いて以下に説明する。
図47は、本実施例における中間工程後のブランク100を示す図であって、(a)が(b)のX1−X1矢視より見た側面図であり、(b)が正面図である。図48は、本実施例における構造部材201を示す図であって、(a)が(b)のY1−Y1矢視より見た側面図であり、(b)が正面図である。
図48の(a)及び(b)に示す構造部材201は、湾曲縁202aを有する天板部202と、湾曲縁202aの延在方向に沿って天板部202と一体に形成されてかつ前記延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部203とを有する。
なお、図48(a)においては、湾曲縁202a及び湾曲補強部203の形状を分かりやすくするために、接合箇所を僅かに開けて図示しているが、実際には、接合箇所では隙間無く接合しており、湾曲補強部203が閉断面形状を形成している。
円弧底壁部100d1は、平面視で天板部202に向かって凸型に湾曲しており、その平面視における幅方向中央位置を通る中心線CLの曲率半径がR(mm)となっている。円弧底壁部100d1は、図47のブランク(平板素材100)に前記曲げ工程を加えて上記構造部材201としたときに、前記円弧部203Aの一部となる部分である。
具体的に言うと、曲率半径Rについては、250mmの場合と60mmの場合の2ケースとした。
また、曲率半径Rが250mmのケースでは、曲率半径R1を160mm,200mm,250mm,500mm,1000mm、2000mm、の計6ケースとした。また、曲率半径Rが60mmのケースでは、曲率半径R1を40mm,50mm,60mm,120mm,400mm、600mmの計6ケースとした。これにより、曲率半径Rが250mmの場合と60mmの場合の両ケースにおいて、R/R1の比率を、共に、1.5,1.2,1.0,0.5,0.2,0.1に揃えた。なお、曲率半径R,R1以外の数値は、図47,図48に示す通りとした。
さらに、鋼板強度については、780MPa級鋼板,980MPa級鋼板,1180MPa級鋼板、の3ケースとした。
以上の各パラメータを適宜組み合わせて数値計算を行い、成形不良の有無を調べた結果を、下表2に示す。
980MPa級鋼板の場は、曲率半径Rが250mmと60mmの両ケース共に、R/R1比が0.2以下あるいは1.2以上で寸法不良が生じた。
1180MPa級鋼板の場合も、曲率半径Rが250mmと60mmの両ケース共に、R/R1比が0.2以下あるいは1.2以上で寸法不良が生じた。
以上説明のように、本実施例によれば、780MPa級鋼板、980MPa級鋼板、さらには1180MPa級鋼板といった高強度鋼板においても本発明が有効であることが確認された。
なお、本実施例は、湾曲補強部203が閉断面形状の場合についての結果である。湾曲補強部203が開断面形状である場合についても同様の数値計算を行ったところ、R1/R比の結果は閉断面形状の場合と変わらなかった。よって、開断面形状の場合も、R/R1比を上述の範囲とすることが好ましい。
2,202,302,402 天板部
2a,202a 湾曲縁
3,203,303,403 湾曲補強部
40A,240A ダイ(第2のダイ)
41A,241A 天板支持面(第1の天板支持面)
50Ad,250Ad 下面(湾曲凸部)
50A,250A ホルダー(第1のホルダー)
50Ae,250Ae 縦壁面(第1縦壁面)
60A,260A パンチ(第2のパンチ)
60Ae,260Ae 縦壁面(第2縦壁面)
70A,270A ホルダー(第2のホルダー)
70Ac,270Ac 縦壁面(第1の規制面)
80A,280A パンチ(第3のパンチ)
90A,290A パッド
90Ad,290Ad 規制面(第2の規制面)
100 平板素材
100b,100d,100f,100h 帯状円弧壁部(底壁)
100c,100e,100g,100i 縦壁部
112,212 金型溝(第1の金型溝)
112b,212b 金型溝底面(底面)
110,210 ダイ(第1のダイ)
130,230 パンチ(第1のパンチ)
130a,230a 加圧面
410,1410 ダイ(第3のダイ)
411,1411 天板支持面(第2の天板支持面)
411a,1411a 縁(第1の金型湾曲縁)
420,1420 ホルダー(第3のホルダー)
430,1430 パンチ(第4のパンチ)
431,1431 加圧面(第4のパンチの加圧面)
440,1440 下型(第4のダイ)
441,1441 底壁面(第4の金型溝、第4の金型溝の底面)
610,1610 ダイ(第5のダイ)
611,1611 天板支持面(第3の天板支持面)
611a,1611a 縁(第2の金型湾曲縁)
620,1620 ホルダー(第4のホルダー)
622,1622 縦壁面(第3縦壁面)
630,1630 パンチ(第5のパンチ)
632,1632 縦壁面(第4縦壁面)
710,1710 ダイ(第6のダイ)
711,1711 天板支持面(第4の天板支持面)
711a,1711a 縁(第3の金型湾曲縁)
720,1720 ホルダー(第5のホルダー)
723,1723 縦壁面(第3の規制面)
730,1730 パッド(第6のパンチ)
733,1733 第2下面(加圧面)
CL 中心線
m,ma 溝部
m1,m3 金型溝(第2の金型溝)
m2,m4 金型溝(第3の金型溝)
Q,Q1 屈曲部
Claims (16)
- 湾曲縁を有する天板部と、前記湾曲縁の延在方向に沿って前記天板部と一体に形成されてかつ前記湾曲縁の延在方向に直交する断面が閉断面形状又は開断面形状である湾曲補強部とを有する構造部材を、平板素材より製造する方法であって、
前記平板素材のうち、前記天板部に対応する第1の部位を挟持した状態で、前記第1の部位に連なる第2の部位を前記平板素材の面に対し交差する方向にプレスすることで、前記平板素材のうちで前記湾曲縁となる部位に沿って、溝部及び前記溝部に連なる縦壁部を形成する中間工程と;
前記中間工程の後に、前記縦壁部の上端縁を、前記天板部に近付く移動を許容したまま前記溝部に向かって押し下げることで、前記上端縁を前記天板部に向けて折り曲げる曲げ工程と;
を有し、
前記中間工程では、前記プレスにより、前記溝部の底壁に、前記溝部の延在方向に沿って縦断面視した途中位置と前記途中位置を間に挟む両隣位置との間で高低差を設けることで、
前記底壁に、平面視で凹型湾曲形状かつ前記縦断面視で凸型湾曲形状をなす第1湾曲部、及び、平面視で凸型湾曲形状かつ前記縦断面視で凹型湾曲形状をなす第2湾曲部、のうちの少なくとも一方を形成することを特徴とする構造部材の製造方法。 - 前記中間工程の前記プレスにより、前記溝部の、前記溝部の延在方向に直交する断面の内形に沿った断面線長を見たときに、前記途中位置での前記断面線長を前記両隣位置での前記断面線長で除算した比を0.7〜1.3の範囲内にする
ことを特徴とする請求項1に記載の構造部材の製造方法。 - 前記中間工程の前記プレスにより、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部のうちの少なくとも一方において、前記底壁の平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径R(mm)を、前記底壁の前記縦断面視における曲率半径R1(mm)で除算したR/R1比を、0.2〜1.2の範囲内にする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造部材の製造方法。 - 前記曲げ工程の後に、前記縦壁部の上端縁の少なくとも一部を前記天板部に重ね合わせて接合し、前記閉断面形状を持つ前記湾曲補強部を形成する接合工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の構造部材の製造方法。 - 前記接合工程で、前記上端縁の、前記天板部における接合予定位置を超えた移動を規制する
ことを特徴とする請求項4に記載の構造部材の製造方法。 - 前記接合工程時の前記上端縁が前記天板部に向かう屈曲部を、前記接合工程の前に形成する上端縁曲げ工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の構造部材の製造方法。 - 前記曲げ工程が、
前記天板部に対向する平面視では前記上端縁の少なくとも一部が前記天板部に重なる一方、側面視では前記上端縁が前記天板部から離間した状態に至るまで、前記縦壁部をさらに曲げることで、
前記開断面形状を持つ前記湾曲補強部を形成する折り返し工程を含む
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の構造部材の製造方法。 - 前記折り返し工程で前記縦壁部をさらに曲げる際に、前記上端縁の、所定位置を超えた前記移動を規制する
ことを特徴とする請求項7に記載の構造部材の製造方法。 - 前記折り返し工程時の前記上端縁が前記天板部に向かう屈曲部を、前記折り返し工程の前に形成する上端縁曲げ工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の構造部材の製造方法。 - 前記中間工程で前記プレスにより前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部の両方を形成することで、
前記曲げ工程後に、前記天板部に対向する平面視で凹型湾曲形状及び凸型湾曲形状の両方を含む前記湾曲補強部を形成する
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の構造部材の製造方法。 - 湾曲縁を有する天板部と、前記湾曲縁の延在方向に沿って前記天板部と一体に形成されてかつ前記湾曲縁の延在方向に直交する断面が閉断面形状である湾曲補強部とを有する構造部材を、平板素材より製造する装置であって、
平面視で湾曲した第1の金型溝が形成された第1のダイと;
前記第1の金型溝に対して相対的に接近離間する第1のパンチと;
平面視で前記第1の金型溝よりも細い第2の金型溝を有する第2のダイと;
前記第2の金型溝に対応した形状の湾曲凸部を有する第1のホルダーと;
平面視で、前記第1のホルダーの第1縦壁面に対し水平方向に5mm以上50mm以下の距離を空けて対向配置された第2縦壁面を有し、前記第2の金型溝に対して相対的に接近離間する第2のパンチと;
前記第2のダイに重なるように配置された第2のホルダーと;
前記第2の金型溝に対して接近離間する加圧面を有するパッドと;
を備え、
前記第1の金型溝の底面が、前記第1の金型溝の延在方向に沿って縦断面視した途中位置と前記途中位置を間に挟む両隣位置との間で高低差を有し、
前記第1のパンチの加圧面が、前記第1の金型溝の前記底面に対応した高低差を有し、
前記第1の金型溝の前記底面が、前記平面視では凹型湾曲形状でかつ前記縦断面視では凸型湾曲形状をなす第1金型湾曲面、及び、前記平面視では凸型湾曲形状でかつ前記縦断面視では凹型湾曲形状をなす第2金型湾曲面、のうちの少なくとも一方を有し、
前記第2のダイの第1の天板支持面に対する成形下死点での間隙が、前記第2のホルダーの加圧面よりも前記パッドの加圧面の方が大きい
ことを特徴とする構造部材の製造装置。 - 前記第1の金型溝の、前記第1の金型溝の延在方向に直交する断面での内形に沿った断面線長を見たときに、前記途中位置での前記断面線長を前記両隣位置での前記断面線長で除算した比が0.7〜1.3の範囲内にある
ことを特徴とする請求項11項に記載の構造部材の製造装置。 - 前記第1の金型溝の前記底面の、前記第1金型湾曲面及び前記第2金型湾曲面のうちの少なくとも一方において、前記縦断面視における曲率半径R1(mm)で、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径R(mm)を除算したR/R1比が、0.2〜1.2の範囲内にある
ことを特徴とする請求項11または12に記載の構造部材の製造装置。 - 湾曲縁を有する天板部と、前記湾曲縁の延在方向に沿って前記天板部と一体に形成されてかつ前記湾曲縁の延在方向に直交する断面が開断面形状である湾曲補強部とを有する構造部材を、平板素材より製造する装置であって、
平面視で湾曲した第1の金型湾曲縁を含む第2の天板支持面を有する第3のダイと;
前記第2の天板支持面に対して接近離間する第3のホルダーと;
平面視で前記第1の金型湾曲縁に隣接配置された第4の金型溝を有する、第4のダイと;
前記第4の金型溝に対して接近離間する第4のパンチと;
平面視で湾曲した第2の金型湾曲縁を含む第3の天板支持面を有する第5のダイと;
前記第3の天板支持面に対して接近離間する第4のホルダーと;
平面視で、前記第4のホルダーの第3縦壁面に対し水平方向に5mm以上50mm以下の距離を空けて対向配置された第4縦壁面を有する第5のパンチと;
平面視で湾曲した第3の金型湾曲縁を含む第4の天板支持面を有する第6のダイと;
前記第4の天板支持面に対して接近離間する第5のホルダーと;
平面視で前記第3の金型湾曲縁の上に重なる加圧面を有し、前記第6のダイに対して接近離間する第6のパンチと;
を備え、
前記第4の金型溝の底面が、前記第4の金型溝の延在方向に沿って縦断面視した途中位置と前記途中位置を間に挟む両隣位置との間で高低差を有し;
前記第4のパンチの加圧面が、前記第4の金型溝の前記底面に対応した高低差を有し、
前記第4の金型溝の前記底面が、前記平面視では凹型湾曲形状でかつ前記縦断面視では凸型湾曲形状をなす第3金型湾曲面、及び、前記平面視では凸型湾曲形状でかつ前記縦断面視では凹型湾曲形状をなす第4金型湾曲面、のうちの少なくとも一方を有し、
前記第6のダイの前記第4の天板支持面に対する成形下死点での間隙が、前記第5のホルダーの加圧面よりも前記第6のパンチの加圧面の方が大きい
ことを特徴とする構造部材の製造装置。 - 前記第4の金型溝の、前記第4の金型溝の延在方向に直交する断面での内形に沿った断面線長を見たときに、前記途中位置での前記断面線長を前記両隣位置での前記断面線長で除算した比が0.7〜1.3の範囲内にある
ことを特徴とする請求項14に記載の構造部材の製造装置。 - 前記第4の金型溝の前記底面の、前記第3金型湾曲面及び前記第4金型湾曲面のうちの少なくとも一方において、前記縦断面視における曲率半径R1(mm)で、平面視における幅方向中央位置を通る中心線の曲率半径R(mm)を除算したR/R1比が、0.2〜1.2の範囲内にある
ことを特徴とする請求項14または15に記載の構造部材の製造装置。
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