JPWO2020195360A1 - 非浸透性基材用インクジェットインク、画像記録方法、及びラミネート体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
<1> 水と、
架橋された樹脂によって顔料の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料と、
沸点180℃〜200℃のアルカンジオール化合物である溶剤Aと、
沸点70℃〜160℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜160℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方である溶剤Bと、を含有する非浸透性基材用インクジェットインク。
<2> 更に、樹脂粒子及び水溶性樹脂の少なくとも一方である樹脂成分を含有する<1>に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<3> 樹脂成分が、樹脂粒子を含む<2>に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<4> 溶剤A及び溶剤Bの平均SP値から樹脂成分のSP値を差し引いた値が、8.0MPa1/2以上である<2>又は<3>に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<5> 架橋された樹脂のmgKOH/g単位での酸価を、非浸透性基材用インクジェットインクの全量に対する溶剤Bの質量%単位での含有量によって除した値が、7〜15である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<6> 溶剤Bが、沸点70℃〜140℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜140℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<7> 非浸透性基材用インクジェットインクの全量に対する溶剤Bの含有量が、5質量%〜10質量%である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
<8> 非浸透性基材上に、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の非浸透性基材用インクジェットインクをインクジェット法によって付与して画像を記録する工程を含む画像記録方法。
<9> <8>に記載の画像記録方法により、非浸透性基材と非浸透性基材上に配置された画像とを備える画像記録物を得る工程と、
画像記録物の画像が配置された側にラミネート用基材をラミネートしてラミネート体を得る工程と、を含むラミネート体の製造方法。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示において、「画像」とは、非浸透性基材用インクジェットインクを用いて形成される膜全般を意味し、「画像の記録」及び「画像記録」とは、それぞれ、膜の形成及び膜形成を意味する。
また、本開示における「画像」の概念には、ベタ画像(solid image)も包含される。
本開示の非浸透性基材用インクジェットインク(以下、単に「インク」ともいう)は、
水と、
架橋された樹脂によって顔料の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料と、
沸点180℃〜200℃のアルカンジオール化合物である溶剤Aと、
沸点70℃〜160℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜160℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方である溶剤Bと、を含有する。
本開示のインクは、非浸透性基材に対する画像記録において要求されることがある、画像の乾燥性及びラミネート用基材とのラミネート強度を満足するものである。
本開示のインクにおいて、上述した、乾燥性、ラミネート強度、及び吐出休止後の再吐出性の効果が奏される理由は、以下のように推測される。但し、本開示のインクは、以下の理由によって限定されることはない。
溶剤Bが寄与していると考えられる。
詳細には、樹脂被覆顔料における樹脂が架橋されていること、及び、溶剤Bの沸点が比較的低いことにより、非浸透性基材上にインクが付与された際、樹脂被覆顔料が均一に分散され、かつ、溶剤成分の残存が抑制されたインク膜(即ち、画像)が形成されると考えられる。
画像において、樹脂被覆顔料が均一に分散されていること、及び、溶剤成分の残存が抑制されていることが、画像とラミネート用基材とのラミネート強度向上に寄与していると考えられる。
詳細には、架橋されていない樹脂によって顔料の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料、及び、沸点180℃〜200℃の有機溶剤を含有するインクを用いた場合において、インクの吐出休止中、インクジェットヘッドのノズル(吐出孔)の出口付近のインクから水が蒸発して有機溶剤リッチな組成となった場合に、上記出口付近のインク中において、顔料を被覆している樹脂と、沸点180℃〜200℃の有機溶剤とが相互作用することにより、顔料から樹脂が離脱してインクが増粘する場合があると考えられる。出口付近のインクが増粘することにより、吐出休止後の再吐出性が損なわれる場合があると考えられる(後述の比較例3〜5参照)。
本開示のインクでは、顔料を被覆している樹脂が架橋されていること、及び、沸点180℃〜200℃の有機溶剤が、比較的親水性(即ち、SP値)が高いアルカンジオール化合物であることにより、上記出口付近のインクにおいて、顔料からの樹脂の離脱及びインクの増粘が抑制され、その結果、再吐出性の低下が抑制されると考えられる。
また、インクが沸点180℃以上の有機溶剤を含有しない場合には、ノズルの出口付近にインクの乾燥物が残存し易くなり、この乾燥物により、インクの再吐出性が低下する場合があると考えられる(後述の比較例2参照)。
本開示のインクでは、インクが沸点180℃〜200℃のアルカンジオール化合物を含有することにより、ノズル面におけるインクの乾燥物の残存が抑制され、その結果、インクの乾燥物に起因するインクの吐出性及び再吐出性も低下されると考えられる。
本開示のインクは、水を含有する。
即ち、本開示のインクは、いわゆる水系のインクである。
水の含有量は、インクの全量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
インクの全量に対する水の含有量の上限は、他の成分の含有量に応じて適宜定まる。インクの全量に対する水の含有量の上限としては、例えば、90質量%、80質量%等が挙げられる。
本開示のインクは、架橋された樹脂によって顔料の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料(以下、「架橋樹脂被覆顔料」ともいう)を少なくとも1種含有する。
これにより(特に、樹脂が架橋されていることにより)、画像の乾燥性及びラミネート強度が向上され得る。
架橋樹脂被覆顔料における顔料としては、インクの分野において公知の有機顔料及び無機顔料を特に制限なく用いることができる。
顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料;酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料;等が挙げられる。
顔料として、好ましくは、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、又はカーボンブラック顔料である。
顔料については、特許第5404669号公報等の公知文献の記載を適宜参照してもよい。
架橋樹脂被覆顔料における架橋された樹脂は、未架橋樹脂が架橋されることによって形成される。
未架橋樹脂として、好ましくは、水溶性樹脂である。
即ち、架橋樹脂被覆顔料における架橋された樹脂として、好ましくは、架橋された水溶性樹脂である。
「水溶性」として、好ましくは、25℃の水100gに対して3g以上(より好ましくは10g以上)溶解する性質である。
未架橋の水溶性樹脂としては、架橋剤により架橋可能な官能基を有する水溶性樹脂が好ましい。
架橋可能な官能基としては、カルボキシ基又はその塩、イソシアナート基、エポキシ基等が挙げられるが、分散性向上の観点からカルボキシ基又はその塩が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
共重合体に含まれるカルボキシ基含有モノマーに由来する構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、架橋性および分散安定性の観点から、(メタ)アクリル酸又はβ−カルボキシエチルアクリレートが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を包含する概念である。
この場合、共重合体に含まれる疎水性モノマーに由来する構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
疎水性モノマーとしては、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、スチレン、スチレン誘導体、等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーに由来する構造単位と、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び芳香環基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位の少なくとも一方と、を含む共重合体がより好ましく、
(メタ)アクリル酸に由来する構造単位と、芳香環基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位と、を含む共重合体が更に好ましく、
(メタ)アクリル酸に由来する構造単位と、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位と、を含む共重合体が更に好ましい。
本開示において、カルボキシ基含有モノマーに由来する構造単位を、カルボキシ基含有モノマー単位と称することがある。他の構造単位についても同様に称することがある。
架橋された樹脂におけるカルボキシ基含有モノマー単位の含有量の好ましい範囲も、カルボキシ基を有する水溶性樹脂におけるカルボキシ基含有モノマー単位の含有量の好ましい範囲と同様である。
架橋された樹脂における炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単位及び芳香環基を有する(メタ)アクリレート単位の総含有量の好ましい範囲も、カルボキシ基を有する水溶性樹脂における炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単位及び芳香環基を有する(メタ)アクリレート単位の総含有量の好ましい範囲と同様である。
架橋された樹脂における芳香環基を有する(メタ)アクリレート単位の含有量の好ましい範囲も、カルボキシ基を有する水溶性樹脂における芳香環基を有する(メタ)アクリレート単位の総含有量の好ましい範囲と同様である。
また、架橋された樹脂の酸価は、顔料の分散性の観点から、55〜100mgKOH/gが好ましい。
架橋された樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲も、未架橋樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲と同様である。
架橋された樹脂として、好ましくは、架橋剤によって架橋された樹脂である。
架橋剤によって架橋された樹脂は、未架橋樹脂を架橋剤によって架橋することによって形成される。
架橋された樹脂の形成において、架橋剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
架橋剤と未架橋樹脂との好ましい組み合わせは、架橋剤としての、2つ以上のエポキシ基を有する化合物(即ち、2官能以上のエポキシ化合物)と、未架橋樹脂としての、前述のカルボキシ基を有する水溶性樹脂と、の組み合わせである。この組み合わせでは、カルボキシ基を有する水溶性樹脂におけるカルボキシ基と、2つ以上のエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基と、の反応により、架橋構造が形成され、これにより、架橋された樹脂が形成される。かかる架橋構造の形成は、好ましくは、カルボキシ基を有する水溶性樹脂によって顔料を分散させた後(即ち、未架橋樹脂被覆顔料を形成した後)に行われる。
中でも、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが好ましい。
市販品としては、例えば、Denacol EX−321、EX−821、EX−830、EX−850、EX−851(ナガセケムテックス(株)製)等を用いることができる。
体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製)を用いて行う。
本開示のインクは、沸点180℃〜200℃のアルカンジオール化合物である溶剤Aを含有する。
溶剤Aは、主として、吐出休止後のインクの再吐出性向上に寄与する。
詳細には、溶剤Aの沸点が180℃以上であることにより、吐出休止後のインクの再吐出性が向上され得る。
溶剤Aの沸点が200℃以下であることにより、画像の乾燥性が向上され得る。
溶剤Aがアルカンジオール化合物であることにより、吐出休止後のインクの再吐出性が向上され得る。
溶剤AのSP値は、例えば25.0〜50.0であり、好ましくは30.0〜45.0である。
本開示におけるSP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(5)(1993))によって算出するものとする。
具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
本開示のインクは、沸点70℃〜160℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜160℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方である溶剤Bを含有する。
詳細には、溶剤Bが、沸点160℃以下のモノアルコール化合物及び沸点160℃以下のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方であることにより、画像の乾燥性及びラミネート強度が向上され得る。
溶剤Bが、沸点70℃以上のモノアルコール化合物及び沸点70℃以上のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方であることは、インクの吐出性及び再吐出性の点で有利である。
溶剤Bが、モノアルコール化合物及びグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方であることは、インクの吐出性及び再吐出性の点で有利である。
本開示のインクは、溶剤Bを2種以上含有する場合、本開示のインクは、2種以上のモノアルコール化合物を含有してもよいし、2種以上のグリコールモノエーテル化合物を含有してもよいし、1種以上のモノアルコール化合物及び1種以上のグリコールモノエーテル化合物を含有してもよい。
この場合、沸点70℃〜140℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜140℃のグリコールモノエーテル化合物の総含有量は、溶剤Bの総含有量に対し、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは60質量%〜100質量%であり、更に好ましくは80質量%〜100質量%である。
溶剤BのSP値は、例えば15.0〜35.0であり、好ましくは20.0〜30.0である。
溶剤Bの含有量が2質量%以上である場合、画像の乾燥性及びラミネート強度がより向上する。
溶剤Bの含有量が15質量%以下である場合、インクの吐出性及び再吐出性がより向上する。
酸価/溶剤B量比が5以上である場合には、インクの吐出性及び再吐出性がより向上する。
酸価/溶剤B量比が20以下である場合には、画像の乾燥性及びラミネート強度がより向上する。
本開示のインクは、溶剤A及び溶剤B以外のその他の有機溶剤を含有していてもよい。
本開示のインクによる効果をより効果的に得る観点から、本開示のインク中、全ての有機溶剤中に占める溶剤A及び溶剤Bの合計の割合は、好ましくは60質量%〜100質量%であり、より好ましくは80質量%〜100質量%であり、更に好ましくは90質量%〜100質量%である。
本開示のインクは、樹脂粒子及び水溶性樹脂の少なくとも一方である樹脂成分を少なくとも1種含有することが好ましい。
ここでいう樹脂成分とは、樹脂被覆顔料において顔料を被覆している樹脂以外の樹脂成分を意味する。
本開示のインクが樹脂成分を含有する場合には、画像のラミネート強度がより向上する。
この理由は、インクが樹脂成分を含有することにより、非浸透性基材上に付与されたインクの造膜性が高まり、インク膜をより形成しやすくなるためと考えられる。詳細には、溶剤Bの作用により、溶剤成分の残存が抑制された、樹脂成分を含むインク膜(即ち、画像)の形成が促進され、かかる画像が、優れたラミネート強度を示すためと考えられる。
樹脂成分における樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂等が挙げられる。
また、本開示において、ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を含む高分子化合物を意味する。ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸(例えばジカルボン酸)とポリアルコール(例えばジオール)との重縮合物が挙げられる。
また、本開示において、ウレタン樹脂とは、主鎖にウレタン結合を含む高分子化合物を意味する。
また、本開示において、オレフィン樹脂とは、オレフィンを含む原料モノマーの重合体(単独重合体又は共重合体)を意味する。オレフィン樹脂としては、1種のオレフィンの重合体、2種以上のオレフィンの共重合体、1種以上のオレフィンと1種以上のその他のモノマーとの共重合体、等が挙げられる。オレフィンとしては、炭素数2〜30のα−オレフィンが挙げられる。
樹脂成分における樹脂としてのポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、3000〜200000が好ましく、4000〜150000がより好ましく、5000〜100000が更に好ましい。
樹脂成分における樹脂としてのウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、3000〜500000が好ましく、4000〜300000がより好ましく、5000〜200000が更に好ましい。
樹脂成分における樹脂としてのオレフィン樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、3000〜100000が好ましく、3000〜50000がより好ましく、7000〜20000が更に好ましい。
樹脂成分としての水溶性樹脂としては、前述した未架橋樹脂としての水溶性樹脂と同様のものを用いてもよい。
これにより、インクの吐出性及び再吐出性がより向上する。
樹脂成分が樹脂粒子を含む場合、樹脂成分中に占める樹脂粒子の割合は、50質量%超100質量%以下が好ましく、60質量%〜100質量%がより好ましく、80質量%〜100質量%が更に好ましい。
樹脂粒子に含まれる樹脂は、水不溶性の樹脂であることが好ましい。
インクに含有され得る樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含む場合、インクに含有される樹脂粒子に占めるアクリル樹脂粒子の比率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
インクに含有され得る樹脂粒子に占めるアクリル樹脂粒子の比率が60質量%以上である場合には、画像の密着性が更に向上する。
測定装置としては、例えば、粒度分布測定装置「マイクロトラックMT−3300II」(日機装(株)製)が挙げられる。
ガラス転移温度の具体的な測定は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行う。
本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)である。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される樹脂のガラス転移温度より約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し、示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を作成する。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本開示におけるガラス転移温度は、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
脂環式構造としては、炭素数5〜10の脂環式炭化水素構造が好ましく、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、又は、アダマンタン環構造が好ましい。
芳香環式構造としては、ナフタレン環又はベンゼン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
脂環式構造又は芳香環式構造の量としては、例えば、樹脂粒子に含まれる樹脂100gあたり0.01mol〜1.5molであることが好ましく、0.1mol〜1molであることがより好ましい。
イオン性基としては、アニオン性基であってもカチオン性基であってもよいが、導入の容易性の観点から、アニオン性基が好ましい。
アニオン性基としては、特に限定されないが、カルボキシ基、又は、スルホ基であることが好ましく、スルホ基であることがより好ましい。
イオン性基の量としては、例えば樹脂粒子に含まれる樹脂100gあたり0.001mol〜1.0molであることが好ましく、0.01mol〜0.5molであることがより好ましい。
樹脂粒子における樹脂において、ベンジル(メタ)アクリレート単位、フェノキシエチル(メタ)アクリレート単位、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート単位、及び炭素数1〜4のアルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレート単位の総含有量は、樹脂分散剤の全量に対して、好ましくは80質量%〜98質量%であり、好ましくは85質量%〜97質量%であり、更に好ましくは90質量%〜95質量%である。
樹脂粒子における樹脂において、(メタ)アクリル酸単位の含有量は、樹脂分散剤の全量に対して、好ましくは2質量%〜20質量%であり、好ましくは3質量%〜15質量%であり、更に好ましくは5質量%〜10質量%である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCの詳細については、既述した通りである。
樹脂成分のSP値としては特に制限はないが、好ましくは10.0〜30.0であり、より好ましくは15.0〜25.0である。
樹脂成分のSP値が30.0以下である場合には、画像の密着性及び耐擦性(特に、耐擦性)がより向上する。
樹脂成分のSP値が10.0以上である場合には、樹脂成分の選択の幅がより広い。
より詳細には、樹脂成分のSP値は、下記数式1において、Siに、樹脂成分中のi種目(iは1以上の整数を表す)の構造単位のSP値を代入し、Wiに、上記i種目の構造単位の樹脂成分中における含有質量を代入することにより、Xとして求められる値である。
X=ΣSiWi/ΣWi … (数式1)
例えば、SP値15MPa1/2の化合物A(10質量%)と、SP値18MPa1/2の化合物B(20質量%)と、SP値20MPa1/2の化合物C(70質量%)と、を原料として形成される樹脂aのSP値は、下記式により求められる。
樹脂aのSP値(MPa1/2)
=(15MPa1/2×10+18MPa1/2×20+20MPa1/2×70)/(10+20+70)
=19.1MPa1/2
樹脂成分中における構造単位の含有質量の解析は、核磁気共鳴(NMR;nuclear magnetic resonance)によって行う。
SP値差〔溶剤A及びBの平均SP値−樹脂成分のSP値〕が7.0MPa1/2以上である場合には、インクの吐出性及び再吐出性がより向上する。
SP値差〔溶剤A及びBの平均SP値−樹脂成分のSP値〕の上限には特に制限はないが、上限の例として、15.0、14.0、13.5等が挙げられる。
溶剤Aが複数存在する場合には、複数の溶剤Aの個々のSP値を算術平均した値を、「溶剤AのSP値」とする。
溶剤Bが複数存在する場合には、複数の溶剤Aの個々のSP値を算術平均した値を、「溶剤BのSP値」とする。
インクは、上記成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、界面活性剤、コロイダルシリカ、尿素、尿素誘導体、ワックス、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本開示のインクの粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上13mPa・s未満であることがより好ましく、2.5mPa・s以上10mPa・s未満であることが好ましい。
粘度は、粘度計を用い、25℃で測定される値である。
粘度計としては、例えば、VISCOMETER TV−22型粘度計(東機産業(株)製)を用いることができる。
表面張力は、25℃の温度下で測定される値である。
表面張力の測定は、例えば、Automatic Surface Tentiometer CBVP−Z(共和界面科学(株)製)を用いて行うことができる。
インクの25℃におけるpHは、市販のpHメーターを用いて測定する。
本開示の画像記録方法は、非浸透性基材上に、上述した本開示のインクをインクジェット法によって付与して画像を記録する工程(以下、「画像記録工程」ともいう)を含む。
本開示の画像記録方法は、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
また、画像記録工程において、本開示のインクは、非浸透性基材の表面に直接付与されることには限定されない。本開示のインクは、例えば、非浸透性基材上に記録された他の画像上に付与されてもよい。また、本開示のインクは、非浸透性基材上に付与された後述の前処理液上に付与されてもよい。
従って、本開示の画像記録方法によれば、非浸透性基材上に、乾燥性に優れ、かつ、ラミネート用基材とのラミネート強度にも優れる画像を記録できる。更に、本開示の画像記録方法は、吐出休止後のインクの再吐出性にも優れる。
本開示の画像記録方法では、非浸透性基材が用いられる。
非浸透性基材とは、ASTM試験法のASTM D570で吸水率(質量%、24hr.)が0.2未満である基材を指す。
非浸透性基材としては特に制限はないが、樹脂基材が好ましい。
樹脂基材としては、特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂の基材が挙げられる。
樹脂基材としては、例えば、熱可塑性樹脂を、シート状又はフィルム状に成形した基材が挙げられる。
樹脂基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、又はポリイミドを含む基材が好ましい。
ここで、透明とは、波長400nm〜700nmの可視光の透過率が、80%以上(好ましくは90%以上)であることを意味する。
樹脂基材の厚さとしては、10μm〜200μmが好ましく、10μm〜100μmがより好ましい。
表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱処理、摩耗処理、光照射処理(UV処理)、火炎処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
画像記録工程におけるインクの付与方法は、インクジェット法である。
インクジェット法におけるインクの吐出方式には特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
インクジェット法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法も適用できる。
インクジェットヘッドの方式としては、短尺のシリアルヘッドを、被記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、被記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式と、がある。
ライン方式では、記録素子の配列方向と交差する方向に被記録媒体を走査させることで被記録媒体の全面に画像記録を行なうことができる。ライン方式では、シャトル方式における、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、ライン方式では、シャトル方式と比較して、キャリッジの移動と被記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、被記録媒体だけが移動する。このため、ライン方式によれば、シャトル方式と比較して、画像記録の高速化が実現される。
また、画像のムラ、連続階調のつながりを改良する観点から、異なる液適量を組み合わせて吐出することも有効である。
加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
インクの加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、非浸透性基材のインクが付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、非浸透性基材のインクが付与された面に温風又は熱風をあてる方法、非浸透性基材のインクが付与された面又はインクが付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、これらの複数を組み合わせた方法、等が挙げられる。
インクの加熱乾燥の時間には特に制限はないが、3秒〜60秒が好ましく、5秒〜60秒がより好ましく、10秒〜45秒が特に好ましい。
加熱温度としては、適宜設定すればよいが、非浸透性基材の温度を20℃〜50℃とすることが好ましく、25℃〜40℃とすることがより好ましい。
本開示の画像記録方法は、上述した画像記録工程の前に、非浸透性基材上に、インク中の成分を凝集させる凝集剤を含有する処理液を付与する工程(以下、「処理液付与工程」ともいう)を含んでいてもよい。
この場合、画像記録工程では、非浸透性基材の処理液が付与された面の少なくとも一部の上に、上述した本開示のインクを付与して画像を記録する。
本開示の画像記録方法が、上述した第1画像記録工程及び第2画像記録工程を含み、かつ、処理液付与工程を含む場合には、処理液付与工程、第2画像記録工程、及び第1画像記録工程の順に実施されることが好ましい。
塗布法としては、バーコーター(例えばワイヤーバーコーター)、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター等を用いた公知の塗布法が挙げられる。
インクジェット法の詳細については、上述した画像記録工程に適用され得るインクジェット法と同様である。
加熱温度としては、非浸透性基材の温度を20℃〜50℃とすることが好ましく、25℃〜40℃とすることがより好ましい。
処理液の加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
処理液の加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、非浸透性基材の処理液が付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、非浸透性基材の処理液が付与された面に温風又は熱風をあてる方法、非浸透性基材の処理液が付与された面又は処理液が付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、これらの複数を組み合わせた方法、等が挙げられる。
加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、100℃が好ましく、90℃がより好ましく、70℃が更に好ましい。
加熱乾燥の時間には特に制限はないが、0.5秒〜60秒が好ましく、0.5秒〜20秒がより好ましく、0.5秒〜10秒が特に好ましい。
処理液は、インク中の成分を凝集させる凝集剤を含有する。
凝集剤としては、多価金属化合物、有機酸、金属錯体、及び水溶性カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
凝集剤は、有機酸を含むことが好ましい。
多価金属化合物としては、周期表の第2族のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3族の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13族からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。
これらの金属の塩としては、後述する有機酸の塩、硝酸塩、塩化物、又はチオシアン酸塩が好適である。
中でも、好ましくは、有機酸(ギ酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、又は、チオシアン酸のカルシウム塩若しくはマグネシウム塩である。
多価金属化合物は、処理液中において、少なくとも一部が多価金属イオンと対イオンとに解離していることが好ましい。
有機酸としては、酸性基を有する有機化合物が挙げられる。
酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシ基等を挙げることができる。
上記酸性基は、インクの凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
なお、上記酸性基は、処理液中において、少なくとも一部が解離していることが好ましい。
多価カルボン酸としては、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、酒石酸、4−メチルフタル酸、又はクエン酸が好ましく、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタル酸、又はクエン酸がより好ましい。
これにより、カルボキシ基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、ポリマー粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い有機酸性化合物と接触させることにより減じ、分散安定性を低下させることができる。
金属錯体としては、金属元素として、ジルコニウム、アルミニウム、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属錯体が好ましい。
金属錯体としては、配位子として、アセテート、アセチルアセトネート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、オクチレングリコレート、ブトキシアセチルアセトネート、ラクテート、ラクテートアンモニウム塩、及びトリエタノールアミネートからなる群から選択される少なくとも1種を含む金属錯体が好ましい。
水溶性カチオン性ポリマーとしては、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体、ポリ−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、等が挙げられる。
水溶性カチオン性ポリマーについては、特開2011−042150号公報(特に、段落0156)、特開2007−98610号公報(特に、段落0096〜0108)等の公知文献の記載を適宜参照できる。
水溶性カチオン性ポリマーの市販品としては、シャロール(登録商標)DC−303P、シャロールDC−902P(以上、第一工業製薬(株)製)、カチオマスター(登録商標)PD−7、カチオマスターPD−30(以上、四日市合成(株)製)、ユニセンスFPA100L(センカ(株)製)が挙げられる。
インクの凝集速度の観点から、処理液の全量に対する凝集剤の含有量は、0.1質量%〜40質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1質量%〜20質量%であることが更に好ましく、1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
処理液は、水を含有することが好ましい。
水の含有量は、前処理液の全量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
水の含有量の上限は、他の成分の量にもよるが、前処理液の全量に対し、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
処理液は樹脂粒子を含んでもよい。処理液が樹脂粒子を含むことにより、密着性に優れた画像が得られる。
樹脂粒子のガラス転移温度の測定方法は前述したとおりである。
脂環式構造としては、炭素数5〜10の脂環式炭化水素構造が好ましく、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、又は、アダマンタン環構造が好ましい。
芳香環式構造としては、ナフタレン環又はベンゼン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
脂環式構造又は芳香環式構造の量としては、例えば、特定樹脂100gあたり0.01mol〜1.5molであることが好ましく、0.1mol〜1molであることがより好ましい。
イオン性基としては、アニオン性基であってもカチオン性基であってもよいが、導入の容易性の観点から、アニオン性基が好ましい。
アニオン性基としては、特に限定されないが、カルボキシ基、又は、スルホ基であることが好ましく、スルホ基であることがより好ましい。
イオン性基の量としては、特に限定されず、特定樹脂を含む粒子が水分散性の樹脂粒子となる量であれば好ましく使用可能であるが、例えば特定樹脂を含む粒子に含まれる樹脂100gあたり0.001mol〜1.0molであることが好ましく、0.01mol〜0.5molであることがより好ましい。
本開示において、水分散性とは、20℃の水に撹拌後、20℃で60分間放置しても沈殿が確認されないことをいう。
樹脂粒子の水分散液の市販品としては、ペスレジンA124GP、ペスレジンA645GH、ペスレジンA615GE、ペスレジンA520(以上、高松油脂(株)製)、Eastek1100、Eastek1200(以上、Eastman Chemical社製)、プラスコートRZ570、プラスコートZ687、プラスコートZ565、プラスコートRZ570、プラスコートZ690(以上、互応化学工業(株)製)、バイロナールMD1200(東洋紡(株)製)、EM57DOC(ダイセルファインケム社製)等が挙げられる。
前処理液の全量に対する樹脂粒子の含有量は、0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
処理液は、水溶性溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
水溶性溶剤としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。
水溶性溶剤としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等)、ポリアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等)などの多価アルコール;ポリアルキレングリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル等)などの多価アルコールエーテル;特開2011−42150号公報の段落0116に記載の、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、炭素原子数1〜4のアルキルアルコール類、グリコールエーテル類、2−ピロリドン、及びN−メチル−2−ピロリドン;等が挙げられる。
中でも、成分の転写の抑制の観点から、多価アルコール、又は、多価アルコールエーテルが好ましく、アルカンジオール、ポリアルキレングリコール、又は、ポリアルキレングリコールエーテルがより好ましい。
処理液は、界面活性剤の少なくとも1種を含んでもよい。
界面活性剤は、表面張力調整剤又は消泡剤として用いることができる。表面張力調整剤又は消泡剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。中でも、インクの凝集速度の観点から、ノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤が好ましい。
処理液は、必要に応じ、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。
処理液に含有され得るその他の成分としては、固体湿潤剤、コロイダルシリカ、無機塩、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、キレート剤、水溶性カチオン性ポリマー以外の水溶性高分子化合物(例えば、特開2013−001854号公報の段落0026〜0080に記載された水溶性高分子化合物)、等の公知の添加剤が挙げられる。
インクの凝集速度の観点から、処理液の25℃におけるpHは0.1〜3.5であることが好ましい。
処理液のpHが0.1以上であると、非浸透性基材のザラツキがより低減され、画像部の密着性がより向上する。
処理液のpHが3.5以下であると、凝集速度がより向上し、非浸透性基材の表面上におけるインクによるドット(インクドット)の合一がより抑制され、画像のザラツキがより低減される。
処理液の25℃におけるpHは、0.2〜2.0がより好ましい。ここでいう処理液の25℃におけるpHの測定条件は、前述したインクの25℃におけるpHの測定条件と同様である。
前述のとおり、本開示のインク及び画像記録方法によれば、ラミネート用基材とのラミネート強度にも優れる画像を記録できる。
従って、本開示のインク及び本開示の画像記録方法は、非浸透性基材と非浸透性基材上に配置された画像とを備える画像記録物と、画像記録物の画像が配置されている側にラミネートされたラミネート用基材と、を備えるラミネート体の製造に好適に用いられる。
以下、上記ラミネート体の製造方法について説明する。
前述した本開示の画像記録方法により、非浸透性基材と非浸透性基材上に配置された画像とを備える画像記録物を得る工程と、
画像記録物の画像が配置された側にラミネート用基材をラミネートしてラミネート体を得る工程と、を含む。
ラミネート体を得る工程は、上記画像記録物の画像が配置された側にラミネート用基材をラミネートしてラミネート体を得る工程である。
樹脂基材としては特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂からなる基材が挙げられる。
樹脂基材としては、例えば、熱可塑性樹脂をシート状に成形した基材が挙げられる。
樹脂基材は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、又は、ポリイミドを含むことが好ましい。
樹脂基材の厚さとしては、10μm〜200μmが好ましく、10μm〜100μmがより好ましい。
また、上記画像記録物の画像が配置された側に接着層を介してラミネートする場合のラミネートは、押し出しラミネート(即ち、サンドイッチラミネート)等の方法によっても実施できる。
接着層がイソシアネート化合物を含む場合には、この接着層と画像のインク由来層との密着性がより向上するため、ラミネート強度をより向上させることができる。
以下、特に断りのない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、質量%及び質量部を意味する。
「水」としては、イオン交換水を用いた。
SP値の単位は、MPa1/2である。
<架橋樹脂被覆シアン顔料1の水分散物の調製>
以下のようにして、架橋樹脂被覆シアン顔料1の水分散物を調製した。
以下のようにして、カルボキシ基を有する水溶性樹脂分散剤として、樹脂1を合成した。
メタクリル酸(200部)と、ベンジルメタクリレート(800部)と、イソプロパノール(375部)とを混合することにより、モノマー供給組成物を調製した。また、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(22.05部)と、イソプロパノール(187.5部)とを混合することにより、開始剤供給組成物を調製した。
次に、イソプロパノール(187.5部)を窒素雰囲気下、80℃に加温し、そこに、上記モノマー供給組成物及び上記開始剤供給組成物の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた溶液を更に4時間、80℃に保った後、25℃まで冷却した。
冷却後、溶媒を減圧除去することにより、重量平均分子量30000、酸価130mgKOH/gの樹脂1(カルボキシ基を有する水溶性樹脂分散剤)を得た。
上記で得られた樹脂1(150部)中のメタクリル酸量の0.8当量を、水酸化カリウム水溶液を用いて中和した後、上記中和後の樹脂1の濃度が25質量%となるように、更に水を加えて調整し、上記中和後の樹脂1の水溶液を得た。
上記中和後の樹脂1の水溶液(124部)と、ピグメントブルー15:3(シアン顔料)(48部)と、水(75部)と、ジプロピレングリコール(30部)と、を混合し、ビーズミル(ビーズ径0.1mmφ、ジルコニアビーズ)で分散することにより、シアン顔料濃度15質量%の樹脂被覆シアン顔料の未架橋分散物を得た。
この未架橋分散物(136部)に、Denacol EX−321(ナガセケムテックス社製、架橋剤)(1.8部)と、ホウ酸水溶液(ホウ酸濃度:4質量%)(14.3部)とを添加し、50℃にて6時間半反応させた後、25℃に冷却することにより、架橋分散物を得た。次に、得られた架橋分散物に水を加え、撹拌型ウルトラホルダー(ADVANTEC社製)及び限外ろ過フィルター(ADVANTEC社製、分画分子量5万、Q0500076Eウルトラフィルター)を用いて限外ろ過を行った。架橋分散物中のジプロピレングリコール濃度が0.1質量%以下となるように精製した後、顔料濃度が15質量%となるまで濃縮することにより、架橋樹脂被覆シアン顔料1の水分散物(シアン顔料濃度15質量%)を得た。
架橋樹脂被覆シアン顔料1は、架橋剤によって架橋された樹脂1によってシアン顔料の少なくとも一部が被覆されている架橋樹脂被覆顔料である。
架橋樹脂被覆シアン顔料1における架橋樹脂の酸価(即ち、架橋後の樹脂1の酸価)は、60mgKOH/gである(表1参照)。
以下のようにして、樹脂粒子としてのアクリル1が水に分散されている、樹脂粒子の水分散液を調製した。
撹拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコ(反応容器)に、メチルエチルケトン560.0gを仕込んで87℃まで昇温した。次いで反応容器内の還流状態を保ちながら(以下、反応終了まで還流状態を保った)、反応容器内のメチルエチルケトンに対し、メチルメタクリレート220.4g、イソボルニルメタクリレート301.6g、メタクリル酸58.0g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(富士フイルム和光純薬(株)製の重合開始剤;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))2.32gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間撹拌した後に、この1時間撹拌後の溶液に対し、下記工程(1)の操作を行った。
工程(1) … 「V−601」1.16g及びメチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加え、2時間撹拌を行った。
続いて、上記工程(1)の操作を4回繰り返し、次いで、さらに「V−601」1.16g及びメチルエチルケトン6.4gからなる溶液を加えて3時間撹拌を続けた(ここまでの操作を、「反応」とする)。
反応終了後、溶液の温度を65℃に降温し、イソプロパノール163.0gを加えて放冷することにより、共重合体を含む重合溶液(固形分濃度41.0質量%)を得た。
次に、得られた重合溶液317.3gを秤量し、ここに、イソプロパノール46.4g、20質量%無水マレイン酸水溶液1.65g(水溶性酸性化合物、共重合体に対してマレイン酸として0.3質量%相当)、及び2モル/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液40.77gを加え、反応容器内の液体の温度を70℃に昇温した。
次に、70℃に昇温された液体に対し、水380gを10mL/分の速度で滴下し、水分散化を行った(分散工程)。
その後、減圧下、反応容器内の液体の温度を70℃で1.5時間保つことにより、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び水を合計で287.0g留去した(溶剤除去工程)。得られた液体に対し、プロキセルGXL(S)(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製)を0.278g(ポリマー固形分に対してベンゾイソチアゾリン−3−オンとして440質量ppm)添加した。
得られた液体を、1μmのフィルターでろ過し、ろ液を回収することにより、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸ナトリウム(=70/20/5/5[質量比])共重合体からなる樹脂粒子である、アクリル1の水分散液(不揮発分濃度23.2質量%)を得た。アクリル1の体積平均粒径は5.0nmであり、アクリル1の重量平均分子量(Mw)は60000であった。
架橋樹脂被覆シアン顔料1の水分散物、アクリル1の水分散物、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製)、及び水を用い、下記組成を有するインクを調製した。
・架橋樹脂被覆シアン顔料1… 4.0質量%
・プロピレングリコール(PG)(溶剤A、富士フイルム和光純薬(株)製)… 20質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGmME)(溶剤B、富士フイルム和光純薬(株)製)… 6質量%
・アクリル1(樹脂粒子)の水分散液中の固形分(アクリル1)… 6質量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製)… 1質量%
・水… 全体で100質量%となる残量
上記インクを用い、非浸透性基材としての二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚さ40μm、表面処理:コロナ放電処理、フタムラ化学株式会社製)を用い、以下のようにして画像記録を行った。
(1)記録方法
基材を搬送するための搬送系及びインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を用い、非浸透性基材のコロナ放電処理面上にインクをベタ画像状に付与し、付与されたインクを、80℃で30秒間乾燥させることにより、ベタ画像を記録した。上記インクの乾燥は、インクが付与された非浸透性基材をホットプレート上に載置することにより行った。
(2)記録条件
インクジェットヘッド:1200dpi(dot per inch)/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
インク吐出量:4.0pL
駆動周波数:30kHz(基材の搬送速度:635mm/秒)
上記インク又は画像について、以下の評価を行った。
結果を表1に示す。
上記画像記録における上記ベタ画像の記録(即ち、80℃での30秒間の乾燥)から5分経過後の上記ベタ画像上に、上述したOPPフィルムを重ねて密着させ、次いでこのOPPフィルムを剥がした。この際のシアンベタ画像のOPPフィルムへの転写の具合を目視で観察し、下記評価基準に従い、シアンベタ画像の乾燥性を評価した。
下記評価基準において、シアンベタ画像の乾燥性に最も優れるランクは、「5」である。
5:シアンベタ画像の転写が全く見られない。
4:シアンベタ画像の転写がシアンベタ画像全体の5%未満である。
3:シアンベタ画像の転写がシアンベタ画像全体の5%以上10%未満である。
2:シアンベタ画像の転写がシアンベタ画像全体の10%以上15%未満である。
1:シアンベタ画像の転写がシアンベタ画像全体の15%以上である。
A2サイズの記録紙(インクジェット用印画紙、画彩、富士フイルム社製)を用い、上記画像記録と同様の条件で、上記記録紙40枚に対し連続してシアンベタ画像を記録した。以下、シアンベタ画像が形成された記録紙を、「吐出性評価用サンプル」とする。
40枚の吐出性評価用サンプルを目視で観察し、ノズル抜け(即ち、ノズルの吐出不良に起因する画像欠陥)が確認される吐出性評価用サンプルの枚数を調べた。この結果に基づき、下記評価基準に従い、インクの吐出性を評価した。
以下の評価基準において、インクの吐出性に最も優れるランクは、「5」である。
5: ノズル抜けが確認されるサンプルが0枚又は1枚である。
4: ノズル抜けが確認されるサンプルが2枚又は3枚である。
3: ノズル抜けが確認されるサンプルが4枚又は5枚である。
2: ノズル抜けが確認されるサンプルが6枚又は7枚である。
1: ノズル抜けが確認されるサンプルが8枚以上である。
上記吐出性評価における画像記録(インクの吐出)を終了した時点から、24時間、インクの吐出を休止した。
24時間の休止後、再度、インクの吐出を開始し、上記インクの吐出性評価と同様の評価を行い、上記インクの吐出性評価と同様の判断基準により、吐出休止後のインクの再吐出性を評価した。
評価基準において、インクの再吐出性に最も優れるランクは、「5」である。
上記画像記録に従い、非浸透性基材(OPPフィルム)にベタ画像が記録された画像記録物を得た。
上記画像記録物から、全面にベタ画像が設けられている長さ500mm×幅500mmの領域(以下、ラミネート強度評価領域ともいう)を切り出し、ラミネート強度評価サンプルとした。
ラミネート強度評価サンプルにおけるベタ画像上に、ドライラミネート用接着剤(主剤TM−320(イソシアネート化合物)/硬化剤CAT−13B(アルコール化合物)、東洋モートン株式会社製)をバーコーターを用いて塗工し、その上に、ラミネート用基材として、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)フィルム(商品名:パイレンP1128、東洋紡株式会社製、厚さ25μm)を重ねた。この状態で、ラミネート用基材とラミネート強度評価サンプルとを貼り合わせ、ラミネート体を得た。
エージング後のラミネート体から、長さ100mm×幅15mmのサンプル片を切り出した。
次に、サンプル片における長手方向一端から長さ30mmまでの領域における、ラミネート用基材とラミネート強度評価サンプルとを手で剥離した。残りの長さ70mmの領域については、ラミネート用基材とラミネート強度評価サンプルとを貼り合わせたまま残した。
次に、サンプル片における、剥離した部分のラミネート用基材と剥離した部分のラミネート強度評価サンプルとを、反対方向に引っ張る引っ張り試験を実施した。引っ張る方向は、上記残りの長さ70mmの領域(ラミネート用基材とラミネート強度評価サンプルとを貼り合わせたまま残した領域)に対して垂直な方向とした。
この引っ張り試験により、上記残りの長さ70mmの領域における、ラミネート用基材とラミネート強度評価サンプルとを剥離するための剥離強度を求め、得られた剥離強度を、ラミネート強度とした。
得られたラミネート強度に基づき、下記評価基準により、ラミネート強度評価サンプル(即ち、画像記録物)とラミネート用基材とのラミネート強度を評価した。これにより、画像記録物における画像とラミネート用基材とのラミネート強度を評価した。
結果を表1に示す。
なお、上記引っ張り試験は、引っ張り試験機((株)オリエンテック社製 TENSILON RTM−25)を用いて行った。
5:画像記録物とラミネート用基材とのラミネート強度が2N/15mm以上である。
4:画像記録物とラミネート用基材とのラミネート強度が1.5N/15mm以上2N/15mm未満である。
3:画像記録物とラミネート用基材とのラミネート強度が1N/15mm以上1.5N/15mm未満である。
2:画像記録物とラミネート用基材とのラミネート強度が0.5N/15mm以上1N/15mm未満である。
1:画像記録物とラミネート用基材とのラミネート強度が0.5N/15mm未満である。
以下のようにして、上記インクの保存安定性を評価した。
インク調製後、25℃下で1時間静置したインクの粘度(以下、「保存前粘度」とする)、及び、インク調製後、密封した状態で、50℃、14日間の条件下で保存したインクの粘度(以下、「保存後粘度」とする)を、それぞれ測定した。保存前粘度及び保存後粘度は、いずれも、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて、30℃、100rpm(revolutions per minute)の条件で測定した。ここで、密封した状態とは、内容物を容器内に封入した状態であって、内容物を50℃、14日間の条件下で保存した場合の、内容物の質量の減少量が1質量%未満である状態を指す。
保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値を求め、下記評価基準に従い、インクの保存安定性を評価した。
下記評価基準において、インクの保存安定性に最も優れる評点は、「5」である。
5:保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値が、0.3mPa・s未満であった。
4:保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値が、0.3mPa・s以上0.5mPa・s未満であった。
3:保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値が、0.5mPa・s以上1.0mPa・s未満であった。
2:保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値が、1.0mPa・s以上2.0mPa・s未満であった。
1:保存後粘度から保存前粘度を差し引いた値が、2.0mPa・s以上であった。
架橋樹脂被覆顔料における架橋前の樹脂の種類と、架橋樹脂被覆顔料における架橋後の樹脂の酸価と、インク中における溶剤Bの含有量と、の組み合わせを、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
モノマー供給組成物におけるメタクリル酸(200部)及びベンジルメタクリレート(800部)を、メタクリル酸(250部)及びベンジルメタクリレート(750部)にそれぞれ変更したこと以外は樹脂1の合成と同様にして、樹脂2(架橋前の酸価163mgKOH/g)を得た。
溶剤Aの種類及び溶剤Bの種類の組み合わせを、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1又は表2に示すに示す。
樹脂粒子(アクリル1)を、水溶性アクリル樹脂(即ち、非粒子状のアクリル樹脂)であるアクリル2に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
実施例24のインクは、アクリル2の水溶液(東亞合成株式会社製の「アロンA−20L」(アクリル樹脂のMw=500000))を用いて調製した。
樹脂粒子(アクリル1)の種類を、ウレタン樹脂であるウレタン1及びポリエステル樹脂であるポリエステル1にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
樹脂被覆顔料における樹脂の架橋の有無(即ち、架橋又は非架橋)、溶剤Aの有無、溶剤Aの種類、溶剤Bの有無、及び溶剤Bの種類の組み合わせを、表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
・各溶剤の量(%)は、インクの全量に対する含有量(質量%)を意味する。
・(*1)/(*2)は、架橋された樹脂のmgKOH/g単位での酸価(即ち、架橋後の酸価)を、インクの全量に対する溶剤Bの含有量(質量%)によって除した値である。
・PG:プロピレングリコール
・EG:エチレングリコール
・1,2−BDO:1,2−ブタンジオール
・1,3−PDO:1,2−プロパンジオール(比較溶剤;沸点200℃超)
・DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(比較溶剤;非アルカンジオール化合物)
・PGmME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・PGmEE:プロピレングリコールモノエチルエーテル
・PGmPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
・EGmME:エチレングリコールモノメチルエーテル
・EGmEE:エチレングリコールモノエチルエーテル
・EtOH:エタノール
・2−PrOH:2−プロパノール
・1−BuOH:1−ブタノール
・3−MeO−1−BuOH:3−メトキシ−1−ブタノール
・DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(比較溶剤;沸点160℃超)
・DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(比較溶剤;沸点160℃超)
溶剤Bを含有しないインクを用いた比較例1では、画像の乾燥性及びラミネート強度が低下した。
溶剤Aを含有しないインクを用いた比較例2では、インクの再吐出性が低下した。
樹脂被覆顔料における樹脂が架橋されていないインクを用いた比較例3〜5では、画像のラミネート強度及びインクの再吐出性が低下した。
溶剤Aに代えて沸点200℃超の比較溶剤を含有するインクを用いた比較例6では、インクの乾燥性が低下した。
溶剤Bに代えて沸点160℃超の比較溶剤を含有するインクを用いた比較例7及び8では、画像の乾燥性及びラミネート強度が低下した。
溶剤Aに代えて、アルカンジオール化合物以外の溶剤である比較溶剤を用いた比較例9では、画像のラミネート強度が低下した。
、インクの吐出性及び再吐出性がより向上することがわかる。
実施例4及び6の結果から、「(*1)/(*2)」が15以下である場合(実施例4)、インクの保存安定性がより向上することがわかる。
実施例8及び9の結果から、インクの全量に対する溶剤Bの含有量が10質量%以下である場合、インクの吐出性及び再吐出性がより向上することがわかる。
Claims (9)
- 水と、
架橋された樹脂によって顔料の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料と、
沸点180℃〜200℃のアルカンジオール化合物である溶剤Aと、
沸点70℃〜160℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜160℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方である溶剤Bと、を含有する非浸透性基材用インクジェットインク。 - 更に、樹脂粒子及び水溶性樹脂の少なくとも一方である樹脂成分を含有する請求項1に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 前記樹脂成分が、前記樹脂粒子を含む請求項2に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 前記溶剤A及び前記溶剤Bの平均SP値から前記樹脂成分のSP値を差し引いた値が、8.0MPa1/2以上である請求項2又は請求項3に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 前記架橋された樹脂のmgKOH/g単位での酸価を、非浸透性基材用インクジェットインクの全量に対する前記溶剤Bの質量%単位での含有量によって除した値が、7〜15である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 前記溶剤Bが、沸点70℃〜140℃のモノアルコール化合物及び沸点70℃〜140℃のグリコールモノエーテル化合物の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 非浸透性基材用インクジェットインクの全量に対する前記溶剤Bの含有量が、5質量%〜10質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非浸透性基材用インクジェットインク。
- 非浸透性基材上に、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非浸透性基材用インクジェットインクをインクジェット法によって付与して画像を記録する工程を含む画像記録方法。
- 請求項8に記載の画像記録方法により、前記非浸透性基材と前記非浸透性基材上に配置された前記画像とを備える画像記録物を得る工程と、
前記画像記録物の前記画像が配置された側にラミネート用基材をラミネートしてラミネート体を得る工程と、を含むラミネート体の製造方法。
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