JPWO2020136827A1 - 電気絶縁樹脂組成物、及び電気絶縁体 - Google Patents

電気絶縁樹脂組成物、及び電気絶縁体 Download PDF

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Abstract

数平均分子量が17,000〜23,000であり、かつ酸価が30〜50mgKOH/gであるポリアミドイミド樹脂と、無機粒子とを含む、電気絶縁樹脂組成物。

Description

本開示は、電気絶縁樹脂組成物、及び当該電気絶縁樹脂組成物を用いた電気絶縁体に関する。
近年、省エネルギー及び可変速制御の観点から、インバータ制御方式の電気機器が多用されるようになっている。特に、ハイブリッド自動車及び産業用モータの分野では高効率化が進み、それらの制御系では、可変速装置としてインバータ駆動が適用され、装置の小型化、軽量化、高耐熱化、及び高電圧駆動化が急速に進んでいる。
インバータ駆動のパワーデバイスとして、近年、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの高速スイッチング可能な素子の開発が進められている。これに伴い、サージ電圧が上昇し、モータ及び電気機器などにおいて早期に絶縁破壊する事例が頻度を増してきている。上記素子における絶縁破壊の原因の一つとして、モータ用コイルに高電圧が掛けられた時に、絶縁電線の絶縁皮膜において部分放電が発生しやすくなることが指摘されている。
一方、耐加工性、耐熱性、耐薬品性、及び耐加水分解性等に優れることから、ポリアミドイミド樹脂は、重要な電気絶縁材料として、種々の用途に使用されている。特に、自動車用モータ(ハイブリッド自動車用モータを含む)の分野では、モータ製造時の巻線加工において、巻線は、強いテンションが加えられながら、伸長、屈曲、及び摩耗等を受けて加工される。そのため、巻線には優れた耐加工性が求められている。また、巻線は、トランスミッションオイルの存在下に設置されることが多い。そのため、モータで用いられる巻線に対する性能要求として、ミッションオイルに侵されないこと、また、オイル中の水分による加水分解に耐性を有することが挙げられる。さらに、巻線には、高温下での使用に耐え得る耐熱性も求められる。このような観点から、ポリアミドイミド樹脂は、巻線(特に絶縁電線)に用いられる電気絶縁材料として欠かせないものとなっている。
これらの観点から、耐加工性、耐熱性、耐薬品性、及び耐加水分解性等の絶縁電線に対する代表的な性能要求を満たし、かつ部分放電による破壊的な絶縁皮膜の劣化を抑制することができる電気絶縁材料の実現に向けて様々な検討が行われている。
例えば、絶縁皮膜における部分放電劣化を抑制するために、本発明者らは、特定のポリブタジエン系樹脂によって変性された変性ポリアミドイミド樹脂を含有する樹脂組成物によって、優れた絶縁破壊電圧特性が得られることを明らかにしている(特許文献1)。また、絶縁皮膜における部分放電劣化を抑制可能な電気絶縁材料として、ポリアミドイミド樹脂などの樹脂と、シリカ等の無機粒子とを含む樹脂組成物が開示されている(特許文献2〜4)。
しかし、近年のサージ電圧の上昇に伴い、絶縁皮膜における部分放電劣化に対して従来よりも高い耐性を有する電気絶縁材料が望まれている。
特開2015−84329号公報 特開2001−307557号公報 特開2012−197367号公報 特開2008−251295号公報
一般的にポリアミドイミド樹脂などの樹脂と、シリカ等の無機粒子とを含む電気絶縁材料から形成される絶縁皮膜の部分放電劣化耐性は、無機粒子の含有量を増加することで向上する。一方、無機粒子を含む電気絶縁材料は、絶縁皮膜の可とう性、導体への密着性、及び絶縁破壊電圧が低下してしまう。絶縁皮膜の可とう性及び密着性が低い場合、そのような絶縁皮膜を有する絶縁電線は、巻線加工時に機械的ストレスによって絶縁性が低下しやすい。また、絶縁破壊電圧が低いと、絶縁皮膜の絶縁破壊が生じやすくなる。
このように、無機粒子を含む電気絶縁材料では、可とう性、密着性、及び絶縁破壊電圧といった絶縁皮膜に対する代表的な要求特性と、絶縁皮膜の部分放電劣化耐性とのバランスを図ることが望まれている。また、インバータ駆動によるモータ及び電気機器などの長寿命化に向けて、高周波交流電圧印加時の耐電圧寿命に優れる電気絶縁材料が望まれている。
上記に鑑みて、本開示は、可とう性、密着性、及び絶縁破壊電圧に優れ、かつ優れた耐電圧寿命を有する絶縁皮膜を形成可能な電気絶縁樹脂組成物を提供する。また、本開示は、上記電気絶縁樹脂組成物を用いた絶縁信頼性の高い電気絶縁体を提供する。
本発明者らは、ポリアミドイミド樹脂と無機粒子とを含む電気絶縁樹脂組成物について鋭意検討を行った。その結果、特定の数平均分子量及び特定の酸価を有するポリアミドイミド樹脂を使用することによって、無機粒子の添加による可とう性及び密着性の低下が抑制されるとともに、優れた部分放電劣化耐性及び優れた耐電圧寿命を有する電気絶縁樹脂組成物を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に記載する実施形態に関する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態は、数平均分子量が17,000〜23,000であり、かつ酸価が30〜50mgKOH/gであるポリアミドイミド樹脂と、無機粒子とを含む、電気絶縁樹脂組成物に関する。
上記電気絶縁樹脂組成物において、上記無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下であることが好ましい。
上記電気絶縁樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、上記無機粒子を5〜50質量部含むことが好ましい。
上記電気絶縁樹脂組成物において、上記無機粒子は、シリカを含むことが好ましい。
他の実施形態は、導体と、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁皮膜とを含む、電気絶縁体に関する。
上記電気絶縁体において、上記導体は、金属線であることが好ましい。
本発明によれば、可とう性、密着性、絶縁破壊電圧などの絶縁皮膜に対する代表的な要求性能を維持し、かつ部分放電劣化を抑制し、優れた耐電圧寿命を有する絶縁皮膜を形成可能な電気絶縁樹脂組成物を提供することができる。また、上記電気絶縁樹脂組成物を用いて絶縁信頼性の高い電気絶縁体を提供することができる。
絶縁電線の一実施形態を示す模式断面図である。 絶縁電線の他の実施形態を示す模式断面図である。 絶縁電線の他の実施形態を示す模式断面図である。 絶縁電線の他の実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態についてより具体的に説明するが、本発明は以下の記載に制限されるものではない。
1.電気絶縁樹脂組成物
一実施形態は、数平均分子量(Mn)が17,000〜23,000であり、かつ酸価が30〜50mgKOH/gであるポリアミドイミド樹脂と、無機粒子とを含む、電気絶縁樹脂組成物に関する。以下、各成分について説明する。
[ポリアミドイミド樹脂]
ポリアミドイミド樹脂は、上記特定の範囲のMn及び酸価を有すればよく、1種のポリアミドイミド樹脂であっても、2種以上のポリアミドイミド樹脂を含んでもよい。
ポリアミドイミド樹脂は、トリカルボン酸無水物又はその誘導体を含む酸成分(以下、酸成分(a)ともいう)と、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物(以下、成分(b)ともいう)との反応によって得られる樹脂である。
(酸成分(a))
上記酸成分(a)として使用されるトリカルボン酸無水物は、成分(b)におけるイソシアネート基又はアミノ基と反応する、酸無水物基を有する3価のカルボン酸であればよい。ポリアミドイミド樹脂を製造するために、トリカルボン酸無水物又はその誘導体を特に制限なく使用することができる。
耐熱性の観点から、酸成分(a)においてトリカルボン酸無水物は、芳香族基を含む構造を有することが好ましい。一実施形態において、酸成分(a)は、下式(I)又は下式(II)で示されるトリカルボン酸無水物を含むことが好ましい。なかでも、耐熱性、及びコストの観点から、トリメリット酸無水物が特に好ましい。下式(I)又は下式(II)で示されるトリカルボン酸無水物は、目的に応じて単独で使用しても、又は2種以上を組合せて使用してもよい。
Figure 2020136827

式中、Xは、−CH−、−CO−、−SO−又は−O−を示す。
Figure 2020136827
他の実施形態において、酸成分(a)は、上記トリカルボン酸無水物とは異なる酸成分をさらに含んでもよい。例えば、酸成分(a)の一部として、必要に応じて、テトラカルボン酸二無水物をさらに含んでもよい。テトラカルボン酸二無水物の具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、m−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(3,3’’,4,4’’−m−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸二無水物等)などを使用することができる。
(成分(b))
ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物は、特に制限されず、分子内に2個のイソシアネート基又はアミノ基を有する化合物であればよい。一実施形態において、成分(b)は、下式(III)、(IV)、及び(V)で表されるイソシアネート基又はアミノ基を有する芳香族化合物を含むことが好ましい。
Figure 2020136827
Figure 2020136827
Figure 2020136827
上式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又は水酸基を表す。上記アルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10であることがさらに好ましい。上記アルキル基又はアルコキシ基は、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。一実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子であることが好ましい。
Yは、それぞれ、イソシアネート基又はアミノ基を示す。
は、−CH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−O−、−S−、又は−CR−を示す。R及びRは、それぞれ独立して、上記アルキル基又はアルコキシ基を表す。上記アルキル基又はアルコキシ基は、先に説明したとおりである。一実施形態において、R及びRは、炭素数1〜10のアルキル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、及びフェニル基からなる群から選択される1種以上の置換基である。一実施形態において、Xは、−CH−であることが好ましい。
上式(III)、(IV)又は(V)で示される芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミン化合物の具体例として、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジイソシアナトビフェニル、3,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメトキシビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、2,6−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、及び2,6−ジアミノナフタレン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4’−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミン化合物を使用することができる。
更に、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノイソホロン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ジアミノトランスシクロヘキサン、水添m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトイソホロン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,4−ジイソシアナトトランスシクロヘキサン、水添m−キシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式のジイソシアネート化合物又はジアミン化合物を使用することができる。ただし、上記脂肪族又は脂環式の化合物を使用するときは、上述した芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミン化合物を併用することが好ましい。上記脂肪族又は脂環式の化合物の使用量は、得られる樹脂の耐熱性等の観点から、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物全量の50モル%以下が好ましい。
上述したジイソシアネート化合物又はジアミン化合物は、3官能以上のポリイソシアネート化合物又はポリアミン化合物を併用することもできる。
一実施形態において、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物としては、耐熱性、溶解性、機械特性、及びコスト面等のバランスを考慮すれば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
また、経日変化を避けるために、必要に応じて、ブロック剤でイソシアネート基を安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、例えば、アルコール、フェノール、オキシム等が挙げられるが、特に制限はない。
(酸成分(a)と成分(b)の配合比)
上記ポリアミドイミド樹脂を製造するときの、酸成分(a)に対する成分(b)(上記ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物を表す)の配合量の割合((b)/(a)のモル比)は、特に制限されることなく調整することができる。上記モル比が小さくなりすぎると樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。一方、上記モル比が大きすぎると、発泡反応が激しくなり、また、未反応成分の残存が多くなり、樹脂の安定性が悪くなる傾向がある。
一実施形態において、所望とするMn及び酸価を得ることが容易となることから、酸成分(a)1モルに対する成分(b)の配合量のモル比は、0.6〜1.4であることが好ましく、0.7〜1.3であることがより好ましく、0.8〜1.2であることが特に好ましい。上記配合量のモル比は、酸成分(a)におけるカルボキシル基及び酸無水物基、並びに任意に含まれる反応性の水酸基の総モル数に対する、成分(b)におけるジイソシアネート化合物又はジアミン化合物のイソシアネート基及びアミノ基の総モル数の比として算出される値である。
ポリアミドイミド樹脂は、例えば、次の製造方法に沿って合成することができる。
(1)酸成分(a)及び成分(b)を一度に混合し、反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(2)酸成分(a)に対して成分(b)を過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するアミドイミドオリゴマーを合成し、次いで、酸成分(a)を追加して反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(3)酸成分(a)の過剰量と成分(b)を反応させて末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成し、次いで、酸成分(a)及び成分(b)を追加して反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(反応温度、反応時間)
上記のいずれの方法においても、反応温度は80〜150℃の範囲が好ましい。また、反応時間は、所望の数平均分子量(Mn)が得られるように考慮して決定されるが、通常、1〜10時間が好ましい。
(反応時の溶媒)
ポリアミドイミド樹脂の合成時に使用する溶媒(合成溶媒)は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素〔1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジミン−2(1H)−オン〕、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、及びスルホラン等の極性溶媒、キシレン、及びトルエン等の芳香族炭化水素溶媒、並びにメチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類などが挙げられる。
合成溶媒の使用量は、特に限定されないが、酸成分(a)と成分(b)との合計量100質量部に対して、50〜180質量部であることが好ましく、60〜120質量部であることがより好ましい。合成溶媒の使用量を上記範囲に調整した場合、合成時の発泡反応の発生を抑制することができ、また合成に要する時間を適切に調整することが容易となる。
(ポリアミドイミド樹脂の分子量)
一般的に、絶縁材料として使用するポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、9,000〜90,000であることが好ましい。Mnが小さすぎると、塗料としたときの成膜性が悪くなる傾向がある。また、数平均分子量が大きすぎると、塗料として適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が高くなり、塗装時の作業性が劣る傾向がある。ポリアミドイミド樹脂のMnは、10,000〜70,000であることが好ましい。
これに対し、上記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物は、Mnが17,000〜23,000であるポリアミドイミド樹脂を使用することを特徴とする。ポリアミドイミド樹脂のMnは、19,000〜23,000であることがより好ましい。ポリアミドイミド樹脂のMnは、原料の仕込み量、及び反応時間等によって調整することができる。例えば、樹脂合成時にサンプリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的とするMnになるまで反応を継続することにより、管理することができる。
また、上記ポリアミドイミド樹脂組成物中のポリアミドイミド樹脂は、酸価が30〜50mgKOH/gであることが好ましい。上記酸価は、35〜45mgKOH/gであることがより好ましい。上記酸価は、ポリアミドイミド樹脂中のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価を意味する。
ポリアミドイミド樹脂が上記範囲の酸価を有することによって、後述する混合溶媒へのポリアミドイミド樹脂の溶解又は分散が容易になる傾向がある。また、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂組成物が、経日によってゲル化しにくくなる傾向がある。さらに、理論によって拘束するものではないが、樹脂中のカルボキシル基と後述する無機粒子との相互作用によって、無機粒子の分散性が向上することが考えられる。
(無機粒子)
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物に含まれる無機粒子は、特に限定されず、絶縁皮膜に対する部分放電劣化を抑制可能であるものであればよい。一般的に、樹脂に無機粒子を添加した電気絶縁材料から形成される絶縁皮膜は、無機粒子の分散性に依存して、特性が変化する。一方、平均一次粒子径が50nm以下である無機粒子を使用した場合、絶縁皮膜の成膜性及び密着性の向上といった有益な特性を示すことが期待されるものの、二次凝集が起こり、分散性が低下しやすい傾向がある。これに対し、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物は、先に説明した特定のMn及び酸価を有するポリアミドイミド樹脂の使用によって、平均一次粒子径が50nm以下である無機粒子を使用した場合であっても、優れた分散安定性を得ることが容易となる。
本明細書において、「平均一次粒子径」とは、凝集した粒子の平均粒子径、つまり二次粒子径ではなく、凝集していない単体での平均粒子径を意味する。無機粒子の平均一次粒子径は、代表的に、レーザー回析式粒度分布測定装置又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法によって測定することができる。例えば、TEMを用いる方法では、先ず、組成物又は分散体の中から無作為に選ばれた少なくとも百個以上の粒子について、TEMによってそれぞれの粒子像の面積を測定する。次いで、得られた面積の値と同面積となる円の直径を粒子径と見なし、公知の統計処理によって各粒子径の平均値を算出することによって、平均一次粒子径を得る。
一実施形態において、成膜性及び密着性の観点から、無機粒子の平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。
一実施形態において、無機粒子は、金属酸化物であってよい。具体例として、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化マグネシウム、又は酸化ジルコニウムなどが挙げられる。他の具体例として、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。樹脂への分散性に優れ、かつ粒子の凝集が起こり難いことから、シリカを好ましく使用することができる。
無機粒子は、樹脂への分散性を高める観点から、カップリング剤などの代表的な表面処理剤で処理されたものであってもよい。また、無機粒子はゾル(分散体)の形態であってもよく、溶媒置換したものであってもよい。ゾルにおける分散媒は、上記ポリアミドイミド樹脂と相溶性に優れることが好ましい。分散媒として、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルイソブチルケトン、水、又はメタノールを使用することができる。その他、キシレンとブタノールとの混合溶媒などを使用することもできる。
特に限定するものではないが、一実施形態において、無機粒子として、シリカゾルを使用することが好ましい。例えば、分散媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを含むシリカゾルを好適に使用することができる。一般的に、平均一次粒子径が50nm以下のシリカ粒子は、二次凝集しやすい傾向があるが、シリカゾルを使用することによって、良好な分散性を保持することができ、凝集による粒子の沈降などを抑制することが容易となる。
シリカゾルは、市販品として入手可能なシリカゾルを使用することもできるが、当業者に周知の方法に従って調製することもできる。例えば、シリカゾルの製造には、紛体を液体に分散する一般的な方法を適用することができる。より具体的には、シリカ粒子と、分散媒と、分散剤等のその他の成分とを混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等によって、分散処理を行う方法が挙げられる。
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物において、上記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対する無機粒子の配合量は、5〜50質量部であることが好ましい。上記無機粒子の配合量は、10〜40質量部であることがより好ましく、20〜30質量部であることがさらに好ましい。無機粒子のゾルを使用した場合、上記配合量は、ゾル中に含まれる無機粒子(固形分)の含有量から算出される値を意味する。無機粒子の配合量を上記範囲に調整することによって、可とう性などの絶縁皮膜の特性を低下させることなく、部分放電劣化耐性を高めることが可能となる。
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂と、上記無機粒子とを混合することによって得られるが、上記ポリアミドイミド樹脂に対する上記無機粒子の分散性を高めるために、様々な分散技術を適用することもできる。例えば、無機粒子を表面処理剤で処理した後に、ポリアミドイミド樹脂に加えて分散処理を行ってもよい。また、ポリアミドイミド樹脂と表面処理剤とを混合した後に、さらに無機粒子を加えて分散処理を行ってもよい。さらに、表面処理剤に加えて、分散剤を使用してもよい。
(混合溶媒)
一実施形態において、電気絶縁樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂と、上記無機粒子と、さらに、これら成分を混合するための溶媒(以後、混合溶媒という)とを含む。混合溶媒は、ポリアミドイミド樹脂を溶解可能なものが好ましく、上記ポリアミドイミド樹脂の合成時に使用した合成溶媒と同じであってもよい。したがって、電気絶縁樹脂組成物を製造するために、ポリアミドイミド樹脂の製造時に得られる反応溶液をそのまま使用することもできる。一実施形態において、合成溶媒及び混合溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、及び/又はN,N−ジメチルアセトアミドを含むことが好ましい。
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物において、合成溶媒及び/又は混合溶媒の配合量は特に制限されない。ポリアミドイミド樹脂を合成溶媒及び/又は混合溶媒によって希釈し、所望とする用途に適した粘度が得られるように配合量を調整することができる。電気絶縁樹脂組成物を電気絶縁塗料(ワニス)として使用する場合、一般に、ワニスの全質量を基準として、固形分含有量は10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。ワニスにおける固形分含有量を上記範囲に調整することによって、優れた塗工性が得られるとともに、塗工を繰返して容易に厚膜化することができる。上記固形分含有量は、代表的に、ポリアミドイミド樹脂と無機粒子との合計量であってよい。
(その他成分)
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、着色剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤の配合量は、皮膜特性を低下させない範囲で調整することが好ましい。
2.電気絶縁体
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物は、様々な導体に絶縁性を付与するための電気絶縁材料として好適に使用することができる。
一実施形態は、導体と、当該導体に絶縁性を付与するための、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物から形成される絶縁皮膜とを有する電気絶縁体に関する。上記絶縁皮膜は、導体に上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を塗布し、焼付けることによって形成することができる。
上記導体は、銅線等の金属線、及びその他の絶縁性を付与することが望ましい構造体が挙げられる。電気絶縁体において、導体は、上記電気絶縁樹脂組成物から構成される絶縁皮膜に加えて、他の電気絶縁材料から構成される追加の絶縁皮膜をさらに有してもよい。
(導体)
上記導体は、例えば、後述する金属線や、インバータ制御電気機器などに用いられる電気電子部品が挙げられる。上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物から形成される絶縁皮膜が付与された電気電子部品は、特に、高電圧用、インバータ制御用として有用である。
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を金属線に塗布した場合、耐加工性、耐熱性、及び絶縁破壊電圧特性などに優れた、絶縁信頼性の高い絶縁電線(エナメル線)を提供することができる。また、同様に、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を使用することによって、絶縁破壊に対して高い耐性を有する電気電子部品を提供することができる。
(絶縁皮膜の作製方法)
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、当技術分野で周知の技術を適用することができる。例えば、電気絶縁塗料(ワニス)として調製した電気絶縁樹脂組成物を電線(金属線)に塗布する場合、ダイス塗装、フェルト塗装等の方法を適用することができる。
上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物は、被塗物となる導体に塗装後、塗膜を乾燥及び硬化させることによって絶縁皮膜を形成することができる。塗膜の乾燥及び硬化は、260〜520℃の温度で、2秒〜数分の時間にわたり、熱処理を行うことで達成できる。熱処理時の温度が低いと、塗膜の乾燥及び硬化の後に、溶媒が残り、塗膜特性が低下する可能性がある。また、硬化時の温度が十分に高くない場合(例えば、硬化温度が260℃未満の場合)、塗膜の乾燥及び硬化が不十分になることがある。加熱時間が短すぎると、塗膜に溶媒が残存し塗膜特性が低下しやすい。一方、加熱時間が長すぎると、時間とエネルギーが無駄になり生産効率が低下しやすい。
金属線(電線)に塗布した電気絶縁樹脂組成物の乾燥及び硬化方法(焼付け方法)は、常法に従って実施することができる。代表的には、電線に電気絶縁樹脂組成物を塗布した後に、加熱炉を通過させる方法が挙げられる。上記乾燥及び硬化によって形成される硬化膜からなる絶縁皮膜の耐絶縁破壊性を向上させる観点から、電気絶縁樹脂組成物の塗布を数回繰り返して、絶縁皮膜を形成することが好ましい。
絶縁皮膜は、単層構造としても、多層構造としてもよい。特に限定されないが、一実施形態において、絶縁皮膜の全体の厚さは、20〜200μmが好ましく、40〜150μmがより好ましい。塗膜が薄すぎると、絶縁性が不十分になり、厚すぎるとコイルにしたときの導体割合が低下し、電気的な能力が低下する。また、塗膜が厚すぎると、小型化、薄型化に不利となる。
(絶縁電線(エナメル線))
次に、上記電気絶縁体の一例として、絶縁電線についてより具体的に説明する。図1は、絶縁電線の一実施形態を示す模式断面図である。図2〜4は、絶縁電線の他の実施形態を示す模式断面図である。図1に示される絶縁電線Aは、導体1と、該導体1に、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を塗布し焼付けることにより形成した絶縁皮膜2とを有する。
導体1の具体例として、銅線等の金属線が挙げられる。一実施形態において、金属線の断面形状は、図1に示すように円形であってよい。他の実施形態において、金属線の断面形状は、正方形、矩形状、又は平角状であってもよい。
絶縁皮膜2は、他の電気絶縁材料と組合せた多層構造になっていてもよい。この場合、絶縁皮膜は、異なった電気絶縁材料を2層以上積層した多層構造となる。このような多層構造において、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物から形成される絶縁皮膜は、導体に接触する最内層であっても、外気と接触する最外層であっても、中間の層であってもよい。他の電気絶縁材料としては、例えば、ポリエステルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、及び本質的に無機粒子を含まないポリアミドイミド樹脂などがある。
一実施形態において、絶縁電線Aは、図2に示すように、導体1と、絶縁皮膜2との間にプライマー層3を有する構造であってよい。他の実施形態において、絶縁電線Aは、図3に示すように、導体1と、絶縁皮膜2と、さらにオーバーコート層4とを有する構造であってもよい。さらに、他の実施形態において、絶縁電線Aは、導体1と、プライマー層3と、絶縁皮膜2と、オーバーコート層4とを有する構造であってよい。
上記プライマー層及び上記オーバーコート層は、特に限定するものではないが、絶縁皮膜2との樹脂の相溶性の観点から、本質的に無機粒子を含まないポリアミドイミド樹脂から構成されることが好ましい。プライマー層及びオーバーコート層は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して5質量部未満の無機粒子を含んでもよいが、ポリアミドイミド樹脂のみから構成されることが好ましい。プライマー層を形成するために使用するポリアミドイミド樹脂は上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物を構成する特定のポリアミドイミド樹脂と同じであってもよいが、特に制限なく、Mnがより大きいその他のポリアミドイミド樹脂を使用してもよい。例えば、一実施形態において、プライマー層及びオーバーコート層を形成するために使用するポリアミドイミド樹脂のMnは、23,000〜29,000であってよい。
上述のように、絶縁電線Aは、上記実施形態の電気絶縁樹脂組成物から形成された絶縁皮膜2で導体1が被覆されることにより、耐加工性、耐熱性、及び絶縁破壊電圧特性などに優れ、絶縁信頼性が高い。そのため、上記実施形態の絶縁電線は、ステータ、又はローターのコイルに好適に使用することができる。このようなステータ又はローターは、インバータ駆動モータやその他の高電圧駆動モータなどに装備される。インバータ駆動モータの一例として、ハイブリッド自動車用モータ、電気自動車用モータ、ハイブリッドディーゼル機関車用モータ、電気自動二輪車用モータ、エレベータ用モータ、及び建設機械に使用されるモータなどが挙げられる。
上記実施形態の絶縁電線を用いて構成したコイルは、上記用途において、高い絶縁信頼性を提供することができ、かつ電気機器又はモータの長寿命化を実現可能とすることができる。このような効果は、特に、高い電圧が加わるインバータ制御においてより有効となる。また、上記電気絶縁樹脂組成物は、薄い絶縁皮膜であっても十分な絶縁破壊電圧特性を付与できることから、電気機器及びモータなどの小型化、及び軽量化に寄与することもできる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることができる。
1.電気絶縁樹脂組成物の調製
以下の実施例及び比較例で調製したポリアミドイミド樹脂の数平均分子量、及び酸価の測定は以下のようにして実施した。
(数平均分子量(Mn))
測定時の条件は、以下のとおりである。
GPC機種:日立 L6000
検出器:日立 L4000型UV
波長:270nm
データ処理機:ATT 8
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(×2)
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶媒:DMF/THF=1/1(リットル)+リン酸0.06M+臭化リチウム0.06M
試料濃度:5mg/1ml
注入量:5μl
圧力:49kgf/cm(4.8×10Pa)
流量:1.0ml/分
(酸価)
ポリアミドイミド樹脂組成物を0.5g採取し、これに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを0.15g加え、さらにN−メチル−2−ピロリドンを60gとイオン交換水を1mL加え、ポリアミドイミド樹脂が完全に溶解するまで撹拌する。このようにして得られた溶液を、0.05モル/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液を使用して電位差滴定装置で滴定した。
(実施例1)
温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.00モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン362.0gを入れた。次いで、これらの混合物を、乾燥した窒素気流中で、反応によって生じる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら、約6時間かけて130℃まで徐々に昇温し、さらに130℃で4時間保温することによって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂溶液を、N,N−ジメチルアセトアミドで希釈し、さらに200℃で2時間保温することによって、樹脂濃度(固形分含有量)が40%のポリアミドイミド樹脂溶液を調製した。得られた溶液中のポリアミドイミド樹脂を分析したところ、数平均分子量は21,000であり、酸価は40mgKOH/gであった。
次に、上記ポリアミドイミド樹脂溶液100質量部と、シリカゾル33.3質量部とを、60〜70℃で1時間にわたって混合撹拌し、電気絶縁用樹脂組成物を得た。上記シリカゾルは、シリカの平均一次粒子径が11nmであり、シリカ含有量が30質量%、分散媒となるN,N−ジメチルアセトアミド含有量が70質量%であった。上記電気絶縁用樹脂組成物において、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対するシリカ粒子の配合量は25質量部であった。
(比較例1)
温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.00モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン362.0gを入れた。次いで、これらの混合物を、乾燥した窒素気流中で、反応によって生じる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら、約6時間かけて130℃まで徐々に昇温し、さらに130℃で2時間保温することによって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂溶液を、N,N−ジメチルアセトアミドで希釈し、さらに200℃で2時間保温することによって、樹脂濃度(固形分含有量)が40%のポリアミドイミド樹脂溶液を調製した。得られた溶液中のポリアミドイミド樹脂を分析したところ、数平均分子量は16,000であり、酸価は55mgKOH/gであった。
次に、上記ポリアミドイミド樹脂溶液100質量部と、シリカゾル33.3質量部とを、60〜70℃で1時間にわたって混合撹拌し、電気絶縁用樹脂組成物を得た。上記シリカゾルは、シリカの平均一次粒子径が11nmであり、シリカ含有量が30質量%、分散媒となるN,N−ジメチルアセトアミド含有量が70質量%であった。上記電気絶縁用樹脂組成物において、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対するシリカ粒子の配合量は25質量部であった。
(比較例2)
温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.00モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン362.0gを入れた。次いで、これらの混合物を、乾燥した窒素気流中で、反応によって生じる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら、約6時間かけて130℃まで徐々に昇温し、さらに130℃で7時間保温することによって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂溶液を、N,N−ジメチルアセトアミドで希釈し、さらに200℃で2時間保温することによって、樹脂濃度(固形分含有量)が40%のポリアミドイミド樹脂溶液を調製した。得られた溶液中のポリアミドイミド樹脂を分析したところ、数平均分子量は25,000であり、酸価は28であった。
次に、上記ポリアミドイミド樹脂溶液100質量部と、シリカゾル33.3質量部とを、60〜70℃で1時間にわたって混合撹拌し、電気絶縁用樹脂組成物を得た。上記シリカゾルは、シリカの平均一次粒子径が11nmであり、シリカ含有量が30質量%、分散媒となるN,N−ジメチルアセトアミド含有量が70質量%であった。上記電気絶縁用樹脂組成物において、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対するシリカ粒子の配合量は25質量部であった。
(比較例3)
シリカゾルを添加しないことを除き、実施例1と同様に構成される電気絶縁用樹脂組成物を調製した。すなわち、実施例1と同様にして調製したポリアミドイミド樹脂溶液(樹脂濃度40質量%)のみから構成される、シリカゾルを含まない電気絶縁用樹脂組成物を調製した。
2.絶縁電線の製造及び評価
実施例1及び比較例1〜3で得た電気絶縁用樹脂組成物を、直径1.0mmの銅線に塗布し、次いで焼付けを行い、絶縁電線を製造した。製造時の条件は、以下のとおりである。
(塗布及び焼付けの条件)
焼付け炉:熱風式竪炉(炉長5m)
塗装回数:ダイス絞り8回(塗装、焼付けを8回繰り返した)
炉温:入口(蒸発帯)/出口(硬化帯)=320℃/430℃
線速:16m/分
得られた絶縁電線における絶縁皮膜の各特性について下記方法によって試験し評価した。その結果を表1に示す。
(1)皮膜厚さ
絶縁電線の皮膜厚さは、マイクロメータを用いて絶縁電線の直径(D1)を測定し、次いで、皮膜を焼いて取り除いた後の導線の直径(D2)を測定し、その差を1/2にすることによって求めた。すなわち、表1に記載した皮膜厚さは、(D1−D2)/2の値に相当する。
(2)耐電圧寿命
JIS C3216−5に規定される2個撚り試料を準備した。次いで、この試料に対して、測定温度155±3℃、パルス電圧3000Vの条件下で、矩形波交流電圧20kHzを印加し、試料が絶縁破壊するまでの時間を測定した。
(3)絶縁破壊電圧
JIS C3216−5に準じて測定した。
(4)可とう性
JIS C3216−3に準じて測定した。
(5)密着性
JIS C3216−3に準じて、焼付後1日以上放置させた絶縁皮膜を回転数:100回/minにて捻回させ、皮膜が剥離するまでの回転数を測定した。
(6)耐摩耗性
JIS C3216−3に準じて測定した。
(7)耐軟化性
JIS C3216−6に準じて測定した。
Figure 2020136827
表1に示した結果から、実施例1で得られた絶縁電線は、比較例1〜3で得られた絶縁電線よりも、耐電圧寿命が格段に優れており、さらに、その他の絶縁皮膜に対する代表的な要求特性においても優れていることが分かる。特に、無機粒子(シリカ)を含まない比較例3との対比から、本発明の実施形態に相当する実施例1では、特定の範囲のMn及び酸価を有する特定のポリアミドイミド樹脂の使用によって、シリカ等の無機粒子を添加した電気絶縁材料であっても、密着性、可とう性及び絶縁破壊電圧などの絶縁皮膜に対する代表的な要求特性を低下させることなく、耐電圧寿命の向上が可能となることが分かる。
このように、本発明によれば、絶縁皮膜を形成する電気絶縁材料として好適な電気絶縁樹脂組成物を提供することができ、このような電気絶縁樹脂組成物を用いて、耐電圧寿命に優れた電気絶縁体を提供することも可能となる。特に、本発明による電気絶縁樹脂組成物は、高周波数化、高電圧化が進行しているインバータ駆動モータの長期信頼性の向上に有用である。

Claims (6)

  1. 数平均分子量が17,000〜23,000であり、かつ酸価が30〜50mgKOH/gであるポリアミドイミド樹脂と、無機粒子とを含む、電気絶縁樹脂組成物。
  2. 前記無機粒子の平均一次粒子径が50nm以下である、請求項1に記載の電気絶縁樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、前記無機粒子を5〜50質量部含む、請求項1又は2に記載の電気絶縁樹脂組成物。
  4. 前記無機粒子が、シリカを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気絶縁樹脂組成物。
  5. 導体と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁皮膜とを含む、電気絶縁体。
  6. 前記導体が、金属線である、請求項5に記載の電気絶縁体。
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