JP4979152B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくはポリカーボネート樹脂などの透明芳香族熱可塑性樹脂、及びポリアルキレンテレフタレート樹脂とポリアルキレンナフタレート樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂、特にエンジニアリングプラスチックは、優れた機械的強度や耐衝撃強度を有することなどから、各種用途に用いられている。しかし、ポリエステル樹脂は耐薬品性などに優れているが耐衝撃性の点で必ずしも満足できず、また、ポリカーボネート樹脂は透明性や耐熱性や耐衝撃性に優れているが耐薬品性が不十分であり、その用途が制限されている。ポリカーボネート樹脂の改良目的でポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂を配合する提案がなされているが、ポリカーボネート樹脂としての耐熱性、耐衝撃性を損なうことなく耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることは困難である。
更に、ポリカーボネート樹脂の透明性を保持したまま耐薬品性を改良する目的で各種の樹脂を配合する提案として、例えば、ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネート樹脂とを溶融混合した熱可塑性材料が特公昭36−14035号公報に記載され、ポリテトラメチレンナフタレート及び/又はポリヘキサメチレンナフタレートを含有するポリカーボネート樹脂組成物が特開昭48−96646号公報に記載されているが、透明性が低いという欠点がある。又、ポリカーボネート樹脂とポリアルキレンテレフタレートとの樹脂組成物が特開昭48−54160号公報に記載されているが、耐薬品性を改良するためにポリアルキレンテレフタレートの配合量を多くすると透明性が失われるという欠点があり、透明で且つ耐薬品性や耐熱性などに優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性、及び透明性の全てに優れるか、又はそれらのバランスの取れたポリカーボネート樹脂などの透明芳香族熱可塑性樹脂、及びポリアルキレンテレフタレート樹脂とポリアルキレンナフタレート樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、ポリカーボネート樹脂(a)、ジオール成分がエチレングリコール由来の成分または1,4−ブタンジオール由来の成分であるポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びジオール成分がエチレングリコール由来の成分または1,4−ブタンジオール由来の成分であるポリアルキレン−2,6−ナフタレート樹脂(c)を含有し、該(a)、(b)及び(c)成分の合計量に対する(a)の割合が80重量%≦(a)≦99.9重量%であり、(b)と(c)成分の合計量が0.1重量%≦(b)+(c)≦20重量%であり、(b):(c)の重量比が99:1〜80:20であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0005】
以下、本発明につき詳細に説明する。先ず、本発明で使用する透明芳香族熱可塑性樹脂(a)について説明する。本発明における透明芳香族熱可塑性樹脂(a)は分子内に芳香環を有し、可視領域の光線透過率が高い熱可塑性樹脂を指す。具体的には、厚さ3mmの成形体とした際のJIS R 3106に記載の可視光線透過率が80%以上であることを意味する。斯かる透明芳香族熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン系樹脂、AS樹脂などが好適に使用されるが、MS樹脂、透明ABS樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、透明ポリアミド樹脂なども使用し得る。なお、メタクリル樹脂の様な透明脂肪族熱可塑性樹脂の場合は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂及び、ポリアルキレンナフタレート樹脂との配合により透明性が低下するので、本発明では使用しない。
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネートの重合体又は共重合体が挙げられる。
【0006】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示される、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で或いは二種以上混合して使用してもよい。これらの中で、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)が好適に用いられている。
【0007】
又、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノールなどを用いればよい。
【0008】
ホスゲン法ポリカーボネートの場合、末端停止剤又は分子量調節剤を使用しても良い。末端停止剤又は分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物があげられ、通常のフェノール、p−t−ブチルフェノール、トリブロモフェノール等の他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、アルキルエーテルフェノール等が例示される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂においては、一種類でも、又は二種類以上を混合して使用しても良い。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは10,000〜100,000であり、好ましくは15,000〜50,000である。
【0009】
ポリアリレート樹脂は芳香族ジカルボン酸と二価フェノールから成る全芳香族ポリエステル樹脂である。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの混合フタル酸などが挙げられ、二価フェノールとしては、ビスフェノールAなどが挙げられる。ポリアリレートとしては、好ましくは、テレフタル酸/イソフタル酸とビスフェノールAから成る全芳香族ポリエステルが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン単量体を重合して成る単独重合体が挙げられる。スチレン単量体の重合の際、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのスチレン系単量体を一部使用することも出来る。また、無水マレイン酸等で変性されたもので合っても良い。ポリスチレン系樹脂の製造方法としては、重乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法などが挙げられる。ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、通常100,000から500,000程度である。重量平均分子量は例えば光散乱法により求めることが出来る。
AS樹脂は、アクリロニトリルとスチレンのランダム共重合体であり、ポリスチレン系樹脂と同様の重合法により製造できる。
透明芳香族熱可塑性樹脂(a)として特にポリカーボネート樹脂が好適に使用される。
【0010】
一方、本発明におけるポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなる。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびオキシ酸などが挙げられ、好ましくは芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。
【0011】
脂環族ジカルボン酸としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の上記芳香族ジカルボン酸の核水添化合物が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等が挙げられる。オキシ酸としては、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で或いは2種以上混合して使用してもよい。これらのジカルボン酸の中で、好ましくは、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸が挙げられ、より好ましくはテレフタル酸が挙げられる。
ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、および芳香族ジオールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられ、好ましくは脂肪族ジオールなどが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0012】
そのほか、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールも挙げられる。芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ジオールのエチレンオキサイド付加物としては、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等の等が挙げられる。
これらのジオール成分は単独で或いは2種以上混合して使用してもよい。これらの中で、好ましくは、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールなどが挙げられ、より好ましくはエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明におけるポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)の分子量は、特に限定されないが、テトラクロロエタン/フェノール=5/5混合溶媒中、30℃で測定された極限粘度で、好ましくは0.3〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.5〜1.2dl/gである。0.3dl/g未満では、ポリエステル組成物を成形体となした場合に実用上の十分な強度を呈するのが困難な場合があり、また、1.5dl/gを越える場合は、溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難になる場合がある。
【0013】
また、本発明におけるポリアルキレンナフタレート樹脂(c)は、ナフタレンジカルボン酸成分とジオール成分とからなる。
すなわち、ナフタレンジカルボン酸基とジオール基のみからなるポリマーはもちろんのこと、その他ナフタレンジカルボン酸基の一部を、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、等の如き他の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、等の如き脂肪族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、等の如き脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオキシ酸等の他に二官能性カルボン酸の1種以上を置換して5重量%以下程度を共重合せしめたコポリマーも、本発明におけるポリアルキレンナフタレートとして用いられる。
【0014】
ナフタレンジカルボン酸としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸等の各種異性体が挙げられる。これらのナフタレンジカルボン酸異性体は単独で或いは二種以上混合して使用してもよい。これらの中で、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適に用いられる。
ジオールとしては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)の場合と同様のものが使用でき、エチレングリコールや1,4−ブタンジオールの1種又は両方が好ましい。ただし、ポリアルキレンテレフタレートと同一のものを使用する必要はなく、ポリアルキレンテレフタレートとポリアルキレンナフタレートとはそれぞれ独立に選択して使用可能である。
【0015】
ポリアルキレンナフタレート樹脂(c)としては、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリブチレン−2,6−ナフタレートなどが好適に用いられる。
本発明におけるポリアルキレンナフタレート樹脂(c)の分子量は、特に限定されないが、テトラクロロエタン/フェノール=5/5混合溶媒中30℃で測定された極限粘度で、好ましくは0.3〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.4〜0.8dl/gである。
本発明における透明芳香族熱可塑性樹脂(a)、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びポリアルキレンナフタレート樹脂(c)の割合は、各成分の合計量に対する割合として次の通りである。
すなわち、(a)の割合が50重量%<(a)≦99.999重量%であり、(b)、(c)の合計が0.001重量%≦(b)+(c)<50重量%である。(b)、(c)の割合が0.001重量%未満であると耐薬品性の改良効果が不十分であり、50重量%以上であると耐熱性及び耐衝撃性が不十分となる。(b)、(c)合計の割合の下限は、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上である。(b)、(c)合計の割合の上限は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下であるが、最も好ましくは5重量%以下であり、この場合耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性に優れるだけでなく透明性の改良効果も優れている。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては、最終成形品を成形する直前までの任意の段階で、当業者に周知の種々の方法によって配合し、混練する方法が挙げられる。例えば、(a)、(b)、(c)を同時に配合する方法、(a)に(b)もしくは(c)のいずれかを配合してから残りを配合する方法、(b)と(c)を予め配合したものに(a)を配合する方法のいずれでも良く、また配合する全量を一度に配合するのではなく、多数回に分けて配合してもよく、その順序も特に限定されない。
配合方法としては、ペレットやパウダーの状態で配合する方法、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合するか、又はフィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法等が挙げられる。混練方法としては、溶融混練することが好ましく、一軸押出機、二軸押出機などを用いて従来公知の混練方法をそのまま採用することができる。混練温度は透明芳香族熱可塑性樹脂の安定な押し出しが可能な温度であれば特に制限はなく、150〜350℃、滞留時間30秒〜20分とすることが好ましい。また、混練時に安定剤をブレンドすることも可能である。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には更にその目的に応じ、所望の特性を付与する他のポリマーや、難燃剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、発泡剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク等の補強剤、充填剤、染顔料等を、一種又は二種以上添加含有させてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形等、慣用の成形方法に従って、所望の成形品とすることができる。成形温度としては、透明芳香族熱可塑性樹脂の熱安定性を維持できる範囲であれば特に限定されず、使用する樹脂の種類に応じて最適範囲が異なるが、通常200〜350℃の範囲が好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の用途としては、例えば、コンパクトディスク、光磁気ディスクに用いられる情報記録媒体、レンズ、プリズムなどの光学用成形品、アルコール飲料・食油・食肉などを包装する食品包装容器、フィルム、シート、飲料・油などを充填する中空成形体、透過光式成形体、スイッチやコネクターなどの電気・電子部品、自動車のヘッドランプレンズやフロントガラスなどの自動車部品、建築材料関連部品、医療用関連部品、農業関連部品、雑貨などが挙げられる。
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品のヘーズは、厚さ3mmの試験片での測定で、好ましくは17%以下であり、より好ましくは15%以下である。本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の荷重撓み温度としては、好ましくは120℃以上であり、より好ましくは130℃以上である。本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の衝撃強度は、好ましくは700J/m以上であり、より好ましくは800J/m以上である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例にて使用した原材料は下記の通りである。
<透明熱可塑性樹脂>
(1)ポリカーボネート樹脂:ユーピロン S−2000(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社商品、粘度平均分子量25,000)
<ポリアルキレンテレフタレート樹脂>
(1)ポリエステル樹脂:ノバペックス RT580CA(三菱化学株式会社商品、ポリエチレンテレフタレート樹脂、極限粘度1.20)
(2)ポリエステル樹脂:ノバドゥ−ル 5020(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社商品、ポリブチレンテレフタレート樹脂、極限粘度1.20)
<ポリアルキレンナフタレート樹脂>
(1)ポリエチレンナフタレート樹脂:ノバペックス FS405Z(三菱化学株式会社商品、ポリエチレンテレフタレート樹脂、極限粘度0.70)
【0020】
<評価方法>
(1)透明性:厚さ3mmの試験片を用いて、ヘーズを測定した。
(2)荷重撓み温度:ASTM D648に準じて、1.82MPa荷重下で測定した。
(3)衝撃強度:ASTM D256に準じて、厚さ3.2mmの試験片で測定した。
(4)耐薬品性:厚さ3.2mmの引張試験片に変形率1%の撓みを負荷した状態で、試験薬品を塗布し、48時間後の破断エネルギーの保持率(試験薬品を塗布しないものに対する比率)により評価した。評価基準は3段階で行った。試験薬品としては次の薬品を使用した。
(a)PEG400:ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製品。
(b)DOP:ジオクチルフタレート(フタル酸ジ(2−エチルヘキシル))、東京化成工業(株)製品。
(c)TCP:トリクレジルフォスフェート(リン酸トリクレジル)、東京化成工業(株)製品。
【0021】
○:48時間後の破断エネルギーの保持率が70%以上。
△:48時間後の破断エネルギーの保持率が30%以上70%未満。
×:48時間後の破断エネルギーの保持率が30%未満。
【0022】
実施例1〜8
ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)と、表1に示すポリアルキレンテレフタレート樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂(「5020」)もしくはポリエチレンテレフタレート樹脂(「RT580CA」)と、ポリエチレンナフタレート樹脂(「FS405Z」)とを同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、直径30mmの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度260℃で押出してペレットを得た。このペレットを熱風乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂温度270℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0023】
比較例1
ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)を熱風乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、実施例1と同様に射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2〜9
ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)と、表1に示すポリアルキレンテレフタレート樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂(「5020」)もしくはポリエチレンテレフタレート樹脂(「RT580CA」)を同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、直径30mmの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度260℃で押出してペレットを得た。このペレットを熱風乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂温度270℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
比較例10、11
ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)と、表1に示すポリエチレンナフタレート樹脂(「FS405Z」)を同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、直径30mmの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度260℃で押出してペレットを得た。このペレットを熱風乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂温度270℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0024】
以上の実施例と比較例とを比較すると明らかであるように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれば、耐薬品性と透明性のバランスのとれた成形品を得ることができる。しかも耐衝撃性や耐熱性も比較例のものよりも優れている。すなわち、比較例1では、単にポリカーボネートを成形した場合には、ヘーズが小さくて透明性に優れるが耐薬品性が悪い。比較例2〜5は、ポリカーボネート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂のみ((a)+(b))を組み合わせた組成物であるが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の配合量が少ないと、透明性が優れるが、逆に耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性が悪化してくる。また、比較例6〜9では、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂のみ((a)+(b))を組み合わせた組成物であるが、ポリエチレンテレフタレート樹脂が少ない場合でも比較的ヘーズが高くて透明性が悪く、耐衝撃性が低く、しかも耐薬品性が劣る。さらに、比較例10及び11では、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンナフタレート樹脂のみ((a)+(c))を組み合わせた樹脂組成物であるが、ポリエチレンナフタレート樹脂の配合量が少ない場合でもヘーズが高くて透明性が悪く、また配合量が少ないと、耐薬品性が劣る。一方、実施例の場合は、いずれもポリカーボネート樹脂に組み合わせるポリエステル樹脂の量が増えるとヘーズがやや高くなっていくが、上記の比較例のように、ポリエステル樹脂の種類が一種類の場合よりも低く、しかもポリエステル樹脂の配合量が少ない場合でも耐熱性、耐衝撃性が高く、しかも驚くべきことに比較的少なめの場合の方が耐薬品性に優れていた。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、荷重撓み温度がポリエステル樹脂に比べて高く、耐熱性に優れ、しかもアイゾッド衝撃強度もポリエステル樹脂に比べて高く、耐衝撃性に優れている。また、耐薬品性が透明芳香族熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂に比べて非常に優れており、しかもヘーズの値が小さく、透明性に優れており、透明性を要し且つ耐薬品性と耐熱性、耐衝撃性が必要な各種用途に有用である。
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂(a)、ジオール成分がエチレングリコール由来の成分または1,4−ブタンジオール由来の成分であるポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びジオール成分がエチレングリコール由来の成分または1,4−ブタンジオール由来の成分であるポリアルキレン−2,6−ナフタレート樹脂(c)を含有し、該(a)、(b)及び(c)成分の合計量に対する(a)の割合が80重量%≦(a)≦99.9重量%であり、(b)と(c)成分の合計量が0.1重量%≦(b)+(c)≦20重量%であり、(b):(c)の重量比が99:1〜80:20であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(a)の割合が90重量%≦(a)≦99.8重量%であり、(b)と(c)成分の合計量が0.2重量%≦(b)+(c)≦10重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(a)の割合が95重量%≦(a)≦99.5重量%であり、(b)と(c)成分の合計量が0.5重量%≦(b)+(c)≦5重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(a)の粘度平均分子量が、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量として10,000〜100,000である請求項1ないし3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)及びポリアルキレンナフタレート樹脂(c)の極限粘度が、テトラクロロエタン/フェノール=5/5混合溶媒中30℃での測定で、それぞれ0.3〜1.5dl/gであることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1ないし5の何れかの熱可塑性樹脂を用いた成形体。
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