JP2001207071A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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Abstract
く、耐熱性に優れ、しかもアイゾッド衝撃強度もポリエ
ステル樹脂に比べて高く、耐衝撃性に優れており、ま
た、耐薬品性が透明芳香族熱可塑性樹脂、特にポリカー
ボネート樹脂に比べて非常に優れており、しかもヘーズ
の値が小さく、透明性に優れた、熱可塑性樹脂を提供す
る。 【解決手段】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)、ポリア
ルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びポリアルキレ
ンナフタレート樹脂(c)を含有し該(a)、(b)及
び(c)成分の合計量に対する(a)の割合が50重量
%<(a)≦99.999重量%であり、(b)と
(c)成分の合計量が0.001重量%≦(b)+
(c)<50重量%であり、(b):(c)の重量比が
99:1〜80:20であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物。
Description
物に関し、詳しくはポリカーボネート樹脂などの透明芳
香族熱可塑性樹脂、及びポリアルキレンテレフタレート
樹脂とポリアルキレンナフタレート樹脂とからなる熱可
塑性樹脂組成物に関する。
ラスチックは、優れた機械的強度や耐衝撃強度を有する
ことなどから、各種用途に用いられている。しかし、ポ
リエステル樹脂は耐薬品性などに優れているが耐衝撃性
の点で必ずしも満足できず、また、ポリカーボネート樹
脂は透明性や耐熱性や耐衝撃性に優れているが耐薬品性
が不十分であり、その用途が制限されている。ポリカー
ボネート樹脂の改良目的でポリエチレンテレフタレート
樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエス
テル樹脂を配合する提案がなされているが、ポリカーボ
ネート樹脂としての耐熱性、耐衝撃性を損なうことなく
耐薬品性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることは困難
である。更に、ポリカーボネート樹脂の透明性を保持し
たまま耐薬品性を改良する目的で各種の樹脂を配合する
提案として、例えば、ポリエチレンテレフタレートとポ
リカーボネート樹脂とを溶融混合した熱可塑性材料が特
公昭36−14035号公報に記載され、ポリテトラメ
チレンナフタレート及び/又はポリヘキサメチレンナフ
タレートを含有するポリカーボネート樹脂組成物が特開
昭48−96646号公報に記載されているが、透明性
が低いという欠点がある。又、ポリカーボネート樹脂と
ポリアルキレンテレフタレートとの樹脂組成物が特開昭
48−54160号公報に記載されているが、耐薬品性
を改良するためにポリアルキレンテレフタレートの配合
量を多くすると透明性が失われるという欠点があり、透
明で且つ耐薬品性や耐熱性などに優れる熱可塑性樹脂組
成物を得ることは困難である。
品性、耐熱性、耐衝撃性、及び透明性の全てに優れる
か、又はそれらのバランスの取れたポリカーボネート樹
脂などの透明芳香族熱可塑性樹脂、及びポリアルキレン
テレフタレート樹脂とポリアルキレンナフタレート樹脂
とからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
解決するためになされたものであり、その要旨は、透明
芳香族熱可塑性樹脂(a)、ポリアルキレンテレフタレ
ート樹脂(b)、及びポリアルキレンナフタレート樹脂
(c)を含有し、該(a)、(b)及び(c)成分の合
計量に対する(a)の割合が50重量%<(a)≦9
9.999重量%であり、(b)と(c)成分の合計量
が0.001重量%≦(b)+(c)<50重量%であ
り、かつ(b):(c)の重量比が99:1〜80:2
0であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であるこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
ず、本発明で使用する透明芳香族熱可塑性樹脂(a)に
ついて説明する。本発明における透明芳香族熱可塑性樹
脂(a)は分子内に芳香環を有し、可視領域の光線透過
率が高い熱可塑性樹脂を指す。具体的には、厚さ3mm
の成形体とした際のJIS R 3106に記載の可視
光線透過率が80%以上であることを意味する。斯かる
透明芳香族熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン系樹脂、AS樹
脂などが好適に使用されるが、MS樹脂、透明ABS樹
脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、透
明ポリアミド樹脂なども使用し得る。なお、メタクリル
樹脂の様な透明脂肪族熱可塑性樹脂の場合は、ポリアル
キレンテレフタレート樹脂及び、ポリアルキレンナフタ
レート樹脂との配合により透明性が低下するので、本発
明では使用しない。ポリカーボネート樹脂としては、芳
香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキ
シ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させる
ことによって得られる分岐していてもよい熱可塑性芳香
族ポリカーボネートの重合体又は共重合体が挙げられ
る。
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビス
フェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビス
フェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス(3−シク
ロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタ
ン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン
類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示され
る、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’
−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテ
ル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルス
ルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフ
ィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリ
ールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジ
アリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。こ
れらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で或いは二種以
上混合して使用してもよい。これらの中で、特に2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフ
ェノールA)が好適に用いられている。
を得るには、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,
4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプ
テン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリ
ス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1
−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−
ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メ
チルフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、あるいは3,
3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール
(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビ
スフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノー
ル、5−ブロムイサチンビスフェノールなどを用いれば
よい。
停止剤又は分子量調節剤を使用しても良い。末端停止剤
又は分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基
を有する化合物があげられ、通常のフェノール、p−t
−ブチルフェノール、トリブロモフェノール等の他に、
長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライ
ド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ
安息香酸アルキルエステル、アルキルエーテルフェノー
ル等が例示される。本発明で使用されるポリカーボネー
ト樹脂においては、一種類でも、又は二種類以上を混合
して使用しても良い。ポリカーボネート樹脂の分子量
は、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定された溶液
粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは10,
000〜100,000であり、好ましくは15,00
0〜50,000である。
と二価フェノールから成る全芳香族ポリエステル樹脂で
ある。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、及びこれらの混合フタル酸などが挙げら
れ、二価フェノールとしては、ビスフェノールAなどが
挙げられる。ポリアリレートとしては、好ましくは、テ
レフタル酸/イソフタル酸とビスフェノールAから成る
全芳香族ポリエステルが挙げられる。ポリスチレン系樹
脂としては、スチレン単量体を重合して成る単独重合体
が挙げられる。スチレン単量体の重合の際、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレンなどのスチレン系単量体
を一部使用することも出来る。また、無水マレイン酸等
で変性されたもので合っても良い。ポリスチレン系樹脂
の製造方法としては、重乳化重合法、溶液重合法、懸濁
重合法、塊状重合法などが挙げられる。ポリスチレン系
樹脂の重量平均分子量は、通常100,000から50
0,000程度である。重量平均分子量は例えば光散乱
法により求めることが出来る。AS樹脂は、アクリロニ
トリルとスチレンのランダム共重合体であり、ポリスチ
レン系樹脂と同様の重合法により製造できる。透明芳香
族熱可塑性樹脂(a)として特にポリカーボネート樹脂
が好適に使用される。
フタレート樹脂(b)は、ジカルボン酸成分とジオール
成分とからなる。ジカルボン酸としては、芳香族ジカル
ボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およ
びオキシ酸などが挙げられ、好ましくは芳香族ジカルボ
ン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカル
ボン酸等が挙げられる。
ロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の上記芳
香族ジカルボン酸の核水添化合物が挙げられる。脂肪族
ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジオン酸等が挙げられる。オキシ酸としては、ヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
これらのジカルボン酸成分は単独で或いは2種以上混合
して使用してもよい。これらのジカルボン酸の中で、好
ましくは、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸
が挙げられ、より好ましくはテレフタル酸が挙げられ
る。ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環族ジオー
ル、芳香族ジオール、および芳香族ジオールのエチレン
オキサイド付加物などが挙げられ、好ましくは脂肪族ジ
オールなどが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−デカンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペ
ンチルグリコール等が挙げられる。
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の
ポリアルキレングリコール;1,2−シクロヘキサンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール等の脂環族ジオールも挙げられる。芳香族ジ
オールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族ジオー
ルのエチレンオキサイド付加物としては、2,2−ビス
(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビ
ス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等
の等が挙げられる。これらのジオール成分は単独で或い
は2種以上混合して使用してもよい。これらの中で、好
ましくは、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジ
オールなどが挙げられ、より好ましくはエチレングリコ
ールなどが挙げられる。本発明におけるポリアルキレン
テレフタレート樹脂(b)の分子量は、特に限定されな
いが、テトラクロロエタン/フェノール=5/5混合溶
媒中、30℃で測定された極限粘度で、好ましくは0.
3〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.5〜
1.2dl/gである。0.3dl/g未満では、ポリ
エステル組成物を成形体となした場合に実用上の十分な
強度を呈するのが困難な場合があり、また、1.5dl
/gを越える場合は、溶融粘度が高くなりすぎて成形が
困難になる場合がある。
タレート樹脂(c)は、ナフタレンジカルボン酸成分と
ジオール成分とからなる。すなわち、ナフタレンジカル
ボン酸基とジオール基のみからなるポリマーはもちろん
のこと、その他ナフタレンジカルボン酸基の一部を、例
えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、等の如き他の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテ
レフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、等の如き脂肪
族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、等の如き脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシ
エトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオキ
シ酸等の他に二官能性カルボン酸の1種以上を置換して
5重量%以下程度を共重合せしめたコポリマーも、本発
明におけるポリアルキレンナフタレートとして用いられ
る。
−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカル
ボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナ
フタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン
酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタ
レンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、
1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレン
ジカルボン酸等の各種異性体が挙げられる。これらのナ
フタレンジカルボン酸異性体は単独で或いは二種以上混
合して使用してもよい。これらの中で、特に2,6−ナ
フタレンジカルボン酸が好適に用いられる。ジオールと
しては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(b)の場
合と同様のものが使用でき、エチレングリコールや1,
4−ブタンジオールの1種又は両方が好ましい。ただ
し、ポリアルキレンテレフタレートと同一のものを使用
する必要はなく、ポリアルキレンテレフタレートとポリ
アルキレンナフタレートとはそれぞれ独立に選択して使
用可能である。
しては、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレートや
ポリブチレン−2,6−ナフタレートなどが好適に用い
られる。本発明におけるポリアルキレンナフタレート樹
脂(c)の分子量は、特に限定されないが、テトラクロ
ロエタン/フェノール=5/5混合溶媒中30℃で測定
された極限粘度で、好ましくは0.3〜1.5dl/g
であり、より好ましくは0.4〜0.8dl/gであ
る。本発明における透明芳香族熱可塑性樹脂(a)、ポ
リアルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びポリアル
キレンナフタレート樹脂(c)の割合は、各成分の合計
量に対する割合として次の通りである。すなわち、
(a)の割合が50重量%<(a)≦99.999重量
%であり、(b)、(c)の合計が0.001重量%≦
(b)+(c)<50重量%である。(b)、(c)の
割合が0.001重量%未満であると耐薬品性の改良効
果が不十分であり、50重量%以上であると耐熱性及び
耐衝撃性が不十分となる。(b)、(c)合計の割合の
下限は、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ま
しくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.
5重量%以上である。(b)、(c)合計の割合の上限
は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは
20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以
下であるが、最も好ましくは5重量%以下であり、この
場合耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性に優れるだけでなく透
明性の改良効果も優れている。
法としては、最終成形品を成形する直前までの任意の段
階で、当業者に周知の種々の方法によって配合し、混練
する方法が挙げられる。例えば、(a)、(b)、
(c)を同時に配合する方法、(a)に(b)もしくは
(c)のいずれかを配合してから残りを配合する方法、
(b)と(c)を予め配合したものに(a)を配合する
方法のいずれでも良く、また配合する全量を一度に配合
するのではなく、多数回に分けて配合してもよく、その
順序も特に限定されない。配合方法としては、ペレット
やパウダーの状態で配合する方法、例えば、タンブラ
ー、ヘンシェルミキサー等で混合するか、又はフィーダ
ーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方
法等が挙げられる。混練方法としては、溶融混練するこ
とが好ましく、一軸押出機、二軸押出機などを用いて従
来公知の混練方法をそのまま採用することができる。混
練温度は透明芳香族熱可塑性樹脂の安定な押し出しが可
能な温度であれば特に制限はなく、150〜350℃、
滞留時間30秒〜20分とすることが好ましい。また、
混練時に安定剤をブレンドすることも可能である。
目的に応じ、所望の特性を付与する他のポリマーや、難
燃剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、
発泡剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、
炭素繊維、繊維状マグネシウム、チタン酸カリウムウィ
スカー、セラミックウィスカー、マイカ、タルク等の補
強剤、充填剤、染顔料等を、一種又は二種以上添加含有
させてもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、押出成形、ブロー成形等、慣用の成形方法に従っ
て、所望の成形品とすることができる。成形温度として
は、透明芳香族熱可塑性樹脂の熱安定性を維持できる範
囲であれば特に限定されず、使用する樹脂の種類に応じ
て最適範囲が異なるが、通常200〜350℃の範囲が
好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品
の用途としては、例えば、コンパクトディスク、光磁気
ディスクに用いられる情報記録媒体、レンズ、プリズム
などの光学用成形品、アルコール飲料・食油・食肉など
を包装する食品包装容器、フィルム、シート、飲料・油
などを充填する中空成形体、透過光式成形体、スイッチ
やコネクターなどの電気・電子部品、自動車のヘッドラ
ンプレンズやフロントガラスなどの自動車部品、建築材
料関連部品、医療用関連部品、農業関連部品、雑貨など
が挙げられる。
成形品のヘーズは、厚さ3mmの試験片での測定で、好
ましくは17%以下であり、より好ましくは15%以下
である。本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形
品の荷重撓み温度としては、好ましくは120℃以上で
あり、より好ましくは130℃以上である。本発明の熱
可塑性樹脂組成物から得られる成形品の衝撃強度は、好
ましくは700J/m以上であり、より好ましくは80
0J/m以上である。
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。各実施例にて使用した原
材料は下記の通りである。 <透明熱可塑性樹脂> (1)ポリカーボネート樹脂:ユーピロン S−200
0(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社商
品、粘度平均分子量25,000) <ポリアルキレンテレフタレート樹脂> (1)ポリエステル樹脂:ノバペックス RT580C
A(三菱化学株式会社商品、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂、極限粘度1.20) (2)ポリエステル樹脂:ノバト゛ゥ−ル 5020(三
菱エンジニアリングプラスチックス株式会社商品、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂、極限粘度1.20) <ポリアルキレンナフタレート樹脂> (1)ポリエチレンナフタレート樹脂:ノバペックス
FS405Z(三菱化学株式会社商品、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、極限粘度0.70)
測定した。 (2)荷重撓み温度:ASTM D648に準じて、
1.82MPa荷重下で測定した。 (3)衝撃強度:ASTM D256に準じて、厚さ
3.2mmの試験片で測定した。 (4)耐薬品性:厚さ3.2mmの引張試験片に変形率
1%の撓みを負荷した状態で、試験薬品を塗布し、48
時間後の破断エネルギーの保持率(試験薬品を塗布しな
いものに対する比率)により評価した。評価基準は3段
階で行った。試験薬品としては次の薬品を使用した。 (a)PEG400:ポリエチレングリコール、日本油
脂(株)製品。 (b)DOP:ジオクチルフタレート(フタル酸ジ(2
−エチルヘキシル))、東京化成工業(株)製品。 (c)TCP:トリクレジルフォスフェート(リン酸ト
リクレジル)、東京化成工業(株)製品。
が70%以上。 △:48時間後の破断エネルギーの保持率が30%以上
70%未満。 ×:48時間後の破断エネルギーの保持率が30%未
満。
示すポリアルキレンテレフタレート樹脂としてポリブチ
レンテレフタレート樹脂(「5020」)もしくはポリ
エチレンテレフタレート樹脂(「RT580CA」)
と、ポリエチレンナフタレート樹脂(「FS405
Z」)とを同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、
直径30mmの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度
260℃で押出してペレットを得た。このペレットを熱
風乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂
温度270℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を
射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、実施例1と
同様に射出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。 比較例2〜9 ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)と、表1に
示すポリアルキレンテレフタレート樹脂としてポリブチ
レンテレフタレート樹脂(「5020」)もしくはポリ
エチレンテレフタレート樹脂(「RT580CA」)を
同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、直径30m
mの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度260℃で
押出してペレットを得た。このペレットを熱風乾燥機中
で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂温度270
℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を射出成形
し、評価を行った。結果を表1に示す。 比較例10、11 ポリカーボネート樹脂(「S−2000」)と、表1に
示すポリエチレンナフタレート樹脂(「FS405
Z」)を同表に記載の比率でタンブラーにて混合し、直
径30mmの二軸ベント式押出機を使用しバレル温度2
60℃で押出してペレットを得た。このペレットを熱風
乾燥機中で120℃にて5時間以上乾燥した後、樹脂温
度270℃、金型温度80℃にて物性測定用試験片を射
出成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
かであるように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いれ
ば、耐薬品性と透明性のバランスのとれた成形品を得る
ことができる。しかも耐衝撃性や耐熱性も比較例のもの
よりも優れている。すなわち、比較例1では、単にポリ
カーボネートを成形した場合には、ヘーズが小さくて透
明性に優れるが耐薬品性が悪い。比較例2〜5は、ポリ
カーボネート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂の
み((a)+(b))を組み合わせた組成物であるが、ポリブチ
レンテレフタレート樹脂の配合量が少ないと、透明性が
優れるが、逆に耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性が悪化して
くる。また、比較例6〜9では、ポリカーボネート樹脂
にポリエチレンテレフタレート樹脂のみ((a)+(b))を組
み合わせた組成物であるが、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂が少ない場合でも比較的ヘーズが高くて透明性が
悪く、耐衝撃性が低く、しかも耐薬品性が劣る。さら
に、比較例10及び11では、ポリカーボネート樹脂にポリ
エチレンナフタレート樹脂のみ((a)+(c))を組み合わ
せた樹脂組成物であるが、ポリエチレンナフタレート樹
脂の配合量が少ない場合でもヘーズが高くて透明性が悪
く、また配合量が少ないと、耐薬品性が劣る。一方、実
施例の場合は、いずれもポリカーボネート樹脂に組み合
わせるポリエステル樹脂の量が増えるとヘーズがやや高
くなっていくが、上記の比較例のように、ポリエステル
樹脂の種類が一種類の場合よりも低く、しかもポリエス
テル樹脂の配合量が少ない場合でも耐熱性、耐衝撃性が
高く、しかも驚くべきことに比較的少なめの場合の方が
耐薬品性に優れていた。
み温度がポリエステル樹脂に比べて高く、耐熱性に優
れ、しかもアイゾッド衝撃強度もポリエステル樹脂に比
べて高く、耐衝撃性に優れている。また、耐薬品性が透
明芳香族熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂に比
べて非常に優れており、しかもヘーズの値が小さく、透
明性に優れており、透明性を要し且つ耐薬品性と耐熱
性、耐衝撃性が必要な各種用途に有用である。
Claims (10)
- 【請求項1】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)、ポリア
ルキレンテレフタレート樹脂(b)、及びポリアルキレ
ンナフタレート樹脂(c)を含有し、該(a)、(b)
及び(c)成分の合計量に対する(a)の割合が50重
量%<(a)≦99.999重量%であり、(b)と
(c)成分の合計量が0.001重量%≦(b)+
(c)<50重量%であり、(b):(c)の重量比が
99:1〜80:20であることを特徴とする熱可塑性
樹脂組成物。 - 【請求項2】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)の割合が
80重量%≦(a)≦99.9重量%であり、(b)と
(c)成分の合計量が0.1重量%≦(b)+(c)≦
20重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成
物。 - 【請求項3】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)の割合が
90重量%≦(a)≦99.8重量%であり、(b)と
(c)成分の合計量が0.2重量%≦(b)+(c)≦
10重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成
物。 - 【請求項4】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)の割合が
95重量%≦(a)≦99.5重量%であり、(b)と
(c)成分の合計量が0.5重量%≦(b)+(c)≦
5重量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項5】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)がポリカ
ーボネート樹脂である請求項1ないし4の何れかに記載
の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項6】 透明芳香族熱可塑性樹脂(a)の粘度平
均分子量が、メチレンクロライド溶媒中25℃で測定さ
れた溶液粘度より換算した粘度平均分子量として10,
000〜100,000である請求項1ないし5の何れ
かに記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項7】 ポリアルキレンテレフタレート樹脂
(b)及びポリアルキレンナフタレート樹脂(c)のジ
オール成分が、それぞれ脂肪族ジオール由来の成分であ
ることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の
熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項8】 ポリアルキレンテレフタレート樹脂
(b)及びポリアルキレンナフタレート樹脂(c)のジ
オール成分が、それぞれエチレングリコール由来の成分
または1,4−ブタンジオール由来の成分である請求項
1ないし7の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項9】 ポリアルキレンテレフタレート樹脂
(b)及びポリアルキレンナフタレート樹脂(c)の極
限粘度が、テトラクロロエタン/フェノール=5/5混
合溶媒中30℃での測定で、それぞれ0.3〜1.5d
l/gであることを特徴とする請求項1ないし8の何れ
かに記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項10】 請求項1ないし9の何れかの熱可塑性
樹脂を用いた成形体。
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