以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有している要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1から図3を参照して、本実施形態に係る光検出装置を説明する。光検出装置1は、半導体基板10を備える。図1は、光検出装置の概略断面図である。図2は、光検出装置の平面図である。図3は、光検出装置に含まれる半導体基板の概略平面図である。
半導体基板10は、APD11及び温度補償用ダイオード12を有する。APD11及び温度補償用ダイオード12は、増幅率とバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有する。本実施形態では、APD11のブレークダウン電圧と温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧とは異なる。本実施形態では、APD11のブレークダウン電圧の方が、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧よりも高い。
光検出装置1では、温度補償用ダイオード12にブレークダウン電圧が印加されることで、当該ブレークダウン電圧に応じた電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。本実施形態では、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧がAPD11にバイアス電圧として印加される。APD11及び温度補償用ダイオード12は、増幅率とバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有する。この場合、環境温度が変化すると、温度補償用ダイオード12に印加されるブレークダウン電圧が変化する。温度補償用ダイオード12に印加されるブレークダウン電圧の当該変化によって、APD11に印加されるバイアス電圧もAPD11の増幅率が維持されるように環境温度に応じて変化する。すなわち、光検出装置1では、温度補償用ダイオード12によって、APD11の増幅率の温度補償が行われる。
図1に示されているように、半導体基板10は、互いに対向する主面10a,10bを有する。APD11及び温度補償用ダイオード12は、主面10aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板10に形成されている。APD11は、主面10a側に光入射面11aを有する。温度補償用ダイオード12は、遮光されたAPDである。
半導体基板10は、APD11及び温度補償用ダイオード12に加えて、周辺キャリア吸収部13を有する。周辺キャリア吸収部13の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間に位置している。周辺キャリア吸収部13は、APD11を囲んでいる。周辺キャリア吸収部13は、周辺に位置するキャリアを吸収する領域である。
次に、図1を参照して、本実施形態における光検出装置の構成についてさらに詳細に説明する。半導体基板10は、半導体領域21及び半導体層31,32,33,34,35を含む。APD11及び温度補償用ダイオード12は、それぞれ、半導体領域21及び半導体層31,32,35を含む。
周辺キャリア吸収部13は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部13は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。すなわち、半導体層33は、周辺のキャリアを吸収する周辺キャリア吸収層として機能する。本実施形態において、周辺キャリア吸収部13は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10において周辺キャリア吸収層の縁13a,13bに囲まれた部分である。本実施形態では、縁13a,13bは、半導体層33の縁である。縁13bは、縁13aよりもAPD11側に位置する。
半導体領域21及び半導体層32,34,35は第一導電型であり、半導体層31,33は第二導電型である。半導体の不純物は、たとえば拡散法又はイオン注入法によって添加される。本実施形態では、第一導電型はP型であり、第二導電型はN型である。半導体基板10がSiをベースとする場合、P型不純物としてはBなどの13族元素が用いられ、N型不純物としてはN、P又はAsなどの15族元素が用いられる。
半導体領域21は、半導体基板10の主面10a側に位置している。半導体領域21は、主面10aの一部を構成している。半導体領域21は、たとえばP−型である。
半導体層31は、主面10aの一部を構成している。半導体層31は、主面10aに直交する方向から見て、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。半導体層31は、たとえばN+型である。本実施形態では、半導体層31は、APD11及び温度補償用ダイオード12のそれぞれにおいてカソードを構成する。
半導体層32は、半導体領域21と半導体層31との間に位置している。換言すれば、半導体層32は、主面10a側で半導体層31に接し、主面10b側で半導体領域21に接している。半導体層32は、半導体領域21よりも不純物濃度が高い。半導体層32は、たとえばP型である。本実施形態では、温度補償用ダイオード12の半導体層32の不純物濃度は、APD11の半導体層32の不純物濃度よりも高い。半導体層32は、APD11及び温度補償用ダイオード12のそれぞれにおいてアバランシェ領域を構成する。
半導体層33は、主面10aの一部を構成している。半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。本実施形態では、周辺キャリア吸収部13は、半導体層33からなり、半導体基板10において半導体領域21のみと接している。周辺キャリア吸収部13は、アバランシェ領域に相当する層を含んでいない。本実施形態では、半導体層33は、半導体層31と同一の不純物濃度である。半導体層33は、たとえばN+型である。
半導体層34は、主面10aの一部を構成している。半導体層34は、主面10aに直交する方向から見て、半導体領域21に接し、半導体領域21に囲まれている。本実施形態では、半導体層34は、半導体領域21及び半導体層32よりも不純物濃度が高い。半導体層34は、たとえばP+型である。半導体層34は、図示されていない部分で半導体層35に接続されている。半導体層34は、光検出装置1のアノードを構成する。半導体層34は、たとえば、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13のアノードを構成する。
半導体層35は、半導体領域21よりも半導体基板10の主面10b側に位置している。半導体層35は、主面10bの全面を構成している。半導体層35は、主面10a側で半導体領域21に接している。本実施形態では、半導体層35は、半導体領域21及び半導体層32よりも不純物濃度が高い。半導体層35は、たとえばP+型である。半導体層35は、光検出装置1のアノードを構成する。半導体層35は、たとえば、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13のアノードを構成する。
光検出装置1は、半導体基板10の主面10a上に設けられた、絶縁膜41と、電極42,43,44,45と、パッシベーション膜46と、反射防止膜47とをさらに備える。絶縁膜41は、半導体基板10の主面10a上に積層されている。絶縁膜41は、たとえばシリコン酸化膜である。電極42,43,44,45は、それぞれ絶縁膜41上に配置されている。パッシベーション膜46は、絶縁膜41及び電極42,43,44,45上に積層されている。反射防止膜47は、半導体基板10の主面10a上に積層されている。
電極42は、絶縁膜41を貫通して、APD11の半導体層31に接続されている。電極42の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、APD11のパッド電極52を構成する。電極42は、パッド電極52においてAPD11からの信号を出力する。電極43は、絶縁膜41を貫通して、温度補償用ダイオード12の半導体層31に接続されている。電極43の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、たとえば、温度補償用ダイオード12のパッド電極53を構成する。
電極44は、絶縁膜41を貫通して、周辺キャリア吸収部13の半導体層33に接続されている。電極44の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、たとえば、周辺キャリア吸収部13のパッド電極54を構成する。電極45は、絶縁膜41を貫通して、半導体層34に接続されている。すなわち、電極45は、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13に対して接続されている。換言すれば、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13は、電極45に対して互いに並列に接続されている。電極45の一部は、パッシベーション膜46から露出しており、たとえば、パッド電極55を構成する。
本実施形態では、パッド電極52,53,54,55は、主面10aに直交する方向から光検出装置1を見た場合、図2に示されているように、APD11の周辺に配置されている。本実施形態では、パッド電極52は、APD11のカソード用のパッド電極である。パッド電極53は、温度補償用ダイオード12のカソード用のパッド電極である。パッド電極54は、周辺キャリア吸収部13のカソード用のパッド電極である。パッド電極55は、APD11、温度補償用ダイオード12及び周辺キャリア吸収部13のアノード用のパッド電極である。
パッド電極55には、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13が互いに並列に接続されている。APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13に逆方向バイアスをかける場合には、カソード用のパッド電極に正電圧が印加され、アノード用のパッド電極には負電圧が印加される。
反射防止膜47は、APD11の半導体層31上に積層されている。反射防止膜47の一部は、パッシベーション膜46から露出している。このため、APD11の半導体層31には、反射防止膜47を透過した光が入射し得る。温度補償用ダイオード12の半導体層31及び周辺キャリア吸収部13の半導体層33は、絶縁膜41で覆われており遮光されている。したがって、主面10aに直交する方向において主面10a側から光検出装置1を見た場合、図2に示されているように、APD11の半導体層31は、視認できる。温度補償用ダイオード12の半導体層31及び周辺キャリア吸収部13の半導体層33は、視認できない。
図3は、主面10aに直交する方向において主面10a側から見た半導体基板10を概略平面図である。図3に示されているように、APD11の半導体層31及び温度補償用ダイオード12の半導体層31は、主面10aに直交する方向から見て円形状である。周辺キャリア吸収部13の半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、円環状であり、APD11の半導体層31から離間して当該半導体層31を囲んでいる。半導体層33の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APD11の半導体層31と温度補償用ダイオード12の半導体層31との間に位置している。換言すれば、周辺キャリア吸収部13は、主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間に位置している。
主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間を最短距離で結ぶ線分上において、APD11と周辺キャリア吸収部13との間の最短距離は、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12との間の最短距離よりも小さい。部分13cは、APD11と温度補償用ダイオード12との間を最短距離で結ぶ線分上において、周辺キャリア吸収部13の縁13a,13bのうちAPD11に最も近い部分である。換言すれば、部分13cは、主面10aに直交する方向から見て、周辺キャリア吸収部13の縁13bのうち温度補償用ダイオード12に最も近い部分である。
より詳細には、主面10aに直交する方向から見て、APD11の半導体層31と温度補償用ダイオード12の半導体層31との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L1は、距離L2よりも小さい。図1及び図3に示されているように、距離L1は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD11の半導体層31と周辺キャリア吸収部13との間の最短距離である。距離L2は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12の半導体層31との最短距離である。L2/L1は、たとえば1超50以下である。L2/L1は、20以上50以下であってもよい。
図1に示されているように、主面10aに直交する方向から見て、APD11の半導体層32と温度補償用ダイオード12の半導体層32との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L3は、距離L4よりも小さい。距離L3は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD11の半導体層32と周辺キャリア吸収部13との間の最短距離である。距離L4は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12の半導体層32との間の最短距離である。
次に、図4を参照して、本実施形態における光検出装置の動作について説明する。光検出装置1は、電源61及び電流制限回路62をパッド電極55に接続した状態で使用される。電源61は、正極側がグラウンド63に接続され、負極側が電流制限回路62を介してパッド電極55に接続される。パッド電極53,54は、それぞれグラウンド64,65に接続される。グラウンド64,65は、互いに接続されていてもよい。パッド電極52は、不図示の信号読出回路に接続される。
本実施形態では、パッド電極55はP+型の半導体層34に接続されており、半導体層34はP+型の半導体層35に接続されている。したがって、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13のアノードは、パッド電極55に対して互いに並列に接続されている。この結果、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13のアノードに、電源61よってマイナスの電位が印加される。
パッド電極53に印加される電位とパッド電極55に印加される電位との差分は、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧である。このため、APD11のアノードには、温度補償用ダイオード12に印加されるブレークダウン電圧に応じた電位が印加される。この結果、APD11には、温度補償用ダイオード12に印加されるブレークダウン電圧に応じた電圧がバイアス電圧として印加される。同様に、周辺キャリア吸収部13のアノードにも、温度補償用ダイオード12に印加されるブレークダウン電圧に応じた電圧がバイアス電圧として印加される。
本実施形態では、電源61と電流制限回路62との組み合わせがパッド電極55に接続されることによって、パッド電極55に温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧が印加される。したがって、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧が、APD11及び周辺キャリア吸収部13にバイアス電圧として印加される。本実施形態では、電源61の出力電圧は、APD11の動作電圧以上である。換言すれば、電源61の出力電圧は、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧の温度変動の上限以上である。たとえば、電源61の出力電圧は、300V以上である。電流制限回路62は、たとえばカレントミラー回路又は抵抗などで構成される。この場合、たとえば、温度補償用ダイオード12とAPD11とのブレークダウン電圧差に応じて、APD11の増倍率が任意に設定され得る。APD11の増幅率がS/N比の高い最適増倍率Moptに設定されれば、検出精度の向上を図られる。
本実施形態では、APD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13のアノードは、半導体層35で一体に構成されている。たとえば、25℃の環境温度下において、パッド電極53に印加される電位が0Vであり、かつ、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧が130Vである場合、APD11のアノード及び周辺キャリア吸収部13のアノードには−130Vの電位が印加される。したがって、APD11のブレークダウン電圧が25℃の環境温度下において150Vである場合、APD11はアノードとカソードとの電位差がブレークダウン電圧よりも20V低い状態で動作する。
APD11と温度補償用ダイオード12とは、増幅率とバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有する。このため、APD11は、温度補償用ダイオード12がブレークダウン状態となっている限り、25℃の環境温度下においてブレークダウン電圧よりも20V低いバイアス電圧がされた場合の増幅率を維持して動作する。換言すれば、光検出装置1では、温度補償用ダイオード12をブレークダウン状態とする電圧が温度補償用ダイオード12に印加されることで、APD11の増幅率について温度補償が実現される。
本実施形態では、いわゆるリーチスルー型のAPD11がリニアモードで動作する構成を説明した。光検出装置1は、リーチスルー型のAPD11がガイガーモードで動作する構成であってもよい。APD11がガイガーモードで動作する構成では、APD11にクエンチング抵抗が接続される。半導体基板10は、温度補償用ダイオード12の半導体層32の不純物濃度がAPD11の半導体層32の不純物濃度よりも低くなるように構成される。
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の変形例に係る光検出装置について説明する。図5は、本変形例に係る光検出装置の概略断面図である。図6は、図5に示されている半導体基板の概略平面図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、温度補償用ダイオード12の半導体層31と周辺キャリア吸収部13の半導体層33とが半導体層31,33と同一の導電型の半導体層で接続されている点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
半導体基板10Aは、温度補償用ダイオード12の半導体層31と周辺キャリア吸収部13の半導体層33とを接続する半導体層71を有する。半導体層71は、半導体層31,33と同一の導電型を有する。半導体基板10Aでは、半導体層71は、半導体層31,33と同じ第二導電型であり、半導体基板10の厚み方向において半導体層31,33と同一の高さに位置している。半導体層71は、たとえばN+型である。
半導体基板10Aにおいても、APD11の半導体層31及び温度補償用ダイオード12の半導体層31は、主面10aに直交する方向から見て円形状である。周辺キャリア吸収部13の半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、円環状であり、APD11の半導体層31から離間して当該半導体層31を囲んでいる。半導体層33の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APD11の半導体層31と温度補償用ダイオード12の半導体層31との間に位置している。換言すれば、周辺キャリア吸収部13は、主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間に位置している。
半導体層71は、主面10aに直交する方向から見て、APD11の半導体層31と温度補償用ダイオード12の半導体層31との間において、周辺キャリア吸収部13の縁13aと温度補償用ダイオード12の半導体層33とを接続している。実際の半導体基板10Aでは、半導体層71と温度補償用ダイオード12の半導体層31とは、境界が認識できない程度に一体化されている。同様に、半導体層71と周辺キャリア吸収部13の半導体層33とは、境界が認識できない程度に一体化されている。
次に、図7から図10を参照して、本実施形態の別の変形例に係る光検出装置について説明する。図7から図10は、それぞれ別の変形例に係る光検出装置の半導体基板の概略平面図である。これらの変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。これらの変形例は、光検出装置が複数のAPDを含むAPDアレイが形成された半導体基板を有する点に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
まず、図7に示されている半導体基板10Bについて説明する。半導体基板10Bは、主面10a側に、複数のAPD81を含むAPDアレイ80と、温度補償用ダイオード82と、周辺キャリア吸収部83とを有する。APDアレイ80は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード82及び周辺キャリア吸収部83から離間して半導体基板10Bに形成されている。各APD81は、主面10aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板10Bに形成されている。
半導体基板10Bにおいて、複数のAPD81及び温度補償用ダイオード82は、同等の大きさの矩形状を呈しており、一方向に一列で配列されている。半導体基板10Bでは、複数のAPD81は等間隔で配列されている。温度補償用ダイオード82は、複数のAPD81及び温度補償用ダイオード82の配列の端に位置する。
周辺キャリア吸収部83は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ80を囲んでいる。周辺キャリア吸収部83の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ80と温度補償用ダイオード82との間に位置している。具体的には、周辺キャリア吸収部83の一部は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード82と、複数のAPD81のうち温度補償用ダイオード82に最も近いAPD81aとの間に位置している。
各APD81及び温度補償用ダイオード82は、上述した実施系形態におけるAPD11及び温度補償用ダイオード12と同様に、半導体領域21及び半導体層31,32,35を含む。周辺キャリア吸収部83は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部83の半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、環状である。周辺キャリア吸収部83は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。
周辺キャリア吸収部83は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Bにおいて周辺キャリア吸収層の縁83a,83bに囲まれた部分を意味する。半導体基板10Bにおいて、縁83a,83bは、半導体層33の縁である。縁83bは、縁83aよりもAPD81側に位置する。
APD81aと温度補償用ダイオード82と周辺キャリア吸収部83とは、上述した実施形態におけるAPD11と温度補償用ダイオード12と周辺キャリア吸収部13と同様の配置関係を有している。具体的には、主面10aに直交する方向から見て、APD81aの半導体層31と温度補償用ダイオード82の半導体層31との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L1は、距離L2よりも小さい。半導体基板10Bでは、距離L1は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD81aの半導体層31と周辺キャリア吸収部83との間の最短距離である。距離L2は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部83の部分83cと温度補償用ダイオード82の半導体層31との最短距離である。
部分83cは、APD81aと温度補償用ダイオード82との間を最短距離で結ぶ線分上において、周辺キャリア吸収部83の縁83a,83bのうちAPD81aに最も近い部分である。L2/L1は、たとえば1超50以下である。L2/L1は、20以上50以下であってもよい。
半導体基板10と同様に、主面10aに直交する方向から見て、APD81aの半導体層32と温度補償用ダイオード82の半導体層32との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L3は、距離L4よりも小さい。半導体基板10Bでは、距離L3は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD81aの半導体層32と周辺キャリア吸収部83との間の最短距離である。距離L4は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部83の部分83cと温度補償用ダイオード82の半導体層32との間の最短距離である。
次に、図8に示されている半導体基板10Cについて説明する。半導体基板10Cは、主面10a側に、複数のAPD86を含むAPDアレイ85と、温度補償用ダイオード87と、周辺キャリア吸収部88,89とを有する。APDアレイ85は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード87及び周辺キャリア吸収部88,89から離間して半導体基板10Cに形成されている。各APD86は、主面10aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板10Cに形成されている。
半導体基板10Cにおいて、複数のAPD86及び温度補償用ダイオード87は、同等の大きさの矩形状を呈しており、一方向に一列で配列されている。半導体基板10Cでは、複数のAPD86は、2つグループに分かれて配列されている。温度補償用ダイオード87は、主面10aに直交する方向から見て、上記2つのグループの間に配置されている。換言すれば、温度補償用ダイオード87は、それぞれ複数のAPD86が配列された2つのAPDアレイ85a,85bに挟まれている。APDアレイ85a及びAPDアレイ85bのそれぞれにおいて、複数のAPD86は等間隔で配列されている。APDアレイ85aとAPDアレイ85bとは、主面10aに平行かつ複数のAPD86の配列方向に直交する方向に温度補償用ダイオード87を通る直線を軸として線対称に配置されている。
周辺キャリア吸収部88,89は、主面10aに直交する方向から見て、上述したグループごとに複数のAPD86を囲んでいる。換言すれば、周辺キャリア吸収部88は、APDアレイ85aを囲んでいる。周辺キャリア吸収部89は、APDアレイ85bを囲む。周辺キャリア吸収部88と周辺キャリア吸収部89とは、主面10aに平行かつ複数のAPD86の配列方向に直交する方向に温度補償用ダイオード87を通る直線を軸として線対称に配置されている。周辺キャリア吸収部88,89は、主面10aに直交する方向から見て、環状の半導体層33を有する。
周辺キャリア吸収部88の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ85aと温度補償用ダイオード87との間に位置している。具体的には、周辺キャリア吸収部88の一部は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード87と、APDアレイ85aに含まれている複数のAPD86のうち温度補償用ダイオード87に最も近いAPD86aとの間に位置している。周辺キャリア吸収部89の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ85bと温度補償用ダイオード87との間に位置している。具体的には、周辺キャリア吸収部89の一部は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード87と、APDアレイ85bに含まれている複数のAPD86のうち温度補償用ダイオード87に最も近いAPD86bとの間に位置している。
各APD86及び温度補償用ダイオード87は、上述した実施系形態におけるAPD11及び温度補償用ダイオード12と同様に、半導体領域21及び半導体層31,32,35を含む。周辺キャリア吸収部88,89は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部88,89の半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、環状である。周辺キャリア吸収部88,89は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。
半導体基板10Cにおいて、周辺キャリア吸収部88は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Cにおいて周辺キャリア吸収層の縁88a,88bに囲まれた部分を意味する。周辺キャリア吸収部89は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Cにおいて周辺キャリア吸収層の縁89a,89bに囲まれた部分を意味する。半導体基板10Cにおいて、縁88a,88b,89a,89bは、半導体層33の縁である。縁88bは、縁88aよりもAPD86側に位置する。縁89bは、縁89aよりもAPD86側に位置する。
APD86aと温度補償用ダイオード87と周辺キャリア吸収部88とは、上述した実施形態におけるAPD11と温度補償用ダイオード12と周辺キャリア吸収部13と同様の配置関係を有している。APD86bと温度補償用ダイオード87と周辺キャリア吸収部89とは、APD11と温度補償用ダイオード12と周辺キャリア吸収部13と同様の配置関係を有している。
たとえば、主面10aに直交する方向から見て、APD86a,86bの半導体層31と温度補償用ダイオード87の半導体層31との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L1は、距離L2よりも小さい。半導体基板10Cでは、距離L1は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD86aの半導体層31と周辺キャリア吸収部88との間の最短距離であると共に、APD86bの半導体層31と周辺キャリア吸収部89との間の最短距離である。距離L2は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部88の部分88cと温度補償用ダイオード87の半導体層31との最短距離であると共に、周辺キャリア吸収部89の部分89cと温度補償用ダイオード87の半導体層31との最短距離である。
部分88cは、APD86aと温度補償用ダイオード87との間を最短距離で結ぶ線分上において、周辺キャリア吸収部88の縁88a,88bのうちAPD86aに最も近い部分である。部分89cは、APD86bと温度補償用ダイオード87との間を最短距離で結ぶ線分上において、周辺キャリア吸収部89の縁89a,89bのうちAPD86bに最も近い部分である。L2/L1は、たとえば1超50以下である。L2/L1は、20以上50以下であってもよい。
次に、図9に示されている半導体基板10Dについて説明する。半導体基板10Dは、主面10a側に、複数のAPD91を含むAPDアレイ90と、温度補償用ダイオード92と、周辺キャリア吸収部93とを有する。APDアレイ90は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード92及び周辺キャリア吸収部93から離間して半導体基板10Dに形成されている。各APD91は、主面10aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板10Dに形成されている。
半導体基板10Dにおいて、複数のAPD91は、同等の大きさの矩形状を呈しており、一方向に一列で配列されている。半導体基板10Dでは、複数のAPD91は等間隔で配列されている。温度補償用ダイオード92とAPDアレイ90とは、複数のAPD91が配列されている方向に直交すると共に主面10aに平行な方向において並んでいる。
周辺キャリア吸収部93は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ90を囲んでいる。周辺キャリア吸収部93の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ90と温度補償用ダイオード92との間に位置している。具体的には、周辺キャリア吸収部93の一部は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード92と、複数のAPD91のうち温度補償用ダイオード92に最も近いAPD91aとの間に位置している。APD91aは、複数のAPD91のうちAPDアレイ90の中央に位置するAPDである。
各APD91及び温度補償用ダイオード92は、上述した実施系形態におけるAPD11及び温度補償用ダイオード12と同様に、半導体領域21及び半導体層31,32,35を含む。周辺キャリア吸収部93は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部93の半導体層33は、主面10aに直交する方向から見て、環状である。周辺キャリア吸収部93は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。
周辺キャリア吸収部93は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Dにおいて周辺キャリア吸収層の縁93a,93bに囲まれた部分を意味する。縁93a,93bは、半導体層33の縁である。縁93bは、縁93aよりもAPD91側に位置する。APD91aと温度補償用ダイオード92と周辺キャリア吸収部93とは、上述した実施形態におけるAPD11と温度補償用ダイオード12と周辺キャリア吸収部13と同様の配置関係を有している。
次に、図10に示されている半導体基板10Eについて説明する。半導体基板10Eは、主面10a側に、複数のAPD96を含むAPDアレイ95と、温度補償用ダイオード97と、周辺キャリア吸収部98とを有する。APDアレイ95は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード97及び周辺キャリア吸収部98から離間して半導体基板10Eに形成されている。各APD96は、主面10aに直交する方向から見て、互いに離間して半導体基板10Eに形成されている。
半導体基板10Eにおいて、複数のAPD96は、同等の大きさの矩形状を呈しており、行列状に2次元配列されている。半導体基板10Eでは、複数のAPD96は等間隔で配列されている。温度補償用ダイオード97とAPDアレイ95とは、複数のAPD96の列方向において並んでいる。
周辺キャリア吸収部98は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ95を囲んでいる。周辺キャリア吸収部98の一部は、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ95と温度補償用ダイオード97との間に位置している。具体的には、周辺キャリア吸収部98の一部は、主面10aに直交する方向から見て、温度補償用ダイオード97と、複数のAPD96のうち温度補償用ダイオード97に最も近いAPD96aとの間に位置している。APD96aは、複数のAPD96のうち、温度補償用ダイオード97に最も近い行の中央に位置するAPDである。
各APD96及び温度補償用ダイオード97は、上述した実施系形態におけるAPD11及び温度補償用ダイオード12と同様に、半導体領域21及び半導体層31,32,35を含む。周辺キャリア吸収部98は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部98は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。
周辺キャリア吸収部98は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Eにおいて周辺キャリア吸収層の縁98a,98bに囲まれた部分を意味する。縁98a,98bは、半導体層33の縁である。縁98bは、縁98aよりもAPD96側に位置する。APD96aと温度補償用ダイオード97と周辺キャリア吸収部98とは、上述した実施形態におけるAPD11と温度補償用ダイオード12と周辺キャリア吸収部13と同様の配置関係を有している。
次に、図11を参照して、本実施形態の別の変形例に係る光検出装置について説明する。図11は、本変形例に係る光検出装置の概略断面図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じである。本変形例は、光検出装置の半導体基板にいわゆるリバース型のAPDが形成されている点、及び、半導体基板のAPDがガイガーモードで動作する点に関して、上述した実施形態と相違する。図1に示されている半導体基板10は、いわゆるリーチスルー型のAPDを有すると共に当該APDがリニアモードで動作する。これに対して、本変形例に係る光検出装置1Fの半導体基板10Fはいわゆるリバース型のAPDを有すると共に当該APDがガイガーモードで動作する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
半導体基板10Fは、半導体基板10のAPD11、温度補償用ダイオード12、及び周辺キャリア吸収部13にそれぞれ対応する、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103を有する。APD101は、主面10a側に、APD11の光入射面11aに対応する光入射面101aを有する。半導体基板10Fは、半導体領域21及び半導体層31,33,34,35,36を含む。半導体基板10Fは、半導体層32の代わりに半導体層36を含む点で半導体基板10と異なっている。APD101及び温度補償用ダイオード102は、それぞれ、半導体領域21及び半導体層31,35,36を含む。図11に示されているように、半導体層34は、半導体層35に接している。
周辺キャリア吸収部103は、半導体領域21及び半導体層33,35を含む。周辺キャリア吸収部103は、半導体層33において周辺に位置するキャリアを吸収する。すなわち、半導体層33は、周辺のキャリアを吸収する周辺キャリア吸収層として機能する。本変形例において、周辺キャリア吸収部103は、主面10aに直交する方向から見て、半導体基板10Fにおいて周辺キャリア吸収層の縁103a,103bに囲まれた部分である。本実施形態では、縁103a,103bは、半導体層33の縁である。縁103bは、縁103aよりもAPD101側に位置する。
半導体基板10Fでは、半導体層36は、半導体領域21と半導体層35との間に位置している。換言すれば、半導体層36は、主面10a側で半導体領域21に接し、主面10b側で半導体層35に接している。本変形例では、温度補償用ダイオード102の半導体層36の不純物濃度は、APD101の半導体層36の不純物濃度よりも低い。
半導体基板10Fでは、半導体領域21及び半導体層31,33,36は第一導電型であり、半導体層34,35は第二導電型である。本変形例においても、第一導電型はP型であり、第二導電型はN型である。半導体基板10FがSiをベースとする場合、P型不純物としてはBなどの13族元素が用いられ、N型不純物としてはN、P又はAsなどの15族元素が用いられる。
半導体基板10Fでは、半導体層31,33は、半導体領域21よりも不純物濃度が高い。半導体層36は、半導体領域21よりも不純物濃度が高く、半導体層31,33よりも不純物濃度が低い。具体的には、半導体領域21はたとえばP−型であり、半導体層31,33はたとえばP+型であり、半導体層36はたとえばP型である。本変形例では、半導体層31は、APD101及び温度補償用ダイオード102のそれぞれにおいてアノードを構成する。
半導体基板10Fでは、半導体層34は、半導体層35と同一の不純物濃度である。半導体層34,35は、たとえばN+型である。半導体層34,35は、光検出装置1Fのカソードを構成する。半導体層34,35は、たとえば、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103のカソードを構成する。
本変形例では、電極42の一部にクエンチング抵抗105が設けられている。クエンチング抵抗105は、APD101におけるP+型の半導体層31に電気的に接続されている。クエンチング抵抗105は、半導体層31と反対側でパッド電極52に電気的に接続されている。本変形例では、パッド電極52は、APD101のアノード用のパッド電極である。パッド電極53は、温度補償用ダイオード102のアノード用のパッド電極である。パッド電極54は、周辺キャリア吸収部103のアノード用のパッド電極である。パッド電極55は、APD101、温度補償用ダイオード102及び周辺キャリア吸収部103のカソード用のパッド電極である。
パッド電極55には、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103が互いに並列に接続されている。APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103に逆方向バイアスをかける場合には、アノード用のパッド電極に正電圧が印加され、カソード用のパッド電極には負電圧が印加される。
主面10aに直交する方向から見て、APD101と温度補償用ダイオード102との間を最短距離で結ぶ線分上において、APD101と周辺キャリア吸収部103との間の最短距離は、周辺キャリア吸収部103の部分103cと温度補償用ダイオード102との間の最短距離よりも小さい。部分103cは、APD101と温度補償用ダイオード102との間を最短距離で結ぶ線分上において、周辺キャリア吸収部103の縁103a,103bのうちAPD101に最も近い部分である。換言すれば、部分103cは、主面10aに直交する方向から見て、周辺キャリア吸収部103の縁103bのうち温度補償用ダイオード102に最も近い部分である。
より詳細には、主面10aに直交する方向から見て、APD101の半導体層31と温度補償用ダイオード102の半導体層31との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L1は、距離L2よりも小さい。距離L1は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD101の半導体層31と周辺キャリア吸収部103との間の最短距離である。距離L2は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部103の部分103cと温度補償用ダイオード92の半導体層31との最短距離である。L2/L1は、たとえば1超50以下である。L2/L1は、20以上50以下であってもよい。
図11に示されているように、主面10aに直交する方向から見て、APD101の半導体層36と温度補償用ダイオード102の半導体層36との間を最短距離で結ぶ線分上において、距離L3は、距離L4よりも小さい。距離L3は、主面10aに直交する方向から見た場合における、APD101の半導体層36と周辺キャリア吸収部103との間の最短距離である。距離L4は、主面10aに直交する方向から見た場合における、周辺キャリア吸収部103の部分103cと温度補償用ダイオード102の半導体層36との間の最短距離である。
次に、図12を参照して、半導体基板10Fを備えた光検出装置の動作について説明する。光検出装置1Fは、光検出装置1と同様に、電源61及び電流制限回路62をパッド電極55に接続した状態で使用される。光検出装置1Fでは、電源61は、負極側がグラウンド63に接続され、正極側が電流制限回路62を介してパッド電極55に接続される。パッド電極53,54は、それぞれグラウンド64,65に接続される。グラウンド64,65は、互いに接続されていてもよい。パッド電極52は、不図示の信号読出回路に接続される。
本変形例では、パッド電極55はN+型の半導体層34に接続されており、半導体層34はN+型の半導体層35に接続されている。したがって、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103のカソードは、パッド電極55に対して互いに並列に接続されている。この結果、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103のカソードに、電源61によってプラスの電位が印加される。
パッド電極53に印加される電位とパッド電極55に印加される電位との差分は、温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧である。このため、APD101のカソードには、温度補償用ダイオード102に印加されるブレークダウン電圧に応じた電位が印加される。この結果、APD101には、温度補償用ダイオード102に印加されるブレークダウン電圧に応じた電圧がバイアス電圧として印加される。同様に、周辺キャリア吸収部103のカソードにも、温度補償用ダイオード102に印加されるブレークダウン電圧に応じた電圧がバイアス電圧として印加される。
本変形例では、電源61と電流制限回路62との組み合わせがパッド電極55に接続されることによって、パッド電極55に温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧が印加される。したがって、温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧が、APD101及び周辺キャリア吸収部103にバイアス電圧として印加される。本変形例では、電源61の出力電圧は、APD101の動作電圧以上である。換言すれば、電源61の出力電圧は、温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧の温度変動の上限以上である。たとえば、電源61の出力電圧は、300V以上である。電流制限回路62は、たとえばカレントミラー回路又は抵抗などで構成される。この場合、たとえば、温度補償用ダイオード102とAPD101とのブレークダウン電圧差に応じて、APD101の増倍率が任意に設定され得る。APD101の増幅率がS/N比の高い最適増倍率Moptに設定されれば、検出精度の向上を図られる。
本変形例では、APD101、温度補償用ダイオード102、及び周辺キャリア吸収部103のカソードは、半導体層35で一体に構成されている。たとえば、25℃の環境温度下において、パッド電極53に印加される電位が0Vであり、かつ、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧が50Vである場合、APD101のカソード及び周辺キャリア吸収部13のカソードには+50Vの電位が印加される。APD101のブレークダウン電圧が25℃の環境温度下において48Vである場合、APD101はアノードとカソードとの電位差がブレークダウン電圧よりも2V高い状態で動作する。
APD101と温度補償用ダイオード102は、増幅率とバイアス電圧との関係について同等の温度特性を有する。このため、APD101は、温度補償用ダイオード102がブレークダウン状態となっている限り、25℃の環境温度下においてブレークダウン電圧よりも2V高いバイアス電圧がされた場合の増幅率を維持して動作する。換言すれば、光検出装置1Fでは、温度補償用ダイオード102をブレークダウン状態とする電圧が温度補償用ダイオード102に印加されることで、APD101の増幅率について温度補償が実現される。
本変形例では、いわゆるリバース型のAPD101がガイガーモードで動作する構成を説明した。光検出装置1Fは、リバース型のAPD101がリニアモードで動作する構成であってもよい。APD101がリニアモードで動作する構成では、クエンチング抵抗105は不要である。半導体基板10Fは、温度補償用ダイオード102の半導体層36の不純物濃度がAPD101の半導体層36の不純物濃度よりも高くなるように構成される。
次に、上述した実施形態及び変形例における光検出装置の作用効果について説明する。光検出装置1は、様々な用途に用いられている。このため、それぞれの用途に応じた環境下において光検出装置1の検出精度を確保することが求められている。たとえば、車載用途で光検出装置1が用いられる場合には、100℃以上の高温環境下における検出精度の確保が求められる。しかしながら、このような高温環境下では、APD11を構成する半導体基板10内で熱によるキャリアが発生する。このため、発生したキャリアがAPD11に到達すれば、APD11の検出結果にフォトンショットノイズが生じる。
光検出装置1の半導体基板10,10Aでは、周辺キャリア吸収部13が、主面10aに直交する方向から見てAPD11を囲んでいる。このため、高温環境下において半導体基板10,10A内で発生したキャリアがAPD11に到達することが抑制され、検出精度の向上も図られる。半導体基板10Fでは、周辺キャリア吸収部103が、主面10aに直交する方向から見て、APD101を囲んでいる。このため、高温環境下において半導体基板10F内で発生したキャリアがAPD101に到達することが抑制され、検出精度の向上も図られる。
半導体基板10Bでは、周辺キャリア吸収部83が、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ80を囲んでいる。半導体基板10Cでは、主面10aに直交する方向から見て、周辺キャリア吸収部88がAPDアレイ85aを囲んでおり、周辺キャリア吸収部89がAPDアレイ85bを囲んでいる。半導体基板10Dでは、周辺キャリア吸収部93が、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ90を囲んでいる。半導体基板10Eでは、周辺キャリア吸収部98が、主面10aに直交する方向から見て、APDアレイ95を囲んでいる。このため、高温環境下において半導体基板10B,10C,10D,10E内で発生したキャリアがそれぞれAPDアレイ80,85a,85b,90,95に到達することが抑制され、検出精度の向上も図られる。
従来、互いに同等の温度特性を有するAPDと温度補償用ダイオードとを備えた光検出装置を製造する場合、増幅率とバイアス電圧との関係について所望の温度特性を有するAPDを選定し組み合せるための検査が必要であった。このため、コスト削減は、困難であった。この点、光検出装置1,1Fでは、同一の半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10E,10FにAPD11,81,86,91,96,101及び温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102がそれぞれ形成されている。この場合、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102とAPD11,81,86,91,96,101とがそれぞれ異なる半導体基板に形成される場合よりも容易に高い精度で、増幅率とバイアス電圧とについて広い温度範囲で温度特性がそれぞれ同等の温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102及びAPD11,81,86,91,96,101が形成される。したがって、製造コストが抑えられながら、増倍率に対する温度補償が実現され得る。
温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102にブレークダウン電圧が印加された場合、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102は発光するおそれがある。温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102が発光すると、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102が発した光によって半導体基板内にキャリアが発生する。このため、同一の半導体基板に温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102とAPD11,81,86,91,96,101とが形成された状態では、当該キャリアがAPD11,81,86,91,96,101の検出結果に影響を及ぼすおそれがある。
上記光検出装置1の半導体基板10,10Aでは、周辺キャリア吸収部13がAPD11と温度補償用ダイオード12との間に位置している。主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間を最短距離で結ぶ線分上において、APD11と周辺キャリア吸収部13との間の最短距離は、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12との最短距離よりも小さい。
同様に、半導体基板10Bでは、周辺キャリア吸収部83がAPDアレイ80と温度補償用ダイオード82との間に位置している。半導体基板10Cでは、周辺キャリア吸収部88がAPDアレイ85aと温度補償用ダイオード87との間に位置しており、周辺キャリア吸収部89がAPDアレイ85bと温度補償用ダイオード87との間に位置している。半導体基板10Dでは、周辺キャリア吸収部93がAPDアレイ90と温度補償用ダイオード92との間に位置している。半導体基板10Eでは、周辺キャリア吸収部98がAPDアレイ95と温度補償用ダイオード97との間に位置している。半導体基板10Fでは、周辺キャリア吸収部103がAPD101と温度補償用ダイオード102との間に位置している。
たとえば、主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間を最短距離で結ぶ線分上で、APD11の半導体層31と周辺キャリア吸収部13との間の距離L1は、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12の半導体層31との間の距離L2よりも小さい。主面10aに直交する方向から見て、APD11と温度補償用ダイオード12との間を最短距離で結ぶ線分上において、APD11の半導体層32と周辺キャリア吸収部13との間の距離L3は、周辺キャリア吸収部13の部分13cと温度補償用ダイオード12の半導体層32との間の距離L4よりも小さい。光検出装置1Fの半導体基板10Fでは、主面10aに直交する方向から見て、APD101と温度補償用ダイオード102との間を最短距離で結ぶ線分上において、APD101の半導体層36と周辺キャリア吸収部103との間の距離L3は、周辺キャリア吸収部103の部分103cと温度補償用ダイオード102の半導体層36との間の距離L4よりも小さい。
これらの構成では、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102が発光することで生じたキャリアは、APD11,81,86,91,96,101に到達する前に周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98,103で吸収される。この結果、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102に起因するキャリアがAPD11,81,86,91,96,101に到達することが抑制され、検出精度の向上も図られる。したがって、上記光検出装置1,1Fでは、製造コストが抑制されながら、増倍率に対する温度補償が実現され、検出精度の向上も図られる。L2/L1は、たとえば1超50以下である。L2/L1は、20以上50以下であってもよく、この場合、更に温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102に起因するキャリアがAPD11,81,86,91,96,101に到達することが抑制される。
光検出装置1,1Fは、電極42,43,44,45を備える。図1及び図11に示されているように、たとえば、電極42は、APD11,101に接続され、かつ、当該APD11,101からの信号を出力する。電極43は、温度補償用ダイオード12,102に接続されており、電極44は、周辺キャリア吸収部13,103に接続されている。この場合、APD11,101、温度補償用ダイオード12,102、及び周辺キャリア吸収部13,103の各々に所望の電位を印加できる。このように、周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98,103に電圧が印加されれば、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102に起因して発生したキャリアが一層吸収され得る。
半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10E,10Fのそれぞれにおいて、電極45には、APD11,81,86,91,96,101と、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102と、周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98,103とが互いに並列に接続されている。たとえば、APD11と温度補償用ダイオード12とが並列に接続されているため、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧に応じた電位がAPD11に印加され得る。周辺キャリア吸収部13も、APD11及び温度補償用ダイオード12に並列に接続されているため、別途電源を設けることなく周辺キャリア吸収部13に電位を印加できる。周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98,103に電圧が印加されれば、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97,102に起因して発生したキャリアが一層吸収され得る。
図1に示されているように、半導体基板10は、第一導電型の半導体領域21を含んでいる。APD11及び温度補償用ダイオード12は、それぞれ、半導体層31と半導体層32とを含んでいる。半導体層31は、第二導電型である。半導体層32は、半導体領域21よりも不純物濃度が高い第一導電型である。半導体層32は、半導体領域21と半導体層31との間に位置している。このように、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97は、APD11,81,86,91,96と同様の構成である。このため、増幅率とバイアス電圧とに関する温度特性がAPD11,81,86,91,96に酷似した温度補償用ダイオード12,82,87,92,97を容易に形成できる。
リーチスルー型のAPD11,81,86,91,96をそれぞれ有する半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10Eでは、周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98は、第二導電型の半導体層33を含んでいる。このため、周辺キャリア吸収部13,83,88,89,93,98で温度補償用ダイオード12,82,87,92,97に起因して発生したキャリアが一層吸収され得る。
半導体基板10Fは、第一導電型の半導体領域21を含んでいる。APD101及び温度補償用ダイオード102は、それぞれ、半導体層35と半導体層36とを含んでいる。半導体基板10Fでは、半導体層35は、第二導電型である。半導体層36は、半導体領域21よりも不純物濃度が高い第一導電型である。半導体層36は、半導体領域21と半導体層35との間に位置している。このように、温度補償用ダイオード102は、APD101と同様の構成である。このため、増幅率とバイアス電圧とに関する温度特性がAPD101に酷似した温度補償用ダイオード102を容易に形成できる。
リバース型のAPD101を有する半導体基板10Fでは、周辺キャリア吸収部103は、第一導電型の半導体層33を含んでいる。このため、周辺キャリア吸収部103で温度補償用ダイオード102に起因して発生したキャリアが一層吸収され得る。
半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10Eでは、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97の半導体層32における不純物濃度は、APD11,81,86,91,96の半導体層32における不純物濃度より高い。この場合、光検出装置1では、たとえば、APD11,81,86,91,96のブレークダウン電圧の方が温度補償用ダイオード12,82,87,92,97のブレークダウン電圧よりも大きくなる。この結果、リニアモードで動作するAPD11,81,86,91,96の増倍率に対する温度補償が実現される。なお、半導体基板10FのAPD101をリニアモードで動作させる場合、半導体基板10Fは、温度補償用ダイオード102の半導体層36における不純物濃度がAPD101の半導体層36における不純物濃度より高くなるように構成される。この場合、光検出装置1Fにおいて、たとえば、APD101のブレークダウン電圧の方が温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧よりも大きくなる。
半導体基板10Fでは、温度補償用ダイオード102の半導体層36における不純物濃度は、APD101の半導体層36における不純物濃度より低くてもよい。この場合、光検出装置1Fは、たとえば、APD101のブレークダウン電圧の方が温度補償用ダイオード102のブレークダウン電圧よりも小さくなり得る。この結果、ガイガーモードで動作するAPD101の増倍率に対する温度補償が実現され得る。なお、半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10EのAPD11,81,86,91,96をガイガーモードで動作させる場合、半導体基板10,10A,10B,10C,10D,10Eは、温度補償用ダイオード12,82,87,92,97の半導体層32における不純物濃度がAPD11,81,86,91,96の半導体層32における不純物濃度より低くなるように構成される。この場合、光検出装置1において、たとえば、APD11,81,86,91,96のブレークダウン電圧の方が温度補償用ダイオード12,82,87,92,97のブレークダウン電圧よりも小さくなる。
次に、図13を参照して、光検出装置の製造方法の一例について説明する。図13は、光検出装置1のうち半導体基板10の製造方法を示すフローチャートである。
まず、半導体ウエハを準備する(ステップS1)。半導体ウエハは、半導体基板10として加工される前の基板であり、互いに対向する主面10a,10bを有する。半導体ウエハは、半導体領域21に対応する第一導電型の半導体領域を含む。当該半導体領域は、半導体ウエハの主面10a側に設けられ、主面10aの全面を構成する。たとえば、半導体ウエハの半導体領域は、P−型である。本実施形態では、半導体ウエハには、主面10b側から不純物を添加することによって、半導体ウエハの半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型の半導体層35が形成されている。たとえば、半導体層35は、P+型である。
続いて、第一のイオン注入工程(ステップS2)として、イオン注入法により、主面10a側に不純物イオンを注入して不純物を添加することで、第二導電型の半導体層31,33及び第一導電型の半導体層32,34を形成する。たとえば、半導体層31,33はN+型であり、半導体層32はP型であり、半導体層34はP+型である。本実施形態では、半導体層31及び半導体層33は、一回のイオン注入処理で、互いに離間した異なる箇所に第二導電型の不純物イオンを注入することによって形成される。半導体層32は、半導体層31,33が形成された後に、第一導電型の不純物イオンを注入することで形成される。半導体層32は、半導体層31,33が形成される前に、第一導電型の不純物イオンを注入することで形成されてもよい。
半導体層31,32は、主面10aに直交する方向から見て、互いに重なる位置に形成される。半導体層32は、主面10a側から見て半導体層31よりも深い位置に第一導電型の不純物を注入することで形成される。半導体層31,32は、1つの半導体基板10となる領域内において、主面10aと直交する方向から見て互いに離間した複数の箇所に形成される。当該複数の箇所は、APD11を配置する箇所と温度補償用ダイオード12を配置する箇所とを含む。第一のイオン注入工程では、半導体層31の不純物濃度が同等となるように、第二導電型の不純物が各箇所に添加される。同様に、半導体層32の不純物濃度が同等となるように、第一導電型の不純物が各箇所に添加される。
続いて、第二のイオン注入工程(ステップS3)として、イオン注入方法により、上述した複数の箇所のうち一部の箇所のみに、半導体層32にさらに不純物を添加する。本実施形態では、温度補償用ダイオード12を配置する箇所のみにおいて、半導体層32にさらに第一導電型の不純物が注入される。このため、光検出装置1では、温度補償用ダイオード12の半導体層32における不純物濃度は、APD11の半導体層32における不純物濃度より高い。この場合、光検出装置1は、APD11のブレークダウン電圧が温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧よりも大きくなるように構成される。
第二のイオン注入工程では、温度補償用ダイオード12を配置する箇所ではなく、APD11を配置する箇所のみにおいて、半導体層32にさらに第一導電型の不純物が注入されてもよい。この場合、光検出装置1では、温度補償用ダイオード12の半導体層32における不純物濃度は、APD11の半導体層32における不純物濃度より低い。この場合の光検出装置は、APD11のブレークダウン電圧は、温度補償用ダイオード12のブレークダウン電圧よりも小さくなるように構成される。
以上の工程によって、光検出装置1の半導体基板10が形成される。本実施形態では、既に半導体層35が形成された状態から半導体層31,32,33,34を形成した。しかし、半導体層31,32,33,34が形成された後に、半導体層35が形成されてもよい。
上記製造方法では、異なる複数の箇所にイオンを注入することで各箇所に半導体層31と半導体層32とが形成される。その後、さらに一部の箇所の半導体層32にイオンが注入される。このため、増倍率とバイアス電圧とに関する温度特性が同等でありながら、それぞれ所望のブレークダウン電圧に設定された、温度補償用ダイオード12及びAPD11が容易に製造され得る。この場合、たとえば、温度補償用ダイオード12とAPD11とのブレークダウン電圧差に応じて、APD11の増倍率が任意に設定され得る。このため、温度補償用ダイオード12とAPD11とがそれぞれ所望のブレークダウン電圧に設定されれば、検出精度の向上が図られる。たとえば、温度補償用ダイオード12とAPD11とのブレークダウン電圧差に応じて、APD11の増倍率がS/N比の高い最適増倍率Moptに設定されれば、検出精度の向上が図られる。このように、上記製造方法では、製造コストが抑制されながら、増倍率に対する温度補償が実現され、検出精度の向上が図られる。
本実施形態では、第一のイオン注入工程において、一回のイオン注入処理で半導体層31と半導体層33とを形成する。このため、イオン注入の工程を増加させることなく、周辺キャリア吸収部13が形成される。したがって、製造コストが削減される。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、上述した製造方法は、光検出装置1の半導体基板10の製造だけでなく、半導体基板10A,10B,10C,10D,10Eの製造にも適用できる。上述した製造方法は、光検出装置1の製造だけでなく、光検出装置1Fの製造にも適用できる。
半導体基板10B,10C,10D,10Eにおいて、周辺キャリア吸収部は、APDアレイに含まれる複数のAPDをそれぞれ囲んでいてもよい。換言すれば、周辺キャリア吸収部は、APDアレイに含まれる複数のAPDを、一つずつ囲んでいてもよい。APDアレイに含まれる任意のAPDが温度補償用ダイオードとして用いられてもよい。この場合も、温度補償用ダイオードとして用いられるAPDから発生したキャリアの他のAPDへの到達が抑制される。
上述した変形例では、半導体基板10Fが、半導体層36を含んでいる構成について説明した。しかし、半導体基板10FのAPD101は、半導体層36を含んでいなくてもよく、この場合もAPDとして機能する。半導体基板10Fが半導体層36を含まない構成では、たとえば、半導体領域21と半導体層35とが半導体層36を挟まずに互いに接する。