JPWO2020137842A1 - スチレン系樹脂組成物シート及び成形体 - Google Patents

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Abstract

光沢、耐油性とシート強度のバランスに優れた樹脂組成物から得られるシートを提供する。本発明のスチレン系樹脂組成物シートは、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とを含むスチレン系樹脂組成物から得られるシートであって、ATR−FTIR法により測定される赤外吸収スペクトルにおいて、最表面における1750cm-1及び698cm-1での吸光度比(α)と、シート内部における1750cm-1及び698cm-1での吸光度比(β)と、の比(α/β)が、2以上10以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、スチレン系樹脂組成物よりなるシート、及び該スチレン系樹脂組成物シートを成形してなる成形体に関する。
スチレン系樹脂は成形加工の容易さ、軽量性などから、シート、発泡体、筐体など多くの分野で使用されている。一方、ポリエステル系樹脂は機械的特性などに優れることから、フィルム、シート、食器、包装容器など各種産業用途に広く使用されている。近年、地球温暖化の問題から二酸化炭素の低減が求められており、見かけ上二酸化炭素を排出しない「カーボンニュートラル」な材料として様々な植物由来の環境維持可能な材料が開発され、中でもポリ乳酸が注目されている。しかしながら、ポリ乳酸は耐衝撃性が低く実用性に劣るため、石油系樹脂とのポリマーアロイ、特に成形加工性、耐衝撃性などの実用物性に優れたスチレン系樹脂とのアロイが検討されている。(特許文献1)。
しかしながら、上述のスチレン系樹脂とポリ乳酸のポリマーアロイは、シート成形により得られたシートの光沢度、耐油性が低下することがあり、更なる改良が求められている。
特開2014−189748号公報
本発明は、スチレン系樹脂とポリエステル系樹脂とを含有するスチレン系樹脂組成物からなるシートにおいて、光沢、耐油性とシート強度のバランスを向上することを課題とする。
本発明のスチレン系樹脂組成物シートは以下のとおりである。
(1)少なくとも、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とを含有するスチレン系樹脂組成物を用いてなるシートであって、
(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂との合計量100質量部において、(A)スチレン系樹脂が55質量部以上90質量部以下、(B)ポリエステル系樹脂が10質量部以上45質量部以下であり、
ATR−FTIR法により測定される、
前記シートの最表面の赤外吸収スペクトルにおける、1750cm-1及び698cm-1での吸光度A1750、A698の比(A1750/A698)をα、
前記シートの内部の赤外吸収スペクトルにおける、1750cm-1及び698cm-1での吸光度B1750、B698の比(B1750/B698)をβ、とした時、
α、βの比(α/β)が2以上10以下であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物シート。
(2)前記(B)ポリエステル系樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする(1)に記載のスチレン系樹脂組成物シート。
(3)前記(A)スチレン系樹脂と前記(B)ポリエステル系樹脂とが共連続構造を形成していることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のスチレン系樹脂組成物シート。
(4)さらに、前記スチレン系樹脂組成物が、(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物シート。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物シートからなることを特徴とする成形体。
本発明のスチレン系樹脂組成物シートおよび該シートからなる成形体は、低環境負荷であり、成形品の光沢、耐油性かつシート強度に優れるため、食品容器・包装用途等での使用が有利になる。
本発明における定ひずみ耐薬試験装置の側面図である。
本発明のスチレン系樹脂組成物シート(以下、「シート」と記す)は、少なくとも、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とを含有するスチレン系樹脂組成物を用いてなる。
本発明において使用する(A)スチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物を重合して得られるものであり、必要に応じて共役ジエン系ゴム状重合体を加えてゴム変性を行ってもよい。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルや無水マレイン酸等の単量体も、(A)スチレン系樹脂の性能を損なわない程度であれば添加して重合したものでも良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
本発明の(A)スチレン系樹脂のゴム変性に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
このような(A)スチレン系樹脂の例として、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。この中では、HIPSが、スチレン系樹脂組成物の耐衝撃性を高くすることができるため、特に好ましい。
HIPSのマトリックス部分の分子量については特に制限はないが、還元粘度(ηsp/C)で0.5以上1.0以下が好ましい。
HIPS中のゴム状重合体の含有量については特に制限はないが、3質量%以上10質量%以下が好ましい。
本発明で使用する(B)ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸とポリアルコールとを重合することで得られるエステル結合を有する重合体の総称である。
(B)ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸とジオールとから重合により得ることができ、このような(B)ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート並びにポリヘキサメチレンナフタレート等が挙げられるが本発明はこれらに限定されない。
上記ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。また、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。これらのカルボン酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、上記ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。
一方、(B)ポリエステル系樹脂は単一の化合物でカルボン酸とアルコールの両方を有する単量体の重合によっても得ることが出来、このような(B)ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸が挙げられる。
上記に挙げた(B)ポリエステル系樹脂のうち、カーボンニュートラルの観点から好ましいのはポリ乳酸である。
本発明において、(B)ポリエステル系樹脂として使用するポリ乳酸は、二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料が好ましい。特に、食糧問題と競合しない非可食の植物由来原料が好ましい。
ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量(Mw)が5万以上40万以下であることが好ましく、特に好ましくは10万以上30万以下の範囲である。
(B)ポリ乳酸としては、D−乳酸もしくはL−乳酸のいずれか一方のみからなるポリ乳酸が好ましく、両方が混在する場合には、一方の成分の比率が少ないほど、ポリ乳酸の結晶化は早く進行する。本発明にかかるスチレン系樹脂組成物における成形性を考慮すると、比率が少ない方の成分の比率を5モル%以下とすることが好ましい。特に好ましくは4モル%以下である。
本発明に係るスチレン系樹脂組成物には、(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体を加えても良い。(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体は、モノマー単位としてブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸とを有する熱可塑性エラストマーである。エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられ、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。また必要に応じて、ブタジエン及び/またはエチレン性不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な他の単量体を組み合わせることも可能である。上記のエチレン性不飽和カルボン酸エステルの中では、メタクリル酸メチルが最も好ましい。
また、(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体は、ブタジエンを含む重合体粒子コアとして、その表面にエチレン性不飽和カルボン酸エステルを含む単量体をグラフト共重合させてシェルを形成させた多層構造粒子が、耐衝撃強度をより高めることができるため好ましい。このようなブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体の例として、「メタブレン(登録商標)C−223A」(三菱ケミカル株式会社製)、「カネエース(登録商標)M−511」(株式会社カネカ製)等が挙げられる。
(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体の添加量は、特に限定されないが、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下が好ましい。
本発明においては、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とを混練することにより、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とが、スチレン系樹脂組成物中において共連続構造を形成させることが好ましい。
ここで、ポリマーアロイにおける共連続構造とは、特開2010−6910号公報に記載されている相状態である。
即ち、ポリマーアロイにおける相状態は、大別すると(1)完全相溶(単相)、(2)海島構造(多相)、(3)共連続構造(多相)、(4)層状構造(多相)の4つに分けられる。大抵のポリマーアロイは完全相溶することはなく、(2)、(3)、(4)のモルフォロジーを形成することが知られている。
(2)海島構造とは、ABSやHIPSを代表とする、複数成分の片方が連続する相の中に、もう一方が粒子状(島状)に分散している構造を言う。また、(3)共連続構造とは、複数成分のそれぞれが連続した相を形成しながら互いに混じりあっている構造を言う。更に、(4)層状構造とはそれぞれの成分が連続相を形成するが、互いの成分が混じりあうことはなく独立している構造を言う。
ポリマーアロイにおいて共連続構造を形成させるためには、溶融混練時の樹脂組成、および、溶融混練装置のモータ負荷をZ(kw)、樹脂組成物の排出速度をQ(kg/hr)としたときのZ/Q(kWh/kg)が重要であることを見出した。よって、樹脂組成やZ/Qを調整することにより、共連続構造を有するシートを得ることができる。
ATR(attenuated total reflection)法は赤外分光(IR)の表面計測法である。KRS−5(臭化タリウム+ヨウ化タリウム:屈折率2.37)、ZnSe(セレン化亜鉛:屈折率2.4)、Ge(ゲルマニウム:屈折率4.0)など赤外域で透明で屈折率の高い媒質を試料に密着させて、臨界角よりも大きな入射角で赤外光を高屈折率媒質に入射させる。試料に吸収のある領域では吸収の強さに応じて反射光のエネルギーが減少するため、この反射光を測定することでATRスペクトルが得られる。このとき高屈折率媒質中にしみ込んだ光の振幅が1/e(eは自然対数の底)に低下する深さを侵入深さdpと定義すると、侵入深さdpは次式で表される。尚、以下の式中、λは光の波長、θは入射角、n1は高屈折媒質の屈折率、n2は試料の屈折率である。
Figure 2020137842
上記式より、入射角θが大きいほど、また高屈折率媒質の屈折率n1が大きいほど、侵入深さdpが小さく、より試料表面に近い情報がスペクトルに反映されることがわかる。
本発明では、より試料表面に近い情報を得るため、高屈折率媒質としてGeを用い、入射角60°で赤外吸収スペクトルを測定する。
またシートの内部を測定する場合には、試料表面からシート厚みの半分まで切削し、上記と同様の条件で切削面の赤外吸収スペクトルを測定する。
尚、本発明においては、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて測定するATR−FTIR法によりシートの赤外吸収スペクトルを測定する。
本発明のシートは、ATR−FTIR法により測定される最表面及び内部の赤外吸収スペクトルから算出されるα/βが2以上10以下であり、好ましくは2以上8以下、さらに望ましくは2以上6以下である。尚、α、βは以下のとおりである。
α=A1750/A698
β=B1750/B698
A1750:シートの最表面の赤外吸収スペクトルにおける1750cm-1での吸光度
A598:シートの最表面の赤外吸収スペクトルにおける698cm-1での吸光度
B1750:シートの内部の赤外吸収スペクトルにおける1750cm-1での吸光度
B598:シートの内部の赤外吸収スペクトルにおける698cm-1での吸光度
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1750cm-1での吸光度(A1750、B1750)とは、カルボニル基の吸収スペクトルであり、698cm-1での吸光度(A698、B698)は、置換ベンゼン環の吸収スペクトルである。
本発明者等は、本発明のシートにおける最表面と内部の吸光度比の割合(α/β)は、溶融混練時の樹脂組成、およびシートを押し出す際の延伸倍率等、製造条件により調整し得ることを見出した。
本発明のシートには、本発明の要旨を超えない範囲で他の添加物、例えば補強材、難燃剤、染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、結晶化核剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤などの改質剤を添加することができる。特に、ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体は、シート強度を劇的に向上させることができるため好ましい。これらの添加方法は、特に限定されず、公知の方法で添加すれば良い。例えば、スチレン系樹脂またはポリエステル系樹脂の製造時の原料の仕込工程、重合工程、仕上工程で添加する方法や、押出機や成形機を用いて樹脂組成物を混合する工程で添加する方法を適用することができる。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の混合技術を適用することが出来る。例えば、ミキサー型混合機、V型ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置を用いて、各種原料を予め混合しておき、その混合物を溶融混練することによって、均一な樹脂組成物を製造することが出来る。溶融混練装置も、特に限定されないが、例えばバンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等が挙げられる。更に、押出機等の溶融混練装置の途中から難燃剤等の添加剤を別途添加する方法もある。
本発明のシートを得る方法としては、押出成形加工がある。
押出成形加工としては、押出成形、カレンダ成形、中空成形、押出発泡成形、異形押出成形、ラミネート成形、インフレーション成形、Tダイフィルム成形、シート成形、真空成形、圧空成形などが挙げられる。
本発明の成形体は、本発明のシートを熱成形することで得られる。本発明の成形体の形状や寸法は、特に限定されず、例えば、カップ入り即席麺用のカップや丼が挙げられる。
熱成形方法としては、例えば、真空成形や圧空成形、あるいはこれらの応用としてのフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等の、従来公知の一般的な成形法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されるものではない。
〔(A)スチレン系樹脂〕
HIPS
(ゴム状重合体:ポリブタジエンゴム、マトリックス部分の還元粘度0.70dl/g、ゴム状重合体含有量9.2質量%)
〔還元粘度の測定方法〕
(A)スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン17.5mlとアセトン17.5mlの混合溶媒を加え、温度25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離で不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、250mlのメタノールを加えて樹脂分を析出させ、不溶分を濾過乾燥する。同操作で得られた樹脂分をトルエンに溶解してポリマー濃度0.4%(質量/体積)の試料溶液を作成した。この試料溶液、及び純トルエンを30℃の恒温でウベローデ型粘度計により溶液流下秒数を測定して、下式にて算出した。
ηsp/C=(t1/t0−1)/C
t0:純トルエン流下秒数
t1:試料溶液流下秒数
C:ポリマー濃度
〔ゴム状重合体含有量の測定方法〕
(A)スチレン系樹脂をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、15質量%のヨウ化カリウム溶液と純水50mlを加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から算出した。
〔(B)ポリエステル系樹脂〕
ポリ(L−乳酸):浙江海正生物材料社(Zhejiang Hisun Biomaterials Co.,Ltd)製「REVODE190」
(D−乳酸成分の比率0.5モル%、重量平均分子量(Mw)20万)
PET:イーストマン社製「PET−G GN001」
〔共連続構造の測定方法〕
シート0.5gにメチルエチルケトン(MEK)を50g加えて、1週間経過後の未溶解物を作製し、走査型電子顕微鏡(日本電子社製「JSM−6510」)を用いて、2000倍に拡大して撮影し、共連続構造の有無を確認した。
有:連続した網目状構造を有しており、共連続構造有り。
無:不連続な構造となっており、共連続構造無し。
〔(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体〕
三菱ケミカル株式会社製「メタブレンC−223A」
(ポリブタジエン(コア)に、メタクリル酸メチル及びスチレンをグラフト共重合させてシェル層を形成させた多層構造粒子)
〔ATR−FTIR法による赤外吸収スペクトルの測定方法〕
日本分光株式会社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT/IR−4200」及びHARRICK社製の角度可変反射アクセサリー「Seagull」を用いて、入射角60°でシート最表面のATR測定を行い、1750cm-1及び698cm-1での吸光度A1750及びA698を求め、その比(α=A1750/A698)を算出した。試料表面からシート厚みの半分までミクロトーム刃で切削し、上記と同様の条件で切削面のATR測定を行い、1750cm-1及び698cm-1での吸光度B1750及びB698を求め、その比(β=B1750/B698)を求めた。これよりシート最表面と内部の吸光度比の割合(α/β)を求めた。
〔光沢の評価方法〕
日本電色工業株式会社製「GlossMeterVG2000」を用いて、JIS−Z8741に基づき、シートの60度鏡面光沢を測定した。光沢50%以上を合格とした。
〔耐油性の評価方法〕
シートから下記寸法の試験片を切出し、定ひずみ耐薬試験評価用試験片とした。図1に示す構造の定ひずみ耐薬性試験装置を用いてガーゼを当てた上記試験片の屈曲部にスポイトで薬品を0.05ml塗布し、試験片が破断するまでの時間で評価した。図1中、1は試験片、2はステンレス製の土台、3はガーゼ、4は薬品、5はスポイトである。試験片1の奥行方向を、図1中の奥行方向に平行に配置し、試験片1を中央が上方に突出するようにたわませて土台の凹部に配置した。破断時間60分以上を耐油性合格とした。
ひずみ量:0.6%
使用薬品:日油社製パナセート810(中鎖脂肪酸トリグリセリド)
試験片の寸法:幅15mm×奥行150mm×厚み0.5mm(奥行き方向がシートの押出し方向)
〔シート強度の評価方法〕
フィルムインパクトテスターBU−302(テスター産業社製)を用いて衝撃球面R12.7mmにてシートの強度を測定した。測定はシートの表面、裏面、各々20回ずつ行い、全ての平均値をシート強度(kJ/m)とした。シート強度1.0J/m以上を合格とした。
(実施例1)
(A)スチレン系樹脂70質量部、(B)ポリエステル系樹脂30質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM20B」)にて予備混合した後、二軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM26SS」)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導き、ペレットを作製した。この際、シリンダー温度を200℃として加熱し、供給量30kg/h、Z/Q=0.23kWh/kgとした。
押出工程で得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、シート押出機にて、シート(幅200mm×奥行300mm×厚み0.5mm)を作製した。
シート押出機:ユニオンプラスチック社製、USV型30粍押出機
シリンダー温度:215℃
ロール温度:85℃
得られたシートを用いて、前記した評価方法により、光沢、耐油性、シート強度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
スチレン系樹脂組成物の組成(質量部)を表1のように変更し、得られたシートを130℃で10秒間加熱した点以外は実施例1と同様に行ってシートを得、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例3〜5、7〜8)
スチレン系樹脂組成物の組成(質量部)を表1のように変更した点以外は、実施例1と同様に行ってシートを得、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
スチレン系樹脂組成物の組成(質量部)を表1のように変更し、Z/Q=0.3kWh/kgとした点以外は実施例1と同様に行ってシートを得、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
スチレン系樹脂組成物の組成(質量部)を表2のように変更し、シートを得る際にロール群の速度差により、シートをシート流れ方向(MD)に1.5倍延伸し、さらにテンターにより、シートをシート流れ方向に対して直交方向(TD)に1.5倍延伸した以外は実施例1と同様に行ってシートを得、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
(比較例2,3)
スチレン系樹脂組成物の組成(質量部)を表2のように変更した点以外は、実施例1と同様に行ってシートを得、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2020137842
Figure 2020137842
表1に示すように、実施例では、光沢、耐油性、シート強度に優れたシートが得られた。

Claims (5)

  1. 少なくとも、(A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂とを含有するスチレン系樹脂組成物を用いてなるシートであって、
    (A)スチレン系樹脂と(B)ポリエステル系樹脂との合計量100質量部において、(A)スチレン系樹脂が55質量部以上90質量部以下、(B)ポリエステル系樹脂が10質量部以上45質量部以下であり、
    ATR−FTIR法により測定される、
    前記シートの最表面の赤外吸収スペクトルにおける、1750cm-1及び698cm-1での吸光度A1750、A698の比(A1750/A698)をα、
    前記シートの内部の赤外吸収スペクトルにおける、1750cm-1及び698cm-1での吸光度B1750、B698の比(B1750/B698)をβ、
    とした時、α、βの比(α/β)が2以上10以下であることを特徴とするスチレン系樹脂組成物シート。
  2. 前記(B)ポリエステル系樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物シート。
  3. 前記(A)スチレン系樹脂と前記(B)ポリエステル系樹脂とが共連続構造を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載のスチレン系樹脂組成物シート。
  4. さらに、前記スチレン系樹脂組成物が、(C)ブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物シート。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物シートからなることを特徴とする成形体。
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