JP2024049142A - 画像記録方法 - Google Patents

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    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks

Abstract

【課題】浸透性基材上に、濃度ムラが抑制された画像を記録できる画像記録方法を提供する。【解決手段】搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程と、浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与する工程と、を含み、塗布ローラーのmm単位で表した直径をyとし、処理液のmPa・s単位で表した25℃での粘度をxとした場合に、xが5~100であり、y-25ln(x)の値が90~160である、画像記録方法。【選択図】なし

Description

本開示は、画像記録方法に関する。
近年、色材及び水を含有するインクを記録媒体に付与するインク付与工程と、インク中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、を含む画像記録方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012-25911号公報
しかしながら、搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程と、浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程と、を含む画像記録方法において、画像の濃度ムラが発生する場合があった。画像の濃度ムラの一因は、インクに先立って浸透性基材に付与される処理液の塗布ムラが考えられる。処理液の塗布ムラの一因として、塗布ローラーの外周面からの処理液の離れやすさのバラつき(詳細には、塗布ローラーの回転軸方向の位置についてのバラつき)が考えられる。
処理液の塗布ムラ及び処理液の塗布ムラに起因する画像の濃度ムラは、処理液の塗布時の塗布速度(即ち、浸透性基材の搬送速度)が速くなるにつれ、顕在化する傾向がある。
本開示は、上記事情に鑑みてなされた。
本開示の一態様の課題は、浸透性基材上に、濃度ムラが抑制された画像を記録できる画像記録方法を提供することである。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程と、
浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程と、
を含み、
処理液のmPa・s単位で表した25℃での粘度をxとし、塗布ローラーのmm単位で表した直径をyとした場合に、xが5~100であり、y-25ln(x)の値が90~160である、
画像記録方法。
<2> 凝集剤が、有機酸塩である、<1>に記載の画像記録方法。
<3> インクが付与された領域において、インクの付与質量に対する処理液の付与質量の比が、0.05~0.50である、<1>又は<2>に記載の画像記録方法。
<4> y-25ln(x)の値が、100~160である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の画像記録方法。
<5> 浸透性基材が、紙を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の画像記録方法。
<6> 処理液の塗布時の浸透性基材の搬送速度が、50m/分以上である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の画像記録方法。
本開示の一態様によれば、浸透性基材上に、濃度ムラが抑制された画像を記録できる画像記録方法が提供される。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における「固形分」の語は、溶媒を除く成分を意味し、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も本明細書における「固形分」に含まれる。
本開示において「溶媒」とは、水、有機溶剤、及び水と有機溶剤との混合溶媒を包含する意味で用いられる。
本開示では、アクリル及びメタクリルの双方或いはいずれかを「(メタ)アクリル」と表記する場合がある。例えば「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の双方を含むものである。
本開示では、アクリレート及びメタクリレートの双方或いはいずれかを「(メタ)アクリレート」と表記する場合がある。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、それぞれ、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定されるものとする。
GPCは、HLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZ2000、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ-H(いずれも東ソー社製、4.6mm×15cm)の3本を直列に接続し、溶離液としてNMP(N-メチルピロリドン)を用いて行う。試料濃度を0.3質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、検出器としてはRI(Refractive Index)検出器(示差屈折率検出器)を用いる。また、検量線は、東ソー社製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-80」、「F-20」、「F-4」、「F-2」、「A-5000」、「A-1000」の6サンプルから作製する。
〔画像記録方法〕
本開示の画像記録方法は、
搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程(以下、「処理液塗布工程」ともいう)と、
浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程(以下、「インク付与工程」ともいう)と、
を含み、
処理液のmPa・s単位で表した25℃での粘度をxとし、塗布ローラーのmm単位で表した直径をyとした場合に、xが5~100であり、y-25ln(x)の値(即ち、関係式「y-25ln(x)」の値)が90~160である、
画像記録方法である。
本開示の画像記録方法は、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
本開示の画像記録方法によれば、濃度ムラが抑制された画像を記録できる。
かかる効果が奏される理由は、以下のように推測される。
本開示の画像記録方法は、搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程と、浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程と、を含む態様の画像記録方法(以下、「記録方法A」とする)の範囲に包含される。本開示の画像記録方法は、記録方法Aにおいて、xが5~100であり、y-25ln(x)の値が90~160であるという限定を加えた画像記録方法である。
本開示の画像記録方法では、記録方法A(特に、塗布ローラーによって処理液を塗布する態様の画像記録方法)に特有の問題である、処理液の塗布ムラに起因する画像の濃度ムラが抑制されると考えられる。
記録方法Aでは、処理液の塗布ムラが生じた場合、この塗布ムラに応じ、処理液の上に付与されるインクの凝集の具合にムラが生じ、その結果、画像の濃度ムラが発生すると考えられる。
記録方法Aにおける、処理液の塗布ムラには、処理液の粘度(詳細には、本開示における「x」)と、塗布ローラーの直径(詳細には、本開示における「y」)と、が関係していると考えられる。
詳細には、処理液の粘度(x)が大きい程、処理液の塗布ムラが出やすい傾向がある。
塗布ローラーの直径(y)が小さい程、処理液の塗布ムラが出やすい傾向がある。
本発明者は、記録方法Aの条件を検討するにあたり、xを100以下とし、かつ、関係式「y-25ln(x)」の値を90以上に限定することで処理ムラを抑制できるとの知見を得た。
本開示の画像記録方法は、上記知見に基づく。
詳細には、本開示の画像記録方法では、xが100以下であり、かつ、関係式「y-25ln(x)」の値が90以上であることにより、処理液の粘度(x)が大きくなりすぎることが抑制され、かつ、塗布ローラーの直径(y)が小さくなりすぎることが抑制され、その結果、処理液の塗布ムラが抑制されると考えられる(後述の各実施例、並びに、比較例2及び3参照)。
また、xが5未満である場合には、処理液の塗布ムラへの影響は少ないものの、浸透性基材に付与される処理液の実効的な付与量が不足する傾向となり、その結果、画像の濃度ムラが発生すると考えられる(後述の比較例1参照)。
以上のようにして、本開示の画像記録方法によれば、処理液の塗布ムラが抑制され、その結果、処理液の塗布ムラに起因する画像の濃度ムラが抑制されると考えられる。
<関係式「y-25ln(x)」の値>
本開示において、関係式「y-25ln(x)」の値は、90~160である。
関係式「y-25ln(x)」の値が90以上であることにより、処理液の塗布ムラが抑制され、その結果、処理液の塗布ムラに起因する画像の濃度ムラが抑制される。
関係式「y-25ln(x)」の値の上限160は、処理液の塗布ムラ及び画像の濃度ムラではなく、実施可能性(例えば、画像記録装置の大きさの制約等)を考慮して設定された上限である。
関係式「y-25ln(x)」の値は、好ましくは100~160である。
<処理液の粘度(x)>
本開示において、処理液の粘度(x)(即ち、処理液の、mPa・s単位で表した25℃での粘度)は、5~100である。
xが5以上であることにより、画像の濃度ムラが抑制される。
xが100以下であることにより、処理液の塗布ムラ及び画像の濃度ムラが抑制される。
xは、好ましくは10~90、より好ましくは10~80である。
本開示において、処理液の粘度(x)は、25℃の条件下で粘度計(例えばVISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて測定された値を意味する。
<塗布ローラーの直径(y)>
本開示において、塗布ローラーの直径(y)は、x及び「y-25ln(x)」の値が前述した範囲となる限り、特に制限はない。
yは、好ましくは100~300、より好ましくは120~300、更に好ましくは140~270、更に好ましくは180~220である。
以下、本開示の画像記録方法の各工程について説明する。
<処理液塗布工程>
処理液塗布工程は、搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程である。
(浸透性基材)
本開示の画像記録方法では、浸透性基材に対し、処理液及びインクの付与が順次を行われ、浸透性基材上に画像が記録される。
本開示において、浸透性基材とは、ASTM試験法のASTM D570で吸水率(単位:質量%、測定時間:24時間)が0.2以上である基材を指す。
浸透性基材は、画像の画質をより向上させる観点から、水の吸収係数Kaが0.05mL/m・ms1/2以上であることが好ましい。
浸透性基材の水の吸収係数Kaは、0.05mL/m・ms1/2~0.5mL/m・ms1/2がより好ましく、0.1mL/m・ms1/2~0.4mL/m・ms1/2が更に好ましく、0.2mL/m・ms1/2~0.3mL/m・ms1/2が更に好ましい。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義である。吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機社製)を用いて接触時間100msと接触時間900msとにおける水の転移量の差から算出される値である。
浸透性基材は、紙を含むことが好ましい。
この場合、浸透性基材は、紙のみからなる浸透性基材(例えば、上質紙、中性紙、等)であってもよいし、紙と塗工層とを含む浸透性基材(例えば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、等)であってもよい。
塗工層は、無機顔料を含むことが好ましい。
無機顔料としては特に制限はないが、シリカ、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及び珪藻土から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、シリカ、及びカオリンがより好ましい。
紙を含む浸透性基材としては、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば;
王子製紙社製の「OKプリンス上質」、日本製紙社製の「しらおい」、日本製紙社製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A);
日本製紙社製の「シルバーダイヤ」等の上質コート紙;
王子製紙社製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙社製の「オーロラS」等の微塗工紙;
王子製紙社製の「OKコートL」及び日本製紙社製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3);
王子製紙社製の「OKトップコート+」及び日本製紙社製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2);
王子製紙社製の「OK金藤+」及び三菱製紙社製の「特菱アート」等のアート紙(A1);
インクジェット記録用の各種写真専用紙;
王子製紙社製の「ボンアイボリー」;
Intemational社製の「CalolinaC2S」;
Metsaboard社製の「CartaIntegra」;
YUPO社製の「VJFPシリーズ」;
Sappi社製の塗工紙である「MAGNO(登録商標)Gross」;
などが挙げられる。
(浸透性基材の搬送速度(処理液の塗布速度))
前述した記録方法Aにおいて、処理液の塗布ムラ及び処理液の塗布ムラに起因する画像の濃度ムラは、処理液の塗布時の浸透性基材の搬送速度(以下、「処理液の塗布速度」ともいう)が速くなるにつれ、顕在化する傾向がある。
特に、処理液の塗布速度が50m/分以上である場合に、記録方法Aにおける、処理液の塗布ムラ及び画像の濃度ムラが顕著となる傾向がある。
このため、本開示の画像記録方法において、処理液の塗布速度が50m/分以上である場合には、x及び「y-25ln(x)」を規定したことによる効果が一層効果的に奏されることになる。
以上の点から、本開示の画像記録方法における処理液の塗布速度(即ち、処理液の塗布時の浸透性基材の搬送速度)は、好ましくは50m/分以上、より好ましくは60m/分以上である。
更に、装置上の制約を考慮すると、処理液の塗布速度は、好ましくは50m/分~350m/分、より好ましくは60m/分~300m/分である。
(塗布ローラー)
本開示の画像記録方法では、処理液の塗布に、塗布ローラーが用いられる。
塗布ローラーを用いた処理液の塗布では、塗布ローラーの外周面に付与された処理液が、浸透性基材に転写される。
塗布ローラーとしては、公知の塗布ローラーの中から選択することができる。
塗布ローラーの直径(y)の好ましい範囲は前述したとおりである。
塗布ローラーの外周面の材質としては、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、シリコンゴムなどのゴムが挙げられる。
塗布ローラーの外周面以外の材質としては、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。
塗布ローラーは、この塗布ローラーの外周面に処理液を供給するための供給ローラー(例えば、アニロックスローラー)とともに用いられてもよい。
(処理液の付与質量)
浸透性基材に対する処理液の付与質量(即ち、塗布量)には特に制限はない。
処理液の付与質量は、好ましくは0.1g/m~10g/m、より好ましくは0.5g/m~6.0g/m、更に好ましくは1.0g/m~4.0g/m、更に好ましくは1.5g/m~3.0g/mである。
(処理液の加熱乾燥)
処理液塗布工程では、浸透性基材上に塗布された処理液を加熱乾燥させてもよい。
処理液の加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤー等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
処理液の加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、
浸透性基材の処理液が付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、
浸透性基材の処理液が付与された面に温風又は熱風をあてる方法、
浸透性基材の処理液が付与された面又は処理液が付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、
これらの複数を組み合わせた方法、
等が挙げられる。
処理液の加熱乾燥時の加熱温度は、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、例えば100℃が挙げられ、70℃が好ましく、60℃がより好ましい。
加熱乾燥の時間には特に制限はないが、0.5秒~60秒が好ましく、0.5秒~20秒がより好ましく、0.5秒~10秒が特に好ましい。
(処理液)
本開示における処理液は、水及び凝集剤を含有する。
-水-
本開示における処理液は、水を含有する。
水の含有量は、特に制限はないが、処理液の全量に対し、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
水の含有量の上限は、他の成分の含有量にもよるが、例えば、99質量%、90質量%、80質量%等である。
-凝集剤-
本開示における処理液は、凝集剤を少なくとも1種含有する。
凝集剤は、インク中の成分を凝集させる化合物である。
浸透性基材上に、処理液及びインクをこの順に付与して画像を記録することにより、処理液中の凝集剤によってインク中の成分が凝集し、画質に優れた画像が得られる。
凝集剤としては、例えば、国際公開第2019/004485号、国際公開第2019/150878号、国際公開第2019/163581号等に記載の公知の凝集剤が挙げられる。
凝集剤としては、有機酸、有機酸塩、多価金属化合物、金属錯体、及びカチオンポリマー等が挙げられる。
--有機酸--
有機酸としては、酸性基を有する有機化合物が挙げられる。
酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、及びカルボキシ基が挙げられる。
中でも、インクの凝集速度の観点から、酸性基は、リン酸基又はカルボキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
有機酸としての、カルボキシ基を有する有機化合物としては、(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸(好ましくは、DL-リンゴ酸)、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸、4-メチルフタル酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸及びニコチン酸が挙げられる。
中でも、ギ酸、酢酸、又は乳酸が好ましい。
--有機酸塩--
有機酸塩としては、上記有機酸の塩が挙げられる。
塩としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩がより好ましい。
有機酸塩としては、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、又は乳酸カルシウムが好ましく、ギ酸カルシウムが最も好ましい。
多価金属化合物、金属錯体、及びカチオンポリマーについては、例えば、国際公開第2020/195360号の段落0122~0130の記載を参照できる。
本開示の画像記録方法による効果がより効果的に奏される観点から、凝集剤としては、有機酸塩が特に好ましい。
処理液中における凝集剤の含有量は、前処理液の全量に対し、好ましくは0.1質量%~30質量%、より好ましくは1質量%~20質量%、更に好ましくは1質量%~10質量%である。
-水溶性有機溶剤-
本開示における処理液は、水溶性有機溶剤を少なくとも1種含有してもよい。
これにより、処理液の表面張力が低減され、処理液の付与適性(例えば塗布適性)が向上する。
水溶性の定義については後述する。
処理液中の水溶性有機溶剤は、画像のスジ及び滲みをより抑制する観点から、
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(好ましくは、アルキルエーテル構造中のアルキル基の炭素数が1~6であるジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル))、
トリエチレングリコールモノアルキルエーテル(好ましくは、アルキルエーテル構造中のアルキル基の炭素数が1~6であるトリエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル))、
プロピレングリコールモノアルキルエーテル(好ましくは、アルキルエーテル構造中のアルキル基の炭素数が1~6であるプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル))、
ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、及び
トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(好ましくは、アルキルエーテル構造中のアルキル基の炭素数が1~6であるトリエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル))
からなる群より選ばれる少なくとも1種である有機溶剤S1を含むことがより好ましい。
有機溶剤S1は、水溶性有機溶剤のその他の例であるアルキレングリコール(例えばプロピレングリコール)と比較して疎水的な(即ち、SP(Solvent Parameter)値が低い)水溶性有機溶剤である。処理液中の水溶性有機溶剤が、かかる有機溶剤S1を含む場合には、処理液中の水溶性有機溶剤が有機溶剤S1を含まずアルキレングリコールを含む場合と比較して、インクによって形成される膜(即ち、画像)の膜質が向上し、その結果、画像のスジ及び滲みがより抑制されると考えられる。
処理液中の水溶性有機溶剤中に占める有機溶剤S1の割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは60質量%~100質量%であり、更に好ましくは80質量%~100質量%である。
処理液中における水溶性有機溶剤の含有量は特に制限されないが、処理液全量に対して、好ましくは0.1質量%~30質量%、より好ましくは0.5質量%~15質量%、更に好ましくは1質量%~10質量%である。
-増粘剤-
本開示における処理液は、増粘剤を少なくとも1種含有してもよい。
本開示における処理液が増粘剤を含有する場合には、処理液の粘度をより調整しやすい。
増粘剤としては、例えば、水溶性樹脂、多糖類(アラビアガム、グアーガムなど)等が挙げられる。中でも、水溶性樹脂が好ましい。
水溶性樹脂における「水溶性」の定義は後述する。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。水溶性樹脂としては、特開2016-193980号に記載の特定高分子化合物、特開2013-001854号公報の段落0026~0080に記載された水溶性高分子化合物等も挙げられる。
増粘剤の数平均分子量は、好ましくは5000~300000、より好ましくは5000~200000、更に好ましくは10000~100000、更に好ましくは10000~50000である。
本開示における処理液が、水溶性有機溶剤及び増粘剤を含有する場合、凝集剤の含有質量に対する水溶性有機溶剤及び増粘剤の合計含有量の比率(即ち、含有質量比〔(水溶性有機溶剤+増粘剤)/凝集剤〕)は、好ましくは0.5~2.5、より好ましくは0.5~1.5である。
本開示における処理液が増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有量は、処理液の全量に対し、好ましくは0質量%超18質量%以下、より好ましくは0.1質量%~17質量%、更に好ましくは0.3質量%~15質量%である。
-その他成分-
本開示における処理液は、上記の成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、樹脂、消泡剤、含窒素ヘテロ環化合物等が挙げられる。
-処理液の物性-
処理液の表面張力としては、特に制限はなく、例えば、20mN/m以上とすることができる。浸透性基材に対する塗布性の観点から、20mN/m~60mN/mがより好ましく、25mN/m~45mN/mがさらに好ましい。
処理液の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定される値である。
処理液のpH(25℃±1℃)は、インクの凝集速度の観点から、7.0以下の範囲が好ましく、1.0~7.0がより好ましく、2.0~6.5がより好ましく、3.0~6.0が更に好ましい。
pHは、25℃環境下において、処理液を25℃に調温した状態でpHメータ(例えば、東亜DDK社製のWM-50EG)を用いて測定される値である。
<インク付与工程>
本開示の画像記録方法は、インク付与工程を含む。
インク付与工程は、浸透性基材上における処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程である。
インクの好ましい態様については後述する。
インクジェット法におけるインクの吐出方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
インクジェット法としては、特に、特開昭54-59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力により、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
インクジェット法として、特開2003-306623号公報の段落番号0093~0105に記載の方法も適用できる。
インクジェットヘッドの方式としては、短尺のシリアルヘッドを、浸透性基材の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、浸透性基材の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式と、がある。
ライン方式では、記録素子の配列方向と交差する方向に浸透性基材を走査させることで浸透性基材の全面に画像記録を行うことができる。ライン方式では、シャトル方式における、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、ライン方式では、シャトル方式と比較して、キャリッジの移動と浸透性基材との複雑な走査制御が不要になり、浸透性基材だけが移動する。このため、ライン方式によれば、シャトル方式と比較して、画像記録の高速化が実現される。
インクの付与は、300dpi以上(より好ましくは600dpi以上、更に好ましくは800dpi以上)の解像度を有するインクジェットヘッドを用いて行うことが好ましい。ここで、dpiは、dot per inchの略であり、1inch(1インチ)は2.54cmである。
インクジェットヘッドのノズルから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点から、1pL(ピコリットル)~10pLが好ましく、1.5pL~6pLがより好ましい。
また、画像のムラ、連続階調のつながりを改良する観点から、異なる液適量を組み合わせて吐出することも有効である。
インク付与工程では、浸透性基材上に付与されたインクを加熱乾燥させてもよい。
インクの加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤー等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
インクの加熱乾燥を行うための方法としては、例えば、
浸透性基材のインクが付与された面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、
浸透性基材のインクが付与された面に温風又は熱風をあてる方法、
浸透性基材のインクが付与された面又はインクが付与された面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、
これらの複数を組み合わせた方法、
等が挙げられる。
インクの加熱乾燥時の加熱温度は、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。
加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、例えば150℃が挙げられ、140℃が好ましく、130℃がより好ましい。
加熱乾燥の時間には特に制限はないが、0.5秒~60秒が好ましく、0.5秒~20秒がより好ましい。
<付与質量比〔処理液/インク〕>
本開示の画像記録方法において、付与質量比〔処理液/インク〕(即ち、画像が記録される領域における、インクの付与質量に対する処理液の付与質量の比)は、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、好ましくは0.01~0.80、より好ましくは0.05~0.50、更に好ましくは0.08~0.50である。
<インク>
本開示におけるインクは、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有する。
(水)
本開示におけるインクは、水を含有する。
水の含有量は、特に制限はないが、インクの全量に対し、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
水の含有量の上限は、他の成分の含有量にもよるが、例えば、99質量%、90質量%、80質量%等である。
(水溶性有機溶剤)
本開示におけるインクは、水溶性有機溶剤を少なくとも1種含有する。
これにより、インクジェットヘッドからの吐出性(以下、単に、「インクの吐出性」ともいう)が確保される。
本開示において、水溶性有機溶剤における「水溶性」とは、20℃の100gの水に5g以上溶解する性質をいう。
水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール);糖アルコール;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1~4のアルキルアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン等のアミド化合物;などが挙げられる。
水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性有機溶剤は、110℃~240℃の沸点を有する第1有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤が第1有機溶剤を含むことにより、高沸点溶剤(例えば245℃~300℃の沸点を有する第2有機溶剤)の含有量を相対的に減らすことができる。これにより、乾燥性が向上し、画像のベタツキを改善できる。
110℃~240℃の沸点を有する第1有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール(198℃)、プロピレングリコール(188℃)、ジプロピレングリコール(230℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(124℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(162℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(120℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(188℃)、N-メチルピロリドン(202℃)等が挙げられる。
245℃~300℃の沸点を有する第2有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール(245℃)、グリセリン(290℃)、2-ピロリドン(245℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(248℃)等が挙げられる。
第1有機溶剤及び第2有機溶剤は、ヘッドメンテナンス性の観点から、アルコール系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤が好ましい。アルコール系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤は、ポリマー成分と相互作用しやすいアミド系有機溶剤(例えば2-ピロリドン等)に比べ、インクジェットヘッドの内部に付着し難いので、インクジェットヘッドのメンテナンス性が良好になる。
アルコール系有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
エーテル系有機溶剤としては、例えば、上記のエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール又はグリセリンのアルキルエーテル等が挙げられる。
エーテル系有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のアルキルエーテルを挙げることができる。
本開示では、第1有機溶剤及び第2有機溶剤は、各々、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びグリセリン並びにこれらのアルキルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルコール系有機溶剤であることが好ましい。
水溶性有機溶剤が第1有機溶剤を含む場合、第1有機溶剤の含有量(S)に対する第2有機溶剤の含有量(S)の質量比(S/S)は、0~0.3の範囲が好ましい。S/Sが上記範囲内であると、沸点の高い有機溶剤の量が低く抑えられるので、乾燥後の画像のベタツキが抑制される。
/Sとしては、上記と同様の理由から、0~0.2の範囲がより好ましい。
本開示におけるインクは、本開示における効果を著しく損なわない範囲で、上記の水溶性有機溶剤以外の他の有機溶剤を含有してもよい。
第1の有機溶剤及び第2の有機溶剤のインク中における総量は、インクの全量に対して、5質量%~30質量%であることが好ましい。
第1の有機溶剤及び第2の有機溶剤の総量が上記範囲内であると、有機溶剤量が低く抑えられるので、乾燥後の画像のベタツキが抑制される。また、第1の有機溶剤及び第2の有機溶剤の総量が5質量%以上であることで、インクジェットヘッド内の空気界面で生じるインクの固化物に起因した吐出孔の詰まりの発生が抑制され、吐出性が良好になる。
第1の有機溶剤及び第2の有機溶剤の総量としては、上記と同様の理由から、7.5質量%~40質量%がより好ましく、10質量%~30質量%が更に好ましい。
(着色剤)
本開示におけるインクは、着色剤を少なくとも1種含有する。
着色剤は、染料及び顔料が挙げられ、顔料が好ましい。
顔料には、有機顔料及び無機顔料が含まれる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックが挙げられる。中でも、アゾ顔料、又は多環式顔料が好ましい。
アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料が挙げられる。
多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックが挙げられる。
顔料の具体例は、特開2007-100071号公報の段落0142~0145に記載の顔料等が挙げられる。
顔料の体積平均粒子径としては、10nm~200nmが好ましく、10nm~150nmがより好ましく、10nm~100nmが更に好ましい。体積平均粒子径が200nm以下であると、色再現性が良好になり、インクジェット法で画像を記録する場合は打滴特性が良好になる。また、体積平均粒子径が10nm以上であると、耐光性が良好になる。
また、インク中の顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ顔料を2種以上混合して用いてもよい。
インク中の顔料の体積平均粒子径及び粒径分布は、光散乱を用いた粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のマイクロトラックUPA(登録商標)EX150)によって測定される値である。
顔料のインク中における含有量は、特に制限されず、目的及び用途等に合わせて適宜選択すればよい。顔料のインク中における含有量としては、着色性、保存安定性の観点から、インクの全量に対して、1質量%~20質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましい。
(樹脂)
本開示におけるインクは、樹脂を含有する。
インクに含有される樹脂は、好ましくは、顔料を分散させるための顔料分散樹脂、水溶性樹脂、及び樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1種である。
顔料分散樹脂、水溶性樹脂、及び樹脂粒子については、それぞれ、国際公開第2022/097503号の記載を適宜参照できる。
インク中における樹脂の含有量は、インクの全量に対して、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%、更に好ましくは1質量%~10質量%である。
-顔料分散樹脂-
顔料分散樹脂は、顔料の表面の一部又は全部を被覆し、顔料を分散させる分散剤として機能する。
顔料分散樹脂は、アニオン性基を少なくとも1種含むことが好ましい。これにより、水及び水溶性有機溶剤を含むインク中において、疎水的な顔料の分散性をより高めることができる。
顔料分散樹脂に含まれ得るアニオン性基としては、酸基(例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等)、及び、酸基の塩(例えば、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、リン酸基の塩)が挙げられる。
顔料分散樹脂に含まれ得るアニオン性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
顔料分散樹脂に含まれ得るアニオン性基の好ましい態様は、後述する水溶性樹脂X1に含まれ得るアニオン性基の好ましい態様と同様である。
顔料分散樹脂におけるアニオン性基は、アニオン性基を含む重合性モノマーを重合させることにより顔料分散樹脂の構造中に導入されてもよい。
即ち、顔料分散樹脂は、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構造単位を含んでいてもよい。
アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構成単位の具体例を以下に示す。
但し、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構成単位は、これらに限られるものではない。
例えば、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構成単位としては、以下の各具体例の構造単位中の酸基(例えば-COOH)が中和され、酸基の塩(例えば-COONa)となっている構造単位も挙げられる。
また、顔料の表面の一部又は全部を被覆している顔料分散樹脂において、複数の「アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構成単位」が、架橋剤によって架橋されていてもよい。
かかる態様の顔料分散樹脂は、例えば、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構成単位を含む未架橋の顔料分散樹脂によって顔料を分散させ、次いで、顔料の少なくとも一部を被覆している上記未架橋の顔料分散樹脂を、架橋剤によって架橋させることによって形成され得る(例えば、特許第4964165号公報参照)。
顔料分散樹脂がアニオン性基を含む重合性モノマー由来の構造単位を含む場合、顔料分散性の観点から、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構造単位の含有量は、顔料分散樹脂の全量に対して、5質量%~40質量%が好ましく、8質量%~20質量%がより好ましい。
顔料分散樹脂は、芳香環を含むことが好ましい。
顔料分散樹脂が芳香環を含む場合には、顔料分散樹脂がより疎水的になる傾向がある。その結果、顔料分散樹脂が顔料の表面の一部又は全部を被覆しやすくなり、顔料の水中における安定性がより高められる。
本開示において、芳香環とは、芳香族性をもつ環状不飽和環を意味する。
顔料分散樹脂に含まれ得る芳香環としては、例えば;
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等の芳香族炭化水素環;
ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾリル環、アクリドン環等の複素芳香族環;
などが挙げられる。
中でも、芳香族炭化水素環が好ましい。
顔料分散樹脂における芳香環は、芳香環を含む重合性モノマーの重合によって顔料分散樹脂の構造中に導入されてもよい。言い換えれば、顔料分散樹脂は、芳香環を含む重合性モノマーに由来する構造単位を含んでもよい。
芳香環を含む重合性モノマーとしては、芳香環及びエチレン性不飽和二重結合を含む重合性モノマーが好ましく、芳香環を含むビニル重合性モノマーがより好ましい。
芳香環を含む重合性モノマーの例としては、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピリジン、ジアリルフタレート等、及び、芳香環を含む(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等)等が挙げられる。
芳香環を含む重合性モノマーは、無置換でもよいし、置換基で置換された置換重合性モノマーでもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、カルボン酸基、水酸基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~12(好ましくは炭素数1~8)のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル等が挙げられる。アルキル基は、無置換でもよいし、上記と同様の置換基を有していてもよい。
芳香環を含む重合性モノマー由来の構造単位の具体例を以下に示す。本開示では、以下の具体例に限られるものではない。なお、各構造中の「*」は、結合手を示す。また、「iBu」はイソブチルを表し、「nBu」はノルマルブチルを表し、「tBu」はターシャルブチルを表す。
芳香環を含む重合性モノマー由来の構造単位の含有量は、顔料分散樹脂の全量に対し、50質量%~85質量%が好ましく、60質量%~80質量%がより好ましい。
顔料分散樹脂は、芳香環を含む重合性モノマー由来の構成単位以外に、芳香環を含まない重合性モノマー由来の構成単位を含むことができる。
芳香環を含まない重合性モノマー由来の構成単位としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート等を好適に挙げることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル部位の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
顔料分散樹脂の具体例としては、以下の共重合体を挙げることができる。共重合体中のモノマーの質量比率は、重量平均分子量の範囲を満たす範囲で適宜選択することができる。なお、本開示は、以下の具体例に限られるものではない。
・ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
・スチレン/アクリル酸/アクリル酸ステアリル共重合体
・スチレン/アクリル酸/メタクリル酸ステアリル共重合体
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸ステアリル共重合体
・フェノキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸ステアリル共重合体
・フェノキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸ステアリル/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
顔料分散樹脂の酸価は、顔料の分散性、分散安定性の観点から、50mgKOH/g~180mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g~150mgKOH/gであることがより好ましく、50mgKOH/g~120mgKOH/gが更に好ましい。
酸価は、指示薬の滴定により測定することができ、日本工業規格(JIS)K0070:1992に記載の方法により測定される値である。
顔料分散樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、1,000~100,000が好ましく、10,000~50,000がより好ましい。
顔料分散樹脂のインク中における含有量は、顔料の分散性を良好にする観点から、顔料量に対して、10質量%~80質量%が好ましく、25質量%~70質量%がより好ましい。
-水溶性樹脂-
水溶性樹脂は、水溶性を有する樹脂である。
本開示において、水溶性樹脂における「水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解量が1g以上である性質を意味する。水溶性樹脂における「水溶性」として、好ましくは、25℃の水100gに対する溶解量が3g以上(より好ましくは10g以上)である性質である。
水溶性樹脂は、炭素数1~3のアルキル基、アニオン性基、及び環状構造を含む水溶性樹脂X1を含むことが好ましい。
-炭素数1~3のアルキル基-
水溶性樹脂X1における炭素数1~3のアルキル基は、メチル基、エチル基、又はプロピル基(即ち、n-プロピル基、i-プロピル基)であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
水溶性樹脂X1は、炭素数1~3のアルキル基を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
水溶性樹脂X1における炭素数1~3のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基を含む重合性モノマーを重合させることにより水溶性樹脂X1の構造中に導入されてもよい。
即ち、水溶性樹脂X1は、炭素数1~3のアルキル基を含む重合性モノマー由来の構造単位を含んでもよい。
画像のラミネート適性をより向上させる観点から、炭素数1~3のアルキル基を含む重合性モノマーとしては、アルキルエステル構造中のアルキル基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸アルキルエステル〔以下、「(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル」ともいう〕が好ましい。
(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステルは、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、又は(メタ)アクリル酸i-プロピルである。
(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステルとしては、メタクリル酸C1-3アルキルエステルが好ましい。
水溶性樹脂X1が(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル単位を含む場合、水溶性樹脂X1における(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル単位は、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
水溶性樹脂X1における(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル単位の含有量は、水溶性樹脂X1の全量に対し、3質量%~80質量%であることが好ましく、3質量%~50質量%であることがより好ましく、5質量%~50質量%であることが更に好ましい。
-アニオン性基-
水溶性樹脂X1におけるアニオン性基としては、酸基(例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等)、及び、酸基の塩(例えば、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、リン酸基の塩)が挙げられる。
水溶性樹脂X1に含まれるアニオン性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水溶性樹脂X1は、アニオン性基として、酸基と酸基の塩とを両方含んでいてもよい。
酸基の塩(例えば、カルボキシ基の塩、スルホ基の塩、及びリン酸基の塩)は、酸基(例えば、カルボキシ基、スルホ基、及びリン酸基)が中和剤によって中和されることにより形成され得る。
酸基の中和は、酸基を含む重合性モノマーを重合させる前に行ってもよいし、上記重合性モノマーを重合させた後に行ってもよい。
酸基を中和するための中和剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩基、及び有機アミン等の有機塩基が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、カリウム(K)、ナトリウム(Na)が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、アンモニア、1級アミン(例えば、エチルアミン、モノエタノールアミン等)、2級アミン(例えば、ジエチルアミン、エチレンジアミン等)、3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、イソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン等)、4級アンモニウム塩が挙げられる。中でも、有機アミンとしては、保存安定性の観点から、沸点が80℃以上である有機アミンが好ましい。
保存安定性の観点から、中和剤としては、アルカリ金属の水酸化物又は有機アミンが好ましく、アルカリ金属の水酸化物又は沸点が80℃以上である有機アミンがより好ましい。
沸点が80℃以上である有機アミンとしては、例えば、エチレンジアミン(117℃)、トリエチルアミン(90℃)、モノエタノールアミン(170℃)、トリエタノールアミン(208℃)、イソプロピルエチルアミン(127℃)、ピロリジン(87℃)、ピペリジン(106℃)等が挙げられる。
水溶性樹脂X1は、インクの増粘作用を良好に発現させ、画像のスジをより抑制する観点から、アニオン性基として、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の少なくとも一方を含むことが好ましい。
この場合、カルボキシ基及びカルボキシ基の塩の合計に対するカルボキシ基の塩の割合(モル%;以下、中和度ともいう)は、好ましくは40モル%以上であり、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、80モル%以上が更に好ましい。
また、中和度の上限は、100モル%とすることができる。
水溶性樹脂X1に含まれ得るアニオン性基は、アニオン性基を含む重合性モノマーを重合させること(及び、必要に応じ、中和剤によって中和すること)により水溶性樹脂X1の構造中に導入されてもよい。
即ち、水溶性樹脂X1は、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構造単位を含んでもよい。
アニオン性基を含む重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
水溶性樹脂X1がアニオン性基を含む重合性モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸)由来の構造単位を含む場合、アニオン性基を含む重合性モノマー由来の構造単位の含有量は、水溶性樹脂X1の全量に対して、5質量%~40質量%が好ましく、8質量%~20質量%がより好ましい。
水溶性樹脂X1における環状構造は、ラミネート適性をより向上させる観点から、芳香環及び脂肪族環の少なくとも一方を含むことが好ましく、芳香環を含むことがより好ましい。
水溶性樹脂X1は、環状構造を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
本開示において、芳香環とは、芳香族性をもつ環状不飽和環を意味する。
芳香環としては、例えば;
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等の芳香族炭化水素環;
ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾリル環、アクリドン環等の複素芳香族環;
などが挙げられる。
中でも、芳香族炭化水素環が好ましい。
水溶性樹脂X1における環状構造が芳香環を含む場合、芳香環は、芳香環を含む重合性モノマーの重合により、水溶性樹脂X1の構造中に導入され得る。
芳香環を含む重合性モノマーとしては、芳香環及びエチレン性不飽和二重結合を含む重合性モノマーが好ましく、芳香環を含むビニル重合性モノマーがより好ましい。
芳香環を含む重合性モノマーの例としては、スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルピリジン、ジアリルフタレート等、及び、芳香環を含む(メタ)アクリレート(例えば、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等)等が挙げられる。
芳香環を含む重合性モノマーは、無置換でもよいし、置換基で置換された置換重合性モノマーでもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、カルボン酸基、水酸基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~12(好ましくは炭素数1~8)のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル等が挙げられる。アルキル基は、無置換でもよいし、上記と同様の置換基を有していてもよい。
水溶性樹脂X1に含まれ得る、芳香環を含む重合性モノマー由来の構造単位の具体例は、前述した顔料分散樹脂に含まれ得る、芳香環を含む重合性モノマー由来の構造単位の具体例と同様である。
水溶性樹脂X1における環状構造(例えば芳香環)を含む重合性モノマー由来の構造単位の含有量は、水溶性樹脂X1の全量に対し、50質量%~85質量%が好ましく、60質量%~80質量%がより好ましい。
画像のラミネート適性をより向上させる観点から、水溶性樹脂X1は、
(メタ)アクリル酸C1-3アルキルエステル〔即ち、アルキルエステル構造中のアルキル基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸アルキルエステル〕に由来する構造単位と、
(メタ)アクリル酸に由来する構造単位と、
環状構造を含む重合性モノマーに由来する構造単位と、
を含むことが特に好ましい。
この態様における各構造単位の好ましい含有量は、それぞれ、前述したとおりである。
上記態様において、「(メタ)アクリル酸に由来する構造単位」の概念は、(メタ)アクリル酸の重合によって得られる構造単位(即ち、カルボキシ基を含む構造単位)と、(メタ)アクリル酸の重合及び中和によって得られる構造単位(即ち、カルボキシ基の塩を含む構造単位)(ここで、中和は、重合前に行っても重合後に行ってもよい)と、の両方を包含する。
水溶性樹脂X1の重量平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましい。水溶性樹脂X1の重量平均分子量が上記範囲であると、画像のにじみ及びブロッキングがより抑制される。また、インクの吐出性により優れる。
水溶性樹脂X1の重量平均分子量としては、インクの吐出性の点で、10,000~80,000がより好ましく、10,000~30,000が更に好ましい。
水溶性樹脂X1の酸価は、28mgKOH/g~230mgKOH/gであることが好ましい。酸価が230mgKOH/g以下であると、少量の水溶性ポリマーであってもインクの増粘効果が得られやすく、画像中のにじみが改善される。また、酸価は、インクの増粘効果の観点から、50mgKOH/g以上がより好ましく、更には、100mgKOH/g以上としてもよく、150mgKOH/g以上としてもよい。
酸価は、顔料分散樹脂と同様に指示薬の滴定により測定することができ、日本工業規格(JIS)K0070:1992に記載の方法により測定される値である。
本開示において、樹脂成分(X)(例えば水溶性樹脂X1)が、中和された樹脂である場合、樹脂成分(X)(例えば水溶性樹脂X1)の酸価は、中和された樹脂である樹脂成分(X)(例えば水溶性樹脂X1)の酸価を意味する。
水溶性樹脂X1のガラス転移温度(Tg)としては、80℃以上であることが好ましい。Tgが80℃以上であると、画像のブロッキングがより抑制される。
樹脂BのTgとしては、95℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましい。また、水溶性樹脂X1のTgの上限は、合成適性の点で、250℃以下が望ましい。
Tgは、水溶性樹脂X1の溶液を150℃で6時間減圧乾燥した試料を用意し、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定されるものである。DSCとしては、例えば、日立ハイテクサイエンス社製の示差走査熱量計(DSC)DSC7000Xを用いることができる。
-樹脂粒子-
樹脂粒子は、樹脂からなる粒子であり、好ましくは、非水溶性樹脂からなる粒子である。
非水溶性樹脂における「非水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解量が1g未満である性質を意味する。
樹脂粒子は、樹脂からなる粒子である点で、顔料分散樹脂と区別される。
樹脂粒子として、好ましくは、アクリル樹脂からなる粒子(以下、アクリル樹脂粒子ともいう)、ポリエステル樹脂からなる粒子(以下、ポリエステル樹脂粒子ともいう)、ポリウレタン樹脂からなる粒子(以下、ポリウレタン樹脂粒子ともいう)、又はポリオレフィン樹脂からなる粒子(以下、ポリオレフィン樹脂粒子ともいう)である。
本開示において、ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を含む高分子化合物を意味する。ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸(例えばジカルボン酸)とポリアルコール(例えばジオール)との重縮合物が挙げられる。
本開示において、ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンを含む原料モノマーの重合体(単独重合体又は共重合体)を意味する。ポリオレフィン樹脂としては、1種のオレフィンの重合体、2種以上のオレフィンの共重合体、1種以上のオレフィンと1種以上のその他のモノマーとの共重合体、等が挙げられる。オレフィンとしては、炭素数2~30のα-オレフィンが挙げられる。
本開示において、ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を含む高分子化合物を意味する。
樹脂粒子は、アクリル樹脂粒子を含むことが好ましい。
樹脂粒子に占めるアクリル樹脂粒子の比率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
樹脂粒子としては、例えば、特開2016-188345号公報の段落0062~0076、国際公開第2013/180074号の段落0109~0140等に記載の公知の樹脂粒子を用いることができる。
樹脂粒子を構成する樹脂の、重量平均分子量、酸価、ガラス転移温度の好ましい範囲は、それぞれ、水溶性樹脂X1の、重量平均分子量、酸価、ガラス転移温度の好ましい範囲と同様である。
(その他成分)
本開示におけるインクは、上記した成分に加え、必要に応じて、更にその他成分を含有してもよい。
その他成分としては、乾燥防止剤(膨潤剤)、着色防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、pH調製剤、キレート剤等が挙げられる。
(インクの物性)
インクの表面張力としては、特に制限はなく、例えば、20mN/m以上とすることができる。記録媒体に対する塗布性の観点から、25mN/m~40mN/mが好ましく、27mN/m~37mN/mがより好ましい。
インクの表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定される値である。
インクのpH(25℃±1℃)は、6~10が好ましく、7~10がより好ましい。
pHは、25℃環境下において、処理液を25℃に調温した状態でpHメーター(例えば、東亜DDK社製のWM-50EG)を用いて測定される値である。
インクの粘度は、インクの吐出性の観点等から、1mPa・s~30mPa・sの範囲が好ましく、1mPa・s~20mPa・sの範囲がより好ましく、2mPa・s~15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2mPa・s~10mPa・sの範囲が特に好ましい。
粘度は、25℃の条件下で測定された値を意味する。粘度は、例えばVISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて測定できる。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
以下において、特に断りがない限り、「部」および「%」は質量基準である。
また、以下において、「水」は、特に断りがない限り、イオン交換水を意味する。
処理液の粘度は、25℃での粘度である。
〔樹脂の準備〕
インク中の成分である樹脂として、以下の水溶性樹脂及び樹脂粒子を準備した。
<水溶性樹脂の溶液の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた500ミリリットル三口フラスコに、プロピレングリコール(82g)を仕込んで、窒素気流下で90℃まで昇温した。ここに、パーブチルО(ラジカル重合開始剤;日油株式会社製)1.57g、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(P-1M)15g、メタクリル酸メチル(MMA)45g、メタクリル酸イソボルニル(IBOMA)30g、アクリロイルモルホリン(ACMO)10g、ドデシルメルカプタン1.84g、及びプロピレングリコール152gを混合した混合溶液を、3時間で滴下が完了する滴下条件で等速で滴下した。混合溶液の滴下完了後、4時間攪拌した。続いて、得られた反応混合物に24質量%水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ金属水酸化物)12gを滴下ロートで滴下し、水溶性樹脂の溶液を得た。
得られた水溶性樹脂の溶液の組成は、H-NMRで確認し、水溶性樹脂の溶液の固形分濃度は、30.1質量%であった。
水溶性樹脂は、分子中に酸基としてリン酸基を含み、酸価は、40mgKOH/gであった。水溶性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が15,000であり、ガラス転移温度(Tg)が118℃であった。
<樹脂粒子の準備>
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)36.0g、メチルメタクリレート(MMA)306.0g、メタクリル酸(MAA)18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V-601」(ラジカル重合開始剤;富士フイルム和光純薬株式会社製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V-601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V-601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1モル/LのNaOH水溶液122.1mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化させた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保ち、溶媒を留去した。その後、更に反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0質量%の樹脂粒子の水分散液を得た。
得られた樹脂粒子の水分散液は、pH8.4、体積平均粒子径80nm、重量平均分子量(Mw)50,000、Tg116℃であった。
pHは、樹脂粒子の水分散液を25℃で調温し、pHメータWM-50EG(東亜DDK社製)を用いて25℃で測定した。また、樹脂粒子〔DCPMA/MMA/MAA〕の体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA EX-150(日機装株式会社製)を用いて測定した。
〔実施例1〕
<シアン顔料分散液の調製>
-顔料分散樹脂の調製-
撹拌機、冷却管を備えた500mlの三口フラスコにメチルエチルケトン44gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン25gにジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート0.43g、ベンジルメタクリレート(BzMA)35g、メタクリル酸(MAA)5g、及びメチルメタクリレート(MMA)10gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン1gにジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート0.21gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、43gの顔料分散樹脂を得た。
顔料分散樹脂は、酸価が65.4mgKOH/gであり、ClogPが1.89であり、重量平均分子量(Mw)が42,000であった。
-シアン顔料分散物1の調製-
ピグメントブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記顔料分散樹脂A-1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部と、を混合した。混合液を、ビーズミルにより、0.1mmφジルコニアビーズを用いて2~6時間分散した。得られた分散物から減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%であるシアン顔料分散物を得た。
<インクの調製>
上記シアン顔料分散物と、水溶性樹脂の溶液と、を用い、下記の組成になるように諸成分を混合して混合液を調製した。調液後、混合液から5μmフィルターで粗大粒子を除去し、インク(詳細にはシアンインク)を得た。
-インクの組成-
・シアン顔料(ピグメントブルー15:3、大日精化社製)
… 3質量%
・顔料分散樹脂
… 2質量%
・水溶性樹脂
… 5質量%(固形分換算)
・プロピレングリコール(PG;富士フイルム和光純薬社製)
… 20質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、ノニオン性界面活性剤)
… 1質量%
・水
… 合計で100質量%となる量
<処理液の調製>
下記組成中の各成分を混合し、処理液を得た。
得られた処理液は、粘度5mPa・s(25℃)、表面張力41.0mN/m(25℃)、pH5.0(25℃)であった。
なお、粘度、表面張力、及びpHは、それぞれ、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学社製)、及びpHメータWM-50EG(東亜DDK社製)を用いて測定した。
-処理液の組成-
・DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)〔水溶性有機溶剤〕
… 2質量%
・ギ酸カルシウム〔凝集剤〕
… 5質量%
・PEG20000(ポリエチレングリコール、数平均分子量20000)〔増粘剤〕
… 1質量%
・水
… 合計で100質量%となる量
<画像記録>
浸透性基材として、Sappi社製の塗工紙である「MAGNO(登録商標)Gross」を準備した。
上記浸透性基材をステージ上に固定し、ステージ速度(即ち、塗布速度)60m/分で搬送しながら、搬送されている浸透性基材上に上記処理液を、直径200mmの塗布ローラー(外周面の材質は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM))により、1.5g/mの塗布量となるように塗布し、塗布直後(詳細には、塗布から1秒以内)に、塗布された処理液に、ドライヤーを用いて70℃の温風を2秒間当てて乾燥させた。
次に、浸透性基材の移動方向に対して傾斜させて配置されたラインヘッド(リコー社製のプリンターヘッドGELJET GX5000)を用い、浸透性基材の処理液付与面に、解像度1200×1200dpi(dots per inch)、打滴量2.4pL(ピコリットル)、及びステージ速度38m/分の吐出条件にてインクを吐出して付与し、10mm×200mmの領域内に、40%、60%、80%、及び100%の各網点率の未乾燥画像を得た。
その直後(詳細には、インクの付与完了から5秒以内)、60℃のホットプレート上に浸透性基材を、浸透性基材の画像記録面とは反対側の面を接触させて載置し、ドライヤーを用いて120℃の温風を画像記録面に10秒あてることにより、未乾燥画像を乾燥させ、40%、60%、80%、及び100%の各網点率の画像を得た。
各網点率の画像を記録した10mm×200mmの領域全体において、付与質量比〔処理液/インク〕は、0.08であった(表1参照)。
<評価>
上記処理液及び上記ベタ画像を用い、以下の評価を実施した。
結果を表1に示す。
(処理液の塗布ムラ)
上記処理液に染料(IJINKM-003E;富士フイルム社製)を、濃度が3質量%となるように添加し、塗布ムラ評価用処理液を得た。
塗布ムラ評価用処理液を、上記画像記録における処理液の塗布及び乾燥と同様の条件にて浸透性基材上に塗布し、乾燥させた。
乾燥後、浸透性基材上の塗布ムラ評価用処理液の塗布領域を目視で観察し、下記評価基準により、処理液の塗布ムラを評価した。
下記評価基準において、処理液の塗布ムラが最も抑制されているランクは、5である。
-処理液の塗布ムラの評価基準-
5:濃度ムラは確認されなかった
4:濃度ムラが確認されるが、スジ状にはなってない
3:0mm超0.5mm以下のピッチのスジ状の濃度ムラが確認された
2:0.5mm超1mm以下のピッチのスジ状の濃度ムラが確認された
1:1mm超のピッチのスジ状の濃度ムラが確認された
(画像の濃度ムラ)
上記画像記録によって記録された各網点率の画像を目視で観察し、下記評価基準により、画像の濃度ムラを評価した。
下記評価基準において、画像の濃度ムラが最も抑制されているランクは、5である。
-画像の濃度ムラの評価基準-
5:濃度ムラは確認されなかった。
4:画像濃度ムラが、網点率100%の画像で確認された。
3:画像濃度ムラが、網点率100%の画像及び網点率80%の画像で確認された。
2:画像濃度ムラが、網点率100%の画像、網点率80%の画像、及び網点率60%で確認された。
1:画像濃度ムラがいずれの網点率の画像でも確認された。
〔実施例2~4及び13、比較例3〕
処理液の粘度(x)を変更することにより、「y-25ln(x)」の値を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
処理液の粘度は、処理液中の増粘剤の量又は種類を変更することによって変更した(以下、同様)。
増粘剤に関し、グアーガムとしては、富士フイルム和光純薬社製のグアーガム(数平均分子量25万)を用いた。PEG20000については前述のとおりである。
〔実施例5〕
塗布ローラーの直径(y)を変更することにより、「y-25ln(x)」の値を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例6~8、比較例1~2〕
処理液の粘度(x)及び塗布ローラーの直径(y)を変更することにより、「y-25ln(x)」の値を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例9及び14〕
処理液中の凝集剤の種類を、表1に示すように変更したこと以外は実施例3と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例10〕
付与量比〔処理液/インク〕を、表1に示すように変更したこと以外は実施例3と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
付与量比〔処理液/インク〕は、処理液の付与量を変更することにより変更した。
〔実施例11〕
処理液中の凝集剤の種類を、表1に示すように変更したこと以外は実施例10と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例12〕
インク中の水溶性樹脂を、樹脂粒子に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。

表1に示すように、塗布ローラー径(即ち、塗布ローラーのmm単位で表した直径)をyとし、処理液のmPa・s単位で表した25℃での粘度をxとした場合に、xが5~100であり、y-25ln(x)の値が90~160である、各実施例では、画像の濃度ムラが抑制されていた。
これに対し、xが5未満である比較例1、並びに、y-25ln(x)の値が90未満である比較例2及び3では、画像の濃度ムラを抑制できなかった。
実施例3及び9の結果から、凝集剤が有機酸塩である場合(実施例3)、画像の濃度ムラがより抑制されることがわかる。
実施例3及び10の結果から、付与質量比〔処理液/インク〕が0.05以上である場合(実施例3)には、画像の濃度ムラがより抑制されることがわかる。
以上、インクとしてシアンインクを用いた実施例を示したが、上述した効果は、2色以上のインクを付与して多次色の画像を記録した場合にも、同様に得られる効果である。

Claims (6)

  1. 搬送される浸透性基材上に、水及び凝集剤を含有する処理液を、塗布ローラーによって塗布する工程と、
    前記浸透性基材上における前記処理液が塗布された領域上に、水、水溶性有機溶剤、着色剤、及び樹脂を含有するインクを、インクジェット法によって付与して画像を記録する工程と、
    を含み、
    前記処理液のmPa・s単位で表した25℃での粘度をxとし、前記塗布ローラーのmm単位で表した直径をyとした場合に、xが5~100であり、y-25ln(x)の値が90~160である、
    画像記録方法。
  2. 前記凝集剤が、有機酸塩である、請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 前記インクが付与された領域において、前記インクの付与質量に対する前記処理液の付与質量の比が、0.05~0.50である、請求項1に記載の画像記録方法。
  4. 前記y-25ln(x)の値が、100~160である、請求項1に記載の画像記録方法。
  5. 前記浸透性基材が、紙を含む、請求項1に記載の画像記録方法。
  6. 前記処理液の塗布時の前記浸透性基材の搬送速度が、50m/分以上である、請求項1に記載の画像記録方法。
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